JP2010004846A - 容器入り米飯固形状食品およびその製造方法 - Google Patents

容器入り米飯固形状食品およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】歩きながらでも、仕事しながらでも、あるいは通勤途中等々、いろいろな場面での喫食が可能で、常温で長期保存が可能な容器入り米飯固形状食品とその製造方法を提供することにある。
【解決手段】α化した米飯が収納用容器に充填密封後加熱殺菌してなる容器入り米飯固形状食品であって、熱凝固した乳清タンパク質が含まれてなる、容器入り米飯固形状食品および、上記容器入り米飯固形状食品を製造するための方法として、米に第一吸水処理と加熱処理と第二吸水処理を施した後、乳清タンパク質溶液を混合して容器に充填密封した後、加熱殺菌を施しその後冷却す方法又は上記容器入り米飯固形状食品を製造するための方法として、米に吸水させた後炊飯処理した後、乳清タンパク質溶液を混合して容器に充填密封した後、加熱殺菌を施しその後冷却する容器入り米飯固形状食品の製造方法である。
【選択図】 図3

Description

本発明は、米飯(うるち米、もち米、これらの混合米)の新しい食べ方を提供することができる、常温で長期保存が可能な容器入り米飯固形状食品とその製造方法に関する。
従来より、米飯を容器に充填して成形することが行なわれており、例えば、うるち米の米飯を型にいれ圧縮成形した成形飯をプラスチックフィルムで密封包装することにより、手で握っても崩れないという保形性を有し、保存性に優れた成形飯の製造方法がある(特許文献1)。当該方法では、うるち米の炊飯米を型に入れておにぎりを製造するときよりも大きな圧力(圧縮時に単位面積当り1〜2kg/cm2の圧力)で成形した際に米飯表面はベタベタしたものになり、プラスチックフィルムに密封包装した後、当該プラスチックフィルムから取り出す際に、成形飯の表面が当該プラスチックフィルムに引っ付いて、取り出しにくいものになっていると思われる。また、米飯を成形する度に圧力をかける装置と手間が必要となる。
また、冷凍米飯を凍結状態または解凍した状態で容器に入れ、水または蛋白質水溶液の共存下で、加熱成形する成形米飯食品の製造方法が記載されており、また、上記蛋白質水溶液の例として、全卵、卵白、乳蛋白、大豆蛋白等が公知になっている(特許文献2)。しかし、この発明では160〜220℃という高温度で加熱というようも米飯の表面を焼いてたこ焼き風やお好み焼き風、あるいはオムレツ型に成形しており、また、使用する蛋白質は、水溶性蛋白で、例えば全卵、卵白、乳蛋白、大豆蛋白を用いるもので、乳清タンパク質については全く記載されていない。
また、水分含量が57〜70%となるように糯米に吸水させた後、炊飯することにより、過度に軟らかい食感となることを防止し、かつ、長時間に亘り澱粉の老化を防止することができる米飯の製造方法が公知になっている(特許文献3)。すなわち、この発明は、糯米を使って長時間に亘り澱粉の老化を防止した米飯を作るための方法が記載されているだけであり、米飯を成形してスナック感覚でいつでもどこでも喫食できるように工夫する方法については、全く記載されていない。従って、上記米飯を型に入れて成形し、型離れの悪さを改善することについても全く記載されていない。
特開平5−15328号公報 特開平5−111354号公報 特開2006−174780号公報
本発明の目的は、歩きながらでも、仕事しながらでも、あるいは通勤途中等々、いろいろな場面での喫食が可能で、常温で長期保存が可能な容器入り米飯固形状食品とその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するためには、米飯を固形状に成形して米飯固形状食品とすると共に、当該米飯固形状食品を容器に充填密封し加熱殺菌し冷却した後に、当該米飯固形状食品を容器から取り出す際の型離れの悪さを改善する必要があったが、熱凝固した乳清タンパク質が米飯の米粒一つ一つを覆うと共に米粒一つ一つを引っ付けて米飯食品を固形状となし、当該米飯固形状食品を覆うように存在することにより、前記型離れの悪さを改善し、米飯固形状食品を収納容器から簡単に取り出すことができるという知見を得た。
かかる知見に基づき開発された本発明は、α化した米飯が収納用容器に充填密封後加熱殺菌してなる容器入り容器に充填密封され、加熱殺菌されてなる容器入り米飯固形状食品であって、該米飯固形状食品は米飯食品が固形状に成形されており、当該米飯固形状食品を覆うように熱凝固した乳清タンパク質が存在してなる容器入り米飯固形状食品である。
また、本発明は、上記容器入り米飯固形状食品を製造するための方法であってとして、吸水処理米または炊飯処理米と乳清タンパク質溶液を混合して容器に充填密封した後、加熱殺菌を施しその後冷却することを特徴とする容器入り米飯固形状食品の製造方法である。
本発明の容器入り米飯固形状食品の米飯固形状食品は、乳清タンパク質の作用によって容器への引っ付きもなく、また柔軟性があり、容器からの取り出しに当たっては、当該米飯固形状食品を上下に曲げたりしながら容器から容易に取り出すことができるので、いつでも、どこでも、米飯固形状食品を食することができる。また、米飯固形状食品は、パンや菓子よりも腹持ちがよいので、小腹のすいた時にスナック感覚で食することができる。また、上記米飯固形状食品は、比較的簡単に引きちぎることができるので、離乳食や介護食としてもよい。
食したときの食感は、おもちでもなく、ごはんでもなく、独特の粒々感ともっちり感があり、これに種々の具材や味付けを加えることにより、色々な味を味合うことができる。
また、容器の形状や大きさを手で包むことができる程度のものにすることにより、歩きながらでも、仕事しながらでも、あるいは通勤途中等々、いろいろな場面で喫食することができる。また、本発明の容器入り米飯固形状食品は、加熱殺菌されており、常温で長期保存ができ、保存後でもそのまま、あるいは電子レンジ等で加熱して食することができる。従って、非常食、携帯食として利用することもできる。
更に、本発明の容器入り米飯固形状食品は、煮込み加熱によっても煮崩れしないので、煮込み料理の具材とすることもできる。
本発明の容器入り米飯固形状食品は、うるち米またはもち米であるいはそれらの混合米の米飯から米飯食品が構成されており、また、熱凝固した乳清タンパク質が含まれており、当該熱凝固した乳清タンパク質は前記米飯食品の米粒ひとつひとつを覆うと共に米粒ひとつひとつを引っ付けて米飯固形状食品を形成せしめ、当該米飯固形状食品を覆うように存在している。
使用する米は、うるち米であってもよく、もち米であってもよく、あるいはこれらの混合米であってもよいが、うるち米の場合は、こしひかり、ひとめぼれ、ササニシキ等を使用すればよく、本発明の目的を達成する上からは、ミルキークイーンが最も好ましい。また、もち米の場合は、こがねもち、はくちょうもち、峰の雪もち、クレナイモチ、ヒメノモチ、羽二重糯等を使用すればよく、本発明の目的を達成する上からは、はくちょうもちが最も好ましい。
当該容器入り米飯固形状食品の水分含量は、米飯がうるち米かもち米か、またはこれらの混合米かによって多少異なるが、例えばもち米を使用した容器入り米飯固形状食品を例にとるとその水分含量は、67〜77質量%、好ましくは70〜73質量%であり、容器入り米飯固形状食品の水分含量が70〜73質量%の場合、常温(25℃)で長期間、例えば6ヶ月間の保存が可能となる。さらに上記容器入り米飯固形状食品の水分含量が73〜77質量%の水分の場合には、常温(25℃)1年間の長期保存が期待できる。上記水分含量が少ないものになると、上記加熱殺菌された容器入り米飯固形状食品は時間の経過と共に食感もパサパサしたものになり、長期保存効果が得られなくなる。反対に、上記水分含量が多いものになると、吸水に多くの時間がかかることになり、また米の粒々感が感じられなくなる。なお、うるち米を使用した容器入り米飯固形状食品の水分含量としては、72〜75質量%程度である。
また、上記容器入り米飯固形状食品に、グルコース、トレハロース、デキストリン、HLB値の低いショ糖脂肪酸エステル類等を含ましめることにより常温での長期保存効果を高めることができる。この効果は、うるち米の場合に特に好ましい。
該容器入り米飯固形状食品の形は、米飯食品が適宜形状の固形状に成形されたものであり、例えば前記容器の形に合わすように米飯食品の形を成形したり、反対に米飯食品が成形された固形状の形に合わすように容器の形を成形する。こうした成形物としては、板かまぼこ状や円柱状、短冊状、その他色々と工夫された形状で、片手で握ることができるような大きさであることが好ましい。そして、該容器入り米飯固形状食品中の米飯固形状食品は、該容器から取り出しても、乳清タンパク質を加熱して熱凝固させることによって形状が保持されているので上記米飯固形状食品の形状が容易に壊れるということはない。
米飯固形状食品が乳清タンパク質を含んでいない場合、加熱殺菌の折に収納された容器の内面に当該米飯固形状食品が引っ付き易くなり、結果的に当該米飯固形状食品を容器から取り出し難くなる傾向にある。一方、乳清タンパク質を前記米飯固形状食品に含ませることにより、加熱殺菌時に乳清タンパク質が熱凝固して前記米飯固形状食品を覆うように形成されることにより、上記課題を解決することができるのである。この効果は、他のタンパク質、例えば大豆タンパク質、小麦タンパク質、卵白タンパク質、エンドウタンパク質等では達成することができない、乳清タンパク質特有の効果である。
こうした乳清タンパク質は脱脂乳の酸処理によって得られる乳清(酸ホエイ)あるいはチーズ製造工程から得られる乳清(甘性ホエイ)を膜処理して、ミネラルや乳糖などの低分子成分を除去してタンパク成分を濃縮し、スプレードライして製造される。濃縮の度合いによりタンパク含量80%以上のものを一般にWPC(ホエイプロテインコンセントレート)と呼び、イオン交換や精密濾過を併用し、タンパク含量を90%以上に高めたものをWPI(ホエイプロテインアイソレート)と呼ぶ。
乳清タンパク質は一般的に60℃以上に加熱することによって、タンパク質が変性し、タンパク質濃度が高ければゲルを形成する。このゲルは他に影響を与える程の強い味、臭いを有しておらず、それ故に本発明では、米飯の風味や外観に悪影響を与えることなく米飯固形状食品を成形することを達成するために、乳清タンパク質を選択した。また、乳清タンパク質は、必須アミノ酸9種類のすべてを含み優れた栄養源であるため、食品の栄養強化の目的でも利用することができる。
乳清タンパク質は米飯固形状食品に対して、1〜10質量%、好ましくは3〜7質量%含ませるのがよい。タンパク含量が1質量%よりも低いとゲル化し難く、成形できない可能性がある。10質量%よりも高いと、乳清タンパク質によるゲルの食感がカマボコ様になり、米飯の食感を味合うことが困難になってくる。
透明感のある優れた外観を有する米飯固形状食品を得るためには、乳清タンパク質として不純物の少ないWPI(ホエイプロテインアイソレート)を使用すること、米飯固形状食品のpHがpH6.5〜7.5に調整されていることが望ましい。例えば、後述する調味料などを使用する場合にはpHの低下が起こりやすいので、pH調整剤を使用して、pHを上記範囲内に調整することが望ましい。pH調整剤としては、弱アルカリ性〜アルカリ性のあらゆる物質が考えられ、例えば、クエン酸三ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を掲げることができる。
米飯固形状食品のpHが6.5よりも低くなると、乳清タンパク質のゲルに濁りが生じはじめ、透明性が得られなくなる。また、pHが7.5を超える条件については、一般的な食品のpH域が基本的に酸性であることから、食品のpHとしては望ましくない。
調味の目的で、調味料や具材を米飯固形状食品に含ませてもよい。調味料としては、醤油、だし、コンソメスープ、砂糖、塩、味噌、香辛料などを例示することができる。具材としては野菜類、畜肉・魚肉類、植物タンパク類、海藻類、穀物類、豆類などを例示することができる。米飯や具材に乳清タンパク質溶液が均一に絡むように、増粘多糖類などの粘性を付与できる物質で物性を調整してもよい。粘性付与に用いる増粘多糖類としては冷水にも可溶なキサンタンガム、グアーガムなどが特に望ましい。
当該米飯固形状食品は容器に充填密封される。当該容器は加熱殺菌に耐え得る耐熱性の樹脂製、金属製等の成形容器やパウチなどである。当該容器に充填密封後、加熱殺菌されてなる容器入り米飯固形状食品は常温で長期間の保存が可能となる。なお、上記加熱殺菌は加熱調理も兼ねるものであってもよい。
加熱殺菌の加熱条件としては70〜130℃という温度を例示することができる。加熱温度が70℃より低い場合は、乳清タンパク質が熱凝固されず、上記した熱凝固した乳清タンパク質による米飯の固形状ができないことになる。一方、加熱温度が130℃より高い場合は、米飯の食感が損なわれたり、米飯固形状食品のべたつきが強くなる可能性がある。かくして、本発明の容器入り米飯固形状食品となる。
次に本発明の容器入り米飯固形状食品の製造方法を以下に述べる。
すなわち、容器入り米飯固形状食品の製造方法は、吸水処理米または炊飯処理米と乳清タンパク質溶液を混合して容器に充填密封した後、加熱殺菌を施しその後冷却することである。そして、上記吸水処理米は、米に第一吸水処理と加熱処理と第二吸水処理を施すことによって水分含量65〜75質量%の水分を有している。また、上記炊飯処理米は、浸漬処理した米を常法により炊飯処理することによって水分含量65〜75質量%の水分を有している。
上記吸水処理米は、米粒表面の糊化が進行しにくいため、米粒表面のべたつきが炊飯処理米よりも抑えられており、後工程での作業性および米飯の食感という点からより好ましい方法である。
吸水処理米の製造方法について述べる。
(第一吸水処理)
まず、米を水浸漬することにより、米の水分含量を好ましくは25〜50質量%、より好ましくは28〜42質量%に調整する。具体的には米を室温(25℃)の水に30分以上浸漬することにより米の水分含量を前記範囲に調整することができる。ただし、この吸水処理は水温が60℃を超えない条件下で行う必要がある。水温が60℃を超えるような条件下で吸水処理を行うと、澱粉の糊化が進行し易くなるからである。この吸水処理では澱粉を糊化させないように吸水させるのがよい。
このような吸水処理を経ることによって、後工程の第二吸水処理で必要な量の水分を米に吸水させることができるようになる。
第一吸水処理後の米の表面に水が多く付着している場合には、次工程の加熱処理の前に米の表面に付着している水を除去するのが好ましい。水の除去は、例えば第一吸水処理後の米を篩の上に載せて放置するか、又は篩を振るなどして水切りすればよい。あるいは、第一吸水処理後の米に送風して米の表面を乾燥させたり、遠心分離して水切りすることもできる。
(加熱処理)
第1吸水処理後の米に加熱処理を施す。これにより、前記したように、次工程の第2吸水処理で必要な量の水を吸水させることができるようになる。この加熱処理は、できるだけ澱粉を糊化させないように、第1吸水処理後の米に対し実質的に水を加えることなく加熱処理を施すのがよい。
このような観点から、加熱処理方法としては、米に飽和水蒸気を接触させて、直接蒸煮する方法が挙げられる。別の方法としては、米に対し過熱水蒸気を接触させたり、米を容器に収容密封し、容器に熱水を接触させるなどして、容器内の米を加熱することもできる。
この加熱処理における加熱条件としては、例えば、60〜130℃で30秒間〜120分間、好ましくは100〜110℃で5分〜60分間の条件を挙げることができる。特に好ましい条件で加熱処理を施した場合には、米の色調や風味を変質させることなく、次工程の第二吸水処理で後述する水分含量にまで米に吸水させることができる。
(第二吸水処理)
上記過熱処理した米に、再度吸水処理を施して、必要な量の水を吸水させる。すなわち、第二吸水処理後の米の水分含量が65〜75質量%になるように吸水させる。具体手には、加熱処理後の米を、室温(25℃)の水に一定時間保持することによって行うことができる。この際、吸水後の水分含量が上記範囲内となるように水の量目を調整する。この吸水処理についても、第一吸水処理と同様に澱粉の糊化を進行しにくくするため、水温が60℃を超えない条件下で行うべきである。尚、この第二吸水用の水には、 調味の目的で醤油、だし、コンソメスープ、砂糖、塩等の各種調味料を添加することができる。
次に、炊飯処理米の製造方法について述べる。
浸漬米を常法により炊飯し、米の水分含量を65〜75質量%にする。
常法による炊飯とは、調理器具の電気炊飯器あるいは深めの鍋(特に土鍋など)を使用して、米を30分程度水に浸漬させた後、加熱することである。尚、このときの水には、調味の目的で各種調味料を添加することができる。
次に、乳清タンパク質を上記吸水処理米または炊飯処理米に添加するが、添加し易いように乳清タンパク質を乳清タンパク質溶液に調整する。その調整方法は、予め水に分散した水溶液の状態で使用しても良いし、調味料の入った溶液中に粉末の状態で添加し分散させても良い。ただし、水系の溶液への分散性がそれほど良好ではないので、ミキサーなどを用いて高速攪拌により分散させることが望ましい。起泡が目立つ場合には、シリコーン樹脂などの消泡材を使用して、消泡して使用してもよい。
上記方法により得た乳清タンパク質溶液を上記水分調整された米に添加混合するが、その後の処理方法としては、例えば、当該米に乳清タンパク質溶液を添加混合した後、前記した板かまぼこ状や円柱状、短冊状、その他色々と工夫された形状で、片手で握ることができるような大きさに成形された型に入れて加熱処理して米飯を固形状に成形し、該米飯の固形状とほぼ同じ大きさの形状を有する容器に充填密封し、加熱殺菌する方法がある。別の方法としては、上記水分調整された米と乳清タンパク質溶液を一緒に容器に充填密封し、加熱殺菌と同時に調理する方法である。この場合の容器は上記のように成形された容器であってもよく、ピロー包装や三方シールされた袋状容器であってもよい。このようにして本発明の容器入り米飯固形状食品を得るが、これ以外の方法であってもよい。いずれの場合も、容器入り米飯固形状食品の容器には開封し易い仕掛けが施されていることが望ましい。
長期保存する場合は、所定の殺菌価が得られる条件での加熱殺菌が必要となる。例えば、pH4.6以上で水分活性が0.94以上の食品についてはレトルト殺菌が必要となる。
このようにして、風味・外観が好ましく、容器包材からの取り出しが良好で崩れ難く、例えば、水分含量68〜72質量%の場合は常温(25℃)6ヶ月間、73〜77質量%の場合には、常温(25℃)1年間の保存効果が可能な、本発明の容器入り米飯固形状食品を得ることができる。
(比較実験例)
1.比較実験方法
米飯の成形に最も適した素材を選択するため、加熱凝固性のある物質(乳清タンパク質、カードラン、乾燥卵白、大豆タンパク質、小麦タンパク質、エンドウタンパク質)それぞれについて、単独ゲルの品質および吸水させた米とタンパク液を混合した成形米飯の品質を確認した。
2.単独ゲルの品質確認
カードラン3質量%水溶液、乾燥卵白15質量%水溶液、それ以外のタンパクについては30質量%水溶液をガラスビーカーに100gずつ作成し、ラップをして600Wの電子レンジで30〜50秒(ゲル化するまで)加熱した。できあがったゲルの物性を色、物性、風味の3項目について評価した結果を表1に示す。(米飯の外観・風味を損ねない思われるものを◎とし、また優れた物性のもの(成形性のすぐれたもの)を◎とし、以降は順に○、△、×と評価した。
実験結果より、成形米飯に適した物性を達成する可能性のある候補として、乳清タンパク質、カードラン、乾燥卵白、大豆タンパク質を選出した。
3.米飯固形状食品への適正確認
第二吸水処理後の水分70質量%の吸水米100gに対し、乳清タンパク質30質量%水溶液40g、カードラン3質量%水溶液40g、乾燥卵白15質量%水溶液40g、大豆タンパク20質量%水溶液40gをそれぞれ添加・混合し、それらの一部をプラスチック性のスティック状容器に満注(13g程度)充填した後、破裂防止のため少し蒸気口を空けてシールし、600Wの電子レンジで30〜50秒(ゲル化するまで)加熱した。成形された米飯固形状食品について、米飯固形状食品としての評価結果を下表に示す。米飯固形状食品の品質(外観・風味)を損ねておらず、成形性に優れていると思われるものから順に○、△、×と評価した。
この結果、乳清タンパク質を用いたときに、外観・物性・風味の点から最も米飯の品質を損ねることなく、米飯固形状食品として優れた品質をもつことが確認された。また、容器からの型離れの良さについても乳清タンパク質が最も優れていた。
もち精白米はくちょうもち25gを2倍量の水(25℃)に3時間浸漬して水分38質量%とする。その後、水切り後、ザルに薄く広げた状態で蒸し器内で10分間蒸煮した。蒸煮後のもち米はドライヤーで冷却した後水36gを添加して、1時間室温に静置し、吸水させた。
一方、WPI(ホエイプロテインアイソレート)の乳清タンパク質(ALACEN895:森永乳業)を家庭用ミキサーを使用して水に分散させ、18.4%質量水溶液を作成した。消泡の目的でシリコーン樹脂(シリコーンKM−27F:信越化学工業)を乳清タンパク質水溶液中にシリコーン濃度30ppmとなる濃度で添加した。
上記乳清タンパク質水溶液28gに粘性付与の目的でグアーガムを0.29g添加し、分散させた。
吸水後のもち米と乳清タンパク質水溶液を混合し、板かまぼこ状に成形された樹脂製容器(23mm×70mm×18mm)に27gずつ充填し、なるべく空気が入らないように密封シールして、レトルト殺菌を行った後に冷却処理した。
得られた容器入り米飯固形状食品から米飯固形状食品を取り出したところ、容器からの取り出しもよく、べたつきが少なく、くずれにくい物性であった。またコンパクトサイズで、携帯食としても優れていた。最終的な全体水分量は73質量%で、5℃条件下で60日間保存した後も、喫食に問題のないやわらかい米飯の食感を維持していた。これを常温(25℃)に置き換えると約1年相当に匹敵する。
なお、上記容器入り米飯固形状食品の容器から米飯固形状食品を取り出す模様を図1〜図5で示した。図1は、容器入り米飯固形状食品を表す。図2は、容器入り米飯固形状食品の容器から米飯固形状食品を取り出すために、容器入り米飯固形状食品を手に取った状態を表す。図3は、容器入り米飯固形状食品の容器から米飯固形状食品を取り出す様子を表す。図4は、容器入り米飯固形状食品の容器から米飯固形状食品を取り出し、食しようとする様子を表す。図5は、容器入り米飯固形状食品から取り出した米飯固形状食品を少し拡大したものを表す。当該図1〜図5により、上記容器入り米飯固形状食品の容器から米飯固形状食品を容器への引っ付きもなく容易に取り出すことができることがわかる。また、取り出された米飯固形状食品の表面には光沢があり、美味しそうな外観を呈していた。
玄米もち米ヒヨクモチは搗精度98%まで研削した搗精米として25gを2倍量の水に16時間浸漬し、水切り後、ザルに薄く広げた状態で蒸し器内で10分間蒸煮した。蒸煮後のもち米はドライヤーで冷却した後水36gを添加して、1時間室温に静置し、吸水させた。
WPI(ホエイプロテインアイソレート)の乳清タンパク質(ALACEN895:森永乳業)は家庭用ミキサーを使用して水に分散させ、18.4質量%水溶液を作成した。消泡の目的で上記シリコーン樹脂を乳清タンパク質水溶液中30ppmとなる濃度で添加した。
上記乳清タンパク質水溶液28gに粘性付与の目的でグアーガムを0.29g添加し、分散させた。
吸水後のもち米と乳清タンパク質水溶液を混合し、円筒状の合成樹脂の型(20mm×70mm×20mm)の円状の蓋を開封し、型内に上記混合物を入れ、中心部には市販のレトルト餡子を5g包含させた。蓋を閉じた後、加熱調理して円筒状の米飯固形状食品22gを得た。その後、上記型から取り出した円筒状の米飯固形状食品を円筒状の樹脂製容器(20mm×70mm×20mm)に充填し、密封シール後、レトルト殺菌を行った後に冷却処理した。
よって得られた容器入り米飯固形状食品は玄米の殻の独特の食感が特徴的な、和菓子のような新規性のある食品となった。また、容器からの取り出しもよく、べたつきが少なく、くずれにくい物性であった。最終的な全体水分量は73質量%で、5℃条件下で60日間保存した後も、喫食に問題のないやわらかい米の食感を維持していた。これを常温(25℃)に置き換えると約1年相当に匹敵する。
うるち精白米まっしぐら13gを2倍量の水(25℃)に3時間浸漬し、水切り後、ザルに薄く広げた状態で蒸し器内で20分間蒸煮した。蒸煮後のうるち米はドライヤーで冷却し、ビニール袋に移した後、水27gを添加して袋を密封し、40℃恒温水槽内に2時間静置し、吸水させた。
乳清タンパク質6g、トレハロース5g、カレーパウダ1g、チキンコンソメ2g、塩0.3g、水42gを混合した溶液を作成した。上記溶液にpH調整の目的で重曹0.23gを添加し、pHを6.29から6.97に調整した。また、上記溶液57gに粘性付与の目的でグアーガムを0.37g添加し、分散させた。
熱風乾燥人参粉砕品(直径平均5〜6mm)、卵のドラムドライ品(直径平均4mm)、乾燥大豆タンパク(直径平均6〜7mmミンチ状)を等量混合したものに加水し、完全に吸水させて、全体水分を73質量%に調整した具材を作成した。板かまぼこ状の樹脂製容器(23mm×70mm×18mm)に、吸水後のうるち米と上記溶液の混合品のうち23g、上記具材のうち4gを混合充填し、なるべく空気が入らないように密封シールして、レトルト殺菌を行った後に冷却処理した。
得られたカレー風味の容器入り米飯固形状食品は容器からの取り出しもよく、べたつきが少なく、くずれにくい物性であった。またpHを6.29から6.97に調整しているため、熱凝固した乳清タンパク質に濁りがなく、カレーらしい茶色の米飯固形状食品がよく映えていた。また、具材が彩りを加えていた。
しかし、うるち米を使用していることと米の比率が少ないことから、米の粒感に関してはもち米と比較すると弱めであった。最終的な全体水分量は75質量%で、5℃条件下で60日間保存した後も、喫食に問題のないやわらかい米の食感を維持していた。これを常温(25℃)に置き換えると約1年相当の老化防止効果に匹敵する。
本発明の容器入り米飯固形状食品は、米飯の新たな用途、方向を示すものであり、今後は、米飯の加工品がスナックとして喫食されるようになってくる。
実施例1の容器入り米飯固形状食品から米飯固形状食品を取り出すまでを図1から図5の写真で示す。
は、板かまぼこ状に成形された本発明の容器入り米飯固形状食品を示す。 は、本発明の容器入り米飯固形状食品を手にとった段階を示す。 は、本発明の容器入り米飯固形状食品の包装容器を取り除いている段階を示す。 は、本発明の容器入り米飯固形状食品の包装容器をすべて取り除いて、食する段階を示す。 は、本発明の容器入り米飯固形状食品の包装容器をすべて取り除いた時の米飯固形状食品の状態を示す。

Claims (10)

  1. 米飯が収納用容器に充填密封後加熱殺菌してなる容器入り容器に充填密封され、加熱殺菌されてなる容器入り米飯固形状食品であって、該米飯固形状食品は米飯食品が固形状に成形されており、当該米飯固形状食品を覆うように熱凝固した乳清タンパク質が存在してなる容器入り米飯固形状食品。
  2. 上記乳清タンパク質が前記米飯固形状食品に対して1〜10質量%含まれてなる請求項1記載の容器入り米飯固形状食品。
  3. 上記乳清タンパク質がWPI(ホエイプロテインアイソレート)である請求項1又は2記載の容器入り米飯固形状食品。
  4. 前記米飯固形状食品のpHがpH6.5〜7.5である請求項3記載の容器入り米飯固形状食品。
  5. α化した米飯からなる容器入り米飯固形状食品の水分含量が67〜77質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器入り米飯固形状食品。
  6. 請求項1〜5に記載の容器入り米飯固形状食品を製造するための方法であってとして、第一吸水処理米または炊飯処理米と乳清タンパク質溶液を混合して容器に充填密封した後、加熱殺菌を施しその後冷却することを特徴とする容器入り米飯固形状食品の製造方法。
  7. 上記吸水処理米が、米に第一吸水処理と加熱処理と第二吸水処理を施すことにより得られる米であることを特徴とする請求項6記載の製造方法。
  8. 上記炊飯処理米が、浸漬米を炊飯処理することにより得られる米であることを特徴とする請求項6記載の製造方法。
  9. 容器に充填する前に、吸水処理米または炊飯処理米と乳清タンパク質溶液を混合した後加熱して米飯を固形状とすることを特徴とする請求項7又は8記載の製造方法。
  10. 上記加熱殺菌が、レトルト処理であり、加熱調理を兼ねるものであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に又は7記載の製造方法。
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