JP4737531B2 - 形質転換酵母を用いるセラミドの製造方法 - Google Patents
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J Invest Dermatol. 96:523-526, 1991 Arch Dermatol Res. 283:219-223,1991 J Dermatol Sci. 1:79-83, 1990、 Acta Derm Venereol. 74:337-340, 1994 Contact Dermatitis. 45:280-285, 2001、 J Eur Acad Dermatol Venereol. 16:587-594, 2002 Cell Signal 14:779-785, 2002 J. Clin. Invest. 112:1372-1382, 2003 Biochemistry. 41:15105-15114. 2002 J Biol Chem. 277:25512-25518,2002 Yeast 9: 267-277,1993 J Biol Chem 272:29704-29710,1997 J Biol Chem 275:31369-31378, 2000 J Biol Chem 275:39793-39798, 2000
1)酵母細胞の形質転換によって、スフィンゴイド Δ4−デサチュラーゼ遺伝子(DES1)を導入すること;及び
2)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフィンガニン C4−ヒドロキシラーゼ遺伝子(SUR2)の発現を欠失させること
を含む。
本発明の方法の好ましい一態様において、さらに、酵母細胞の形質転換によって、酵母のイノシトール ホスフォスフィンゴ脂質ホスフォリパーゼC遺伝子(ISC1)を高発現させることを含む。
セラミドの構造は細胞が持っている酵素の種類によって決定されており生物種で異なる。酵母は、高等動物の主なセラミドであるセラミドNSを合成する酵素を持っていない。そのため酵母でセラミドNSを合成させるためには、それに必要な酵素を酵母に導入する必要がある。さらに、宿主細胞には宿主由来のセラミド合成経路が存在する。よって、宿主由来のセラミド合成経路を抑制することにより、セラミドNSを効率よく選択的に合成させる。
3)セラミドNSが水酸化されないように酵母スフィンゴ脂質 α−ヒドロキシラーゼ遺伝子(SCS7)の発現を欠失させること;
4)酵母アルカリジヒドロセラミダーゼ遺伝子(YDC1)の発現を欠失させること;あるいは
5)酵母のイノシトール ホスフォスフィンゴ脂質ホスフォリパーゼC遺伝子(ISC1)を高発現させること。
1)酵母細胞の形質転換によって、スフィンゴイド Δ4−デサチュラーゼ遺伝子(DES1)を導入すること;及び
2)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフィンガニン C4−ヒドロキシラーゼ遺伝子(SUR2)の発現を欠失させること
を含む、前記製造方法に関する。
本発明の方法は構成要件1)として、酵母細胞の形質転換によって、スフィンゴイド Δ4−デサチュラーゼ遺伝子(DES1)を導入することを含む。
1つ以上のコドンが同一のアミノ酸をコードする場合があり、遺伝暗号の縮重と呼ばれている。このため、配列番号1とは完全には一致していないDNA配列が、配列番号2と全く同一のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードすることがあり得る。こうした変異体DNA配列は、サイレント(silent)突然変異(例えば、PCR増幅中に発生する)から生じてもよいし、または天然配列の意図的な突然変異誘発の産物であってもよい。
本発明の方法は構成要件2)として、酵母細胞の形質転換によって、酵母スフィンガニン C4−ヒドロキシラーゼ遺伝子(SUR2)の発現を欠失させることを含む。
本発明の方法はさらに、酵母細胞の形質転換によって、酵母スフィンゴ脂質 α−ヒドロキシラーゼ遺伝子(SCS7)の発現を欠失させることを含んでもよい。SCS7は、例えば図3又は図7のフィトセラミド、ジヒドロセラミド、セラミドNSのスフィンゴイド塩基にアミド結合した脂肪酸のα位の炭素に水酸基を付加し、各々Cer(AP)、Cer(ASa)、Cer(AS)を合成する活性を有する。SCS7活性の存在により、所望のジヒドロセラミド、セラミドNSが合成されても、さらに水酸化されてしまう。よって、本発明は好ましくは、SCS7の発現を欠失させることを含む。
本発明の方法はさらに、酵母細胞の形質転換によって、酵母アルカリジヒドロセラミダーゼ遺伝子(YDC1)の発現を欠失させることを含んでもよい。
本発明はさらに、酵母細胞の形質転換によって、酵母のイノシトール ホスフォスフィンゴ脂質ホスフォリパーゼC遺伝子(ISC1)を高発現させることを含んでもよい。
1)酵母細胞の形質転換によって、スフィンゴイド Δ4−デサチュラーゼ遺伝子(DES1)を導入すること;
2)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフィンガニン C4−ヒドロキシラーゼ遺伝子(SUR2)の発現を欠失させること;
3)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフィンゴ脂質 α−ヒドロキシラーゼ遺伝子(SCS7)の発現を欠失させること;
4)酵母細胞の形質転換によって、酵母アルカリジヒドロセラミダーゼ遺伝子(YDC1)の発現を欠失させること;及び
5)酵母細胞の形質転換によって、酵母のイノシトール ホスフォスフィンゴ脂質ホスフォリパーゼC遺伝子(ISC1)を高発現させること
を含む、前記製造方法を提供する。
本発明において、酵母細胞内におけるDES1の発現及びISC1の高発現は限定されず、公知の方法を用いて行うことが可能である。好ましくは、DES1及び/又はISC1を含む発現ベクターで宿主酵母細胞を形質転換し、そして、核酸の発現を可能にする条件下で形質転換酵母細胞を培養する、ことを含む。
本発明の方法は、酵母細胞の形質転換によって、酵母スフィンガニン C4−ヒドロキシラーゼ遺伝子(SUR2)の発現を欠失させること、を含む。
酵母細胞の形質転換によって、酵母スフィンゴ脂質 α−ヒドロキシラーゼ遺伝子(SCS7)の発現を欠失させること;及び
酵母細胞の形質転換によって、酵母アルカリジヒドロセラミダーゼ遺伝子(YDC1)の発現を欠失させること
のいずれか、あるいはこれらの組み合わせを含む。
例えば、本明細書中の実施例では各遺伝子の上流及び下流の塩基配列、及び選択マーカーを連結させたDNA断片を用い、酵母の天然のゲノム配列との相同組換えによって、各遺伝子を欠失させた。
本発明の方法によって、製造されたヒト型セラミド(セラミドNS)は、公知の方法を用いることによって、抽出・精製することができる。本発明の方法は、酵母細胞を使用するため、大量の培養、セラミドの簡便かつ迅速な抽出・精製が可能である。実施例で使用した抽出・精製のための好ましい態様の1つを図4に示した。
公開されているデータベース中のヒト スフィンゴイド Δ4−デサチュラーゼ(sphingoid Δ4−desaturase)遺伝子(DES1)の塩基配列(GenBanKTM: accession number AF466375)(配列番号1)を参考にプライマーdes1F(配列番号11)およびdes1R(配列番号12)を作製した。
配列番号12:5’−CCTTCGAATTCCCCGGGCCAGGGGAGCTTCTGAGCATCACTGGTC−3’
上記プライマー対を利用して、ヒトcDNAライブラリーを鋳型にPCRを行った。得られたPCR産物(約1.1kb)のBamHIとSmaIサイトを利用して酵母用遺伝子発現ベクターpKO11 (Kamei et al., J. Biol. Chem., 273,28341,1998;Dr.K.Tanakaより提供)にクローニングした。
公開されている酵母ゲノムデータベース中の酵母(Saccharomyces cerevisiae)のイノシトール ホスフォスフィンゴ脂質ホスフォリパーゼC(Inositol phosphosphingolipid phospholipase C)遺伝子(ISC1)の塩基配列(SGD(Saccharomyces Genome Database,
1133784537468_0
))(配列番号3)を参考にプライマーisc1F(配列番号13)
およびisc1R(配列番号14)を作製した。
配列番号14:5’−AAGGTACCTCATTTCTCGCTCAAGAAAGTT−3’
上記プライマー対を利用して、常法により調製した酵母ゲノムDNAを鋳型にPCRを行った。得られたPCR産物(約1.4kb)をpCR−BlintII−TOPOベクター(Invitrogen社)にクローニングし、サンガー法(F. Sanger, Science, 214, 1215, 1981)による塩基配列決定を行い、クローンの塩基配列がデータベースと一致することを確認した。
公開されている酵母ゲノムデータベース中の酵母スフィンガニン C4−ヒドロキシラーゼ(sphinganine C4−hydroxylase)遺伝子(SUR2)の塩基配列(SGD(Saccharomyces Genome Database, http://www.yeastgenome.org/))(配列番号5)を参考にプライマーsur2F(配列番号15)およびsur2R(配列番号16)を作製した。
G−3’
配列番号16:5’−GGATAATAAATACAAACGTGGGAAGTCGGAGACATTGCCTTTACCCAGCAAGCTAGCTTGGCTGCAG
G−3’
上記プライマー対を利用して、プラスミドpYDp―L(Berben et al., Yeast,7,475,1991)を鋳型としてPCRを行い、SUR2遺伝子上流295bp、選択マーカーおよびSUR2遺伝子下流75bpが連結したPCR産物を得た。このPCR産物を用いてFK113株(MATa,ura3,his3,leu2,lys2,trp1,bar1−1)の形質転換を常法に従って行い、栄養要求性培地で形質転換体を選抜し、SUR2遺伝子破壊株を得た。
配列番号18: 5’−GGAAGTCGGAGACATTGCCTTTACCCAG−3’
実施例4:酵母SUR2、および酵母スフィンゴ脂質 α−ヒドロキシラーゼ遺伝子(SCS7)二重破壊株の作製
公開されている酵母ゲノムデータベース中の酵母スフィンゴ脂質 α−ヒドロキシラーゼ(sphingolipid alpha−hydroxylase)遺伝子(SCS7)の塩基配列(SGD(Saccharomyces Genome Database,
1133784537468_1
))(配列番号7)を参考にプライマーscs7up280F(配列番号19)
およびscs7up280R(配列番号20)、scs7down280F(配列番号21)およびscs7down280R(配列番号22)を作製した。
配列番号20:5’− ACGAGGCTGGGATCCGCTTACCACCGCTTTTAGTGC−3’
配列番号21:5’− GGTGGTAAGCGGATCCCAGCCTCGTCCAAAATTGTC−3’
配列番号22:5’−CGAATTCTTGCCAACCTGATCTGTGAA−3’
上記プライマー対を利用して、常法により調製した酵母ゲノムDNAを鋳型にPCRを行い、SCS7遺伝子上流域約280bp、下流域約280bpにそれぞれ相当するPCR産物を得た。プライマーscs7up280Rとscs7down280Fはそれぞれ相補的な配列を共有しており、SCS7遺伝子の上流域と下流域の境界にBamHIサイトを含む。SCS7遺伝子の上、下流域約280bpにそれぞれ相当するPCR産物を混合し、プライマーscs7up280Fとscs7down280Rを用いてPCRを行い、BamHIサイトをはさんでSCS7遺伝子の上下流域を含むPCR産物を得た。これをあらかじめpUC19をBamHIで切断後、T4 DNA polymeraseによる平滑末端化を行った後にセルフライゲーションして得たベクターに、プライマーscs7up280Fとscs7down280Rに含まれるEcoRIサイトを利用してクローニングした。サンガー法(F.Sanger, Science, 214, 1215,1981)による塩基配列決定を行い、クローンの塩基配列がデータベースのSCS7上下流域とそれぞれ一致することを確認した。
公開されている酵母ゲノムデータベース中の酵母アルカリジヒドロセラミダーゼ(alkaline dihydroceramidase)遺伝子(YDC1)の塩基配列(SGD(Saccharomyces Genome Database,
1133784537468_2
))(配列番号9)を参考に、プライマーydc1up280F(配列番号23)
および ydc1up280R(配列番号24)、ydc1down250F(配列番号25)およびydc1down250R(配列番号26)を作製した。
配列番号24:5’−TGGATGGCACGGATCCGAAAGGCACACCTGTCATTATGG−3’
配列番号25:5’−TGTGCCTTTCGGATCCGTGCCATCCATTTGAATC−3’
配列番号26:5'−CGAATTCCTTTTATGATGGGAGTAACTGCT−3’
上記プライマー対を利用して、常法により調製した酵母ゲノムDNAを鋳型にPCRを行い、YDC1遺伝子上流域約280bp、下流域約250bpにそれぞれ相当するPCR産物を得た。プライマーydc1up280Rとydc1down250Fはそれぞれ共通に相補的な配列を共有しておりYDC1遺伝子の上流域と下流域の境界にBamHIサイトを含む。
1133784537468_3
))(配列番号7)を参考に、プライマーscs7up280F(配列番号19)
およびscs7up280R_G418(配列番号27)、scs7down280F_G418(配列番号28)およびscs7down280R(配列番号22)を作製した。
配列番号27:5’−CTCCATGTCGCTTACCACCGCTTTTAGTGC−3’
配列番号28:5’−CGCTATACTGCAGCCTCGTCCAAAATTGTCA −3’
配列番号22:5’−CGAATTCTTGCCAACCTGATCTGTGAA−3’
上記プライマー対を用いて、常法により調製した酵母ゲノムDNAを鋳型にPCRを行い、SCS7遺伝子上流域約280bp、下流域約280bpにそれぞれ相当するPCR産物を得た。
配列番号30:5’−GACGAGGCTGCAGTATAGCGACCAGCATTCA−3’
プライマーscs7up280R_G418(配列番号27)とG418PCR2F(配列番号29)、およびプライマーscs7down280F_G418(配列番号28)とG418PCR2R(配列番号30)はそれぞれ共通に相補的な配列を共有しており、上記3種類のPCR産物を混合し、プライマーscs7up280Fとscs7down280RによりPCRを行い、SCS7遺伝子上流280bp、カナマイシンおよびG418抵抗性遺伝子およびSCS7遺伝子下流280bpが連結したPCR産物を得た。PCR産物を直接鋳型にすることによりサンガー法(F. Sanger, Science, 214, 1215, 1981)による塩基配列決定を行い、クローンの塩基配列がデータベースと一致することを確認した。
上記実施例3−5で得られた各遺伝子の破壊株を用いてDES1遺伝子(実施例1)発現株又はDES1遺伝子発現・ISC1遺伝子(実施例2)高発現株を作製した。
II.SUR2/SCS7二重破壊(実施例4) + ヒトDES1遺伝子発現
III.SUR2/SCS7/YDC1三重破壊(実施例5) + ヒトDES1遺伝子発現
IV.SUR2/SCS7/YDC1三重破壊(実施例5) + ヒトDES1遺伝子発現・ISC1遺伝子高発現(実施例1及び2)
実施例1のヒトDES1発現プラスミド、及び実施例2のISC1発現プラスミドによって、実施例3−5で得られた破壊株の形質転換を常法に従って行った。DES1遺伝子形質転換体の選抜はウラシルを、また、DES1およびISC1遺伝子形質転換体の選抜はウラシルおよびトリプトファンを含まない最少完全平板培地(それぞれSC−Ura、およびSC−Ura,Trp)を用いて行った。
配列番号32:5’−AGTGGGTCTACACCGACCAG−3’
ISC1遺伝子の高発現は同様に、プライマーisc1R(配列番号14)を用いた逆転写反応とプライマーisc1F(配列番号13)とisc1R(配列番号14)を用いたRT−PCRによって確認した。
実施例6で得られたI.ヒトDES1遺伝子発現酵母SUR2破壊株、II.ヒトDES1遺伝子発現酵母SUR2/SCS7二重破壊株、III.ヒトDES1遺伝子発現酵母SUR2/SCS7/YDC1三重破壊株をトリプトファン、ヒスチジン、ロイシンおよびリジンを含む最少液体培地(SD+Trp, His, Leu, and Lys)で、また、IV.ヒトDES1発現・ISC1高発現酵母SUR2/SCS7/YDC1三重破壊株をヒスチジン、ロイシンおよびリジンを含む最少液体培地(SD+His, Leu, and Lys)で30℃、24時間培養した。次いで、37℃、90分のヒートショック培養を行い、菌体からスフィンゴイドを文献(Sperling et al., Journal of Biological chemistry, 273, 28590, 1998)に従って、スフィンゴイド抽出、ジニトロフェノール化した。
菌体(湿重量350mg)を直接、10%(w/v)Ba(OH)2を含む1,4−ジオキサン/水,1:1(v/v) 3ml中で、110℃、24時間、加水分解した。遊離したスフィンゴイドをクロロホルム/1,4−ジオキサン/水,8:3:8(v/v/v)で層分離することによって抽出した。有機層を等量の0.1M KOH、0.5M KClで洗浄した後、0.5%(v/v) 1−フルオロ−2,4−ジニトロベンゼン メタノール溶液 0.2mlと2M ホウ酸/KOH(pH10.5)0.8mlを60℃、30分間反応させてスフィンゴイドをジニトロフェノール化合物化(DNP化)した。反応後、回収した有機層を真空乾燥させて得られたDNP化スフィンゴイドをクロロホルムに溶解した後、シリカゲル 60TLCプレート上でクロロホルム/メタノール,9:1(v/v)を用いて展開した。DNP化スフィンゴイドは黄色(UV照射下では暗青色)を呈しており、これを観察した。
Sigma社から購入した既定量の合成スフィンゴシンを同様に分析したHPLCデータを基準値にして菌体内のスフィンゴシンの定量を行った。表1に菌体100mgあたりに蓄積したスフィンゴシンの計算値を示した。ヒトDES1発現酵母SUR2破壊株、ヒトDES1発現酵母SUR2/SCS7二重破壊株、ヒトDES1発現酵母SUR2/SCS7/YDC1三重破壊株、およびヒトDES1発現・ISC1高発現酵母SUR2/SCS7/YDC1三重破壊株の順に、菌体内のスフィンゴシン量は順次増加した。
実施例6のセラミド合成系遺伝子形質転換酵母を、ヒスチジン、ロイシン、リジン、およびトリプトファンを添加した最少液体培地(SD+His,Leu,Lys及びTrp、ただし、ISC1高発現のものはトリプトファンは含まない)250mlで30℃、140rpmで24時間振盪培養した後、37℃、90分ヒートショック培養を行った。菌体を回収し、滅菌水で2度洗浄し、100mgの菌体を500μlの滅菌水に懸濁させた懸濁液を調製した。本懸濁液にグラスビーズを加え、室温で5分間、激しく攪拌することにより菌体を破砕した。これにクロロホルム、メタノール、懸濁液の比が10:10:3になるようにクロロホルム、メタノールを加え、脂質を抽出した。抽出反応液の遠心分離を行い、得られた上清を回収した後、窒素ガスを吹き付けて濃縮乾燥させた。
実施例8で抽出した酵母脂質をヘキサン/イソプロパノール(3:2v/v)で抽出し、6.67%硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、特開2003−28849に記載の装置を用いてセラミド分子種の決定を行った。ヒトDES1遺伝子発現酵母SUR2/SCS7二重破壊株のセラミド分子種の同定結果を図5に示す。
同様にヒトDES1発現酵母SUR2/SCS7/YDC1三重破壊株でもセラミドNS(Cer(NS))(分子量678)が合成されていることが確認され、菌体100mgあたりに蓄積したセラミドNS(Cer(NS))は、図8に示すようにヒトDES1遺伝子発現酵母SUR2/SCS7二重破壊株で6.5nmol、ヒトDES1発現酵母SUR2/SCS7/YDC1三重破壊株で9.2nmolと順次増加した。
SUR2破壊株について、TLC及びHPLCを用いてスフィンゴイドの分析を行った。TLC分析及びHPLC分析は、実施例8に記載した方法に従って行った。結果を図6に示す。
実施例11 SUR2/SCS7破壊株のセラミド分析
SUR2/SCS7二重破壊株について、実施例8に記載した方法に従って、LC−MS分析を行った。結果を図7に示す。SUR2/SCS7二重破壊株では、スフィンゴイド塩基にアミド結合した脂肪酸のα位の炭素に水酸基が付加された態様(Cer(ASa)又はCer(AP))ではなく、ジヒドロセラミド(Cer(NSa))が蓄積していることが確認された。この破壊株にDES1を発現させればヒト型セラミドが合成される。
上述のセラミド合成系遺伝子形質転換酵母をヒスチジン、ロイシン、リジン、およびトリプトファンを添加した最少液体培地(SD+His,Leu,Lys及びTrp、ただし、ISC1高発現のものはトリプトファンは含まない)で25℃、150rpmで24時間振盪培養した後、酵母を回収し、最少液体培地に懸濁させた懸濁液5ml(OD600=0.5)を調製した。トリチウム標識(3H)したD−エリスロ−ジヒドロスフィンゴシンを10μl(10μCi)加え、一晩25℃で培養を行った(Zanolari et al., The EMBO Journal, 19, 2824,2000)。250mMのNaFと250mMのNaN3を200μl加え、反応を停止させた後、氷冷した滅菌水で3度洗浄し、菌体を66μlの滅菌水に懸濁させた。
ヒトDES1遺伝子発現酵母SUR2/SCS7二重破壊株セラミド領域の全陽イオンクロマトグラム
上記のうち、質量数680のみで書かせたクロマトグラム(ピーク位置RT13.35)
上記のうち、質量数678のみで書かせたクロマトグラム(ピーク位置RT13.69)
標準セラミドNSの陽イオンクロマトグラム
右上から;
質量数680のピークにおけるマススペクトル
質量数678のピークにおけるマススペクトル
ヒトDES1遺伝子発現酵母SUR2/SCS7二重破壊株でセラミドNS(Cer(NS)(分子量678)が合成されていることが確認できた。
サンプル2;ジヒドロスフィンゴシン標準
サンプル3;スフィンゴシン標準
サンプル4;野生型酵母より抽出したスフィンゴイド
サンプル5;SUR2破壊株より抽出したスフィンゴイド
左から
可視光により観察したTLC(DNP化したsphingoidは黄色のスポットとして観察される)、
UV照射により観察したTLC(DNP化したsphingoidは暗青色のスポットとして観察される)、
HPLCのクロマトグラムを示す。
Claims (2)
- ヒト型セラミドを酵母細胞内で製造する方法であって、
1)酵母細胞の形質転換によって、スフィンゴイド Δ4−デサチュラーゼ遺伝子(DES1)を導入すること;
2)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフィンガニン C4−ヒドロキシラーゼ遺伝子(SUR2)の発現を欠失させること;
3)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフィンゴ脂質 α−ヒドロキシラーゼ遺伝子(SCS7)の発現を欠失させること;
4)酵母細胞の形質転換によって、酵母アルカリジヒドロセラミダーゼ遺伝子(YDC1)の発現を欠失させること;及び
5)酵母細胞の形質転換によって、酵母のイノシトール ホスフォスフィンゴ脂質ホスフォリパーゼC遺伝子(ISC1)を高発現させること
を含む、前記製造方法。 - 酵母が、サッカロミセス属の酵母から選択される、請求項1に記載の方法。
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