JP6553963B2 - 改変スターメレラ属微生物 - Google Patents
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Description
(1)以下の(A)〜(F):
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド、
(C)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド、
(D)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(E)配列番号4で示されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド、
(F)配列番号4で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド、より選択されるポリペプチドの発現が強化され、且つ以下の(G)〜(I):
(G)配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(H)配列番号6で示されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸残基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(I)配列番号6で示されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド、から選ばれるアミノ酸配列からなり、且つアセチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子が導入された改変スターメレラ属微生物。
(2)上記(1)の微生物を培養する、アセチル化スフィンゴイドの製造方法。
また、本明細書では、アセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子をアセチルトランスフェラーゼ遺伝子ともいい、SLI1をコードする遺伝子をSLI1遺伝子ともいう。
また、「1〜複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列」の複数個とは、対象とする塩基配列の全塩基の20%以下の個数、好ましくは15%以下の個数、より好ましくは10%以下の個数、さらに好ましくは5%以下の個数、さらにより好ましくは2%以下の個数が挙げられる。
ここで、「セリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性」とは、L−セリンとパルミトイル−CoAなどのアシル−CoAとの縮合反応を触媒する活性であり得る。「セリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質またはポリペプチド」とは、L−セリンとパルミトイル−CoAなどのアシル−CoAとの縮合反応による3−ケトスフィンガニンの生産を触媒するタンパク質またはポリペプチド、あるいは複数のタンパク質またはポリペプチドからなる複合体であり得る。タンパク質、ポリペプチドまたはこれらの複合体のセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性は、それらにより生成されるセラミド前駆体(例えば3−ケトスフィンガニン、スフィンガニンなど)を測定することで決定することができる。例えば、一定の条件においてL−セリンと、パルミトイル−CoAと、あるタンパク質との存在下で生成されるセラミド前駆体を測定することにより、当該タンパク質がセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を有すると判断できる。生成されるセラミド前駆体の量は、反応液からセラミド前駆体を抽出し、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなどに供することによって測定することができる。また、基質に放射性同位体を使用すれば、生成物の放射性同位体量を定量することによって生成されるセラミド前駆体の量を測定することができる。例えば、細胞培養液からのセラミド前駆体の抽出には、クロロホルム、メタノール、アセトンなどの有機溶媒を使用することができる。
上記(d)〜(f)の遺伝子は、好ましくは、ピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフ(GT(F/L)TKSFG)を有するポリペプチドをコードしている。より好ましくは、当該ピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフが配列番号4の381位から388位、またはそれに相当する領域に存在するポリペプチドをコードしている。
ボンビコーラ、例えばスターメレラ ボンビコーラ(NBRC10243)またはスターメレラ ボンビコーラ KSM36株(FERM BP−799)などから、当該分野で用いられる任意の方法を用いて単離することができる。例えば、上記(a)および(d)の遺伝子は、スターメレラ ボンビコーラの全ゲノムDNAを抽出した後、配列番号1または3の塩基配列を元に設計したプライマーを用いたPCRにより標的遺伝子を選択的に増幅し、増幅した遺伝子を精製することで得ることができる。あるいは、上記(a)および(d)の遺伝子は、配列番号2または4で示されるセリンパルミトイルトランスフェラーゼサブユニットのアミノ酸配列に基づいて、遺伝子工学的または化学的に合成することができる。
(G)配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(H)配列番号6で示されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸残基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(I)配列番号6で示されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド
また(G)〜(I)のポリペプチドをコードする遺伝子は、アミノ酸配列が(G)〜(I)に該当する限り、いかなるコドンを選択してもよい。例えば、スターメレラ属微生物に適したコドンを選択することが好ましい。
すなわち、例えば、配列番号5に示すSLI1遺伝子のN末端開始コドンを含む配列からなるオリゴヌクレオチドA、及び該遺伝子の終始コドンを含む配列と相補的な配列からなるオリゴヌクレオチドBを化学合成し、これらのオリゴヌクレオチドAとBを1セットにし、ウィッカーハモミセス シフェリイのDNAをテンプレートとしてPCR反応を行なうことにより得ることができる。また、こうして得られる遺伝子断片を効率よくプラスミドベクター等にクローニングを行なうために、オリゴヌクレオチドプライマーの5’末端側に制限酵素切断のための配列を付加して用いることもできる。ここで、プライマーとしては、SLI1遺伝子の塩基配列に関する情報をもとにして化学合成されたヌクレオチド等が一般的に使用できるが、既に取得されたSLI1遺伝子やその断片も良好に利用できる。当該ヌクレオチドとしては、配列番号5に対応する部分ヌクレオチド配列であって、10〜50個の連続した塩基、好ましくは15〜35個の連続した塩基等が挙げられる。
また、PCRの条件は、例えば98℃2分、(98℃10秒、55℃5秒、72℃1分)×30サイクルが挙げられる。
このような断片は、(1)そのまま核酸断片として、あるいはプラスミドベクター等に導入された核酸断片として導入すること、(2)その両端に宿主が有する染色体の一部配列からなる核酸断片が付加された核酸断片として導入すること、により宿主微生物に遺伝的に安定に保持させることができる。導入する遺伝子のコピー数は何ら限定されず、シングルコピーで当該遺伝子を導入しても良いし、マルチコピーで当該遺伝子を導入しても良い。
(1)の核酸断片の宿主微生物内への導入方法としては、エレクトロポレーション法、酢酸リチウム法等が挙げられる。
また、(2)の断片を導入すれば、核酸断片に付加された宿主染色体が有する配列に相当する部位において相同組換えが起こり、導入した核酸断片が微生物内の染色体に組み込まれる。
斯かる非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)エーテル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸(炭素数8〜22)エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸(炭素数8〜22)エステル等が挙げられ、この内、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸(炭素数8〜22)エステルが好ましい。尚、好適に使用できる市販の非イオン性界面活性剤としては、例えばTween20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート)、Tween40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート)、Tween60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート)、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)、Tween85(ポリオキシエチレンソルビタントリオレアート)等が挙げられる。
<1>スターメレラ属微生物において、以下の(A)〜(F):
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド
(C)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド
(D)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(E)配列番号4で示されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド
(F)配列番号4で示されるアミノ酸配列において、1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチドより選択されるポリペプチドの発現が強化され、且つ以下の(G)〜(I):
(G)配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(H)配列番号6で示されるアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸残基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(I)配列番号6で示されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド、から選ばれるアミノ酸配列からなり、且つアセチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子が導入された改変スターメレラ属微生物。
<2>上記(A)〜(C)のポリペプチドが、配列番号2の163位、またはそれに相当する位置にシステイン残基を有する<1>の改変スターメレラ属微生物。
<3>上記(D)〜(F)のポリペプチドが、ピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフ(GT(F/L)TKSFG)を有する<1>又は<2>の改変スターメレラ属微生物。
<4>上記(B)のポリペプチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列と、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらにより好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、なお好ましくは98%以上の配列同一性を有し、上記(E)のポリペプチドは配列番号4で示されるアミノ酸配列と、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、なお好ましくは98%以上の配列同一性を有する、<1>〜<3>の改変スターメレラ属微生物。
<5>上記(A)〜(C)からなる群より選択されるポリペプチドと、上記(D)〜(F)からなる群より選択されるポリペプチドが発現強化された、<1>〜<4>の改変スターメレラ属微生物。
<6>上記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドの発現の強化が、上記スターメレラ属微生物において、該(A)〜(F)から選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の発現量を増加させた、<1>〜<5>の改変スターメレラ属微生物。
<7>上記(A)〜(C)からなる群より選択されるポリペプチドをコードする遺伝子と、上記(D)〜(F)からなる群より選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の発現量を増加させた、<5>又は<6>の改変スターメレラ属微生物。
<8>配列番号1で示される塩基配列からなる遺伝子と、配列番号3で示される塩基配列からなる遺伝子の発現量を増加させた、<5>〜<7>の改変スターメレラ属微生物。
<9>GAPDH、UGT、PHO、GAL1、ADH1、TDH3、PGK1、TPI1、又はTEF1のプロモーターのいずれか1以上と連結された上記遺伝子を含むベクターまたは該遺伝子の断片を導入した、<6>〜<8>の改変スターメレラ属微生物。
<10>GAPDHのプロモーターと連結された上記遺伝子を含むベクターまたは該遺伝子の断片を導入した、<6>〜<9>の改変スターメレラ属微生物。
<11>(G)の1〜数個が、1〜88個、好ましくは1〜66個、さらに好ましくは1〜44個、さらに好ましくは1〜22個、さらにより好ましくは8個である、<1>〜<10>の改変スターメレラ属微生物。
<12>(H)のポリペプチドが、配列番号6のアミノ酸配列と好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の同一性を有するアミノ酸配列である、<1>〜<10>の改変スターメレラ属微生物。
<13>スターメレラ属微生物が、スターメレラ ボンビコーラである<1>〜<12>の改変スターメレラ属微生物。
<14>スターメレラ ボンビコーラがスターメレラ ボンビコーラ KSM36株又はスターメレラ ボンビコーラ NBRC10243株である<13>の改変スターメレラ属微生物。
<15>さらにcyp52M1遺伝子が欠失又は不活性化されている、<1>〜<14>の改変スターメレラ属微生物。
<16><1>〜<15>の改変スターメレラ属微生物を培養する、アセチル化スフィンゴイドの製造方法。
<17>炭素数15〜20の脂肪酸又はそのアルキルエステル、炭素数15〜20の一価アルコール、及び炭素数15〜20のアルカンから選ばれる1種以上を培地に添加して前記改変スターメレラ属微生物を培養する、<16>のアセチル化スフィンゴイドの製造方法。
<18>炭素数15〜20の脂肪酸又はそのアルキルエステルが、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸若しくはアラキジン酸又はそのエチルエステルであり、炭素数15〜20の一価アルコールが、1−ヘプタデカノール又は1−オクタデカノールであり、炭素数15〜20のアルカンが、ヘプタデカン又はオクタデカンである、<17>のアセチル化スフィンゴイドの製造方法。
<19>更に、非イオン性界面活性剤を培地に添加する、<17>又は<18>のアセチル化スフィンゴイドの製造方法。
<20>非イオン性界面活性剤がTween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)である<19>のアセチル化スフィンゴイドの製造方法。
<21>スフィンゴイドの炭素鎖長が18〜20である<16>〜<20>の製造方法。
<22>アセチル化スフィンゴイドがアセチルフィトスフィンゴシンである<16>〜<21>の製造方法。
<23>アセチルフィトスフィンゴシンが、テトラアセチルフィトスフィンゴシン及び/又はトリアセチルフィトスフィンゴシンである<22>の製造方法。
以下、実施例によって本発明の内容をさらに詳細に説明する。
(1)ウラシル要求性株の取得
スターメレラ ボンビコーラ KSM36株(FERM BP−799)を0.68%
Yeast Nitrogen Base w/o amino acids、2% グルコース、0.03%ウラシルおよび1.5%Agarを含むSD−U寒天培地に接種したのち、30℃で1ヶ月間培養し、得られた菌体を1mLの0.8%食塩水に一白金耳懸濁し、0.68%Yeast Nitrogen Base w/o amino acids、2%グルコース、0.03%ウラシル、および5−フルオロオロチン酸、1.5%Agarを含むSD-UF寒天培地に100μL塗抹し30℃で2週間培養した。生育したコロニーを再度SD−UF寒天培地で培養した後、それぞれについてウラシル要求性、5−フルオロオロチン酸耐性を確認し、ウラシル要求性株を取得した。
スターメレラ ボンビコーラ KSM36株および得られたウラシル要求性株を5mLのYPD培地(2%Glucose、2% Bacto Peptone、1% Yeast Extract)を含む100mL容試験管に一白金耳植菌し、30℃、250rpmで48時間培養した。培養液1mLを5000rpm、4℃で5分間遠心して集めた菌体からGenとるくんTM(TAKARAバイオ)を用い、添付のマニュアルに従ってゲノムDNAを抽出した。表1記載のプライマー(配列番号8、9)およびKOD−plus.ver2(TOYOBO)を用いてウラシル生合成に関わるオロチジンデカルボキシラーゼをコードするURA3遺伝子を増幅し、PCR産物を鋳型としてURA3遺伝子の配列をシーケンス解析し、スターメレラ ボンビコーラ NBRC10243株の配列(GenBank accession No.DQ916828)と比較した。その結果、スターメレラ ボンビコーラ KSM36株はスターメレラ ボンビコーラ NBRC10243株のURA3遺伝子と同じ配列を有すること、ウラシル要求性株は皆54位のシステインがチロシンに変異していることが確認された。得られた変異体をスターメレラ ボンビコーラ KSM36−ura3株として取得した。
(1)において、ウラシル要求性株の変異位置が確定されたので、例えば下記の遺伝子組換え手段を用いて容易にウラシル要求性株の調製が可能である。
スターメレラ ボンビコーラ KSM36株のゲノムDNAをテンプレートとしてUra3遺伝子を配列番号8、9のプライマーを用いて増幅する。増幅した遺伝子断片を適当なベクターに導入し、54位のシステインをチロシンに点変異を導入する。点変異を導入したベクターを配列番号8、9のプライマーを用いて増幅し、URA3遺伝子に変異の導入された形質転換断片を得る。スターメレラ ボンビコーラ KSM36を、5mLのYPD培地を含む100mL形試験管に一白金耳植菌し、30度、250rpmで24時間培養する。得られた培養液を、YPD培地50mLを含む坂口フラスコに1%植菌し、30℃、120rpmでOD600=1〜2になるまで培養する。増殖した菌体を3000rpm、4℃で5分間遠心して集菌した後、氷上で冷やした滅菌水20mLで2回洗浄する。菌体を氷冷した1mLの1Mソルビトール溶液に懸濁し、5000rpm、4℃で5分間遠心し、上清を捨てたのち、400μLの1Mソルビトール溶液を加えて氷上におき、ピペッティングで懸濁する。この酵母懸濁液を50μLずつ分注し、形質転換用のDNA溶液を1μg加える。酵母懸濁液を氷冷した0.2cmギャップのチャンバーに移したのち、GENE PULSER II(BIO−RAD)を用いて25uF,350Ω、2.5kVのパルスをかける。氷冷した1Mソルビトール入りYPD培地を加えて1.5mL容チューブに移し、30℃で2時間振とうした後、5000rpm、4℃で5分間遠心して菌体を回収し、200μLの1Mソルビトール溶液に再懸濁して100μLずつ選択培地に塗抹し、30℃で約1週間培養する。選択培地には、0.68%Yeast Nitrogen Base w/o amino acids、2%グルコース、0.03%ウラシル、および5−フルオロオロチン酸、1.5%Agarを含むSD-UF寒天培地を使用する。生育したコロニーを再度SD−UF寒天培地で培養した後、それぞれについてウラシル要求性、5−フルオロオロチン酸耐性を確認し、ウラシル要求性株を取得する。
(1)LCB1またはLCB2欠損用プラスミドの作製
スターメレラ ボンビコーラ KSM36株ゲノムDNAを鋳型に、配列番号10と11および12と13のプライマーを用いて、LCB1遺伝子の上流領域および下流領域を増幅した。同様に、配列番号14と15および16と17のプライマーを用いて、LCB2遺伝子の上流領域および下流領域を増幅した。さらに、配列番号18と19および20と21のプライマーを用いて、当該プライマー領域を含むURA3遺伝子領域を増幅した。次に得られたPCR産物を鋳型にSOE-PCRによってLCB1遺伝子上流領域とURA3遺伝子とLCB1遺伝子下流領域(配列番号10、13のプライマー)、または本発明のLCB2遺伝子上流領域とURA3遺伝子とLCB2遺伝子下流領域(配列番号14、17のプライマー)の組み合わせでDNAを連結させ、pTA2ベクターとライゲーションすることによって(TOYOBO)、pTA2-lcb1::URA3プラスミドおよびpTA2-lcb2::URA3プラスミドを構築した。さらに、pTA2-lcb1::URA3プラスミドを鋳型に配列番号10、13のプライマーを使用してLCB1遺伝子欠損用カセットを増幅し、またpTA2-lcb2::URA3プラスミドを鋳型に配列番号14、17のプライマーを使用してLCB2遺伝子欠損用カセットを増幅したのち、High pure PCR product purification kit(Roche)を用いて精製した。
実施例1(1)記載のスターメレラ ボンビコーラ KSM36−ura3株に、実施例1(2)記載の方法でLCB1遺伝子欠損用断片を形質転換した。選択培地には、0.68% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids,2% グルコース、0.077% CSM−ura(フナコシ)、20〜200μM フィトスフィンゴシン(Cosmoferm)、0.05% レオドールO320V(花王)、および1.5% Agarを含むSD-ura+PHS寒天培地を使用した。生育したコロニーをSD-ura+PHS培地および0.68% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids,2% グルコース、0.077% CSM−ura(フナコシ)、および1.5% Agarを含むSD-ura寒天培地にレプリカし、30℃で約1週間培養した後、SD-ura+PHS培地のみで生育するコロニーを選抜した。選抜した変異株は、の配列番号10と13のプライマーでKOD-FX-Neo(TOYOBO)を用いてコロニーPCRし、増幅される配列長が変化していること、およびシーケンス解析により配列が設計どおりに変異していることを確認したのち、スターメレラ ボンビコーラ KSM36−Δlcb1株を得た。
スターメレラ ボンビコーラ KSM36株ゲノムDNAを鋳型に、配列番号10と13のプライマーを用いて、上流および下流領域を含むLCB1遺伝子を、配列番号14と17のプライマーを用いて、上流および下流領域を含むLCB2遺伝子を増幅した。LCB1またはLCB2を含む遺伝子増幅断片をそれぞれpTA2ベクターにライゲーションし、pTA2−LCB1プラスミドおよびpTA2−LCB2プラスミドを構築した。次に、配列番号22と23または24と25のプライマーを用いてグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のプロモーター領域を増幅した。さらに、pTA2−LCB1プラスミドには配列番号26と27のプライマー、pTA2−LCB2プラスミドには配列番号28と29のプライマーで、PrimeSTAR Max DNA
Polymerase(タカラバイオ)を用いて変異導入することにより各遺伝子のORF開始点に制限酵素NdeI用サイトを導入した。それぞれの改変プラスミドをNdeIで切断した後、GAPDHプロモーター領域をIn−Fusion HD Cloning Kit(Clontech)を用いて連結した。シーケンス解析によってGAPDHプロモーター領域が正しく挿入されたプラスミドを選抜し、pTA2−5’GAPDH−LCB1プラスミドおよびpTA2−5’GAPDH−LCB2プラスミドとした。それぞれのプラスミドを鋳型に配列番号10と13または14と17のプライマーを用いてGAPDHプロモーターを含むLCB1遺伝子およびLCB2遺伝子を増幅し、High
pure PCR product purification kit(Roche)を用いて精製した。
上記実施例2(2)で作製したスターメレラ ボンビコーラ KSM36−Δlcb1株に対して、実施例1(2)記載の方法でLCB1過剰発現用DNA断片を形質転換した。選択培地にはYPD培地を使用し、生育したコロニーをSD-ura培地および0.68% Yeast Nitrogen Base w/o amino acids,2% グルコース、0.077% CSM(フナコシ)、および1.5% Agarを含むSD-CSM寒天培地にレプリカし、30℃で約1週間培養した後、SD−CSM寒天培地のみで生育するコロニーを選抜した。選抜した変異株は、配列番号10と13のプライマーでKOD-FX-Neo(TOYOBO)を用いてコロニーPCRし、増幅される配列長が変化していること、およびシーケンス解析により配列が設計どおりに変異していることを確認したのち、スターメレラ ボンビコーラ KSM36−LCB1OE株を得た。
上記実施例2(4)で作製したスターメレラ ボンビコーラ KSM36−LCB1OE株を培養し、実施例1(2)記載の方法でLCB2遺伝子欠損用のDNA断片を形質転換した。選択培地には、SD-ura+PHS寒天培地を使用した。生育したコロニーをSD-ura+PHS培地およびSD-ura寒天培地にレプリカし、30℃で約1週間培養した後、SD-ura+PHS培地のみで生育するコロニーを選抜した。選抜した変異株は、表2記載の配列番号14、17のプライマーでKOD-FX-Neo(TOYOBO)を用いてコロニーPCRし、増幅される配列長が変化していること、およびシーケンス解析により配列が設計どおりに変異していることを確認したのち、スターメレラ ボンビコーラ KSM36−LCB1OE−Δlcb2株を得た。
上記実施例2(5)で作製したスターメレラ ボンビコーラ KSM36−LCB1OE−Δlcb2株を培養し、実施例1(2)記載の方法でLCB2過剰発現用のDNA断片を形質転換した。選択培地にはYPD培地を使用し、生育したコロニーをSD-ura+PHS培地およびSD-ura寒天培地にレプリカし、30℃で約1週間培養した後、SD-ura+PHS培地のみで生育するコロニーを選抜した。選抜した変異株は、配列番号14、17のプライマーでKOD-FX-Neo(TOYOBO)を用いてコロニーPCRし、増幅される配列長が変化していること、およびシーケンス解析により配列が設計どおりに変異していることを確認したのち、スターメレラ ボンビコーラ KSM36−LCB1OE−LCB2OE株を得た。
(1)cyp52M1::pGAPDH−SLI1−URA3断片の作製
スターメレラ ボンビコーラのコドン使用頻度に合わせて人工合成したウィッカーハモミセス シフェリイ由来アセチルトランスフェラーゼ遺伝子(WcSLI1)(配列番号7)をテンプレートとして配列番号30、31のプライマーを用いてPCRすることにより、WcSLI1遺伝子断片を得た。PCRの条件は、例えば98℃2分、(98℃10秒、55℃5秒、72℃1分)×30サイクルが挙げられる。SLI1の発現には、Glyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase(5’−GAPDH)遺伝子のプロモータ、およびをCytochrome c(3’−CYC)のターミネータを使用した。これらの配列は、配列番号32、33および34、35のプライマーを用いてスターメレラ ボンビコーラ KSM36株のゲノムDNAをテンプレートとしてPCRすることにより得た。これらをSOE−PCRを用いて連結し、[5’−GAPDH][WcSLI1][3’−CYC]の遺伝子断片を得た。この遺伝子断片とプラスミドpHsp70A/RbcS2−Chlamy(Chlamydomonas Resource Center)を制限酵素SacIとNcoIで処理したものをin−Fusion cloning kit(Clontech)を用いて連結させ、プラスミド1を得た。さらに、配列番号36、37のプライマーを用いてスターメレラ
ボンビコーラ KSM36株のゲノムDNAをテンプレートにPCRにてCYP52M1遺伝子の上流部分を増幅させ、配列番号38、39のプライマーで増幅させたプラスミド1とin−Fusion cloning kit(Clontech)を用いて連結することにより、GAPDHプロモーターの前方にCYP52M1遺伝子の上流部分を挿入し、プラスミド1−Aとした。次に、URA3遺伝子のプロモータ、ターミネータを含む領域を、配列番号40、41でスターメレラ ボンビコーラ KSM36株のゲノムDNAをテンプレートとしてそれぞれPCRにて増幅した。さらに、プラスミドpUC−Arg7−lox−B ARG7を配列番号42、43のプライマーを用いたPCRでARG7以外の領域を増幅し、in−Fusion cloning kit(Clontech)を用いてSOE−PCRの増幅物と連結し、プラスミド2を得た。さらに、配列番号44、45のプライマーを用いてスターメレラ ボンビコーラ KSM36株のゲノムDNAをテンプレートにPCRにてCYP52M1遺伝子の下流部分を増幅させ、配列番号46、47のプライマーを用いて増幅させたプラスミド2をin−Fusion cloning kit(Clontech)を用いて連結することにより、URA3ターミネータの後方にCYP52M1遺伝子の下流部分を挿入し、プラスミド2−Aとした。プラスミド1−Aおよび2−AをCre Recombinase反応によって連結させ、プラスミド3とした。配列番号48、49のプライマーを用いてプラスミド3をテンプレートにPCRにてcyp52M1::pGAPDH−WcSLI1断片を得た。
スターメレラ ボンビコーラ KSM36-ura3株および実施例2(6)で得たスターメレラ ボンビコーラ KSM36−LCB1OE−LCB2OE株を培養し、実施例1(2)記載の方法でcyp52M1::pGAPDH−WcSLI1断片を形質転換した。選択培地には、0.68% Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids,2% グルコース、0.077% CSM−ura(フナコシ),及び1.5% Agarを含むSD−ura寒天培地を使用した。生育したコロニーを配列番号48、49のプライマーを用いてKOD−FX−Neo(TOYOBO)によりコロニーPCRし、導入した遺伝子がゲノムに正しく挿入されていることを確認したのち、スターメレラ ボンビコーラ KSM36 cyp52M1::pGAPDH−WcSLI1株およびスターメレラ ボンビコーラ KSM36 LCB1OE−LCB2OE cyp52M1::pGAPDH−WcSLI1株を得た。
(1)作製した菌株の培養実施例3で作製したスターメレラ ボンビコーラ KSM36 cyp52M1::pGAPDH−WcSLI1株とスターメレラ ボンビコーラ KSM36 LCB1OE−LCB2OE cyp52M1::pGAPDH−WcSLI1株をYPD寒天培地に塗抹し、生育したコロニーを5mLのYPD培地を含む100mL容試験管に一白金耳植菌し、30度、250rpmで24時間培養した。得られた培養液500μLを5mLの改良YPD培地(10%Glucose、2% Bacto Peptone、1% Yeast Extract、25mM 塩化カルシウム二水和物および50mM L−セリン)を含む100mL容試験管に植菌し、30℃、250rpmで5日間培養し、脂質の組成を解析した。
培養液を1mL回収後、クロロホルム:メタノール(2:1)混合溶液を4 mL添加し、ボルテックスした後、15分静置した。3000rpm、15分遠心し、下層(クロロホルム層)を回収した。回収した液を窒素にて乾固させた後、1mLのメタノールに懸濁、適宜希釈し、フィルターろ過後のサンプルをLCMSにて測定した。LCMSの条件は以下の通りである。
実施例3で作製したスターメレラ ボンビコーラ KSM36 cyp52M1::pGAPDH−WcSLI1株とスターメレラ ボンビコーラ KSM36 LCB1OE−LCB2OE cyp52M1::pGAPDH−WcSLI1株を実施例4(1)と同様の方法で培養評価を行った。ここでは、改良YPD培地に50mMのペンタデカン酸エチル、パルミチン酸エチル、ヘプタデカン酸エチルオクタデカン酸エチル、ノナデカン酸エチル、アラキジン酸エチルのいずれかを添加した。評価結果を表4に示す。
スターメレラ ボンビコーラ KSM36 LCB1OE−LCB2OE cyp52M1::pGAPDH−WcSLI1株では スターメレラ ボンビコーラ KSM36
cyp52M1::pGAPDH−WcSLI1株に比べてトリアセチルフィトスフィンゴシン類の生産性は向上するが、さらにそれぞれの株に各種炭素鎖長の脂肪酸エチルエステルを添加すると生産性は大幅に向上し、スターメレラ ボンビコーラ KSM36 cyp52M1::pGAPDH−WcSLI1株の脂肪酸添加に比べて約4〜50倍生産性が向上した。
実施例3で作製したスターメレラ ボンビコーラ KSM36 LCB1OE−LCB2OE cyp52M1::pGAPDH−WcSLI1株を実施例4(1)と同様の方法で培養評価を行った。ここでは、改良YPD培地に50mMのヘプタデカン酸、ヘプタデカン酸エチル、1−ヘプタデカノール、ヘプタデカン、オクタデカン酸、オクタデカン酸エチル、1−オクタデカノール、オクタデカンのいずれかを添加した。また、これらに加えて、更にTween80(東京化成工業)を0.5質量%濃度でそれぞれ添加し、同様に評価を行った。結果を表5に示す。
脂肪酸又はそのアルキルエステル、アルコール、アルカンの添加により、トリアセチルフィトスフィンゴシン類の生産性が向上し、その効果は、非イオン性界面活性剤(Tween80)を組み合わせて添加することにより、大幅に向上した。
Claims (18)
- スターメレラ属微生物において、以下の(A)〜(F):
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド、
(C)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、1〜25個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(D)〜(F)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド、
(D)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(E)配列番号4で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド、
(F)配列番号4で示されるアミノ酸配列において、1〜28個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ(A)〜(C)のいずれかのポリペプチドと複合体を形成しセリンパルミトイルトランスフェラーゼ活性を発現するポリペプチド、より選択されるポリペプチドの発現が強化され、且つ以下の(G)〜(I):
(G)配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(H)配列番号6で示されるアミノ酸配列において1〜22個のアミノ酸残基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(I)配列番号6で示されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチド、から選ばれるアミノ酸配列からなり、且つアセチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子が導入された改変スターメレラ属微生物。 - 前記(A)〜(C)のポリペプチドが、配列番号2の163位、またはそれに相当する位置にシステイン残基を有する請求項1記載の改変スターメレラ属微生物。
- 前記(D)〜(F)のポリペプチドが、ピリドキサール−5’−リン酸結合モチーフ(GT(F/L)TKSFG)を有する請求項1又は2記載の改変スターメレラ属微生物。
- 前記(A)〜(C)からなる群より選択されるポリペプチドと、前記(D)〜(F)からなる群より選択されるポリペプチドとを発現強化する、請求項1〜3のいずれか1項記載の改変スターメレラ属微生物。
- 前記(A)〜(F)から選択されるポリペプチドの発現の強化が、前記スターメレラ属微生物において、該(A)〜(F)から選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の発現量を増加させることである、請求項1〜4のいずれか1項記載の改変スターメレラ属微生物。
- 前記(A)〜(C)からなる群より選択されるポリペプチドをコードする遺伝子と、前記(D)〜(F)からなる群より選択されるポリペプチドをコードする遺伝子の発現量を増加させた、請求項5記載の改変スターメレラ属微生物。
- 配列番号1で示される塩基配列からなる遺伝子と、配列番号3で示される塩基配列からなる遺伝子の発現量を増加させた、請求項5又は6記載の改変スターメレラ属微生物。
- GAPDH、UGTA1、UGTB1、CYP52M1、PHO1、GAL1、GAL10、ADH1、TDH3、PGK1、TPI1、PYK1、又はTEF1のプロモーターのいずれか1以上と連結された前記(A)〜(F)のポリペプチドをコードする遺伝子を含むベクターまたは該遺伝子を含むDNA断片を、前記スターメレラ属微生物に導入した、請求項5〜7のいずれか1項記載の改変スターメレラ属微生物。
- スターメレラ属微生物が、スターメレラ ボンビコーラである請求項1〜8のいずれか1項記載の改変スターメレラ属微生物。
- 請求項1〜9のいずれか1項記載の改変スターメレラ属微生物を培養する、アセチル化スフィンゴイドの製造方法。
- 炭素数15〜20の脂肪酸又はそのアルキルエステル、炭素数15〜20の一価アルコール、及び炭素数15〜20のアルカンから選ばれる1種以上を培地に添加して前記改変スターメレラ属微生物を培養する、請求項10記載のアセチル化スフィンゴイドの製造方法。
- 炭素数15〜20の脂肪酸又はそのアルキルエステルが、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸若しくはアラキジン酸又はそのエチルエステルであり、炭素数15〜20の一価アルコールが、1−ヘプタデカノール又は1−オクタデカノールであり、炭素数15〜20のアルカンが、ヘプタデカン又はオクタデカンである、請求項11記載のアセチル化スフィンゴイドの製造方法。
- 更に、非イオン性界面活性剤を培地に添加する、請求項11又は12記載のアセチル化スフィンゴイドの製造方法。
- 非イオン性界面活性剤が、Tween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)である請求項13記載のアセチル化スフィンゴイドの製造方法。
- スフィンゴイドの炭素鎖長が18〜20である請求項10〜14のいずれか1項記載のアセチル化スフィンゴイドの製造方法。
- アセチル化スフィンゴイドがアセチルフィトスフィンゴシンである請求項10〜15のいずれか1項記載のアセチル化スフィンゴイドの製造方法。
- アセチルフィトスフィンゴシンが、テトラアセチルフィトスフィンゴシン及び/又はトリアセチルフィトスフィンゴシンである請求項16記載のアセチル化スフィンゴイドの製造方法。
- スターメレラ属微生物が、スターメレラ ボンビコーラである請求項10〜17のいずれか1項記載のアセチル化スフィンゴイドの製造方法。
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