JP2010023644A - 車両のシートベルト装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】横加速度和センサ29とヨーレートセンサ31を設け、コントローラ21には、センサ信号を基にモータ10に通電する目標電流を周期的に設定する目標電流設定手段34を設ける。さらに、コントローラ21には、目標電流設定手段34で設定した目標電流と一致するようにモータ10の通電電流を制御する標準電流制御手段35と、クラッチ20を接続状態に維持し得る低電流でモータ10に通電する保持電流制御手段36と、目標電流の経時変化に応じて標準電流制御手段35と保持電流制御手段36のいずれかを選択する電流制御選択手段37を設ける。
【選択図】図2
Description
ところが、同じ車両状態の検出値であっても、現在ウェビングの巻取り段階なのか乗員拘束の段階なのかを判別することができないため、車両の状態を頻繁に検出してモータの通電電流を更新するにしても、ウェビングの巻取り段階での迅速な巻取りと、乗員拘束段階での圧迫感の低減を両立させることは難しい。
これにより、車両状態検出装置がシートベルトによる拘束を要する車両状態を検出すると、目標電流設定手段が車両状態検出装置の検出信号を基にして目標電流を設定する。モータはこの目標電流と一致するように標準電流制御手段によって通電電流を制御される。目標電流設定手段による目標電流の設定は周期的に行い、目標電流の経時変化は電流制御選択手段で監視する。電流制御選択手段では、例えば、目標電流の経時変化が基準パラメータ以上の場合には、標準電流制御手段によるモータ制御を選択し、目標電流の経時変化が基準パラメータに満たない場合には、保持電流制御手段によるモータ制御を選択する。したがって、ベルトリールの巻取り位置の変化が大きいことが予測される状況では、標準電流制御手段によるモータ制御が行われ、ベルトリールの巻取り位置の変化が小さいことが予測される状況では、保持電流制御手段によるモータ制御が行われる。
これにより、モータの通電制御が標準電流制御手段から保持電流制御手段に移行すると、目標電流に近い電流値から一旦中間電流値に下げられ、その後にクラッチを接続状態に維持し得るほぼ最小値に下げられる。
これにより、保持電流制御手段から標準電流制御手段に電流制御が移ったときには、モータに通電される電流の急激な上昇が規制されるようになる。
これにより、例えば、車速が速いときに電流の増加速度の規制値を大きくすることが可能になる。
図1は、この発明にかかるシートベルト装置1の全体概略構成を示すものであり、同図中2は、乗員3の着座するシートである。この実施形態のシートベルト装置1は、所謂三点式のシートベルト装置であり、図示しないセンタピラーに取付けられたリトラクタ4からウェビング5が上方に引き出され、そのウェビング5がセンタピラーの上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ウェビング5の先端がシート2の車室外側寄りのアウタアンカ7を介して車体フロアに固定されている。そして、ウェビング5のスルーアンカ6とアウタアンカ7の間にはタングプレート8が挿通されており、そのタングプレート8は、シート2の車体内側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対して脱着可能となっている。
ウェビング5は、初期状態ではリトラクタ4に巻き取られており、乗員3が手で引き出してタングプレート8をバックル9に固定することにより、乗員3の主に胸部と腹部をシート2に対して拘束する。また、このシートベルト装置1は、緊急時や車両の挙動変化が大きいときに、電動式のモータ10によって自動的にウェビング5の引き込みを行う。
この場合、ベルトリール12の回転に応じてセンサ回路からコントローラ21に入力されたパルス信号は、ベルトリール12の回転量や、回転速度、回転方向等を検出するのに用いられる。つまり、コントローラ21においては、パルス信号をカウントすることによってベルトリール12の回転量(ウェビング5の引き出し量)を検出し、パルス信号の変化速度(周波数)を演算することによってベルトリール12の回転速度(ウェビング5の巻取り・引き出し速度)を求め、さらに、両パルス信号の波形の立ち上がりの比較によってベルトリール12の回転方向を検出する。
クラッチ20は、図示しないケーシングに回動可能に支持され、先端部に係止爪28を有するパウル29と、このパウル29を操作するクラッチスプリング30と、パウル29の係止爪28に係合可能な前記リングギヤ14のラチェット歯19と、を備え、係止爪28は、パウル29がラチェット歯19方向に操作されたときに、ラチェット歯19の傾斜面とほぼ直交する面に突き当たり、リングギヤ14の一方向の回転をロックする。
このようにリングギヤ18の回転がロックされると、前述のようにサンギヤ14に伝達された回転力がすべてキャリア17の回転となってベルトリール12に伝達されるようになる(クラッチオン状態)。
このようにリングギヤ18のロックが解除されると、前述のようにサンギヤ14に伝達された回転力がプラネタリギヤ16を自転させ、このときリングギヤ18を空転させてキャリア17(ベルトリール12)側に動力が伝達されないようにする(クラッチオフ状態)。
標準電流制御手段35は、電流検出手段33を通してモータ10の実際の通電電流値を常時フィードバックし、モータ10の通電電流が標準目標電流と一致するように電流の制御を行う。
保持電流制御手段36は、クラッチ20を接続状態に維持し得る最小値(例えば、0.2A)の電流を最終的にモータ10に通電するものであるが、標準電流制御手段35からの移行時には、最小値よりも大きい中間電流値(例えば、0.6A)を所定時間(例えば、01sec)通電する。この実施形態の場合、保持電流制御手段36もフィードバック制御によって目標電流(中間電流値や最小値)に合致するように電流制御を行う。
電流制御選択手段37は、例えば、目標電流設定手段34で周期的に設定される標準目標電流Idをデータとして記憶し、その標準目標電流Idのデータから平均電流値Iavgを求めて、現在の標準目標電流Idと平均電流値Iavgを比較する。そして、例えば、Id*0.8≧Iavgのときに標準電流制御手段35による電流制御を選択し、Id*0.8<Iavgのときに保持電流制御手段36による電流制御を選択する。
なお、電流制御選択手段37で利用する平均電流値Iavgは、モータ10によるウェビング5の巻取り時だけでなく、他の状況下(通常状態)でも算出されるが、図9に示すように、モータ10による巻取りを行わない状況(通常状態)では、ウェビング5の引き出し位置が予め設定された上限値以上や下限値以下になったときに、平均電流値Iavgの算出をリセットする。これにより、通常時に平均電流値Iavgが不要に大きく変化する不具合を解消する。
図6は、コントローラ21によるメインフローを示すものである。
このメインフローのステップS1においては、車速センサ32の検出値等を基にして現在車両が走行中であるかどうかを判定し、YESの場合には、ステップS2に進み、NOの場合には、ステップS5へと進む。
ステップS2においては、加速度センサ29,30やヨーレートセンサ31等のセンサ情報を読み込み、次のステップS3ではセンサ情報を基にしてウェビング5による乗員拘束が現在必要であるかどうかを判定する。ステップS3における乗員拘束の要否は、例えば、加速度やヨーレート偏差が基準値を超えるかどうかによって判定する。ただし、乗員拘束の要否の判定は、これに限らず、車輪のスリップ角が設定値を超えるかどうかや、左右の車輪速度の差の絶対値が設定値を超えるかどうか、さらには、挙動安定化装置(VSA,ABS,TCS等)の作動の有無によって行うようにしても良い。
ステップS3でYESの場合には、拘束制御処理S4に移り、拘束制御処理S4を終了してからステップS5へと進み、NOの場合には、そのままステップS5へと進む。
ステップS5では、ウェビング5の引き出し位置が予め設定された上下限値の範囲内であるかどうかを判定し、YESの場合には、リターンし、NOの場合には、ステップS6に進んで平均電流値Iavgの算出をリセットしてからリターンする。
拘束制御処理S4では、最初に、目標電流Itargetの更新処理(設定処理)S101を行い、その後に、ステップS102においてモータ10の通電を行う。なお、ステップS102での初回の通電は予め設定された初期電流I0で実行する。
ステップS104においては、現在の通電電流Iが目標電流Itargetよりも小さいかどうかを判定し、YESの場合には、ステップS105に進み、NOの場合には、ステップS106へと進む。
ステップS105では、現在の通電電流Iに微小電流ΔIを加算したときに、予め設定された上限値Iupper_limitに満たないかどうかを判定し、YESの場合には、ステップS107で微小電流Δを加算した後にステップS109に進み、NOの場合には、そのままステップS109へと進む。
一方、ステップS106では、現在の通電電流Iから微小電流ΔIを減算したときに、予め設定された下限値Ilower_limitを超えるかどうかを判定し、YESの場合には、ステップS108で微小電流ΔIを減算した後にステップS109に進み、NOの場合には、そのままステップS109へと進む。
ここで説明したステップS103〜ステップS107,S108は、現在の通電電流と目標電流を比較し、両者が等しい場合には、そのまま通電を継続し、現在の通電電流が目標電流よりも大きい場合や小さい場合には、上下限値を超えない範囲で通電電流を増減させるステップである。
ステップS109においては、拘束解除条件を満たすかどうか、例えば、加速度やヨーレート偏差が基準値を下回るかどうかを判定する。このときYESの場合には、拘束制御処理を終了し、NOの場合には、目標電流Itargetの更新処理S101へと戻る。
目標電流Itargetの更新処理S101のステップS201においては、横加速度センサ29とヨーレートセンサ31の検出信号を読み込み、前回の目標電流Itargetの値をIoldに代入する。
次のステップS202では、横加速度Gyとヨーレート偏差δγを基にして標準目標電流Idを演算やマップの参照によって求め、ステップS203では、標準目標電流Idとそのサンプリング回数nのデータを基にして平均電流値Iavgを算出する。
なお、ステップS207やステップS208を経たときには、保持電流制御モード(保持電流制御手段36による制御)が実行される。
以下、このタイミングチャートについて説明する。
シートベルト装置1を装着して車両走行が行われると、車両の横加速度とヨーレート偏差に基づいて標準目標電流Idが常時算出され、その結果に例えば0.8をかけた比較値(図12中の点線参照)が求められる。また、これと並行して標準目標電流Idのサンプリングと平均電流値Iavgの算出が行われる。
なお、保持電流制御モードでは、クラッチ20を接続状態に維持することができるため、モータ10とベルトリール12は動力伝達機構13(減速機構)を介して接続された状態となる。このため、保持電流制御モードで、ベルトリール12に引き出し方向の回転力が作用した場合には、駆動電流に対応した巻取り方向のモータ10のトルクはウェビング5の引き出しを抑制する大きな規制力となる。
5…ウェビング
10…モータ
12…ベルトリール
20…クラッチ
29…横加速度センサ(車両状態検出装置)
31…ヨーレートセンサ(車両状態検出装置)
34…目標電流設定手段
35…標準電流制御手段
36…保持電流制御手段
37…電流制御選択手段
Claims (7)
- シートに着座した乗員を拘束するウェビングが巻回されるベルトリールと、
前記ベルトリールに駆動力を伝達するモータと、
前記モータのウェビング巻取り方向の設定値以上の回転トルクを受けて前記モータとベルトリールを接続状態に維持するクラッチと、
を備えた車両のシートベルト装置において、
車両の状態を検出する車両状態検出装置と、
前記車両状態検出装置の検出信号を基にして前記モータに通電する目標電流を周期的に設定する目標電流設定手段と、
前記目標電流設定手段で設定した目標電流と一致するように前記モータの通電電流を制御する標準電流制御手段と、
前記クラッチを接続状態に維持し得る低電流で前記モータに通電する保持電流制御手段と、
目標電流の経時変化に応じて前記標準電流制御手段と保持電流制御手段のいずれかを選択する電流制御選択手段と、
を設けたことを特徴とする車両のシートベルト装置。 - 前記保持電流制御手段は、前記クラッチを接続状態に維持し得るほぼ最小値での通電を行う前に、その最小値よりも大きい中間電流値で通電を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両のシートベルト装置。
- 前記保持電流制御手段から標準電流制御手段に電流制御が移ったときには、時間当たりの電流増加量を規制値以下に制限することを特徴とする請求項1または2に記載の車両のシートベルト装置。
- 前記規制値は、車速に応じて設定されていることを特徴とする請求項3に記載の車両のシートベルト装置。
- シートに着座した乗員を拘束するウェビングが巻回されるベルトリールと、
前記ベルトリールに駆動力を伝達するモータと、
前記モータのウェビング巻取り方向の設定値以上の回転トルクを受けて前記モータとベルトリールを接続状態に維持するクラッチと、
を備えた車両のシートベルト装置の制御方法において、
車両状態に応じて前記モータに通電する目標電流を周期的に設定するステップと、
前記目標電流の経時変化を監視するステップと、
目標電流の経時変化に応じて、前記目標電流と一致するように前記モータの通電電流を制御する標準電流制御モードと、前記クラッチを接続状態に維持し得る低電流で前記モータに通電する保持電流制御モードのいずれか一方にモータ制御を切り替えるステップと、
を備えていることを特徴とする車両のシートベルト装置の制御方法。 - 前記保持電流制御モードは、前記クラッチを接続状態に維持し得るほぼ最小値での通電を行う前に、その最小値よりも大きい中間電流値で通電するステップを備えていることを特徴とする請求項5に記載の車両のシートベルト装置の制御方法。
- 前記保持電流制御モードから標準電流制御モードに電流制御が移ったときに、時間当たりの電流増加量を規制値以下に制限するステップを備えていることを特徴とする請求項5または6に記載の車両のシートベルト装置の制御方法。
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