以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施形態における配列特定支援装置1のブロック図である。この配列特定支援装置1は、撮像素子としてのダブルゲートトランジスタアレイ2と、ダブルゲートトランジスタアレイ2を駆動する駆動回路3と、ダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に点在したスポット49,49,…(図5に図示)と、ダブルゲートトランジスタアレイ2に向けて紫外線等の励起光を照射する励起光照射装置4と、ダブルゲートトランジスタアレイ2により撮像された画像データの補正処理を行う画像データ処理装置であり、配列特定支援装置1全体の制御を司るコントローラ5と、コントローラ5から出力された信号により出力(表示又はプリント)を行う出力装置6と、を備え、特に画素の点欠陥を補正する装置である。
図2を用いてダブルゲートトランジスタアレイ2について説明する。図2は、ダブルゲートトランジスタアレイ2の等価回路を駆動回路3とともに示した回路図である。
図2に示すように、ダブルゲートトランジスタアレイ2は、画素としての光電変換素子であるダブルゲートトランジスタ20,20,…を透明基板35上にマトリクス状に配列したものである。
透明基板35は、光を透過する性質(以下、光透過性という。)を有するとともに絶縁性を有し、石英ガラス等といったガラス基板又はポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等といったプラスチック基板である。
図3は、ダブルゲートトランジスタ20の電極構造を示した平面図であり、図4は、図3の面IV−IVに沿う断面図である。図3、図4に示すように、ダブルゲートトランジスタ20,20,…はそれぞれ、透明基板35上に形成されたボトムゲート電極21と、ボトムゲート電極21上に形成されたボトムゲート絶縁膜22と、ボトムゲート電極21に対向するとともにボトムゲート絶縁膜22をボトムゲート電極21と挟む真性な半導体膜23と、半導体膜23の中央部上に形成されたチャネル保護膜24と、半導体膜23の両端部上に互いに離間して形成された不純物半導体膜25,26と、不純物半導体膜25上に形成されたソース電極27と、不純物半導体膜26上に形成されたドレイン電極28と、ソース電極27及びドレイン電極28上に形成されたトップゲート絶縁膜29と、半導体膜23に対向するとともにトップゲート絶縁膜29及びチャネル保護膜24を半導体膜23と挟むトップゲート電極30と、を具備する。
ボトムゲート電極21は、ダブルゲートトランジスタ20ごとに透明基板35上に形成されている。また、図2に示すように、透明基板35上には縦方向(列方向)に延在する複数本のボトムゲートライン41,41,…が形成されており、縦方向に配列された同一の列のダブルゲートトランジスタ20,20,…の何れのボトムゲート電極21も共通のボトムゲートライン41と一体となって形成されている。ボトムゲート電極21及びボトムゲートライン41は、導電性及び遮光性を有し、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
図3、図4に示すように、ボトムゲート絶縁膜22は、全てのダブルゲートトランジスタ20,20,…に共通して形成されており、ダブルゲートトランジスタ20,20,…のボトムゲート電極21及びボトムゲートライン41,41,…をまとめて被覆している。ボトムゲート絶縁膜22は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン(SiN)又は酸化シリコン(SiO2)からなる。
ボトムゲート絶縁膜22上には、半導体膜23がダブルゲートトランジスタ20ごとに形成されている。半導体膜23は、平面視して略矩形状を呈しており、受光した光量に応じた量の電子−正孔対を生成するアモルファスシリコン又はポリシリコンで形成された層である。半導体膜23上には、チャネル保護膜24が形成されている。チャネル保護膜24は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。チャネル保護膜24は、パターニングに用いられるエッチャントから半導体膜23の界面を保護するものである。半導体膜23に光が入射すると、入射した光量に従った量の電子−正孔対がチャネル保護膜24と半導体膜23との界面付近を中心に発生するようになっている。この場合、半導体膜23側にはキャリアとして正孔が発生し、チャネル保護膜24側には電子が発生する。
半導体膜23の一端部上には、不純物半導体膜25が一部チャネル保護膜24に重なるようにして形成されており、半導体膜23の他端部上には、不純物半導体膜26が一部チャネル保護膜24に重なるようにして形成されている。不純物半導体膜25,26は、ダブルゲートトランジスタ20ごとにパターニングされている。不純物半導体膜25,26は、n型の不純物イオンを含むアモルファスシリコン(n+シリコン)からなる。
不純物半導体膜25上には、ダブルゲートトランジスタ20ごとにパターニングされたソース電極27が形成されている。不純物半導体膜26上には、ダブルゲートトランジスタ20ごとにパターニングされたドレイン電極28が形成されている。また、図2に示すように、横方向(行方向)に延在する複数本のソースライン42,42,…及びドレインライン43,43,…がボトムゲート絶縁膜22上に形成されている。横方向に配列された同一の行のダブルゲートトランジスタ20,20,…の何れのソース電極27も共通のソースライン42と一体に形成されており、横方向に配列された同一の行のダブルゲートトランジスタ20,20,…の何れのドレイン電極28も共通のドレインライン43と一体に形成されている。ソース電極27、ドレイン電極28、ソースライン42及びドレインライン43は、導電性及び遮光性を有しており、例えばクロム、クロム合金、アルミ若しくはアルミ合金又はこれらの合金からなる。
図3、図4に示すように、トップゲート絶縁膜29は、全てのダブルゲートトランジスタ20,20,…に共通して形成されており、ダブルゲートトランジスタ20,20,…のチャネル保護膜24、ソース電極27及びドレイン電極28並びにソースライン42,42,…及びドレインライン43,43,…をまとめて被覆している。トップゲート絶縁膜29は、絶縁性及び光透過性を有し、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。
トップゲート絶縁膜29上には、ダブルゲートトランジスタ20ごとにパターニングされたトップゲート電極30が形成されている。また、図1に示すように、トップゲート絶縁膜29上には縦方向に延在する複数本のトップゲートライン44,44,…が形成されており、縦方向に配列された同一の列のダブルゲートトランジスタ20,20,…の何れのトップゲート電極30も共通のトップゲートライン44と一体に形成されている。トップゲート電極30及びトップゲートライン44は、導電性及び光透過性を有し、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも一つを含む混合物(例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム)で形成されている。
図3、図4に示すように、保護絶縁層31は、ダブルゲートトランジスタ20,20,…のトップゲート電極30及びトップゲートライン44,44,…をまとめて被覆している。保護絶縁層31は、絶縁性及び光透過性を有し、窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。
以上のように構成されたダブルゲートトランジスタアレイ2は、保護絶縁層31の表面を受光面としており、それぞれのダブルゲートトランジスタ20は半導体膜23において受光した光量を電気信号に変換するように設けられている。ダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面上には励起光遮蔽層34、導電体層32及びオーバーコート層33がこの順に積層され、オーバーコート層33上に複数の一本鎖DNAからなるプローブ48が担持されている。
保護絶縁層31上に形成された励起光遮蔽層34はTiO2からなり、励起光を遮蔽する性質を有し、可視光を透過する性質を有する。
励起光遮蔽層34上に形成された導電体層32は、導電性及び光透過性を有し、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛若しくは酸化スズ又はこれらのうちの少なくとも1つを含む混合物で形成されている。
導電体層32上には、光透過性を有したオーバーコート層33が形成されている。このオーバーコート層33は、導電体層32を保護したり、DNA又はタンパク質のプローブ48をダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に固定したりするものである。
以上のダブルゲートトランジスタアレイ2において、図5に示すようにダブルゲートトランジスタ20,20,…が縦m個×横n個のマトリクス状に配列されているが、縦にi個ごと且つ横にj個ごとに組分けされている。ここで、(i×j)個のダブルゲートトランジスタ20,20,…からなる組をブロックといい、m/iの整数部分をp、n/jの整数部分をqとすると、ダブルゲートトランジスタ20,20,…は(p×q)組のブロックに分けられている。図5ではわかりやすくするようにm=n=8とし、i=j=4とし、ダブルゲートトランジスタ20,20,…が4ブロックに分けられているが、m≧i≧2であり、m≧j≧2であり、1ブロック以上に分けられていれば良い。
また、図5に示すように、ダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面上には、1つのブロックにつき1つのスポット49が配置されており、合計(p×q)点のスポット49,49,…がマトリクス状に点在している。1つのスポット49はプローブ48(図4に図示。)が多数集まった群集である。プローブ48が一本鎖DNAの場合には、1つのスポット49に含まれる多数のプローブ48が互いに同じ塩基配列を有し、プローブ48がタンパク質の場合には、1つのスポット49に含まれる多数のプローブ48が互いに同じアミノ酸配列を有する。また、スポット49ごとにプローブ48の塩基配列又はアミノ酸配列が異なる配列となっている。何れのスポット49も、塩基配列又はアミノ酸配列が既知のものである。
スポット49,49,…をダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に固定する方法としては、予め調製したプローブを、ポリ陽イオン(ポリ−L−リシン、ポリエチレンイミン等)で表面処理した導電体層32に分注装置を用いて点着して、DNAの荷電を利用してダブルゲートトランジスタアレイ2の表面に静電結合させる方法が適用され、ポリ陽イオンがオーバーコート層33になる。
別の固定方法として、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤を用いる方法も利用され、シランカップリング剤がオーバーコート層33になる。この場合には、アミノ基、アルデヒド基等は、共有結合により導電体層32に導入されるため、ポリ陽イオンによる場合と比較して安定に導電体層32に存在する。
更に別の固定方法として、反応活性基を導入したオリゴヌクレオチドを合成し、表面処理した導電体層32に該オリゴヌクレオチドを点着し、共有結合させる方法もある。
なお、スポット49,49,…を導電体層32に固定する際に、導電体層32に直流電圧を印加すると、プローブ48がオーバーコート層33に静電結合するので、スポット49,49,…の固定が容易になる。
図2に示すように、ダブルゲートトランジスタアレイ2の周辺に駆動回路3が配置された状態で、ダブルゲートトランジスタアレイ2と駆動回路3が一体となって駆動回路付撮像デバイス9を構成している。
駆動回路3は、トップゲートドライバ74と、ボトムゲートドライバ75と、ドレインドライバ76と、を備える。
ダブルゲートトランジスタアレイ2のトップゲートライン44,44,…がトップゲートドライバ74の端子にそれぞれ接続されている。ダブルゲートトランジスタアレイ2のボトムゲートライン41,41,…がボトムゲートドライバ75の端子にそれぞれ接続されている。ダブルゲートトランジスタアレイ2のドレインライン43,43,…がドレインドライバ76の端子にそれぞれ接続されている。また、ダブルゲートトランジスタアレイ2のソースライン42,42,…が一定電圧に保持され、この例ではソースライン42,42,…が接地されている。
トップゲートドライバ74は、シフトレジスタである。つまり、図6のタイミングチャートに示すように、トップゲートドライバ74は、トップゲートライン44,44,…にリセットパルスを順次出力するようになっている。リセットパルスのレベルは+5〔V〕のハイレベルである。一方、トップゲートドライバ74は、リセットパルスを出力しない時にローレベルの−20〔V〕の電位をそれぞれのトップゲートライン44に印加するようになっている。
ボトムゲートドライバ75は、シフトレジスタである。つまり、ボトムゲートライン41,41,…にリードパルスを順次出力するようになっている。リードパルスのレベルは+10〔V〕のハイレベルであり、リードパルスが出力されていない時のレベルは±0〔V〕のローレベルである。
トップゲートドライバ74が任意の列のトップゲートライン44にリセットパルスを出力した後にキャリア蓄積期間を経てボトムゲートドライバ75が同じ列のボトムゲートライン41にリードパルスを出力するように、トップゲートドライバ74及びボトムゲートドライバ75は出力信号をシフトするようになっている。つまり、各列では、リードパルスが出力されるタイミングは、リセットパルスが出力されるタイミングより遅れている。また、任意の列のトップゲートライン44へのリセットパルスの入力が開始してから、同じ列のボトムゲートライン41へのリードパルスの入力が終了するまでの期間は、その列の選択期間である。リセットパルスのレベルは+5〔V〕のハイレベルであり、リセットパルスが出力されていない時のレベルは−20〔V〕のローレベルである。
ドレインドライバ76は、それぞれの列の選択期間において、リセットパルスが出力されてからリードパルスが出力されるまでの間に、全てのドレインライン43,43,…にプリチャージパルスを出力するようになっている。プリチャージパルスのレベルは+10〔V〕のハイレベルであり、プリチャージパルスが出力されていない時のレベルは±0〔V〕のローレベルである。また、ドレインドライバ76は、プリチャージパルスの出力後に各ドレインライン43,43,…にそれぞれ接続された所定列のダブルゲートトランジスタ20,20,…に入射される光量に応じて変位するドレインライン43,43,…の電圧を取り込んで増幅し、ドレインライン43,43,…の増幅電圧を順次シリアル式でコントローラ5に出力するようになっている。
図7に示すように、ダブルゲートトランジスタアレイ2と駆動回路3とからなる駆動回路付撮像デバイス9は、励起光照射装置4の照射範囲内に装着されている。また、駆動回路付撮像デバイス9はその励起光照射装置4の照射範囲に対して着脱可能に設けられている。駆動回路付撮像デバイス9は消耗品であり、一度特定のDNAの塩基配列判定又は特定のタンパク質のアミノ酸配列判定を行った使用済みの駆動回路付撮像デバイス9を新たな駆動回路付撮像デバイス9に交換して用いられる。励起光照射装置4の照射範囲内に駆動回路付撮像デバイス9が装着された場合、ダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面が励起光照射装置4に対して相対し、更に、駆動回路3がコントローラ5に接続される。
コントローラ5について説明する。
図1に示すように、コントローラ5は、CPU51と、CPU51の作業領域を提供するRAM52と、CPU51にとって読取可能なプログラム53aを記憶したROM53と、ハードディスク等のデータ記憶部54と、励起光照射装置4に接続されたI/F(インターフェース)55と、駆動回路3に接続されたA/Dコンバータ56と、駆動回路3及びA/Dコンバータ56に接続されたタイミング制御部57と、ダブルゲートトランジスタアレイ2から取り込まれた画像データに基づいてDNAの塩基配列の同定結果又はタンパク質のアミノ酸配列の結果を出力装置6に出力する信号処理回路58と、これらの間の信号を入出力可能に接続したバス59と、を備える。
I/F55は、励起光照射装置4に作動信号を出力するものである。
タイミング制御部57は、トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76のそれぞれの動作タイミングを制御する回路である。
A/Dコンバータ56は、ダブルゲートトランジスタ20,20,…に入射される光量に応じて変位されてドレインドライバ76からシリアル式で順次入力される増幅電圧からなる蛍光データを8bitの階調データに変換する回路である。8bitのデジタル階調値は、大きいほど高い輝度の蛍光を受光したことを示す。
データ記憶部54は、プローブ48の既知の塩基配列情報とそのプローブ48が配されたスポット49の位置情報或いはそのスポット49に対応するダブルゲートトランジスタ20の位置情報やその他の情報が記憶可能である。
信号処理回路58は、出力装置6が特定のDNAの塩基配列判定又は特定のタンパク質のアミノ酸配列判定を行ったに関する結果を出力するに適した信号を生成して出力装置6に対して出力する回路である。出力装置6が表示装置の場合には、結果情報データをRGB信号として出力装置6に出力し、出力装置6がプリンタの場合には、信号処理回路58は結果情報データをYMCK信号として出力装置6に出力し、出力装置6が単色画像(例えば、グレースケールの画像)を出力するモノクロプリンタやモノクロ表示装置である場合には、信号処理回路58は結果情報データを階調信号として出力装置6に出力する。
コントローラ5は、RAM52を作業領域としてCPU51でROM53のプログラム53aに従った演算処理を行うように設けられている。コントローラ5は、プログラム53aに従ったCPU51の演算処理により以下の各手段として機能する。
即ち、コントローラ5は、I/F55をもって励起光照射装置4に発光を行わせる励起光照射制御手段として機能する。
また、コントローラ5は、タイミング制御部57をもって駆動回路3(トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76)及びA/Dコンバータ56を作動させることにより、ダブルゲートトランジスタアレイ2で撮像された画像データであって各ダブルゲートトランジスタ20,20,…の階調データからなる画像データ(特定のDNAの塩基配列判定又は特定のタンパク質のアミノ酸配列判定に関する画像データ)を入力する画像データ入力手段として機能する。ここで、駆動回路3の動作によりダブルゲートトランジスタアレイ2が駆動され、各ダブルゲートトランジスタ20,20,…で受光した光量に応じた増幅電圧からなる蛍光データがドレインドライバ76を介してA/Dコンバータ56に順次出力される。各ダブルゲートトランジスタ20,20,…の増幅電圧は、A/Dコンバータ56により画素の8bit階調データに順次変換される。以上により、コントローラ5は、ダブルゲートトランジスタアレイ2で撮像された画像データを入力するように設けられている。
また、コントローラ5は、A/Dコンバータ56をもって蛍光データが順次変換された画素の階調データをデータ記憶部54に格納することにより、入力した画像データ(特定のDNAの塩基配列判定又は特定のタンパク質のアミノ酸配列判定に関する情報データ)を記憶する画像データ記憶手段として機能する。なお、ダブルゲートトランジスタ20で受光した光量が感度以下である場合には、そのダブルゲートトランジスタ20の画素の階調データが階調”0”であり、ダブルゲートトランジスタ20で受光した光量が飽和した場合には、そのダブルゲートトランジスタ20の画素の階調データが階調”255”であり、ダブルゲートトランジスタ20で受光した光量が増加するにつれて画素の階調データも増加する。
また、コントローラ5は、データ記憶部54に格納された各画素の階調データを、ブロックごとに読み出す読出手段として機能する。
また、コントローラ5は、ダブルゲートトランジスタ20,20,…からなる画素の点欠陥を補正処理を行うため、読み出したブロック内の各画素のうち階調データが検出閾値以上となる画素の数を算出する画素数算出手段として機能する。検出閾値とは、スポット49に対応する正常なダブルゲートトランジスタ20が読み取る入射光が、当該スポット49内のハイブリダイゼーションによって引き起こされる蛍光として認識される階調データのうちの最も暗い受光量の階調値である。つまり、ダブルゲートトランジスタ20が正常な場合には、蛍光を発したスポット49に重なったダブルゲートトランジスタ20では画素の階調データが検出閾値以上であり、蛍光を発しないスポット49に重なったダブルゲートトランジスタ20では画素の階調データが検出閾値未満となる。なお、検出閾値は、予めプログラム53aに設定されている。
また、コントローラ5は、所定のブロック内で算出された画素数が所定数T以下であるか否かを判定する判定手段として機能する。所定数Tとは、ブロック内の画素の総数(i×j)と最大点欠陥率Uとの積である。最大点欠陥率Uとは、通常の製造プロセスで製造されたダブルゲートトランジスタアレイ2のダブルゲートトランジスタ20の総数に対して、予想される不良のダブルゲートトランジスタ20の数の最大値の割合である。不良のダブルゲートトランジスタ20の予想最大数は、ダブルゲートトランジスタアレイ2の実測値ではなく、統計的に求めたもので良い。従って、所定数Tとは、ブロック内に含まれる不良のダブルゲートトランジスタ20の推定最大数である。
また、コントローラ5は、所定のブロック内の画素数が所定数T以下であると判定された場合に、階調データが検出閾値以上となる画素について、データ記憶部54に格納された階調データを検出閾値未満(ここでは、最低輝度階調”0”)或いは所定のブロック内のそれ以外の画素の階調データの平均値に書き換える書換手段として機能する。
また、コントローラ5は、階調データが書き換えられた画素と階調データが書き換えられていない画素とからなる画像データ(データ記憶部54に格納された画像データ)を、信号処理回路58をもって出力装置6に出力させる出力制御手段として機能する。また、コントローラ5は、書換手段で補正された階調データによって各スポット49,49,…において、プローブ48と相補的な塩基配列の一本鎖DNAとハイブリダイゼーションしているかどうかを判定した結果情報データ或いはハイブリダイゼーションした場合にハイブリダイゼーションしたプローブ48の塩基配列から自動的に求められるサンプルの塩基配列を含む結果情報データを求める結果情報作成手段として機能し、さらに結果情報データを、信号処理回路58をもって出力装置6に出力させる第2出力制御手段として機能する。
次に、配列特定支援装置1を用いてDNAを含むサンプルをシークエンスする方法と、配列特定支援装置1の動作と、コントローラ5の処理の流れと、について説明する。
まず、作業者が検体からサンプルを採取し、PCR増幅する。次に、作業者が、増幅されたサンプルを一本鎖DNAの状態にして励起光が入射されることによってより長波長の蛍光を発する蛍光物質を結合させることにより、サンプルが標識される。蛍光物質は、励起光照射装置4から発する励起光で励起されるものを選択するが、蛍光物質としては、例えばCyDyeのCy2(アマシャム社製)がある。得られた標識されたサンプルは、溶液中に含まれている。
次いで、作業者が、サンプルを含有した溶液をダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に満たし電気泳動を行い、各スポット49のプローブ48群に近接するようにする。このとき、サンプルは加熱され一本鎖の状態になっている。そして一本鎖のサンプルが各スポット49のプローブ48群とハイブリダイゼーションできる程度にまで温度を下げると、サンプルは、スポット49,49,…のうち相補性を有するプローブ48群のあるスポット49があれば、そのプローブ48とハイブリダイゼーションによって結合し、相補性を有しないプローブ48群のスポット49であれば、そのプローブ48とは結合しない。ダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に塗布したサンプルのうちハイブリダイゼーションしなかったものは洗い流す。
以上のように、サンプルは相補性を有するスポット49のプローブ48とは結合し、相補性を有しないスポット49のプローブ48とは結合しないので、ダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に向けて励起光が放射されると、蛍光を発したスポット49がサンプルと結合したということを把握することができる。そして、複数種のスポット49,49,…のうち蛍光を発したスポット49を特定すれば、サンプル中のDNAの塩基配列がその特定スポット49のプローブ48の塩基配列と相補的であることを把握することができる。そこで、蛍光を発するスポット49を特定することによりサンプルの配列を特定することを、配列特定支援装置1を用いて行う。
配列特定支援装置1を用いる際に、図7に示すように、作業者はサンプルを塗布したダブルゲートトランジスタアレイ20の受光面を励起光照射装置4に対向させ、ダブルゲートトランジスタアレイ2及び駆動回路3をセッティングする。これにより、駆動回路3がコントローラ5に接続される。
次に、作業者が配列特定支援装置1の電源をオンにすると、コントローラ5がCPU51でROM53のプログラム53aを実行して、プログラム53aに従った処理を行う。コントローラ5の処理の流れについて図8を用いて説明する。
まず、コントローラ5がI/F55を介して励起光照射装置4を制御して励起光照射装置4を点灯させると、励起光照射装置4が励起光をダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に向けて照射する(ステップS1:励起光照射制御工程)。
励起光照射装置4から発した励起光によって、スポット49,49,…のうちサンプルとハイブリダイゼーションしたスポット49では蛍光(主に可視光)が発し、サンプルと結合しなかったスポット49では蛍光が発しない。そのため、サンプルと結合したスポット49に重なったダブルゲートトランジスタ20には高強度の蛍光が入射し、サンプルと結合していないスポット49に重なったダブルゲートトランジスタ20には蛍光が殆ど入射しない。
次に、コントローラ5がダブルゲートトランジスタアレイ2の各ダブルゲートトランジスタ20,20,…からなる画像データをA/Dコンバータ56を介して入力する。即ち、コントローラ5がタイミング制御部57をもって駆動回路3(トップゲートドライバ74、ボトムゲートドライバ75及びドレインドライバ76)を制御すると、駆動回路3がダブルゲートトランジスタアレイ2を駆動し、蛍光が入射されたダブルゲートトランジスタ20は、蛍光に応じてデータライン43に出力されたプリチャージ電圧を変調させる。ダブルゲートトランジスタアレイ2がダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれで光量を検知し、ドレインドライバ76がダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれのデータラインの電圧を増幅してA/Dコンバータ56に順次出力する。これにより、コントローラ5が、ダブルゲートトランジスタアレイ2から画像データを入力する。すなわち、コントローラ5が、ドレインドライバ76から順次入力した増幅電圧からなる蛍光データをA/Dコンバータ56により画素の8bit階調データに順次変換し、A/Dコンバータ56を介してデジタル化した階調データを順次入力する。
駆動回路3の動作について説明する。タイミング制御部57がトップゲートドライバ74を制御すると、トップゲートドライバ74がトップゲートライン44,44,…に順次リセットパルスを出力する。また、タイミング制御部57がボトムゲートドライバ75を制御すると、ボトムゲートドライバ75がボトムゲートライン41,41,…に順次リードパルスを出力する。また、タイミング制御部57がドレインドライバ76を制御すると、ドレインドライバ76が各列でリセットパルスが出力されているリセット期間と各列でリードパルスが出力されている期間との間に、プリチャージパルスを全てのドレインライン43,43,…に出力する。
任意の列(k列目)の各ダブルゲートトランジスタ20の動作について詳細に説明する。図6に示すように、トップゲートドライバ74がk列目のトップゲートライン44にリセットパルスを出力すると、k列目のトップゲートライン44がハイレベルになる。k列目のトップゲートライン44がハイレベルになっている間(この期間をリセット期間という。)、k列目の各ダブルゲートトランジスタ20では、半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積されたキャリア(ここでは、正孔である。)が、トップゲート電極30の電圧により反発して吐出される。
次に、トップゲートドライバ74がk列目のトップゲートライン44にリセットパルスを出力することを終了する。k列目のトップゲートライン44のリセットパルスが終了してから、k列目のボトムゲートライン41にリードパルスが出力されるまでの間(この期間をキャリア蓄積期間という。)、光量に従った量の電子−正孔対が半導体膜23内で生成され、そのうちの正孔がトップゲート電極30の電界により半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積される。
次に、キャリア蓄積期間中に、ドレインドライバ76が全てのドレインライン43,43,…にプリチャージパルスを出力する。プリチャージパルスが出力されている間(プリチャージ期間という。)では、k列目の各ダブルゲートトランジスタ20においては、トップゲート電極30に印加されている電位が−20〔V〕であり、ボトムゲート電極21に印加されている電位が±0〔V〕であるため、たとえ半導体膜23とチャネル保護膜24との界面近傍に蓄積された正孔の電荷だけではゲート−ソース間電位が低いので半導体膜23にはチャネルが形成されず、ドレイン電極28とソース電極27との間に電流は流れない。プリチャージ期間において、ドレイン電極28とソース電極27との間に電流が流れないため、ドレインライン43,43,…に出力されたプリチャージパルスによってk列目の各ダブルゲートトランジスタ20のドレイン電極28に電荷がチャージされる。
次に、ドレインドライバ76がプリチャージパルスの出力を終了するとともに、ボトムゲートドライバ75がk列目のボトムゲートライン41にリードパルスを出力する。ボトムゲートドライバ75がk列目のボトムゲートライン41にリードパルスを出力している間(この期間を、リード期間という。)では、k列目の各ダブルゲートトランジスタ20のボトムゲート電極21に+10〔V〕の電位が印加されているため、k列目の各ダブルゲートトランジスタ20がオン状態になる。
リード期間においては、キャリア蓄積期間において蓄積されたキャリアがトップゲート電極30とボトムゲート電極21との間の電圧を緩和するように働くため、ボトムゲート電極21とトップゲート電極30との間の電圧により半導体膜23にチャネルが形成されて、ドレイン電極28からソース電極27に電流が流れるようになる。従って、リード期間では、ドレインライン43,43,…の電圧は、ドレイン−ソース間電流によって時間の経過とともに徐々に低下する傾向を示す。
ここで、キャリア蓄積期間において半導体膜23に入射した光量が多くなるにつれて、蓄積されるキャリアも多くなり、蓄積されるキャリアが多くなるにつれて、リード期間においてドレイン電極28からソース電極27に流れる電流のレベルも大きくなる。従って、リード期間におけるドレインライン43,43,…の電圧の変化傾向は、キャリア蓄積期間で半導体膜23に入射した光量に深く関連する。そして、ドレインドライバ76が、k列目のリード期間から次の(k+1)列目のプリチャージ期間までの間に、リード期間が開始してから所定の時間経過後のドレインライン43,43,…の電圧を検出する。これにより、ドレインライン43,43,…の光量が電圧に換算される。そして、ドレインドライバ76は、パラレル式のドレインライン43,43,…の電圧を増幅し、ドレインライン43,43,…の増幅電圧を順次シリアル式でA/Dコンバータ56に出力する。
上述したk行目の一連の処理を1サイクルとして、同じ処理が行順次に繰り返される。これにより、全てのダブルゲートトランジスタ20,20,…の増幅電圧がA/Dコンバータ56に順次出力される。
コントローラ5が上述したように画像データ入力工程においてドレインドライバ76から順次入力した増幅電圧からなる蛍光データをA/Dコンバータ56により画素の8bit階調データに順次変換するが、コントローラ5が階調データをデータ記憶部54に順次記憶する(ステップS3:画像データ記憶工程)。これにより、データ記憶部54には、各画素の階調データからなる画像データが格納される。
次に、コントローラ5は、任意のブロック内にある全ての画素の階調データをデータ記憶部54から読み出すことをブロックごとに順次行う(ステップS4(最初のブロックの認識)、ステップS5(ブロックの読出し)、ステップS9(次のブロックの認識)、ステップS10(次のブロックの順番が全てのブロック数を越えているかの認識):読出工程)。
コントローラ5は、任意のN番目のブロック内にある画素に対して以下のような処理を行う。即ち、コントローラ5は、各画素の階調データを検出閾値(例えば、61)と比較することにより、階調データが検出閾値以上となる画素の数Sを算出する(ステップS6:画素数算出工程)。
次に、コントローラ5は、ステップS6で算出した画素の数Sが所定数T以下であるか否かを判定する(ステップS7:判定工程)。
次に、画素の数Sが所定数T以下である場合には、コントローラ5は、検出閾値以上となった画素の階調データを最低輝度階調であるゼロ、或いは所定のブロック内のそれ以外の画素の階調データの平均値に書き換えてデータ記憶部54に記憶する(ステップS8:書換工程)。一方、画素の数Sが所定数T以下でない場合には、コントローラ5は、そのブロック内の各画素の階調データに対して書換操作を行わない。
コントローラ5は、ステップS5〜ステップS8の処理をブロックごとに繰り返し行う(ステップS9、ステップS10:Yes)。そして、コントローラ5は、全(p×q)組のブロックについてステップS5〜ステップS8の処理を行ったら(ステップS10:No)、データ記憶部54に記憶した画像データを信号処理回路58により信号処理する(出力制御工程)。これにより、出力装置6は、データ記憶部54に格納された画像データを画像として出力する。
また、コントローラ5は、画像データからサンプルの配列を特定する。即ち、出力された画像データ中のどの部分が明るいかによって、サンプルの配列を特定することができる。つまり、サンプルの配列は、画像データの中で明るくなったブロックに重なったスポット49と相補的な配列である。
そして、CPU51は、プログラム53aに則って書換工程を経た階調データからサンプルと相補的であったプローブ48のあるスポット49のブロックの有無を判定し、信号処理回路58が特定のDNAの塩基配列判定又は特定のタンパク質のアミノ酸配列判定に関する結果情報データ信号を生成して出力装置6に対して出力する(第2出力制御工程)。
本実施形態の効果について図9を用いて説明する。
図9(a)は、ステップS3においてデータ記憶部54に格納された画像データを模式的に図式化したものであり、図9(b)は、最後のブロックの処理が終わった場合にステップS8においてデータ記憶部54に格納された画像データを模式的に示すものである。図9において、縦方向がボトムゲートライン41,41,…及びトップゲートライン44,44,…の延在方向であり、横方向がドレインライン43,43,…の延在方向であり、セル内に記述された数値は各ダブルゲートトランジスタ20の蛍光データ(光量に応じた電圧)を階調変換した階調データの値である。図9において、図5のような8×8個のダブルゲートトランジスタ20,20,…からなるダブルゲートトランジスタアレイ2を用いており、ダブルゲートトランジスタ20,20,…が4組のブロックに分けられており、一組のブロック当たり4×4個のダブルゲートトランジスタ20,20,…がある。また、図9において、1番目のブロックAに点着したスポット49がサンプルと相補的であるものとし、2〜4番目のブロックB,C,Dに点着したスポット49,49,49はサンプルと相補的でないものとする。また、図9において、4番目のブロックDにある二つのダブルゲートトランジスタ20,20に欠陥があるものとし、それらに対応する画素をP1、P2とする。なお、最大点欠陥率Uが20%であるとすると、各ブロックには16個のダブルゲートトランジスタ20,20,…があるので、所定数Tが3.2となる。
図9(a)に示すように、1番目のブロックAでは、スポット49がサンプルと相補的であるから、スポット49から発した蛍光がダブルゲートトランジスタ20,20,…に入射するので、各画素の階調データが検出閾値(ここでは、61)以上となっている。また、2〜3番目のブロックB,Cでは、スポット49,49がサンプルと相補的でないから、スポット49から蛍光が発しないので、各画素の階調データが検出閾値未満となっている。4番目のブロックDでも、スポット49がサンプルと相補的でないから、どの画素でも階調データが検出閾値未満となるはずである。しかしながら、4番目のブロックDの二つのダブルゲートトランジスタ20,20が欠陥であるため、画素P1,P2の階調データが検出閾値以上となってしまう。仮に、このような画像データ(ステップS3においてデータ記憶部54に格納された画像データ)が出力装置6から出力されると、サンプルが4番目のブロックDのスポット49と相補的であると誤認識されるおそれがある。
しかしながら、本実施形態では、検出閾値以上となった画素の数が所定数T以下であるから、コントローラ5は画素P1,P2に対応したダブルゲートトランジスタ20,20が欠陥であると認識することになる(ステップS7:Yes)。そして、コントローラ5は、検出閾値以上となった画素P1,P2の階調データをゼロに書き換えており、このように最後のブロックのステップS8処理が終わると、サンプルが4番目のブロックDのスポット49と相補的であると誤認識されることを防止することができる。
〔第2の実施の形態〕
図1を援用して第2の実施形態における配列特定支援装置について説明する。第2の実施形態における配列特定支援装置は、図1に示された配列特定支援装置1と同様に、スポット49,49,…、ダブルゲートトランジスタアレイ2、駆動回路3、励起光照射装置4、コントローラ5及び出力装置6から構成されている。これらは第1の実施形態の配列特定支援装置1の各部と基本的に同一である。但し、配列特定支援装置1ではROM53にプログラム53aが格納されているのに対して、第2の実施形態の配列特定支援装置ではROM53にはプログラム53aの代わりに別のプログラムが格納されていることが相違する。
このプログラムはCPU51にとって読取可能なプログラムであり、コントローラ5はRAM52を作業領域としてCPU51でROM53のプログラムに従った演算処理を行うように設けられている。コントローラ5は、そのプログラムに従ったCPU51の演算処理により以下の各手段として機能する。
即ち、コントローラ5は、I/F55をもって励起光照射装置4を発光させる励起光照射制御手段として機能する。
また、コントローラ5は、タイミング制御部57をもって駆動回路3及びA/Dコンバータ56を作動させることにより、ダブルゲートトランジスタアレイ2で撮像された画像データであって各ダブルゲートトランジスタ20,20,…の階調データからなる画像データを入力する画像データ入力手段として機能する。
また、コントローラ5は、A/Dコンバータ56をもって順次変換された画素の階調データをデータ記憶部54に格納することにより、各画素の階調データからなる画像データを記憶する画像データ記憶手段として機能する。
また、コントローラ5は、データ記憶部54に格納された各画素の階調データを読み出す読出手段として機能する。
また、コントローラ5は、読み出した各画素の階調データが検出閾値未満であるか否かを判定する判定手段として機能する。ここでの検出閾値も、正常なダブルゲートトランジスタ20に蛍光が入射したものとすると、そのダブルゲートトランジスタ20に対応する画素の階調データのうちの最低値である。
また、コントローラ5は、階調データが検出閾値未満と判定された全ての画素について、データ記憶部54に格納された階調データを検出閾値未満の同じ最低輝度階調(ここでは、ゼロ)に書き換える書換手段として機能する。
また、コントローラ5は、階調データが書き換えられた画素と階調データが書き換えられていない画素とからなる画像データ(データ記憶部54に格納された画像データ)を、信号処理回路58をもって出力装置6に出力させる出力制御手段として機能する。また、コントローラ5は、書換手段で補正された階調データによって各スポット49,49,…において、プローブ48と相補的な塩基配列の一本鎖DNAとハイブリダイゼーションしているかどうかを判定した結果情報データ或いはハイブリダイゼーションした場合にハイブリダイゼーションしたプローブ48の塩基配列から自動的に求められるサンプルの塩基配列を含む結果情報データを求める結果情報作成手段として機能し、さらに結果情報データを、信号処理回路58をもって出力装置6に出力させる出力制御手段として機能する。
第2の実施形態の配列特定支援装置を用いてサンプルをシークエンスする方法と、この配列特定支援装置の動作と、コントローラ5の処理の流れと、について説明する。
サンプルを含有した溶液をダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に満たし電気泳動を行い、各スポット49のプローブ48群に近接するようにする。このとき、サンプルは加熱され一本鎖の状態になっている。そして一本鎖のサンプルが各スポット49のプローブ48群とハイブリダイゼーションできる程度にまで温度を下げると、サンプルは、スポット49,49,…のうち相補性を有するプローブ48群のあるスポット49があれば、そのプローブ48とハイブリダイゼーションによって結合し、相補性を有しないプローブ48群のスポット49であれば、そのプローブ48とは結合しない。ダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に塗布したサンプルのうちハイブリダイゼーションしなかったものは洗い流す。次に、作業者はダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面を励起光照射装置4に対向させ、ダブルゲートトランジスタアレイ2及び駆動回路3をセッティングする。次に、作業者が配列特定支援装置の電源をオンにすると、コントローラ5がCPU51でROM53のプログラムを実行して、プログラムに従った処理を行う。コントローラ5の処理の流れについて図10を用いて説明する。
まず、コントローラ5がI/F55を介して励起光照射装置4を点灯させると、励起光照射装置4が励起光をダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に向けて照射する(ステップS21:励起光照射制御工程)。
励起光照射装置4から発した励起光によって、スポット49,49,…のうちサンプルとハイブリダイゼーションしたスポット49では蛍光が発し、サンプルと結合しなかったスポット49では蛍光が発しない。そのため、サンプルと結合したスポット49に重なったダブルゲートトランジスタ20には高強度の蛍光が入射し、サンプルと結合していないスポット49に重なったダブルゲートトランジスタ20には蛍光が殆ど入射しない。
次に、コントローラ5がタイミング制御部57をもって駆動回路3を制御すると、駆動回路3がダブルゲートトランジスタアレイ2を駆動し、ダブルゲートトランジスタアレイ2が撮像動作を行う。ダブルゲートトランジスタアレイ2がダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれで光量を検知し、ドレインドライバ76がダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれの光量を増幅電圧としてA/Dコンバータ56に順次出力する。これにより、コントローラ5が、ドレインドライバ76から順次入力した増幅電圧からなる蛍光データをA/Dコンバータ56により画素の8bit階調データに順次変換することによって、各画素の階調データからなる画像データを入力する(ステップS22:画像データ入力工程)。
コントローラ5は、各画素の階調データをデータ記憶部54に順次記憶することによって、各画素の階調データからなる画像データをデータ記憶部54に記憶する(ステップS23:画像データ記憶工程)。
次に、コントローラ5は、画素の階調データをデータ記憶部54から読み出すことを画素ごとに順次行う(ステップS24、ステップS25、ステップS28、ステップS29:読出工程)。
コントローラ5は、読み出した画素の階調データに対して以下のような処理を行う。即ち、コントローラ5は、画素の階調データを検出閾値(例えば、61)と比較することにより、階調データが検出閾値未満となるか否かを判定する(ステップS26:判定工程)。
読み出した階調データが検出閾値未満である場合には、コントローラ5が、その画素の階調データを検出閾値未満の最低輝度階調であるゼロに書き換えてデータ記憶部54に記憶する(ステップS27:書換工程)。一方、読み出した階調データが検出閾値以上である場合には、コントローラ5が、その画素の階調データを書き換えずにそのままデータ記憶部54に記憶させておく。
コントローラ5は、ステップS25〜ステップS27の処理を画素ごとに繰り返し行う(ステップS28、ステップS29:Yes)。そして、コントローラ5は、全(m×n)個の画素についてステップS25〜ステップS27の処理を行ったら(ステップS29:No)、データ記憶部54に記憶した画像データを信号処理回路58により信号処理する。
そして、CPU51は、プログラムに則って書換工程を経た階調データからサンプルと相補的であったプローブ48のあるスポット49のブロックの有無を判定し、信号処理回路58が特定のDNAの塩基配列判定又は特定のタンパク質のアミノ酸配列判定に関する結果情報データ信号を生成して出力装置6に対して出力する。
本実施形態の効果について図11を用いて説明する。
図11(a)は、ステップS23においてデータ記憶部54に格納された画像データを模式的に示すものであり、図11(b)は、最後の画素の処理が終わった場合にステップS27においてデータ記憶部54に格納された画像データを模式的に示すものである。図11において、図5のような8×8個のダブルゲートトランジスタ20,20,…からなるダブルゲートトランジスタアレイ2を用いている。また、図11において、1番目のブロックAに点着したスポット49がサンプルと相補的であるものとし、2〜4番目のブロックB,C,Dに点着したスポット49,49,49はサンプルと相補的でないものとする。
図11(a)に示すように、1番目のブロックAでは、スポット49がサンプルと相補的であるから、スポット49から発した蛍光がダブルゲートトランジスタ20,20,…に入射するので、各画素の階調データが検出閾値(ここでは、61)以上となっている。また、2〜4番目のブロックB,C,Dでは、スポット49,49,49がサンプルと相補的でないから、スポット49から蛍光が発しないので、各画素の階調データが検出閾値未満となっている。
本実施形態では、検出閾値未満となる画素の階調データを最低輝度階調ゼロに書き換えるから(ステップS27)、ブロックA内の各画素の階調データとブロックB,C,D内の各画素の階調データとの差が大きくなる。
〔第3の実施の形態〕
図1を援用して第3の実施形態における配列特定支援装置について説明する。第3の実施形態における配列特定支援装置は、図1に示された配列特定支援装置1と同様に、スポット49,49,…、ダブルゲートトランジスタアレイ2、駆動回路3、励起光照射装置4、コントローラ5及び出力装置6から構成されている。これらは第1の実施形態の配列特定支援装置1の各部と基本的に同一である。但し、配列特定支援装置1ではROM53にプログラム53aが格納されているのに対して、第3の実施形態の配列特定支援装置ではROM53にはプログラム53aの代わりに別のプログラムが格納されていることが相違する。
このプログラムはCPU51にとって読取可能なプログラムであり、コントローラ5はRAM52を作業領域としてCPU51でROM53のプログラムに従った演算処理を行うように設けられている。コントローラ5は、そのプログラムに従ったCPU51の演算処理により以下の各手段として機能する。
即ち、コントローラ5は、I/F55をもって励起光照射装置4を発光させる励起光照射制御手段として機能する。
また、コントローラ5は、タイミング制御部57をもって駆動回路3及びA/Dコンバータ56を作動させることにより、ダブルゲートトランジスタアレイ2で撮像された画像データであって各ダブルゲートトランジスタ20,20,…の階調データからなる画像データを入力する画像データ入力手段として機能する。
また、コントローラ5は、データ記憶部54に格納された画像データの各画素の階調データを読み出す読出手段として機能する。
また、コントローラ5は、読み出した各画素の階調データが異常閾値以上であるか否かを判定する判定手段として機能する。ここで、異常閾値とは、正常なダブルゲートトランジスタ20に励起光が入射したものとすると、そのダブルゲートトランジスタ20に対応する画素の階調データのうちの最低輝度値である。なお、正常なダブルゲートトランジスタ20に励起光が入射せずに蛍光が入射した場合には、そのダブルゲートトランジスタ20に対応する画素の階調データが検出閾値以上異常閾値未満となる。
また、コントローラ5は、階調データが異常閾値以上と判定された画素について、データ記憶部54に格納された階調データを異常閾値未満の値(ここでは、ゼロ)に書き換える書換手段として機能する。
また、コントローラ5は、階調データが書き換えられた画素と階調データが書き換えられていない画素とからなる画像データ(データ記憶部54に格納された画像データ)を、信号処理回路58をもって出力装置6に出力させる出力制御手段として機能する。
第3の実施形態の配列特定支援装置を用いてサンプルをシークエンスする方法と、この配列特定支援装置の動作と、コントローラ5の処理の流れと、について説明する。
サンプルを含有した溶液をダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に満たし電気泳動を行い、各スポット49のプローブ48群に近接するようにする。このとき、サンプルは加熱され一本鎖の状態になっている。そして一本鎖のサンプルが各スポット49のプローブ48群とハイブリダイゼーションできる程度にまで温度を下げると、サンプルは、スポット49,49,…のうち相補性を有するプローブ48群のあるスポット49があれば、そのプローブ48とハイブリダイゼーションによって結合し、相補性を有しないプローブ48群のスポット49であれば、そのプローブ48とは結合しない。ダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に塗布したサンプルのうちハイブリダイゼーションしなかったものは洗い流す。次に、作業者はサンプルを塗布したダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面を励起光照射装置4に対向させ、ダブルゲートトランジスタアレイ2及び駆動回路3をセッティングする。次に、作業者が配列特定支援装置の電源をオンにすると、コントローラ5がCPU51でROM53のプログラムを実行して、プログラムに従った処理を行う。コントローラ5の処理の流れについて図12を用いて説明する。
まず、コントローラ5がI/F55を介して励起光照射装置4を点灯させると、励起光照射装置4が励起光をダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に向けて照射する(ステップS31:励起光照射制御工程)。
励起光照射装置4から発した励起光によって、スポット49,49,…のうちサンプルとハイブリダイゼーションしたスポット49では蛍光が発し、サンプルと結合しなかったスポット49では蛍光が発しない。そのため、サンプルと結合したスポット49に重なったダブルゲートトランジスタ20には高強度の蛍光が入射し、サンプルと結合していないスポット49に重なったダブルゲートトランジスタ20には蛍光が殆ど入射しない。
次に、コントローラ5がタイミング制御部57をもって駆動回路3を制御すると、駆動回路3がダブルゲートトランジスタアレイ2を駆動し、ダブルゲートトランジスタアレイ2が撮像動作を行う。ダブルゲートトランジスタアレイ2がダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれで蛍光光量を検知し、ドレインドライバ76がダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれの光量を増幅電圧としてA/Dコンバータ56に順次出力する。これにより、コントローラ5が、ドレインドライバ76から順次入力した増幅電圧からなる蛍光データをA/Dコンバータ56により画素の8bit階調データに順次変換することによって、各画素の階調データからなる画像データを入力する(ステップS32:画像データ入力工程)。
コントローラ5は、各画素の階調データをデータ記憶部54に順次記憶することによって、各画素の階調データからなる画像データをデータ記憶部54に記憶する(ステップS33:画像データ記憶工程)。
次に、コントローラ5は、画素の階調データをデータ記憶部54から読み出すことを画素ごとに順次行う(ステップS34、ステップS35、ステップS38、ステップS39:読出工程)。
コントローラ5は、読み出した画素の階調データに対して以下のような処理を行う。即ち、コントローラ5は、画素の階調データを異常閾値(例えば、181)と比較することにより、階調データが異常閾値以上となるか否かを判定する(ステップS36:判定工程)。
読み出した階調データが異常閾値以上である場合には、コントローラ5が、その画素の階調データをゼロに書き換えてデータ記憶部54に記憶する(ステップS37:書換工程)。一方、読み出した階調データが異常閾値未満である場合には、コントローラ5が、その画素の階調データを書き換えずにそのままデータ記憶部54に記憶させておく。
コントローラ5は、ステップS35〜ステップS37の処理を画素ごとに繰り返し行う(ステップS38、ステップS39:Yes)。そして、コントローラ5は、全(m×n)個の画素についてステップS35〜ステップS37の処理を行ったら(ステップS39:No)、データ記憶部54に記憶した画像データを信号処理回路58により信号処理する。
そして、CPU51は、プログラムに則って書換工程を経た階調データからサンプルと相補的であったプローブ48のあるスポット49のブロックの有無を判定し、信号処理回路58が特定のDNAの塩基配列判定又は特定のタンパク質のアミノ酸配列判定に関する結果情報データ信号を生成して出力装置6に対して出力する。
本実施形態の効果について図13を用いて説明する。
図13(a)は、ステップS33においてデータ記憶部54に格納された画像データを模式的に示すものであり、図13(b)は、最後の画素の処理が終わった場合にステップS27においてデータ記憶部54に格納された画像データを模式的に示すものである。図13において、図5のような8×8個のダブルゲートトランジスタ20,20,…からなるダブルゲートトランジスタアレイ2を用いている。また、図13において、1番目のブロックAに点着したスポット49がサンプルと相補的であるものとし、2〜4番目のブロックB,C,Dに点着したスポット49,49,49はサンプルと相補的でないものとする。また、画素P3のダブルゲートトランジスタ20の上では、励起光遮蔽層34が破損しており、そのためにそのダブルゲートトランジスタ20に励起光が入射する。
図13(a)に示すように、1番目のブロックAでは、スポット49がサンプルと相補的であるから、スポット49から発した蛍光がダブルゲートトランジスタ20,20,…に入射するので、各画素の階調データが検出閾値(ここでは、61)以上となっている。また、2,4番目のブロックB,Dでは、スポット49,49がサンプルと相補的でないから、スポット49から蛍光が発しないので、各画素の階調データが検出閾値未満となっている。3番目のブロックCでは、スポット49がサンプルと相補的でないから、スポット49が発光しないので、画素P3を除く各画素の階調データが検出閾値未満となっている。しかしながら、画素P3のダブルゲートトランジスタ20には励起光が入射するから、画素P3の階調データが異常閾値以上となってしまう。仮に、このような画像データ(ステップS33においてデータ記憶部54に格納された画像データ)が出力装置6から出力されると、ブロックBの画素P3が検出閾値以上となっているから、サンプルが3番目のブロックCのスポット49と相補的であると誤認識されるおそれがある。
しかしながら、本実施形態では、異常閾値以上となる画素の階調データをゼロに書き換えるから(ステップS37)、このような画像データ(最後の画素の処理が終わった場合にステップS37においてデータ記憶部54に格納された画像データ)が出力装置6から出力されると、サンプルが3番目のブロックCのスポット49と相補的であると誤認識されることを防止することができる。
〔第4の実施の形態〕
図1を援用して第4の実施形態における配列特定支援装置について説明する。第4の実施形態における配列特定支援装置は、図1に示された配列特定支援装置1と同様に、ダブルゲートトランジスタアレイ2、駆動回路3、励起光照射装置4、コントローラ5及び出力装置6から構成されている。これらは第1の実施形態の配列特定支援装置1の各部と基本的に同一である。
但し、ダブルゲートトランジスタアレイ2は、図14に示すように、ダブルゲートトランジスタ20,20,…が縦8個×横8個のマトリクス状に配列されたものである。また、ダブルゲートトランジスタ20,20,…が縦に4個ごと且つ横に4個ごとに組分けされ、4×4個のダブルゲートトランジスタ20,20,…からなるブロックが4組ある。ここで、ブロックA〜Dのスポット49のプローブ48は互いに塩基配列又はアミノ配列が異なっているので、サンプルで蛍光を示すブロック数は一つを越えることはない。
また、配列特定支援装置1ではROM53にプログラム53aが格納されているのに対して、第4の実施形態の配列特定支援装置ではROM53にはプログラム53aの代わりに別のプログラムが格納されていることが相違する。
このプログラムはCPU51にとって読取可能なプログラムであり、コントローラ5はRAM52を作業領域としてCPU51でROM53のプログラムに従った演算処理を行うように設けられている。コントローラ5は、そのプログラムに従ったCPU51の演算処理により以下の各手段として機能する。
即ち、コントローラ5は、I/F55をもって励起光照射装置4を発光させる励起光照射制御手段として機能する。
また、コントローラ5は、タイミング制御部57をもって駆動回路3及びA/Dコンバータ56を作動させることにより、ダブルゲートトランジスタアレイ2で撮像された画像データであって各ダブルゲートトランジスタ20,20,…の階調データからなる画像データを入力する画像データ入力手段として機能する。
また、コントローラ5は、A/Dコンバータ56をもって順次変換された画素の階調データをデータ記憶部54に格納することにより、各画素の階調データからなる画像データを記憶する画像データ記憶手段として機能する。
また、コントローラ5は、データ記憶部54に格納された各画素の階調データを読み出す読出手段として機能する。
また、コントローラ5は、任意行の全画素(任意行のドレインライン43に接続された全てのダブルゲートトランジスタ20)の階調データが検出閾値以上であるか否かを判定する判定手段として機能する。ここでの検出閾値も、正常なダブルゲートトランジスタ20に蛍光が入射したものとすると、そのダブルゲートトランジスタ20に対応する画素の階調データのうちの最低輝度階調値である。
また、コントローラ5は、前記任意行の全画素が階調データを検出閾値以上としたものであると判定された場合に、前記任意行が位置するブロックが前記任意行の画素を除いた閾値未満の画素数が所定数T以下であるか否かを判定する判定手段として機能する。所定数Tとは、ブロック内の画素の総数(i×j)と最大線欠陥率Uとの積である。最大線欠陥率Uとは、通常の製造プロセスで製造されたダブルゲートトランジスタアレイ2のドレインライン43,43,…に出力される電圧が正常値と異なるドレインライン43の最大発生率である。また、前記判定手段で所定数T以下とみなしたブロックのうち、閾値以上の画素を除いて列毎の画素の階調値の平均値を求め、さらに、この平均値に対する当該列の閾値以上の画素の階調値の比率を算出する算出手段として機能する。
そして、コントローラ5は、前記列毎に求められた前記比率の平均値を算出する算出手段としても機能する。
また、コントローラ5は、閾値未満の画素数が所定数Tを越えるためにハイブリダイゼーションを起こしたとみなされるブロックの各画素のうち前記任意行の各画素について、前記比率で除して、階調データを書き換える書換手段として機能する。
また、コントローラ5は、書換工程を経た階調データに応じた判定結果を、信号処理回路58をもって出力装置6に出力させる出力制御手段として機能する。
第4の実施形態の配列特定支援装置を用いてサンプルをシークエンスする方法と、この配列特定支援装置の動作と、コントローラ5の処理の流れと、について説明する。
作業者は、採取したサンプルに蛍光物質を結合させることにより、サンプルに標識を付す。次いで、作業者が、サンプルを含有した溶液をダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に塗布する。サンプルとスポット49が相補的である場合には、サンプルがスポット49と結合し、サンプルとスポット49が相補的でない場合には、サンプルがスポット49と結合しない。ダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に塗布したサンプルのうちハイブリダイゼーションしなかったものは洗い流す。次に、作業者はサンプルを塗布したダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面を励起光照射装置4に対向させ、ダブルゲートトランジスタアレイ2及び駆動回路3をセッティングする。次に、作業者が配列特定支援装置の電源をオンにすると、コントローラ5がCPU51でROM53のプログラムを実行して、プログラムに従った処理を行う。コントローラ5の処理の流れについて図15を用いて説明する。
まず、コントローラ5がI/F55を介して励起光照射装置4を点灯させると、励起光照射装置4が励起光をダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面に向けて照射する(ステップS41:励起光照射制御工程)。
励起光照射装置4から発した励起光によって、サンプルがスポット49と結合した場合には、スポット49から蛍光が発し、サンプルがスポット49と結合しなかった場合には、スポット49から蛍光が発しない。
次に、コントローラ5がタイミング制御部57をもって駆動回路3を制御すると、駆動回路3がダブルゲートトランジスタアレイ2を駆動し、ダブルゲートトランジスタアレイ2が撮像動作を行う。ダブルゲートトランジスタアレイ2がダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれで光量を検知し、ドレインドライバ76がダブルゲートトランジスタ20,20,…のそれぞれの光量を増幅電圧からなる蛍光データとしてA/Dコンバータ56に順次出力する。これにより、コントローラ5が、ドレインドライバ76から順次入力した増幅電圧からなる蛍光データをA/Dコンバータ56により画素の8bit階調データに順次変換することによって、各画素の階調データからなる画像データを入力する(ステップS42:画像データ入力工程)。
コントローラ5は、各画素の階調データをデータ記憶部54に順次記憶することによって、各画素の階調データからなる画像データをデータ記憶部54に記憶する(ステップS43:画像データ記憶工程)。
次に、コントローラ5は、各画素の階調データを読み出す(ステップS44:読出工程)。次に、コントローラ5は、任意行の線状欠陥が存在するか否かを判定する(ステップS45:判定工程)。具体的には、任意行の全ての画素の階調データが検出閾値(ここでは、61)以上であれば、コントローラ5はその任意行が線状欠陥の行であると判定し、任意行の全画素のうち1つでも検出閾値未満の階調データの画素があれば、コントローラ5はその行が線状欠陥の行でないと判定する。
線状欠陥の行が存在しない場合には(ステップS45:No)、コントローラ5はデータ記憶部54に記憶した画像データを信号処理回路58により信号処理を行い、画像データに従った結果を出力装置6に出力する。
一方、図16(a)に示すように、線状欠陥の行が存在する場合には(ステップS45:Yes)、コントローラ5は、まず、線状欠陥の行が位置するブロックが線状欠陥の行の画素を除いた閾値未満の画素数が所定数T以下であるか否かを判定する。所定数T以下のブロックBはハイブリダイゼーションが起きておらず、所定数Tを越えたブロックAはハイブリダイゼーションが起きたとみなす。引き続きコントローラ5は、所定数T以下とみなしたブロックBのうち、閾値以上の画素を除いて列毎の画素の階調値の平均値を求める。つまり、第6列〜第9列のそれぞれの平均値は、55、55、56、56となる。そして、この平均値に対する当該列の閾値以上の画素の階調値の比率を算出する。すなわち第6列〜第9列の比率はそれぞれ、64/55、64/55、66/56、66/56となる。そして、コントローラ5は、前記列毎に求められた前記比率の平均値を算出する。つまり、(64/55+64/55+66/56+66/56)/4=1.17となる(ステップS46:算出工程)。
一方、閾値未満の画素数が所定数Tを越えるためにハイブリダイゼーションを起こしたとみなされるブロックAの各画素のうち前記任意行の各画素について、前記比率を除算する。つまり、図16(b)に示すように、第1列〜第4列は、87/1.17、110/1.17、111/1.17、88/1.17となり四捨五入された値としてデータ記憶部54に書き換える(ステップS47:書換工程)。そして、コントローラ5はデータ記憶部54に記憶した画像データを信号処理回路58により信号処理を行い、画像データに従った信号を出力装置6に出力する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
上記各実施形態では、光電変換素子としてダブルゲートトランジスタ20,20,…を画素として用いたダブルゲートトランジスタアレイ2を撮像素子として用いているが、別の種類の光電変換素子を画素として用いた固体撮像素子を用いても良い。例えば、フォトダイオードを画素として用いたCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等といった固体撮像素子を用いても良い。CCDイメージセンサにおいては、フォトダイオードが基板上にマトリクス状となって配列されており、それぞれのフォトダイオードの周囲には、フォトダイオードで光電変換された電気信号を転送するための垂直CCD、水平CCDが形成されている。CMOSイメージセンサにおいては、フォトダイオードが基板上にマトリクス状となって配列されており、それぞれのフォトダイオードの周囲にはフォトダイオードで光電変換された電気信号を増幅するためのCMOS回路が設けられている。
また、上記各実施形態では、ダブルゲートトランジスタアレイ2の受光面にスポット49,49,…が点着しているが、基板等に複数種のスポットを点着しても良い(即ち、従来のDNAマイクロアレイを用いても良い)。この場合、ダブルゲートトランジスタアレイ2と基板との間に光学系(レンズ)を配設し、基板上に配列された複数種のスポットをダブルゲートトランジスタアレイ2に結像すれば、ダブルゲートトランジスタアレイ2で複数種のスポットを撮像することができる。勿論、レンズにより結像する場合において、ダブルゲートトランジスタアレイ2ではなく、他の固体撮像素子を用いても良い。ここで、ダブルゲートトランジスタアレイ2、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサといった撮像素子と、複数種のスポットの像を撮像素子に結像する光学系とからなるものが電子カメラである。
また、基板等に複数種のスポットを点着したものを用いる場合、電子カメラを用いるのではなく、スキャナを用いて複数種のスポットの像を撮像(画像入力)しても良い。スキャナは、基板等に配列された複数種のスポットをラインセンサ(線状の撮像素子)で走査するものである。
上記実施形態では、駆動回路付撮像デバイス9はその励起光照射装置4の照射範囲に対して着脱可能に設けられている。駆動回路付撮像デバイス9を消耗品として交換可能にしたが、ダブルゲートトランジスタアレイ2を駆動回路3から着脱可能に設けることによってダブルゲートトランジスタアレイ2のみを交換可能にしてもよい。この場合、駆動回路3は複数のダブルゲートトランジスタアレイ2に用いることが可能となる。