JP2024014569A - 4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチド及びその利用 - Google Patents

4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチド及びその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチド及びその利用法を提供する。【解決手段】 配列番号2で示されるアミノ酸配列において、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基が下記のアミノ酸である、又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基が下記のアミノ酸である、4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチド。(a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン(b)106位又はこれに相当する位置:アラニン(c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン(d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン(e)294位又はこれに相当する位置:セリン【選択図】なし

Description

本発明は4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチド及びその利用に関する。
ポリベンズオキサゾール(PBO)は耐熱性や力学強度に優れたエンジニアリングプラスチックとして知られており、繊維材料及び半導体素子の絶縁膜等に利用される(非特許文献1)。
ベンズオキサゾール骨格はo-アミノフェノール骨格とカルボン酸との縮合により生成される。そのため、これらの官能基を分子内に有する4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸(4,3-AHBA)類はPBOモノマーとして有用であると期待される。実際に、4,3-AHBAを用いたポリベンズオキサゾールの合成と物性評価が検討されている(非特許文献2)。
近年、地球環境負荷軽減等に向けて再生可能資源を原料とした微生物発酵による化合物の製造方法が注目されている。例えば、4,3-AHBAと類似した構造を有する3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸(3,4-AHBA)の微生物による生産とポリマー化の検討が行われている(特許文献1)。
4,3-AHBAの製造に関してはこれまで化学的にニトロ芳香族を還元し合成する方法等が知られている(特許文献2)。微生物法による4,3-AHBA発酵生産を可能にする方策としては、微生物内での生合成が可能な4-アミノ安息香酸(4-ABA)の3位を水酸化することが考えられるが、このような反応に関しては、一部の4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素がわずかに活性を有することが報告されているのみであった(非特許文献3,4)。
斯かる状況下、本出願人は、4-アミノ安息香酸水酸化活性を有する特定の4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素(HFM122)、及び高い4-アミノ安息香酸水酸化活性を有する該酵素の変異体を見出し、既に特許出願している(特許文献3~7)。
特許第5445453号公報 特許第3821350号公報 特開2020-39330号公報 特開2021-73914号公報 特開2021-101626号公報 特開2021-101627号公報 特開2022-47939号公報
村瀬浩貴,SENI GAKKAISHI(繊維と工業), Vol.66, No.6 (2010) Lon J. Mathias et al., Macromolecules, Vol.18, No.4, pp.616-622 (1985) Barrie Entsch et al., The Journal of Biological Chemistry, Vol.262, No.13, pp.6060-6068 (1987) Domenico L. Gatti et al., Biochemistry, Vol.35, No.2, pp.567-578 (1996)
本発明は、優れた4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチド及びその利用法を提供することに関する。
本発明者らは、特定のアミノ酸配列を有する4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素の変異体が、顕著に優れた4-アミノ安息香酸水酸化活性を有し、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類の製造に有用であることを見出した。
すなわち、本発明は以下の1)~7)に係るものである。
1)配列番号2で示されるアミノ酸配列において、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基が下記のアミノ酸である、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基が下記のアミノ酸である、4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチド。
(a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
(b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
(c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(e)294位又はこれに相当する位置:セリン
2)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換すること、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換することを含む、4-アミノ安息香酸水酸化活性を有する変異ポリペプチドの製造方法。
(a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
(b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
(c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(e)294位又はこれに相当する位置:セリン
3)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換すること、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換することを含む、4-アミノ安息香酸水酸化活性の向上方法。
(a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
(b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
(c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(e)294位又はこれに相当する位置:セリン
4)1)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
5)4)のポリヌクレオチドを含むベクター又はDNA断片。
6)5)のベクター又はDNA断片を含有する形質転換細胞。
7)6)の形質転換細胞を培養する工程を含む、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類の製造方法。
本発明の4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドは顕著に優れた4-アミノ安息香酸水酸化活性を有することから、これを用いることにより、4-アミノ安息香酸類から効率よく4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類を製造することができる。
本明細書において、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列の同一性は、Lipman-Pearson法(Science,1985,227:1435-1441)によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGENETYX Ver.12のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
本明細書において、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列上の「相当する位置」は、目的配列と参照配列(例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列)とを、最大の相同性を与えるように整列(アラインメント)させることにより決定することができる。アミノ酸配列またはヌクレオチド配列のアラインメントは、公知のアルゴリズムを用いて実行することができ、その手順は当業者に公知である。例えば、アラインメントは、Clustal Wマルチプルアラインメントプログラム(Thompson,J.D.et al,1994,Nucleic Acids Res.22:4673-4680)をデフォルト設定で用いることにより、行うことができる。あるいは、Clustal Wの改訂版であるClustal W2やClustal omegaを使用することもできる。Clustal W、Clustal W2及びClustal omegaは、例えば、University College Dublinが運営するClustalのウェブサイト[www.clustal.org]、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute:EBI[www.ebi.ac.uk/index.html])や、国立遺伝学研究所が運営する日本DNAデータバンク(DDBJ[www.ddbj.nig.ac.jp/searches-j.html])のウェブサイト上で利用することができる。上述のアラインメントにより参照配列の任意の位置にアラインされた目的配列の位置は、当該任意の位置に「相当する位置」とみなされる。
当業者であれば、上記で得られたアミノ酸配列のアラインメントを、最適化するようにさらに微調整することができる。そのような最適アラインメントは、アミノ酸配列の類似性や挿入されるギャップの頻度等を考慮して決定するのが好ましい。ここでアミノ酸配列の類似性とは、2つのアミノ酸配列をアラインメントしたときにその両方の配列に同一又は類似のアミノ酸残基が存在する位置の数の全長アミノ酸残基数に対する割合(%)をいう。類似のアミノ酸残基とは、タンパク質を構成する20種のアミノ酸のうち、極性や電荷の点で互いに類似した性質を有しており、いわゆる保存的置換を生じるようなアミノ酸残基を意味する。そのような類似のアミノ酸残基からなるグループは当業者にはよく知られており、例えば、アルギニンとリシン又はグルタミン;グルタミン酸とアスパラギン酸又はグルタミン;セリンとスレオニン又はアラニン;グルタミンとアスパラギン又はアルギニン;ロイシンとイソロイシン等がそれぞれ挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において、「アミノ酸残基」とは、タンパク質を構成する20種のアミノ酸残基、アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リシン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、スレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)及びバリン(Val又はV)を意味する。
本明細書において、プロモーター等の制御領域と遺伝子の「作動可能な連結」とは、遺伝子と制御領域とが、該遺伝子が該制御領域の制御の下で発現し得るように連結されていることをいう。遺伝子と制御領域との「作動可能な連結」の手順は当業者に周知である。
本明細書において、遺伝子に関する「上流」及び「下流」とは、該遺伝子の転写方向の上流及び下流をいう。例えば、「プロモーターの下流に配置された遺伝子」とは、DNAセンス鎖においてプロモーターの3’側に該遺伝子が存在することを意味し、遺伝子の上流とは、DNAセンス鎖における該遺伝子の5’側の領域を意味する。
本明細書において、細胞の機能や性状、形質に対して使用する用語「本来」とは、当該機能や性状、形質が当該細胞に元から存在していることを表すために使用される。対照的に、用語「外来」とは、当該細胞に元から存在するのではなく、外部から導入された機能や性状、形質を表すために使用される。例えば、「外来」遺伝子又はポリヌクレオチドとは、細胞に外部から導入された遺伝子又はポリヌクレオチドである。外来遺伝子又はポリヌクレオチドは、それが導入された細胞と同種の生物由来であっても、異種の生物由来(すなわち異種遺伝子又はポリヌクレオチド)であってもよい。
<4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチド>
本発明の4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチド(「本発明のポリペプチド」と称す)は、配列番号2で示されるアミノ酸配列において、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基が下記のアミノ酸である、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基が下記のアミノ酸であるポリペプチドである。
(a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
(b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
(c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(e)294位又はこれに相当する位置:セリン
斯かるポリペプチドは、基準となるポリペプチド、すなわち配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基が上記(a)~(e)のアミノ酸に置換された、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基が上記(a)~(e)のアミノ酸に置換された、4-アミノ安息香酸水酸化活性を有する変異ポリペプチドである。
本発明のポリペプチドとしては、配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位又はこれに相当する位置におけるアミノ酸残基がロイシンでありかつ106位又はこれに相当する位置におけるアミノ酸残基がアラニンであるポリペプチド、106位又はこれに相当する位置におけるアミノ酸残基がアラニンでありかつ201位又はこれに相当する位置におけるアミノ酸残基がフェニルアラニンであるポリペプチド、106位又はこれに相当する位置におけるアミノ酸残基がアラニンでありかつ294位又はこれに相当する位置におけるアミノ酸残基がセリンであるポリペプチドが好ましい。
本発明において、「4-アミノ安息香酸水酸化活性」とは、4-アミノ安息香酸類の水酸化を触媒する活性、好ましくは4-アミノ安息香酸類の3位の水酸化を触媒する活性を意味する。
4-アミノ安息香酸水酸化活性は、後述する実施例に示すとおり、本発明のポリペプチドを産生する微生物を培養し、生成する4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸量をHPLC等により測定することによって決定することができる。
斯かる本発明のポリペプチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換すること、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換することにより製造できる。
(a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
(b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
(c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(e)294位又はこれに相当する位置:セリン
ここで、配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドは、本発明のポリペプチドの「親」ポリペプチドである。
「親」ポリペプチドは、そのアミノ酸残基に所定の変異がなされることにより、本発明のポリペプチドとなる基準ポリペプチドを指す。
本発明において、配列番号2で示されるアミノ酸配列(NCBI Reference Sequence:WP_010920262.1)からなるポリペプチドであるHFM122は、4-ヒドロキシ安息香酸-3-モノオキシゲナーゼ(EC1.14.13.2)として知られている。4-ヒドロキシ安息香酸-3-モノオキシゲナーゼは、4-ヒドロキシ安息香酸の3位を水酸化してプロトカテク酸を生成する反応とその逆反応のいずれかまたは両方を促進する触媒活性を有する酵素であり、4-ヒドロキシ安息香酸類の水酸化を触媒する酵素(4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素)の一種である。
斯かるHFM122は、本出願人により、4-アミノ安息香酸水酸化活性を有することが見出されており(前記特許文献3)、またHFM122の47位、106位、201位、222位、294位のいずれかのアミノ酸残基が特定のアミノ酸に置換されたポリペプチドが、高い4-アミノ安息香酸水酸化活性を有することも見出されている(前記特許文献4~7)。
配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドとしては、配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性、具体的には、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドが挙げられる。
該親ポリペプチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位又はこれに相当する位置にバリン残基を有するものが好ましく、106位又はこれに相当する位置にメチオニン残基を有するものが好ましく、201位又はこれに相当する位置にチロシン残基を有するものが好ましく、222位又はこれに相当する位置にチロシン残基を有するものが好ましく、294位又はこれに相当する位置にスレオニン残基を有するものが好ましく、47位又はこれに相当する位置にバリン残基を有しかつ106位又はこれに相当する位置にメチオニン残基を有するもの、47位又はこれに相当する位置にバリン残基を有しかつ201位又はこれに相当する位置にチロシン残基を有するもの、47位又はこれに相当する位置にバリン残基を有しかつ222位又はこれに相当する位置にチロシン残基を有するもの、47位又はこれに相当する位置にバリン残基を有しかつ294位又はこれに相当する位置にスレオニン残基を有するもの、106位又はこれに相当する位置にメチオニン残基を有しかつ201位又はこれに相当する位置にチロシン残基を有するもの、106位又はこれに相当する位置にメチオニン残基を有しかつ294位又はこれに相当する位置にスレオニン残基を有するものがより好ましく、47位又はこれに相当する位置にバリン残基を有し、106位又はこれに相当する位置にメチオニン残基を有し、201位又はこれに相当する位置にチロシン残基を有し、222位又はこれに相当する位置にチロシン残基を有し、かつ294位又はこれに相当する位置にスレオニン残基を有するものがさらに好ましい。本発明のポリペプチドは、当該47位又はこれに相当する位置のバリンをロイシンに置換しかつ106位又はこれに相当する位置のメチオニンをアラニンに置換したもの、47位又はこれに相当する位置のバリンをロイシンに置換しかつ201位又はこれに相当する位置のチロシンをフェニルアラニンに置換したもの、47位又はこれに相当する位置のバリンをロイシンに置換しかつ222位又はこれに相当する位置のチロシンをフェニルアラニンに置換したもの、47位又はこれに相当する位置のバリンをロイシンに置換しかつ294位又はこれに相当する位置のスレオニンをセリンに置換したもの、106位又はこれに相当する位置のメチオニンをアラニンに置換しかつ201位又はこれに相当する位置のチロシンをフェニルアラニンに置換したもの、106位又はこれに相当する位置のメチオニンをアラニンに置換しかつ294位又はこれに相当する位置のスレオニンをセリンに置換したものがより好ましく、47位又はこれに相当する位置のバリンをロイシンに置換しかつ106位又はこれに相当する位置のメチオニンをアラニンに置換したもの、106位又はこれに相当する位置のメチオニンをアラニンに置換しかつ201位又はこれに相当する位置のチロシンをフェニルアラニンに置換したもの、106位又はこれに相当する位置のメチオニンをアラニンに置換しかつ294位又はこれに相当する位置のスレオニンをセリンに置換したものがさらに好ましい。
<本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド>
本発明において、親ポリペプチドのアミノ酸残基を変異させる手段としては、当技術分野で公知の各種変異導入技術を使用することができる。例えば、親ポリペプチドのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド(以下、親遺伝子ともいう)において、変異すべきアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列を、変異後のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列に変異させることにより、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを得ることができる。
親遺伝子への目的の変異の導入は、基本的には、当業者に周知の様々な部位特異的変異導入法を用いて行うことができる。部位特異的変異導入法は、例えば、インバースPCR法やアニーリング法などの任意の手法により行うことができる。市販の部位特異的変異導入用キット(例えば、アジレント・テクノロジー社のQuikChange II Site-Directed Mutagenesis Kitや、QuikChange Multi Site-Directed Mutagenesis Kit等)を使用することもできる。
親遺伝子への部位特異的変異導入は、最も一般的には、導入すべきヌクレオチド変異を含む変異用プライマーを用いて行うことができる。該変異用プライマーは、親遺伝子における変異すべきアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列を含む領域にアニーリングし、かつその変異すべきアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)に代えて変異後のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)を有するヌクレオチド配列を含むように設計すればよい。変異前及び変異後のアミノ酸残基をコードするヌクレオチド配列(コドン)は、当業者であれば通常の教科書等に基づいて適宜認識し選択することができる。あるいは、部位特異的変異導入は、導入すべきヌクレオチド変異を含む相補的な2つのプライマーを別々に用いて変異部位の上流側及び下流側をそれぞれ増幅したDNA断片を、SOE(splicing by overlap extension)-PCR(Gene,1989,77(1):p61-68)により1つに連結する方法を用いることもできる。
親遺伝子を含む鋳型DNAは、上述した4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素を産生する微生物から、常法によりゲノムDNAを抽出するか、又はRNAを抽出し逆転写によりcDNAを合成することによって、調製することができる。あるいは、親ポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて、対応するヌクレオチド配列を化学合成して鋳型DNAとして用いてもよい。4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドとして既述したHFM122をコードする塩基配列を含むDNA配列を配列番号1に示した。
変異用プライマーは、ホスホロアミダイト法(Nucleic Acids R4esearch,1989,17:7059-7071)等の周知のオリゴヌクレオチド合成法により作製することができる。そのようなプライマー合成は、例えば市販のオリゴヌクレオチド合成装置(ABI社製など)を用いて実施することもできる。該変異用プライマーを含むプライマーセットを使用し、親遺伝子を鋳型DNAとして上記のような部位特異的変異導入を行うことにより、目的の変異を有する本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを得ることができる。
当該本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、一本鎖又は2本鎖のDNA、cDNA、RNAもしくは他の人工核酸を含み得る。該DNA、cDNA及びRNAは、化学合成されていてもよい。また当該ポリヌクレオチドは、オープンリーディングフレーム(ORF)に加えて、非翻訳領域(UTR)のヌクレオチド配列を含んでいてもよい。また当該ポリヌクレオチドは、本発明の変異ポリペプチド産生用の形質転換体の種にあわせて、コドン至適化されていてもよい。各種生物が使用するコドンの情報は、Codon Usage Database([www.kazusa.or.jp/codon/])から入手可能である。
<ベクター又はDNA断片>
得られた本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドはベクターに組み込むことができる。当該ポリヌクレオチドを含有するベクターは、発現ベクターである。また好ましくは、該ベクターは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを宿主微生物に導入することができ、かつ宿主微生物内で該ポリヌクレオチドを発現することができる発現ベクターである。好ましくは、該ベクターは、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及びこれと作動可能に連結された制御領域を含む。該ベクターは、プラスミド等の染色体外で自立増殖及び複製可能なベクターであってもよく、又は染色体内に組み込まれるベクターであってもよい。
具体的なベクターの例としては、例えば、pBluescript II SK(-)(アジレント・テクノロジー)、pUC18/19、pUC118/119等のpUC系ベクター(タカラバイオ)、pET系ベクター(メルク)、pGEX系ベクター(メルク)、pCold系ベクター(タカラバイオ)、pHY300PLK(タカラバイオ)、pUB110(Mckenzie,T.et al.,1986,Plasmid 15(2):93-103)、pBR322(タカラバイオ)、pMW218/219(ニッポンジーン)、pRI909/910等のpRI系ベクター(タカラバイオ)、pBI系ベクター(クロンテック)、IN3系ベクター(インプランタイノベーションズ)、pPTR1/2(タカラバイオ)、pDJB2(D.J.Ballance et al.,Gene,36,321-331,1985)、pAB4-1(van Hartingsveldt W et al.,Mol Gen Genet,206,71-75,1987)、pLeu4(M.I.G.Roncero et al.,Gene,84,335-343,1989)、pPyr225(C.D.Skory et al.,Mol Genet Genomics,268,397-406,2002)、pFG1(Gruber,F.et al.,Curr Genet,18,447-451,1990)等が挙げられる。
また、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、これを含むDNA断片として構築されていてもよい。該DNA断片としては、例えば、PCR増幅DNA断片及び制限酵素切断DNA断片が挙げられる。好ましくは、該DNA断片は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及びこれと作動可能に連結された制御領域を含む発現カセットであり得る。
上記ベクター又はDNA断片に含まれる制御領域は、該ベクター又はDNA断片が導入された宿主細胞内で本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現させるための配列であり、例えばプロモーターやターミネーター等の発現調節領域、複製開始点等が挙げられる。該制御領域の種類は、ベクター又はDNA断片を導入する宿主微生物の種類に応じて適宜選択することができる。必要に応じて、該ベクター又はDNA断片はさらに、抗生物質耐性遺伝子、アミノ酸合成関連遺伝子等の選択マーカー(例えば、アンピシリン、ネオマイシン、カナマイシン、クロラムフェニコールなどの薬剤の耐性遺伝子)を有していてもよい。
上記ベクター又はDNA断片には、4-アミノ安息香酸類を生合成するために必要なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列が含まれていてもよい。4-アミノ安息香酸類を生合成するために必要なポリペプチドとしては、例えば、4-アミノ-4-デオキシコリスミ酸シンターゼ(4-amino-4-deoxychorismate synthase,pabAB)や4-アミノ-4-デオキシコリスミ酸リアーゼ(4-amino-4-deoxychorismate lyase,pabC)等が挙げられる。
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと上記制御領域や、マーカー遺伝子配列との連結は、上述したSOE-PCR法やシームレスクローニング法などの方法によって行うことができる。ベクターへの遺伝子配列の導入手順は、当該分野で周知である。プロモーター領域、ターミネーター、分泌シグナル領域等の制御領域の種類は、特に限定されず、導入する宿主に応じて、通常使用されるプロモーターや分泌シグナル配列を適宜選択して用いることができる。
該制御領域の好適な例としては、野生型に比較して発現を強化できる強制御領域、例えば公知の高発現プロモーターであるT7プロモーター、lacプロモーター、tacプロモーター、trpプロモーター、gapプロモーター、tufプロモーター等が例示されるが、これらに特に限定されない。
<形質転換細胞>
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクターを宿主へ導入するか、又は本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むDNA断片を宿主のゲノムに導入することにより、本発明の形質転換細胞を得ることができる。
斯かる形質転換細胞は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが発現可能なように導入された細胞であり、当該ポリヌクレオチドの発現が強化された細胞、ひいては本発明のポリペプチドの発現が強化された細胞であると言える。
宿主細胞としては、真菌、酵母、放線菌、大腸菌、枯草菌等、いずれを用いてもよいが、大腸菌、放線菌が好ましい。放線菌としては、コリネバクテリウム属菌、マイコバクテリウム属菌、ロドコッカス属菌、ストレプトマイセス属菌、プロピオニバクテリウム属菌等が挙げられ、好ましくはコリネバクテリウム属菌であり、より好ましくはコリネバクテリウム・グルタミカムである。
中でも、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類の生合成の基質となる4-アミノ安息香酸類を供給できる微生物が好ましく、4-アミノ安息香酸類の供給能が強化された微生物がより好ましい。微生物の4-アミノ安息香酸類の供給能を強化する方法としては、例えば、4-アミノ安息香酸類を生合成するために必要なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及びこれと作動可能に連結された制御領域を含むベクターを微生物に導入する方法や、微生物が本来有する4-アミノ安息香酸類を生合成するために必要なポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチドの制御領域を強発現プロモーターに置換する方法などが挙げられる。
宿主へのベクター又はDNA断片の導入の方法としては、例えばエレクトロポレーション法、トランスフォーメーション法、トランスフェクション法、接合法、プロトプラスト法、パーティクル・ガン法、アグロバクテリウム法等を用いることができる。
また、ポリヌクレオチドを宿主のゲノムに導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、該ポリヌクレオチドを含むDNA断片を用いた2重交差法が挙げられる。該DNA断片は、上述する宿主細胞において発現量の多い遺伝子のプロモーター配列の下流に導入されてもよく、あるいは、予め該DNA断片と上述した制御領域とを作動可能に連結した断片を作製し、当該連結断片を宿主のゲノムに導入してもよい。さらに、該DNA断片は、本発明のポリヌクレオチドが適切に導入された細胞を選択するためのマーカー(薬剤耐性遺伝子や栄養要求性相補遺伝子など)と予め連結されていてもよい。
目的のベクター又はDNA断片が導入された形質転換細胞は、選択マーカーを利用して選択することができる。例えば、選択マーカーが抗生物質耐性遺伝子である場合、該抗生物質添加培地で培養することで、目的のベクター又はDNA断片が導入された形質転換細胞を選択することができる。また例えば、選択マーカーがアミノ酸合成関連遺伝子である場合、該アミノ酸要求性の宿主微生物に遺伝子導入した後、該アミノ酸要求性の有無を指標に、目的のベクター又はDNA断片が導入された形質転換細胞を選択することができる。あるいは、PCR等によって形質転換細胞のDNA配列を調べることで目的のベクター又はDNA断片の導入を確認することもできる。
斯くして得られた形質転換細胞は、これを適切な培地で培養すれば、当該細胞に導入されたポリヌクレオチドが発現して、本発明のポリペプチドが生成される。すなわち、当該形質転換細胞は、4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチド産生菌となり得る。そして、後述する実施例に示すとおり、本発明の形質転換細胞を培養した場合、親ポリペプチドを産生する形質転換細胞を用いた場合に比べて4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の生産性が顕著に向上する。本発明のポリペプチドは、親ポリペプチドのアミノ酸配列の特定の2箇所のアミノ酸残基が所定のアミノ酸であるアミノ酸配列からなる。本発明の形質転換細胞を培養した場合、親ポリペプチドのアミノ酸配列の該特定の2箇所のうちの一方の位置だけが所定のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるポリペプチドを産生する形質転換細胞を用いた場合に比べて4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の生産性が顕著に向上し、その向上率は後者のポリペプチドから予想される生産能向上率をさらに上回るものである。
すなわち、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換する変異、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換する変異は、4-アミノ安息香酸水酸化活性の相乗的な向上に有用であり、ひいては4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類の生産性の相乗的な向上に有用である。
(a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
(b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
(c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(e)294位又はこれに相当する位置:セリン
そして、本発明の形質転換細胞は、4-アミノ安息香酸水酸化活性が顕著に向上されたポリペプチドの産生菌であり、有用な4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類の生産株である。
<4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類の製造>
本発明の4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類の製造方法は、本発明の形質転換細胞を培養する工程を含み、培地中から4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類を回収することにより4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類を取得できる。
本発明において、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類としては、具体的には下記の一般式(1):
Figure 2024014569000001
〔式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基(-OH)、メトキシ基(-OCH)、アミノ基(-NH)、フッ素原子(-F)、塩素原子(-Cl)、臭素原子(-Br)、ヨウ素原子(-I)、カルボキシ基(-COOH)、メチル基(-CH)、エチル基(-CHCH)を示し、Rは水素原子又はヒドロキシ基(-OH)、メトキシ基(-OCH)、アミノ基(-NH)、フッ素原子(-F)、塩素原子(-Cl)、臭素原子(-Br)、ヨウ素原子(-I)、カルボキシ基(-COOH)、メチル基(-CH)又はエチル基(-CHCH)を示し、X及びXは水素原子又はヒドロキシ基であって少なくとも一方はヒドロキシ基を示す。〕
で示される4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸誘導体が挙げられる。
で示される官能基としては、水素原子、ヒドロキシ基(-OH)、メトキシ基(-OCH)、フッ素原子(-F)又はメチル基(-CH)が好ましい。
で示される官能基としては、水素原子、ヒドロキシ基(-OH)、メトキシ基(-OCH)、フッ素原子(-F)又はメチル基(-CH)が好ましい。
及びRは、共に水素原子であるのがより好ましい。
また、X及びXは、共にヒドロキシ基であってもよいが、X又はXの何れか一方がヒドロキシ基であるのが好ましい。
なお、当該培地には、必要に応じて、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類の生合成の基質となる4-アミノ安息香酸類を存在させることができる。
ここで、4-アミノ安息香酸類としては、下記一般式(2):
Figure 2024014569000002
〔式中、R及びRは前記と同じものを示す。〕
で示される4-アミノ安息香酸誘導体が挙げられる。
形質転換細胞を培養する培地は、炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、本発明の形質転換細胞の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、例えば、グルコース等の糖類、グリセリン等のポリオール類、エタノール等のアルコール類、またはピルビン酸、コハク酸もしくはクエン酸等の有機酸類を使用することができる。また、窒素源としては、例えば、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕アルカリ抽出物、メチルアミン等のアルキルアミン類、またはアンモニアもしくはその塩等を使用することができる。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛等の塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミン、消泡剤等も必要に応じて使用してもよい。
培養は、通常、10℃~40℃で、6時間~96時間、好ましくは24時間~96時間、より好ましくは48時間~96時間、必要に応じ撹拌または振とうしながら行うことができる。また、培養中は必要に応じてアンピシリンやカナマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
培養物からの4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類の回収及び精製方法は特に制限されない。すなわち、周知のイオン交換樹脂法、沈澱法、晶析法、再結晶法、濃縮法その他の方法を組み合わせることにより実施できる。例えば、菌体を遠心分離等で除去した後、カチオン及びアニオン交換樹脂でイオン性の物質を除き、濃縮すれば4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類を取得することができる。培養物中に蓄積された4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類は、そのまま単離することなく用いてもよい。
本発明はまた、例示的実施形態として以下の物質、製造方法、用途、方法等を包含する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
<1>配列番号2で示されるアミノ酸配列において、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基が下記のアミノ酸である、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基が下記のアミノ酸である、4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチド。
(a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
(b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
(c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(e)294位又はこれに相当する位置:セリン
<2>配列番号2で示されるアミノ酸配列において、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基が下記のアミノ酸に置換された、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基が下記のアミノ酸に置換された、4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチド。
(a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
(b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
(c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(e)294位又はこれに相当する位置:セリン
<3>アミノ酸残基の置換が47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ106位又はこれに相当する位置のメチオニンのアラニンへの置換、47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ201位又はこれに相当する位置のチロシンのフェニルアラニンへの置換、47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ222位又はこれに相当する位置のチロシンのフェニルアラニンへの置換、47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ294位又はこれに相当する位置のスレオニンのセリンへの置換、106位又はこれに相当する位置のメチオニンのアラニンへの置換かつ201位又はこれに相当する位置のチロシンのフェニルアラニンへの置換、106位又はこれに相当する位置のメチオニンのアラニンへの置換かつ294位又はこれに相当する位置のスレオニンのセリンへの置換である、<2>のポリペプチド。
<4>配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換すること、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換することを含む、4-アミノ安息香酸水酸化活性を有する変異ポリペプチドの製造方法。
(a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
(b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
(c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(e)294位又はこれに相当する位置:セリン
<5>アミノ酸残基の置換が47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ106位又はこれに相当する位置のメチオニンのアラニンへの置換、47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ201位又はこれに相当する位置のチロシンのフェニルアラニンへの置換、47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ222位又はこれに相当する位置のチロシンのフェニルアラニンへの置換、47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ294位又はこれに相当する位置のスレオニンのセリンへの置換、106位又はこれに相当する位置のメチオニンのアラニンへの置換かつ201位又はこれに相当する位置のチロシンのフェニルアラニンへの置換、106位又はこれに相当する位置のメチオニンのアラニンへの置換かつ294位又はこれに相当する位置のスレオニンのセリンへの置換である、<4>の方法。
<6>配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換すること、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換することを含む、4-アミノ安息香酸水酸化活性の向上方法。
(a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
(b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
(c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(e)294位又はこれに相当する位置:セリン
<7>アミノ酸残基の置換が47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ106位又はこれに相当する位置のメチオニンのアラニンへの置換、47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ201位又はこれに相当する位置のチロシンのフェニルアラニンへの置換、47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ222位又はこれに相当する位置のチロシンのフェニルアラニンへの置換、47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ294位又はこれに相当する位置のスレオニンのセリンへの置換、106位又はこれに相当する位置のメチオニンのアラニンへの置換かつ201位又はこれに相当する位置のチロシンのフェニルアラニンへの置換、106位又はこれに相当する位置のメチオニンのアラニンへの置換かつ294位又はこれに相当する位置のスレオニンのセリンへの置換である、<6>の方法。
<8>配列番号2で示されるアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドを用いて4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類を製造する場合において、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換すること、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドにおいて、47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換することを含む、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類の生産性向上方法。
(a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
(b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
(c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
(e)294位又はこれに相当する位置:セリン
<9>アミノ酸残基の置換が47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ106位又はこれに相当する位置のメチオニンのアラニンへの置換、47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ201位又はこれに相当する位置のチロシンのフェニルアラニンへの置換、47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ222位又はこれに相当する位置のチロシンのフェニルアラニンへの置換、47位又はこれに相当する位置のバリンのロイシンへの置換かつ294位又はこれに相当する位置のスレオニンのセリンへの置換、106位又はこれに相当する位置のメチオニンのアラニンへの置換かつ201位又はこれに相当する位置のチロシンのフェニルアラニンへの置換、106位又はこれに相当する位置のメチオニンのアラニンへの置換かつ294位又はこれに相当する位置のスレオニンのセリンへの置換である、<8>の方法。
<10><1>~<3>のいずれかに記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
<11><10>のポリヌクレオチドを含むベクター又はDNA断片。
<12><11>のベクター又はDNA断片を含有する形質転換細胞。
<13>大腸菌又はコリネバクテリム属菌である、<12>記載の形質転換細胞。
<14>4-アミノ安息香酸類を供給可能な微生物である、<12>又は<13>の形質転換細胞。
<15>4-アミノ安息香酸類の供給能が向上した、<12>又は<13>の形質転換細胞。
<16>4-アミノ安息香酸類を生合成するために必要なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド及びこれと作動可能に連結された制御領域を含むベクターが導入された微生物である、<15>の形質転換細胞。
<17>4-アミノ安息香酸類を生合成するために必要なポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチドの制御領域が強発現プロモーターに置換された微生物である、<15>の形質転換細胞。
<18><12>~<17>のいずれかの形質転換細胞を培養する工程を含む、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類の製造方法。
<19>炭素源として糖類を含む培地で培養される、<18>の方法。
<20>4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類を培地から回収する工程を含む、<18>又は<19>の方法。
<21>培養が4-アミノ安息香酸類の存在下で行われる、<18>~<20>のいずれかの方法。
<22>4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類が、下記の一般式(1):
Figure 2024014569000003
〔式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシ基、メチル基、エチル基を示し、Rは水素原子又はヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシ基、メチル基、又はエチル基を示し、X及びXは水素原子又はヒドロキシ基であって少なくとも一方はヒドロキシ基を示す。〕
で示される4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸誘導体である<18>~<21>のいずれかの方法。
<23>4-アミノ安息香酸類が、下記の一般式(2):
Figure 2024014569000004
〔式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシ基、メチル基、エチル基を示し、Rは水素原子又はヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシ基、メチル基、又はエチル基を示す。〕
で示される4-アミノ安息香酸誘導体である<21>又は<22>の方法。
以下、試験例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
試験例1 4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の生産
(1)HFM122又はHFM122変異体をコードする遺伝子を含むプラスミドの作製
以下の試験例において、PCRはKOD One PCR Master Mix(東洋紡)を使用して行った。PCR産物に対してDpnI(タカラバイオ)処理を行った後、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up(タカラバイオ)を用いてDNA断片を精製した。DNA断片の連結にはIn-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)を用いた。連結されたDNA断片を用いてECOS Competent E. coli JM109株(ニッポンジーン)を形質転換し、細胞液をLBKm寒天培地(Difco LB Broth Lennox 20g/L、カナマイシン硫酸塩 50μg/mL、寒天 1.5%)に塗布した後37℃で一晩静置し、得られたコロニーをTBKm液体培地(Difco Terrific Broth 47.6 g/L、カナマイシン硫酸塩 50μg/mL)750μLに接種し、37℃で一晩培養した。得られた菌体からNucleoSpin Plasmid EasyPure(タカラバイオ)を用いてプラスミドを調製した。得られたプラスミドのDNA配列解析はサンガー法により行った(ユーロフィンジェノミクス)。
(a)プラスミドpKCG1の作製
コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)ATCC13058株から抽出されたプラスミドpHM1519(Agric. Biol. Chem., 48, 2901-2903, (1984))を鋳型に、プライマーpHM1519-Fw(配列番号3、CGTCGCTGATCGCCCTCGCGAC)とpHM1519-Rv(配列番号4、TTGGGAGCAGTCCTTGTGCGCTTACGAG)を用いたPCRにてDNA断片を増幅した。また、プラスミドpHSG299(タカラバイオ)を鋳型に、プライマーpHSG299-Fw(配列番号5、AAGGACTGCTCCCAATACGGTTATCCACAGAATCA)とpHSG299-Rv(配列番号6、GGGCGATCAGCGACGACTGGCCGTCGTTTTACAAC)を用いたPCRにてDNA断片を増幅した。これらのPCR産物を連結することでプラスミドpKCG1を得た。
(b)プラスミドpKCG1_PtufT1の作製
プラスミドpKCG1を鋳型に、プライマーpHM1519-Fw(配列番号3)とpKCG1vec-Rv(配列番号7、GGATCTAAACGATCTACTGGCCGTCGTTTTACAAC)を用いたPCRにてベクター用DNA断片を増幅した。続いて、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株のゲノムを鋳型に、tuf遺伝子(cg0587)のプロモーター(以下、tufプロモーターと称する)を含むDNA断片をプライマーPtuf-Fw(配列番号8、AGATCGTTTAGATCCGAAGGAAAACGTCGAAAAGC)とPtuf-Rv(配列番号9、TGTATGTCCTCCTGGACTTCGTGGTGGCTAC)を用いたPCRにて増幅した。さらに、人工合成により作製したターミネーター配列を含むDNA断片(配列番号10、GGTAGTGTGGGGTCTCCCCATGCGAGAGTAGGGAACTGCCAGGCATCAAATAAAACGAAAGGCTCAGTCGAAAGACTGGGCCTTTCGTTTTATCTGTTGTTTGTCGGTGAACGCTCTCCTGAGTAGGACAAATCCGCCGGGAGCGGATTT)を鋳型に、プライマーT1-Fw(配列番号11、CCAGGAGGACATACAGGTAGTGTGGGGTCTCCCCA)とT1-Rv(配列番号12、GGGCGATCAGCGACGAAATCCGCTCCCGGCGGATT)を用いたPCRにて増幅した。これらのPCR産物を連結することでプラスミドpKCG1_PtufT1を得た。
(c)プラスミドpKCG1_PtufT1_HFM122の作製
プラスミドpKCG1_PtufT1を鋳型に、プライマーpKCG1_PtufT1vec-Fw(配列番号13、GGTAGTGTGGGGTCTCCCCATGC)とpKCG1_PtufT1vec-Rv(配列番号14、TGTATGTCCTCCTGGACTTCGTGGTGGCTAC)を用いたPCRにてベクター用DNA断片を増幅した。続いて、4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドHFM122をコードする遺伝子(配列番号1)を人工遺伝子合成により作製し、これを鋳型としてプライマーHFM122-Fw(配列番号15、CCAGGAGGACATACAATGCGCACTCAGGTGGCTAT)とHFM122-Rv(配列番号16、AGACCCCACACTACCTTATACGAGTGGCAGTCCTA)を用いたPCRにてインサート用DNA断片を合成した。これらのPCR産物を連結することでプラスミドpKCG1_PtufT1_HFM122を得た。構築したプラスミドにおいては、tufプロモーターの制御下に野生型HFM122をコードする遺伝子が連結されている。
(d)変異型酵素をコードする遺伝子を含むプラスミドの作製
プラスミドpKCG1_PtufT1_HFM122を鋳型として、相補的プライマーHFM122 V47L F(配列番号17、GCTGGTCTCCTGGAACGTATCACGGTG)、HFM122 V47L R(配列番号18、TTCCAGGAGACCAGCCCGAACTCGGCC)を用いたPCRにてプラスミドpKCG1_PtufT1_HFM122_V47Lを構築した。
同様に、プライマーHFM122 V47L FおよびHFM122 V47L Rに代えて表1の「プライマー」に示すプライマーを用いたPCRにて各酵素変異体をコードする遺伝子を含むプラスミドを得た。
Figure 2024014569000005
(2)4-アミノ安息香酸の生合成能力が強化された宿主細胞の作製
(a)cg1829(aroC)プロモーター領域にtufプロモーターを導入したプラスミドの構築
cg1829遺伝子領域の5’側上流領域(配列番号27)を2種類のDNAプライマー(配列番号28と29)にて増幅し、またcg1829遺伝子ORF中の5’側領域(配列番号30)を2種類のDNAプライマー(配列番号31と32)にて増幅し、DNA断片を得た。また、tufプロモーターを含むDNA断片(配列番号33)をATCC13032株のゲノムをテンプレートとして、2種類のDNAプライマー(配列番号34と35)にて増幅して、DNA断片を得た。また、pHKPsacB1を鋳型にし、2種類のDNAプライマー(配列番号36と37)にて増幅し、得られたPCR産物に対してDpnI(タカラバイオ)による処理を行った。得られた4種類のPCR産物に対し、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up(タカラバイオ)を用いて各DNA断片を精製し、In-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)により連結することでプラスミドpHKPsacB_Ptuf-aroCを作製した。
(b)cg1829(aroC)プロモーター領域にtufプロモーターを導入した株の作製
エレクトロポレーションによる形質転換法を用いて、上述のプラスミドpHKPsacB_Ptuf-aroCをKC315株(特願2021-201877)に導入し、カナマイシン耐性で選択することにより、KC367sr株を取得した。配列番号28と38のプライマーを用いるPCR法(Sapphire Amp(タカラバイオ))によりKC367sr株を解析したところ、予想通りの結果が得られたことから、KC367sr株はプラスミドpHKPsacB_Ptuf-aroCが導入された1回交差型相同組換え体であることを確認した。
KC367sr株を1mLのLB液体培地(10g/Lトリプトン、5g/L酵母エキス、10g/L塩化ナトリウム)の中で24時間培養し、培養液の一部を20%スクロース含有LB寒天培地上で塗抹培養することにより、KC367株を得た。配列番号38と39のプライマーを用いるPCR法(Sapphire Amp(タカラバイオ))により、KC367株が予想通りcg1829(aroC)プロモーター領域にtufプロモーターを導入されている2回交差型相同組換え体であることを確認した。
(c)cg1774(tkt)プロモーター領域にtufプロモーターを導入したプラスミドの構築
cg1774遺伝子領域の5’側上流領域(配列番号40)を2種類のDNAプライマー(配列番号41と42)にて増幅し、またcg1774遺伝子ORF中の5’側領域(塩基番号43)を2種類のDNAプライマー(配列番号44と45)にて増幅し、DNA断片を得た。また、tufプロモーターを含むDNA断片(配列番号33)をATCC13032株のゲノムをテンプレートとして、2種類のDNAプライマー(配列番号34と35)にて増幅して、DNA断片を得た。また、pHKPsacB1を鋳型にし、2種類のDNAプライマー(配列番号36と37)にて増幅し、得られたPCR産物に対してDpnI(タカラバイオ)による処理を行った。得られた4種類のPCR産物に対し、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up(タカラバイオ)を用いて各DNA断片を精製し、In-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)により連結することでプラスミドpHKPsacB_Ptuf-tktを作製した。
(d)cg1774(tkt)プロモーター領域にtufプロモーターを導入した株の作製
エレクトロポレーションによる形質転換法を用いて、上述のプラスミドpHKPsacB_Ptuf-tktをKC367株に導入し、カナマイシン耐性で選択することにより、KC376sr株を取得した。配列番号41と46のプライマーを用いるPCR法(Sapphire Amp(タカラバイオ))によりKC376sr株を解析したところ、予想通りの結果が得られたことから、KC376sr株はプラスミドpHKPsacB_Ptuf-tktがcg1774のプロモーター領域に導入された1回交差型相同組換え体であることを確認した。
KC376sr株を1mLのLB液体培地(10g/Lトリプトン、5g/L酵母エキス、10g/L塩化ナトリウム)の中で24時間培養し、培養液の一部を20%スクロース含有LB寒天培地上で塗抹培養することにより、KC376株を得た。配列番号46と47のプライマーを用いるPCR法(Sapphire Amp(タカラバイオ))により、KC376株が予想通りcg1774(tkt)プロモーター領域にtufプロモーターを導入されている2回交差型相同組換え体であることを確認した。
(e)cg0644(ppsA)プロモーター領域にtufプロモーターを導入したプラスミドの構築
cg0644遺伝子領域の5’側上流領域(配列番号48)を2種類のDNAプライマー(配列番号49と50)にて増幅し、またcg0644遺伝子ORF中の5’側領域(塩基番号51)を2種類のDNAプライマー(配列番号52と53)にて増幅し、DNA断片を得た。また、tufプロモーターを含むDNA断片(配列番号33)をATCC13032株のゲノムをテンプレートとして、2種類のDNAプライマー(配列番号34と35)にて増幅して、DNA断片を得た。また、pHKPsacB1を鋳型にし、2種類のDNAプライマー(配列番号36と37)にて増幅し、得られたPCR産物に対してDpnI(タカラバイオ)による処理を行った。得られた4種類のPCR産物に対し、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up(タカラバイオ)を用いて各DNA断片を精製し、In-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)により連結することでプラスミドpHKPsacB_Ptuf-ppsAを作製した。
(f)cg0644(ppsA)プロモーター領域にtufプロモーターを導入した株の作製
エレクトロポレーションによる形質転換法を用いて、上述のプラスミドpHKPsacB_Ptuf-ppsAをKC376株に導入し、カナマイシン耐性で選択することにより、KC408sr株を取得した。配列番号49と54のプライマーを用いるPCR法(Sapphire Amp(タカラバイオ))によりKC408sr株を解析したところ、予想通りの結果が得られたことから、KC408sr株はプラスミドpHKPsacB_Ptuf-ppsAが導入された1回交差型相同組換え体であることを確認した。
KC408sr株を1mLのLB液体培地(10g/Lトリプトン、5g/L酵母エキス、10g/L塩化ナトリウム)の中で24時間培養し、培養液の一部を20%スクロース含有LB寒天培地上で塗抹培養することにより、KC408株を得た。配列番号54と55のプライマーを用いるPCR法(Sapphire Amp(タカラバイオ))により、KC408株が予想通りcg0644(ppsA)プロモーター領域にtufプロモーターを導入されている2回交差型相同組換え体であることを確認した。
(g)cg0502(qsuB)遺伝子領域を欠損するためのプラスミドの構築
cg0502遺伝子領域の5’側上流領域(配列番号56)を2種類のDNAプライマー(配列番号57と58)にて増幅し、またcg0502遺伝子領域の3’側下流領域(塩基番号59)を2種類のDNAプライマー(配列番号60と61)にて増幅し、DNA断片を得た。また、pHKPsacB1を鋳型にし、2種類のDNAプライマー(配列番号36と37)にて増幅し、得られたPCR産物に対してDpnI(タカラバイオ)による処理を行った。得られた3種類のPCR産物に対し、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up(タカラバイオ)を用いて各DNA断片を精製し、In-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)により連結することでプラスミドpHKPsacB_ΔqsuBを作製した。
(h)cg0502(qsuB)遺伝子領域を欠損した株の作製
エレクトロポレーションによる形質転換法を用いて、上述のプラスミドpHKPsacB_ΔqsuBをKC408株に導入し、カナマイシン耐性で選択することにより、KC525sr株を取得した。配列番号57と62のプライマーを用いるPCR法(Sapphire Amp(タカラバイオ))によりKC525sr株を解析したところ、予想通りの結果が得られたことから、KC525sr株はプラスミドpHKPsacB_ΔqsuBが導入された1回交差型相同組換え体であることを確認した。
KC525sr株を1mLのLB液体培地(10g/Lトリプトン、5g/L酵母エキス、10g/L塩化ナトリウム)の中で24時間培養し、培養液の一部を20%スクロース含有LB寒天培地上で塗抹培養することにより、KC418株を得た。配列番号62と63のプライマーを用いるPCR法(Sapphire Amp(タカラバイオ))により、KC525株が予想通りcg(qsuB)遺伝子領域が欠損されている2回交差型相同組換え体であることを確認した。
(i)cg1134(pabAB)プロモーター領域にtufプロモーターを導入するためのプラスミドの構築
cg1134遺伝子領域の5’側上流領域(配列番号64)を2種類のDNAプライマー(配列番号65と66)にて増幅し、またcg1134遺伝子ORF中の5’側領域(配列番号67)を2種類のDNAプライマー(配列番号68と69)にて増幅し、DNA断片を得た。また、tufプロモーターを含むDNA断片(配列番号33)をATCC13032株のゲノムをテンプレートとして、2種類のDNAプライマー(配列番号34と35)にて増幅して、DNA断片を得た。また、pHKPsacB1を鋳型にし、2種類のDNAプライマー(配列番号36と37)にて増幅し、得られたPCR産物に対してDpnI(タカラバイオ)による処理を行った。得られた4種類のPCR産物に対し、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up(タカラバイオ)を用いて各DNA断片を精製し、In-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)により連結することでプラスミドpHKPsacB_Ptuf-pabABを作製した。
(j)cg1134(pabAB)プロモーター領域にtufプロモーターを導入した株の作製
エレクトロポレーションによる形質転換法を用いて、上述のプラスミドpHKPsacB_Ptuf-pabABをKC525株に導入し、カナマイシン耐性で選択することにより、KC551sr株を取得した。配列番号65と70のプライマーを用いるPCR法(Sapphire Amp(タカラバイオ))によりKC551sr株を解析したところ、予想通りの結果が得られたことから、KC551sr株はプラスミドpHKPsacB_Ptuf-pabABが導入された1回交差型相同組換え体であることを確認した。
KC551sr株を1mLのLB液体培地(10g/Lトリプトン、5g/L酵母エキス、10g/L塩化ナトリウム)の中で24時間培養し、培養液の一部を20%スクロース含有LB寒天培地上で塗抹培養することにより、KC551株を得た。配列番号70と71のプライマーを用いるPCR法(Sapphire Amp(タカラバイオ))により、KC551株が予想通りcg1134(pabAB)プロモーター領域にtufプロモーターを導入されている2回交差型相同組換え体であることを確認した。
(3)プラスミドの宿主細胞への導入
上記で得られた各プラスミドを用いて、コリネバクテリウム・グルタミカムKC551株をエレクトロポレーション法(ELEPO21、ネッパジーン)により形質転換した。得られた形質転換細胞液をLBKm寒天培地に塗布した後30℃で2日間静置し、得られたコロニーを形質転換株とした。
(4)形質転換株の培養
上記で得られた形質転換株をそれぞれ表2に示すCGTG15培地(カナマイシン硫酸塩50μg/mLを含む)750μLに接種し、30℃で48時間培養した後、遠心分離により菌体を除去したものを培養上清とした。形質転換株の4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸生産能を下記式(数1)に従い算出し、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸生産能の向上率を下記式(数2)に従い算出した。ここで、「WT」は「野生型酵素をコードする遺伝子を含むプラスミドが導入された形質転換株」を示し、「MT」は「変異型酵素をコードする遺伝子を含むプラスミドが導入された形質転換株」を示す。
(数1)
4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸生産能=培養上清中の4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸量/培養上清中の4-アミノ安息香酸量
(数2)
生産能向上率=MTの4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸生産能/WTの4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸生産能
(5)結果
表3に示す通り、各変異型酵素を導入した菌株は野生型酵素を導入した菌株よりも4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の生産能が向上した。特に、HFM122のアミノ酸配列においていずれか2つの位置のアミノ酸が置換されたものをコードする遺伝子を含むプラスミドが導入された形質転換株の生産能向上率(2重変異体の生産能向上率)のうち、V47L_M106A変異体、V47L_Y201F変異体、V47L_Y222F変異体、V47L_T294S変異体、M106A_Y201F変異体、M106A_T294S変異体をコードする遺伝子を含むプラスミドが導入された形質転換株の生産能向上率は、いずれか1つの位置のアミノ酸が置換されたものをコードする遺伝子を含むプラスミドが導入された形質転換株の生産能向上率(1重変異体の生産能向上率)から下記式(数3)によって予想される2重変異体の生産能向上率と比較して、さらに上回る結果であった。
(数3)
予想される2重変異体の生産能向上率=一方の1重変異体の生産能向上率+他方の1重変異体の生産能向上率
参考例1 4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の定量
4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の定量はHPLCにより行った。培養上清を0.1%リン酸にて10倍希釈した後、アクロプレップ96フィルタープレート(0.2μmGHP膜、日本ポール)を用いて不溶物の除去を行いHPLCに供した。HPLCの装置は、Chromaster(日立ハイテクサイエンス)を用いた。分析カラムには、L-カラム ODS(4.6mm I.D.×150mm、化学物質評価研究機構)を用い、溶離液Aを0.1M リン酸二水素カリウムの0.1%リン酸溶液、溶離液Bを70%メタノールとし、流速1.0mL/分、カラム温度40℃の条件にてグラジエント溶出を行なった。4-アミノ安息香酸及び4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の検出にはUV検出器(検出波長280nm)を用いた。標準試料〔4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸(東京化成工業)、4-アミノ安息香酸(東京化成工業)〕を用いて濃度検量線を作成し、濃度検量線に基づいて定量を行なった。

Claims (12)

  1. 配列番号2で示されるアミノ酸配列において、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基が下記のアミノ酸である、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列において、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基が下記のアミノ酸である、4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチド。
    (a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
    (b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
    (c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
    (d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
    (e)294位又はこれに相当する位置:セリン
  2. 配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換すること、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換することを含む、4-アミノ安息香酸水酸化活性を有する変異ポリペプチドの製造方法。
    (a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
    (b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
    (c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
    (d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
    (e)294位又はこれに相当する位置:セリン
  3. 配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドにおいて、アミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換すること、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ4-アミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドにおいて、配列番号2で示されるアミノ酸配列の47位と106位、47位と201位、47位と222位、47位と294位、106位と201位、若しくは106位と294位に相当する位置におけるアミノ酸残基を下記のアミノ酸に置換することを含む、4-アミノ安息香酸水酸化活性の向上方法。
    (a)47位又はこれに相当する位置:ロイシン
    (b)106位又はこれに相当する位置:アラニン
    (c)201位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
    (d)222位又はこれに相当する位置:フェニルアラニン
    (e)294位又はこれに相当する位置:セリン
  4. 請求項1記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  5. 請求項4記載のポリヌクレオチドを含むベクター又はDNA断片。
  6. 請求項5記載のベクター又はDNA断片を含有する形質転換細胞。
  7. 大腸菌又はコリネバクテリム属菌である、請求項6記載の形質転換細胞。
  8. 4-アミノ安息香酸類を供給可能な微生物である、請求項6又は7記載の形質転換細胞。
  9. 請求項6~8のいずれか1項記載の形質転換細胞を培養する工程を含む、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類の製造方法。
  10. 4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類を培地から回収する工程を含む、請求項9記載の方法。
  11. 培養が4-アミノ安息香酸類の存在下で行われる、請求項9又は10記載の方法。
  12. 4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類が、下記の一般式(1):
    〔式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシ基、メチル基、エチル基を示し、Rは水素原子又はヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシ基、メチル基、又はエチル基を示し、X及びXは水素原子又はヒドロキシ基であって少なくとも一方はヒドロキシ基を示す。〕
    で示される4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸誘導体であり、
    4-アミノ安息香酸類が、下記の一般式(2):
    〔式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシ基、メチル基、エチル基を示し、Rは水素原子又はヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシ基、メチル基、又はエチル基を示す。〕
    で示される4-アミノ安息香酸誘導体である、請求項9~11のいずれか1項記載の方法。
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