JP2010001901A - リンク機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】中間リンク部材を設けることなく従動側リンク部材の回転角度を大きくする。
【解決手段】第1リンク部材31は第1、第2溝部33、34を有し、第2リンク部材32は第1溝部33に摺動する第1ピン部35と第2溝部34に摺動する第2ピン部36とを有し、第1、第2溝部33、34は第1リンク部材31の回転方向に離間配置され、第1、第2溝部33、34のうち互いに隣り合う側の端部は、第1リンク部材31外部に開放された開放端部33a、34aを構成し、第1、第2ピン部35、36は第2リンク部材32の回転方向に離間配置され、第1、第2リンク部材31、32が回転すると、第1ピン部35が第1溝部33の内部に位置し、かつ第2ピン部36が第2溝部34の外部に位置する第1の状態から、第1ピン部35が第1溝部33の外部に位置し、かつ第2ピン部36が第2溝部34の内部に位置する第2の状態に切り替わる。
【選択図】図2

Description

本発明は、駆動装置の駆動力を駆動側リンク部材から従動側リンク部材に伝達するリンク機構に関するもので、車両用空調装置における空気通路開閉用ドアの操作機構に用いて好適である。
従来、この種のリンク機構が特許文献1に記載されている。この従来技術では、駆動装置からの駆動力により回転操作されるリンクプレートに溝部を形成し、この溝部に中継レバーの一端部に設けられたピン部を摺動可能に嵌入し、中継レバーの他端部をロッドを介してドアレバーに連結している。
つまり、この従来技術では、駆動側リンク部材であるリンクプレートと従動側リンク部材であるドアレバーとの間に中間リンク部材を設けている。
特開平7−315035号公報
上記従来技術によると、駆動側リンク部材と従動側リンク部材との間に中間リンク部材を設けているので、溝部とピン部による回転角度を中間リンク部材によって増幅して、従動側リンク部材の回転角度を大きくすることが可能になる。
しかしながら、上記従来技術では、中間リンク部材を設けることによって、部品数が増加してコストの上昇を招くとともにリンク機構の体格が大型化してしまうという問題がある。特に、搭載スペースの制約が大きい車両用空調装置に用いられるリンク機構においては、体格の大型化は実用上大きな問題となる。
本発明は上記点に鑑みて、中間リンク部材を設けることなく従動リンク側部材の回転角度を大きくすることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、溝部(33、34)を有する第1リンク部材(31)と、
溝部(33、34)に摺動するピン部(35、36)を有する第2リンク部材(32)とを備え、
溝部(33、34)とピン部(35、36)との摺動により、第1、第2リンク部材(31、32)のうち一方のリンク部材から他方のリンク部材に回転駆動力を伝達するリンク機構であって、
溝部として、第1溝部(33)と第2溝部(34)とを有し、
ピン部として、第1溝部(33)に摺動する第1ピン部(35)と、第2溝部(34)に摺動する第2ピン部(36)とを有し、
第1、第2溝部(33、34)は、第1リンク部材(31)の回転方向に離間配置され、
第1、第2溝部(33、34)のうち互いに隣り合う側の端部は、第1リンク部材(31)外部に開放された開放端部(33a、34a)を構成し、
第1、第2ピン部(35、36)は、第2リンク部材(32)の回転方向に離間配置され、
第1、第2リンク部材(31、32)が回転すると、第1ピン部(35)が第1溝部(33)の内部に位置し、かつ、第2ピン部(36)が第2溝部(34)の外部に位置する第1の状態から、第1ピン部(35)が第1溝部(33)の外部に位置し、かつ、第2ピン部(36)が第2溝部(34)の内部に位置する第2の状態に切り替わることを特徴とする。
これによると、第1、第2リンク部材(31、32)のうち従動側リンク部材の回転角度を第2溝部(34)および第2ピン部(36)によって拡大することができるので、中間リンク部材を設けることなく従動側リンク部材の回転角度を大きくすることができる(後述の図3を参照)。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のリンク機構において、第1リンク部材(31)のうち第1、第2溝部(33、34)の開放端部(33a、34a)同士の間には、第1の状態から第2の状態に切り替わる際に第1、第2ピン部(35、36)が接触する側壁(31b)が形成されていることを特徴とする。
これにより、第1の状態から第2の状態に切り替わる際に第1、第2ピン部(35、36)と側壁(31b)との間で駆動力を伝達することができるので、第1の状態から第2の状態に切り替わる際に従動側リンク部材の回転が停止することを回避できる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載のリンク機構において、第1の状態から第2の状態に切り替わる際に、第1リンク部材(31)の回転中心から第1ピン部(35)までの距離と、第1リンク部材(31)の回転中心から第2ピン部(36)までの距離とが同じになることを特徴とする。
これにより、第1の状態から第2の状態への切り替えをスムーズに行うことができる。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のリンク機構において、第2リンク部材(32)の回転中心から第1ピン部(35)までの距離と、第2リンク部材(32)の回転中心から第2ピン部(36)までの距離とが同じになっていることを特徴とする。
これにより、第1の状態から第2の状態への切り替えをスムーズに行うことができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態は車両用空調装置における空気通路開閉用ドアの操作機構として用いられるリンク機構に関するものであって、図1は車両用空調装置における室内空調ユニット10を示す断面図である。
室内空調ユニット10は車室内前部の計器盤(インパネ)内に搭載される。なお、図1の上下、前後の矢印は、室内空調ユニット10の車両上下方向および車両前後方向に対する搭載方向を示す。
室内空調ユニット10は樹脂製のケース11を有し、この樹脂製のケース11内の車両前方側領域のうち上方側に送風機部12が配置され、そして、送風機部12の下方側に蒸発器13が配置されている。送風機部12は電動モータにより矢印a方向に回転駆動される遠心式送風ファン12aをスクロールケーシング12b内に収容している。
送風機部12の回転軸12cは車両幅方向を向いているので、遠心式送風ファン12aの吸入口(図示せず)は室内ユニット部10の車両幅方向片側の側面部に位置する。そして、この吸入口部に図示しない内外気切替箱が接続され、この内外気切替箱を通して吸入される内気(車室内空気)または外気(車室外空気)を送風ファン12aにより送風する。
そして、スクロールケーシング12bの渦巻き形状の巻き始め部となるノーズ部12dを下方側に位置させ、スクロールケーシング12bの空気出口部12eを下方に向けているので、送風ファン12aの送風空気が矢印bのように車両前方側領域の上方から下方へ流れて蒸発器13の前面部に送風される。
蒸発器13はケース11と略同一の車両幅方向寸法を有する略長方形の薄型形状であり、略縦に配置されている。この蒸発器13には、図示しない空調用冷凍サイクルの減圧手段にて減圧された冷媒流体が導入され、この冷媒流体が送風空気から吸熱して蒸発することにより、空気を冷却する。
蒸発器13の空気流れ下流側には暖房用熱交換器をなすヒータコア14が略縦に配置されている。このヒータコア14は温水(エンジン冷却水)を熱源として空気を加熱するものである。ヒータコア14の上方にはバイパス通路15が形成されている。ヒータコア14を通過する空気(温風)とバイパス通路15を通過する空気(冷風)との風量割合をエアミックスドア16により調整して車室内吹出空気の温度を調整する。
エアミックスドア16はエアミックスドア回転軸16aを中心として回転可能な平板状ドアである。ここで、エアミックスドア16はドア基板部16bの一端部にエアミックスドア回転軸16aを一体に配置した片持ちドアからなる。
エアミックスドア回転軸16aの一端部はケース11の壁面を貫通してケース11の外側へ突出し、その突出端部が後述するリンク機構30を介してエアミックスドア操作機構に連結されている。
エアミックスドア操作機構として、本例では、図示しないサーボモータを使用している。なお、エアミックスドア操作機構として、サーボモータの代わりに、乗員の手動操作により操作力が与えられる手動操作機構を使用してもよい。
ケース11の上面部のうち、車両前方側にデフロスタ開口部17が配置され、このデフロスタ開口部17の車両後方側にフェイス開口部18が配置されている。そして、ケース11のうち、デフロスタ開口部17下方には、フット通路19が下方に垂下するように形成されている。フット通路19の左右両側に位置するケース11の側面部にフット開口部20が配置されている。さらに、フット通路19の下端にリヤフット開口部21が配置されている。
デフロスタ開口部17は図示しないデフロスタダクトを介して車両前面窓ガラスの内面に向けて空気を吹出すものである。フェイス開口部18は図示しないフェイスダクトを介して乗員の顔部側に向けて空気を吹出すものである。
フット開口部20は図示しないフットダクトを介して前席乗員の足元側に向けて空気を吹出すものである。リヤフット開口部20は図示しないリヤフットダクトを介して後席乗員の足元側に向けて空気を吹出すものである。
デフロスタ開口部17は、デフロスタドア22により開閉される。フェイス開口部18はフェイスドア23により開閉される。フット通路19は、フットドア24により開閉される。
上記の3つのドア22〜24は、回転軸22a〜24aを中心として回転可能な平板状ドアであり、ドア基板部22b〜24bの一端部に回転軸22a〜24aを一体に配置した片持ちドアからなる。
図2(a)は、エアミックスドア16にサーボモータの回転駆動力を伝達するリンク機構30の平面図である。リンク機構30は、サーボモータに連結される第1リンク部材31と、エアミックスドア回転軸16aに連結される第2リンク部材32とを有している。
第1リンク部材31は、樹脂にて略円板状に形成されている。第1リンク部材31の中心部付近には、サーボモータの出力軸が嵌合される軸穴31aが形成されている。これにより、第1リンク部材31がサーボモータ出力軸と一体に回転する。なお、図2中の点O1は、第1リンク部材31の回転中心を示している。
なお、本例では、サーボモータは第1リンク部材31に対してケース11と反対側に配置され、図示しないブラケットおよび締結手段によってケース11の外面に締結固定されるようになっている。
第1リンク部材31には第1、第2の2つの溝部33、34が形成されている。この第1、第2溝部33、34は、第1リンク部材31の外縁部付近を概略周方向に細長く延びるように、所定の幅方向寸法にて形成されている。
第1、第2溝部33、34は、第1リンク部材31の回転方向(概略周方向)に離間配置されている。第1、第2溝部33、34のうち互いに隣り合う側の端部は、第1リンク部材31外部に開放された開放端部33a、34aを構成している。
第1リンク部材31のうち開放端部33a、33a同士の間に位置する側壁31bは、第1、第2溝部33、34のうち回転中心O1側に位置する溝壁面同士を繋ぐように形成されている。
第2リンク部材32は、樹脂にて略円板状に形成されている。第2リンク部材32の中心には、エアミックスドア回転軸16aが一体に結合されている。これにより、第2リンク部材32がエアミックスドア回転軸16aと一体に回転する。なお、図2中の点O2は、第2リンク部材32の回転中心を示している。
第2リンク部材32には、第1、第2の2つのピン部35、36が形成されている。この第1、第2ピン部35、36は、第2リンク部材32の外縁部付近にて第2リンク部材32の回転方向に離間配置されている。
詳細は後述するが、第1ピン部35は第1リンク部材31の第1溝部33および側壁31bと摺動し、第2ピン部36は第1リンク部材31の第2溝部34および側壁31bと摺動する。
本例では、第2リンク部材32の回転中心O2から第1ピン部35までの距離と、回転中心O2から第2ピン部36までの距離とを同じにしている。換言すれば、第1、第2ピン部35、36の回転半径を同じにしている。
第1リンク部材31と第2リンク部材32は、第1、第2ピン部35、36の軸方向(図2の紙面垂直方向)に積層配置される。本例では、第2リンク部材32をケース11の外側面に隣接して配置し、第1リンク部材31を第2リンク部材32よりもケース11の外側面から離れる側に配置している。
第1リンク部材31の第1、第2溝部33、34および側壁31bは、第1リンク部材31の回転方向において、第1リンク部材31の回転中心O1からの距離が変化するように形成されている。したがって、第1リンク部材31が回転すると第1、第2溝部33、34から第1、第2ピン部35、36に駆動力が伝達されて第2リンク部材32も回転する。
第1リンク部材31を回転駆動するサーボモータは、図示しない空調制御装置(ECU)によって回転制御される。空調制御装置は、周知のごとくCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータと、その周辺回路にて構成されるものである。
なお、図示を省略しているが、デフロスタドア22、フェイスドア23、フットドア24に回転駆動力を伝達するリンク機構も、エアミックスドア16のリンク機構と同様に構成されている。そして、空調制御装置は、デフロスタドア22、フェイスドア23、フットドア24のリンク機構に連結されたサーボモータ(図示せず)も回転制御するようになっている。
空調制御装置には図示しない空調用センサ群からセンサ検出信号が入力され、また、図示しない空調操作パネルから各種操作信号が入力される。空調用センサ群としては、具体的には、外気温(車室外温度)Tamを検出する外気センサ、内気温(車室内温度)Trを検出する内気センサ、車室内に入射する日射量Tsを検出する日射センサ、蒸発器13の空気吹出部に配置されて蒸発器吹出空気温度Teを検出する蒸発器温度センサ、ヒータコア14に流入する温水(エンジン冷却水)温度Twを検出する水温センサ等が設けられる。
空調操作パネルには各種空調操作部材として、車室内温度を設定する温度設定手段をなす温度設定スイッチ、吹出モードドア22〜24により切り替わる吹出モードをマニュアル設定する吹出モードスイッチ、内外気切替箱に設けられた内外気切替ドアによる内外気吸込モードをマニュアル設定する内外気切替スイッチ、冷凍サイクルの圧縮機の作動指令信号(例えば、電磁クラッチのON信号)を出すエアコンスイッチ、送風ファン12aによる風量をマニュアル設定する風量スイッチ、空調自動制御状態の指令信号を出すオートスイッチ等が設けられる。
なお、空調制御装置には、車両エンジンのイグニッションスイッチ(図示せず)を介して車載バッテリ(図示せず)から電源が供給されるようになっている。
次に、上記構成における基本作動を簡単に説明する。いま、乗員により車両エンジンのイグニッションスイッチがオンされて空調制御装置に電源が供給された状態において、図示しない空調操作パネルのオートスイッチがオンされると、空調制御装置がROMに記憶している空調装置制御プログラムを実行する。
空調装置制御プログラムが実行されると、空調操作パネルの操作信号やセンサ群により検出された検出信号が読込まれる。そして、これらの信号に基づいて、車室内吹出空気の目標吹出温度TAOを算出する。
この目標吹出温度TAOは温度設定スイッチにより設定した設定温度Tsetに車室内温度(内気温)Trを維持するために必要な車室内吹出空気温度であり、次の数式(1)により算出される。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C…(1)
ここで、Trは内気センサ32により検出される内気温、Tamは外気センサにより検出される外気温、Tsは日射センサにより検出される日射量、Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインおよびCは補正用の定数である。
そして、空調制御装置は目標吹出温度TAOに基づいて、送風ファン12aにより送風される空気の目標送風量、内外気モード、吹出モード、エアミックスドア16の目標開度SW、圧縮機の作動等を決定し、決定した制御状態が得られるように各種アクチュエータに制御信号を出力する。そして、再び、操作信号および検出信号の読込み→目標吹出温度TAOの算出→新たな制御状態の決定→制御信号の出力といったルーチンを繰り返す。
ここで、エアミックスドア16の目標開度SWについて説明すると、エアミックスドア16の目標開度SWは、蒸発器温度センサにより検出される蒸発器吹出空気温度Teと、水温センサにより検出されるエンジン冷却水温度Twとに基づいて、次の数式(2)により算出される。
SW={(TAO−Te)/(Tw−Te)}×100(%)…(2)
そして、エアミックスドア16の実際の開度が、算出された目標開度となるように、サーボモータによりエアミックスドア16を駆動制御する。これにより車室内吹出温度が目標吹出温度TAOとなるようにエアミックスドア16の開度が制御され、車室内温度Trが設定温度Tsetに維持される。
なお、SW=0(%)は、エアミックスドア16の最大冷房位置(図1の二点鎖線位置)であり、バイパス通路15を全開し、ヒータコア14の入口通風路を全閉する。これに対し、SW=100(%)は、エアミックスドア16の最大暖房位置(図1の実線位置)であり、バイパス通路15を全閉し、ヒータコアの入口通風路を全開する。
そして、内気温度、外気温度および日射量等に基づいて、空調制御装置が自動的に適切な吹出モードに切り替える。本例では、デフロスタドア22、フェイスドア23およびフットドア24によって切り替えられる吹出モードとして、フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフロスタモードおよびデフロスタモードの5つのモードがある。
フェイスモード時においては、フェイスドア23がフェイス開口部18を全開する位置(図1の二点鎖線位置)に操作される。これと同時に、デフロスタドア22がデフロスタ開口部17を全閉する位置(図1の実線位置)に操作され、フットドア24がフット通路19を全閉する位置(図1の二点鎖線位置)に操作される。
従って、エアミックスドア16により所望温度に調整された空調風(フェイスモードは主に冷風)がフェイス開口部18に流入して、このフェイス開口部18から乗員の顔部側へ吹き出して、車室内を冷房する。
次に、バイレベルモードが設定されると、フェイスドア23が中間開度位置に操作されるので、フェイス開口部18が半分程度開口する。デフロスタドア22は、フェイスモード時と同様に、デフロスタ開口部17を全閉する位置(図1の実線位置)に操作されている。一方、フットドア24が中間開度位置に操作されるので、フット通路19が半分程度開口する。
従って、エアミックスドア16により温度調整された空調風の一部がフェイス開口部18を通して乗員の顔部側へ吹き出すと同時に、残余の空調風がフット通路19に流入し、このフット通路19から更にフット開口部20およびリヤフット開口部21へと流れ、このフット開口部20およびリヤフット開口部21から空調風が乗員の足元側へ向けて吹き出す。
次に、フットモードが設定されると、フェイスドア23がフェイス開口部18を全閉する位置(図1の実線位置)に操作される。これと同時に、デフロスタドア22がデフロスタ開口部17をわずかに開口する微小開度位置に操作され、フットドア24がフット通路19を全開する位置(図1の実線位置)に操作される。
このため、エアミックスドア16により温度調整された空調風のほぼ全量をフット通路19、フット開口部20およびリヤフット開口部21を通して乗員の足元部に吹き出すとともに、残余の少量の空気をデフロスタ開口部17から車両前面窓ガラス側へ吹き出して車両前面窓ガラスの曇り止めを行う。
次に、フットデフロスタモードが設定されると、フェイスドア23は、フェイス開口部18を全閉する位置(図1の実線位置)に操作される。これと同時に、デフロスタドア22がデフロスタ開口部17を半分程度開口する中間開度位置に操作され、フットドア24がフット通路19を半分程度開口する中間開度位置に操作される。
これにより、エアミックスドア16により温度調整された空調風の一部をデフロスタ開口部17を通して車両前面窓ガラス側へ吹き出して車両前面窓ガラスの曇り止めを行うと同時に、残余の空調風をフット通路19、フット開口部20およびリヤフット開口部21を通して乗員の足元部に吹き出して、乗員足元部を暖房する。
次に、デフロスタモードが設定されると、フェイスドア23は、フェイス開口部18を全閉する位置(図1の実線位置)に操作される。これと同時に、デフロスタドア22がデフロスタ開口部17を全開する位置(図1の二点鎖線位置)に操作され、フットドア24がフット通路19を全閉する位置(図1の二点鎖線位置)に操作される。
これにより、エアミックスドア16により温度調整された空調風の全量をデフロスタ開口部17を通して車両前面窓ガラス側へ吹き出すことができ、車両前面窓ガラスの曇り止め能力を向上できる。
次に、上記構成における特徴的作動を図2に基づいて説明する。図2は、第1リンク部材31が反時計回りに回転する様子を示している。まず、図2(a)は、第1溝部32内部のうち開放端部33aと反対側の端部近傍に第1ピン部35が位置している状態を示している。この状態では、第2ピン部36が第1リンク部材31の外部に位置している。
この状態において、サーボモータが第1リンク部材31を反時計回りに回転させると、第1溝部32から第1ピン部35に駆動力が伝達されて第2リンク部材32が時計回りに回転運動を行う。
第1リンク部材31が反時計回りに所定角度回転して第2リンク部材32が時計回りに所定角度回転すると、図2(b)のように、第2ピン部36が第1リンク部材31の側壁31bに接触する。
さらに第1リンク部材31が反時計回りに回転すると、図2(c)のように、第1ピン部35が第1溝部32から抜けるが、第1、第2ピン部35、36双方が第1リンク部材31の側壁31bに接触するので、第2リンク部材32が時計回りに回転運動を継続する。
本例では、第1リンク部材31の回転中心O1から第1ピン部35までの距離と、回転中心O1から第2ピン部36までの距離とが同一になるときに、第1、第2ピン部35、36双方が第1リンク部材31の側壁31bに接触するようにしている。
さらに第1リンク部材31が反時計回りに回転すると、図2(d)のように、第2ピン部36が第2溝部33に入り、その後に図2(e)のように、第1ピン部35が第1リンク部材31の側壁31bから離れる。この状態では、第2溝部33から第2ピン部36に駆動力が伝達されて第2リンク部材32が時計回りに回転運動を行う。
以上のように、本実施形態では、第1、第2リンク部材31、32が回転すると、第1ピン部35が第1溝部33の内部に位置し、かつ、第2ピン部36が第2溝部34の外部に位置する第1の状態から、第1ピン部35が第1溝部33の外部に位置し、かつ、第2ピン部36が第2溝部34の内部に位置する第2の状態に切り替わる。これにより、第2リンク部材32の回転角度が拡大されるという効果を得ることができる。
この効果を図3に基づいて詳しく説明する。図3(a)、(b)は溝部およびピン部を1組のみ有する従来のリンク機構50、51の模式的な平面図であり、図3(c)は溝部およびピン部を2組有する本実施形態のリンク機構30の模式的な平面図である。
図3(a)のリンク機構50と図3(c)のリンク機構30は、第1リンク部材31の径方向寸法が同じになっている。これに対し、図3(b)のリンク機構51は、図3(a)、(c)のリンク機構50、30に比べて第1リンク部材31の径方向寸法が大きくなっている。
なお、図3(a)、(b)では、図示の都合上、1組の溝部およびピン部のうちピン部52のみを示し、溝部を省略している。また、図3(c)では、図示の都合上、2組の溝部およびピン部のうちピン部35、36のみを示し、溝部を省略している。
図3(a)、(b)からわかるように、図3(a)のリンク機構50、すなわち第1リンク部材31の径方向寸法が小さいリンク機構50では、図3(b)のリンク機構51、すなわち第1リンク部材31の径方向寸法が大きいリンク機構51に比べて第2リンク部材32の回転角度が小さく制限されてしまう。
つまり、溝部およびピン部を1組のみ有するリンク機構においては、第2リンク部材32の回転角度を大きくしようとすると、第1リンク部材31の回転方向において、第1リンク部材31の回転中心O1から溝部までの距離を大きく変化させなければならないところ、図3(a)のリンク機構50では第1リンク部材31の径方向寸法が小さいために、そのような溝を第1リンク部材31内に形成することができない。
そのため、図3(a)のリンク機構50において第2リンク部材32の回転角度を大きく確保する場合には、回転角度を増幅させる中間リンク部材を追加することになるのであるが、中間リンク部材を追加するとリンク機構の体格が大型化して搭載性が悪化してしまう。また、中間リンク部材を追加することによって部品点数が増加して組付け工数が増加してしまうので、コストの上昇を招くとともに組立性が悪化してしまう。
一方、図3(b)のリンク機構51によると、第2リンク部材32の回転角度を大きく確保できるものの、第1リンク部材31の径方向寸法が大きいのでリンク機構の体格が大型化してしまい搭載性に劣る。
これに対し、図3(c)のリンク機構30では、一方の溝部およびピン部35が摺動する第1の状態と、他方の溝部およびピン部36が摺動する第2の状態とを切り替えることによって、第2リンク部材32の回転角度が図3(a)のリンク機構50の2倍になる。
例えば、図3(a)のリンク機構50における第2リンク部材32の回転角度が60°であるとすると、図3(c)のリンク機構30では第2リンク部材32の回転角度を120°まで拡大することができる。
したがって、本実施形態によると、中間リンク部材を用いることなく第2リンク部材32の回転角度を大きく確保できるので、体格を小型化して搭載性を向上することができる。また、中間リンク部材を用いていないので、部品点数を削減して組付け工数を低減でき、ひいてはコストの低減および組立性の向上を図ることができる。
また、図3(b)のリンク機構51では、1組の溝部およびピン部で第2リンク部材32を大角度回転させるために第1リンク部材31の径方向寸法を大きくしているので、レバー比が大きくなってしまい、ひいては駆動トルクが大きくなってしまう。
これに対し、本実施形態によると、第1リンク部材31の径方向寸法を大きくすることなく第2リンク部材32を大角度回転させるので、レバー比を小さくでき、ひいては駆動トルクを小さくできる。
しかも、本実施形態では、第1の状態から第2の状態への切り替えの際に第1、第2溝部33、34の間の側壁31bが第1、第2ピン部35、36の双方に接触するようにしているので、第1の状態から第2の状態への切り替え時に第2リンク部材32の回転が停止することを防止できる。
(他の実施形態)
(1)上記一実施形態では、第1、第2ピン部35、36の回転半径を同じにしているが、第1、第2ピン部35、36の回転半径を異なるようにしてもよい。
(2)上記一実施形態では、第1の状態から第2の状態に切り替わる際に第1、第2ピン部35、36双方が第1、第2溝部33、34から抜けるが、これに限定されるものではなく、第1ピン部35が第1溝部32に入っており、かつ、第2ピン部36が第2溝部33に入っている過程があるようにしてもよい。
(3)上記一実施形態では、第1リンク部材31にサーボモータの出力軸を連結し、第2リンク部材32にエアミックスドア回転軸16aを連結しているが、これとは逆に、第1リンク部材31にエアミックスドア回転軸16aを連結し、第2リンク部材32にサーボモータの出力軸を連結してもよい。
(4)上記一実施形態では、駆動側リンク部材が1つの従動側リンク部材のみを駆動するリンク機構に本発明を適用した例を説明しているが、2つ以上の従動側リンク部材を連動して駆動するリンク機構に本発明を適用可能であることはもちろんである。
(5)上記一実施形態では、車両用空調装置におけるエアミックスドアの操作用リンク機構に本発明を適用した例を説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、吹出モードドアや内外気切替ドア等の種々のドアの操作用リンク機構に適用可能である。また、ドア操作用以外の種々な用途に広く適用可能であるし、車両用空調装置以外の種々な用途にも広く適用可能であることはもちろんである。
本発明の第1実施形態における室内空調ユニットの断面図である。 本発明の第1実施形態におけるリンク機構の平面図である。 図2のリンク機構および従来技術のリンク機構の模式的な平面図である。
符号の説明
31 第1リンク部材
31a 側壁
32 第2リンク部材
33 第1溝部
33a 開放端部
34 第2溝部
34a 開放端部
35 第1ピン部
36 第2ピン部

Claims (4)

  1. 溝部(33、34)を有する第1リンク部材(31)と、
    前記溝部(33、34)に摺動するピン部(35、36)を有する第2リンク部材(32)とを備え、
    前記溝部(33、34)と前記ピン部(35、36)との摺動により、前記第1、第2リンク部材(31、32)のうち一方のリンク部材から他方のリンク部材に回転駆動力を伝達するリンク機構であって、
    前記溝部として、第1溝部(33)と第2溝部(34)とを有し、
    前記ピン部として、前記第1溝部(33)に摺動する第1ピン部(35)と、前記第2溝部(34)に摺動する第2ピン部(36)とを有し、
    前記第1、第2溝部(33、34)は、前記第1リンク部材(31)の回転方向に離間配置され、
    前記第1、第2溝部(33、34)のうち互いに隣り合う側の端部は、前記第1リンク部材(31)外部に開放された開放端部(33a、34a)を構成し、
    前記第1、第2ピン部(35、36)は、前記第2リンク部材(32)の回転方向に離間配置され、
    前記第1、第2リンク部材(31、32)が回転すると、前記第1ピン部(35)が前記第1溝部(33)の内部に位置し、かつ、前記第2ピン部(36)が第2溝部(34)の外部に位置する第1の状態から、前記第1ピン部(35)が前記第1溝部(33)の外部に位置し、かつ、前記第2ピン部(36)が第2溝部(34)の内部に位置する第2の状態に切り替わることを特徴とするリンク機構。
  2. 前記第1リンク部材(31)のうち前記第1、第2溝部(33、34)の前記開放端部(33a、34a)同士の間には、前記第1の状態から前記第2の状態に切り替わる際に前記第1、第2ピン部(35、36)が接触する側壁(31b)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリンク機構。
  3. 前記第1の状態から前記第2の状態に切り替わる際に、前記第1リンク部材(31)の回転中心から前記第1ピン部(35)までの距離と、前記第1リンク部材(31)の前記回転中心から前記第2ピン部(36)までの距離とが同じになることを特徴とする請求項1または2に記載のリンク機構。
  4. 前記第2リンク部材(32)の回転中心から前記第1ピン部(35)までの距離と、前記第2リンク部材(32)の前記回転中心から前記第2ピン部(36)までの距離とが同じになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のリンク機構。
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