JP2009541431A - 非カルベン経由のシクロメタル化のない遷移金属−カルベン錯体の利用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、カルベン炭素原子のみを経由して一個以上のカルベン配位子が遷移金属に結合している遷移金属−カルベン錯体の有機発光ダイオード内での利用、少なくとも一種の上記の遷移金属−カルベン錯体を含む有機発光ダイオード、少なくとも一種の上記の遷移金属−カルベン錯体を含む発光層、少なくとも一種の本発明の発光層を含む有機発光ダイオード、および少なくとも一種の本発明の有機発光ダイオードを含む装置に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、カルベン炭素原子のみを経由して一個以上のカルベン配位子が遷移金属に結合している遷移金属−カルベン錯体の有機発光ダイオード内での利用、少なくとも一種の上記の遷移金属−カルベン錯体を含む有機発光ダイオード、少なくとも一種の上記の遷移金属−カルベン錯体を含む発光層、少なくとも一種の本発明の発光層を含む有機発光ダイオード、および少なくとも一種の本発明の有機発光ダイオードを含む装置に関する。
有機発光ダイオード(OLED)では、電流で励起されると発光する材料の性質が検討されている。OLEDは、特にCRT(陰極線管)や液晶表示装置に変わる平面型画像表示装置の製造に興味がもたれている。非常に設計がコンパクトであり、元来低電力使用量であるため、OLEDを用いる装置は、特に携帯用途、例えば携帯電話やラップトップコンピューターに適している。
OLEDや、OLEDを組み立てた(張り合わせた)ものの基本作動原理は、例えば、WO2005/113704およびそこに引用されている文献に記載されている。
先行技術により、電流での励起で発光する材料が数多く提案されている。
WO2005/019373は、少なくとも一種のカルベン配位子を含む無電荷の遷移金属錯体のOLEDでの利用を、最初に開示したものである。WO2005/019373によると、これらの遷移金属錯体は、OLED内のどの層においても使用可能であり、配位子の構造や中心金属によって遷移金属錯体の望ましい性質に調整される。例えば、遷移金属錯体を、OLEDの電子遮断層、励起子遮断層、空孔遮断層、または発光層で用いることが可能であるが、この遷移金属錯体をOLED中で発光分子として用いることが好ましい。
WO2005/113704は、カルベン配位子を有する発光性化合物に関する。WO2005/113704は、いろいろなカルベン配位子をもつ数多くの遷移金属錯体を示してあり、これらの遷移金属錯体を、リン光性の発光材料、より好ましくはドーピング物質として用いることが好ましい。
WO2005/019373とWO2005/113704で開示されている遷移金属−カルベン錯体のいずれにおいても、そのカルベン配位子は、シクロメタル化により遷移金属に結合している。この一個以上のカルベン配位子は、第一にはカルベン炭素原子で、第二には他の炭素原子またはヘテロ原子で、遷移金属に結合している。
上記のような先行技術のもとで、本発明の目的は、バランスのある諸性質を示す、例えば高安定性、高効率及び/又は長寿命である、新たなOLED用遷移金属−カルベン錯体を提供することである。
本目的は、つきに示す一般式(I)の遷移金属錯体の有機発光ダイオード中での利用により達成される:
Figure 2009541431
式中、記号は、それぞれ以下の通りである:
1は、元素周期律表(CAS版)のIIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII族の遷移金属とCuからなる群から選ばれる金属原子であり、特定の金属原子の酸化状態はいずれでもよく;
Kは、無電荷の一座または二座の配位子であり;
Lは、一座または二座の、モノアニオン性またはジアニオン性配位子であり;
mは、0〜5であり;
oは、0〜5であり;
nは、1〜6であり;
pは、錯体の電荷数で、0、1、2、3または4であり;
-は、モノアニオン性の対イオンであり;
mとoとnとpは、用いる金属原子の酸化状態と配位数に、また配位子の電荷と錯体の全体として電荷に依存し、
カルベンは、一般式(II)のカルベン配位子であり:
Figure 2009541431
式中、記号は、それぞれ以下の通りである:
Doは、N、C、P、O、およびSiからなる群から選ばれるドナー原子であり;
rは、DoがCまたはSiの時2、DoがNまたはPの時1、またDoがOまたはSの時0であり;
1とY2は、
各々独立して、水素、またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニル基からなる群から選ばれる炭素含有基であって、これらの基は置換されていても非置換であってもよく;または
1とY2は、一緒になって、ドナー原子Doと窒素原子との間で、少なくとも2個の原子を有する飽和又は不飽和の架橋を形成していてもよく、
なお、この架橋の一個以上の原子は必要に応じてアルキルまたはアリール基で置換されていてもよく(これらの置換基はさらに置換されていても又は無置換であってもよく)、
及び/又はドナーまたはアクセプター作用を持つ基で置換されていてもよく、
またこの架橋はさらに、必要に応じて一個以上の環を形成していてもよく;
1とR2は、
各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルケニル、またはアルキニル(これらの基は置換されていても、非置換であってもよく)、BR3 2、NR22 2、PR23 2、OR24、SR25またはSiR4 4であってもよく;
または
−n>1の場合−
1及び/又はR2は、各々の独立して、一個または二個の他のカルベン配位子のR1基及び/又はR2基の一つと共に、
以下に定義する架橋を形成し:
アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、アルケニレン、(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−CO、および(CR1213X[式中、一個以上の非隣接(CR1213)グループが、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、またはアルケニレン(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、O、S、SO、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−COで置換されていてもよい];
式中、
Xは、2〜10であり;
3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R22、R23、R24、およびR25は、各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシであり、これらの基は置換されていても無置換であってもよく;
また、
12とR13は、
各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、またはアルケニルであり、これらの基は置換されていても無置換であってもよく、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基で置換されていてもよく;
式中、式Iの遷移金属錯体中の一個以上のカルベン配位子は、カルベン炭素原子のみを経由して遷移金属に結合している。
驚くべきことに、他の炭素原子やヘテロ原子を経由するカルベン配位子のシクロメタル化を必要とせずに、OLED用途に好適な十分に安定な遷移金属−カルベン錯体を得ることができることが明らかとなった。
ある実施様態においては、本発明は、一般式のI遷移金属カルベン錯体の利用に関する。ただし、以下の一般式I’および一般式II’の遷移金属−カルベン錯体の利用を除く。
Figure 2009541431
式中、記号は、それぞれ以下の通りである:
1は、Pt(II)またはPd(II)で、好ましくはPt(II)である;
Lは、好ましくは独立して、ハライド、擬ハライド、アルコキシ、及びOAc-から選択される、より好ましくはBr-、I-、及びOAc-から選択さえる単座モノアニオン性配位子であい;
1とR1'は、
各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアラルキルであり、好ましくは水素、C1−C4−アルキル、シクロヘキシル、2,4,6−トリメチルフェニルまたはベンジルであり、より好ましくはメチル、イソプロピル、またはn−ブチルである;
2と、R3、R2'、R3'は、
各々独立して、水素、アルキル、アリールであり、好ましくは水素であり;
XとX’は、
各々独立して、アルキレン、
Figure 2009541431
であり、
好ましくは各々独立して、(CR4 2n
Figure 2009541431
であり、式中、R4はアルキルであり、nは1〜3であり、より好ましくはCH2
Figure 2009541431
より好ましくはCH2であり;
-は、モノアニオン性の対イオンであり、好ましくはハライド、擬ハライドまたはOAc-であり、より好ましくはCl-、Br-、I-、CN-、またはOAc-であり、最も好ましくはBr-またはI-である。
本発明で用いられる式Iの遷移金属−カルベン錯体に異なる異性体が存在する場合、本発明は、式Iの遷移金属−カルベン錯体の両方の異性体を含み、その場合、いかなる混合比率の異なる異性体の混合物であってもよい。一般に、式Iの金属錯体の異なる異性体を、当業界の熟練者には公知の方法で、例えばクロマトグラフィー、昇華または結晶化により分離できる。
式Iの遷移金属−カルベン錯体は、OLEDのいずれの層ででも使用可能で、金属錯体の所望の性質を調整するために、その配位子の構造や中心金属を変更することができる。例えば、式Iの遷移金属カルベン錯体を、OLEDの電子遮断層、励起子遮断層、空孔遮断層または発光層で使用することができる。式Iの化合物をOLEDの発光分子として使用することが好ましい。
「二座配位子」とは、ある配位子が、二つの部位でもって遷移金属原子M1に配位することを意味するものとする。
「単座配位子」は、ある配位子が、一つの部位でもって遷移金属原子M1に配位することを意味するものとする。
「三座の配位子」とは、三つの部位でもって遷移金属原子M1に配位することを意味するものとする。
「四座配位子」とは、四つの部位でもって遷移金属原子M1に配位することを意味するものとする。
一個以上のカルベン配位子がすべてカルベン炭素原子で遷移金属原子に結合する遷移金属−カルベン錯体は、公知である。
W. J. Youngs et al., J. Organomet. Chem. 671 (2003) 183 to 186は、二個のビス(イミダゾール−2−イリデン)−Pt(II)錯体の合成と構造決定に関する。しかしながら、これらの錯体の利用に関しては、特に述べられていない。
M. Albrecht et al., Inorganica Chimica Acta (2006), 1929−1938は、ビスイミダゾリウム配位子を有するパラジウム−ビスカルベン錯体の合成と構造解析に関する。特に、M. Albrecht et al.は、ビスイミダゾリウム配位子のメタル化の機構的な解析に関する。
Ch.−M. Che et al., Organometallics 1998, 17, 1622 to 1630は、芳香族の光活性ジイミン配位子を有する発光性のレニウム(I)−N−複素環式カルベン錯体の分光的性質の分析に関する。これらの錯体の分光的性質の分析により、これら錯体の電子的な条件の認識が深まることとなる。これらのN−複素環式レニウム(l)−カルベン錯体の利用や、エレクトロルミネッセンスの性能についての記載は、Ch.−M. Cheにはない。
また、DE−A10 2005 058 206は、白金及びパラジウムのN−複素環式ビスカルベン錯体の製造、およびその触媒としての、特に炭化水素や炭化水素含有物の部分酸化用触媒としての利用について開示している。DE−A10 2005 058 206は、開示する錯体の発光的な性質に関しては、なんら情報を含んでいない。
本発明の式Iの遷移金属−カルベン錯体がOLED用途において好適であることについては、どの上記文書にも記載がない。したがって、本発明の式I及び式IIの遷移金属−カルベン錯体がOLED用途に好適であることは、上記のいずれの文書にも述べられていない。
本発明で用いられる式Iの遷移金属−カルベン錯体は、好ましくはIr、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、およびCuからなる群から選ばれる金属原子M1を有し、より好ましくはIr、Os、Ru、Rh、Pd、Co、Ni、およびPtから選ばれるもの、最も好ましくはIr、Pt、Rh、Ru、およびOsから選ばれるものであり、その金属原子の酸化状態は問わない。本発明で用いられる式Iの遷移金属−カルベン錯体の中では、Pt(II)、Pt(IV)、Ir(I)、Ir(III)、Os(II)、及びRu(II)の使用が特に好ましい。
好適な一座または二座のモノアニオン性またはジアニオン性配位子Lは、一座または二座のモノアニオン性またはジアニオン性配位子として通常用いられる配位子である。配位子Lが存在する場合は、式Iの遷移金属−カルベン錯体中でモノアニオン性単座配位子を使用することが好ましい。
通常、用いる配位子Lは、非光活性の配位子である。好適な配位子は、例えば、Cl-やBr-、I-などのハライド、CN-やOAc-などの擬ハライド、遷移金属原子M1にシグマ結合で結合したアルキル基(例えばCH3)、アルコキシド、チオレート、アミド類(R26 2-、式中、R26は、水素または置換又は非置換のアルキルまたはアリール基)などのモノアニオン性単座配位子;アセチルアセトネートやその誘導体などのモノアニオン性二座配位子;及びWO02/15645に記載の2座モノアニオン性配位子;及び酸化物である。
好適な無電荷の一座または二座配位子Kは、無電荷の一座または二座配位子として通常用いられる配位子である。一般に、式(I)の遷移金属−カルベン錯体で用いる配位子Kは、光活性配位子である。好適な配位子Kとしては、例えば、ホスフィン、特にトリアルキルホスフィン、例えばPEt3やPnBu3;トリアリールホスフィン類、例えばPPh3;ホスホネートおよびその誘導体、ヒ酸及びその誘導体、ホスフィット、CO、ニトリル類、アミン類、M1とπ−錯体を形成するジエン類、例えば2,4−ヘキサジエン、η4−シクロオクタジエン、η2−シクロオクタジエン(いずれの場合も、1,3、及び1,5)、アリル、メタリル、シクロオクテン、ノルボルナジエンがあげられる。
好適なモノアニオン性の対イオンW-は、例えば、ハライド、擬ハライド、BF4-、PF6-、ASF6-、SbF6-またはOAc-であり、好ましくはCl-、Br-、I-、CN-、またはOAc-、より好ましくはBr-またはI-である。式Iの遷移金属−カルベン錯体中のカルベン配位子の数nは、1〜6である。この数nは、遷移金属M1とカルベン炭素原子との間の結合数による。これは、結合遷移金属M1と結合可能な二個のカルベン炭素原子を有する式IIの架橋カルベン配位子では、n=2であることを意味する。遷移金属M1と結合可能な四個のカルベン炭素原子を持つ式IIのカルベン配位子では、n=4である。例えば、遷移金属M1と結合可能な二個のカルベン炭素原子結を有する式IIのカルベン配位子を三個持つ遷移金属−カルベン錯体では、n=6である。式Iの遷移金属−カルベン錯体中のnは、4〜6、より好ましくは4または6である。式Iの遷移金属カルベン錯体が、二個以上のカルベン配位子を持つ場合、式Iの遷移金属−カルベン錯体のカルベン配位子は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
式Iの遷移金属−カルベン錯体中のモノアニオン性配位子Lの数は、0〜5であり、好ましくは0〜2である。m>1の場合、配位子Lは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。ただし、好ましくはこれらは同一である。
式Iの遷移金属−カルベン錯体中の無電荷配位子Kの数は、0〜5であり、好ましくは0〜2、より好ましくは0である。o>1の場合、配位子Kは同一であってもよいし、異なっていてもよい。ただし、好ましくは、これらは同一である。
数値pは、遷移金属錯体の電荷数を示し、無電荷の(p=0)であるか、正荷電=1、2、3または4、好ましくは1、2または3、より好ましくは1または2)である。より好ましくは、pは0、1または2である。同時に、数値pは、モノアニオン性対イオンW-の数である。式Iの遷移金属カルベン錯体が無電荷の遷移金属−カルベン錯体である場合、p=0である。この遷移金属錯体が正に荷電している場合、モノアニオン性対イオンの数は、遷移金属−カルベン錯体の正電荷に相当する。
カルベンとK配位子とL配位子の数や、モノアニオン性対イオンW-の数、即ちnとo、m、pは、用いる金属原子M1の酸化状態と配位数に依存し、また配位子の電荷と錯体の全体として電荷に依存する。
式Iの遷移金属−カルベン錯体中のカルベン配位子「カルベン」は一般式(II)で表される:
Figure 2009541431
式IIのカルベン配位子において、記号は、それぞれ以下の通りである:
Doは、N、C、P、O、およびSiからなる群から選ばれるドナー原子であり、
好ましくはN、P、O、Sから選ばれる原子であり、より好ましくはNである;
rは、DoがCまたはSiの時2、DoがNまたはPの時1、またDoがOまたはSの時0であり;
1とY2は、
各々独立して、水素またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニル基からなる群から選ばれる炭素含有基であって、これらの基は置換されていても非置換であってもよく;または
1とY2は、一緒になって、ドナー原子Doと窒素原子との間で、少なくとも2個の原子を有する飽和又は不飽和の架橋を形成していてもよく、なお、この架橋の一個以上の原子は必要に応じてアルキルまたはアリール基で置換されていてもよく(これらの置換基はさらに置換されていても又は無置換であってもよく)、及び/又はドナーまたはアクセプター作用を持つ基で置換されていてもよく、またこの架橋はさらに、必要に応じて一個以上の環を形成していてもよい;
1とR2は、
各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルケニル、またはアルキニル(これらの基は置換されていても、非置換であってもよく)、BR3 2、NR22 2、PR23 2、OR24、SR25またはSiR4 4であってもよく;好ましくは、水素、置換又は非置換のアルキル、シクロアルキル、またはあアラルキル基である;または
−n>1の場合−
1及び/又はR2は、各々の独立して、一個または二個の式IIのカルベン配位子のR1及び/又はR2基の一つと共に、架橋を形成してもよく、その架橋は次のように定義される:
アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、アルケニレン、(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−CO、および(CR1213X[式中、一個以上の非隣接(CR1213)グループが、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、またはアルケニレン(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、O、S、SO、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−COで置換されていてもよい];式中、
Xは、2〜10であり、好ましくは2〜5、より好ましくは2〜3であり;
3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R22、R23、R24、およびR25は、
各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアルコキシであり、より好ましくは水素、アルキルまたはアルコキシであり;
また
12とR13は、
各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、またはアルケニルであり、これらの基は置換されていても無置換であってもよく、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基、例えばアミノまたはアルコキシであり、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アミノ、またはアルコキシであり、より好ましくは水素、アルキル、またはアミノである。
式Iの遷移金属−カルベン錯体において、一個以上の式IIのカルベン配位子が、カルベン炭素原子のみを経由して遷移金属原子M1に結合している必要がある。式Iの遷移金属−カルベン錯体において、非カルベンを経由する一個以上のカルベン配位子のシクロメタル化がない。
本出願のY1グループとY2グループにおいて:
1グループとY2グループの置換基は、一緒になって、少なくとも2個の原子、好ましくは合計2〜4個の原子、より好ましくは2〜3個の原子を有する架橋(ただし、うち一個以上の原子、好ましくは一個または二個の原子が、ヘテロ原子、好ましくはNまたはBで、残りの原子が炭素原子である)を形成して、NCDo基が、この架橋と共に、好ましくは五員環〜七員環、より好ましくは五員環〜六員環(ただし、これらの環は、必要に応じて2個のまたは、−六員環〜七員環の場合−3個の二重結合を有していてもよく、また、必要に応じてアルキルまたはアリール基(これらの基は置換していても無置換であってもよい)及び/又はドナーまたはアクセプター作用のある基で置換されていてもよく、必要に応じて、ヘテロ原子を、好ましくはNを含んでいてもよい)を形成するようにしてもよい。無置換の又はアルキルまたはアリール基、(これらの基は置換していても無置換であってもよい)及び/又はドナーまたはアクセプター作用を持つ基で置換された五員環〜六員環芳香族環であることが好ましく、あるいはこの好ましい五員環〜六員環芳香族環が、必要に応じて少なくとも一種のヘテロ原子、好ましくはNを含む他の環、好ましくは六員環の芳香族環に縮合していることが好ましい。
好ましい式IIのカルベン配位子は、したがって次の式IIaを有する:
Figure 2009541431
式中、Do、R1、R2、及びrは、それぞれ上述の通りであり、
構造IIa中の曲線は、上述のようにしてY1とY2とが共に形成した架橋を示す。
上述のように、ある特に好ましい実施様態においては、NCDo基は、この架橋と共に、飽和また不飽和の置換及び/又は縮合した、好ましくはベンゾ縮合した五員環〜六員環を形成する。
1グループ及び/又はY2グループ、およびY1とY2で形成された架橋は、R1基及び/又はR2基に架橋を経由して結合してもよく、その場合、この架橋は、次のように定義してもよい:アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、アルケニレン、(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−CO、および(CR1213X[式中、一個以上の非隣接(CR1213)グループが、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、またはアルケニレン(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、O、S、SO、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−COで置換されていてもよい];
式中
Xは、2〜10であり、好ましくは2〜5、より好ましくは2〜3であり;
5、R6、R7、R8、R9、R10、およびR11は、
各々、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアルコキシであり、より好ましくは水素、アルキルまたはアルコキシであり;
また、
12とR13は、
各々、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、またはアルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基、例えばアミノ、またはアルコキシ、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アミノ、またはアルコキシ、より好ましくは水素、アルキル、アミノを持つ基である。
1とY2が共に架橋して五員環〜七員環を形成する場合、R1基及び/又はR2基の結合架橋が、その五員環〜七員環に直接結合していてもよいし、その環の置換基に結合していてもよい。Y1とY2の架橋で形成された五員環〜七員環が、他の五員環〜七員環と縮合している場合、その結合架橋が、縮合環のある原子に結合していてもよい。
本出願において、「アリール基(またはグループ)」とは、下に定義されるアルキル基(またはグループ)、シクロアルキル基(またはグループ)、アラルキル基(またはグループ)、アルコキシ基(またはグループ)である:
アリール基(またはグループ)とは、一個の芳香族環または複数の縮合芳香族環からなる、炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜18の基本構造を持つ基を意味するものとする。好適な基本構造は、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニルまたはフェナントレニルである。この基本構造は、無置換(即ち、すべての置換可能な炭素原子が水素原子を持つ)であっても、基本構造中の一個以上のあるいはすべての置換可能な部位で置換されていてもよい。好適な置換基は、例えば、アルキル基、好ましくは炭素原子数が1〜8のアルキル基、より好ましくはメチル、エチルまたはi−プロピル;置換または無置換のアリール基、好ましくはC6−アリール基;ヘテロアリール基、好ましくは少なくとも一個の窒素原子を有するヘテロアリール基、より好ましくはピリジルラジカル;アルケニル基、好ましくは一個の二重結合を有するアルケニル基、より好ましくは一個の二重結合を有し炭素原子数が1〜8のアルケニル基;またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基である。好適なドナーまたはアクセプター作用を持つ基は次の通りである:最も好ましいのは、メチル、F、Cl、CN、アリールオキシ、およびアルコキシ、スルホニル、ヘテロアリールからなる群から選ばれる置換基を持つアリール基である。このアリール基(またはグループ)は、好ましくはC6−C18−アリール基、より好ましくはC6−アリール基であり、この基は必要に応じて上記置換基の少なくとも一種で置換されていてもよい。このC6−C18−アリール基、好ましくはC6−アリール基、は、より好ましくは上記の置換基を、0、1、2、または3個有し、C6−アリール基の場合、一つの置換基は、アリール基の他の結合部位に対してオルト、メタまたはパラ位に形成され、置換基が二個の場合は、これらは、アリール基の他の結合部位に対して、それぞれメタ位またはオルト位に配置されるか、一個の基がオルト位に他の基がメタ位に、または一個の基がオルト位またはメタ位に他の基がパラ位に配置される。置換基が三個の場合は、これらは、アリール基の他の結合部位に対して、好ましくはオルト位(3つの置換基のうち二つ)とp位(第三の置換基)に配置される。
ヘテロアリール基(グループ)は、上記のアリール基とから、そのアリール基の基本構造の少なくとも一個の炭素原子がヘテロ原子で置き換わっている基を意味するものとする。好ましいヘテロ原子は、NとOとSである。最も好ましくは、アリール基の基本構造中の一個または二個の炭素原子が、ヘテロ原子で置き換わったものである。特に好ましくは、この基本構造は、ピリジン、およびピロールやフラン、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、オキサゾール、チアゾールなどの五員環複素芳香族化合物などの系から選ばれる。この基本構造は、基本構造中の一個以上のあるいはすべての置換可能な部位で置換されていてもよい。好適な置換基は、アリール基に対して述べたものと同一である。
アルキル基(またはグループ)は、炭素原子数が1〜20の、好ましくは1〜10の、より好ましくは1〜8の、最も好ましくは1〜4の基を意味するものとする。このアルキル基は、分岐していてもよく、必要に応じて、一個以上のヘテロ原子を、好ましくはSi、N、OまたはSを、より好ましくはN、OまたはSを含有していてもよく、またこのアルキル基は、アリール基に対して述べた置換基の一個以上で置換されていてもよい。また、このアルキル基が、一個以上の(ヘテロ)アリール基を有していてもよい。この場合、上記の(ヘテロ)アリール基すべてが好適である。このアルキル基は、より好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、およびtert−ブチルからなる群から選ばれ;非常に特に好ましくは、メチル、イソプロピル、およびn−ブチルから選ばれる。
シクロアルキル基(またはグループ)は、炭素原子数が3〜20の、好ましくは3〜10の、より好ましくは3〜8の基を意味するものとする。この基本構造は、無置換(即ち、すべての置換可能な炭素原子が水素原子を持つ)であっても、基本構造中の一個以上のあるいはすべての置換可能な部位で置換されていてもよい。好適な置換基は、アリール基に対して述べた基である。好適なシクロアルキル基の例としては、シクロプロピルやシクロペンチル、シクロヘキシルがあげられる。
ヘテロシクロアルキル基(またはグループ)は、上記のシクロアルキル基であって、その基本構造内の少なくとも一個の炭素原子がヘテロ原子で置換されている点で.上記のシクロアルキル基と異なる基を意味するものとする。好ましいヘテロ原子は、N、O、及びSである。最も好ましくは、シクロアルキル基の基本構造中の一個または二個の炭素原子が、ヘテロ原子で置き換わったものである。好適なヘテロシクロアルキル基の例としては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、ジオキサンに由来する基があげられる。
アラルキル基(またはグループ)は、無置換であってもアリール基に対して述べた基で置換されていてもよい、炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜18の基本構造を有する基を意味するものとする。好適なアラルキルグループは、例えば、ベンジルや、フェニルエチル、フェニルプロピルである。
アルケニル基(またはグループ)は、少なくとも2個の炭素原子を持つ上記のアルキル基であって、アルキル基の少なくとも一個のC−C一重結合がC−C二重結合で置き換わったものを意味するものとする。このアルケニル基は、好ましくは一個または二個の二重結合を持つ。
アルキニルラジカル(またはグループ)は、上記の少なくとも2個の炭素原子を有するアルキル基で、そのアルキル基の少なくとも一個のC−C一重結合がC−C三重結合で置き換わったものを意味するものとする。このアルキニルラジカルは、好ましくは一個または二個の三重結合を持つ。
アミノグループは、一般式−NR’R”(式中、R’とR”は、各々独立して水素、アルキルまたはアリールである)で表されるグループを意味するものとする。また、R’とR”は、その窒素原子と共に、環を、好ましくは五員環または六員環を形成してもよい。この環は、飽和であっても不飽和であってもよく、必要なら、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。好適なアルキルとアリール基は、上述の通りである。
本出願において、これらの用語、アルキレンや、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、アルケニレンは、アルキルや、アリール、ヘテロアリール、アルキニル、アルケニル基の定義と同一であり、違いは、アルキレンや、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、およびアルケニレングループが、式IIの配位子の原子に対して二つの結合部位を有することである。
好ましいアルキレングループは、(CR4 2n(式中、R4は、Hまたはアルキル、好ましくはH、メチルまたはエチル、より好ましくはHである)であり、nは1〜3であり、好ましくは1または2、より好ましくは1である。最も好ましくは、このアルキレングループがCH2である。
本出願において、ドナーまたはアクセプター作用を持つ基(またはグループ)は次のグループを意味するものとする:ドナー作用を持つ基は、+I効果及び/又は+M効果を持つ基を意味し、アクセプター作用を持つ基は、−I効果及び/又は−M効果を持つ基を意味するものとする。好適なドナーまたはアクセプター作用を持つ基は、ハロゲンラジカル(好ましくはF、Cl、Br、より好ましくはF)、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、エステル基、オキシカルボニルとカルボニルオキシ、アミノ基、アミド基、CH2F基、CHF2グループ、CF3グループ、CNグループ、チオ基、ホスホン酸グループ、スルホン酸エステルグループ、ボロン酸グループ、ボロン酸エステルグループ、ホスホン酸グループ、ホスホン酸エステルグループ、ホスフィン基、スルホキシド基、スルホニル基、スルフイド基、ニトロ基、OCN、ボラン基、シリル基、錫酸鉛基、イミノグループ、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、オキシラン基、ニトロソグループ、ジアゾグループ、ホスフィンオキシドグループ、ヒドロキシルグループまたはSCNグループがあげられる。非常に特に好ましい基は、F、Cl、CN、アリーロキシ、アルコキシ、アミノ、CF3グループ、スルホニル、およびヘテロアリールである。
上記のアリール基(またはグループ)、ヘテロアリール基(またはグループ)、アルキル基(またはグループ)、シクロアルキル基(またはグループ)、ヘテロシクロアルキル基(またはグループ)、アルケニル基(またはグループ)、アルキニル基(またはグループ)、アラルキル基(またはグループ)、アミノ基、及びドナー作用及び/又はアクセプター作用を持つ基、さらには、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、およびアルケニレン基(またはグループ)は、それぞれ、置換していても無置換であってもよい。本出願において、無置換のグループとは、あるグループで、その中の置換可能な原子が水素原子を有しているものを意味するものとする。本出願において、置換されたグループとは、一個以上の置換可能な原子が、少なくとも一つの部位の水素原子にかえて置換気を持っているグループを意味するものとする。好適な置換基は、アリール基(またはグループ)に対して述べた置換基である。
同一番号をもつ基が本出願に記載の化合物中に一回以上出てくる場合は、これらの基は、各々独立して上述のように定義される。
上述のように、式IIのカルベン配位子は、好ましくは式IIaのカルベン配位子である。式IIのカルベン配位子は、より好ましくは、次式の化合物からなる群から選ばれる。
Figure 2009541431
式中、記号は、それぞれ以下の通りである:
Z’は、各々独立して、CR21またはN;0〜3個のZ’基は、好ましくはNであり、より好ましくは0〜2個が、最も好ましくは0または1個がNであり、残るZ’グループがそれぞれCR21である;
14、R15、R16、R17、R18、R19、およびR20は、
各々、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、アルキニル、アルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基、好ましくは水素、アルキルまたはドナーまたはアクセプター作用を持つ基、より好ましくは水素またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基である;
21は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、アルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基であるか、いずれの場合も、二個のR21基が一緒になり、必要に応じて少なくとも一種のヘテロ原子を含有してもよい縮合環を形成し;
また、基IIaa中のR14またはR15、基IIab中のR18、基IIac中のR21基の一つ、及び基IIad中のR20は、架橋を経由してR1に結合してもよく、及び/又は基IIaa中のR16またはR17、基IIab中のR19e、基IIac中のR21基の一つは、架橋を経由してR2に結合してもよい。なおこの架橋は、次のように定義される:
アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、アルケニレン、(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−CO、および(CR1213X[式中、一個以上の非隣接(CR1213)グループが、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、またはアルケニレン(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、O、S、SO、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−COで置換されていてもよい];式中、
Xは、2〜10、好ましくは2〜5、より好ましくは2または3であり;
5、R6、R7、R8、R9、R10、およびR11は、
各々、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアルコキシであり、より好ましくは水素、アルキルまたはアルコキシであり;
また、
12とR13は、
各々、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、アルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基、例えばアミノまたはアルコキシであり、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アミノまたはアルコキシであり、より好ましくは水素、アルキル、アミノである。
ある特に好ましい実施様態においては、式IIのカルベン配位子が、架橋カルベン配位子を含み、その場合、他のカルベン配位子のR1基及び/又はR2基を経由した架橋と同様に、R1基及び/又はR2基を経由した他のカルベン配位子への架橋が存在する。したがって、ある実施様態においては、本発明は、式Iの遷移金属−カルベン錯体であって、n>1であり、架橋カルベン配位子を持つものに関する。このことは、ある実施様態においては、これらの式IIのカルベン配位子において、R1及び/又はR2は、各々独立して、一個または二個の他のカルベン配位子のR1基及び/又はR2基の一つと一緒に架橋を形成することを意味する。その際の架橋は次のように定義される:
アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、アルケニレン、(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−CO、および(CR1213X[式中、一個以上の非隣接(CR1213)グループが、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、またはアルケニレン(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、O、S、SO、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−COで置換されていてもよい];好ましくはCH2、CH=CH、1,2−フェニレン、CH(アミノ)、CH(O-)、BR8 2 -
Figure 2009541431
である。
式中、
Xは、2〜10であり、好ましくは2〜5、より好ましくは2または3であり;
また、
5、R6、R7、R8、R9、R10、およびR11は、
各々、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアルコキシであり、より好ましくは水素、アルキルまたはアルコキシであり;
また、
12とR13は、
各々、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、またはアルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基、例えばアミノまたはアルコキシ、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アミノあるいはアルコキシ、より好ましくは水素、アルキル、アミノである。
好適な架橋式IIのカルベン配位子の例は、次図の構造のカルベン配位子である。
Figure 2009541431
Figure 2009541431
式中、Y1、Y2、R2、r、及びDoは、各々、上記の通りであり、
Do’は、N、C、P、及びSiから選ばれるドナー原子であり;
また、
1とX2、X3、X4は、
各々独立して、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、アルケニレン、(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−CO、または(CR1213Xであり[式中、一個以上の非隣接(CR1213)グループが、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、またはアルケニレン(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、O、S、SO、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−COで置換されていてもよい];好ましくはCH2、CH=CH、1,2−フェニレン、CH(アミノ)、CH(O-)、BR8 2 -
Figure 2009541431
である。
式中、
Xは、2〜10であり、好ましくは2〜5、より好ましくは2〜3であり;
また、
5とR6、R7、R8、R9、R10、R11は、
各々、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアルコキシであり、より好ましくは水素、アルキルまたはアルコキシであり;
また、
12とR13は、
各々、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、アルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基、例えばアミノまたはアルコキシ、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アミノまたはアルコキシ、より好ましくは水素、アルキル、アミノである。
上記の架橋カルベン配位子中のY1グループY2グループは、好ましくは、少なくとも二個の原子、好ましくはa合計2〜4個、より好ましくは2または3個の原子を含む架橋(そのうち、一個以上の原子、好ましくは一個または二個の原子は、ヘテロ原子、好ましくはNであってよく、残る原子は炭素原子である)を形成し、NCDo基が、この架橋と共に、好ましくは五員環〜七員環、より好ましくは五員環〜六員環を形成する。なお、これらの五員環〜六員環は、必要に応じて2個の、または−六員環〜七員環の場合−3個の二重結合を有してよく、また必要に応じてアルキル基またはアリール基(これらのグループは、置換されたものでも無置換でもよく)及び/又はドナーまたはアクセプター作用を持つ基で置換されていてもよく、必要に応じてヘテロ原子、好ましくはNを含んでもよい。なお、無置換又は、アルキルまたはアリール基(これらの基は置換していても無置換であってもよい)及び/又はドナーまたはアクセプター作用を持つ基で置換された五員環または六員環の芳香族環が好ましく、またはこの五員環または六員環の芳香族環は、少なくとも一種のヘテロ原子、好ましくはNを含む他の環、好ましくは六員環の芳香族環と縮合していることが好ましい。
好ましい架橋カルベン配位子は、したがって次の一般式を持つ:
Figure 2009541431
Figure 2009541431
式中、R2、r、Do、X1、X2、X3、X4、及びDo’は、各々上述の通りであり、その曲線は、上述のY1とY2により形成される架橋である。
上記の架橋カルベン配位子中のDoとDo’は、好ましくは、それぞれNである。
特に好ましいY1とY2により形成される架橋は、構造IIaa、IIab、IIac、及びIIadで示される架橋である。
式Iの遷移金属−カルベン錯体中で特に好ましく使用される式IIのカルベン配位子は、次の配位子から選ばれる。
Figure 2009541431
Figure 2009541431
式中、記号R1、R2、X1、X2、X3、およびX4は、それぞれ、上述の通りであり、
A、A’、A”、およびA'''は、それぞれR18であり、
B、B’、B”、およびB'''は、それぞれR19であり、
A、A’、A”、A'''グループ中のR18とB、B’、B”、B'''グループ中のR19とは、いずれの場合も、同一であっても異なっていてもよい。
または
AとB、A’とB’、A”とB”、またはA'''とB'''は、
各々独立して、ともに、下記式の基を形成して:
Figure 2009541431
縮合環を形成してもよく、その際、
AとB、A’とB’、A”とB”、及びA'''とB'''グループ中のZ’は、
いずれの場合も、同一であっても異なっていてもよく;
その際の好適なR18基とR19基また好適なZ’グループは上述の通りである。
式Iの遷移金属−カルベン錯体は、好ましくは式IIのカルベン配位子である。その際、A、A’、A”及びA'''グループと、B、B’、B”およびB'''グループ、およびAとB、A’と’,A”とB”、およびA'''とB'''は、いずれの場合も、同じ意味で定義される。
式Iの遷移金属−カルベン錯体において、架橋カルベン配位子と非架橋カルベン配位子が共存してもよいが、式Iの遷移金属−カルベン錯体が、一個以上の一種のみの非架橋カルベン配位子を、あるいは一個以上の一種のみの架橋カルベン配位子を有していてもよい。好ましく用いられる遷移金属−カルベン錯体を以下に示す:
Figure 2009541431
Figure 2009541431
記号M1、L、K、W-、m、o、p、R1、R2、A、A’、A”、A'''、B、B’、B”、B'''、X1、X2、X3、およびX4は、各々の上述の通りである。
本出願の特に好ましい実施様態においては、一般式Iの遷移金属−カルベン錯体中の記号M1、K、L、m、およびoが、それぞれ次のようになる:
1は、Pt、Os、Ru、またはIrであり、より好ましくはPt(II)、Pt(IV)、lr(l)、Ir(lll)、Os(II)、またはRu(II)である;
Kは、無電荷の一座または二座配位子である;
Lは、Cl-、Br-、I-、CN-、OAc-、アルコキシド、またはチオレートである;
mは、0〜5、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2である;
oは、0〜5、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2、最も好ましくは0である;
pは、0、1、2、または3、好ましくは0、1、または2である;
-はハライド、擬ハライドまたはOACであり、より好ましくはCl-、Br-、I-、CN-、またはOAC、最も好ましくはBr-またはI-である;
1とR2は、各々独立して、置換又は非置換のアルキルであり、好ましくはメチル、i−プロピル、n−ブチル、置換又は非置換のシクロアルキルであり、さらに好ましくはシクロヘキシル、または置換又は非置換のアラルキルであり、さらに好ましくはベンジルである;
A、A’、A”、およびA'''は、それぞれR18である;
B、B’、B”、およびB'''は、それぞれR19である;なお、
A、A’、A”、A'''グループ中のR18とB、B’、B”、B'''グループ中のR19は、各々独立して、水素またはドナーまたはアクセプター作用のある基である;
または
AとB、A’とB’、A”とB”、またはA'''とB'''は、
各々独立して、共に下記式の基を形成して:
Figure 2009541431
縮合環を形成する;式中、
AとB、A’とB’、A”とB”、及びA'''とB'''グループ中のZ’は、いずれの場合も、同一であっても異なっていてもよい。
Z’は、各々独立して、CR21またはNである;0〜3個のZ’グループは、好ましくはN、より好ましくは0〜2個が、最も好ましくは0または1個が好ましくはNであり、残るZ’グループがそれぞれCR21である;
21は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、アルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基であり、または、いずれの場合も、二個のR21基が共に、必要に応じて少なくとも一種のヘテロ原子を有する縮合環を形成する;
なお、A、A’、A”、及びA'''グループと、B、B’、B”、およびB'''グループ、またはAとB、A’とB’、A”とB”、およびA'''とB'''グループは、より好ましくはそれぞれ同じである;
1とX2、X3、X4は、
各々独立して、CH2、CH=CH、1,2−フェニレン、CH(アミノ)、CH(O-)、BR8 2 -
Figure 2009541431
であり、式中、R8は、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリール(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、好ましくは水素またはアルキルである。
式Iの好適な遷移金属−カルベン錯体の例を以下に示す:
例えば、次のテトラカルベン錯体:
Figure 2009541431
式中:
1は、PtまたはPdである;
1は、各々独立して、CH2、CH=CH、1,2−フェニレン、CH(アミノ)、CH(O-)、BR82−、
Figure 2009541431
である;
式中、R8は、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリール(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、好ましくは水素またはアルキルであり、例えばメチル、エチル、イソプロピルである;
1とR2は、各々独立して、置換又は非置換のアルキル、例えばメチル、iso−プロピル、n−ブチル、置換又は非置換のシクロアルキル、例えばシクロヘキシル、置換又は非置換のアリール、例えば2,4,6−メチルフェニル、置換又は非置換のアラルキル、例えばベンジルである;
-は、ハライド、擬ハライドまたはOAc-であり、より好ましくはCl-、Br-、I-、CN-、またはOAc-であり、最も好ましくはBr-またはI-である。
例えば、次のテトラカルベン錯体:
Figure 2009541431
式中:
1は、OsまたはRuである;
1とX2、X3、X4は、
各々独立して、CH2、CH=CH、1,2−フェニレン、CH(アミノ)、CH(O-)、BR82−、
Figure 2009541431
である;
式中、R8は、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリール(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、好ましくは水素またはアルキルであり、例えばメチル、エチル、イソプロピルである;
Lは、ハライド、例えばBr-、I-;擬ハライド、例えばCN-、またはOAc-である。
例えば、次のテトラカルベン錯体:
Figure 2009541431
式中:
1は、OsまたはRuである;
1とR2は、各々独立して、置換又は非置換のアルキル、例えばメチル、iso−プロピル、n−ブチル、置換又は非置換のシクロアルキル、例えばシクロヘキシル、置換又は非置換のアリール、例えば2,4,6−メチルフェニル、置換又は非置換のアラルキル、例えばベンジルである;
Lは、ハライド、例えばBr-、I-;擬ハライド、例えばCN-、またはOAc-である。
本発明により用いられる式Iの遷移金属−カルベン錯体は、原理的には、当業界の熟練者には公知の方法により、あるいは当業界の熟練者には公知の方法と同様にして製造可能である。好適な一般的なカルベン錯体の製造方法が、例えば、次の総説:W.A. Hermann et al., Advances in Organometallic Chemistry, 2001, Vol. 48, 1 to 69, W.A. Hermann et al., Angew. Chem. 1997, 109, 2256 to 2282 and G. Bertrand et al., Chem. Rev. 2000, 100, 39 to 91、及びそこに引用される文献に詳細に記載されている。他の製造方法が、例えば、Ch.−M. Che et al., Organometallics 1998, 17,1 622 to 1630, M. Albrecht et al., Inorganica Chimica Acta 359 (2006) 1929−1938 and W:J. Youngs et al., J. Organomet. Chem. 671 (2003) 183 to 186、またDE−A 10 2005 058 206に記載されている。
通常、式Iの遷移金属−カルベン錯体は、カルベン配位子に対応する前駆体と適当な所望の金属を含む金属錯体とから製造される。
カルベン配位子の好適な配位子前駆体は、当業界の熟練者には公知である。これらは、好ましくは一般式IIIのカチオン性の前駆体である。
Figure 2009541431
式中:
-は、モノアニオン性の対イオン、好ましくはハライド、擬ハライド、BF4 -、BPh4 -、PF6 -、ASF6 -、またはSbF6 -であり、
また、
一般式IIIの配位子前駆体の他の基や記号や数字は、それぞれ上述の通りである。
好適な配位子前駆体は、例えば、イミダゾリウム塩、ビスイミダゾリウム塩類、テトライミダゾリウム塩、およびこれらの誘導体である。
一般式IIIの配位子前駆体は、当業界の熟練者には公知の方法で生産される。配位子前駆体の製造に適した方法が、上記の文献及びそこに引用される文献に記載されている。好適な配位子前駆体のいくつかは市販されている。
少なくとも一種の一般式IIIの配位子前駆体を、少なくとも一種の上記金属M1を含む少なくとも一種の金属錯体と反応させて、式Iの遷移金属−カルベン錯体を製造することが好ましい。
式IIIの配位子前駆体と、少なくとも一種の金属M1を含む金属錯体とのモル比は、所望の式Iの遷移金属−カルベン錯体の構造とカルベン配位子の形状、即ちカルベン配位子が一個以上の非架橋モノカルベン配位子であるか一個以上の架橋ビス−、トリ−またはテトラカルベン配位子であるかにより決まる。式Iの遷移金属−カルベン錯体のnが>1の場合、少なくとも一種の金属M1を含む金属錯体を、同じ複数のカルベン配位子とまたは異なるカルベン配位子と反応させることにより、これらの遷移金属−カルベン錯体を得ることができる。したがって、式Iの同一配位子および異種配位子遷移金属−カルベン錯体を製造することができる。式Iのいろいろな遷移金属−カルベン錯体の製造に適した方法や反応順序は、当業界の熟練者には公知である。
少なくとも一種の金属M1を含む金属錯体は、元素周期律表(CAS version)のIIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、及びVIII族の遷移金属及びCuからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属原子を含む金属錯体であり、好ましくはIr、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Fe、Ru、Os、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、およびCuからなる群から選ばれるものであり、より好ましくはIr、Os、Ru、Rh、Pd、Co、及びPtから、最も好ましくはIr、Pt、Rh、Pd、Ru、およびOsから選ばれるものである。なお、特定の金属の酸化状態は問わない。
好適な金属錯体は、当業界の熟練者には公知である。好適な金属錯体の例としては、つぎのものがあげられる:Pd(OAc)2)Pt(cod)Cl2、Pt(cod)Me2、Pt(acac)2、Pt(PPh3)2Cl2、PtCl2、[Rh(cod)Cl]2、Rh(acac)CO(PPh3)、Rh(acac)(CO)2、Rh(cod)2BF4、RhCI(PPh33、RhCl3・nH2O、Rh(acac)3、[Os(CO)333、[Os3(CO)12]、OsH4(PPh33Cp2Os、Cp*2Os、H2OsCl6・6H2O、OsCl3・H2O、Ru(acac)3、RuCl2(cod)、Ru(2−メチルアリル)2(cod)、[(μ−Cl)Ir(η4−1,5−cod)]2、[(μ−Cl)Ir(η2−coe)22、Ir(acac)3、IrCl3・nH2O、(tht)3IrCl3、Ir(η3−アリル)3、およびIr(η3−メタリル)3、(式中、codはシクロオクタジエン、coeはシクロオクテン、acacはアセチルアセトネート、thtはテトラハイドロチオフェンである)。これらの金属錯体は、当業界の熟練者には公知の方法で製造できるか、市販されている。
用いるカルベン配位子が、次の一般式の架橋ビスカルベン配位子である場合、
Figure 2009541431
(式中、記号はそれぞれ上述の通りである)
これを、およそ等モル量の適当な、少なくとも一種の金属M1を含む金属錯体を反応させて、該当するビスカルベン錯体を得ることができる。少なくとも一種の遷移金属原子M1を含む金属錯体を、化学量論的に二倍量の一個または二個の異なるビスカルベン配位子と反応させることもできる。この場合、テトラカルベン錯体が得られる。用いるビスカルベン配位子が、同じビスカルベン配位子であるか異なるビスカルベン配位子であるかによって、同一配位子のか異種配位子のテトラカルベン錯体が得られる。二個のビスカルベン配位子を含むテトラカルベン錯体は、適当な少なくとも一種の遷移金属原子M1を含む金属錯体と化学量論量的に約二倍量の一個または二個の異なるカルベン配位子とを反応させて、あるいは、まず少なくとも一種の遷移金属原子M1を含むe金属錯体と化学量論量的にほぼ等量のビスカルベン配位子を反応させ、次いで得られるビスカルベン錯体を化学量論量的にほぼ等量の同一または異なるビスカルベン錯体を反応させて製造することができる。
この金属錯体と一種以上の配位子前駆体の反応の後、当業界の熟練者には公知の方法により、得られる式Iの遷移金属−カルベン錯体を後処理し、必要なら精製する。通常、後処理と精製は、当業界の熟練者には公知の方法により、抽出、カラムクロマト精製及び/又は再結晶化で実施する。
式Iの遷移金属−カルベン錯体は、有機発光ダイオード(OLED)で使用される。これらは、電磁スペトクルの可視域で発光(エレクトロルミネッセンス)するため、発光物質として好適である。本発明で用いられる式Iの遷移金属−カルベン錯体を発光物質として利用して、電磁スペトクルの赤、緑、青の領域で高効率でエレクトロルミネッセンスを示す化合物を提供することが可能となる。また、本発明で用いられる式Iの遷移金属−カルベン錯体の量子収率が高く、その装置中での安定性も高い。
また、本発明で用いられる式Iの遷移金属−カルベン錯体は、用いる配位子や中心金属によっては、OLEDの電子、励起子または空孔の遮断材、空孔伝導材、電子伝導材、正孔注入層、またはマトリックス材料として好適である。
有機発光ダイオード(OLED)は、原理的には、いくつかの層からなる:
1.アノード(1)
2.正孔輸送層(2)
3.発光層(3)
4.電子輸送層(4)
5.カソード(5)
しかしながら、OLEDが上記の層のすべてを持つ必要はなく、例えば、(1)(アノード)と(3)(発光層)と(5)(カソード)だけでもよい。この場合、(2)(正孔輸送層)と(4)(電子輸送層)の層の機能が、隣の層によりはたされる。(1)と(2)と(3)と(5)からなる層をもつOLEDや、(1)と(3)と(4)と(5)とからなる層をもつOLEDも、同様に好適である。
式Iの遷移金属−カルベン錯体は、OLEDのいろいろな層で使用できる。したがって、本発明はまた、少なくとも一種の式Iの遷移金属−カルベン錯体を含むOECDを提供する。この式Iの遷移金属−カルベン錯体は、好ましくは発光層中で、より好ましくは発光分子として使用される。したがって、本発明はまた、一種の式Iの遷移金属−カルベン錯体を、好ましくは発光分子として含む発光層を提供する。好ましい式Iの遷移金属−カルベン錯体は、上述の通りである。
本発明で用いられる式Iの遷移金属−カルベン錯体は、OLEDの発光層等に、好ましくは発光層に、そのまま添加物を加えずに、多量に存在していてもよい。しかしながら、式Iの遷移金属−カルベン錯体に加えて、他の化合物がこれらの層中に、好ましくは発光層中に存在することも可能であり、また好ましい。例えば、発光分子として用いられる式Iの遷移金属−カルベン錯体の発光色を変えるために、蛍光染料を発光層に加えてもよい。また、ある好ましい実施様態においては、希釈材料が用いられる。この希釈材料が、ポリマー、例えばポリ(N−ビニルカルバゾール)またはポリシランであってもよい。しかしながら、この希釈材料は、同様に小型の分子、例えば4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CDP=CBP)または第三級芳香族アミンであってもよい。
上記のOLEDの層のそれぞれが、2つ以上の層からなっていてもよい。例えば、正孔輸送層が、電極から空孔が注入される層と、空孔を正孔注入層から発光層に運び去る層とからなっていてもよい。同様に、電子輸送層が複数の層からなっていてもよく、例えば電極から電子が注入される層と、電子注入層から電子を受け取り発光層に輸送する層とからなっていてもよい。これらの具体的な層は、それぞれ、エネルギー準位や、熱抵抗、電荷キャリアー移動度や、当該層と有機層または金属電極との間のエネルギー差などの因子を基礎に選択される。当業界の熟練者は、本発明で用いられる式Iの遷移金属−カルベン錯体、好ましくは発光物質としての錯体に最適となるように、OLEDの構造を選択することができる。
特に高効率のOLEDを得るためには、正孔輸送層のHOMO(最高被占軌道)をアノードの仕事関数にあわせる必要があり、電子輸送層のLUMO(最低空軌道)をカソードの仕事関数にあわせる必要がある。
本出願はさらに、本発明の発光層を少なくとも一つ含むOLEDを提供する。このOLEDの他の層は、通常このような層に用いられ当業界の熟練者には公知の材料ならいずれのものでできていてもよい。アノード(1)は、正電荷キャリアーを供給する電極である。アノードの材料の例としては、金属、異なる金属の混合物、金属の合金、金属酸化物、または異なる金属酸化物の混合物があげられる。あるいは、このアノードが伝導性ポリマーであってもよい。好適な金属は、元素周期律表の11族、4族、5族、及び6族の金属、および8族〜10族の遷移金属である。アノードが透明であることが望ましい場合は、元素周期律表中の12族、13族、14族の金属の混合金属酸化物が、例えば酸化インジウムスズ(ITO)が通常使用される。例えば、Nature, Vol. 357, pages 477 to 479 (June 11, 1992)に記載のように、有機物質を含む、例えばポリアニリンを含むアノード(1)を用いることもできる。発生光を放出するためには、少なくともアノードとカソードの一方が、少なくとも部分的に透明である必要がある。
本発明のOLEDの層(2)に好適な正孔輸送物質は、例えば、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 4th Edition, Vol. 18, pages 837 to 860,1996に開示されている。空孔輸送性の分子またはポリマーを、正孔輸送物質として用いることができる。従来より使用されている正孔輸送分子としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)プロピルフェニル]−シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’)−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)プロピルベンスアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)プロピルスチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)プロピルフェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP)、1,2−トランスビス(9H−カルバゾ−9−リル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)プロピルトリフェニルアミン(TDTA)、ポルフィリン化合物、及び銅フタロシアニンなどのフタロシアニン類があげられる。従来より使用されている空孔輸送性のポリマーは、ポリビニルカルバゾール類、(フェニルメチル)ポリシラン類、PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))からなる群より選ばれ、好ましくはPEDOTドープのPSS(ポリスチレンスルホネート)やポリアニリン類から選ばれる。ポリスチレンやポリカーボネートなどのポリマーを空孔輸送性分子でドープすることで、空孔輸送性ポリマーを得ることもできる。好適な空孔輸送性分子は、上述の分子である。
本発明のOLEDの層(4)に好適な電子輸送材料としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などのオキシノイド化合物との金属キレート、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA=BCP)や4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DPA)などのフェナントロリン系化合物、および2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)や3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)などのアゾール化合物があげられる。この層(4)は、電子輸送を容易とするように作用し、OLEDの層の界面での励起子の消滅を抑えるため緩衝層または遮断層として作用してもよい。この層(4)は、好ましくは電子の移動度を増加させ、励起子の消滅を抑える。
正孔輸送物質や電子輸送材料として述べた材料のうちいくつかは、複数の機能をはたしうる。例えば、電子伝導材料のいくつかは、低いHOMOを有している場合、同時に空孔阻止性材料にもなりうる。
用いる材料の輸送性能を向上させるために、また第一に層厚を抑え(ピンホール/短絡を避け)、第二に装置の作動電圧を最小限に抑えるために、この電荷輸送層を電子的にドープしてもよい。例えば、正孔輸送物質は、電子受容体でドープしてよく、例えば、フタロシアニンまたは、TPDまたはTDTAなどのアリールアミンは、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)でドープしてもよい。電子輸送材料は、例えばアルカリ金属でドープしてもよく、例えばAlq3はリチウムでドープしてもよい。電子的なドーピングは当業界の熟練者には公知であり、例えば、W. Gao, A. Kahn, J. Appl. Phys., Vol. 94, No. 1, July 1, 2003 (p−doped organic layers); A. G. Werner, F. Li, K. Harada, M. Pfeiffer, T. Fritz, K. Leo, Appl. Phys. Lett., Vol. 82, No. 25, June 23, 2003 and Pfeiffer et al., Organic Electronics 2003, 4, 89−103に開示されている。
カソード(5)は、電子または負電荷キャリアーを導入するための電極である。このカソードには、アノードより小さな仕事関数を持ついずれの金属または非金属を用いてもよい。カソードに好適な材料は、LiやCsなどの元素周期律表の第1族アルカリ金属類、第2族アルカリ土類金属類、希土類やランタニドやアクチニドを含む第12族金属類からなる群から選ばれる。また、アルミニウムやインジウム、カルシウム、バリウム、サマリウム、マグネシウム、及びこれらの組み合わせの金属を使用することができる。また、作動電圧を抑えるために、リチウム含有有機金属化合物あるいはLiFを、有機層とカソードの間に形成してもよい。
本発明のOLEDは、当業界の熟練者には公知の他の層を含んでいてもよい。例えば、正電荷の輸送を促進する及び/又はこれらの層間のバンドギャップを相互に合わせる層を層(2)と発光層(3)の間に形成してもよい。あるいは、他の層が保護層となってもよい。同様に、負電荷及の輸送を促進するため及び/又は相互の層間でバンドギャップを合わせるために、発光層(3)と層(4)の間に他の層が存在してもよい。あるいは、この層が保護層となってもよい。
ある好ましい実施様態においては、本発明のOLEDは、層(1)〜(5)に加えて、少なくとも一つの下記の他層を有してもよい。
・アノード(1)と正孔輸送層(2)の間に正孔注入層
・正孔輸送層(2)と発光層(3)の間に電子及び/又は励起子遮断層
・発光層(3)と電子輸送層(4)の間に電子及び/又は励起子遮断層
・電子輸送層(4)とカソード(5)の間に電子注入層
しかしながら、上述のように、OLEDがすべての上述の層(1)〜(5)を持つ必要はなく、例えば、層(1)(アノード)と(3)(発光層)と(5)(カソード)トを持つOLEDも同様に好適であり、この場合は、層(2)(正孔輸送層)と層(4)(電子輸送層)の機能は、隣接する層が受け持つ。OLEDは、層(1)と(2)と(3)と(5)とを有していてもよいし、層(1)と(3)と(4)と(5)とを有していてもよい。
当業界の熟練者は、好適な材料をどのように選択するか(例えば、電気化学的な試験をもとに)についての知識を有している。個々の層に好適な材料や好適なOLEDの構造は、当業界の熟練者には公知であり、例えばWO2005/113704に開示されている。
また、本発明のOLED中の個々の層は、二層以上からなっていてもよい。また、電荷キャリアーの輸送効率を上げるために、層(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)の一部または全部が表面処理されていてもよい。これらの層のそれぞれの材料の選択は、高効率なOLEDを手に入れて行うことが好ましい。
本発明のOLEDは、当業界の熟練者には公知の方法で生産できる。一般に、このOLEDは、適当な基板上に個々の層を連続的に蒸着して生産する。好適な基板は、例えばガラスまたは高分子膜である。蒸着に用いられる従来技術は、熱蒸着や化学蒸着などである。他の方法として、適当な溶媒の溶液または分散液を塗布して有機層を得ることができるが、その場合、塗布には当業界の熟練者には公知の方法が使用される。OLEDの層中に、好ましくは発光層に、前記の少なくとも一種の式I及び/又は式IIの遷移金属−カルベン錯体以外に、高分子材料を有している組成物は、一般的には、溶液法により層が形成される。
一般に、これらのいろいろな層は、次の厚みをもつ。アノード(1):500〜5000Å、好ましくは1000〜2000Å;正孔輸送層(2):50〜1000Å、好ましくは200〜800Å;発光層(3):10〜1000Å、好ましくは100〜800Å;電子輸送層(4):50〜1000Å、好ましくは200〜800Å;カソード(5):200〜10000Å、好ましくは300〜5000Å。本発明のOLEDの空孔と電子とが再結合する領域の位置、したがってOLEDの発光スペクトルが、個々の層の相対厚により影響を受けることがある。このことは、電子/空孔再結合ゾーンが発光層内となるように電子輸送層の厚みを決めることが好ましいことを意味する。OLED内の個々の層の厚みの比率は、用いる材料に依存する。他の層の層厚は、いずれも当業界の熟練者には公知である。
本発明のOLEDの少なくとも一層内で、好ましくはOLEDの発光層内で、前記式I及び/又は式IIの遷移金属−カルベン錯体を本発明の発光分子として使用することで、高効率のOLEDを得ることが可能となる。他の層を最適化することで、さらに本発明のOLEDの効率をあげることができる。例えば、CaやBa、LiFなどの高効率カソードを用いてもよい。作動電圧を低下させたり量子効率を増加させることのできる成形基板と新規正孔輸送物質の組合わせも、同様に本発明のOLEDで使用可能である。異なる負数の層のエネルギー準位を調整してエレクトロルミネッセンスを促進するために、他の層をこのOLEDに形成してもよい。
エレクトロルミネッセンスが使用可能なすべての装置で、本発明のOLEDが使用可能である。好適な装置は、好ましくは据置型や携帯型の画像表示装置から選ばれる。据置型の画像表示装置としては、例えば、コンピューターの画像表示装置、テレビ、プリンターの画像表示装置、厨房装置、宣伝用パネル、照明、情報パネルがあげられる。携帯型画像表示装置としては、例えば、携帯電話の画像表示装置、ラップトップコンピューター、カメラ、特にデジタルカメラ、車両、バスや列車の行き先表示などがあげられる。
また、式I及び式IIの遷移金属−カルベン錯体を、逆転構造のOLEDで使用することもできる。一般式(I)の本発明の遷移金属−カルベン錯体は、これらの逆転OLEDでは、発光層中で使用されることが好ましい。逆OLEDの構造や材料で従来から用いられているものは、当業界の熟練者には公知である。

Claims (10)

  1. 一般式(I)の遷移金属−カルベン錯体の有機発光ダイオード内での使用:
    Figure 2009541431
    式中、記号は、それぞれ以下の通りである:
    1は、元素周期律表(CAS版)のIIB、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIII族の遷移金属とCuからなる群から選ばれる金属原子であり、前記特定の金属原子の酸化状態はいずれでもよく;
    Kは、無電荷の一座または二座配位子であり;
    Lは、一座または二座の、モノアニオン性またはジアニオン性配位子であり;
    mは、0〜5であり;
    oは、0〜5であり;
    nは、1〜6であり;
    pは、錯体の荷電数で、0、1、2、3、または4であり;
    -は、モノアニオン性の対イオンであり;
    mとoとnとpは、用いる金属原子の酸化状態と配位数に、また配位子の電荷と錯体の全体として電荷に依存し、
    カルベンは、一般式(II)のカルベン配位子であり:
    Figure 2009541431
    式中、記号は、それぞれ以下の通りである:
    Doは、N、C、P、O、SおよびSiからなる群から選ばれるドナー原子であり;
    rは、DoがCまたはSiの時2、DoがNまたはPの時1、またDoがOまたはSの時0であり;
    1とY2は、
    各々独立して、水素またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニル基からなる群から選ばれる炭素含有基であって、これらの基は置換されていても非置換であってもよく;
    または
    1とY2は、一緒になって、ドナー原子Doと窒素原子との間で、少なくとも2個の原子を有する飽和又は不飽和の架橋を形成していてもよく、なお、この架橋の一個以上の原子は必要に応じてアルキルまたはアリール基で置換されていてもよく(これらの置換基はさらに置換されていても又は無置換であってもよく)、及び/又はドナーまたはアクセプター作用を持つ基で置換されていてもよく、またこの架橋はさらに、必要に応じて一個以上の環を形成していてもよく;
    1とR2は、
    各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルケニル、アルキニル、(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、BR3 2、NR22 2、PR23 2、または24、SR25、またはSiR4 3であり;
    または
    −n>1の場合−
    1及び/又はR2は、各々の独立して、一個または二個の他のカルベン配位子のR1基及び/又はR2基の一つと共に、
    以下に定義する架橋を形成し:
    アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、アルケニレン、(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−CO、及び(CR1213X[式中、一個以上の非隣接(CR1213)グループが、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、またはアルケニレン(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、O、S、SO、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−COで置換されていてもよい];

    式中、
    Xは、2〜10であり;
    3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R22、R23、R24、およびR25は、
    各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシであり、これらの基は置換されていても無置換であってもよく;
    また、
    12とR13は、
    各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、またはアルケニルであり、これらの基は置換されていても無置換であってもよく、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基で置換されていてもよく;

    式Iの遷移金属錯体中の一個以上のカルベン配位子は、カルベン炭素原子のみを経由して遷移金属に結合している。
  2. 式IIのカルベン配位子が式IIaを有する請求項1に記載の使用:
    Figure 2009541431
    式中、曲線は、
    ドナー原子Doと窒素原子との間に形成された少なくとも2個の原子を有する飽和又は不飽和の架橋であり、この架橋の一個以上の原子は必要に応じてアルキルまたはアリール基で置換されていてもよく(これらの置換基はさらに置換されていても又は無置換であってもよく)、及び/又はドナーまたはアクセプター作用を持つ基で置換されていてもよく、またこの架橋はさらに、必要に応じて縮合して一個以上の環を形成していてもよい。
  3. 一般式IIのカルベン配位子が以下の配位子からなる群から選ばれる請求項1または2に記載の使用:
    Figure 2009541431
    式中、記号は、それぞれ以下の通りである:
    Z’は、各々独立して、CR21またはNであり;0〜3個のZ’基は、好ましくはNであり、より好ましくは0〜2個、最も好ましくは0または1個であり、残るZ’グループがそれぞれCR21であり;
    14、R15、R16、R17、R18、R19、およびR20は、
    各々、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、アルキニル、アルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基、好ましくは水素、アルキルまたはドナーまたはアクセプター作用を持つ基、より好ましくは水素またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基であり;
    21は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、アルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基であるか、いずれの場合も、二個のR21基が一緒になり必要に応じて少なくとも一種のヘテロ原子を含有してもよい縮合環を形成し;
    また、基IIaa中のR14またはR15、基IIab中のR18、基IIac中のR21基の一つ、及び基IIad中のR20は、架橋を経由してR1に結合してもよく、及び/又は基IIaa中のR16またはR17、基IIab中のR19e、基IIac中のR21基の一つは、架橋を経由してR2に結合してもよい。なおこの架橋は、次のように定義される:
    アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、アルケニレン、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、O、S、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−CO及び(CR1213X[式中、一個以上の非隣接(CR1213)グループが、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、またはアルケニレン(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、O、S、SO、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−COで置換されていてもよい];式中
    Xは、2〜10、好ましくは2〜5、より好ましくは2または3であり;
    また、
    5、R6、R7、R8、R9、R10、及びR11は、
    各々、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアルコキシであり、より好ましくは水素、アルキルまたはアルコキシである;
    また、
    12とR13は、
    各々、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、アルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基、例えばアミノまたはアルコキシであり、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アミノまたはアルコキシであり、より好ましくは水素、アルキル、アミノである。
  4. 前記カルベン配位子が以下の配位子から選ばれる請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用:
    Figure 2009541431
    Figure 2009541431
    式中、記号は、それぞれ以下の通りである:
    Doは、N、C、P、O、およびSiからなる群から選ばれるドナー原子であり、
    rは、DoがCまたはSiの時2、DoがNまたはPの時1、またDoがOまたはSの時0であり;
    1とY2は、
    各々独立して、水素またはアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルケニル、及びアルキニル基からなる群から選ばれる炭素含有基であって、これらの基は置換されていても非置換であってもよく;
    または
    1とY2は、一緒になって、ドナー原子Doと窒素原子との間で、少なくとも2個の原子を有する飽和又は不飽和の架橋を形成していてもよく、この架橋の一個以上の原子は必要に応じてアルキルまたはアリール基で置換されていてもよく(これらの置換基はさらに置換されていても又は無置換であってもよく)、及び/又はドナーまたはアクセプター作用を持つ基で置換されていてもよく、またこの架橋はさらに、必要に応じて一個以上の環を形成していてもよく;
    1とR2は、
    各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルケニル、アルキニル、(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、BR3 2、NR22 2、PR23 2、または24、SR25またはSiR4 3であり;
    また、
    Do’は、N、C、P、及びSiからなる群より選ばれるドナー原子であり;
    また、
    1、X2、X3、及びX4は、
    各々独立して、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、アルケニレン(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、B8 2 -、CR9(O-)、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−CO、または(CR1213X[式中、一個以上の非隣接(CR1213)グループが、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、またはアルケニレン(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、O、S、SO、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−COで置換されていてもよい]であり;好ましくはCH2、CH=CH、1,2−フェニレン、CH(アミノ)、CH(O-)、B8 2 -
    Figure 2009541431
    であり;

    式中、
    Xは、2〜10であり、好ましくは2〜5、より好ましくは2〜3であり;
    また、
    3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R22、R23、R24、およびR25は、
    各々の水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アルコキシ(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシであり、より好ましくは水素、アルキルまたはアルコキシであり;
    また、
    12とR13は、
    各々の水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、アルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基、例えばアミノまたはアルコキシであり、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アミノまたはアルコキシであり、より好ましくは水素、アルキル、アミノである。
  5. 前記カルベン配位子が、次の配位子から選ばれる、請求項4に記載の使用:
    Figure 2009541431
    Figure 2009541431
    式中、記号は、それぞれ以下の通りである:
    1とR2は、
    各々独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルケニル、アルキニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、BR3 2、NR22 2、PR23 2、OR24、SR25またはSiR43であり;
    1、X2、X3、およびX4は、
    各々独立して、アルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、アルケニレン(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、B8 2 -、CR9(O-)、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−CO、または(CR1213X[式中、一個以上の非隣接(CR1213)グループが、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキニレン、またはアルケニレン(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、NR5、PR6、BR7、BR8 2 -、CR9(O-)、O、S、SO、SO2、SiR1011、CO、CO−O、O−COで置換されていてもよい]であり;
    好ましくはCH2、CH=CH、1,2−フェニレン、QQ、CH(アミノ)、CH(O-)、BR8 2 -
    Figure 2009541431
    であり;
    式中、
    Xは、2〜10であり、好ましくは2〜5、より好ましくは2〜3であり;
    また、
    3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R22、R23、R24、およびR25は、
    各々の水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ(これらの基は置換していても無置換であってもよい)であり、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアルコキシであり、より好ましくは水素、アルキルまたはアルコキシであり;
    また、
    12とR13は、
    各々の水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、アルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基、例えばアミノまたはアルコキシであり、好ましくは水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、アミノ、またはアルコキシであり、より好ましくは水素、アルキル、またはアミノであり;
    A、A、A”、A'''は、それぞれR18であり、
    B、B’、B”、B'''は、それぞれR19であり、式中、
    A、A’、A”、A'''グループ中のR18と、B、B’、B”、B'''グループ中のR19とは、いずれの場合も、同一であるか異なり;
    または
    AとB、A’とB’、A”とB”、またはA'''とB'''は、各々独立して、下記式
    Figure 2009541431
    の基と共に、縮合環を形成し、式中

    AとB、A’とB’、A”とB”、およびA'''とB'''グループ中のZは、いずれの場合も、同一であっても異なっていてもよく;
    18とR19は、
    それぞれ、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、アルキニル、アルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ置換基であり、好ましくは水素、アルキルまたはドナーまたはアクセプター作用を持つ置換基であり、より好ましくは水素またはドナーまたはアクセプター作用を持つ置換基であり;
    Z’は、各々独立して、CR21またはNであり;0〜3個のZ’グループが好ましくはNであり、より好ましくは0〜2個が、最も好ましくは0または1個がNであり、残るZ’グループがそれぞれCR21であり;
    21は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、アルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基であるか、いずれの場合も、二個のR21基が一緒になり必要に応じて少なくとも一種のヘテロ原子を含有してもよい縮合環を形成していてもよい。
  6. 前記遷移金属−カルベン錯体が次式の配位子から選ばれる請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用:
    Figure 2009541431
    Figure 2009541431
    式中、記号は、それぞれ以下の通りである:
    1は、Pt、Os、Ru、またはIrであり、より好ましくはPt(II)、Pt(IV)、Ir(I)、Ir(III)、Os(II)、またはRu(II)であり;
    Kは、無電荷の一座または二座配位子であり;
    Lは、Cl-、Br-、I-、CN-、OAc-、アルコキシド、またはチオレートであり;
    mは、0〜5、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2であり;
    oは、0〜5、好ましくは0〜3、より好ましくは0〜2であり、最も好ましくは0であり;
    pは、0、1、2、または3、好ましくは1または2であり;
    -は、ハライド、擬ハライドまたはOAc-であり、より好ましくはCl-、Br-、I-、CN-、またはOAc-であり、最も好ましくはBr-またはI-であり;
    1とR2は、各々独立して、置換又は非置換のアルキルであり、好ましくはメチル、i−プロピル、n−ブチル、置換又は非置換のシクロアルキルであり、好ましくはシクロヘキシルまたは置換又は非置換のアラルキルであり、好ましくはベンジルであり;
    AとA’、A”、A'''は、それぞれR18であり;
    BとB’、B”、B'''は、それぞれR19であり;式中
    AとA’、A”、A'''グループ中のR18と、BとB’、B”、B'''グループ中のR19は、各々独立して、水素またはドナーまたはアクセプター作用のある基であり;
    または
    AとB、A’とB’、A”とB”、またはA'''とB'''は、
    各々独立して、下記式:式
    Figure 2009541431
    の基と共に、縮合環を形成し、式中、
    AとB、A’とB’、A”とB”、及びA'''とB'''グループ中のZ’は、いずれの場合も、同一であっても異なっていてもよく;
    Z’は、各々独立して、CR21またはNであり;0〜3個のZ’グループは、好ましくはN、より好ましくは0〜2個、最も好ましくは0または1個が好ましくはNであり、残るZ’グループがそれぞれCR21であり;
    21は、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキニル、アルケニル(これらの基は置換していても無置換であってもよい)、またはドナーまたはアクセプター作用を持つ基であり、またはいずれの場合も、
    二個のR21基が共に、必要に応じて少なくとも一種のヘテロ原子を有する縮合環を形成し;
    なお、A、A’、A”、及びA'''グループと、B、B’、B”、およびB'''グループ、またはAとB、A’とB’、A”とB”、およびA'''とB'''グループは、より好ましくはそれぞれ同じであり;
    1、X2、X3、およびX4は、
    各々独立して、CH2、CH=CH、1,2−フェニレン、CH(アミノ)、CH(O-)、BR8 2 -
    Figure 2009541431
    であり;
    式中、R8は、水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールであり、好ましくは水素またはアルキルである(これらの基は置換していても無置換であってもよい)。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の一般式Iの遷移金属−カルベン錯体を少なくとも一種含むことを特徴とする有機発光ダイオード。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の一般式Iの遷移金属−カルベン錯体を少なくとも一種含むことを特徴とする発光層。
  9. 請求項8に記載の発光層を少なくとも一つ含むことを特徴とする有機発光ダイオード。
  10. 請求項7または9に記載の発光層を少なくとも一つ含むことを特徴とする、コンピューターの画像表示装置や、テレビ、プリンターの画像表示装置、厨房装置、宣伝用パネル、照明、情報パネルなどの据置型の画像表示装置、および携帯電話の画像表示装置や、ラップトップコンピューター、デジタルカメラ、車両、バスや列車の行き先表示などの携帯型画像表示装置からなる群から選ばれる装置。
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