JP2010008213A - ワイヤロープ損傷検出器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】走行するワイヤロープWを磁化する励磁器と、ワイヤロープから漏れる磁束の電圧変化を検知するための検出コイル4と、検出コイルの電圧変化を測定する測定器を備えた開閉自在な一対の半円筒状のワイヤロープ損傷検出器において、対をなす前記検出コイルがそれぞれ中央部に長手方向に走るスリット8を有した薄層コイルからなり、薄層コイルはロープを囲むべく厚さ方向で円弧状40をなすとともに、合わせ部42を構成すべく長手方向両端部が直角状に折り曲げられ、その折曲げ部分41に前記スリットの端部が存している。
【選択図】図2
Description
かかる動索にはシーブでの繰り返し曲げや引っ張り荷重によるワイヤロープ素線の疲労断線、シーブとの摩擦や素線同士の強擦による局部磨耗等の損傷が発生するため保安上、定期的に断線や磨耗の有無を検査する必要がある。
従来からこのような使用中のワイヤロープの損傷検査は目視点検により行われているが、多大な労力と時間がかかり、しかも内部断線については検出できないという重大な欠点があるので、近年内部断線の検出が可能な電磁探傷法が併用されつつある。
磁束漏洩法は、ワイヤロープを磁化する磁化器、磁束を検出する検出コイル、信号を処理する制御器などで構成され、磁化器に設けた永久磁石でワイヤロープを磁化してワイヤロープ長手方向に磁束を通し、ワイヤロープの移動とともに断線や局部磨耗部分に発生する漏洩磁束が検出コイルと鎖交することで生ずる検出コイルの電圧変化を検出し、検波、増幅等の信号処理を施して探傷信号とするものである。
このノイズが実際の断線や磨耗により漏洩した磁束の量に合算されS/N比を悪化させているため損傷程度の判断の障害になっている。
図1と図2は本発明にかかるワイヤロープ損傷検出器の一実施例を示しており、蝶番1で連結され、開閉自在な一対の半円筒状フレーム2の両端にワイヤロープを磁化するための磁石21と、検出コイルを取り付けるステンレスケース3と、ステンレスケース内部に配置された検出コイル4から構成されている。
前記検出コイル4は、開閉自在な一対の半円筒状フレーム2に対応して横断方向では、図2(a)のように対をなしている。また、縦断方向では第1の検出コイル4Aと第2の検出コイル4Bをワイヤロープ長手方向に並列に配置して構成されている。
一般にセンサコイルの巻き数がN回であれば、得られる電圧は巻き数Nに比例する。コイルの表面で、巻き数Nが有効なエリアは、図3に示すコイル中央の細長い隙間(スリット)部8となる。
図3においてコイル(巻き数N)の中央部の白で示す隙間(スリット部8)を磁束が通過する場合、検出電圧はコイルの巻き数Nに比例する。一方、スリット部以外の部分、例えばスリットの端部とコイルの端縁の在る点を磁束が通過する場合、その点よりも外側のコイルの巻き数が電圧の比例係数となるため、その係数に比例して検出電圧が低下する。
好適な例を挙げると、銅線径50ミクロン、巻き数300回、長さ26mm、幅3mm、厚さ0.5mmである。
そして、円弧加工及び端部曲げ加工を行い、図4に示すように円弧部40と左右の折り曲げ部41,41を得る。この時に、折り曲げ部41,41は、始点42がスリット8の円弧状の端縁80よりもできるだけ離れた位置で、しかも円弧部40に対して直角状であることが好ましい。始点42は言い換えると合わせ目であり、曲げアールがゼロに近いことがわかる。
組み立て作業上は、検出コイル4はワイヤロープを囲むように接着剤で内側ステンレスケース32に密着させ、その内側ステンレスケース32と外側ステンレスケースを溶接部で溶接一体化し、ステンレスケース3を構成する。
この結果、ワイヤロープ表面と長方形のスリットの距離が変化し、ワイヤロープ表面に長方形のスリットが臨まず、スリット端末部がワイヤロープ表面に面して存在することになり、正確なスリットを通過する磁束が減少し正確な電圧を得ることができず、ノイズの原因になる。
この配線方法の採用により信号のノイズ成分を低く抑えることが可能である。
図5では、同一方向に巻いた薄層コイルを複数直列接続して第1の検出コイル4Aとし、第1の検出コイル4Aを構成する薄層コイルの巻き方向と逆方向に巻いた薄層コイルを複数直列接続して第2の検出コイル4Bとしている。
このように縦方向に並ぶコイルの巻き方向を揃え、横方向に並ぶコイルは逆方向に接続することにより,ロープの撚りに伴う表面凹凸から拾われるノイズ信号を平坦化することが可能となる。
ワイヤロープの損傷程度を診断するための測定系は図6のごとくであり、シーブ131を走行するワイヤロープWとワイヤロープの診断箇所を記録するロータリーエンコーダ132と、素線断線による漏洩磁束を捕捉する損傷検出器Aとロータリーエンコーダ132と損傷検出器Aからの電気信号を制御する制御器133と、測定データを表示する波形表示器134からなる。損傷検出器Aのリードは制御器133に接続される。
本実施例に使用した薄層コイルは、直径は0.005mmの銅線をトラック形状に300回巻いたもので、サイズは厚さ1mm、幅7mm、長さ26mmである。薄層コイル中央に位置するスリット8は厚さ1mm、幅1mm、長さ19mmの長方形状のスリットで、端末は半円形状となっている。検出コイル4は図2(a)のように2個の前記薄層コイルを直列接続して第1の検出コイルとし、第1の検出コイル4Aと第2の検出コイル4Bを並列接続している。
図7(a)はワイヤロープWの素線1本の切断位置を示し、符号bは断線箇所を示している。(b)は断線箇所bが検出コイルの円弧中央部を通過することを示す。(c)は断線箇所bが損傷検出器の検出コイルの合わせ目付近を通過することを示している。
比較のため、図8のように太い銅線を使用してコイル厚さを4mmと厚く製作した。この場合、折り曲げ部は直角状には加工不可能で、円弧部の両端にこれよりも大きな曲率で広がる加工しかできなかった。この従来型の検出コイルに本発明と同じように断線箇所bを位置させて探傷してみた。
図10(a)は従来型の探傷器の検出コイルの円弧中央部に断線箇所bを通過したときの測定値をグラフ表示したもので、S/N比は2.0、(b)は探傷器の検出コイルの合わせ目付近を通過したときの測定値をグラフ表示したもので、S/N比は1.0である。
第1実施例の薄層コイルを標準コイルとして使用し、測定するワイヤロープ直径が太くなれば薄層コイルの数を増し、90度ごとあるいは120度ごとに折り曲げ部を加工すれば良い。
21 磁石
3 ステンレスケース
32 内側ステンレスケース
4 検出コイル
4A 第1の検出コイル
4B 第2の検出コイル
7 薄層コイル
8 スリット
40 円弧部
41 折り曲げ部
42 合わせ目
Claims (3)
- 走行するワイヤロープを磁化する励磁器と、ワイヤロープから漏れる磁束の電圧変化を検知するための検出コイルと、検出コイルの電圧変化を測定する測定器を備えた開閉自在な一対の半円筒状のワイヤロープ損傷検出器において、対をなす前記検出コイルがそれぞれ中央部に長手方向に走るスリットを有した薄層コイルからなり、薄層コイルはロープを囲むべく厚さ方向で円弧状をなすとともに、合わせ部を構成すべく長手方向両端部が直角状に折り曲げられ、その折曲げ部分に前記スリットの端部が存していることを特徴とするワイヤロープ損傷検出器。
- 第1の検出コイルと、第1の検出コイルを構成する薄層コイルの巻き方向と逆方向に巻いた薄層コイルで構成した第2の検出コイルを並列接続した検出コイルを並列状に配置した請求項1に記載のワイヤロープ損傷検出器。
- 同一方向に巻いた薄層コイルを複数直列接続して第1の検出コイルとし、第1の検出コイルを構成する薄層コイルの巻き方向と逆方向に巻いた薄層コイルを複数直列接続して第2の検出コイルとした請求項1に記載のワイヤロープ損傷検出器。
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