JP2010018528A - 食物繊維と希少糖を含む生体機能改善組成物。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 食物繊維と、希少糖を有効成分として含有する生体機能改善組成物。食物繊維を組成物全体の1重量%以上、希少糖および/またはその誘導体を組成物全体の2重量%以上含有する。希少糖は、D-プシコースおよび/ またはその誘導体である。生体機能改善は、肝機能、血糖値、血清脂質値、体重増加、および内臓脂肪蓄積の一以上の改善である。食物繊維は水溶性食物繊維である。食物繊維は難消化性デキストリンである。上記いずれかに記載の生体機能改善組成物を含有する飲食品、健康食品、医薬品、医薬部外品、口腔用組成物、または化粧品。上記いずれかに記載の生体機能改善組成物を配合することを特徴とする飲食品、健康食品、医薬品、医薬部外品、口腔用組成物、または化粧品の製造方法。
【選択図】 なし
Description
希少糖のうち、D-プシコースに関して、低カロリー(非特許文献1)、血糖値改善(特許文献8、非特許文献2)、動脈硬化改善効果(特許文献8)などの報告があることから、生活習慣病予防素材や生体機能改善剤として期待されている。
しかしながら、これらを併用した場合の生体機能の改善を報告したものはこれまでなされていない。
そこで、本発明は、これらの物質のそれぞれが持つ欠点を補い、かつ新しい生体機能改善をも有する組成物を作り出すことを目的とする。具体的には、希少糖および/ またはその誘導体を有効成分として含有する生体機能改善組成物を提供することを目的とする。より具体的には、D-プシコースおよび/ またはその誘導体を有効成分として含有する生体機能改善組成物を提供することを目的とする。
さらにまた、本発明は、食物繊維と希少糖、より具体的にはおよび/ またはその誘導体を含む生体機能改善組成物を含有する飲食品、医薬品もしくは医薬部外品、口腔用組成物、または化粧品を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、食物繊維と、希少糖および/ またはその誘導体を有効成分として含有する生体機能改善組成物を要旨とする。
そして、本発明によれば、良好な生理作用を奏しつつ、多量に摂取すると下痢、嘔吐などの副作用を示す食物繊維の摂取容量を減じることができ、同じく、摂取容量が多い場合に代謝する量も多くなるなどのD-プシコースおよび/またはその誘導体の摂取容量を減じることができる。さらに、本発明によれは、現在まだ高価であるD-プシコースおよび/またはその誘導体の使用量を減じることができる。
さらにまた、本発明によれば、食物繊維と希少糖、好ましくはD-プシコースおよび/またはその誘導体を含む飲食品、医薬品、医薬部外品、口腔用組成物、または化粧品、ならびに、その製造方法を提供することができる。
本発明で用いられる食物繊維としては、ポリデキストロース、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、難消化性デキストリン等の水溶性食物繊維や、セルロース、リグニン、ヘミセルロース等の不溶性食物繊維等、またはこれらの酵素処理することにより得られる食物繊維、または天然にこれらの食物繊維を含むものなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
食物繊維には水に不溶性の食物繊維と水溶性の食物繊維がある。水に不溶性のものとしてはセルロース、小麦ふすま、アップルファイバー、さつまいもファイバー、キチンなどが例示される。水溶性のものとしてはさらに高粘性物と低粘性物に大別され、高粘性物としてはペクチン、コンニャクマンナン、アルギン酸、グアーガム、寒天など、低粘性物としては難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物などが例示される。日本国内で一般に知られている食物繊維の内、低粘性の水溶性食物繊維とは、50重量%以上の食物繊維を含有し、常温水に溶解して低粘性の溶液、おおむね5重量%水溶液で20mPas以下の粘度を示す溶液となる食物繊維素材を指称する。具体的には、難消化性デキストリン、グアーガム加水分解物、ライテス、ヘミセルローズ由来の物などが挙げられるが、この他にも低粘性、水溶性の条件を満たす食物繊維素材は何れも包含される。
グアーガムの加水分解物はグアーガムを酵素により加水分解したもので、その性状は通常低粘性で冷水可溶、水溶液は中性で無色透明である。
ヘミセルロース由来の物は、通常コーンの外皮からアルカリで抽出し、精製して製造されたもので、平均分子量は約20万と大きいが、5%水溶液の粘度は10cps程度と低く、水に溶けて透明な液になる。
ライテスはブドウ糖とソルビトールをクエン酸の存在下で液圧加熱して重合させ、精製したもので水溶性で低粘性である。
これら低粘性の水溶性食物繊維の中でも、本発明の組成物としては難消化性デキストリンが最も効果的で好ましい。
希少糖とは、自然界に微量にしか存在しない単糖および糖アルコールと定義づけることができる。
六炭糖(ヘキソース)については、アルドースの場合はL-アロース、L-グロース、L-グルコース、L-ガラクトース、L-アルトロース、L-イドース、L-マンノース、L-タロース、D-タロース、D-マンノース、D-イドース、D-アルトロース、D-ガラクトース、D-グルコース、D-グロース、D-アロースの16種類、ケトースの場合はL-プシコース、L-ソルボース、L-フルクトース、L-タガトース、D-タガトース、D-フルクトース、D-ソルボース、D-プシコースの8種類が存在し、自然界に多量に存在する単糖は、D-グルコース、D-フラクトース、D-ガラクトース、D-マンノース、D-リボース、D-キシロース、L-アラビノースの7種類あり、それ以外の単糖は全て希少糖である。
D-プシコースは天然に微量ではあるが存在する単糖であって、これら希少糖はヒトに対する毒性の報告はなく、動物に対する毒性は低いと考えられる。
また、単糖類を還元すると、アルデヒド基およびケトン基はアルコール基となり、炭素原子と同数の多価アルコールとなる。ある出発化合物から分子の構造を化学反応により変換した化合物を出発化合物の誘導体と呼称することから、糖アルコールは糖誘導体である。
L-アルトリトール、L-グリトール、L-グルシトール、L-ガラクチトール、L-アルトリトール、L-イディトール、L-マンニトール、L-タリトール、D-タリトール、D-マンニトール、D-イディトール、D-アルトリトール、D-ガラクチトール、D-グルシトール、D-グリトール、D-アリトールが存在する。なお、ポリオール(糖アルコール)の場合は、二種類の名前として表示するが180度回転させると重なることからも同一物質である。D-グルシトールとL-グリトール、 L-タリトールとL-アルトリトール、D-グリトールとL-グルシトール、D-アルトリトールとD-タリトール、L-アリトールとD-アリトール、 L-ガラクチトールとD-ガラクチトールが同一物質である。自然界にはD-ソルビトール(D-グルシトール)が比較的多いがそれ以外のものは量的には少ないので、これらも広義の希少糖と考えられる。
D-プシコースは希少糖のうち、現在大量生産ができている希少糖である。D-プシコースは、希少糖に属するケトヘキソースに分類されるプシコースのD体であり六炭糖(C6H12O6)である。D-プシコース甘味は上品で爽やかで、サッカリンのような苦みや渋みを伴う不快感はなく、むしろフラクトースの甘味に類似している。甘味度は蔗糖の約70%である。
D-プシコースに関しては、現在フラクトースを酵素(エピメラーゼ)処理して得られる製法が一般的であるが、天然物から抽出される、もしくは天然物中に含まれるものをそのまま用いても良い。
D-プシコースを製造するに際し、精製酵素を使っても良いし、該酵素を生産する微生物でも良い。さらにケトヘキソース3−エピメラーゼは、フラクトースなどのケトヘキソースの3位のOHを異性化する酵素で、D-タガトース3−エピメラーゼやD-プシコース3−エピメラーゼを用いる方法も知られている(文献:特許第3333969号、非特許文献2)。また、精製酵素または、該酵素生産微生物を固定化した固定化酵素、固定化微生物でも良い。
本発明で用いるD-プシコースの誘導体について説明する。ある出発化合物から分子の構造を化学反応により変換した化合物を出発化合物の誘導体と呼称する。D-プシコースを含む六炭糖の誘導体には、糖アルコール(単糖類を還元すると、アルデヒド基およびケトン基はアルコール基となり、炭素原子と同数の多価アルコールとなる)や、ウロン酸(単糖類のアルコール基が酸化したもので、天然ではD-グルクロン酸、ガラクチュロン酸、マンヌロン酸が知られている)、アミノ糖(糖分子のOH基がNH2基で置換されたもの、グルコサミン、コンドロサミン、配糖体などがある)などが一般的であるが、それらに限定されるものではない。
D-プシコースの誘導体としては、その糖アルコール、ウロン酸、アミノ糖などが好ましいものとして例示される。
また、本発明が提供する生体機能改善組成物にあっては、食物繊維と、希少糖および/ またはその誘導体を配合することを特徴とする。かかる食物繊維の配合は、一緒に摂取する希少糖および/ またはその誘導体と共に生体機能的にお互いの短所を軽減するのみならず、長所を伸ばし、特に肝機能改善などに関しては相乗的な作用も認められる。
本発明の生体機能改善組成物は、例えば難消化性デキストリンの摂取量が、1日に取るべき食物繊維量15〜21gのうち、不足しているといわれ留量が5〜9gであることから、1日当たりの量として2000〜8000mgになるように用いることができる。
あるいはD-プシコースおよび/またはその誘導体の投与量は、経口投与の場合、成人に対しD-プシコースとして、1日量0.3〜50gを摂取するように用いることができる。
食物繊維とD-プシコースの含有率は、食物繊維が全体の1%以上およびD-プシコースが全体の2%以上で、動物実験におけるラットの生体機能の改善効果を有する。
本発明の組成物の、前記生体作用改善を目的とした食品素材あるいは食品添加物としての使用形態としては、錠剤、カプセル剤、飲料などに溶解させる粉末あるいは顆粒などの固形剤、ゼリーなどの半固形体、飲料水などの液体、希釈して用いる高濃度溶液などがある。
さらに、本発明の組成物を適宜食品に添加して生体機能改善などを目的とした保健食または病人食とすることができる。任意的成分として、通常食品に添加されるビタミン類、炭水化物、色素、香料など適宜配合することができる。食品は液状または固形の任意の形態で食することができる。ゼラチンなどで外包してカプセル化した軟カプセル剤として食することができる。カプセルは、例えば、原料ゼラチンに水を加えて溶解し、これに可塑剤(グリセリン、D-ソルビトールなど)を加えることにより調製したゼラチン皮膜でつくられる。
マヨネーズ、生クリーム)、飲料( 機能性飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料、濃厚乳性飲料、果汁飲料、無果汁飲料、果肉飲料、透明炭酸飲料、果汁入り炭酸飲料、果実着色炭酸飲料)、嗜好品(緑茶、紅茶、インスタントコーヒー、ココア、缶入りコーヒードリンク)、乳製品(アイスクリーム、ヨーグルト、コーヒー用ミルク、バター、バターソース、チーズ、発酵乳、加工乳)、ペースト類(マーマレード、ジャム、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペースト、果実のシロップ漬け)、畜肉製品(ハム、ソーセージ、ベーコン、ドライソーセージ、ビーフジャーキー、ラード)、魚介類製品(
魚肉ハム、魚肉ソーセージ、蒲鉾、ちくわ、ハンペン、魚の干物、鰹節、鯖節、煮干し、うに、いかの塩辛、スルメ、魚のみりん干し、貝の干物、鮭などの燻製品)、佃煮類(小魚、貝類、山菜、茸、昆布)、カレー類(
即席カレー、レトルトカレー、缶詰カレー)、調味料剤(みそ、粉末みそ、醤油、粉末醤油、もろみ、魚醤、ソース、ケチャップ、オイスターソース、固形ブイヨン、焼き肉のたれ、カレールー、シチューの素、スープの素、だしの素、ペースト、インスタントスープ、ふりかけ、ドレッシング、サラダ油)、揚げ製品(油揚げ、油揚げ菓子、即席ラーメン)、豆乳、マーガリン、ショートニングなどを挙げることができる。
これらの治療剤および予防剤は、ヒト以外の動物、例えば、牛、馬、豚、羊などの家畜用哺乳類、鶏、ウズラ、ダチョウなどの家禽類、は虫類、鳥類或いは小型哺乳類などのペット類、養殖魚類などにも用いることができる。
食物繊維として難消化性デキストリンを用い、D-プシコースとの併用作用について、ラットを用いて検討を行った。
実験動物としては、3週齢の雄性Sprague-Dawley ラットを用いた。餌組成を表1に示す。群としては、コントロール群、3%D-プシコース摂取群、3%難消化性デキストリン摂取群、3%D-プシコース+3%難消化性デキストリン摂取群、2%D-プシコース+1%難消化性デキストリン摂取群とした。実験飼料(表1)と水を自由摂取とし6週間飼育した。
飼育終了後、解剖を行った。解剖時に採血および、内臓および体脂肪を採取しその重量を測定した。また、肝臓を取り出し、肝臓脂質を測定した。
結果を表2(コントロール群との差)に示す。コントロール群の平均値と各摂取群それぞれの平均値の差である。
なお、表2中の単位は、体重減少量、脂肪減少量:g、血糖値(随時)減少量、中性脂肪減少量、コレステロール減少量:mg/dL、ケトン体比増加量:無名数、肝臓脂質減少量:mg/Liver、肝臓増加量、腎臓増加量:g である。
Sprague-Dawleyラットの実験開始時の平均体重は83.9±0.8gであった。
エサの摂餌量は、コントロール群、3%D-プシコース摂取群、3%難消化性デキストリン摂取群、3%D-プシコース+3%難消化性デキストリン摂取群、2%D-プシコース+1%難消化性デキストリン摂取群で有意差は認められなかった。(実験中の観察からは、動物の行動にも顕著な変化は認められなかった。)
体重および脂肪減少量は、D-プシコースと食物繊維を組み合わせることにより更なる減少が認められた。また、食物繊維単独であっても、3-ヒドロキシ酪酸の増加が認められ、このことから食物繊維が脂肪燃焼作用を持つことが明らかとなった。さらに、少ない量のD-プシコース(2%)と食物繊維(1%)の併用によっても減少効果が認められたことから、D-プシコースと食物繊維を組み合わせることにより、お互いの使用量を少なくして、なおかつ単独の使用量と同様な効果を示すことが明らかとなった。
血糖値については、今回の実験では、随時血糖値を測定しているので、(公知のD-プシコースの食後血糖低下作用とは異なり)3%D-プシコースの使用によって、コントロールよりも血糖値が上昇していることが観察されている。しかしながら、血糖値を減少させていない食物繊維の併用(D-プシコース(3%)と食物繊維(3%)の併用)によって、上昇が緩和された。さらに、他の長所を損なわない程度に、D-プシコースと食物繊維の濃度を下げることによって、血糖値がさらに改善された。つまり、D-プシコースの濃度を下げ、それを食物繊維で補うこと(D-プシコース(2%)と食物繊維(1%)の併用)によって、著しく血糖値が改善することが認められた。
コレステロール減少量に関しても、コレステロールを減少させていない食物繊維をD-プシコースと組み合わせることにより、コレステロールが減少した。
中性脂肪減少量に関しては、D-プシコースの摂取で上昇が認められたが、食物繊維との同時摂取によって上昇が抑制された。
ケトン体比に関しては、餌を随時食べている条件での測定であるため、D-プシコース摂取によりケトン対比が高くなり、ケトン体比のバランスを欠いている。一方、食物繊維の摂取によってケトン対比の減少が認められるが、D-プシコースと食物繊維の同時摂取によって、減少が緩和されるとともにケトン体比のバランスが改善され、肝機能の負担が軽減されることが認められた。
特に、肝臓脂質は、食物繊維とD-プシコースの同時摂取によって、明らかに相乗的な作用が認められたことから、肝機能の改善が示された。従来から、食物繊維や、非資化性単糖(D-プシコースもこれに該当する)の摂取によって、肝臓および腎臓の負担が増加し、臓器重量が増えることが報告されているが、今回食物繊維とD-プシコースの同時摂取によって、重量増加が抑制されたことから、併用作用によって負担が軽減されることが明らかになった。
以上の結果から、食物繊維と希少糖の一種であるD-プシコースを組み合わせることにより、生体機能的にお互いの短所が軽減するのみならず、長所を伸ばし、特に肝機能改善などに関しては大きな相乗的効果も認められた。
表3に示す割合にて新規組成物を用いた飲料を作成した。
Claims (8)
- 食物繊維と、希少糖および/ またはその誘導体とを有効成分として含有する生体機能改善組成物。
- 食物繊維を組成物全体の1重量%以上、希少糖および/またはその誘導体を組成物全体の2重量%以上含有する請求項1記載の生体機能改善組成物。
- 希少糖および/ またはその誘導体が、D-プシコースおよび/ またはその誘導体である請求項1または2記載の生体機能改善組成物。
- 生体機能改善が、肝機能、血糖値、血清脂質値、体重増加、および内臓脂肪蓄積の一以上の改善である請求項請求項1、2または3記載の生体機能改善組成物。
- 食物繊維が水溶性食物繊維である請求項1ないし4のいずれかに記載の生体機能改善組成物。
- 食物繊維が難消化性デキストリンである請求項5記載の生体機能改善組成物。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の生体機能改善組成物を含有する飲食品、健康食品、医薬品、医薬部外品、口腔用組成物、または化粧品。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の生体機能改善組成物を配合することを特徴とする飲食品、健康食品、医薬品、医薬部外品、口腔用組成物、または化粧品の製造方法。
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