JP3692624B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調ケース内に第1空気通路と第2空気通路とを形成し、この第1空気通路内に内気を、第2空気通路内に外気を、それぞれ導入可能とした車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の車両用空調装置としては、特開平5−124426号公報に開示されたものがある。この従来装置においては、空調ケースの一端側に内気吸入口および外気吸入口を形成し、他端側にフット吹出口、デフロスタ吹出口、およびフェイス吹出口を形成している。
【0003】
そして、この空調ケース内に仕切り板を設けて、上記内気吸入口から上記フェイス吹出口およびフット吹出口に至る第1空気通路と、上記外気吸入口から上記デフロスタ吹出口に至る第2空気通路とを、空調ケース内に区画形成している。
さらに、上記両空気通路内には、冷房用蒸発器、暖房用熱交換器、この暖房用熱交換器をバイパスするバイパス通路、およびエアミックスドアをそれぞれ設けた構成となっている。
【0004】
そして、吹出モードとしてフェイスモード、バイレベルモード、およびフットモードのいずれかが選択されたときに、内外気吸入モードが内気吸入モードであれば、上記両空気通路内に内気を導入し、外気吸入モードであれば、上記両空気通路内に外気を導入する。また、吹出モードとしてデフロスタモードが選択されたときは、上記両空気通路内に外気を導入する。
【0005】
また、吹出モードとしてフットデフモードが選択されたときは、第1空気通路内に内気を導入し、第2空気通路内に外気を導入する内外気2層モードとする。こうすることによって、既に温められている内気の再循環により車室内を暖房するので、暖房性能が向上し、さらに低湿度の外気を窓ガラスへ吹き出すので、窓ガラスの防曇性能を確保することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来装置には、冷房用蒸発器のフロスト(霜付)防止の制御について何ら開示されていないが、上記の内外気2層モードの機能を持った車両用空調装置において、本発明者らが冷房用蒸発器のフロスト防止制御について、実際に試作検討したところ、次のような問題が発生することが分かった。
【0007】
すなわち、車両用空調装置においては、周知のごとく、冷房用蒸発器に冷媒を循環させる圧縮機の作動を冷房用蒸発器の冷却温度(具体的には蒸発器吹出空気温度)に応じて断続することにより、冷房用蒸発器の冷却温度を設定温度(例えば、3°C〜4°C)に維持して、冷房用蒸発器のフロストを防止するようにしている。
【0008】
ここで、図8(a)(b)に示すように、冷房用蒸発器7の冷却温度(具体的には吹出空気温度)を検出する温度センサ39を、内気側空気通路(第1空気通路)13内に設置した場合は、外気温が高い夏場に、図8(a)のごとく、外気側空気通路(第2空気通路)14では温度の高い外気の流入により内気側空気通路13側よりも冷房用蒸発器7の吹出空気温度が高くなる。
【0009】
一方、外気温が低い冬場には、図8(b)に示すように、外気側空気通路14では温度の低い外気の流入により冷房用蒸発器7の吹出空気温度が内気側空気通路13よりも低くなる(後述の図9参照)。従って、外気側空気通路14では冬場に、冷房用蒸発器7の冷却温度が0°C以下に低下してしまい、蒸発器7でフロストが発生する恐れがあった。
【0010】
図8(c)(d)は逆に、温度センサ39を、外気側空気通路14内に設置した場合であり、この場合は、外気温が高い夏場に、図8(c)のごとく、内気側空気通路13では温度の低い内気の流入により外気側空気通路14よりも冷房用蒸発器7の吹出空気温度が低くなる。従って、冷房用蒸発器7のうち、内気側空気通路13でのフロストを確実に防止するためには、温度センサ39の設定温度を図8(a)(b)の場合より高め(例えば、5°C〜6°C)に設定する必要がある。
【0011】
ところが、このように、温度センサ39の設定温度を高めに設定すると、外気温が低い冬場には、図8(d)のごとく、内気側空気通路13での吹出空気温度が高め(例えば、10°C)になって、内気に対する除湿能力が不足するという問題が生じる。
そこで、本発明は上記点に鑑みて、空調ケース内に区画形成された第1空気通路内に内気を、また、第2空気通路内に外気を、それぞれ導入可能とした車両用空調装置において、冬場に内気に対する除湿能力の不足が発生することを解消することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。請求項1記載の発明では、空調ケース(2)内に仕切り部材(12)を設けて、内気吸入口(26)からフット開口部(15)に至る第1空気通路(13)と、外気吸入口(29)からデフロスタ開口部(16)に至る第2空気通路(14)とを区画形成し、
第1および第2空気通路(13、14)内に、これらの空気通路内(13、14)の空気を冷却する冷却用熱交換器(7)を設けるとともに、この冷却用熱交換器(7)の冷却温度を検出する冷却温度検出手段(39)を第2空気通路(14)側に設け、
冷却用熱交換器(7)への冷却媒体の流れを断続する断続手段(50、54)と、冷却温度検出手段(39)により検出された冷却温度と、予め設定された設定温度とを比較して、断続手段(50、54)を断続作動させることにより、冷却用熱交換器(7)のフロストを防止する断続制御手段(180b、190)とを備え、
前記設定温度を外気温が低くなるに従って低めに変更することを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、冷却用熱交換器(7)への冷却媒体の流れを断続手段(50、54)により断続させて、冷却用熱交換器(7)の冷却温度を設定温度に維持することにより、冷却用熱交換器(7)のフロスト防止の制御を行なう。
その際、設定温度を外気温が低くなるに従って低めに設定しているから、冷却温度検出手段(39)を冷却用熱交換器(7)の外気側に設置しても、冬場(低外気温時)に冷却用熱交換器(7)の内気側の温度上昇を抑制できる。そのため、冬場に内気側の除湿能力を確保できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。
(第1実施形態)
本実施形態では、ディーゼルエンジンを搭載する車両の車室内空間を空調する空調ユニットにおける各空調機器を、空調制御装置(以下、ECUという)によって制御するように構成されている。
【0019】
まず、図1を用いて上記空調ユニットの構成を説明する。
空調ユニット1は、図1上方が車両前方(エンジン側)、図1下方が車両後方(車室内側)、および図1左右方向が車両幅方向となるように、車両に搭載されており、車室内に空調空気を導く空気通路をなす空調ケース2を備える。
この空調ケース2は、ポリプロピレン等の樹脂材にて形成され、空気上流側から順に、内外気切換箱3と、クーラユニット4と、ヒータユニット5とが結合されることで構成されている。なお、図1中破線X、Yは、これらの結合部位を示す。
【0020】
上記内外気切換箱3は、空調ケース2内に少なくとも内気と外気の一方または両方を取り入れるためのものであり、その内部には、空気流を発生する送風機6が配設されている。なお、この内外気切換箱3および送風機6については、図3を用いて後述する。
上記クーラユニット4内には、送風空気を冷却する冷媒蒸発器7が、空調ケース2内の空気通路全域に及ぶようにして直交配設されている。この冷媒蒸発器7は冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空気から吸熱して空気を冷却する冷却用熱交換器であって、冷凍サイクルには蒸発器7の他に、自動車のエンジンの駆動力によって冷媒を圧縮する圧縮機50と、この圧縮機50からの吐出冷媒を冷却し、凝縮させる凝縮器51と、この凝縮器51で凝縮した冷媒の気液を分離し、液冷媒を溜める受液器52と、この受液器52からの液冷媒を減圧膨張させる温度式膨張弁(減圧手段)53が備えられている。
【0021】
また、圧縮機50には自動車のエンジンの駆動力の伝達を断続する電磁クラッチ54が備えられており、この電磁クラッチ54への通電の断続により圧縮機50の作動を断続できるようになっており、したがって、本発明でいう「冷却媒体の流れを断続する断続手段」は、本例では、圧縮機50と電磁クラッチ54とにより構成されている。
【0022】
また、上記ヒータユニット4内には、冷媒蒸発器7を通過した冷風を再加熱するヒータコア8が配設されている。このヒータコア8は自動車エンジンの冷却水(温水)を熱源として空気を加熱する暖房用熱交換器を構成する。また、図2に示すように、ヒータコア8はその側方にバイパス通路9が形成されるようにして、空調ケース2内に設けられており、上記冷風はこのバイパス通路9を通って、ヒータコア8をバイパスできるようになっている。
【0023】
そして、ヒータコア8の空気上流側には、回転軸10が、空調ケース2に対して回転自在に設けられており、この回転軸10には、互いの板面が同一面となるようにして、板状のエアミックスドア(風量割合調節手段)11、11が一体的に結合されている。また、上記回転軸10には、エアミックスドア11、11の駆動手段としてのサーボモータ40(図4参照)が連結されている
そして、このサーボモータ40によって回転軸10を回転駆動することによって、エアミックスドア11、11は、図2の実線位置から一点鎖線位置までの間で、2枚とも一体となって回動する。つまり、このエアミックスドア11、11の回動位置を選択することによって、ヒータコア8を通る冷風量とバイパス通路9(図2)を通る冷風量との風量割合を調節して、車室内への吹出風温度を調節することができるため、エアミックスドア11、11は温度調節手段として機能するものである。
【0024】
内外気切換箱3とクーラユニット4とヒータユニット5とは、結合手段として例えば爪嵌合やネジ部材によって脱着可能に相互に、結合されている。そして、クーラユニット4およびヒータユニット5内には、図1に示すように、略垂直方向に延在する仕切り壁12によって、第1空気通路13と第2空気通路14とが区画形成されている。また、冷媒蒸発器7、ヒータコア8および回転軸10は、この第1空気通路13と第2空気通路14とにまたがって配設されている。
【0025】
また、空調ケース2の最下流端には、フット開口部15、デフロスタ開口部16、およびフェイス開口部17が形成されている。
そして、上記フット開口部15には、図示しないフットダクトが接続されており、このフットダクト内に導入された空調風は、このフットダクトの下流端に形成されたフット吹出口から、車室内乗員の足元に向けて吹き出される。
【0026】
また、上記デフロスタ開口部16には、図示しないデフロスタダクトが接続されており、このデフロスタダクト内に導入された空調風は、このデフロスタダクトの下流端に形成されたデフロスタ吹出口から、車両フロントガラスの内面に向けて吹き出される。
また、上記フェイス開口部17には、図示しないセンタフェイスダクトとサイドフェイスダクトとが接続されている。このうち、上記センタフェイスダクト内に導入された空調風は、このセンタフェイスダクトの下流端に形成されたセンタフェイス吹出口から、車室内中央部位の乗員の上半身に向けて吹き出され、上記サイドフェイスダクト内に導入された空調風は、このサイドフェイスダクトの下流端であるサイドフェイス吹出口から、車両サイドガラスまたは車室内左右端部の乗員の上半身に向けて吹き出される。
【0027】
そして、上記各開口部15〜17の上流側部位には、これら各開口部15〜17への空気流入を断続するフットドア18、デフロスタドア19、およびフェイスドア20が設けられている。なお、これらのドア18〜20は、図示しないリンク機構にて連結されており、このリンク機構は、その駆動手段としてのサーボモータ41(図4参照)によって駆動される。つまり、このサーボモータ41により上記リンク機構を動かすことによって、後述する各吹出モードが得られるように各ドア18〜20が動く。
【0028】
また、上記サイドフェイスダクトへの空気流入通路は、上記各ドア18〜20によっては開閉されない。但し、上記サイドフェイス吹出口付近には、乗員の手動操作により開閉可能な吹出グリル(図示せず)が設けられており、この吹出グリルによってサイドフェイス吹出口からの空気吹出が開閉される。
また、上記仕切り壁12において、上記各開口部15〜17の上流側で、かつヒータコア8の下流側部位には連通口21が形成されており、この連通口21にて、第1空気通路13と第2空気通路14とを連通し得るようになっている。なお、この連通口21はフットドア18にて開閉される。
【0029】
次に、上記内外気切換箱3および送風機6の部分の具体的構成について、図3により説明する。なお、図3は図1の矢印B方向から見た概略断面図である。
内外気切換箱3は、空調ケース2の空気最上流側を構成する内外気ケース3aと、この内外気ケース3a内に収納された上記送風機6とから構成されている。上記送風機6は、内外気ケース3a内のほぼ中央に配設されており、第1ファン6a、第2ファン6b、およびこれらのファン6a、6bを回転駆動するブロワモータ6cからなる。ここで、上記第1ファン6aと第2ファン6bは一体的に形成された遠心式多翼ファンであり、第1ファン6aの径よりも第2ファン6bの径の方が大きい。
【0030】
そして、これら第1ファン6aと第2ファン6bは、その吸込側がベルマウス形状を呈するスクロールケーシング部22、23にそれぞれ収納されている。このスクロールケーシング部22、23の各終端部(空気吹出側)は、それぞれ第1空気通路13と第2空気通路14とに連通している。また、スクロールケーシング部22と23は、共用の仕切り部24にて空気流路が仕切られている。
【0031】
一方、内外気ケース3aには、第1ファン6aの吸込口25に対応して第1内気吸入口26が形成されており、第2ファン6bの吸込口27に対応して、第2内気吸入口28および外気吸入口29が形成されている。そして、この内外気ケース3a内には、第1内気吸入口26を開閉する第1吸入口開閉ドア30、および第2内気吸入口28と外気吸入口29とを選択的に開閉する第2吸入口開閉ドア31が設けられている。
【0032】
なお、第2内気吸入口28に比べて第1内気吸入口26の方が、吸込口25に近い位置に形成されている。また、第1吸入口開閉ドア30は、後述するように、エアミックスドア11、11が後述するマックスホット位置(最大暖房位置)にあるか否かに応じて位置制御されるドアであり、上記第2吸入口開閉ドア31は、後述するように、内外気モードに応じて位置制御されるドアである。
【0033】
そして、上記第1吸入口開閉ドア30および第2吸入口開閉ドア31には、それぞれの駆動手段としてのサーボモータ42、43(図4参照)が連結されており、これらのサーボモータ42、43によって、それぞれ図中実線位置と一点鎖線位置との間で回動させられる。
また、内外気ケース3aには、第2内気吸入口28または外気吸入口29と吸込口25とを連通する連通通路32が形成されている。そして、上記第1吸入口開閉ドア30は、第1内気吸入口26を全開したとき(図3の実線位置)に、上記連通通路32を全閉し、第1内気吸入口26を全閉したとき(図3の一点鎖線位置)に、連通通路32を全開する。
【0034】
内外気切換箱3を上記のように構成してあるため、第1、第2吸入口開閉ドア30、31の位置の選択により、第1、第2空気通路13、14の両方に外気を吸入する外気吸入モードと、第1、第2空気通路13、14の両方に内気を吸入する内気吸入モードと、第1空気通路13に内気を、また第2空気通路14に外気を吸入する内外気2層モードとを設定できる。
【0035】
冷媒蒸発器7の空気吹出側のうち、本例では、内気側である第1空気通路13内に蒸発器吹出空気温度を検出する蒸発器後温度センサ39が設けられている。この温度センサ39はサーミスタ等の感温素子からなり、後述するように、蒸発器フロスト防止のための温度検出信号を発生するものである。
次に、本実施形態の制御系の構成について、図4を用いて説明する。
【0036】
空調ユニット1の各空調機器を制御するECU33には、車室内前部の計器盤部に設けられた操作パネル34上の各スイッチ(例えば車室内設定温度を乗員が設定するための温度設定スイッチ等)からの各信号が入力される。
また、ECU33には、車室内空気温度を検出する内気温センサ35、外気温度を検出する外気温センサ36、車室内に照射される日射量を検出する日射センサ37、ヒータコア8に流入するエンジン冷却水温を検出する水温センサ38、および冷媒蒸発器7の冷却温度、具体的には蒸発器を通過した直後の空気温度を検出する蒸発器後温度センサ39からの各信号が入力される。
【0037】
そして、ECU33の内部には、図示しないCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータが設けられており、ECU33は、自動車のエンジンの図示しないイグニッションスイッチがオンされたときに、図示しないバッテリーから電源が供給される。
次に、本実施形態の上記マイクロコンピュータの制御処理について、図5を用いて説明する。
【0038】
まず、イグニッションスイッチがオンされてECU33に電源が供給されると、図5のルーチンが起動され、ステップ100にて各イニシャライズおよび初期設定を行い、次のステップ110にて、上記温度設定スイッチにて設定された設定温度を入力する。
そして、次のステップ120にて、上記各センサ35〜39の値をA/D変換した信号を読み込む。
【0039】
そして、次のステップ130にて、予めROMに記憶された下記数式1に基づいて、車室内への目標吹出温度(TAO)を算出する。
【0040】
【数1】
TAO=Kset ×Tset −Kr ×Tr −Kam×Tam−Ks ×Ts +C
なお、Tset は上記温度設定スイッチによる設定温度、Tr は内気温センサ35の検出値、Tamは外気温センサ36の検出値、およびTs は日射センサ37の検出値である。また、Kset 、Kr 、Kam、およびKs はゲイン、Cは補正用の定数である。
【0041】
次に、ステップ140にて、予めROMに記憶された図示しないマップから、上記TAOに対応するブロワ電圧(ブロワモータ6cに印加する電圧)を算出する。
そして、次のステップ150にて、予めROMに記憶された図示しないマップから、上記TAOに対応する吹出モードを決定する。ここで、この吹出モードの決定においては、上記TAOが低い方から高い方にかけて、フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、およびフットデフモードとなるように決定される。
【0042】
なお、上記フェイスモードとは、フットドア18を図1の一点鎖線位置、デフロスタドア19を実線位置、フェイスドア20を一点鎖線位置として、空調風を車室内乗員の上半身に向けて吹き出すモードである。また、バイレベルモードとは、フットドア18、デフロスタドア19を実線位置、フェイスドア20を一点鎖線位置として、空調風を乗員の上半身と足元の両方に向けて吹き出すモードである。
【0043】
また、フットモードとは、フットドア18、フェイスドア20を実線位置とし、デフロスタドア19を、デフロスタ開口部16を若干量開く位置として、空調風の約8割を乗員の足元に向けて吹き出し、約2割をフロントガラス内面に向けて吹き出すモードである。また、フットデフモードとは、フットドア18を実線位置、デフロスタドア19を一点鎖線位置、フェイスドア20を実線位置として、空調風を乗員の足元とフロントガラス内面とに、同量ずつ吹き出すモードである。
【0044】
なお、本実施形態では、上記操作パネル34上に設けられた図示しないデフロスタスイッチを操作すると、フットドア18、デフロスタドア19を一点鎖線位置、フェイスドア20を実線位置として、空調風をフロントガラス内面に向けて吹き出すデフロスタモードが強制的に設定される。
また、いずれの吹出モードにおいても、上記サイドフェイス吹出口は常に空気を吹出可能になっているが、前述の吹出グリルにて開閉可能である。
【0045】
そして、ステップ160では、エアミックスドア11の目標開度(SW)を、予めROMに記憶された下記数式2に基づいて算出する。
【0046】
【数2】
SW=((TAO−Te )/(Tw −Te ))×100 (%)
なお、Te は蒸発器後温度センサ39の検出値で、Tw は水温センサ38の検出値である。SW≦0(%)として算出されたときは、エアミックスドア11は、冷媒蒸発器7からの冷風の全てをバイパス通路9(図2)へ通す位置に制御される。また、SW≧100(%)として算出されたときは、エアミックスドア11は、上記冷風の全てをヒータコア8へ通す位置に制御される。そして、0(%)<SW<100(%)として算出されたときは、上記冷風をヒータコア8およびバイパス通路9の両方へ通す位置に制御される。
【0047】
そして、次のステップ170に移ると、内外気吸入モード(第1吸入口開閉ドア30および第2吸入口開閉ドア31の位置)が決定される。具体的には、車室内への目標吹出温度(TAO)が所定値以下のときは、内気吸入モードとする。そして、TAOが所定値以上のときは、外気吸入モードと内外気2層モードのいずれかを選択する。
【0048】
すなわち、TAOが所定値以上で、フットモードまたはフットデフモードであって、かつエアミックスドア11が最大暖房位置(すなわち、ステップ160にて算出した目標開度SWが100(%)以上であり、冷風の全てをヒータコア8へ通す位置)に制御される条件にあるときは、内外気2層モードを選択する。これに対し、TAOが所定値以上であっても、吹出モードが他のモードであるか、エアミックスドア11が最大暖房位置にないときは、外気吸入モードを選択する。
【0049】
次のステップ180に移行すると、圧縮機50のオン、オフが決定される。具体的には、図6に示すように、ステップ180aにて、外気温センサ36の検出値Tamに基づいて、圧縮機50のオン、オフのための設定温度T1、T2を決定する。ここで、設定温度は後述のステップ180bに示すヒステリシス差を持つ2つの温度T1、T2を設定して圧縮機50の頻繁なオン、オフ(ハンチング現象)を防止するようになっている。
【0050】
ステップ180aにおいては、外気温Tamの低い冬期では、設定温度T1、T2を高めの領域C(例えば、T1=5°C、T2=6°C)に設定し、春秋の中間期では、設定温度T1、T2を中間領域B(例えば、T1=3°C、T2=4°C)に設定し、外気温Tamの高い夏期では、設定温度T1、T2を低めの領域A(例えば、T1=2°C、T2=3°C)に設定する。
【0051】
そして、次のステップ180bに移行すると、上記ステップ180aにて設定された設定温度T1、T2と、蒸発器後温度センサ39の検出値Te とを比較して、蒸発器後温度センサ39の検出値Te が設定温度T1より低下すると圧縮機50をオフとし、検出値Te が設定温度T2より上昇すると圧縮機50をオンとするように決定する。
【0052】
次に、図5のステップ190の処理に移り、上記各ステップ140〜180にて算出または決定した各モードが得られるように、各モータ6c、40〜43、および圧縮機50の電磁クラッチ54に対して制御信号を出力する。
そして、次のステップ200にて、制御サイクル時間であるτの経過を待ってステップ110に戻る。
【0053】
上記作動説明から理解されるように、本発明の設定温度決定手段は、上記実施形態では、ステップ180aにて構成され、また、圧縮機50を断続制御する断続制御手段は、ステップ180bとステップ190にて構成されている。
ところで、本実施形態によると、圧縮機50の作動を、蒸発器吹出空気温度Teが設定温度T1、T2に維持されるようにオン、オフさせて、蒸発器7のフロスト防止の制御を行っているが、その際、設定温度T1、T2を図6のステップ180aに示すように外気温Tamが低くなるに従って高めに設定しているから、冬場に、蒸発器7のうち、外気側通路部分(第2空気通路14側部分)が低温外気の流入によりフロストするのを確実に防止できる。
【0054】
つまり、蒸発器後温度センサ39が内気側の第1空気通路13に設置されているため、冬場に、吸入モードとして内外気2層モードが設定されると、蒸発器7のうち、外気側通路部分(第2空気通路14側部分)が低温外気の流入により内気側通路部分(第1空気通路13側部分)より温度が低下して(図9参照)、フロストしやすくなるが、蒸発器後温度センサ39の検出温度Teに対する設定温度T1、T2を冬場には上記のごとく高め(例えば、T1=5°C、T2=6°C)に設定するため、蒸発器7のうち、外気側通路部分(第2空気通路14側部分)がフロスト温度まで低下せず、フロストを防止できる。
【0055】
図9は冷房用蒸発器7の外気側部分の吹出空気温度が外気温度の低下とともに低下することを示す実験データであり、この実験データは、蒸発器後温度センサ39を内気側に設置するとともに、設定温度T1=3°C、設定温度T2=4°Cに固定して、圧縮機をオン、オフ制御した場合における、蒸発器後吹出空気温度の内気側と外気側の平均値を求めたものである。
【0056】
一方、夏場には、蒸発器後温度センサ39の検出温度Teに対する設定温度T1、T2を夏場には低め(例えば、T1=2°C、T2=3°C)に設定するため、蒸発器7による冷却能力を十分に発揮できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態は、上記第1実施形態に対して、蒸発器後温度センサ39を蒸発器7の外気側(第2空気通路14側)に設置するとともに、図6のステップ180aの処理を変更したものであり、他の点は第1実施形態と同じである。
【0057】
前述の図8(c)(d)に説明したように、蒸発器後温度センサ39を蒸発器7の外気側(第2空気通路14側)に設置した場合は、冬場に内気側(第1空気通路13側)の蒸発器吹出空気温度が上昇して除湿能力の低下を招く。そこで、第2実施形態では図7のステップ180a′に示すように、外気温Tamの低い冬場では、設定温度T1、T2を低めの領域A(例えば、T1=2°C、T2=3°C)に設定し、春秋の中間期では、設定温度T1、T2を中間領域B(例えば、T1=3°C、T2=4°C)に設定し、外気温Tamの高い夏場では、設定温度T1、T2を高めの領域C(例えば、T1=5°C、T2=6°C)に設定する。
【0058】
上記のように、冬場に、設定温度T1、T2を低めの領域Aに設定することにより、蒸発器後温度センサ39を蒸発器7の外気側に設置した場合でも、蒸発器7の内気側の温度上昇を抑制できるため、内気側の除湿能力を確保できる。
(他の実施形態)
なお、上記した第1、第2実施形態では、いずれも、設定温度T1、T2を外気温Tamに応じて冬期、中間期、夏期の3段階に変更するようにしているが、設定温度T1、T2を冬期、夏期の2段階に変更するようにしてよい。
【0059】
また、設定温度T1、T2を外気温Tamに応じて段階的に変更するものに限定されるものではなく、設定温度T1、T2を外気温Tamに応じて連続的(リニア)に変更してもよい。
また、上記した設定温度T1、T2の外気温Tamによる変更を、内外気2層の吸入モードのときのみ行うようにしてもよい。
【0060】
また、空調装置の温度調整、吸入モードの設定、吹出モードの設定等をすべて乗員の手動操作に基づいて行うものに対しても、本発明は同様に実施できる。
また、上記実施形態では、外気温に応じた信号を発生する信号発生手段として、外気温センサ36を用いているが、外気温センサ36に限らず、外気温に応じた信号を発生するものであれば何でも使用でき、例えば、前述したエアミックスドア11の開度信号、必要吹出空気温度TAOの信号、マイクロコンピータ内蔵のカレンダー信号等を外気温に応じた信号として使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の空調ユニット通風系の概略断面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】図1の矢印B方向から見た概略断面図である。
【図4】上記第1実施形態の制御系の電気ブロック図である。
【図5】上記第1実施形態のマイクロコンピュータによる制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図5のステップ180における具体的処理例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態におけるステップ180の具体的処理例を示すフローチャートである。
【図8】従来の空調ユニットにおける問題点を説明するための通風系要部の断面図である。
【図9】従来技術の問題点を示す実験データのグラフである。
【符号の説明】
2…空調ケース、3…内外気切換箱、6…送風機(送風手段)、
7…蒸発器(冷却用熱交換器)、8…ヒータコア(暖房用熱交換器)、
12…仕切り壁(仕切り部材)、13…第1空気通路、14…第2空気通路、
15…フット開口部、16…デフロスタ開口部、17…フェイス開口部、
26…第1内気吸入口、28…第2内気吸入口、29…外気吸入口、
36…外気温センサ、39…蒸発器後温度センサ(冷却温度検出手段)、
50…圧縮機(断続手段)、54…電磁クラッチ(断続手段)。
Claims (4)
- 一端側に内気吸入口(26)および外気吸入口(29)が形成され、他端側に、少なくとも、車室内乗員の足元への吹出空気が流出するフット開口部(15)、および車両窓ガラス内面への吹出空気が流出するデフロスタ開口部(16)が形成された空調ケース(2)と、
この空調ケース(2)内に、前記内気吸入口(26)から前記フット開口部(15)に至る第1空気通路(13)と、前記外気吸入口(29)から前記デフロスタ開口部(16)に至る第2空気通路(14)とを区画形成する仕切り部材(12)と、
前記第1および第2空気通路(13、14)内に、前記一端側から前記他端側に向けて空気流を発生する送風手段(6)と、
前記第1および第2空気通路(13、14)内に設けられ、これらの空気通路内(13、14)の空気を冷却する冷却用熱交換器(7)と、
前記第1および第2空気通路(13、14)内において前記冷却用熱交換器(7)の空気下流側に設けられ、これらの空気通路内(13、14)の空気を加熱する暖房用熱交換器(8)と、
前記第2空気通路(14)側に設けられ、前記冷却用熱交換器(7)の冷却温度を検出する冷却温度検出手段(39)と、
前記冷却用熱交換器(7)への冷却媒体の流れを断続する断続手段(50、54)と、
前記冷却温度検出手段(39)により検出された冷却温度と、予め設定された設定温度とを比較して、前記断続手段(50、54)を断続作動させることにより、前記冷却用熱交換器(7)のフロストを防止する断続制御手段(180b、190)とを備え、
前記設定温度を外気温が低くなるに従って低めに変更することを特徴とする車両用空調装置。 - 外気温に応じた信号を発生する信号発生手段(36)と、
この信号発生手段(36)の信号が入力され、前記設定温度を外気温に応じて変更する設定温度決定手段(180a、180a′)とを備え、
この設定温度決定手段(180a、180a′)は、外気温に応じて前記設定温度を2段階以上にわたって段階的に変更するものであることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。 - 前記空調ケース(2)の他端側には、車室内乗員の上半身への吹出空気が流出するフェイス開口部(17)が備えられており、
このフェイス開口部(17)は、前記デフロスタ開口部(16)とともに前記第2空気通路(14)の下流端に連通していることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。 - 前記第1空気通路(13)に内気を吸入し、前記第2空気通路(14)に外気を吸入する内外気2層モードと、
前記第1空気通路(13)と前記第2空気通路(14)の両方に外気を吸入する外気モードと、
前記第1空気通路(13)と前記第2空気通路(14)の両方に内気を吸入する内気モードとを設定可能な内外気切換箱(3)を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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