JP2010014101A - 多連式ベーンポンプ - Google Patents

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Tsunefumi Arita
恒文 有田
Tomoyuki Fujita
朋之 藤田
Masamichi Sugihara
雅道 杉原
Hiroshi Shiozaki
浩 塩崎
Koichiro Akatsuka
浩一朗 赤塚
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Abstract

【課題】ポンプ効率の良好な多連式ベーンポンプを提供すること。
【解決手段】駆動軸1に連結されたロータ2と、ロータ2に対して径方向に往復動可能に設けられる複数のベーン3と、ロータ2を収容すると共にロータ2の回転に伴って内周のカム面4aにベーン3の先端部が摺動するカムリング4と、を備える複数のベーンポンプ101,102が、それぞれのロータ2が共通の駆動軸1にて連結されることによって並列に接続され、複数のベーンポンプ101,102のうちの少なくともいずれか一つのベーンポンプに接続され、ベーンポンプ101,102が吐出する作動流体を油圧機器21に供給するか又は吸込通路8へと戻すかを切り換える切換弁26を備え、切換弁26は、ポンプ吐出流量に関連した出力をもつ外部駆動手段の出力によって切換作動する。
【選択図】図3

Description

本発明は、油圧機器の油圧供給源として用いられ、複数のベーンポンプが並列に接続された多連式ベーンポンプに関するものである。
従来のベーンポンプとして、駆動軸に連結されたロータがカムリングに回転自在に収容され、ロータとカムリングとの間に画成されたポンプ室の拡縮によって作動油を給排するものが知られている。
特許文献1には、第1ポンプと第2ポンプを備える二連式のベーンポンプにおいて、第2ポンプの吐出流量が所定値以上になると第1ポンプの吐出油をポンプ吸込通路へと逃がすアンロードバルブを備えるものが開示されている。
特開昭58−93973号公報
特許文献1に記載のアンロードバルブは、内部に設けられたオリフィスを第2ポンプの吐出油が通過する際の前後差圧によって作動するものであるため、アンロードバルブの作動にあたって圧力損失が大きくなる。これにより、ポンプの負荷が大きくなり、ポンプ効率が悪くなる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ポンプ効率の良好な多連式ベーンポンプを提供することを目的とする。
本発明は、駆動軸に連結されたロータと、前記ロータに対して径方向に往復動可能に設けられた複数のベーンと、前記ロータを収容すると共に、前記ロータの回転に伴って内周のカム面に前記ベーンの先端部が摺動するカムリングと、前記ロータ、前記カムリング、及び隣り合う前記ベーンによって画成されたポンプ室と、を備える複数のベーンポンプが、それぞれの前記ロータが共通の前記駆動軸にて連結されることによって並列に接続された多連式ベーンポンプにおいて、前記複数のベーンポンプのうちの少なくともいずれか一つのベーンポンプに接続され、当該ベーンポンプが吐出する作動流体を油圧機器に供給するか又は吸込通路へと戻すかを切り換える切換弁を備え、前記切換弁は、外部駆動手段によって作動することを特徴とする。
本発明によれば、ベーンポンプが吐出する作動流体を油圧機器に対して供給するか又は吸込通路へと戻すかを切り換える切換弁は外部駆動手段によって作動するため、切換弁の作動にあたって圧力損失が大きくなることがなく、ポンプ効率は良好となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の多連式ベーンポンプは、車両に搭載される油圧機器、例えば、パワーステアリング装置や変速機等の油圧供給源として用いられ、複数のベーンポンプが並列に接続されたものである。本実施の形態では、ベーンポンプが2つ並列に接続された二連式ベーンポンプについて説明する。
(第1の実施の形態)
図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る二連式ベーンポンプ100について説明する。図1は二連式ベーンポンプ100における駆動軸に平行な断面を示す断面図であり、図2は二連式ベーンポンプ100のポンプカートリッジの平面図である。
二連式ベーンポンプ100は、エンジン31(図3参照)の動力が伝達される共通の駆動軸1に第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102のそれぞれのロータ2が連結され、駆動軸1の回転によって互いのロータ2が回転するものである。
第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102は、ロータ2に対して径方向に往復動可能に設けられた複数のベーン3と、ロータ2を収容すると共にロータ2の回転に伴って内周のカム面4aにベーン3の先端部が摺動するカムリング4とを備える。
ロータ2には、外周面に開口部を有するスリット16が所定間隔をおいて放射状に形成され、ベーン3は、スリット16に摺動自在に挿入される。
スリット16の基端側には、ポンプの吐出圧が導かれる背圧室17が画成される。隣り合う背圧室17は、ロータ2に形成された円弧状の溝2aによって連通し、この溝2aにはポンプ吐出圧が常時導かれている。ベーン3は、背圧室17の圧力によってスリット16から抜け出る方向に押圧され、先端部がカムリング4の内周のカム面4aに当接する。これにより、カムリング4の内部には、ロータ2の外面、カムリングのカム面4a、及び隣り合うベーン3によって複数のポンプ室7が画成される。ロータ2、ベーン3、及びカムリング4によってポンプカートリッジ20が構成される。
カムリング4は、内周のカム面4aが楕円形状をした環状の部材であり、ロータ2の回転に伴ってカム面4aを摺動する各ベーン3間によって仕切られるポンプ室7の容積を拡張する吸込領域と、ポンプ室7の容積を収縮する吐出領域とを有する。このように、各ポンプ室7は、ロータ2の回転に伴って拡縮する。本実施の形態では、カムリング4は、2つの吸込領域と2つの吐出領域とを有する。
第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102のポンプカートリッジ20の間にはセンタープレート5が配置されると共に、それぞれのポンプカートリッジ20の側部にはサイドプレート6が配置される。このように、ポンプカートリッジ20は、センタープレート5とサイドプレート6との間に挟持され、ポンプ室7は、センタープレート5とサイドプレート6とによって密閉される。
センタープレート5には、カムリング4の吸込領域に向けて開口し、ポンプ室7に作動油(作動流体)を導く吸込通路8が形成される。
サイドプレート6には、カムリング4の吐出領域に向けて開口し、ポンプ室7が吐出する作動油が導かれる円弧状の2つの吐出ポート9(図2参照)が形成される。
各ポンプ室7は、ロータ2の回転に伴って、カムリング4の吸込領域にて吸込通路8を通じて作動油を吸込み、カムリング4の吐出領域にて吐出ポート9を通じて作動油を吐出する。このように、各ポンプ室7は、ロータ2の回転に伴う拡縮によって作動油を給排する。
なお、二連式ベーンポンプ100は、単式のベーンポンプと比較して、ポンプカートリッジ20の幅が小さい。このため、単式のベーンポンプでは、吸い込み性能改善のため、ポンプカートリッジの両側から作動油を吸い込むのが一般的であるが、二連式ベーンポンプ100では、ポンプカートリッジ20の一方側のみから作動油を吸い込む構造で吸込性能が十分確保される。
駆動軸1は、ブッシュ18を介して第1ポンプボディ10及び第2ポンプボディ11に回転自在に支持される。第1ポンプボディ10に形成されたポンプ収容凹部10a内には、第1ベーンポンプ101のサイドプレート6とポンプカートリッジ20が積層して収容され、第2ポンプボディ11に形成されたポンプ収容凹部11a内には、第2ベーンポンプ102のサイドプレート6とポンプカートリッジ20と共にセンタープレート5が積層して収容される。このように、第1ポンプボディ10には第1ベーンポンプ101が収容され、第2ポンプボディ11には第2ベーンポンプ102が収容される。
第1ポンプボディ10と第2ポンプボディ11は、互いの開口部を有する面を当接して一体に締結され、それぞれのポンプ収容凹部10a,11aが封止される。
第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102のカムリング4及びサイドプレート6は、センタープレート5を挿通する位置決めピン(図示省略)によって回り止めされる。位置決めピンによって、カムリング4に対するセンタープレート5とサイドプレート6の相対回転が規制され、カムリング4の吸込領域と吸込通路8との位置決め、及びカムリング4の吐出領域と吐出ポート9との位置決めが行われる。
第1ポンプボディ10及び第2ポンプボディ11には、吐出ポート9に連通し吐出ポート9から吐出された作動油が流入する高圧室12と、高圧室12に連通し高圧室12の作動油を外部の油圧機器21(図3参照)へと供給する吐出通路13(図3参照)とが形成される。
また、高圧室12の作動油は、サイドプレート6に形成された貫通孔6aを通じてロータ2の円弧状の溝2aに導かれて各背圧室17へと導かれる。
次に、図3を参照して、二連式ベーンポンプ100の油圧回路について説明する。図3は二連式ベーンポンプ100の油圧回路図である。
第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102は、吸込通路8を通じてタンク22から作動油を吸い込み、それぞれの吐出通路13へと吐出する。吐出された作動油は、合流通路23にて合流し、油圧機器21へと供給される。
油圧機器21に供給された作動油は、油圧機器21を駆動するためのアクチュエータへと供給された後、戻り通路24を通じてタンク22へと排出される。
第1ベーンポンプ101の吐出通路13には、第1ベーンポンプ101が吐出する作動油を油圧機器21に供給するか又は吸込通路8へと戻すかを切り換える切換弁26が介装される。つまり、第1ベーンポンプ101から吐出される作動油は、切換弁26の切り換えによって合流通路23又は吸込通路8のいずれかに選択的に導かれる。
切換弁26は、コントローラ30から出力される制御電流によって作動が制御される電磁式切換弁である。具体的には、コントローラ30は、入力されるエンジン回転数に応じて切換弁26を切り換える。ロータ2は駆動軸1を介してエンジン31と直接連結されている。したがって、切換弁26は、ロータ2の回転数であるポンプ回転数に応じて切り換えられることになる。
図3及び図4を参照して、二連式ベーンポンプ100の動作について説明する。図4は、二連式ベーンポンプ100の流量特性を示すグラフ図であり、ポンプ回転数Nに対する二連式ベーンポンプ100から油圧機器21に供給されるポンプ吐出流量Qを示すグラフ図である。
二連式ベーンポンプ100の始動時には、切換弁26は、作動油を合流通路23に導くポジションに設定される。これにより、油圧機器21には、第1ベーンポンプ101と第2ベーンポンプ102の合計吐出流量が供給される。
二連式ベーンポンプ100の吐出流量は、ポンプ回転数の上昇に伴って増加し、油圧機器21を駆動するための必要流量を超えて増加する。
第2ベーンポンプ102単体の吐出流量が必要流量以上となるポンプ回転数N1にて、切換弁26は、作動油を吸込通路8へと戻すポジションに切り換えられ、第1ベーンポンプ101から吐出された作動油は、吸込通路8へと戻される。これにより、油圧機器21には、第2ベーンポンプ102単体の吐出流量が供給される。このとき、第2ベーンポンプ102の吐出流量は必要流量以上であるため、図4に示すように、切換弁26の切り換え後も油圧機器21に供給される作動油は、必要流量が確保される。なお、図4では、第1ベーンポンプ101と第2ベーンポンプ102の基本吐出容量が同じである場合の流量特性である。
コントローラ30には、第2ベーンポンプ102単体の吐出流量が必要流量以上となるポンプ回転数N1が予め記憶されており、エンジン回転数がN1以上となると、コントローラ30から切換弁26に対して切り換えのための制御電流が出力される。このように、コントローラ30から切換弁26に出力される制御電流は、ポンプ吐出流量に関連して出力される。
第1ベーンポンプ101の吐出通路13における切換弁26の上流側には、切換弁26の切り換え時に第1ベーンポンプ101の吐出圧が所定の圧力に達したときに、その吐出圧を逃がすリリーフ弁27が介装される。
切換弁26は、作動油を合流通路23に導くポジションから吸込通路8へと戻すポジションに切り換えられる際、第2ベーンポンプ102から吐出される作動油が切換弁26を通じて吸込通路8へと導かれることを防止するため、一旦全閉となってから切り換えられる。そのため、切換弁26の全閉時、第1ベーンポンプ101の吐出通路13は、閉じ込められた状態となり圧力が上昇する。この圧力が所定の圧力に達したときにリリーフ弁27は開弁動作し、吐出通路13の圧力を逃がす。リリーフ弁27を通過した作動油は、吸込通路8へと導かれる。なお、リリーフ弁27を通過した作動油を第2ベーンポンプ102の吐出通路13へと導くようにしてもよい。
以上のように、二連式ベーンポンプ100は、ポンプ始動時には第1ベーンポンプ101と第2ベーンポンプ102の合計吐出流量によって、また、ポンプ回転数の上昇後は、第2ベーンポンプ102単体の吐出流量によって必要流量を確保するものであり、効率の良い運転が行われる。
また、切換弁26は、コントローラ30から出力される制御電流、つまり外部駆動手段によって作動するものであり、弁内部に設けられたオリフィスを作動油が通過する際の前後差圧によって作動するものでないため、切換弁26の作動にあたって圧力損失が大きくなることがなく、切換弁26の切り換えに伴い第1ベーンポンプ101の負荷が増加することがない。したがって、第1ベーンポンプ101のポンプ効率は、オリフィスを有する切換弁を用いる場合と比較して、非常に良好となる。
なお、3つ以上のベーンポンプが並列に接続される多連式ベーンポンプの場合には、切換弁26は、複数のベーンポンプのうちの少なくともいずれか一つのベーンポンプに接続される。
また、以上では、切換弁26が作動油を吸込通路8へと戻すポジションに切り換えられた場合、第1ベーンポンプ101から吐出された作動油は、吸込通路8へと戻されると説明した。具体的には、第1ベーンポンプ101から吐出され切換弁26によって吸込通路8へと戻される作動油は、図5に示すように、切換弁26の切り換え後に作動油を油圧機器21に供給する第2ベーンポンプ102の吸込通路8へと戻すことが望ましい。これにより、第2ベーンポンプ102の吸込性能が向上する。
次に、図6を参照して、切換弁26の作動を切り換える外部駆動手段の他の構成について説明する。図6は二連式ベーンポンプ100の油圧回路図である。
切換弁26は、油圧機器21から供給されるパイロット油圧によって作動が制御されるパイロット式切換弁である。具体的には、コントローラ30には、第2ベーンポンプ102単体の吐出流量が必要流量以上となるポンプ回転数N1(図4参照)が予め記憶されており、エンジン回転数がN1以上となると、コントローラ30から油圧機器21に対して指令信号が出力される。コントローラ30から指令信号を受けた油圧機器21は、切換弁26に対して切り換えのためのパイロット油圧を供給する。このように、油圧機器21から切換弁26に供給されるパイロット油圧は、ポンプ吐出流量に関連して供給(出力)される。
以上のように、切換弁26は、エンジン回転数に応じて供給されるパイロット油圧、つまり外部駆動手段によって切り換えられるため、切換弁26の切り換えに伴い第1ベーンポンプ101の負荷が増加することがなく、ポンプ効率は非常に良好となる。
(第2の実施の形態)
図7及び図8を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る二連式ベーンポンプ200について説明する。図7は二連式ベーンポンプ200の油圧回路図であり、図8は二連式ベーンポンプ200の流量特性を示すグラフ図である。以下では、上記第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
二連式ベーンポンプ200では、第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102の吐出通路13の双方に、ポンプが吐出する作動油を油圧機器21に対して供給するか又は吸込通路8へと戻すかを切り換える切換弁26が介装される。以下では、第1ベーンポンプ101に接続される切換弁26を「切換弁26A」、第2ベーンポンプ102に接続される切換弁26を「切換弁26B」と称する。
また、第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102の吐出通路13の双方に、リリーフ弁27が介装される。
さらに、二連式ベーンポンプ200では、第1ベーンポンプ101と第2ベーンポンプ102の基本吐出容量が異なる。具体的には、第1ベーンポンプ101の基本吐出容量が第2ベーンポンプ102の基本吐出容量よりも大きい。各ベーンポンプの基本吐出容量は、カムリング4の形状によって変化するポンプ室7の容量によって設定される。
次に、二連式ベーンポンプ200の動作について説明する。
二連式ベーンポンプ200の始動時には、切換弁26A及び切換弁26Bは、作動油を合流通路23に導くポジションに設定される。これにより、油圧機器21には、第1ベーンポンプ101と第2ベーンポンプ102の合計吐出流量が供給される。
二連式ベーンポンプ200の吐出流量は、ポンプ回転数の上昇に伴って増加し、油圧機器21を駆動するための必要流量を超えて増加する。
第1ベーンポンプ101単体の吐出流量が必要流量以上となるポンプ回転数N1にて、切換弁26Bは、作動油を吸込通路8へと戻すポジションに切り換えられ、第2ベーンポンプ102から吐出された作動油は、吸込通路8へと戻される。これにより、油圧機器21には、第1ベーンポンプ101単体の吐出流量が供給される。このとき、第1ベーンポンプ101の吐出流量は必要流量以上であるため、図8に示すように、切換弁26Bの切り換え後も油圧機器21に供給される作動油は、必要流量が確保される。なお、図8及び以下の説明において、切換弁26A,26Bが作動油を油圧機器21に導く場合を「ON」、作動油を吸込通路8へと戻す場合を「OFF」と称する。
さらにポンプ回転数が上昇し、第2ベーンポンプ102単体の吐出流量が必要流量以上となるポンプ回転数N2にて、切換弁26Bは作動油を合流通路23に導くポジションに切り換えられると共に、切換弁26Aは作動油を吸込通路8へと戻すポジションに切り換えられる。これにより、第2ベーンポンプ102から吐出された作動油は油圧機器21に供給され、第1ベーンポンプ101から吐出された作動油は、吸込通路8へと戻される。このとき、第2ベーンポンプ102の吐出流量は必要流量以上であるため、図8に示すように、切換弁26A,26Bの切り換え後も油圧機器21に供給される作動油は、必要流量が確保される。
このように、二連式ベーンポンプ200は、ポンプ始動時からポンプ回転数がN1未満までは、第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102の2台にて油圧機器21に作動油を供給し、ポンプ回転数がN1以上N2未満では、大容量の第1ベーンポンプ101単体にて油圧機器21に作動油を供給し、ポンプ回転数がN2以上では、小容量の第2ベーンポンプ102単体にて油圧機器21に作動油を供給する。このように、二連式ベーンポンプ200は、ポンプの運転パターンを3つ有し、3段階の切り換えが可能である。
上記第1の実施の形態の二連式ベーンポンプ100では、第1ベーンポンプ101にしか切換弁26が接続されていないため、図8に点線にて示すように、切換弁26を切り換えるまで(ポンプ回転数N2)に、ポンプ吐出流量が必要流量を大きくオーバーしてしまう。
これに対して、二連式ベーンポンプ200では、3段階の切り換えが可能であるため、ポンプ吐出流量が必要流量をオーバーする量が小さく、ポンプの駆動ロスが小さい。また、小容量の第2ベーンポンプ102の切換弁26Bは、ポンプ回転数N1にてOFFとし、吐出流量が必要流量以上となるポンプ回転数N2にてONとなるように制御されるため、ポンプ吐出流量が必要流量をオーバーする量を小さくすることができる。
なお、3つ以上のベーンポンプが並列に接続される多連式ベーンポンプの場合には、切換弁26は、複数のベーンポンプのそれぞれに接続される。例えば、三連式ベーンポンプの場合には、ポンプの運転パターンを7つ有し、7段階の切り換えが可能となる。
また、上記第1の実施の形態と同様に、切換弁26によって吸込通路8へと戻される作動油は、図9に示すように、切換弁26の切り換え後に作動油を油圧機器21に供給するベーンポンプの吸込通路8へと戻すことが望ましい。これにより、ベーンポンプ101,102の吸込性能が向上する。
(第3の実施の形態)
図10を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る二連式ベーンポンプ300について説明する。図10は二連式ベーンポンプ300の油圧回路図である。以下では、上記第1及び第2の実施の形態との相違点について説明する。
二連式ベーンポンプ300は、油圧機器21から排出される作動油を吸込通路8へと導く還流通路28と、還流通路28に介装されたオリフィス29とをさらに備える。
オリフィス29は、作動油がオリフィス29を通過した直後に、吸込通路8へと合流するように、還流通路28の下流側に介装される。
油圧機器21には、二連式ベーンポンプ300から供給された作動油を、油圧機器21を駆動するためのアクチュエータと還流通路28とに分配する分配弁(図示省略)が設けられる。
還流通路28にはオリフィス29が介装されるため、油圧機器21の分配弁によって還流通路28へと導かれてオリフィス29を通過した作動油の流速は大きくなる。オリフィス29を通過した直後の流速が大きい作動油は吸込通路8に導かれるため、タンク22から吸込通路8を通じて作動油を吸い込む二連式ベーンポンプ300の吸込性能が向上し、キャビテーションの発生が防止される。
なお、油圧機器21から排出され吸込通路8へと導かれる作動油は、図11に示すように、第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102のうち基本吐出容量が大きい側の第1ベーンポンプ101の吸込通路8へと導くのが望ましい。これにより、基本吐出容量が大きく吸込性能が悪い第1ベーンポンプ101の吸込性能を改善することができる。
また、第1ベーンポンプ101から吐出され切換弁26によって吸込通路8へと戻される作動油は、図12及び図13に示すように、還流流路28におけるオリフィス29の上流側へと導くのが望ましい。これにより、オリフィス29を通過する作動油の流量が多くなり、オリフィス29を通過した作動油の流速はさらに大きくなる。これにより、二連式ベーンポンプ300の吸込性能はさらに向上する。例えば、作動油中に空気が多く含有される場合においても、キャビテーションの発生を防止することができる。
(第4の実施の形態)
図2及び図14を参照して、本発明の第4の実施の形態について説明する。図14は図2におけるa−a断面を示す断面図である。以下では、上記第1及び第2の実施の形態との相違点について説明する。
第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102のうちの一方のロータ2に形成された溝2aは、他方のロータ2に形成された溝2aと比較して断面積が大きく形成される。具体的には、一方の溝2aは、他方の溝2aと比較してロータ2の軸方向の深さ(図9における紙面上下方向)が深く形成される。
本実施の形態によれば、溝2aの断面積が大きく形成されたベーンポンプでは、背圧室17の作動油が溝2aを通じて他の背圧室17に逃げやすいため、ベーン3が背圧室17に進入する際の抵抗が減り、ベーン3の先端部とカムリング4のカム面4aとの摺動抵抗が減少する。これにより、ポンプの駆動トルクが低減し、ポンプ効率が向上する。
また、ポンプ始動時においては、切換弁26(26A,26B)はONであり、第1ベーンポンプ101と第2ベーンポンプ102の吐出側は連通した状態である。このため、溝2aの断面積が大きく形成された一方のベーンポンプの背圧室17には、他方のベーンポンプの吐出圧が作用するため、一方のベーンポンプは問題なく始動することができる。このように、ポンプの駆動トルクを低減しつつ、ポンプ始動性は確保される。
(第5の実施の形態)
図15を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る二連式ベーンポンプ500について説明する。図15は二連式ベーンポンプ500の油圧回路図である。以下では、上記第1の実施の形態との相違点について説明する。
二連式ベーンポンプ500は、ポンプ始動時において、作動油の温度が所定温度以下である場合には、切換弁26は作動油を吸込通路8へと戻すポジションに切り換えられる。
これにより、タンク22から二連式ベーンポンプ500への吸込流量が減少し、吸込負荷が減少するため、キャビテーションの発生が防止される。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
例えば、合流通路23を廃止し、第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102の吐出通路13を、それぞれ油圧機器21に接続するようにしてもよい。その場合、切換弁26を油圧機器21内に設けるようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、切換弁26は吐出通路13に設けるようにしたが、2つの吐出ポート9のうちの一方のポートに切換弁26を設けるようにしてもよい。
本発明に係るベーンポンプは、車両用のパワーステアリング装置や変速機等の油圧供給源に適用することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る二連式ベーンポンプにおける駆動軸に平行な断面を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る二連式ベーンポンプのポンプカートリッジの平面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る二連式ベーンポンプの油圧回路図である。 本発明の第1の実施の形態に係る二連式ベーンポンプの流量特性を示すグラフ図である。 本発明の第1の実施の形態に係る二連式ベーンポンプの他の形態を示す油圧回路図である。 本発明の第1の実施の形態に係る二連式ベーンポンプの油圧回路の他の形態である。 本発明の第2の実施の形態に係る二連式ベーンポンプの油圧回路図である。 本発明の第2の実施の形態に係る二連式ベーンポンプの流量特性を示すグラフ図である。 本発明の第2の実施の形態に係る二連式ベーンポンプの他の形態を示す油圧回路図である。 本発明の第3の実施の形態に係る二連式ベーンポンプの油圧回路図である。 本発明の第3の実施の形態に係る二連式ベーンポンプの他の形態を示す油圧回路図である。 本発明の第3の実施の形態に係る二連式ベーンポンプの他の形態を示す油圧回路図である。 本発明の第3の実施の形態に係る二連式ベーンポンプの他の形態を示す油圧回路図である。 図2におけるa−a断面を示す断面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る二連式ベーンポンプの油圧回路図である。
符号の説明
100,200,300,500 二連式ベーンポンプ
101,102 ベーンポンプ
1 駆動軸
2 ロータ
2a 溝
3 ベーン
4 カムリング
5 センタープレート
6 サイドプレート
7 ポンプ室
8 吸込通路
9 吐出ポート
10,11 ポンプボディ
13 吐出通路
17 背圧室
20 ポンプカートリッジ
21 油圧機器
23 合流通路
26,26A,26B 切換弁
27 リリーフ弁
28 還流通路
29 オリフィス
30 コントローラ

Claims (13)

  1. 駆動軸に連結されたロータと、
    前記ロータに対して径方向に往復動可能に設けられた複数のベーンと、
    前記ロータを収容すると共に、前記ロータの回転に伴って内周のカム面に前記ベーンの先端部が摺動するカムリングと、
    を備える複数のベーンポンプが、それぞれの前記ロータが共通の前記駆動軸にて連結されることによって並列に接続された多連式ベーンポンプにおいて、
    前記複数のベーンポンプのうちの少なくともいずれか一つのベーンポンプに接続され、当該ベーンポンプが吐出する作動流体を油圧機器に供給するか又は吸込通路へと戻すかを切り換える切換弁を備え、
    前記切換弁は、ポンプ吐出流量に関連した出力をもつ外部駆動手段の出力によって切換作動することを特徴とする多連式ベーンポンプ。
  2. 前記切換弁は、前記駆動軸に回転力を伝達するエンジンの回転数に応じて出力される制御電流によって切換作動する電磁式切換弁であることを特徴とする請求項1に記載の多連式ベーンポンプ。
  3. 前記切換弁は、前記駆動軸に回転力を伝達するエンジンの回転数に応じて供給されるパイロット液圧によって切換作動するパイロット式切換弁であることを特徴とする請求項1に記載の多連式ベーンポンプ。
  4. 前記切換弁は、前記複数のベーンポンプのそれぞれに接続されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の多連式ベーンポンプ。
  5. 前記複数のベーンポンプの基本吐出容量が互いに異なることを特徴とする請求項4に記載の多連式ベーンポンプ。
  6. 前記切換弁によって前記吸込通路へと戻される作動流体は、前記複数のベーンポンプのうち作動流体を油圧機器に供給しているベーンポンプの吸込通路へと戻されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の多連式ベーンポンプ。
  7. 前記ベーンポンプが2つ並列に接続され、
    ポンプ始動時には、大容量ベーンポンプ及び小容量ベーンポンプに接続された前記切換弁は、作動流体を前記油圧機器に供給するポジションに設定され、
    ポンプ回転数の上昇に伴い、前記大容量ベーンポンプの吐出流量が前記油圧機器を駆動するための必要流量以上となった場合に、前記小容量ベーンポンプに接続された前記切換弁は、作動流体を前記吸込通路へと戻すポジションに切り換えられ、
    ポンプ回転数がさらに上昇し、前記小容量ベーンポンプの吐出流量が前記必要流量以上となった場合に、前記小容量ベーンポンプに接続された前記切換弁は、作動流体を前記油圧機器に供給するポジションに切り換えられると共に、前記大容量ベーンポンプに接続された前記切換弁は、作動流体を前記吸込通路へと戻すポジションに切り換えられることを特徴とする請求項5に記載の多連式ベーンポンプ。
  8. 前記切換弁の上流側には、前記切換弁の切り換え時に前記ベーンポンプの吐出圧が所定の圧力に達したときに、当該吐出圧を逃がすリリーフ弁が介装されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の多連式ベーンポンプ。
  9. 前記油圧機器から排出される作動流体を前記吸込通路へと導く還流通路と、
    前記還流通路に介装されたオリフィスと、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の多連式ベーンポンプ。
  10. 前記油圧機器から排出され前記吸込通路へと導かれる作動流体は、前記複数のベーンポンプのうち基本吐出容量が大きいベーンポンプの吸込通路へと導かれることを特徴とする請求項9に記載の多連式ベーンポンプ。
  11. 前記切換弁によって前記吸込通路へと戻される作動流体は、前記還流流路における前記オリフィスの上流側へと導かれることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の多連式ベーンポンプ。
  12. 前記ベーンポンプが2つ並列に接続され、
    前記ロータは、
    前記ベーンが摺動自在に挿入されるスリットと、
    前記スリットの基端側に画成され、前記ベーンを前記スリットから抜け出る方向に押圧する背圧室と、
    隣り合う前記背圧室を連通し、ポンプ吐出圧が常時導かれる円弧状の溝と、を備え、
    前記2つのベーンポンプのうちの一方のベーンポンプの前記溝は、他方のベーンポンプと比較して断面積が大きいことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一つに記載の多連式ベーンポンプ。
  13. ポンプ始動時において、作動流体の温度が所定温度以下である場合には、前記切換弁は作動流体を前記吸込通路へと戻すポジションに切り換えられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の多連式ベーンポンプ。
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