JP2010017597A - 医用システムの再現試験サービス装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 医用システムの故障原因を短時間に特定し、不具合期間又はシステムダウンタイムを短縮すること。
【解決手段】 再現試験サービス装置は、医用システムから直接的又は間接的に過去の複数のログファイルと医用システムで被検体から収集された収集データとの提供を受けるために構成されたユニット404と、複数のログファイルを記憶するために構成されたユニット405と、疑似的医用システム407と、医用システムの過去の複数の動作を収集データを用いて疑似的医用システム上で再現するためにログファイルと収集データとに基づいて疑似的医用システムを制御するために構成された制御ユニット108とを具備し、疑似的医用システムでは医用システムの過去の複数の動作がその動作履歴に従って1つづつ遡って再現される。
【選択図】図1
【解決手段】 再現試験サービス装置は、医用システムから直接的又は間接的に過去の複数のログファイルと医用システムで被検体から収集された収集データとの提供を受けるために構成されたユニット404と、複数のログファイルを記憶するために構成されたユニット405と、疑似的医用システム407と、医用システムの過去の複数の動作を収集データを用いて疑似的医用システム上で再現するためにログファイルと収集データとに基づいて疑似的医用システムを制御するために構成された制御ユニット108とを具備し、疑似的医用システムでは医用システムの過去の複数の動作がその動作履歴に従って1つづつ遡って再現される。
【選択図】図1
Description
本発明は、医用システムの再現試験サービス装置に関する。
最近、医用システム、例えばX線CTシステム(X線コンピュータトモグラフィ装置)の利用範囲は、検出器の検出感度の向上及び分解能の向上といったハードウエアの性能向上、またリアルプレップスキャン(染影度モニタリングによる撮影タイミングの自動化)、ヘリカルスキャン及びCT透視といった撮影技法の多様化、さらには再構成処理や画像処理といったソフトウエアの機能向上により、拡大の一途をみせている。
そのため、万一、故障が発生したときには、CT検査業務の停滞による悪影響は著しく、早急なる復旧が望まれる。
故障が発生した場合、その修理の正否のほとんど全ては、故障の原因を正確に特定することにあるといっても過言ではない。原因が正しく特定されれば、修理マニュアルは、故障の解消に効果を発揮する。
しかし、故障の原因を正確に特定することは最も困難な作業の一つである。
本発明の目的は、医用システムの故障原因を短時間に特定し、不具合期間又はシステムダウンタイムを短縮することにある。
本発明のある局面は、医用システムの過去の動作を再現する再現試験サービス装置において、前記医用システムから直接的又は間接的に過去の複数のログファイルと前記医用システムで被検体から収集された収集データとの提供を受けるために構成されたユニットと、前記複数のログファイルを記憶するために構成されたユニットと、疑似的医用システムと、前記医用システムの過去の複数の動作を前記収集データを用いて前記疑似的医用システム上で再現するために、前記ログファイルと前記収集データとに基づいて前記疑似的医用システムを制御するために構成された制御ユニットとを具備し、前記疑似的医用システムでは、前記医用システムの過去の複数の動作が、その動作履歴に従って1つづつ遡って再現される。
本発明によれば、医用システムの故障原因を短時間に特定し、不具合期間又はシステムダウンタイムを短縮することができる。
以下、図面を参照して本発明を好ましい実施形態により説明する。
なお、本発明のシステムは、超音波診断装置、X線CTシステム(X線コンピューテッドトモグラフィ装置)、磁気共鳴イメージング装置(MRI)、ガンマカメラのような医用システムに関連する。以下の説明では、X線CTシステムを一例として説明するが、他の医用システムにも適用可能である。
なお、本発明のシステムは、超音波診断装置、X線CTシステム(X線コンピューテッドトモグラフィ装置)、磁気共鳴イメージング装置(MRI)、ガンマカメラのような医用システムに関連する。以下の説明では、X線CTシステムを一例として説明するが、他の医用システムにも適用可能である。
図1は本実施形態に係るメンテナンス支援システムの全体構成を示す図である。複数のX線CTシステム(X線コンピューテッドトモグラフィ装置)1が、一般公衆回線、専用線等の電子的通信回線5を経由して、メンテナンスサービスセンタ装置2、メンテナンス支援情報管理装置3、及び再現試験サービス装置4に接続されている。複数のX線CTシステム1は、複数の病院サイトにそれぞれ設置されている。メンテナンスサービスセンタ装置2は、メンテナンスサービスセンタサイト内に設置されている。メンテナンス支援情報管理装置3は、メンテナンスサービスセンタサイト、メンテナンス支援サイト又はシステムメーカテクニカルサイト内に設置されている。再現試験サービス装置4は、システムメーカテクニカルサイト内に設置されている。
図2には、X線CTシステム1、メンテナンスサービスセンタ装置2、メンテナンス支援情報管理装置3、再現試験サービス装置4それぞれの構成を示している。X線CTシステム1は、ホストコントローラ102を中心として、データ/制御バス100を経由して接続されたガントリ101と、操作パネル103と、ディスプレイ104と、通信装置105とを有している。
ガントリ101は、X線管、X線検出器、DAS(data acquisition system) と、X線管及びX線検出器等を回転可能に保持する回転機構と、回転駆動部等を有している。X線検出器で検出された信号は、DASで増幅及びディジタル化され、そして前処理部109で感度補正、対数圧縮等の前処理を受けてから、画像再構成処理部110に送られる。なお、DASで増幅及びディジタル化された後であって、前処理前のデータを「純生データ(pure raw data)」と称し、前処理後であって、再構成処理直前の状態にあるデータを「生データ(raw data)」と称する。
X線CTシステム1のデータ/制御バス100には、自己診断制御装置106と、ログファイル記憶装置107と、再現性試験制御装置108とがさらに接続される。自己診断制御装置106は、定期的及び故障発生時に、故障の有無及び故障原因特定のために開発された自己診断プログラムを起動する。
ホストコントローラ102は、システム全体の動作を制御するとともに、X線CTシステム1の電源投入から電源切断までの間の全ての運転状況を記録したログファイルを発生する。ログファイルには、操作パネル103上での操作状況、通信履歴、検査プランの設定内容、故障内容等が書き込まれている。
例えば、検査プランの設定内容を表すログファイルには次の項目が含まれる。通常、CTシステム1には、スキャノ撮影、シングルスキャン、マルチスライススキャン、ヘリカルスキャン、プリップスキャン、CT透視、3断面透視等の様々な撮影技法が実行可能である。検査プランを設定するに際して、これら様々な撮影技法の中から任意の1又は複数の撮影技法が選択され、その順番が決定される。ここでは、選択された撮影技法をサブプランと称する。つまり、検査プランは、検査手順に従って配列された複数のサブプランから構成されている。サブプランの選択とともに、各サブプランの撮影条件、前処理条件、再構成条件、表示条件等が設定される。
撮影条件には、焦点位置、管電圧、管電流、チルト角、スキャン時間、スライス厚、FOV(撮影視野)等が含まれ、前処理条件には、オフセット補正係数、リファレンス補正係数、水補正係数等の各種パラメータが含まれる。また、再構成条件には、再構成関数、フィルタ、再構成スライス厚、再構成スライス間隔、再構成マトリクス、再構成領域の中心位置等の複数の再構成パラメータが含まれる。これら検査プランを構成するサブプラン個数、サブプラン種別、各サブプランの撮影条件、前処理条件、再構成条件、表示条件等の詳細が患者情報とともにログファイルに書き込まれる。
つまり、ログファイルには、例えば次のような動作に関わるあらゆる情報が書き込まれる。
・X線CTシステムの撮影条件等の各種調整値
・X線CTシステムの状態(各部の温度、各部の電圧など)
・X線CTシステムの修理記録(基板交換とそのSER.No.、調整、など)
・X線CTシステムの保守記録(各部オーバーホールなど)
・X線CTシステムの点検記録(定期点検結果など)
・X線CTシステムのソフトウェアの現在のバージョン、ソフトウェアのバージョンの更新履歴、ハードウェア(備品、オプション等含む)のアップグレード記録、ハードウェアのアップグレードの更新履歴
・X線CTシステムのカスタマイズ状況
・X線CTシステムの異常時の画像、撮影条件(ただし、画像に関しては患者のプライバシー保護の観点から、患者を特定する情報・サイト情報全てを自動的に削除する機構を有するものとする)
なお、医用システムとして、MRI装置の場合、ログファイルには、例えば次の情報が書き込まれる。
・MRI装置の各種調整値(RF調整値、シーケンス調整値、磁場均一調整値、など)
・MRI装置の状態(各部の温度、各部の電圧、LHe(液体ヘリウム)残量、など)
・MRI装置の修理記録(基板交換とそのSER.No.、調整、など)
・MRI装置の保守記録(LHe注液、各部オーバーホールなど)
・MRI装置の点検記録(定期点検結果など)
・MRI装置のソフトウェア・ハードウェアアップグレード記録(バージョンアップの記録、備品、オプション等の設置記録など)
・MRI装置のカスタマイズ状況
・MRI装置の異常時の画像、撮影パラメータ(ただし、画像に関しては患者のプライバシー保護の観点から、患者を特定する情報・サイト情報全てを自動的に削除する機構を有するものとする)
ログファイルは、ログファイル記憶装置107に送られ、記憶されると共に、後述するように、通信装置105を介してメンテナンス支援情報管理装置3にも送信される。ログファイル記憶装置107は、その記憶容量上の制約から、先入れ先出し方式(FIFO)に従って、最近の所定期間、例えば最近の1ヶ月以内に発生した複数のログファイルを記憶する。なお、故障発生時のログファイルには、その時の純生データ(又は生データ)が関連付けられてログファイル記憶装置107に記憶される。
・X線CTシステムの撮影条件等の各種調整値
・X線CTシステムの状態(各部の温度、各部の電圧など)
・X線CTシステムの修理記録(基板交換とそのSER.No.、調整、など)
・X線CTシステムの保守記録(各部オーバーホールなど)
・X線CTシステムの点検記録(定期点検結果など)
・X線CTシステムのソフトウェアの現在のバージョン、ソフトウェアのバージョンの更新履歴、ハードウェア(備品、オプション等含む)のアップグレード記録、ハードウェアのアップグレードの更新履歴
・X線CTシステムのカスタマイズ状況
・X線CTシステムの異常時の画像、撮影条件(ただし、画像に関しては患者のプライバシー保護の観点から、患者を特定する情報・サイト情報全てを自動的に削除する機構を有するものとする)
なお、医用システムとして、MRI装置の場合、ログファイルには、例えば次の情報が書き込まれる。
・MRI装置の各種調整値(RF調整値、シーケンス調整値、磁場均一調整値、など)
・MRI装置の状態(各部の温度、各部の電圧、LHe(液体ヘリウム)残量、など)
・MRI装置の修理記録(基板交換とそのSER.No.、調整、など)
・MRI装置の保守記録(LHe注液、各部オーバーホールなど)
・MRI装置の点検記録(定期点検結果など)
・MRI装置のソフトウェア・ハードウェアアップグレード記録(バージョンアップの記録、備品、オプション等の設置記録など)
・MRI装置のカスタマイズ状況
・MRI装置の異常時の画像、撮影パラメータ(ただし、画像に関しては患者のプライバシー保護の観点から、患者を特定する情報・サイト情報全てを自動的に削除する機構を有するものとする)
ログファイルは、ログファイル記憶装置107に送られ、記憶されると共に、後述するように、通信装置105を介してメンテナンス支援情報管理装置3にも送信される。ログファイル記憶装置107は、その記憶容量上の制約から、先入れ先出し方式(FIFO)に従って、最近の所定期間、例えば最近の1ヶ月以内に発生した複数のログファイルを記憶する。なお、故障発生時のログファイルには、その時の純生データ(又は生データ)が関連付けられてログファイル記憶装置107に記憶される。
再現性試験制御装置108は、故障発生時のログファイル及び純生データをログファイル記憶装置107から読み出し、当該ログファイルに記録された検査プランに従って故障時と同じ状況の下で、データ収集以降の処理、つまり純生データの前処理、データトランスファー処理、再構成処理、表示処理等を実行させる機能を備えている。この故障時と同じ状況の下で処理を再現して、修理後に故障が回復したことを確認するための当該処理を、“再現性試験”と称する。
メンテナンスサービスセンタ装置2は、ユーザ(X線CTシステム1)に対する保守、修理等の各種サービスを提供するサービスセンタサイトに設置され、そのために必要な部品調達や在庫管理、その搬送等を管理する部品管理装置205、サービスマンの派遣やリモートメンテナンス要員のスケジューリングを始め保守修理等の実際の作業管理を行うメンテナンスサービス管理装置204を備え、これら部品管理装置205及びメンテナンスサービス管理装置204に対して、データ/制御バス200を経由して、ホストコントローラ201、操作パネル202、ディスプレイ203、通信装置206が接続されてなる。
メンテナンス支援情報管理装置3は、ホストコントローラ301、通信装置302、操作パネル303、契約グループ内の複数のCTシステム1に関する顧客情報を保管する顧客管理データベース307、そのコントローラ306、複数のCTシステム1から送られてきたログファイルを累積的に保管するログファイルデータベース305、そのコントローラ304、複数のCTシステム1から送られてきた故障時の純生データを保管する純生データデータベース309、そのコントローラ308、統計処理部312、優先度計算部311、ファイル検索部310がデータ/制御バス200を経由して接続されてなる。
統計処理部312では、各X線CTシステム1(ユーザ)ごとに、ログファイルを解析して、故障の発生頻度、プランの使用頻度等の統計的指数を計算する。また、優先度計算部311は、上記統計的指数と、顧客情報とから各X線CTシステム1(ユーザ)ごとに、メンテナンス作業の優先度を計算する。これら処理部311,312の詳細は後述する。
再現試験サービス装置4は、ホストコントローラ401、通信装置404、操作パネル402、ディスプレイ403、メンテナンス支援情報管理装置3から供給されたログファイル及び純生データを一時的に保管するログファイル記憶装置405、ガントリ構造物を除いた前処理から表示までのデータ処理の部分を備えた擬似的なX線CTシステム(疑似システム)407、ログファイル記憶装置405に保管されたログファイル及び純生データを使って、疑似システム407で再現試験を実行させる再現試験制御装置406がデータ/制御バス400を経由して接続されてなる。再現試験の詳細については後述する。
次に、本実施形態の動作について説明する。
図3は、ログファイルの発生及び記憶手順を示している。X線CTシステム1の自己診断制御装置106の制御の元で、自己診断オペレーションが定期的及び故障発生時に実行されたとき(S1)、X線CTシステム1のホストコントローラ102において自己診断結果を含むログファイルが発生される(S5)。この自己診断結果を含むログファイルは、X線CTシステム1のログファイル記憶装置107に送られ、記憶される(S6)。なお、ログファイル記憶装置107には、最近の所定期間、例えば最近の1ヶ月以内に発生した複数のログファイルが保管される。
図3は、ログファイルの発生及び記憶手順を示している。X線CTシステム1の自己診断制御装置106の制御の元で、自己診断オペレーションが定期的及び故障発生時に実行されたとき(S1)、X線CTシステム1のホストコントローラ102において自己診断結果を含むログファイルが発生される(S5)。この自己診断結果を含むログファイルは、X線CTシステム1のログファイル記憶装置107に送られ、記憶される(S6)。なお、ログファイル記憶装置107には、最近の所定期間、例えば最近の1ヶ月以内に発生した複数のログファイルが保管される。
また、自己診断結果を含むログファイルは、通信装置105から通信回線5を経由してメンテナンス支援情報管理装置3に送信され(S7)、ログファイルデータベース305に保管される(S8)。ログファイルデータベース305の記憶容量は随時拡張される。そのためX線CTシステム1のログファイル記憶装置107と異なり、基本的に、容量制約を受けない。従って、ログファイルデータベース305には、X線CTシステム1が病院サイトに設置されからそれ以後に発生した全てのログファイルが累積的に保管されている。
自己診断は、病院にてCTシステム1がセットアップされた直後にも、実行される。上述では、自己診断プログラムは、定期的及び故障発生時に起動されるとしたが、病院の日時毎の使用スケジュールの空き時間、もしくは、病院が設定した夜中等の特定時刻に自動的に起動するようにしても良い。
自己診断オペレーションは、具体的には次のように行われる。再構成処理部110は、自己診断のための純生データ(又は生データ)を保持しており、自己診断中に、ガントリ−コンソール間(データトランスファー管理基板;DTB)、DTB−前処理部109間、前処理部109−ディスク装置間、ディスク装置−DTB間、ディスク装置−再構成基板間、複数の再構成基板の間、再構成基板−DTB間、各処理ボード内部間、DTB−システム管理ボード間、再構成基板−システム管理ボード間、システム管理ボード−ホストコントローラ間などのデータ転送関連、データ処理関連、管理関連のデータ転送、データ処理、メモリアクセス、ディスクアクセス、などの自己診断用純生データ(又は生データ)に標準的な規定時間内に処理が完了したか、再構成された画像データと基準画像データとのずれ等の複数のチェック項目に従ってチャックし、正常動作、動作不安定、故障発生予知、故障発生を感知し、そのレポート結果をログファイルとして装置2、3に送信する。
自己診断プログラムは、故障箇所の特定に際しては、チャック箇所と故障発生内容からどのハードウエア、基板、部品に不具合が生じているかを解析し(自動的にある期日に行われる、か、リモートにて行われる。)、ログファイルとして装置2、3に送信する。この自己診断履歴により、故障原因がハードウエアにあるのか、ソフトウエアにあるのか初期的に判別する試料となりうる。
また、製品出荷前にあっては、ハードウエアテスト、ファームウエアテスト用のプログラムにより、再構成処理部110に負荷のかかる再構成条件で自己診断を実施し、試験評価し、合否判定をする。また、CTシステム1の起動時(電源投入時)には、再構成処理部110に搭載されている基板、主要部品、伝送部、などのチェックを行う。主にハードウエアに関連する自己診断が行われる。前処理部109では、前処理に入ってくる純生データの一部を常に監視し、データシフトが起きていないことを即時的に確認する。再構成処理時では、再構成が開始されている途中においても、データ管理、処理管理、伝送管理用診断プログラムが常に監視し、各再構成基板のどこで(基板の処理部、CPU毎の分割単位にて)、故障が生じているか記録することで、故障原因の特定の一助となりうる。
出荷後の故障対策としては、各サービスにハードウエアテスト、ファームウエアテストのためのプログラムを持たせ、原因の追求を依頼する。故障品の検査として、ハードウエアテスト、ファームウエアテストのためのプログラムにて、全再構成条件の内、再構成処理部110に負荷のかかる再構成条件にて故障が内在したボード又はシステムに負荷試験し、原因の特定を行う。これが自己診断システムとなる。
図3に戻る。X線CTシステム1において、検査プランが設定されたとき(S2)、X線CTシステム1のホストコントローラ102においてその検査プラン設定内容を含むログファイルが発生される(S5)。このログファイルは、X線CTシステム1のログファイル記憶装置107に送られ、記憶され(S6)、また通信装置105から通信回線5を経由してメンテナンス支援情報管理装置3に送信され(S7)、ログファイルデータベース305に保管される(S8)。
X線CTシステム1において、検査プランが実行されたとき(S3)、X線CTシステム1のホストコントローラ102においてその検査プラン実行記録を含むログファイルが発生される(S5)。このログファイルは、X線CTシステム1のログファイル記憶装置107に送られ、記憶され(S6)、また通信装置105から通信回線5を経由してメンテナンス支援情報管理装置3に送信され(S7)、ログファイルデータベース305に保管される(S8)。
X線CTシステム1において、故障が発生したとき(S4)、X線CTシステム1のホストコントローラ102においてその故障時の動作記録を含むログファイルが発生される(S5)。このログファイルは、その故障時の純生データとともに、X線CTシステム1のログファイル記憶装置107に送られ、記憶され(S6)、また通信装置105から通信回線5を経由してメンテナンス支援情報管理装置3に送信され(S7)、ログファイルデータベース305に保管される(S8)。
次に故障発生時の動作について図4を参照して説明する。いずれかのX線CTシステム1で故障が発生した場合(S11)、まず、当該X線CTシステム1の自己診断制御装置106の制御の元で、自己診断プログラムが起動し(S12)、自己診断オペレーションが実行される。
自己診断プログラムは、故障原因の特定機能に付随して、その原因がシステムダウン(稼働不能)な状況を生じさせているのか、あるいは特定動作だけを実行しなければ、他の動作では故障が生じない程度の故障なのかを判定する機能を備えている。この判定結果に従って、システム全体が使用不可なのか、または特定動作だけが使用不可(縮退運転)なのか、そのメッセージがCTシステムオペレータにディスプレイ104のスクリーン上に表示される。例えば、“再構成処理が遅くなる”、“CT透視モード(スキャンに対して即時的に画像を再構成する)が使用出来ない”、“診断に障害のある故障が発生している”などのメッセージを表示する。メッセージ表示は、例えば、画面の画像領域を圧迫しない部分に、現在障害が起きている状況をアイコンで表示する、または、故障が発生した再構成モードや再構成モジュールのソフトスイッチ等のアイコンの表示態様を、不透明、かすみ、特定色に変更することが考えられる。さらに、リモートメンテナンス中には、その警告アイコン、マークなどが表示される。
自己診断オペレーションにより故障原因が特定されたとき(S13)、故障時のログファイルと特定された故障原因とが、メンテナンスサービス装置2に修理依頼と共に送信され、またメンテナンス支援情報管理装置3にも送信される(S14)。
メンテナンス支援情報管理装置3では、当該故障に対するメンテナンスの優先度を計算する(S15)。
図5には、そのメンテナンス優先度の計算手順を示している。まず、ファイル検索部310によりログファイルデータベース305が検索され、当該故障を起こした線CTシステム1に関する過去の全てのログファイルが統計処理部312に読み出される。統計処理部312では、当該システム1の過去の全てのログファイルを解析し、今回の故障と同様の症状の過去の故障の発生頻度を計算する(S31)。この発生頻度は、故障を起こしたCTシステム1で同じ故障が繰り返し起きているか否か、その再発性を表している。その発生頻度は、再発性指数を得るために、正規化される。高い再発性指数は、メンテナンス優先度を高めることに相関すべきである。
また、統計処理部312では、当該システム1の過去の全てのログファイルを解析し、故障を起こしたCTシステム1で故障が起きた検査プランと同じ又は類似の検査プランの使用頻度を計算する(S32)。この検査プランの使用頻度が比較的高い場合、当該病院ではその検査に対する専門性が比較的高い、つまり当該検査プランを使用できない場合の検査業務への影響度が比較的高いと考えられ、逆に、検査プランの使用頻度が比較的低い場合、当該病院ではその検査に対する専門性が比較的低く、当該検査プランを使用できないとしても検査業務への影響度は比較的低いと考えられる。その使用頻度は、専門性指数を得るために、正規化される。高い専門性指数は、メンテナンス優先度を高めることに相関すべきである。
なお、これらの統計的処理に自己学習機能を導入しても良い。自己学習の一例として、使用されるエキスパートプランに割り付けられた再構成モード毎に実行された回数を記録するだけでも良いし、また、バッチ再構成に関しても使用された再構成モードも記録されるべきである。その回数をある記録媒体に持ち、再構成が実施される度に再構成モードの回数が記録され、更新される。自己学習の単位は、仕様開始から現在までの週、月、年割り単位などで処理されればよい。バッチ再構成とは既に収集していた純生又は生データをスキャン時と同一の再構成条件、若しくは、変更された再構成条件にて再構成することを意味する。使用された再構成モードの回数は、仕様開始から現在までの週、月、年割り単位などの自己学習した各再構成モート゛の回数の最大値で正規化され、その病院の各再構成モードの重み係数を更新し続ける。その重みが大きい再構成モードに故障が起きれば、即対応を要求されるなど、優先順位の判断材料になる。システムの転売時点では、そのモード(履歴に応じた重み係数を重態どに反映させる。)をクリアできるようにしておく。
これら再発性指数と専門性指数とは、統計処理部312において、それぞれ重み係数を乗算され、加算され、それにより故障重態度が計算される(S33)。再発性指数の重み係数と、専門性指数の重み係数とは、典型的には同値であるが、相違する値に任意に設定可能である。なお、統計処理部312では、再構成処理等のソフトウエアの入れ替えてからの経過時間、使用中のソフトウエアのバージョン、ソフトウエアのバージョンの更新履歴、壊れた部品が主要部品(それが無いとシステムが成り立たない)であるか否か等のシステム個別事情に基づいて、故障重態度に修正を加えることができ、その判断は操作者に依存される。
次に、統計処理部312で顧客管理データベース307に保管されている顧客情報に基づいて顧客重要度が計算される(S34)。顧客重要度計算に用いられる顧客情報としては、社会的に拡販の影響度が強い病院サイトか否か、他社システムからの乗り換えた病院サイトか否か、顧客感情、システム規模、病院全体でのCTまたは他のシステムを合わせた納入実績、等の顧客の個別事情が含まれる。実際には、データベース管理者が、これら顧客個別事情をシステム納入時及び随時、営業部門等から吸い上げて、それぞれ適当に数量化して登録及び更新しておき、それら各情報の最新の数値を統計処理部312で加重加算することが考えられる。
最後に、優先度計算部311で、故障重態度と顧客重要度とに基づいて、メンテナンス優先度が計算される(S35)。例えば、故障重態度と顧客重要度とを単純加算又は加重加算する事により、メンテナンス優先度が計算される。
図4に戻る。以上のように計算されたメンテナンス優先度は、メンテナンス支援情報管理装置3の通信装置302から通信回線5を経由してメンテナンスサービスセンタ装置2に送信される(S16)。メンテナンスサービスセンタ装置2では、メンテナンス優先度と、自己診断により特定された故障原因とを参考にして、部品在庫確認やサービスマンのスケジュール等のメンテナンス体制の現況確認を伴って修理時期及び修理内容を含むメンテナンス計画がメンテナンス管理者により人為的に立てられる(S17)。
決定されたメンテナンス計画に従って、リモートで、又は実際にサービスマンが現地に出向いて、修理作業が実施される(S18)。X線CTシステム1が故障から回復したか否かを確認するために、修理作業後に、ログファイル記憶装置107から故障時のログファイル及び純生データが再現性試験制御装置108に読み出され(S19)、その制御のもとで、故障時と同じ状況下で、再現性試験が実施される(S20)。
ここで、再現性試験は、再現試験とは区別される。再現試験は、詳細は後述するが、故障原因特定を目的としてシステムメーカサイトで厳密に実施される試験であり、一方、再現性試験は、故障回復確認のために現地(病院サイト)で実施される試験であり、上述したように、故障時と同じ状況で故障が再発するか否かを確認するにとどまっている。
この再現性試験で、故障が解消していれば(S21)、修理作業は完了する。しかし、再現性試験で、故障が解消していなければ、自己診断プログラムで特定した故障原因に誤りがあった可能性を否定できない。この事態は、自己診断プログラムで故障原因を特定できなかったケースと同等に扱われるべきである。
自己診断プログラムで故障原因を特定できなかった場合(S13)、メンテナンスサービスセンタ装置2から再現試験サービス装置4に再現試験依頼が送信される(S22)。これと同様に、再現性試験で、故障が解消していない場合、メンテナンスサービスセンタ装置2から再現試験サービス装置4に再現試験依頼が送信される(S22)。
ここでまず再現試験の概要について説明する。故障解決に必要な再現試験が必要となるため、先述のログファイルを用いて、そのログファイルを疑似システム407に入力すると、疑似システムが自動的に、故障発生時の再構成条件等をログファイル記憶装置405から読み込み疑似動作にはいる。故障の起きている現場にて、サービスが原因を特定できない故障の場合、故障追求に必要なものは、どのような再構成条件であったのかということ、再現試験用生データがあるのか、直前の処理にて何をしていたのかなどの情報が必要となる。疑似システム407を用いた再現試験と再構成処理部を用いた再現試験、疑似システム407(ガントリや寝台がなく、コンソールから疑似的にガントリが存在するかのように構成したシステム)を用いた再現試験が考えられる。もっとも簡単な方式は、CTシステム1を設置している現場で、故障の起きたときの状況を記録したログファイル(再構成条件、システムパラメータ等)をCTシステム1の再現性試験制御装置108にロードさせるだけで、故障サイトで起きた現象が再現できる方式を導入する。これにより、故障対応のためには、再現試験できることが絶対に必要であり、レアケースなど再現が難しい場合に非常な労力が必要となる。そのログファイルさえあれば、再現できる仕組みをもつことにより、原因特定までの時間が極端に短縮化され、また人為的ミスもなくなる。
疑似システム407の再構成処理部にて故障を再現させる場合は、上記ログファイルと共に純生データ(又は生データ)が必要とされる。再構成処理部は完全な製品ではないため、製品システムに搭載されているシステム管理ソフトウエアが異なる場合が多く、システム管理ソフトウエアが絡んだ故障の処理には適さない。しかし、故障先のログファイルがあることで、全く同一のシステムパラメータが使用できることから、故障再現がどこでも簡易にできるようになる。疑似システム407は、再構成処理部にさらにシステム管理ソフトウエアまでが実装され、あたかもガントリまでが装備されているかのように動くCTシステムであるため、さらに故障追求が容易となる。大きなガントリ、寝台をもつ完全なCTシステムを準備せずとも、それに類する製品CTシステムと同一の仕組みを持った疑似CTシステムにて故障の原因追求が可能となる。
再現させる時点では、どのようなスキャン、もしくは再構成による試験を行うのかのリストをシステム上に表示し、表示された項目を全部(履歴に応じて行うか)、極最近のスキャン、再構成などの処理のみ行うかを再現試験者が選択できるようにする。CTシステム1から出されるログファイルには再構成条件等が記載されており、処理順序に応じて発生する故障の追求に用いることができる。故障は多くの場合、単独では起きず、何かの処理と絡み会って生じる場合が多い。その場合に、このログファイルを疑似システム407にロードさせ、履歴を遡りながらの最短の故障試験を実施することが可能となる。故障発生時に保存されていたシステムパラメータ、再構成条件、スキャン条件、純生データ、生データを活用して、故障が再現されたかをチェックできる。故障が再現されなかった場合は、最新の履歴から過去に順々に遡り、順次、再構成条件等を読み込みながら再現試験を続ける。
つまり、故障試験時に、疑似システム407及びその制御装置406が自動的に故障を追跡する方式である。先に延べた履歴を一つ、一つ戻りながら再現試験を自動的に実施する。故障の監視は、ハードウエア、ソフトウエアの診断解析プログラムが監視を続ける。故障の再現ができ、不具合が発生した場合、携帯電話にメールや電話通知するなどの無線、音、光、画面のフラッシュなどの告知機能にて試験担当者に、故障再現を連絡し、そのときのログファイルを出力した状態にて疑似システム407は停止する。従って、故障試験時に、担当者が張り付く必要がない。
再現試験期間中は、使用している個々単体ユニットの負荷が最大になった場合には、疑似システム407は一旦休止する。再現試験期間中は、再現試験中であることを他へ知らしめるべく、表示や音にて周囲に通知する。また、その疑似システム507に関係している担当者全員にどういう状態なのかを、無線、有線、メールなどにて随時知らしめる。故障試験中に不用意に疑似システム407を操作しないように再現試験中であることを知らせるランプを点灯する。試験動作中の疑似システム407に人が近づいたときには、超音波センサーなどで、危険を通知する仕組みもあるとよい。
再現試験動作が終了後、担当が再現試験のデータをとり忘れていた場合、疑似システム407は自動的に、再現試験ログファイル、再現データ、スキャン条件、画像を指定された場所に格納し、再現試験が完了したことを通知する。そのため再現試験時に、担当者が張り付く必要がない。再現完了後、疑似システム407は自動復帰し、初期状態に戻る。
図4に戻る。再現試験依頼を受けた再現試験サービス装置4のホストコントローラ401は、まず、メンテナンス支援情報管理装置3に対して、当該故障を起こしたX線CTシステム1に関する最近のシステム起動時からの全てのログファイル及び故障時の純生データのダウンロードを要求する(S23)。最近のシステム起動時とは、例えば故障当日の朝にシステムの電源を投入した時点、または当該故障を起こしたX線CTシステム1が24時間稼働システムであれば、前回のシステム電源投入時点である。この場合、前回のシステム電源投入時点は、数日前、さらには数週間前に遡るかもしれない。これらダウンロードされたログファイル及び純生データはログファイル記憶装置405に一時的に保管される。
ダウンロードされたログファイル及び純生データを使って、再現試験制御装置406は、ガントリ構造物を除いた前処理から表示までのデータ処理の部分を備えた擬似的なX線CTシステム(疑似システム)407で再現試験を実施する(S24)。再現試験が再現性試験と大きく異なる点は、再現性試験では故障が発生したまさにその時だけの動作状態を再現するにとどまる。一方、再現試験では、故障原因が特定されるまで、故障発生時のサブプランの再現から始まり、その前に実行されたサブプラン、その前に実行されたサブプランまで順次1つずつ遡って再現し、さらにそれでも故障再現できなければ1つ前の検査プラン、さらにその前に実行された検査プランへと順次1つずつ遡って再現していく。これが、最大で、最近のシステム起動時の動作にまで遡る。
このような再現試験では、サブプラン単独の実行では起きない故障、つまりサブプランとサブプランとの連係、さらにはプランどうしの連係によってはじめて起きる故障、つまり“データ伝送制御や作業メモリ制御等のシステムの根幹に関わるような非常に基本的部分のバグやエラーに起因して起こる非常にレアではあるが非常に重大な故障”の特定を可能とする。このような故障は、例えば同じ又は異なる種類のサブプランが相前後して実行された等の特有の状況で、データ伝送エラーや作業メモリのデータ消去エラーといった事態により極まれに引き起こされる事例が報告されている。
このような遡及的な再現試験により故障原因が特定された場合(S25)、その故障原因が、メーカサイドで策定した対処方法(例えばファームウエア更新)に関する情報と共に、メンテナンスサービスセンタ装置2に送信される(S26)。
メンテナンスサービスセンタ装置2では、その故障原因及び対処方法に従ってメンテナンス計画を立て(S17)、それに従って修理にあたる(S18)。
次に、メーカサイトの再現試験サービス装置4で行われる再現試験について詳細に説明する。図6には再現試験手順を示している。図7にはシステム起動時から故障発生までの期間にX線CTシステム1で実行した検査プラン及びサブプランの一例を示している。なお、ここでは説明の便宜上、Nとnの2種の変数を導入する。Nはプラン識別のためのプラン番号を表し、nはサブプラン識別のためのサブプラン番号を表している。プラン番号及びサブプラン番号は新しいものほど若い番号を付していることに注意されたい。つまり、図7の例では、システム起動後に、まずプラン番号3の検査プランが実行される。プラン番号3の検査プランには、2つのサブプランが含まれ、まずサブプラン番号2のサブプランが実行され、引き続いて、サブプラン番号1のサブプランが実行される。プラン番号3の検査プランの後に、プラン番号2の検査プランが実行される。プラン番号2の検査プランには、4つのサブプランが含まれ、サブプラン番号4のサブプランからサブプラン番号1のサブプランまで順番に実行される。プラン番号2の検査プランの後に、プラン番号1の検査プランが実行される。プラン番号1の検査プランには、3つのサブプランが含まれ、サブプラン番号3のサブプランからサブプラン番号1のサブプランまで順番に実行される。ここでは、プラン番号1の検査プランの中のサブプラン番号1のサブプランの実行中に、故障が発生したことを想定している。
図6に示すように、故障を起こしたX線CTシステム1に関する最近のシステム起動時からの全てのログファイル及び故障時の純生データのダウンロードがメンテナンス支援情報管理装置2からダウンロードされ、ログファイル記憶装置405に一時的に保管される(S41)。再現試験制御装置406は、ダウンロードしたログファイルを解析し、最近のシステム起動時から故障発生までの間に全てのプランと、各プランに含まれるサブプランを抽出する(S42)。
そして、システム起動時から実行したプランの総数に、プラン番号変数Nの最大値NMAXをセットする(S43)。図7の例では、プラン番号Nの最大値NMAXは、「3」にセットされる。また、プラン番号Nを1に初期化し、またサブプラン番号nを1に初期化する(S44)。ここでは、プラン番号1のプランの中のサブプラン番号1のサブプラン実行中に故障が起きたことを想定している。また、サブプラン番号nの最大値nMAXをプラン番号1のプランの中のサブプラン総数にセットする。
以上の初期的準備が完了した後に、実際に再現試験が開始される。まず、プラン番号N(=1)のプランの中のサブプラン番号n(=1)のサブプラン、つまり故障時(最新)のプラン1のサブプラン1で収集された純生データが疑似システム407の前処理部に送られ、当該サブプラン1と同じ条件(データ伝送条件、再構成条件、表示条件等)で、前処理、再構成処理及び表示処理に順番にかけられる(S46)。
この最初の再現試験で故障が再現されなければ(S47)、サブプラン番号nに1をインクリメントし、サブプラン番号nを2に置き換える(S48)。それが最大値nMAX(ここでは3)を超過していなければ(S49)、1つ前のサブプラン2に遡って再現試験を実施する(S46)。つまり、故障時のサブプランより1つ前に実行したサブプラン2と同じ動作を再現し、それに続いて、故障時のサブプラン1と同じ動作を再現する。
この1つ遡った再現試験でも故障が再現されなければ(S47)、S48、S49を経て、さらに1つ前のサブプラン3に遡って再現試験を実施する(S46)。つまり、プラン1のサブプラン3と同じ動作、プラン1のサブプラン2と同じ動作、プラン1のサブプラン1と同じ動作を、疑似システム407上で連続的に実施する。
この段階でも故障が再現されなければ(S47)、S48、S49を経て、今度はプラン番号Nを1つ増加する(S50)。これは、再現プランを、故障が起きたプランよりも1つ前のプランに遡ることを意味する。
1つ増加したプラン番号N(ここでは2)がシステム起動時からのプラン総数(プラン番号の最大値NMAX(ここでは3))を超過していないので(S51)、S51に移行して、1つ前のプラン2のサブプラン総数に、サブプラン番号の最大値nMAXを再セットする(S52)。
そして、S46に戻り、今度は、1つ前のプラン2の中の最新のサブプラン1から再現試験を再開する。
このように故障再現するまで、サブプランを1つづつ遡って再現試験を実施し、さらに場合によってはプランを1つづつ遡って再現試験を実施する。いずれかの段階で、故障が再現されたとき(S47でYES)、その再現された故障の状況に基づいて故障原因の解明作業に移行する(S53)。
システム起動後、最初に実行されたプラン(ここではプラン番号3)のサブプラン(サブプラン番号2)に遡って、そこを起点として再現試験を実施しても、故障が再現されなかった場合(S51でYES)、故障原因がX線CTシステム1に内在する可能性は低いものと判断できる。その場合、当該故障を起こしたX線CTシステム1が設置されている周辺環境の中に故障原因が存在することを想定して、その周辺環境調査に移行する(S54)。
このように故障再現するまで、サブプランを1つづつ遡って再現試験を実施し、さらに場合によってはプランを1つづつ遡って再現試験を実施することにより、サブプラン単独の実行では起きない故障、つまりサブプランとサブプランとの連係、さらにはプランどうしの連係によってはじめて起きる故障、つまり“データ伝送制御や作業メモリ制御等のシステムの根幹に関わるような非常に基本的部分のバグやエラーに起因して起こる非常にレアではあるが非常に重大な故障”の特定を可能とする。
以上のように本実施形態では、医用システムの故障原因を短時間に特定することができ、それにより迅速な修理を行うことができ、それにより不具合期間又はシステムダウンタイムを短縮することができる。本実施形態は、医用システムが全く使えないシステムダウンの状況下で効果的に作用するが、それだけではなく、一部の機能が使えない、一部のモードが使えないといった、システムダウンには至らないが、動作制限を受ける程度の故障にも非常に有効に作用する。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されてもよい。
本発明は、医用システムの故障原因を短時間に特定し、不具合期間又はシステムダウンタイムを短縮することが必要とされる分野に利用可能性がある。
1…X線CTシステム、2…メンテナンスサービスセンタ装置、3…メンテナンス支援情報管理装置、4…再現試験サービス装置、5…電子的通信回線。
Claims (8)
- 医用システムの過去の動作を再現する再現試験サービス装置において、
前記医用システムから直接的又は間接的に過去の複数のログファイルと前記医用システムで被検体から収集された収集データとの提供を受けるために構成されたユニットと、
前記複数のログファイルを記憶するために構成されたユニットと、
疑似的医用システムと、
前記医用システムの過去の複数の動作を前記収集データを用いて前記疑似的医用システム上で再現するために、前記ログファイルと前記収集データとに基づいて前記疑似的医用システムを制御するために構成された制御ユニットとを具備し、
前記疑似的医用システムでは、前記医用システムの過去の複数の動作が、その動作履歴に従って1つづつ遡って再現されることを特徴とする再現試験サービス装置。 - 前記疑似的医用システムによる再現動作は、前記医用システムで発生した不具合と同じ症状が生じた時点で自動的に停止することを特徴とする請求項1記載の再現試験サービス装置。
- 前記疑似的医用システムは、前記医用システムと比較して、少なくともガントリ及び寝台を装備していないことで相違することを特徴とする請求項1記載の再現試験サービス装置。
- 前記提供を受ける複数のログファイルは、前記医用システムの前回の起動時以降に発生したものであることを特徴とする請求項1記載の再現試験サービス装置。
- 前記ログファイルには、前記医用システムで実行された複数の検査プランに関する情報が含まれ、
前記検査プランに関する情報には、前記複数の検査プランの実行順序と、前記検査プラン各々を構成する複数のサブプラン各々の撮影技法及び撮影条件と、前記検査プラン内でのサブプランの実行順序とが含まれ、
前記制御ユニットは、前記実行順序と逆の順番で前記検査プランを前記サブプランごとに前記収集データを用いて前記疑似的医用システムに再現させることを特徴とする請求項1記載の再現試験サービス装置。 - 前記制御ユニットは、前記医用システム上で故障が発生したサブプランを起点として前記故障が発生したサブプラン以前に実行した複数のサブプランを前記逆の順番で前記疑似的医用システムに再現させることを特徴とする請求項1記載の再現試験サービス装置。
- 前記制御ユニットは、前記疑似的医用システム上で故障原因が特定されるまで、故障発生時のサブプランの再現から始まり、その前に実行されたサブプラン、その前に実行されたサブプランを順次1つずつ遡って再現し、さらに1つ前の検査プラン、さらにその前に実行された検査プランへと順次1つずつ遡って前記疑似的医用システムに再現さることを特徴とする請求項1記載の再現試験サービス装置。
- 前記制御ユニットは、前記疑似的医用システムの負荷が最大になったときに前記疑似的医用システムの動作を休止すさせることを特徴とする請求項1記載の再現試験サービス装置。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100126 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100608 |