JP2009536521A - 遺伝的に操作された微生物株を用いる、スフィンゴイド塩基の改善された生産 - Google Patents

遺伝的に操作された微生物株を用いる、スフィンゴイド塩基の改善された生産 Download PDF

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Abstract

本発明は、式Iのスフィンゴイド塩基、またはその塩もしくはエステルをCDW1gあたり少なくとも0.5mg生産する遺伝的に操作された微生物株、詳細には遺伝的に操作された酵母株を提供する。本発明は、式Iのスフィンゴイド塩基またはその塩もしくはエステルをCDW1gあたり少なくとも0.5mg生産する遺伝的に操作された微生物株を得る方法を提供する。この方法は、a)セラミドシンターゼ活性を有する酵素および/またはセラミダーゼ活性を有する酵素であって、後者の酵素が式Iのスフィンゴイド塩基を含有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解できる酵素をコードするポリヌクレオチドの発現を増大させるステップ、および/またはb)スフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼ活性を有する酵素および/またはセラミダーゼ活性を有する酵素であって、後者の酵素がスフィンゴイド塩基としてフィトスフィンゴシンもしくはジヒドロスフィンゴシンを含有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解できる酵素をコードするポリヌクレオチドの発現を低減させるステップ、および所望の生産性を有する株を単離するステップを含む。
【選択図】 なし

Description

スフィンゴ脂質は、そのメンバーがすべて、フィトスフィンゴシンまたはスフィンゴシンなど、スフィンゴイド塩基に由来するという共通の特徴を有する脂質の一群である。スフィンゴ脂質は、動物、植物、および真菌の細胞膜内に、そして一部の細菌にさえ、しばしば存在する。
セラミドは、脂肪酸とアミド結合しているスフィンゴイド塩基を含有するスフィンゴ脂質の特定の一群である。ヒト皮膚において、セラミドは、コレステロール、コレステロール硫酸、および遊離脂肪酸と共に、水分の保持と、物理的および化学的病毒からの皮膚の防御とに必須な透過障壁を形成する。透過障壁の成分として、これらのセラミドは、ほとんどが皮膚の上層である角質層で見出され、それらは、スフィンゴイド塩基として、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン(スフィンガニン)、または6−ヒドロキシスフィンゴシンを含有している。セラミドなどのスフィンゴ脂質を含む組成物の局所適用は、皮膚の障壁機能および水分保持特性を改善する(Curratolo、1987年、Pharm.Res.4:271−277;Kerscherら、1991年、Eur.J.Dermatol.1:39−43)。さらに、そのようなスフィンゴイド塩基は、プロテインキナーゼCの活性を抑制するなど、いくつかの生理作用を媒介することが知られており、したがって、それらが抗炎症活性および抗菌活性を有するため、化粧用または皮膚科用組成物に含まれている。
スフィンゴシンは、ヒトにおけるスフィンゴ脂質の主要スフィンゴイド塩基成分であるので、食品、製薬、および化粧用適用のためのスフィンゴシンおよびスフィンゴシン含有スフィンゴ脂質を生産することは、商業的にかなり興味深い。
現在、スフィンゴシンの化学合成のためのいくつかの経路が開発されている。しかし、2つの立体中心が存在しているため、化学合成の結果、25%のみが天然存在のD−エリスロ−(2R,3S)−配置を表すラセミ混合物が生じる。さらに、分子内に3つの官能基が存在するため、広範な保護化学を適用しなければならない。その結果、化学合成を介して生産されたスフィンゴシンは、非常に高価であり、食品および化粧用製剤に組み入れることができない。これは、脳または鶏卵などの天然源から単離された純粋なスフィンゴシンについても当てはまる。動物起源から抽出された異種スフィンゴ脂質調製物も利用可能である。それらは、純化合物より安いが、組成不均一性の問題を有し、病原体を含有しているかもしれないので、潜在的に安全でない。
酵母ピキア・シフェリイなどの微生物(WickerhamおよびStodola、J.Bacteriol.、1960年、80:484−491)は、高レベルのスフィンゴイド塩基およびその誘導体を生産するが、それらは主としてC18−フィトスフィンゴシンおよびそのアセチル化誘導体であることが示された。これらは、抽出し、対応するセラミドに化学的に変換することができ、それによって純粋な化粧用成分(例えば国際公開第93/20038号参照)が得られる。しかし、これらの株は、フィトスフィンゴシンまたはその誘導体以外のスフィンゴイド塩基を極わずかな量しか生産しない。
他の酵母でも、式Iのスフィンゴイド塩基の生産量は極めて低く、それらは、脂質のグルコシルセラミド画分、すなわち、遊離形態ではなく、長鎖N−アシル基および糖に結合した形態でのみ見出すことができる。グルコシルセラミドは、酵母で細胞乾燥重量(CDW)1gあたり0〜1.2mgを構成する(Saitoら、2005年)。たとえ、これらのグルコシルセラミド中に存在するすべてのスフィンゴイド塩基が、式Iのスフィンゴイド塩基であった場合でも、総質量に対するスフィンゴイド塩基質量の寄与(40%;Kaufmanら、1971年)を考慮にいれて、CDW1gあたり0.5mgしか見出されないであろう。しかし、イエロビア・リポリティカ(Rupcicら、1998年、Appl.Microbiol.Biotechnol.50:583−588)のグルコシルセラミド中に存在しているスフィンゴイド塩基の25%のみが式Iのスフィンゴイド塩基であり、これは、その酵母種では、CDW1gあたり0.13mgに相当する。
カンジダ・アルビカンス由来のジヒドロセラミドデサチュラーゼを過剰発現する組換え体サッカロミセス・セレヴィジエΔsyr2細胞(Ternesら、2002年、J.Biol.Chem.277:25512−25518)、およびシゾサッカロミセス・ポンベ(Gartonら、2003年、FEBS Lett.538192−538196)では、ジヒドロスフィンゴシンプールの20%未満がスフィンゴシンに変換された。サッカロミセス・セレヴィジエΔsyr2細胞は、タンパク質1mgあたり346pmolのジヒドロスフィンゴシンを含有する(Baeら、2004年)。これは、CDWの60%がタンパク質であると仮定して、細胞乾燥重量(CDW)1gあたり0.2mgのジヒドロスフィンゴシンに相当する。したがって、記載されている組換え体サッカロミセス・セレヴィジエΔsyr2細胞では、細胞乾燥重量1gあたり0.04mg未満のスフィンゴシンが見出されている。これは分析されてはいないが、ジヒドロスフィンゴシンからスフィンゴシンを合成する酵素であるジヒドロセラミドデサチュラーゼは、遊離スフィンゴイド塩基ではなく、そのN−アシル化形態に作用するので、この微量のスフィンゴシンも、遊離スフィンゴイド塩基としてではなく、長鎖N−アシル基に結合したもの、すなわちセラミドとして見出される可能性が最も高い。
ジヒドロスフィンゴシンからの遊離スフィンゴシンの生合成は、3つの酵素、すなわちセラミドシンターゼ、ジヒドロセラミドデサチュラーゼ、およびセラミダーゼの連続した作用を必要とする。
セラミドシンターゼは、遊離スフィンゴイド塩基および脂肪アシル−CoAチオエステルを基質として用い、スフィンゴイド塩基N−アシルエステルを形成する。セラミドシンターゼは、1サブユニットからなることも(マウスにおいて;LahiriおよびFuterman、2005年、J.Biol.Chem.280:33735−33738)、2サブユニットからなることもある(酵母において;Schorlingら、2001年、Mol.Biol.Cell 12:3417−3427)。Schorlingら、2001年(Mol.Biol.Cell 12:3417−3427)は、セラミドシンターゼ活性を増強し、それによって細胞のセラミド含有量を増大させることを目的とした、サッカロミセス・セレヴィジエにおけるセラミドシンターゼの過剰生産について記載する。両方のサブユニットが過剰生産されたが、セラミドシンターゼ活性の増強も、細胞のセラミド含量の増大も観察できなかった。また、サッカロミセス・セレヴィジエにおける哺乳類セラミドシンターゼの異種過剰発現によっても、スフィンゴ脂質組成物の改変は観察できたが、増大した量のセラミドは生じなかった(Guillasら、2003年、J.Biol.Chem.278:37083−37091)。
サッカロミセス・セレヴィジエにおける、数種の生物に由来する酵素ジヒドロセラミドデサチュラーゼの異種過剰生産(Ternesら、2002年、J.Biol.Chem.277:25512−25518;Gartonら、2003年、FEBS Lett.538192−538196)は、微量のスフィンゴシンの形成をもたらした。しかし、前駆体分子、すなわちスフィンゴイド塩基ジヒドロスフィンゴシンの大部分(>80%)は変換されなかった。
サッカロミセス・セレヴィジエの2つのセラミダーゼ、すなわちYpc1およびYdc1の過剰発現(Maoら、2000年、J.Biol.Chem.275:6876−6884、およびMaoら、2000年、J.Biol.Chem.275:31369−31378)も、スフィンゴシンの増産をもたらさなかった。式Iのスフィンゴイド塩基を有するセラミドを特異的または選択的に加水分解するマウスセラミダーゼの、ヒト細胞系における発現および/または酵素活性レベルの増大は、1.5倍のみのスフィンゴシンレベルの増大をもたらした(Maoら、2003年、J.Biol.Chem.278:31184−31191)。このマウスセラミダーゼを発現する酵母変異体のミクロソームを、外因的に添加された様々な基質と接触させることによって、このセラミダーゼの基質特異性をさらに調査した。したがって、上記セラミダーゼの過剰生産における、スフィンゴシンレベルの増大に関するデータは、専ら、ヒト細胞系実験からのものである。サッカロミセス・セレヴィジエとは対照的に、クリュイベロミセス・ラクティス、ハンゼヌラ・ポリモルファ、ピキア・パストリス、ピキア・シフェリイ、イエロビア・リポリティカ、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ユチリス、デバリオマイセス・ハンセニイ、およびアシュビア・ゴシッピーなど、他のほとんどの酵母種は、単一のセラミダーゼのみしか含有しない。この酵素の特徴および生理学役割は知られていない。
本発明は、ここで、驚くべきことに、セラミドシンターゼおよび/またはセラミダーゼおよび/またはスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼの発現および/または酵素活性レベルを改変することによって、式Iのスフィンゴイド塩基の生産性が改善されている株を作出できることを示す。これらの改変には、ジヒドロセラミドデサチュラーゼの発現および/または酵素活性レベルの改変が伴うことが好ましい。本発明は、フィトスフィンゴシンおよびジヒドロスフィンゴシン以外のスフィンゴイド塩基、とりわけスフィンゴシンを生産できる遺伝的に操作された微生物株の調製を可能にする。
本発明は、それらのスフィンゴイド塩基を含有する複合スフィンゴ脂質、とりわけセラミド、セレブロシド、ガングリオシド、およびイノシトールホスホリルセラミドを、当技術分野で知られているそれらの微生物株より効率的に生産できる遺伝的に操作された微生物株の調製も容易にする。例えば、増強されたセラミドシンターゼを示すように改変されており、さらに増強されたジヒドロセラミドデサチュラーゼを示すように改変されていてもよい遺伝的に操作された微生物株を、そのような複合スフィンゴ脂質の生産に用いてもよい。
したがって、第1の態様では、本発明は、式I
Figure 2009536521
のスフィンゴイド塩基またはその塩もしくはエステル
[式中、RはX−(CH−Y−(CH−CHであり、
a)XはCHまたはCHOHであり、
b)mは0と4との間であり、最も好ましくはmは1であり、
c)YはCH−CH、CH=CH、またはCH=CCHであり、
d)nは4と14との間であり、好ましくはnは8または10である]
をCDW1gあたり少なくとも0.5mg生産する、微生物株、とりわけ酵母株を提供する。
本発明の微生物株は、好ましくは、式Iのスフィンゴイド塩基をCDW1gあたり少なくとも5mg生産し、より好ましくは、CDW1gあたり少なくとも50mg生産し、さらにより好ましくは、CDW1gあたり少なくとも500mg生産する。
本発明の微生物株のスフィンゴイド塩基の生産性および組成は、上記スフィンゴイド塩基を生産する微生物株が以下の条件下で培養され、その結果、定常期培養がもたらされているときに測定することが好ましい。微生物細胞を、寒天プレートから500mlのバッフル付き振とうフラスコ内にある100mlのYEPD培地中に接種し、30℃および280rpmで72時間インキュベートする。次に、この培養物の1%を、LCBNB生産培地100mlで満たされた新たな500mlバッフル付き振とうフラスコに移し、30℃および280rpmで24〜96時間インキュベートする。別法では、主培養を、MM培地100mlで満たされた500mlバッフル付き振とうフラスコ内で行い、30℃および120rpmで24〜96時間インキュベートする。
HPLCを用いたアセチル化スフィンゴイド塩基(例えば、フィトスフィンゴシン、スフィンゴシン、およびスフィンガニンなどの長鎖塩基)の測定には、総培養ブロス1mlをファルコンチューブ内のアセトン4mlと混合した。脂質を抽出するために、このチューブを1分間あたり250回転で10分間混合した。この溶液を5300gで10分間、遠心処理した。10μlをC18逆相HPLCカラムに注入した。これらの試料はカラム温度30℃で分析した。移動相は0.05%TFAを含有する水/アセトニトリル(10:90)からなっていた。流速は1ml/分であり、UV検出は200nmであった。
別の実施形態では、式Iのスフィンゴイド塩基がアシルエステルの形態にある。上記アシル基は、スフィンゴイド塩基に、ヒドロキシル基を介して、すなわち「本当」のエステル結合を介して結合していてもよい。好ましくは、エステル結合を介してスフィンゴイド塩基に結合しているアシル基は、1〜4個の炭素原子の直鎖状短鎖アシル基、より好ましくはアセチル基である。別法では、アシル基は、スフィンゴイド塩基に、アミノ基を介して、すなわちアミド結合を介して結合していてもよい。好ましくは、アミド結合を介してスフィンゴイド塩基に結合しているアシル基は、1〜4個の炭素原子の直鎖状短鎖アシル基、より好ましくはアセチル基である。
好ましい実施形態では、式Iのスフィンゴイド塩基は、式II
Figure 2009536521
のD−エリスロ−(2R,3S)−配置を有し、式中、Rは式Iに関して定義されている通りである。
式IIの化合物であって、式中、Rが(CH12−CH、CHOH−(CH11−CH、(CH14−CH、またはCHOH−(CH13−CHである化合物が特に好ましい。
上記微生物株は、好ましくは酵母であり、より好ましくはピキア属またはアシュビア属の酵母、最も好ましくはピキア・シフェリイ(Pichia ciferrii)種またはアシュビア・ゴシッピー(Ashbya gossyppii)種の酵母である。
第2の態様では、本発明は、遺伝的操作による、第1の態様の微生物株を構築する方法を提供する。
親生物の遺伝的操作によるスフィンゴ脂質代謝経路の操作は、以下の通り、様々な方法で行うことができる。例えば、代謝経路の1つまたは複数の酵素の細胞レベルを改変すること、すなわち増強または低減すること。細胞レベルの低減は、例えば、対象とする酵素をコードする遺伝子の標的不活性化によって実現されうる。追加または別法として、宿主生物に天然に存在するスフィンゴ脂質生合成酵素の濃度を増強すること。最後に、アミノ酸配列および/または基質特異性が親生物で天然に見出されるものと異なっているスフィンゴ脂質生合成酵素を導入すること。
より正確には、本発明は、細胞内ジヒドロスフィンゴシンから遊離スフィンゴシン、場合によりアセチル化スフィンゴシンに向かう流動の増大が得られるようなセラミドシンターゼ活性の改変を企図しており、これをジヒドロセラミドデサチュラーゼの改変と組み合わせてもよく、セラミダーゼの改変と組み合わせてもよく、スフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼの改変と組み合わせてもよい。
さらに、本発明は、細胞内ジヒドロスフィンゴシンから遊離スフィンゴシン、場合によりアセチル化スフィンゴシンに向かう流動の増大が得られるようなセラミダーゼ活性の改変を企図しており、これをジヒドロセラミドデサチュラーゼの改変と組み合わせてもよく、セラミドシンターゼの改変と組み合わせてもよく、スフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼの改変と組み合わせてもよい。
また、本発明は、細胞内ジヒドロスフィンゴシンから遊離スフィンゴシン、場合によりアセチル化スフィンゴシンに向かう流動の増大が得られるようなスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼ活性の改変を企図しており、これをジヒドロセラミドデサチュラーゼの改変と組み合わせてもよく、セラミドシンターゼの改変と組み合わせてもよく、セラミダーゼの改変と組み合わせてもよい。
一実施形態では、セラミドシンターゼおよび/またはセラミダーゼならびに場合によりジヒドロセラミドデサチュラーゼの、発現および/または酵素活性レベルの増大によって引き起こされた、親株と比較して式Iのスフィンゴイド塩基の生産性が改善されている、すなわちCDW1gあたり少なくとも0.5mgの生産性を示す微生物株を作出するのに遺伝的操作を用いる。詳細には、これらの株は、セラミドシンターゼおよび/またはセラミダーゼをコードするポリヌクレオチドの発現の増大を示す。上記微生物株は、ジヒドロセラミドデサチュラーゼをコードするポリヌクレオチドの発現の増大を示すようにさらに改変されてもよい。
そのような遺伝的操作で使用されるべきセラミドシンターゼは、セラミドをその成分、例えばスフィンゴイド塩基成分、とりわけジヒドロスフィンゴシンと、長鎖アシル基成分、とりわけ脂肪酸または脂肪アシル補酵素Aチオエステルとから合成できるものであるべきである。
上記セラミドシンターゼは、
a.配列番号2および/または配列番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
b.配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも45%、および/または配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも45%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
c.配列番号9のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
d.配列番号9のアミノ酸配列に対して少なくとも45%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
e.配列番号10のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
f.配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも45%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド
からなる群から選択されることが好ましい。
好ましくは、配列番号2、配列番号4、配列番号9、および/または配列番号10のアミノ酸配列に対する配列同一性が50%であり、より好ましくは60%、70%、80%、90%である。
配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも45%の配列同一性、または配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも45%の配列同一性を有するセラミドシンターゼの例は、配列番号12または配列番号14のアミノ酸配列を有するセラミドシンターゼである。
セラミドシンターゼは、極めて多岐にわたるアミノ酸配列を有するポリペプチドによって代表され、15%もの低い同一性の程度を示す。したがって、本発明での使用に適したセラミドシンターゼは、ウイルス、真菌、植物、または動物などの多岐にわたる供給源から、より好ましくは藻類ウイルス、酵母、または哺乳動物から、最も好ましくはコッコリスウイルス、サッカロミセス、シゾサッカロミセス、デバリオマイセス、クリュイベロミセス、ピキア、イエロビア、カンジダ、アシュビア、マウス、ラットまたはヒトから入手可能でありうる。
驚くべきことに、微細藻類エミリアナ・ハクスレイに感染するコッコリスウイルスによってコードされたセラミドシンターゼが、式Iのスフィンゴイド塩基の発酵生産に特に適していることが判明した。
セラミダーゼの発現および/または酵素活性レベルの増大が提供される実施形態では、問題のセラミダーゼは、式Iのスフィンゴイド塩基を含有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解できるものであるべきである。
式Iのスフィンゴイド塩基を含有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解できる好ましいセラミダーゼは、
1.配列番号15のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
2.配列番号15のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド
からなる群から選択される。
そのようなセラミダーゼは、好ましくは動物起源から、より好ましくはマウス、ラット、またはヒトなどの哺乳動物から入手可能である。
そのような遺伝的操作で使用されるべきジヒドロセラミドデサチュラーゼは、セラミド中、とりわけジヒドロセラミド中に存在するスフィンゴイド塩基、とりわけジヒドロスフィンゴシンの、C−4とC−5との間の結合を不飽和化できるものであるべきである。そのようなジヒドロセラミドデサチュラーゼは、スフィンゴ脂質Δ4デサチュラーゼとしても知られている。
上記スフィンゴイド塩基のC−4とC−5との間の結合を不飽和化できる好ましいジヒドロセラミドデサチュラーゼは、
a.配列番号17のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
b.配列番号17のアミノ酸配列に対して少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、60%、70%、80%、90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド
からなる群から選択される。
配列番号17のアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有するジヒドロセラミドデサチュラーゼの例は、配列番号16、配列番号18、または配列番号19のアミノ酸配列を有するジヒドロセラミドデサチュラーゼである。
そのようなジヒドロセラミドデサチュラーゼは、ウイルス、真菌、植物または動物から、好ましくは藻類ウイルス、酵母、または哺乳動物から、より好ましくはコッコリスウイルス、サッカロミセス、シゾサッカロミセス、デバリオマイセス、クリュイベロミセス、ピキア、イエロビア、カンジダ、アシュビア、マウス、ラットまたはヒトから入手可能でありうる。
本発明の別の実施形態では、スフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼおよび/またはセラミダーゼの、発現の低減および/または酵素活性レベルの低減、および/または細胞内局在の変化によって、とりわけスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼおよび/またはセラミダーゼをコードしているポリヌクレオチドの発現の低減によって、引き起こされた、親株と比較して式Iのスフィンゴイド塩基の改善されている生産性を示す微生物株を作出するのに遺伝的操作を用いる。
そのような遺伝的操作で使用されるべきスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼは、上記スフィンゴイド塩基のC−8とC−9との間の結合を不飽和化できるものであるべきである。
好ましいスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼは、
a.配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
b.配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、60%、70%、80%、90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド
からなる群から選択される。
配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有するスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼの例は、配列番号21のアミノ酸配列を有するスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼである。
そのようなスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼは、真菌から、好ましくは酵母から、より好ましくは酵母サッカロミセス・セレヴィジエ、クリュイベロミセス・ラクティス、ハンゼヌラ・ポリモルファ、ピキア・パストリス、ピキア・シフェリイ、イエロビア・リポリティカ、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ユチリスまたはアシュビア・ゴシッピーから、最も好ましくは酵母ピキア・シフェリイ、アシュビア・ゴシッピーまたはイエロビア・リポリティカから入手可能でありうる。
セラミダーゼの発現および/または酵素活性レベルの低減が提供される実施形態では、問題のセラミダーゼは、スフィンゴイド塩基としてフィトスフィンゴシンまたはジヒドロスフィンゴシンを含有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解できるものであるべきである。
スフィンゴイド塩基としてフィトスフィンゴシンまたはジヒドロスフィンゴシンを含有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解できる好ましいセラミダーゼは、
a.配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
b.配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド
からなる群から選択される。
そのようなセラミダーゼは、真菌から、好ましくは酵母から、より好ましくは酵母サッカロミセス・セレヴィジエ、クリュイベロミセス・ラクティス、ハンゼヌラ・ポリモルファ、ピキア・パストリス、ピキア・シフェリイ、イエロビア・リポリティカ、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ユチリスまたはアシュビア・ゴシッピーから、最も好ましくは酵母ピキア・シフェリイ、アシュビア・ゴシッピーまたはイエロビア・リポリティカから入手可能でありうる。
好ましい実施形態では、上記に特定した関連酵素の発現レベルの増大を、上記に特定した他の関連酵素の発現レベルの低減と組み合わせた微生物株を構築する。
上記実施形態では、参照配列に関して下記に言及する分析を行うことによって、参照アミノ酸配列に対する特定のアミノ酸配列の同一性パーセントを決定する。
本発明の状況において、遺伝的に操作された株におけるスフィンゴイド塩基の改善された生産性には、それによって、遺伝的に操作された株が由来した親株の生産性と比較した、スフィンゴイド塩基の生産性の増大、および/または親株によって実質的に生産されないか、または全く生産されないスフィンゴイド塩基の生産が含まれる。
本発明の状況において、必要な同一性パーセントを実現するアミノ酸配列を有するポリペプチド、いわゆる相同ポリペプチドは、問題の参照アミノ酸配列を用いて、適当な配列データベースをスクリーニングすることによって好都合に同定できる。相同ポリペプチドは、参照ポリペプチドから、このポリペプチドに変異誘発を行うことによって得ることもできる。問題のポリペプチドをコードする遺伝子に適用するのに適した変異誘発技法には、ランダム変異誘発(例えば、エラープローンPCR)、部位特異的変異誘発、および/または遺伝子シャフリングが含まれる。例えば、変異誘発を用いて、セラミドシンターゼポリペプチド、式Iのスフィンゴイド塩基を含有するセラミドを加水分解するセラミダーゼポリペプチドまたはジヒドロセラミドデサチュラーゼポリペプチドであって、野生型ポリペプチドよりもそれらの基質に関して高い親和性を有するポリペプチドおよび/または高い特異的酵素活性を有するポリペプチドおよび/または改変された基質特異性を有するポリペプチド(例えばスフィンゴイド塩基のアルキル鎖の長さに関して、もしくはスフィンゴイド塩基それ自体に関して)を得ることができる。また、スフィンゴイド塩基としてフィトスフィンゴシンもしくはジヒドロスフィンゴシンを含有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解できるセラミダーゼポリペプチド、またはそれらの基質に関して野生型ポリペプチドより低い親和性および/または低い特異的酵素活性を有するスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼポリペプチドを得るためにも、変異誘発を用いることができる。
対象とする酵素の発現の増大を得るための、本発明の微生物株の遺伝的操作は、前記酵素をコードする内在性遺伝子、すなわち親株に元々コードされているものを過剰発現すること(相同過剰発現)によって、または親株に天然には存在しない遺伝子を発現すること(異種(過剰)発現)によって行ってもよい。1コピーまたは数コピーの上記遺伝子を親株の染色体内に組み入れることによって、親株の染色体の複製から独立した自律的複製ができるDNAエレメント上に1コピーまたは数コピーの上記遺伝子を提供することによって、対象とする酵素をコードする遺伝子の相同および異種(過剰)発現の両方を得ることができる。そのような自律的複製を行うDNAエレメントは、プラスミド、人工染色体、またはウイルスでありうるであろう。
本発明の状況において、対象とする酵素の活性の低減には、親株に天然に存在し、かつ対象とする酵素をコードする遺伝子の発現の低減が含まれる。そのような遺伝子の発現の低減は、対象とする酵素をコードする遺伝子の、ヌクレオチド配列の部分の欠失、および/または全ヌクレオチド配列の欠失、および/またはヌクレオチド配列の破壊を含む、遺伝的手段による上記遺伝子の標的不活性化によって引き起こすことができるであろう。別法または追加として、酵素をコードする遺伝子の発現調節の原因となるヌクレオチド配列、プロセシング、特異的細胞区画への輸送、およびメッセンジャーRNAの翻訳の原因となるヌクレオチド配列を、対象とする酵素の活性を低減させるために、破壊、欠失、または改変することができる。さらに別の実施形態では、対象とする酵素をコードするヌクレオチド配列に由来するmRNAとアンチセンスRNAとのハイブリットの分解を誘導するために、またはこれらの酵素をコードするヌクレオチド配列に由来するmRNAの翻訳を阻害するために、これらの酵素をコードする遺伝子の部分または遺伝子全体に相当するヌクレオチド配列からアンチセンスRNAを発現させることができる。
本発明の状況において、親株は、式Iのスフィンゴイド塩基を生産しない株であってもよい。親株は、式Iのスフィンゴイド塩基を生産するが、CDW1gあたり0.5mg未満である微生物株であってもよい。
親株は、式Iのスフィンゴイド塩基から除外されるスフィンゴイド塩基をかなりの量で生産する株であってもよく、それらは、好ましくはピキア・シフェリイNRRL Y−1031 F−60−10、および/または国際公開第95/12683号に開示されている任意のピキア・シフェリイ株などであり、これらはすべて、主としてC18−フィトスフィンゴシンを生産する。
本発明で親株として使用するのに特に適した株は、ジヒドロスフィンゴシンをフィトスフィンゴシンに変換する酵素であるジヒドロスフィンゴシンC−4ヒドロキシラーゼをコードする遺伝子に欠損を有する株であり、とりわけスフィンゴイド塩基であるフィトスフィンゴシンを多量に生産する株に由来するジヒドロスフィンゴシンC−4ヒドロキシラーゼ欠損株である。ジヒドロスフィンゴシンC−4ヒドロキシラーゼ欠損株は、対象とする株を、毒素であるシリンゴマイシンEに暴露し、シリンゴマイシンE耐性株を選択することによって得てもよい(Grilleyら(1998年)、J.Biol.Chem.273、11062−11068)。これらの株には、スフィンガニンヒドロキシラーゼに欠損を有する株(Δsyr2株)も含まれる。別法では、ジヒドロスフィンゴシンC−4ヒドロキシラーゼを欠失した株を、遺伝的方法を用いた欠失または破壊によるSYR2遺伝子の標的不活性化によって得ることができる。
例えば、親株として使用するのに適しているのは、ピキア・シフェリイをシリンゴマイシンE選択にかけることによって入手可能な、ピキア・シフェリイのsyr2変異体である(予定より早い公開がされなかった国際公開第2006/048458号を参照)。
本明細書に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、それらが発現されることになっている微生物株のコドン使用頻度に適合させてもよい。コドン使用頻度表は、データベース、例えば、http://www.kazusa.or.jp/codon/などのデータベースで好都合に見出すことができる。
本明細書に記載のポリヌクレオチドを挿入するベクターは、組換えDNA手順を好都合に行うことのできるいかなるベクターでもよく、ベクターのこの選択は、それが導入されることになっている宿主細胞にしばしば依存するであろう。したがって、上記ベクターは、通常、複製開始点を備えた、自律的複製を行うベクター、すなわち、染色体外の実体として存在し、その複製が染色体複製から独立しているベクター、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス、またはファージベクターでありうる。別法では、上記ベクターは、宿主細胞に導入された際に、宿主細胞ゲノム内に組み込まれ、それが組み込まれた染色体と共に複製されるものでもよい。上記ベクターは、環状、例えばプラスミドでも、直鎖状、例えば発現カセットでもよい。
組込みベクター(integrative vector)は、ランダムに組み込まれても、宿主細胞の染色体の所定の標的遺伝子座に組み込まれてもよい。標的組込みには、組込みベクターは、宿主細胞のゲノム内の所定の標的遺伝子座のDNA配列に相同なDNA断片を含む。標的組込みを促進するために、宿主細胞の形質転換の前に、ベクターを直線化することが好ましい。直線化は、クローニングベクターの少なくとも一端に、好ましくはいずれの末端にも、標的遺伝子座に相同な配列が隣接するように行うことが好ましい。標的遺伝子座に隣接する相同配列の長さは、好ましくは少なくとも0.1kb、より好ましくは少なくとも0.2kb、さらに好ましくは少なくとも0.5kb、さらに好ましくは少なくとも1kb、最も好ましくは少なくとも2kbである。相同配列は、標的遺伝子座に厳密に同一である必要はない。必要な同一性の程度は、したがって、相同配列の長さに依存しうる。典型的には、同一性パーセントは、少なくとも約80%である。
本発明の遺伝的操作で使用するべきポリヌクレオチドの意図されている使用に応じて、遺伝子の発現が目標とされている場合には発現カセット内に、遺伝子の不活性化が目標とされている場合には不活性化カセット内に、上記ポリヌクレオチドを挿入することができる。
発現カセット内では、宿主細胞によるコード配列からのポリペプチドの発現を提供できる調節配列に、コード配列が作動可能に連結している。「作動可能に連結している」という用語は、記述されているコンポーネントがそれらの意図された様式で機能するのを可能にする関係にある近接した並置を指す。コード配列に「作動可能に連結している」プロモーター、エンハンサー、または別の発現調節シグナルなどの調節配列は、上記調節配列と適合した条件下で、そのコード配列からのポリペプチドの発現が実現されるような様式で配置されている。
不活性化カセットは、不活性化しようとする遺伝子内にそれが標的組み込みできるような様式で構築される。不活性化カセットは、典型的には、不活性化される遺伝子の非機能性の対応物を含む。そのような非機能性対応物は、標的組込みによって、天然コード配列が、欠損を有するコード配列で置換される結果となるように、問題の遺伝子のコード配列の部分またはすべてが欠失しているポリヌクレオチドでありうる。遺伝子不活性化に使用されるポリヌクレオチド配列は、不活性化される遺伝子を含む標的配列に対して少なくとも約80%同一であるべきである。
第3の態様では、セラミドシンターゼ活性、スフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼ活性、またはセラミダーゼ活性を示す新規なポリペプチドを提供する。
一実施形態では、セラミドシンターゼ活性を示すポリペプチドであって、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる群から選択されたポリペプチド;ならびに/または、配列番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドからなる群から選択されたポリペプチドを提供する。上記ポリペプチドは、好ましくはピキア属から、より好ましくはピキア・シフェリイから入手可能である。
さらに別の実施形態では、スフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼ活性を示すポリペプチドであって、配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチドと、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドとからなる群から選択されたポリペプチドを提供する。上記ポリペプチドは、好ましくはピキア属から、より好ましくはピキア・シフェリイから入手可能である。
さらに別の実施形態では、配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチドと、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドとからなる群から選択された、セラミダーゼ活性を示すポリペプチドであって、前記セラミダーゼが、スフィンゴイド塩基としてフィトスフィンゴシンまたはジヒドロスフィンゴシンを有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解するポリペプチドを提供する。上記ポリペプチドは、好ましくはピキア属から、より好ましくはピキア・シフェリイから入手可能である。
「相同性」または「同一性パーセント」という用語は、本明細書では同義的に使用される。本発明の目的では、2つのアミノ酸配列の同一性パーセントを決定するために、比較目的に最適となるように上記配列のアラインメントを行う(例えば、最適のアラインメントのために各配列にギャップを導入することができる)ものと、本明細書では定義する。その後、対応するアミノ酸位置のアミノ酸残基を比較する。第1の配列中のある位置が、第2の配列中の対応する位置と同一のアミノ酸残基によって占められている場合、その分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、それらの配列によって共有されている同一である位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一である位置の数/位置の総数(すなわち、ギャップを含めた重なり合っている位置)×100)。2つの配列は、同じ長さであることが好ましい。
当業者ならば、2つの配列間の相同性を決定するのに、いくつかの異なったコンピュータ・プログラムが利用可能であるという事実に気付くであろう。例えば、配列の比較、および2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて実現できる。好ましい実施形態では、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを、Accelrys社GCGソフトウェアパッケージ(www.accelrys.com/products/gcgで利用可能)に入っているGAPプログラムに組み込まれているNeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol.(48):444−453(1970年))のアルゴリズムを使用し、Blossom62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかと、16、14、12、10、8、6、または4のギャップ・ウェイトおよび0.5、1、2、3、4、5、または6の長さウェイトとを用いて決定する。当業者ならば、これらのすべての異なったパラメータがわずかに異なった結果を生むであろうこと、しかし、異なったアルゴリズムを用いた場合でも、2つの配列の総合的な同一性パーセントは有意に改変されないことを理解するであろう。上記マトリックスは、10.0のギャップ・ウェイトおよび0.5の長さウェイトを用いたBlossom62マトリックスであることが好ましい。
本発明のタンパク質配列は、例えば、他のファミリーメンバーまたは関連配列を同定するために、公共データベースに対して検索を行うための「クエリー配列」としてさらに使用できる。そのような検索は、Altschulら(1990年)、J.Mol.Biol.215:403−10のblastp、psi−blast、phi−blast、およびtblastnプログラム(バージョン2.0)を用いて実行できる。blastp、psi−blast、phi−blast、およびtblastnプログラムを利用する場合、各プログラム(例えば、blastp、psi−blast、phi−blast、およびtblastnプログラム)のデフォルト・パラメータを用いることができる。www.ncbi.nlm.nih.govにおける全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)のホームページを参照のこと。
参照アミノ酸配列に対して同一性パーセントを示すアミノ酸配列を有するポリペプチドを相同ポリペプチドと呼ぶ。相同ポリペプチドは、他の生物、とりわけ酵母または動物から入手可能な天然存在の変種であってもよく、操作された変種であってもよい。
第4の態様では、第3の態様のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供する。上記ポリヌクレオチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、および/または配列番号8のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むものでありうる。例えば、それぞれ、配列番号2、配列番号4、配列番号6、および配列番号8のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号1、配列番号3、配列番号5、および配列番号7である。宿主生物のコドン使用頻度に関して、上記ヌクレオチド配列を最適化することが有利となりうる。そのような最適化されたヌクレオチド配列の例は、配列番号15のアミノ酸配列を有するアルカリ性セラミダーゼをコードする配列番号32、配列番号9のアミノ酸配列を有するセラミドシンターゼをコードする配列番号33、および配列番号10のアミノ酸配列を有するセラミドシンターゼをコードする配列番号34に提供されている。
別の態様では、本発明は、本発明の第2の態様の方法で入手可能である、本発明の第1の態様による微生物細胞、および/または本発明の第4の態様によるポリヌクレオチド(例えば、上述した発現カセットおよび/または不活性化カセット内にクローニングされている)で形質転換された宿主細胞を、スフィンゴイド塩基、および必要な場合、本発明に従って使用されるポリペプチドの発現を提供する条件下で培養し、場合によりスフィンゴイド塩基を回収することによって、式Iのスフィンゴイド塩基を製造する方法を提供する。
本発明の細胞は、当技術分野で知られている手順を用いて培養できる。プロモーターと宿主細胞との組合せそれぞれについて、本発明のポリペプチドの発現に資する培養条件が利用可能である。所望の細胞密度に達した後、培養を停止し、本発明のポリペプチドまたはスフィンゴイド塩基を、既知な手順を用いて回収する。
発酵培地は、炭素源(例えば、グルコース、マルトース、糖蜜)、窒素源(例えば、アンモニア、硫安、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、有機窒素源、例えば、酵母抽出物、麦芽エキス、ペプトン)および他の無機栄養源(例えば、リン酸、マグネシウム、カリウム、亜鉛、鉄など)を含有する既知な培養培地を含んでよい。場合により誘導因子を含んでもよい。
適切な培地の選択は、発現宿主の選択に基づいたもの、および/または発現コンストラクトに関する規制の要件に基づいたもの、および/または本発明によるスフィンゴイド塩基の最適な生産に関連した要件に基づいたものでありうる。そのような培地は、当業者には既知である。
発酵は、0.5〜30日の期間にわたって行うことができる。それはバッチ培養法でも、連続培養法でも、流加培養法でもよく、0〜45℃の範囲の温度、および例えばpH2〜10の間が適している。好ましい発酵条件は、20〜37℃の範囲の温度および/またはpH3〜9の間である。通常、適切な状態は、発現宿主および発現されるタンパク質の選択に基づいて選択される。
発酵の後、必要な場合には、遠心法または濾過によって発酵ブロスから細胞を除去することができる。本発明のスフィンゴイド塩基は、その後、細胞および/または発酵ブロスから回収でき、望ましい場合には、従来の手段によって精製および単離できる。
本発明は、発酵過程中における、活性セラミドシンターゼポリペプチドの細胞内濃度を増大させることによって、式Iのスフィンゴイド塩基、またはその塩もしくはエステルの完全発酵生産を有意に改善できることを有利に示す。詳細には、活性セラミドシンターゼポリペプチドの細胞内濃度を増大させることによって、または宿主にとって(アミノ酸配列に関して)新規なセラミドシンターゼ活性を有する酵素を発酵過程中に生産することによって、スフィンゴシンまたはその塩もしくはエステルの発酵生産が有意に改善されることを示す。
好都合には、スフィンゴイド塩基組成物を生産するために、本発明のスフィンゴイド塩基を、適した賦形剤と混合することができる。
本発明のスフィンゴイド塩基は、他のスフィンゴイド塩基、またはセラミド、ガングリオシド、またはセレブロシドなどのスフィンゴ脂質を調製するための出発物質として使用できる。
実施例1
(アシュビア・ゴシッピー酵素Laf1pおよびDes1p、またはLaq1pおよびDes1pをそれぞれ同時に過剰生産するアシュビア・ゴシッピーsyr2変異体の構築)
アシュビア・ゴシッピーSYR2遺伝子をkanMX耐性遺伝子で置換して、それによって不活性化するように、プラスミドpUG6−AgSUR2::kanMXを設計した。アシュビア・ゴシッピーDES1、およびLAG1またはLAF1をそれぞれ同時に過剰発現させるために、プラスミドpAG−LAG1−1またはpAG−LAF1−1を設計した。機能的に特徴付けされている、SUR2/SYR2(Grilleyら、1998年;NCBIアクセッション番号NC_001136.7)という名の、サッカロミセス・セレヴィジエのスフィンガニンC4−ヒドロキシラーゼを鋳型として用いて、アシュビア・ゲノム・データベース(Ashbya Genome Database)(http://ashbya.genome.duke.edu/blast.html/)に対してBLASTP検索を行うことによって、アシュビア・ゴシッピーSYR2配列を得た。この結果、アシュビア・ゴシッピー遺伝子AAL066W(GenBankアクセッション#AAS50300;染色体Iの232310〜233326位に位置)に、409ビットのスコアで有意な一致が得られた(それぞれ62%および78%の位置同一性および類似性)。アシュビア・ゴシッピーATCC19895細胞を鋳型として用いたコロニーPCRによって、アシュビア・ゴシッピーSYR2コード配列の下流領域を増幅し、その後pUG6(EUROSCARF社、独国オーバーウルゼル(Oberursel)所在)にクローニングするために、MWG Biotech社(独国エーバースベルク(Ebersberg)所在)が以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
AgSUR2T−fw:
TAT ATA GTT AAC AGG CAA AGC TGA CGC TGC TCT CC(配列番号23中のnt1719−1741;HpaI認識部位を含む)
AgSUR2T−rv:
TAT ATA ACT AGT ATG GAC GCT GCA GTG CAG AAC C(配列番号23中のnt2500−2521;SpeI認識部位を含む)
上記オリゴヌクレオチドは、製造元の説明書に従ってPhusion(商標)高忠実度PCRマスターミックス(High Fidelity PCR Master Mix)(Finnzymes社、カタログ#F−531L)とともに、Innisら(「PCR protocols.A guide to methods and applications、1990年、Academic Press社)によるPCR反応をセットアップするのに用いた。この方法を適用することによって、815bpの断片を入手できた。製造元の説明書に従ってMinEluteゲル抽出キット(Gel Extraction Kit)(QlAGEN社、カタログ#28606)を用いて、この断片を精製した。その後、これをHpaI(New England Biolabs社、カタログ#R0138L)およびSpeI(New England Biolabs社、カタログ#R0151S)で2時間消化し、製造元の説明書に従ってT4 DNAリガーゼ(New England Biolabs社、カタログ#M0202L)を用いて、EcoRV(New England Biolabs社、カタログ#R0195L)およびSpeIで切断されたpUG6とライゲートした。2.5μlのライゲーション産物を用いて、製造元のプロトコルに従って化学的コンピテント大腸菌(E.coli)(Invitrogen社One Shot(登録商標)TOP10、カタログ#C4040−03)を形質転換した。これによって、プラスミドpUG6−AgSUR2−T(4806bp)を取得した。pUG6に同様にクローニングするための上流領域を増幅するために、以下のオリゴヌクレオチドを合成した。AgSUR2P−fw2:
TAT ATA CAG CTG CGT CTG TAC CAG AAC CTG TGC(配列番号23中のnt1−21;PvuII認識部位を含む)
AgSUR2P−rv2:
TAT ATA GTC GAC CTA CGT CAT CCA TGA ACG ACA CT(配列番号23中のnt800−821;SalI認識部位を含む)
Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックス、およびアシュビア・ゴシッピーATCC19895細胞を鋳型として用いたコロニーPCR反応をセットアップするのに、上記オリゴヌクレオチドを用いた。この方法を適用することによって、840bpの断片を入手できた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。その後、これをSalI(New England Biolabs社、カタログ#R0138L)およびPvuII(New England Biolabs社、カタログ#R0151S)で2時間消化し、上述の通り、SalIおよびPvuIIで切断されたpUG6−AgSUR2−Tとライゲートし、図1に示すプラスミドpUG6−AgSUR2::kanMX(5537bp)を構築した。このプラスミドは、アシュビア・ゴシッピー内に形質転換された後、kanMXによってアシュビア・ゴシッピーSYR2を置換し、それによってSYR2を不活性化するのに適している。
機能的に特徴付けされている、カンジダ・アルビカンスのジヒドロセラミドΔ4−デサチュラーゼ(Ternesら、2002年;NCBIアクセッション番号NW_139432.1)を鋳型として用いて、アシュビア・ゲノム・データベース(http://ashbya.genome.duke.edu/blast.html/)に対してBLASTP検索を行うことによって、アシュビア・ゴシッピーDES1配列を得た。この結果、アシュビア・ゴシッピー遺伝子AGR025W(GenBankアクセッション#AAS54514;染色体VIIの761515〜762654bpに位置)に、378ビットのスコアで有意な一致が得られた(それぞれ52%および65%の位置アミノ酸同一性および類似性)。アシュビア・ゴシッピーDES1コード配列のDNA領域上流を増幅するために、以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
AgDES1−US−fw:
TAT ATA GTT AAC TCC ATC AGC GCG ACA ACA GG(配列番号22中のnt1−20;HpaI認識部位を含む)
AgDES1−US−rv:
TAT ATA GAG CTC TCC GAA TCG AGG CGT GTG TAG(配列番号22中のnt830−850;SacI認識部位を含む)
Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックス、およびアシュビア・ゴシッピーATCC19895細胞を鋳型として用いたコロニーPCR反応をセットアップするのに、上記オリゴヌクレオチドを用いた。この方法を適用することによって、874bpの断片を入手できた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。その後、これをHpaI(New England Biolabs社、カタログ#R0105S)およびSacI(New England Biolabs社、カタログ#R0156S)で2時間消化し、それぞれの酵素で切断されたベクターpAG32(EUROSCARF社、独国オーバーウルゼル所在)とライゲートし、その結果、以降のクローニング手順のための中間体プラスミドである、プラスミドpAG32−AgDES1−US(4916bp)を得た。続いて、アシュビア・ゴシッピーDES1コード配列の5’末端を増幅するために、以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
AgDES1−DS−fw:
ATG AAC CAA CGG GGT ATA GCG AC(配列番号22中のnt905−927)
AgDES1−DS−rv:
TAT ATA AAG CTT CTC TTC AAT GCT GAA GAG GTA GTG(配列番号22中のnt1652−1675;HindIII認識部位を含む)
Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックス、およびアシュビア・ゴシッピーATCC19895細胞を鋳型として用いたコロニーPCR反応をセットアップするのに、上記オリゴヌクレオチドを用いた。この方法を適用することによって、783bpの断片を入手できた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックスを用いたクロスオーバーPCRを行うことによって、事前に増幅されたアシュビア・ゴシッピーDES1コード配列の5’末端にある開始コドンに、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(配列番号24)のアシュビア・ゴシッピープロモーターを融合させた。機能的に特徴付けされている、サッカロミセス・セレヴィジエのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(Hollandら、1979年;NCBIアクセッション番号NC_001142.6)を鋳型として用いて、アシュビア・ゲノム・データベース(http://ashbya.genome.duke.edu/blast.html/)に対してBLASTP検索を行うことによって、上記プロモーター配列を得た。この結果、アシュビア・ゴシッピー遺伝子AER031C(GenBankアクセッション#AAS52715;染色体Vの695233〜696228bpに位置)に、530ビットのスコアで有意な一致が得られた(それぞれ78%および89%の位置アミノ酸同一性および類似性)。アシュビア・ゴシッピーのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼコード配列の開始コドンの上流にあるプロモーター領域を増幅するために、以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
PGAP−fw:
TAT ATA GTC GAC GGC TCT CCT CGC TCT GCT CAA G(配列番号24中のnt1−23;SalI認識部位を含む)
PGAP−rv:
GTC GCT ATA CCC CGT TGG TTC ATT GTG CGG TGT GTA TGT GTG GAC(配列番号24中のnt497−518および配列番号22中のnt1−23)
Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックス、およびアシュビア・ゴシッピーATCC19895細胞を鋳型として用いたコロニーPCR反応をセットアップするのに、上記オリゴヌクレオチドを用いた。この方法を適用することによって、550bpの断片を入手できた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。オリゴヌクレオチドPGAP−fwおよびAgDES1−DS−rvと、事前に増幅および精製されたアシュビア・ゴシッピーのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼコード遺伝子のプロモーターおよびアシュビア・ゴシッピーDES1コード配列の5’末端1μlとを用いて、クロスオーバーPCRを行った。この方法を適用することによって入手された1310bpの断片を、MinEluteゲル抽出キットを用いて精製した。その後、これをSalI(New England Biolabs社、カタログ#R0138S)およびHindIII(New England Biolabs社、カタログ#R0104S)で消化し、上述の通り、それぞれの酵素で切断されたpAG32−AgDES1−USベクターにライゲートし、図2に示すプラスミドpAG32−hyg−PAgGAP−AgDES1(6192bp)を構築した。このプラスミドは、増強されたDes1p活性を得るために、アシュビア・ゴシッピーのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼコード遺伝子のプロモーターによって、天然のアシュビア・ゴシッピーDES1プロモーターを置換するのに適している。アシュビア・ゴシッピーDES1遺伝子上流のクローニングされたDNA領域、アシュビア・ゴシッピーDES1遺伝子のクローニングされた5’末端、およびアシュビア・ゴシッピーのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼコード遺伝子のクローニングされたプロモーターの真正性は、Sangerらが開発したジデオキシ法(Proceedings of the National Academy of Sciences,U.S.A.、74:5463−5467)を用いて、Sequiserve社(独国ファーターシュテッテン(Vaterstetten)所在)が行ったDNA配列決定によって確認した。公表されているDES1コード配列(GenBankアクセッション#AAS50300;アシュビア・ゲノム・データベース:http://ashbya.genome.duke.edu/blast.html/中のAGR025W)のヌクレオチド382、489、および405は、プラスミドpAG32−hyg−PAgGAP−AgDES1の対応するクローニングされたDNA配列中には不在であり、その結果、公表されているタンパク質配列のアミノ酸位置29〜34がANLPIに変化しているが、これは、他のすべての酵母Des1pの対応領域と同一である。したがって、公表されているアシュビア・ゴシッピーDES1 DNA配列は、おそらく配列決定エラーを含有している。
機能的に特徴付けされている、LAC1(Schorlingら、2001年;NCBIアクセッション番号NC_001143.7)という名の、サッカロミセス・セレヴィジエのセラミドシンターゼ成分を鋳型として用いて、アシュビア・ゲノム・データベース(http://ashbya.genome.duke.edu/blast.html/)に対してBLASTP検索を行うことによって、アシュビア・ゴシッピーLAG1配列を得た。この結果、アシュビア・ゴシッピー遺伝子ABR009W(NP 982955;染色体IIの408463〜409704bpに位置)に、531ビットのスコアで有意な一致が得られた(それぞれ64%および79%の位置アミノ酸同一性および類似性)。機能的に特徴付けされている、LAF1(Schorlingら、2001年;NCBIアクセッション番号NC_001140.5)という名の、サッカロミセス・セレヴィジエのセラミドシンターゼ成分を鋳型として用いて、アシュビア・ゲノム・データベース(http://ashbya.genome.duke.edu/blast.html/)に対してBLASTP検索を行うことによって、アシュビア・ゴシッピーLAG1配列を得た。この結果、アシュビア・ゴシッピー遺伝子ADL206W(GenBankアクセッション#AAS51714;染色体IVの340556〜341674bpに位置)に、117ビットのスコアで有意な一致が得られた(それぞれ32%および48%の位置アミノ酸同一性および類似性)。LAG1コード配列を増幅するために、以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
AgLAC1−fw:
ATG GCT GAA AAT TCG TTA TTG AAG C(配列番号11中のnt1−25)
AgLAC1−PacI−rv:
TAT ATA TTA ATT AAG ACC TGT ATA TAT TCT AGT AGT G(配列番号11中のnt1388−1410;PacI認識部位を含む)
Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックス、およびアシュビア・ゴシッピーATCC19895細胞を鋳型として用いたコロニーPCR反応をセットアップするのに、上記オリゴヌクレオチドを用いた。この方法を適用することによって、1241bpの断片を入手できた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。アシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子の前にあるプロモーターをLAG1コード配列に融合させるために、上述の通り、クロスオーバーPCRを適用した。機能的に特徴付けされている、ENO1およびENO2(McAlisterら、1982年;NCBIアクセッション番号NC_001139.7およびNC_001140.5)という名の、サッカロミセス・セレヴィジエのエノラーゼイソ酵素を鋳型として用いて、アシュビア・ゲノム・データベース(http://ashbya.genome.duke.edu/blast.html/)に対してBLASTP検索を行うことによって、アシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子のプロモーター配列を得た。この結果、アシュビア・ゴシッピー遺伝子AER294C(GenBankアクセッション#AAS52975;染色体Vの1176724〜1178037bpに位置)に、サッカロミセス・セレヴィジエENO1に対して734ビットのスコア(それぞれ83%および91%の位置アミノ酸同一性および類似性)、そしてサッカロミセス・セレヴィジエENO2に対して709ビットのスコア(それぞれ80%および87%の位置アミノ酸同一性および類似性)で有意な一致が得られた。ENO1の開始コドンの上流約455bpの領域を選択し、以下オリゴヌクレオチドを用いて増幅した。
P−ENO−PacI−fw:
TAT ATA TTA ATT AAC TGT TCA CAG CCT TCT GAG AC(配列番号25中のnt1−21;PacI)
P−ENO−CO−LAG1−rv:
CCT GAC TTG GCC CGA CAT TTT GAA TTA TTT GAG TTT CGG AGG TGT TAA TC(配列番号25中のnt436−467および配列番号13中のnt1−18)
Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックス、およびアシュビア・ゴシッピーATCC19895細胞を鋳型として用いたコロニーPCR反応をセットアップするのに、上記オリゴヌクレオチドを用いた。この方法を適用することによって、475bpの断片を入手した。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。オリゴヌクレオチドP−ENO−PacI−fwおよびAgLACI−PacI−rvと、アシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子のプロモーターおよびアシュビア・ゴシッピーLAG1・コード配列に相当する、事前に増幅および精製されたPCR産物1μlとを用いて、Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックスを用いたクロスオーバーPCRをセットアップした。この方法を適用することによって、1716bpの断片を入手できた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。その後、これをPacI(New England Biolabs社、カタログ#R0547S)で2時間消化し、製造元のプロトコルに従ってPacI切断および脱リン酸化された(New England Biolabs社、アルカリホスファターゼ、コウシ腸、カタログ#M0290S)pAG32−hyg−PAgGAP−AgDES1ベクターにライゲートし、その結果、図3に示すプラスミドpAG−LAG1−1(8077bp)を得た。このプラスミドは、アシュビア・ゴシッピー内に形質転換された後に、アシュビア・ゴシッピーDES1およびLAG1を同時に過剰発現するのに適している。クローニングされたアシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子のプロモーターおよびアシュビア・ゴシッピーLAG1コード配列の真正性は、Sequiserve社(独国ファーターシュテッテン所在)が行ったDNA配列決定によって確認した。続いて、LAF1コード配列を増幅するために、以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
AgLAG1−fw:
ATG TCG GGC CAA GTC AGG C(配列番号13中のnt1−20)
AgLAG1−PacI−rv:
TAT ATA TTA ATT AAC TGC ATG CGC TGT CTG GCG(配列番号13中のnt1291−1309;PacI認識部位を含む)
Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックス、およびアシュビア・ゴシッピーATCC19895細胞を鋳型として用いたコロニーPCR反応をセットアップするのに、上記オリゴヌクレオチドを用いた。この方法を適用することによって、1118bpの断片を入手できた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。アシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子のプロモーターをLAF1コード配列に融合させるために、上述の通り、クロスオーバーPCRを適用した。オリゴヌクレオチドP−ENO−PacI−fwおよびAgLAG1−PacI−rvと、アシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子のプロモーターおよびアシュビア・ゴシッピーLAF1コード配列に相当する、事前に増幅および精製されたPCR産物1μlとを用いて、Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックスを用いたクロスオーバーPCRをセットアップした。この方法を適用することによって、1593bpの断片を入手できた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。その後これをPacIで2時間消化し、上述の通り、PacI切断および脱リン酸化されたベクターpAG32−hyg−PAgGAP−AgDES1にライゲートし、その結果、図4に示すプラスミドpAG−LAF1−1(7976bp)を得た。このプラスミドは、アシュビア・ゴシッピー内に形質転換した後、アシュビア・ゴシッピーDES1およびLAF1を同時に過剰発現するのに適している。クローニングされた、アシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子のプロモーターおよびアシュビア・ゴシッピーLAF1コード配列の真正性は、Sequiserve社(独国ファーターシュテッテン所在)が行ったDNA配列決定によって確認した。
アシュビア・ゴシッピーATCC19895の形質転換は、エレクトロポレーション法により行った。液体培地中での培養中に真菌菌糸が凝固するのを防止するために、以下の通りにホモジナイズした。寒天プレート(酵母抽出物1g/l、ペプトン10g/l、グルコース10g/l、ミオイノシトール0.3g/l、および寒天20g/l)上、30℃で、24h培養された菌糸を完全な1ループ分採取し、15ml反応管内の2mlの滅菌水中に再懸濁した。直径3mmの無菌ガラスビーズをメニスカス面まで添加した。この溶液を、ミニシェーカー(IKA社、独国シュタウフェン所在)上で2分間、最高速で処理した。ホモジナイズされた菌糸懸濁液をシリンジを用いて除去し、70mlの液体複合培地(酵母抽出物1g/l、ペプトン10g/l、グルコース10g/l、およびミオイノシトール0.3g/l)を含有する250mlのバッフル付き振とうフラスコ内に移した。これを、30℃、1分あたり250ラウンドで、終夜培養し、減圧濾過(Schleicher & Schuell社、Vacuflo PV 050/2減圧濾過ユニット)によって採取し、25mMジチオスレイトール(DTT)を含有する50mMリン酸緩衝液で洗浄し、同一溶液中、28℃で、30分間インキュベートし、減圧濾過によって再度、収集した。続いて、270mMスクロースおよび1mM MgClを含有する10mM Tris−HCl(pH7.5)で細胞を洗浄し、1mlの同一溶液中に再懸濁し、200μlアリコートに分注した。形質転換用のプラスミドDNAであるpUG6−AgSUR2::kanMX、pAG−LAG1−1、またはpAG−LAF1−1を、製造元の説明書に従って、HpaI(New England Biolabs社、カタログ#R0105S)で直線化した。このDNAを、標準的なフェノール:クロロホルム抽出およびエタノール沈殿プロトコルを用いて精製した。200μlアリコートの菌糸懸濁液に、容積の10%を超えない、最大20μgまでの精製されたDNAを添加し、冷却された2mmエレクトロポレーションキュベット内に分注し、1.5kV/cm、100Ω、および25pFに設定されたGene Pulser(Bio−Rad社、独国ミュンヘン(Munich)所在)でパルス印加した。エレクトロポレーションの後に、ピペットでエレクトロポレーションキュベットから菌糸を除去し、上述の通りの液体複合培地10ml中に移し、細胞の再生を可能にするために、100mlの無バッフル振とうフラスコ内、30℃、1分あたり200ラウンドで、4〜6hインキュベートした。淘汰圧を加えるために、続いて、再生された細胞に10mlのトップアガー(1%アガロース(w/v)を含有する、酵母抽出物1g/l、ペプトン10g/l、グルコース10g/l、およびミオイノシトール0.3g/lに750μg/mlジェネティシンG418および/または750μg/mlハイグロマイシンBを加える)を添加し、混合し、非選択的な複合培地寒天プレート(酵母抽出物1g/l、ペプトン10g/l、グルコース10g/l、ミオイノシトール0.3g/l、および寒天20g/l)上に注いだ。30℃、2〜3日間のインキュベーションの後、形質転換体を得た。ジェネティシン耐性および/またはハイグロマイシン耐性の胞子の選択によって、アシュビア・ゴシッピー形質転換体のクローン精製を行った。このために、胞子形成プレート(酵母抽出物10g/l、グルコース10g/l、および寒天20g/l)上に形質転換体を線条接種し、30℃で5日間インキュベートした。続いて、完全な1ループ分の真菌菌糸をのトリコデルマ・ハルチアナム由来の溶解酵素(Sigma−Aldrich社、独国タウフキルヒェン(Taufkirchen)所在)10mg/mlを含有する0.9%(w/v)NaCl 1ml中に再懸濁し、室温で1hインキュベートした。放出された胞子と細胞破片とを遠心法(30秒間、13200rpm)によって沈降させ、0.9%NaCl溶液1mlで2回洗浄し、最後に、胞子を濃縮するために、等容積のパラフィンで抽出し、二相を撹拌ミル(Retsch社、独国ハーン(Hahn)所在)内で、30Hz、30秒間の振とうによって完全に混合した。遠心法(30秒間、800rpm)によって相分離させた。0.9%(w/v)NaCl中におけるパラフィン相の希釈系列を選択培地800 30(750μg/mlジェネティシンおよび/または750μg/mlハイグロマイシンを含有する、酵母抽出物1g/l、ペプトン10g/l、グルコース10g/l、ミオイノシトール0.3g/l、および寒天20g/l)上にプレーティングし、30℃で、2〜3日間、インキュベートした。生じたコロニーを選択し、実施例3に記載する逆相HPLCによるスフィンゴイド塩基の定量および特性分析用に培養した。
実施例2
(アシュビア・ゴシッピー酵素Laf1pおよびDes1pを同時に過剰生産するアシュビア・ゴシッピーSYR2 8DES二重変異体の構築)
アシュビア・ゴシッピーSYR2遺伝子をkanMX耐性遺伝子で置換して、それによってアシュビア・ゴシッピーSYR2遺伝子不活性化し、アシュビア・ゴシッピーDES1およびLAF1遺伝子を過剰発現するように、プラスミドpSSTH−LAF1−2を設計した。アシュビア・ゴシッピーSYR2、DES1およびLAF1をコードする配列ならびにアシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子のプロモーターの配列を、実施例1に記載の通りに得た。アシュビア・ゴシッピーATCC19895からのDES1コード配列を増幅するために、MWG Biotech社(独国エーバースベルク所在)が以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
AgDES1−DS−fw:
ATG AAC CAA CGG GGT ATA GCG AC(配列番号22中のnt905−927)
AgDES1−rv−SalI:
TAT ATA GTC GAC GAG TTT TGA CTC CTT CTG TCT C(配列番号22中のnt2246−2267;SalI認識部位を含む)
上記オリゴヌクレオチドは、製造元の説明書に従ってPhusion(商標)高忠実度PCRマスターミックス(Finnzymes社、カタログ#F−531L)とともに、Innisら(「PCR protocols.A guide to methods and applications、1990年、Academic Press社)に従い、アシュビア・ゴシッピーATCC19895細胞を鋳型として用いて、コロニーPCR反応をセットアップするのに用いた。この方法を適用することによって、1372bpの断片を入手できた。製造元の説明書に従ってMinEluteゲル抽出キット(QlAGEN社、カタログ#28606)を用いて、この断片を精製した。アシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子のプロモーターを増幅するために、以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
AgPENO−fw−XbaI:
TAT ATA TCT AGA CTG TTC ACA GCC TTC TGA GAC(配列番号25中のnt1−21;XbaI認識部位を含む)
AgPENO−OEPCR−rv:
GTC GCT ATA CCC CGT TGG TTC ATT TTG AAT TAT TTG AGT TTC GGA GGT GTT AAT C(配列番号25中のnt436−467および配列番号22中のnt905−927)
上記オリゴヌクレオチドは、Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックスおよびアシュビア・ゴシッピーATCC19895細胞を鋳型として用いて、コロニーPCR反応をセットアップするのに用いた。この方法を適用することによって、496bpの断片を入手できた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。オリゴヌクレオチドAgPENO−fw−XbaIおよびAgDES1−rv−SalIと、アシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子のプロモーターおよびアシュビア・ゴシッピーDES1コード配列を表す、事前に増幅および精製されたPCR産物1μlとを用いて、Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックスとともにクロスオーバーPCRをセットアップした。この方法を適用することによって、1846bpの断片を入手できた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。その後、これをSalI(New England Biolabs社、カタログ#R0138S)およびXbaI(New England Biolabs社、カタログ#R0145S)で2時間消化し、製造元のプロトコルに従ってSalIおよびXbaI切断ベクターpUG6−AgSUR2::kanMX(実施例1を参照)にライゲートした。2.5μlのライゲーション産物を用いて、製造元の説明書に従って化学的コンピテント大腸菌(Invitrogen One Shot(登録商標)TOP10、カタログ#C4040−03)を形質転換した。これによって、プラスミドpSSTH(7323bp)を得た。アシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子およびアシュビア・ゴシッピーDES1コード配列配列を表すクローニングされた断片のDNA配列の真正性は、Sequiserve社(独国ファーターシュテッテン所在)が行ったDNA配列決定によって確認した。アシュビア・ゴシッピーLAF1コード配列を増幅するために、次いで以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
AgLAG1−fw:
ATG TCG GGC CAA GTC AGG C(配列番号13中のnt1−19)
AgLAG1−PacI−rv:
TAT ATA TTA ATT AAC TGC ATG CGC TGT CTG GCG(配列番号13中のnt1291−1309;PacI認識部位を含む)
上記オリゴヌクレオチドは、Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックスとともにアシュビア・ゴシッピーATCC19895細胞を鋳型として用いて、コロニーPCR反応をセットアップするのに用いた。この方法を適用することによって、1118bpの断片を入手できた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。アシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子のプロモーターを増幅するために、以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
P−ENO−PacI−fw:
TAT ATA TTA ATT AAC TGT TCA CAG CCT TCT GAG AC(配列番号25中のnt1−21;PacI認識部位を含む)
P−ENO−CO−LAG1−rv:
CCT GAC TTG GCC CGA CAT TTT GAA TTA TTT GAG TTT CGG AGG TGT TAA TC (配列番号25中のnt436−467および配列番号13中のnt1−18)
上記オリゴヌクレオチドは、Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックスとともにアシュビア・ゴシッピーATCC19895細胞を鋳型として用いて、コロニーPCR反応をセットアップするのに用いた。この方法を適用することによって、475bpの断片を入手できた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。オリゴヌクレオチドP−ENO−PacI−fwおよびAgLAG1−PacI−rvならびにアシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子のプロモーターおよびアシュビア・ゴシッピーのLAF1コード配列を表す、事前に増幅および精製されたPCR産物1μlとを用いて、Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックスとともにクロスオーバーPCRをセットアップした。この方法を適用することによって、1593bpの断片を入手できた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。その後、これをPacI(New England Biolabs社、カタログ#R0547S)で2時間消化し、上記の通りに、PacI切断および脱リン酸化された(New England Biolabs社、アルカリホスファターゼ、コウシ腸、カタログ#M0290S)pSSTHベクターにライゲートし、その結果、図5に示すプラスミドpSSTH−LAF1−2(9117bp)を得た。このプラスミドは、アシュビア・ゴシッピーのSYR2をkanMXで置換するのに適しており、これにより、アシュビア・ゴシッピー内に形質転換された後に、アシュビア・ゴシッピーのSYR2を不活性化し、アシュビア・ゴシッピーのDES1およびLAF1を同時に過剰発現するのに適している。アシュビア・ゴシッピーのエノラーゼコード遺伝子およびアシュビア・ゴシッピーのLAF1コード配列を表すクローニングされた断片DNA配列の真正性は、Sequiserve社(独国ファーターシュテッテン所在)が行ったDNA配列決定によって確認した。
アシュビア・ゴシッピーの8DES遺伝子を破壊するよう、プラスミドpAG32−D8Dを設計した。機能的に特徴付けされている、クリュイベロミセス・ラクティスのデルタ(8)スフィンゴ脂質デサチュラーゼ(Takakuwaら、2002年;EMBLアクセッション番号AB085690)を鋳型として用いて、アシュビア・ゲノム・データベース(http://ashbya.genome.duke.edu/blast.html/)に対してBLASTP検索を行うことによって、8DESコード配列を得た。この結果、アシュビア・ゴシッピー遺伝子AFL079W(GenBankアクセッション#AAS53293;染色体VIの290134〜291750bpに位置)に、616ビットのスコアで有意な一致が得られた(それぞれ56%および69%の位置アミノ酸同一性および類似性)。8DESコード配列の内部領域を増幅するために、以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
AgD8D−HindIII−fw:
TAT ATA AAG CTT GCG CTG GAA GAT TGG GCA TGT G (配列番号20中のnt204−225;HindIII認識部位を含む)
AgD8D−BamHI−rv:
TAT ATA GGA TCC GAG TCC AGC TTA ACA CGT AGA G (配列番号20中のnt1000−1021;BamHI認識部位を含む)
上記オリゴヌクレオチドは、Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックスとともにアシュビア・ゴシッピーATCC19895細胞を鋳型として用いて、コロニーPCR反応をセットアップするのに用いた。この方法を適用することによって、824bpの断片が得られた。MinEluteゲル抽出キットを用いて、この断片を精製した。
これをBamHI(New England Biolabs社、カタログ#R0136S)およびHindIII(New England Biolabs社、カタログ#R0104S)で2時間消化し、上記の通りに、BamHIおよびHindIII切断pAG32ベクター、その結果、図6に示すプラスミドpAG32−D8D(4960bp)を得た。このプラスミドは、アシュビア・ゴシッピー内に形質転換された後に、アシュビア・ゴシッピーの8DES遺伝子を破壊するのに適している。クローニングされた内部アシュビア・ゴシッピー8DES配列のDNA配列の真正性は、Sequiserve社(独国ファーターシュテッテン所在)が行ったDNA配列決定によって確認した。
アシュビア・ゴシッピーの形質転換は、実施例1に記載の通り行った。プラスミドpSSTH−LAF1−2はHpaI(New England Biolabs社、カタログ#R0105S)で直線化し、プラスミドpAG32−D8DはMfeI(New England Biolabs社、カタログ#R0589S)で直線化し、実施例1と同じように精製した。
実施例3
(アシュビア・ゴシッピー株における、逆相HPLCによるスフィンゴイド塩基の定量および特性解析)
HPLC分析のために、適切な抗生物質を含むYEPDプレート上で増殖させたアシュビア・ゴシッピー変異体株の菌糸を、実施例1に記載の通り懸濁し、バッフル付き100ml三角フラスコ中、20mlのYEPD培地(ペプトン2%(w/v)、酵母抽出物1%(w/v)およびグルコース2%(w/v))に接種し、30℃および250rpmで3日間培養した。その時点で細胞は定常期にあった。菌糸の懸濁物1mlを、1.5ml反応管中に移し、13200rpmで1分間遠心分離し、ピペットで液体培地を除去した。試料を1M HClで1.5mlまで満たし、80℃で16時間インキュベートした。試料を簡単に混合し、懸濁物の500μlを新しい1.5ml反応管に移した。1mlのクロロホルム:メタノール(2:1)(v/v)を添加し、ミキサーミル(Retsch社、独国ハーン所在)により30Hzで30分間振とうして脂質を抽出した。試料を13200rpmで5分間遠心分離し、下層のクロロホルム相の500μlを、新しい1.5ml反応管に移した。真空遠心分離機(Christ Vakuumzentrifuge、Christ AG社、オステローデ所在)で20分間、60℃で溶媒を蒸発させ、適切な体積の2−プロパノール:HO(1:1)(v/v)中にペレットを再懸濁し、40℃の超音波水浴中で10分間溶解した。
菌糸乾燥重量の決定のため、実施例1で記載したように、試料を液体培地から採取し、紙フィルターで濾過した。回収した菌糸を110℃で一晩乾燥し、計量した。
逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を用いてスフィンゴイド塩基濃度を決定した。C18フィトスフィンゴシン、C18スフィンガニンおよびC18スフィンゴシンについて、市販の入手可能な基準物質を用いたキャリブレーションにより定量した。C18スフィンガジエンについては基準物質が市販に入手可能ではなかった。従って、C18スフィンガジエンの濃度は、C18スフィンゴシンをキャリブラントとして用いて決定した。
RP−HPLCの詳細:
装置 Jasco;ポンプ PU−2080、オートサンプラー AS−2055、蛍光検出器 FP−2020
カラム Kromasil C18、250mm x 4.6mm
RP−HPLCの条件:
流速 2.00ml/分
試料体積 10μl
プレカラム誘導体化 同体積のo−フタルジアルデヒド(OPA)で2分間
注入体積 10μl
カラム温度 40℃
トレイ温度 周囲温度
移動相 メタノール:水(92:8)(w/v)
ランタイム 8分間
検出方法 蛍光
励起波長 340nm
発光波長 455nm
リテンションタイム:
C18フィトスフィンゴシン 4.00分
C18スフィンガジエン 4.40分
C18スフィンゴシン 5.50分
C18スフィンガニン 7.00分
これらの分析の結果を図19に示す。アシュビア・ゴシッピー野生型株はごく少量のスフィンゴシンしか生産しないが、一方、DES1を過剰発現し、機能的SYR2遺伝子を欠損した全ての株は、細胞乾燥重量1g当たり0.5mgのスフィンゴシンを生産した。LAF1の追加的な過剰発現は、それ単独でまたは8DESの挿入不活性化と組み合わせて、望まれない副産物、スフィンガニンおよびスフィンガジエニンの形成を劇的に低減した。
実施例4
(ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031からのゲノムDNAの単離)
ピキア・シフェリイ F−60−10A NRRL 1031を、250ml三角フラスコ中の50mlYEPD培地(ペプトン2%(w/v)、酵母抽出物1%(w/v)およびグルコース2%(w/v))で、200rpmおよび30℃で培養し、18時間後、1.5のOD600で採取した。製造元の説明書に従って、PUREGENE(登録商標)酵母およびグラム陽性細菌用DNA精製キット(Gentra Systems社、カタログ#D−6000A)を用いて染色体DNAを単離した。アガロースゲル電気泳動による単離DNAの品質確認により、分子量が大きい(>16kbp)ことが証明された。
実施例5
(ピキア・シフェリイのLAG1遺伝子ヌクレオチド配列のクローニングおよび決定)
(ピキア・シフェリイのLAG1遺伝子の内部部分の増幅)
まず、サッカロミセス亜門種からの推測セラミドシンターゼのアミノ酸配列を、完全および未完成の真核生物ゲノムのNCBIのデータベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/sutils/genom_table.cgi)から、アシュビア・ゴシッピーLag1p(GenBankアクセッション#NP_982955)を鋳型としてTBLASTN検索を実行することによって、抽出した。このタンパク質は、特徴づけされたS.セレヴィジエのLac1pおよびLag1pタンパク質と非常に類似していた(それぞれ65%および69%の位置アミノ酸同一性)(Schorlingら、2001年;Guillasら、2003年)。したがって、それらはセラミドシンターゼ活性を有する可能性が非常に高い。ClustalWプログラム(www.ebi.ac.uk/clustalw)を用いて抽出配列(全て<2x10−123のE値を有する)を配置した。ピキア・シフェリイのLAG1遺伝子の内部部分の増幅のために適切なヌクレオチドは、ピキア・シフェリイのコドン使用頻度が高度にバイアスを受けていることを考慮し、Lag1p配列において高度に保存された一続きのアミノ酸を逆翻訳することにより得られた。その後、MWG Biotech社(独国エーバースベルク所在)が以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
LAC1−deg−fw:
TTY GTY GGT TTY TAY GCW ATH TTY TTY ACW TTY TTR MGW GAA TT (配列番号1中のnt1636−1679)
LAC1−deg−rv:
GGT TGW SWD ATC CAA CAT TTR TAT TGT TGW GT (配列番号1中のnt2297−2266)
上記オリゴヌクレオチドは、製造元の説明書に従ってPhusion(商標)高忠実度PCRマスターミックス(Finnzymes社、カタログ#F−531L)とともに、Innisら(「PCR protocols.A guide to methods and applications、1990年、Academic Press社)によるPCR反応をセットアップするのに用いた。この方法を適用することによって、662bpの断片を入手できた。製造元の説明書に従ってQIAquickゲル抽出キット(Qiagen社、カタログ#28706)を用いて、この断片を精製した。
(ピキア・シフェリイのLAG1遺伝子の内部部分のDNA配列の決定)
Sangerらが開発したジデオキシ法(Proceedings of the National Academy of Sciences,U.S.A.、74:5463−5467)を用いて、精製PCR産物のDNA配列を決定した。配列決定プライマーとして、PCR増幅に用いたものを使用した。DNA配列決定は、Sequiserve社(独国ファーターシュテッテン所在)により行われた。得られた配列情報(662bp、配列番号1中のnt1636−2297に対応;図7A)を、クローンマネージャー7ソフトウェア(Scientific&Educational Software)を用いてタンパク質に翻訳し、得られたアミノ酸配列を、NCBIの重複のない(non−redundant)タンパク質データベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)によるBLASTP探索の鋳型として用いた。探索の結果、サッカロミセス・セレヴィジエのLac1p(セラミドデサチュラーゼのサブユニット)と非常に類似するクリュイベロミセス・ラクティスタンパク質(NCBIアクセッション#XP_452132)が、データベース中で新規な配列と最も類似するタンパク質として同定され、ピキア・シフェリイのLAG1オルソログの部分が実際に増幅されたことが確認された。
(ピキア・シフェリイの全LAG1遺伝子の増幅およびそのDNA配列の決定)
ピキア・シフェリイの全LAG1遺伝子(コード配列、プロモーター領域および3’−非翻訳領域)のDNA配列を決定するために、逆PCR法に従った。ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031からの染色体DNA(300ng)(実施例4に記載の通りに単離)を、製造元の説明書に従って、全体積50μl中で、VspI(MBI Fermentas社、カタログ#ER0911)により一晩消化した。製造元の説明書に従ってQIAquickPCR精製キット(Qiagen社、カタログ#28106)を用いて、この消化DNAを精製した。溶出DNA(50μl)を、製造元の説明書に従って、全体積200μl、T4DNAリガーゼ800Uで、T4DNAリガーゼ(New England Biolabs社、カタログ#M0202L)を用いて一晩ライゲーションした。製造元の説明書に従ってQIAquickPCR精製キットを用いて、このライゲートDNAを精製した。溶出物の2.5μlを、Innisら(「PCR protocols.A guide to methods and applications、1990年、Academic Press社)による逆PCR反応の鋳型として用いた。これには、ピキア・シフェリイのLAG1遺伝子の既知の部分に標的化した2つのオリゴヌクレオチドを適用した:
PcLAC1−us−fw:
CCT TCT AAA ATC AAG AGA TTT ATG GAA CAA TC (配列番号1中のnt1732−1763)
PcLAC1−us−rv:
CCA ACA ATT GGT GCA AGG GGA C (配列番号1中のnt1721−1700)
製造元の説明書に従って、Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックスを用いて増幅を行った。この手順を用いて2.2kbpのPCR産物が得られた。製造元の説明書に従って、MinElutePCR精製キット(Qiagen社、カタログ#28006)を用いて、この断片を精製した。この断片のDNA配列を、前記のとおり、オリゴヌクレオチドPcLAC1−us−fw、PcLAC1−us−rv、
DBoPcLAC1−us−rv2:
TTA GAC AGA AGC TCA ACA GG (配列番号1中のnt1032−1013)、
DBo−PcLAC1intfw:
TTC AGC TGG TTA TTT GTC TC (配列番号1中のnt1240−1259)および
DBo−PcLAC1intrv:
TAA CCC AGA ATC AAG GTC (配列番号1中のnt94−77)
を配列決定プライマーとして用いて決定した。新たに得られた配列情報は、配列番号1中のnt1−1635をカバーした。3’VspI部位が、この部分のすぐ下流に位置しているため(図7A)、このDNA配列の下流の新たな配列情報は得ることができなかった。ピキア・シフェリイLAG1遺伝子のコード領域の3’末端、およびその3’−非翻訳領域のDNA配列を得るために、別ラウンドの逆PCRを行う必要があった。従って、ピキア・シフェリイ染色体DNAの消化にHindIII(New England Biolabs社、カタログ#R0104S)を用い、逆PCR中に、MWG Biotech社(独国エーバースベルク所在)により合成された以下のオリゴヌクレオチドを適用した以外は、上記の実験プロトコルを繰り返した。
PcLAC1−ds−fw:
GGG AGA TTT TAA ATT AAA TTT TGC AAC TCA AC (配列番号1中のnt2241−2272)
PcLAC1−ds−rv:
CTG TTC TAA ATT CTG TTA AAA CTG ACC (配列番号1中のnt2239−2213)
この手順を用いて4.5kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、MinElutePCR精製キットを用いて、この断片を精製した。この断片のDNA配列を、前記のとおり、オリゴヌクレオチドPcLAC1−ds−fw;PcLAC1−ds−rv;
DBo−PcLAC1dsfw2:
AAA TCA GGT TTA ACA ATG GC (配列番号1中のnt3152−3171)
DBo−PcLAC1dsfw3:
AGT TGA TAA ATG ACG AAT GG (配列番号1中のnt4060−4079)および
DBo−PcLAC1dsrv2:
GAA CGT ACT CTT GTA TCA CCC (配列番号1中のnt1343−1323)
を配列決定プライマーとして用いて決定した。3’VspI部位の下流から次のHindIII制限部位まで延びる、2655bpの新たな配列情報(配列番号1中のnt2298−4952)を得ることができた(図7B)。記載した3ステップの手順を用いて、全4952bpのピキア・シフェリイLAG1遺伝子座を単離し、そのDNA配列を決定することができた(配列番号1および図7参照)。
図7Cに描かれたピキア・シフェリイLAG1遺伝子座は、429アミノ酸のピキア・シフェリイLag1pタンパク質をコードする(配列番号2)。ピキア・シフェリイLag1pは、クリュイベロミセス・ラクティスからの予測セラミドシンターゼ(GenBankアクセッション# XP_452132)およびサッカロミセス・セレヴィジエからの予測セラミドシンターゼ(GenBankアクセッション#NC_001143)と、それぞれ64%(80%)および62%(75%)の位置アミノ酸同一性(類似性)を有する。サッカロミセス・セレヴィジエからのLac1pタンパク質は、生化学的に特徴づけされ、in vivoでセラミドシンターゼ活性を示すことが示されている(Schorlingら、Molecular Biology of the Cell,12:3417−3427)。
実施例6
(ピキア・シフェリイのLAF1遺伝子ヌクレオチド配列のクローニングおよび決定)
(ピキア・シフェリイのSSN8遺伝子の内部部分の増幅)
ピキア・シフェリイのLAF1遺伝子(遺伝子名は、サッカロミセス・セレヴィジエにおいて2つのセラミダーゼシンターゼサブユニットをコードする遺伝子名LAC1およびLAG1と類似するよう選択された。これらは、ピキア・シフェリイを含む全ての他の酵母においても存在するLAG1遺伝子の重複の結果である。ピキア・シフェリイを含む他の酵母における第2のセラミダーゼシンターゼは、LAC1およびLAG1のオルソログよりもむしろパラログであり、サッカロミセス・セレヴィジエには明らかに存在しない。したがって、LAF1の表記が選択された。)の内部部分の増幅において、様々なサッカロミセス亜門からのLaf1pタンパク質の多重配列アラインメント由来の縮重オリゴヌクレオチドは機能しなかったため、我々は、ほとんどのサッカロミセス亜門の種において、サイクリンCをコードするSSN8遺伝子がLAF1遺伝子の上流に位置するという事実を利用した。まず、サッカロミセス亜門種からのサイクリンCのアミノ酸配列を、完全および未完成の真核生物ゲノムのNCBIのデータベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/sutils/genom_table.cgi)から、アシュビア・ゴシッピーSsn8p(GenBankアクセッション#AAS51713)を鋳型としてTBLASTN検索を実行することによって、抽出した。ClustalWプログラム(www.ebi.ac.uk/clustalw)を用いて抽出配列(全て<2x10−52のE値を有する)を配置した。ピキア・シフェリイのSSN8遺伝子の内部部分の増幅のために適切なヌクレオチドは、ピキア・シフェリイのコドン使用頻度が高度にバイアスを受けていることを考慮し、Ssn8p配列において高度に保存された一続きのアミノ酸を逆翻訳することにより得られた。その後、MWG Biotech社(独国エーバースベルク所在)が以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
PcSSN8−deg−fw3:
GAA GAA TGT CCW CAA CAT ATH MGW(配列番号3中のnt1−24)
PcSSN8−deg−rv2:
YAA YAA CTG YAA ATC WGT DAT (配列番号3中のnt628−608)
上記オリゴヌクレオチドは、製造元の説明書に従ってPhusion(商標)高忠実度PCRマスターミックス(Finnzymes社、カタログ#F−531L)とともに、Innisら(「PCR protocols.A guide to methods and applications、1990年、Academic Press社)によるPCR反応をセットアップするのに用いた。この方法を適用することによって、393bpの断片を入手できた。製造元の説明書に従ってMinEluteゲル抽出キット(Qiagen社、カタログ#28606)を用いて、この断片を精製した。
(ピキア・シフェリイのSSN8遺伝子の内部部分のDNA配列の決定)
Sangerらが開発したジデオキシ法(Proceedings of the National Academy of Sciences,U.S.A.、74:5463−5467)を用いて、精製PCR産物のDNA配列を決定した。配列決定プライマーとして、PCR増幅に用いたものを使用した。DNA配列決定は、Sequiserve社(独国ファーターシュテッテン所在)により行われた。得られた配列情報(339bp、配列番号3中のnt1−339に対応;図8A)を、クローンマネージャー7ソフトウェア(Scientific&Educational Software)を用いてタンパク質に翻訳し、得られたアミノ酸配列を、NCBIの重複のないタンパク質データベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)によるBLASTP探索の鋳型として用いた。探索の結果、カンジダ・アルビカンスのSsn8p(NCBIアクセッション#EAK97601)が、データベースにおいて新規な配列と最も類似するタンパク質であると同定され、ピキア・シフェリイのSSN8オルソログの部分が実際に増幅されたことが確認された。
(ピキア・シフェリイのLAF1遺伝子の増幅およびそのDNA配列の決定)
保存的構成の場合にはSSN8遺伝子の下流に位置するであろう、ピキア・シフェリイのLAF1遺伝子のDNA配列(コード配列、プロモーター領域および3’−非翻訳領域)を決定するために、逆PCR法に従った。ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031からの染色体DNA(300ng)(実施例4に記載の通りに単離)を、製造元の説明書に従って、全体積50μl中で、HaeIII(New England Biolabs社、カタログ#R0108S)により一晩消化した。製造元の説明書に従ってQIAquickPCR精製キット(Qiagen社、カタログ#28106)を用いて、この消化DNAを精製した。溶出DNA(50μl)を、製造元の説明書に従って、全体積200μl、T4DNAリガーゼ800Uで、T4DNAリガーゼ(New England Biolabs社、カタログ#M0202L)を用いて一晩ライゲーションした。製造元の説明書に従ってQIAquickPCR精製キットを用いて、このライゲートDNAを精製した。溶出物の2.5μlを、Innisら(「PCR protocols.A guide to methods and applications、1990年、Academic Press社)による逆PCR反応の鋳型として用いた。これには、ピキア・シフェリイのSSN8遺伝子の既知の部分に標的化した2つのオリゴヌクレオチドを適用した:
PcSSN8−ds−fw:
GCT GGT CAA TTA TAA ATG ATA GTT ATG (配列番号3中のnt293−319)
PcSSN8−ds−rv:
GTT ATT GCT ATT ATT ATT ATG ATT ATG ACC (配列番号3中のnt240−211)
製造元の説明書に従って、Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックスを用いて増幅を行った。この手順を用いて1.8kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、MinEluteゲル溶出キット(Qiagen社、カタログ#28606)を用いて、この断片を精製した。この断片のDNA配列を、前記のとおり、オリゴヌクレオチドPcSSN8−ds−fwおよびPcSSN8−ds−rvを配列決定プライマーとして用いて決定した。新たに得られた配列情報は、配列番号3中のnt340−1800をカバーした。3’HaeIII部位がLAF1遺伝子と共に位置しているため(図8A)、LAF1遺伝子を完全に増幅することができなかった。ピキア・シフェリイLAF1遺伝子のコード領域の3’末端、およびその3’−非翻訳領域のDNA配列を得るために、別ラウンドの逆PCRを行う必要があった。従って、ピキア・シフェリイ染色体DNAの消化にMph1103I(MBI Fermentas社、カタログ#ER0731)を用い、逆PCR中に、MWG Biotech社(独国エーバースベルク所在)により合成された以下のオリゴヌクレオチドを適用した以外は、上記の実験プロトコルを繰り返した。
PcLAG1−ds−fw:
GTT GGA TCT TGG TTA TAT TAT CAT TCA TC (配列番号3中のnt1738−1766)
PcLAG1−ds−rv:
TGT TCC ATA AAT CTT TGT TTA TCC TTT TGT G (配列番号3中のnt1700−1670)
この手順を用いて2.5kbpのPCR産物を入手した。製造元の説明書に従って、MinElutePCR精製キットを用いて、この断片を精製した。この断片のDNA配列を、実施例5に記載のとおり、オリゴヌクレオチドPcLAg1−ds−fw、PcLAg1−ds−rvおよび
DBo−PcLAG1dsfw2:
TTA AAC CCA AAT AAA CCT GG (配列番号3中のnt2620−2639)
を配列決定プライマーとして用いて決定した。3’ HaeIII部位の下流から次のMph1103I制限部位まで延びる、2396bpの新たな配列情報(配列番号3中のnt1801−4195)を得ることができた(図8B)。記載した3ステップの手順を用いて、全4195bpのピキア・シフェリイLAF1遺伝子座を単離し、そのDNA配列を決定することができた(配列番号3および図8参照)。
図8Cに描かれたピキア・シフェリイLAF1遺伝子座は、385アミノ酸のピキア・シフェリイLaf1pタンパク質をコードする(配列番号4)。ピキア・シフェリイLaf1pは、クリュイベロミセス・ラクティスからの予測セラミドシンターゼ(GenBankアクセッション#XP_452132)およびアシュビア・ゴシッピーからの予測セラミドシンターゼ(GenBankアクセッション#AAS51714)と、それぞれ64%(80%)および65%(79%)の位置アミノ酸同一性(類似性)を有する。
実施例7
(ピキア・シフェリイのYXC1遺伝子ヌクレオチド配列のクローニングおよび決定)
(ピキア・シフェリイのYXC1遺伝子の内部部分の増幅)
まず、サッカロミセス亜門種からの推測セラミダーゼのアミノ酸配列を、完全および未完成の真核生物ゲノムのNCBIのデータベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/sutils/genom_table.cgi)から、アシュビア・ゴシッピーYXC1遺伝子(GenBankアクセッション#NP_986865)を鋳型としてTBLASTN検索を実行することによって、抽出した。このタンパク質は、特徴づけされたサッカロミセス・セレヴィジエからのセラミダーゼYpc1pおよびYdc1pと非常に類似していた(それぞれ43%および44%の位置アミノ酸同一性)(Maoら、2000年、a,b)。したがって、それらはセラミダーゼ活性を有する可能性が非常に高い。ClustalWプログラム(www.ebi.ac.uk/clustalw)を用いて抽出配列(全て<1x10−43のE値を有する)を配置した。ピキア・シフェリイのYXC1遺伝子(遺伝子名は、サッカロミセス・セレヴィジエにおいて2つのセラミダーゼをコードする遺伝子名YPC1およびYDC1と類似するよう選択され、ここで、2番目の文字は、対応する酵素において好ましい基質、フィトセラミドおよびジヒドロセラミドを示す。ピキア・シフェリイを含む他の酵母において存在する単一のセラミダーゼの基質選択性は知られていないため、YXC1とする。)の内部部分の増幅のために適切なヌクレオチドは、ピキア・シフェリイのコドン使用頻度が高度にバイアスを受けていることを考慮し、Yxc1p配列において高度に保存された一続きのアミノ酸を逆翻訳することにより得られた。その後、MWG Biotech社(独国エーバースベルク所在)が以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
ACER−deg−fw:
ATY GAT TGG TGT GAA GAA AAY TAY GT (配列番号7中のnt995−1020)
ACER−deg−rv−L2:
ACC DGT YAA NAH ATG CCA CCA ACC ATG (配列番号7中のnt1633−1607)
上記オリゴヌクレオチドは、製造元の説明書に従ってPhusion(商標)高忠実度PCRマスターミックス(Finnzymes社、カタログ#F−531L)とともに、Innisら(「PCR protocols.A guide to methods and applications、1990年、Academic Press社)によるPCR反応をセットアップするのに用いた。この方法を適用することによって、639bpの断片を入手できた。製造元の説明書に従ってQIAquickゲル抽出キット(Qiagen社、カタログ#28706)を用いて、この断片を精製した。
(ピキア・シフェリイのYXC1遺伝子の内部部分のDNA配列の決定)
Sangerらが開発したジデオキシ法(Proceedings of the National Academy of Sciences,U.S.A.、74:5463−5467)を用いて、精製PCR産物のDNA配列を決定した。配列決定プライマーとして、PCR増幅に用いたものを使用した。DNA配列決定は、Sequiserve社(独国ファーターシュテッテン所在)により行われた。得られた配列情報(639bp、配列番号7中のnt995−1633に対応;図9A)を、クローンマネージャー7ソフトウェア(Scientific&Educational Software)を用いてタンパク質に翻訳し、得られたアミノ酸配列を、NCBIの重複のないタンパク質データベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)によるBLASTP探索の鋳型として用いた。探索の結果、デバリオマイセス・ハンセニイのYxc1p(NCBIアクセッション#XP_457637)が、データベースにおいて新規な配列と最も類似するタンパク質として同定され、ピキア・シフェリイのYXC1オルソログの部分が実際に増幅されたことが確認された。
(ピキア・シフェリイの全YXC1遺伝子の増幅およびそのDNA配列の決定)
ピキア・シフェリイの全YXC1遺伝子(コード配列、プロモーター領域および3’−非翻訳領域)のDNA配列を決定するために、逆PCR法に従った。ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031からの染色体DNA(300ng)(実施例4に記載の通りに単離)を、製造元の説明書に従って、全体積50μl中で、DraI(MBI Fermentas社、カタログ#ER0221)により一晩消化した。製造元の説明書に従ってQIAquickPCR精製キット(Qiagen社、カタログ#28106)を用いて、この消化DNAを精製した。溶出DNA(50μl)を、製造元の説明書に従って、全体積200μl、T4DNAリガーゼ800Uで、T4DNAリガーゼ(New England Biolabs社、カタログ#M0202L)を用いて一晩ライゲーションした。製造元の説明書に従ってQIAquickPCR精製キットを用いて、このライゲートDNAを精製した。溶出物の2.5μlを、Innisら(「PCR protocols.A guide to methods and applications、1990年、Academic Press社)による逆PCR反応の鋳型として用いた。これには、ピキア・シフェリイのYXC1遺伝子の既知の部分に標的化した2つのオリゴヌクレオチドを適用した:
YPC1−IPCR−1−fw:
GCT GGA TTT GCC ATG TTT TCT GC (配列番号7中のnt1082−1104)
YPC1−IPCR−1−rv:
GCT TCT GCA ATA TAT GGA GTC ACA AC (配列番号7中のnt1044−1020)
製造元の説明書に従って、Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックスを用いて増幅を行った。この手順を用いて0.3kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、MinElutePCR精製キット(Qiagen社、カタログ#28006)を用いて、この断片を精製した。この断片のDNA配列を、前記のとおり、オリゴヌクレオチドYPC1−IPCR−1−fwおよびYPC1−IPCR−1−rvを配列決定プライマーとして用いて決定した。新たに得られた配列情報は、配列番号7中のnt795−994をカバーした。3’DraI部位がこの部分のすぐ下流に位置しているため(図9A)、このDNA配列の下流の新規な配列情報は得られなかった。ピキア・シフェリイYXC1遺伝子のコード領域の3’末端、およびその3’−非翻訳領域のDNA配列を得るために、別ラウンドの逆PCRを行う必要があった。従って、ピキア・シフェリイ染色体DNAの消化にSau3AI(New England Biolabs社、カタログ#R0169S)を用い、逆PCR中に、MWG Biotech社(独国エーバースベルク所在)により合成された以下のオリゴヌクレオチドを適用した以外は、上記の実験プロトコルを繰り返した。
PcYPC1−IP−3−fw:
CAT GGT TGG TGG CAT DTN TTY ACH GG (配列番号7中のnt1607−1632)
PcYPC1−IP−3−rv:
CCA GAA AGG AAA ATA CCA ATT CCT TTA ATC ATT G (配列番号7中のnt1512−1479)
この手順を用いて0.4kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、MinElutePCR精製キットを用いて、この断片を精製した。この断片のDNA配列を、前記のとおり、オリゴヌクレオチドPcYPC1−IP−3−fwおよびPcYPC1−IP−3−rvを配列決定プライマーとして用いて決定した。3’DraI部位の下流から次のSau3AI制限部位まで延びる、153bpの新たな配列情報(配列番号7中のnt1634−1787)を得ることができた(図9B)。ピキア・シフェリイYXC1の上流領域について、さらなる情報を得るために、別ラウンドの逆PCRを行う必要があった。従って、ピキア・シフェリイ染色体DNAの消化にBseMI(MBI Fermentas社、カタログ#ER1261)を用い、逆PCR中に、MWG Biotech社(独国エーバースベルク所在)により合成された以下のオリゴヌクレオチドを適用した以外は、上記の実験プロトコルを繰り返した。
PcYXC1−ds−fw:
GGG GAA ACA AGA TGA TTA TGA ATT G (配列番号7中のnt1687−1711)
PcYXC1−ds−rv:
CTA AAC CAG TTA AAA CAT GCC AC (配列番号7中のnt1637−1615)
この手順を用いて1.6kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、MinElutePCR精製キットを用いて、この断片を精製した。この断片のDNA配列を、前記のとおり、オリゴヌクレオチドPcYXC1−ds−fwおよびPcYXC1−ds−rvを配列決定プライマーとして用いて決定した。3’Sau3AI部位の下流から次のBseMI制限部位まで延びる、684bpの新たな配列情報(配列番号7中のnt1788−2466)を得ることができた(図9C)。ピキア・シフェリイYXC1の上流領域について、さらなる情報を得るために、別ラウンドの逆PCRを行う必要があった。従って、ピキア・シフェリイ染色体DNAの消化にAvrII(New England Biolabs社、カタログ#R0174S)を用い、逆PCR中に、MWG Biotech社(独国エーバースベルク所在)により合成された以下のオリゴヌクレオチドを適用した以外は、上記の実験プロトコルを繰り返した。
PcYXC1−ds−fw2:
GGA GAG TTC ACG TAG TTT AGG AG (配列番号7中のnt2417−2439)
PcYXC1−ds−rv2:
GGA GTA TGA ATA CAT TGA TCC GAT AAT G (配列番号7中のnt2358−2331)
この手順を用いて5.5kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、PCR精製キットを用いて、この断片を精製した。この断片のDNA配列の一部を、前記のとおり、オリゴヌクレオチドPcYXC1−ds−fw2を配列決定プライマーとして用いて決定した。937bpの新たな配列情報(配列番号7中のnt2467−3402)を得ることができた(図9D)。ピキア・シフェリイYXC1の下流領域について、さらなる情報を得るために、別ラウンドの逆PCRを行う必要があった。従って、ピキア・シフェリイ染色体DNAの消化にPagI(MBI Fermentas社、カタログ##ER1281)を用い、逆PCR中に、MWG Biotech社(独国エーバースベルク所在)により合成された以下のオリゴヌクレオチドを適用した以外は、上記の実験プロトコルを繰り返した。
PcYXC1−us−fw:
GGA TAA TCA GTT TAC CAT CAA AAG (配列番号7中のnt831−854)
PcYXC1−us−rv:
TAT TGA TAA ACA ATT GAT ATT AGA TTA G (配列番号7中のnt830−803)
この手順を用いておよそ4.0kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、MinElutePCR精製キットを用いて、この断片を精製した。この断片のDNA配列の一部を、前記のとおり、オリゴヌクレオチドPcYXC1−us−rvを配列決定プライマーとして用いて決定した。794bpの新たな配列情報(配列番号7中のnt1−794)を得ることができた(図9E)。
記載した6ステップの手順を用いて、全3402bpのピキア・シフェリイYXC1遺伝子座を単離し、そのDNA配列を決定することができた(配列番号7および図9参照)。
図9Fに描かれたピキア・シフェリイYXC1遺伝子座は、284アミノ酸のピキア・シフェリイYxc1pタンパク質をコードする(配列番号8)。ピキア・シフェリイYxc1pは、デバリオマイセス・ハンセニイからの予測セラミダーゼ(GenBankアクセッション#XP_457637)およびサッカロミセス・セレヴィジエからの予測セラミダーゼ(GenBankアクセッション#NP_015238)と、それぞれ61%(75%)および46%(66%)の位置アミノ酸同一性(類似性)を有する。サッカロミセス・セレヴィジエからのYdc1pタンパク質は、生化学的に特徴づけされ、in vivoでセラミダーゼ活性を示すことが示されている(Maoら、The Journal of Biological Chemistry,275:31369−31378)。
実施例8
(ピキア・シフェリイのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼ遺伝子ヌクレオチド配列のクローニングおよび決定)
(ピキア・シフェリイのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼ遺伝子の内部部分の増幅)
まず、サッカロミセス亜門種からの推測スフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼのアミノ酸配列を、完全および未完成の真核生物ゲノムのNCBIのデータベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/sutils/genom_table.cgi)から、アシュビア・ゴシッピーのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼ(GenBankアクセッション#AAS53293)を鋳型としてTBLASTN検索を実行することによって、抽出した。このタンパク質は、特徴づけされたクリュイベロミセス・ラクティスからのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼと非常に類似していた(それぞれ65%および59%の位置アミノ酸同一性)(Takakuwaら、2002年)。したがって、スフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼ活性を有する可能性が非常に高い。ClustalWプログラム(www.ebi.ac.uk/clustalw)を用いて抽出配列(全て<7x10−121のE値を有する)を配置した。ピキア・シフェリイのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼ遺伝子の内部部分の増幅のために適切なヌクレオチドは、ピキア・シフェリイのコドン使用頻度が高度にバイアスを受けていることを考慮し、スフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼ配列において高度に保存された一続きのアミノ酸を逆翻訳することにより得られた。その後、MWG Biotech社(独国エーバースベルク所在)が以下のオリゴヌクレオチドを合成した。
D8DES−fw:
5’-GAT GCW ACH GAT GAA ATG MAY GCW TAY C-3’ (配列番号5中のnt2439−2466)
D8DES−rv:
5’-TTG RAA TTG YAA ACC ACC RTG NAA RAA ATC YAA CC-3’ (配列番号5中のnt3839−3805)
上記オリゴヌクレオチドは、製造元の説明書に従ってPhusion(商標)高忠実度PCRマスターミックス(Finnzymes社、カタログ#F−531L)とともに、Innisら(「PCR protocols.A guide to methods and applications、1990年、Academic Press社)によるPCR反応をセットアップするのに用いた。この方法を適用することによって、1401bpの断片を入手できた。製造元の説明書に従ってQIAquickゲル抽出キット(Qiagen社、カタログ#28706)を用いて、この断片を精製した。
(ピキア・シフェリイの8DES遺伝子の内部部分のDNA配列の決定)
Sangerらが開発したジデオキシ法(Proceedings of the National Academy of Sciences,U.S.A.、74:5463−5467)を用いて、精製PCR産物のDNA配列を決定した。配列決定プライマーとして、PCR増幅に用いたものを使用した。DNA配列決定は、Sequiserve社(独国ファーターシュテッテン所在)により行われた。得られた配列情報(1401bp、配列番号5中のnt2439−3839に対応;図10A)を、クローンマネージャー7ソフトウェア(Scientific&Educational Software)を用いてタンパク質に翻訳し、得られたアミノ酸配列を、NCBIの重複のないタンパク質データベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)によるBLASTP探索の鋳型として用いた。探索の結果、クリュイベロミセス・ラクティスのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼ(NCBIアクセッション#XP_454832)が、データベースにおいて新規な配列と最も類似するタンパク質として「同定され、ピキア・シフェリイのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼをコードするオルソログの部分が実際に増幅されたことが確認された。
(ピキア・シフェリイの全スフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼ遺伝子の増幅およびそのDNA配列の決定)
ピキア・シフェリイの全スフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼ遺伝子(コード配列、プロモーター領域および3’−非翻訳領域)のDNA配列を決定するために、逆PCR法に従った。ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031からの染色体DNA(300ng)(実施例4に記載の通りに単離)を、製造元の説明書に従って、全体積50μl中で、HpyCH4V(New England Biolabs社、カタログ#R0620S)により一晩消化した。製造元の説明書に従ってQIAquickPCR精製キット(Qiagen社、カタログ#28106)を用いて、この消化DNAを精製した。溶出DNA(50μl)を、製造元の説明書に従って、全体積200μl、T4DNAリガーゼ800Uで、T4DNAリガーゼ(New England Biolabs社、カタログ#M0202L)を用いて一晩ライゲーションした。製造元の説明書に従ってQIAquickPCR精製キットを用いて、このライゲートDNAを精製した。溶出物の2.5μlを、Innisら(「PCR protocols.A guide to methods and applications、1990年、Academic Press社)による逆PCR反応の鋳型として用いた。これには、ピキア・シフェリイのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼ遺伝子の既知の部分に標的化した2つのオリゴヌクレオチドを適用した:
D8DES−IPCR−1−fw:
GGT GGG AAG TTC AGA ACT TTA GAA G (配列番号5中のnt2553−2577)
D8DES−IPCR−1−rv:
TTG AAT AGG CGG CAC AAA ATT GAT CC (配列番号5中のnt2552−2527)
製造元の説明書に従って、Phusion(商標)高忠実度PCRマスターミックスを用いて増幅を行った。この手順を用いて0.6kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、MinElutePCR精製キット(Qiagen社、カタログ#28006)を用いて、この断片を精製した。この断片のDNA配列を、前記のとおり、オリゴヌクレオチドD8DES−IPCR−1−fw、D8DES−IPCR−1−rvを配列決定プライマーとして用いて決定した。新たに得られた配列情報は、配列番号5中のnt2142−2438をカバーした。ピキア・シフェリイのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼをコードする遺伝子の上流領域のさらなる情報を得るために、別ラウンドの逆PCRを行う必要があった。従って、ピキア・シフェリイ染色体DNAの消化にVspI(MBI Fermentas社、カタログ#ER0911)を用い、逆PCR中に、MWG Biotech社(独国エーバースベルク所在)により合成された以下のオリゴヌクレオチドを適用した以外は、上記の実験プロトコルを繰り返した。
PcD8DIPCR−US−fw:
GGG TCC TGT TGA AAA AAG CTA GG (配列番号5中のnt2229−2251)
PcD8DIPCR−US−rv:
CCA ACT GCT GGT TCA CCA AAA TAG (配列番号5中のnt2211−2188)
この手順方法を用いて3.4kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、MinElutePCR精製キットを用いて、この断片を精製した。この断片のDNA配列を、前記のとおり、オリゴヌクレオチドPcD8DIPCR−US−fw;PcD8DIPCR−US−rv;
DBo−PcD8D−us−fw2:
TTA AAT GGT ATT TCC TTA GTG C (配列番号5中のnt3109−3130)および
DBo−PcD8D−us−rv2:
GAT TCA TCT TCC ATT ATC ATC TC (配列番号5中のnt1343−1321)
を配列決定プライマーとして用いて決定した。3’VspI部位の上流から次のVspI制限部位まで延びる、2141bpの新たな配列情報(配列番号5中のnt1−2141)を得ることができた(図10B)。3’VspI部位がこの部分のすぐ下流に位置しているため(図10B)、このDNA配列の下流の新規な配列情報は得られなかった。ピキア・シフェリイのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼをコードする遺伝子のコード領域の3’末端、およびその3’−非翻訳領域のDNA配列を得るために、別ラウンドの逆PCRを行う必要があった。従って、ピキア・シフェリイ染色体DNAの消化にPagI(MBI Fermentas社、カタログ#ER1281)を用い、逆PCR中に、MWG Biotech社(独国エーバースベルク所在)により合成された以下のオリゴヌクレオチドを適用した以外は、上記の実験プロトコルを繰り返した。
PcD8D−ds−fw:
AAA TAA GAA CAA CAA TGG AAT GTT G (配列番号5中のnt3769−3793)
PcD8D−ds−rv:
CTT TCT GAA GTT CCT AAA TCT G (配列番号5中のnt3754−3733)
この手順を用いて1.8kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、MinElutePCR精製キットを用いて、この断片を精製した。この断片のDNA配列を、前記のとおり、オリゴヌクレオチドPcD8D−ds−fwおよびPcD8D−ds−rvを配列決定プライマーとして用いて決定した。3’VspI部位の下流から次のPagI制限部位まで延びる、1312bpの新たな配列情報(配列番号5中のnt3840−5106)を得ることができた(図10C)。記載した4ステップの手順を用いて、全5106bpのピキア・シフェリイのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼをコードする遺伝子座を単離し、そのDNA配列を決定することができた(配列番号5および図10参照)。
図10Dに描かれたピキア・シフェリイ遺伝子座は、597アミノ酸のピキア・シフェリイのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼPc8Despタンパク質をコードする(配列番号6)。ピキア・シフェリイのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼPc8Despは、クリュイベロミセス・ラクティスからのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼ(GenBankアクセッション#XP_454832)およびデバリオマイセス・ハンセニイからのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼ(GenBankアクセッション#XP_461611)と、それぞれ62%(74%)および57%(70%)の位置アミノ酸同一性(類似性)を有する。クリュイベロミセス・ラクティスからのスフィンゴ脂質Δ8デサチュラーゼ8Despタンパク質は、生化学的に特徴づけされ、in vivoでスフィンゴ脂質Δ8−デルタ(8)−スフィンゴ脂質デサチュラーゼ活性を示すことが示されている(Takakuwaら、Current Microbiology,45:459−461)。
実施例9
(ピキア・シフェリイ酵素Lag1p、Laf1pおよびDes1pを同時に過剰生産するピキア・シフェリイ変異体の構築)
ピキア・シフェリイ酵素Lag1p、Laf1pおよびDes1pを過剰発現するシリンゴマイシンE耐性変異体を構築するために、我々はまず組込みDES1発現ベクターを構築した。
このために、ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031からの染色体DNA(200ng)(実施例4に記載の通りに単離)を、Innisら(「PCR protocols.A guide to methods and applications、1990年、Academic Press社)によるPCRの鋳型として用い、P.シフェリイのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(TDH1)プロモーター領域を増幅した。これには以下のオリゴヌクレオチドを適用した。
pGAP−BglII−for:
5'-TAT ATA AGA TCT GTG GTA CCT ACA TAC AAT TGA CCC-3' (5’末端に、BglII認識配列を含む)
pGAP−NcoI−rev:
5'-TAT ATA CCA TGG TTA ATT AAT TAT TTG TTT GTT TG-3' (5’末端に、NcoI認識配列を含む)
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。PCR産物をBglIIおよびNcoIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って、)、575bp断片を得た。これを、それぞれ切断pAG25(Goldsteinら、Three new dominant gene disruption cassettes for gene disruption in Saccharomyces cerevisiae,1999年,Yeast)にライゲートし、nat1に縮合したP.シフェリイのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(TDH3)のプロモーター領域を有するベクターpTH−GAP−nat1(3892bp)を生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ベクターへの組み込み部位としての遺伝子間スペーサーの挿入のために、ピキア・シフェリイのリボゾームRNAオペロンの5S−26S rDNA遺伝子間スペーサー(IS)をPCRによって増幅した。ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031の染色体DNA(200ng)鋳型として、以下のオリゴヌクレオチドを用いた。
pIS−NdeI−for:
5'-TAT ATA CAT ATG CTA ATC ACA ACA GAA CAT TCT CTA ACG-3' (5’末端に、NdeI認識配列を含む)
pIS−NdeI−rev:
5'-TAT ATA CAT ATG GCT AGA TTG ACA GAA GTC GAT CAG-3' (5’末端に、NdeI認識配列を含む)
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。ベクターpTH−GAP−nat1およびPCR産物を、Ndelで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、続いてライゲーションによって、ベクターpTH−GAP−nat1−IS2(4864bp)を生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ベクターpTH−GAP−nat1−IS2の直線化のために単一のPmeI認識配列を挿入する目的で、ベクターpTH−GAP−nat1−IS2を鋳型として用いて、pTH−GAP−nat1−IS2に組み込まれたピキア・シフェリイのリボゾームRNAオペロンの5S−26S rDNA遺伝子間スペーサー(IS)の2つの断片を、PCRによって増幅した。断片1は、オリゴヌクレオチド:
pIS−NdeI−rev:
5'-TAT ATA CAT ATG GCT AGA TTG ACA GAA GTC GAT CAG-3' (5’末端に、NdeI認識配列を含む)
PmeI−rv:
5'-CCC ATC CAC TAA GTT TAA ACA CCC ATA CAA AAT CGA GCT TCA AAT C-3' (5’末端に、PmeI−fw−オリゴヌクレオチドに対する21bpの相補配列およびPmeI認識配列を含む)
を用いて増幅した。
断片2は、オリゴヌクレオチド:
p−IS−NdeI−for:
5'-TAT ATA CAT ATG CTA ATC ACA ACA GAA CAT TCT CTA ACG-3' (5’末端に、NdeI認識配列を含む)
PmeI−fw:
5'-TGT TTA AAC TTA GTG GAT GGG AAA CCC TGT AGA ACT GGG ACA AAC-3'
を用いて増幅した。
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、2つの一次PCR産物各10ngを鋳型として、オリゴヌクレオチド:
p−IS−NdeI−for:
5'-TAT ATA CAT ATG CTA ATC ACA ACA GAA CAT TCT CTA ACG-3' (5’末端に、NdeI認識配列を含む)
pIS−NdeI−rev:
5'-TAT ATA CAT ATG GCT AGA TTG ACA GAA GTC GAT CAG-3' (5’末端に、NdeI認識配列を含む)
とともにPCRをセットアップすることによって、断片の、両端にNdel認識配列を有し、中間にPmeI認識配列を有する、978bp断片が生成し、断片1および2の縮合物が得られた。
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。PCR産物およびベクターpTH−GAP−nat1−IS2を、NdeIで切断した(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)。ライゲーションを行い、ベクターpTH−GAP−nat1−IS2−PmeI(4879bp)が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。ピキア・シフェリイのピルベートデヒドロゲナーゼサブユニットA遺伝子(PDA1)のプロモーター領域の制御下、ピキア・シフェリイのDES1遺伝子を導入するために、ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031からの染色体DNA(200ng)をPCRの鋳型として用い、以下のオリゴヌクレオチド:
DES1−fw:
5'-TAG AAG TTC CAG AAA CTA CTT TCC AAA CTT CAA AAT CAA CTT TAT TAT CAA TGG CTA CAA TTA CAC ATA GAA AAA ACC CTT CAC AAC-3' (5’末端に、PDA1−rv−オリゴヌクレオチドに対する50塩基の相補配列を含む)
DES1−rv:
5'-TAT ACT GCA GGC ATA TTG TCA ATT CTA TTG TAC TTG AGT ATT AAT GAT TA-3' (5’末端に、PstI認識配列を含む)
とともに、DES1遺伝子を増幅した。
これにより、ピキア・シフェリイのピルベートデヒドロゲナーゼサブユニットA遺伝子の(PDA1)プロモーター領域が、以下のオリゴヌクレオチドとともに増幅された。
PDA1−fw:
5'-TAT ACT GCA GTG TGC TCT AAA TTT GCC CGG TTC GCG ACG-3' (5’末端に、PstI認識配列を含む)
PDA1−rv:
5'-TGA TAA TAA AGT TGA TTT TGA AGT TTG GAA AGT AGT TTC TGG AAC TTC TA-3'
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、ピキア・シフェリイのDES1遺伝子およびPDA1プロモーター領域を含む2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
PDA1−fw:
5'-TAT ACT GCA GTG TGC TCT AAA TTT GCC CGG TTC GCG ACG-3' (5’末端に、PstI認識配列を含む)
DES1−rv:
5'-TAT ACT GCA GGC ATA TTG TCA ATT CTA TTG TAC TTG AGT ATT AAT GAT TA-3' (5’末端に、PstI認識配列を含む)
とともにPCRをセットアップすることによって、DES1遺伝子およびPDA1プロモーター領域の縮合物が得られた。
この手順を用いて、2.2kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。PCR産物を、制限エンドヌクレアーゼPstIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、PstI切断ベクターpTH−GAP−nat1−IS2−PmeIにライゲーションを行い、ベクターpTH/DB−002a.1.が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ヌーセオスリシン(nourseothricin)耐性カセットをシクロヘキシミド耐性付与カセットによって置換するために、ベクターpTH/DB−002a.1を、SacIおよびSalIによる消化に供した(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)。ヌーセオスリシン耐性カセットを有さない5667bpベクターバックボーンを、製造元の説明書に従って、QIAquickゲル抽出キットを用いてゲル精製した。
シクロヘキシミド耐性付与カセットを生成するために、ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031のゲノムDNAを鋳型として用い、PCRによって2つの断片を増幅した。断片1は、オリゴヌクレオチド:
PcL41−SalI−fw:
5'-TAT AGT CGA CGA ATT CTC TTA AAT GAT GTT GG-3'(5’末端に、SalI認識配列を含む)
PcL41−internal−rv:
5'-GTT TTA GCT TTT TTA TGG AAA ACT tGT TTG GTT TGA CCA CCG TAA CCG G-3'(5’末端に、PcL41−内部−fw−オリゴヌクレオチドに対する49塩基の相補配列を含み、点変異の変異(CからA)を挿入してL41pのaa56をプロリンからグルタミンへ置換してシクロヘキシミド耐性を付与する)
を用いて増幅した。
断片2は、オリゴヌクレオチド:
PcL41−internal−fw:
5'-CCG GTT ACG GTG GTC AAA CCA AAC aAG TTT TCC ATA AAA AAG CTA AAA CTA CCA AAA AAG TTG TTT TAC G-3'
PcL41−SacI−rv:
5'-TAT AGA GCT CAA TTC CAA TGT TTT GAT CTG TC-3'(5’末端に、SacI認識配列を含む)
を用いて増幅した。
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
PcL41−SalI−fw:
5'-TAT AGT CGA CGA ATT CTC TTA AAT GAT GTT GG-3'(5’末端に、SalI認識配列を含む)
PcL41−SacI−rv:
5'-TAT AGA GCT CAA TTC CAA TGT TTT GAT CTG TC-3'(5’末端に、SacI認識配列を含む)
によりPCRをセットアップすることによって、2つの断片の縮合物が得られた。
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、得られた1.9kbp断片を精製した。PCR産物を、制限エンドヌクレアーゼSalIおよびSacIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、ベクターpTH/DB−002a.1の5667bpベクターバックボーンにライゲーションを行い(上記を参照)、ベクターpDB007が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ピキア・シフェリイのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼアイソザイム1(TDH1)のプロモーター領域の制御下でピキア・シフェリイのLAF1遺伝子を導入するために、ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031の染色体DNA(200ng)を鋳型として用い、以下のオリゴヌクレオチド:
PcLAG1−fw:
5'-CAA ACA AAC AAA CAA ATA ATT AAT TAA CAA TGA TTT CAA CTT CAA CAA ATT CAT CAT C-3'(5’末端に、PGAP−rv−オリゴヌクレオチドに対する29塩基の相補配列を含む)
PcLAG1−rv:
5'-CAG ACA AGT TTA ATA TAG ATA CTT AAA C-3'
とともにPCRによりLAF1遺伝子を増幅した。
これにより、ピキア・シフェリイのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼアイソザイム1(TDH1)のプロモーター領域が、以下のオリゴヌクレオチドとともに増幅された。
PGAP−SbfI:
5'-TAT ATA CCT GCA GGT TAC CCA GTG GTA CCT ACA TAC-3'(5’末端に、SbfI認識配列を含む)
PGAP−rv:
5'-CAT TGT TAA TTA ATT ATT TGT TTG TTT GTT TG-3'
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、ピキア・シフェリイのLAF1遺伝子およびTDH1プロモーター領域を含む2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
PGAP−SbfI:
5'-TAT ATA CCT GCA GGT TAC CCA GTG GTA CCT ACA TAC-3' (5’末端に、SbfI認識配列を含む)
PcLAG1−rv:
5'-CAG ACA AGT TTA ATA TAG ATA CTT AAA C-3'
によりPCRをセットアップすることによって、LAF1遺伝子およびTDH1プロモーター領域の縮合物が得られた。
この手順を用いて1.9kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。PCR産物を、制限エンドヌクレアーゼSbfIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、SalIにより消化したベクターpDB007(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)にライゲーションを行い、次いで、DNAポリメラーゼIによりクレノーフィルインを行い(製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、SbfIにより消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、ベクターpPC−DES1−PcLAF1が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ピキア・シフェリイのピルベートデヒドロゲナーゼサブユニットA遺伝子(PDA1)のプロモーター領域の制御下、ピキア・シフェリイのLAG1遺伝子を導入するために、ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031の染色体DNA(200ng)をPCRの鋳型として用い、以下のオリゴヌクレオチド:
PcLAC1−fw:
5'-GAA ACT ACT TTC CAA ACT TCA AAA TCA ACT TTA TTA TCA ATG TCC ACT TCC AGA CCA CAG-3'(5’末端に、PPDA−rv−オリゴヌクレオチドに対する39塩基の相補配列を含む)
PcLAC1−BsiWI−rv:
5'-TAT ACG TAC GTG GTA CAT ACG ATA TAA TCC ATG TAG-3'(5’末端に、BsiWI認識配列を含む)
とともに、LAG1遺伝子を増幅した。
これにより、ピキア・シフェリイのピルベートデヒドロゲナーゼサブユニットA遺伝子(PDA1)のプロモーター領域が、以下のオリゴヌクレオチドとともに増幅された。
PPDA−BsiWI−fw−new:
5'-TAT ACG TAC GGA CGC ACC GGC CAT TTT CAA AC-3'(5’末端に、BsiWI認識配列を含む)
PPDA−rv:
5'- CAT TGA TAA TAA AGT TGA TTT TGA AGT TTG GAA AGT AGT TTC-3'
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、ピキア・シフェリイのLAG1遺伝子およびPDA1プロモーター領域を含む2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
PPDA−BsiWI−fw−new:
5'-TAT ACG TAC GGA CGC ACC GGC CAT TTT CAA AC-3'(5’末端に、BsiWI認識配列を含む)
PcLAC1−BsiWI−rv:
5'-TAT ACG TAC GTG GTA CAT ACG ATA TAA TCC ATG TAG-3'(5’末端に、BsiWI認識配列を含む)
によりPCRをセットアップすることによって、LAG1遺伝子およびPDA1プロモーター領域の縮合物が得られた。
この手順を用いて2.2kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。PCR産物を、制限エンドヌクレアーゼBsiWIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、BsiWI切断ベクターpPC−DES1−PcLAF1にライゲーションを行い、図12に示すベクターpPC−DES1−PcLAF1−PcLAG1が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ベクターpPC−DES1−PcLAF1−PcLAG1をPmeIで直線化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。
実施例10
(ピキア・シフェリイ酵素Des1pおよびLaf1p、アシュビア・ゴシッピー酵素Laf1pおよびLag1p、ならびにマウスのアルカリ性セラミダーゼを、シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体中で同時に過剰生産するためのプラスミドの構築)
ピキア・シフェリイ酵素Des1pおよびLaf1p、アシュビア・ゴシッピー酵素Laf1pおよびLag1p、ならびにマウスのアルカリ性セラミダーゼのコドン最適化形態を過剰生産するシリンゴマイシンE耐性変異体を構築するために、まず組込みDES1発現ベクターを設計した。
このために、ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031からの染色体DNA(200ng)を、Innisら(「PCR protocols.A guide to methods and applications、1990年、Academic Press社)によるPCRの鋳型として用い、P.シフェリイのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(TDH1)(GenBankアクセッション#AF053300)のプロモーター領域を増幅した。これには以下のオリゴヌクレオチドを適用した。
pGAP−BglII−for:
5'-TAT ATA AGA TCT GTG GTA CCT ACA TAC AAT TGA CCC-3'(5’末端に、BglII認識配列を含む)
pGAP−NcoI−rev:
5'-TAT ATA CCA TGG TTA ATT AAT TAT TTG TTT GTT TG-3'(5’末端に、NcoI認識配列を含む)
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。PCR産物をBglIIおよびNcoIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って、)、575bp断片を得た。これを、それぞれ切断pAG25(Goldsteinら、Three new dominant gene disruption cassettes for gene disruption in Saccharomyces cerevisiae,1999年,Yeast)にライゲートし、nat1に縮合したP.シフェリイのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼのプロモーター領域(TDH3)を有するベクターpTH−GAP−nat1(3892bp)を生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ベクターへの組み込み部位としてのリボゾームrDNA遺伝子間スペーサーの挿入のために、ピキア・シフェリイのリボゾームRNAオペロン(GenBankアクセッション#AF053301)の5S−26S rDNA遺伝子間スペーサー(IS)をPCRによって増幅した。ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031の染色体DNA(200ng)鋳型として、以下のオリゴヌクレオチドを用いた。
pIS−NdeI−for:
5'-TAT ATA CAT ATG CTA ATC ACA ACA GAA CAT TCT CTA ACG-3' (5’末端に、NdeI認識配列を含む)
pIS−NdeI−rev:
5'-TAT ATA CAT ATG GCT AGA TTG ACA GAA GTC GAT CAG-3' (5’末端に、NdeI認識配列を含む)
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。ベクターpTH−GAP−nat1およびPCR産物を、Ndelで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、続いてライゲーションを行い、ベクターpTH'GAP−nat1−IS2(4864bp)が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ベクターpTH−GAP−nat1−IS2の直線化のために単一のPmeI認識配列を挿入する目的で、ベクターpTH−GAP−nat1−IS2を鋳型として用いて、pTH−GAP−nat1−IS2に組み込まれたピキア・シフェリイのリボゾームRNAオペロン(GenBankアクセッション#AF053301)の5S−26S rDNA遺伝子間スペーサー(IS)の2つの断片を、PCRによって増幅した。断片1は、オリゴヌクレオチド:
pIS−NdeI−rev:
5'-TAT ATA CAT ATG GCT AGA TTG ACA GAA GTC GAT CAG-3'(5’末端に、NdeI認識配列を含む)
PmeI−rv:
5'-CCC ATC CAC TAA GTT TAA ACA CCC ATA CAA AAT CGA GCT TCA AAT C-3'(5’末端に、PmeI−fw−オリゴヌクレオチドに対する21bpの相補配列およびPmeI認識配列を含む)
を用いて増幅した。
断片2は、オリゴヌクレオチド:
p−IS−NdeI−for:
5'-TAT ATA CAT ATG CTA ATC ACA ACA GAA CAT TCT CTA ACG-3'(5’末端に、NdeI認識配列を含む)
PmeI−fw:
5'-TGT TTA AAC TTA GTG GAT GGG AAA CCC TGT AGA ACT GGG ACA AAC-3'
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、2つの一次PCR産物各10ngを鋳型として、オリゴヌクレオチド:
p−IS−NdeI−for:
5'-TAT ATA CAT ATG CTA ATC ACA ACA GAA CAT TCT CTA ACG-3'(5’末端に、NdeI認識配列を含む)
pIS−NdeI−rev:
5'-TAT ATA CAT ATG GCT AGA TTG ACA GAA GTC GAT CAG-3'(5’末端に、NdeI認識配列を含む)
とともにPCRをセットアップすることによって、断片の両端にNdel認識配列を有し、中間にPmeI認識配列を有する、978bp断片が生成し、断片1および2の縮合物が得られた。
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。PCR産物およびベクターpTH−GAP−nat1−IS2を、NdeIで切断した(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)。ライゲーションを行い、ベクターpTH−GAP−nat1−IS2−PmeI(4879bp)が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ピキア・シフェリイのピルベートデヒドロゲナーゼサブユニットA遺伝子(PDA1)のプロモーター領域(配列番号27)の制御下、ピキア・シフェリイのDES1遺伝子(配列番号26)を導入するために、ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031の染色体DNA(200ng)をPCRの鋳型として用い、以下のオリゴヌクレオチド:
DES1−fw:
5'-TAG AAG TTC CAG AAA CTA CTT TCC AAA CTT CAA AAT CAA CTT TAT TAT CAA TGG CTA CAA TTA CAC ATA GAA AAA ACC CTT CAC AAC-3'(5’末端に、PDA1−rv−オリゴヌクレオチドに対する50塩基の相補配列を含む)
DES1−rv:
5'-TAT ACT GCA GGC ATA TTG TCA ATT CTA TTG TAC TTG AGT ATT AAT GAT TA-3'(5’末端に、PstI認識配列を含む)
とともに、DES1遺伝子(配列番号26)を増幅した。
これにより、ピキア・シフェリイのピルベートデヒドロゲナーゼサブユニットA遺伝子の(PDA1)プロモーター領域(配列番号27)が、以下のオリゴヌクレオチドとともに増幅された。
PDA1−fw:
5'-TAT ACT GCA GTG TGC TCT AAA TTT GCC CGG TTC GCG ACG-3'(5’末端に、PstI認識配列を含む)
PDA1−rv:
5'-TGA TAA TAA AGT TGA TTT TGA AGT TTG GAA AGT AGT TTC TGG AAC TTC TA-3'
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、ピキア・シフェリイのDES1遺伝子およびPDA1プロモーター領域を含む2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
PDA1−fw:
5'-TAT ACT GCA GTG TGC TCT AAA TTT GCC CGG TTC GCG ACG-3'(5’末端に、PstI認識配列を含む)
DES1−rv:
5'-TAT ACT GCA GGC ATA TTG TCA ATT CTA TTG TAC TTG AGT ATT AAT GAT TA-3'(5’末端に、PstI認識配列を含む)
によりPCRをセットアップすることによって、DES1遺伝子およびPDA1プロモーター領域の縮合物が得られた。
この手順を用いて2.2kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。次いでPCR産物を、制限エンドヌクレアーゼPstIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、PstI切断ベクターpTH−GAP−nat1−IS2−PmeIにライゲーションを行い、ベクターpTH/DB−002a.1が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ヌーセオスリシン耐性カセットをシクロヘキシミド耐性付与カセットによって置換するために、ベクターpTH/DB−002a.1を、SacIおよびSalIで消化した(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)。ヌーセオスリシン耐性カセットを有さない5667bpベクターバックボーンを、製造元の説明書に従って、QIAquickゲル抽出キットを用いてゲル精製した。
シクロヘキシミド耐性付与カセットを生成するために、ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031のゲノムDNAを鋳型として用い、ピキア・シフェリイL41遺伝子(GenBankアクセッション#AF053457)の2つの断片をPCRによって増幅した。断片1は、オリゴヌクレオチド:
PcL41−SalI−fw:
5'-TAT AGT CGA CGA ATT CTC TTA AAT GAT GTT GG-3'(5’末端に、SalI認識配列を含む)
PcL41−internal−rv:
5'-GTT TTA GCT TTT TTA TGG AAA ACT tGT TTG GTT TGA CCA CCG TAA CCG G-3'(5’末端に、PcL41−内部−fw−オリゴヌクレオチドに対する49塩基の相補配列を含み、点変異の変異(CからA)を挿入してL41pのaa56をプロリンからグルタミンへ置換してシクロヘキシミド耐性を付与する)
断片2は、オリゴヌクレオチド:
PcL41−internal−fw:
5'-CCG GTT ACG GTG GTC AAA CCA AAC AAG TTT TCC ATA AAA AAG CTA AAA CTA CCA AAA AAG TTG TTT TAC G-3'
PcL41−SacI−rv:
5'-TAT AGA GCT CAA TTC CAA TGT TTT GAT CTG TC-3'(5’末端に、SacI認識配列を含む)
を用いて増幅した。
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
PcL41−SalI−fw:
5'-TAT AGT CGA CGA ATT CTC TTA AAT GAT GTT GG-3' (5’末端に、SalI認識配列を含む)
PcL41−SacI−rv:
5'-TAT AGA GCT CAA TTC CAA TGT TTT GAT CTG TC-3'(5’末端に、SacI認識配列を含む)
によりPCRをセットアップすることによって、2つの断片の縮合物が得られた。
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、得られた1.9kbp断片を精製した。PCR産物を、制限エンドヌクレアーゼSalIおよびSacIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、ベクターpTH/DB−002a.1の5667bpベクターバックボーンにライゲーションを行い(上記を参照)、ベクターpDB007が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ピキア・シフェリイのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼアイソザイム1(TDH1)のプロモーター領域(GenBankアクセッション#AF053300)の制御下でアシュビア・ゴシッピーのLAF1遺伝子(配列番号13)を導入するために、アシュビア・ゴシッピーATCC19895の染色体DNA(200ng)を鋳型として用い、以下のオリゴヌクレオチド:
AgLAG1−fw:
5'-CAA ACA AAC AAA CAA ATA ATT AAT TAA CAA TGT CGG GCC AAG TCA GGC AG-3'(5’末端に、オリゴヌクレオチドPGAP−rvに相補的な32塩基配列を含む)
AgLAG1−rv:
5'-CAT TAC CGA TCA CCA GGT AGG-3'
とともにPCRによりLAF1遺伝子(配列番号13)を増幅した。
これにより、ピキア・シフェリイのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼアイソザイム1(TDH1)のプロモーター領域(GenBankアクセッション#AF053300)が、以下のオリゴヌクレオチドとともに増幅された。
PGAP−SbfI:
5'-TAT ATA CCT GCA GGT TAC CCA GTG GTA CCT ACA TAC-3'(5’末端に、SbfI認識配列を含む)
PGAP−rv:
5'-CAT TGT TAA TTA ATT ATT TGT TTG TTT GTT TG-3'
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、アシュビア・ゴシッピーのLAF1遺伝子およびピキア・シフェリイのTDH1プロモーター領域を含む2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
PGAP−SbfI:
5'-TAT ATA CCT GCA GGT TAC CCA GTG GTA CCT ACA TAC-3'(5’末端に、SbfI認識配列を含む)
AgLAG1−rv:
5'-CAT TAC CGA TCA CCA GGT AGG-3'
によりPCRをセットアップすることによって、LAF1遺伝子およびTDH1プロモーター領域の縮合物が得られた。
この手順を用いて1.8kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。PCR産物を、制限エンドヌクレアーゼSbfIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、SalIにより消化したベクターpDB007(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)にライゲーションを行い、次いで、DNAポリメラーゼIのクレノー断片によりクレノーフィルインを行い(製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、SbfIにより消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、Schwalbach、独国の説明書に従って)、ベクターpPC−DES1−AgLAF1が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ピキア・シフェリイのピルベートデヒドロゲナーゼサブユニットA遺伝子(PDA1)のプロモーター領域(配列番号27)の制御下、アシュビア・ゴシッピーのLAG1遺伝子(配列番号11)を導入するために、アシュビア・ゴシッピーATCC19895の染色体DNA(200ng)をPCRの鋳型として用い、以下のオリゴヌクレオチド:
AgLAC1−fw:
5'-GAA ACT ACT TTC CAA ACT TCA AAA TCA ACT TTA TTA TCA ATG GCT GAA AAT TCG TTA TTG AAG CCA C-3'(5’末端に、オリゴヌクレオチドPPDA−rvに相補的な42塩基配列を含む)
AgLAC1−BsiWI−rv:
5'-TAT ACG TAC GGT GTA ATG GCG GTG GAA CAC-3'(5’末端に、BsiWI認識配列を含む)
とともに、LAG1遺伝子(配列番号11)を増幅した。
これにより、ピキア・シフェリイのピルベートデヒドロゲナーゼサブユニットA遺伝子(PDA1)のプロモーター領域(配列番号27)が、以下のオリゴヌクレオチドとともに増幅された。
PPDA−BsiWI−fw−new:
5'-TAT ACG TAC GGA CGC ACC GGC CAT TTT CAA AC-3' (5’末端に、BsiWI認識配列を含む)
PPDA−rv:
5'-CAT TGA TAA TAA AGT TGA TTT TGA AGT TTG GAA AGT AGT TTC-3'
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、アシュビア・ゴシッピーのLAG1遺伝子およびピキア・シフェリイのPDA1プロモーター領域を含む2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
PPDA−BsiWI−fw−new:
5'-TAT ACG TAC GGA CGC ACC GGC CAT TTT CAA AC-3' (5’末端に、BsiWI認識配列を含む)
AgLAC1−BsiWI−rv:
5'-TAT ACG TAC GGT GTA ATG GCG GTG GAA CAC-3' (5’末端に、BsiWI認識配列を含む)
によりPCRをセットアップすることによって、LAG1遺伝子およびPDA1プロモーター領域の縮合物が得られた。
この手順を用いて2.1kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。次いでPCR産物を、制限エンドヌクレアーゼBsiWIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、BsiWI切断ベクターpPC−DES1−AgLAF1にライゲーションを行い、図11に示すベクターpPC−DES1−AgLAF1−AgLAG1が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ベクターpPC−DES1−AgLAF1−AgLAG1をPmeIで直線化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、次いで、形質転換に先立って、製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて精製した。
さらに、ピキア・シフェリイのLAF1遺伝子およびマウスのアルカリ性セラミダーゼのコドン最適化形態を有する、ピキア・シフェリイにおける発現に最適化した、第2のベクターを構築した。
このために、100ngのFirstChoice PCR−Ready mouse kidney cDNA(Ambion社、米国テキサス州オースティン所在)を、PCR反応の鋳型として用い、アルカリ性マウスセラミダーゼ(mCER)(GenBankアクセッション#AF347023)のオープンリーディングフレームを増幅した。従って、以下のオリゴヌクレオチドを用いた。
mCER−fw:
5'-CAA ACA AAC AAA CAA ATA ATT AAT TAA CAA TGC ATG TAC CGG GCA CCA G-3'(5’末端に、オリゴヌクレオチドPGAP−rvに相補的な32塩基配列を含む)
mCER−rv:
5'-CGT TAT ATA GGA AAG CAC CGA AGC TAA ATT CAG CAG TTC TTG TCA TTC TC-3'(5’末端に、オリゴヌクレオチドTENO−fwに対する29塩基の相補配列を含む)
これにより、P.シフェリイのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼアイソザイム1遺伝子(TDH1)のプロモーター領域(GenBankアクセッション#AF053300)が以下のオリゴヌクレオチド:
PGAP−SbfI:
5'-TAT ATA CCT GCA GGT TAC CCA GTG GTA CCT ACA TAC-3'(5’末端に、SbfI認識配列を含む)
PGAP−rv:
5'-CAT TGT TAA TTA ATT ATT TGT TTG TTT GTT TG-3'
とともに、増幅された。
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、ハツカネズミ(Mus musculus)CER遺伝子およびピキア・シフェリイのTDH1プロモーター領域を含む2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
PGAP−SbfI:
5'-TAT ATA CCT GCA GGT TAC CCA GTG GTA CCT ACA TAC-3' (5’末端に、SbfI認識配列を含む)
mCER−rv:
5'-CGT TAT ATA GGA AAG CAC CGA AGC TAA ATT CAG CAG TTC TTG TCA TTC TC-3' (5’末端に、オリゴヌクレオチドTENO−fwに相補的な29塩基配列を含む)
とともにPCRをセットアップすることによって、mCER遺伝子およびTDH1プロモーター領域の縮合物が得られた。
この手順を用いて1.4kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。
ピキア・シフェリイのエノラーゼ遺伝子(ENO1)ターミネーター領域(配列番号28)を、事前に増幅したコンストラクトと縮合させるため、ENO1のターミネーター領域を、まず以下のオリゴヌクレオチドを用いて増幅した。
TENO−fw:
5'-ATT TAG CTT CGG TGC TTT CCT ATA TAA CG-3'
TENO−fw−SbfI:
5'-TAT ATA CCT GCA GGT TAT AAC GGT TGG GCA ATG TTG AG-3' (5’末端に、SbfI認識配列を含む)
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
PGAP−SbfI:
5'-TAT ATA CCT GCA GGT TAC CCA GTG GTA CCT ACA TAC-3' (5’末端に、SbfI認識配列を含む)
TENO−fw−SbfI:
5'-TAT ATA CCT GCA GGT TAT AAC GGT TGG GCA ATG TTG AG-3' (5’末端に、SbfI認識配列を含む)
とともにPCR反応をセットアップすることによって、TDH1プロモーター制御下のmCER遺伝子およびENO1ターミネーター領域の縮合物が得られた。
この手順を用いて1.8kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。次いでPCR産物を、制限エンドヌクレアーゼ制限エンドヌクレアーゼSbfIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、SbfI切断ベクターpDB007にライゲートし、ベクターpPC−DES1−mCERが生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
シクロヘキシミド耐性付与カセットをヌーセオスリシン耐性カセットによって置換するために、ベクターpPC−DES1−mCERを、SacIおよびSalIで消化した(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)。シクロヘキシミド耐性カセットを有さない7403bpベクターバックボーンを、製造元の説明書に従って、QIAquickゲル抽出キットを用いてゲル精製した。
ヌーセオスリシン耐性付与カセットを生成するために、PCRによって3つの断片を増幅した。まず、ヌーセオスリシンに対する耐性を付与し、ピキア・シフェリイにおける発現に最適化したnat1遺伝子のコドン最適化形態(配列番号29)を、Geneart GmbH(独国レーゲンスブルグ所在)から供給されたベクターpPCR−Script−nat1を鋳型とし、以下のオリゴヌクレオチド
opt−nat1−fw:
5'-CAA AAT CAA CTT TAT TAT CAA TGG GTA CTA CTT TAG ATG ATA C-3' (5’末端に、オリゴヌクレオチドPPDA−rvに相補的な23塩基配列を含む)
opt−nat1−rv:
5'-TCT TTT TAT TGT CAG TAC TGA TTA TTA TGG ACA TGG CAT TGA C-3'(5’末端に、21塩基配列のオリゴヌクレオチドT−TEF−fwに相補的な21塩基配列を含む)
を用いて増幅した。
これにより、ピキア・シフェリイのピルベートデヒドロゲナーゼサブユニットA遺伝子の(PDA1)プロモーター領域(配列番号27)が、以下のオリゴヌクレオチドとともに増幅された。
PPDA−SalI−fw:
5'-TAT GTC GAC TGT GCT CTA AAT TTG CCC GGT TC-3' (5’末端に、SalI認識配列を含む)
PPDA−rv:
5'-CAT TGA TAA TAA AGT TGA TTT TGA AGT TTG GAA AGT AGT TTC-3'
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、nat1遺伝子およびピキア・シフェリイのPDA1プロモーター領域を含む2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
PPDA−SalI−fw:
5'-TAT GTC GAC TGT GCT CTA AAT TTG CCC GGT TC-3' (5’末端に、SalI認識配列を含む)
opt−nat1−rv:
5'-TCT TTT TAT TGT CAG TAC TGA TTA TTA TGG ACA TGG CAT TGA C-3' (5’末端に、オリゴヌクレオチドT−TEF−fwに相補的な21塩基配列を含む)
によりPCRをセットアップすることによって、コドン最適化nat1遺伝子およびPDA1プロモーター領域の縮合物が得られた。
この手順を用いて1.3kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。
アシュビア・ゴシッピーのTEFターミネーター領域を、事前に増幅したコンストラクトと縮合させるため、アシュビア・ゴシッピーATCC19895の染色体DNA200ngを鋳型とし、以下のオリゴヌクレオチドを用いて、アシュビア・ゴシッピーのTEFターミネーター領域(GenBankアクセッション#A29820)を増幅した。
T−TEF−fw:
5'-TCA GTA CTG ACA ATA AAA AGA TTC TTG-3'
T−TEF−SacI−rv:
5'-TGA GCT CTC GAC ACT GGA TGG CGG CGT TAG-3' (5’末端に、SacI認識配列を含む)
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
PPDA−SalI−fw:
5'-TAT GTC GAC TGT GCT CTA AAT TTG CCC GGT TC-3' (5’末端に、SalI認識配列を含む)
T−TEF−SacI−rv:
5'-TGA GCT CTC GAC ACT GGA TGG CGG CGT TAG-3' (5’末端に、SacI認識配列を含む)
とともにPCR反応をセットアップすることによって、ピキア・シフェリイのPDA1プロモーター制御下のnat1遺伝子およびアシュビア・ゴシッピーのTEFターミネーター領域の縮合物が得られた。
得られた1.5kbpの断片を、製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて精製した。次いで、PCR産物を、制限エンドヌクレアーゼSalIおよびSacIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、ベクターpPC−DES1−mCERの7403bpベクターバックボーンにライゲートし(上記を参照)、ベクターp−PC−DES1−mCER−nat1が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
mCER遺伝子を、ピキア・シフェリイにおける発現に最適化された、遺伝子のコドン最適化形態(omCER)によって置換するために、ベクターpPC−DES1−mCER−nat1を、PacIおよびBsiWIで消化した(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)。mCERおよびDES1遺伝子を有さない5514bpベクターバックボーンを、製造元の説明書に従って、QIAquickゲル抽出キットを用いてゲル精製した。
ピキア・シフェリイENO1遺伝子のターミネーター領域を有するハツカネズミomCER遺伝子を導入するために、Geneart GmbH(独国レーゲンスブルグ所在)から供給されたベクターpUC−kana−mCERを鋳型とし、以下のオリゴヌクレオチド
opt−mCER−PacI−fw:
5'-GGT ACC TTA ATT AAC AAT GCA TG-3' (5’末端に、PacI認識配列を含む)
opt−mCER−rv:
5'-AGG AAA GCA CCG AAG CTA AAT TTA ACA ATT TTT ATC ATT TTC-3'(5’末端に、オリゴヌクレオチドTENO−fw−に相補的な21塩基配列を含む)
を用いてomCER遺伝子(配列番号30)を増幅した。
これにより、ピキア・シフェリイENO1のターミネーター領域(配列番号28)遺伝子が、以下のオリゴヌクレオチドとともに増幅された。
TENO−fw:
5'-ATT TAG CTT CGG TGC TTT CCT ATA TAA CG-3'
T−ENO−BsiWI−rv:
5'-TAC GTA CGT TAT AAC GGT TGG GCA ATG TTG-3' (5’末端に、BsiWI認識配列を含む)
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、ハツカネズミのCER遺伝子とピキア・シフェリイのENO1ターミネーター領域を含む2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
opt−mCER−PacI−fw:
5'-GGT ACC TTA ATT AAC AAT GCA TG-3' (5’末端に、PacI認識配列を含む)
T−ENO−BsiWI−rv:
5'-TAC GTA CGT TAT AAC GGT TGG GCA ATG TTG-3' (5’末端に、BsiWI認識配列を含む)
によりPCRをセットアップすることによって、omCER遺伝子およびENO1ターミネーター領域の縮合物が得られた。
この手順を用いて1.2kbpのPCR産物を得た。製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。次いで、PCR産物を、制限エンドヌクレアーゼPacIおよびBsiWIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、ベクターpPC−DES1−mCER−nat1の5514bpベクターバックボーンにライゲートし(上記を参照)、ベクターp−mCER−nat1が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
omCERならびにTDH1プロモーター(GenBankアクセッション#AF053300)およびピキア・シフェリイのENO1(配列番号28)ターミネーター領域をの制御下の第2の遺伝子を過剰発現するベクターを構築するために、TDH1プロモーターを、まずピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031の染色体DNAを鋳型とし、以下のオリゴヌクレオチド
GAPDH−SpeI−fw:
5'-TAT ATA ACT AGT TTA CCC AGT GGT ACC TAC ATA C-3' (5’末端に、SpeI認識配列を含む)
GAPDH−CO−rv:
5'-CCC GGG ATT TAA ATG GCG CGC CGT TAA TTA ATT ATT TGT TTG TTT GTT TG-3'(5’末端に、オリゴヌクレオチドENO−CO−fw−に相補的な22塩基配列を含む)
を用いて増幅した。
これにより、ピキア・シフェリイのENO1遺伝子のターミネーター領域が、以下のオリゴヌクレオチドとともに増幅された。
ENO−CO−fw:
5'-GGC GCG CCA TTT AAA TCC CGG GAT TTA GCT TCG GTG CTT TCC TA-3'
ENO−SpeI−rv:
5'-TAT ATA CCG CGG TTA TAA CGG TTG GGC AAT GTT G-3' (5’末端に、SpeI認識部位を含む)
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。最終的に、2つのPCR産物各10ngと、オリゴヌクレオチド:
GAPDH−SpeI−fw:
5'-TAT ATA ACT AGT TTA CCC AGT GGT ACC TAC ATA C-3' (5’末端に、SpeI認識配列を含む)
ENO−SpeI−rv:
5'-TAT ATA CCG CGG TTA TAA CGG TTG GGC AAT GTT G-3' (5’末端に、SpeI認識配列を含む)
とともにPCR反応をセットアップすることによって、2つの断片の縮合物が得られた。
このようにして、0.9kbpのPCR産物が得られた。この断片を、製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて精製した。次いで、PCR産物を、制限エンドヌクレアーゼSpeIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、SpeI切断ベクターp−mCER−nat1にライゲートし、ピキア・シフェリイTDH1プロモーターがnat1発現カセットに発散的に(divergently)指向するベクターp−mCER−nat1−X−Bが生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
最終的にピキア・シフェリイのLAF1遺伝子(配列番号3)をomCER保持ベクターp−mCER−nat1−X−Bに挿入するために、ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031の染色体DNAを鋳型とし、以下のオリゴヌクレオチド
PcLAF1−HpaI−fw:
5'-TAT ATA GTT AAC ATG ATT TCA ACT TCA ACA AAT TC-3' (5’末端に、HpaI認識配列を含む)
PcLAF1−XmaI−rv:
5'-TAT ATA CCC GGG CTA ATC ATC ATC TTC ATC ATC-3' (5’末端に、XmaI認識配列を含む)
を用いてLAF1遺伝子(配列番号3)を増幅した。
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。次いで、PCR産物を、制限エンドヌクレアーゼHpaIおよびXmaIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、AscIで切断したベクターp−mCER−nat1−X−Bにライゲートし(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、次いで、DNAポリメラーゼIのクレノーウ断片によりクレノーフィルインを行い(製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、XmaIにより消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、図12に示すベクターp−mCER−nat1−PcLAF1を製造した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ベクターp−mCER−nat1−PcLAF1をPmeIで直線化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体における形質転換に先立って、製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて精製した。
実施例11
(ピキア・シフェリイ酵素Des1pおよびLag1p、アシュビア・ゴシッピー酵素Laf1pおよびLag1p、ならびにマウスのアルカリ性セラミダーゼを、シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体中で同時に過剰生産するためのプラスミドの構築)
ピキア・シフェリイDes1pならびにアシュビア・ゴシッピーLaf1pおよびLag1pの過剰発現のために、ベクターpPC−DES1−AgLAF1−AgLAG1を用いた(実施例11参照)。さらに、omCERおよびピキア・シフェリイLag1pの過剰発現のためのベクターを構築した。
このために、ピキア・シフェリイLAG1遺伝子(配列番号1)をomCER保持ベクターp−mCER−nat1−X−Bに挿入した(実施例11参照)。まず、ピキア・シフェリイF−60−10A NRRL 1031からの染色体DNAを鋳型とし、以下のオリゴヌクレオチドを用いてLAG1遺伝子(配列番号1)を増幅した。
PcLAG1−EcoRV−fw:
5'-TAT ATA GAT ATC ATG TCC ACT TCC AGA CCA CAG-3' (5’末端に、EcoRV認識配列を含む)
PcLAG1−XmaI−rv:
5'-TAT ATA CCC GGG TTA TTC ACT CTT TTT TTC TTG-3' (5’末端に、XmaI認識配列を含む)
製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて、この断片を精製した。PCR産物をEcoRVおよびXmaIで消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って、)、AscIで切断したベクターp−mCER−nat1−X−Bにライゲートし(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、次いで、DNAポリメラーゼIのクレノー断片によりクレノーフィルインを行い(製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、XmaIにより消化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、図13に示すベクターp−mCER−nat1−PcLAG1が生成した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ベクターp−mCER−nat1−PcLAG1をPmeIで直線化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体における形質転換に先立って、製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて精製した。
実施例12
(ピキア・シフェリイ酵素Des1p、アシュビア・ゴシッピー酵素Laf1pおよびLag1p、マウスのアルカリ性セラミダーゼのコドン最適化形態、ならびにコッコリスウイルスのセラミドシンターゼのコドン最適化形態を、シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体中で同時に過剰生産するためのプラスミドの構築)
ピキア・シフェリイDes1pならびにアシュビア・ゴシッピーLaf1pおよびLag1pの過剰発現のために、ベクターpPC−DES1−AgLAF1−AgLAG1を用いた(実施例10参照)。さらに、omCERおよびコッコリスウイルスのセラミドシンターゼをコードするコドン最適化遺伝子(oCvLAG1)の過剰発現のための、ピキア・シフェリイにおける発現に最適化したベクターを構築した。
このために、コッコリスウイルスのoCvLAG1遺伝子(配列番号31)をomCER保持ベクターp−mCER−nat1−X−Bに挿入した(実施例11参照)。まず、Geneart GmbH(独国レーゲンスブルグ所在)から供給されたベクターpGA4−CVLAG1から、制限エンドヌクレアーゼHpaIおよびXmaIを用いて(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、oCvLAG1遺伝子(配列番号31)を切りだし、SwaIおよびXmaIにより切断したベクターp−mCER−nat1−X−B(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)にライゲートし、図14に示すベクターp−mCER−nat1−oCvLAG1を製造した。挿入の方向性及び真正性は、DNA配列決定によって確認した。ライゲーション、調製および化学的にコンピテントな大腸菌細胞の形質転換は、当業者に知られた手法により行った。
ベクターp−mCER−nat1−oCvLAG1をPmeIで直線化し(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)、シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体における形質転換に先立って、製造元の説明書に従って、QIAquickPCR精製キットを用いて精製した。
実施例13
(シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体における、ピキア・シフェリイの酵素Des1p、アシュビア・ゴシッピーの酵素Laf1pおよびLag1p、マウスアルカリ性セラミダーゼのコドン最適化形態、ならびにマウスセラミドシンターゼのコドン最適化形態の同時過剰生産用のプラスミドの構築)
ピキア・シフェリイのDes1p、アシュビア・ゴシッピーのLaf1pおよびLag1pの過剰発現には、ベクターpPC−DES1−AgLAF1−AgLAG1を用いた(実施例10を参照)。加えて、omCER遺伝子およびコドン最適化されたマウスセラミドシンターゼ(omLASS5)の過剰発現用のベクターを構築した。
このために、omCER保持ベクターであるp−mCER−nat1−X−Bに、マウスのomLASS5遺伝子(配列番号32)を挿入した(実施例11を参照)。最初に、Geneart GmbH(独国レーゲンスブルク所在)販売のpUK−kana−omLASS5ベクターからomLASS5遺伝子(配列番号32)を制限エンドヌクレアーゼHpaIおよびXmaI(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)で切り出し、AscI(制限エンドヌクレアーゼの製造元の説明書に従って:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在)で切断されたp−mCER−nat1−X−Bベクターにライゲートし、その後、DNAポリメラーゼIのクレノー断片(製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)を用いたクレノーフィルインと、XmaI(制限エンドヌクレアーゼの製造元の説明書に従って:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在)での消化とを行い、図15に示す、p−mCER−nat1−omLASS5ベクターを構築した。挿入断片の方向性および真正性はDNA配列決定によって判定した。ライゲーション、調製、および化学的コンピテント大腸菌細胞の形質転換は当業者に既知の方法で行った。
p−mCER−nat1−omLASS5ベクターをPmeI(制限エンドヌクレアーゼの製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)で直線化し、その後、シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体の形質転換に先立って、製造元の説明書に従ってQIAquick社製PCR精製キット(PCR Purification Kit)を用いて精製した。
実施例14
(シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体の形質転換)
シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体の形質転換は、最近の記述(Baeら、「Integrative transformation system for the metabolic engineering of the sphingoid base−producing yeast Pichia ciferrii.」、2003年、Appl.Environ.Microbiol.;米国特許第6638735号)に従って行った。
シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ株(国際公開第2006/048458号、図4のSYR2 1−2C)を、600nmの光学濃度が1〜1.5になるまで、YPD培地上で培養した。この細胞を遠心法によって採取し、0.1培養容積の50mMリン酸緩衝液(pH7.5)中に再懸濁した。使用する前に、これに25mMジチオスレイトールを添加した。37℃、15分間のインキュベーションの後、1培養容積の氷冷安定化溶液[270mMスクロース、10mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM MgCl]で2回、細胞を洗浄し、0.01培養容積の安定化溶液中に再懸濁した。直線化されたpPC−DES1−AgLAF1−AgLAG1、p−mCER−nat1−PcLAF1、p−mCER−nat1−PcLAG1、p−mCER−nat1−oCvLAG1、またはp−mCER−nat1−omLASS5ベクター5μl(1.6μgのDNAを含有する)を、細胞50μlと混合し、氷上で10分間インキュベートした。その後、この形質転換混合物を2mmエレクトロポレーションキュベット内に移した。エレクトロポレーションは、製造元の説明書に従って、GenePulser Xcell(Bio−Rad Laboratories社、独国ミュンヘン所在)を用いて、500V、50μF、および700Ωで行った。エレクトロポレーションの後に、500μlの安定化溶液中に細胞を再懸濁し、2mlのYPD培地を含有する培養試験管内に移した。30℃、1分間あたり250回転で終夜、細胞を再生させた後、再生された培養物のアリコートを、1mlあたり0.5μgのシクロヘキシミド(pPC−DES1−AgLAF1−AgLAG1)または1mlあたり0.5μgのシクロヘキシミドおよび50μg/mlヌーセオスリシン(既にpPC−DES1−AgLAF1−AgLAG1を含有し、p−mCER−nat1−PcLAF1、p−mCER−nat1−PcLAG1、p−mCER−nat1−oCvLAG1、またはp−mCER−nat1−omLASS5で形質転換された株)を含有するYPDプレート上にプレーティングした。30℃での7日間のインキュベーションの後に、数ダースのコロニーが現れた。
実施例15
(スフィンゴイド塩基生合成遺伝子を過剰発現するシリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体によるアセチル化スフィンゴシンの振とうフラスコ生産)
上述した遺伝子(PcDES1、AgLAF1、AgLAG1のみ、またはomCERと組み合わせて、さらに、PcLAF1、PcLAG1、oCvLAG1、またはomLASS5と組み合わせて)を過剰発現するシリンゴマイシンE耐性変異体によるアセチル化スフィンゴシンの生産が増大しているかどうか試験するために、対応する株を、アセチル化スフィンゴシンの振とうフラスコ生産用に培養した(対応するプラスミドについては表3を参照)。
このために、これらの株を5mlのYPD培地(試験管内)中に播種し、前培養として、30℃、1分間あたり250回転で3日間培養した。続いて、この前培養物の1%を、20mlのTAPS培地(100mlのバッフル付き三角フラスコ内)に播種するのに用い、30℃、1分間あたり250回転で、4日間培養した。
Figure 2009536521
Figure 2009536521
実施例16
(培養ブロス中のアセチル化スフィンゴイド塩基の定量)
脂質を抽出するために、15mlファルコンチューブ内の未分画ブロス1mlにアセトン4mlを添加し、室温、1分間あたり250回転で、10分間、水平に振とうさせた。その後、混合物を5300gで10分間、遠心分離し、Jasco社製HPLCシステム(LC−2000シリーズ)で上清を分析した。以下の条件が適用された。
移動相: 0.05%(v/v)トリフルオロ酢酸(TFA)を含有するアセトニトリル/水90:10(v/v)
流速: 1.0ml/分
ランタイム: 11分
注入体積: 100μl
カラム: Kromasil 100C18(250×4.6mm、粒径5μm)
カラム温度: 30℃
トレー温度: 周囲温度
UV検出波長: 200nm
アセチル化塩基の同定は、特定の基準物質(DSM社、オランダ国デルフト所在)との、リテンションタイムおよびUVスペクトルの比較によって行い、したがって、定量化は、試料と基準物質との、ピーク面積の比較によって行った。
上述の遺伝子を過剰発現するシリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体によるアセチル化スフィンゴイド塩基の振とうフラスコ生産を、表3にまとめる。濃度は、バイオマス乾燥重量1gあたりのmgで示す。
Figure 2009536521
実施例17
(シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ株におけるスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼ・コード遺伝子の不活性化、ならびにピキア・シフェリイ酵素Des1p、マウスアルカリ性セラミダーゼのコドン最適化形態、およびコッコリスウイルス・セラミドシンターゼのコドン最適化形態の同時過剰生産)
ピキア・シフェリイは、スフィンゴイド塩基のC−8とC−9との間に二重結合を導入することが知られている(Takakuwaら、Current Microbiology、45:459−61)、クリュイベロミセス・ラクティスのスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼに高い類似性を有する酵素をコードする遺伝子を保持している(実施例8を参照)。したがって、この酵素の活性がスフィンゴシン生産に関して、逆効果となっているかもしれない。何故なら、ジヒドロスフィンゴシンへのそのような二重結合の導入は、それが遊離スフィンゴイド塩基であろうと、ジヒドロセラミドの構成成分であろうと、スフィンゴシン形成の共通の前駆体との競合をもたらすであろうからである。上述したスフィンゴ脂質生合成遺伝子の過剰発現を、ピキア・シフェリイスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼ・コード遺伝子8DESの不活性化と組み合わせるために、最初に、ピキア・シフェリイが抗生物質シクロヘキシミドの存在下で増殖するのを可能にする、アミノ酸位置56における点突然変異を含有するpDB006ベクターから入手したピキア・シフェリイPcL41の遺伝子で、p−mCER−nat1−oCvLAG1ベクター(実施例12参照)のnat1遺伝子を置換した。そのために、ベクターpTH−GAP−nat1−IS2−Pme1(実施例10を参照)を制限エンドヌクレアーゼSacIおよびSalIで消化し、QIAGEN社製QIAquickゲル抽出キットを用いて、3448bpの断片をゲル精製した。PcL41遺伝子(GenBankアクセッション#AF053457)を得て、所望の点突然変異を導入するために、ピキア・シフェリイF60−10A NRRL1031の染色体DNAを鋳型として用いて、2つの断片をPCRで増幅させた。断片1は以下のオリゴヌクレオチドを用いて増幅させた。
PcL41−SalI−fw:
5’-TATAGTCGACGAATTCTCTTAAATGATGTTGG-3’ (5’末端に、SalI認識配列を含む)
PcL41−internal−rv:
5’-GTTTTAGCTTTTTTATGGAAAACTtGTTTGGTTTGACCACCGTAACCGG-3’
この結果、アミノ酸56をプロリンからグルタミンに置換する、CからAへの点突然変異を挿入するオリゴヌクレオチドPcL41−internal−fwに相補的な49bpの配列を含有する1222bpの断片が生成した。断片2は以下のオリゴヌクレオチドを用いて増幅させた。
PcL41-internal-fw:
5’-CCGGTTACGGTGGTCAAACCAAACaAGTTTTCCATAAAAAAGCTAAAACTACCA AAAAAGTTGTTTTACG-3’
PcL41-SacI-rv:
5’-TATAGAGCTCAATTCCAATGTTTTGATCTGTC-3’ (5’末端に、SacI認識配列を含む)
この結果、アミノ酸56をプロリンからグルタミンに置換する点突然変異(CからA)を挿入する、オリゴヌクレオチドPcL41−internal−rvに相補的な49bpの配列を含有する753bpの断片を生成した。これら2つの断片を、QIAGEN社製MinEluteゲル抽出キットを用いてゲル精製した。鋳型として各断片2μl、そしてオリゴヌクレオチドPcL41−SalI−fwおよびPcL41−SacI−rv(上記参照)を用いて、クロスオーバーPCRを行った。これによって、末端にSalI制限部位およびSacI制限部位を有する1906bpの断片が生成した。その後、この断片をSalIおよびSacIで消化し、QIAGEN社製MinElute PCR精製キットを用いて精製し、pTH−GAP−nat1−IS2−PmeIの3448bpバックボーンにライゲートした。ライゲーション、調製、および化学的コンピテント大腸菌細胞の形質転換、ならびに所望のプラスミドが存在していることの確認は、当業者に既知の方法で行った。得られたプラスミドをpDB006と名付けた。
p−mCER−nat1−oCvLAG1プラスミドを制限エンドヌクレアーゼPstIおよびSacI(製造元:New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在の説明書に従って)で消化し、QIAGEN社製QlAquickゲル抽出キットを用いて、6997bp断片をゲル精製した。pDB006のPstIおよびSacI消化で挿入断片PcL41を入手し、この1918bp断片を同様にしてゲル精製し、その後、上記ベクターにライゲートした。ライゲーション、調製、および化学的コンピテント大腸菌細胞の形質転換、ならびに所望のプラスミドが存在していることの確認は、当業者に既知の方法で行った。この確認の過程で、このクローニング手順に使用されたSacI制限部位が、得られたプラスミドp−mCER−LP−PcvL41−oCvLAG1中にはもはや存在しないことが明白になった。したがって、真正性を確認するために、挿入断片全体と隣接している領域とを配列決定した。おそらくSacIのスター活性により、p−mCER−nat1−oCvLAG1ベクターは、認識配列GAGCTCで切断されずに、その代わりに、遺伝子oCvLAG1に属するエノラーゼターミネーター領域内の配列GAGCTTで切断されたことが確認できた。その結果、ライゲートの後にはSacI認識部位はもはや存在しておらず、ターミネーターは332bpの代わりに211bpに短縮されていた。この事実は重要ではないと考えられ、このベクターを次のステップである、ピキア・シフェリイDES1遺伝子(配列番号26)の導入に用いた。これを以下のオリゴヌクレオチド、すなわち、
PcDES1−PstI−fw:
5’-TATATACTGCAGTTACCCAGTGGTACCTACATAC-3’ (5’末端に、PstI認識配列を含む)
PcDES1−PstI−rv
5’-TATATACTGCAGTTATAACGGTTGGGCAATG-3’ (5’末端に、PstI認識配列を含む)
と、鋳型としてピキア・シフェリイF−60−10A NRRL1031の染色体DNAとを用いて、PCRを介して増幅した。この結果得られた1983bpの断片を、上述の通り、ゲル精製し、制限エンドヌクレアーゼPstIで消化し、QIAGEN社製QIAquick PCR精製キットを用いて、PCR精製した。p−mCER−LP−PcvL41−oCvLAG1ベクターを同様に切断し、精製した。ライゲーション、調製、および化学的コンピテント大腸菌細胞の形質転換、ならびに所望のプラスミドが存在していることの確認は、当業者に既知の方法で行った。この方法を適用することによって得られたプラスミドをpTH−LP−1と名付けた。挿入断片の方向性および真正性はDNA配列決定によって判定した。
鋳型としてピキア・シフェリイF−60−10A NRRL1031の染色体DNA、そして以下のオリゴヌクレオチドを用いて、ピキア・シフェリイのスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼ・コード遺伝子(配列番号5)の内部領域をPCRで増幅した。
PcD8D−PshAI−fw:
5’-TATATAGACAAAAGTCCAGTTCCAAAGTGCTC-3’ (5’末端に、PshAI認識配列を含む)
PcD8D−BsiWI−rv:
5’-TATATACGTACGAAAATTGCACTAAGGAAATAC-3’ (5’末端に、BsiWI認識配列を含む)
QIAGEN社製MinEluteゲル抽出キットを用いて、855bpの断片をゲル精製し、その後、製造元(New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在)によって与えられた説明書に従って、制限エンドヌクレアーゼPshAIおよびBsiWIで消化した。その後、これをQIAGEN社製MinElute PCR精製キットを用いて精製した。pTH−LP−1ベクターを同様に消化し、QIAGEN社製QlAquickゲル抽出キットを用いて、9662bp断片をゲル精製した。ライゲーション、調製、および化学的コンピテント大腸菌細胞の形質転換、ならびに所望のプラスミドが存在していることの確認は、当業者に既知の方法で行った。図17に示す、この方法を適用することによって得られたプラスミドをpTH−deltaD8Dと名付けた。挿入の方向性および真正性はDNA配列決定によって判定した。
実施例18
(シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ株におけるアルカリ性セラミダーゼ・コード遺伝子の不活性化、ならびにピキア・シフェリイ酵素Des1p、マウスアルカリ性セラミダーゼのコドン最適化形態、およびコッコリスウイルスのセラミドシンターゼのコドン最適化形態の同時過剰生産)
ピキア・シフェリイは、スフィンゴイド塩基として、スフィンゴシンではなく、フィトスフィンゴシンまたはジヒドロスフィンゴシンを含有するセラミドを選択的に加水分解することが知られている(Maoら、The Journal of Biological Chemistry、275:31369−31378)、S.セレヴィジエのアルカリ性セラミダーゼに高い類似性を有する酵素をコードする遺伝子を保持する(実施例7を参照)。したがって、この酵素の活性は、スフィンゴシン生産に関して、逆効果となっているかもしれない。何故なら、スフィンゴイド塩基としてジヒドロスフィンゴシンを含有するセラミドは、スフィンゴシン形成の前駆体であるからである。上述したスフィンゴ脂質生合成遺伝子の過剰発現を、ピキア・シフェリイ内在性アルカリ性セラミダーゼ遺伝子YXC1の不活性化と組み合わせるために、pTH−deltaD8Dプラスミド上の遺伝子間スペーサ(IS)領域(実施例17および図17参照)を、ピキア・シフェリイ・セラミダーゼ・コード遺伝子の内部領域(配列番号8)で置換した。
最初に、鋳型としてピキア・シフェリイF−60−10A NRRL1031の染色体DNA、そして、それぞれ、オリゴヌクレオチド対OTKD284/OTKD285およびOTKD286/OTKD287を用いて、ピキア・シフェリイ・セラミダーゼ・コード遺伝子(配列番号8)の2つの部分的に重なりあった内部断片をPCRによって増幅した。
OTKD284:
5’-TAT ATA GAC AGA AGT CCA TAT CAT TTA CCA TTT GCT AAA CC-3’(下線:PshAI認識配列)
OTKD285:
5’-TAA ATC TCA ATT CAC ACT GGT GCT AAA TTA TTT TTA AAT GCA GA -3’ (下線:AleI認識配列)
OTKD286:
5’-TAAAAATAATTTAGCACCAGTGTGAATTGAGATTTATATTGATAAGTT-3’ (下線:AleI認識配列)
OTKD287:
5’-TAT ATA CGT ACG CAA TAT TAT AGA AAT ACC AAT TGT-3’ (下線:BsiWI認識配列)
これら2つの部分的に重なりあった断片(それぞれ239および236bp)を、QIAGEN社製QIAquickゲル抽出キットを用いてゲル精製した。鋳型として各断片2μl、そしてオリゴヌクレオチドOTKD284およびOTKD287(上記参照)を用いて、クロスオーバーPCRを行った。末端に単一のPshAIおよびBsiWI部位、そして中央にAleI部位を有する439bpDNA断片を得た。この断片を、製造元(New England Biolabs社、独国シュヴァルバッハ所在)によって与えられた説明書に従って、PshAIおよびBsiWIで消化した。その後、これを、QIAGEN社製PCR精製キットを用いて精製した。pTH−LP−1ベクターを同様に消化し、QIAGEN社製QlAquickゲル抽出キットを用いて、9662bp断片をゲル精製した。これら2つの断片のライゲーション、調製、および化学的コンピテント大腸菌細胞の形質転換、ならびに所望のプラスミドが存在していることの確認は、当業者に既知の方法で行った。図18に示す、この方法を適用することによって得られたプラスミドを、pSo−5と名付けた。挿入断片の方向性および真正性はDNA配列決定によって判定した。
実施例19
(スフィンゴイド塩基生合成遺伝子を過剰発現するシリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体によるアセチル化スフィンゴイド塩基の振とうフラスコ生産、および培養ブロス中のアセチル化スフィンゴイド塩基の定量化)
pSo−5をAleIで消化した後に、実施例14に記載した通りに、実施例17および18のプラスミドで、シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ株の形質転換を行った。実施例15で記載した通りに、シリンゴマイシンE耐性ピキア・シフェリイ変異体による、アセチル化スフィンゴイド塩基の振とうフラスコ生産を行い、実施例16に従って、RP−HPLCを用いた、アセチル化スフィンゴイド塩基の検出および定量化を行った。
結果を表4に示す。驚くべきことに、rDNA遺伝子間スペーサ(pTH−LP−1)の代わりに、ピキア・シフェリイのスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼコード遺伝子の断片を標的配列(pTH−deltaD8D)として用いた場合に、結果として、染色体内へのプラスミドpTH−deltaD8Dの相同組込みに際してピキア・シフェリイ8DESの不活性化がもたらされ、トリアセチル化スフィンゴシン(TriASo)の量が著しく増大した。加えて、rDNA遺伝子間スペーサ(pTH−LP−1)の代わりに、ピキア・シフェリイYXC1アルカリ性セラミダーゼ・コード遺伝子の断片を標的配列(pSo−5)として用いた場合に、結果として、染色体内へのプラスミドpSo−5の相同組込みに際してピキア・シフェリイYXC1の不活性化がもたらされ、トリアセチル化スフィンゴシン(TriASo)の総量と、TriASo/TriASa比との両方が著しく増大した。
Figure 2009536521
アシュビア・ゴシッピーにおいてSYR2を標的不活性化するためのプラスミドpUG6−AgSUR2::kanMXを示す図である。アシュビア・ゴシッピーTEFプロモーター(水平線の網かけ)、アシュビア・ゴシッピーTEFターミネーター(斜線)、loxP部位(黒色)、カナマイシン耐性遺伝子(暗灰色)、相同組換えに用いられたアシュビア・ゴシッピーSYR2の上流領域(US)および下流領域(DS)(格子線)、ならびにアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順に関係する制限部位も示されている。 アシュビア・ゴシッピーにおいて、DES1の前の天然プロモーターをGAPプロモーターで標的置換するためのプラスミドpAG32−hyg−PAgGAP−AgDES1を示す図である。アシュビア・ゴシッピーTEFプロモーター(水平線の網かけ)、アシュビア・ゴシッピーTEFターミネーター(斜線)、ハイグロマイシン耐性遺伝子(暗灰色)、相同組換えに用いられたアシュビア・ゴシッピーDES1の上流領域(US)(格子線)およびアシュビア・ゴシッピーDES1の5’領域(黒色)、ならびにアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順および形質転換に関係する制限部位も示されている。 アシュビア・ゴシッピーにおいて、DES1の前にある天然プロモーターをGAPプロモーターで標的置換し、アシュビア・ゴシッピーENOプロモーターの制御下でアシュビア・ゴシッピーLAG1を過剰発現するためのプラスミドpAG−LAG1−1を示す図である。アシュビア・ゴシッピーTEFプロモーター(水平線の網かけ)、アシュビア・ゴシッピーTEFターミネーター(斜線)、ハイグロマイシン耐性遺伝子(暗灰色)、相同組換えに用いられたアシュビア・ゴシッピーDES1の上流領域(US)(格子線)およびアシュビア・ゴシッピーDES1の5’領域(黒色)、アシュビア・ゴシッピーLAG1(黒色)、ならびにアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順および形質転換に関係する制限部位も示されている。 アシュビア・ゴシッピーにおいて、DES1の前にある天然プロモーターをGAPプロモーターで標的置換し、アシュビア・ゴシッピーENOプロモーターの制御下でアシュビア・ゴシッピーLAF1を過剰発現するためのプラスミドpAG−LAF1−1を示す図である。アシュビア・ゴシッピーTEFプロモーター(水平線の網かけ)、アシュビア・ゴシッピーTEFターミネーター(斜線)、ハイグロマイシン耐性遺伝子(暗灰色)、相同組換えに用いられたアシュビア・ゴシッピーDES1の上流領域(US)(格子線)およびアシュビア・ゴシッピーDES1の5’領域(黒色)、アシュビア・ゴシッピーLAF1(黒色)、ならびにアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順および形質転換に関係する制限部位も示されている。 アシュビア・ゴシッピーSYR2を標的置換し、アシュビア・ゴシッピーENOプロモーターの制御下で、アシュビア・ゴシッピーDES1およびLAF1をそれぞれ過剰発現するための、プラスミドpSSTH−LAF1−2を示す図である。アシュビア・ゴシッピーTEFプロモーター(水平線の網かけ)、アシュビア・ゴシッピーTEFターミネーター(斜線)、kanMX耐性遺伝子(暗灰色)、アシュビア・ゴシッピーSYR2のプロモーター領域(AgSUR2−P)およびターミネーター領域(AgSUR2−T)(格子線)、アシュビア・ゴシッピーDES1(黒色)、アシュビア・ゴシッピーLAF1(黒色)、ならびにアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順および形質転換に関係する制限部位も示されている。 アシュビア・ゴシッピー8DESを標的破壊するためのプラスミドpAG32−D8Dを示す図である。アシュビア・ゴシッピーTEFプロモーター(水平線の網かけ)、アシュビア・ゴシッピーTEFターミネーター(斜線)、ハイグロマイシン耐性遺伝子(暗灰色)およびアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順および形質転換に関係する制限部位も示されている。 ピキア・シフェリイLAG1遺伝子座全体の単離をもたらす3ステップ手順を示す模式図である。 PcLAG1の内部部分の増幅(I.)の後に、逆PCRを2ラウンド行った(II.およびIII.)。個々のステップで用いられたオリゴヌクレオチドが示されている。また、様々な陰影の配列表示は、個々のステップでDNA配列が決定された、PcLAG1遺伝子座の部分を示す。実験手順に関係する制限部位も示されている。 ピキア・シフェリイLAF1遺伝子座全体の単離をもたらす3ステップ手順を示す模式図である。 PcLAF1の内部部分の増幅(I.)の後に、逆PCRを2ラウンド行った(II.およびIII.)。個々のステップで用いられたオリゴヌクレオチドが示されている。また、様々な陰影の配列表示は、個々のステップでDNA配列が決定された、PcLAF1遺伝子座の部分を示す。実験手順に関係する制限部位も示されている。 ピキア・シフェリイYXC1遺伝子座全体の単離をもたらす6ステップ手順を示す模式図である。 PcYXC1の内部部分の増幅(I.)の後に、逆PCRを5ラウンド行った(II.〜V.)。個々のステップで用いられたオリゴヌクレオチドが示されている。また、様々な陰影の配列表示は、個々のステップでDNA配列が決定された、PcYXC1遺伝子座の部分を示す。実験手順に関係する制限部位も示されている。 ピキア・シフェリイ8DES遺伝子座全体の単離をもたらす4ステップ手順を示す模式図である。 Pc8DESの内部部分の増幅(I.)の後に、逆PCRを3ラウンド行った(II.〜IV.)。個々のステップで用いられたオリゴヌクレオチドが示されている。また、様々な陰影の配列表示は、個々のステップでDNA配列が決定された、Pc8DES遺伝子座の部分を示す。実験手順に関係する制限部位も示されている。 ピキア・シフェリイにおいて、PcDES1、AgLAF1、およびAgLAG1を過剰発現するためのプラスミドpPC−DES1−AgLAF1−AgLAG1を示す図である。ピキア・シフェリイTDH1(斜線)およびPDA1プロモーター(水平線の網かけまたは白色)、アシュビア・ゴシッピーLAF1およびLAG1遺伝子(両方とも暗灰色)、ピキア・シフェリイDES1(斜線)およびL41遺伝子(暗灰色)、相同組換えに用いられた5S−26S rDNA遺伝子間領域(格子線)、ならびにアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順に関係する制限部位も示されている。 ピキア・シフェリイにおいて、PcLAF1およびomCERを過剰発現するためのプラスミドp−mCER−nat1−PcLAF1を示す図である。ピキア・シフェリイTDH1プロモーター(白色)およびPDA1プロモーター(水平線の網かけ)、ピキア・シフェリイLAF1(斜線)、コドン最適化されたomCER(垂直線の網かけ)およびコドン最適化されたnat1遺伝子(暗灰色)、相同組換えに用いられた5S−26S rDNA遺伝子間領域(格子線)、ならびにアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順に関係する制限部位も示されている。 ピキア・シフェリイにおいて、PcLAG1およびomCERを過剰発現するためのプラスミドp−mCER−nat1−PcLAG1を示す図である。ピキア・シフェリイTDH1プロモーター(白色)およびPDA1プロモーター(水平線の網かけ)、ピキア・シフェリイENO1ターミネーター(暗灰色)、TEFターミネーター(斜線)、ピキア・シフェリイLAG1(斜線)、コドン最適化されたomCER(垂直線の網かけ)およびコドン最適化されたnat1遺伝子(暗灰色)、相同組換えに用いられた5S−26S rDNA遺伝子間領域(格子線)、ならびにアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順に関係する制限部位も示されている。 ピキア・シフェリイにおいて、oCvLAG1およびomCERを過剰発現するためのプラスミドp−mCER−nat1−oCvLAG1を示す図である。ピキア・シフェリイTDH1プロモーター(白色)およびPDA1プロモーター(水平線の網かけ)、ピキア・シフェリイENO1ターミネーター(暗灰色)、TEFターミネーター(斜線)、コドン最適化されたoCvLAG1(斜線)、コドン最適化されたomCER(垂直線の網かけ)およびコドン最適化されたnat1遺伝子(暗灰色)、相同組換えに用いられた5S−26S rDNA遺伝子間領域(格子線)、ならびにアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順に関係する制限部位も示されている。 ピキア・シフェリイにおいて、omLASS5およびomCERを過剰発現するためのプラスミドp−mCER−nat1−omLASS5を示す図である。ピキア・シフェリイTDH1プロモーター(白色)およびPDA1プロモーター(水平線の網かけ)、ピキア・シフェリイENO1ターミネーター(暗灰色)TEFターミネーター(斜線)、コドン最適化されたomLASS5(斜線)、コドン最適化されたomCER(垂直線の網かけ)およびコドン最適化されたnat1の遺伝子(暗灰色)、相同組換えに用いられた5S−26S rDNA遺伝子間領域(格子線)ならびにアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順に関係する制限部位も示されている。 ピキア・シフェリイの5S−26S rDNA遺伝子間領域への標的組み込みを行い、ピキア・シフェリイDES1の過剰発現、コドン最適化されたomCERの過剰発現、およびコドン最適化されたoCvLAG1の過剰発現を、それぞれの遺伝子に対してピキア・シフェリイTDH1プロモーターの制御下で行うためのプラスミドpTH−LP−1を示す図である。ピキア・シフェリイTDH1プロモーター(白色)、ピキア・シフェリイENO1ターミネーター(黒色)、ピキア・シフェリイDES1(垂直線の網かけ)、コドン最適化されたomCER(垂直線の網かけ)、コドン最適化されたoCvLAG1(垂直線の網かけ)、ピキア・シフェリイPcL41シクロヘキシミド耐性遺伝子(黒色)、5S−26S rDNA遺伝子間領域組込み部位(IS;点の陰影)、およびアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順および形質転換に関係する制限部位も示されている。 ピキア・シフェリイのスフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼコード遺伝子8DESの標的破壊を行い、ピキア・シフェリイDES1の過剰発現、コドン最適化されたomCERの過剰発現、およびコドン最適化されたoCvLAG1の過剰発現を、それぞれの遺伝子に対してピキア・シフェリイTDH1プロモーターの制御下で行うためのプラスミドpTH−deltaD8Dを示す図である。ピキア・シフェリイTDH1プロモーター(白色)、ピキア・シフェリイENO1ターミネーター(黒色)、ピキア・シフェリイDES1(垂直線の網かけ)、コドン最適化されたomCER(垂直線の網かけ)、コドン最適化されたoCvLAG1(垂直線の網かけ)、ピキア・シフェリイPcL41シクロヘキシミド耐性遺伝子(黒色)、染色体組込み部位8DES(点の陰影)、およびアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順および形質転換に関係する制限部位も示されている。 ピキア・シフェリイのアルカリ性セラミダーゼ遺伝子(PcYXC1)の標的不活性化、ならびにピキア・シフェリイにおけるoCvLAG1、PcDES1、およびomCERの同時過剰発現に使用されたpSo−5プラスミドを示す図である。ピキア・シフェリイTDH1プロモーター(PTDH1、白色)、ピキア・シフェリイENO1ターミネーター(TENO1、黒色)、ピキア・シフェリイDES1(斜線)、コドン最適化されたomCER(垂直線の網かけ)およびコドン最適化されたoCvLAG1の遺伝子(水平線の網かけ)、標的組み込みに用いられたピキア・シフェリイYXC1アルカリ性セラミダーゼの内部断片(格子線)、ならびにアンピシリン耐性遺伝子(bla;明灰色)が示されている。クローニング手順に関係する制限部位も示されている。 アシュビア・ゴシッピー株におけるスフィンゴイド塩基組成のRP−HPLC分析の結果を示すグラフである。分析された株は、野生型ATCC19895(WT)、および以下の遺伝子型を有する、その誘導体であった。Δsyr2(Δsyr2)、Δsyr2 PTDH3−DES1 (Δsyr2 OP Des1p)、Δsyr2 PTDH3−DES1 PENO1−LAF1 (Δsyr2 OP Des1p OP Laf1p)、およびΔsyr2 PENO1−DES1 PENO1−LAF1 8DES::pAG32−D8D (Δsyr2 Δ8DES OP Des1p OP Laf1p)。

Claims (16)

  1. 式I
    Figure 2009536521
    のスフィンゴイド塩基またはその塩もしくはエステル
    [式中、RはX−(CH−Y−(CH−CHであり、
    a.XはHまたはCHOHであり、
    b.mは0〜4の間であり、好ましくはmは1であり、
    c.YはCH−CH、CH=CH、またはCH=CCHであり、
    d.nは4〜14の間であり、好ましくはnは8または10である]
    をCDW1gあたり少なくとも0.5mg生産する微生物株。
  2. a.セラミドシンターゼ活性を有する酵素および/またはセラミダーゼ活性を有する酵素であって、後者の酵素が式Iのスフィンゴイド塩基を含有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解できる酵素をコードするポリヌクレオチドの発現を増大させるステップ、および/または
    b.スフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼ活性を有する酵素および/またはセラミダーゼ活性を有する酵素であって、後者の酵素がスフィンゴイド塩基としてフィトスフィンゴシンまたはジヒドロスフィンゴシンを含有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解できる酵素をコードするポリヌクレオチドの発現を低減させるステップ、および
    c.請求項1に定義される生産性を有する株を単離するステップ
    によって請求項1に記載の微生物株を得る方法。
  3. ジヒドロセラミドデサチュラーゼ活性を有する酵素をコードするポリヌクレオチドの発現を増大させるステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 請求項2または3に定義される酵素をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを用いたDNA媒介の形質転換を含む、請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記セラミドシンターゼ活性を有する酵素が、
    a.配列番号2および/または配列番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
    b.配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも45%、および/または配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも45%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
    c.配列番号9のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
    d.配列番号9のアミノ酸に少なくとも45%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、
    e.配列番号10のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
    f.配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも45%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド
    からなる群から選択される、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記セラミダーゼ活性を有する酵素であって、該セラミダーゼが、式Iのスフィンゴイド塩基を含有するセラミドを選択的にまたはさらには特異的に加水分解できる酵素が、
    d.配列番号15のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
    e.配列番号15のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド
    からなる群から選択される、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記スフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼ活性を有する酵素が、
    f.配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
    g.配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドと
    からなる群から選択される、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記セラミダーゼ活性を有する酵素であって、該セラミダーゼが、スフィンゴイド塩基としてフィトスフィンゴシンもしくはジヒドロスフィンゴシンを含有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解できる酵素が、
    h.配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および
    i.配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも25%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド
    からなる群から選択される、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記ジヒドロセラミドデサチュラーゼ活性を有する酵素が、
    j.配列番号17のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
    k.配列番号17のアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド
    からなる群から選択される、請求項3または4に記載の方法。
  10. 前記スフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼ活性を有する酵素をコードするか、またはセラミダーゼ活性を有する酵素であって、該セラミダーゼが、スフィンゴイド塩基としてフィトスフィンゴシンもしくはジヒドロスフィンゴシンを含有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解できる酵素をコードするポリヌクレオチドが、真菌または酵母から、好ましくは酵母サッカロミセス・セレヴィジエ、クリュイベロミセス・ラクティス、ハンゼヌラ・ポリモルファ、ピキア・パストリス、ピキア・シフェリイ、イエロビア・リポリティカ、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・ユチリスまたはアシュビア・ゴシッピーから、より好ましくは酵母ピキア・シフェリイ、アシュビア・ゴシッピーまたはイエロビア・リポリティカから入手可能である、請求項2〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記セラミドシンターゼ活性を有する酵素をコードするか、またはジヒドロセラミドデサチュラーゼ活性を有する酵素をコードするポリヌクレオチドが、ウイルス、真菌、植物または動物から、より好ましくは藻類ウイルス、酵母、または哺乳動物から、最も好ましくはコッコリスウイルス属、サッカロミセス属、シゾサッカロミセス属、デバリオマイセス属、クリュイベロミセス属、ピキア属、イエロビア属、カンジダ属、アシュビア属、マウス、ラットまたはヒトから入手可能である、請求項2〜9のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記セラミダーゼ活性を有する酵素であって、該セラミダーゼが、式Iのスフィンゴイド塩基を含有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解できる酵素をコードするポリヌクレオチドが、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウス、ラットまたはヒトから入手可能である、請求項2〜9のいずれか一項に記載の方法。
  13. 式Iのスフィンゴイド塩基またはその塩もしくはエステルを生産する方法であって、該スフィンゴイド塩基の生産に資する条件下での請求項1に記載の微生物株の発酵と、該発酵ブロスからの該スフィンゴイド塩基の回収とを含む方法。
  14. 配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチド、配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、配列番号4のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、からなる群から選択される、セラミドシンターゼ活性を示すポリペプチド。
  15. 配列番号6のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、からなる群から選択される、スフィンゴ脂質Δ8−デサチュラーゼ活性を示すポリペプチド。
  16. 配列番号8のアミノ酸配列を有するポリペプチド、および配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、からなる群から選択される、セラミダーゼ活性を示すポリペプチドであって、該セラミダーゼが、スフィンゴイド塩基としてフィトスフィンゴシンまたはジヒドロスフィンゴシンを有するセラミドを選択的またはさらには特異的に加水分解するポリペプチド。
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