JP5041506B2 - 疾病の検出方法、物質の評価方法、物質のスクリーニング方法、及び、マーカーとしての使用 - Google Patents

疾病の検出方法、物質の評価方法、物質のスクリーニング方法、及び、マーカーとしての使用 Download PDF

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Description

本発明は、疾病の検出方法、物質の評価方法、及び物質のスクリーニング方法、等に関し、さらに詳細には、被検者の体液中におけるマーカー物質の濃度を指標として、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無、又は将来の発症リスクを検出する疾病の検出方法、該検出方法を用いて被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価する物質の評価方法、被検物質とコレステロールとを同時摂取させた動物の体液中におけるマーカー物質の濃度を指標して、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価する物質の評価方法、及び、該評価方法を用いて血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有する物質をスクリーニングする物質のスクリーニング方法、等に関する。
食生活の欧米化に伴って動物脂肪の摂取量が増大し、脂質代謝異常等の生活習慣病が増加している。例えば、高脂肪食や高カロリー食の摂取によって脂質代謝に異常が起こり、その結果、血液中の脂質量が異常に増加して高脂血症となることがわかっている。血液中の脂質には、コレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)、リン脂質、及び遊離脂肪酸の4種があるが、コレステロールは動脈硬化との関連性において特に問題視されている。また、中性脂肪は肥満等に関連することがわかっている。
一方、食酢が、上昇した血中コレステロール濃度を低下させる作用を有することが、臨床試験により明らかにされている(非特許文献1、非特許文献2)。この食酢の効果は、食酢の主成分である酢酸によるものである。
伏見宗士,「境界域および軽度コレステロール血症者に対する食酢摂取の有用性および安全性」,第59回日本栄養食糧学会要旨集,2005年 「食酢の主成分『酢酸』による血中コレステロール値の低下作用を確認」,平成17年5月18日,[平成17年8月18日検索],インターネット<URL:http://www.mizkangroup.co.jp/newsrelease/2005news/050518.html>
動脈硬化等の血中コレステロール濃度の上昇に伴う疾病については、自覚症状が少なく、発見されたときには重篤な状態になっていることも多い。血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病についても同様である。よって、血中コレステロール濃度の上昇に伴う疾病や、血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病については、予防をすることが大事である。そのためには、当該疾病の発症の有無のみならず、将来の発症リスクを検出する技術が求められる。そうすれば、血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病が発症する前に、生活習慣の是正、食事制限、運動等の処置を行うことができ、当該疾病の発症を予防することが可能になる。さらに、当該疾病の発症リスクを低減させるような効果を有する食品素材等があれば、そのような食品素材を含む食品を日常的に摂取することで、動脈硬化等の当該疾病を容易に予防することができる。
しかし、当該疾患の発症の有無に加えて、将来の発症リスクを検出する技術は確立しておらず、物質が有する当該疾病の改善効果や発症リスクを低減させる効果を評価する方法、及び、当該疾患の改善効果や発症リスクを低減させる効果を有する物質をスクリーニングする方法も開発されていない。
本発明の目的は、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無、又は将来の発症リスクを検出する検出方法を提供し、さらに、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価する方法、及び、該評価方法を用いて血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有する物質をスクリーニングする方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、コレステロールを通常より多く含む飼料(高コレステロール食)を摂取させて血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病を発症しているか、将来の発症リスクを高くした動物群を設定した。そして、当該動物の体液を質量分析計によるプロテオーム解析により網羅的に解析し、当該動物に特異的なマーカー物質を検索した。その結果、そのようなタンパク質を複数見出した。そして、被検者の体液中における当該タンパク質の濃度を指標として、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無、又は将来の発症リスクの検出する系を構築した。さらに、この系を用いて、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価する系を構築した。さらに、被検物質とコレステロールとを同時摂取させた動物の体液中における当該タンパク質の濃度を指標として、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価する系を構築した。さらに、当該評価方法を用いて、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有する物質のスクリーニングする系を構築し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
請求項1に記載の発明は、被検物質とコレステロールとを同時摂取させた動物の体液中における下記マーカー物質(a)と(b)の少なくとも1つの濃度を基準値と比較し、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価することを特徴とする物質の評価方法(マーカー物質(a)の濃度の測定方法は、質量/電荷比を指標とする方法に限る)である。
(a)pH7.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約3060のイオンピークを生じるタンパク質、
(b)pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、質量分析に供すると質量/電荷比が約8330のイオンピークを生じ、かつ配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質
本発明の疾病の検出方法は、被検者の体液中における上記マーカー物質(a)と(b)の少なくとも1つの濃度を健常値と比較し、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無、又は将来の発症リスクを検出するものである。本発明の疾病の検出方法では、血中コレステロール又は血中中性脂肪を直接指標とするのではなく、別のマーカー物質を指標とするので、血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度が上昇する前の状態をも捉えることができる。その結果、血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無に加え、当該疾病の将来の発症リスクを検出することができる。
ここで、「血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病」には、血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に起因する全ての疾病が含まれ、直接的には高コレステロール血症及び高脂血症、間接的には、動脈硬化、脂肪肝、肥満等が含まれる。また、「将来の発症リスクを検出する」とは、疾病を発症していない時点において、将来、その疾病に罹患する可能性(危険性)の有無、又はその可能性(危険性)の程度を検出することをいう。
ここで、各マーカー物質における質量/電荷比(以下、「M/Z」と略記することもある。)の「約3060」、「約8330」の値は、質量分析における測定値の誤差範囲を考慮した値であり、概ね±0.2%の幅を有する。すなわち、約3060は概ね3060±0.2%、約8330は概ね8330±0.2%を表す。また、これらのマーカー物質はいずれも主に血液中に存在するタンパク質である。なお、被検者が血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症している場合、又は当該疾病の将来の発症リスクが高い場合、体液中のマーカー物質(a)及び(b)の濃度はより低値を示
請求項2に記載の発明は、前記体液は、血液であることを特徴とする請求項1に記載の疾病の検出方法である。
かかる構成により、測定試料となる体液を簡単に採取でき、より簡便かつ迅速に、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無、又は将来の発症リスクを検出することができる。
請求項3に記載の発明は、前記体液又は体液成分を、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質を固定化した担体に接触させて、体液中の前記マーカー物質を担体上に捕捉し、捕捉された前記マーカー物質の量に基づいて体液中の前記マーカー物質の濃度を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の疾病の検出方法である。
本発明の疾病の検出方法においては、マーカー物質に対する親和性を有する物質を固定化した担体を使用する。そして、該担体に体液又は体液成分を接触させて、体液又は体液成分に含まれるマーカー物質を、マーカー物質に対する親和性を有する物質を介して担体上に捕捉し、捕捉されたマーカー物質の量に基づいて体液中のマーカー物質の濃度を算出する。本発明の疾病の検出方法によれば、担体上に捕捉されたマーカー物質を測定対象とするので、測定試料中に含まれる夾雑物質の影響を低減させることができ、より高感度かつ高精度でマーカー物質の濃度を測定することができる。なお、体液成分の例としては、体液が血液である場合の血清又は血漿が挙げられる。
請求項4に記載の発明は、前記担体は平面部分を有し、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質は、該平面部分の一部に固定化されていることを特徴とする請求項3に記載の疾病の検出方法である。
本発明の疾病の検出方法では、平面部分を有する担体を用い、マーカー物質に対する親和性を有する物質は該平面部分の一部に固定化されている。かかる構成により、マーカー物質に対する親和性を有する物質を、担体上の複数箇所にスポット的に固定化することができる。その結果、1個の担体で複数の測定試料を同時処理することや、1個の担体で複数のマーカー物質の濃度を同時測定することが可能となり、作業効率がよい。さらに、各スポットの面積を小さくすることにより、微量の測定試料からでもマーカー物質の濃度を測定することができる。なお、平面部分を有する担体の例としては、チップ等の基板が挙げられる。
請求項5に記載の発明は、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質は、イオン交換体又は抗体であることを特徴とする請求項4に記載の疾病の検出方法である。
本発明の疾病の検出方法においては、マーカー物質に対する親和性を有する物質としてイオン交換体又は抗体を用い、イオン交換体又は抗体を介して測定試料中のマーカー物質を担体上に捕捉する。当該物質がイオン交換体の場合は各種のものが入手容易であり、マーカー物質を捕捉するための担体を容易に調製することができる。また、当該物質が抗体の場合は、より特異的にマーカー物質を捕捉することができる。捕捉されたマーカー物質の量を測定する方法としては、質量分析、イムノアッセイ(抗体の場合)が挙げられる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の疾病の検出方法によって、被検物質を摂取させた被検者の疾病を検出し、該検出結果に基づいて被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価することを特徴とする物質の評価方法である。
本発明は物質の評価方法にかかり、本発明の検出方法によって、被検物質を摂取させた被験者の疾病を検出し、その検出結果に基づいて被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価する。本発明の物質の評価方法では、血中コレステロール及び/又は血中中性脂肪濃度を直接指標とするのではなく、別のマーカー物質を指標とするので、被検物質を摂取させた被検者における血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度が上昇する前の状態をも捉えることができる。その結果、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果に加え、当該疾病の将来の発症リスクの低減効果を評価することができる。
請求項7に記載の発明は、被検物質とコレステロールとを同時摂取させた動物の体液中における下記マーカー物質(a)と(b)の少なくとも1つの濃度を基準値と比較し、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価することを特徴とする物質の評価方法(マーカー物質(a)の濃度の測定方法は、質量/電荷比を指標とする方法に限る)である。
(a)pH7.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約3060のイオンピークを生じるタンパク質、
(b)pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、質量分析に供すると質量/電荷比が約8330のイオンピークを生じ、かつ配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質
本発明の物質の評価方法は、被検物質とコレステロールとを同時摂取させた動物の体液中における上記(a)と(b)種のマーカー物質の少なくとも1つの濃度を基準値と比較し、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価するものである。本発明の物質の評価方法では、血中コレステロールを直接指標とするのではなく、別のマーカー物質を指標とするので、動物における血中コレステロール濃度が上昇する前の状態をも捉えることができる。その結果、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果に加え、当該疾病の将来の発症リスクの低減効果を評価することができる。
請求項8に記載の発明は、前記基準値は、高コレステロール食を摂取させた動物の体液中における前記マーカー物質の濃度であることを特徴とする請求項7に記載の物質の評価方法である。
かかる構成により、より正確に、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価することができる。ここで、「高コレステロール食」とは、コレステロールを通常より多く含む飼料をいう。高コレステロール食は、例えば、通常の飼料にコレステロールを添加することにより調製することができる。
請求項9に記載の発明は、前記体液は、血液であることを特徴とする請求項7又は8に記載の物質の評価方法である。
かかる構成により、測定試料となる体液を簡単に採取でき、より簡便かつ迅速に、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価することができる。
請求項10に記載の発明は、前記動物は、ラットであることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の物質の評価方法である。
かかる構成により、動物の取り扱いが容易となり、より簡便かつ迅速に、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価することができる。
請求項11に記載の発明は、前記被検物質は、食品素材であることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の物質の評価方法である。
かかる構成により、機能性食品の開発を目的として、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価することができる。
上記した本発明の疾病の検出方法と同様に、本発明の物質の評価方法においても、前記体液又は体液成分を、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質を固定化した担体に接触させて、体液中の前記マーカー物質を担体上に捕捉し、捕捉された前記マーカー物質の量に基づいて体液中の前記マーカー物質の濃度を算出する構成(請求項12)、前記担体は平面部分を有し、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質は、該平面部分の一部に固定化されている構成(請求項13)、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質は、イオン交換体又は抗体である構成(請求項14)が推奨される。
請求項15に記載の発明は、請求項6〜14のいずれかに記載の物質の評価方法によって被検物質を評価し、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有する物質をスクリーニングすることを特徴とする物質のスクリーニング方法である。
本発明は物質のスクリーニング方法にかかり、被検物質とコレステロールとを同時摂取させた動物の体液中における上記(a)と(b)種のマーカー物質の少なくとも1つの濃度を基準値と比較し、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有する物質をスクリーニングするものである。本発明の物質のスクリーニング方法では、血中コレステロール及び/又は血中中性脂肪濃度を直接指標とするのではなく、別のマーカー物質を指標とするので、被検者又は動物における血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度が上昇する前の状態をも捉えることができる。その結果、血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果を有する物質に加え、当該疾病の将来の発症リスクの低減効果を有する物質をスクリーニングすることができる。特に、被検物質が食品素材の場合は、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果を有する機能性食品、又は将来の発症リスクの低減効果を有する機能性食品の開発に有用な食品素材をスクリーニングすることができる。
請求項16に記載の発明は、動物の体内に存在する下記(a)と(b)の少なくとも1つのタンパク質の、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無、又は将来の発症リスクの検出のためのマーカーとしての使用である。
(a)pH7.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約3060のイオンピークを生じるタンパク質、
(b)pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、質量分析に供すると質量/電荷比が約8330のイオンピークを生じ、かつ配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質
本発明の疾病の検出方法によれば、血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無に加え、当該疾病の将来の発症リスクを検出することができる。
本発明の物質の評価方法によれば、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果に加え、当該疾病の将来の発症リスクの低減効果を評価することができる。
本発明の物質のスクリーニング方法によれば、血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果を有する物質に加え、当該疾病の将来の発症リスクの低減効果を有する物質をスクリーニングすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明の疾病の検出方法は、被検者の体液中における下記マーカー物質(a)と(b)の少なくとも1つの濃度を健常値と比較し、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無、又は将来の発症リスクを検出するものである(マーカー物質(a)の濃度の測定方法は、質量/電荷比を指標とする方法に限る)。
(a)pH7.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約3060のイオンピークを生じるタンパク質、
(b)pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、質量分析に供すると質量/電荷比が約8330のイオンピークを生じ、かつ配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質
これらのマーカー物質はいずれも主に血液中に存在するタンパク質である。なお、被検者が血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症している場合、又は当該疾病の将来の発症リスクがある(又は高い)場合は、体液中のマーカー物質(a)及び(b)の濃度はより低値を示
なお、マーカー物質(b)は、配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質である。このアミノ酸配列は、例えば、マーカー物質(b)のトリプシン消化物をペプチドマッピングに供することにより、検出される。
本発明の疾病の検出方法で使用する健常値は、例えば、血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病を発症していないと確定診断された健常人における上記マーカー物質(a)と(b)の体液中の濃度データを収集し、その濃度値を元に設定することができる。当該疾病の将来の発症リスクを検出する場合も、当該健常人における濃度値を元に健常値を設定することができる。なお、健常値を段階的に複数設定し、疾病の発症の有無又は将来の発症リスクを定量的に検出することもできる。
本発明の疾病の検出方法において使用する体液としては、血液が好ましく用いられる。特に、被検者から採取した血液から調製した血清又は血漿(体液成分)を測定試料とすることが好ましい。血清又は血漿は遠心分離等の公知の方法で血液から調製することができる。
本発明の疾病の検出方法において、マーカー物質の濃度を測定する方法は、そのマーカー物質の濃度を特異的に測定できる方法であれば、タンパク質の定量に一般に用いられている方法をそのまま用いることができる。例えば、各種のイムノアッセイ、質量分析(MS)、クロマトグラフィー、電気泳動等を用いることができる。
イムノアッセイによれば、夾雑物質の多い試料のままでも正確にマーカー物質の濃度を測定することができる。イムノアッセイの例としては、抗原抗体結合物を直接的又は間接的に測定する沈降反応、凝集反応、溶血反応などの古典的な方法や、標識法と組み合わせて検出感度を高めたエンザイムイムノアッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)等の方法が挙げられる。なお、これらのイムノアッセイに用いるマーカー物質に特異的な抗体は、モノクローナルでもよいし、ポリクローナルでもよい。
質量分析によれば、各マーカー物質由来のイオンピークを特定し、そのイオンピーク強度をもって各マーカー物質の量(濃度)を測定することができる。質量分析によってマーカー物質の濃度を測定する場合のイオン化の方法としては、マトリクス支援レーザーイオン化(matrix−assisted laser desorption/ionization、MALDI)、エレクトロスプレーイオン化(electrospray ionization、ESI)のいずれも適用可能であるが、多価イオンの生成が少ないMALDIが好ましい。特に、飛行時間質量分析計(time−of−flight mass spectromer、TOF)と組み合わせたMALDI−TOF−MSによれば、より正確にマーカー物質由来のイオンピークを特定することができる。
電気泳動によりマーカー物質の濃度を測定する場合は、例えば、検査材料をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供して目的のマーカー物質を分離し、適宜の色素や蛍光物質でゲルを染色し、目的のマーカー物質に相当するバンドの濃さや蛍光強度を測定すればよい。SDS−PAGEだけではマーカー物質の分離が不十分な場合は、等電点電気泳動(IEF)と組み合わせた2次元電気泳動を用いることもできる。さらに、ゲルから直接検出するのではなく、ウエスタンブロッティングを行って膜上のマーカー物質の量を測定することもできる。
クロマトグラフィーによってマーカー物質の濃度を測定する場合は、例えば、液体高速クロマトグラフィー(HPLC)による方法を用いることができる。すなわち、試料をHPLCに供して目的のマーカー物質を分離し、そのクロマトグラムのピーク面積を測定することにより試料中のマーカー物質の濃度を測定することができる。
好ましい実施形態では、マーカー物質を担体上に捕捉し、その捕捉されたマーカー物質を測定対象とする。すなわち、マーカー物質に対する親和性を有する物質を担体に固定化し、その親和性を有する物質を介してマーカー物質を担体上に捕捉する。そして、捕捉された前記マーカー物質の量に基づいて体液中の前記マーカー物質の濃度を算出する。本実施形態によれば、試料中に含まれる夾雑物質の影響を低減させることができ、より高感度かつ高精度でマーカー物質の濃度を測定することができる。本実施形態において用いることができる担体の例としては、ビーズ、金属、ガラス、樹脂等のような一般的なものの他、基板のような、平面部分を有する担体を用いることができる。基板を用いる場合は、その平面部分の一部にマーカー物質に対する親和性を有する物質を固定化することが好ましい。例としては、基板としてチップを用い、その表面の複数箇所にスポット的にマーカー物質に親和性を有する物質を固定化した担体が挙げられる。なお「親和性」の例としては、イオン結合、さらに、抗原と抗体、酵素と基質、若しくはホルモンとレセプターのようなバイオアフィニティ、金属キレート体とタンパク質中のヒスチジン残基等とのアフィニティ、疎水性相互作用のような化学的な相互作用、が挙げられる。
イオン結合によってマーカー物質を担体に捕捉する場合は、イオン交換体を担体に固定化する。この場合、イオン交換体には陽イオン交換体、陰イオン交換体のいずれも用いることができ、さらに、強陽イオン交換体、弱陽イオン交換体、強陰イオン交換体、弱陰イオン交換体のいずれも用いることができるが、弱陽イオン交換体が好ましく用いられる。弱陽イオン交換体の例としては、カルボキシメチル(CM)等の弱陽イオン交換基を有するものが挙げられる。また、強陽イオン交換体の例としては、スルホプロピル(SP)等の強陽イオン交換基を有するものが挙げられる。また、弱陰イオン交換体の例としては、ジメチルアミノエチル(DE)、ジエチルアミノエチル(DEAE)等の弱陰イオン交換基を有するものが挙げられる。さらに、強陰イオン交換体の例としては、4級アンモニウム(トリメチルアミノメチル)(QA)、4級アミノエチル(ジエチル,モノ・2−ヒドロキシブチルアミノエチル)(QAE)、4級アンモニウム(トリメチルアンモニウム)(QMA)等の強陰イオン交換基を有するものが挙げられる。
抗体によってマーカー物質を担体に捕捉する場合は、マーカー物質に特異的な抗体を担体に固定化すればよい。
金属キレート体を介してマーカー物質を捕捉する場合は、例えば、Cu2+、Zn2+、Ni2+、Co2+、Al3+、Fe3+、Ga3+等の金属キレート体を固定化した担体を用いることができる。疎水性相互作用によってマーカー物質を担体に捕捉する場合は、担体に疎水基をもつ物質を固定化する。疎水基の例としては、C4〜C20のアルキル基、フェニル基等が挙げられる。
本実施形態においてマーカー物質の測定方法にイムノアッセイを用いる場合は、抗体を固定化した担体を用いることが好ましい。このようにすれば、担体に固定化された抗体を1次抗体としたイムノアッセイの系を簡単に構築することができる。例えば、マーカー物質に特異的でエピトープの異なる2種類の抗体を用意し、一方を1次抗体として担体に固定化し、他方を2次抗体として酵素標識し、サンドイッチEIAの系を構築することができる。その他、結合阻止法や競合法によるイムノアッセイの系も構築可能である。さらに、担体として基板を用いる場合は、抗体チップによるイムノアッセイが可能である。抗体チップによれば、複数のマーカー物質の濃度を同時に測定でき、迅速な測定が可能である。
一方、本実施形態において質量分析を用いる場合は、例えば、抗体の他、イオン交換体や疎水基を固定化した担体を用いることができる。なお、イオン結合や疎水性相互作用は抗原と抗体等のバイオアフィニティほどの特異性がないので、イオン交換基や疎水基を固定化した担体を用いる場合はマーカー物質以外の物質も担体上に捕捉されうるが、質量分析によれば分子量を反映した質量分析計スペクトルによって定量するので、問題はない。特に、担体として基板を用い、表面エンハンス型レーザー脱離イオン化(surface−enhanced laser desorption/ionization)−飛行時間質量分析(time−of−flight mass spectrometry)(以下、「SELDI−TOF−MS」と称する)を行うことにより、マーカー物質の濃度をより正確に測定することができる。使用できる基板の種類としては、陽イオン交換基板、陰イオン交換基板、順相基板、逆相基板、金属イオン基板、抗体基板等を用いることができるが、陽イオン交換基板、特に、弱陽イオン交換基板が好ましく用いられる。
本発明の疾病の検出方法によって実際に疾病の検出を行なう手順の一例を、順を追って説明する。この例では被検者の体液として血液を用い、血清を測定試料とする。マーカー物質の濃度はSELDI−TOF−MSによって測定する。
まず、被検者から血液を採取し、血清を調製して測定試料とする。次に、調製した血清をpH10.5の条件でQAE等の強陰イオン交換樹脂カラムに供する。このとき、上記のマーカー物質(a)と(b)は全て強陰イオン交換樹脂に捕捉される。次に、該強陰イオン交換樹脂カラムを、pH10.0、pH9.0、pH8.0、pH7.0、pH5.0、pH4.0、pH3.0、及び有機溶媒の条件で順次溶出し、各画分を回収する。
まず、pH7.0の溶出画分をCM等の弱陽イオン交換基板に接触させ、次いで、pH7.0の条件で洗浄する。このとき、マーカー物質(a)が基板上に捕捉される。一方、pH3.0の溶出画分をCM等の弱陽イオン交換基板に接触させ、次いで、pH4.0の条件で洗浄する。このとき、マーカー物質(b)が基板上に捕捉される。
次に、各基板をSELDI−TOF−MSに供し、検出される各マーカー物質のイオンピークの強度を測定する。すなわち、マーカー物質(a)の濃度はM/Zが約3060のイオンピーク強度から、マーカー物質(b)の濃度はM/Zが約8330のイオンピーク強度から算出される。そして、各イオンピーク強度をあらかじめ設定した各健常値と比較する。各健常値は、あらかじめ健常者の血液で同様の操作を行って得たイオンピーク強度を元に設定する。そして、マーカー物質(a)の濃度が健常値より低いか、マーカー物質(b)の濃度が健常値より低い場合、被検者が血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症している(疾病の発症の有無の検出)、又は当該疾病の将来の発症リスクがある(疾病の将来の発症リスクの検出)、といった検出ができる。この際、全てのマーカー物質において陽性であった場合は、一部のマーカー物質のみ陽性であった場合に比べてより当該疾病の将来の発症リスクが高い(疾病の将来の発症リスクの検出)、といった検出ができる。
本発明の物質の評価方法は、2つの様相を含む。1つの様相では、本発明の疾病の検出方法によって、被検物質を摂取させた被検者の疾病を検出し、該検出結果に基づいて被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価する。本様相の物質の評価方法においても、上記した本発明の疾病の検出方法の実施形態と全く同様の実施形態をとることができる。
本発明の物質の評価方法の他の様相では、被検物質とコレステロールとを同時摂取させた動物の体液中における上記マーカー物質(a)と(b)の少なくとも1つの濃度を基準値と比較し、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価するものである。なお、被検物質が血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有する場合、体液中のマーカー物質(a)及び(b)の濃度はより高値を示
好ましい実施形態では、上記基準値として、高コレステロール食を摂取させた動物の体液中における前記マーカー物質の濃度を用いる。すなわち、高コレステロール食を摂取させる動物では飼育日数の経過とともに血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度が上昇するので、血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病を発症しているか、将来の発症リスクが高いと考えられ、本実施形態では当該基準値は「異常値」となる。そして、被検物質とコレステロールとを同時摂取させた動物における値(測定値)と当該基準値(異常値)とを比較し、測定値が基準値と有意に差がありかつ正常側である場合(正常側に維持された場合)に、当該被検物質が血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有すると評価することができる。具体的には、マーカー物質(a)又は(b)を指標とする場合は、測定値が当該基準値に比べて有意に高いときに、当該被検物質が血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有すると評価することができる。なお、高コレステロール食は、例えば、通常食にコレステロールを添加することにより調製することができる。高コレステロール食におけるコレステロール含量としては特に限定はないが、例えば0.1〜10%の範囲を挙げることができる。
さらに、基準値は複数あってもよい。例えば、上記の異常値に加え、通常食を摂取させた動物における値(正常値。陰性対照。)を基準値に加えることができる。具体的には、(1)通常食を摂取(正常値)、(2)高コレステロール食を摂取(異常値)、(3)被検物質とコレステロールとを同時摂取、の3群を設定し、動物を飼育する。そして、各動物の体液中の上記マーカー物質を測定し、各測定値を比較する。このとき、(1)と(2)とで有意差があり、(3)と(2)とで有意差があり、かつ(3)が(2)に比べて正常側((1)に近い側)である場合(正常側に維持された場合)に、当該被検物質が血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有すると評価することができる。すなわち、被検物質に血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果があれば、(3)において血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度が正常値に維持され、マーカー物質の濃度が正常値である(1)に近い値をとる。
さらに、基準値として、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有する既知物質とコレステロールとを同時摂取させた動物における値(陽性対照)を加えることもできる。具体的には、上記(1)〜(3)に加えて、(4)上記既知物質とコレステロールとを同時摂取させる群、を設定し、動物を飼育する。このとき、(1)と(2)とで有意差があり、(3)と(2)とで有意差があり、かつ(3)が(2)に比べて正常側((1)及び(4)に近い側)である場合に、当該被検物質が血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有すると評価することができる。すなわち、このような被検物質は、(4)で採用した上記既知物質と同様の挙動を示し、同様の作用を有する物質といえる。
本様相の物質の評価方法に使用する動物としては、特に限定はなく、例えばマウス、ラット、ウサギ、ブタ等を使用することができる。特に、ラットとマウスはその飼育が容易であるので、本様相の物質の評価方法に好ましくに用いられる。動物の飼育方法としては特に限定はなく、例えば、飼料を自由摂取させて、3〜20日程度飼育すればよい。
本様相の物質の評価方法において使用する動物の体液としては、血液が好ましく用いられる。特に、血液から調製した血清又は血漿(体液成分)を測定試料とすることが好ましい。血清又は血漿は遠心分離等の公知の方法で血液から調製することができる。
本様相の物質の評価方法によって実際に被検物質の評価を行なう手順の一例を、順を追って説明する。この例では、まず、(1)通常食を摂取、(2)高コレステロール食を摂取、(3)被検物質とコレステロールを同時摂取、の3群のラットの群を設定する。また、動物の体液として血液を用い、血清を測定試料とする。マーカー物質の濃度はSELDI−TOF−MSによって測定する。
まず、ラットを各群に数匹ずつ用意し、それぞれの餌を摂取させる。3〜20日間飼育後、各ラットから全血を採取する。さらに、採取した血液から血清を調製し、測定試料とする。次に、上記した本発明の疾病の検出方法によって実際に疾病の検出を行なう手順の一例と同様の手順によって、調製した血清を分画し、SELDI−TOF−MSを行い、検出される各マーカー物質のイオンピークの強度を測定する。そして、各イオンピーク強度を(1)〜(3)の群で相互比較する。このとき、マーカー物質(a)又は(b)を指標とする場合は、(1)の値が(2)の値と比較して有意に高く、かつ(3)の値が(2)の値と比較して有意に高いときに、当該被検物質が血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有すると評価する
本発明の物質の評価方法における被検物質としては、食品素材、医薬原体などが挙げられる。特に、食品素材を評価対象とする場合は、機能性食品の開発に役立てることができる。
本発明の物質の評価方法を簡便に行なうために、必要な試薬類をまとめて評価用キットを構築することができる。当該評価用キットとしては、例えば、マーカー物質に対する親和性を有する物質を固定化した担体を含むものが挙げられる。特に、担体として、CM等の弱陽イオン交換体やマーカー物質に対する抗体を固定化した基板を含めた評価用キットによれば、SELDI−TOF−MSや抗体チップによるイムノアッセイを簡便に行なうことができる。本キット中には他の試薬類、例えば、標準物質、前処理用の各種緩衝液等を含めてもよい。
本発明の物質のスクリーニング方法は、本発明の物質の評価方法によって被検物質を評価し、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有する物質をスクリーニングするものである。本発明の物質のスクリーニング方法においても、上記した本発明の物質の評価方法の実施形態と全く同様の実施形態をとることができる。さらに、上記した評価用キットと同様の構成からなるスクリーニング用キットを構築することもできる。
本発明に関連する疾病の予防剤は、体液中における上記マーカー物質(a)と(b)及び後述のマーカー物質(c)の少なくとも1つの濃度を健常値に維持又は回復する効果と、血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の将来の発症リスクを低減する効果とを有し、酢酸を有効成分として含有するものである。本予防剤の形態としては特に制限はなく、酢酸を希釈した液体状、適宜の基剤に酢酸を含ませた固体状等が挙げられるが、酢酸を含む飲料の形態が摂取容易であり好ましい。すなわち、そのような飲料は機能性食品として日常的に食することが可能である。当該飲料における酢酸の含量としては、例えば、食酢の酢酸含量である5%程度を挙げることができる。酢酸の1日当たりの摂取量としては、100〜2000mg程度(2〜40mL程度の食酢に相当)、好ましくは500〜1500mg程度(10〜30mL程度の食酢に相当)を挙げることができる。
以下に、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.マーカー物質の探索
5週齢のSDラット(日本SLC社)を1群当たり8匹用意した。第1群のラットには、普通食としてAIN93G(オリエンタル酵母社)を摂取させた(正常ラットの群)。一方、第2群のラットには、高コレステロール食として1%コレステロールを含むAIN93Gを摂取させた(血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病を発症しているか、将来の発症リスクが高いラットの群)。各飼料は自由摂取させ、19日間飼育した。その後、各群から異常が特になかった4匹を任意に選び、全血を採取し、血清を調製した(各群4サンプル)。さらに、各群ごとに各血清を15μLずつ混合し(計60μL)、血清サンプルを作製した(各群1サンプル)。
まず、日立製自動分析器736−10を使用して、各血清サンプルのコレステロール濃度を測定した。その結果、第1群のラットでは、飼育終了時において血中コレステロール濃度は57mg/dLで正常値であった。一方、第2群のラットでは、飼育終了時に血中コレステロール濃度が105mg/dLにまで上昇していた。同様にして各血清サンプルの中性脂肪濃度を測定した。その結果、第1群のラットでは、飼育終了時において血中中性脂肪濃度は59mg/dLで正常値であった。一方、第2群のラットでは、飼育終了時に血中中性脂肪濃度が113mg/dLにまで上昇していた。以上より、本動物実験の成立性が裏付けられた。
強陰イオン交換樹脂Q Ceramic Hyper D(バイオセプラ社)の50%スラリー500μLをULTRAREE−CL0.45μm Spin Column(ミリポア社)に添加し、軽く遠心した。次に、カラムを500μLの緩衝液A(50mM グリシン−NaOH,0.1%1−o−N−オクチル−β−D−グルコピラノシド(以下、「OGP」と称する。),pH10.5)で2回洗浄し、分画用カラムとした。
各血清サンプルに、変性バッファー(9M 尿素、2% CHAPSを含む緩衝液A)90μLを添加して混合し、4℃で20分間変性処理した。この変性処理済み血清サンプルに1350μLの緩衝液Aを加えて10倍希釈し、以下の分画操作に供した。
10倍希釈した各サンプルを分画用カラムに供した後、遠心処理(200×g、5分、4℃)し、素通り画分を回収した。次に、200μLの緩衝液Aを加えて同様の遠心処理を行い、さらに200μLの緩衝液Aを加えて同様の遠心処理を行ない、素通り画分を回収した。次に、200μLの緩衝液B(50mM グリシン−NaOH,0.1% OGP,pH10.0)を加えて同様の遠心処理を行い、さらに同じ操作を繰り返してpH10.0の溶出画分を回収した。同様の操作を、緩衝液C(50mM トリス−HCl,0.1% OGP,pH9.0)、緩衝液D(50mM トリス−HCl,0.1% OGP,pH8.0)、緩衝液E(50mM HEPES−NaOH,0.1% OGP,pH7.0)、緩衝液F(50mM 酢酸ナトリウム−HCl,0.1% OGP,pH5.0)、緩衝液G(50mM 酢酸ナトリウム−HCl,0.1% OGP,pH4.0)、緩衝液H(50mM クエン酸ナトリウム−HCl,0.1% OGP,pH3.0)、及び、0.1% トリフルオロ酢酸(TFA)を順に用いて行い、pH9.0、pH8.0、pH7.0、pH5.0、pH4.0、pH3.0、及び、TFAの各溶出画分を回収した。
得られた各画分10μLをpH4.0のプロテインチップ結合バッファー(100mM 酢酸ナトリウム)又はpH7.0のプロテインチップ結合バッファー(100mM リン酸、0.5M NaCl)で10倍希釈した後、陽イオン交換チップCM10(サイファージェン社)に添加した。同様に、得られた各画分10μLをpH7.0のプロテインチップ結合バッファーで10倍希釈した後、銅修飾チップIMAC30(サイファージェン社)に添加した。各プロテインチップを各結合バッファーで3回洗浄した後に脱イオン水で1回洗浄し、乾燥させた。次に、エネルギー吸収分子であるシナピン酸(SPA)を添加し、プロテインチップリーダーModel PBS IIc(サイファージェン社)を用いて、SELDI−TOF−MSを行なった。なお、測定分子量範囲(M/Z)は、3000〜200000の範囲で行なった。また、測定は2連で行い、M/Zの平均値を算出した。データ解析は、Protein Chip Software、CiphergenExpress Data Magnager、及びBiomarker Patterns Software(いずれもサイファージェン社)を用いて行なった。具体的には、ベースライン補正、分子量校正、スペクトルの正規化処理を行なった後、シングルマーカー解析及び数本のマーカーを組み合わせたマルチフロー解析を行なった。その結果、プロテインチップの種類、画分の種類、チップの洗浄条件等の組み合わせによって多数のピークが検出された。これらのピークのうち、第1群と第2群とで有意に差が見られた複数のピークについて、p値、ROC面積、及びイオンピーク強度を算出した。その結果から、3種のピークをピックアップした。
2.マーカー物質(a)の特定
pH7.0の溶出画分を陽イオン交換チップCM10に接触させ、pH7.0のプロテインチップ結合バッファーで洗浄してSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が3063(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、第1群で高値を示し、第2群で低値を示した。図1に、各群に分けて本ピークのピーク強度をプロットした場合の箱髭図を示す。図中、髭の上端と下端はそれぞれ最大値と最小値、箱の上辺と下辺はそれぞれ第3四分位(75パーセンタイル)と第1四分位(25パーセンタイル)、箱の中の線は中央値である。なお、第3群については後述する(以上、図2、図3についても同じ)。その結果、本ピークのp値は0.031であった。以上より、SELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約3060のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(a))が、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病を発症しているラット、又は将来の発症リスクが高いラットに特異的な物質で、当該疾病のマーカーとなり得ることがわかった。これにより、ヒトの血液中にもマーカー物質(a)が存在する場合に、血中におけるマーカー物質(a)の濃度を指標として、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無、又は将来の発症リスクを検出することができることが示された。さらに、被検物質とコレステロールとを同時摂取させた動物の血中におけるマーカー物質(a)の濃度を指標として、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果の評価、及び、そのような物質のスクリーニングが行なえることが示された。例えば、所望の被検物質を使用して同様の動物実験を行なって血清サンプルを調製し、同様の手順でSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が約3060のピークを生じるタンパク質の濃度が正常値に維持されたとき、該被検物質は、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有すると評価することができる。
3.マーカー物質(b)の特定
pH3.0の溶出画分を陽イオン交換チップCM10に接触させ、pH4.0のプロテインチップ結合バッファーで洗浄してSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が8325(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、第1群で高値を示し、第2群で低値を示した。図2に、各群に分けて本ピークのピーク強度をプロットした場合の箱髭図を示す。その結果、p値は0.021であった。以上より、SELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約8330のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(b))の血中濃度が、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病を発症しているラット、又は将来の発症リスクが高いラットに特異的な物質で、当該疾病のマーカーとなり得ることがわかった。これにより、ヒトの血液中にもマーカー物質(b)が存在する場合に、血中におけるマーカー物質(b)の濃度を指標として、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無、又は将来の発症リスクを検出することができることが示された。さらに、被検物質とコレステロールとを同時摂取させた動物の血中におけるマーカー物質(b)の濃度を指標として、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果の評価、及び、そのような物質のスクリーニングが行なえることが示された。例えば、所望の被検物質を使用して同様の動物実験を行なって血清サンプルを調製し、同様の手順でSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が約8330のピークを生じるタンパク質の濃度が正常値に維持されたとき、該被検物質は、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有すると評価することができる。
さらに、以下の手順で、マーカー物質(b)に対してペプチドマッピングを行なった。すなわち、pH3.0の溶出画分を非還元条件のSDS−PAGEに供し、マーカー物質(b)に相当するバンドを確認した。そのバンドに対して、ゲル内でトリプシン消化し、精製したポリペプチドを回収し、LC−MS/MSに供した。その結果、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドが検出された。なお、別途このバンドを切り出し、8M 尿素,1% Triton X−100を含む緩衝液を用いてタンパク質を抽出した。この抽出されたタンパク質に対して、CM10プロテインチップを用いて同様のSELDI−MS−TOFを行った。その結果、マーカー物質(b)に由来する質量/電荷比が約8330のピークが検出され、このバンドにマーカー物質(b)が含まれることが確認された。
4.マーカー物質(c)の特定(参考例)
pH3.0の溶出画分を陽イオン交換チップCM10に接触させ、pH4.0のプロテインチップ結合バッファーで洗浄してSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が8980(平均値)のイオンピークが検出された。本ピークは、第1群で低値を示し、第2群で高値を示した。図3に、各群に分けて本ピークのピーク強度をプロットした場合の箱髭図を示す。その結果、p値は0.015であった。以上より、SELDI−TOF−MSに供すると質量/電荷比が約8980のピークを生じるタンパク質(マーカー物質(c))の血中濃度が、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病を発症しているラット、又は将来の発症リスクが高いラットに特異的な物質で、当該疾病のマーカーとなり得ることがわかった。これにより、ヒトの血液中にもマーカー物質(c)が存在する場合に、血中におけるマーカー物質(c)の濃度を指標として、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無、又は将来の発症リスクを検出することができることが示された。さらに、被検物質とコレステロールとを同時摂取させた動物の血中におけるマーカー物質(c)の濃度を指標として、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果の評価、及び、そのような物質のスクリーニングが行なえることが示された。例えば、所望の被検物質を使用して同様の動物実験を行なって血清サンプルを調製し、同様の手順でSELDI−TOF−MSを行なった場合に、質量/電荷比が約8980のピークを生じるタンパク質の濃度が正常値に維持されたとき、該被検物質は、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有すると評価することができる。
さらに、以下の手順で、マーカー物質(c)に対してペプチドマッピングを行なった。すなわち、pH3.0の溶出画分を還元条件のSDS−PAGEに供し、マーカー物質(c)に相当するバンドを確認した。そのバンドに対して、ゲル内でトリプシン消化し、精製したポリペプチドを回収し、LC−MS/MSに供した。その結果、配列番号2及び配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる2種のポリペプチドが検出された。なお、別途このバンドを切り出し、8M 尿素,1% Triton X−100を含む緩衝液を用いてタンパク質を抽出した。この抽出されたタンパク質に対して、CM10プロテインチップを用いて同様のSELDI−MS−TOFを行った。その結果、マーカー物質(c)に由来する質量/電荷比が約8980のピークが検出され、このバンドにマーカー物質(c)が含まれることが確認された。
5.モデル被検物質を用いた評価実験
モデル被検物質として酢酸を選択し、飼料以外は全て上記1と同じ条件の動物実験を、上記1の第1群、第2群と同時並行で行なった。すなわち、第3群として、酢酸とコレステロールとを同時摂取させるラットの群を設定した。飼料として、1%コレステロールと0.3%酢酸を含むAIN93G(酢酸を添加した高コレステロール食)を自由摂取させた。飼育終了後、上記した第1群と第2群のラットの場合と同様にして。血清の調製、分画、及び、CM10プロテインチップを用いたSELDI−TOF−MSを行なった。そして、マーカー物質(a)に由来する質量/電荷比が約3060のピーク、マーカー物質(b)に由来する質量/電荷比が約8330のピーク、及びマーカー物質(c)に由来する質量/電荷比が約8980のピークの強度を算出した。その結果、図1に示すように、マーカー物質(a)については、第3群では第2群に比べて高値を示し、第1群に近い値に維持されていた。また、図2に示すように、マーカー物質(b)については、第3群では第2群に比べて高値を示し、第1群に近い値に維持されていた。また、図3に示すように、マーカー物質(c)については、第3群では第2群に比べて低値を示し、第1群に近い値に維持されていた。以上より、酢酸がマーカー物質(a)〜(c)の濃度を正常値に維持又は回復し、血中コレステロール濃度及び/又は血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の将来の発症リスクを低減する効果を有することがわかった。
なお、日立製自動分析器736−10を使用して、第3群の血清サンプルのコレステロール濃度を測定したところ、85mg/dLであった。すなわち、第2群の血清サンプルよりも低く、血中コレステロール濃度の上昇が抑えられていた。同様に第3群の血清サンプルの中性脂肪濃度を測定したところ、74mg/dLであった。すなわち、第2群の血清サンプルよりも低く、血中中性脂肪濃度の上昇が抑えられていた。以上より、本動物実験の成立性が裏付けられた。
質量/電荷比が3063(平均値)のイオンピークについての箱髭図である。 質量/電荷比が8325(平均値)のイオンピークについての箱髭図である。 質量/電荷比が8980(平均値)のイオンピークについての箱髭図である。

Claims (16)

  1. 被検者の体液中における下記マーカー物質(a)と(b)の少なくとも1つの濃度を健常値と比較し、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無、又は将来の発症リスクを検出することを特徴とする疾病の検出方法(マーカー物質(a)の濃度の測定方法は、質量/電荷比を指標とする方法に限る)。
    (a)pH7.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約3060のイオンピークを生じるタンパク質、
    (b)pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、質量分析に供すると質量/電荷比が約8330のイオンピークを生じ、かつ配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質
  2. 前記体液は、血液であることを特徴とする請求項1に記載の疾病の検出方法。
  3. 前記体液又は体液成分を、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質を固定化した担体に接触させて、体液中の前記マーカー物質を担体上に捕捉し、捕捉された前記マーカー物質の量に基づいて体液中の前記マーカー物質の濃度を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の疾病の検出方法。
  4. 前記担体は平面部分を有し、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質は、該平面部分の一部に固定化されていることを特徴とする請求項3に記載の疾病の検出方法。
  5. 前記マーカー物質に対する親和性を有する物質は、イオン交換体又は抗体であることを特徴とする請求項3又は4に記載の疾病の検出方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の疾病の検出方法によって、被検物質を摂取させた被検者の疾病を検出し、該検出結果に基づいて被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価することを特徴とする物質の評価方法。
  7. 被検物質とコレステロールとを同時摂取させた動物の体液中における下記マーカー物質(a)と(b)の少なくとも1つの濃度を基準値と比較し、被検物質が有する血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を評価することを特徴とする物質の評価方法(マーカー物質(a)の濃度の測定方法は、質量/電荷比を指標とする方法に限る)。
    (a)pH7.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約3060のイオンピークを生じるタンパク質、
    (b)pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、質量分析に供すると質量/電荷比が約8330のイオンピークを生じ、かつ配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質
  8. 前記基準値は、高コレステロール食を摂取させた動物の体液中における前記マーカー物質の濃度であることを特徴とする請求項7に記載の物質の評価方法。
  9. 前記体液は、血液であることを特徴とする請求項7又は8に記載の物質の評価方法。
  10. 前記動物は、ラットであることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の物質の評価方法。
  11. 前記被検物質は、食品素材であることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の物質の評価方法。
  12. 前記体液又は体液成分を、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質を固定化した担体に接触させて、体液中の前記マーカー物質を担体上に捕捉し、捕捉された前記マーカー物質の量に基づいて体液中の前記マーカー物質の濃度を算出することを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の物質の評価方法。
  13. 前記担体は平面部分を有し、前記マーカー物質に対する親和性を有する物質は、該平面部分の一部に固定化されていることを特徴とする請求項12に記載の物質の評価方法。
  14. 前記マーカー物質に対する親和性を有する物質は、イオン交換体又は抗体であることを特徴とする請求項12又は13に記載の物質の評価方法。
  15. 請求項6〜14のいずれかに記載の物質の評価方法によって被検物質を評価し、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の改善効果、又は将来の発症リスクの低減効果を有する物質をスクリーニングすることを特徴とする物質のスクリーニング方法。
  16. 動物の体内に存在する下記(a)と(b)の少なくとも1つのタンパク質の、血中コレステロール濃度及び/若しくは血中中性脂肪濃度の上昇に伴う疾病の発症の有無、又は将来の発症リスクの検出のためのマーカーとしての使用。
    (a)pH7.0で弱陽イオン交換体に結合し、かつ質量分析に供すると質量/電荷比が約3060のイオンピークを生じるタンパク質、
    (b)pH4.0で弱陽イオン交換体に結合し、質量分析に供すると質量/電荷比が約8330のイオンピークを生じ、かつ配列番号1で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質
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