JP2009532045A - タンパク質置換治療のための合成mecp2配列 - Google Patents

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Abstract

本発明は、タンパク質置換治療におけるMeCP2タンパク質およびその使用に関する。より具体的には、本発明は、MeCP2タンパク質の発現のためのコドン至適化核酸配列、かかる核酸配列を作成するための方法およびかかるタンパク質を発現するための方法、本発明のタンパク質と形質導入ドメインとの融合物、ベクターならびに本発明のタンパク質を含む宿主細胞に関する。さらに、本発明は、医薬における本発明の核酸またはタンパク質の使用、本発明の核酸配列およびタンパク質を含む医薬組成物、さらに神経変性またはRett症候群を含む神経発達系の疾患の処置、予防および/または治療のための方法に関する。

Description

本発明の分野
本発明は、タンパク質置換治療におけるMeCP2タンパク質およびその使用に関する。より具体的には、本発明は、MeCP2タンパク質の発現のためのコドン至適化核酸配列、かかる核酸配列を作成するための方法およびかかるタンパク質を発現するための方法、本発明のタンパク質と形質導入ドメインとの融合物、ベクターならびに本発明のタンパク質を含む宿主細胞に関する。さらに、本発明は、医薬における本発明の核酸またはタンパク質の使用、本発明の核酸配列およびタンパク質を含む医薬組成物、さらに神経変性またはRett症候群を含む神経発達系の疾患の処置、予防および/または治療のための方法に関する。
発明の背景
Rett症候群(RTT)は、進行性の神経発達障害である。ほぼ例外なく女性に罹患し(Rett、1966、Wien Med Wochenschr 116:723-6)、女性における知能の遅延に関する最も一般的な原因の一つである。RTTは、4つの連続的段階を伴う動的な臨床経過により特徴づけられている。ステージI(6-18ヶ月齢)の時期に、女児は新たな技術獲得をやめる;女児は減退する頭部成長および自閉症の兆候、例えば情動的ひきこもりおよびアイコンタクトの低下を示す。ステージII(1-4年齢)の時期に、罹患した女児は、学習能力、例えば言語行動および意図的な手の使用を失う。彼らは、不規則な呼吸パターン、胴体および歩行失調/失行および常同的な手もみ動作をおこす。約半数の女児は、発作を進行させ、ステージIII(4−7年齢)の時期に、該疾患の仮性安定化が存在する。ステージIV(5-15年齢および以上)の時期には発作の頻度は減るが、運動機能の低下は継続する。自発運動の抑制は、特に歩行不能なヒトの間では、柱側弯症の常習的進行の一因であり、これが女児を車椅子に拘束させる一因であろう。Rett患者の神経病理学的特徴は、皮質厚の低下、さらに皮質ニューロンのサイズの低下を包含する。樹状分岐の強力な低下も説明されているが、他の全体の形態学的特徴は影響を受けない(Armstrong、2002、Ment Retard Dev Disabil Res Rev 8:72-6)。RTTは、1:10,000から1:15,000の統計学的な発生率のX染色体連鎖性の疾患である。Amirら(1999) (Nat Genet 23:185-8)は、RTTの病因として遺伝子MECP2における変異を同定した。このMECP2遺伝子がX-不活性化とする。そのため、ヘテロ接合性変異の女性はMeCP2欠損のモザイクであり、これは該疾患の表現型に影響する調節因子の最も可能性の高い因子である。Rett症候群についての臨床基準をみたす男性は、47,XXY 核型との関連において、また体細胞モザイク現象をもたらす接合性MECP2変異から同定された。参考文献については、L. S. Weaving et al.: Journal of Medical Genetics 2005; 42:1-7; and G. Miltenberger-Miltenyi、F. Laccone: Human Mutation 2003 Volume 22、Issue 2; 107-115を参照されたい。
MECP2遺伝子は、X染色体の長い腕上のXq28位置に位置する(Adler 1995、Mamm Genome 6(8):491-2)。該遺伝子は、76 kbにわたり、4つのエキソンから構成される。該MECP2遺伝子は、メチル-CpG-結合タンパク質2(MeCP2)と呼ばれるタンパク質をコードし、他の遺伝子を静止(silencing)させる際に極めて重要な役割を担うと考えられる。このMeCP2タンパク質は、MeCP2e1およびMeCP2e2という、正式には各々MeCP2BおよびMeCP2Aと命名される2つのアイソフォームを持つ(Mnatzakanian et al. 2004、Nat Genet 36:339-41)。該アイソフォームe1 は、498個のアミノ酸から構成され、アイソフォームe2は、486個のアミノ酸長から構成される。該アイソフォームe1は、ポリアラニンおよびポリグリシン域を包含するN末端での独特な21個のアミノ酸ペプチドを有する。MECP2e1 変異体のmRNAは、脳にではMECP2 e2の発現よりも10倍以上の発現を示し、それはマウスおよびヒトの脳における最も多量のタンパク質アイソフォームである。MeCP2は、対称的位置にあるジヌクレオチドにおいて、5-メチルシトシン残基を選択的に結合する多量の哺乳類のタンパク質である。CpGジヌクレオチドは、遺伝子のプロモーター領域に優先的に位置づけられる。それらは、DNAメチル化後の転写のサイレンシング因子のための標的である遺伝子調節のためのエレメントの一つを示す。
Rett症候群罹患患者の神経学的結果を改善するために成功した処置は未だ知られていない。ヒトにおけるMECP2の変異スペクトル(Lam et al. 2000、J Med Genet 37(12):E41; Lee et al. 2001、Brain Dev 23:S138-43)およびRTTマウスからの結果に従って、RTT症候群がMeCP2の機能損失によりもたらされるという一般的合意がある。MeCP2活性を修復することを目的とする有効な方法は、欠損ニューロン細胞においてMeCP2の機能損失を補い得るべきである。参考文献については、L. S. Weaving et al.: Journal of Medical Genetics 2005; 42:1-7; and G. Miltenberger-Miltenyi、F. Laccone: Human Mutation 2003、Volume 22、Issue 2; 107-115を参照されたい。
Schwarzeら(1999、Science 285:1569-1572)は、TATドメイン(ヒト免疫不全ウイルス-1の転写のトランス活性因子タンパク質)を用いて、生物学的に活性な巨大分子を生存細胞中に送達できることを報告している。彼らは、組換え体TAT-βガラクトシダーゼタンパク質の産生およびマウスへの腹腔内的その注射を示す。融合タンパク質は、脳を含むあらゆる組織に分布されており、該融合タンパク質が生物学的に活性であることを見出した。
WO 00/62067 (Dowdy et al.)は、神経系において治療分子を標的化するためにTATタンパク質ドメインを包含するタンパク質形質導入(PTD)分子の使用を報告した。
異種発現系(即ち、Escherichia coli中のヒトタンパク質)のおけるタンパク質の産生は、対応する発現ベクターおよび目的とする該遺伝子の該cDNA配列を必要とする。遺伝子コードの64のコドン(ヌクレオチド・トリプレット)は、20個のアミノ酸および3つの翻訳停止シグナルをコードする。したがって、該遺伝子コードは冗長であり、これはいくつかのアミノ酸が1以上のコドンによってコードされることを意味する。メチオニンおよびトリプトファンは、1つのコドン、ATGおよびTGG各々によってコードされた唯一のアミノ酸であるが、一方でアルギニン、ロイシンおよびセリンは、6つの同義コドンによって各々コードされる。該遺伝子コードの縮重ために、多くの別の核酸配列が同じタンパク質をコードする。該コドン使用頻度は、異なる生物の間で変化する。これらの偏りにより、異種タンパク質の発現に強力な影響を及ぼし得る(Kane、1995、Curr Opin Biotechnol 6(5):494-500)。コドン使用頻度は、原核生物の遺伝子発現における一つの最も重要な因子として知られてきた(Lithwick、2003、Genome Res 13 (12):2665-2673)。
そのため、本発明者の一つの目的は、神経系の細胞に入ることが出来る生物学的に活性なMeCP2タンパク質をコードしている構築体を提供すること、および病気に冒されたニューロン細胞のMeCP2の機能損失を補償することである。
TAT-組換えタンパク質を脳に送達することによる治療方法は、動物モデルから患者に迅速に翻訳出来るという顕著な利点を持つことが出来た。さらなる利点は、その簡便に制御できる投薬用途、非常に高い送達効率であり得るが、遺伝子治療方法などにおけるウイルスタンパク質に対する免疫学的反応を理由とする潜在的な挿入突然変異誘発または臨床学的副作用に固有のものには関係がない。該PTDタンパク質送達方法およびそのさらなる開発は、Rett症候群のような神経遺伝子的疾患および破壊的疾患の処置を可能にし得る。
治療目的のために十分な量でヒトcDNA配列を使用してMeCP2タンパク質構築体を発現するという試みは現在まで成功しておらず、本発明の別の目的は、組換えMeCP2タンパク質の産生増加をもたらし得るMeCP2発現構築体を提供することである。
発明の要旨
従って、本発明は、請求項に規定されたとおりの、MeCP2タンパク質または生物学的に活性なフラグメントをコードする第一核酸配列、または該タンパク質またはフラグメントの誘導体を含む核酸分子に関する。さらに、本発明は、請求項で規定されたとおりの、核酸分子によってコードされたポリペプチド、核酸分子を含むベクターおよびベクターを含む宿主細胞に関する。さらに、本発明は、請求項に規定されたとおりの、核酸配列を調製するための方法、さらに請求項に規定されたとおり、ポリペプチドを産生するための方法を提供する。さらに、請求項に記載の該核酸分子および/またはポリペプチドを含む医薬組成物が提供される。本発明は、請求項に特定したとおりの、処置方法および医療処置における使用のための該核酸分子および/または該ポリペプチドの使用にも関する。
本発明の詳細な説明
本発明は、神経変性および神経発達系の疾患の治療において使用出来る組換えMeCP2タンパク質を提供するための手段および方法を提供するという待望のゴールを達成するものである。我々は、至適化したMeCP2核酸配列を設計および作成することにより、哺乳動物におけるタンパク質置換治療方法に使用出来るMeCP2タンパク質ならびにフラグメント、またはかかるタンパク質またはフラグメントの誘導体を提供出来ることを初めて見出した。
第一の局面において、本発明は、MeCP2タンパク質または生物学的に活性なフラグメント、または該タンパク質または該フラグメントの誘導体をコードする第一核酸配列を含む核酸分子に関するものであり、ここで該核酸配列は異種細胞における発現のためにコドンが至適化されている。
本明細書で使用した「MeCP2タンパク質」は、受託番号 AAS55455をもつヒトアイソフォームe1 (仮名アイソフォームB)または受託番号 NP_004983 (NCBIタンパク質配列データベース)をもつヒトアイソフォームe2(仮名アイソフォームA)各々であってよい。当業者には、他の脊椎動物を起源とするMeCP2またはMeCP2タンパク質の他のヒトアイソフォームもまた、これらのタンパク質またはそのフラグメントが既知のヒトMeCP2アイソフォームと類似した生物学的活性を示す場合には、本発明のMeCP2タンパク質として適切であるということは理解されるであろう。当業者は、上記アイソフォームおよびその対応するmRNAの配列を公的な利用可能なデータベースから容易に獲得出来る。
本明細書に使用したように、用語「生物学的に活性なフラグメント」は、MeCP2タンパク質の少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、少なくとも100個、少なくとも150または少なくとも200個のアミノ酸のポリペプチドを指す。MeCP2 タンパク質のフラグメントとは、受託番号AAS55455または受託番号NP_004983各々として見出され得る完全長のMeCP2 タンパク質より少ないアミノ酸を含む。生物学的に活性なフラグメントは、それが得られる天然タンパク質の生物学な活性を依然示すものであるが、同程度まで必要というわけではない。
MeCP2タンパク質の「誘導体」は、それ自体は天然種のゲノムによりコードされていないポリペプチドである。特に、誘導体は、上記したMeCP2アイソフォームのいずれかの受託番号を持つそれらのポリペプチドのものとは同一でないポリペプチドである。従って、誘導体は、同程度まで必要でないが、天然タンパク質の生物学活性を依然として示す天然MeCP2タンパク質の修飾、例えばアミノ酸置換、欠失および付加等を含む。誘導体は、比較すべき2つの配列を当業者には既知のコンピューター・ホモロジー・プログラム、例えばhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/として公的にアクセス可能な"BLAST"プログラムにより整列させた場合に、同じサイズのアミノ酸配列にわたり、少なくとも30 %、少なくとも 40 %、少なくとも 50 %、少なくとも60 %、少なくとも70 %、少なくとも80 %、少なくとも 90 %、少なくとも95 %または少なくとも99%の同一性まで、MeCP2タンパク質と相同である領域を含む分子を包含する。MeCP2タンパク質の誘導体のフラグメントは、上記に規定したとおりMeCP2 タンパク質の誘導体よりも少ないアミノ酸を含む。
タンパク質またはフラグメントの「生物学的に活性な」フラグメントまたは「生物学的に活性な」誘導体とは、フラグメントまたは誘導体が、上記に規定したとおり、MeCP2 タンパク質の生物学的活性の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%を有することを意味する。MeCP2タンパク質またはフラグメントまたは誘導体が生物学的に活性であるかどうかは、例えば次の試験により決定できる:
1)メチル化シトシンに結合および/またはHDACの直接的な動員を誘導および/またはヒストンH3およびヒストンH4のアセチル化状態を変更することが出来れば、MeCP2タンパク質またはフラグメントまたは誘導体は生物学的に活性であると見なされる。一般的な試験は、例えば下記実験の部3.1に記載したプロトコールに従って確立した、後肢/尾端からのMecp2y/- マウス(Jackson Laboratory under B6.129P2(C)-Mecp2tm1.1Bird/Jから入手)および野生型マウスの線維芽細胞を培養することを包含する。通常、該培地を変えて、その後該細胞を10%CO2と共に37℃で一週間インキュベートした。例えばヒストンH3およびヒストンH4のアセチル化状態を追跡することによって生物学的活性を試験するために、Mecp2y/-動物のマウス線維芽細胞を、例えば、300pmolの、形質導入ドメイン(例えば、下記したとおりのTATドメインまたは他の形質導入ドメイン)と融合された、MeCP2タンパク質またはフラグメントまたはMeCP2タンパク質またはフラグメント誘導体を用いて処理し、例えば30時間インキュベートした。次いで細胞溶解物を、下記のとおりに、例えばヒストンH3アセチル化ヒストンH3またはアセチル化H4K16に対する抗体を用いてイムノブロットすることができる。処置および非処理線維芽細胞の間のアセチル化状態の違いを、例えば図5Cに示したように濃度分析によって定量し、こうして当業者はヒストンアセチル化状態における変化を決定することが出来る。下記実施例5、6および8.1と併せて図3C-Dおよび図5は、かかるアッセイを行い、評価する方法を示す。
2)MeCP2タンパク質またはフラグメント、またはMeCP2タンパク質またはフラグメントの誘導体の生物学的活性を試験するための別の可能性は、下記したとおりタンパク形質導入ドメインと融合した、試験されるべきタンパク質を用いて行った形質導入実験により誘導されたH3のアセチル化のレベルの測定である。一般的に利用可能な細胞系、例えばHeLa oder NIH 3T3はこの目的のために使用することが出来る。該細胞を該融合タンパク質と接触させる場合、該ヒストンH3アセチル化レベルは、ヒストンH3アセチル化の正常レベルを有するコントロール細胞系と比較した場合に低下する。この低下を、産生したタンパク質の生物学的活性を定量するために使用出来る。この試験、例えばウェスタン・ブロット法の評価は下記実験の部において説明される。
3)MeCP2タンパク質またはフラグメントかかるタンパク質の誘導体を、メチル化シトシンに結合する能力により、例えばインビトロ転写アッセイ(例えば、Nan、X et al.、Cell 88: 471-481 (1997)、in Yusufzai T.M. and Wolffe、A.P.、Nucl. Acids Res. 28: 4172-4179 (2000) or Yu F. et al.、Nucl. Acids Res. 29(21):4493-501 (2001)に記載されている)により、生物学的に活性であることを決定できる。
該用語「コドン至適化」された核酸配列は、本明細書で使用したとおり、所望の宿主細胞、好ましくはE. coli 宿主細胞により好まれるコドンを使用できるように設計されたコドンを含有する核酸配列を指す。核酸配列は、同一の翻訳されたポリペプチド配列を有するが、コドン使用頻度が異なる、特に特定の生物、例えばEscherichia coliの最も頻度が高いコドンを用いてコドン至適化核酸配列に変換される。かかる方法を「バック・トランスレーション(backtranslation)」と言う。コドン至適化核酸配列を選択および調製するための方法、ならびにバック・トランスレーションを行うための方法は、例えばHenaut and Danchin:Escherichia coli 配列からの分析および予測:Escherichia coli and Salmonella、Vol. 2、Ch. 114:2047-2066、1996、Neidhardt FC ed.、ASM press、Washington、D.C.からのクラスII遺伝子からのデータを用いることを含む。特定のタンパク質配列を、バック・トランスレーションを行うための指針は、http://www.prodoric.de/JCat (Grote A. et al.、Nucleic Acids Research、2005、Vol. 33、Web Server issue doi:10.1093/nar/gki376、W526-W531) またはベクターNTI software (Invitrogen)にて利用出来るツールによって提供される。MeCP2タンパク質のコドン至適化核酸配列を作成するための方法は、高度に発現するE. coli 遺伝子と一般的に関連のないMECP2遺伝子の天然の配列においてコドンを同定すること、それらをE. coli 遺伝子発現に広く使用することが知られているコドンと置換することを包含する。コドン至適化核酸配列は、所望の宿主細胞中の天然の配列よりも改良された発現を示し得る。コドン至適化配列が非至適化配列よりもタンパク質産生における改良を誘導するかどうかを、本開示内容を考慮して当業者によって試験され得る。本発明のコドン至適化核酸配列をどのように設計し、作成するかに関する例は、下記実験の部に示す。
本明細書で使用したとおり、「異種」細胞は、特定細胞の天然遺伝子ではない遺伝子を発現する細胞を示す。
好ましい実施形態において、MeCP2タンパク質または生物学的に活性なフラグメント、または該タンパク質またはフラグメントの誘導体はヒト起源のものである。より具体的には、該MeCP2タンパク質または生物学的に活性なフラグメント、または該タンパク質または該フラグメントの誘導体は、該ヒトMeCP2アイソフォームe1または該ヒトMeCP2アイソフォームe2、または生物学的に活性なフラグメント、またはこれらのアイソフォームまたはこれらのフラグメントの誘導体であり得る。当業者には明らかであろうが、ヒトまたは非ヒト起源のMeCP2の他の生物学的に活性なアイソフォームまたはその生物学的に活性なフラグメントまたは該アイソフォームまたは該フラグメントの誘導体も、本発明のMeCP2タンパク質として使用され得る。
別の実施形態において、請求項に規定された第一核酸配列は、コドンが至適化されたヒトMeCP2アイソフォームe1 (配列番号1)またはコドンが至適化されたヒトMeCP2アイソフォームe2 (配列番号2)のDNA配列と、少なくとも60 %、少なくとも65 %、特に少なくとも70 %、少なくとも75 %、少なくとも80 %、少なくとも85 %、少なくとも90 %、少なくとも95 %、または少なくとも 99 % の配列同一性を有する。100% 配列同一性もまた包含される。核酸分子が配列番号1または配列番号2にて「少なくともx %の同一性」を有する場合、目的とする核酸配列が配列番号1または配列番号2の最大のマッチング配列にて整列される場合に、この2つの整列された配列間の該配列同一性は少なくともx %である。かかる整列は、公的に利用できるコンピューター・ホモロジー・プログラム、例えばhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/にてNCBIホームページで提供される「BLAST」プログラムによって提供される。非機能MeCP2ポリペプチドまたはフラグメントまたは誘導体は、例えば診断目的のために有用であり得るが、治療目的のためには生物学的に活性な機能タンパク質またはフラグメントまたは誘導体が望まれる。かかるポリペプチドの生物学活性は上記アッセイによって決定され得る。
さらに好ましい実施形態において、本発明の核酸分子は、原核生物細胞、特にグラム陰性またはグラム陽性細胞、例えばE. coli細胞またはBacillus sp.細胞中で発現される。核酸分子の発現のために適切な原核生物細胞、例えば多様なグラム陰性またはグラム陽性細菌が、当分野では知られている。また、当業者は、他の十分知られた発現システムを使用して、本発明の核酸分子からタンパク質発現を達成出来ることを認めている。かかる適切な細胞は、動物身体内部または外部にある非ヒト細胞またはヒト身体外部にあるヒト細胞であってもよい。実施例は、哺乳類細胞である。HEK細胞、HELA 細胞、CHO細胞および他のものである。非哺乳類起源またはさらに非脊椎動物起源の細胞の例示は、drosophila Schneider 細胞、他のSf9 細胞の様な無傷細胞、酵母細胞、他の真菌細胞および他の細胞である。
別の実施形態において、本発明は、タンパク形質導入ドメインを含むポリペプチドをコードする第二核酸配列をさらに含む本発明の核酸分子を提供するものであって、ここで該第二配列は、第一核酸配列と操作可能な連結にある。特に、本発明の第一および第二核酸配列を含む核酸分子は、配列番号50または配列番号51のいずれか一つから選択される。
タンパク形質導入ドメインは、高度に陽性の電荷密度のタンパク質領域であり、非古典的経路により生物膜を横断できる。これらの領域は、通常30以下のアミノ酸長であり、その塩基性特徴を獲得し、高いアルギニンからより低い程度のリジン含量までその形質導入特性を獲得する;引用文献は、例えばMol. Cell Proteomics. 2004、3 (8): 746 - 69である。形質導入ドメインは、形質導入ドメインと融合した別のタンパク質の細胞への侵入を補助できるあらゆるタンパク質またはその一部から得られ得る。タンパク質を細胞に形質導入する形質導入ドメインの能力を、細胞によるタンパク質摂取を追跡することによりあらゆる従来の方法、通常FACSソーティングまたは蛍光顕微鏡検査法のような多様な顕微鏡検査法技術により決定され得る。結合したポリペプチドを形質導入するための能力を有するタンパク形質導入ドメインが、例えばヒト免疫不全ウイルス-1(TAT タンパク質、受託番号AAQ86751)の転写のトランス活性因子タンパク質、アンテナペディア・ホメオドメイン(antennapedia homeodomein)(Derossi et al.、J. Biol. Chem.、269: 10444 (1994) and HSVVP22 (Elliot and O'Hare、Cell、88: 223 (1997)を参照されたい)またはポリアルギニン・ストレッチ様(8から10)の他のタンパク形質導入ドメイン(Jones S.W. et al.、Br. J. Pharmacol. (2005) 145(8):1093-1102を参照されたい)または合成のペプチドPTD4(Ho A. et al.、Cancer Res. (2001) 15; 61(2):474-477に記載)から得られる。このましい実施形態において、該タンパク形質導入ドメインは、TATタンパク質から得られる。より好ましくは、タンパク形質導入ドメインをコードする核酸配列は、TATタンパク形質導入ドメイン(YGRKKRRQRRR、配列番号54)のアミノ酸配列と、少なくとも60 %、少なくとも65 %、特に少なくとも70 %、少なくとも75 %、少なくとも 80 %、少なくとも 85 %、少なくとも 90 %、少なくとも 95 %または100 %の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする。アミノ酸配列は、配列番号54と「少なくともx % 同一性」を有するなら、目的の該アミノ酸配列が配列番号54の最良マッチング配列と整列された場合、それらの2つの整列した配列間の配列同一性は、少なくともx %である。かかる整列は、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/にてNCBIホームページにより公的に利用出来るホモロジープログラム、例えば"blastp"プログラムによって為され得る。しかし、当業者は、タンパク形質導入ドメインとして、TATタンパク質の長いフラグメントが使用され得ることを認識している。
本明細書に使用したように、用語「操作可能な連結において」は、本発明の核酸配列の配置を意味し、この一つの配列が、別の配列に対して、結合後に核酸配列がコードされたポリペプチドの翻訳枠が変化しないような配向にあるような(即ち、該核酸分子は互いに「インフレーム」に結合される)場所に位置づけられる。ここで得られる核酸分子は、インフレーム融合タンパク質をコードする。これを達成するために、本発明の核酸配列はいくつかの方法で編成される。一つの核酸配列は、本発明の該核酸配列とインフレームで存在するさらなるリンカー核酸により、直接連結されるか、または分断されるかのいずれかで、もう一つの配列のN末端またはC末端に位置づけられ得る。また、該コード化ポリペプチドの読み取り枠が無傷で残っている条件で、一つの核酸配列が別の核酸配列に挿入されるとことも包含される。挿入物が置かれた該配列が依然として機能的ポリペプチドをコードすることが望まれる場合、目的とするポリペプチドの生物学活性が本明細書に記載した試験に従って評価され得る。
本発明の核酸配列の結合は、本明細書で実施例の章に記載したようなDNA操作、例えば標準的連結方法および例えばManiatis、T.、Fritsch、E. F. & Sambrook、J. (1982) Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY)により達成され得る。他の連結方法、例えば化学的連結もまた包含される。
別の実施形態において、本発明は、(i)第一核酸配列または(ii)第一および第二核酸配列を含む核酸配列と操作可能な連結において第三核酸配列提供し、ここで第三配列はタンパク質精製に適切な1以上のポリペプチド配列をコードする。特に、タンパク質精製に適切なポリペプチド配列適切は、strepタグおよび/またはhisタグおよび/またはGSTタグおよび/またはinteinタグを包含するが、次のものに限定しない。かかるタグは、親和性クロマトグラフィーによるタンパク質の精製に利用でき、当業者には十分知られている(参考文献については、例えばTerpe K.、Appl. Microbiol. Biotechnol. (2003) 60(5):523-533を参照されたい)。第三核酸配列は、第一核酸配列または第一および第二核酸配列を含む核酸配列と操作可能な連結において存在する、即ち第一または第二核酸配列いずれかのN末端またはC末端のいずれかの場所に位置付けられ得る。(1)は第一核酸配列を示す、(2)は第二核酸配列を示し、(3)は第三核酸配列を示す場合、該配列の位置づけに関する可能な様式は、(1)-(2)-(3)、(1)-(3)-(2)、(2)-(1)-(3)、(2)-(3)-(1)、(3)-(1)-(2)または(3)-(2)-(1)を包含する。該核酸配列は、互いに直接連結され得るか、またはさらなるリンカー核酸により分断され得る。リンカーを用いる連結か、またはリンカーを用いない連結は、互いに関してインフレームで全ての3つの核酸配列をもたらし得るように行われ、得られる核酸分子は融合タンパク質をコードする。また、コードされたポリペプチドの読み取り枠が無傷のままである条件で、一つの核酸配列が別の核酸配列中に挿入されることを包含する。この挿入物が位置づけられた該配列が依然として機能的ポリペプチドをコードすることが望まれる場合、目的とするポリペプチドの生物学的活性は本明細書に記載した試験に従って評価され得る。
さらなる実施形態において、本発明の核酸分子は、(i)第一核酸配列、または(ii)第一および第二核酸配列、または(iii)第一および第二、および第三核酸配列を含む核酸配列と操作可能な連結において、第四核酸配列をさらに包含しており、該第四配列は1以上のリポーターポリペプチドをコードしている。適切なリポーターポリペプチドまたはリポーター分子は、例えば光学的方法、例えば蛍光顕微鏡検査法によって、融合ポリペプチドを視覚化および/または局在化することができる。適切なリポーターポリペプチドについての例は、GFP、CFPおよびYFPの様な蛍光性タンパク質、または二次反応において検出可能な標識を形成できる酵素、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼまたはβガラクトシダーゼである。リポーターポリペプチドの代わりに、当業者は、本発明の融合タンパク質を、別の検出可能な標識を用いて、例えば蛍光性または発光性有機分子(例えば、フルオレセイン、FITCまたはCy5)または放射性標識により標識することも検討するであろう。
第四核酸配列は、第一核酸配列、または第一および第二核酸配列、または第一および第二および第三核酸配列を含む核酸配列と操作可能な連結において存在する、即ち第一または第二または第三核酸配列いずれかのN-末端またはC-末端のいずれかの場所に位置づけられ得る。(1)が第一核酸配列を示し、(2)が第二核酸配列を示し、(3)が第二核酸配列を示し、(4)が第三核酸配列を示す場合、該配列の位置づけに関する可能な様式は、(1)-(2)-(3)-(4)、(1)-(2)-(4)-(3)、(1)-(3)-(2)-(4)、(1)-(3)-(4)-(2)、(1)-(4)-(2)-(3)、(1)-(4)-(3)-(2)、(2)-(1)-(3)-(4)、(2)-(1)-(4)-(3)、(2)-(3)-(1)-(4)、(2)-(3)-(4)-(1)、(2)-(4)-(1)-(3)、(2)-(4)-(3)-(1)、(3)-(1)-(2)-(4)、(3)-(1)-(4)-(2)、(3)-(2)-(1)-(4)、(3)-(2)-(4)-(1)、(3)-(4)-(1)-(2)、(3)-(4)-(2)-(1)、(4)-(1)-(2)-(3)、(4)-(1)-(3)-(2)、(4)-(2)-(1)-(3)、(4)-(2)-(3)-(1)、(4)-(3)-(1)-(2)、または(4)-(3)-(2)-(1)を包含する。該核酸配列は、互いを直接連結できるか、またはさらなるリンカー核酸により互いから分断され得る。リンカーを用いる連結またはリンカーを用いない連結は、互いに対してインフレームで全ての4つの核酸配列をもたらし得るように為され、この得られる核酸分子は融合タンパク質をコードしている。また、コードされたポリペプチドの読み取り枠が無傷で残ることが出来る条件で、一つの核酸配列が別の核酸配列に挿入されることも意図される。挿入物が置かれた該配列が依然として機能的ポリペプチドをコードすることが望まれる場合、目的の該ポリペプチドの生物学活性は本明細書に記載した試験に従って評価され得る。
別の態様において、本発明は、本発明の核酸によってコードされたポリペプチドに関する。核酸分子からポリペプチドを得る方法は、当業者に十分知られており、例えばManiatisら(上掲)に記載されている。
また、本発明のポリペプチドの2つ以上のフラグメントの化学的連結により融合ポリペプチドを獲得することも意図される。化学的連結方法は、化学架橋によりポリペプチド間の共有結合を提供する。適切な架橋連結剤は、例えば二官能基架橋剤、例えばスルホ-MBS、スルホ-EMCS、スルホ-GMBSおよび例えばPierce Cheminal Company (Rockford、IL、USA)から入手できる他の架橋剤である。
別の態様において、本発明は、本発明の核酸分子を含むベクターを提供する。かかるベクターは、プラスミド、フェージミドまたはコスミドであり得る。例えば、本発明の核酸分子は、Maniatisら(上掲)に記載されるような方法により原核生物または真核発現ベクター中にクローニングされる。好ましくは、かかるベクターは、本発明の核酸分子によってコードされたポリペプチドを発現できる。かかる発現ベクターは、通常少なくとも一つのプロモーターを含み、また翻訳開始のためのシグナルおよび翻訳終結のためのシグナル、または転写終結およびポリアデニル化のためのシグナルも含み得る。適切な発現ベクターは、下記実施例に記載したような、例えばpET28 a+ベクター、pUC18 ベクターまたはpTRI-Ex-neo1.1 ベクターである。
別の態様において、本発明は、本発明のベクターを含む宿主細胞に関する。かかる宿主細胞は、動物身体内部または外部にある非ヒト細胞またはヒト身体外部にあるヒト細胞であってもよい。他の適切な細胞は、原核生物細胞、特にグラム陰性またはグラム陽性細菌細胞を包含する。特に好ましいものはE. coli 細胞またはBacillus sp.細胞である。ベクターは、当業者にはよく知られた多様な方法により宿主細胞中に伝搬され得る。宿主細胞を導入し、かかる導入された宿主細胞を培養する方法、ならびにかかる形質転換した宿主細胞から本発明のポリペプチドを産生および獲得するための条件は、当業者には十分知られており、例えばManiatisら(上掲)に記載されている。
別の態様において、本発明は、本発明の核酸配列または核酸分子を調製するための方法に関し、(a) 第一の適切なオリゴヌクレオチドプライマー対をアニーリングおよび伸長により二本鎖核酸分子を作成する工程、ここで該プライマーは本発明の核酸配列を含む;および(b)所望により、第二、第三またはそれ以上の適切なオリゴヌクレオチドプライマー対を用いて(a)の工程を反復することを含む、方法に関する。
本発明の適切なオリゴヌクレオチドプライマーは、該オリゴヌクレオチドが本発明の核酸配列を含み得るように、目的とする核酸配列を、オーバーラップするオリゴヌクレオチド中に分割して設計される。通常、これらのオリゴヌクレオチドプライマーにより構成されるオーバーラップの範囲は、3から100個のヌクレオチド、特に20から30個のヌクレオチドまで変化する。第二、第三またはそれ以上の適切なオリゴヌクレオチドプライマー対は、第二、第三またはそれ以上の対の各プライマーが、本発明の所望の核酸配列の領域の範囲をカバーし、1以上の前記プライマーとのオーバーラップの範囲を含み得るように設計され得る。好ましくは、オーバーラップの範囲は、3から100個のヌクレオチド、特に20から30個のヌクレオチドの間で変化する。
1以上の他のオリゴヌクレオチドプライマーまたは本発明の核酸配列の部分への本発明のオリゴヌクレオチドプライマーのアニーリングを達成するためには、当業者には十分知られている条件および方法に従うべきである。当業者は、アニーリング法のために選択するための条件は、様々な因子、例えばプライマー長、オーバーラップ領域の長さ、GC含量等に依存することを理解している。アニーリングの後、プライマーのヌクレオチド配列は、十分に知られたPCR反応方法またはDNA合成に有用な他の方法により伸長され得る。例えば、Xiong A.S.、et al. (2004)、Nucl. Acids Res. 32(12):e98に説明されている。本発明の核酸配列を調製するための方法は、例えば以下の実施例1に説明されている。
さらなる局面において、本発明は、MeCP2タンパク質またはMeCP2タンパク質の生物学的に活性なフラグメント、またはMeCP2タンパク質またはMeCP2フラグメントの誘導体を含むポリペプチドを産生するための方法に関し、(a)宿主細胞を本発明の核酸分子により形質転換すること;(b)形質転換した細胞を、MeCP2タンパク質、生物学的に活性なフラグメント、またはMeCP2タンパク質またはフラグメントの誘導体を含むポリペプチドを産生するために、本発明の核酸分子の発現を許容する条件下で培養すること;および(c)所望によりポリペプチドを回収することを含む方法に関する。
宿主細胞を、核酸分子を用いて形質転換するための方法は、当業者に十分知られている。宿主細胞は、例えば方法、例えばリン酸カルシウムトランスフェクション、電気泳動、リポフェクチン・トランスフェクション等によりトランスフェクトされ得る。宿主細胞は、機械的方法、例えばDNAのマイクロインジェクションまたはベクター、例えばレトロウイルスを用いることにより形質転換され得る。Maniatisら(上掲)により説明されている。好ましくは、宿主細胞は、原核生物細胞であり、より好ましくはE. coli 細胞である。かかるトランスフェクトした宿主細胞を培養する条件、ならびに本発明のポリペプチドを産生するために本発明の核酸分子を発現できる条件が知られており、例えば、宿主細胞型および宿主細胞を形質転換するために使用されるベクター型に依存する。宿主細胞を培養および本発明のポリペプチドを発現させるための例は、下記実施例の章に示される。形質転換された宿主細胞からポリペプチドを回収する方法は、例えばRoe、S. (ed.)、Protein Purification Applications: A Practical Approach. Oxford University Press (2001)、Oxfordに記載されている。
好ましい実施形態において、該方法の工程(b)および(c)は、ポリペプチドを変性条件に供することを包含しない。本明細書で使用したようにポリペプチドの変性は、ポリペプチドの生物学的活性の完全なまたは部分的な損失をもたらし得る化学的または物理影響によりもたらされる構造変化を示す。ポリペプチドの変性により、二次および三次および四次構造またはポリペプチドの立体配座が変化するが、通常その一次構造は保持している。変性は、例えば温度変化、pH、界面活性剤または塩の付加、超音波等によってもたらされる。変性条件下で、例えば精製目的のために、ポリペプチドを培養および回収するための最も一般的な方法に対して、ネイティブ条件下でのポリペプチドの抽出は、機能的活性を保持するという利点、およびポリペプチドのミスホールディングを理由とする細胞内分解を低下させるという利点を提供できる。このようにネイティブ条件で抽出された本発明のポリペプチドは、高い形質導入効率を有し得る。
好ましい実施形態において、該ポリペプチドは、該方法の工程(b)後に、該細菌培養物1リットルあたり、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20mg以上の濃度で存在する。該タンパク質濃度は、製造者の指示書に従ってコマジー(Bradford)タンパク質アッセイキット(Pierce、Rockford、USA)を用いて定量できる。一つの例において、該タンパク質濃度は、アフィニティーカラムからのサンプル溶液溶出後および変性後に測定できる。通常、タンパク質濃度を、一組のタンパク質標準物、例えばアルブミン標準物に対して測定した。該標準物は、光度計、例えばEppendorf BioPhotometer(吸光度の測定、例えば595 nmにて)の較正のために使用した。実施例では、100μlタンパク質溶出物を、"Coomassie Protein Asssay Reagent" (Pierce)(5 ml)と混合し、室温で10分間平衡化し、次いで分光光度計で測定した。統合アルゴリズムにより該サンプルの濃度を計算する。
別の態様において、本発明は、本発明の核酸分子および/または本発明のポリペプチド、ならびに医薬上許容し得る担体を含む医薬組成物を提供する。当業者は、適切な医薬上許容し得る担体材を熟知している。
別の態様において、本発明は、哺乳動物に本発明のポリペプチドまたは医薬組成物を投与することを含む、神経変性または神経発達系の疾患の処置方法を提供する。好ましくは、該哺乳動物はヒト対象である。可能な投与経路は、静脈的、腹腔内、髄腔内、皮下、直腸、舌下、鼻腔、経口または経皮的である。
通常、神経変性疾患とは、ニューロン細胞の崩壊および損失により引き起こされる進行性の障害である。神経発達系の疾患は、出産障害、いくつかの症例において、出生後の脳の発達の障害によって引き起こされる障害である。特に、神経変性および神経発達不全は、MeCP2発現の低下またはMeCP2の機能障害を理由とする。MeCP2の機能障害は、例えばMECP2遺伝子の変異の機能的結果によって認識され得、Yusufzai T.M. and Wolffe A.P.、Nucl. Acids Res. (2000)、28(21): 4172-4179、Kudo S. et al.、Brain Dev. (2001) Suppl 1:S165-73、and Ballestar E. et al.、Hum. Genet. (2005) 116(1-2): 91-104に記載されている。一般的に、MBD(メチル-結合-ドメイン)の変異は、MeCP2の結合能またはDNAからのMeCP2の放出能を変更させ、非機能的にさせる。TRD(転写抑制ドメイン)内での変異は、通常、該タンパク質の転写抑制機能を修飾するかまたは無効にし、MeCP2発現を低下させる。前記開示内容に関し、担当医師は、患者が本明細書で開示した処置および/または治療の方法から利益があるか、または供されるのに適切であるかどうかを知っている。
より具体的には、神経発達系の疾患はRett症候群である。Rett症候群は、進行性の知能損失、良好かつ全体の運動技能および伝達能の損失を特徴とする出生後の神経発達障害である。頭部成長の低減、さらに常同性の手の動作に関する様々なパターンに関する進行は、Rett症候群の通常の特徴である。診断基準基準は、規定されており、臨床診断に有用である(Hagberg B. et al. Eur. J. Paediatr. Neurol. (2002) 6(5):293-7)。Rett症候群を診断するためのツールは、MECP2遺伝子における変異のスクリーニングを包含する。
別の実施形態において、医薬組成物は適切な用量で投与される。当業者は、投与のために適切な用量を確立するのに有用な方法を知っている。適切な投薬用量は、MeCP2発現の低下またはMeCP2の機能障害を理由とする神経変性および神経発達障害に罹患する哺乳動物の症状の一般的な改善をもたらす。適切な用量の効果とは、患者の注意能力の増加、発作の低下、改善された運動技能および一般的なRett症候群と関連する症候を包含し得る。好ましくは、医薬組成物は、哺乳動物体重の1gあたり、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29 30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48 49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100μgの本発明のポリペプチドまたは核酸配列の用量で投与される。別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、少なくとも1日に1回、少なくとも2、3、4、5、6または7日毎に投与される。
別の態様において、MeCP2タンパク質または生物学的に活性なフラグメント、またはMeCP2またはMeCP2フラグメントの誘導体を含むポリペプチドを産生するための本発明の核酸分子の使用が提供される。かかる使用のための実施例は、下記実施例において提供される。
さらなる態様において、本発明は、医薬および/または動物用医薬における使用のために上記したとおり、核酸分子またはポリペプチドに関する。さらなる態様において、本発明は、上記したとおり、神経変性または神経発達系の疾患の予防および/または治療のために、医薬組成物の製造のための、本発明核酸分子またはポリペプチドの使用に関する。より具体的には、該神経発達系の疾患は、上記したとおり、MeCP2発現の低下またはMeCP2の機能不全により引き起こされる。特に、該神経発達系の疾患は、上記したようなRett症候群である。該核酸分子、ポリペプチドまたは医薬組成物は、哺乳動物への投与に適切な形態にある。好ましくは、該哺乳動物はヒト対象である。可能な投与経路は、静脈的、腹腔内、髄腔内、皮下、直腸、舌下、鼻腔、経口または経皮的である。
図面の詳細な説明
図1.A. 該図面は、配列番号:3として示した合成配列を作成するための方法を示す。10個のオリゴヌクレオチドを、Escherichia coli (矢印)に対するコドン至適化配列に従って構築した。合成をPCR反応,工程1によって進行させ、20個のヌクレオチド(Mecp2_syn_5'_core_F and Mecp2_syn_5'_core_R)についてその3'末端でサイズ相補な100bpの2つのオリゴヌクレオチドを用いて中心フラグメントを構築した。最終産物は、180bpのサイズのものであって、破線の伸長線によって示される。次いで、この第一産物のアリコートを、2つのフランキングオリゴヌクレオチド Mecp2syn_5'_F1 および Mecp2syn_5'_R1の各々100 bpのサイズで用いる第二のPCR反応,工程2に対するテンプレートとして使用した。該反応を、工程3、4および5において同様に継続させた。B. 合成の最終産物を、次のクローニング方法の為に使用した3つの制限部位と共に表した。C. 対応する制限部位を有するPCRにより生成した合成DNAの略図をクローニングのために用いた。
図2. MECP2構築体の生成のための工程系統図。この工程系統図は、TATドメインと融合したMeCP2e1およびMeCP2e2についての合成遺伝子を含有する最終の発現ベクターに導く全ての中間工程とクローニング方法を示す。
図3. A. Escherichia coliコドン使用頻度に従って該配列を至適化することにより産生したMeCP2e2 タンパク質の増加量。Strepタグ化した組換え融合タンパク質を、10% SDS-PAGEで分離し、コマジーブルーで染色した。ゲル上で泳動させたタンパク質量は、等量の処理された細菌の液体培養物に対応する。レーン1、ヒトcDNAからのTAT-MeCP2e2-EGFP;レーン2、E. coli コドン使用頻度について部分的に至適化したMeCP2 cDNA 配列由来のTAT-hsMeCP2e2-EGFP。レーン3、Escherichia coliコドンについて部分的に至適化したMeCP2 cDNA 配列からのHis-TAT-hsMeCP2。レーン4、完全な合成MECP2遺伝子から産生したHis-TAT-sMeCP2。この図は、コドン至適化cDNA配列を用いて得たタンパク質の強力な増加を明白に示している。
B.-D. インビトロのMeCP2e2-EGFPの発現および分布。B. 上部の横列:TAT-MeCP2e2-EGFP 融合タンパク質を安定に発現するNIH3T3 細胞系の顕微鏡写真。約40%の細胞はTAT-MeCP2e2-EGFPタンパク質を発現する。該矢印は、MeCP2e2タンパク質の通常の異質染色体分布(DAPI)を有する細胞を指し示す(挿入物中においてより高倍率で示した)。下部の横列:HeLa細胞のほぼ100%がMeCP2e2タンパク質を発現する。局在化は、通常あらゆる細胞質のタンパク質染色のない核中に存在する。挿入物はMeCP2の異質染色体分布を明らかにする。C. アセチル化ヒストンH3、ポリクローナル抗-MeCP2および泳動コントロールとして抗-αチューブリンに対する抗体を用いる、NHI3T3 および HeLa 非形質転換コントロール(wt)およびTAT-MeCP2e2-EGFP(st)を安定に発現する対応する細胞系からの100μgのタンパク質抽出物のウェスタン・ブロット。両方の安定な細胞系において、該融合タンパク質は、100 kDaの見かけの分子量を有する。D.ウェスタン・ブロットシグナルの濃度測定の定量は、野生型のものに対してTAT-MeCP2e2-EGFP 融合タンパク質を過剰発現する細胞系の50〜60%のヒストンH3アセチル化の低下を示す。
図4.A. いくつかの細胞型における形質導入反応速度およびTAT-MeCP2e2-EGFPの分布パターン。NIH3T3 細胞を、3(a,b)または12 時間(c,d)の各々についてTAT-MeCP2e2-EGFP(50μg/ml)を用いてインキュベートした。3時間後に、該細胞は部分的にのみ遺伝子導入され、そして該組換えタンパク質は、全体の場所(a,b)として視覚化可能な細胞質中に大部分位置づけられる。インキュベーション12時間後、該組換え体タンパク質は、全ての細胞に遺伝子導入して、生理的局在部分である核に大部分位置づけられる。e. 共焦点像により、タンパク質は主に核中に位置することを確認する。f. TATを含まない組換えEGFPタンパク質は、いかなる時点でも細胞を通過することは出来ず、スペア(spared)の細胞外スポット(インキュベーションの12時間)として視覚化できた。gおよびh. TAT-MeCP2e2-EGFPを使用して、p.T158Mを用いるRett患者の初代線維芽細胞におけるその形質導入効率を試験した。統合した画像から、タンパク質は全ての線維芽細胞を効率的に遺伝子導入したことを示す。局在化は主に核内にあるが、いくつかのタンパク質は細胞質中に依然として存在していた(挿入物)。iおよびj. 野生型マウスからの初代海馬ニューロンを、TAT-MeCP2e2-EFGP 融合タンパク質と共にインキュベートした。MeCP2e2タンパク質は核内で容易に検出できた。
B.,C. 遺伝子導入したNIH3T3 細胞中のTAT-MeCP2e2 タンパク質の時間耐性。NIH3T3細胞培養は、同量のTAT-MeCP2e2 タンパク質と共に独立してインキュベートした。次いで、タンパク質抽出物を、様々な時点で処理した細胞培養物から回収した。B. ウェスタン・ブロット分析は、インキュベーション後の2、24、48、72、96(辛うじて見える)では組換え体タンパク質の存在を示すが(レーン1〜6各々)、120時間では示さなかった。C.濃度測定分析は、この時間にわたりタンパク質濃度中の低下を示す。約77%という最大低下が24から48時間の間に観察された。相対値を、100%としてレーン1において絶対値を設定して計算した。次いで、様々な時点での値はそれに応じて変化した。
図5. Mecp2は、ヒストンH3およびH4K16のアセチル化に影響する。a.wt (1)および変異したMeCP2 (2)(p.T158M変異)を発現する単一対立遺伝子細胞培養物からのタンパク質抽出物を、ヒストンH3およびH4K16のアセチル化状態について分析した。変異したアレルを発現する単一対立遺伝子細胞系の独立した細胞培養物を、各々300 pmolのTAT-MeCP2e2(3)、MeCP2e2(4)およびTAT-EGFP(5)の組換え体タンパク質を用いて64時間インキュベートした。MeCP2タンパク質は、MeCP2e2を用いてではなくTAT-MeCP2e2(3)を用いてインキュベートした細胞系においてのみ検出可能であった。TAT-EGFPは該細胞へ首尾良く遺伝子導入され、抗GFP抗体(5)により検出された。b. タンパク質泳動のための参照としてチューブリンを用いるウェスタン・ブロットの正規化した濃度測定分析により、変異アレル(Mut)を発現する単一対立遺伝子細胞系と野生型(WT)(白色の棒と黒色の棒)において、非アセチル化ヒストンH3の若干の低下およびヒストンH3およびH4K16のハイパーアセチル化が明らかとなった。変異細胞系のTAT-MeCP2e2を用いるインキュベーションは、H3およびH4K16の両方のハイパーアセチル化の低下およびH3の非アセチル化形態(灰色の棒)の若干の増加を誘導した。ヒストンアセチル化の有意な変化は、TATを用いないMeCP2とTAT-EGFPタンパク質(斜線および平行線の棒)の等モル用量を用いたインキュベーションにより、独立した細胞培養中では観察されなかった。これらの結果は、TAT-MeCP2e2が生物学的に活性であることを証明するものであった。c. TAT-MeCP2e2(3)(300 pmol)用いてインキュベートしたwt マウス(1)、Mecp2-/y (2) およびMECP2-/y マウスの線維芽細胞抽出物のウェスタン・ブロット。該抗MeCP2抗体により、組換え体タンパク質による線維芽細胞の効率的な形質導入が明らかとなった。チューブリンを参照として使用した。d. c.に示したウェスタン・ブロットの参照タンパク質としてチューブリンを用いる正規化した濃度測定分析により、非アセチル化ヒストンH3形態の低下が明らかとなった。野生型マウス(wt)に対してMecp2-/y (ko)のヒストンH4K16のアセチル化形態は増加したが(黒色棒に対して白色)、ヒストンH3のアセチル化形態に関する増加はない。TAT-MeCP2e2(ko +)を用いるMecp2-/y マウスからの線維芽細胞培養物のインキュベーションは、非アセチル化ヒストンH3(灰色のバー)の増加およびH4K16のハイパーアセチル化レベルの低下を誘導した。
図6. MeCP2はインビボでのCNSニューロンを標的とし得る。a. TAT-MeCP2e2-EGFP(レーン1)、TAT-MeCP2e2(レーン2)またはTATタンパク質を含まないMeCP2e2(レーン3)を用いて腹腔内注射後の20時間後に屠殺した3匹のwtマウスの脳タンパク質溶解物(50μg)の抗MeCP2抗体を用いるイムノブロッティング。レーン1において、TAT-MeCP2e2-EGFPの存在は、内生Mecp2タンパク質に関するより高い分子量により十分に認識され得る。TAT-MeCP2e2を用いて注射したマウスから、レーン1および3よりもより強力なMeCP2e2タンパク質シグナル(レーン2)が明らかとなり、ここで内生Mecp2のレベルは大きく異ならない。b. 注射20時間後のTAT-MeCP2e2-EGFPを用いて、およびTATタンパク質を含まないEGFPを用いて注射した野生型マウスの脳におけるGFP免疫蛍光。該GFPシグナルは、TAT-MeCP2e2-EGFP(1〜6)にて注射されたマウスの大脳皮質、小脳顆粒細胞層および外部髄膜中の大部分の細胞の核中に局在した。EGFPはEGFP注射マウス(7および8)脳において検出出来なかった。c. ポリクローナル抗MeCP2抗体を用いる組換えタンパク質の一つのアイソフォームを用いて各々注射した2匹のMecp2-/y動物の免疫蛍光。第一および第二の横列は、組換えTAT-Mecp2e1 (1,2,3)およびe2(4,5,6)を用いて20日間処置したMecp2-/y マウスの大脳皮質からの切片を示す。細胞の核中の主なMeCP2の存在は、挿入物中に歴然と存在している。MeCP2+/y (7,8,9) およびMeCP2-/y マウス(10,11)を注射していないマウスの脳切片をコントロールとして用いた。
図7. A. TAT-MeCP2e1によって遺伝子導入したMecp2-/y 動物の線維芽細胞培養物における免疫共沈殿実験から、HDAC1の動員が示された。上部の列は、抗MeCP2ポリクローナル抗体(”+”抗MeCP2抗体の存在時の沈殿画分、および抗MeCP2抗体非存在時”−”)を用いる免疫沈殿したタンパク質画分のウェスタン・ブロットである。底部では、抗HDAC1抗体を用いる同じ免疫沈殿物からのウェスタン・ブロット分析である。レーン1および2:野生型動物の線維芽細胞からの沈殿タンパク質分画。レーン3、4およびレーン5、6:TAT-MeCP2e1およびTAT MeCP2e2各々を用いて遺伝子導入したMecp2-/y マウスの線維芽細胞からの沈殿タンパク質画分。レーン7および8:Mecp2-/y 動物の線維芽細胞からの沈殿タンパク質画分。免疫沈殿画分において、MeCP2ならびにHDAC1の両方の存在は、ポジティブコントロール(レーン1)の画分ならびに両方のTAT-MeCP2 アイソフォーム(レーン3および5)により遺伝子導入された細胞の画分中で可視できた。検出可能なMecp2ならびにHDAC1タンパク質が、ネガティブコントロール(レーン7)の沈殿画分において可視できる。抗MeCP2の非存在において免疫沈殿物からは、MeCP2ならびにHDAC1どちらの存在も見られなかった。
B.,C. TAT-MeCP2アイソフォームは、脳中のH3およびH4K16のハイパーアセチル化を制御する。B. MeCP2-欠損マウスに、14日間PBS(レーン2)、TAT-MeCP2e1の20μg/g(レーン3)または30μg/g(レーン4)を用いてi.p.注射した。全ての注射したマウス(2〜4)および注射していない野生型マウス(1)由来の脳タンパク質抽出物(50μg)を、ヒストンH3(H3)、アセチル化ヒストンH3、アセチル化ヒストンH4K16およびMeCP2に対する抗体を用いて免疫ブロットした。抗α-チューブリン抗体を泳動コントロールとして使用した。Mecp2-/y マウスは、検出可能なMecp2または組換えタンパク質(レーン2、3および4)いずれも示さなかった。H3またはH4K16に関するいずれの明らかなハイパーアセチル化も、野生型マウスと比べてPBS注射したMeCP2-欠損マウスにおいて検出できなかった。しかし、組換えタンパク質の注射により、ヒストンH4K16のアセチル化が低下した。アセチル化および非アセチル化ヒストンH3についての大きな差違は観察されなかった。C. MeCP2 タンパク質の用量依存性の生化学的活性を示す濃度測定分析。同様の実験を、常に同様の結果を有するTAT-MeCP2e2タンパク質を用いて行った。相対値は、100%として規定したwt動物の値の%として表現した濃度測定値を示す。
図8. MeCP2アイソフォームを送達された脳は、寿命が長くなり、MeCP2-/yマウスにおけるニューロンの病理を回復させた。a. カプラン・マイヤー・チャートは、非処理(n=11)、モック処理 (n=6)またはTAT-MeCP2e1 (n=5)またはTAT-MeCP2e2 (n=5)を各々用いて処理したMeCP2-/yマウスの生存曲線を示す。b. 両側t-Student検定から、非注射/モック注射したTAT-MeCP2e1およびTAT-MeCP2e2に対する両群について、0.05のα値により、p<0.05値が明らかになった。統計学的差違は、群TAT-MeCP2e1/TAT-MeCP2e2(p>0.8)ならびに非注射/モック注射マウス群の間に存在しなかった。c. CA2 海馬ニューロンのニッスル染色により、野生型マウス(2)と比べて、MeCP2-/yマウス(1)においてより小さくかつより緊密に充填されたニューロンが明らかとなった。これに対して、TAT-MeCP2e1(3)処置により、Mecp2-/yマウス中のニューロン破壊が回復した。(4)では、TAT-MeCP2e2で処理したマウスの海馬の画像であり、これはニューロンのサイズが変化しなかった。d. 海馬CA2 ニューロン(wtについてはn=3、Mecp2-/yについてはn=3、TAT-MeCP2e1処理マウスについてはn=4およびTAT-MeCP2e2についてはn=3)中の細胞回復の定量化。
実施例
下記実施例は、さらに説明することを意味するが、本発明を限定するものではない。該実施例は技術的形態を含み、本発明はこの実施例の章に示した技術的形態を組み合わせることにも関すると理解される。
1.構築体作成
コドン至適化配列がタンパク質産生における改善を誘導するかどうかを確立するために、2工程方法を、コドン至適化を計画する際に使用した。第一に、MECP2コード配列のちょうど約半分を、少なくとも8-10%のE. coliにおける使用頻度を有するコドンを選択することによって、下記したとおりに至適化した。次いで、改良された発現の評価を行った。"半合成"MeCP2を用いて得られた該タンパク質の顕著な増加により、この方法の妥当性を確認し、第二工程において、該配列を図3Aに示したとおり完全にコドン至適化した。プライマーの重複領域は、通常少なくとも50℃の溶解温度にて20個のヌクレオチドの長さであるが、多くの場合、より長いオーバーラップ領域が、PCRを媒介する合成中の効率的なアニーリングを確実にするために作成されるべきである。下記構築体の生成のための工程系統図を図2に示した。
1.その3'末端で20個の塩基について相補的な2つのオリゴヌクレオチド(TAT-core-F および TAT-core-R、配列番号7および配列番号8)を構築した。次いで、各オリゴヌクレオチド(20pmol)を、下記条件でPfuポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、USA)を用いて伸長させた:96℃で15分間変性させ、その後60℃で30分間1つの伸長工程。次いで、該産物をpBluescriptベクターにクローニングし(Stratagene、La Jolla、USA)、配列決定した。次いで、2つのさらなるプライマー(TAT-new-F および TAT-new-R、配列番号9および配列番号10)を使用して、5'および3'ゲノム末端各々にEcoR1IおよびHindIII制限部位を有する産物を生成する前記挿入物を増幅させた。次いで、EcoRIおよびHindIIIで消化したこの産物を、pTAT-Strep 構築体を生成するpuc18 ベクター中にサブクローニングした(Invitrogen、Karlsruhe、Germany)。pTAT-Strep構築体中に含有したTATおよびStrep tag-IIをコードするcDNAを、配列番号5(工程1、図2)に示す。
2. EGFPクローニング配列を、pEGFP-C1ベクター(Clontech、CA、USA)から切り出し、pTAT-Strep 構築体中にクローニングし、puc18-TAT-EGFP-Strep(工程2、図2)と命名した。
3.MECP2遺伝子のcDNA配列を、プライマーNotI-3G-MeCP2-F および R-MeCP2-3G-NcoI (配列番号11 および 配列番号12)を用いるPfu ポリメラーゼによりクローンpCR-hMeCP2 (W. Straetling、Universitaetsklinik Eppendorf、Hamburg、Germany)から増幅させた。該PCR産物を、5'および3'ゲノム末端でNotIおよびNcoI制限部位についての配列を用いて構築し、puc18-TAT-EGFP-Strep中にクローニングした。誘導体構築体は、pTAT-MeCP2e2-EGFP-Strep(工程3、図2)であった。
4. pTri-EX-TAT-MeCP2e2-EGFP-Strep-His(工程4、図2)真核生物発現ベクターを、BspHI-TAT-F (配列番号38)およびXhoI-EGFP-R (配列番号39) プライマーを用いて、Pfuポリメラーゼにより構築体 pTAT-MeCP2e2-EGFP配列からのTAT-MeCP2e2-EGFP-Strep配列を増幅することにより作成した。該PCR産物を、BsphI/XhoIにより消化し、NcoI/XhoIを用いて直線化したpTRI-Ex-Neo.1.1 ベクター中にクローニングした(Novagen、Darmstadt、Germany)。
5. 構築体1と類似の方法を用いて、ペプチドPTD4(Ho A et al. Cancer Res. 2001 Jan 15;61(2):474-7.)をコードする配列を作成するオリゴヌクレオチド PTD4_core_F (配列番号40)、PTD4_core_R (配列番号 41)、PTD4_amp_F(配列番号 42)およびPTD4_amp_R (配列番号 43) を用いてpET28-PTD4-6his 構築体を作成した。得られる産物を、NcoIおよびXhoIを用いて制限消化し、同様に消化したpET28a(+)ベクターにクローニングし(Novagen、Merck、Darmstadt、Germany)、pET 28-PP4-6His プラスミド(工程5、図2)を作成する。pET 28-PP4-6His プラスミド中に含有した生成したコード配列を配列番号6に示した。
6. pTAT-MeCP2e2-EGFP-StrepからのNdeI/BspeIフラグメントを、NdeIおよびAgeIで制限消化したpET28-PP4-6Hisにクローニングした。得られる構築体をpET28-TAT-MeCp2e2-EGFP-6His(工程6、図2)と命名する。
7. pTri-EX-MECP2-EGFP-Strep-6HisからNotI/XhoI フラグメントを切り出し、同じ制限エンドヌクレアーゼを用いて消化したpET28-TAT-MeCP2e2-EGFP-6His中にクローニングした。得られる構築体はpET28-TAT-MeCP2e2-EGFP-Strep-6Hisであった。
8. MeCP2のヒト配列の部分を、Mecp2-His-F1 (配列番号44)およびMecp2_His_rev (配列番号45)プライマーを用いて増幅させた。この産物をpBluescript中にクローニングして、pBlue-6Hisプラスミド(工程8、図2)を作成する。
9. 6つのHis配列およびMeCP2コード配列の一部を含有するNdeI/DraIフラグメントを、His-tagを含有するpBlue-フラグメントから離して、同様に消化したpET28-TAT-MECP2e2-EGFP-Strep-6Hisにクローニングした。生成したプラスミドをpET28-6HisTAT-MeCp2e2-EGFP-Strep-6Hisと命名した(工程9、図2)。
10. pET28-6HisTAT-MeCp2e2-EGFP-Strep-6HisからXhoIおよびDraIIIフラグメントを、該ベクターから離した。その後、6His配列をコードする配列を含まないが同じフラグメントを、Mecp2_pet_XhoI (配列番号46)およびMecp2_pet_DraIII (配列番号47)プライマーを用いて増幅させた。次いで、このPCR産物を、該フラグメントをpET28-6HisTAT-MECP2e2-EGFP-Strep-6His中にフラグメントを再構成するために使用した。得られるプラスミドはpET28-6HisTAT-MECP2e2-EGFP-Strepであった(工程10、図2)。
1.1.合成遺伝子の生成:
ヒトMECP2 cDNAを含有するpET28-TAT-MECP2e2-EGFP-Strep-His ベクターを用いる組換え体タンパク質を生成するための試みは満足のいくものではなかった。該タンパク質の収量は、1リットル細菌培養あたり約0.1mgであった。Escherichia coliでのこの不十分なタンパク質の発現を克服するために、この特定の生物のために至適化した合成MeCP2を設計して、コドンの偏りの制限を回避した。ヒトMeCP2のアイソフォームe1およびe2の両方のアミノ酸配列を、Escherichia coliの好ましいコドンの使用に従ってバック・トランスレーションした。また、cDNA 配列のGC含量を低下させた。これはタンパク質産生に対する制約に関するさらなる原因であり得る。次いで、この人工配列を、一連のオーバーラップヌクレオチドを使用して、PCR媒介合成により作成した。2つの別の反応において、18個の相補的オリゴ-ヌクレオチドと共に、Pfu 超高忠実度DNAポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla)を用いて、MECP2e2コード配列を合成した。第一工程において、一組の10個のオリゴヌクレオチド(配列番号13から配列番号22)は、TATドメインをコードする配列およびサブクローニングのための制限部位を含有する810 bpの配列番号3を生成した。合成のための基本的なストラテジーを図1に概要した。第一工程において、20 bpの相補性を有する2つのコアなオリゴヌクレオチドをアニーリングして、伸長させた。テンプレートとして生成した該PCR産物と共に、別の相補的オリゴヌクレオチドをもちいて、さらに合成遺伝子の伸長を行った。
反応成分(50μlに対して):
プライマー:Tat_core_F/Tat_core_R (100 pmol/μl ) 各1μl
dNTPs mix (2.5 mM各ヌクレオチド/μl) 8μl
10X DNA ポリメラーゼ緩衝液 5μl
Ultra Pfu DNA ポリメラーゼ(2.5 Units/μl) 2μl
dd H2O 33μl
第一フラグメント生成のための熱サイクラー条件:
第一工程:初期変性30秒間96℃;10サイクルの後:20秒間96℃;30秒間55℃;1分間72℃;
第二工程:20サイクル:30秒間96℃;1分間72℃;72℃で5分間、最終伸長。
得られる産物をMontage (Millipore)PCRクリーンアップカラム上で精製した。その後の反応工程のために、精製したPCR 産物(1μl)および次の各プライマー対(10 pmol)を、下記条件で使用した:初期変性96℃で2分間、続いて20秒間96℃で25 サイクル;30 秒間55℃で;1分間72℃で。各々下記増幅工程を、さらなる増幅工程(図1)のために、10秒間にて伸長時間を増加させることによって、先に生成したフラグメントをインプットDNAとして使用して同じ条件で行った。
11. 生成した配列を、pBluescript中にクローニングし、配列エラーを調べた。エラーを含まないクローンを選択し、pBlue-MECP2 e2-synと命名する(工程11、図2)。
12. pBlue-MECP2 e2-synからEcoRI/XcmI フラグメントを取り出して、同じ制限酵素を用いて先に消化したpTAT-MECP2e2-EGFP-Strep中にクローニングした。得られるプラスミドを、pTAT-MECP2 e2 syn-EGFP-Strepと命名する(工程12、図2)。
13. pTAT-MECP2 e2 syn-EGFP-Strepから、NotI/SacI フラグメントを取り出し、同様に消化したpET28-6His-TAT-MECP2-EGFP-Strep中にクローニングした。得られるプラスミドは、pET28- His-TAT-MECP2 e2(half)syn-EGFP-Strepであった(工程13、図2)。
14. EGFPを、Sac IIおよびBsrGIを用いる消化によりpET28- His-TAT-MECP2 e2(half)syn-EGFP-Strep ベクターから取り出した。リバースプライマーMecp2_BsrGI (配列番号31)およびフォワードプライマー Mecp2_1282_1306 (配列番号 32)を用いて部分的に削除したMeCP2を再生させて生成したPCR産物を作成し、pET28- His-TAT-MECP2 e2(half)syn-EGFP-StrepのSacII/BsrgI 制限部位にクローニングした。得られるベクターを、EGFPをコードしないpET28-His-TAT-MECP2 e2(half)syn-Strepと命名する(工程16、図2)。
第二の8個のオリゴヌクレオチド(配列番号23から配列番号30)対を用いて、図1および上記した類似の方法を用いて、配列番号4の配列を生成した。
15. PCR産物をpBluescriptにクローニングして、pBlue-MECP2 e2-syn_3partと命名する(工程14、図2)。
16. pBlue-MECP2 e2-syn_3partからのXcmI/BsrGIを該ベクターから取り出し、pTAT-MECP2 e2 synを生成するpTAT-MECP2 e2 syn-EGFP-Strep中にクローニングした。このベクターは配列番号2に示した完全に至適化された配列を含有する(工程15、図2)。
17. pTAT-MECP2 e2 synに含有した完全な合成MeCP2e2 配列を、NotI/BsrGIを用いて切除し、同様に消化したpET28-His-TAT-MECP2 e2(half)syn-Strepにクローニングした。得られるフラグメントは、MeCP2の完全な合成配列を含有しており、pET28a-6His-TAT-MECP2 e2 syn-Strepと命名する。これは大規模なタンパク質産生のために使用される構築体の一つである。
18. PCR産物を、アイソフォームMeCP2e1の配列を含有するMecp2b_syn_F(配列番号 33)、Mecp2b_syn_core (配列番号34) および Mecp2b_syn_R (配列番号35)を用いる該オリゴヌクレオチドを用いて生成した。
反応成分(50μlに対して):
プライマー:Mecp2b_syn_core /Mecp2b_syn_R (100 pmol/μl) 各1μl
dNTPs mix (2.5 mM各ヌクレオチド/μl) 8μ
10X DNA ポリメラーゼ緩衝液 5μl
Ultra Pfu DNA ポリメラーゼ (2.5 Units/μl) 2μl
dd H2O 33μl
第一フラグメント生成のための熱サイクラー条件:
第一工程:初期変性30秒間96℃;10サイクルの後:20秒間96℃;30秒間55℃;1分間72℃;
第二工程:20サイクル:30秒間96℃;1分間72℃;72℃で5分間、最終伸長。
生成したPCRフラグメントからの1μlを、インプットDNAとして次の反応に使用した:
反応成分(50μlについて):
プライマー: Mecp2b_syn_F /Mecp2b_syn_R (10 pmol/μl) 各1μl
第一PCRからのPCR産物(1μl) 1μl
dNTPs mix (2.5 mM各ヌクレオチド/μl) 8μl
10X DNA ポリメラーゼ緩衝液 5μl
Ultra Pfu DNA ポリメラーゼ (2.5 Units/μl) 2μl
dd H2O 32μl
初期変性:
1分間、96℃
下記条件で30サイクルに供する:
20秒間で96℃;30秒間で60℃;30秒間で72℃
最終伸長工程:5分間、72℃
このPCRフラグメントは、pET28a-6His-TAT-MECP2e2synのEagIからPstI部位に該フラグメントを置換して、pET28a-6His-TAT-MECP2e1syn Strepを生成する(工程18、図2)。
19. TATドメインを含まないが完全なMECP2合成配列を増幅する、プライマーMecp2 -syn -Nde I _F (配列番号36)およびMecp2 -syn -BsrG I _R(配列番号37)を用いて生成したPCR産物を、同様に消化したpET28-His-TAT-MECP2 e2(half)syn-Strepにクローニングした。得られるプラスミドをpET28a-6His-MECP2 e2 syn-Strepと命名した(工程19、図2)。
2. 該タンパク質の発現および精製
この試験における重要な工程は、組換え体タンパク質の効率的な産生を達成することであった。上記概要のとおり、我々は、組換えタンパク質の収量を増加させるためにEscherichia coli コドン使用頻度に従ってアイソフォームe1およびe2の両方について合成MECP2-cDNA 配列を作成した(図3A)。下記に示したいくつかのインビトロでの実験は、追加のドメインの存在に関係なくTAT-MeCP2 融合アイソフォームの生化学的活性を示した(図5および図7を参照されたい)。変性条件下で形質導入ドメインと融合したタンパク質を抽出するための最も一般的な方法とは対照的に、我々は、その機能活性を完全に保持するために、またミスフォールディングによる細胞内分解を低下させるために、ネイティブ条件で組換え体タンパク質を抽出することを決定した。下記に示したインビトロでの実験から、これらのネイティブ条件で抽出したタンパク質が高い形質導入効率を有することもまた示された。
タンパク質発現のために、Escherichia coli 株 Rosette 2 (DE3) (Novagen)を、電気泳動によりプラスミドベクターを用いて形質転換した。一つのコロニーを、カナマイシン(50μg/ml)を加えたLB(10ml)に植菌し、一晩37℃で振盪しながら培養した。予備培養物を1:25に希釈し、カナマイシン(50 μg/ml)を加えたLB(250 ml)中で、5時間37℃にて培養し、その後4℃で1時間維持した。培養を、50 μg/ml カナマイシンを加えた2.5リットルのリッチ培地(2.5g 抽出物/リットルLB)で、1:10にさらに希釈し、1mM IPTGを用いて30℃で約12時間誘導した。細胞を、7000g、10分間、4℃で遠心分離により回収した。ペレットを、PMSF(100μg/ml)、プロテアーゼ阻害剤カクテル(CALBIOCHEM)(1μl/ml)、リゾチーム(500 μg/ml)、ベンゾナーゼ(1Unit/ml)(Merck Biosciences)を含む細菌分解緩衝液 (15 ml/l 培養ペレット)中に再懸濁し、ボルテックスに供して溶解した。溶解物を、室温で10分間、次いで氷上で15分間インキュベートして、超音波を(50-60秒間の負荷サイクル、5-6アウトプット)加熱をさけるために各々2分間の間隔にて1分間6回行う。溶解物を18,000xgで25分間4℃で遠心分離し、次いで上清を0.45μMフィルター(Millipore)を用いて濾過して、製造者指示書を用いてstrep-tactinアフィニティーカラム上で精製した(IBA、Goettingen、Germany)。次いで、該タンパク質を、PD-10 脱塩カラム(GE Helthcare、Freiburg、Germany)を用いて緩衝液交換に供した。該緩衝液組成物は、20 mM HEPES、300 mM NaCl、0.1 mM CaCl2および10% グリセロールであり、細菌リポポリサッカリドを、前記緩衝液を用いてカラムを平衡化した後に製造者指示書に従って、EndoTrap columns (Profos、Regenburg、Germany)により除去した。
3. 融合タンパク質の細胞培養および形質導入
3.1.細胞系
NIH3T3 細胞(マウス線維芽細胞、ATCC CCL 92)を、10%胎児ウシ血清(PAN Biotech)および抗生物質のペニシリン(100 U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)(PAN Biotech)を含有するダルベッコ修飾イーグル培地(PAN Biotech)において37℃で5%CO2にて培養した。
MECP2遺伝子(T158M)の最も頻度の高い変異の一つを担持するRett女性患者の皮膚生検由来の線維芽細胞を、15%ウシ胎仔血清、ペニシリン(100 U/ml)、ストレプトマイシン(100 μg/ml)およびL-グルタミン酸塩(100 ng/ml)を含むRPMI 1640中において37℃で7%CO2にて培養した。
Mecp2-/y マウス由来の線維芽細胞を、後肢/尾部先端を用いて出産後7日目(P7)から調製した。該組織をDPBSで洗浄して、空気層流下で培地を入れた35mmの皿中で滅菌した外科用メスを用いて小片に切り刻んだ。注意深く該培地を吸引し、新しい培地と交換し、該皿を培地を変えずに37℃で10% CO2にて一週間インキュベートした。さらに、該線維芽細胞細胞を、20% 幼ウシ血清および抗生物質ペニシリン(100 U/ml)、ストレプトマイシン(100 μg/ml)を含有するダルベッコ修飾イーグル培地において37℃で7%CO2にて維持した。
層流下で切開した出産後7日目(P7)の子犬の脳を使用して、公開されたプロトコール(Ray、J.、et al.、1993、PNAS 90:3602-6)に従って、ニューロン培養のために海馬および大脳皮質を単離した。
3.2. TAT-MeCP2e2-EGFPタンパク質を発現する安定な細胞系の確立
TAT-MeCP2-EGFPを発現する安定な細胞系を確立するために、我々は、NIH3T3 (マウス線維芽細胞)およびHeLa細胞(ヒト頚部癌腫)を使用した。HeLa細胞を、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン(100 U/ ml)、ストレプトマイシン(100 μg/ml)およびL-グルタミン酸塩(100 ng/ml)を含むMEM-α(PAN Biotech、Aidenbach、Germany)中で培養した。NIH3T3を、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン(100 U/ml)、ストレプトマイシン(100 μg/ml)を有するDMEM中で培養した。pTriEx-TAT-MeCP2e2-EGFP-Strep-Hisと共に、製造者指示書(Novagen)に従ってGene juiceトランスフェクション試薬を用いて細胞を形質転換した。トランスフェクション2日後、該細胞をネオマイシン(GIBCO)(500 μg/ml)を含有する培地上で6週間選択し、その後ネオマイシン(200 μg/ml)を含む培地上で維持した。画像を2つのチャンバー培養スライド中で1日間細胞を増殖させて撮った(Falcon、BD bioscience、Heidelberg、Germany)。該細胞を洗浄し、DAPI(Vector laboratories、Burlingame、CA)を含有するベクター・シールド・マウント培地を用いて組み込み、蛍光の分布を、200 x 倍率にてOlympus microscope BX60 (Olympus Optical Co. LTD、Japan)上で、SIS分析ソフトウェア(Soft Imaging System GmbH、Muenster)を用いて5つの異なる視野で分析した。
3.3. Rett患者の単一対立遺伝子一次細胞系の確立
患者の線維芽細胞を、製造者指示書に従い(Qiagen、Hilden、Germany)SuperFect トランスフェクション試薬を用いて、hTERT(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素サブユニット)コード化遺伝子を含有するプラスミド pCI-neo-hTERT プラスミド (Counter、C.M. et al.、1998、Oncogene 16:1217-22 and Lundberg、A.S. et al.,2002、Oncogene 21:4577-86)を用いて形質転換した。形質転換した細胞を、G418 (200μg/ml) (Calbiochem、San Diego、USA)含有培地中で6週間の間選択し、その後G418(100 μg/ml)を含有する培地上で維持した。単一対立遺伝子発現細胞系を確立するために、細胞をトリプシン処理し、培地で希釈し、一つの細胞を、直接的顕微鏡視覚化の下にマイクロピペットで採取し、個々の細胞を指数関数的に増殖させた初代細胞から濾過調整済培地を含有する24ウェルプレートに移し、bFGF(20 ng/ml)(基本的な繊維芽細胞増殖因子)を加えた(Sigma、Deisenhofen、Germany)。該ウェルのコンフルエンスによって、細胞をトリプシン処理し、伸長させた。全RNAを、RNeasy kit (Qiagen、Hilden、Germany)を用いて抽出し、cDNAをSuperscript-II 逆転写酵素およびオリゴ(dT)12-18のプライマー(Invitrogen)を用いて合成した。変異を含む領域を、フランキングプライマー (Rett_EX3-F および Rett_EX4-R、配列番号 48および配列番号49)を用いるRT-PCRにより分析した。クローンをRT-PCR産物の配列分析により確認した。
4.融合タンパク質の形質導入および遺伝子導入細胞の分析
TAT-MeCP2-EGFPおよびEGFPタンパク質の形質導入のために、細胞を2つのチャンバー培養スライドにおいてコンフルエンスまで増殖させた(Falcon、BD Bioscience、USA)。該培養物を、新規培地に加え、次いで様々な時間間隔で融合タンパク質(500-1500 pmol/ml)の様々な濃度と反応させた。製造者指示書(Pierce biotechnology、IL、USA)に従って、NHS-ローダミン標識によりそれらを標識した後に、TAT-MeCP2e1およびTAT-MeCP2e2、さらにMeCP2タンパク質の形質導入を行い、その後PD-10カラム上のゲル濾過に供し、非結合ローダミンを除去する。蛍光の分布を視覚化するために、細胞を、冷PBSを用いて穏やかに洗浄し、5分間RTでPBSを用いて新たに調製した4% パラホルムアルデヒドを用いて固定した。該細胞を、PBSで再度洗浄して、DAPI(Vector laboratories、Burlingame、CA)を含有するベクター・シールド・マウント培地を用いて埋包し、蛍光の分布を5つの異なる視野にて200 x 倍率での蛍光顕微鏡BX-60(Olympus Optical Co. LTD、Japan)下に、分析ソフトウェア(Soft Imaging System GmbH、Muenster)を用いて分析し、共焦点像をLeica TCS SP2 AOBS レーザースキャン顕微鏡上で撮影した。
5. MeCP2e2 タンパク質を安定に過剰発現する細胞系の作成および初代細胞の形質導入の成功
我々は、pTri-Ex-MECP2-EGFP-Strep-His 構築体を用いることにより、Strep-II および 6-His アフィニティータグを用いてC末端でタグ化されたTAT-MeCP2e2-EGFP 融合タンパク質を安定に発現するHeLaおよびNIH3T3細胞系を確立した。この構築体を用いる細胞のトランスフェクション後、該タンパク質は、特にマウスNIH3T3細胞系(図3B)について明らかなように、核の異質染色体領域に主に局在した。特にNHI3T3 細胞においては、MeCP2(図3CおよびD)によって媒介されることが知られているヒストンH3アセチル化の強力な低下を検出した。これらの結果は、導入されたTAT-MeCP2e2-EGFP タンパク質が、別のタンパク質ドメインに関係なく、機能的に活性であることを示すものである。
我々は、一連の構築体を構築し、C末端でEGFPタンパク質を有するおよびC末端でEGFPタンパク質を有さない両方のMeCP2のアイソフォームを発現させ、N末端でTATドメインと融合させた(図2)。別の構築体は、Escherichia coliについて完全にコドン至適化した合成MECP2遺伝子を含有する。合成MECP2 cDNA配列の使用により、200倍までE. coli中のタンパク質産生が増加した(図3A)。我々は、TAT 融合タンパク質の送達を試験し、インビトロにおいて組換え体タンパク質が500 pmoleという最高効率を見出した。TAT-MeCP2e2-EGFP タンパク質とのインキュベーション3時間後、約40%のNIH 3T3 細胞は、大きな小胞様蛍光スポットの存在を示した。該タンパク質はサイトゾル中に大部分存在した(図4A a、b)。12時間後、ほぼ100%の細胞が蛍光であり(図4A c、d)、該タンパク質は該細胞核に集中していた(図4A e)。形質導入は、遺伝子導入細胞中で24時間安定であった(図4B および C)。コントロールとしてTATドメインを含まないタンパク質EGFPを用いる実験は、該細胞中へのいずれの取り込みももたらさなかった(図4A f)。また、TAT-組換え体タンパク質は、ヒト霊長類線維芽細胞(図4Agおよびh)およびマウス脳由来の一次ニューロン(図4Aiおよびj)に形質導入することができた。
6. MeCP2は、RTT症候群による患者から得た線維芽細胞およびネズミMecp2-/yにおける線維芽細胞において置換されうる。
次いで、MeCP2欠損細胞中に送達後のMeCP2 融合タンパク質の生物学的活性を試験した。野生型アレルを発現する細胞系(図5a)とは対照的に、変異したMeCP2 アレル(T158M)を発現するモノクローナル細胞系におけるヒストンH3およびH4K16のハイパーアセチル化を検出した。変異したアレルを発現する細胞系を、64時間300pmolのTAT-MeCP2e1 TAT-MeCP2e2、MeCP2またはTAT-EGFPタンパク質を用いて処理した。ヒストンH3およびH4K16のハイパーアセチル化の転換を、ヒストンH3およびH4K16をTAT-MeCP2 アイソフォーム(図5aおよびb)の両方を用いる処置直後に観察した。我々は、Mecp2-/yマウス(図5c)の線維芽細胞を標的とする同様の結果を得た。Mecp2-/y マウスの遺伝子導入した線維芽細胞における免疫共沈殿実験は、TAT-MeCP2 アイソフォーム(図7A)によるヒストンデアセチラーゼ1(HDAC1)の動員を直接示した。これらの結果は、TAT-MeCP2 アイソフォームが内生MeCP2の機能損失によりもたらされる生化学的変化を回復出来ることを証明した。
7. TAT-MeCP2タンパク質の細胞内安定性
細胞内の遺伝子導入タンパク質の安定性および持続性を試験するために、該細胞を、1 nmolのTAT-MeCP2e1およびTAT-MeCP2e2を用いて別々に2時間インキュベートした。次いで、それらを培地により洗浄し、新たな培養培地を用いてインキュベートし、さらに増殖させた。該細胞を、提示した時間間隔で回収し、細胞溶解緩衝液(200μl)(125mM Tris-HCl pH 6.8、2%SDS、50mM NaH2PO4、20% グリセロール、1mM DTT、1mM PMSF)中に107細胞を懸濁させてタンパク質を抽出し、氷上で20分間インキュベートし、フラグメントDNAに対して穏やかに超音波処理に供した。溶解物を、9000xg、10分間4℃で遠心分離し、上清の全タンパク質濃度をブラッドフォード法にて定量し、-80℃で使用するまで貯蔵した。タンパク質サンプル(100μg)を、75℃で4XSDS泳動緩衝液(1M Tris-HCl pH-6.8、2%SDS、0.02% ブロモフェノールブルー、5mMβ-2-メルカプトエタノール、5% グリセロール)を用いて定量し、4-20%の精密なタンパク質ゲル(Pierce Biotechnology、USA)で分離した。該タンパク質を、タンパク質移動のために至適化したニトロセルロース膜に移した(Amersham Biosciences、GE Healthcare)。該膜を、製造者指示書に従ってウェスタン・ブロットシグナルエンハンサー(Pierce Biotechnology、USA)を用いて処置した。該膜を、PBS中で0.05% Tween-20 (PBS-T)、1時間5%非脂肪ミルクを用いてブロッキングした。次いで、該膜を、1:2,000で希釈したMeCP2抗体(Upstate、USA)を含有するブロッキング溶液を用いて別に一晩4℃でインキュベートした。1:4,000で希釈したマウスモノクローナル抗-αチューブリン(Sigma、Taufkirchen、Germany)を、ポジティブコントロールとして使用した。該膜を、各々PBS-Tを用いて5分間3回洗浄し、次いで1:30,000希釈したアルカリフォスファターゼ(Sigma)と結合させた各々二次抗体を含む同緩衝液を用いて1時間インキュベートした。抗体の過剰量を、PBS-Tで3回洗い流し、BCIP/NBT (Carl-Roth、Germany)を用いて発色させた。遺伝子導入したタンパク質の細胞内濃度は24時間、高いままであり、このレベルは次の24時間にわたり開始濃度の4/1以下に低下した(図4BおよびC)。
8.ウェスタン・ブロット分析
8.1. 細胞培養タンパク質抽出:全ての細胞系および初代線維芽細胞細胞培養からの全体のタンパク質含量を、細胞溶解緩衝液中(200μl)で107 細胞を懸濁することによって抽出し、氷上で20分間インキュベートし、フラグメントDNAに穏やかに超音波処理に供した。溶解物を、9000xg、10分間、4℃にて遠心分離した。ウェスタン・ブロットを上記したとおりにおこなった。該膜を、ウサギポリクローナル抗体対ヒストン-H3を1:4,000の希釈にて、1:10,000および1:500各々で希釈したアセチル化ヒストンH3およびアセチル化ヒストンH4K16 (Upstate)を含むブロッキング溶液を用いて、一晩4℃で各々インキュベートした。1:4,000希釈したマウスモノクローナル抗-αチューブリン(Sigma)を、ポジティブコントロールとして使用した。
8.2. 組織タンパク質抽出物:マウスを、100μg/g(体重)TAT-MeCP2-EGFP、TAT-MeCP2およびMeCP2を用いて注射した。20時間後、該マウスを屠殺した。脳を取り出し、冷PBSで洗浄した。次いで、脳を抽出緩衝液[62mM Tris-Cl pH 6.8、2% SDS、5mM メルカプトエタノール、0.15mM NaCl)、5X プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)]中で均質化し、穏やか超音波処理にかけた。溶解物を、15,000xg15分間4℃でペレット化した。ポリクローナル抗MeCP2抗体(Upstate)を用いて上記のとおりに行うウェスタンブロッティング用に溶解物50μgを用いた。独立した実験において、100 μg/g(体重)のTAT-EGFPおよびTAT-MeCP2e2-EGFPを用いてマウスに注射した。イムノブロッティングを、脳、肝臓、腎臓および心臓からの全タンパク質抽出物に対して、抗GFP抗体(Sigma)を用いて行った。ウェスタン・ブロットシグナルの濃さを、Olympus S-100 Imaging Densitometerで定量した。バンド濃度比を、内部コントロールとしてα-チューブリンシグナルを用いて測定した。
9.免疫組織化学
TAT-MeCP2e2-EGFPおよびEGFPを用いてi.p.注射したマウスを、4%の冷パラホルムアルデヒド(PFA)PBS緩衝液を用いて注射後20時間に、経心臓かん流した。脳を取り出し、4% PFAを用いて4時間固定し、4℃で30%スクロースにて凍結を防止し、-80℃で貯蔵した。免疫組織化学を、ウサギ抗GFP抗体(Sigma)を用いて低温切開片上でおこなった。画像を、Olympus microscope BX60 (Olympus Optical Co. LTD、Japan)により撮影した。同様の実験を、20日間TAT-MeCP2e1およびe2(20μg/g 体重、各第二日目)注射したMecp2-/y マウスホルマリン固定した切片上で行った。この切片を、ポリクローナルウサギ抗-MeCP2e2抗体を用いてプローブした。この抗体は、ヒト組換え体タンパク質MeCP2e2を用いてウサギにおいて確立されている。
10. インビトロおよびインビボでのタンパク質治療
10.1.インビトロでのタンパク質治療
我々は、T158M MeCP2 変異を発現する単一対立遺伝子細胞系中の組換えタンパク質を試験した。これらの細胞は、H3およびH4K16のハイパーアセチル化を示す。TAT-MeCP2e1およびe2両方のアイソフォームを用いるインキュベーションにより、野生型細胞系と同様のレベルに病的ハイパーアセチル化を回復させた(図5)。
10.2. 脳中のMeCP2タンパク質の効率的な送達
こうして、我々は、1回のTAT-MeCP2e2-EGFP、TAT-EGFPまたはEGFPタンパク質(PBS/10% グリセロールまたは20mM HEPES/10%グリセロール中の60μg/g体重)の腹腔内注射を受容したNMRI 野生型マウスにおけるインビボでのタンパク質送達の問題を解決した。TAT-EGFPおよびEGFPを用いて注射された該マウスは、明らかな副作用を発生しなかった。しかし、TAT-MeCP2e2-EGFPアイソフォームを用いて注射されたマウスは、後脚の一過性の過可動性を示したが、これは注射1〜2時間後に消失した。脳、肝臓および腎臓のウェスタン・ブロット分析により、注射20時間後にTAT-EGFPおよびTAT-MeCP2-EGFPタンパク質の取り込みが明らかとなった(データは示していない)。同様の実験において、マウスを、TAT-MeCP2e2、TAT-MeCP2e2-EGFPおよびMeCP2e2 タンパク質を各々100μg/g体重の用量で注射した。このウェスタン・ブロット分析から、注射20時間後に屠殺したマウスの脳抽出物中のTAT-組換え体タンパク質の存在が明らかとなった(図6a)。抗EGFP抗体を用いる脳切片の免疫組織化学から、新皮質の錐体ニューロン中、小脳顆粒細胞ニューロン中のおよび髄膜中(図6b)にTAT-MeCP2e2-EGFP タンパク質の存在が明らかとなった。しかし、TAT-MeCP2アイソフォームの両方の用量を130μg/g体重まで増加させることによって、我々は注射後の10〜20分間以内に、全四肢が完全麻痺となる重度の副作用、例えば発作様症状の発生を観察した。結果として、5匹の注射したNMRIマウスの内2匹は、2時間以内に死亡した。これに対して、TAT-EGFPおよびMeCP2 タンパク質を用いて注射されたマウスは、どのような試験用量であっても(以下の表1)、いずれの重度の副作用も示さなかった。これらのデータは、脳へのMeCP2タンパク質の送達の成功は基本的には可能であるが、該用量は厳密に制御されなければならないということを示す。
次の一連の試験において、我々は、A. Bird (Chen et al. 2001、Nat Genet、27 (3):327-31) の実験によって確立されたRettマウスモデルである、Mecp2欠損マウスの脳へのMeCP2融合タンパク質の送達を決定した。該動物をJackson Laboratory、USA (株 B6.129P2(C)-Mecp2tm1.1Bird/J)から入手し、さらにInstitute of Human Genetics(Goettingen)の動物施設内で繁殖させた。コントロールマウスを上記した動物施設から選んだ。2匹のMecp2-/y マウスを、2日毎にTAT-MeCP2e1およびTAT-MeCP2e2各々を用いて20μg/g体重にて20日間i.p注射した。野生型マウスと同様に、我々は、免疫組織化学によりMecp2-/y マウスの脳切片上で(図6 c)TAT-MeCP2 タンパク質を検出できた。これらの実験から、TAT融合タンパク質が血液−脳関門を横断し、脳に到達するということが証明された。2日毎の20μg/g 体重の治療様式では、処理したMecp2-/y マウスの即時または遅延性の神経学的症状または突然死を全く観察しなかった。腹腔内送達のための注射用緩衝液は、20 mM Hepes、100μM CaCl2、300 mM150 NaClおよび10%グリセロールであった。
10.3. インビボでのタンパク質治療:Rett症候群のマウスモデルにおける組換えTAT-MeCP2 アイソフォームの治療効果
次に、我々は、MeCP2欠損マウスの脳においてインビボ送達したMeCP2タンパク質が機能的に活性であるかどうかを試験した。我々は、TAT-MeCP2e1またはTAT-MeCP2e2を、Mecp2-/y マウスに、20または30μg/g各々の用量で毎日i.p.注射した。これらの用量では、臨床的副作用は現れなかった。該動物を2週間の治療後に屠殺し、脳からの全タンパク質抽出物をウェスタン・ブロットにより分析した。20または30μg/gのタンパク質の注射により、H4K16 アセチル化のレベルを顕著に低下させた(図7BおよびC)。インビボで送達されたタンパク質の生化学的活性が示された後、該治療がMeCP2欠損マウスの表現型を回復することが出来たかどうかを評価した。我々は、両方のTAT-MeCP2アイソフォームを用いてMecp2-/y マウスを20μg/g体重にてi.p.注射した。5匹のMecp2-/y マウスがTAT-MeCp2e1を受容し、5匹のMecp2-/y マウスがTAT-MeCP2e2を受容した。PBSを用いて1匹のMecp2-/y マウスを注射し、MeCP2を用いて1匹のマウスを注射し、そして4匹のマウスが同用量でTAT-EGFP タンパク質を受容した。11匹のMecp2-/y マウスを処置せずにさらなるコントロールとして用いた。該処理を出産後30日目に開始した。MeCP2注射したMecp2-/y マウス(n=10)の平均生存日数は、88.7日であった(各々e1アイソフォームについては92.6、e2アイソフォームについては84.8)、非処理Mecp2-/y マウスの平均生存は55.6日およびモック注射の平均生存は57.0日であった(下記表2)。これは、処理済みマウスに対する非処理マウスのほぼ66%(TAT-MeCP2e1)および53% (TAT-MeCP2e2)が寿命を延ばした。生存の長期化は、統計学的に高い有意差である(図8aおよびb)。3ヶ月間、20μg/gのMeCP2で処置された1匹の野生型メスのマウスは、いずれの臨床学的副作用をも発生させず、処置の300日間依然として健康を維持していた。
表1.野生型マウスにおける組換え体タンパク質の高用量の効果
Figure 2009532045
a.全てのタンパク質を130μg/g体重の用量にて注射した。TAT-EGFPおよびEGFPタンパク質は、低分子量であるため、TAT-MeCP2タンパク質の約二倍量を含有した。
*2つの実験では、マウスは死亡した。30μg/gの組換え体タンパク質の用量は、各々タンパク質が注射されたマウスに対していずれの特定効果をも有さなかった。
表2. 注射およびコントロールのMecp2-/yマウスの生存日数
Figure 2009532045
a. PBSによる注射
b. MeCP2による注射
c. TAT-EGFPによる注射
d.依然運動可能で、活動的でもあったが、複数回の自咬挙動をおこす非常に重度の処置不可能な皮膚感染を理由に、この動物を殺した。
11.TAT-MeCP2 タンパク質送達によりインビボのニューロン損傷を回復させる。
出産後CNSニューロンにおいてMeCP2の欠失により、重度な神経病理学的変化、例えば樹状経路における変更およびニューロンの収縮(Armstrong DD. 2002,. Ment Retard Dev Disabil ResRev 8:72-6)を引き起こす。TAT-MeCP2 タンパク質による処置が、形態学的変化からニューロンを保護するかどうかを試験するために、海馬および小脳からのニューロンを組織学的に試験した。ニューロンのサイズを、海馬CA2領域においてニッスル染色した切片においてまたはカルビンジン染色した小脳プルキンエ細胞において、定量的に評価し(図8c)。海馬における変異ニューロンは、野生型ニューロンに比べて、サイズがより小さく、より密集して充填されていた(図8c、1および2)。重要なことに、MeCP2処置された動物は、いずれの形態学的変化もなく、大きなニューロンを示した(図8c 3)。定量化により、ニューロンサイズは、野生型と比べて、TAT-MeCP2e1処置した海馬ニューロンでは区別できないことが明らかとなったが、MeCP2e2 アイソフォームはニューロンサイズに対する効果を示さなかった(図8c 4)。50日齢の MeCP2-欠損マウスにおける層Vの錐体皮質のニューロンの測定から、野生型の状態と比べて変化がないことが示された。さらに、小脳プルキンエ細胞は、MeCP2-/yマウスにおいて保持され、TAT-MeCP2処置後に大きな形態学的異常を示さなかった(データは示していない)。まとめると、海馬におけるニューロンサイズの低下は、MeCP2e1の適用により回復しなかった。
図1.A. 該図面は、配列番号:3として示した合成配列を作成するための方法を示す。10個のオリゴヌクレオチドを、Escherichia coli (矢印)に対するコドン至適化配列に従って構築した。合成をPCR反応,工程1によって進行させ、20個のヌクレオチド(Mecp2_syn_5'_core_F and Mecp2_syn_5'_core_R)についてその3'末端でサイズ相補な100bpの2つのオリゴヌクレオチドを用いて中心フラグメントを構築した。最終産物は、180bpのサイズのものであって、破線の伸長線によって示される。次いで、この第一産物のアリコートを、2つのフランキングオリゴヌクレオチド Mecp2syn_5'_F1 および Mecp2syn_5'_R1の各々100 bpのサイズで用いる第二のPCR反応,工程2に対するテンプレートとして使用した。該反応を、工程3、4および5において同様に継続させた。B. 合成の最終産物を、次のクローニング方法の為に使用した3つの制限部位と共に表した。C. 対応する制限部位を有するPCRにより生成した合成DNAの略図をクローニングのために用いた。 図2. MECP2構築体の生成のための工程系統図。この工程系統図は、TATドメインと融合したMeCP2e1およびMeCP2e2についての合成遺伝子を含有する最終の発現ベクターに導く全ての中間工程とクローニング方法を示す。 図3. A. Escherichia coliコドン使用頻度に従って該配列を至適化することにより産生したMeCP2e2 タンパク質の増加量。Strepタグ化した組換え融合タンパク質を、10% SDS-PAGEで分離し、コマジーブルーで染色した。ゲル上で泳動させたタンパク質量は、等量の処理された細菌の液体培養物に対応する。レーン1、ヒトcDNAからのTAT-MeCP2e2-EGFP;レーン2、E. coli コドン使用頻度について部分的に至適化したMeCP2 cDNA 配列由来のTAT-hsMeCP2e2-EGFP。レーン3、Escherichia coliコドンについて部分的に至適化したMeCP2 cDNA 配列からのHis-TAT-hsMeCP2。レーン4、完全な合成MECP2遺伝子から産生したHis-TAT-sMeCP2。この図は、コドン至適化cDNA配列を用いて得たタンパク質の強力な増加を明白に示している。 B.-D. インビトロのMeCP2e2-EGFPの発現および分布。B. 上部の横列:TAT-MeCP2e2-EGFP 融合タンパク質を安定に発現するNIH3T3 細胞系の顕微鏡写真。約40%の細胞はTAT-MeCP2e2-EGFPタンパク質を発現する。該矢印は、MeCP2e2タンパク質の通常の異質染色体分布(DAPI)を有する細胞を指し示す(挿入物中においてより高倍率で示した)。下部の横列:HeLa細胞のほぼ100%がMeCP2e2タンパク質を発現する。局在化は、通常あらゆる細胞質のタンパク質染色のない核中に存在する。挿入物はMeCP2の異質染色体分布を明らかにする。C. アセチル化ヒストンH3、ポリクローナル抗-MeCP2および泳動コントロールとして抗-αチューブリンに対する抗体を用いる、NHI3T3 および HeLa 非形質転換コントロール(wt)およびTAT-MeCP2e2-EGFP(st)を安定に発現する対応する細胞系からの100μgのタンパク質抽出物のウェスタン・ブロット。両方の安定な細胞系において、該融合タンパク質は、100 kDaの見かけの分子量を有する。D.ウェスタン・ブロットシグナルの濃度測定の定量は、野生型のものに対してTAT-MeCP2e2-EGFP 融合タンパク質を過剰発現する細胞系の50〜60%のヒストンH3アセチル化の低下を示す。 図4.A. いくつかの細胞型における形質導入反応速度およびTAT-MeCP2e2-EGFPの分布パターン。NIH3T3 細胞を、3(a,b)または12 時間(c,d)の各々についてTAT-MeCP2e2-EGFP(50μg/ml)を用いてインキュベートした。3時間後に、該細胞は部分的にのみ遺伝子導入され、そして該組換えタンパク質は、全体の場所(a,b)として視覚化可能な細胞質中に大部分位置づけられる。インキュベーション12時間後、該組換え体タンパク質は、全ての細胞に遺伝子導入して、生理的局在部分である核に大部分位置づけられる。e. 共焦点像により、タンパク質は主に核中に位置することを確認する。f. TATを含まない組換えEGFPタンパク質は、いかなる時点でも細胞を通過することは出来ず、スペア(spared)の細胞外スポット(インキュベーションの12時間)として視覚化できた。gおよびh. TAT-MeCP2e2-EGFPを使用して、p.T158Mを用いるRett患者の初代線維芽細胞におけるその形質導入効率を試験した。統合した画像から、タンパク質は全ての線維芽細胞を効率的に遺伝子導入したことを示す。局在化は主に核内にあるが、いくつかのタンパク質は細胞質中に依然として存在していた(挿入物)。iおよびj. 野生型マウスからの初代海馬ニューロンを、TAT-MeCP2e2-EFGP 融合タンパク質と共にインキュベートした。MeCP2e2タンパク質は核内で容易に検出できた。 B.,C. 遺伝子導入したNIH3T3 細胞中のTAT-MeCP2e2 タンパク質の時間耐性。NIH3T3細胞培養は、同量のTAT-MeCP2e2 タンパク質と共に独立してインキュベートした。次いで、タンパク質抽出物を、様々な時点で処理した細胞培養物から回収した。B. ウェスタン・ブロット分析は、インキュベーション後の2、24、48、72、96(辛うじて見える)では組換え体タンパク質の存在を示すが(レーン1〜6各々)、120時間では示さなかった。C.濃度測定分析は、この時間にわたりタンパク質濃度中の低下を示す。約77%という最大低下が24から48時間の間に観察された。相対値を、100%としてレーン1において絶対値を設定して計算した。次いで、様々な時点での値はそれに応じて変化した。 図5. Mecp2は、ヒストンH3およびH4K16のアセチル化に影響する。a.wt (1)および変異したMeCP2 (2)(p.T158M変異)を発現する単一対立遺伝子細胞培養物からのタンパク質抽出物を、ヒストンH3およびH4K16のアセチル化状態について分析した。変異したアレルを発現する単一対立遺伝子細胞系の独立した細胞培養物を、各々300 pmolのTAT-MeCP2e2(3)、MeCP2e2(4)およびTAT-EGFP(5)の組換え体タンパク質を用いて64時間インキュベートした。MeCP2タンパク質は、MeCP2e2を用いてではなくTAT-MeCP2e2(3)を用いてインキュベートした細胞系においてのみ検出可能であった。TAT-EGFPは該細胞へ首尾良く遺伝子導入され、抗GFP抗体(5)により検出された。b. タンパク質泳動のための参照としてチューブリンを用いるウェスタン・ブロットの正規化した濃度測定分析により、変異アレル(Mut)を発現する単一対立遺伝子細胞系と野生型(WT)(白色の棒と黒色の棒)において、非アセチル化ヒストンH3の若干の低下およびヒストンH3およびH4K16のハイパーアセチル化が明らかとなった。変異細胞系のTAT-MeCP2e2を用いるインキュベーションは、H3およびH4K16の両方のハイパーアセチル化の低下およびH3の非アセチル化形態(灰色の棒)の若干の増加を誘導した。ヒストンアセチル化の有意な変化は、TATを用いないMeCP2とTAT-EGFPタンパク質(斜線および平行線の棒)の等モル用量を用いたインキュベーションにより、独立した細胞培養中では観察されなかった。これらの結果は、TAT-MeCP2e2が生物学的に活性であることを証明するものであった。c. TAT-MeCP2e2(3)(300 pmol)用いてインキュベートしたwt マウス(1)、Mecp2-/y (2) およびMECP2-/y マウスの線維芽細胞抽出物のウェスタン・ブロット。該抗MeCP2抗体により、組換え体タンパク質による線維芽細胞の効率的な形質導入が明らかとなった。チューブリンを参照として使用した。d. c.に示したウェスタン・ブロットの参照タンパク質としてチューブリンを用いる正規化した濃度測定分析により、非アセチル化ヒストンH3形態の低下が明らかとなった。野生型マウス(wt)に対してMecp2-/y (ko)のヒストンH4K16のアセチル化形態は増加したが(黒色棒に対して白色)、ヒストンH3のアセチル化形態に関する増加はない。TAT-MeCP2e2(ko +)を用いるMecp2-/y マウスからの線維芽細胞培養物のインキュベーションは、非アセチル化ヒストンH3(灰色のバー)の増加およびH4K16のハイパーアセチル化レベルの低下を誘導した。 図6. MeCP2はインビボでのCNSニューロンを標的とし得る。a. TAT-MeCP2e2-EGFP(レーン1)、TAT-MeCP2e2(レーン2)またはTATタンパク質を含まないMeCP2e2(レーン3)を用いて腹腔内注射後の20時間後に屠殺した3匹のwtマウスの脳タンパク質溶解物(50μg)の抗MeCP2抗体を用いるイムノブロッティング。レーン1において、TAT-MeCP2e2-EGFPの存在は、内生Mecp2タンパク質に関するより高い分子量により十分に認識され得る。TAT-MeCP2e2を用いて注射したマウスから、レーン1および3よりもより強力なMeCP2e2タンパク質シグナル(レーン2)が明らかとなり、ここで内生Mecp2のレベルは大きく異ならない。b. 注射20時間後のTAT-MeCP2e2-EGFPを用いて、およびTATタンパク質を含まないEGFPを用いて注射した野生型マウスの脳におけるGFP免疫蛍光。該GFPシグナルは、TAT-MeCP2e2-EGFP(1〜6)にて注射されたマウスの大脳皮質、小脳顆粒細胞層および外部髄膜中の大部分の細胞の核中に局在した。EGFPはEGFP注射マウス(7および8)脳において検出出来なかった。c. ポリクローナル抗MeCP2抗体を用いる組換えタンパク質の一つのアイソフォームを用いて各々注射した2匹のMecp2-/y動物の免疫蛍光。第一および第二の横列は、組換えTAT-Mecp2e1 (1,2,3)およびe2(4,5,6)を用いて20日間処置したMecp2-/y マウスの大脳皮質からの切片を示す。細胞の核中の主なMeCP2の存在は、挿入物中に歴然と存在している。MeCP2+/y (7,8,9) およびMeCP2-/y マウス(10,11)を注射していないマウスの脳切片をコントロールとして用いた。 図7. A. TAT-MeCP2e1によって遺伝子導入したMecp2-/y 動物の線維芽細胞培養物における免疫共沈殿実験から、HDAC1の動員が示された。上部の列は、抗MeCP2ポリクローナル抗体(”+”抗MeCP2抗体の存在時の沈殿画分、および抗MeCP2抗体非存在時”−”)を用いる免疫沈殿したタンパク質画分のウェスタン・ブロットである。底部では、抗HDAC1抗体を用いる同じ免疫沈殿物からのウェスタン・ブロット分析である。レーン1および2:野生型動物の線維芽細胞からの沈殿タンパク質分画。レーン3、4およびレーン5、6:TAT-MeCP2e1およびTAT MeCP2e2各々を用いて遺伝子導入したMecp2-/y マウスの線維芽細胞からの沈殿タンパク質画分。レーン7および8:Mecp2-/y 動物の線維芽細胞からの沈殿タンパク質画分。免疫沈殿画分において、MeCP2ならびにHDAC1の両方の存在は、ポジティブコントロール(レーン1)の画分ならびに両方のTAT-MeCP2 アイソフォーム(レーン3および5)により遺伝子導入された細胞の画分中で可視できた。検出可能なMecp2ならびにHDAC1タンパク質が、ネガティブコントロール(レーン7)の沈殿画分において可視できる。抗MeCP2の非存在において免疫沈殿物からは、MeCP2ならびにHDAC1どちらの存在も見られなかった。 B.,C. TAT-MeCP2アイソフォームは、脳中のH3およびH4K16のハイパーアセチル化を制御する。B. MeCP2-欠損マウスに、14日間PBS(レーン2)、TAT-MeCP2e1の20μg/g(レーン3)または30μg/g(レーン4)を用いてi.p.注射した。全ての注射したマウス(2〜4)および注射していない野生型マウス(1)由来の脳タンパク質抽出物(50μg)を、ヒストンH3(H3)、アセチル化ヒストンH3、アセチル化ヒストンH4K16およびMeCP2に対する抗体を用いて免疫ブロットした。抗α-チューブリン抗体を泳動コントロールとして使用した。Mecp2-/y マウスは、検出可能なMecp2または組換えタンパク質(レーン2、3および4)いずれも示さなかった。H3またはH4K16に関するいずれの明らかなハイパーアセチル化も、野生型マウスと比べてPBS注射したMeCP2-欠損マウスにおいて検出できなかった。しかし、組換えタンパク質の注射により、ヒストンH4K16のアセチル化が低下した。アセチル化および非アセチル化ヒストンH3についての大きな差違は観察されなかった。C. MeCP2 タンパク質の用量依存性の生化学的活性を示す濃度測定分析。同様の実験を、常に同様の結果を有するTAT-MeCP2e2タンパク質を用いて行った。相対値は、100%として規定したwt動物の値の%として表現した濃度測定値を示す。 図8. MeCP2アイソフォームを送達された脳は、寿命が長くなり、MeCP2-/yマウスにおけるニューロンの病理を回復させた。a. カプラン・マイヤー・チャートは、非処理(n=11)、モック処理 (n=6)またはTAT-MeCP2e1 (n=5)またはTAT-MeCP2e2 (n=5)を各々用いて処理したMeCP2-/yマウスの生存曲線を示す。b. 両側t-Student検定から、非注射/モック注射したTAT-MeCP2e1およびTAT-MeCP2e2に対する両群について、0.05のα値により、p<0.05値が明らかになった。統計学的差違は、群TAT-MeCP2e1/TAT-MeCP2e2(p>0.8)ならびに非注射/モック注射マウス群の間に存在しなかった。c. CA2 海馬ニューロンのニッスル染色により、野生型マウス(2)と比べて、MeCP2-/yマウス(1)においてより小さくかつより緊密に充填されたニューロンが明らかとなった。これに対して、TAT-MeCP2e1(3)処置により、Mecp2-/yマウス中のニューロン破壊が回復した。(4)では、TAT-MeCP2e2で処理したマウスの海馬の画像であり、これはニューロンのサイズが変化しなかった。d. 海馬CA2 ニューロン(wtについてはn=3、Mecp2-/yについてはn=3、TAT-MeCP2e1処理マウスについてはn=4およびTAT-MeCP2e2についてはn=3)中の細胞回復の定量化。

Claims (27)

  1. MeCP2タンパク質または生物学的に活性なフラグメント、または該タンパク質または該フラグメントの誘導体をコードしている第一核酸配列を含んでおり、ここで該核酸配列が異種細胞における発現のためにコドンが至適化されている、核酸分子。
  2. MeCP2タンパク質またはその生物学的に活性なフラグメントまたは誘導体がヒト起源である、請求項1記載の核酸分子。
  3. MeCP2タンパク質またはその生物学的に活性なフラグメントまたは誘導体が、ヒトMeCP2アイソフォームe1またはヒトMeCP2アイソフォームe2、または生物学的に活性なフラグメント、または該アイソフォームまたは該フラグメントの誘導体である、請求項1または2記載の核酸分子。
  4. 第一核酸配列が、コドン至適化されたヒトMeCP2アイソフォームe1(配列番号:1)またはコドン至適化されたヒトMeCP2アイソフォームe2(配列番号:2)のDNA配列と、少なくとも60%、特に少なくとも70%の配列同一性を有する、請求項1-3のいずれかに記載の核酸分子。
  5. 異種細胞が、原核生物細胞、特にグラム陰性またはグラム陽性細菌細胞、より具体的には大腸菌細胞である、請求項1-4のいずれかに記載の核酸分子。
  6. タンパク形質導入ドメインを含むポリペプチドをコードする第二核酸配列をさらに含んでおり、ここで該第二配列が第一核酸配列と操作可能な連結において存在する、請求項1-5のいずれかに記載の核酸分子。
  7. タンパク形質導入ドメインが、ヒト免疫不全ウイルス-1の転写のトランス活性因子タンパク質(TATタンパク質)から得られる、請求項6記載の核酸分子。
  8. 第二核酸配列が、TATタンパク形質導入ドメインのアミノ酸配列(配列番号54)と少なくとも60%、特に少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする、請求項6または7のいずれかに記載の核酸分子。
  9. i)第一、または(ii)第一および第二核酸配列を含む核酸配列と操作可能な連結において、第三核酸配列をさらに含んでおり、該第三配列はタンパク質精製に適切な1以上のポリペプチド配列、特に親和性クロマトグラフィーに適切なstrepタグおよび/またはHisタグおよび/またはGSTタグおよび/またはInteinタグをコードしている、請求項1-8のいずれかに記載の核酸分子。
  10. (i)第一、または(ii)第一および第二、または(iii)第一および第二および第三核酸配列を含む核酸配列と、操作可能な連結において第四核酸配列をさらに含んでおり、該第四配列は1以上のリポーターポリペプチド、特に蛍光性タンパク質、より具体的にはGFPをコードしている、請求項1-9のいずれかに記載の核酸分子。
  11. 請求項6-10のいずれかに記載の核酸分子によってコードされている、ポリペプチド。
  12. 請求項1-10のいずれかに記載の核酸分子を含む、ベクター。
  13. 請求項11記載のポリペプチドを発現出来る、請求項12記載のベクター。
  14. 請求項12または13記載のベクターを含む、宿主細胞。
  15. 請求項1-10のいずれかに記載の核酸配列の製造方法であって、
    一組の適切なオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングおよび伸長することによって二本鎖核酸分子を生成する工程を含んでおり、
    ここで該プライマーが請求項1-10のいずれかに記載の核酸配列を含んでおり;および
    所望によりこの工程を繰り返す、製造方法。
  16. MeCP2タンパク質または生物学的に活性なフラグメント、または該タンパク質または該フラグメントの誘導体を含むポリペプチドを産生するための方法であって、
    a) 宿主細胞を請求項6-10のいずれかに記載の核酸分子を用いて形質転換すること;
    b) 該ポリペプチドを産生するように、該核酸分子を発現出来る条件下で形質転換した細胞を培養すること;および
    c) 所望により該ポリペプチドを回収すること、を含む方法。
  17. 宿主細胞が、原核生物細胞、特にグラム陰性またはグラム陽性細菌細胞、より具体的には大腸菌細胞である、請求項16記載の方法。
  18. 工程b) および c)は、ポリペプチドを変性条件に供することを含まない、特に工程 b)の後に、該ポリペプチドが、1リットルの細菌培養物あたり10mgをこえる濃度で存在する、請求項17記載の方法。
  19. 請求項1-10いずれかに記載の核酸配列および/または請求項11記載のポリペプチドおよび医薬上許容し得る担体を含む、医薬組成物。
  20. 請求項11記載のポリペプチドまたは請求項19記載の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む、神経変性または神経発達疾患を処置するための方法。
  21. 神経発達系の疾患が、MeCP2発現の低下またはMeCP2の機能障害を理由とする、特に該神経発達系の疾患がRett症候群である、請求項20記載の方法。
  22. 医薬組成物が、哺乳動物の体重1gあたり0.1-200μgポリペプチドの用量で投与される、請求項20または21記載の方法。
  23. 医薬組成物が一日または隔日に少なくとも一回投与される、請求項20-22のいずれかに記載の方法。
  24. MeCP2タンパク質または生物学的に活性なフラグメント、または該タンパク質または該フラグメントの誘導体を含むポリペプチドを産生するための、請求項6-10いずれかに記載の核酸分子の使用。
  25. 医薬および/または動物用医薬における使用のための、請求項1-10のいずれかに記載の核酸分子または請求項11記載のポリペプチド。
  26. 神経変性または神経発達系の疾患の予防および/または治療用医薬組成物の製造のための、請求項1-10いずれかに記載の核酸分子または請求項11記載のポリペプチドの使用。
  27. 神経発達系の疾患が、MeCP2発現の低下またはMeCP2の機能障害を理由とする、特に該神経発達系の疾患がRett症候群である、請求項26の使用。
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