JP2010018589A - レチノイドX受容体とペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体−γの発現誘導剤 - Google Patents

レチノイドX受容体とペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体−γの発現誘導剤 Download PDF

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Abstract

【課題】RXR及びPPAR−γを特異的に発現誘導する物質の提供。
【解決手段】コラーゲンはRXR及びPPAR−γの発現を誘導し、脂質及び糖の代謝促進剤、または飲食品の有効成分として用いることができる。コラーゲンとしては、可溶化コラーゲン、コラーゲンペプチド等が好ましく、水生生物由来、特に鮭由来のコラーゲンが好ましい。また、コラーゲンとレチノイン酸類縁化合物と同時使用することにより前記代謝促進作用が増強される。
【選択図】なし

Description

本発明は、コラーゲンを有効成分として含むレチノイドX受容体(RXR)とペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)−γの発現誘導剤及びそれを含有してなる医薬、飲食品に関する。詳しくは、RXR及びPPAR-γの下流で制御される脂質及び糖の代謝活性化剤及び医薬、飲食品に関する。
肥満は、先進国では長年に渡り国民的課題となってきたが、内蔵脂肪が溜まることで代謝異常を起こすメタボリックシンドロームとして見直されている。我が国でも2008年4月から国の制度としてメタボ検診が義務化され、国民の関心は益々高まっている。
メタボリックシンドロームは、食べすぎや運動不足が原因とされ、血糖や血圧、中性脂肪の値が極端に悪いわけではなく、東洋医学でいういわゆる「未病」状態を指し、生活習慣病の前段階で、血糖値や血圧がやや高く、お腹が出てきた症状をさす。日本人の三大死因「がん、心臓病、脳卒中」の二つ心臓病と脳卒中については動脈硬化が主な原因といわれ、「動脈硬化」の原因として、内臓脂肪の蓄積があげられており、従来のコレステロールの他にも、肥満(内臓脂肪蓄積)がさまざまな生活習慣病を引き起こしていることが指摘されている。
内臓脂肪を減らすためには、運動や食生活を見直す必要がある。その見直しには、カロリー計算された食事の摂取やウォーキング等の運動で自己管理促す保健指導に重点が置かれるが、それを補助する手段として様々な代謝改善剤が提案され、医薬品として、あるいは特定保健用食品として販売されている。
中でも「漢方処方エキス製剤」は生薬として長年の経験の中で培われた緩やかな効能を特長として医薬品として使用されている。例えば、腹部の脂肪代謝の促進と便秘体質改善に使用する「防風通聖散」は、新薬では訴求困難な肥満対策を、脂肪燃焼効果と表現することで市場では多くの使用者を獲得しているが、生薬特有の味と臭いは継続的な服用の障害となるばかりでなく、便秘体質でない服用者の下痢が副作用として指摘され、誰もが必ずしも常用できにくいという欠点がある。
また、従来の生薬や特定保健用食品は、代謝実験により「脂質代謝改善」等の効能等を実証してはいるが、遺伝子発現レベルまでその効果原理を追求したものは少なく、効果ばかりか安全性の観点からも改善が望まれる。
この両者を同時にモニターできるものとして、DNAマイクロアレイが挙げられる。DNAマイクロアレイを用いて網羅的に遺伝子発現変動を調べ食品成分の効果原理を明らかにした例として、ゴマに含まれるセサミンがある。セサミンはアルコール代謝を促進するが(特開2005−35997公報)、そのメカニズムはセサミンがアルコール脱水素酵素の発現を高めることによるものである(Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 69 (1): 179-188 (2005))。
また、医薬品開発の分野では開発中の新規医薬品の有効性や安全性を臨床試験に入る前に正確に予測するために、DNAマイクロアレイが用いられてきている。以上のように、DNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現変動を網羅的に解析し、食品中の機能性成分の効果原理と副作用を確認することは有効な方法である。
ところで、脂質及び糖質の代謝にかかわる酵素群は核内受容体と呼ばれる転写調節因子によって発現をmRNAレベルで制御されている。したがって、代謝調節に関わる核内受容体の機能を調節する作働剤及び阻害剤などの分子は、代謝改善剤の候補となりえることから、今までいくつか発見されている(特許文献1〜3)。
核内受容体のレチノイン受容体X(RXR)は同じく核内受容体のペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)と複合体を形成し、脂質代謝、糖質代謝、脂肪細胞分化に関わる遺伝子群の発現を制御する。したがって、RXRもまた代謝調節剤の創薬標的とされ、その機能調節剤が発見されている(特許文献4〜6)。
しかし、レチノイン酸類縁化合物はRXR、RARなど様々なタイプの核内受容体に非特異的に作用してしまうため、催奇形性などの副作用を引き起こす可能性がある。
特開平10−175861号公報 特開2008−133247号公報 特開2006−306800号公報 特開2003−81832号公報 特表平8−511027号公報 特表平8−506816号公報
レチノイドX受容体(RXR)はペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)とのヘテロ二量体を形成して転写を制御し、糖及び脂質の代謝を調節する核内受容体である。特定のRXRを特異的に発現誘導する物質は副作用が少なく、肥満、糖尿病、高脂血症などの予防・治療剤として有用である。従って、機能性食品や医薬品素材として優れた性質を有し、安全な特定レチノイド受容体発現誘導剤の開発が望まれている。
本発明者らは、動物実験で鮭由来のコラーゲンペプチドを投与したところ、対照のカゼイン分解物投与群と比較して、体重の増加が抑制されることを見出した。DNAマイクロアレイでこの時の肝臓における遺伝子発現を網羅的に解析した結果、糖や脂質の代謝を制御するレチノイドX受容体ガンマ(RXR−γ)とペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体ガンマ(PPAR−γ)の遺伝子発現が促進されること、さらにはRXR−γの制御を受ける糖代謝及び脂質代謝に重要な遺伝子群の発現が促進されることを確認し、この遺伝子発現変化を介して脂肪酸のβ酸化及びTCAサイクルといった脂質及び糖の代謝を活性化させ、体重増加を抑制し得ることを見出した。本発明はその知見に基づき完成したものであり、以下の構成からなる。
[1]コラーゲンを有効成分として含むレチノイドX受容体とペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体−γの発現誘導剤。
[2]コラーゲンが可溶化コラーゲン及びコラーゲンペプチドの少なくとも1種である前記1に記載の発現誘導剤。
[3]コラーゲンを有効成分として含有する脂質及び/または糖の代謝促進剤。
[4]コラーゲンが可溶化コラーゲン及びコラーゲンペプチドの少なくとも1種である前記3に記載の代謝促進剤。
[5]1回あたりのコラーゲンの経口投与量が体重1kgあたり1〜500mgである前記4に記載の代謝促進剤。
[6]さらにレチノイン酸類縁化合物を含む前記3〜5のいずれかに記載の代謝促進剤。
[7]コラーゲンを有効成分として含有し、脂質及び/または糖の代謝促進のために用いられるものである旨の表示をした飲食品。
[8]コラーゲンが可溶化コラーゲン及びコラーゲンペプチドの少なくとも1種である前記7に記載の飲食品。
[9]脂質及び/または糖の代謝促進のために用いられるものである旨の表示が、肥満の予防及び/または改善の表示である前記7または8に記載の飲食品。
[10]1回あたりのコラーゲンの摂取量が体重1kgあたり1〜500mgである前記7〜9のいずれかに記載の飲食品。
[11]さらにレチノイン酸類縁化合物を含む前記7〜10のいずれかに記載の代謝促進剤。
本発明のコラーゲンを有効成分として用いたRXR及びPPAR発現誘導剤は、RXR−γとPPAR−γのの発現量のみを特異的に増加させ、下流にある糖及び脂質代謝に関わるCPT1、CYP7a、MOD1の発現量も増加させる。RXR−γの遺伝子多型は近年の研究で肥満、糖尿病、高脂血症、動脈硬化との関連性が指摘されていることから、RXRのなかでもとりわけ代謝制御に重要な役割を持っているとされ、PPAR-γの遺伝子多型は、組織のインスリン感受性を亢進させるといわれており、糖尿病治療のターゲットの一つとなっているほか、免疫過程への関与も指摘されている。
一方レチノイン酸類縁物質は代謝以外にも発生過程の制御におけるモルフォゲンとして重要な役割を果たしている。これまで知られるRXRの機能調節剤はすべてのRXRに非特異的に効果を持つことから、脂質・糖質代謝以外の広範囲の遺伝子発現に影響を及ぼす可能性があり、催奇形性などの副作用を産むことが懸念される。
本発明ではRXR−γとPPAR−γだけの発現を特異的に亢進させることにより、これらの疾病に対する予防・改善効果を示しつつ、副作用を最小限にすることができる。
また、この効果を更に増強させるために、レチノイン酸関連物質を経口投与することが有効である。ビタミンAとの同時投与により、コラーゲンペプチドの単独投与と比較してCPT1、CYP7a、MOD1の発現量がさらに増加する。このとき血中の中性脂肪が低下しており、代謝調節機能が発揮された結果、体重の増加も抑制される。
このRXR−γ及びPPAR−γの発現誘導剤を日常摂取する形態としては、コラーゲンペプチドとビタミンAをあわせて錠剤化したものが効果的である。また、ビタミンAに代謝されるカロテンを豊富に含むニンジンジュースにコラーゲンを配合させたものなどは日常的に摂取しやすいうえに効果的である。
このようにコラーゲンはレチノイドX受容体及びペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体、特にRXR−γとPPAR−γに発現誘導作用を有し、当該作用を介して脂質や糖の代謝を促進させることができるので、その代謝異常等に基づく疾患の予防または治療剤として使用することができる。また、その代謝促進作用に基づき、肥満の予防・改善や、糖尿病、高脂血症、動脈硬化などの予防、亢進抑制及び治療に有用である。
本発明で用いられるコラーゲンとしては、未変性のコラーゲン、可溶化したコラーゲン、ゼラチン、コラーゲンペプチドのいずれでも良いが、可溶化したコラーゲン、ゼラチンまたはコラーゲンペプチドが好ましい。
本発明で用いられるコラーゲンの原料由来は地上動物性及び水生動物性のいずれでも構わない。地上動物性としては、豚、鶏、ウシ等由来のものが挙げられる。水生動物性としては、海水性(海洋性)、淡水性のいずれでもよく、例えば、鮭、カツオ、マグロ、カジキ、タラ、アジ、サバ、マス、サンマ、ウナギ、テラピア、サメ、エイ、フグ、ブリ、カサゴ、メバル等が挙げられ、鮭等が好ましい。
本発明では、上記水生動物性コラーゲンのアミノ酸配列に由来する化学的特徴やBSE等の安全性に関する低リスク性を考慮すると、水性動物性、特に魚類のコラーゲンを利用することが好ましい。さらに好ましくは、昨今の消費者の食に対する安全性に対する要求に鑑み、由来(トレーサビリティー)の確かな天然の食用魚の食用部分を利用したものであり、製品安全性の観点から、本発明の医薬または飲食品には、天然可食魚の可食部分、例えば天然鮭真皮から製造したコラーゲンペプチドを用いることがより特に好ましい。
天然鮭真皮から本発明で使用できるコラーゲンペプチドを製造する方法としては、例えば、鮭の身と皮を分別し、皮からコラーゲンをゼラチンとして抽出し、固形分を分離した後、精製及び濃縮し、得られた濃縮液をタンパク質加水分解酵素を用いて分解することによりコラーゲンペプチドを得ることができる。
本発明で用いるコラーゲンは、レチノイドX受容体(RXR)及びペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)の発現誘導作用を有し、中でも特にRXR−γとPPAR−γを特異的に発現誘導し、その発現誘導に基づいて脂質及び糖の代謝促進作用を発現するので、これらの代謝異常に基づく疾病、症状、病態を予防、改善、治療する薬剤として、あるいは脂質及び/または糖の代謝促進のための飲食品、特定保健用飲食品、健康飲料、健康食品、栄養食品、機能性食品、肥満の予防及び/または改善用の食品として用いることができる。
脂質及び糖の代謝異常に基づく疾病、症状、病態としては、例えば、肥満、糖尿病、高脂血症などが挙げられる。
また、RXRはレチノイン酸類縁化合物の結合により活性化することから、RXRの発現誘導作用を有するコラーゲンとレチノイン酸類縁化合物を同時に投与または摂取させることにより、同作用は大きく増強される。レチノイン酸類縁化合物としては、レチノイン酸、βカロテン、ビタミンA等が挙げられる。
有効成分としてのコラーゲンの配合量は、使用目的、摂取者の年齢、摂取方法、同時に摂取する脂質の量などに応じて適宜定めればよいが、通常、1回あたりのコラーゲンの摂取量が体重1kgあたり1〜500mg、好ましくは10〜300mg程度とする。
本発明の有効成分であるコラーゲンは、従来より食品等として摂取されており、安全性について問題がないので、上記範囲よりも多量に使用しても何ら構わない。
コラーゲンとレチノイン酸類縁化合物を同時使用する場合は、コラーゲン100質量部に対してレチノイン酸誘導体は0.001〜5質量部の範囲で用いることが好ましい。
薬剤として使用する場合、本有効成分は、種々の形態で投与されるが、好ましくは錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等として経口投与する。これらの各種製剤は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。
食品として使用する場合には、本有効成分をそのまま経口摂取したり、他の食品ないし食品成分と併用したりして適宜常法にしたがって使用できる。他に併用する成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、キトサン、グアーガム、マンナンまたはその誘導体などの食物繊維、各種ビタミン(例えばビタミンC及びその誘導体)が挙げられる。
本発明にかかる食品は、固体状(粉末、顆粒状その他)、ペースト状、液状ないし懸濁状のいずれでもよいが、ビスケットなどの固形状、ゼリー状とするか、甘味料、酸味料、ビタミン剤その他ドリンク剤製造に常用される各種成分を用いて飲料とする。
脂質及び/または糖の代謝促進のために用いられるものである旨の表示をした飲食品における「表示をした飲食品」とは飲食品の容器や取り扱い説明書等に表示を付した飲食品をいう。
本発明の効果、好ましい実施様態を実施例により説明するが、下記の実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
参考例1:コラーゲンペプチド
原料には国内産のシロ鮭(学名:Oncorhynchus keta)の真皮を用いた。
国内産のシロ鮭(学名:Oncorhynchus keta)の身と皮を分別し、短冊状とした皮を十分洗浄し、コラーゲン抽出用原料とした。本原料は水分75%程度、コラーゲン15〜20%程度、ウロコその他の成分を5〜10%程度からなる。
本原料500kgを2000L容抽出槽に入れて水を満たし、撹拌しながら約1時間で70〜80℃まで加温し、4〜5時間ゼラチンを加熱抽出した。抽出液を外部に取り、同様の抽出操作を4〜5回繰り返した後、固形分を分離したものをゼラチン抽出液とした。このゼラチン抽出液を活性炭槽、イオン交換樹脂槽を通して精製して、さらに真空濃縮して、屈折率による固形物濃度(ブリックス)30%前後の精製ゼラチン濃縮液を得た。得られた濃縮液を20℃に保ち、酵素(天野エンザイム株式会社製パパインW−40(力価400U/ML以上);600g)を用いて分解処理し、18時間経過後、80℃で1時間加温して酵素を失活させ、コラーゲンペプチドを得た。さらにライン殺菌後噴霧乾燥を行い、コラーゲンペプチド粉末を得た。
得られた粉末のアミノ酸組成分析(6N HCl 24時間加水分解後、ニンヒドリン法で自動分析。使用機器:日本電子JLC/500V)した結果は表1の通りである。
Figure 2010018589
得られたコラーゲンペプチドの分子量分布を表わすゲル濾過のクロマトグラムを図1に示す。クロマトグラフィーの条件は表2の通りである。分子量は分子量マーカーとしてトリプシンインヒビター、チトクロームC、アプロチニン、グルタチオン(酸化型)、トリグリシン、グリシンを用いて検量線を作成し、算出した。また、分子量範囲区分による分子量分布率を図2に示す。
Figure 2010018589
実施例1:コラーゲンペプチドのレチノイドX受容体(RXR)及びペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)の発現促進及び体重増加に対する抑制効果確認
参考例1で製造したコラーゲンペプチドを用い、マウスに経口投与した際の体重及び肝臓における遺伝子発現の変化を調べることで、魚類コラーゲンペプチドの肝臓における代謝に対する作用を明らかにすることを目的に検討を行った。
[方法]
6週令ヘアレス(Hos:HR1)系統雄マウスを1週間馴化飼育した後、カゼイン分解物投与群、コラーゲンペプチド投与群(1mg/day及び5mg/day)に分け、48日間経口用ゾンデで毎日投与し、体重の変化を測定した。
また、48日間の投与試験終了後、24時間絶食させ、解剖を行い、肝臓を摘出してRNAを抽出し、DNAマイクロアレイ解析で遺伝子発現を比較した。
[結果と考察]
図3に体重の変化の結果を示す。図3から明らかなように、カゼイン分解物を投与した群と比べて、コラーゲンペプチド投与群では摂食量はほぼ等しいにもかかわらず、体重が低く推移した。これは等しいカロリー摂取でもコラーゲンを投与することにより体重増加を抑制できることを示す。
図4に、カゼイン投与群とコラーゲンペプチド投与群でDNAマイクロアレイ解析で肝臓における遺伝子発現を比較した結果を示す。図4から、脂肪酸のβ酸化の際の脂肪酸のミトコンドリアへの輸送に関わるcarnitine palmitoyltransferase(CPT1)遺伝子の発現がコラーゲンペプチド投与群ではカゼイン投与群の3倍以上に亢進していた。また、コレステロールを胆汁酸に異化して排出する代謝系の鍵酵素であるCYP7a1の遺伝子発現もコラーゲン投与群で2倍以上に亢進しており、コレステロール代謝が活発化して排出が促進されていることがわかる。また、オキサロ酢酸からリンゴ酸を生成させるmalic enzyme(MOD1)の発現がコラーゲンペプチド投与群で上昇しており、TCAサイクルの活性化が起こっていることがわかる。さらに、以上の3遺伝子を転写制御しているのはレチノイドX受容体(RXR)及びペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)であるが、この受容体のひとつであるRXR−γ(Nr2b3)とPPAR−γの遺伝子発現がコラーゲン投与によって高まっており、他のレチノイドX受容体であるRXR−α、RXR−β、PPAR−α、PPAR−σについては発現亢進しておらず、コラーゲンによりRXR−γとPPAR−γが特異的に発現していることがわかる。
これらの結果から、下記のようにコラーゲンが前述のCPT1、CYP7a1、MOD1の転写の促進を導き、糖及び脂質の代謝を高めること、この代謝促進によって体重増加の抑制を引き起こしたものと理解できる。
Figure 2010018589
実施例2:レチノイン酸類縁化合物の同時使用の効果
[方法]
6週令ヘアレス(Hos:HR1)系統雄マウス(平均体重25g)を1週間馴化飼育した後、カゼイン分解物投与群、コラーゲンペプチド投与群(5mg/day)、ビタミンA(レチノイン前駆物質)+カゼイン分解物投与群、ビタミンA+コラーゲンペプチド投与群に分け、30日間経口用ゾンデで毎日投与し、体重の変化を測定した。コラーゲンペプチドは参考例1で製造したものを用いた。
また、30日間の投与試験終了後、24時間絶食させ、解剖を行い、大腿部筋肉及び肝臓を摘出してRNAを抽出し、定量的RT−PCR解析で遺伝子発現を比較した。また血漿及び肝臓のトリグリセリドとコレステロール量を測定した。
[結果と考察]
カゼイン分解物を投与した群と比べて、コラーゲンペプチド投与群では体重が低く推移し、ビタミンA+コラーゲン群ではさらに体重が低下した。血液及び肝臓中の中性脂肪とコレステロールも同様に、コラーゲンペプチド投与群では低く、ビタミンA+コラーゲン群ではさらに低下した。RT−PCR解析で肝臓及び筋肉における遺伝子発現を比較した。肝臓では、RXR−γ、CPT1、CYP7a1、MOD1各遺伝子の発現は、カゼイン群<カゼイン+VA群<コラーゲン群<コラーゲン+VA群となった。また、筋肉ではRXR−γ、CPT1、MOD1の発現量も、カゼイン群<カゼイン+VA群<コラーゲン群<コラーゲン+VA群となった。血液及び肝臓のトリグリセリド及びコレステロール量はコラーゲン+VA群<コラーゲン群<カゼイン+VA群<カゼイン群であった。以上の結果より、コラーゲンペプチド投与ではレチノイドX受容体のRXR−γの発現が上昇して受容体が増加し、この受容体の転写促進能を活性化するリガンド前駆体であるビタミンAの同時投与により、RXR−γの転写活性化能がさらに高まり、CPT1、CYP7a1、MOD1の転写の促進を導き、糖及び脂質の代謝がコラーゲン単独投与に比べて高まったと考えられる。この代謝促進によって中性脂肪及びコレステロールが減少し、体重増加の抑制を引き起こしたものと考えられる。
実施例3:製剤例
下記成分を用い、常法に従って1錠200mgの錠剤を製造した。
Figure 2010018589
実施例4:飲料の製造例
ニンジンはビタミンAを多く含む野菜であることから、下記成分を用い、コラーゲン入りニンジンジュースを製造した。
Figure 2010018589
参考例1で製造したコラーゲンペプチドの分子量分布を示すゲル濾過のクロマトグラム。 参考例1で製造したコラーゲンペプチドの分子量範囲区分による分子量分布率を示すグラフ。 実施例1においてマウスの体重の経時変化を表わすグラフ。 実施例1においてDNAマイクロアレイで調べた遺伝子発現の差異を表わすグラフ。

Claims (11)

  1. コラーゲンを有効成分として含むレチノイドX受容体とペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体−γの発現誘導剤。
  2. コラーゲンが可溶化コラーゲン及びコラーゲンペプチドの少なくとも1種である請求項1に記載の発現誘導剤。
  3. コラーゲンを有効成分として含有する脂質及び/または糖の代謝促進剤。
  4. コラーゲンが可溶化コラーゲン及びコラーゲンペプチドの少なくとも1種である請求項3に記載の代謝促進剤。
  5. 1回あたりのコラーゲンの経口投与量が体重1kgあたり1〜500mgである請求項4に記載の代謝促進剤。
  6. さらにレチノイン酸類縁化合物を含む請求項3〜5のいずれかに記載の代謝促進剤。
  7. コラーゲンを有効成分として含有し、脂質及び/または糖の代謝促進のために用いられるものである旨の表示をした飲食品。
  8. コラーゲンが可溶化コラーゲン及びコラーゲンペプチドの少なくとも1種である請求項7に記載の飲食品。
  9. 脂質及び/または糖の代謝促進のために用いられるものである旨の表示が、肥満の予防及び/または改善の表示である請求項7または8に記載の飲食品。
  10. 1回あたりのコラーゲンの摂取量が体重1kgあたり1〜500mgである請求項7〜9のいずれかに記載の飲食品。
  11. さらにレチノイン酸類縁化合物を含む請求項7〜10のいずれかに記載の代謝促進剤。
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