JP2009535349A - シナカルセット塩基の調製法 - Google Patents

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Abstract

シナカルセット、(R)−α−メチル−N−[3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピル]−1−ナフタレンメタンアミン及びその中間体の調製法を提供する。

Description

関連出願についての相互参照
本出願は、本明細書で援用する2006年4月27日に出願された米国特許仮出願番号第60/796,318号及び2006年5月10日に出願された米国特許仮出願番号第60/799,504号の利益を主張するものである。
本発明は、シナカルセット、(R)−α−メチル−N−[3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピル]−1−ナフタレンメタンアミン及びその中間体の調製方法を包含する。
(R)−α−メチル−N−[3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピル]−1−ナフタレンメタンアミン(「CNC−塩基」、「シナカルセット塩基」又は「シナカルセット」)は、以下の式:
Figure 2009535349
を有し、CAS登録番号は226256−56−0である。この分子は、シナカルセット塩酸塩、C22223N・HClの遊離塩基型である。塩酸シナカルセット(「CNC−HCl」)は分子量が393.9であり、そしてCAS登録番号が364782−34−3である。CNC−HClは、SENSIPAR(登録商標)として市販されており、FDAによって認可されたカルシウムミメティクスとして知られた化合物群の最初の薬である。
カルシウムミメティクスは、カルシウム受容体を活性化することで副甲状腺ホルモン(「PTH」)の分泌を軽減する経口活性小分子群である。PTHの分泌は、通常カルシウム感知受容体によって制御される。カルシウムミメティクス剤は、この受容体のカルシウムに対する感度を増大させて、副甲状腺ホルモンの放出を阻害し、そして副甲状腺ホルモン量を数時間内に低下させる。カルシウムミメティクスは、副甲状腺機能亢進症という、副甲状腺上のカルシウム受容体が血流中のカルシウムに適切に反応できない場合に生じるPTHの過剰分泌を特徴とする症状を治療するために使用される。PTH量の増大は、二次性副甲状腺機能亢進症の指標であり、カルシウム及びリンの代謝の変化、骨痛、骨折、及び心血管系死亡リスクの増大、と関連している。
CNC−HClは、慢性腎臓病で透析を受けている患者の二次性副甲状腺機能亢進症の治療に承認されている。CNC−HClによる治療は、PTHの血清レベル並びに、血中のカルシウム及びリンの量の尺度である、カルシウム/リンイオンの生成物の血清レベルを低下させる。
米国特許第6,011,068号は、カルシウム受容体−活性分子、例えば、シナカルセットの一般的構造を有するもの、を開示している。米国特許第6,211,244号(「244号特許」)は、シナカルセットに関連するカルシウム受容体−活性化合物及び当該化合物の調製方法を開示している。244号特許、並びにDRUGS OF THE FUTURE (2002) 27 (9):831で開示されている方法を用いて、3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピルアミンと1−アセチルナフタレンとをチタン(IV)イソプロポキシドの存在下反応させて、シナカルセットに相当するイミンを生成し、続いてエタノール又はメタノール性のシアノ水素化ホウ素ナトリウムで処理し、そしてラセミ体のシナカルセット塩基を光学液体クロマトグラフィーにより分離することで所望のシナカルセット鏡像異性体が、以下のスキームのとおり生成され得る:
Figure 2009535349
しかしながら、この方法は、可燃性で且つ高度に毒性のある試薬、例えばチタン(IV)イソプロポキシド及びエタノール又はメタノール性のシアノ水素化ホウ素ナトリウムの使用を伴っていた。
244号特許で開示されている別の方法では、シナカルセットは、以下のスキームに従い、3−トリフルオロメチルシンナモニトリルを水素化ジイソブチルアルミニウムで処理し、続いて、中間体のアルミニウム−イミン錯体を(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミンで処理し、そして中間体のイミンをエタノール性のシアノ水素化ホウ素ナトリウムで還元することで、製造されうる:
Figure 2009535349
しかしながら、この方法における3−トリフルオロメチルシンナモニトリル前駆体の合成は、Tetrahedron Letters (2004) 45:8335にのみ開示されている。
同様に、244号特許、並びにDRUGS OF THE FUTURE (2002) 27 (9):831で開示されている方法を用いて、(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミンと3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピオンアルデヒドとを、チタン(IV)イソプロポキシドの存在下で反応させて、続いてエタノール性のシアノ水素化ホウ素ナトリウムで処理することで、所望のシナカルセット鏡像異性体が以下のスキームにより調製されうる:
Figure 2009535349
しかしながら、上述した方法は、チタン(IV)イソプロポキシド及びエタノール性のシアノ水素化ホウ素ナトリウムのような、極めて引火性があり、取り扱いが困難で、且つ毒性のある試薬の使用を必要とする。
更に、CNC−塩基前駆体である、3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロピオンアルデヒドについて知られている唯一の合成経路は、Tetrahedron Letters (2004) 45:8335に開示されており、そして以下のスキーム:
Figure 2009535349
において、相当の経皮酸誘導体の二重結合を還元し、続いて、カルボン酸部分を相当のアルコールへと還元し、これをSwern酸化によってアルデヒドに酸化することが説明しており、環境に優しくない試薬、例えば塩化オキサリル及びDMSOが使用されている。
従って、当業界では、CNC−塩基及びその塩、好ましくはその塩酸塩の調製のための改良法についての要求が存在している。本発明はそのような代替案を提供するものである。
本発明の概要
1つの態様において、本発明は、シナカルセットの調製方法であって:(a)3−トリフルオロメチル経皮酸を還元して3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を得ること;(b)3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を以下の式IIIの化合物
Figure 2009535349
(式中、Xはカルボキシル、アルコキシ、ハロゲン、又はスルホニルである)
に変換すること;
(c)式IIIの化合物と(R)−1−ナフチルエチルアミンとを塩基の存在下で混合して、N−[(1R)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを得ること;そして(d)N−[(1R)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを還元してシナカルセットを得ること、
を含んで成る方法を包含している。
別の態様において、本発明は、3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を調製する方法であって、3−トリフルオロメチル経皮酸を還元して3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を得ること、を含んで成る方法を包含している。
別の態様において、本発明は、以下の式IIIの化合物
Figure 2009535349
を調製する方法であって:(a)3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を、ジクロロメタン、トルエン、アセトニトリル及びテトラヒドロフランから成る群から選択される溶媒中に溶解して溶液を形成させること;そして(b)(i)Xがカルボキシである式IIIの化合物を得る場合、C1−C4カルボン酸;(ii)Xがアルコキシである式IIIの化合物を得る場合、酸、ジアゾメタン、又は硫酸ジメチルの存在下のC1−C4アルコール;(iii)Xがハロゲンである式IIIの化合物を得る場合、塩化チオニル、臭化チオニル、五塩化リン、三塩化リン、塩化オキサリル、五臭化リン、三臭化リン又は臭化オキサリル;及び(iv)Xがスルホニルである式IIIの化合物を得る場合、塩化メタンスルホニル、p−トルエンスルホニルクロリド、4−ニトロベンゼンスルホニルクロリド、又はベンゼンスルホニルクロリド、から成る群から選択される試薬と前記溶液とを混合すること、
を含んで成る方法を包含する。
別の態様において、本発明は、N−[(1R)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを調製する方法であって、以下の式IIIの化合物
Figure 2009535349
(式中、Xはカルボキシル、アルコキシ、ハロゲン、又はスルホニルである)
と、(R)−1−ナフチルエチルアミンとを混合して、N−[(1R)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを得ること、
を含んで成る方法を包含する。
別の態様において、本発明は、N−[(1R)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを包含する。
別の態様において、本発明はシナカルセットを調製する方法であって、N−[(1R)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを還元してシナカルセットを得ること、を含んで成る方法を包含する。
別の態様において、本発明は、シナカルセットの医薬として許容される酸付加塩を調製する方法であって:(a)シナカルセットを上述の方法のいずれかにより調製すること、そして(b)当該シナカルセットを医薬として許容されるシナカルセットの酸付加塩に変換すること、を含んで成る方法、を包含する。好ましくは、かかる医薬として許容される酸付加塩は塩酸塩である。
本発明の詳細な説明
本発明は、シナカルセットを調製するための改良法を提供することで、従来技術の上記欠点に対処するものである。本方法は、以下のスキーム1によって例示される:
Figure 2009535349
本方法は、(a)3−トリフルオロメチル経皮酸(「化合物I」)を還元して3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸(「化合物II」)を得ること;(b)化合物IIを以下の式IIIの化合物
Figure 2009535349
(式中、Xはカルボキシル、アルコキシ、ハロゲン、又はスルホニルである)
に変換すること;
(c)式IIIの化合物と(R)−1−ナフチルエチルアミン(「R−NEA」)とを塩基の存在下で混合して、N−[(1R)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド(「化合物IV」)を得ること;そして(d)化合物IVを還元してシナカルセットを得ること、
を含んでる。
好ましくは、化合物Iを水素化によって還元することで式IIの化合物が得られる。より好ましくは、化合物Iは、接触水素化によって(すなわち、触媒の存在下で水素を用いて)還元される。接触水素化は、当業者に知られた任意の方法によって実施してもよい。例えば、化合物Iは、低級アルコール、すなわち、C1−C4脂肪族、直鎖又は分枝鎖アルコール中で溶解してもよく、そしてPd/C又はPtO2(アダム触媒)あるいはラネーニッケルのような触媒の存在下H2圧に曝露してもよい。Pd/C又はPtO2が使用される場合、H2圧は通常1気圧である。ラネーニッケルが使用される場合、H2圧は中程度に高い(〜1000psi)。好ましくは、水素化は、式IIの化合物を得るために約5〜約24時間、より好ましくは約5〜約10時間の間実施される。続いて、化合物IIは、当業者に知られた任意の方法で回収され得る。
このようにして調製した式IIの化合物は、任意の下流の中間体(すなわち、式III又は式IVの化合物)又はシナカルセット塩基を調製するために使用してもよい。続いて、シナカルセット塩基は、酸付加塩、好ましくはシナカルセット塩酸塩、その結晶型、及び溶媒和物に変換することができる。
好ましくは、化合物IIは、(a)化合物IIを、ジクロロメタン(「DCM」)、トルエン、アセトニトリル及びテトラヒドロフラン(「THF」)から成る群から選択される溶媒中に溶解して溶液を形成させること;そして(b)前記溶液と適当な試薬を混合して式IIIの化合物を形成すること、を含んで成る方法によって、式IIIの化合物へと変換される。
Xがカルボキシルである(すなわち、式IIIの化合物が酸無水物である)場合、前記試薬は好ましくはC1−C4カルボン酸である。
Xがアルコキシである(すなわち、式IIIの化合物がアルキルエステルである)場合、前記試薬は好ましくは酸(例えば、HCl、H2SO4)、ジアゾメタン、又は硫酸ジメチルの存在下にあるC1−C4アルコールである。当該アルコールは、所望のアルキル基に基づき選択される。例えば、メチルエーテルの場合、当業者は、化合物IIをメタノールに溶解し、一方、エチルエーテルの場合、当業者は化合物IIをエタノールに溶解するであろう。
Xがハロゲンである(すなわち、式IIIの化合物が酸ハロゲン化物である)場合、前記試薬は、塩化チオニル(SOCl2)、臭化チオニル(SOBr2)、五塩化リン(PCl5)、三塩化リン(PCl3)、五臭化リン(PBr5)、三臭化リン(PBr3)、塩化オキサリル[(COCl)2]及び臭化オキサリル[(COBr)2]から成る群から選択される。塩化チオニル(SOCl2)又は臭化チオニル(SOBr2)が試薬として使用される場合、触媒、例えばDMFが存在している。
Xがスルホニルである(式IIIの化合物がスルホン酸エステルである)場合、前記試薬は、塩化メタンスルホニル(「MsCl」)、p−トルエンスルホニルクロリド(「TsCl」)、4−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(塩化ノシル;「NsCl」)、及びベンゼンスルホニルクロリドから成る群から選択される。
好ましくは、化合物IIから式IIIの化合物への変換は、約0℃〜約50℃の温度で実施される。好ましくは、当該変換は、約0.5〜約24時間で達成されるが、適切な時間及び温度は、他のパラメーター、例えば試薬の選択に基づいて変化する。式IIIの化合物は、当業者に知られた任意の方法で回収され得る。
このようにして調製された式IIIの化合物は、任意の下流の中間体(すなわち、式IVの化合物)又はシナカルセット塩基を調製するために使用してもよい。続いて、シナカルセット塩基は、酸付加塩、好ましくはシナカルセット塩酸塩、その結晶型、及び溶媒和物に変換することができる。
好ましくは、式IIIの化合物は、式IIIの化合物とR−NEAとを塩基の存在下で混合して化合物IVを得ること、を含んで成る方法によって式IVの化合物へと変換される。好ましくは、式IIIの化合物は、溶媒の存在下でR−NEAと混合される。好ましくは、当該溶媒は、アセトニトリル、トルエン、イソプロピルアルコール(「IPA」)、エタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン(「MIBK」)、及びアセトンから成る群から選択され、より好ましくはアセトニトリル又はトルエンである。
前記塩基は、任意の有機塩基又は無機塩基でありうる。適当な塩基には、限定しないが、炭酸塩及びトリ−(C2−C4アルキル)アミンがある。
好ましくは、前記混合物を加熱することで化合物IVが得られる。より好ましくは、前記混合物は、溶媒の還流温度、例えば約56℃〜約130℃で加熱される。好ましくは、前記混合物を、使用する溶媒に依存して、約7〜約90時間維持することで、化合物IVが得られる。原則として、温度が高いほど反応時間が短くなる。続いて、化合物IVは適当な有機溶媒、例えばC4−C8エーテル、DCM、EtOAc、トルエンを用いて抽出される。
このようにして調製した化合物IVを使用して、シナカルセット塩基を調製してもよい。続いて、シナカルセット塩基は、酸付加塩、好ましくはシナカルセット塩酸塩、その結晶型、及び溶媒和物に変換することができる。
好ましくは、化合物IVはBH3で還元される。好ましくは、還元は溶媒の存在下で実施される。適当な溶媒には、限定しないが、C1−C4脂肪族エーテル、分枝鎖エーテル又は環状エーテル、例えば、メチル−tert−ブチルエーテル(「MTBE」)及びテトラヒドロフラン(「THF」)がある。好ましくは、前記溶媒はTHFである。
化合物IVの還元は、約0℃〜約5℃の温度で実施される。好ましくは、還元を約16〜約24時間実施することで、シナカルセット塩基が得られる。
このようにして調製されたシナカルセット塩基は、医薬として許容される酸付加塩、好ましくはシナカルセット塩酸塩、又は他の多型結晶形及び溶媒和物へと変換してもよい。
シナカルセット塩基は、当業者に知られた任意の方法で、シナカルセット塩酸塩へと変換してもよい。かかる方法には、限定しないが、シナカルセット塩基と塩化水素とを反応させることがある。好ましくは、シナカルセット塩基を有機溶媒中で溶解し、そして塩化水素の水溶液又はガスと混合することで、シナカルセット塩酸塩が得られる。好ましくは、当該有機溶媒は、脂肪族又は分枝低級アルコール(C1−C6)、ケトン、エステル、エーテル、C4−C8環状又は脂肪族エーテル(例えば、ジエチルエーテル、MTBE)、脂肪族又は分枝C1−C8アルカンから選択される。
このように、特定の好ましい態様及び代表例を参照して本発明を説明してきたが、当業者は、本願明細書に開示されているような本発明の精神及び範囲を逸脱せずに、説明し、例示した発明に改良を加えるであろう。本発明の理解を助けるために実施例を記載するが、本実施例に限定されるものではなく、何らその範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本実施例は、常用されている方法を詳細に説明していない。かかる方法は当業者にとって周知であり、多数の刊行物に記載のものである。本明細書で引用する全ての刊行物は、それらの全体が援用される。
実施例1
3−トリフルオロメチル経皮酸(I)のエタノール溶液を無水エタノール(3−トリフルオロメチル経皮酸1gにつき5倍量)中に溶解し、そしてPd/C(出発材料の10%w/w)の存在下で16時間室温で水素化する。続いて、触媒を濾過し、そして溶媒を乾燥するまで蒸発させることで、飽和カルボン酸(II)が得られる。
実施例2
窒素を流したフラスコに、飽和カルボン酸(II)、塩化チオニル(1.1当量)、トルエン[(II)1gにつき6倍量]及び触媒量のDMF[(II)に対して0.5%w/w]を充填する。反応混合物を45℃〜50℃で2時間加熱する。溶媒及び過剰な塩化チオニルを減圧下で乾燥するまで除去することで、酸塩化物(III)が得られる。
実施例3
酸塩化物(III)をアセトニトリル[(III)1gにつき4倍量]中に溶解する。(R)−1−ナフチルエチルアミン(1.0当量)及び無水K2CO3(1.0当量)を添加し、そして反応混合物を還流温度で約22時間加熱する。続いて、塩を濾過し、そして溶媒を減圧下で除去する。残渣をトルエン(蒸発後の残渣1gにつき7倍量)及び32%HCl(蒸発後の残渣1gにつき2倍量)中に溶解することで、pHを0〜1にする。有機相を続いて水(蒸発後の残渣1gにつき1.5倍量を2〜3回)で洗浄する。溶媒を減圧下で乾燥するまで蒸発させることで、アミド(IV)が生成する。
実施例4
アミド(IV)をTHF[アミド(IV)1gにつき30倍量]中に溶解する。溶液を0℃に冷却し、そして1MのBH3/THF(2.5当量)溶液を滴下する。反応混合物を室温に加温して、この温度で16時間攪拌する。これを慎重に6.0MのHCl水溶液でクエンチングし、そして加熱して1時間還流する。室温に冷却した後、混合物を1.0Nの水酸化ナトリウム水溶液で塩基性化する。相分離をして水相をEtOAcで抽出する。一まとめにした有機相をMgSO4上で脱水し、濾過し、そして溶媒を減圧下で除去することで、シナカルセット塩基が得られ、これは、そのまま次のステップに使用することができるか、あるいは溶出液としてジクロロメタンから2.5〜5%メタノール/97.5〜95%ジクロロメタンのグラジエントを用いたシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって生成することができる。
実施例5
シナカルセット塩基を無水エタノール(シナカルセット塩基1gにつき4倍量)中に溶解する。続いて、1NのHCl(1.5当量)を滴下する。得られた混合物を室温で20時間攪拌することで、沈殿物が得られる。この生成物を濾過により単離し、これを水で洗浄し、そして真空オーブン内で50℃で24時間乾燥することで、シナカルセット塩酸塩が得られる。
実施例6
シナカルセット塩基をMTBE(シナカルセット塩基1g当たり20倍量)中に溶解する。続いて、HClガス(2当量)で溶液を室温で泡立てる。得られたスラリーを2時間室温で攪拌する。生成物を濾過することで単離し、これをMTBEで洗浄し、そして真空オーブン内で50℃で24時間乾燥させることで、シナカルセット塩酸塩が得られる。

Claims (33)

  1. シナカルセットの調製方法であって:
    a)3−トリフルオロメチル経皮酸を還元して3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を得ること;
    b)3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を以下の式IIIの化合物
    Figure 2009535349
    (式中、Xはカルボキシル、アルコキシ、ハロゲン、又はスルホニルである)
    に変換すること;
    c)式IIIの化合物と(R)−1−ナフチルエチルアミンとを塩基の存在下で混合して、N−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを得ること;そして
    (d)N−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを還元してシナカルセットを得ること、
    を含んで成る方法。
  2. 3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を調製する方法であって、3−トリフルオロメチル経皮酸を還元して3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を得ること、を含んで成る方法。
  3. 3−トリフルオロメチル経皮酸が触媒の存在下水素で還元される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記触媒が、Pd/C、二酸化白金、又はラネーニッケルである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記還元が約5〜約24時間実施される、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 水素が約1気圧〜約1000psiの圧力で存在している、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 以下の式IIIの化合物
    Figure 2009535349
    (式中、Xはカルボキシル、アルコキシ、ハロゲン、又はスルホニルである)
    を調製する方法であって:
    a)請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法により3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を調製すること;そして
    b)3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を式IIIの化合物に変換すること、
    を含んで成る方法。
  8. N−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを調製する方法であって、
    a)請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法により3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を調製すること;そして
    b)3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸をN−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドに変換すること、
    を含んで成る方法。
  9. シナカルセットを調製する方法であって:
    a)請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法により3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を調製すること;そして
    b)3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸をシナカルセットに変換すること、
    を含んで成る方法。
  10. 以下の式IIIの化合物
    Figure 2009535349
    を調製する方法であって:
    a)3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノン酸を、ジクロロメタン、トルエン、アセトニトリル及びテトラヒドロフランから成る群から選択される溶媒中に溶解して溶液を形成させること;そして
    b)
    i)Xがカルボキシである式IIIの化合物を得る場合、C1−C4カルボン酸;
    ii)Xがアルコキシである式IIIの化合物を得る場合、酸、ジアゾメタン、又は硫酸ジメチルの存在下のC1−C4アルコール;
    iii)Xがハロゲンである式IIIの化合物を得る場合、塩化チオニル、臭化チオニル、五塩化リン、三塩化リン、塩化オキサリル、五臭化リン、三臭化リン又は臭化オキサリル;及び
    iv)Xがスルホニルである式IIIの化合物を得る場合、塩化メタンスルホニル、p−トルエンスルホニルクロリド、4−ニトロベンゼンスルホニルクロリド、又はベンゼンスルホニルクロリド、から成る群から選択される試薬と前記溶液とを混合すること、
    を含んで成る方法。
  11. 前記混合が約0℃〜約50℃の温度で実施される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記混合物を約0.5時間〜約24時間維持することにより式IIIの化合物を得る、請求項10又は11に記載の方法。
  13. N−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを調製する方法であって:
    a)請求項10又は11に記載の方法により式IIIの化合物を調製すること;そして
    b)式IIIの化合物をN−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドに変換すること、
    を含んで成る方法。
  14. シナカルセットを調製する方法であって:
    a)請求項10又は11に記載の方法により式IIIの化合物を調製すること;そして
    b)式IIIの化合物をシナカルセットに変換すること、
    を含んで成る方法。
  15. N−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを調製する方法であって、以下の式IIIの化合物
    Figure 2009535349
    (式中、Xはカルボキシル、アルコキシ、ハロゲン、又はスルホニルである)
    と(R)−1−ナフチルエチルアミンとを塩基の存在下で混合することで、N−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを得ること、を含んで成る方法。
  16. 式IIIの化合物、(R)−1−ナフチルエチルアミン、及び塩基と溶媒とを混合することを更に含んで成る、請求項15に記載の方法。
  17. 前記溶媒が、アセトニトリル、トルエン、イソプロピルアルコール、エタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、及びアセトンから成る群から選択される、請求項16に記載の方法。
  18. 前記塩基が有機塩基又は無機塩基である、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記塩基が炭酸塩又はトリ−(C2−C4アルキル)アミンである、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記混合物を加熱することによりN−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを得る、請求項16又は17に記載の方法。
  21. 前記混合物が溶媒の還流温度で加熱される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記混合物を約7〜約90時間維持することで、N−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドが得られる、請求項15〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. N−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド。
  24. シナカルセットを調製する方法であって:
    a)請求項15〜22のいずれか1項に記載の方法によりN−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを調製すること;そして
    b)N−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドをシナカルセットに変換すること、
    を含んで成る方法。
  25. シナカルセットを調製する方法であって、N−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドを還元することでシナカルセットを得ること、を含んで成る方法。
  26. N−[(1S)−1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミドがBH3で還元される、請求項25に記載の方法。
  27. 前記還元が溶媒の存在下実施される、請求項25又は26に記載の方法。
  28. 前記溶媒が、C1−C4脂肪族エーテル、分枝鎖エーテル及び環状エーテルから成る群から選択される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記溶媒が、メチル−tert−ブチルエーテル又はテトラヒドロフランである、請求項28に記載の方法。
  30. 前記還元が約0℃〜約5℃の温度で実施される、請求項28又は29に記載の方法。
  31. 前記還元が約16〜約24時間実施される、請求項28〜30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 医薬として許容されるシナカルセットの酸付加塩を調製する方法であって:
    a)請求項1、9、14、24及び25のいずれか1項に記載の方法によりシナカルセットを調製すること;そして
    b)シナカルセットを医薬として許容されるシナカルセットの酸付加塩に変換すること、
    を含んで成る方法。
  33. 医薬として許容されるシナカルセットの酸付加塩が塩酸塩である、請求項32に記載の方法。
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