JP2010090807A - 二連式ベーンポンプ - Google Patents

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Tomoyuki Fujita
朋之 藤田
Masamichi Sugihara
雅道 杉原
Hiroshi Shiozaki
浩 塩崎
Koichiro Akatsuka
浩一朗 赤塚
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Abstract

【課題】切り換えを簡単に行うことができる二連式ベーンポンプを提供する。
【解決手段】第1及び第2ベーンポンプ101,102のそれぞれに接続されベーンポンプが吐出する作動流体を油圧機器21に供給するか又は吸込通路8へと戻すかを切り換える第1及び第2切換弁26A,26Bと、第1及び第2切換弁26A,26Bに対して共通に導かれるパイロット流体の圧力を調節する圧力調節弁36とを備え、第1及び第2切換弁26A,26Bは、パイロット流体の圧力に応じて移動するスプール42を備え、パイロット流体の圧力の上昇に伴って、第1及び第2切換弁26A,26Bは、第1及び第2ベーンポンプ101,102の一方のみが作動流体を油圧機器21に供給し、次いで双方のベーンポンプが作動流体を油圧機器21に供給し、次いで他方のみが作動流体を油圧機器21に供給するように切換作動する。
【選択図】図4

Description

本発明は、油圧機器の油圧供給源として用いられ、2つのベーンポンプが並列に接続された二連式ベーンポンプに関するものである。
従来のベーンポンプとして、駆動軸に連結されたロータがカムリングに回転自在に収容され、ロータとカムリングとの間に画成されたポンプ室の拡縮によって作動油を給排するものが知られている。
特許文献1には、第1ポンプと第2ポンプを備える二連式ベーンポンプにおいて、第2ポンプの吐出流量が所定値以上になると第1ポンプの吐出油をポンプ吸込通路へと逃がすアンロードバルブを備えるものが開示されている。
また、従来の二連式ベーンポンプには、それぞれのベーンポンプの出口に切換弁が接続され、ベーンポンプの運転パターンを複数段階に切り換え可能なものがある。
特開昭58−93973号公報
それぞれのベーンポンプの出口に切換弁が接続された二連式ベーンポンプでは、2つのベーンポンプの切り換え時には、2つの切換弁が連動して動作するように個別に制御する必要があるため、制御が複雑となる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ベーンポンプの切り換えを簡単に行うことができる二連式ベーンポンプを提供することを目的とする。
本発明は、第1ベーンポンプと第2ベーンポンプが、それぞれのロータが共通の駆動軸にて連結されることによって並列に接続された二連式ベーンポンプにおいて、前記第1及び第2ベーンポンプのそれぞれに接続され、当該ベーンポンプが吐出する作動流体を油圧機器に供給するか又は吸込通路へと戻すかを切り換える第1切換弁及び第2切換弁と、前記第1及び第2切換弁に対して共通に導かれるパイロット流体の圧力を調節する圧力調節弁と、を備え、前記第1及び第2切換弁は、前記パイロット流体の圧力に応じて移動し、前記ベーンポンプが吐出する作動流体を前記油圧機器又は前記吸込通路へと導くスプールと、前記スプールを前記パイロット流体の圧力に抗して付勢する付勢手段と、を備え、前記パイロット流体の圧力の上昇に伴って、前記第1及び第2切換弁は、前記第1及び第2ベーンポンプの一方のみが作動流体を油圧機器に供給し、次いで双方のベーンポンプが作動流体を油圧機器に供給し、次いで他方のみが作動流体を油圧機器に供給するように、切換作動することを特徴とする。
本発明によれば、一方のベーンポンプから他方のベーンポンプへの切り換えは、第1及び第2切換弁を個別に制御するのではなく、第1及び第2切換弁に対して共通に導かれるパイロット流体の圧力を上昇させるだけで行うことができるため、切り換えを簡単に行うことができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態に係る二連式ベーンポンプ100について説明する。図1は二連式ベーンポンプ100における駆動軸に平行な断面を示す断面図であり、図2は二連式ベーンポンプ100のポンプカートリッジの平面図である。
二連式ベーンポンプ100は、車両に搭載される油圧機器、例えば、パワーステアリング装置や変速機等の油圧供給源として用いられ、2つのベーンポンプ101,102が並列に接続されたものである。
第1ベーンポンプ101と第2ベーンポンプ102は、それぞれのロータ2がエンジン31(図3参照)の動力が伝達される共通の駆動軸1に連結され、駆動軸1の回転によって互いのロータ2が回転する。エンジン31が動力源に該当する。
第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102は、ロータ2に対して径方向に往復動可能に設けられた複数のベーン3と、ロータ2を収容すると共にロータ2の回転に伴って内周のカム面4aにベーン3の先端部が摺動するカムリング4とを備える。
ロータ2には、外周面に開口部を有するスリット16が所定間隔をおいて放射状に形成され、ベーン3は、スリット16に摺動自在に挿入される。
スリット16の基端側には、ポンプの吐出圧が導かれる背圧室17が画成される。隣り合う背圧室17は、ロータ2に形成された円弧状の溝2aによって連通し、この溝2aにはポンプ吐出圧が常時導かれている。ベーン3は、背圧室17の圧力によってスリット16から抜け出る方向に押圧され、先端部がカムリング4の内周のカム面4aに当接する。これにより、カムリング4の内部には、ロータ2の外面、カムリングのカム面4a、及び隣り合うベーン3によって複数のポンプ室7が画成される。ロータ2、ベーン3、及びカムリング4によってポンプカートリッジ20が構成される。
カムリング4は、内周のカム面4aが楕円形状をした環状の部材であり、ロータ2の回転に伴ってカム面4aを摺動する各ベーン3間によって仕切られるポンプ室7の容積を拡張する吸込領域と、ポンプ室7の容積を収縮する吐出領域とを有する。このように、各ポンプ室7は、ロータ2の回転に伴って拡縮する。本実施の形態では、カムリング4は、2つの吸込領域と2つの吐出領域とを有する。
第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102のポンプカートリッジ20の間にはセンタープレート5が配置されると共に、それぞれのポンプカートリッジ20の側部にはサイドプレート6が配置される。このように、ポンプカートリッジ20は、センタープレート5とサイドプレート6との間に挟持され、ポンプ室7は、センタープレート5とサイドプレート6とによって密閉される。
センタープレート5には、カムリング4の吸込領域に向けて開口し、ポンプ室7に作動油(作動流体)を導く吸込通路8が形成される。
サイドプレート6には、カムリング4の吐出領域に向けて開口し、ポンプ室7が吐出する作動油が導かれる円弧状の2つの吐出ポート9(図2参照)が形成される。
各ポンプ室7は、ロータ2の回転に伴って、カムリング4の吸込領域にて吸込通路8を通じて作動油を吸込み、カムリング4の吐出領域にて吐出ポート9を通じて作動油を吐出する。このように、各ポンプ室7は、ロータ2の回転に伴う拡縮によって作動油を給排する。
なお、二連式ベーンポンプ100は、単式のベーンポンプと比較して、ポンプカートリッジ20の幅が小さい。このため、単式のベーンポンプでは、吸い込み性能改善のため、ポンプカートリッジの両側から作動油を吸い込むのが一般的であるが、二連式ベーンポンプ100では、ポンプカートリッジ20の一方側のみから作動油を吸い込む構造で吸込性能が十分確保される。
駆動軸1は、ブッシュ18を介して第1ポンプボディ10及び第2ポンプボディ11に回転自在に支持される。第1ポンプボディ10に形成されたポンプ収容凹部10a内には、第1ベーンポンプ101のサイドプレート6とポンプカートリッジ20が積層して収容され、第2ポンプボディ11に形成されたポンプ収容凹部11a内には、第2ベーンポンプ102のサイドプレート6とポンプカートリッジ20と共にセンタープレート5が積層して収容される。このように、第1ポンプボディ10には第1ベーンポンプ101が収容され、第2ポンプボディ11には第2ベーンポンプ102が収容される。
第1ポンプボディ10と第2ポンプボディ11は、互いの開口部を有する面を当接して一体に締結され、それぞれのポンプ収容凹部10a,11aが封止される。
第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102のカムリング4及びサイドプレート6は、センタープレート5を挿通する位置決めピン(図示省略)によって回り止めされる。位置決めピンによって、カムリング4に対するセンタープレート5とサイドプレート6の相対回転が規制され、カムリング4の吸込領域と吸込通路8との位置決め、及びカムリング4の吐出領域と吐出ポート9との位置決めが行われる。
第1ポンプボディ10及び第2ポンプボディ11には、吐出ポート9に連通し吐出ポート9から吐出された作動油が流入する高圧室12と、高圧室12に連通し高圧室12の作動油を外部の油圧機器21(図3参照)へと供給する吐出通路13(図3参照)とが形成される。
また、高圧室12の作動油は、サイドプレート6に形成された貫通孔6aを通じてロータ2の円弧状の溝2aに導かれて各背圧室17へと導かれる。
次に、図3を参照して、二連式ベーンポンプ100の油圧回路について説明する。図3は二連式ベーンポンプ100の油圧回路図である。
第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102は、吸込通路8を通じてタンク22から作動油を吸い込み、それぞれの吐出通路13へと吐出する。吐出された作動油は、合流通路23にて合流し、油圧機器21へと供給される。
油圧機器21に供給された作動油は、油圧機器21を駆動するためのアクチュエータへと供給された後、戻り通路24を通じてタンク22へと排出される。
第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102の吐出通路13には、吐出された作動油を油圧機器21に供給するか又は吸込通路8へと戻すかを切り換える切換弁26が介装される。つまり、第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102から吐出される作動油は、切換弁26の切り換えによって合流通路23又は吸込通路8のいずれかに選択的に導かれる。以下では、第1ベーンポンプ101に接続される切換弁26を「第1切換弁26A」、第2ベーンポンプ102に接続される切換弁26を「第2切換弁26B」と称し、双方を総称する場合には、単に「切換弁26」と称する。
切換弁26は、合流通路23から分岐した分岐通路35を通じて供給されるパイロット圧によって作動するパイロット式切換弁である。
分岐通路35には、第1切換弁26A及び第2切換弁26Bに導かれるパイロット油の圧力を調節する圧力調節弁36が介装される。
圧力調節弁36によって所定の圧力に調節されたパイロット油は、パイロット油路37を通り、途中で枝分かれして、第1切換弁26A及び第2切換弁26Bに導かれる。
このように、第1切換弁26Aと第2切換弁26Bには、圧力調節弁36を通じて共通のパイロット圧が導かれる。つまり、第1切換弁26Aと第2切換弁26Bには、共通の圧力調節弁36によって調節されたほぼ同圧のパイロット圧が導かれる。
圧力調節弁36は、パイロット油の圧力が所定の圧力となるように、コントローラ30から出力される制御電流によって、その開度が制御される。詳しい制御については、後述する。
第1ベーンポンプ101の吐出通路13における第1切換弁26Aの上流側には、第1切換弁26Aの切り換え時に第1ベーンポンプ101の吐出圧が所定の圧力に達したときに、その吐出圧を逃がすリリーフ弁27が介装される。また、同様に、第2ベーンポンプ102の吐出通路13における第2切換弁26Bの上流側にもリリーフ弁27が介装される。
次に、図4を参照して切換弁26について詳しく説明する。図4は切換弁26の作動を示す模式図である。
まず、主に図4(a)を参照して、切換弁26の構成について説明する。
切換弁26は、吐出通路13に連通して形成されたバルブ収容穴41と、バルブ収容穴41に摺動自在に挿入されたスプール42と、スプール42の一端とバルブ収容穴41の底部との間に画成され、パイロット油路37を通じてパイロット油が常時導かれるパイロット室43と、スプール42の他端とバルブ収容穴41の底部との間に画成されたスプリング室44に収装された付勢手段としてのスプリング45とを備える。
バルブ収容穴41は、開口部41aを通じて合流通路23に連通すると共に、開口部41bを通じて吸込通路8に連通している。
スプリング45は、スプール42をパイロット室43の圧力に抗して付勢する。本実施の形態では、第1切換弁26Aのスプリング45の付勢力は、第2切換弁26Bのスプリング45の付勢力よりも小さく設定される。つまり、第1切換弁26Aのスプリング45は、第2切換弁26Bのもの比較して、ばね定数が小さく設定される。
スプール42は、バルブ収容穴41の内周に沿って摺動するランド部42aと、両端部に形成されスプール42の所定以上の移動を規制するストッパ部42b,42cとを有する。
スプール42は、パイロット室43に導かれるパイロット油の圧力による荷重と、スプリング45の付勢力とのバランスにより移動する。つまり、パイロット圧による荷重がスプリング45の付勢力よりも大きい場合には、スプール42はスプリング45を圧縮する方向へと移動し、パイロット圧による荷重がスプリング45の付勢力よりも小さい場合には、スプリング45が伸長し、スプール42はパイロット室43を収縮する方向へと移動する。
スプール42の移動によってランド部42aの位置が変化し、そのランド部42aの位置によって吐出通路13が合流通路23又は吸込通路8に連通する。このように、スプール42は、パイロット油路37を通じて導かれるパイロット圧に応じて移動し、第1及び第2ベーンポンプ101,102が吐出する作動油を油圧機器21又は吸込通路8へと導くものである。
次に、パイロット圧が低圧、中圧、高圧である場合の切換弁26の切換位置について説明する。図4(a),(c),(e)は、それぞれパイロット圧が低圧、中圧、高圧である場合に相当する図である。
パイロット圧が第1所定値以下の低圧である場合には、図4(a)に示すように、第1及び第2切換弁26A,26Bの双方は、スプリング45が最伸長状態となり、ストッパ部42bがバルブ収容穴41の底部に当接する。
この状態では、第1切換弁26Aのランド部42aは、開口部41aと吐出通路13を遮断すると共に、開口部41bと吐出通路13を連通するため、第1ベーンポンプ101から吐出された作動油は吸込通路8へ導かれる。また、第2切換弁26Bのランド部42aは、開口部41aと吐出通路13を連通すると共に、開口部41bと吐出通路13を遮断するため、第2ベーンポンプ102から吐出された作動油は合流通路23へ導かれる。
このように、パイロット圧が第1所定値以下の低圧である場合には、第1及び第2切換弁26A,26Bは、第2ベーンポンプ102のみが作動油を油圧機器21に供給する切換位置となる。
パイロット圧が第1所定値を超え第2所定値未満の中圧である場合には、図4(c)に示すように、第2切換弁26Bは、スプリング45が最伸長状態を保ち、変化しない。これに対して、第1切換弁26Aは、スプリング45が最圧縮状態となり、ストッパ部42cがバルブ収容穴41の底部に当接する。このように、第1切換弁26Aと第2切換弁26Bのスプリング45のばね定数の違いによって、第1切換弁26Aのスプリング45のみが最圧縮状態となる。
この状態では、第1切換弁26Aのランド部42aは、開口部41aと吐出通路13を連通すると共に、開口部41bと吐出通路13を遮断するため、第1ベーンポンプ101から吐出された作動油も合流通路23へ導かれる。
このように、パイロット圧が第1所定値を超え第2所定値未満の中圧である場合には、第1及び第2切換弁26A,26Bは、第1及び第2ベーンポンプ101,102の双方が作動油を油圧機器21に供給する切換位置となる。
パイロット圧が第2所定値以上の高圧である場合には、図4(e)に示すように、第2切換弁26Bも、スプリング45が最圧縮状態となり、ストッパ部42cがバルブ収容穴41の底部に当接する。
この状態では、第2切換弁26Bのランド部42aは、開口部41aと吐出通路13を遮断すると共に、開口部41bと吐出通路13を連通するため、第2ベーンポンプ102から吐出された作動油は吸込通路8へ導かれる。
このように、パイロット圧が第2所定値以上の高圧である場合には、第1及び第2切換弁26A,26Bは、第1ベーンポンプ101のみが作動油を油圧機器21に供給する切換位置となる。
以上のように、パイロット圧が低圧、中圧、高圧と上昇するのに伴って、第1及び第2切換弁26A,26Bは、第2ベーンポンプ102のみが作動油を油圧機器21に供給し、次いで第1及び第2ベーンポンプ101,102の双方が作動油を油圧機器21に供給し、次いで第1ベーンポンプ101のみが作動油を油圧機器21に供給するように、切換作動する。
また、第1所定値及び第2所定値は、パイロット圧が第1所定値以下(低圧)である場合には、第1及び第2切換弁26A,26Bの双方ともパイロット圧による荷重がスプリング45の付勢力よりも小さく、また、パイロット圧が第1所定値を超え第2所定値未満(中圧)である場合には、第1切換弁26Aのみがパイロット圧による荷重がスプリング45の付勢力よりも大きく、また、パイロット圧が第2所定値以上(高圧)の場合には、第2切換弁26Bもパイロット圧による荷重がスプリング45の付勢力よりも大きくなるように設定される。
次に、図4(a)〜図4(e)及び図5を参照して、切換弁26の切換作動について説明する。図5は、二連式ベーンポンプ100の流量特性を示すグラフ図であり、ポンプ回転数Nに対する二連式ベーンポンプ100から油圧機器21に供給されるポンプ吐出流量Qを示すグラフ図である。
コントローラ30は、入力されたエンジン31の回転数に応じて、パイロット圧が所定の圧力となるように圧力調節弁36の開度を制御する。そして、第1及び第2切換弁26A,26Bの双方には、圧力制御された共通のパイロット圧が導かれて、その導かれたパイロット圧によってスプール42が移動する。
ここで、ロータ2は駆動軸1を介してエンジン31と直接連結されているため、第1及び第2ベーンポンプ101,102のポンプ回転数Nは、エンジン回転数と一致する。したがって、切換弁26は、ポンプ回転数に応じて切り換えられることになる。
以下、切換弁26の切換作動について具体的に説明する。
まず、エンジン31の停止時には、二連式ベーンポンプ100も停止しており、パイロット圧がないため、切換弁26は、図4(a)に示すように、第2ベーンポンプ102のみが作動油を合流通路23に供給可能な位置となっている。
この状態からエンジン31が始動し、二連式ベーンポンプ100が始動すると、第2ベーンポンプ102から作動油が吐出され、分岐通路35に作動油が流入するため、切換弁26を作動可能な状態となる。
二連式ベーンポンプ100の始動時には、コントローラ30は、パイロット圧が中圧となるように圧力調節弁36の開度を制御する。これにより、第1切換弁26Aは、図4(c)に示すように、スプリング45が最圧縮状態となり、作動油を合流通路23に導く位置に切り換えられる。これにより、図5に示すように、油圧機器21には、第1ベーンポンプ101と第2ベーンポンプ102の合計吐出流量が供給される。このように、二連式ベーンポンプ100の始動時は、ポンプ回転数が小さく第1及び第2ベーンポンプ101,102のそれぞれのポンプ吐出流量が少ないため、2台のポンプで油圧機器21に作動油を供給するようにする。
二連式ベーンポンプ100の吐出流量は、ポンプ回転数の上昇に伴って増加し、油圧機器21を駆動するための必要流量を超えて増加する。
コントローラ30には、第2ベーンポンプ102単体の吐出流量が必要流量以上となるポンプ回転数N1が予め記憶されており、エンジン回転数がN1以上となると、コントローラ30は、パイロット圧が低圧となるように圧力調節弁36の開度を制御する。これにより、第1切換弁26Aは、図4(b)に示すように、スプリング45が伸長し、ランド部42aが吐出通路13を閉塞する。そして、図4(a)に示すように、スプリング45がさらに伸長して最伸長状態となる。このように、パイロット圧が中圧から低圧に設定されることによって、第1切換弁26Aは、作動油を合流通路23に導く位置から吸込通路8へと戻す位置に切り換えられる。これにより、図5に示すように、油圧機器21には、第2ベーンポンプ102単体の吐出流量が供給される。ポンプ回転数N1以上では、第2ベーンポンプ102の吐出流量は必要流量以上であるため、第1切換弁26Aの切り換え後も、油圧機器21に供給される作動油は必要流量が確保される。
パイロット圧が中圧から低圧に設定される過程で、上記のように、第1ベーンポンプ101の吐出通路13は、ランド部42aによって閉塞されるため(図4(b)に示す状態)、閉じ込められた状態となり圧力が上昇する。しかし、この圧力が所定の圧力に達したときには、リリーフ弁27が開弁動作し、吐出通路13の圧力を逃がす。リリーフ弁27を通過した作動油は、吸込通路8へと導かれる。なお、リリーフ弁27を通過した作動油を第2ベーンポンプ102の吐出通路13へと導くようにしてもよい。
コントローラ30には、第1ベーンポンプ101単体の吐出流量が必要流量以上となるポンプ回転数N2が予め記憶されており、エンジン回転数がN2以上となると、コントローラ30は、パイロット圧が高圧となるように圧力調節弁36の開度を制御する。パイロット圧が低圧から高圧に上昇するのに伴って、第1及び第2切換弁26A,26Bは、図4(a)から図4(e)まで順番に切換作動する。具体的には、第1切換弁26Aは、作動油を吸込通路8へと戻す位置から合流通路23へと導く位置に切り換えられるのに対して、第2切換弁26Bは、作動油を合流通路23へと導く位置から吸込通路8へと戻す位置に切り換えられる。これにより、図5に示すように、油圧機器21には、第1ベーンポンプ101単体の吐出流量が供給される。ポンプ回転数N2以上では、第1ベーンポンプ101の吐出流量は必要流量以上であるため、第1及び第2切換弁26A,26Bの切り換え後も、油圧機器21に供給される作動油は必要流量が確保される。
この第2ベーンポンプ102から第1ベーンポンプ101への切り換えについてさらに詳しく説明すると、パイロット圧が低圧から高圧に設定される過程で、パイロット圧は一時的に中圧となる。したがって、第1及び第2切換弁26A,26Bは、一時的に双方とも作動油を合流通路23へと導く位置(図4(c)に示す状態)に切り換わる。このため、図5に示すように、第2ベーンポンプ102から第1ベーンポンプ101への切り換えの過程で、油圧機器21には、一時的に第1及び第2ベーンポンプ101,102の合計吐出流量が供給される。
このように、第2ベーンポンプ102から第1ベーンポンプ101への切り換えの過程で、一時的に双方のポンプで油圧機器21に作動油を供給する状態となるため、ポンプ切り換え時に、双方のポンプが吸込通路8につながり合流通路23の圧力が低下するような状態は発生しない。
パイロット圧が低圧から高圧に設定される過程で、図4(d)に示すように、第2切換弁26Bの吐出通路13は、ランド部42aによって閉塞され、閉じ込められた状態となり圧力が上昇する。しかし、この圧力が所定の圧力に達したときには、リリーフ弁27が開弁動作し、吐出通路13の圧力を逃がす。
以上のように、二連式ベーンポンプ100は、ポンプ始動時からポンプ回転数がN1未満までは、パイロット圧が中圧に設定され、第1ベーンポンプ101及び第2ベーンポンプ102の2台にて油圧機器21に作動油を供給し、ポンプ回転数がN1以上N2未満では、パイロット圧が低圧に設定され、第2ベーンポンプ102単体にて油圧機器21に作動油を供給し、ポンプ回転数がN2以上では、パイロット圧が高圧に設定され、第1ベーンポンプ101単体にて油圧機器21に作動油を供給する。このように、二連式ベーンポンプ100は、ポンプの運転パターンを3つ有し、3段階の切り換えが可能であり、この切り換えは、パイロット圧を上げ下げし、低圧、中圧、高圧のいずれかに設定するだけで行うことができる。
このように、第1ベーンポンプ101単体にて油圧機器21に作動油を供給するのは、ポンプ回転数がN2以上の高回転数域のみであるため、第1ベーンポンプ101の基本吐出容量は、第2ベーンポンプ102の基本吐出容量よりも小さく設定される。つまり、第1ベーンポンプ101と第2ベーンポンプ102のポンプ回転数は同一であることから、第2ベーンポンプ102の吐出量は第1ベーンポンプ101の吐出量よりも多い。なお、ベーンポンプの基本吐出容量は、カムリング4の形状によって変化するポンプ室7の容量によって設定される。
以上の実施の形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
第1ベーンポンプ101の吐出通路13にのみ切換弁が接続される場合には、図5に点線にて示すように、切換弁を切り換えるまでに、ポンプ吐出流量が必要流量を大きくオーバーしてしまう。
これに対して、二連式ベーンポンプ100では、第1及び第2ベーンポンプ101,102の双方の吐出通路13に切換弁26が接続され、3段階の切り換えが可能であるため、ポンプ吐出流量が必要流量をオーバーする量が小さく、ポンプの駆動ロスが小さい。
また、第1及び第2ベーンポンプ101,102の各切り換えは、第1及び第2切換弁26A,26Bを個別に制御するのではなく、第1及び第2切換弁26A,26Bに対して共通に導かれるパイロット圧を上げ下げするだけで行うことができる。このように、二連式ベーンポンプ100では、3段階のポンプの切り換えを1系統の外部圧力のみによって行うものであり、ソレノイドは圧力調節弁36のみであるため、コストを低減できる。
また、第1及び第2切換弁26A,26Bは、第2ベーンポンプ102から第1ベーンポンプ101への切り換えの過程で、一時的に双方のポンプで油圧機器21に作動油を供給するように切換作動される設定であるため、ポンプ切り換え時に、双方のポンプが吸込通路8につながり合流通路23の圧力が低下するような状態は発生しない。また、第2ベーンポンプ102から第1ベーンポンプ101への切り換えは、第1及び第2切換弁26A,26Bに対して共通に導かれるパイロット圧を低圧から高圧に上昇させるだけで行うことができる。このように、第2ベーンポンプ102から第1ベーンポンプ101への切り換えを、圧力低下の発生を防止しつつ、かつ簡単に行うことができる。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
例えば、第1切換弁26Aのスプリング45は、第2切換弁26Bのもの比較して、ばね定数が小さく設定されると説明したが、第1切換弁26Aと第2切換弁26Bのばね定数を同一に設定してもよい。この場合には、パイロット圧を低圧、中圧、高圧と設定した場合に、ポンプの運転パターンが上記実施の形態に示した通りに切り換わるように、第1及び第2切換弁26A,26Bのスプール42の形状を調整すればよい。
本発明に係る二連式ベーンポンプは、車両用のパワーステアリング装置や変速機等の油圧供給源に適用することができる。
本発明の実施の形態に係る二連式ベーンポンプにおける駆動軸に平行な断面を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る二連式ベーンポンプのポンプカートリッジの平面図である。 本発明の実施の形態に係る二連式ベーンポンプの油圧回路図である。 切換弁の作動を示す模式図である。 二連式ベーンポンプの流量特性を示すグラフ図である。
符号の説明
100 二連式ベーンポンプ
101,102 ベーンポンプ
1 駆動軸
2 ロータ
3 ベーン
4 カムリング
8 吸込通路
13 吐出通路
21 油圧機器
23 合流通路
26,26A,26B 切換弁
30 コントローラ
31 エンジン
35 分岐通路
36 圧力調節弁
37 パイロット油路
41 バルブ収容穴
42 スプール
42a ランド部
42b ストッパ部
42c ストッパ部
43 パイロット室
44 スプリング室
45 スプリング

Claims (4)

  1. 第1ベーンポンプと第2ベーンポンプが、それぞれのロータが共通の駆動軸にて連結されることによって並列に接続された二連式ベーンポンプにおいて、
    前記第1及び第2ベーンポンプのそれぞれに接続され、当該ベーンポンプが吐出する作動流体を油圧機器に供給するか又は吸込通路へと戻すかを切り換える第1切換弁及び第2切換弁と、
    前記第1及び第2切換弁に対して共通に導かれるパイロット流体の圧力を調節する圧力調節弁と、を備え、
    前記第1及び第2切換弁は、
    前記パイロット流体の圧力に応じて移動し、前記ベーンポンプが吐出する作動流体を前記油圧機器又は前記吸込通路へと導くスプールと、
    前記スプールを前記パイロット流体の圧力に抗して付勢する付勢手段と、を備え、
    前記パイロット流体の圧力の上昇に伴って、前記第1及び第2切換弁は、前記第1及び第2ベーンポンプの一方のみが作動流体を油圧機器に供給し、次いで双方のベーンポンプが作動流体を油圧機器に供給し、次いで他方のみが作動流体を油圧機器に供給するように、切換作動することを特徴とする二連式ベーンポンプ。
  2. 前記第1切換弁の前記付勢手段の付勢力は、前記第2切換弁の前記付勢手段の付勢力よりも小さく設定され、
    前記第1及び第2切換弁は、
    前記パイロット流体の圧力が第1所定値以下の場合には、第2ベーンポンプのみが作動流体を油圧機器に供給し、
    前記パイロット流体の圧力が第1所定値を超え第2所定値未満の場合には、第1及び第2ベーンポンプの双方が作動流体を油圧機器に供給し、
    前記パイロット流体の圧力が第2所定値以上の場合には、第1ベーンポンプのみが作動流体を油圧機器に供給するように、切換作動することを特徴とする請求項1に記載の二連式ベーンポンプ。
  3. 前記圧力調節弁は、前記駆動軸に回転力を伝達する動力源の回転数に応じて、パイロット流体の圧力を調節することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二連式ベーンポンプ。
  4. 前記パイロット流体は、前記第1及び第2ベーンポンプから吐出される作動流体が用いられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の二連式ベーンポンプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102322420A (zh) * 2011-08-25 2012-01-18 大连创新零部件制造公司 顺序控制双联转向泵
WO2013127183A1 (zh) * 2012-03-02 2013-09-06 中国石油天然气股份有限公司 原油举升系统和利用滑片泵输送流体的方法

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