JP2010012528A - カラーフィルター研磨用パッド組成物、カラーフィルター研磨用パッドおよびカラーフィルター研磨方法 - Google Patents

カラーフィルター研磨用パッド組成物、カラーフィルター研磨用パッドおよびカラーフィルター研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
カラーフィルター製造工程で該フィルター上に発生する異物や突起を安定して高研磨レートで除去でき、なおかつ高い研磨面品位を得ることができるカラーフィルター研磨用パッド、およびそのカラーフィルター研磨用パッドを用いたカラーフィルター研磨方法を提供する。
【解決手段】
本発明の前記課題は、第一に、(A)炭素−炭素二重結合を有するポリウレタンと、(B)架橋剤を含むカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物によって達成される。さらに、前記(A)ポリウレタンが、ビニル基(CH=CH−)およびアリル基(CH=CH−CH−)から選ばれる1種以上を側鎖に有することによって達成される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、カラーフィルター研磨用パッド組成物、カラーフィルター研磨用パッドおよびカラーフィルター研磨方法に関する。
液晶ディスプレイには、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルターが使用されている。カラーフィルターはガラス基板と共にスペーサーを介して液晶を封入し、偏光板やバックライトモジュールと組み合わせることで液晶ディスプレイが形成されている。
カラーフィルター上に微小な異物や突起があると、スペーサーによってカラーフィルターとガラス基板との間隔(セルギャップ)を均一にすることができず、適切な電圧を印加して液晶の配向をコントロールすることが困難となる。
近年、液晶ディスプレイは動画再生時の応答速度を向上させるために、セルギャップを従来の10μm程度から5μmまたはそれ以下にする検討が行われており、これまで以上にカラーフィルター上の平滑性が求められている。このため、カラーフィルター上の異物や突起は、レーザーによる除去や研磨フィルムよる除去などの方法が行われてきた(たとえば、特許文献1〜3参照。)。また、カラーフィルターの製造は顔料を分散させたフォトレジスト法および、印刷法式等が用いられている。いずれの方法においてもカラーフィルターの表面が平滑でないと色再現性、コントラスト、輝度などの性能低下につながるためアルミナ等の懸濁液を用いてカラーフィルターを平坦化する方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、いずれも高品位の色再現性、コントラスト、輝度等を得るにはカラーフィルターの表面平滑性が十分ではなく、さらには十分な研磨速度と表面平滑性を両立できるものではなかった。

特開平8−25205号公報 特開平9−57634号公報 特開2001−62696号公報 特開平7−151911号公報
本発明は、前記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、カラーフィルター製造工程で該フィルター上に発生する異物や突起を安定して高研磨レートで除去でき、なおかつ高い研磨面品位を得ることができるカラーフィルター研磨用パッド、およびそのカラーフィルター研磨用パッドを用いたカラーフィルター研磨方法を提供することにある。
本発明によれば、本発明の前記課題は、第一に、(A)炭素−炭素二重結合を有するポリウレタンと、(B)架橋剤を含むカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物によって達成される。
本発明によれば、本発明の前記課題は第二に、前記(A)ポリウレタンが、ビニル基(CH=CH−)およびアリル基(CH=CH−CH−)から選ばれる1種以上を側鎖に有することによって達成される。
本発明によれば、本発明の前記課題は第三に、前記(A)ポリウレタンが、共役ジエン系(共)重合体骨格を有することによって達成される。
本発明によれば、本発明の前記課題は第四に、前記(A)ポリウレタンが、ポリブタジエン骨格を有することによって達成される。
また、本発明によれば、本発明の前記課題は第五に、さらに(C)水溶性化合物を含むカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物によって達成される。
さらに、本発明によれば、本発明の前記課題は、第六に、前記(A)ポリウレタンが、(a1)1個以上の水酸基および1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物と、(a2)1個以上のイソシアネート基を有する(a1)とは異なる化合物を反応させて得られる前記(A)ポリウレタンを含むカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物によって達成される。
本発明によれば、本発明の前記課題は、第七に、前記(a1)成分の数平均分子量が500〜5000であることによって達成される。
本発明によれば、本発明の前記課題は第八に、(a1)成分に含まれる水酸基の総モル数をM1、前記(a2)成分に含まれるイソシアネート基の総モル数をM2とした場合、M1/M2の値が7/100〜100/100であること、によって達成される。
本発明によれば、本発明の前記課題は第九に、本願発明のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物を架橋して製造されたカラーフィルター研磨用パッドによって達成される。
本発明によれば、本発明の前記課題は第十に、本願発明のカラーフィルター研磨用パッドを用いたカラーフィルターの研磨方法によって達成される。
本発明によれば、研磨速度および平坦性に優れ、平坦性に優れ、スクラッチ量が少ないカラーフィルター研磨用パッドを形成するための組成物、さらにはその組成物を架橋することにより製造されたカラーフィルター研磨用パッド、およびそのカラーフィルター研磨用パッドを用いたカラーフィルターの研磨方法が提供される。
本発明のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物は、(A)炭素−炭素二重結合を有するポリウレタンと、(B)架橋剤を含む。以下に組成物の成分について詳細に説明する。
<(A)ポリウレタン>
本発明に使用する(A)ポリウレタンは、炭素−炭素二重結合を有する。炭素−炭素二重結合を有することにより、架橋剤と共に加熱することで成型されるカラーフィルター研磨用パッドは架橋構造を有し、カラーフィルター研磨用パッドの硬度、弾性率、耐水性を向上させることができる。
なお、本発明に使用する(A)ポリウレタンは、側鎖に炭素−炭素二重結合を有することが好ましい。なお、本発明において「側鎖」とは、最も分子鎖が長い分子構造を幹ポリマー部とした場合に、幹ポリマー部から分岐した分子構造部分をいう。さらに「炭素−炭素二重結合を側鎖に1個以上の有する」とは、幹ポリマー部から分岐した分子構造で炭素−炭素二重結合が重合体中に存在している状態をいう。
前記(A)ポリウレタンは熱可塑性ポリウレタンであることが好ましい。前記(A)ポリウレタンが熱可塑性ポリウレタンである場合、常温では極めて安定な成型物を有する非架橋な重合体を成型することが可能である。このような非架橋成型体は所定の温度以上では流動性を有し、加熱しつつ圧力をかけることで所望の形状の成型体を得ることができる。
前記(A)ポリウレタンは、ビニル基(CH2=CH−)およびアリル基(CH2=CH−CH2−)から選ばれる1種以上を側鎖に有することが好ましく、特にビニル基(CH2=CH−)を側鎖に有することが好ましい。ビニル基(CH2=CH−)およびアリル基(CH2=CH−CH2−)から選ばれる1種以上を側鎖に有することにより、(B)架橋剤とともに加熱成型することで容易に架橋反応を行い、架橋して機械的強度の強いカラーフィルター研磨用パッドを製造することができる。
前記(A)ポリウレタンは、共役ジエン系(共)重合体骨格を有することが好ましく、ポリブタジエン骨格を有することがさらに好ましい。共役ジエン系(共)重合体骨格を含むことにより、側鎖に炭素−炭素二重結合を容易に導入することが可能となり、(B)架橋剤とともに加熱成型することで容易に架橋反応を行い、架橋して機械的強度の強いカラーフィルター研磨用パッドを製造することができる。
前記(A)ポリウレタンは、(a1)1個以上の水酸基および1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物と、(a2)1個以上のイソシアネート基を有する(a1)とは異なる化合物を反応させて作成することができる。この場合、(a1)成分に含まれる水酸基の総モル数をM1、前記(a2)成分に含まれるイソシアネート基の総モル数をM2とした場合、M1/M2の値が7/100〜100/100であることが好ましく、10/100〜50/100であることがさらに好ましく、15/100〜30/100であることが最も好ましい。前記(a1)成分および前記(a2)成分を前記M1/M2の値の範囲で用いることにより、研磨パッドに最適な硬度、弾性率、残留ひずみを有するポリウレタンが得られる。
特に、前記(a1)成分が上記範囲より少ない場合、架橋が不十分となり、研磨組成物として耐水性、熱的安定性が不十分となる。また、前記(a1)成分が上記範囲より多く使用する場合、架橋度が大きくなるため、前記(A)ポリウレタンを含むカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物を架橋して製造されたカラーフィルター研磨用パッドの硬度が過剰に大きくなるため好ましくない。
<(a1)1個以上の水酸基および1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物>
前記(A)ポリウレタンを製造するために使用される前記(a1)1個以上の水酸基および1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物は、前記(a2)成分の有するイソシアネート基と反応するための水酸基を分子内に1個、好ましくは2個有する。分子内に1〜2個の水酸基を有することにより前記(a2)成分と容易に反応させることが可能となり好ましい。
また、前記(a1)成分は炭素−炭素二重結合を1個以上、好ましくは2個以上有する。分子内に1個以上の炭素−炭素二重結合を有することにより、前記(A)ポリウレタン中へ容易に炭素−炭素二重結合を導入することができ、前記(A)ポリウレタンを架橋させる際の架橋点とすることができる。
前記(a1)成分に含まれる炭素−炭素二重結合は、ビニル基(CH2=CH−)もしくはアリル基(CH2=CH−CH−O−)であることが好ましい。側鎖もしくは末端にこれらの官能基を有することにより前期(A)ポリウレタンの架橋反応を容易に行うことができる。
前記(a1)成分に含まれる炭素−炭素二重結合の総モル数を100とした場合に、ビニル基(CH2=CH−)に由来する炭素―炭素二重結合の総モル数をが20以上であることが好ましく、50以上であることがさらに好ましく、より好ましくは80以上であることが好ましい。ビニル基(CH2=CH−)に由来する炭素―炭素二重結合の割合が高いほど架橋速度が早く、架橋成型する際に長時間加熱成型する必要がないので組成物の酸化変性が抑制でき好ましい。ビニル基(CH2=CH−)に由来する炭素―炭素二重結合の割合が低い場合、パッドの硬度および弾性率が小さくなり研磨速度が低下し、残留ひずみが大きくなるため平坦性能面でも充分な性能が得られない。
前記(a1)成分としては、共役ジエン系(共)重合体であることが好ましい。
たとえば、末端が水酸基化されたポリブタジエンやモノアリルグリコール、3−アリルオキシ‐1,2−プロパンジオール、1,4―ブテンジオール等を好適に使用することができ、また、これらの化合物を2種以上併用して使用することもできる。さらに前記(A)ポリウレタンの架橋速度の面から、末端が水酸基化されたポリブタジエンが好ましい。
また、前記(a1)成分であるポリブタジエンのゲルパーミネーションクロマトグラフィーによる測定によって得られるスチレン換算の数平均分子量が500〜5000であることが望ましい。上記範囲であると、前記(a1)成分が有する水酸基と前記(a2)成分が有するイソシアネート基とを十分に反応させることができるため好ましい。また、十分に反応させることにより前記(A)ポリウレタンの分子量を十分に大きくすることができるため好ましい。
<(a2)1個以上のイソシアネート基を有する(a1)とは異なる化合物>
前記(A)ポリウレタンを製造するために使用される前記(a2)1個以上のイソシアネート基を有する(a1)とは異なる化合物は、前記(a1)成分の有する水酸基と反応するためのイソシアネート基を分子内に1個、好ましくは2個有する。分子内に2個のイソシアネート基を有することに前記(A)ポリウレタンの分子量を十分に大きくでき、得られるポリマーの耐熱性が向上することができるため好ましい。
前記(a2)成分としては、一般的なポリウレタンを製造する際に用いるジイソシアネートを使用することができる。たとえば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,2‘−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート類、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート類を挙げることができるがこれに限定されるわけではなく、これらは一種で用いても、2種以上混合しても良い。
<その他の成分>
本発明の(A)ポリウレタンは、前記(a1)成分と前記(a2)成分以外に、前記(a1)成分とは異なるポリオール化合物を併用し、製造することができる。前記(a1)成分と併用することのできるポリオール化合物としては、ポリウレタンの技術分野において、通常ポリオール化合物として用いられるものを挙げることができる。例えばヒドロキシ末端ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエーテル、ポリエーテルカーボネート、ポリエステルアミド等のポリウレタンの技術分野において、ポリオールとして公知の化合物が挙げられるが、これらのうち耐加水分解性の良好なポリエーテル及びポリカーボネートが好ましく、より低価格であり、溶融粘度が低く加工が容易であるという観点からはポリエーテルが特に好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリテトラメチレングリコ−ル(PTMG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)等が例示される。ポリエステルポリオ−ルとしては、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリカプロラクトンポリオール等が例示される。ポリエステルポリカーボネートポリオ−ルとしては、ポリカプロラクトンポリオ−ル等のポリエステルグリコ−ルとアルキレンカーボネ−トとの反応生成物、エチレンカーボネートを多価アルコールと反応させ、次いでえられた反応混合物を有機ジカルボン酸との反応生成物などが例示される。
ポリカーボネートポリオ−ルとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及び/又はポリテトラメチレングリコール等のジオールとホスゲン、ジアリルカーボネート(例えばジフェニルカーボネート)もしくは環式カーボネート(例えばプロピレンカーボネート)との反応生成物が挙げられる。前記(A)ポリウレタンの製造において、上記のポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらポリオールの数平均分子量は、特に限定されるものではないが、得られるポリウレタン発泡体の弾性特性等の観点から、500から2000までであることが望ましい。
本発明の(A)ポリウレタンは、前記(a1)成分と前記(a2)成分以外に、鎖延長剤を併用し、製造することができる。併用することのできる鎖延長剤としては、少なくとも2個以上の活性水素基を有する前記したポリオール化合物とは異なる有機化合物であり、活性水素基としては、水酸基、第1級もしくは第2級アミノ基、チオール基(SH)等が例示できる。活性水素基を有する化合物としては、低分子ジオールやポリアミン類などが挙げられる。
低分子ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の低分子量多価アルコールを併用しても構わない。これら低分子量2価アルコールは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリアミン類としては、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン等が挙げられ、これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
本発明におけるポリイソシアネート、ポリオール化合物、鎖延長剤の比は、各々の分子量や研磨パッドの所望物性などにより種々変え得る。所望する研磨特性を有する研磨パッドを得るためには、ポリオール化合物と鎖延長剤の合計活性水素基(水酸基+アミノ基)数に対する有機ポリイソシアネートのイソシアネート基数は、0.80〜1.15の範囲が望ましく、好ましくは0.90〜1.10であることがより望ましい。また、ポリオールと低分子量多価アルコールの比は、これらから製造されるポリウレタンに要求される特性により適宜設定される。また、これらの化合物の使用量としては、熱可塑性ポリウレタンを構成する全モノマーの総重量に対して、10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上である。
<(B)架橋剤>
本発明のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物は、(B)架橋剤を含む。カラーフィルター研磨用パッド形成用組成物は、(B)架橋剤を含むことにより、本発明のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物からカラーフィルター研磨用パッドを製造する際にその研磨層に、架橋構造をもたせることが可能になる。架橋を行う方法としては有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物等を用いた化学架橋により行うことが好ましい。
前記(B)架橋剤は、前記(A)ポリウレタンの有する炭素−炭素二重結合を架橋するための化合物である。このような化合物としては加熱によりラジカルを発生させる有機化酸化物であることが好ましい。たとえば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル、硫黄、硫黄化合物などが好ましく使用できる。特に架橋速度の面からジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル‐2,5‐ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどを代表とするジアルキルパーオキサイドが好ましい。
<(C)水溶性化合物>
本発明のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物は、さらに(C)水溶性化合物を含有していてもよい。本発明に使用される水溶性化合物は、スラリーと接触することにより研磨層の研磨面から遊離して、スラリーを保持することのできる空孔(ポア)を形成するための化合物であり、水溶性高分子のように水に溶解する物質の他、吸水性樹脂のような、水との接触により膨潤またはゲル化してそのために遊離することができるものを含む。
前記水溶性化合物は、粒子状に前記非水溶性高分子組成物(A)中に分散されていてもよく、また前記非水溶性高分子組成物(A)中に海島構造のように相分離した状態であってもよいが、粒子状に前記非水溶性高分子組成物(A)中に分散されていることが好ましい。
前記水溶性化合物として、例えば糖類(でんぷん、デキストリンおよびシクロデキストリンの如き多糖類、乳糖、マンニット等)、セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等)、蛋白質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイド、水溶性の感光性樹脂、スルホン化ポリイソプレン、スルホン化イソプレン共重合体等を挙げることができる。これらの水溶性化合物は、前記各素材を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、所定の素材からなる1種の水溶性化合物であってもよく、異なる素材からなる2種以上の水溶性化合物であってもよい。
前記水溶性化合物のうち、無機水溶性粒子としては、例えば酢酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、臭化カリウム、リン酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウムおよび硝酸カルシウム等を挙げることができる。これらの1種類を用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
前記水溶性化合物が水溶性粒子である場合、(A)非水溶性高分子組成物の全量を100重量部に対して、(B)水溶性化合物の含有量は、1〜300重量部が好ましく、より好ましくは1〜250重量部、さらに好ましくは3〜200重量部である。この範囲の含有量とすることにより、高い研磨速度を示し、かつ適正な硬度および機械的強度を持つカラーフィルター研磨用パッドとすることができる。
パッドの硬度を適正な値とすることができるという観点から、前者の素材に含有される有機水溶性粒子は中実体であることが特に好ましい。
水溶性粒子の平均粒径は、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜100μmである。水溶性粒子が脱離することにより形成されるポアの大きさは、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは0.5〜100μmである。水溶性粒子の平均粒径を前記の範囲とすることにより、高い研磨速度を示し、かつ機械的強度に優れたカラーフィルター研磨用パッドとすることができる。
また、水溶性粒子は、研磨パッド内において表層に露出した場合にのみ水等に溶解または膨潤し、研磨パッド内部では吸湿してさらには膨潤しないことが好ましい。このため水溶性粒子は最外部の少なくとも一部に吸湿を抑制する外殻を備えることができる。この外殻は水溶性粒子に物理的に吸着していても、水溶性粒子と化学結合していても、さらにはこの両方により水溶性粒子に接していてもよい。このような外殻を形成する材料としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリシリケート、シランカップリング剤等を挙げることができる。この場合、水溶性粒子は、外殻を有する水溶性粒子と外殻を有さない水溶性粒子とからなっていてもよく、外殻を有する水溶性粒子はその表面のすべてが外殻に被覆されていなくても十分に前記効果を得ることができる。
<カラーフィルター研磨用パッド形成用組成物>
本発明のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物は、前記(A)ポリウレタンと前記(B)架橋剤を含む。前記(A)ポリウレタンの使用量を100重量部とした場合に、前記(B)架橋剤は0.1〜10重量部用いることが好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましい。前記の範囲とすることにより、研磨パッドに最適な硬度、弾性率、残留ひずみを有するポリウレタンが得られる。また、前記の範囲以下であると架橋が充分に進行せず、パッドの硬度および弾性率が小さくなり研磨速度が低下し、残留ひずみが大きくなるため平坦性能面でも充分な性能が得られない。また、前記の範囲以上であると、パッドの硬度および弾性率が高くなりスクラッチが増加する。また、該組成物には架橋速度を促進するために架橋助剤を添加することができ、さらに研磨パッドの硬度を適正な値にすべく水溶性フィラーおよび無機フィラーを添加しても良い。
<カラーフィルター研磨用パッド>
本発明のカラーフィルター研磨用パッドは、前記カラーフィルター研磨用パッド形成用組成物を架橋させることにより製造することができる。架橋させることにより、弾性率が50〜500程度となると共に、残留ひずみも10%以下となり、架橋しない状態に比べて向上させることができる。この結果、本発明のカラーフィルター研磨用パッドは弾性回復力が良好になることにより、研磨時にカラーフィルター研磨用パッドにかかるずり応力による変位を小さく抑えることができる。また、弾性率および残留ひずみが上記範囲であることにより、研磨時およびドレッシング時に非水溶性部分が過度に引き延ばされ塑性変形してポアが埋まることや、カラーフィルター研磨用パッド表面が過度に毛羽立つこと等を効果的に抑制できる。したがって、ドレッシング時にもポアが効率よく形成され、研磨時のスラリーの保持性の低下が防止でき、毛羽立ちが少なく優れた研磨平坦性を実現することができることとなる。
また、本発明のカラーフィルター研磨用パッドは、前記カラーフィルター研磨用パッド形成用組成物を架橋させて製造することにより、30℃の貯蔵弾性率と60℃の貯蔵弾性率の比率が3〜10となり、研磨時の温度を制御することで異なる研磨性能を発現できるため好ましい。
<研磨用水系分散体>
本発明に用いる研磨用水系分散体としては、少なくとも無機砥粒を水系媒体に分散してなる水系分散体を用いることができる。無機砥粒としては、シリカ、アルミナ、セリア、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウムから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。好ましくは気相中で塩化ケイ素等を、酸素および水素と反応させるヒュームド法により合成されたヒュームド法シリカ、金属アルコキシドから加水分解縮合して合成するゾルゲル法により合成されたシリカ、ケイ酸アルカリ水溶液から、イオン交換樹脂等によってアルカリ金属を除去しシリカ粒子を生成成長させて得られる、いわゆる水ガラス法等により合成されたコロイダルシリカ等を用いることができる。
コロイダルシリカの添加量は、使用時における化学機械研磨用水系分散体の総量に対して、好ましくは1〜5質量%であり、より好ましくは1.25〜4質量%であり、特に好ましくは1.5〜3質量%である。コロイダルシリカの添加量が1質量%未満になると十分な研磨速度が得られず実用的ではない。一方、コロイダルシリカの添加量が5質量%を超えるとコストが高くなるとともに安定した化学機械研磨用水系分散体を得られないことがある。
水系媒体としては、メタル不純物や異物の少ない蒸留水が好適に用いられる。また、水溶性を有するメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶剤を添加することもできる。
<有機粒子>
また、本発明に用いる研磨用水系分散体には、有機粒子を添加することも出来る。有機粒子としてはポリ塩化ビニル、ポリスチレンおよびスチレン系共重合体、ポリアセタール、飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のポリオレフィンおよびオレフィン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂およびアクリル系共重合体等、を好適に用いることができる。
<界面活性剤>
本発明に用いられる研磨用水系分散体は、必要に応じて、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を挙げることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族アンモニウム塩等を挙げることができる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等を挙げることができる。カルボン酸塩としては、脂肪酸せっけん、アルキルエーテルカルボン酸塩等を挙げることができる。スルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等を挙げることができる。硫酸エステル塩としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。リン酸エステルとしては、例えば、アルキルリン酸エステル等を挙げることができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、エーテル型界面活性剤、エーテルエステル型界面活性剤、エステル型界面活性剤、アセチレン系界面活性剤等を挙げることができる。エーテルエステル型界面活性剤としては、例えば、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル等を挙げることができる。エステル型界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。アセチレン系界面活性剤としては、例えば、アセチレンアルコール、アセチレングリコール、アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物を挙げることができる。
両性界面活性剤としては、例えば、ベタイン系界面活性剤を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの界面活性剤の中では、アニオン性界面活性剤が好ましく、特にスルホン酸塩が好ましい。また、スルホン酸塩の中ではアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、特にドデシルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
界面活性剤の添加量は、使用時における化学機械研磨用水系分散体の総量に対して、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.001〜0.1質量%である。界面活性剤の添加量が上記の範囲内にあると、研磨後に、より平滑な被研磨面を得ることができる。
<酸または塩基>
本発明に用いられる研磨用水系分散体は、必要に応じて、酸または塩基を添加することができる。本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体のpHは、上記のとおり3以上5以下とする必要がある。酸および塩基は、化学機械研磨用水系分散体のpHを調整する目的で使用することができる。
前記酸としては、例えば、有機酸(一分子内に二以上のカルボキシル基および一以上のヒドロキシル基を有する有機酸を除く。)または無機酸を挙げることができる。
有機酸としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、グルコン酸、乳酸、グリコール酸、マロン酸、ギ酸、シユウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等を挙げることができる。
無機酸としては、例えば、硝酸、硫酸等を挙げることができる。
前記塩基としては、有機塩基または無機塩基を挙げることができる。
有機塩基としては、例えば、テトラメチルヒドロキシド等を挙げることができる。
無機塩基としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物を挙げることができる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等を挙げることができる。
<水溶性高分子>
本発明に用いられる研磨用水系分散体は、必要に応じて、水溶性高分子を添加することができる。水溶性高分子は、被研磨面の表面に吸着し研磨摩擦を低減させる機能を有する。これにより、平坦性を向上させることができる。
水溶性高分子としては、ポリアクリロアミド、ポリアクリル酸およびその塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース等を挙げることができる。
水溶性高分子の添加量は、研磨用水系分散体の粘度が2mPa・s未満となるように調整することができる。本発明に用いられる研磨用水系分散体の粘度は、水溶性高分子の重量平均分子量および添加量によってほぼ決定されるので、それらのバランスを考慮しながら調整することができる。研磨用水系分散体の粘度が5mPa・sを超えると研磨速度が低下することがあり、また粘度が高くなりすぎて研磨パッド上に安定して研磨用水系分散体を供給できないことがある。その結果、研磨パッドの温度上昇や研磨むら(面内均一性の劣化)等が生じて、研磨速度や平坦性のばらつきが発生することがあるため好ましくない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
(1)カラーフィルター研磨用パッド形成用組成物の製造
空気雰囲気下で、撹拌機を備えた2Lの4つ口セパラブルフラスゴに、ポリテトラメチレングリコール(Mn=1000,保土ヶ谷化学工業、PTMG−1000SN)を51.0重量部入れ、60℃に加温しつつ撹拌させた。ついで、これに80℃の油浴にて溶解させた4、4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業、MILLIONATE MT)を36.5重量部加え、10分撹拌したのち、1,4−ブタンジオールを2.3重量部およびアリルオキシプロパンジオールを10.1重量部加え撹拌混合した後、表面加工されたSUS製のバットに拡げ110℃で1時間、さらに80℃で16時間加熱し、熱可塑性ポリウレタンAを得た。
得られた成分(A)熱可塑性ポリウレタンAを100重量部と、水溶性粒子である成分(C)β−サイクロデキストリン((株)塩水港精糖、商品名「デキシパールβ−100」、平均粒径20μm)38.8重量部を160℃に調温されたルーダーにより混練した。その後、成分(B)ジクミルパーオキサイド(日油(株)製、商品名「パークミルD」)3.0重量部を配合して、120℃にてさらに混練し、ペレット状のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物を得た。
なお、以下の実施例、比較例におけるカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物の成分種、成分比を表1にまとめて示す。表1での表記において「パークミル」とは、「パークミルD−40」を添加したことを示し、「パーヘキサ」とは「パーヘキサ25B40」を添加したことを示し、「β−CD」とは「β−サイクロデキストリン」を添加したことを示す。
(2)カラーフィルター研磨用パッドの製造
(2−1)パッド該形の製造
この原料組成物を、プレス金型内にて180℃で10分間架橋反応させることにより、直径790mm、厚さ3.2mmの円柱状である円形の成形体を得た。
この成形体を、ワイドベルトサンダー機器((株)名南製作所製)の挿入口にセットし、ローラーを500rpmで回転しながら、成形体の表面および裏面につき、粒度メッシュ#120、#150および#220のサンドペーパー((株)コバックス製)を順次に用いてそれぞれ0.1m/sの早さで動かして各番定あたり0.1mmずつ研削した(総研削量は、表面、裏面それぞれ0.3mmずつである。)。次いで、表面(研磨面となるべき面)のみさらに#320のサンドペーパーを用いて同様にして0.1mm研削した。
以上の操作により、直径790mm、厚さ2.5mmのパッド該形を製造した。
(2−2)カラーフィルター研磨用パッドの製造
上記で製造したパッド該形を加藤機械(株)製の切削加工機の定盤上に、吸引圧力20kPaで吸引固定した。この状態で、幅0.5mm、深さ1mmの同心円状の溝群を中心から半径10mm以遠のところにピッチ2mmで形成し、さらに、同機械を用いて、中心から254mmのところを切削することで、直径508mm、厚さ2.5mmのカラーフィルター研磨用パッドを製造した。
(3)カラーフィルターの作製
(カラーフィルターの構造)
4インチのガラス基板にブラックマトリクスを形成した後、JSR(株)製の赤色顔料分散レジスト、オプスターCRシリーズ(RED759)をスピンコーターを用いて塗布したのち、70℃で3分間プレベークして、膜厚2.5μmの被膜を形成した。その後、基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプ(照度 250W/m)を用い、所定のフォトマスクを介して200J/m の露光量で露光した。その後現像液としてJSR(株)製現像液CD150CRを用い、23℃、現像液吐出圧0.3MPaにて1分間シャワー現像したのち、超純水で洗浄し、さらに200℃で30分間ポストベークして、基板上に赤色のカラーパターンを有するカラーフィルターを形成した。ついで赤色パターンと同様にして、それぞれ緑色顔料および青色顔料を含有する顔料分散レジスト(GREEN783、BLUE778)を用いて、緑色および青色パターンを形成しRGBのカラーパターンを有する評価用カラーフィルター(図1)を得た。KLAテンコール社製、P−10を用いて測定したR,G,B画素間の表面段差は、約0.5umであった。
(4)研磨用水系分散体の作製
(4−1)
<水溶性高分子の作製>
還流冷却管を備えた容量500mLのフラスコに、脱気したN−ビニル−2−ピロリドン60g及び蒸留水240gを仕込んだ。これを窒素気流中、攪拌下60℃に昇温し、10重量%の亜硫酸ナトリウム水溶液0.3g及び10重量%のt−ブチルヒドロパーオキシド水溶液0.3gを添加した。60℃にて3時間攪拌を継続した後、10重量%の亜硫酸ナトリウム水溶液1.8g及び10重量%のt−ブチルヒドロパーオキシド水溶液1.2gを添加し、さらに3時間攪拌を継続した。ポリビニルピロリドンの20重量%水溶液を得た。
なお、ここで調製したポリビニルピロリドンについて、0.1モル/LのNaCl水溶液/アセトニトリル=80/20(vol/vol)を溶離液とした水系ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定したポリエチレングリコール換算の重量平均分子量(Mw)は1,000,000であった。また、フィケンチャー(Fikentscher)法により求めたK値は95であった。
(4−2)
<研磨用水系分散体の作製>
攪拌機を備えた5Lセパラブルフラスコに蒸留水2980gを投入し、300rpmで攪拌下、無機砥粒としてシリカ含有量20重量%のPL−7H(扶桑化学工業製)1000g、次いで上記で作製したポリビニルピロリドン水溶液20gを投入し5min間攪拌を継続した。その後、孔径5μmのフィルタで濾過し研磨用水系分散体を得た。
(5)カラーフィルター研磨
前記(2)で製造したカラーフィルター研磨用パッドの溝を加工していない面へ3M社製両面テープ#422をラミネートした後、Lapmaster LM15に装着し、前記(4)で作成した研磨用水系分散体を用い、以下の条件にて、前記(3)作成したカラーフィルターの研磨を行った。
ヘッド回転数:120rpm
キャリア荷重 : 150hPa
定盤回転数 : 60pm
研磨用水系分散体供給量 : 100ミリリットル/分
(6)カラーフィルター研磨結果の評価
(6−1)表面粗さの評価
前記の条件で1分間の研磨処理を行ったカラーフィルターの表面粗さを、原子間力顕微鏡(デジタル・インスツルメンツ社製、形式「NanoScope IIIa」)を用いて測定した。結果を表2に示す。
(6−2)平坦性の評価
前記の条件で1分間の研磨処理を行ったカラーフィルターの表面段差を、精密段差計(ケーエルエー・テンコール社製、形式「P−10」)を使用して測定した。結果を表2に示す。
(6−3)スクラッチの評価
前記の条件で1分間の研磨処理を行ったカラーフィルターの表面を、光学顕微鏡を用いて、暗視野にて、範囲100μm×100μmの単位領域を観察した場合のスクラッチ数を測定した。結果を表2に示す。
実施例2
空気雰囲気下で、撹拌機を備えた2Lの4つ口セパラブルフラスゴに、ポリテトラメチレングリコール(Mn=1000,保土ヶ谷化学工業、PTMG−1000SN)を50.2重量部および末端を水酸基化されたポリブタジエン(Mn=1500、日本曹達株式会社、NISSO PB G−1000)を15.6重量部入れ、60℃に加温しつつ撹拌させた。ついで、これに80℃の油浴にて溶解させた4、4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業、MILLIONATE MT)を28.8重量部加え、10分撹拌したのち、1,4−ブタンジオール5.5重量部を加え撹拌混合した後、表面加工されたSUS製のバットに拡げ110℃で1時間80℃で16時間アニールし、熱可塑性ポリウレタンBを得た。上記、熱可塑性ポリウレタンBを用いて、実施例1と同様にカラーフィルター研磨用パッドを製造した。製造されたカラーフィルター研磨用パッドを用いて実施例1と同様の条件で研磨を行った結果を行った結果を表2に示す。
実施例3
空気雰囲気下で、撹拌機を備えた2Lの4つ口セパラブルフラスゴに、ポリテトラメチレングリコール(Mn=1000,保土ヶ谷化学工業、PTMG−1000SN)を42.7重量部および末端を水酸基化されたポリブタジエン(Mn=1500、日本曹達株式会社、NISSO PB G−1000)を24.1重量部入れ、60℃に加温しつつ撹拌させた。ついで、これに80℃の油浴にて溶解させた4、4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業、MILLIONATE MT)を27.8重量部加え、10分撹拌したのち、1,4−ブタンジオール5.2重量部を加え撹拌混合した後、表面加工されたSUS製のバットに拡げ110℃で1時間80℃で16時間アニールし、熱可塑性ポリウレタンCを得た。上記、熱可塑性ポリウレタンCを用いて、実施例1と同様にカラーフィルター研磨用パッドを製造した。製造されたカラーフィルター研磨用パッドを用いて実施例1と同様の条件で研磨を行った結果を表2に示す。
実施例4
空気雰囲気下で、撹拌機を備えた2Lの4つ口セパラブルフラスゴに、ポリテトラメチレングリコール(Mn=1000,保土ヶ谷化学工業、PTMG−1000SN)を33.5重量部および末端を水酸基化されたポリブタジエン(Mn=1500、日本曹達株式会社、NISSO PB G−1000)を34.7重量部入れ、60℃に加温しつつ撹拌させた。ついで、これに80℃の油浴にて溶解させた4、4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業、MILLIONATE MT)を26.7重量部加え、10分撹拌したのち、1,4−ブタンジオール5.0重量部を加え、撹拌混合した後、表面加工されたSUS製のバットに拡げ110℃で1時間80℃で16時間アニールし、熱可塑性ポリウレタンDを得た。上記、熱可塑性ポリウレタンDを用いて、実施例1と同様にカラーフィルター研磨用パッドを製造した。製造されたカラーフィルター研磨用パッドを用いて実施例1と同様の条件で研磨を行った結果を表2に示す。
実施例5
実施例1とで得られた成分(A)熱可塑性ポリウレタンD100重量部と、水溶性粒子である成分(C)β−サイクロデキストリン((株)塩水港精糖製、商品名「デキシパールβ−100」、平均粒径20μm)38.8重量部を160℃に調温されたルーダーにより混練し、ペレットを得た。その後、成分(B)2,5−ジメチル‐2,5‐ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(日油(株)製、商品名「パーヘキサ25B40」)3.0重量部を配合して、140℃にてさらに混練し、ペレット状のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物を得た。これを、実施例1と同様に研磨パッドに製造した。製造されたカラーフィルター研磨用パッドを用いて実施例1と同様の条件で研磨を行った結果を表2に示す。
比較例1
実施例1とで得られた成分(A)熱可塑性ポリウレタンDをA100重量部と、水溶性粒子である成分(C)β−サイクロデキストリン((株)横浜国際バイオ研究所塩水港精糖製、商品名「デキシパールβ−100」、平均粒径20μm)2838.8重量部を160℃に調温されたルーダーにより混練し、ペレットを得た。これを、実施例1と同様に研磨パッドに製造した。製造されたカラーフィルター研磨用パッドを用いて実施例1と同様の条件で研磨を行った結果を表2に示す。
比較例2
空気雰囲気下で、撹拌機を備えた2Lの4つ口セパラブルフラスゴに、ポリテトラメチレングリコール(Mn=1000,保土ヶ谷化学工業、PTMG−1000SN)を63.8重量部入れ、60℃に加温しつつ撹拌させた。ついで、これに80℃の油浴にて溶解させた4、4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業、MILLIONATE MT)を30.5重量部加え、10分撹拌したのち、1,4−ブタンジオール5.7重量部を加え、撹拌混合した後、表面加工されたSUS製のバットに拡げ110℃で1時間80℃で16時間アニールし、熱可塑性ポリウレタンEを得た。上記、熱可塑性ポリウレタンEを用いて、実施例1と同様にカラーフィルター研磨用パッドを製造した。製造されたカラーフィルター研磨用パッドを用いて実施例1と同様の条件で研磨を行った結果を表2に示す。
比較例3
液状パッド組成物にフィラーを分散させて後に、成型された多孔質ポリウレタン製研磨パッド(ロデール・ニッタ社製、品番「IC1000」)を装着し、実施例1と同様の条件で研磨を行った結果を表2に示す。
Figure 2010012528
Figure 2010012528
表面粗さは、5nm以下、平坦性は60nm以下、スクラッチは50個以下であれば、良好な研磨特性を有すると考えられる。表2によれば、本発明に記載された組成から構成された実施例1〜4のカラーフィルター研磨用パッドは良好な研磨特性を有することが明らかになった。これに対し、本願発明でない比較例1の架橋剤を含まない組成物から得られた研磨パッドは、スクラッチの特性は充分なものの、研磨速度、ディッシングの性能で不十分である結果であることは明らかである。また、本願発明でないポリウレタンFを用いた研磨パッドも同様な結果であった。また、液状ポリウレタンを原料とした比較例3は、研磨速度、平坦性は良好な結果であったが、スクラッチの性能で不十分であった。
このように、前記実施例および比較例の結果から明らかであるように、本発明で示された方法を用いることにより、表面粗さ、平坦性、スクラッチ性能に優れたカラーフィルター研磨用パッドを作成することができる。

Claims (10)

  1. (A)炭素−炭素二重結合を有するポリウレタンと、
    (B)架橋剤
    を含む、カラーフィルター研磨用パッド形成用組成物。
  2. 前記(A)ポリウレタンが、ビニル基(CH=CH−)およびアリル基(CH=CH−CH−)から選ばれる1種以上を側鎖に有する、請求項1に記載のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物。
  3. 前記(A)ポリウレタンが、共役ジエン系(共)重合体骨格を有する、請求項1〜2のいずれか一項に記載のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物。
  4. 前記(A)ポリウレタンが、ポリブタジエン骨格を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物。
  5. (C)水溶性化合物をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物。
  6. 前記(A)ポリウレタンが、
    (a1)1個以上の水酸基および1個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物と、
    (a2)1個以上のイソシアネート基を有する(a1)とは異なる化合物
    を反応させて得られる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物。
  7. 前記(a1)成分の数平均分子量が500〜5000である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物。
  8. 前記(a1)成分に含まれる水酸基の総モル数をM1、前記(a2)成分に含まれるイソシアネート基の総モル数をM2とした場合、M1/M2の比が7/100〜100/100である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のカラーフィルター研磨用パッド形成用組成物を架橋して製造されるカラーフィルター研磨用パッド。
  10. 請求項9に記載されたカラーフィルター研磨用パッドを用いたカラーフィルターの研磨方法。
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