JP2007010567A - 動脈硬化マーカー蛋白質およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】動脈硬化の新規生化学マーカー、該マーカーを指標とする動脈硬化およびその関連疾患の診断/その後の血管イベントの発症予測方法、並びに薬物の動脈硬化の進展抑制/動脈硬化性疾患の予防・治療/その後の血管イベントのリスク低減効果の評価方法の提供。
【解決手段】被験動物より採取した試料中のCORS26及び/又はα-フェトプロテイン(AFP)を検出することを特徴とする、該動物における動脈硬化又はその関連疾患の診断方法、並びに化合物を投与された、動脈硬化もしくはその関連疾患の予防もしくは治療を必要とする動物より採取した試料中のCORS26及び/又はAFPを検出することを特徴とする、該化合物の動脈硬化もしくはその関連疾患の予防もしくは治療効果の評価方法。
【選択図】なし
【解決手段】被験動物より採取した試料中のCORS26及び/又はα-フェトプロテイン(AFP)を検出することを特徴とする、該動物における動脈硬化又はその関連疾患の診断方法、並びに化合物を投与された、動脈硬化もしくはその関連疾患の予防もしくは治療を必要とする動物より採取した試料中のCORS26及び/又はAFPを検出することを特徴とする、該化合物の動脈硬化もしくはその関連疾患の予防もしくは治療効果の評価方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、動脈硬化又はその関連疾患の疾患マーカー、あるいは該疾患の予防・治療薬の薬効評価マーカーとして有用な蛋白質、並びに該蛋白質の発現変動を指標とした動脈硬化又はその関連疾患の診断方法、あるいは化合物の該疾患予防・治療効果の評価方法に関する。
動脈硬化とは、動脈壁が肥厚し、弾性を失った状態の総称であり、不安定狭心症(UA)や急性心筋梗塞(AMI)等の急性冠動脈症候群(ACS)、脳梗塞や脳出血等の脳血管障害(CVA)、腎不全などの、人命を脅かす重大疾病の根底病態である。動脈硬化は10代の頃から無症候のうちに進行し、血液の流れが悪くなって臓器障害が起こり始めてから、臨床症状が現れてくる場合が多い。したがって、動脈硬化性疾患によるイベント発症をいかに早期に予測し、効率よく予防していくかはきわめて重要な課題である。
動脈硬化の診断は、従来、触診のような感覚的な方法、あるいは機器を用いた侵襲的もしくは非侵襲的手法により行われてきた。従来的な侵襲的診断法としては、例えば、血管内エコー(IVUS)や血管内視鏡検査などが、非侵襲的診断法としては、例えば、頚動脈エコー、マルチスライスCTなどが挙げられる。しかしながら、侵襲的診断法は当然に使用が限定されるし、非侵襲的診断法は、高価で特殊な機器を必要とするために、利用できる医療施設が限定されたり、普及が進んだとしても、数をこなすことができないといった難点がある。
ある疾患において体液中でのレベルが顕著に変動する生体分子を測定することによる臨床診断は、侵襲性が小さく、必要な試薬が容易にキット化し得るので小さな医療施設でも行うことが可能であることから、病気の早期診断だけでなく、治療効果の判定などにも広く用いられている。したがって、動脈硬化の早期診断、特に心血管および/または脳血管イベントを早期に予測し得る生化学マーカー、とりわけ液性マーカーを同定することが望まれている。
Rossが動脈硬化は慢性炎症性疾患であるとの仮説を提唱して以来、種々の炎症マーカーが動脈硬化の診断マーカーとして報告されている。虚血性心疾患の血中炎症マーカーとして最も研究が進んでおり、AHAやCDCが臨床で唯一認めているのが、C反応性蛋白(CRP)である(例えば、特許文献1および2参照)。その他にも、血清アミロイドA蛋白(SAA)、E-セレクチン等の接着分子、TNF-α、IL-6等のサイトカイン、MCP-1等のケモカイン、可溶性CD40リガンド等の免疫関連蛋白などの炎症マーカーが、ケース・コントロール解析等の結果、動脈硬化およびその後の心血管イベントと相関することが報告されている。
また、HDLコレステロールの構成分子であるアポリポ蛋白質AI(ApoAI)の分解産物や(特許文献3)、血中でApoAIと結合して存在し、LDLの酸化を抑制するパラオキソナーゼ(特許文献4)などのコレステロール代謝関連分子、脂肪細胞特異的に産生されるアディポサイトカインの1つであるアディポネクチン(非特許文献1)も、動脈硬化の血中生化学マーカーとなり得ることが開示されている。
また、HDLコレステロールの構成分子であるアポリポ蛋白質AI(ApoAI)の分解産物や(特許文献3)、血中でApoAIと結合して存在し、LDLの酸化を抑制するパラオキソナーゼ(特許文献4)などのコレステロール代謝関連分子、脂肪細胞特異的に産生されるアディポサイトカインの1つであるアディポネクチン(非特許文献1)も、動脈硬化の血中生化学マーカーとなり得ることが開示されている。
しかしながら、炎症には、動脈硬化局所と全身性の両者が存在することから、用いられる炎症マーカーが動脈局所の炎症を反映する指標なのか、全身性の炎症を反映する指標なのかを区別する必要がある。最近の欧州での大規模解析において、CRPはCADの予測因子としては「moderate(中程度)」であり、その予測価値は総コレステロールや喫煙などの主要な危険因子の補足的なものに過ぎないと報告された。他の提唱されているマーカーも、感度および/または特異度の面でいずれも不十分である。したがって、より鋭敏且つ特異性の高い生化学マーカーの探索およびその臨床応用は、今後も重要な課題であることに変わりはない。
CORS26(Collagenous repeat-containing sequence of 26kDa protein)は、分化した脂肪細胞で発現する、アディポネクチンと高いホモロジーを有する蛋白質であり、その遺伝子の染色体上の位置がPGIA、MRL/lpr関節炎と連鎖する遺伝子座と一致することから、骨・骨格疾患との関連性が示唆されている(非特許文献2)。CORS26遺伝子はマウスやヒトで単離されており(非特許文献3および4)、骨肉腫、軟骨芽細胞腫、巨細胞腫で強発現していることが開示されている。
α-フェトプロテイン(以下、「AFP」という場合もある)は、胎児期に肝細胞で産生され、胎児血中に存在する酸性糖蛋白質であり、出生後は一般的にほとんど産生されないが、肝細胞癌等の各種腫瘍、肝炎、肝硬変、先天性奇形等で血中レベルが上昇することから、それら疾患の診断マーカーとして以前より利用されている(例えば、非特許文献5および6参照)。
しかしながら、CORS26、AFPとも動脈硬化との関連性を示唆する報告はこれまでに皆無である。
特表2001−525058号公報(全文)
特表2003−508453号公報(全文)
特開平08−160042号公報(全文)
特開2000−333674号公報(全文)
松澤(Matsuzawa Y.)ら,「アーテリオスクレローシス・スロンボーシス・アンド・ヴァスキュラー・バイオロジー(Arterioscler. Thromb. Vasc. biol.)」,(米国),第24巻,pp. 29-34,2004年
シャフラー(Schaffler A.)ら,「バイオケミカ・エ・バイオフィジカ・アクタ(Biochim. Biophys. Acta)」,(蘭国),第1628巻,pp. 64-70,2003年
前田(Maeda T.)ら,「ザ・ジャーナル・オヴ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)」,(米国),第276巻,pp. 3628-34,2001年
シャフラー(Schaffler A.)ら,「バイオケミカ・エ・バイオフィジカ・アクタ(Biochim. Biophys. Acta)」,(蘭国),第1630巻,pp. 123-9,2003年
畔柳武雄ら編,「免疫学から見た肝臓疾患」,医学書院,pp. 1-141974年
新版日本血液学全書刊行委員会編,「血漿蛋白と免疫グロブリン」,丸善,pp. 135-45,1981年
α-フェトプロテイン(以下、「AFP」という場合もある)は、胎児期に肝細胞で産生され、胎児血中に存在する酸性糖蛋白質であり、出生後は一般的にほとんど産生されないが、肝細胞癌等の各種腫瘍、肝炎、肝硬変、先天性奇形等で血中レベルが上昇することから、それら疾患の診断マーカーとして以前より利用されている(例えば、非特許文献5および6参照)。
しかしながら、CORS26、AFPとも動脈硬化との関連性を示唆する報告はこれまでに皆無である。
本発明の目的は、動脈硬化病変の進展に伴って血中レベルが変動する新規生化学マーカーを同定し、該マーカーを指標とする動脈硬化およびその関連疾患の診断/その後の血管イベントの発症予測方法、並びに薬物の動脈硬化の進展抑制/動脈硬化性疾患の予防・治療/その後の血管イベントのリスク低減効果の評価方法を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、高コレステロール血症と動脈硬化を自然発症することで知られるWHHL (Watanabe Heritable Hyperlipidemic) ウサギの大動脈における動脈硬化病変面積を、IVUSにより測定・病変面積率を算出し、病変が軽度のものから重度のものへ段階的にスコアをつけ、各スコアの動物から採取した血漿中の蛋白質を、病態プロテオミクスの手段として汎用されている二次元ゲル電気泳動法により分離・プロファイリングした。その結果、病変の進行に伴って発現が減少する蛋白質としてCORS26を、発現が増加する蛋白質としてAFPを同定することに成功した。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] 被験動物より採取した試料中のCORS26及び/又はα-フェトプロテインを検出することを特徴とする、該動物における動脈硬化又はその関連疾患の診断方法、
[2] 被験動物がヒトである上記[1]記載の方法、
[3] 試料が血清又は血漿である上記[1]記載の方法、
[4] 関連疾患が、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、脳血栓、脳塞栓、大動脈瘤、大動脈解離、腎硬化症、腎不全、閉塞性動脈硬化症、PCI後再狭窄、急性冠症候群、冠動脈疾患及び末梢動脈閉塞症からなる群より選択される上記[1]記載の方法、
[5] CORS26に対する抗体及び/又はα-フェトプロテインに対する抗体を用いることを特徴とする上記[1]記載の方法、
[6] 他の1以上の動脈硬化マーカーを検出することをさらに含む上記[1]記載の方法、
[7] 化合物を投与された、動脈硬化もしくはその関連疾患の予防もしくは治療を必要とする動物より採取した試料中のCORS26及び/又はα-フェトプロテインを検出することを特徴とする、該化合物の動脈硬化もしくはその関連疾患の予防もしくは治療効果の評価方法、
[8] 動物がヒトである上記[7]記載の方法、
[9] 動物が動脈硬化又はその関連疾患のモデルである上記[7]記載の方法、
[10] 試料が血清又は血漿である上記[7]記載の方法、
[11] 関連疾患が、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、脳血栓、脳塞栓、大動脈瘤、大動脈解離、腎硬化症、腎不全、閉塞性動脈硬化症、PCI後再狭窄、急性冠症候群、冠動脈疾患及び末梢動脈閉塞症からなる群より選択される上記[7]記載の方法、
[12] CORS26に対する抗体及び/又はα-フェトプロテインに対する抗体を用いることを特徴とする上記[7]記載の方法、
[13] 他の1以上の動脈硬化マーカーを検出することをさらに含む上記[7]記載の方法、
[14] CORS26を検出し得る物質及び/又はα-フェトプロテインを検出し得る物質を含んでなる、動脈硬化もしくはその関連疾患の診断用及び/又は化合物の動脈硬化もしくはその関連疾患の予防・治療効果の評価用キット、
[15] 関連疾患が、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、脳血栓、脳塞栓、大動脈瘤、大動脈解離、腎硬化症、腎不全、閉塞性動脈硬化症、PCI後再狭窄、急性冠症候群、冠動脈疾患及び末梢動脈閉塞症からなる群より選択される上記[14]記載のキット、および
[16] CORS26を検出し得る物質及び/又はα-フェトプロテインを検出し得る物質が抗体である上記[14]記載のキットなどを提供する。
[1] 被験動物より採取した試料中のCORS26及び/又はα-フェトプロテインを検出することを特徴とする、該動物における動脈硬化又はその関連疾患の診断方法、
[2] 被験動物がヒトである上記[1]記載の方法、
[3] 試料が血清又は血漿である上記[1]記載の方法、
[4] 関連疾患が、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、脳血栓、脳塞栓、大動脈瘤、大動脈解離、腎硬化症、腎不全、閉塞性動脈硬化症、PCI後再狭窄、急性冠症候群、冠動脈疾患及び末梢動脈閉塞症からなる群より選択される上記[1]記載の方法、
[5] CORS26に対する抗体及び/又はα-フェトプロテインに対する抗体を用いることを特徴とする上記[1]記載の方法、
[6] 他の1以上の動脈硬化マーカーを検出することをさらに含む上記[1]記載の方法、
[7] 化合物を投与された、動脈硬化もしくはその関連疾患の予防もしくは治療を必要とする動物より採取した試料中のCORS26及び/又はα-フェトプロテインを検出することを特徴とする、該化合物の動脈硬化もしくはその関連疾患の予防もしくは治療効果の評価方法、
[8] 動物がヒトである上記[7]記載の方法、
[9] 動物が動脈硬化又はその関連疾患のモデルである上記[7]記載の方法、
[10] 試料が血清又は血漿である上記[7]記載の方法、
[11] 関連疾患が、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、脳血栓、脳塞栓、大動脈瘤、大動脈解離、腎硬化症、腎不全、閉塞性動脈硬化症、PCI後再狭窄、急性冠症候群、冠動脈疾患及び末梢動脈閉塞症からなる群より選択される上記[7]記載の方法、
[12] CORS26に対する抗体及び/又はα-フェトプロテインに対する抗体を用いることを特徴とする上記[7]記載の方法、
[13] 他の1以上の動脈硬化マーカーを検出することをさらに含む上記[7]記載の方法、
[14] CORS26を検出し得る物質及び/又はα-フェトプロテインを検出し得る物質を含んでなる、動脈硬化もしくはその関連疾患の診断用及び/又は化合物の動脈硬化もしくはその関連疾患の予防・治療効果の評価用キット、
[15] 関連疾患が、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、脳血栓、脳塞栓、大動脈瘤、大動脈解離、腎硬化症、腎不全、閉塞性動脈硬化症、PCI後再狭窄、急性冠症候群、冠動脈疾患及び末梢動脈閉塞症からなる群より選択される上記[14]記載のキット、および
[16] CORS26を検出し得る物質及び/又はα-フェトプロテインを検出し得る物質が抗体である上記[14]記載のキットなどを提供する。
本発明で同定された新規マーカーは、動脈硬化病変の進行に伴ってその発現が変動する液性マーカーであることから、当該マーカーの体液中レベルを指標として、簡便かつ高感度・高精度に、動脈硬化の進展およびそれに付随する各種疾患の診断、さらには当該疾患の予防・治療薬の薬効評価等を行うことができる。
本発明は、CORS26及び/又はAFPをマーカーとして、被験動物由来の生体試料におけるその発現を検出することによる、該動物における動脈硬化又はその関連疾患の診断方法を提供する。ここで「関連疾患」とは、動脈硬化病変の進展に付随して引き起こされる種々の疾患や、結果として動脈硬化病変の進展を引き起こす疾患を包含する意味で用いられる。例えば、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、脳血栓、脳塞栓、大動脈瘤、大動脈解離、腎硬化症、腎不全、閉塞性動脈硬化症、PCI後再狭窄、急性冠症候群、冠動脈疾患、末梢動脈閉塞症等の疾患が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書においては、以下、動脈硬化及びその関連疾患を包括して「動脈硬化性疾患」という場合がある。また、ここで「診断」とは、既に動脈硬化性疾患に罹患しているか否かの判定だけでなく、まだ当該疾患に罹患していないが、近い将来罹患する可能性が高いか否かを判定することを包含する意味で使用される。
本発明の診断方法の被験対象となり得る動物は、血管系を有し、CORS26及び/又はAFPを産生するものであれば特に制限はなく、例えば、哺乳動物(例:ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、モルモット、マウス、ラット等)、鳥類(例:ニワトリ等)などが挙げられる。好ましくは、哺乳動物、より好ましくはヒトである。
本発明の診断方法の被験対象となり得る動物は、血管系を有し、CORS26及び/又はAFPを産生するものであれば特に制限はなく、例えば、哺乳動物(例:ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、モルモット、マウス、ラット等)、鳥類(例:ニワトリ等)などが挙げられる。好ましくは、哺乳動物、より好ましくはヒトである。
試料となる被験動物由来の生体試料は特に限定されないが、動物への侵襲が少ないものであることが好ましく、例えば、血液、血清、血漿、唾液、精液、粘膜、涙、尿などの人から分泌されるものや、生検から採取されるものが挙げられる。より好ましくは、血液、血清、血漿であり、さらに好ましくは血清または血漿である。
血清や血漿を用いる場合、常法に従って被験動物から採血し、液性成分を分離することにより調製することができる。検出対象であるCORS26、AFPの物性に応じて、予めそれらの蛋白質を含有する画分から、夾雑物を分離除去しておくこともできる。また、後述するように、検出対象をCORS26、AFPをコードするmRNAとする場合には、採取した血液から常法を用いて全RNAもしくはポリ(A)+RNA画分を抽出・精製しておいてもよい。
血清や血漿を用いる場合、常法に従って被験動物から採血し、液性成分を分離することにより調製することができる。検出対象であるCORS26、AFPの物性に応じて、予めそれらの蛋白質を含有する画分から、夾雑物を分離除去しておくこともできる。また、後述するように、検出対象をCORS26、AFPをコードするmRNAとする場合には、採取した血液から常法を用いて全RNAもしくはポリ(A)+RNA画分を抽出・精製しておいてもよい。
生体試料におけるCORS26、AFPの発現は、該蛋白質もしくはそれらをコードするmRNAを、従来公知の方法を用いてそれぞれ検出することにより調べることができる。例えば、CORS26(又はAFP)蛋白質を検出する場合は、ゲル電気泳動(例:SDS-PAGE、二次元ゲル電気泳動など)や、各種の分離精製法(例:イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動など)、イオン化法(例:電子衝撃イオン化法、フィールドディソープション法、二次イオン化法、高速原子衝突法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、エレクトロスプレーイオン化法など)、質量分析計(例:二重収束質量分析計、四重極型分析計、飛行時間型質量分析計、フーリエ変換質量分析計、イオンサイクロトロン質量分析計など)を組み合わせる方法等に供することにより行うことができる。
好ましくは、本発明の診断方法におけるCORS26及び/又はAFPの検出は、それらの蛋白質に対する抗体を用いて行われる。CORS26(又はAFP)に対する抗体は、例えば、該蛋白質を、これを発現する動物(好ましくは、被験動物と同種の動物)の生体試料から単離・精製し、該蛋白質もしくはその部分ペプチドを抗原として動物を免疫することにより調製することができる。あるいは、公知のCORS26(又はAFP)のアミノ酸配列(例えば、ヒトCORS26の場合、配列番号2に表されるアミノ酸配列、ヒトAFPの場合、配列番号4に表されるアミノ酸配列)に基づいて、その部分ペプチドを公知のペプチド合成の手法により合成し、これを抗原(ハプテン)として利用することもできる。さらには、常法に従ってCORS26(又はAFP)をコードするcDNAを得て、該cDNAを適当な発現ベクターに組み込んで適当な宿主細胞に導入し、得られる形質転換体を培養して組換え蛋白質を採取し、公知の蛋白質分離精製法を用いてCORS26(又はAFP)を精製するか、上記のようにして得られるcDNAを鋳型として、無細胞転写・翻訳系を用いて該蛋白質を取得して、抗原として用いることもできる。
CORS26(又はAFP)に対する抗体(以下、「本発明の抗体」と称する場合がある)は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれであってもよく、周知の免疫学的手法により作製することができる。また、該抗体は完全抗体分子だけでなくそのフラグメントをも包含し、例えば、Fab、F(ab')2、ScFv、minibody等が挙げられる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
(a)モノクロナール抗体産生細胞の作製
CORS26(又はAFP)は、哺乳動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用いられる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギが挙げられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された哺乳動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化CORS26(又はAFP)と抗血清とを反応させた後、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256巻、495頁(1975年)〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0などが挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくは、PEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、約20〜40℃、好ましくは約30〜37℃で約1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
(a)モノクロナール抗体産生細胞の作製
CORS26(又はAFP)は、哺乳動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用いられる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギが挙げられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された哺乳動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化CORS26(又はAFP)と抗血清とを反応させた後、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256巻、495頁(1975年)〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0などが挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくは、PEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、約20〜40℃、好ましくは約30〜37℃で約1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、蛋白質等の抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識した蛋白質等を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができるが、通常はHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地などで行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))またはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができるが、通常はHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地などで行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))またはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
(b)モノクロナール抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製造することができる。例えば、免疫抗原(蛋白質等の抗原)とキャリアー蛋白質との複合体を作り、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に哺乳動物に免疫を行なうか鶏に免疫をおこない、該免疫動物からCORS26(又はAFP)に対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造できる。
哺乳動物及び鶏を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、哺乳動物又は鶏に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことができる。
ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された哺乳動物の血液、腹水、母乳など、好ましくは血液から採取することができ、鶏の場合は血液及び卵黄から採取できる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
本発明のポリクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製造することができる。例えば、免疫抗原(蛋白質等の抗原)とキャリアー蛋白質との複合体を作り、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に哺乳動物に免疫を行なうか鶏に免疫をおこない、該免疫動物からCORS26(又はAFP)に対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造できる。
哺乳動物及び鶏を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、哺乳動物又は鶏に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことができる。
ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された哺乳動物の血液、腹水、母乳など、好ましくは血液から採取することができ、鶏の場合は血液及び卵黄から採取できる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
本発明の抗体を用いる本発明の診断方法は、特に制限されるべきものではなく、被験試料中の抗原量に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法等が好適に用いられる。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大き
なものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大き
なものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等が挙げられる。
サンドイッチ法においては、不溶化した本発明の抗体に被験試料を反応させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明の抗体を反応させ(2次反応)た後、不溶化担体上の標識剤の量(活性)を測定することにより、被験試料中の本発明のペプチド量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。
サンドイッチ法においては、不溶化した本発明の抗体に被験試料を反応させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明の抗体を反応させ(2次反応)た後、不溶化担体上の標識剤の量(活性)を測定することにより、被験試料中の本発明のペプチド量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。
CORS26(又はAFP)に対するモノクローナル抗体を、サンドイッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることもできる。
競合法では、被験試料中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させた後、未反応の標識抗原(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被験試料中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
イムノメトリック法では、被験試料の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被験試料中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させた後、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被験試料中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被験試料中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
競合法では、被験試料中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させた後、未反応の標識抗原(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被験試料中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
イムノメトリック法では、被験試料の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被験試料中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させた後、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被験試料中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被験試料中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のタンパク質の測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。
例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
あるいは、本発明の抗体を用いる別の本発明の診断方法として、該抗体を後述の質量分析計に適合し得るプローブの表面上に固定化し、該プローブ上の該抗体に被験試料を接触させ、該抗体に捕捉された生体試料成分を質量分析にかけ、CORS26(又はAFP)のピークを検出する方法が挙げられる。
本発明の診断方法におけるCORS26(又はAFP)蛋白質の検出において、他の好ましい測定法として、クロマトグラフィー技術と飛行時間型質量分析(TOF-MS)を組み合わせて、クロマト担体(例:カチオン交換体、アニオン交換体、疎水性クロマト担体、金属イオンなど)に一定条件下で捕捉されるすべての生体試料成分の質量を一括して測定する方法、とりわけ飛行時間型質量分析に使用するプローブの表面に該クロマト担体を固定し、このプローブ表面と被験試料を接触させ、適当な条件で洗浄した後、該プローブ表面に捕捉された成分の質量を飛行時間型質量分析計で測定する方法などが挙げられる。飛行時間型質量分析計に適合可能なプローブとしては、サイファージェン・バイオシステムズ社製の各種プロテインチップ等が挙げられるが、それらに限定されない。洗浄は水または緩衝液を用いて行うことができるが、例えば、pHは、各々の試料のターゲットマーカの等電点に合わせて適宜選択される。例えば、pH 4〜8のトリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酢酸緩衝液等が用いられる。質量分析は適当なマトリックスを用いてMALDI法で行うことが好ましく(MALDI-TOFMS)、使用するマトリックス分子としては、例えばシナピン酸(SPA)、飽和2,5-ジヒドロキシ安息香酸(DHB)、インドールアクリル酸(IAA)、桂皮酸などが挙げられる。
本発明の診断方法におけるCORS26(又はAFP)蛋白質の検出において、他の好ましい測定法として、従来公知の二次元ゲル電気泳動法が挙げられる。被験試料として、例えば血漿等を用いる場合には、前処理としてアルブミン・IgGの除去、ベンズアミジン分画、ConAカラム処理などを行うことがより好ましい。
本発明の診断方法において、生体試料におけるCORS26(又はAFP)の発現を、該蛋白質をコードするmRNAを検出することにより行う場合、該mRNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る核酸(プローブ)や、該mRNAの一部もしくは全部を増幅するプライマーとして機能し得るオリゴヌクレオチドのセットを用いて、ノーザンハイブリダイゼーションやRT−PCRなどにより行うことができる。プローブとして用いられる核酸は、DNAであってもRNAであってもよく、あるいはDNA/RNAキメラであってもよい。好ましくはDNAが挙げられる。また、該核酸は二本鎖であっても一本鎖であってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでもよい。該核酸の長さは標的mRNAと特異的にハイブリダイズし得る限り特に制限はなく、例えば約15塩基以上、好ましくは約30塩基以上である。該核酸は、標的mRNAの検出・定量を可能とするために、標識剤により標識されていることが好ましい。標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔32P〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。酵素としては
、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、プローブと標識剤との結合にビオチン−(ストレプト)アビジンを用いることもできる。
、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、プローブと標識剤との結合にビオチン−(ストレプト)アビジンを用いることもできる。
プライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドのセットとしては、CORS26(又はAFP)をコードするmRNAの塩基配列(センス鎖)およびそれに相補的な塩基配列(アンチセンス鎖)とそれぞれ特異的にハイブリダイズすることができ、それらに挟まれるDNA断片を増幅し得るものであれば特に制限はなく、例えば、各々約15〜約100塩基、好ましくは各々約15〜約50塩基の長さを有し、約100bp〜数kbpのDNA断片を増幅するようにデザインされたオリゴDNAのセットが挙げられる。
微量RNA試料を用いてCORS26(又はAFP)の遺伝子発現を定量的に解析するためには、競合RT−PCRまたはリアルタイムRT−PCRを用いることが好ましい。競合RT−PCRとは、目的のDNAを増幅し得るプライマーのセットにより増幅され得る既知量の他の鋳型核酸をcompetitorとして反応液中に共存させて競合的に増幅反応を起こさせ、増幅産物の量を比較することにより、目的DNAの量を算出する方法をいう。従って、競合RT−PCRを用いる場合、上記プライマーセットに加えて、該プライマーセットにより増幅され、目的DNAと区別することができる増幅産物(例えば、目的のDNAとはサイズの異なる増幅産物、制限酵素処理により異なる泳動パターンを示す増幅産物など)を生じる核酸をさらに含有することができる。このcompetitor核酸はDNAであってもRNAであってもよい。DNAの場合、RNA試料から逆転写反応によりcDNAを合成した後にcompetitorを添加してPCRを行えばよく、RNAの場合は、RNA試料に最初から添加してRT−PCRを行うことができる。後者の場合、逆転写反応の効率も考慮に入れているので、元のmRNAの絶対量を推定することができる。
一方、リアルタイムRT−PCRは、PCRの増幅量をリアルタイムでモニタリングできるので、電気泳動が不要で、より迅速に本発明のペプチドの遺伝子発現を解析可能である。通常、モニタリングは種々の蛍光試薬を用いて行われる。これらの中には、SYBR Green I、エチジウムブロマイド等の二本鎖DNAに結合することにより蛍光を発する試薬(インターカレーター)の他、上記プローブとして用いることができる核酸(但し、該核酸は増幅領域内で標的核酸にハイブリダイズする)の両端をそれぞれ蛍光物質(例:FAM、HEX、TET、FITC等)および消光物質(例:TAMRA、DABCYL等)で修飾したもの等が含まれる。
一方、リアルタイムRT−PCRは、PCRの増幅量をリアルタイムでモニタリングできるので、電気泳動が不要で、より迅速に本発明のペプチドの遺伝子発現を解析可能である。通常、モニタリングは種々の蛍光試薬を用いて行われる。これらの中には、SYBR Green I、エチジウムブロマイド等の二本鎖DNAに結合することにより蛍光を発する試薬(インターカレーター)の他、上記プローブとして用いることができる核酸(但し、該核酸は増幅領域内で標的核酸にハイブリダイズする)の両端をそれぞれ蛍光物質(例:FAM、HEX、TET、FITC等)および消光物質(例:TAMRA、DABCYL等)で修飾したもの等が含まれる。
上記プローブとして用いる核酸は、CORS26(又はAFP)をコードするcDNAやその断片であってよく、あるいはその塩基配列情報(例えば、ヒトCORS26の場合、配列番号1に表される塩基配列、ヒトAFPの場合、配列番号3に表される塩基配列)に基づいて、市販のDNA/RNA自動合成機等を用いて化学的に合成することによって得られるものであってもよい。また、上記プライマーとして用いるオリゴヌクレオチドのセットは、上記塩基配列情報に基づいて、該塩基配列およびその相補鎖配列の一部を市販のDNA/RNA自動合成機等を用いて化学的に合成することによって得ることができる。
本発明の診断方法は、被験動物から時系列で生体試料を採取し、各試料におけるCORS26及び/又はAFPの発現の経時変化を調べることにより行うことが好ましい。生体試料の採取間隔は特に限定されないが、動脈硬化病変の進展の早期発見という目的を考慮すれば、被験対象のQOLを損なわない範囲でできるだけ頻繁にサンプリングすることが望ましく、例えば、血液(血清、血漿)を試料とする場合には、約1〜約12ヶ月の間隔で採血を行うことが好ましい。しかし、狭心症などの症状が既に認められる場合は、他の関連疾患に急速に発展する可能性もあるので、数日間隔での採血を必要となる場合もある。各試料について上記のようにしてCORS26及び/又はAFPの発現を調べ、経時的にCORS26の発現が減少(及び/又はAFPの発現が増加)した場合には、動脈硬化病変が進展している、並びに動脈硬化性疾患に罹患しているか、もしくは近い将来該疾患に罹患する可能性が高いと判定することができる。
本発明のマーカーに加えて、他の1以上の動脈硬化マーカーの変動を調べることにより、より精度よく動脈硬化病変の進展及び動脈硬化性疾患の罹患(リスク)を判定することができ得る。そのような他のマーカーとしては、例えば、上述のCRP、SAA、E-セレクチン等の接着分子、TNF-α、IL-6等のサイトカイン、MCP-1等のケモカイン、可溶性CD40リガンド等の免疫関連蛋白などの炎症マーカーや、アポリポ蛋白質AI(ApoAI)の分解産物、パラオキソナーゼ1などのコレステロール代謝関連分子、酸化LDLなどに対する抗体、アディポネクチン、第10凝固因子、Myeloperoxidase、Fetuin-A、α1-アンチトリプシン、フィブリノーゲン、ApoA4、ApoJ、プラスミノーゲン類似蛋白、パラオキソナーゼ、ApoE、ApoB-100、補体C3、補体H、プラスミノーゲンなどの公知のマーカーが挙げられる。これらのマーカーも、CORS26及びAFPについて上記した各種方法に従って検出することができるが、各マーカーについて周知慣用の検出法をそれぞれ用いることもできる。
CORS26の発現は、動脈硬化病変の進展が抑制された場合には増加または横ばい傾向を示す。同様に、AFPの発現は、動脈硬化病変の進展が抑制された場合には減少または横ばい傾向を示す。従って、本発明の診断方法は、動脈硬化の進展が認められるか、もしくはその危険性が高いと診断される被験対象における予防・治療効果(予防・治療手段が投薬の場合は、該薬物の薬効)の早期判定にも用いることができる。
即ち、本発明は、化合物を投与された、動脈硬化性疾患の予防もしくは治療を必要とする被験動物由来の生体試料中のCORS26及び/又はAFPを検出することによる、該化合物の当該疾患の予防もしくは治療効果の評価方法を提供する。
即ち、本発明は、化合物を投与された、動脈硬化性疾患の予防もしくは治療を必要とする被験動物由来の生体試料中のCORS26及び/又はAFPを検出することによる、該化合物の当該疾患の予防もしくは治療効果の評価方法を提供する。
本発明はまた、CORS26を検出し得る物質及び/又はAFPを検出し得る物質を含んでなる、動脈硬化性疾患の診断用及び/又は化合物の動脈硬化性疾患の予防・治療効果の評価用キットを提供する。CORS26を検出し得る物質、AFPを検出し得る物質としては、例えば、上記した各蛋白質に対する抗体が好ましく挙げられるが、それらに限定されない。該キットはCORS26及び/又はAFPの検出に必要もしくは便利な他の構成要素、例えば、標識物質、反応緩衝液、反応容器等をさらに含むことができる。
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
RNA :リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
dATP :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP :デオキシチミジン三リン酸
dGTP :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP :デオキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
RNA :リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
dATP :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP :デオキシチミジン三リン酸
dGTP :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP :デオキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
Gly :グリシン
Ala :アラニン
Val :バリン
Leu :ロイシン
Ile :イソロイシン
Ser :セリン
Thr :スレオニン
Cys :システイン
Met :メチオニン
Glu :グルタミン酸
Asp :アスパラギン酸
Lys :リジン
Arg :アルギニン
His :ヒスチジン
Phe :フェニルアラニン
Tyr :チロシン
Trp :トリプトファン
Pro :プロリン
Asn :アスパラギン
Gln :グルタミン
pGlu :ピログルタミン酸
Me :メチル基
Et :エチル基
Bu :ブチル基
Ph :フェニル基
TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
Ala :アラニン
Val :バリン
Leu :ロイシン
Ile :イソロイシン
Ser :セリン
Thr :スレオニン
Cys :システイン
Met :メチオニン
Glu :グルタミン酸
Asp :アスパラギン酸
Lys :リジン
Arg :アルギニン
His :ヒスチジン
Phe :フェニルアラニン
Tyr :チロシン
Trp :トリプトファン
Pro :プロリン
Asn :アスパラギン
Gln :グルタミン
pGlu :ピログルタミン酸
Me :メチル基
Et :エチル基
Bu :ブチル基
Ph :フェニル基
TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(サンプル)
世界中で高コレステロールや動脈硬化症などの研究に用いられているWHHLウサギの血漿を使用した。ウサギは血管内超音波(IVUS)により、aorta病変(動脈硬化)面積を算出。病変の軽い方から重いほうへ0〜5のスコアをつけ、IVUSスコア0のグループをコントロールとして発現比較に使用した。
(血漿の前処理)
蛋白質発現解析時に血漿中の高発現蛋白質の影響を少なくするため、下記のいずれかの方法にて血漿を前処理した。
1.アルブミン・IgG除去:Blue sepharoseとProtein Aのカラムでウサギ血漿を処理して血漿中のアルブミン及びIgGを除去。
2.Benzamidine分画:Benzamidine Sepharoseのカラムにてウサギ血漿を処理。高発現蛋白質の影響が最も少ない画分を選択。
(二次元電気泳動による蛋白質発現解析)
各前処理・分画法で得た血漿蛋白質を二次元電気泳動ゲルにて展開(一次元:等電点、二次元:分子)した。発現解析用のゲルは、Cy dye(Amersham Bioscience社)により染色、蛋白質同定用のゲルはSyproRuby(Molecular Probe社)にて染色した。蛋白質発現解析はAmersham社のDecyderソフトにより解析した。
(蛋白質同定)
二次元ゲル解析で有意に発現差異の認められた蛋白質スポットの同定は下記の方法で行った。
1.質量分析法:発現変動スポットをSyproRuby染色したゲルより切り出し、蛋白質をゲル内でトリプシンにより消化した。その後、質量分析装置(Q-TOF型及びLCQ型)によりMS及びMS/MSで測定した。この方法で得た質量分析データを、下記いずれかの方法で解析して蛋白質を同定した。
a. プロダクトイオン検索法:親ペプチドの質量を基に蛋白質データベースを検索し、ヒットした候補のアミノ酸配列にMS/MSスペクトルを照合してスコアを決定した。この方法は、データベースに蛋白質が登録してある場合に有効であるが、登録されていない蛋白質の同定は困難である。
b. de Novoシーケンス:MS/MSスペクトルから直接アミノ酸配列を読み取り、予測された配列を基にデータベース検索を行った。この方法は、該当する蛋白質がデータベースにない場合でも、配列の類似した蛋白質(例えば別の種に存在する同一蛋白質)を見つけることができ、蛋白質同定の手がかりとすることができる。
2.N末配列解析法
二次元ゲルをメンブレンにブロットした後にスポットの蛋白質のアミノ酸配列をN末端から読み取り、解読したアミノ酸配列を基にデータベース検索を行い、蛋白質を同定した。尚、事前にトリプシン消化してHPLCで分画した後にN末配列解析を行うことにより、内部配列の解析も行った。
世界中で高コレステロールや動脈硬化症などの研究に用いられているWHHLウサギの血漿を使用した。ウサギは血管内超音波(IVUS)により、aorta病変(動脈硬化)面積を算出。病変の軽い方から重いほうへ0〜5のスコアをつけ、IVUSスコア0のグループをコントロールとして発現比較に使用した。
(血漿の前処理)
蛋白質発現解析時に血漿中の高発現蛋白質の影響を少なくするため、下記のいずれかの方法にて血漿を前処理した。
1.アルブミン・IgG除去:Blue sepharoseとProtein Aのカラムでウサギ血漿を処理して血漿中のアルブミン及びIgGを除去。
2.Benzamidine分画:Benzamidine Sepharoseのカラムにてウサギ血漿を処理。高発現蛋白質の影響が最も少ない画分を選択。
(二次元電気泳動による蛋白質発現解析)
各前処理・分画法で得た血漿蛋白質を二次元電気泳動ゲルにて展開(一次元:等電点、二次元:分子)した。発現解析用のゲルは、Cy dye(Amersham Bioscience社)により染色、蛋白質同定用のゲルはSyproRuby(Molecular Probe社)にて染色した。蛋白質発現解析はAmersham社のDecyderソフトにより解析した。
(蛋白質同定)
二次元ゲル解析で有意に発現差異の認められた蛋白質スポットの同定は下記の方法で行った。
1.質量分析法:発現変動スポットをSyproRuby染色したゲルより切り出し、蛋白質をゲル内でトリプシンにより消化した。その後、質量分析装置(Q-TOF型及びLCQ型)によりMS及びMS/MSで測定した。この方法で得た質量分析データを、下記いずれかの方法で解析して蛋白質を同定した。
a. プロダクトイオン検索法:親ペプチドの質量を基に蛋白質データベースを検索し、ヒットした候補のアミノ酸配列にMS/MSスペクトルを照合してスコアを決定した。この方法は、データベースに蛋白質が登録してある場合に有効であるが、登録されていない蛋白質の同定は困難である。
b. de Novoシーケンス:MS/MSスペクトルから直接アミノ酸配列を読み取り、予測された配列を基にデータベース検索を行った。この方法は、該当する蛋白質がデータベースにない場合でも、配列の類似した蛋白質(例えば別の種に存在する同一蛋白質)を見つけることができ、蛋白質同定の手がかりとすることができる。
2.N末配列解析法
二次元ゲルをメンブレンにブロットした後にスポットの蛋白質のアミノ酸配列をN末端から読み取り、解読したアミノ酸配列を基にデータベース検索を行い、蛋白質を同定した。尚、事前にトリプシン消化してHPLCで分画した後にN末配列解析を行うことにより、内部配列の解析も行った。
各前処理・分画法を用いて二次元電気泳動ゲル発現解析を行った結果を表1に示す。
このうちCORS26(病変の進展に伴って発現が減少;図1(A)参照)とα-フェトプロテイン(AFP)(病変の進展に伴って発現が増加;図1(B)参照)は、動脈硬化との関連性がこれまでに示唆されておらず、全く新規なマーカーである。この2つの蛋白質の詳細な解析結果を図2、3(CORS26)及び図4(AFP)に示す。
本発明の方法によれば、患者の血液サンプル等を用いて、非侵襲的にかつ高精度・高感度に動脈硬化病変の進展及び動脈硬化性疾患の診断が可能である。また、動脈硬化の進展抑制薬、動脈硬化の進展に伴う各種血管イベントの予防・治療薬の薬効評価を実験動物、治験者、患者等の血液サンプル等を用いて行うこともできる。
Claims (16)
- 被験動物より採取した試料中のCORS26及び/又はα-フェトプロテインを検出することを特徴とする、該動物における動脈硬化又はその関連疾患の診断方法。
- 被験動物がヒトである請求項1記載の方法。
- 試料が血清又は血漿である請求項1記載の方法。
- 関連疾患が、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、脳血栓、脳塞栓、大動脈瘤、大動脈解離、腎硬化症、腎不全、閉塞性動脈硬化症、PCI後再狭窄、急性冠症候群、冠動脈疾患及び末梢動脈閉塞症からなる群より選択される請求項1記載の方法。
- CORS26に対する抗体及び/又はα-フェトプロテインに対する抗体を用いることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 他の1以上の動脈硬化マーカーを検出することをさらに含む請求項1記載の方法。
- 化合物を投与された、動脈硬化もしくはその関連疾患の予防もしくは治療を必要とする動物より採取した試料中のCORS26及び/又はα-フェトプロテインを検出することを特徴とする、該化合物の動脈硬化もしくはその関連疾患の予防もしくは治療効果の評価方法。
- 動物がヒトである請求項7記載の方法。
- 動物が動脈硬化又はその関連疾患のモデルである請求項7記載の方法。
- 試料が血清又は血漿である請求項7記載の方法。
- 関連疾患が、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、脳血栓、脳塞栓、大動脈瘤、大動脈解離、腎硬化症、腎不全、閉塞性動脈硬化症、PCI後再狭窄、急性冠症候群、冠動脈疾患及び末梢動脈閉塞症からなる群より選択される請求項7記載の方法。
- CORS26に対する抗体及び/又はα-フェトプロテインに対する抗体を用いることを特徴とする請求項7記載の方法。
- 他の1以上の動脈硬化マーカーを検出することをさらに含む請求項7記載の方法。
- CORS26を検出し得る物質及び/又はα-フェトプロテインを検出し得る物質を含んでなる、動脈硬化もしくはその関連疾患の診断用及び/又は化合物の動脈硬化もしくはその関連疾患の予防・治療効果の評価用キット。
- 関連疾患が、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、脳血栓、脳塞栓、大動脈瘤、大動脈解離、腎硬化症、腎不全、閉塞性動脈硬化症、PCI後再狭窄、急性冠症候群、冠動脈疾患及び末梢動脈閉塞症からなる群より選択される請求項14記載のキット。
- CORS26を検出し得る物質及び/又はα-フェトプロテインを検出し得る物質が抗体である請求項14記載のキット。
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-
2005
- 2005-07-01 JP JP2005194047A patent/JP2007010567A/ja not_active Withdrawn
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US9366681B2 (en) | 2008-08-15 | 2016-06-14 | Fujikura Kasei Co., Ltd. | Polypeptide marker for diagnosis of arteriosclerosis, method for detection of arteriosclerosis by using the maker or the like, and kit for diagnosis of arteriosclerosis |
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