JP2010019348A - クリップ式取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】取付部材の意匠性低下を抑制でき、かつ、相手部材に対する取り付け基準の異なる複数の取付部材に共用できるクリップ式取付構造を提供すること。
【解決手段】クリップ2の頭部3に、一対の第1側面31と、第1側面31と直交する方向に延びる一対の第2側面32とを設け、第1側面31同士の距離が第2側面32同士の距離よりも大きくなるようにする。そしてクリップ2を、第1方向と、第1方向に対して直交する方向である第2方向と、の2方向で相手部材1の係合孔部10に取り付ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、クリップとクリップが取り付けられる相手部材と、を持つクリップ式取付構造に関する。
クリップと相手部材とを持つクリップ式取り付け構造としては、従来から種々のものが知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。この種のクリップ式取付構造は、取付部材(すなわち相手部材に取り付けるべき部材)を予めクリップに取り付け、クリップを相手部材に取り付けることで、取付部材を相手部材に取り付ける。一般的なクリップ式取付構造を模式的に表す図を図8に示す。図8に示すクリップ式取付構造において、相手部材は自動車のボデーであり、取付部材はマニュアルトランスミッション式自動車用のコンソールボックスである。
図8に示すように、一般的なコンソールボックス100は、その長手方向を前後に向けて、ボデー101に取り付けられる。クリップ102は、コンソールボックス100の前端部と後端部とにそれぞれ取り付けられている。コンソールボックス100の前端部に取り付けられているクリップ102を前側クリップ103と呼び、コンソールボックス100の後端部に取り付けられているクリップ102を後側クリップ104と呼ぶ。ボデー101には、コンソールボックス100の前端部に対応する位置および後左端部に対応する位置に、貫通孔状の係合孔部105が形成されている。コンソールボックス100の前端部に対応する位置に形成されている係合孔部105を前側係合孔部106と呼び、コンソールボックス100の後端部に対応する位置に形成されている係合孔部105を後側係合孔部107と呼ぶ。コンソールボックス100をボデー101に取り付ける際には、先ず前側クリップ103を前側係合孔部106に取り付け、次いで後側クリップ104を後側係合孔部107に取り付ける。
この種のクリップ式取付構造によると、クリップを相手部材に取り付けるだけで、取付部材を相手部材に取り付けることができるため、相手部材と取付部材との取り付け工数を低減できる利点がある。
ところで、取付部材の一種であるコンソールボックス100は、マニュアルトランスミッション式自動車(以下、MT車と略する)用のコンソールボックス(図8)と、オートマティックトランスミッション式自動車(以下、AT車と略する)用のコンソールボックス(図9)とに大別される。図8および図9に示すように、MT車用コンソールボックス110およびAT車用コンソールボックス111には、シフトレバー112が挿通される開口部113が設けられている。
MT車用コンソールボックス110には、一般に、シフトレバー112の移動領域全体をカバーする大径の開口部113aが形成されている。そして、この開口部113aとシフトレバー112との隙間はゴムや布帛からなるカバー材114で覆れている。
一方、AT車用コンソールボックス111には、一般に、シフトレバー112の移動領域に沿って延びる狭幅の開口部113bが形成されている。そして、この開口部113bとシフトレバー112との隙間は露出している。このため、AT車用コンソールボックス111の意匠性を向上させるためには、開口部113bとシフトレバー112との隙間を寸法精度高く管理する必要がある。一般には、AT車用コンソールボックス111の長手方向の2端部をボデー101に固定するとともに、AT車用コンソールボックス111をシフトレバー112ハウジングにも固定することで、開口部113とシフトレバー112との隙間を寸法精度高く管理している。
AT車用コンソールボックス111をシフトレバーハウジング120に固定する方法としては、一般に、両者をクリップ102と係合孔部105とで取り付ける方法がとられている。詳しくは、シフトレバーハウジング120に係合孔部105(中側係合孔部109と呼ぶ)を設けるとともに、コンソールボックス100に中側係合孔部109と係合するクリップ102(中側クリップ108と呼ぶ)を取り付け、中側係合孔部109と中側クリップ108とを係合させている。
しかしシフトレバーハウジング120は、一般に、コンソールボックス100の前端寄りの位置に配置される。このためAT車用コンソールボックス111においては、前側クリップ103が取り付けられる部分(前側クリップ取付部130と呼ぶ)と中側クリップ108が取り付けられる部分(中側クリップ取付部131と呼ぶ)とが近接している。
ところで、コンソールボックス100の成形バラツキやボデー101の成形バラツキなどによって、コンソールボックス100とボデー101とが相対的に位置ズレすると、前側クリップ取付部130が前側係合孔部106に対して位置ズレしたり、中側クリップ取付部131が中側係合孔部109に対して位置ズレする。そして、コンソールボックス100は、この位置ズレの程度に応じて変形する。2つのクリップ取付部が離間していれば、コンソールボックス100によってこの位置ズレを吸収できる。したがってこの場合には、この位置ズレに起因するコンソールボックス100の部分毎の変形量は小さく、コンソールボックス100の意匠性は損なわれ難い。しかし、AT車用コンソールボックス111においては、前側クリップ取付部130と中側クリップ取付部131とが近接しているため、コンソールボックス100によってこの位置ズレを吸収できず、コンソールボックス100の前端部分が大きく変形する。したがってこの場合には、コンソールボックス100の意匠性が低下する可能性がある。
コンソールボックス100とボデー101との相対的な位置ズレを吸収してAT車用コンソールボックス111の意匠性を向上させるためには、前側係合孔部106と前側クリップ103とを前後方向に移動可能に係合させれば良いと考えられる。この場合には、前側クリップ103およびAT車用コンソールボックス111が前側係合孔部106に対して前後方向に移動することで、前側クリップ取付部130の前側係合孔部106に対する位置ズレや、中側クリップ取付部131の中側係合孔部109に対する位置ズレを吸収できる。
一方、MT車用コンソールボックス110のボデー101に対する取り付け基準は、AT車用コンソールボックス111のボデー101に対する取り付け基準とは異なる。すなわち、MT車用コンソールボックス110はシフトレバーハウジング120に固定しなくても良いため、MT車用コンソールボックス110は、前後2カ所(図8に示す前側クリップ取付部130および後側クリップ取付部132)だけでボデー101に固定される。前側クリップ取付部130と後側クリップ取付部132とは十分に離間している。このため、MT車用コンソールボックス110は、前側クリップ取付部130の前側係合孔部106に対する位置ズレや、後側クリップ取付部132の後側係合孔部107に対する位置ズレを吸収できる。このため、MT車用コンソールボックス110は、ボデー101に対して前後方向に移動しない方が良いと考えられる。このため、上述した前後方向に移動可能な前側クリップ103および前側係合孔部106は、MT車用コンソールボックス110用のクリップ式取付構造としては採用できない。このため、クリップ102およびボデー101をMT車用コンソールボックス110とAT車用コンソールボックス111とに共用するのは困難であり、クリップ102およびボデー101の製造コストを低減し難い問題がある。よって、相手部材と取付部材との位置ズレを吸収でき、かつ、相手部材に対する取り付け基準の異なる複数の取付部材に共用できるクリップ式取付構造が望まれている。
特開2006−123608号公報 特開2008−38964号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、取付部材の意匠性低下を抑制でき、かつ、相手部材に対する取り付け基準の異なる複数の取付部材に共用できるクリップ式取付構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するクリップ式取り付け構造は、取付部材に取り付けられる取付部と突起状をなす頭部とを持つクリップと、貫通穴状をなす係合孔部を持つ相手部材と、を持ち、頭部を係合孔部に差し込むことでクリップを介して取付部材を相手部材に取り付けるクリップ式取付構造であって、相手部材は、係合孔部の周壁の一部であり互いに対向する一対の第1周壁と、第1周壁と直交する方向に延び互いに対向する一対の第2周壁と、を持ち、頭部は、互いに対向する一対の第1側面と、第1側面と直交する方向に延び互いに対向する一対の第2側面と、を持ち、第1側面同士の距離は、第2側面同士の距離よりも大きく、クリップは、第1側面と第1周壁とが対向する第1方向と、第1側面と第2周壁とが対向する第2方向と、でそれぞれ相手部材に取り付け可能であることを特徴とする。
本発明のクリップ式取り付け構造は、下記の(1)〜(5)の何れかを備えるのが好ましく、(1)〜(5)の複数を備えるのがより好ましい。
(1)前記頭部は、突起状をなし前記第2側面に形成されている第2係合爪を持ち、第2係合爪は、前記頭部を前記係合孔部に差し込むと前記係合孔部を通り抜け、前記第1方向において前記第2周壁の周縁部と係合する。
(2)前記頭部は、突起状をなし前記第1側面に形成されている第1係合爪を持ち、
第1係合爪は、前記頭部を前記係合孔部に差し込むと前記係合孔部を通り抜け、前記第1方向において前記第1周壁の周縁部と係合する。
(3)前記第1周壁同士の距離は前記第2周壁同士の距離よりも大きい。
(4)前記頭部の少なくとも一部は弾性変形可能であり、前記頭部は、前記第1係合爪および/または前記第2係合爪が前記係合孔部の周壁に対面する際に一旦縮径し、前記第1係合爪および/または前記第2係合爪が前記係合孔部を通り抜けると再度拡径する。
(5)前記相手部材は自動車のボデーであり、前記取付部材はコンソールボックスである。
本発明のクリップ式取付構造において、相手部材の係合孔部は、一対の第1周壁と一対の第2周壁とを持つ。一方、クリップの頭部は、一対の第1側面と一対の第2側面とを持つ。そしてクリップは、係合孔部の第1周壁に第1側面を対面させる第1方向と、係合孔部の第2周壁に第2側面を対面させる第2方向と、の異なる2方向で相手部材に取り付けられる。第1側面同士の距離は第2側面同士の距離よりも大きいため、頭部は長辺(一対の第1側面をむすぶ辺)と短辺(一対の第2側面をむすぶ辺)とを持つ。このため、第2方向における第1周壁とクリップの端面との距離は、第1方向における第1周壁とクリップの端面との距離よりも大きい。また、第1方向における第2周壁とクリップの端面との距離は、第2方向における第2周壁とクリップの端面との距離よりも大きい。このためクリップは、第1方向においては一対の第1周壁をむすぶ方向(以下、第1方向と呼ぶ)に移動し難く、第2方向においては第1方向に移動し易い。よって、第1方向において、クリップおよびクリップに取り付けられている取付部材は、相手部材に対して第1方向に固定される。また、第2方向において、クリップおよびクリップに取り付けられている取付部材は、相手部材に対して第1方向に移動可能になる。
したがって本発明のクリップ式取付構造によると、取付部材に要求される取り付け基準に応じて、相手部材に対するクリップの取り付け方向(第1方向または第2方向)を選択することで、取り付け基準の異なる複数の取付部材に対応できる。換言すると、本発明のクリップ式取付構造によると、相手部材に対するクリップの取り付け方向を90°回転させることで、取り付け基準の異なる複数の取付部材を共通のクリップおよび相手部材に取り付け得る。
よって、本発明のクリップ式取付構造は、取付部材の意匠性低下を抑制でき、かつ、相手部材に対する取り付け基準の異なる複数の取付部材に共用できる。
上記(1)、(2)の何れかを備える本発明のクリップ式取付構造は、クリップの頭部を相手部材の係合孔部に安定して取り付けることができる。このため、取付部材を相手部材に安定して取り付けることができる。
上記(3)を備える本発明のクリップ式取付構造によると、第2方向におけるクリップの係合孔部に対する移動可能領域が大きくなる。このため、上記(3)を備える本発明のクリップ式取付構造は、取付部材および相手部材の位置ズレを信頼性高く吸収でき、取り付け基準の異なる複数の取付部材により好適に共用できる。
上記(4)を備える本発明のクリップ式取付構造によると、頭部を弾性的に拡縮させることで、頭部を係合孔部の周壁に対応する形状に変形させることができる。このため、この場合には係合孔部を種々の形状に設計できる利点がある。
ところで、上述したようにAT車用コンソールボックスの組み付け基準とMT車用コンソールボックスの組み付け基準とは異なる。したがって、自動車のボデーは本発明のクリップ式取付構造における相手部材として好ましく選択でき、コンソールボックスは本発明のクリップ式取付構造における取付部材として好ましく選択できる。
以下、本発明のクリップ式取り付け構造を具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1のクリップ式取付構造は上記(1)、(4)および(5)を備える。実施例1のクリップ式取付構造を模式的に表す要部拡大斜視図を図1に示し、実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材および相手部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図を図2〜図5に示す。詳しくは、図2〜図3は、AT車用コンソールボックスに取り付けたクリップをボデーに取り付けた様子を模式的に表す断面図である。図4は、AT車用コンソールボックスに取り付けたクリップをボデーに取り付けたときの、頭部と係合孔部との位置関係を模式的に表す概念図である。図5は、MT車用コンソールボックスに取り付けたクリップをボデーに取り付けたときの、頭部と係合孔部との位置関係を模式的に表す概念図である。以下、実施例1において上、下、左、右、前、後とは図1に示す上、下、左、右、前、後を指す。
実施例1のクリップ式取り付け構造は、自動車のボデー1を相手部材とし、コンソールボックス(図略)を取付部材とする例である。詳しくは、実施例1のクリップ式取付構造には、コンソールボックスの前端部が取り付けられる。したがって、実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップ2は、図8〜図9に示す従来のクリップ式取付構造における前側クリップに相当する。また、実施例1のクリップ式取付構造における係合孔部10は、図8〜図9に示す従来のクリップ式取付構造における前側係合孔部に相当する。
図1に示すように、実施例1のクリップ式取付構造は、ボデー1(すなわち相手部材)と2つのクリップ2とを持つ。ボデー1は、同形の貫通孔状をなす2つの係合孔部10を持つ。2つの係合孔部10は上面正方形の角孔状をなす。2つの係合孔部10は、それぞれ、一対の第1周壁11と一対の第2周壁12とを持つ。各第1周壁11は左右方向に延びている。一対の第1周壁11は、互いに対向し、前後方向に離間している。各第2周壁12は前後方向に延びている。一対の第2周壁12は互いに対向し左右方向に離間している。第1周壁11と第2周壁12とは互いに直交する方向に延びている。2つの係合孔部10は左右方向に離間している。左方に配置されている係合孔部10を左側係合孔部15と呼び、右方に配置されている係合孔部10を右側係合孔部16と呼ぶ。
2つのクリップ2は同形状である。図2および図3に示すように、クリップ2は、頭部3と、第1鍔部4と、頸部5と、第2鍔部6とを持つ。頭部3は突起状をなす。第1鍔部4は頭部3よりも大径の板状をなし、頭部3に一体化されている。第1鍔部4は頭部3の突起方向と略直交する方向に延びる。第2鍔部6は第1鍔部4よりもやや小径の板状をなし、第1鍔部4と略平行に配置されている。第1鍔部4と第2鍔部6とは離間し、頸部5によって一体化されている。頸部5は断面略長方形の角柱状をなす。後述する一対の第1側面31をむすぶ方向における頸部5の径は、一対の第2側面32をむすぶ方向における頸部5の径よりも小さい。さらに、頸部5は、頭部3、第1鍔部4および第2鍔部6よりも小径である。さらに、第1鍔部4の外径は係合孔部10の孔径よりも大きい。なお、頸部5、第1鍔部4および第2鍔部6は、本発明のクリップ式取付構造における取付部に相当する。
頭部3は、略角柱状をなす基部30と、基部30から突出する2つの第2係合爪35とを持つ。基部30は、互いに対向する2対の側面を持つ。このうち一対の側面は一対の第1側面31を構成し、他の一対の側面は第2側面32を構成している。第1側面31と第2側面32とは互いに直交する方向に延びている。また、第1側面31同士の距離は、第2側面32同士の距離よりも大きく、第1周壁11同士の距離および第2周壁12同士の距離とほぼ同じである。図3に示すように、基部30の2カ所には、切れ込み状のスリット33が形成されている。2つのスリット33は、互いに略平行であり、かつ、一方の第2側面32から他方の第2側面32に向けて延びている。このため基部30は、第2側面32同士が接近する方向に弾性変形可能である。
各第2側面32には、それぞれ、第2係合爪35が形成されている。第2係合爪35は、第2側面32に一体化され第2側面32の外側に向けて伸びる脚部36と、脚部36の先端に形成されている爪部37とを持つ。脚部36は弾性変形可能であり、第2係合爪35は第2側面32に接近する方向に弾性変形可能である。上述したように、基部30は第2側面32同士が接近する方向に弾性変形可能であり、第2係合爪35は第2側面32に接近する方向に弾性変形可能であるため、実施例1のクリップ式取付構造における頭部3は拡縮径可能である。
コンソールボックスは、図8および図9に示すコンソールボックスと同様に、2つの前側クリップ取付部を持つ。詳しくは、コンソールボックス本体(図略)の左壁前端部と右壁前端部とには、それぞれ、略板状のクリップ支持部80が一体形成されている。左方に配置されているクリップ支持部80を左側クリップ支持部81と呼び、右方に配置されているクリップ支持部80を右側クリップ支持部82と呼ぶ。左側クリップ支持部81は、コンソールボックス本体の左壁前端部から右方に向けて延びる。右側クリップ支持部82は、コンソールボックス本体の右壁前端部から左方に向けて延びる。左側クリップ支持部81および右側クリップ支持部82には、それぞれ、前側クリップ取付部83が形成されている。左側クリップ支持部81に形成されている前側クリップ取付部83を左側クリップ取付部84と呼び、右側クリップ支持部82に形成されている前側クリップ取付部83を右側クリップ取付部85と呼ぶ。左側クリップ取付部84には、スリット状をなし左側クリップ支持部81の端面に開口する左側連絡部86が連絡している。左側連絡部86のスリット幅は、左側クリップ取付部84の孔径よりも小さい。右側クリップ取付部85には、スリット状をなし右側クリップ支持部82の端面に開口する右側連絡部87が連絡している。右側連絡部87のスリット幅は、右側クリップ取付部85の孔径よりも小さい。左側クリップ取付部84および右側クリップ取付部85は略同形であり、左側連絡部86および右側連絡部87もまた略同形である。
以下、実施例1のクリップ式取付構造にAT車用コンソールボックス(取付部材)を取り付ける手順を説明する。
(第1工程)
先ず、一方のクリップ2(左側クリップ21と呼ぶ)を左側クリップ取付部84に取り付ける。このときクリップ2の頭部3をコンソールボックスの下側に向けつつ、頸部5を左側連絡部86にから左側クリップ取付部84に向けて差し込む。そして、第1側面31を左右方向に向け、第2側面32を前後方向に向ける。第1鍔部4の外径および第2鍔部6の外径は左側クリップ取付部84の孔径よりも大きいため、第1鍔部4および第2鍔部6が左側クリップ取付部84の周縁部と係合する。このため左側クリップ21は、左側クリップ取付部84に取り付けられる。同様に、他方のクリップ2(右側クリップ2と呼ぶ)を右側クリップ取付部85に取り付ける。この工程によって、2つのクリップ2がAT車用コンソールボックスに取り付けられる。
(第2工程)
次いで、AT車用コンソールボックスと2つのクリップ2との一体品を、左側クリップ21を左側係合孔部15に向け、右側クリップ2を右側係合孔部16に向けつつ、AT車用コンソールボックスと2つのクリップ2との一体品をボデー1に押し当てる。すると、左側クリップ21の頭部3は縮径しつつ左側係合孔部15に差し込まれ、右側クリップ2の頭部3は縮径しつつ右側係合孔部16に差し込まれる。このとき各クリップ2の頭部3は、第2係合爪35が係合孔部10を通り抜けると再度拡径する。そして、各第2係合爪35は、それぞれ対向する第1周壁11の周縁部と係合する(図3)。さらにこのとき、各クリップ2の第1側面31は各係合孔部10の第2周壁12に対向し、第2側面32は各係合孔部10の第1周壁11に対向する。したがって、各クリップ2は第2方向でAT車用コンソールボックスに取り付けられる。
以上の工程で、AT車用コンソールボックスはクリップ2を介してボデー1に取り付けられる。
図2および図4に示すように、クリップ2を第2方向でボデー1に取り付けると、クリップ2の第2側面32が係合孔部10の第1周壁11に対面する。一対の第1側面31同士の距離は、第1周壁11同士の距離および第2周壁12同士の距離とほぼ同じであり、一対の第2側面32同士の距離は一対の第1側面31同士の距離よりも小さいため、このとき各クリップ2は左右方向には移動できないが、前後方向には移動可能である。よって、このとき実施例1のクリップ式取付構造は、AT車用コンソールボックスが前後方向に移動できるように、AT車用コンソールボックスをボデー1に取り付け得る。そして、この前後方向の移動によって、AT車用コンソールボックスとボデー1との位置ズレを吸収し、AT車用コンソールボックスの意匠性悪化を抑制できる。
実施例1のクリップ式取付構造にMT車用コンソールボックス(取付部材)を取り付ける場合には、第1側面31を前後方向に向け、第2側面32を左右方向に向けつつ、2つのクリップ2をMT車用コンソールボックスに取り付ける。そして、上述した第2工程と同様の工程で、2つのクリップ2とMT車用コンソールボックスとの一体品をボデー1に取り付ける。すると、クリップ2の第1側面31が係合孔部10の第1周壁11に対向し、第2側面32が係合孔部10の第2周壁12に対向した状態(第1方向)で2つのクリップ2がボデー1に取り付けられ、MT車用コンソールボックスは2つのクリップ2を介してボデー1に取り付けられる。
図5に示すように、クリップ2を第1方向でボデー1に取り付けると、クリップ2の第1側面31が係合孔部10の第1周壁11に対面する。一対の第1側面31同士の距離は、第1周壁11同士の距離および第2周壁12同士の距離とほぼ同じであるため、このとき各クリップ2は左右方向には移動可能であるが前後方向には移動できない。よって、このとき実施例1のクリップ式取付構造は、MT車用コンソールボックスの前後方向の移動を規制しつつ、MT車用コンソールボックスをボデー1に取り付け得る。
以上のように、実施例1のクリップ式取付構造は、コンソールボックスの意匠性低下を抑制でき、かつ、AT車用コンソールボックスとMT車用コンソールボックスとに共用できる。
また、クリップ2の第2係合爪35がボデー1の係合孔部10の周縁部に係合することで、コンソールボックスをボデー1に安定して固定できる。
(実施例2)
実施例2のクリップ式取付構造は、係合孔部の形状および頭部の形状以外は実施例1のクリップ式取付構造と同じものである。実施例2のクリップ式取付構造は、上記(1)〜(5)を備える。実施例2のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材および相手部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図を図6〜図7に示す。詳しくは、図6は、AT車用コンソールボックスに取り付けたクリップをボデーに取り付けたときの、頭部と係合孔部との位置関係を模式的に表す概念図である。図7は、MT車用コンソールボックスに取り付けたクリップをボデーに取り付けたときの、頭部と係合孔部との位置関係を模式的に表す概念図である。以下、実施例2において前、後、左、右とは図6および図7に示す前、後、左、右を指す。
図6に示すように、実施例2のクリップ式取付構造における係合孔部10は、上面略長方形の角孔状をなす。詳しくは、係合孔部10における第1周壁11同士の距離は、第2周壁12同士の距離よりも大きい。
実施例2のクリップ式取付構造におけるクリップは、第1側面31に第1係合爪38が形成されていること以外は実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップと同形状である。
実施例2のクリップ式取付構造にAT車用コンソールボックスを取り付けると、図6に示すように、クリップの第1側面31はボデー1に形成されている係合孔部10の第2周壁12と対向し、クリップの第2側面32は係合孔部10の第1周壁11と対向する。すなわち、このときクリップは第2方向に取り付けられる。
このとき、クリップの第1係合爪38は第2周壁12の周縁部と係合する。このため、クリップに取り付けられているAT車用コンソールボックスは、クリップを介してボデー1に安定して固定される。
また、このときクリップの第2側面32同士の距離は第1側面31同士の距離よりも小さく、係合孔部10の第1周壁11同士の距離は第2周壁12同士の距離よりも大きいため、クリップは前後方向に大きく移動できる。換言すると、実施例2のクリップ式取付構造によると、第2方向におけるクリップの係合孔部10に対する移動可能領域が大きい。よって、実施例2のクリップ式取付構造によると、AT車用コンソールボックスが前後方向に比較的大きく移動できるように、AT車用コンソールボックスをボデー1に取り付け得る。そして、AT車用コンソールボックスとボデー1との比較的大きな位置ズレをも吸収できる。
図7に示すように、実施例2のクリップ式取付構造にMT車用コンソールボックスを取り付けると、クリップの第1側面31はボデー1に形成されている係合孔部10の第1周壁11と対向し、クリップの第2側面32は係合孔部10の第2周壁12と対向する。すなわち、このときクリップは第1方向に取り付けられる。
このとき、クリップの第1係合爪38は第1周壁11の周縁部と係合し、第2係合爪35は第2周壁12の周縁部と係合する。このため、クリップに取り付けられているMT車用コンソールボックスは、クリップを介してボデー1に安定して固定される。
また、このとき、クリップの第1側面31と第1周壁11とは近接しているため、クリップは前後方向には大きく移動しない。よって、実施例2のクリップ式取付構造によっても、MT車用コンソールボックスの前後方向の移動を規制しつつ、MT車用コンソールボックスをボデー1に取り付け得る。
よって、実施例2のクリップ式取付構造は、コンソールボックスの意匠性低下をより信頼性高く抑制でき、かつ、AT車用コンソールボックスとMT車用コンソールボックスとに共用できる。
なお、本発明のクリップ式取付構造は、第1係合爪38および第2係合爪35を持たなくても良い。例えば、頭部3を基部30のみで構成し、頭部3を係合孔部10に圧入しても良い。この場合には、クリップの第1側面31と係合孔部10の第1周壁11とが圧接するか、または、クリップの第1側面31と係合孔部10の第2周壁12とが圧接することで、クリップを相手部材に固定でき、クリップに取り付けられている取付部材を相手部材に固定できる。
本発明のクリップ式取付構造において、取付部材とクリップとの取り付け方法は係合に限定されない。例えば、取付部材とクリップとの取り付け方法として、螺合、接着、溶着等の方法を選択しても良い。
本発明のクリップ式取付構造における相手部材は自動車のボデーに限定されず、取付部材はコンソールボックスに限定されない。本発明のクリップ式取付構造は、同一の相手部材に対して取り付け基準の異なる複数の取付部材が存在する装置に適用できる。
実施例1のクリップ式取付構造を模式的に表す要部拡大斜視図である。 実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材および相手部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図である。 実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材および相手部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図である。 実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材および相手部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図である。 実施例1のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材および相手部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図である。 実施例2のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材および相手部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図である。 実施例2のクリップ式取付構造におけるクリップを取付部材および相手部材に取り付けている様子を模式的に表す説明図である。 一般的なクリップ式取付構造をマニュアルトランスミッション式自動車用のコンソールボックスに取り付けた様子を模式的に表す説明図である。 一般的なクリップ式取付構造をオートマティックトランスミッション式自動車用のコンソールボックスに取り付けた様子を模式的に表す説明図である。
符号の説明
1:ボデー(相手部材) 2:クリップ 3:頭部 4、5、6:取付部
10、15、16:係合孔部 11:第1周壁 12:第2周壁
31:第1側面 32:第2側面 35:第2係合爪 38:第1係合爪

Claims (6)

  1. 取付部材に取り付けられる取付部と突起状をなす頭部とを持つクリップと、貫通穴状をなす係合孔部を持つ相手部材と、を持ち、該頭部を該係合孔部に差し込むことで該クリップを介して該取付部材を該相手部材に取り付けるクリップ式取付構造であって、
    該相手部材は、該係合孔部の周壁の一部であり互いに対向する一対の第1周壁と、該第1周壁と直交する方向に延び互いに対向する一対の第2周壁と、を持ち、
    該頭部は、互いに対向する一対の第1側面と、該第1側面と直交する方向に延び互いに対向する一対の第2側面と、を持ち、該第1側面同士の距離は、該第2側面同士の距離よりも大きく、
    該クリップは、第1側面と第1周壁とが対向する第1方向と、該第1側面と第2周壁とが対向する第2方向と、でそれぞれ該相手部材に取り付け可能であることを特徴とするクリップ式取り付け構造。
  2. 前記頭部は、突起状をなし前記第2側面に形成されている第2係合爪を持ち、
    該第2係合爪は、前記頭部を前記係合孔部に差し込むと前記係合孔部を通り抜け、前記第1方向において前記第2周壁の周縁部と係合する請求項1に記載のクリップ式取付構造。
  3. 前記頭部は、突起状をなし前記第1側面に形成されている第1係合爪を持ち、
    該第1係合爪は、前記頭部を前記係合孔部に差し込むと前記係合孔部を通り抜け、前記第1方向において前記第1周壁の周縁部と係合する請求項1または請求項2に記載のクリップ式取付構造。
  4. 前記第1周壁同士の距離は前記第2周壁同士の距離よりも大きい請求項1〜請求項3の何れか一つに記載のクリップ式取付構造。
  5. 前記頭部の少なくとも一部は弾性変形可能であり、
    前記頭部は、前記第1係合爪および/または前記第2係合爪が前記係合孔部の周壁に対面する際に一旦縮径し、前記第1係合爪および/または前記第2係合爪が前記係合孔部を通り抜けると再度拡径する請求項2〜請求項4の何れか一つに記載のクリップ式取付構造。
  6. 前記相手部材は自動車のボデーであり、前記取付部材はコンソールボックスである請求項1〜請求項5の何れか一つに記載のクリップ式取付構造。
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