JP2010008704A - 現像ロールおよびその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トナーに対する荷電性能の向上およびトナーストレスの低減を図ることができ、湿熱環境下に長期放置した場合の電気抵抗の経時変化を抑制することができる、現像ロールを提供する。
【解決手段】表層3が(A)成分からなるマトリックス中に(B)成分からなる導電性ポリマー粒子が微分散した塗膜からなり、表層3塗膜中に存在する導電性ポリマーのドープ率が10mol%以下である現像ロール。
(A)ウレタン系樹脂。
(B)下記のモノマー(a)を重合してなるπ電子共役系ポリマーを、下記のドーパント(b)によりドープしてなる溶剤不溶の導電性ポリマーであって、メジアン径が0.5〜6.0μmの範囲。
(a)アニリン。
(b)ジノニルナフタレンスルホン酸。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機やレーザービームプリンター(LBP)等の電子写真機器(OA機器)に用いられる、現像ロールおよびその製法に関するものである。
一般に、現像ロールは、軸体(SUS等の金属軸体)の外周面にゴム弾性層が形成され、このゴム弾性層の外周に、直接または他の層を介して、ゴムや樹脂等のバインダーポリマーに導電剤を含有してなる表層(最外層)が形成されて構成されている。近年のレーザービームプリンター(LBP)の高速化に伴い、このような現像ロールには、より高いトナー搬送性能が要求されている。そのため、現像ロールの表層中に粗度形成粒子を含有させて凹凸形状を形成することにより、トナー搬送量を補う手法が提案されている。しかしながら、この手法では、トナー帯電むらによる画像かぶりを起こしやすく、また、粗度形成粒子と規制部材との間でのトナーストレスが高くなり、トナーの劣化による画像かぶりやトナー融着を誘発するようになる。一方、トナーストレス低減のために、現像ロール表面を柔軟化する手法も提案されているが、トナー帯電量が低減し、適正な帯電量が得られず、画像かぶりを起こしやすくなる。
そこで、これらの問題を解決するため、ポリウレタン樹脂に導電剤としてポリアニリンを配合した導電性樹脂組成物を塗布した現像ロールが提案されている(特許文献1)。また、本出願人は、特定の導電性ポリマーと、バインダーポリマーとを含有する導電性組成物を一部に用いた現像ロール等をすでに提案している(特許文献2)。
特開2003−321604号公報 特許第3951860号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に記載のものは、湿熱環境下に長期放置すると、電気抵抗が経時変化する傾向がみられ、電気抵抗の経時変化を抑制する点に改良の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、トナーに対する荷電性能の向上およびトナーストレスの低減を図ることができ、湿熱環境下に長期放置した場合の電気抵抗の経時変化を抑制することができる、現像ロールおよびその製法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、軸体の外周面にゴム弾性層が形成され、このゴム弾性層の外周に、直接または他の層を介して表層が形成されてなる現像ロールであって、上記表層が、下記の(A)成分からなるマトリックス中に、下記の(B)成分からなる導電性ポリマー粒子が微分散した塗膜からなり、かつ、上記表層塗膜中に存在する導電性ポリマーのドープ率が、10mol%以下である現像ロールを第1の要旨とする。
(A)ウレタン系樹脂。
(B)下記のモノマー(a)を重合してなるπ電子共役系ポリマーを、下記のドーパント(b)によりドープしてなる溶剤不溶の導電性ポリマーであって、上記導電性ポリマーのメジアン径が0.5〜6.0μmの範囲である。
(a)アニリン。
(b)ジノニルナフタレンスルホン酸。
また、本発明は、上記現像ロールの製法であって、軸体の外周面に形成したゴム弾性層の外周に、直接または他の層を介して、上記(A)および(B)成分を含有する導電性組成物を塗布して塗膜を形成し、これに対して加熱処理する工程を備えた現像ロールの製法を第2の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、トナーに対する荷電性能の向上およびトナーストレスの低減を図ることができ、湿熱環境下に長期放置した場合の電気抵抗の経時変化を抑制することができる現像ロールを得るため、鋭意研究を重ねた。そして、上記特許文献1,2に記載の現像ロールを用いて、その原因を究明するため実験を続けたところ、現像ロールを湿熱環境下に長期放置すると、湿熱環境下での水分や熱等によって、導電性ポリマー中のドープ剤が外れる等により、電気抵抗が上昇するという現象が生じることを突き止めた。そこで、表層塗膜中の導電性ポリマーを中心に研究を続けたところ、表層塗膜形成時には、充分ドーピングされ分散性に富んだ導電性ポリマーを用いて表層塗膜を形成し、その後、加熱処理等により脱ドープして、表層塗膜に存在する導電性ポリマーのドープ率を10mol%以下にまで低減すると、所期の目的を達成できることを見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明の現像ロールは、表層塗膜中に存在する導電性ポリマーが、脱ドープされて、ドープ率が予め低く設定されているため、湿熱環境下に長期放置した場合でも、水分や熱等によって、導電性ポリマー中のドープ剤の外れ等が生じにくくなる。そのため、電気抵抗の経時変化を抑制することができる。
このように、本発明の現像ロールは、表層塗膜形成時には、充分ドーピングされ分散性に富んだ導電性ポリマーを用いて表層塗膜が形成され、塗膜形成後の加熱処理等により、ドープ率が10mol%以下にまで低減された導電性ポリマーが、表層塗膜に存在している。そのため、本発明の現像ロールを湿熱環境下に長期放置しても、水分や熱等によって、導電性ポリマー中のドープ剤の外れ等が生じにくく、電気抵抗の経時変化を抑制することができる。そして、本発明では、特定のモノマーを重合してなるπ電子共役系ポリマーと、特定のドーパントとを組み合わせて用いるため、導電性ポリマーのメジアン径を小さくすることができる。そのため、ウレタン系樹脂からなる柔らかいマトリックス中に、上記導電性ポリマー粒子が微分散するようになり、マトリックスの柔らかさが生かされ、硬質な導電性ポリマーによるマトリックスの硬化が生じることがない。すなわち、導電性ポリマーがマトリックス中に微分散することなく、マトリックス中に溶融している場合には、導電性ポリマーの硬さによりマトリックス全体も硬くなるため、トナーに対する帯電性能の向上や、トナーストレス等を低減することができないが、本発明では、それを達成することができる。また、本発明では、分散剤の役割をするドーパントで充分にドーピングされた導電性ポリマーを用いるため、ウレタン系樹脂からなるマトリックス中で導電性ポリマー粒子の分散性が向上する。
また、上記表層のマルテンス硬度が90N/mm2 以下であると、トナーストレスによるトナー付着やトナー荷電不均一性が抑制される。
また、上記(B)成分の導電性ポリマーの配合量が、上記(A)成分のウレタン系樹脂100重量部に対して、1〜10重量部の範囲であると、上記表層のマルテンス硬度を90mN/mm2 以下に調整しやすくなる。
そして、上記加熱処理の条件が、塗布前の上記(A)および(B)成分を含有する導電性組成物における(B)成分の導電性ポリマーのドープ率が10mol%を超える場合、150℃〜240℃×30〜120分の範囲とすると、導電性ポリマーの脱ドープ化が容易となり、ドープ率を10mol%以下に調整しやすくなる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の現像ロールは、例えば、図1に示すように、軸体1の外周面にゴム弾性層2が形成され、このゴム弾性層2の外周面に表層3が形成されて構成されている。
本発明では、上記表層3が、下記の(A)成分からなるマトリックス中に、下記の(B)成分からなる導電性ポリマー粒子が微分散した塗膜からなり、かつ、上記表層3塗膜中に存在する導電性ポリマーのドープ率が、10mol%以下であって、これらが最大の特徴である。
(A)ウレタン系樹脂。
(B)下記のモノマー(a)を重合してなるπ電子共役系ポリマーを、下記のドーパント(b)によりドープしてなる溶剤不溶の導電性ポリマーであって、上記導電性ポリマーのメジアン径が0.5〜6.0μmの範囲である。
(a)アニリン。
(b)ジノニルナフタレンスルホン酸。
ここで、本発明において、微分散とは、ウレタン系樹脂(A成分)からなるマトリックス中に、前記メジアン径の導電性ポリマー粒子が略均一に分散していることをいう。
また、本発明において、上記π電子共役系ポリマーとは、単結合と多重結合とが交互に連なったポリマーを意味する。
また、本発明において、溶剤不溶とは、上記特定の導電性ポリマー(B成分)が、メチルエチルケトン(MEK)等の有機溶剤に溶解しないことをいう。
本発明の現像ロールに用いる上記軸体1としては、例えば、金属製の中空体や中実体等があげられる。そして、その材質としては、ステンレス、アルミニウム等があげられる。なお、上記軸体1の外周面には、ゴム弾性層2との接着性を高めるため、必要に応じて、接着剤、プライマー等を塗布してもよく、また上記接着剤、プライマー等は必要に応じて導電化してもよい。
上記軸体1の外周面に形成されるゴム弾性層2の形成材料(弾性層用材料)としては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ポリウレタン系エラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)等のベースポリマーが用いられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、柔軟性の点から、シリコーンゴムが好ましい。
なお、上記弾性層用材料には、上記シリコーンゴム等のベースポリマーに加えて、導電剤、加硫剤、加硫促進剤、滑剤、助剤等を必要に応じて適宜に配合しても差し支えない。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、チタン酸カリウム、酸化鉄、導電性酸化チタン(c−TiO2 )、導電性酸化亜鉛(c−ZnO)、導電性酸化錫(c−SnO2 )、第四級アンモニウム塩等があげられる。
また、上記加硫剤としては、例えば、硫黄等があげられ、加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(CZ)等があげられ、滑剤としては、例えば、ステアリン酸等があげられ、助剤としては、例えば、亜鉛華(ZnO)等があげられる。
つぎに、上記ゴム弾性層2の外周面に形成する表層3の形成材料(表層用材料)としては、ウレタン系樹脂(A成分)と、特定の導電性ポリマー(B成分)とを含有する導電性組成物が用いられる。
上記ウレタン系樹脂(A成分)は、非共役系ポリマーであり、バインダーポリマーとして使用される。上記ウレタン系樹脂(A成分)としては、例えば、エーテル系,エステル系,カーボネート系,アクリル系,脂肪族系等のウレタン系樹脂や、それにシリコーン系ポリオールまたはフッ素系ポリオールを共重合させたもの等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なお、上記ウレタン系樹脂(A成分)は、分子構造中にウレア結合またはイミド結合を有するものであってもよい。
上記ウレタン系樹脂(A成分)の含有量は、トナーに対する荷電性能の向上や,トナーストレスの低減の点から、導電性組成物(表層用材料)全体の50〜99重量%の範囲が好ましく、特に好ましくは60〜98重量%の範囲である。
また、上記ウレタン系樹脂(A成分)の数平均分子量(Mn)は、低硬度と低へたりの両立の点から、500〜2,000,000の範囲が好ましく、特に好ましくは2,000〜800,000の範囲である。
つぎに、上記ウレタン系樹脂(A成分)とともに用いられる特定の導電性ポリマー(B成分)は、下記のモノマー(a)を重合してなるπ電子共役系ポリマーを、下記のドーパント(b)によりドープしてなる溶剤不溶のポリマーである。
上記モノマー(a)としては、アニリンが用いられる。
また、上記モノマー(a)を重合してなるπ電子共役系ポリマーを、ドープするドーパント(b)としては、分散粒径制御性の点から、ジノニルナフタレンスルホン酸が用いられる。
本発明において、上記導電性ポリマー(B成分)のメジアン径は、0.5〜6.0μmの範囲に設定されている必要があり、トナー荷電均一性とトナー付着抑制の両立の点から、好ましくは0.6〜2.0μmの範囲である。すなわち、上記導電性ポリマー(B成分)のメジアン径が小さすぎると、現像ロールの耐かぶり性が劣り、逆に上記メジアン径が大きすぎると、同様に、現像ロールの耐かぶり性が劣るからである。
上記メジアン径は、例えば、つぎのようにして測定することができる。すなわち、上記導電性ポリマー(B成分)と、メチルエチルケトン(MEK)とを、導電性ポリマー/MEK=1/9(質量比)の割合で混合し、充分ミル分散(120〜240分間)して、導電性ポリマー分散MEK溶液を調製する。つぎに、得られた導電性ポリマー分散MEK溶液について、粒度分布測定装置を用いて粒度分布測定を行うことにより、導電性ポリマーのメジアン径(平均粒径)を測定することができる。
また、本発明においては、上記表層3塗膜中に存在する導電性ポリマー(B成分)のドープ率は、10mol%以下であり、下記に述べるように、電気抵抗の経時的変化の抑制という点から、0.1〜10mol%の範囲が好ましく、特に好ましくは0.2〜8mol%の範囲である。すなわち、上記表層3塗膜中に存在する導電性ポリマー(B成分)のドープ率が大きすぎると、現像ロールを、湿熱環境下に長期放置した場合に、水分や熱等によって、導電性ポリマー中のドープ剤が外れる等により、電気抵抗が上昇するからである。
上記ドープ率は、例えば、つぎのようにして測定することができる。すなわち、イオンクロマトグラフィー法により、導電性ポリマー(B成分)中のドーパントを構成する塩素元素量,硫黄元素量を測定し、その測定値からドープ率を算出する。そして、塩素元素および硫黄元素の双方が検出される場合は、両者の和をドープ率とする。なお、導電性ポリマー(B成分)の重合反応を円滑に行うため、pH調整用の溶媒として、塩酸を用いる場合には、この溶媒も結果的にはドーパンとして機能する。したがって、この場合は、溶媒として用いた塩素元素量も含めてドープ率を算出する。
上記特定の導電性ポリマー(B成分)は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、π電子共役系ポリマーを構成するモノマー(a)と、ドーパント(b)と、必要に応じて溶媒とをフラスコ等の容器中に入れ、所定温度(通常、5〜10℃)に制御しながら、酸化剤(開始剤)を所定時間(通常、1時間)かけて滴下し、所定時間(通常、10時間)酸化重合させて重合物を得る。つぎに、この重合物を水、メタノール、テトラヒドロフラン(THF)等の溶剤でそれぞれ着色がなくなるまで洗浄して、精製する。これを常温常湿雰囲気下(通常、10〜45℃×20〜80%RH)で1昼夜乾燥する。また、乾燥後、必要に応じて、乾燥オーブン等にて所定の条件で乾燥処理する。この加熱処理を行うことにより、メジアン径が0.5〜6.0μmの範囲に制御される(粒径制御)。なお、上記加熱処理の温度条件によっては、上記重合時にπ電子共役系ポリマーにドープしたドーパント(b)が脱ドープ(ドープ率10mol%以下)された導電性ポリマー(B成分)が作製されることとなるが、前記ウレタン系樹脂(A成分)に対する良好な分散性という点から、この時点においては脱ドープさせ過ぎずドープ率は高い方が好ましい。
上記加熱処理の条件は、上記のように粒径制御の目的から、120〜210℃×30〜120分の範囲が好ましく、より好ましくは120〜200℃×40〜100分の範囲である。そして、上記加熱処理条件において、150℃以上に設定する、すなわち、150〜210℃×30〜120分の範囲に設定する、さらには150〜200℃×40〜100分の範囲に設定した場合は、重合時にπ電子共役系ポリマーにドープしたドーパント(b)が脱ドープ(ドープ率10mol%以下)された導電性ポリマー(B成分)が得られることとなる。ただし、上記加熱処理の温度が高くなりすぎると、導電性ポリマー粒子が成長して、メジアン径が大きくなる傾向がみられる。したがって、ウレタン系樹脂(A成分)に対する分散性を考慮した場合、脱ドープさせ過ぎない方が好ましく、加熱処理条件においても、上記温度範囲内において、低い温度設定とすることが好ましい。
また、上記溶媒としては、導電性ポリマー(B成分)の重合反応を円滑に行うため、pH調整用の溶媒として必要に応じて用いられる。上記溶媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、塩酸とメチルエチルケトン(MEK)との混合溶媒、塩酸とメチルエチルケトン(MEK)とトルエンとの混合溶媒等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
また、上記酸化剤(開始剤)としては、例えば、過硫酸アンモニウム(APS)、塩化第二鉄、過酸化水素水、過塩素酸等があげられる。
上記溶剤としては、例えば、m−クレゾール、メタノール、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶剤等があげられる。
また、上記特定の導電性ポリマー(B成分)の配合量は、上記ウレタン系樹脂(A成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して、1〜10部の範囲が好ましく、特に好ましくは2〜8部の範囲である。すなわち、上記B成分の配合量が少なすぎると、トナー荷電量が不足し、逆に上記B成分の配合量が多すぎると、現像ロール表面にトナーが付着する傾向がみられるからである。
上記特定の導電性ポリマー(B成分)の電気抵抗は、バインダーポリマーであるウレタン系樹脂(A成分)との電気抵抗差の低減の点から、1×102 〜1×109 Ω・cmの範囲が好ましく、特に好ましくは1×103 〜1×108 Ω・cmの範囲である。
なお、上記電気抵抗は、例えば、つぎのようにして測定することができる。すなわち、内径1cmの絶縁〔ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製〕円筒を準備し、その中に導電性ポリマー(B成分)0.2gを入れ、この絶縁円筒の上下からSUS製の棒で10MPaの荷重をかけた状態で挟み、25℃×50%RHの環境下、1Vでの電気抵抗を測定する。
なお、上記表層用材料(導電性組成物)には、上記ウレタン系樹脂(A成分)および特定の導電性ポリマー(B成分)とともに、イオン導電剤、電子導電剤、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤等を必要に応じて適宜に配合しても差し支えない。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記イオン導電剤としては、例えば、過塩素酸リチウム,第四級アンモニウム塩,ホウ酸塩等のポリマー中でイオン解離する化合物があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記イオン導電剤の配合割合は、物性や電気特性の点から、上記ウレタン系樹脂(A成分)100部に対して、0.01〜5部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜2部の範囲である。
また、上記電子導電剤としては、例えば、導電性カーボンブラック、c−ZnO(導電性酸化亜鉛)、c−TiO2 (導電性酸化チタン)、c−SnO2 (導電性酸化錫)、グラファイト等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記電子導電剤の配合割合は、物性や電気特性の点から、上記ウレタン系樹脂(A成分)100部に対して、1〜80部の範囲が好ましく、特に好ましくは3〜60部の範囲である。
上記架橋剤としては、例えば、イソシアネート、ブロックイソシアネート等があげられる。
上記架橋剤の配合割合は、物性、粘着、液保管性の点から、上記ウレタン系樹脂(A成分)100部に対して、1〜30部の範囲が好ましく、特に好ましくは3〜10部の範囲である。
また、上記架橋促進剤としては、例えば、白金化合物、スルフェンアミド系架橋促進剤、アミン触媒、ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤等があげられる。
つぎに、本発明の現像ロールの製法について説明する。前記図1に示した本発明の現像ロールは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、前記ゴム弾性層用材料となる各成分をニーダー等の混練機を用いて混練し、弾性層用材料を調製する。また、前記表層用材料となる各成分をロール等の混練機を用いて混練し、この混合物に有機溶剤を加えて混合、攪拌することにより、表層用材料(導電性組成物)を調製する。つぎに、軸体1となる芯金をセットした射出成形用金型内に、上記弾性層用材料を充填し、所定の条件で加熱架橋を行う。その後、脱型して、軸体1の外周面に沿ってゴム弾性層2が形成されてなるベースロールを製造する。つぎに、上記ベースロールの外周面に、上記表層用材料(導電性組成物)を塗布した後、乾燥処理(通常、100℃×30分程度)を行うことにより表層塗膜を形成する。つぎに、これに対して、加熱処理を行うことにより、上記表層3塗膜中に存在する導電性ポリマー(B成分)のドープ率を10mol%以下である現像ロール、すなわち、ゴム弾性層2の外周面に表層3が形成されてなる2層構造の現像ロール(図1参照)を作製することができる。このようにして得られる本発明の現像ロールの表層3は、ウレタン系樹脂(A成分)からなるマトリックス中に、導電性ポリマー粒子が微分散してなる塗膜から構成されている。
上記表層塗膜に対する加熱処理の条件は、上記表層用材料(導電性組成物)を塗布する前の導電性組成物中の導電性ポリマー(B成分)のドープ率によって、下記の二通りの条件(a),(b)に設定されることとなる。すなわち、前述の導電性ポリマー(B成分)の製造時における加熱処理の温度条件が、150℃以上となる高い温度の場合は、導電性ポリマー(B成分)重合時に脱ドープされ、そのドープ率が、表層用材料の段階(塗布前)で、10mol%以下となることから、下記の条件(a)に設定される。一方、前述の導電性ポリマー(B成分)の製造時における加熱処理の温度条件が、150℃未満の場合は、導電性ポリマー(B成分)重合時に充分に脱ドープされておらず、そのドープ率が、表層用材料の段階(塗布前)で、10mol%を超えることから、下記の条件(b)に設定される。なかでも、上記加熱条件においては、先に述べたように、前記ウレタン系樹脂(A成分)に対する良好な分散性という点から、導電性ポリマー(B成分)の製造段階においては脱ドープさせ過ぎずドープ率は高い方が好ましいことから、下記の条件(b)に設定されることが好ましい。
(a)上記表層塗膜に対する加熱処理の条件は、100℃〜240℃×30〜120分の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは110〜130℃×40〜100分の範囲である。
(b)上記表層塗膜に対する加熱処理の条件は、150℃〜240℃×30〜120分の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは150〜200℃×40〜100分の範囲である。このような加熱処理の条件に設定することにより、導電性ポリマー(B成分)にて充分な脱ドープが生じ、そのドープ率が10mol%以下となる。すなわち、上記条件(b)において、加熱処理が不充分であると、脱ドープが生じにくく、ドープ率が高くなりすぎる。そのため、現像ロールを、湿熱環境下に長期放置すると、水分や熱等によって、導電性ポリマー中のドープ剤が外れる等により、電気抵抗が上昇する傾向がみられるからである。逆に加熱処理が過剰であると、バインダーポリマーの熱分解により、物性が悪化する傾向がみられるからである。
なお、上記ゴム弾性層2の形成方法は、射出成形法に限定されるものではなく、注型成形法やプレス成形後、研磨する方法により作製しても差し支えない。また、上記表層用材料の塗布方法としては、例えば、ディッピング法、スプレーコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り等があげられる。
また、上記表層用材料の調製に使用する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、テトラヒドロフラン(THF)、m−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
本発明の現像ロールは、前記図1に示したような、ゴム弾性層2の外周面に表層3を直接形成した2層構造に限定するものではなく、ゴム弾性層2の外周面に、少なくとも1つの中間層を介して表層3を形成した3層以上の構造であっても差し支えない。
本発明の現像ロールにおいては、トナーストレス低減の点から、表層3のマルテンス硬度は90N/mm2 以下が好ましく、特に好ましくは0.5〜50N/mm2 の範囲である。
そして、上記マルテンス硬度は、例えば、マイクロビッカース法に準じて測定することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、導電性ポリマーを作製した。
〔導電性ポリマーAの作製(実施例用)〕
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるアニリン1モル(93g)と、ドーパントであるジノニルナフタレンスルホン酸1モル(460g)と、1N塩酸とMEKとの混合溶媒〔塩酸/MEK=1/2(重量比)〕3000mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である過硫酸アンモニウム1モル(228g)を1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンで洗浄して精製し、導電性ポリマーを作製した。これを常温常湿雰囲気下(20℃×50%RH)で1昼夜乾燥した。この導電性ポリマーのメジアン径を、上記の基準に従い測定した結果、メジアン径は5.0μmであった。
〔メジアン径〕
上記導電性ポリマーと、メチルエチルケトン(MEK)とを、導電性ポリマー/MEK=1/9(質量比)の割合で混合し、60分間ミル分散して、導電性ポリマー分散MEK溶液を調製した。つぎに、得られた導電性ポリマー分散MEK溶液について、粒度分布測定装置(日機装社製、マイクロトラック粒度分布測定装置HRA X−100)を用いて粒度分布測定を行い、導電性ポリマーのメジアン径(平均粒径)を測定した。
〔導電性ポリマーBの作製(実施例用)〕
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるアニリン1モル(93g)と、ドーパントであるジノニルナフタレンスルホン酸1モル(460g)と、1N塩酸とMEKとの混合溶媒〔塩酸/MEK=1/2(重量比)〕3000mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である過硫酸アンモニウム1モル(228g)を1時間かけて滴下し、4時間酸化重合させて重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンで洗浄して精製し、導電性ポリマーを作製した。これを常温常湿雰囲気下(20℃×50%RH)で1昼夜乾燥した後、乾燥オーブン(エスペック社製、パーフェクトオーブンPVH−331)にて120℃×60分乾燥した。この導電性ポリマーのメジアン径を、上記の基準に従い測定した結果、メジアン径は0.5μmであった。
〔導電性ポリマーCの作製(実施例用)〕
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるアニリン1モル(93g)と、ドーパントであるジノニルナフタレンスルホン酸1モル(460g)と、1N塩酸とMEKとの混合溶媒〔塩酸/MEK=1/2(重量比)〕3000mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である過硫酸アンモニウム1モル(228g)を1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンで洗浄して精製し、導電性ポリマーを作製した。これを常温常湿雰囲気下(20℃×50%RH)で1昼夜乾燥した後、乾燥オーブン(エスペック社製、パーフェクトオーブンPVH−331)にて210℃×120分乾燥した。この導電性ポリマーのメジアン径を、上記の基準に従い測定した結果、メジアン径は6.0μmであった。
〔導電性ポリマーDの作製(比較例用)〕
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるアニリン1モル(93g)と、ドーパントであるジノニルナフタレンスルホン酸1モル(460g)と、1N塩酸とMEKとの混合溶媒〔塩酸/MEK=1/2(重量比)〕3000mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である過硫酸アンモニウム1モル(228g)を1時間かけて滴下し、2時間酸化重合させて重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンで洗浄して精製し、導電性ポリマーを作製した。これを常温常湿雰囲気下(20℃×50%RH)で1昼夜乾燥した後、乾燥オーブン(エスペック社製、パーフェクトオーブンPVH−331)にて120℃×60分乾燥した。この導電性ポリマーのメジアン径を、上記の基準に従い測定した結果、メジアン径は0.2μmであった。
〔導電性ポリマーEの作製(比較例用)〕
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるアニリン1モル(93g)と、ドーパントであるジノニルナフタレンスルホン酸1モル(460g)と、1N塩酸とMEKとの混合溶媒〔塩酸/MEK=1/2(重量比)〕3000mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である過硫酸アンモニウム1モル(228g)を1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンで洗浄して精製し、導電性ポリマーを作製した。これを常温常湿雰囲気下(20℃×50%RH)で1昼夜乾燥した後、乾燥オーブン(エスペック社製、パーフェクトオーブンPVH−331)にて240℃×240分乾燥した。この導電性ポリマーのメジアン径を、上記の基準に従い測定した結果、メジアン径は7.0μmであった。
〔導電性ポリマーaの作製(比較例用)〕
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるアニリン1モル(93g)と、ドーパントである1N塩酸1500mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である過硫酸アンモニウム1モル(228g)を1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノールで洗浄して精製し、導電性ポリマーを作製した。これを常温常湿雰囲気下(20℃×50%RH)で1昼夜乾燥した。上記導電性ポリマーのメジアン径を下記の基準に従い測定した結果、メジアン径は30μmであった。
〔導電性ポリマーbの作製(比較例用)〕
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるアニリン1モル(93g)と、ドーパントであるカンファースルホン酸1モル(232g)と、1N塩酸とMEKとの混合溶媒〔塩酸/MEK=1/2(重量比)〕3000mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である過硫酸アンモニウム1モル(228g)を1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンで洗浄して精製し、導電性ポリマーを作製した。これを常温常湿雰囲気下(20℃×50%RH)で1昼夜乾燥した。この導電性ポリマーのメジアン径を、上記の基準に従い測定した結果、メジアン径は18μmであった。
〔導電性ポリマーcの作製(比較例用)〕
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるアニリン1モル(93g)と、ドーパントであるドデシルベンゼンスルホン酸1モル(326g)と、1N塩酸とMEKとの混合溶媒〔塩酸/MEK=1/2(重量比)〕3000mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である過硫酸アンモニウム1モル(228g)を1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンで洗浄して精製し、導電性ポリマーを作製した。これを常温常湿雰囲気下(20℃×50%RH)で1昼夜乾燥した。この導電性ポリマーのメジアン径を、上記の基準に従い測定した結果、メジアン径は12μmであった。
〔導電性ポリマーdの作製(比較例用)〕
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるアニリン1モル(93g)と、ドーパントである下記の構造式(1)で表されるアルキルベンゼンスルホン酸1モル(438g)と、1N塩酸とMEKとの混合溶媒〔塩酸/MEK=1/2(重量比)〕3000mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である過硫酸アンモニウム1モル(228g)を1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンで洗浄して精製し、導電性ポリマーを作製した。これを常温常湿雰囲気下(20℃×50%RH)で1昼夜乾燥した。この導電性ポリマーのメジアン径を、上記の基準に従い測定した結果、メジアン径は8.0μmであった。
Figure 2010008704
つぎに、上記導電性ポリマーを用いて表層用材料(導電性組成物)を調製し、現像ロールを作製した。
〔実施例1〕
(ゴム弾性層用材料の準備)
カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AB)を準備した。
〔表層用材料(導電性組成物)の調製〕
後記の表1に示すように、導電性ポリマーAを2部と、熱可塑性ポリウレタン(TPU)100部とを、メチルエチルケトン(MEK)400mlに溶解した後、これに導電剤であるカーボンブラック12部を配合し、これらを三本ロールを用いて混練することにより、導電性組成物(コーティング液)を調製した。
(現像ロールの作製)
軸体である芯金(直径6mm、SUS304製)をセットした成形用金型内に、上記ゴム弾性層用材料を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して、軸体の外周面に沿ってゴム弾性層を形成した。つぎに、このゴム弾性層の外周面に、上記表層用材料(導電性組成物)をコーティングにより塗布した後、乾燥(100℃×30分)して表層塗膜を形成した。つぎに、この表層塗膜に対して、加熱処理(185℃×60分)を行った。このようにして、軸体の外周面にゴム弾性層(厚み3mm)が形成され、その外周面に表層(厚み20μm)が形成されてなる現像ロールを作製した。
〔実施例2〜4、比較例1〜7〕
下記の表1および表2に示すように、各成分の種類および配合割合等を変更する以外は、実施例1に準じて、表層用材料(導電性組成物)を調製した。そして、この表層用材料(導電性組成物)を用いて、下記の表1および表2に示すように、熱処理条件を変更する以外は実施例1に準じて現像ロールを作製した。
Figure 2010008704
Figure 2010008704
なお、上記表1および表2に示した材料は下記のとおりである。
〔カーボンブラック〕
電気化学工業社製、デンカブラックHS100
〔熱可塑性ポリウレタン(TPU)〕
日本ミラクトラン社製、E980
このようにして得られた実施例および比較例の現像ロールを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を上記表1および表2に併せて示した。
〔ブローオフトナー荷電量〕
ブローオフ法に基づき、負帯電極性トナー用標準キャリア〔N−01(日本画像学会製)〕2gに、前記表層用材料である導電性組成物(コーティング液)をコートし、上記ロール作製と同様の条件にて加熱処理したものと、負帯電標準トナー〔N20(日本画像学会製)〕0.1gとを、25ccのガラスビン中に入れ、充分に混合した後、0.05gの試料を採取し、150メッシュのステンレススクリーンを有する測定容器に入れて、窒素ガス流量0.098MPa、流入時間60秒の条件にてブローオフ帯電量測定機(東芝ケミカル社製、TB−200)にて測定した。
〔マルテンス硬度〕
前記表層用材料である導電性組成物(コーティング液)を用い、厚み50μmのシート状塗膜とし、上記ロール作製と同様の条件にて加熱処理した試料を、H.Fischer社製フィッシャー・スコープ(H100)を用いて、押込み荷重1mNの条件で測定した。
〔ドープ率〕
上記マルテンス硬度測定用に作製した試料を準備し、イオンクロマトグラフィーシステムICS−3000(ダイオネクス社製)を用いてイオンクロマトグラフィー法により、測定対象中のドーパントを構成する塩素元素量、硫黄元素量を測定し、前述の方法に従い、その測定値からドープ率を算出した。
〔耐かぶり性〕
各現像ロールをカラーレーザープリンターに組み込み、実際に画像出しを行った。そして、画出し中に評価用マシンを強制停止させ、白地部分における感光ドラムへのトナー飛翔量を、テープ転写による濃度比較(マクベス濃度計により測定)により実施した。評価は、6000枚複写後(6K後)について行い、測定値が0.1未満のものを○、0.1〜0.25のものを△、0.25を超えるものを×とした。
〔画像濃度変化〕
各現像ロールをカラーレーザープリンターに組み込み、40℃×95%RHの条件下にて、初期と、30日間放置後の各べた黒画像について測定・評価した。そして、評価は、べた黒画像におけるマクベス濃度差が0.1未満のものを○、マクベス濃度差が0.1以上のものを×とした。
〔電気抵抗〕
各現像ロールをカラーレーザープリンターに組み込み、40℃×95%RHの条件下、初期と、30日間放置後の電気抵抗を、SRIS 2304に準じて測定した。なお、電気抵抗は、100Vの電圧を印加した時を測定した。
上記結果から、実施例品はいずれも、所定のメジアン径で脱ドープした導電性ポリマーを用いるため、耐かぶり性が良好で、画像濃度変化がなく、電気抵抗の経時変化を抑制することができた。
これに対して、比較例1〜4品は、導電性ポリマーのメジアン径が大きすぎるため、耐かぶり性が劣っており、比較例5品は、導電性ポリマーのメジアン径が小さすぎるため、耐かぶり性が劣っていた。また、比較例6品は、導電性ポリマーのメジアン径が大きすぎるため、同様に、耐かぶり性が劣っていた。そして、比較例7品は、導電性ポリマーのドープ率が大きすぎるため、画像濃度が変化し、電気抵抗の経時変化も大きかった。
本発明の現像ロールは、複写機やレーザービームプリンター(LBP)等の電子写真機器(OA機器)に用いることができる。
本発明の現像ロールの一例を示す断面図である。
符号の説明
1 軸体
2 ゴム弾性層
3 表層

Claims (6)

  1. 軸体の外周面にゴム弾性層が形成され、このゴム弾性層の外周に、直接または他の層を介して表層が形成されてなる現像ロールであって、上記表層が、下記の(A)成分からなるマトリックス中に、下記の(B)成分からなる導電性ポリマー粒子が微分散した塗膜からなり、かつ、上記表層塗膜中に存在する導電性ポリマーのドープ率が、10mol%以下であることを特徴とする現像ロール。
    (A)ウレタン系樹脂。
    (B)下記のモノマー(a)を重合してなるπ電子共役系ポリマーを、下記のドーパント(b)によりドープしてなる溶剤不溶の導電性ポリマーであって、上記導電性ポリマーのメジアン径が0.5〜6.0μmの範囲である。
    (a)アニリン。
    (b)ジノニルナフタレンスルホン酸。
  2. 上記表層のマルテンス硬度が90N/mm2 以下である請求項1記載の現像ロール。
  3. 上記表層塗膜中に存在する導電性ポリマーが、加熱処理のなされたものである請求項1または2記載の現像ロール。
  4. 上記(B)成分の導電性ポリマーの配合量が、上記(A)成分のウレタン系樹脂100重量部に対して、1〜10重量部の範囲である請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像ロール。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像ロールの製法であって、軸体の外周面に形成したゴム弾性層の外周に、直接または他の層を介して、上記(A)および(B)成分を含有する導電性組成物を塗布して塗膜を形成し、これに対して加熱処理する工程を備えたことを特徴とする現像ロールの製法。
  6. 上記加熱処理の条件が、塗布前の上記(A)および(B)成分を含有する導電性組成物における(B)成分の導電性ポリマーのドープ率が10mol%を超える場合、150℃〜240℃×30〜120分の範囲である請求項5記載の現像ロールの製法。
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