JP2010019687A - 動脈硬化改善・予防効果の評価方法及び評価用キット、並びに、物質のスクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】動脈硬化を発症している動物又は将来の発症リスクが高い動物に被験物質を摂取させ、該動物の体液中における5種のマーカー物質の少なくとも1つの濃度を基準値と比較し、被験物質が有する動脈硬化の改善効果又は将来の発症リスクの低減効果を評価する。マーカー物質に対する親和性を有する物質を固定化した担体にマーカー物質を捕捉して、体液中のマーカー物質の濃度を算出する構成が推奨される。該評価方法を用いる物質のスクリーニング方法、該評価方法を簡便に行うことができるキットも提供される。
【選択図】図1
Description
(Mf1)pH3.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約3500のイオンピークを生じるタンパク質、
(Mf2)pH3.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約3520のイオンピークを生じるタンパク質、
(Mf3)pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約5900のイオンピークを生じるタンパク質、
(Mf4)pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約11000のイオンピークを生じるタンパク質、
(Mf5)pH3.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約13600のイオンピークを生じるタンパク質。
(Mf1)pH3.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約3500のイオンピークを生じるタンパク質、
(Mf2)pH3.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約3520のイオンピークを生じるタンパク質、
(Mf3)pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約5900のイオンピークを生じるタンパク質、
(Mf4)pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約11000のイオンピークを生じるタンパク質、
(Mf5)pH3.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約13600のイオンピークを生じるタンパク質。
(1)弱陽イオン交換基板:1枚
(2)金属イオン基板:1枚
(3)基板洗浄用バッファーA(pH3.0):適量
(4)基板洗浄用バッファーB(pH7.0かつ0.5M NaClを含む):適量
(5)各マーカー物質の標準品:各適量
動脈硬化発症モデル動物としてアポE欠損マウス(The Jackson Laboratory社)、正常動物としてC57BL/6J系統マウス(日本チャールス・リバー社。以下、単に「正常マウス」と略記する。)を採用した。また、与える飼料としてCE−2(日本クレア社。以下、単に「通常飼料」と略記する。)と、発酵乳を10%(5g/kg体重に相当)含有するCE−2(以下、単に「発酵乳含有飼料」と略記する。)を採用した。
第1群:正常マウスを通常飼料で飼育
第2群:アポE欠損マウスを通常飼料で飼育
第3群:アポE欠損マウスを発酵乳含有飼料で飼育
第4群:正常マウスを発酵乳含有飼料で飼育
すなわち、第1群は動脈硬化を発症しない群、第2群は動脈硬化を発症する群、第3群は動脈硬化の発症が抑制される群、に相当する。第4群は発酵乳の作用検証用の群である。
各血漿20μLに、変性バッファー(9M 尿素、2% CHAPS、50mM Tris−HCl(pH9.0))30μLを加えて前処理を行い、タンパク質を変性させた。次に、前処理した各体液試料を強陰イオン交換樹脂カラム(Q−Sepharose、GEヘルスケア社)にアプライした。次いで、pH9.0の緩衝液(50mM Tris−HCl(pH9.0)、0.1%(w/v)1−o−N−オクチル−β−D−グルコピラノシド(以下、「OGP」と称する。))、pH5.0の緩衝液(100mM 酢酸ナトリウム(pH5.0)、0.1%(w/v)OGP)、pH3.0の緩衝液(50mM クエン酸ナトリウム(pH3.0)、0.1%(w/v)OGP)、及び有機溶媒(0.1%トリフルオロ酢酸、50.0%アセトニトリルからなる混合液)各200μLで順に溶出させ、画分1(pH9.0で溶出、素通り)、画分2(pH5.0で溶出)、画分3(pH3.0で溶出)、画分4(有機溶媒で溶出)の4つの粗分画画分を得た。
第1群と第2群との間でイオン強度に有意差がある(p<0.05)。
(2)発酵乳効果検証
第2群と第3群との間でイオン強度に有意差があり(p<0.05)、かつ第3群の値の方が第2群の値よりも第1群の値に近い(第3群の値が第1群側に復帰している)。
(3)増減パターン解析
第2群のみが高値または低値を示し、第1群、第3群および第4群の間ではあまり差がない。なお、第3群と第4群との間に差があっても、第4群の値の方が第3群の値よりも第2群から離れている場合には本条件を満たすものとして取り扱う。
画分1(pH9.0)を弱陽イオン交換チップCM10に接触させ、pH3.0のプロテインチップ結合バッファーで洗浄してSELDI−TOF−MS(EAM:SPA−L)を行なった場合に、質量/電荷比が3499(平均値)のイオンピークが検出された。増減パターン解析の結果、本ピークは第1群、第3群および第4群で低値を示し、第2群で高値を示した。図1に、各群に分けて本ピークのピーク強度をプロットした場合の箱髭図を示す。図中、髭の上端と下端はそれぞれ最大値と最小値、箱の上辺と下辺はそれぞれ第3四分位(75パーセンタイル)と第1四分位(25パーセンタイル)、箱の中の線は中央値である(図2以降も同じ)。各ROC面積と各p値は以下のとおりとなった。
p値(第1群vs第2群):0.0002
ROC面積(第2群vs第3群):0.86
p値(第2群vs第3群):0.010
画分1(pH9.0)を弱陽イオン交換チップCM10に接触させ、pH3.0のプロテインチップ結合バッファーで洗浄してSELDI−TOF−MS(EAM:SPA−L)を行なった場合に、質量/電荷比が3518(平均値)のイオンピークが検出された。増減パターン解析の結果、本ピークは第1群、第3群および第4群で低値を示し、第2群で高値を示した。図2に、各群に分けて本ピークのピーク強度をプロットした場合の箱髭図を示す。各ROC面積と各p値は以下のとおりとなった。
p値(第1群vs第2群):0.0002
ROC面積(第2群vs第3群):0.74
p値(第2群vs第3群):0.034
画分1(pH9.0)を銅修飾チップIMAC30に接触させ、pH7.0/0.5M NaClのプロテインチップ結合バッファーで洗浄してSELDI−TOF−MS(EAM:CHCA)を行なった場合に、質量/電荷比が5901(平均値)のイオンピークが検出された。増減パターン解析の結果、本ピークは第1群、第3群および第4群で高値を示し、第2群で低値を示した。図3に、各群に分けて本ピークのピーク強度をプロットした場合の箱髭図を示す。各ROC面積と各p値は以下のとおりとなった。
p値(第1群vs第2群):0.003
ROC面積(第2群vs第3群):0.78
p値(第2群vs第3群):0.023
画分3(pH3.0)を銅修飾チップIMAC30に接触させ、pH7.0/0.5M NaClのプロテインチップ結合バッファーで洗浄してSELDI−TOF−MS(EAM:CHCA)を行なった場合に、質量/電荷比が11047(平均値)のイオンピークが検出された。増減パターン解析の結果、本ピークは第1群、第3群および第4群で低値を示し、第2群で高値を示した。図4に、各群に分けて本ピークのピーク強度をプロットした場合の箱髭図を示す。各ROC面積と各p値は以下のとおりとなった。
p値(第1群vs第2群):0.008
ROC面積(第2群vs第3群):0.78
p値(第2群vs第3群):0.019
画分3(pH3.0)を弱陽イオン交換チップCM10に接触させ、pH3.0のプロテインチップ結合バッファーで洗浄してSELDI−TOF−MS(EAM:SPA−H)を行なった場合に、質量/電荷比が13648(平均値)のイオンピークが検出された。増減パターン解析の結果、本ピークは第1群、第3群および第4群で高値を示し、第2群で低値を示した。図5に、各群に分けて本ピークのピーク強度をプロットした場合の箱髭図を示す。各ROC面積と各p値は以下のとおりとなった。
p値(第1群vs第2群):0.028
ROC面積(第2群vs第3群):0.82
p値(第2群vs第3群):0.028
Claims (14)
- 動脈硬化を発症している動物又は将来の発症リスクが高い動物に被験物質を摂取させ、該動物の体液中における下記マーカー物質(Mf1)〜(Mf5)の少なくとも1つの濃度を基準値と比較し、被験物質が有する動脈硬化の改善効果又は将来の発症リスクの低減効果を評価することを特徴とする動脈硬化改善・予防効果の評価方法。
(Mf1)pH3.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約3500のイオンピークを生じるタンパク質、
(Mf2)pH3.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約3520のイオンピークを生じるタンパク質、
(Mf3)pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約5900のイオンピークを生じるタンパク質、
(Mf4)pH7.0かつ0.5MのNaCl濃度で銅イオン結合金属キレート体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約11000のイオンピークを生じるタンパク質、
(Mf5)pH3.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約13600のイオンピークを生じるタンパク質。 - マーカー物質(Mf5)は、トランスサイレチン又はその修飾体であることを特徴とする請求項1に記載の動脈硬化改善・予防効果の評価方法。
- 動脈硬化を発症している動物又は将来の発症リスクが高い動物に被験物質を摂取させ、該動物の体液中におけるトランスサイレチン又はその修飾体に属するマーカー物質の濃度を基準値と比較し、被験物質が有する動脈硬化の改善効果又は将来の発症リスクの低減効果を評価することを特徴とする動脈硬化改善・予防効果の評価方法。
- 前記基準値は、動脈硬化を発症している動物又は将来の発症リスクが高い動物に、動脈硬化の改善効果又は将来の発症リスクの低減効果を有さない既知物質を摂取させた際の、該動物の体液中における前記マーカー物質の濃度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の動脈硬化改善・予防効果の評価方法。
- 前記動脈硬化を発症している動物又は将来の発症リスクが高い動物は、自然発症モデル動物又は遺伝子操作モデル動物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の動脈硬化改善・予防効果の評価方法。
- 前記体液は、血液であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の動脈硬化改善・予防効果の評価方法。
- 前記被験物質は、食品素材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の動脈硬化改善・予防効果の評価方法。
- 前記体液又は体液成分を、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質を固定化した担体に接触させて、体液中の前記マーカー物質を担体上に捕捉し、捕捉された前記マーカー物質の量に基づいて体液中の前記マーカー物質の濃度を算出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の動脈硬化改善・予防効果の評価方法。
- 前記担体は平面部分を有し、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質は、該平面部分の一部に固定化されていることを特徴とする請求項8に記載の動脈硬化改善・予防効果の評価方法。
- 前記マーカー物質に対する親和性を有する物質は、イオン交換体、金属キレート体又は抗体であることを特徴とする請求項8又は9に記載の動脈硬化改善・予防効果の評価方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の動脈硬化改善・予防効果の評価方法によって被験物質を評価し、動脈硬化の改善効果又は将来の発症リスクの低減効果を有する物質をスクリーニングすることを特徴とする物質のスクリーニング方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の動脈硬化改善・予防効果の評価方法に用いるためのキットであって、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質を固定化した担体を含むことを特徴とする動脈硬化改善・予防効果の評価用キット。
- 前記マーカー物質に対する親和性を有する物質は、イオン交換体又は金属キレート体であることを特徴とする請求項12に記載の動脈硬化改善・予防効果の評価用キット。
- 動脈硬化の改善効果又は将来の発症リスクの低減効果を有する物質をスクリーニングするために使用されることを特徴とする請求項12又は13に記載の動脈硬化改善・予防効果の評価用キット。
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MARCIA ALMEIDA LIZ(外3名): "ApoA-I cleaved by transthyretin has reduced ability to promote cholesterol efflux and increased amyl", JOURNAL OF LIPID RESEARCH, vol. 48, no. 11, JPN6012063033, November 2007 (2007-11-01), pages 2385 - 2395, ISSN: 0002606621 * |
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