JP4416472B2 - 新規p−ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシラーゼおよびその製造法 - Google Patents

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本発明は、野生型p-ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシラーゼ(以下「pHBH」と記す。)、及びそれと比較して液状安定性の向上した変異型pHBH、及び該変異型pHBHの製造法に関する。
pHBH(EC1.14.13.2)は、フラビン関与の外部電子供与体要求性一原子酸素添加酵素に属し、p-ヒドロキシ安息香酸を水酸化しプロトカテキュ酸を生成する反応を触媒することが知られている。シュードモナス属の微生物より産生されるもの(非特許文献1、非特許文献2)が従来報告されており、これらの酵素はNADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)を補酵素とすることが知られている。また、これらの他にNADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を補酵素とするものも知られている(非特許文献3、非特許文献4、特許文献1)。更にpHBHは臨床検査薬用酵素としてコリンエステラーゼ活性測定に使用しうることが知られている(非特許文献5、特許文献2)。
特開平5-244941 特開昭58-129999 J. Biol. Chem.,241,2453(1966) Biochem. Biophys. Res. Communs.,34,1(1969) Eur J Biochem,. 147, 97 (1985) Biochemistry (Mosc), 66, 898(2001) 臨床化学, 32, 162, (2003)
臨床検査用試薬の分野で利用するpHBHは、温度、pH、緩衝液などの使用条件に対して安定であることが必要であり、特に溶液状態における安定性に優れたものが望まれている。本発明の課題は、そのような性質を有するpHBHを作製することである。
発明者らは鋭意研究の結果、pHBHを産生する微生物として、コマモナス テストステローニ(Comamonas testosteroni)由来pHBH(Agr. Biol. Chem., 33, 689 (1969))に着目し、pHBH遺伝子のクローニングを行い、その塩基配列及びアミノ酸配列を初めて決定した。更に野生型pHBHを構成するアミノ酸に変異を導入することによって、安定性を改良した変異型pHBH及び該変異型pHBHの製造法を提供するに到った。
課題を解決するための手段の詳細は、以下のとおりである。
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列、又は配列番号1に記載のアミノ酸配列において1ないし数個のアミノ酸が欠失、置換または追加されたアミノ酸配列からなるp-ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシラーゼ。
(2)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるp-ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシラーゼ。
(3)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるp-ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシラーゼ。
(4)以下の理化学的性質を有する、(1)から(3)のいずれかに記載のp-ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシラーゼ:(A)熱安定性:トリス-マレイン酸緩衝液(pH8.0)中で40℃、15分の熱処理において少なくとも80%以上の残存活性、
(B)pH安定性:トリス-マレイン酸緩衝液(pH8.0)中で4℃、7日間において少なくとも80%以上の残存活性。
(5)(1)から(4)のいずれかに記載のp-ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシラーゼをコードする遺伝子。
(6)(5)に記載のp-ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシラーゼ遺伝子を含有することを特徴とする組換えベクター。
(7)(6)に記載の組換えベクターを含むことを特徴とするE.coli形質転換体。
(8)(7)に記載のE.coli形質転換体を用いることを特徴とするp-ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシラーゼの製造方法。
コマモナス テストステローニ(Comamonas testosteroni) IAM1123のpHBHに変異を導入することにより、熱安定性及びpH安定性が向上した変異型pHBHが得られ、それにより溶液状態における安定性が向上し、臨床検査用試薬としての性能向上が可能となる。
以下に本発明を実施するための最良の形態を含む諸形態を記すが、それらに限定されるものではない。
(pHBH遺伝子の調製)
Comamonas testosteroni染色体DNAからのpHBH遺伝子は、常法(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology, Vol.1, 2.4.1-2.4.2)に記載の方法)に従いComamonas testosteroniの菌体から染色体DNAを抽出し、例えばこの染色体DNAを鋳型として、PCR法(Science, 239, 487-491(1988))を用いて増幅することにより得ることができる。なお、使用するComamonas testosteroniの菌株としては、特にIAM1123株の使用が望ましい。
上記のようにして得られたPCR産物をエタノール沈殿等により精製し、ORF中に存在しない適当な制限酵素で切断後、pBluescript、pBR322、pUC18等のクローニングベクターとして使用されるプラスミドにクローニングする。あるいはこのような制限酵素処理が不要で、操作が簡便なクローニングキットが市販されているので、それらを使用しても良い。
上記のようにしてクローニングされた遺伝子は、Sangerらのダイデオキシ法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74, 5463(1977))等の常法に従いその塩基配列を決定することができる。
(変異型pHBH遺伝子の作製)
本発明の変異型pHBHを作製する為に、野生型pHBHをコードする遺伝子に変異を導入する方法は既知のいかなる方法でも用いることができる。すなわち、野生型pHBHをコードする遺伝子と変異源となる薬剤を接触させる方法、紫外線照射による方法、また遺伝子修復機構が欠損しているために高頻度に遺伝子に変異が生じる大腸菌を用いる方法がある。あるいは部位特異的変異を導入する方法として合成オリゴヌクレオチドを用いたPCR法や市販のキットを用いてもよい。
(変異型pHBH発現ベクターの作製)
上記のようにして得られる遺伝子断片は、常法に従って各種発現ベクターのプロモーターの下流に挿入され、大腸菌、枯草菌、酵母、動物細胞宿主等の細胞内に導入することが可能である。しかしながら当該タンパク質の大量生産を簡便に行なうという本発明の目的を考慮すると、当該タンパク質遺伝子を大腸菌において発現させることが望ましい。
(変異型pHBH発現ベクターを用いた変異型pHBHの調製)
次に変異型pHBHの調製方法につき説明する。発現ベクターとしては、上記のようにして得られた変異型pHBHをコードするDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが好適に使用される。例えば大腸菌を宿主とするときには、発現ベクターはプロモーター、シャインダルガノ(SD)配列、当該タンパク質をコードする遺伝子、転写終結(ターミネーター)配列およびプロモーターを制御する遺伝子よりなることが好ましい。
プロモーターとしては、大腸菌、ファージ等由来のもの、例えばトリプトファン合成酵素(trp)、ラクトースオペロン(lac)、あるいはこれらを融合したtac及びtrcプロモーター、λファージPL 及びPRプロモーター 、T7ファージのプロモーター等が例として挙げられる。しかしながらプロモーターが強力過ぎると目的のタンパク質の大腸菌内における発現が過多になり、その結果目的タンパク質が封入体を形成しやすくなり、その後の分離、精製工程が困難となる。ゆえに大腸菌の可溶性画分への発現あるいは培養上清中への当該タンパク質の分泌を可能にすべく最適なプロモーターを選択する必要があり、このような点を考慮するとトリプトファンプロモーター(trp)が望ましい。
トリプトファンプロモーター(trp)を有する発現ベクターとして使用できるものとしては、pTRP(Clinica Chimica Acta 237, 43-58(1995))等が挙げられる。またこれらのベクターにはアンピシリンなどの抗生物質耐性遺伝子を選択マーカーとして有するものが望ましい。
リボゾーム結合配列としては、大腸菌、ファージ等由来のものなど、宿主細胞内での翻訳が可能であるものであれば特に限定されない。また転写終結配列は必ずしも必要ではないが、例えばtrpオペロンターミネーターやrrnBT1T2等を有している方が望ましい。
これらの発現プラスミド上での配列順序としては、5’上流側からプロモーター、SD配列、当該タンパク質遺伝子、転写終結配列の順に並ぶことが望ましい。また発現ベクター上のSD配列と当該タンパク質遺伝子とのユニットを複数個直列(タンデム)に連結することにより、細胞内での転写コピー数を増加させることも可能である。
宿主大腸菌は通常遺伝子工学に用いられる大腸菌K-12株の中から適切なものを選択する。代表的なものとしてJM105やJM109が挙げられるが、DH5あるいは誘導型の発現系に用いられるBL21、N99cI+などを使用しても良い。宿主大腸菌の形質転換はコンピテントセル法、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法など常法により行い、アンピシリンなどの抗生物質を含む寒天培地上でコロニーを形成させ、形質転換体の選抜を行なう。
上記のようにして得た形質転換体を培養し、可溶性タンパク質として発現、あるいは細胞外へ分泌発現された当該タンパク質を含む培養物を各種クロマトグラフィー、例えばゲルろ過クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて精製することにより、当該タンパク質を単離精製することが可能となる。
Comamonas testosteroni染色体DNAの取得:
Comamonas testosteroni IAM1123株の染色体DNAの単離は、Current Protocols in Molecular Biology, Vol.1 2.4.1-2.4.2)に記載の方法に従い行った。
pHBH遺伝子のクローニング:
次に、上記のように調製したComamonas testosteroni IAM1123株の染色体DNAを鋳型とし、配列番号4及び5に記載のプライマーを基に、TaKaRa Ex TaqTM(宝酒造社製)を用いてdegenerate PCRを行った。反応条件はデナチュレーションステップが95℃5分、アニーリングステップが50℃0.5分、ポリメラーゼ反応ステップが72℃1分で、30サイクル行った。反応後、アガロースゲル電気泳動により約1.2kbのpHBH遺伝子の増幅を確認した。
pHBH遺伝子の塩基配列決定:
発現ベクターは、トリプトファンプロモーター、シャインダルガルノ配列(SD配列)、EcoRI、BamHIを含むマルチクローニングサイトを有する2928bpのpTRP(Clinica Chimica Acta 237, 43-58(1995))を用いた(図1及び図2)。得られたPCR産物及びpTRPをそれぞれ制限酵素EcoRI及びBamHI(宝酒造社製)を用いて切断処理後、それぞれ約1.2kb及び2.9kbのDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分画し、アガロースゲル中より抽出精製した。
制限酵素処理により得られた約1.2kbのpHBH遺伝子及び約2.9kbのpTRPをそれぞれ10ng混合し、DNAライゲーションキット(宝酒造社製)により変異型pHBH遺伝子とpTRPを連結させた。得られたプラスミドで大腸菌コンピテントセル(E.coli JM109 宝酒造社製)を形質転換し、得られた形質転換体を50μg/mLアンピシリンを含むLB寒天培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl、1.2%寒天、pH7.4)に塗布した後、30℃で一晩培養した。この時得られたコロニーのうち20クローンについて、50μg/mLアンピシリンを含んだ5mLのLB液体培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl、pH7.4)に接種し、37℃で一晩振とう培養した。その培養液から遠心分離によって菌体を回収し、0.3mM EDTAを含む50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)を添加後、超音波破砕し粗酵素液を調製した。得られた粗酵素液のpHBH活性を測定したところ20クローン中8クローンについて活性が確認された。なお、上記のpHBH活性の測定は以下の表1の測定条件で行った。
Figure 0004416472
酵素活性は、上記反応条件下における1分間あたり1μmoleのNADPHの分解量を1単位とした。盲検は酵素溶液の変わりに酵素希釈液(0.1% BSAを含む50mM リン酸緩衝液(pH7.0))を用いて上記と同様に測定した。
活性の確認されたクローンについてDNAシーケンサー(ABI PRISM 3100 Genetic Analyzer)で塩基配列の決定を行ったところ、すべてにおいて配列番号1に記載のpHBHをコードする遺伝子が決定された。配列番号1に記載の塩基配列を含んだプラスミドをpTRP-HBHcと命名した。また、抽出液のpHBH活性は比活性にして11.2U/mg蛋白質であった。
野生型pHBH:
pTRP-HBHcで市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli JM109 宝酒造社製)を形質転換し、形質転換体JM109/pTRP-HBHcを得た。
形質転換体JM109/pTRP-HBHcを50μg/mLアンピシリンを含むLB寒天培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl、1.2%寒天、pH7.4)に塗布した後、30℃で一晩培養して得られたコロニーを更に50μg/mLアンピシリンを含んだ30mLのLB液体培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl、pH7.4)に接種し、30℃で15時間振とう培養後、3LのLB液体培地に移した。37℃で10時間培養後、対数増殖期後期に達したところで遠心操作(10,000×g、10分)により集菌した。得られた湿菌体をその重量の5倍量の0.3mM EDTAを含む50mM リン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁し、超音波破砕により菌体を破砕したあと、遠心操作(10,000×g、10分)により粗酵素液を調整した。粗酵素液を超純水で2倍に希釈後、DEAE-Cellulofine(10mM リン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化済み)に通液し、同緩衝液で洗浄後、0
M〜350mM NaClのリニアグラジエントで溶出を行った。DEAE-Cellulofineでの活性画分をBlue-Sepharose(5mM リン酸緩衝液(pH6.0)で平衡化済み)に通液し、同緩衝液で洗浄後、0M〜300mM NaClのリニアグラジエントで溶出を行った。最終的に得られたpHBH標品は比活性44.5U/mg蛋白質を示した。また上記精製酵素をpHBHcと命名した。
野生型pHBHの理化学的性質の測定:
野生型pHBHの理化学的性質の測定は、以下の通り行った。
1.Km値:NADPH、FAD、p-ヒドロキシ安息香酸に対するKm値を求めた。
2.熱安定性:野生型pHBH(pHBHc)を酵素濃度0.9U/mLにて、表1の緩衝液を50mM トリス-マレイン酸緩衝液(pH8.0)又は50mM リン酸緩衝液(pH7.0)とした場合の、25℃、30℃、37℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃及び70℃の各温度における15分間の熱処理を行った後の酵素活性を測定した。なお、未処理のサンプルにおける酵素活性を100%とした場合の各々の活性を残存活性率(%)とした。
3.pH安定性:野生型pHBH(pHBHc)を酵素濃度0.9U/mLにて、表1の緩衝液を50mM
酢酸緩衝液(pH4.5〜6.0)、50mM リン酸緩衝液(pH5.5〜8.0)、50mM トリス-マレイン酸緩衝液(pH7.5〜8.9)又は50mM グリシン-NaOH緩衝液(pH8.5〜9.5)とした場合の、4℃の条件下で1週間静置した後の酵素活性を測定した。なお、50mM リン酸緩衝液(pH7.0)における静置前のサンプルの酵素活性を100%とした場合の各々の活性を残存活性率(%)とした。
野生型pHBHの性質を上記の通り調べたところ、40℃、15分の熱処理(トリス-マレイン酸ベース)で残存活性が16.3%と安定性が悪く、またpH8.0付近での安定性も良くないことが確認され、本野生型pHBHはコリンエステラーゼ活性測定の際の使用条件には適していない事が確認された。そこで野生型pHBH遺伝子を基に変異を導入することで安定性の向上を試みた。
野生型pHBH遺伝子への変異導入(ランダムPCR):
野生型pHBH遺伝子を含む組換えプラスミドpTRP-HBHcと配列番号6及び7に記載の合成オリゴヌクレオチドを基にDiversifyTM PCR Random Mutagenesis Kit(CLONTECH製)を用いて、そのプロトコールに従って変異処理を行った。
変異型pHBHの作製:
得られたPCR産物及びpTRPをそれぞれ制限酵素EcoRI及びBamHI(宝酒造社製)を用いて切断処理後、それぞれ約1.2kb及び2.9kbのDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分画し、アガロースゲル中より抽出精製した。
制限酵素処理により得られた約1.2kbの変異型pHBH遺伝子及び約2.9kbのpTRPをそれぞれ10ng混合し、DNAライゲーションキット(宝酒造社製)により変異型pHBH遺伝子とpTRPを連結させた。
スクリーニング:
上記で調整したプラスミドで市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli JM109 宝酒造社製)を形質転換し、得られた形質転換体を50μg/mL アンピシリンを含むLB寒天培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl、1.2%寒天、pH7.4)に塗布した後、30℃で一晩培養して得られたコロニーを更に50μg/mL アンピシリンを含んだ5mLのLB液体培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、1%NaCl、pH7.4)に接種し、37℃で一晩振とう培養した。その培養液から遠心分離によって菌体を回収し、0.3mM EDTAを含む50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)を添加後、超音波破砕し粗酵素液を調製した。得られた粗酵素液のpHBH活性を、表1の条件にて測定した。また同粗酵素液を45℃で15分熱処理後、再びpHBH活性を測定した。熱処理前に対し、熱処理後のpHBH活性の残存活性率が野生型pHBHよりも高い菌株をスクリーニングした結果、熱安定性の向上したpHBHを発現する2クローンを取得した。
変異型pHBH遺伝子の塩基配列決定:
スクリーニングで得られた2クローンについてDNAシーケンサー(ABI PRISM 3100 Genetic Analyzer)でpHBHをコードする塩基配列を決定した。その結果、それぞれ異なる配列を持つことが確認され、それぞれpTRP-HBHc1、pTRP-HBHc2と命名した。配列番号2に記載のpTRP-HBHcm1では1178番目の塩基の欠損が生じており、フレームシフト変異によってベクターの塩基配列に由来したアミノ酸をC末端に持つことが確認された。配列番号3に記載のpTRP-HBHcm2では1174番目の塩基の欠損が生じており、フレームシフト変異によってベクターの塩基配列に由来したアミノ酸をC末端に持つことが確認された。さらに、130番目のアミノ酸がバリンからメチオニンに置換されていることが確認された。
変異型pHBHの比活性:
pTRP-HBHcm1、pTRP-HBHcm2で市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli JM109 宝酒造社製)を形質転換し、それぞれの形質転換体を得(JM109/pTRP-HBHcm1、JM109/pTRP-HBHcm2)、それぞれに関し野生型pHBH(pHBHc)と同様に精製を行い、得られた精製酵素標品それぞれpHBHcm1及びpHBHcm2と命名した。更に比活性を測定した結果、それぞれ58.0U/mg蛋白質、48.0U/mg蛋白質であり、野生株と比較し4倍以上の比活性の向上が見られた。
変異型pHBHの性質:
次に、Km値、熱安定性、pH安定性に関し、野生型pHBHと同様に解析を行い、比較を行った。その結果、変異型pHBHではNADPHに対するKm値が、野生型と比較し低下していることが明らかとなった(表2)。
Figure 0004416472
また、熱安定性に関しては、変異型pHBHでは野生型と比較し、特に40℃から50℃の範囲での向上が見られた(表3及び図3)。
Figure 0004416472
更にpH安定性に関しては、変異型pHBHでは野生型と比較し、特にpH4.5から5.0の範囲、及びpH8.0から9.0の範囲での向上が見られた(表4及び図4)。
Figure 0004416472
pHBH活性を有する蛋白質を変異させて改良し、野生型酵素よりも熱安定性、アルカリ側でのpH安定性の優れた変異型pHBHを取得できる。更に遺伝子工学的技術を用いることにより該変異型pHBHを高純度かつ大量に供給することができる。
pTRPの制限酵素地図を示す。 pTRPの全塩基配列を示す。 野生型及び変異型pHBHの熱安定性を示す。 野生型及び変異型pHBHのpH安定性を示す。

Claims (5)

  1. 配列番号2に記載のアミノ酸配列からなり、p-ヒドロキシ安息香酸ヒドロキシラーゼとしての酵素活性を示すポリペプチド。
  2. 請求項1に記載のポリペプチドをコードする遺伝子。
  3. 請求項2に記載のポリペプチドの遺伝子を含有することを特徴とする組換えベクター。
  4. 請求項3に記載の組換えベクターを含むことを特徴とするE.coli形質転換体。
  5. 請求項4に記載のE.coli形質転換体を用いて請求項1のポリペプチドを製造することを特徴とするポリペプチドの製造方法。
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