JP2010005772A - 磁気ディスク用ガラス基板の加工方法、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、及び磁気ディスク用ガラス基板、並びに磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板の加工方法、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法、及び磁気ディスク用ガラス基板、並びに磁気ディスクの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気ディスク用ガラス基板の端面を低コストで効率良く高品質に仕上げることができる安定した研削加工を可能とする磁気ディスク用ガラス基板の加工方法を提供する。
【解決手段】円板状のガラス基板の端面部分に研削液を供給しつつ、ガラス基板の端面に砥石を接触させて研削することによりガラス基板の端面を加工する磁気ディスク用ガラス基板の加工方法である。上記砥石は、ガラス基板の端面と接触する面に溝形状を有し、該溝形状は、ガラス基板の端面の側壁面と、該ガラス基板の主表面と側壁面との間の面取面との両方の面を同時に研削加工できるように形成されている。そして、ガラス基板の端面に当接する上記砥石の軌跡が一定とならないように、ガラス基板の端面と砥石とを接触させ且つガラス基板と砥石とを相対的に移動させることにより、ガラス基板の端面の側壁面及び面取面の両方の面を研削加工する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気記録装置に搭載される磁気ディスクに関し、詳しくは磁気ディスク用ガラス基板の端面を研削により加工する磁気ディスク用ガラス基板の加工方法、この加工方法によるガラス基板端面の研削加工工程を有する磁気ディスク用ガラス基板及び磁気ディスクの製造方法に関するものである。
今日、情報記録技術、特に磁気記録技術は、急速なIT産業の発達に伴い飛躍的な技術革新が要請されている。ハードディスクドライブ(HDD)等の情報記録装置に搭載される記録媒体である磁気ディスクでは、高容量化の要請により40Gbit/inch〜100Gbit/inch以上の情報記録密度を実現できる技術が求められている。
ところで、磁気ディスク等の情報記録媒体用基板としては、従来はアルミニウム系合金基板が広く用いられていたが、最近では、高記録密度化に適した磁気ディスク用基板として、ガラス基板の占める比率が次第に高くなってきている。ガラス基板は、アルミニウム系合金基板に比べて剛性が高いので、磁気ディスク装置の高速回転化に適し、また、平滑な表面が得られるので、磁気ヘッドの浮上量を低下させることが容易となり、記録信号のS/N比を向上させることが出来るので好適である。
また、磁気ディスクの高記録密度化のためには、ガラス基板の加工精度にも高度なものが要求されており、それはガラス基板の主表面のみならず、端面形状においても同様である。
磁気ディスク用ガラス基板は、通常、ディスク状に成形したガラス基板に、研削、研磨、化学強化等の工程を順次施して製造される。
従来のガラス基板の端面の研削方法としては、ディスク状に成形したガラス基板の端面部分に研削液を供給しながら、ガラス基板の外周側端面および内周側端面に研削砥石を接触回転させて研削加工を行い、ガラス基板の外周側端面および内周側端面に所定の面取り加工を施していた(特許文献1など)。
特開2000−185927号公報
情報化社会の進展とともに、磁気ディスクの高記録密度化と低価格化の要求は日増しに高まってきている。磁気ディスクの端面形状においても、更なる平滑化、加工精度の向上及び加工時間の短縮や、副資材の寿命向上が求められてきている。
また、上述のハードディスクドライブは、従来のパーソナルコンピュータなどに搭載されるものだけでなく、近年は、家庭用ビデオレコーダーやビデオカメラの記録媒体として大容量化が図られている。よって、磁気ディスクの記録密度を飛躍的に増大させる必要から、安価で高性能な磁気記録媒体が用いられてきている。
このような安価で高記録密度が達成できる磁気記録媒体が求められているが、そのためには、読み書きヘッドの位置決め精度を得るための内径寸法精度の高精度化、媒体主表面に対するコロージョン発生などのコンタミ要因の低減要請に基づく外径端面の高品位化の達成が要求される。
ところが、現状の端面加工プロセスでは研削加工時(電着砥石#325、#500などを用いた)に発生する基板へのダメージが大きくクラックが深いことから次の研磨工程での研磨取代が徒に多くなってしまうため、寸法精度が安定しにくい、端面に残留クラックが残りやすい、というプロセスが抱える問題点がある。
よって、磁気記録媒体としての信頼性確保のさらなる改善要求により基板の内外径端面の低ダメージでの研削加工の実現要求が高まってきた。そのため、従来の端面研削工程よりもダメージを軽減できる研削加工プロセスが必要である。さらにその改善によって鏡面研削加工を実現できることが研磨後品位と寸法、形状精度の達成を両立できることにつながる。
そして、より一層の高情報記録密度化などの観点から、ガラス基板の端面の寸法形状精度や面取り加工の仕上がり面品位など、磁気ディスク用ガラス基板に対する品質要求は従来に増して高まる一方であり、従来の研削方法や研磨方法を用いて多数枚の磁気ディスク用ガラス基板を製造した場合、高まるガラス基板の品質要求に安定的に応えることが次第に困難になってきているという問題があり、再加工可能な基板は再加工することもできるが、コスト高になってしまう問題がある。
そこで、本発明は、高記録密度化への信頼性の確保が急務となっている磁気ディスクの高記録密度化と低価格化の要請に応える観点から、磁気ディスク用ガラス基板の端面を低コストで効率良く高品質に仕上げることができる安定した研削加工を可能とする磁気ディスク用ガラス基板の加工方法を提供することを第1の目的とする。また、このような加工方法によるガラス基板端面の研削加工工程を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法を提供することを第2の目的とする。
上述したように、従来の研削方法を用いて多数枚の磁気ディスク用ガラス基板の端面の面取り加工を行った場合、ガラス基板のたとえば外周側端面のうち、ガラス基板の主表面と直交する側壁面と、この側壁面と表裏の主表面との間にそれぞれ形成される2つの面取面の何れもの寸法形状精度や面取り加工の仕上がり面品位など高まるガラス基板の品質要求に安定的に応えることが次第に困難になってきている。
従来の磁気ディスク用ガラス基板の端面の面取り加工は、所定寸法を高能率で加工するために、断続的なクリープ研削に似た研削様式により行っている。そのため、従来は粗粒度(粒径大)の砥石を用いることにより、必要な除去速度を確保するための大きな切込み量(研削性)が得られるようにしている。しかしながら、このような大きな切込み量は、脆性破壊モードによる研削加工となり、塑性モード主体の研削加工による良好な研削面品位(鏡面品位)が得られ難い。従来は、端面の研削加工を行った後に、端面の鏡面研磨工程を施すことにより鏡面品位を得るようにしていたが、切込み量が大きいと研削加工面の加工歪みが深くなり、鏡面研磨を行っても歪みや条痕が残留し高品位が得られない場合がある。したがって、良好な研削面品位を得るためには、塑性モード主体の研削加工が定常的に行われることが必要となるが、そのためには例えば微細粒度(粒径小乃至は微細)の砥石を用いることが考えられる。本発明者の検討によれば、ガラス材料の場合は、金属材料や他の無機材料(Si,Ge等)と比べて熱伝導率や熱拡散率が低く、研削加工による局部温度の変化が激しいため、ガラス材料として降伏点が低下することにより研削性の低下や脆性破壊が発生しやすい性状となる。そして、微細砥粒砥石を用いた場合、その研削性は低く、加工能率を優先した現行の切込み量では砥粒に要求される除去能率に追従できず、目潰れや目詰まりといった研削状態となり、砥石に焼けが発生し、短時間で研削不能状態となる。つまり、本発明者の検討によると、磁気ディスク用基板のようなガラス材料に対しては微細砥粒砥石では砥石の性状変化が大きく、安定した研削性を確保することが難しく、結果的に良好な端面の鏡面品位を安定的に得ることが困難であることが分かった。
また、磁気ディスク用のガラス基板の端面はチャンファ面を有する面取り形状であり、更にそれぞれの形状に内外径の寸法公差を含めて公差精度要求も最近では非常に厳しいことから、ガラス基板端面の面取り加工による寸法形状精度を確保するためには、砥石の磨耗を抑えながら(形状維持を保ちながら)切れ味を持続させ、塑性モードを実現する研削性を安定的に確保する必要がある。
そこで、本発明者は、このような一連の知見に基づき、前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに到ったものである。
すなわち、本発明は、前記課題を解決するため、以下の構成としている。
(構成1)円板状のガラス基板の端面部分に研削液を供給しつつ、前記ガラス基板の端面に砥石を接触させて研削することにより前記ガラス基板の端面を加工する磁気ディスク用ガラス基板の加工方法であって、前記砥石は、前記ガラス基板の端面と接触する面に溝形状を有し、該溝形状は、前記ガラス基板の端面の側壁面と、該ガラス基板の主表面と側壁面との間の面取面との両方の面を同時に研削加工できるように形成されており、前記ガラス基板の端面に当接する前記砥石の軌跡が一定とならないように、前記ガラス基板の端面と前記砥石とを接触させ且つ前記ガラス基板と前記砥石とを相対的に移動させることにより、前記ガラス基板の端面の前記側壁面及び面取面の両方の面を研削加工することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の加工方法である。
従来のガラス基板端面の研削加工においては、円筒状の研削砥石の回転軸に対してガラス基板の主表面が垂直となるようにガラス基板の端面を研削砥石に接触させた状態で両者を回転させながら研削加工を行っていたが、この場合基板の端面に当接する砥石の軌跡が円周方向で一定となり、砥石の凸部(砥粒)が基板端面に対して常に同一軌跡上の位置に当接、作用するため、研削加工面の表面粗さが大きくなり、また基板へのダメージが大きく、円周方向の研削痕が発生しやすいなどの問題があり、研削加工面をより高い品質要求に応えられるレベルの品位に仕上げることが困難になってきている。
これに対して、構成1の発明では、ガラス基板の端面に当接する砥石の軌跡が一定とならないように、ガラス基板の端面と砥石とを接触させ且つ前記ガラス基板と前記砥石とを相対的に移動させて研削加工することにより、砥石の凸部が基板端面に対してランダムな位置に当接、作用するため、基板へのダメージが少なく、研削加工面の表面粗さやその面内ばらつきも小さくなり、研削加工面をより高平滑に、すなわちより高い品質要求に応えられるレベルの品位に仕上げることができ、さらには砥石寿命の向上効果も有する。
(構成2)円板状のガラス基板の端面部分に研削液を供給しつつ、前記ガラス基板の端面に砥石を接触させて研削することにより前記ガラス基板の端面を加工する磁気ディスク用ガラス基板の加工方法であって、前記砥石は、前記ガラス基板の端面と接触する面に溝形状を有し、該溝形状は、前記ガラス基板の端面の側壁面と、該ガラス基板の主表面と側壁面との間の面取面との両方の面を同時に研削加工できるように形成されており、前記ガラス基板の両方の主表面と側壁面との間の2つの面取面が同時に前記砥石と当接するとともに、2つの面取面と前記砥石とのそれぞれの当接位置がガラス基板の主表面と直交する同じ方向線上には位置しないように、前記ガラス基板の端面と前記砥石とを接触させ且つ前記ガラス基板と前記砥石とを相対的に移動させることにより、前記ガラス基板の端面の前記側壁面及び面取面の両方の面を研削加工することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の加工方法である。
構成2の発明では、ガラス基板の両方の主表面と側壁面との間の2つの面取面が同時に前記砥石と当接するとともに、2つの面取面と前記砥石とのそれぞれの当接位置がガラス基板の主表面と直交する同じ方向線上には位置しないように、ガラス基板の端面と砥石とを接触させ且つ前記ガラス基板と前記砥石とを相対的に移動させて研削加工することにより、ガラス基板の端面に当接する砥石の軌跡が円周方向で一定とはならないで、砥石の凸部が基板端面に対してランダムな位置に当接、作用するため、基板へのダメージが少なく、研削加工面の表面粗さやその面内ばらつきも小さくなり、研削加工面をより高平滑に、すなわちより高い品質要求に応えられるレベルの品位に仕上げることができ、さらには砥石寿命の向上効果も有する。
(構成3)前記砥石に形成された溝形状の溝方向に対して前記ガラス基板を傾けた状態で研削加工することを特徴とする構成1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の加工方法である。
構成3の発明のように、前記砥石に形成された溝形状の溝方向に対して前記ガラス基板を傾けた状態で研削加工することにより、ガラス基板の端面に当接する砥石の軌跡が円周方向で一定とはならないで、砥石の凸部が基板端面に対してランダムな位置に当接、作用するため、基板へのダメージが少なく、研削加工面の表面粗さやその面内ばらつきも小さくなり、研削加工面をより高い品質要求に応えられるレベルの品位に仕上げることができる。またこの場合、ガラス基板の両方の主表面と側壁面との間の2つの面取面が同時に前記砥石と当接するとともに、2つの面取面と前記砥石とのそれぞれの当接位置がガラス基板の主表面と直交する同じ方向線上には位置しない。
(構成4)前記ガラス基板の端面と前記砥石とを接触させ且つ前記ガラス基板と前記砥石の両方を回転させることにより研削加工することを特徴とする構成1乃至3のいずれか一項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の加工方法である。
構成4のように、量産性向上の観点から、前記ガラス基板の端面と前記砥石とを接触させ且つ前記ガラス基板と前記砥石の両方を回転させることにより研削加工することが好適である。
(構成5)前記砥石の周速度をAとし、前記ガラス基板の周速度をBとしたときに、前記砥石と前記ガラス基板の周速度比A/Bが、30以上であることを特徴とする構成4に記載の磁気ディスク用ガラス基板の加工方法である。
構成5にあるように、本発明においては、ガラス基板と砥石の両方を回転させながら研削加工する場合、砥石とガラス基板の周速度比A/Bが30以上であることがとりわけ好適である。
(構成6)前記砥石として、砥粒と樹脂とからなるレジン砥石、砥粒と金属結合材からなるメタル砥石、砥粒とガラス質結合材からなるビトリファイド砥石、及びそれらの結合材を混合させた複合砥石を用いることを特徴とする構成1乃至5のいずれか一項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の加工方法である。
構成6にあるように、本発明のような磁気ディスク用ガラス基板の端面の仕上げ研削加工には、鏡面研削加工が行えるレジン砥石を用いるのが好適である。また、粗研削加工では従来の電着ボンド砥石以外にもダメージ軽減が可能なメタルボンド砥石やビトリファイドボンド砥石、あるいはそれらの複合砥石を用いることができる。
(構成7)前記ガラス基板の端面を研削加工した後、同じく端面を鏡面研磨することを特徴とする構成1乃至6のいずれか一項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の加工方法である。
構成7にあるように、上述の本発明によるガラス基板の端面の研削加工を行った後、要求される鏡面品位によって、さらに同じく端面を鏡面研磨する工程を追加してもよい。
(構成8)前記鏡面研磨は、砥石及び研削液の種類と、砥石とガラス基板の周速度比を前記研削加工時とは変更して行うことを特徴とする構成7に記載の磁気ディスク用ガラス基板の加工方法である。
本発明によるガラス基板の端面の研削加工を行った後、さらに端面を鏡面研磨する場合、砥石及び研削液の種類と、砥石とガラス基板の周速度比を前記研削加工時とは変更して行うことができる。
(構成9)円板状のガラス基板の端面を構成1乃至8のいずれか一項に記載の加工方法により研削加工する工程を有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成10)基板端面の研削加工工程を含む製造方法によって製造された磁気ディスク用ガラス基板であって、前記ガラス基板の端面は、側壁面と、該ガラス基板の両方の主表面と側壁面との間の2つの面取面とから形成され、2つの面取面のいずれにおいても面内の表面粗さRaのばらつきが±0.01μm以内であることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板である。
本発明によれば、基板端面の2つの面取面のいずれにおいても面内の表面粗さRaのばらつきが±0.01μm以内と非常に小さな磁気ディスク用ガラス基板が提供され、この磁気ディスク用ガラス基板を用いて製造される磁気ディスクのコロージョン対策に有効である。
なお、本発明においては、基板端面の表面粗さは、たとえばミツトヨ製微細輪郭形状測定器SV-624にスタイラス径5μmを用いて測定される。
(構成11)構成9に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によって製造された磁気ディスク用ガラス基板または構成10に記載の磁気ディスク用ガラス基板の主表面上に少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法である。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の加工方法によれば、磁気ディスクの高記録密度化と低価格化の要請に応える観点から、磁気ディスク用ガラス基板の端面の寸法形状精度を確保でき、低コストで効率良く高品質に仕上げることができる安定した研削加工が可能である。
また、この加工方法を適用した端面研削工程を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によれば、基板端面が高品質に仕上げられた磁気ディスク用ガラス基板を低コストで安定して大量に提供することが可能になる。
さらに、この磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によって製造された磁気ディスク用ガラス基板を用いる磁気ディスクの製造方法によれば、基板の端面を高品質に仕上げることができ、コロージョン対策など、基板端面の表面状態が起因する障害の発生を防止し、より一層の高記録密度化を実現できる磁気ディスクを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳述する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明が適用される磁気ディスク用ガラス基板1の全体図であり、(A)はその一部を断面で示した側面図、(B)はその平面図である。る。該ガラス基板1は、中心部に円孔を有する全体がディスク(円板)状に形成され、その表裏の主表面11,11と、これら主表面11,11間に形成される外周側の端面12と、内周側の端面13とを有する。
上記ガラス基板1の外周側の端面12は、その主表面11と直交する側壁面12aと、この側壁面12aと表裏の主表面11,11との間にそれぞれ形成されている2つの面取面(面取りした面)12b、12bとからなる形状に形成されている。また、上記ガラス基板1の内周側の端面13についても、その主表面11と直交する側壁面13aと、この側壁面13aと表裏の主表面11,11との間にそれぞれ形成されている2つの面取面(面取りした面)13b、13bとからなる形状に形成されている。
そして磁気ディスク、例えば、2.5インチディスクの場合は、ガラス基板1の外径が65mm、内径が20mmに仕上げられる。ここで、内径とは、ガラス基板1の中心部の円孔の内径のことである。
また、磁気ディスク用ガラス基板1の主表面11、外周側端面12、内周側端面13は、それぞれ所定の表面粗さとなるように研磨(鏡面研磨)仕上げされる。外周側端面12及び内周側端面13はいずれも、上述のような端面形状に仕上げられ、なお且つ、表面粗さが例えばRmaxで1μm以下、Raで0.1μm以下の鏡面状態に仕上げられることが通常求められる。
磁気ディスク用ガラス基板1は、通常、例えばダイレクトプレス等により所定のディスク状に成形したガラス基板(ガラスディスク)10に、端面の研削、研磨、主表面の鏡面研磨、化学強化等の工程を順次施して製造される。
まず、上記ガラス基板(ガラスディスク)10の端面の研削工程について説明する。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の加工方法は、円板状のガラス基板の端面部分に研削液を供給しつつ、前記ガラス基板の端面に砥石を接触させて研削することにより前記ガラス基板の端面を加工する磁気ディスク用ガラス基板の加工方法であって、前記砥石は、前記ガラス基板の端面と接触する面に溝形状を有し、該溝形状は、前記ガラス基板の端面の側壁面と、該ガラス基板の主表面と側壁面との間の面取面との両方の面を同時に研削加工できるように形成されており、前記ガラス基板の端面に当接する前記砥石の軌跡が一定とならないように、前記ガラス基板の端面と前記砥石とを接触させ且つ前記ガラス基板と前記砥石とを相対的に移動させることにより、前記ガラス基板の端面の前記側壁面及び面取面の両方の面を研削加工することを特徴としている。
図2は、本発明の第1の実施の形態を示すもので、(A)は研削砥石を用いて磁気ディスク用ガラス基板の外周側端面を研削加工している状態を示す側断面図、(B)はその平面図(但し、研削砥石については(A)図におけるII−II線に沿った平断面図である)である。
上記ガラス基板10の外周側端面の研削加工に用いる研削砥石2は、全体が円筒状に形成されているとともにその内周側に溝3形状を有する。該溝3は、上記ガラス基板10の外周側端面の側壁面と、該ガラス基板の主表面と側壁面との間の面取面との両方の面を同時に研削加工できるように形成されており、具体的には、側壁部(側壁面研削加工部)3a及びその両側に存在する面取部(面取面研削加工部)3b,3bからなる溝形状を備えている。上記溝3の側壁部3a及び面取部3b,3bは、ガラス基板10の研削加工面の仕上がり目標の寸法形状を考慮して、所定の寸法形状に形成されている。
本実施の形態では、前記研削砥石2の内周側に形成された溝3形状の溝方向に対してガラス基板10を傾けた状態で研削加工する。
図2を参照して説明すると、ガラス基板10はその中心O10を通る回転軸L10を有し、研削砥石2はその中心Oを通る回転軸Lを有しており、研削砥石2の内周側に形成された溝3形状の溝方向に対してガラス基板10を傾けた状態、つまり研削砥石2の回転軸Lに対してガラス基板10の回転軸L10を角度αだけ傾けた状態で、研削砥石2の内周側にガラス基板10の外周側端面12を接触させながら、ガラス基板10と研削砥石2の両方を回転させて研削加工を行う。
従来のガラス基板端面の研削加工においては、円筒状の研削砥石の回転軸に対してガラス基板の主表面が垂直となるようにガラス基板の端面を研削砥石に接触させた状態で両者を回転させながら研削加工を行っていた。しかしながら、この場合基板の端面に当接する砥石の軌跡が円周方向で一定となり、砥石の凸部(砥粒)が基板端面に対して常に同一軌跡上の位置に当接、作用するため、研削加工面の表面粗さが大きくなり、また基板へのダメージが大きく、円周方向の研削痕が発生しやすいなどの問題がある。しかも、発生した研削痕を研磨加工により除去しようとすると、研磨取代が大きくなり、表面粗さの劣化を招く。したがって、従来の方法では、研削加工面をより高い品質要求に応えられるレベルの品位に仕上げることが困難になってきている。
これに対して、ガラス基板10の端面に当接する研削砥石2の軌跡が一定とならないように、たとえば本実施の形態では、研削砥石2の内周側に形成された溝3形状の溝方向に対してガラス基板10を所定角度αだけ傾けた状態でガラス基板10の端面と研削砥石2とを接触させながら研削加工している。これによって、ガラス基板10の端面に当接する研削砥石2の軌跡が一定とはならないで、研削砥石2の凸部(砥粒)が基板端面に対してランダムな位置に当接、作用するため、基板へのダメージが少なく、研削加工面の表面粗さやその面内ばらつきも小さくなり、研削加工面をより高平滑に、すなわちより高い品質要求に応えられるレベルの品位に仕上げることができる。さらには砥石寿命の向上効果も有する。
上述の研削砥石2の内周側の溝方向に対するガラス基板10の傾斜角度αは任意に設定することができるが、上述の作用効果をより良く発揮させるためには、例えば5〜30度の範囲内とすることが好適である。
また、本発明をガラス基板の端面と研削砥石との当接位置の観点から見ると、本実施の形態は、ガラス基板10の両方の主表面11,11と側壁面12aとの間の2つの面取面12b、12bが同時に研削砥石2と当接するとともに、2つの面取面12b、12bと研削砥石2とのそれぞれの当接位置がガラス基板10の主表面と直交する同じ方向線上には位置しない状態で研削加工するものである。図5は、本発明におけるガラス基板と研削砥石との当接状態を説明するための要部側面図であり、図5を参照して説明すると、ガラス基板10の面取面が研削砥石2と当接する位置は上と下(但し図5において)の面取面では異なり、ガラス基板10の主表面と直交する方向線に対して、上の面取面では左方の領域で、下の面取面では右方の領域でそれぞれ研削砥石2と当接する。これによって、ガラス基板10の端面に当接する研削砥石2の軌跡が一定とはならないで、研削砥石2の凸部(砥粒)が基板端面に対してランダムな位置に当接、作用することになる。
また、本実施の形態では、上記研削砥石2の内周側にガラス基板10の外周側端面12を接触させ、ガラス基板10と研削砥石2とを相対的に移動(回転)させることにより、ガラス基板10の外周側端面12の側壁面及び面取面の両方の面の同時研削加工を行っている。図2(B)を参照して分かるように、この場合の研削砥石2とガラス基板10との接触状態は、研削砥石2の内径弧と基板10の外径弧との面接触状態となり、研削砥石2と基板10との接触面積が増加する。このように研削加工時の研削砥石2と基板10との接触面積が増加することで、基板10に対する研削砥石2の接触長さ(切れ刃長さ)を伸ばして、砥粒の切れ味を持続させることができる。したがって、加工面品位にとって有利な微細砥粒砥石を用いて研削加工を行った場合にも安定した研削性を確保でき、塑性モード主体の研削加工による良好な研削面品位(鏡面品位)を安定的に得ることができる。しかも、研削砥石の切れ味を持続させ、塑性モードを実現する研削性を安定的に確保することで、ガラス基板端面の面取り加工による良好な寸法形状精度を確保することができる。
なお、この場合、研削砥石2の円筒の大きさは、ガラス基板の例えば外径を考慮して適宜決定されればよい。
また、本発明では、研削砥石2とガラス基板10の外周側端面12を接触させ且つガラス基板10と研削砥石2とを相対的に移動させることにより、ガラス基板端面の研削加工を行うが、たとえば量産性を上げるためには、本実施の形態のように研削砥石2の内周側にガラス基板10の外周側端面12を接触させなお且つガラス基板10と研削砥石2の両方を回転させることにより研削加工を行うことが有利である。
このように本実施の形態においてガラス基板10と研削砥石2の両方を回転させて研削加工することにより、量産性や上述の本発明による効果に加えて、研削加工時の熱の影響を防ぐことが可能である。すなわち、ガラス材料は前述したように研削加工時に発生する熱による影響を受けやすい加工特性を有するため、安定した研削加工を可能とならしめるためには、ガラス基板の端面部分に供給する研削液(クーラント)による冷却効果を高めて、研削加工時の熱による影響をできるだけ軽減する必要がある。円筒状の研削砥石2の内周側にガラス基板10の外周側端面12を接触させ、ガラス基板10と研削砥石2の両方を回転させて研削加工することにより、供給された研削液が研削砥石2の回転により作用する遠心力によって研削砥石2の内面側に滞留しやすくなり、研削液が常に研削砥石2と基板10間に介在するようになるため、研削砥石2の研削作用面に効率的に冷却効果を及ぼさせることができ、微細砥粒砥石を用いたときの砥石の切れ味も維持でき、その結果、研削加工時の熱による影響を抑制して安定した研削加工を行うことが可能になる。
図2を参照して説明すると、ガラス基板10はその中心O10を通る回転軸を有し、研削砥石2はその中心Oを通る回転軸を有しており、研削砥石2の内周側に形成された溝3形状の溝方向に対してガラス基板10を傾けた状態、つまり研削砥石2の回転軸Lに対してガラス基板10の回転軸L10を角度αだけ傾けた状態で、研削砥石2の内周側にガラス基板10の外周側端面12を接触させながら、ガラス基板10と研削砥石2の両方を回転させる。たとえば、ガラス基板10の外周側端面12を研削砥石2の内周側(の溝3)に対して上述の状態に接離可能とする基板保持手段と、ガラス基板10を所定方向(例えば二方向)に回転駆動させる第1の駆動手段と、研削砥石2を所定方向(例えば二方向)に回転駆動させる第2の駆動手段と、制御手段とを少なくとも備えた研削装置を用いて実施することができる。
この場合、本発明では研削砥石2とガラス基板10の夫々の周速度は特に制約する必要はないが、研削性や加工能率の観点からは、例えば研削砥石2の周速度(Aとする)は、600〜1200m/分、ガラス基板10の周速度(Bとする)は、10〜20m/分程度とすることが好適である。したがって、研削砥石2とガラス基板10の周速度比A/Bが、30以上、このましくは30〜60の範囲内であることが本発明においては好適である。
なお、研削砥石2とガラス基板10の回転方向は、同方向(カウンタ方向)、異方向(アンチカウンタ方向)のいずれでもよい。
本発明に使用する上記研削砥石2としては、粗研削加工には砥粒と金属質結合材からなるメタル砥石、砥粒とガラス質結合材からなるビトリファイド砥石、あるいはそれらの複合砥石などを用いることができ、そして仕上げ研削加工には砥粒と樹脂とからなるレジン砥石を用いることができる。たとえば上記レジン砥石としては、例えばダイヤモンド砥粒を、必要に応じて適当な充填材を加えて、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、またはポリイミド樹脂等で結合して所定の形状に成形したものを用いることができる。また、アルミナ砥粒、立方晶窒化ホウ素砥粒などを用いることもできる。砥粒の粒度は、粗研削加工の砥石では30μm以下の砥粒を、仕上げ研削加工の砥石では8μm以下の微細砥粒を好適に用いることができる。本実施の形態の場合、加工面品位の向上の観点からは有利な微細砥粒砥石を用いた場合にも、砥石寿命の向上効果を有し、砥石の切れ味を持続させ、安定した研削性を確保でき、良好な研削面品位(鏡面品位)と良好な寸法形状精度を安定的に得ることができる。
また、本発明に使用する研削液(クーラント)としては、特に制約はないが、冷却効果が高く、生産現場において安全性の高い水溶性の研削液が特に好適である。
なお、磁気ディスク用ガラス基板に用いる硝種としては特に限定を設けないが、ガラス基板の材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、又は結晶化ガラス等のガラスセラミックス等が挙げられる。なかでもアルミノシリケートガラスは、耐衝撃性や耐振動性に優れるため特に好ましい。アルミノシリケートガラスとしては、SiO2:62〜75wt%、Al2O3:5〜15wt%、Li2O:4〜10wt%、Na2O: 4〜12wt%、ZrO2:5.5〜15wt%を主成分として含有すると共に、Na2O/ZrO2の重量比が0.5〜2.0、Al2O3/ZrO2の重量比が0.4〜2.5である化学強化用ガラス等が好ましい。また、ZrO2の未溶解物が原因で生じるガラス基板表面の突起を無くすためには、モル%表示で、SiO2を57〜74%、ZnO2を0〜2.8%、Al2O3を3〜15%、LiO2を7〜16%、Na2Oを4〜14%含有するガラス等を使用することが好ましい。
ガラス基板10の外周側端面の研削加工は上述のようにして行うが、ガラス基板10の内周側端面13の研削加工においても、図3に示すように、研削砥石4に形成された溝5形状の溝方向に対してガラス基板10を傾けた状態で研削加工することが好適である。
図3は、(A)は研削砥石を用いて磁気ディスク用ガラス基板の内周側端面を研削加工している状態を示す側断面図、(B)は上記研削砥石の平断面図((A)図におけるIII−III線に沿った平断面図)である。
ガラス基板10の内周側端面の研削加工に用いる研削砥石4は、溝5形状を有する。該溝5は、上記ガラス基板10の内周側端面の側壁面と、該ガラス基板の主表面と側壁面との間の面取面との両方の面を同時に研削加工できるように形成されており、具体的には、側壁部(側壁面研削加工部)5a及びその両側に存在する面取部(面取面研削加工部)5b,5bからなる溝形状を備えている。
図3を参照して説明すると、研削砥石4に形成された溝5形状の溝方向に対してガラス基板10を傾けた状態、つまり研削砥石4の回転軸Lに対してガラス基板10の回転軸L10を角度βだけ傾けた状態で、ガラス基板10の内周側端面13に研削砥石4を接触させながら、ガラス基板10と研削砥石4の両方を回転させて研削加工を行う。
このように、研削砥石4の溝5形状の溝方向に対してガラス基板10を例えば所定角度βだけ傾けた状態で内周側端面の研削加工を行うことにより、上述のガラス基板の外周側端面の研削加工の場合と同様に、ガラス基板10の端面に当接する研削砥石2の軌跡が一定とはならないで、研削砥石2の凸部(砥粒)が基板端面に対してランダムな位置に当接、作用するため、基板へのダメージが少なく、研削加工面をより高平滑に仕上げることができ、さらに砥石寿命の向上効果も有する。
上述の研削砥石4の溝方向に対するガラス基板10の傾斜角度βは任意に設定することができるが、上述の作用効果をより良く発揮させるためには、外周側端面の研削加工の場合と同様に例えば5〜30度の範囲内とすることが好適である。
なお、内周側端面の研削加工に用いる研削砥石4及び研削液の種類は上述の外周側端面の研削加工の場合と同様のものを用いればよい。また、研削砥石4及びガラス基板10の各々の周速度、周速度比については内周側端面の研削加工に好適なように適宜設定されればよい。
また、上述の本発明によるガラス基板の端面の研削加工を行った後、要求される鏡面品位によって、さらに同じく端面を鏡面研磨する工程を追加してもよい。たとえば、本発明によるガラス基板の外周側端面の研削加工を行った後、さらに同じ端面を鏡面研磨する場合、たとえば砥石及び研磨液の種類と、砥石とガラス基板の周速度比を前記研削加工時とは変更すること以外は、前記研削加工と同様な方法により行うことができる。すなわち、図2に示すような研削砥石2と同様の構造の研磨砥石の内周側にガラス基板10の外周側端面12を接触させ、ガラス基板10と研磨砥石の両方を回転させることにより鏡面研磨加工を行う。
この場合の研磨砥石としては、例えば酸化セリウム砥石、酸化ケイ素(シリカ)砥石などを用いることができる。また、研磨液としては、研磨剤として例えば酸化セリウム、あるいは酸化ケイ素(シリカ)砥粒を含有する水溶性研磨液が好適である。
また、この場合の研磨砥石の周速度は、50〜100m/分、ガラス基板10の周速度は、10m/分程度とすることが好適である。したがって、研磨砥石とガラス基板10の周速度比は、5以上、このましくは5〜10程度の範囲内であることが好適である。
上述の本発明によるガラス基板の端面の研削加工を行うことにより、良好な研削面品位と良好な寸法形状精度を安定的に得ることができるため、さらに同じく端面を鏡面研磨する場合においても、研磨取代は小さく、その研磨加工時間は例えば数十秒程度と短くて済み、作業負荷が従来よりも軽減される。
以上のようにして、基板の外周側及び内周側端面の研削、研磨工程を終えたガラス基板に、続いて主表面の鏡面研磨工程、化学強化工程、等を施すことにより、図1に示すような磁気ディスク用ガラス基板1が得られる。
本発明に係る磁気ディスク用ガラス基板の加工方法によれば、磁気ディスクの高記録密度化と低価格化の要請に応える観点から、磁気ディスク用ガラス基板の端面の寸法形状精度を確保でき、低コストで効率良く高品質に仕上げることができる安定した研削加工が可能である。
したがって、この加工方法を適用した端面研削加工工程を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によれば、基板端面が高品質に仕上げられた磁気ディスク用ガラス基板を低コストで安定して大量に提供することが可能になる。
[第2の実施の形態]
図4は、本発明の第2の実施の形態を示すもので、研削砥石を用いて磁気ディスク用ガラス基板の外周側端面を研削加工している状態を示す側面図である。
本実施の形態は、前述の第1の実施の形態におけるガラス基板10の外周側端面の研削加工工程において、所定の溝形状が形成された円筒状の研削砥石6の外周側にガラス基板10の外周側端面12を接触させながら(つまり研削砥石6とガラス基板10の外周側(端面)同士を接触させながら)研削加工を行う点が第1の実施の形態と異なる。
すなわち、本実施の形態においては、全体が円筒状の研削砥石6の外周側に形成された溝7形状の溝方向に対してガラス基板10を傾けた状態で、研削砥石6の外周側にガラス基板10の外周側端面12を接触させながら、ガラス基板10と研削砥石6の両方を回転させて研削加工を行う。上記溝7は、上記ガラス基板10の外周側端面の側壁面と、該ガラス基板の主表面と側壁面との間の面取面との両方の面を同時に研削加工できるように形成されており、具体的には、側壁部(側壁面研削加工部)7a及びその両側に存在する面取部(面取面研削加工部)7b,7bからなる溝形状を備えている。
図4を参照して説明すると、ガラス基板10はその中心を通る回転軸L10を有し、研削砥石6はその中心を通る回転軸Lを有しており、研削砥石6の外周側に形成された溝7形状の溝方向に対してガラス基板10を傾けた状態、つまり研削砥石6の回転軸Lに対してガラス基板10の回転軸L10を角度αだけ傾けた状態で、研削砥石6の外周側にガラス基板10の外周側端面12を接触させながら、ガラス基板10と研削砥石6の両方を回転させて研削加工を行う。
このように、研削砥石6とガラス基板10の外周側(端面)同士を接触させながら研削加工を行う場合においても、研削砥石6の溝7方向に対してガラス基板10を例えば所定角度αだけ傾けた状態で研削加工することにより、ガラス基板10の端面に当接する研削砥石6の軌跡が一定とはならないで、研削砥石6の凸部(砥粒)が基板端面に対してランダムな位置に当接、作用するため、基板へのダメージが少なく、研削加工面の表面粗さやその面内ばらつきも小さくなり、研削加工面をより高平滑、高品位に仕上げることができる。
上述の研削砥石6の外周側の溝7方向に対するガラス基板10の傾斜角度αは任意に設定することができるが、上述の作用効果をより良く発揮させるためには、前述の実施の形態と同様に例えば5〜30度の範囲内とすることが好適である。
なお、本実施の形態において用いられる研削砥石6及び研削液の材質は前述の第1の実施の形態と同様のものを用いればよい。また、研削砥石6及びガラス基板10の各々の周速度、周速度比についても前述の第1の実施の形態の場合と同様に、あるいは異なる条件を適宜設定することができる。
また、本発明は、上述の本発明による磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によって製造された磁気ディスク用ガラス基板の主表面上に少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法についても提供する。
すなわち、例えば上述の本発明に係る第1または第2の実施の形態により得られる磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することにより磁気ディスクが得られる。通常は、例えばガラス基板上に、付着層、軟磁性層、下地層、磁性層、保護層、潤滑層などを設けた磁気ディスクとするのが好適である。
磁性層としては、垂直磁気記録媒体用としては例えばCo系のhcp結晶構造をもつ合金などが挙げられる。なお、磁性層は垂直磁気記録媒体用としても或いは面内磁気記録媒体用としてもよい。
保護層としては、例えば、炭素系保護層などが好ましく挙げられる。また、保護層上の潤滑層を形成する潤滑剤としては、PFPE(パーフロロポリエーテル)系化合物が挙げられる。
ガラス基板上に上記各層を成膜する方法については、公知のスパッタリング法などを用いることができる。炭素系保護層の成膜についてはプラズマCVD法も好ましく用いられる。また、潤滑層の成膜にはディップ法などを用いることができる。
本発明による磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によって製造された磁気ディスク用ガラス基板を用いる磁気ディスクの製造方法によれば、基板の端面を高品質に仕上げることができ、コロージョン対策など、基板端面の表面状態が起因する障害の発生を防止し、より一層の高記録密度化を実現できる磁気ディスクを提供することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態についてさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の(1)粗ラッピング工程(粗研削工程)、(2)精ラッピング工程(精研削工程)、(3)端面研削工程(4)端面研磨工程、(5)主表面第1研磨工程、(6)主表面第2研磨工程、(7)化学強化工程、を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
(1)粗ラッピング工程
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.0mmの円盤状のアルミノシリケートガラスからなるガラス基板(ガラスディスク)を得た。なお、この場合、ダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で形成したシートガラスから研削砥石で切り出して円盤状のガラス基板を得てもよい。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO:58〜75重量%、Al:5〜23重量%、LiO:3〜10重量%、NaO:4〜13重量%を含有する化学強化ガラスを使用した。次いで、ガラス基板に寸法精度及び形状精度を向上させるためラッピング工程を行った。このラッピング工程は両面ラッピング装置を用い、粒度#400の砥粒を用いて行なった。具体的には、はじめに粒度#400のアルミナ砥粒を用い、荷重を100kg程度に設定して、上記ラッピング装置のサンギアとインターナルギアを回転させることによって、キャリア内に収納したガラス基板の両面を面精度0〜1μm、表面粗さ(Rmax)6μm程度にラッピングした。
(2)精ラッピング工程
次に、砥粒の粒度を#1000に変え、ガラス基板表面をラッピングすることにより、表面粗さをRmaxで2μm程度、Raで0.2μm程度とした。上記ラッピング工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、水の各洗浄槽(超音波印加)に順次浸漬して、超音波洗浄を行なった。
(3)端面研削工程
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、前述の図2に示す方法によって基板の外周側端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周側端面に所定の面取り加工を施した。この場合の研削砥石は、まず粗研削加工として粒度#600のダイヤモンド砥粒を金属質ボンドで結合したメタルボンド砥石を、そして仕上げ研削加工では粒度#3000のダイヤモンド砥粒をフェノール樹脂で結合して、それぞれ図2に示すような所定の円筒状に成形したものを使用した。なお、この研削砥石の内周側には所定の溝形状を形成した。また、研削液としては水溶性研削液(温度20℃)を使用した。
ガラス基板の外周側端面部分に上記研削液を供給しつつ、研削砥石の溝方向に対して基板の回転軸を15度(α=15度)傾けた状態で、上記研削砥石の内周側にガラス基板の外周側端面を接触させなお且つガラス基板と研削砥石の両方を互いに反対方向へ回転させることにより、ガラス基板の外周側端面の側壁面及び面取面の両方の面を研削加工した。なお、研削砥石の周速度は600m/分、ガラス基板の周速度は20m/分(したがって砥石とガラス基板の周速度比は30である)とした。
こうして、約30秒間の研削加工を行った。このときのガラス基板の外周側端面の表面粗さを前記方法で測定した結果、側壁面、面取面ともに、粗研削加工ではRaで0.2μm程度、仕上げ研削加工ではRaで0.05μm程度であった。なお、一般に、2.5インチ型HDD(ハードディスクドライブ)では、外径が65mmの磁気ディスクを用いる。
次いで、ガラス基板の内周側端面についても前述の図3に示す方法にしたがって研削加工を施した。すなわち、研削砥石の溝方向に対して基板の回転軸を15度(β=15度)傾けた状態で、上記研削砥石をガラス基板の内周側端面に接触させながら、ガラス基板と研削砥石の両方を回転させることにより、ガラス基板の内周側端面の側壁面及び面取面の両方の面を研削加工した。なお、この場合の研削砥石の材質と研削液の種類は上述の外周側端面の研削加工に用いたものと同様のものを使用した。また、研削砥石とガラス基板の夫々の周速度は外周側端面の場合と同様にした。
研削加工後のガラス基板の内周側端面の表面粗さは、側壁面、面取面ともに、粗研削加工ではRaで0.2μm程度、仕上げ研削加工ではRaで0.05μm程度であった。
(4)端面研磨工程
次いで、ガラス基板の外周側端面の研磨を行った。研磨砥石として粒度1.2μmの酸化セリウム砥石、研磨液として酸化セリウムスラリーを用い、砥石の周速度を100m/分、ガラス基板の周速度を10m/分(したがって砥石とガラス基板の周速度比は10である)としたこと以外は、上述の外周側端面の研削加工に用いた図2の方法により行った。研磨時間は約12秒間とした。
次いで、ガラス基板の内周側端面についても、研削砥石と研削液の種類、砥石とガラス基板の周速度を外周側端面の場合と同様に変更したこと以外は、上述の内周側端面の研削加工に用いた図3の方法により行った。研磨時間は約10秒間とした。
こうして100枚の研削、研磨加工を終えたガラス基板の外周側端面の表面粗さは、側壁面と面取面のいずれにおいても平均値でRaが0.1μm程度の鏡面に仕上がっていた。また、2つの面取面のいずれにおいても面内のRaのばらつきは±0.01μm以内であった。研磨後のガラス基板の外周側端面形状をコントレーサーで測定したところ、図1に示すような、端面12が、2つの面取面12bとその間の側壁面12aとからなる所定の面取り形状に仕上がっていた。内周側端面についてもほぼ同様な形状に仕上がっていた。そして、内・外周の面取面と側壁面の角度ばらつきは45度に対して0.8°以内であり、内周寸法のばらつきはφ20mmに対して±3μm以内であり、外径端寸法のばらつきはφ65mmに対して±10μm以内であった。また研磨仕上り後の端面観察において、残留する加工損傷を顕微鏡(倍率×200)を用いて外周端面の全面を観察したが、その残留痕は確認されず、良好な研磨面となっていた。
また、上記ガラス基板の内周側端面の表面粗さは、側壁面と面取面のいずれにおいても平均値でRaが0.1μm程度の鏡面であり、2つの面取面のいずれにおいても面内のRaのばらつきは±0.01μm以内であった。
そして、上記端面研磨加工を終えたガラス基板の表面を水洗浄した。
(5)主表面第1研磨工程
次に、上述したラッピング工程で残留した主表面の傷や歪みの除去するため第1研磨工程を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、このキャリアをサンギアとインターナルギアとに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、研磨工程を実施した。研磨条件は、研磨液としては酸化セリウム(平均粒径1.3μm)を研磨剤として分散したRO水とし、荷重:100g/cm、研磨時間:15分とした。上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
(6)主表面第2研磨工程
次に第1研磨工程で使用したものと同じタイプの両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェードパット)に変えて、第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えば表面粗さRaを1.0〜0.3μm程度以下まで低減させることを目的とするものである。研磨条件は、研磨液としては酸化セリウム(平均粒径0.8μm)を分散したRO水とし、荷重:100g/cm、研磨時間を5分とした。上記第2研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
(7)化学強化工程
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記洗浄・乾燥済みのガラス基板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。化学強化を終えたガラス基板を硫酸、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
次に、上記洗浄を終えたガラス基板表面の目視検査及び光の反射・散乱・透過を利用した精密検査を実施した。その結果、ガラス基板表面に付着物による突起や、傷等の欠陥は発見されなかった。また、上記工程を経て得られたガラス基板の主表面の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM)にて測定したところ、Ra=0.20nmと超平滑な表面を持つ磁気ディスク用ガラス基板を得た。また、ガラス基板の外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmに仕上がっていた。
以上の様にして磁気ディスク用ガラス基板を約1万枚製造してロングランテストを行った。その結果、1度目の端面研削、研磨加工により、所定の端面形状、寸法精度、表面粗さをクリアした良品率は平均90%以上であり、不良となった基板についても再研磨により良品となったものがほとんどであった。
次に、上記で得られた磁気ディスク用ガラス基板を使用し、その主表面上に、枚葉式スパッタリング装置を用いて、以下の付着層、軟磁性層、第1下地層、第2下地層、磁性層を順次成膜し、次いでプラズマCVD法により炭素系保護層を形成し、更にその上に潤滑層をディップ法により形成して磁気ディスクを得た。
上記付着層は、Ti系合金薄膜を膜厚100Åに形成した。上記軟磁性層は、Co系合金薄膜を膜厚600Åに形成した。上記第1下地層は、Pt系合金薄膜を膜厚70Åに形成し、第2下地層は、Ru合金薄膜を膜厚400Åに形成した。上記磁性層は、CoPtCr合金からなり、膜厚は200Åに形成した。また、上記保護層はダイヤモンドライク炭素保護層とした。また、上記潤滑層には、アルコール変性パーフルオロポリエーテル潤滑剤を用いた。
こうして得られた磁気ディスクは垂直磁気記録方式用の磁気ディスクである。
得られた磁気ディスクを、ロードアンロード(LUL)方式のHDD(ハードディスクドライブ)に搭載した。磁気ヘッドは巨大磁気抵抗効果型再生素子(GMR素子)を備えた磁気ヘッドを使用し、磁気ヘッドの浮上量は10nmとした。HDD内の環境を70℃、80%RHの高温高湿環境下で、ヘッドのロードアンロード動作を繰り返して行うLUL耐久試験を行ったところ、本実施例の磁気ディスクは、100万回のLUL動作に故障することなく耐久した。また、フライングスティクション障害も発生しなかった。
(実施例2)
実施例1におけるガラス基板の外周側端面の研削工程及び研磨工程において、前述の図4に示す方法にしたがって、砥石の外周側に形成した溝方向に対して基板の回転軸を15度(α=15度)傾けた状態で、砥石とガラス基板の外周側(端面)同士を接触させながら、ガラス基板と砥石の両方を回転させることにより、ガラス基板の外周側端面の側壁面及び面取面の両方の面を研削及び研磨加工した。なお、この場合の砥石の材質と研削液(研磨液)の種類は実施例1と同様のものを使用した。また、この場合の砥石とガラス基板の夫々の周速度は実施例1と同様にした。
こうして100枚の研削、研磨加工を終えたガラス基板の外周側端面の表面粗さは、側壁面と面取面のいずれにおいても平均値でRaが0.1μm程度の鏡面に仕上がっていた。また、2つの面取面のいずれにおいても面内のRaのばらつきは±0.01μm以内であった。研磨後のガラス基板の外周側端面形状をコントレーサーで測定したところ、図1に示すような、端面12が、2つの面取面12bとその間の側壁面12aとからなる所定の面取り形状に仕上がっていた。内周側端面についてもほぼ同様な形状に仕上がっていた。そして、内・外周の面取面と側壁面の角度ばらつきは45度に対して0.8°以内であり、内周寸法のばらつきはφ20mmに対して±3μm以内であり、外径端寸法のばらつきはφ65mmに対して±10μm以内であった。また研磨仕上り後の端面観察において、残留する加工損傷を顕微鏡(倍率×200)を用いて外周端面の全面を観察したが、その残留痕は確認されず、良好な研磨面となっていた。
また、上記ガラス基板の内周側端面の表面粗さは、側壁面と面取面のいずれにおいても平均値でRaが0.1μm程度の鏡面であり、2つの面取面のいずれにおいても面内のRaのばらつきは±0.01μm以内であった。
以上の点以外は、実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
以上の様にして磁気ディスク用ガラス基板を約1万枚製造してロングランテストを行った結果、1度目の端面研削、研磨加工により、所定の端面形状、寸法精度、表面粗さをクリアした良品率は平均90%以上であり、不良となった基板についても再研磨により良品となったものがほとんどであった。
次に、上記で得られた磁気ディスク用ガラス基板を使用し、実施例1と同様にして磁気ディスクを製造した。
得られた磁気ディスクについて、実施例1と同様のLUL耐久試験を行ったところ、本実施例の磁気ディスクは、100万回のLUL動作に故障することなく耐久した。また、フライングスティクション障害も発生しなかった。
(比較例)
本比較例は、ガラス基板の外周側及び内周側端面の研削加工を従来の方法を用いて行った点が前述の実施例とは相違する。すなわち、円筒状の研削砥石の回転軸に対してガラス基板の主表面が垂直となるようにガラス基板の端面と研削砥石の外周面同士を接触させた状態で両者を回転させながら研削加工を行った。研削砥石には、電着ボンドを用いた粒度#325のダイヤモンド砥石(あるいは酸化セリウム砥石)を用いた。その他の研削条件については適宜調整して行った。
次いで、従来の研磨ブラシ、研磨装置を用いて、ガラス基板の外周側及び内周側端面の研磨を行った。この場合の研磨ブラシのブラシ毛の材質は6−6ナイロンを使用した。研磨剤は酸化セリウムを使用し、この酸化セリウムを含む約30℃の研磨液を供給した。その他の研磨条件については適宜調整して行った。
以上の点以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
こうして100枚の研削、研磨加工を終えたガラス基板の外周側端面の表面粗さは、側壁面と面取面のいずれにおいても平均値でRaが0.06μm程度であったが、2つの面取面のいずれにおいても面内のRaのばらつきは±0.02μmと大きかった。また、外径寸法のばらつきは50μm程度と大きかった。
研磨後のガラス基板の外周側端面形状をコントレーサーで測定したところ、図1に示すような、端面12が、2つの面取面12bとその間の側壁面12aとからなる所定の面取り形状に仕上がっていた。そして、外周側端面の面取り角度のばらつきは45度に対して±5°と大きく、外周側端面の寸法形状精度は良好ではなかった。さらに面取面では研削加工時のダメージである残留クラックが顕微鏡観察によって確認された。
また、上記ガラス基板の内周側端面の表面粗さは、平均値でRaが0.05μm程度であったが、2つの面取面のいずれにおいても面内のRaのばらつきは±0.02μmと大きく、内径寸法のばらつきについても±10μm程度と大きかった。
そして、本比較例においても、上記2.5インチ磁気ディスク用ガラス基板を約1万枚製造してロングランテストを行ったところ、1度目の端面研削、研磨加工により、所定の端面形状、寸法精度、表面粗さをクリアした良品率は平均70%以下であった。
本発明に係わる磁気ディスク用ガラス基板を示すもので、(A)はその一部を断面で示した側面図、(B)はその平面図である。 本発明の第1の実施の形態を示すもので、(A)は研削砥石を用いて磁気ディスク用ガラス基板の外周側端面を研削加工している状態を示す側断面図、(B)はその平面図(一部平断面図)である。 (A)は研削砥石を用いて磁気ディスク用ガラス基板の内周側端面を研削加工している状態を示す側断面図、(B)は上記研削砥石の平断面図である。 本発明の第2の実施の形態を示すもので、研削砥石を用いて磁気ディスク用ガラス基板の外周側端面を研削加工している状態を示す側面図である。 本発明におけるガラス基板と研削砥石との当接状態を説明するための要部側面図である。
符号の説明
1 磁気ディスク用ガラス基板
2,6 外周側端面研削砥石
4 内周側端面研削砥石
3,5,7 溝
10 ディスク状ガラス基板(ガラスディスク)
11 ガラス基板の主表面
12 ガラス基板の外周側端面
12a 側壁面
12b 面取面
13 ガラス基板の内周側端面

Claims (11)

  1. 円板状のガラス基板の端面部分に研削液を供給しつつ、前記ガラス基板の端面に砥石を接触させて研削することにより前記ガラス基板の端面を加工する磁気ディスク用ガラス基板の加工方法であって、
    前記砥石は、前記ガラス基板の端面と接触する面に溝形状を有し、該溝形状は、前記ガラス基板の端面の側壁面と、該ガラス基板の主表面と側壁面との間の面取面との両方の面を同時に研削加工できるように形成されており、
    前記ガラス基板の端面に当接する前記砥石の軌跡が一定とならないように、前記ガラス基板の端面と前記砥石とを接触させ且つ前記ガラス基板と前記砥石とを相対的に移動させることにより、前記ガラス基板の端面の前記側壁面及び面取面の両方の面を研削加工することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の加工方法。
  2. 円板状のガラス基板の端面部分に研削液を供給しつつ、前記ガラス基板の端面に砥石を接触させて研削することにより前記ガラス基板の端面を加工する磁気ディスク用ガラス基板の加工方法であって、
    前記砥石は、前記ガラス基板の端面と接触する面に溝形状を有し、該溝形状は、前記ガラス基板の端面の側壁面と、該ガラス基板の主表面と側壁面との間の面取面との両方の面を同時に研削加工できるように形成されており、
    前記ガラス基板の両方の主表面と側壁面との間の2つの面取面が同時に前記砥石と当接するとともに、2つの面取面と前記砥石とのそれぞれの当接位置がガラス基板の主表面と直交する同じ方向線上には位置しないように、前記ガラス基板の端面と前記砥石とを接触させ且つ前記ガラス基板と前記砥石とを相対的に移動させることにより、前記ガラス基板の端面の前記側壁面及び面取面の両方の面を研削加工することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の加工方法。
  3. 前記砥石に形成された溝形状の溝方向に対して前記ガラス基板を傾けた状態で研削加工することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の加工方法。
  4. 前記ガラス基板の端面と前記砥石とを接触させ且つ前記ガラス基板と前記砥石の両方を回転させることにより研削加工することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の加工方法。
  5. 前記砥石の周速度をAとし、前記ガラス基板の周速度をBとしたときに、前記砥石と前記ガラス基板の周速度比A/Bが、30以上であることを特徴とする請求項4に記載の磁気ディスク用ガラス基板の加工方法。
  6. 前記砥石として、砥粒と樹脂とからなるレジン砥石、砥粒と金属結合材からなるメタル砥石、砥粒とガラス質結合材からなるビトリファイド砥石、及びそれらの結合材を混合させた複合砥石を用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の加工方法。
  7. 前記ガラス基板の端面を研削加工した後、同じく端面を鏡面研磨することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の加工方法。
  8. 前記鏡面研磨は、砥石及び研削液の種類と、砥石とガラス基板の周速度比を前記研削加工時とは変更して行うことを特徴とする請求項7に記載の磁気ディスク用ガラス基板の加工方法。
  9. 円板状のガラス基板の端面を請求項1乃至8のいずれか一項に記載の加工方法により研削加工する工程を有することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  10. 基板端面の研削加工工程を含む製造方法によって製造された磁気ディスク用ガラス基板であって、
    前記ガラス基板の端面は、側壁面と、該ガラス基板の両方の主表面と側壁面との間の2つの面取面とから形成され、2つの面取面のいずれにおいても面内の表面粗さRaのばらつきが±0.01μm以内であることを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板。
  11. 請求項9に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によって製造された磁気ディスク用ガラス基板または請求項10に記載の磁気ディスク用ガラス基板の主表面上に少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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