JP2010006406A - 自動充填用多室包装袋及びそれを用いた包装体の製造方法 - Google Patents

自動充填用多室包装袋及びそれを用いた包装体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多室包装袋4において、表面フィルム1側と裏面フィルム3側に形成された2つの収納部9a,9bを選択的に開口させるための吸引孔8を1箇所だけで済むようにし、表裏両フィルム1,3のピッチ合わせの手間、吸引孔8の形成に伴う製袋時の原反フィルムの取り扱い性低下、シールバーへのシーラント材の付着堆積、及び封止用の熱融着部に残される吸引孔8の跡による見栄えの低下をいずれも軽減できるようにする。
【解決手段】表面フィルム1側の収納部9aの開口幅に比して、裏面フィルム3側の収納部9b開口幅が広くなっていると共に、裏面フィルム3の開口部側の縁部にだけ、裏面フィルム3側から分割フィルム2を吸引するための吸引孔8が形成された多室包装袋4とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数の収納部を有する多室包装袋及びこの多室包装袋を用いた包装体の製造方法に関する。
従来、袋の表裏面を形成する表面フィルムと裏面フィルムとの間に、表面フィルムと裏面フィルム間の開口部を二分して分割フィルムが挟み込まれ、分割フィルムを境に、表面フィルム側と裏面フィルム側とに、それぞれ収納部が形成された袋状をなし、表面フィルム側から分割フィルムを吸引するための吸引孔(表面側吸引孔)と、裏面フィルム側から分割フィルムを吸引するための吸引孔(裏面側吸引孔)とが、表面フィルムと裏面フィルムの開口部側の縁部にそれぞれ形成された自動充填用多室包装袋と、それを用いた包装体の製造方法とが知られている(例えば、特許文献1参照)。
さらに説明すると、被包装物は、表面フィルム側と裏面フィルム側でそれぞれ動作する吸引盤で吸引し、外方へ引っ張って各収納部を開口させることで自動充填される。上記多室包装袋の表面側吸引孔と裏面側吸引孔は、この自動充填時に、2つの収納部を別々に開口させることができるようにし、自動充填時の誤充填を防止するためのものである。例えば、表面フィルム側の吸引盤を表面側吸引孔の位置に押し当てて分割フィルムを吸引させると共に、裏面フィルム側の吸引盤を裏面側吸引孔からずれた位置に押し当てて裏面フィルムを吸引させ、それぞれ外方へ引っ張ると、裏面フィルム側の収納部を開口させることができる。これとは逆に、表面フィルム側の吸引盤を表面側吸引孔からずれた位置に押し当てて表面フィルムを吸引させると共に、裏面フィルム側の吸引盤を裏面側吸引孔の位置に押し当てて分割フィルムを吸引させ、それぞれ外方へ引っ張ると、表面フィルム側の収納部を開口させることができる。
特許第3413506号公報
しかしながら、上記従来の自動充填用多室包装袋は、2つの収納部を選択的に開口するために、表面フィルムと裏面フィルムの両者に吸引孔を形成することが必要となる。このため、表面フィルムに形成した吸引孔と、裏面フィルムに形成した吸引孔が共に所定の位置になるよう調整しなければならず、両フィルムのピッチ合わせなど、製袋時の工程数が増える問題がある。また、吸引孔は、通常、原反フィルムに形成するが、吸引孔が形成されることにより原反フィルムの強度が低下し、表面フィルムと裏面フィルムのいずれの原反フィルムについても製袋時の取り扱い性が低下するという問題もある。
さらに、被包装物の充填後は、両収納部の開口部側の縁部を熱融着して封止するが、表裏両フィルムに吸引孔が形成されているので、シールバーへシーラント材などが付着堆積しやすい問題がある。また、上記熱融着は、吸引孔が熱融着部に内包されるようにして行われるが、凹部としてその跡が表裏両面に残ってしまい、得られる包装体の見栄えを悪くする問題もある。
本発明は、2つの収納部を選択的に開口させるための吸引孔を表裏いずれか1箇所だけで済むようにし、表裏両フィルムのピッチ合わせの手間、吸引孔の形成に伴う製袋時の原反フィルムの取り扱い性低下、シールバーへのシーラント材の付着堆積、及び封止用の熱融着部に残される吸引孔の跡による見栄えの低下をいずれも軽減できるようにすることを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、表裏いずれか一方に位置する一方のフィルムと、他方に位置する他方のフィルムとの間に、一方のフィルムと他方のフィルム間の開口部を二分して分割フィルムが挟み込まれ、分割フィルムを境に、一方のフィルム側と他方のフィルム側とにそれぞれ収納部が形成された袋状をなし、少なくとも開口部側の一部において、一方のフィルム側の収納部の開口幅に比して、他方のフィルム側の収納部の開口幅が広くなっていると共に、他方のフィルムの開口部側の縁部には、他方のフィルム側から分割フィルムを吸引するための吸引孔が形成されていることを特徴とする自動充填用多室包装袋を提供するものである。
上記本発明に係る自動充填用多室包装袋は、一方のフィルム、分割フィルム及び他方のフィルムの左右両側縁部がそれぞれ重ねられて側縁融着部で接合されており、この左右の側縁融着部の一方又は両者において、開口部側の少なくとも一部で、一方のフィルムと分割フィルムと他方のフィルムの三者を接合している三層融着部から、一方のフィルムと分割フィルムの二者を接合している二層融着部が袋の内側に入り込んでいること、
一方のフィルム、分割フィルム及び他方のフィルムの左右両側縁部がそれぞれ重ねられて側縁融着部で接合されており、この左右の側縁融着部の一方又は両者において、全長に亘って、一方のフィルムと分割フィルムと他方のフィルムの三者を接合している三層融着部から、一方のフィルムと分割フィルムの二者を接合している二層融着部が袋の内側に入り込んでいること、
をその好ましい態様として含むものである。
また、本発明は、上記自動充填用多室包装袋を用い、
一方のフィルムと他方のフィルムの開口部側の縁部を、一方のフィルムに対向する吸引盤と他方のフィルムに対向する吸引盤とでそれぞれ吸引して外方へ引っ張ることで、他方のフィルム側の収納部のみを開口させて被包装物を充填する工程と、
一方のフィルムの開口部側の縁部を当該一方のフィルムに対向する吸引盤で吸引すると共に、分割フィルムの開口部側の縁部を、吸引孔を介して、他方のフィルムに対向する吸引盤で吸引して、それぞれ外方へ引っ張ることで、一方のフィルム側の収納部のみを開口させて被包装物を充填する工程とを有することを特徴とする包装体の製造方法を提供するものでもある。
上記本発明の包装体の製造方法は、他方のフィルム側の収納部と、一方のフィルム側の収納部とに被包装物を充填後、開口部側の縁部を融着し、吸引孔を内包する封止融着部を形成した後、封止融着部に吸引孔を含む単一の貫通孔を吊り下げ孔として形成することをその好ましい態様として含むものである。
なお、本発明に係る包装体の製造方法において、他方のフィルム側の収納部を開口させて被包装物を充填する工程と、一方のフィルム側の収納部を開口させて被包装物を充填する工程とのいずれを先に行うかは被包装物に応じて選択すれば足る。本発明に係る包装体の製造方法において、上記両工程を有するとは、少なくとも両工程が行われることを意味し、その順番は問わない。
本発明によれば、一方のフィルム側の収納部は、一方のフィルムの開口部側の縁部を吸引すると共に、他方のフィルム側から吸引孔を介して分割フィルムの開口部側の縁部を吸引して引っ張ることで開放することができる。
一方、他方のフィルム側の収納部の開放は、一方のフィルムの開口部側の縁部と、他方のフィルムの開口部側の縁部とを吸引して引っ張ることで行うことができる。この他方のフィルム側の収納部の開放は、分割フィルムがいずれの側にも吸引されない状態で行われる。しかし、他方のフィルム側の収納部の開口幅が一方のフィルム側の開口幅より広く、他方のフィルム側の収納部の方が一方のフィルム側の収納部より開口させやすい状態となっているため、一方のフィルム側の収納部を開放させることなく、他方のフィルム側の収納部を優先的に開放することができる。
上記のように、本発明によれば、他方のフィルム側のみに吸引孔を設けることで、一方のフィルム側の収納部と、他方のフィルム側の収納部を選択的に開放することができる。したがって、表裏両フィルムのピッチ合わせの手間、吸引孔の形成に伴う原反フィルムの製袋時の取り扱い性低下、シールバーへのシーラント材の付着堆積、及び封止用の熱融着部に残される吸引孔の跡による見栄えの低下のいずをも、2つの吸引孔が必要な従来に比して1/2に軽減することができる。
以下、本発明を図面に基づいて更に説明する。なお、以下に説明する図面において、同じ符号は同様の部材又は部位を示す。
まず、図1〜図8に基づいて、本発明の第1の例に係る多室包装袋と、これを用いた本発明の包装体の製造方法の一例を説明する。
図1は本発明の第1の例に係る多室包装袋を構成するフィルムの組み合わせ状態の説明図、図2は本発明の第1の例に係る多室包装袋の斜視図、図3は本発明の第1の例に係る多室包装袋を把持具にセットした状態の斜視図、図4は本発明の第1の例に係る多室包装袋の他方のフィルム側の収納部への被包装物充填時の説明図、図5は本発明の第1の例に係る多室包装袋の他方のフィルム側の収納部を開放する時の作用の説明図、図6は本発明の第1の例に係る多室包装袋の一方のフィルム側の収納部への被包装物充填時の説明図、図7は製造された包装体の一例を示す平面図、図8は製造された包装体の他の例を示す平面図である。
図1及び図2に示されるように、本例の多室包装袋4は、一方のフィルム1、分割フィルム2及び他方のフィルム3の3枚のフィルムで構成されている。一方のフィルム1と他方のフィルム3は、多室包装袋4の表裏に位置するもので、いずれが表面でも裏面でもよいが、説明の便宜上、一方のフィルム1を袋の表面側に位置する表面フィルム、他方のフィルム3を袋の裏面側に位置する裏面フィルムとして説明する。
本例における上記表面フィルム1、分割フィルム2及び裏面フィルム3は、同種のフィルムで構成された同形同大のものとなっている。多室包装袋4は、表面フィルム1、分割フィルム2及び裏面フィルム3を、表面フィルム1と裏面フィルム3の間に分割フィルム2を挟み込んで重ね、分割フィルム2で二分された開口部7を残して、重ね合わされた周縁部の三方を熱融着した袋状をなしている。5,5は左右の側縁融着部、6は底縁融着部である。
分割フィルム2は、上記熱融着が施されていない一縁部に形成された、表面フィルム1と裏面フィルム3間の開口部7を二分しており、分割フィルム2を境にして、表面フィルム1側と裏面フィルム3側とにそれぞれ収納部9a,9bが形成されている。収納部9a,9bは、上記分割フィルム2で二分された開口部7の一方と他方である開口部7a,7bをそれぞれ有するものとなっている。裏面フィルム3の開口部7(7b)側の縁部の中央部には、裏面フィルム3側から分割フィルム2を吸引することができるよう、裏面フィルム3だけにそれを貫通する吸引孔8が形成されている。
ところで、前記側縁融着部5,5は、表面フィルム1と分割フィルム2と裏面フィルム3の三者を接合した三層融着部5b,5bと、表面フィルム1と分割フィルム2の二者を接合した二層融着部5a,5aとで構成されている。そして、本例の多室包装袋4は、左右の両側縁融着部5,5において、全長に亘って、二層融着部5a,5aが三層融着部5b,5bより袋の内側に入り込んでいる。その結果、表面フィルム1側の収納部9aの開口幅に比して裏面フィルム3側の収納部9bの開口幅が広くなっている。このような開口幅とすることで、後述するように、裏面フィルム3側の収納部9bを開放する時に、表面フィルム1側から分割フィルム2を吸引しなくても、表面フィルム1側の収納部9aを開放させることなく、裏面フィルム3側の収納部9bを優先的に開放することができる。
本例においては、左右両側縁融着部5,5において、二層融着部5a,5aが三層融着部5b,5bより袋の内側に入り込んでいるが、いずれか一方の側縁融着部5のみにおいて、二層融着部5aが三層融着部5bより袋の内側に入り込んでいるものとすることもできる。
本発明の多室包装袋4を構成する表面フィルム1、分割フィルム2及び裏面フィルム3としては、合成樹脂の単層又は積層フィルムを用いることができる。積層フィルムとしては、合成樹脂層同士を積層したものの他、合成樹脂層と、金属その他の無機物層や紙層などとを積層したものでもよい。
本例の多室包装袋4は、表面フィルム1と分割フィルム2を重ね、二層融着部5a,5a部分と、二層融着部5a,5aに隣接する三層融着部5b,5bの一部又は三層融着部5b,5b全体に相当する部分とを熱融着した後、さらに裏面フィルム3を重ねて、三層融着部5b,5bに相当する領域を熱融着することで容易に製造することができる。
多室包装袋4には、表面フィルム1と分割フィルム2間に形成された表面フィルム1側の収納部9aと、裏面フィルム3と分割フィルム2間に形成された裏面フィルム3側の収納部9bとに分けて、2種類の被包装物を充填することができる。被包装物は、表面フィルム1側の収納部9aと、裏面フィルム3側の収納部9bとを別々に開くこと(開口部7aと7bを別々に開くこと)で、充填箇所を誤ることなく自動充填することができる。
次に、上記多室包装袋4を用いた包装体の製造方法の一例について説明する。
上記多室包装袋4を用いた包装体の製造は、例えば図3に示されるような把持具11,11で多室包装体4を立てた状態で保持して行うことができる。
まず、図3に示されるように、多室包装袋4を、左右の側縁融着部5,5の上部を把持具11,11で把持して吊り下げ、表面フィルム1と裏面フィルム3の外面に向かってそれぞれ進退可能な一対の吸引盤10a,10b間に位置させる。この把持具11,11としては、左右の側縁融着部5,5を挟み付けて保持するクリップ状のものを用いることができる。また、両把持具11,11は、収納部9a,9bを大きく開口させることができるようにすると共に、この開放に伴って多室包装袋4に無理な力が加わらないよう、対向方向に弾性的に進退可能としておくことが好ましい。
表面フィルム1側の収納部9a(図2参照)と、裏面フィルム3側の収納部9b(図2参照)の選択的開放は、上記吸引盤10a,10bの進退と吸引によって行われる。吸引盤10a,10bによる吸引位置については後述するが、この吸引位置の調節は、吸引盤10a,10b間における多室包装袋4の位置を調節することで行うこともできる。しかし、吸引位置の調節を行いやすくするために、上記吸引盤10a,10bは、対向する表面フィルム1又は裏面フィルム3に沿って上下左右に移動可能としておくことが好ましい。
裏面フィルム3側の収納部9bを開放して被包装物を充填する方法について説明する。
図4に示されるように、両吸引盤10a,10bを、表面フィルム1と裏面フィルム3とに向かって前進させ、表面フィルム1の開口部7側の縁部の中央部分と、裏面フィルム3の吸引孔8からずれた開口部6側の縁部とにそれぞれ当接させて吸引する。表面フィルム1と裏面フィルム3とが吸引盤10a,10bにそれぞれ吸着された状態で、両吸引盤10a,10bを後退させる。これにより、表面フィルム1と裏面フィルム3は、外方へ引っ張られ、それぞれ外方に凸に湾曲される。
ところで、前述のように、表面フィルム1側の収納部9a(図2参照)に比して裏面フィルム3側の収納部9bの開口幅が広く、開放されやすくなっていることから、裏面フィルム3は分割フィルム2から離れて外方へ凸に湾曲して裏面フィルム3側の収納部9bが開放される。また、裏面フィルム3側の収納部9bに比して表面フィルム1側の収納部9aの開口幅は狭く、開放されにくくなっていることから、裏面フィルム3側の収納部9bが開放されても表面フィルム側の収納部9aは開放されずに閉じた状態を維持する。したがって、裏面フィルム3側の収納部9bだけが開放され、誤投入を防止しつつ、被包装物を確実に裏面フィルム3側の収納部9bに自動充填することができる。
特に、本例のように、左右両側縁融着部5,5において、二層融着部5a,5aが三層融着部5b,5bより袋の内側に入り込んでいると、図5に示されるように、表面フィルム1を外方へ引っ張ることにより、二層融着部5a,5aの内側端部において、分割フィルム2を表面フィルム1と同じ方向へ引っ張る力Fが作用する。このため、分割フィルム2は表面フィルム1に追従して表面フィルム1側に凸に湾曲し、表面フィルム1側の収納部9a(図2参照)は閉じた状態のままとなる。
三層融着部5b,5bより二層融着部5a,5aが袋の内側に入り込む量は、収納部9a,9b間の開放させやすさに差をもたせると共に、上記力Fを作用させやすくするために、1mm以上であることが好ましく、特に2〜5mmであることが好ましい。上限は袋の大きさなどによって相違するが、一般的には20mmまでである。
両吸引盤10a,10bを後退させて表面フィルム1と裏面フィルム3を外方へ引っ張り、裏面フィルム3側の収納部9bを開放させる時、両把持具11,11は弾性的に対向方向に前進し、多室包装袋4に過剰な張力が働くのを防止する。前記のようにして裏面フィルム3側の収納部9bに被包装物を充填した後、両吸引盤10a,10bを前進させると、両把持具11,11は弾性的に後退し、これに伴って収納部9bの開口部7bは閉じた状態に戻る。
次に、表面フィルム1側の収納部9a(図2参照)を選択的に開放する方法について説明する。
図6に示されるように、吸引盤10a,10bを、表面フィルム1の開口部7側の縁部の中央部分と、裏面フィルム3の吸引孔8の部分とにそれぞれ当接させて吸引し、表面フィルム1を吸引盤10aで吸着すると共に、吸引孔8を介して分割フィルム2を吸引盤10bで吸着する。この状態で吸引盤10a,10bを後退させると、図6に示されるように、表面フィルム1が外方へ引っ張られると共に、分割フィルム2が裏面フィルム3を伴って外方へ引っ張られ、表面フィルム1側の収納部9aの開口部7aが広げられる。この時、分割フィルム2が吸引孔8を介して吸引盤10bに吸着されていることで、分割フィルム2と裏面フィルム3は密着しており、裏面フィルム3側の収納部9b(図2参照)の開口部7bは閉じた状態にある。したがって、表面フィルム1側の収納部9aだけが開放され、誤投入を防止しつつ、被包装物を確実に表面フィルム1側の収納部9aへ自動充填することができる。
両吸引盤10a,10bを後退させて表面フィルム1と、分割フィルム2及び裏面フィルム3とを外方へ引っ張り、表面フィルム1側の収納部8aを開放させる時、両把持具11,11は弾性的に対向方向に前進し、多室包装袋4に過剰な張力が働くのを防止する。前記のようにして表面フィルム1側の収納部9aに被包装物を充填した後、両吸引盤10a,10bを前進させると、両把持具11,11は弾性的に後退し、これに伴って収納部9aの開口部7aは閉じた状態に戻る。
以上のようにして、表面フィルム1側の収納部9aと、裏面フィルム3側の収納部9bとへそれぞれ該当する被包装物を自動充填した後、開口部7側の縁部を熱融着して、図7に示されるように、吸引孔8を内包する封止融着部12を形成し、開口部7を封止して包装体の製造を完了する。開口部7側の縁部の熱融着は、被包装物を収納した多室包装袋4を把持具11,11で吊り下げた状態で、開口部7側の縁部をシールバーで挟み付けることで行うことができる。
ところで、図7に示される包装体は、封止融着部12に吸引孔8の跡が、裏面フィルム3側のみではあるが、凹部として残る。そこで、図8に示されるように、上記封止融着部12の形成後、吸引孔8部分を打ち抜いて、吸引孔8を内包する単一の貫通孔を吊り下げ孔13として形成することが好ましい。この吊り下げ孔13は、製造された包装体を店頭で吊り下げ陳列するためのもので、この吊り下げ孔13で吸引孔8の跡を消してしまうことにより、違和感を無くすことができる。吊り下げ孔13は、吸引孔8と同じか吸引孔8より大きい貫通孔として形成されるもので、図示される円形の孔の他、楕円形、ひょうたん形、卵形、おむすび形などとすることもできる。
以上の説明では、裏面フィルム3側の収納部9bへの被包装物の充填、表面フィルム1側の収納部9aへの被包装物の充填の順となっているが、これとは逆に、表面フィルム1側の収納部9aへの被包装物の充填、裏面フィルム3側の収納部9bへの被包装物の充填の順で行うこともできる。また、把持具11,11を用いた方法を説明したが、把持具11,11を用いずに行うこともできる。例えば、表面フィルム1側の吸引盤10aを一定位置に固定しておき、この吸引盤10aに表面フィルム1の開口部7側の縁部を吸着させて多室包装袋4を立てて保持し、裏面フィルム3側の吸引盤10bを、吸引位置を変えて進退させ、裏面側フィルム3のみ、又は裏面側フィルム3及び分割フィルム2の両者を外方へ引っ張ることでも、収納部9a,9bを選択的に開放しながら被包装物を充填して包装体を製造することができる。
次に、図9に基づいて、本発明の第2の例に係る多室包装袋について説明する。
図9は本発明の第2の例に係る多室包装袋の斜視図である。
図9に示されるように、本例の多室包装袋4は、基本的には前述の第1の例に係る多室包装袋4と同様であるが、二層融着部5a,5aが、三層融着部5b,5bよりも袋の内側に入り込んでいる部分が、側縁融着部5、5の全長に亘るものではなく、側縁融着部5,5の開口部7側の一部のみとなっている。特に三層融着部5b,5bよりもはみ出した二層融着部5a,5aを、図7及び図8に示される封止融着部12が形成される範囲内に設けておくと、封止後はこの二層融着部5a,5aの存在が分からなくなる。また、本例の多室包装袋4の収納部9a,9bを、図4及び図6で説明したように吸引盤10a,10bで開放するに際しては、表面フィルム1側の吸引盤10aは、図5で説明した力Fを作用させやすくするために、二層融着部5a,5a間の領域を吸引させることが好ましい。
なお、本例においては、左右の側縁融着部5,5の両者に二層融着部5a,5aが形成されているが、いずれか一方の側縁融着部5にのみに形成することもできる。また、本例における二層融着部5a,5aと開口部7(7a)との間には間隔があけられているが、この間隔を置かずに開口部7aから連続する二層融着部とし、上記吸引盤10aで吸引することが好ましい領域を広げることもできる。
次に、図10に基づいて、本発明の第3の例に係る多室包装袋について説明する。
図10は本発明の第3の例に係る多室包装袋の斜視図である。
図10に示されるように、本例の多室包装袋4は、基本的には前述の第1の例に係る多室包装袋4と同様であるが、表面フィルム1が裏面フィルム3及び分割フィルム2より短いものとなっている。なお、側縁シール部5のうち、下方の二層融着部5xは裏面側フィルム3と分割フィルム2を接合しているものであり、底縁シール部6のうち、下方の二層融着部6xは裏面側フィルム3と分割フィルム2を接合し、中段の二層融着部6yは表面フィルム1と分割フィルム2を接合するものである。
本例の多室包装袋4においては、表面フィルム1が裏面フィルム3及び分割フィルム2より短いことから、裏面フィルム3側の収納部9aの深さが深く、表面フィルム1側の収納部9bの深さが浅くなっている。このため、収納部9bへ収納する被包装物に比して収納部9aへ収納する被包装物の量が少ない場合や小さい場合に対応することができる。
本発明は、上記のような収納部9aと9bの大きさが異なる袋の外、表面フィルム1と分割フィルム2の間及び/又は裏面フィルム3と分割フィルムの間に底面フィルムを挟み込み収納部9a及び/又は9bをガゼットタイプの袋状とした多室包装袋にも適用することができる。
実施例1
LL(40μm)/PET(12μm)/Al(9μm)/LL(40μm)の層構成の積層フィルムで、50mm×100mmの大きさのフィルムを2枚横長にして重ね合わせ、左右の短辺側縁部を幅10mmでヒートシールした後、もう1枚の同じフィルムをやはり横長にして重ね合わせ、左右の短辺側縁部を幅9mmでヒートシールし、筒状の模擬多室包装袋を作成した。つまり、側縁融着部における二層融着部が1mmだけ三層融着部より袋の内側に入り込んだ模擬多室包装袋を作成した。
上記模擬多室包装袋を、未シール縁部を上下方向にして、一対の吸引盤間に手で位置させ、両吸引盤を前進させてそれぞれ表面と裏面に吸着させた。吸引盤による吸着位置は、両吸引盤共に、上方の未シール縁部の左右ほぼ中央部で、上縁から約5mm下がった位置とした。
模擬多室包装袋吸引盤に吸着させた後手を離し、両吸引盤を後退させて、収納部の開孔状態を観察する作業を5回繰り返した。結果を表1に示す。なお、表1においては、三層融着部からの二層融着部のはみ出し量を「シール幅差」、開口幅の小さい収納部を「第1室」、開口幅の大きい収納部を「第2室」とする。
実施例2
実施例1と同じ2枚のフィルムを横長にして重ね、左右の短辺側縁部を幅20mmでヒートシールした後、もう1枚の同じフィルムをやはり横長にして重ね合わせ、左右の短辺側縁部を幅10mmでヒートシールし、筒状の模擬多室包装袋を作成した。つまり、側縁融着部における二層融着部が10mmだけ三層融着部より袋の内側に入り込んだ模擬多室包装袋を作成した。
上記模擬多重袋について、実施例1と同様にして収納部の開孔状態を観察した。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1と同じフィルムを横長にして3枚重ね、左右の短辺側縁部を幅10mmでヒートシールして筒状の模擬多室包装袋を作成した。つまり、側縁融着部における三層融着部より袋の内側にはみ出した二層融着部が存在しない模擬多室包装袋を作成した。
上記模擬多重袋について、実施例1と同様にして収納部の開孔状態を観察した。結果を表1に示す。
Figure 2010006406
本発明の第1の例に係る多室包装袋を構成するフィルムの組み合わせ状態の説明図である。 本発明の第1の例に係る多室包装袋の斜視図である。 本発明の第1の例に係る多室包装袋を把持具にセットした状態の斜視図である。 本発明の第1の例に係る多室包装袋の他方のフィルム側の収納部への被包装物充填時の説明図である。 本発明の第1の例に係る多室包装袋の他方のフィルム側の収納部を開放する時の作用の説明図である。 本発明の第1の例に係る多室包装袋の一方のフィルム側の収納部への被包装物充填時の説明図である。 製造された包装体の一例を示す平面図である。 製造された包装体の他の例を示す平面図である。 本発明の第2の例に係る多室包装袋の斜視図である。 本発明の第3の例に係る多室包装袋の斜視図である。
符号の説明
1 表面フィルム(一方のフィルム)
2 分割フィルム
3 裏面フィルム(他方のフィルム)
4 多室包装袋
5 側縁融着部
5a 二層融着部
5b 三層融着部
5x 二層融着部
6 底縁融着部
6x 二層融着部
6y 二層融着部
7 開口部
7a 開口部
7b 開口部
8 吸引孔
9a 収納部
9b 収納部
10a 吸引盤
10b 吸引盤
11 把持具
12 封止融着部
13 吊り下げ孔

Claims (5)

  1. 表裏いずれか一方に位置する一方のフィルムと、他方に位置する他方のフィルムとの間に、一方のフィルムと他方のフィルム間の開口部を二分して分割フィルムが挟み込まれ、分割フィルムを境に、一方のフィルム側と他方のフィルム側とにそれぞれ収納部が形成された袋状をなし、少なくとも開口部側の一部において、一方のフィルム側の収納部の開口幅に比して、他方のフィルム側の収納部の開口幅が広くなっていると共に、他方のフィルムの開口部側の縁部には、他方のフィルム側から分割フィルムを吸引するための吸引孔が形成されていることを特徴とする自動充填用多室包装袋。
  2. 一方のフィルム、分割フィルム及び他方のフィルムの左右両側縁部がそれぞれ重ねられて側縁融着部で接合されており、この左右の側縁融着部の一方又は両者において、開口部側の少なくとも一部で、一方のフィルムと分割フィルムと他方のフィルムの三者を接合している三層融着部から、一方のフィルムと分割フィルムの二者を接合している二層融着部が袋の内側に入り込んでいることを特徴とする請求項1に記載の自動充填用多室包装袋。
  3. 一方のフィルム、分割フィルム及び他方のフィルムの左右両側縁部がそれぞれ重ねられて側縁融着部で接合されており、この左右の側縁融着部の一方又は両者において、全長に亘って、一方のフィルムと分割フィルムと他方のフィルムの三者を接合している三層融着部から、一方のフィルムと分割フィルムの二者を接合している二層融着部が袋の内側に入り込んでいることを特徴とする請求項1に記載の自動充填用多室包装袋。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動充填用多室包装袋を用い、
    一方のフィルムと他方のフィルムの開口部側の縁部を、一方のフィルムに対向する吸引盤と他方のフィルムに対向する吸引盤とでそれぞれ吸引して外方へ引っ張ることで、他方のフィルム側の収納部のみを開口させて被包装物を充填する工程と、
    一方のフィルムの開口部側の縁部を当該一方のフィルムに対向する吸引盤で吸引すると共に、分割フィルムの開口部側の縁部を、吸引孔を介して、他方のフィルムに対向する吸引盤で吸引して、それぞれ外方へ引っ張ることで、一方のフィルム側の収納部のみを開口させて被包装物を充填する工程とを有することを特徴とする包装体の製造方法。
  5. 他方のフィルム側の収納部と、一方のフィルム側の収納部とに被包装物を充填後、開口部側の縁部を融着し、吸引孔を内包する封止融着部を形成した後、封止融着部に吸引孔を含む単一の貫通孔を吊り下げ孔として形成することを特徴とする請求項4に記載の包装体の製造方法。
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