JP2009528350A - サイドドロー二次反応器を備えた酸化システム - Google Patents
サイドドロー二次反応器を備えた酸化システム Download PDFInfo
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Abstract
易酸化性化合物の液相酸化をより効率的かつ経済的に実施するための最適なプロセスおよび装置を開示する。このような液相酸化は気泡塔反応器内で実施し、高度に効率的な反応を比較的低温で与える。酸化される化合物がパラキシレンであり、酸化反応からの生成物が粗テレフタル酸(CTA)である場合、このようなCTA生成物は、CTAが従来の高温酸化プロセスによって形成された場合に採用できるものよりも経済的な技術により精製および分離できる。
Description
発明の分野
本発明は、概略としてはポリカルボン酸組成物の生成の方法に関する。本発明の一側面は、ジアルキル芳香族化合物(例えばパラキシレン)を部分酸化して粗芳香族ジカルボン酸(例えば粗テレフタル酸)を生成すること(その後精製および分離できる)に関する。本発明の他の側面は、より効率的かつ経済的な酸化プロセスを提供するための改善された反応器システムに関する。
本発明は、概略としてはポリカルボン酸組成物の生成の方法に関する。本発明の一側面は、ジアルキル芳香族化合物(例えばパラキシレン)を部分酸化して粗芳香族ジカルボン酸(例えば粗テレフタル酸)を生成すること(その後精製および分離できる)に関する。本発明の他の側面は、より効率的かつ経済的な酸化プロセスを提供するための改善された反応器システムに関する。
発明の背景
酸化反応は、多様な既存の工業プロセスにおいて採用されている。例えば、液相酸化は、アルデヒドから酸へ(例えば、プロピオンアルデヒドからプロピオン酸へ)の酸化、シクロヘキサンからアジピン酸への酸化、およびアルキル芳香族からアルコール、酸、または二塩基酸への酸化のために現在用いられている。後者の範疇(アルキル芳香族の酸化)での特に重要な工業酸化プロセスは、パラキシレンからテレフタル酸への液相接触部分酸化である。テレフタル酸は種々の用途で重要な化合物である。テレフタル酸の主な用途はポリエチレンテレフタレート(PET)の製造における原料としての用途である。PETは、ボトル、繊維およびパッケージ等の製品を製造するために世界中で大量に用いられる周知のプラスチックである。
酸化反応は、多様な既存の工業プロセスにおいて採用されている。例えば、液相酸化は、アルデヒドから酸へ(例えば、プロピオンアルデヒドからプロピオン酸へ)の酸化、シクロヘキサンからアジピン酸への酸化、およびアルキル芳香族からアルコール、酸、または二塩基酸への酸化のために現在用いられている。後者の範疇(アルキル芳香族の酸化)での特に重要な工業酸化プロセスは、パラキシレンからテレフタル酸への液相接触部分酸化である。テレフタル酸は種々の用途で重要な化合物である。テレフタル酸の主な用途はポリエチレンテレフタレート(PET)の製造における原料としての用途である。PETは、ボトル、繊維およびパッケージ等の製品を製造するために世界中で大量に用いられる周知のプラスチックである。
パラキシレンからテレフタル酸への部分酸化等の典型的な液相酸化方法において、液相供給物流および気相酸化剤流は、反応器内に導入されて反応器内で多相反応媒体を形成する。反応器内に導入される液相供給物流は、少なくとも1種の易酸化性有機化合物(例えばパラキシレン)を含み、一方、気相酸化剤流は分子酸素を含む。分子酸素の少なくとも一部は、反応媒体の液相中への気体溶解物として反応器内に導入され、酸素は液相反応に対して使用可能になる。多相反応媒体の液相が含む分子酸素の濃度が不十分である場合(すなわち、反応媒体のある部分が「酸素欠乏状態」である場合)、望ましくない副反応によって、不純物が生じる可能性があり、および/または目的の反応の速度が遅くなる可能性がある。反応媒体の液相が含む易酸化性化合物が少なすぎる場合、反応の速度が望ましくなく遅くなる場合がある。さらに、反応媒体の液相が易酸化性化合物を過剰の濃度で含む場合、さらなる望ましくない副反応が不純物を生じさせる可能性がある。
従来の液相酸化反応器は、これに含まれる多相反応媒体を混合するための撹拌手段を備える。反応媒体の撹拌は、反応媒体の液相への分子酸素の溶解を促進するために与えられ、反応媒体の液相中の溶解した酸素の比較的均一な濃度を維持し、そして反応媒体の液相中の易酸化性有機化合物の比較的均一な濃度を維持する。
液相酸化を受ける反応媒体の撹拌は、しばしば例えば連続撹拌タンク反応器(CSTRs)等の容器内の機械的撹拌手段により与えられる。CSTRsは反応媒体の徹底的な混合を与えることができるが、CSTRsは多くの欠点を有する。例えば、CSTRsの原価コストは、これらが高価なモータ、流体シールベアリングおよび駆動軸、ならびに/または複雑な撹拌機構を必要とするために比較的高い。さらに、従来のCSTRsの回転および/または振動している機械部品は定期的な整備を必要とする。このような整備に係る労力および操業停止時間がCSTRsの操業コストに上乗せされる。しかし定期的な整備によっても、CSTRsにおいて採用される機械的撹拌系は機械的な故障をしがちであり、比較的短期間での交換が必要な場合がある。
気泡塔(バブルカラム)反応器は、CSTRsおよび他の機械的撹拌される酸化反応器の魅力的な代替物を提供する。気泡塔反応器は、高価で信頼性が低い機械設備を必要とせずに反応媒体の撹拌を与える。気泡塔反応器は典型的には細長い直立の反応ゾーンを含み、この中に反応媒体が含まれている。反応ゾーン内の反応媒体の撹拌は、主に反応媒体の液相を経て上がる気泡の元々の浮力により与えられる。気泡塔反応器において与えられるこの元々の浮力の撹拌により、原価コストおよび整備コストは、機械的に撹拌される反応器と比べて低減される。さらに、気泡塔反応器に関係した、駆動機械部品が実質的に存在しないことによって、機械的に故障する傾向が機械的に撹拌される反応器よりも小さい酸化系が与えられる。
パラキシレンの液相部分酸化が従来の酸化反応器(CSTRまたは気泡塔)内で行われる場合、反応器から回収される製品は、典型的には粗テレフタル酸(CTA)および母液を含むスラリーである。CTAは、これをPETの製造のための原料として不適にする不純物(例えば、4−カルボキシベンズアルデヒド、パラトルイル酸、フルオレノン、および他の着色体)を比較的高いレベルで含む。よって従来の酸化反応器で製造されたCTAは、典型的には、CTAをPETの製造に好適な精製テレフタル酸(PTA)に変換する精製工程に送られる。
CTAをPTAに変換するための一つの典型的な精製工程としては、以下のステップ、(1)CTA含有スラリーの母液を水に置換するステップ、(2)CTA/水スラリーを加熱してCTAを水中に溶解させるステップ、(3)CTA/水溶液を触媒的に水素化して不純物をより望ましいおよび/または容易に分離できる化合物に変換するステップ、(4)複数の結晶化ステップを経て水素化溶液から得られたPTAを沈殿させるステップ、および(5)結晶化したPTAを残存液体から分離するステップ、が挙げられる。効率的ではあるが、この種の従来の精製工程は極めて高価である可能性がある。従来のCTA精製方法のコスト高に作用する個別の要因としては、例えば、CTAの水中への溶解を促進するために必要な熱エネルギー、水素化のために必要な触媒、水素化のために必要な水素流、ある程度のテレフタル酸の水素化による収率損失、および複数ステップの結晶化のために必要な複数の容器が挙げられる。よって、水中での熱で促進される溶解、水素化、および/または複数ステップの結晶化を必要とせずに精製できるCTA製品を製造することが可能な酸化システムを提供することが望ましい。
従って、本発明の目的は、より効率的かつ経済的な液相酸化システムを提供することである。
本発明の他の目的は、パラキシレンのテレフタル酸への液相触媒部分酸化のためのより効率的かつ経済的な反応器および方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、不純物の形成が低減される、改善された液相酸化反応を促進する気泡塔反応器を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、パラキシレンの液相酸化を経由して粗テレフタル酸(CTA)を生成させ、次いで該CTAをPTAに精製して純粋なテレフタル酸(PTA)を生成させるための、より効率的かつ経済的な装置を提供することである。
本発明のさらなる目的は、水中でのCTAの熱で促進される溶解、溶解したCTAの水素化、および/または該水素化されたPTAの複数ステップの結晶化を必要とせずに、パラキシレンを酸化し、そして精製可能なCTA製品を生成させるための気泡塔反応器を提供することである。
特許請求の範囲に規定される本発明の範囲は、以上で列挙した全ての目的を実現できる方法または装置に限定されないことに留意すべきである。むしろ、クレームされる本発明の範囲は、以上に列挙した目的の全てまたはいずれかを達成しない多様な系を包含し得る。本発明のさらなる目的および利点は、以下の詳細な説明および関連する図面を検討することにより当業者に容易に明らかとなろう。
発明の要約
本発明の一態様は、ポリカルボン酸組成物を製造する方法に関し、該方法は、以下のステップ:
(a)一次酸化反応器内で多相反応媒体を酸化させることによって第1のスラリーを生成すること;および
(b)該第1のスラリーの少なくとも一部を二次酸化反応器内でさらに酸化させること;
を含み、該二次酸化反応器が気泡塔反応器である。
本発明の一態様は、ポリカルボン酸組成物を製造する方法に関し、該方法は、以下のステップ:
(a)一次酸化反応器内で多相反応媒体を酸化させることによって第1のスラリーを生成すること;および
(b)該第1のスラリーの少なくとも一部を二次酸化反応器内でさらに酸化させること;
を含み、該二次酸化反応器が気泡塔反応器である。
本発明の他の態様は反応器システムに関する。
反応器システムは、一次酸化反応器と二次酸化反応器とを含む。一次酸化反応器は、第1の入口と第1の出口とを規定する。二次酸化反応器は、第2の入口と第2の出口とを規定する気泡塔反応器である。第1の出口は、流体フロー伝達において該第2の入口と連結している。
反応器システムは、一次酸化反応器と二次酸化反応器とを含む。一次酸化反応器は、第1の入口と第1の出口とを規定する。二次酸化反応器は、第2の入口と第2の出口とを規定する気泡塔反応器である。第1の出口は、流体フロー伝達において該第2の入口と連結している。
図面の簡単な説明
本発明の好ましい態様を、添付の図面を参照して、以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の一態様に従って構築される酸化反応器の側面図であり、詳細には供給物、酸化剤および還流の反応器内への導入、反応器内の多相反応媒体の存在、ならびに反応器の頂部および底部からのガスおよびスラリーの取出をそれぞれ示す。
図2は、図3中の2−2線に沿った気泡塔反応器の底部の拡大側断面図であり、詳細には酸化剤流を反応器内に導入するために用いられる酸化剤スパージャーの位置および構造を示す。
図3は、図2の酸化剤スパージャーの上面図であり、詳細には該酸化剤スパージャーの頂部に酸化剤放出開口が存在しないことを示す。
図4は、図2の酸化剤スパージャーの下面図であり、詳細には該酸化剤スパージャーの底部における酸化剤放出開口の構成を示す。
図5は、図3中の5−5線に沿った酸化剤スパージャーの側断面図であり、詳細には該酸化剤スパージャーの底部における酸化剤放出開口の方向を示す。
図6は、気泡塔反応器の底部分の拡大側面図であり、詳細には垂直方向に間隔をあけた複数の位置で供給物流を反応器内に導入するための系を示す。
図7は、図6中の7−7線に沿った上断面図であり、詳細には図6中に示す供給物導入系が供給物流を好ましい放射状の供給ゾーン(FZ)内で1より多い方位角四分円(Q1,Q2,Q3,Q4)内にどのように分配するかを示す。
図8は、図7と同様の上断面図であるが、各々が複数の小さい供給物開口を有するものである差込チューブを用いて供給物流を反応器内に放出するための代替手段を示す。
図9は、複数の容器の貫通を必要とせずに、垂直方向に間隔をあけた複数の位置で供給物流を反応ゾーン内に導入するための代替装置の等角図であり、詳細には供給物分配装置を酸化剤スパージャー上に少なくとも部分的に支持できることを示す。
図10は、図9中に示す単一貫通供給物分配装置および酸化剤スパージャーの側面図である。
図11は、図10中の11−11線に沿った上断面図であり、そしてさらに、酸化剤スパージャー上に支持された単一貫通供給物分配装置を示す。
図12は、内部反応容器および外部反応容器を備えた気泡塔反応器の側面図である。
図13は、図12の気泡塔反応器の13−13線に沿った拡大断面図であり、詳細には、内部反応容器および外部反応容器の相対的な方向を示す。
図14は、内部反応容器および外部反応容器を備えた代替の気泡塔反応器の側面図であり、詳細には、外部反応容器が段付直径を有することを示す。
図15は、一次酸化反応器内のサイドドロー部(側部抜出し部)(sidedraw)からスラリーを受入れる外部二次酸化反応器を備えた気泡塔反応器の側面図である。
図16は、一次酸化反応器の側部の拡大開口からスラリーを受入れる、端部が開口した外部二次酸化反応器を備えた気泡塔反応器の側面図である。
図17aは、反応器の流体力学を増強するための内部構造を備えた気泡塔反応器の概略側面図である。
図17bは、図17aの反応器の図17a中の17b−17b線に沿った断面図である。
図18aは、反応器の流体力学を増強するための第1の代替内部構造を備えた気泡塔反応器の概略側面図である。
図18bは、図18aの反応器の図18a中の18b−18b線に沿った断面図である。
図19aは、反応器の流体力学を増強するための第2の代替内部構造を備えた気泡塔反応器の概略側面図である。
図19bは、図19aの反応器の図19a中の19b−19b線に沿った断面図である。
図20aは、反応器の流体力学を増強するための第3の代替内部構造を備えた気泡塔反応器の概略側面図である。
図20bは、図20aの反応器の図20a中の20b−20b線に沿った断面図である。
図21aは、反応器の流体力学を増強するための第4の代替内部構造を備えた気泡塔反応器の概略側面図である。
図21bは、図21aの反応器の図21a中の21b−21b線に沿った断面図である。
図22aは、反応器の流体力学を増強するための第5の代替内部構造を備えた気泡塔反応器の概略側面図である。
図22bは、図22aの反応器の図22a中の22b−22b線に沿った断面図である。
図23aは、反応器の流体力学を増強するための第6の代替内部構造を備えた気泡塔反応器の概略側面図である。
図23bは、図23aの反応器の図23a中の23b−23b線に沿った断面図である。
図24aは、反応器の流体力学を増強するための第7の代替内部構造を備えた気泡塔反応器の概略側面図である。
図24bは、図24aの反応器の図24a中の24b−24b線に沿った断面図である。
図25aは、流体力学増強内部構造を備えた段付直径の気泡塔反応器の概略図である。
図25bは、図25aの反応器の図25a中の25b−25b線に沿った断面図である。
図26は、多相反応媒体を収容する気泡塔反応器の側面図であり、詳細には、反応媒体における特定の勾配を定量するために等体積の30の水平方向スライスに理論的に分割される反応媒体を示す。
図27は、多相反応媒体を収容する気泡塔反応器の側面図であり、詳細には、実質的に異なる酸素濃度および/または酸素消費割合を有する、反応媒体の第1および第2の区別される20パーセント連続体積を示す。
図28Aおよび28Bは、本発明の一態様に関して生成した粗テレフタル酸(CTA)粒子の拡大図であり、詳細には、各CTA粒子が複数の緩く固着したCTAサブ粒子で構成される低密度、高表面積の粒子であることを示す。
図29Aおよび29Bは、従来生成するCTAの拡大図であり、詳細には従来のCTA粒子が図28Aおよび28Bの本発明のCTA粒子と比べてより大きい粒子サイズ、より高い密度、およびより低い表面積を有することを示す。
図30は、精製テレフタル酸(PTA)を製造するための先行技術の工程の単純化された工程フロー図である。
そして図31は、本発明の一態様に関してPTAを製造するための工程の単純化された工程フロー図である。
詳細な説明
本発明の一態様は易酸化性化合物(oxidizable compound)の液相部分酸化に関する。このような酸化は、好ましくは、1つ以上の撹拌された反応器内に含まれる多相反応媒体の液相中で行われる。好適な撹拌された反応器としては、例えば、気泡撹拌反応器(例えば気泡塔反応器)、機械的撹拌反応器(例えば連続撹拌タンク反応器)および流動撹拌反応器(例えばジェット反応器)が挙げられる。本発明の一態様において、液相酸化は、少なくとも1つの気泡塔反応器を用いて行われる。
本発明の一態様は易酸化性化合物(oxidizable compound)の液相部分酸化に関する。このような酸化は、好ましくは、1つ以上の撹拌された反応器内に含まれる多相反応媒体の液相中で行われる。好適な撹拌された反応器としては、例えば、気泡撹拌反応器(例えば気泡塔反応器)、機械的撹拌反応器(例えば連続撹拌タンク反応器)および流動撹拌反応器(例えばジェット反応器)が挙げられる。本発明の一態様において、液相酸化は、少なくとも1つの気泡塔反応器を用いて行われる。
本明細書で使用する用語「気泡塔反応器」は、多相反応媒体中での化学反応を促進するための反応器を意味するものとし、ここで反応媒体の撹拌は、主として反応媒体を経る気泡の上方への移動により与えられる。本明細書で使用する用語「撹拌」は、反応媒体中に放散させることにより流体を流しおよび/または混合する作業を意味するものとする。本明細書で使用する用語「主要部」「主として」および「主に」は50パーセント超を意味するものとする。本明細書で使用する用語「機械的撹拌」は、反応媒体に逆らったまたは反応媒体中での硬いまたは柔らかい1つまたは複数の要素の物理的な移動による反応媒体の撹拌を意味するものとする。例えば機械的撹拌は、反応媒体中に位置する内部スターラー、パドル、バイブレーター、または音響振動板による回転、オシレーションおよび/またはバイブレーションによって与えられることができる。本明細書で使用する用語「流動撹拌(flow agitation)」は、反応媒体中の1種以上の流体の高速の注入および/または再循環による反応媒体の撹拌を意味するものとする。例えば、流動撹拌は、ノズル、エジェクター(ejector)および/またはエダクター(eductor)によって与えられることができる。
本発明の好ましい態様において、酸化の間における気泡塔反応器内の反応媒体の撹拌の約40パーセント未満が機械的撹拌および/または流動撹拌によって与えられ、より好ましくは撹拌の約20パーセント未満が機械的撹拌および/または流動撹拌によって与えられ、そして最も好ましくは撹拌の5パーセント未満が機械的撹拌および/または流動撹拌によって与えられる。好ましくは、酸化の間に多相反応媒体に与えられる機械的撹拌および/または流動撹拌の量は、反応媒体1立方メートル当たり約3キロワット未満、より好ましくは1立方メートル当たり約2キロワット未満、および最も好ましくは1立方メートル当たり約1キロワット未満である。
ここで図1を参照し、好ましい気泡塔反応器20が、反応区画24および解放区画(disengagement section)26を有する容器シェル22を含むように示される。反応区画24は反応ゾーン28を規定し、一方解放区画26は解放ゾーン30を規定する。主に液相の供給物流は供給物入口32a,b,c,dを経由して反応ゾーン28内に導入する。主に気相の酸化剤流は反応ゾーン28の下側部分に位置する酸化剤スパージャー34を経由して反応ゾーン28内に導入する。液相供給物流および気相酸化剤流は共同して反応ゾーン28内に多相反応媒体36を形成する。多相反応媒体36は液相および気相を含む。より好ましくは、多相反応媒体36は固相、液相および気相の成分を有する3相媒体を含む。反応媒体36の固相成分は、反応媒体36の液相中で起こる酸化反応の結果として好ましくは反応ゾーン28内に沈殿する。気泡塔反応器20は、反応ゾーン28の底部近傍に位置するスラリー出口38および解放ゾーン30の頂部近傍に位置するガス出口40を含む。反応媒体36の液相および固相の成分を含むスラリー流出物は、反応ゾーン28からスラリー出口38経由で取出し、一方、主に気体状の流出物は、解放ゾーン30からガス出口40経由で取出す。
供給物入口32a,b,c,dを経由して気泡塔反応器20に導入される液相供給物流は、好ましくは易酸化性化合物、溶媒および触媒系を含む。
液相供給物流中に存在する易酸化性化合物は、好ましくは少なくとも1つのヒドロカルビル基を含む。より好ましくは、易酸化性化合物は芳香族化合物である。さらにより好ましくは、易酸化性化合物は、少なくとも1つの付加ヒドロカルビル基または少なくとも1つの付加置換ヒドロカルビル基または少なくとも1つの付加へテロ原子または少なくとも1つの付加カルボン酸官能基(−COOH)を有する芳香族化合物である。さらにより好ましくは、易酸化性化合物は、少なくとも1つの付加ヒドロカルビル基または少なくとも1つの付加置換ヒドロカルビル基であって各付加基が1から5の炭素原子を含むもの、を有する芳香族化合物である。さらにより好ましくは、易酸化性化合物は、正に2つの付加基であって、各付加基が正に1の炭素原子を含みかつメチル基および/または置換メチル基および/または高々1つのカルボン酸基からなるものを有する芳香族化合物である。さらにより好ましくは、易酸化性化合物は、パラキシレン、メタキシレン、パラトルアルデヒド、メタトルアルデヒド、パラトルイル酸、メタトルイル酸および/またはアセトアルデヒドである。最も好ましくは、易酸化性化合物はパラキシレンである。
本明細書で規定する「ヒドロカルビル基」は、水素原子または他の炭素原子のみに結合した少なくとも1個の炭素原子である。本明細書で規定する「置換ヒドロカルビル基」は、少なくとも1個のヘテロ原子および少なくとも1個の水素原子に結合した少なくとも1個の炭素原子である。本明細書で規定する「ヘテロ原子」は、炭素原子および水素原子を除く全ての原子である。本明細書で規定する芳香族化合物は、好ましくは少なくとも6個の炭素原子を有し、さらにより好ましくは環の部分として炭素原子のみを有する芳香環を含む。このような芳香環の好適な例としては、これらに限定するものではないが、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニル、ナフタレン、および他の炭素系融合芳香環が挙げられる。
液相供給物流中に存在する易酸化性化合物が通常の固体化合物(すなわち、標準温度および標準圧力において固体)である場合、易酸化性化合物は反応ゾーン28内に導入される際に溶媒中に実質的に溶解していることが好ましい。大気圧での易酸化性化合物の沸点は、約50℃以上であることが好ましい。より好ましくは、易酸化性化合物の沸点は約80から約400℃の範囲であり、そして最も好ましくは、125から155℃の範囲である。液相供給物中に存在する易酸化性化合物の量は、好ましくは約2から約40質量パーセントの範囲であり、より好ましくは約4から約20質量パーセントの範囲であり、そして最も好ましくは6から15質量パーセントの範囲である。
ここで、液相供給物中に存在する易酸化性化合物は2種以上の異なる易酸化性化学物質の組合せを含んでも良いことを確認しておく。これらの2種以上の異なる化学物質は、液相供給物流中に入り混じって供給でき、または複数の供給物流中で別個に供給されても良い。例えば、パラキシレン、メタキシレン、パラトルアルデヒド、パラトルイル酸およびアセトアルデヒドを含む易酸化性化合物は、単一の入口または複数の別個の入口を経由して反応器に供給されても良い。
液相供給物流中に存在する溶媒は、好ましくは酸成分および水成分を含む。溶媒は好ましくは液相供給物流中に約60から約98質量パーセントの範囲、より好ましくは約80から約96質量パーセントの範囲、そして最も好ましくは85から94質量パーセントの範囲の濃度で存在する。溶媒の酸成分は、好ましくは、主として、1〜6個の炭素原子、より好ましくは2個の炭素原子を有する有機低分子量モノカルボン酸である。最も好ましくは、溶媒の酸成分は主として酢酸である。好ましくは、酸成分は、溶媒の約75質量パーセント以上、より好ましくは溶媒の約80質量パーセント以上、そして最も好ましくは溶媒の85から98質量パーセントを構成し、残りは主として水である。気泡塔反応器20内に導入される溶媒は、例えばパラトルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド(4−CBA)、安息香酸、パラトルイル酸、パラトルイルアルデヒド、アルファ−ブロモパラトルイル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、多環芳香族化合物および/または浮遊粒状物等の少量の不純物を含むことができる。気泡塔反応器20内に導入される溶媒中の不純物の全量は約3質量パーセント未満であることが好ましい。
液相供給物流中に存在する触媒系は、好ましくは、均一で、易酸化性化合物の(部分酸化等の)酸化を促進することが可能な液相触媒系である。より好ましくは、触媒系は、少なくとも1種の多官能遷移金属を含む。さらにより好ましくは、多官能遷移金属はコバルトを含む。さらにより好ましくは、触媒系はコバルトおよび臭素を含む。最も好ましくは、触媒系はコバルト、臭素およびマンガンを含む。
触媒系中にコバルトが存在する場合、液相供給物流中に存在するコバルトの量は、反応媒体36の液相中のコバルト濃度を100万分の約300から約6,000質量部(ppmw)の範囲、より好ましくは約700から約4,200ppmwの範囲、および最も好ましくは1,200から3,000ppmwの範囲に維持することが好ましい。触媒系中に臭素が存在する場合、液相供給物流中に存在する臭素の量は、反応媒体36の液相中の臭素濃度を約300から約5,000ppmwの範囲、より好ましくは約600から約4,000ppmwの範囲、および最も好ましくは900から3,000ppmwの範囲に維持することが好ましい。触媒系中にマンガンが存在する場合、液相供給物流中に存在するマンガンの量は、反応媒体36の液相中のマンガン濃度を約20から約1,000ppmwの範囲、より好ましくは約40から約500ppmwの範囲、最も好ましくは50から200ppmwの範囲に維持することが好ましい。
上に示した、反応媒体36の液相中のコバルト、臭素および/またはマンガンの濃度は、時間平均基準および体積平均基準で表されている。本明細書で用いる用語「時間平均」は、少なくとも100秒間の連続した時間にわたって一様に行った少なくとも10測定の平均を意味するものとする。本明細書で用いる用語「体積平均」は、所定体積にわたり均一な3次元間隔で行った少なくとも10測定の平均を意味するものとする。
反応ゾーン28内に導入される触媒系中のコバルトの臭素に対する質量比(Co:Br)は、好ましくは約0.25:1から約4:1の範囲、より好ましくは約0.5:1から約3:1の範囲、および最も好ましくは0.75:1から2:1の範囲である。反応ゾーン28内に導入される触媒系中のコバルトのマンガンに対する質量比(Co:Mn)は、好ましくは約0.3:1から約40:1の範囲、より好ましくは、約5:1から約30:1の範囲、および最も好ましくは10:1から25:1の範囲である。
気泡塔反応器20内に導入される液相供給物流は、例えばトルエン、エチルベンゼン、パラトルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド(4−CBA)、安息香酸、パラトルイル酸、パラトルイルアルデヒド、アルファブロモパラトルイル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、多環芳香族化合物および/または浮遊粒状物等の少量の不純物を含むことができる。気泡塔反応器20がテレフタル酸の生成のために採用される場合、メタキシレンおよびオルトキシレンもまた考えられる不純物である。気泡塔反応器20内に導入される液相供給物流中の不純物の全量は、約3質量パーセント未満であることが好ましい。
図1は、易酸化性化合物、溶媒および触媒系を一緒に混合し、単一の供給物流として気泡塔反応器20内に導入する態様を示すが、本発明の代替の態様では、易酸化性化合物、溶媒および触媒を別個に気泡塔反応器20内に導入することができる。例えば、溶媒および触媒の1または2以上の入口から離れた入口を経由して、純粋なパラキシレン流を気泡塔反応器20内に供給することが可能である。
酸化剤スパージャー34を経由して気泡塔反応器20内に導入される主に気相の酸化剤流は、分子酸素(O2)を含む。好ましくは、該酸化剤流は約5から約40モルパーセントの範囲の分子酸素、より好ましくは約15から約30モルパーセントの範囲の分子酸素、および最も好ましくは18から24モルパーセントの範囲の分子酸素を含む。酸化剤流の残部は、窒素等、酸化に対して不活性である1種または複数種の気体を主に含むことが好ましい。より好ましくは、酸化剤流は本質的に分子酸素と窒素とからなる。最も好ましくは、酸化剤流は約21モルパーセントの分子酸素と約78から約81モルパーセントの窒素とを含む乾燥空気である。本発明の代替の態様では、酸化剤流は、実質的に純粋な酸素を含むことができる。
重ねて図1を参照するに、気泡塔反応器20は、好ましくは、反応媒体36の上面44の上に配置された還流分配器42を備える。還流分配器42を操作して、主に液相の還流の液滴を当該分野で公知の任意の液滴形成の手段により解放ゾーン30内に導入できる。より好ましくは、還流分配器42は、反応媒体36の上面44に向かって下向きに方向付けられた液滴のスプレーを生成させる。好ましくは、液滴のこの下向きスプレーは、解放ゾーン30の最大水平断面積の少なくとも約50パーセントに作用(すなわち関与および影響)する。より好ましくは、液滴のスプレーは解放ゾーン30の最大水平断面積の少なくとも約75パーセントに作用する。最も好ましくは、液滴のスプレーは解放ゾーン30の最大水平断面積の少なくとも90パーセントに作用する。この下向き液体還流スプレーは、反応媒体36の上面44におけるまたは上面44の上での発泡の防止の助けとすることができ、かつ、ガス出口40に向かって流れる、上方に移動する気体中に同伴された任意の液体またはスラリーの液滴を解放する助けとすることもできる。さらに液体還流は、ガス出口40を経由して解放ゾーン30から取出された気体状の流出物中で出る粒状物および潜在的に沈殿する化合物(例えば、溶解した安息香酸、パラトルイル酸、4−CBA、テレフタル酸、および触媒金属塩)の量を低減するように働いても良い。加えて、還流液滴の解放ゾーン30内への導入は、蒸留作用により、ガス出口40を経由して取出される気体状の流出物の組成を調整するために用いることができる。
還流分配器42を経由して気泡塔反応器20内に導入される液体還流は、好ましくは、供給物入口32a,b,c,dを経由して気泡塔反応器20内に導入される液相供給物流の溶媒成分とほぼ同じ組成を有する。よって、液体還流は、酸成分および水を含むことが好ましい。還流の酸成分は、好ましくは1−6個の炭素原子、より好ましくは2個の炭素原子を有する低分子量の有機モノカルボン酸である。最も好ましくは、還流の酸成分は酢酸である。好ましくは、酸成分は、還流の少なくとも約75質量パーセント、より好ましくは還流の少なくとも約80質量パーセント、および最も好ましくは還流の85から98質量パーセントを構成し、残部は水である。還流は典型的には液相供給物流中の溶媒と実質的に同じ組成を有するため、この記載が反応器内に導入される「全溶媒」に関する場合、このような「全溶媒」は、還流および供給物流の溶媒部分の両者を含むものとする。
気泡塔反応器20内での液相酸化の間、供給物、酸化剤および還流を実質的に連続的に反応ゾーン28内に導入する一方、気体およびスラリーの流出物流を実質的に連続的に反応ゾーン28から取出すことが好ましい。本明細書で用いる用語「実質的に連続的に」は、中断が10分未満である少なくとも10時間の間を意味するものとする。酸化の間、易酸化性化合物(例えばパラキシレン)は実質的に連続的に、少なくとも毎時約8,000キログラムの速度、より好ましくは毎時約15,000から約200,000キログラムの範囲の速度、さらにより好ましくは毎時約22,000から約150,000キログラムの範囲の速度、および最も好ましくは毎時30,000から100,000キログラムの範囲の速度で反応ゾーン28内に導入することが好ましい。通常、流入する供給物、酸化剤および還流の流速は実質的に不変であることが好ましいが、本発明の一態様は、混合および物質移動を改善するために、流入する供給物、酸化剤および/または還流をパルス状にすることを意図することをここで注記する。流入する供給物、酸化剤および/または還流をパルス状の様式で導入する場合、これらの流速は、本明細書に列挙する定常状態の流速の約0から約500パーセントの範囲、より好ましくは本明細書に列挙する定常状態の流速の約30から約200パーセントの範囲、および最も好ましくは本明細書に列挙する定常状態の流速の80から120パーセントの範囲で変化することが好ましい。
気泡塔酸化反応器20内での反応の平均空時速度(space-time rate)(STR)は、単位時間当たりの反応媒体36の単位体積当たりの供給される易酸化性化合物の質量(例えば、時間当たり、立方メートル当たりの供給されるパラキシレンのキログラム)として規定される。従来の用法では、製品に変換されない易酸化性化合物の量は、典型的には、STRを算出する前に供給物流中の易酸化性化合物の量から差し引かれることになる。しかし、ここで好適なものとされる易酸化性化合物(例えばパラキシレン)の多くについて変換および収率は典型的には高く、そしてここでの用語を上述のように規定することが便宜的である。特に資源コストおよび操業在庫という理由で、通常、反応は高STRで実施することが好ましい。しかし、反応を次第に高くなるSTRで実施すると、部分酸化の質または収率に影響する場合がある。易酸化性化合物(例えばパラキシレン)のSTRが、時間当たり立方メートル当たり約25キログラムから時間当たり立方メートル当たり約400キログラムの範囲、より好ましくは時間当たり立方メートル当たり約30キログラムから時間当たり立方メートル当たり約250キログラムの範囲、さらにより好ましくは時間当たり立方メートル当たり約35キログラムから時間当たり立方メートル当たり約150キログラムの範囲、および最も好ましくは時間当たり立方メートル当たり40キログラムから時間当たり立方メートル当たり100キログラムの範囲である場合、気泡塔反応器20は特に有用である。
気泡塔酸化反応器20内の酸素STRは、単位時間当たりに反応媒体36の単位体積当たりで消費される分子酸素の質量(例えば時間当たり立方メートル当たりで消費される分子酸素のキログラム)として規定される。特に資源コストおよび溶媒の酸化消費という理由で、通常、反応は高い酸素STRで実施することが好ましい。しかし、反応を次第に高くなる酸素STRで実施すると、部分酸化の質または収率が場合により低下する。理論に拘束されるつもりはないが、このことは場合によっては界表面領域における気相から液体中への、従ってバルク液体中への、分子酸素の移動速度に関係すると考えられる。過度に高い酸素STRは、場合によっては、反応媒体のバルク液相中に溶解した酸素の量が過度に低くなることにつながる。
包括(global)平均酸素STRは、反応媒体36の全体積で単位時間当たりに消費される全ての酸素の質量(例えば、時間当たりに立方メートル当たりで消費される分子酸素のキログラム)として本明細書で規定する。気泡塔反応器20は、包括平均酸素STRが、時間当たり立方メートル当たり約25キログラムから時間当たり立方メートル当たり約400キログラムの範囲、より好ましくは時間当たり立方メートル当たり約30キログラムから時間当たり立方メートル当たり約250キログラムの範囲、さらにより好ましくは時間当たり立方メートル当たり約35キログラムから時間当たり立方メートル当たり約150キログラムの範囲、および最も好ましくは時間当たり立方メートル当たり40キログラムから時間当たり立方メートル当たり100キログラムの範囲である場合に特に有用である。
気泡塔反応器20内での酸化の間、(供給物および還流の両者による)全溶媒の質量流量の、反応ゾーン28に入る易酸化性化合物の質量流量に対する比は、約2:1から約50:1の範囲、より好ましくは約5:1から約40:1の範囲、および最も好ましくは7.5:1から25:1の範囲に維持することが好ましい。好ましくは、供給物流の部分として導入される溶媒の質量流量の、還流の部分として導入される溶媒の質量流量に対する比は、約0.5:1から還流の流れが全くないという範囲、より好ましくは約0.5:1から約4:1の範囲、さらにより好ましくは約1:1から約2:1の範囲、および最も好ましくは1.25:1から1.5:1の範囲に維持することが好ましい。
気泡塔反応器20内での液相酸化の間、酸化剤流は、ストイキオメトリー下で要求される酸素よりも幾分過剰の分子酸素を与える量で気泡塔反応器20内に導入することが好ましい。具体的な易酸化性化合物での最良の結果のために必要な過剰の分子酸素の量は、液相酸化の全体的な経済性に作用する。気泡塔反応器20内での液相酸化の間、酸化剤流の質量流量の、反応器20に入る易酸化性有機化合物(例えばパラキシレン)の質量流量に対する比は、約0.5:1から約20:1、より好ましくは約1:1から約10:1の範囲、および最も好ましくは2:1から6:1の範囲に維持することが好ましい。
重ねて図1を参照するに、気泡塔反応器20内に導入される供給物、酸化剤、および還流は共同して多相反応媒体36の少なくとも一部を形成する。反応媒体36は、好ましくは、固相、液相および気相を含む3相媒体である。上記のように、易酸化性化合物(例えばパラキシレン)の酸化は主に反応媒体36の液相で起こる。よって、反応媒体36の液相は、溶解した酸素および易酸化性化合物を含む。気泡塔反応器20内で起こる酸化反応の発熱性状は、供給物入口32a,b,c,dを経由して導入される溶媒(例えば酢酸および水)の一部を沸騰/蒸発させる。よって、反応器20内の反応媒体36の気相は、主として、蒸発した溶媒、および酸化剤流の溶解しておらず反応していない部分で形成される。
先行技術に係る特定の酸化反応器は、反応媒体を加熱または冷却するために熱交換チューブ/フィン(fin)を採用する。しかし、このような熱交換構造は、本明細書に記載する本発明の反応器および方法では望ましくない場合がある。よって、気泡塔反応器20は、反応媒体36に接しかつ時間平均の熱流速の平方メートル当たり30,000ワット超を示すような表面を実質的に含まないことが好ましい。加えて、反応媒体36の反応の時間平均の熱の約50パーセント未満が熱交換表面により除去されることが好ましく、より好ましくは反応の熱の約30パーセント未満が熱交換表面により除去され、そして最も好ましくは反応の熱の約10パーセント未満が熱交換表面により除去される。
反応媒体36の液相中の溶解した酸素の濃度は、気相からの物質移動の速度と液相中での反応消費速度との間の動的平衡(すなわち、供給される気相中の分子酸素の分圧は、溶解した酸素の供給速度における1つの要因であり溶解した酸素の上限濃度の制限に作用するのであるが、これによって単純に設定されるのではない)である。溶解した酸素の量は局所的に変化し、気泡界面近傍ではより高い。大局的に、溶解した酸素の量は反応媒体36の種々の領域における需給率のバランスに依存する。時間的に、溶解した酸素の量は、化学的消費速度と比べたときの気体と液体との混合の均一性に依存する。反応媒体36の液相における溶解した酸素の供給および溶解した酸素に対する需要を適切に合致させるための設計において、反応媒体36の液相中の時間平均のおよび体積平均の酸素濃度は、約1ppmモル(molar)超、より好ましくは約4から約1,000ppmモルの範囲、さらにより好ましくは約8から約500ppmモルの範囲、および最も好ましくは12から120ppmモルの範囲に維持することが好ましい。
気泡塔反応器20内で行う液相酸化反応は、好ましくは、固体を生成する沈殿反応である。より好ましくは、気泡塔反応器20内で行う液相酸化によって、反応ゾーン28内に導入された易酸化性化合物(例えばパラキシレン)の少なくとも約10質量パーセントが反応媒体36内で固体化合物(例えば、粗テレフタル酸粒子)を形成する。さらにより好ましくは、液相酸化によって、易酸化性化合物の少なくとも約50質量パーセントが反応媒体36内で固体化合物を形成する。最も好ましくは、液相酸化によって、易酸化性化合物の少なくとも90質量パーセントが反応媒体36内で固体化合物を形成する。反応媒体36中の固体の全量は、時間平均基準および体積平均基準で約3質量パーセント超であることが好ましい。より好ましくは、反応媒体36中の固体の全量は、約5から約40質量パーセントの範囲、さらにより好ましくは約10から約35質量パーセントの範囲、および最も好ましくは15から30質量パーセントの範囲に維持されることが好ましい。気泡塔反応器20内で生成する酸化生成物(例えばテレフタル酸)の実質的部分は、反応媒体36の液相中に溶解したままではなく反応媒体36中に固体として存在することが好ましい。反応媒体36中に存在する固相の酸化生成物の量は、好ましくは、反応媒体36中の全酸化生成物(固相および液相)の少なくとも約25質量パーセント、より好ましくは反応媒体36中の全酸化生成物の少なくとも約75質量パーセント、および最も好ましくは反応媒体36中の全酸化生成物の少なくとも95質量パーセントである。反応媒体36中の固体の量に対して上記で与えられる数値範囲は、気泡塔反応器20の起動の、停止のまたは準最適の操作でなく、実質的に連続的な時間にわたる気泡塔20の実質的に定常状態の操作に当てはまる。反応媒体36中の固体の量は重量法により測定する。この重量法においては、スラリーの代表的な部分を反応媒体から取出して計量する。反応媒体中に存在する全ての気−液分離が十分に維持される条件で、沈降またはろ過により、沈殿した固体の損失なく効率的に、そして固体部分とともに残るのは初期の液体質量の約10パーセント未満として、固体部分からフリーの液体を取出す。固体上に残留している液体を、固体の昇華なく効率的に蒸発乾固する。固体の残留部分を計量する。固体部分の質量の、スラリーの元の部分の質量に対する比が、固体の留分であり、典型的にはパーセントとして表される。
気泡塔反応器20内で行う沈殿反応は、反応媒体36に接する特定の堅固な構造の表面上の汚染(すなわち固体の蓄積)の原因となる可能性がある。よって、本発明の一態様では、気泡塔反応器20が内部熱交換構造、撹拌構造またはバッフル構造を反応ゾーン28内に実質的に含まないことが好ましい。このような構造は汚染の傾向を有するからである。反応ゾーン28内に内部構造が存在する場合、顕著な量の上向きに向いた平坦な表面領域を含む外面を内部構造が有さないようにすることが望ましい。このような上向きに向いた平坦な表面は、汚染の傾向を高度に有するからである。よって、何らかの内部構造が反応ゾーン28内に存在する場合、このような内部構造の上向きに向いた露出した外面の面積全体の約20パーセント未満が、水平から約15度未満傾いた略平坦の表面で形成されることが好ましい。この種の構成を有する内部構造は、本明細書において「非汚染」構成を有するという。
重ねて図1を参照するに、気泡塔反応器20の物理構成は、不純物の発生を最小限にしつつ易酸化性化合物(例えばパラキシレン)の最適化された酸化を与えるのに役立つ。容器シェル22の細長い反応区画24は、略円筒型の主体46および下頂部48を含むことが好ましい。反応ゾーン28の上端部は、円筒型の主体46の頂部を横切って伸びた水平面50によって規定される。反応ゾーン28の下端部52は、下部ヘッド48の最下内表面によって規定される。典型的には、反応ゾーン28の下端部52は、スラリー出口38のための開口に隣接して位置する。よって、気泡塔反応器20内に規定される細長い反応ゾーン28は、反応ゾーン28の上端部50から下端部52に、円筒型の主体46の伸長軸に沿って測定される最大長さ「L」を有する。反応ゾーン28の長さ「L」は、好ましくは、約10から約100メートルの範囲、より好ましくは約20から約75メートルの範囲、および最も好ましくは25から50メートルの範囲である。反応ゾーン28は、典型的には円筒型の主体46の最大内径と等しい最大直径(幅)「D」を有する。反応ゾーン28の最大直径「D」は、好ましくは約1から約12メートルの範囲、より好ましくは約2から約10メートルの範囲、さらにより好ましくは約3.1から約9メートルの範囲であり、そして最も好ましくは4から8メートルの範囲である。本発明の好ましい態様では、反応ゾーン28は、長さ−対−直径の「L:D」比が約6:1から約30:1の範囲である。さらにより好ましくは、反応ゾーン28のL:D比は、約8:1から約20:1の範囲である。最も好ましくは、反応ゾーン28のL:D比は、9:1から15:1の範囲である。
上記のように、気泡塔反応器20の反応ゾーン28は、多相反応媒体36を受入れる。反応媒体36は、反応ゾーン28の下端部52と合致する底端部および上面44に位置する頂端部を有する。反応媒体36の上面44は、反応ゾーン28の内容物が気相連続状態から液相連続状態に移行する垂直(vertical)位置で反応ゾーン28を横断する水平面に沿って規定される。上面44は、好ましくは、反応ゾーン28の内容物の薄い水平方向スライスの局所的な時間平均のガスホールドアップが0.9である垂直方向位置に配置される。
反応媒体36は、その上端部と下端部との間で測定される最大高さ「H」を有する。反応媒体36の最大幅「W」は、典型的には円筒型主体46の最大直径「D」と等しい。気泡塔反応器20内での液相酸化の間、HはLの約60から約120パーセント、より好ましくはLの約80から約110パーセント、および最も好ましくはLの85から100パーセントに維持されることが好ましい。本発明の好ましい態様では、反応媒体36の高さ−対−幅の「H:W」比は約3:1超である。より好ましくは、反応媒体36のH:W比は約7:1から約25:1の範囲である。さらにより好ましくは、反応媒体36のH:W比は約8:1から約20:1の範囲である。最も好ましくは、反応媒体36のH:W比は9:1から15:1の範囲である。本発明の一態様では、L=HおよびD=Wであり、これによりここでLおよびDに与える種々の寸法または比もまたHおよびWに該当し、逆もまた同様である。
本発明の態様に関して与えられる比較的高いL:D比およびH:W比は、本発明の装置の幾つかの重要な利点に寄与し得る。以下でさらに詳細に述べるように、より高いL:D比およびH:W比は、以下に述べる特定の他の特徴と同様に、反応媒体36中の分子酸素および/または易酸化性化合物(例えばパラキシレン)の濃度において有利な垂直勾配をもたらすことができることが見出された。全体的に比較的均一な濃度を有する良好に混合された反応媒体を支持する従来の見識に反し、酸素および/または易酸化性化合物の濃度の垂直方向の段階分けが、より効率的かつ経済的な反応を促進することを見出した。反応媒体36の頂部近傍の酸素および易酸化性化合物の濃度を最小化することは、未反応酸素および未反応易酸化性化合物が上側のガス出口40を経て損失することの回避を助けることができる。しかし、反応媒体36全体で易酸化性化合物および未反応酸素の濃度が低い場合には、酸化の割合および/または選択性は低減する。よって、分子酸素および/または易酸化性化合物の濃度は、反応媒体36の底部近傍において反応媒体36の頂部近傍よりも顕著に高いことが好ましい。
加えて、高いL:D比およびH:W比は、反応媒体36の底部の圧力が反応媒体36の頂部の圧力よりも実質的に大きくなる原因となる。この垂直圧力勾配は、反応媒体36の高さおよび密度の結果である。この垂直圧力勾配のある利点は、容器の底部での高い圧力が、浅い反応器において同程度の温度および塔頂圧力で別に実現できるものよりも大きい酸素の溶解性および物質移動をもたらすことである。よって、より浅い容器で必要とされるよりも低温で酸化反応を行うことができる。気泡塔反応器20がパラキシレンの粗テレフタル酸(CTA)への部分酸化に用いられる場合、同じかより良好な酸素の物質移動速度でより低い反応温度で操作する能力は、多くの利点を有する。例えば、パラキシレンの低温酸化は、反応中に燃焼する溶媒の量を低減する。以下にさらに詳細に述べるように、低温酸化はまた、小さい、高表面積の、緩く固着した、容易に溶解するCTA粒子の形成に有利に働き、これにより、従来の高温酸化プロセスにより生成する大きい、低表面積の、密集したCTA粒子よりも経済的な精製技術を行うことができる。
反応器20内での酸化の間、反応媒体36の時間平均のおよび体積平均の温度は、約125から約200℃の範囲、より好ましくは約140から約180℃の範囲、および最も好ましくは150から170℃の範囲に維持することが好ましい。反応媒体36の上の塔頂圧力は、好ましくは、約1から約20バールゲージ(barg)の範囲、より好ましくは約2から約12bargの範囲、および最も好ましくは4から8bargの範囲に維持する。好ましくは、反応媒体36の頂部と反応媒体36の底部との圧力差は、約0.4から約5barの範囲、より好ましくは該圧力差は約0.7から約3barの範囲、および最も好ましくは該圧力差は1から2barの範囲である。通常、反応媒体36の上の塔頂圧力は、比較的一定の値に維持することが好ましいが、本発明の一態様は、塔頂圧力をパルス状として、反応媒体36中の改善された混合および/または物質移動の実現を意図する。塔頂圧力がパルス状とされる場合、パルス圧力は、本明細書に列挙する定常状態の塔頂圧力の約60から約140パーセントの間、より好ましくは本明細書に列挙する定常状態の塔頂圧力の約85から約115パーセントの間、および最も好ましくは本明細書に列挙する定常状態の塔頂圧力の95から105パーセントの間の範囲であることが好ましい。
反応ゾーン28の高いL:D比のさらなる利点は、反応媒体36の平均表面速度の増大に寄与できることである。反応媒体36を参照して本明細書で用いる用語「表面速度(surfacial velocity)」および「表面ガス速度」は、反応器内のある高さでの反応媒体36の気相の体積流量を該高さでの反応器の水平断面積で除したものを意味するものとする。反応ゾーン28の高L:D比により与えられる表面速度の増大は、反応媒体36の局所的な混合を促進しかつガスホールドアップを増大させることができる。反応媒体36の1/4高さ、1/2高さおよび/または3/4高さでの反応媒体36の時間平均の表面速度は、好ましくは毎秒約0.3メートル超、より好ましくは毎秒約0.8から約5メートルの範囲、さらにより好ましくは毎秒約0.9から約4メートルの範囲、および最も好ましくは毎秒1から3メートルの範囲である。
重ねて図1を参照するに、気泡塔反応器20の解放区画26は、反応区画24直上に位置する容器シェル22の単に幅広くなった部分である。解放区画26は、気相が反応媒体36の上面44の上に上がってガス出口40に近づくにつれて、気泡塔反応器20内を上向きに流れる気相の速度を低減する。気相の上方への速度におけるこの低減は、上方へ流れる気相中の同伴された液体および/または固体の除去の促進の助けとなり、これにより反応媒体36の液相中に存在する特定の成分の望ましくない損失を低減する。
解放区画26は、好ましくは略円錐台形の移行壁54、略円筒形の幅広の側壁56、および上部ヘッド58を含む。移行壁54の幅狭の下端は、反応区画24の円筒形の主体46の頂部に連結している。移行壁54の幅広の上端は、幅広の側壁56の底部に連結している。移行壁54は、その幅狭の下端から、垂直から約10から約70度の範囲、より好ましくは垂直から約15から約50度の範囲、および最も好ましくは垂直から15から45度の範囲の角度で上向きおよび外向きに伸びることが好ましい。幅広の側壁56は、通常反応区画24の最大直径「D」よも大きい最大直径「X」を有するが、反応区画24の上側部分が反応区画24の全体の最大直径よりも小さい直径を有する場合には、Xは実際にはDよりも小さい場合がある。本発明の好ましい態様では、幅広の側壁56の直径の、反応区画24の最大直径に対する比「X:D」は、約0.8:1から約4:1の範囲、最も好ましくは1.1:1から2:1の範囲である。上部ヘッド58は幅広の側壁56の頂部に連結している。上部ヘッド58は、ガス出口40を経由して気体を解放ゾーン30から脱出させる中心開口を規定する好ましくは略楕円形のヘッド部材である。これに代えて、上部ヘッド58は円錐形等の任意の形状であってよい。解放ゾーン30は、反応ゾーン28の頂部50から解放ゾーン30の最上部分までで測定される最大高さ「Y」を有する。反応ゾーン28の長さの、解放ゾーン30の高さに対する比「L:Y」は、好ましくは約2:1から約24:1の範囲、より好ましくは約3:1から約20:1の範囲、および最も好ましくは4:1から16:1の範囲である。
ここで図1〜5を参照し、酸化剤スパージャー34の位置および構造を本明細書でより一層詳細に説明する。図2および3は、酸化剤スパージャー34がリング部材60および1組の酸化剤入管路64a,bを含むことができることを示す。便宜的に、これらの酸化剤入管路64a,bは、図2に示すように、リング部材60よりも上の高さで容器に入り、次いで下向きに転じることができる。これに代えて、酸化剤入管路は、リング部材60よりも下またはリング部材60とほぼ同じ水平面上で容器に入ってもよい。各酸化剤入管路64a,bは、容器シェル22内に形成された各々の酸化剤入口66a,bに連結する第1の端部およびリング部材60に流動的に連結する第2の端部を含む。リング部材60は、好ましくは管路で形成され、より好ましくは複数の一直線の管路節で形成され、そして最も好ましくは複数の一直線のパイプ節で形成され、互いに堅固に連結してチューブ状の多角形リングを形成する。好ましくは、リング部材60は、少なくとも3本の一直線のパイプ節、より好ましくは6本から10本のパイプ節、および最も好ましくは8本のパイプ節で形成される。従って、リング部材60が8本のパイプ節で形成される場合、これは略八角形構造を有する。酸化剤入管路64a,bおよびリング部材60を構成するパイプ節は、約0.1メートル超、より好ましくは約0.2から約2メートルの範囲、および最も好ましくは0.25から1メートルの範囲の標準直径を有することが好ましい。おそらく図3で最もよく説明されるが、スパージャーリング60の上部においては開口が実質的に形成されていないことが好ましい。
おそらく図4および5で最もよく説明されるが、酸化剤スパージャーリング60の底部は、複数の酸化剤開口68を与える。酸化剤開口68は、好ましくは、酸化剤開口68により規定される全開口面積の少なくとも約1パーセントがリング部材60の中心線64(図5)よりも下に位置するように構成される。ここで中心線64はリング部材60の体積重心の高さに位置する。より好ましくは、全酸化剤開口68により規定される全開口面積の少なくとも約5パーセントが中心線64よりも下に位置し、全開口面積の少なくとも約2パーセントが、垂直から約30度以内の概略下向きに酸化剤流を放出する開口68により規定される。さらにより好ましくは、全酸化剤開口68により規定される全開口面積の少なくとも約20パーセントが中心線64よりも下に位置し、全開口面積の少なくとも約10パーセントが、垂直から約30度以内の概略下向きに酸化剤流を放出する開口68により規定される。最も好ましくは、全酸化剤開口68により規定される全開口面積の少なくとも約75パーセントが中心線64よりも下に位置し、全開口面積の少なくとも約40パーセントが、垂直から約30度以内の概略下向きに酸化剤流を放出する開口68により規定される。中心線64よりも上に位置する全酸化剤開口68により規定される全開口面積の割合は、好ましくは約75パーセント未満、より好ましくは約50パーセント未満、さらにより好ましくは約25パーセント未満、および最も好ましくは5パーセント未満である。
図4および5に示すように、酸化剤開口68は、下向き開口68aと歪曲開口68bとを含む。下向開口68aは、垂直から約30度以内、より好ましくは垂直から約15度以内、および最も好ましくは垂直から5度以内の角度で概略下向きに酸化剤流を放出するように構成されている。ここで図5を参照し、歪曲開口68bは、垂直から約15から約75度の範囲である角度「A」で概略外向きおよび下向きに酸化剤流を放出するように構成されており、より好ましくは、角度Aは垂直から約30から約60度の範囲であり、そして最も好ましくは角度Aは垂直から40から50度の範囲である。
実質的に全ての酸化剤開口68がほぼ同一の直径を有することが好ましい。酸化剤開口68の直径は、好ましくは約2から約300ミリメートルの範囲であり、より好ましくは約4から約120ミリメートルの範囲であり、そして最も好ましくは8から60ミリメートルの範囲である。リング部材60における酸化剤開口68の全数は、以下に詳述する低い圧力降下基準に合致するように選択される。好ましくは、リング部材60内に形成される酸化剤開口68の全数は少なくとも約10、より好ましくは、酸化剤開口68の全数は約20から約200の範囲、および最も好ましくは、酸化剤開口68の全数は40から100の範囲である。
図1〜5は、酸化剤スパージャー200の極めて具体的な構成を示すが、本明細書に記載する利点を実現するために種々の酸化剤スパージャー構成を採用できることがここで注目される。例えば、酸化剤スパージャーは、図1〜5に示す八角形リング部材構成を有することを必須には必要としない。むしろ、酸化剤スパージャーは、酸化剤流を放出するための間隔をあけた複数の開口を採用する1つまたは複数の流管路の任意の構成で形成されることが可能である。流管路における酸化剤開口のサイズ、数および放出方向は、好ましくは上述の範囲内である。さらに、酸化剤スパージャーは、好ましくは、上記の分子酸素の方位角方向および半径方向の分配を与えるように構成される。
酸化剤スパージャー34の具体的な構成に関わらず、酸化剤スパージャーは、酸化剤開口を経た、そして反応ゾーン内への、1つまたは複数の流管路からの酸化剤流の放出に関連する圧力降下を最小化する様式で、物理的に構成および操作することが好ましい。このような圧力降下は、酸化剤スパージャーの酸化剤入口66a,bでの流管路内側の酸化剤流の時間平均静圧、マイナス、酸化剤流の1/2がその垂直位置よりも上で導入され、酸化剤流の1/2がその垂直位置よりも下で導入される高さでの反応ゾーン内の時間平均静圧、として算出する。本発明の好ましい態様において、酸化剤スパージャーからの酸化剤流の放出に関連する時間平均圧力降下は、約0.3メガパスカル(MPa)未満、より好ましくは約0.2MPa未満、さらにより好ましくは約0.1MPa未満、および最も好ましくは0.05MPa未満である。
任意選択的に、連続的または間欠的に酸化剤スパージャー34を液体(例えば、酢酸、水および/またはパラキシレン)で洗い流して固体による酸化剤スパージャーの汚れを防ぐことができる。このような液体の洗い流しを採用する場合、毎日1分より長い少なくとも1周期で、有効量の液体(すなわち、酸化剤流中に元々存在すると思われる少量の液滴だけではない)を、酸化剤スパージャーに通して酸化剤開口から出すことが好ましい。液体を連続的または所定時間毎に酸化剤スパージャー34から放出する場合、酸化剤スパージャーを通る液体の質量流量の、酸化剤スパージャーを通る分子酸素の質量流量に対する時間平均の比は、約0.05:1から約30:1の範囲、または約0.1:1から約2:1の範囲、またはさらに0.2:1から1:1の範囲であることが好ましい。
多相反応媒体を収容する多くの従来の気泡塔反応器においては、酸化剤スパージャー(または酸化剤流を反応ゾーン内に導入するための他のメカニズム)の下に位置する実質的に全ての反応媒体が、極めて低いガスホールドアップ値を有する。当該分野において公知であるように、「ガスホールドアップ」は、単に、気体状態にある多相媒体の体積分率である。媒体中の低ガスホールドアップのゾーンは「非曝気(unaerated)」ゾーンともいうことができる。多くの従来のスラリー気泡塔反応器において、反応媒体の全体積の相当多くの部分が、酸化剤スパージャー(または酸化剤流を反応ゾーン内に導入するための他のメカニズム)の下に位置する。よって、従来の気泡塔反応器の底部に存在する反応媒体の相当多くの部分が非曝気である。
気泡塔反応器内で酸化を被る反応媒体中の非曝気ゾーンの量を最小化することにより、特定種類の望ましくない不純物の発生を最小化できることが見出された。反応媒体の非曝気ゾーンは、比較的少ない酸化剤泡を含む。酸化剤泡のこの低い体積により、反応媒体の液相中に溶解可能な分子酸素の量が低減される。よって、反応媒体の非曝気ゾーンにおける液相は、比較的低い分子酸素濃度を有する。反応媒体のこれらの酸素不足の非曝気ゾーンは、望ましい酸化反応よりもむしろ望ましくない副反応を促進する傾向を有する。例えば、パラキシレンが部分酸化されてテレフタル酸を形成する場合、反応媒体の液相における酸素の供給が不十分であることが、望ましくない多量の安息香酸および融合芳香環、とりわけフルオレノンおよびアントラキノンとして知られる極めて望ましくない着色分子等の形成の原因となる可能性がある。
本発明の一態様に関し、液相酸化は、低いガスホールドアップ値の反応媒体の体積分率が最小化されるような様式で構成および操作する気泡塔反応器内で実施される。非曝気ゾーンのこの最小化は、反応媒体の全体積を均一体積の2,000の分離した水平方向スライスに理論的に分割することにより定量化できる。最も高いおよび最も低いスライスを除外し、各水平方向スライスは、その側面が反応器の側壁により境界とされ、かつその頂部および底部が仮想水平面により境界とされた分離した体積である。最も高い水平方向スライスは、その底部が仮想水平面により境界とされ、かつその頂部が反応媒体の上面により境界とされる。最も低い水平方向スライスは、その頂部が仮想水平面により境界とされ、かつその底部が容器の下端部により境界とされる。反応媒体を一旦等体積の2,000の分離した水平方向スライスに理論的に分割すれば、各水平方向スライスの時間平均および体積平均のガスホールドアップを決定できる。非曝気ゾーンの量を定量化するこの方法を採用する場合、時間平均および体積平均のガスホールドアップが0.1未満である水平方向スライスの数は、30未満が好ましく、より好ましくは15未満、さらにより好ましくは6未満、さらにより好ましくは4未満、および最も好ましくは2未満である。時間平均および体積平均のガスホールドアップが0.2未満である水平方向スライスの数は、80未満が好ましく、より好ましくは40未満、さらにより好ましくは20未満、さらにより好ましくは12未満、および最も好ましくは5未満である。ガスホールドアップが0.3未満である水平方向スライスの数は、120未満が好ましく、より好ましくは80未満、さらにより好ましくは40未満、さらにより好ましくは20未満、および最も好ましくは15未満である。
重ねて図1および2を参照するに、酸化剤スパージャー34を反応ゾーン28の下側に配置することは、反応媒体36中の非曝気ゾーンの量の低減を含む幾つかの利点を与えることを見出した。反応媒体36の高さ「H」、反応ゾーン28の長さ「L」、および反応ゾーン28の最大直径「D」について考えると、酸化剤流の主要部(すなわち>50質量パーセント)が反応ゾーン28内に、反応ゾーン28の下端部52の約0.025H,0.022L,および/または0.25D以内で導入することが好ましい。より好ましくは、酸化剤流の主要部を反応ゾーン28内に、反応ゾーン28の下端部52の約0.02H,0.018L,および/または0.2D以内で導入する。最も好ましくは、酸化剤流の主要部を反応ゾーン28内に、反応ゾーン28の下端部52の0.015H,0.013L,および/または0.15D以内で導入する。
図2に示す態様において、反応ゾーン28の下端部52と酸化剤スパージャー34の上側酸化剤開口68の出口との間の垂直距離「Y1」は、約0.25H,0.022L,および/または0.25D未満であり、これにより実質的に全ての酸化剤流が反応ゾーン28内に、反応ゾーン28の下端部52の約0.25H,0.022L,および/または0.25D以内で導入される。より好ましくは、Y1は、約0.02H,0.018L,および/または0.2D未満である。最も好ましくは、Y1は、0.015H,0.013L,および/または0.15D未満であるが、0.005H,0.004L,および/または0.06Dを超える。図2は、容器シェル22の円筒型の主体46の底縁部が容器シェル22の楕円形の下部ヘッド48の頂縁部と重なる場所での接線72を示す。これに代えて、下部ヘッド48は、円錐を含む任意の形状であることができ、そして接線は円筒型の主体46の底縁部としてなお規定される。接線72と酸化剤スパージャー34の頂部との間の垂直距離「Y2」は、好ましくは少なくとも約0.0012H,0.001L,および/または0.01D;より好ましくは少なくとも約0.005H,0.004L,および/または0.05D;および最も好ましくは少なくとも0.01H,0.008L,および/または0.1Dである。反応ゾーン28の下端部52と酸化剤スパージャー34の下側酸化剤開口70の出口との間の垂直距離「Y3」は、好ましくは、約0.015H,0.013L,および/または0.15D未満;より好ましくは約0.012H,0.01L,および/または0.1D未満;および最も好ましくは0.01H,0.008L,および/または0.075D未満であるが、0.003H,0.002L,および/または0.025Dを超える。
反応媒体36中の非曝気ゾーン(すなわちガスホールドアップが低いゾーン)を最小化することにより与えられる利点に加え、酸化は、反応媒体36全体のガスホールドアップを最大化することにより促進できることを見出した。反応媒体36は、好ましくは時間平均および体積平均のガスホールドアップを、少なくとも約0.4、より好ましくは約0.6から約0.9の範囲、および最も好ましくは0.65から0.85の範囲で有する。気泡塔反応器20の幾つかの物理的および操作上の特質が、上述の高いガスホールドアップに寄与する。例えば、既知の反応器サイズおよび酸化剤流の流れについて、反応ゾーン28の高L:D比により反応媒体36中の表面速度を増大させるより小さい直径がもたらされ、言い換えればガスホールドアップが増大する。加えて、気泡塔の実際の直径およびL:D比は、既知の一定表面速度についても平均ガスホールドアップに影響することが知られている。加えて、特に反応ゾーン28の底部における非曝気ゾーンの最小化は、ガスホールドアップ値の増大に寄与する。さらに、気泡塔反応器の塔頂圧力および機械的構成は、本明細書に記載する高い表面速度およびガスホールドアップ値での操作安定性に影響する可能性がある。
重ねて図1を参照するに、反応媒体36中の易酸化性化合物(例えばパラキシレン)の分配の改善は、垂直方向に間隔をあけた複数の位置で液相供給物流を反応ゾーン28内に導入することにより付与できることを見出した。好ましくは、液相供給物流は、少なくとも3つの供給物開口、より好ましくは少なくとも4つの供給物開口を経由して反応ゾーン28内に導入する。本明細書で使用する用語「供給物開口(feed opening)」は、反応媒体36と混合するために液相供給物流が反応ゾーン28内に放出される開口を意味するものとする。供給物開口の少なくとも2つが、少なくとも約0.5Dで互いに垂直方向に間隔をあけていることが好ましく、好ましくは少なくとも約1.5D、および最も好ましくは少なくとも3Dである。しかし、最も高い供給物開口は、最も低い酸化剤開口から、約0.75H,0.65L,および/または8D以下で垂直方向に間隔をあけていることが好ましく;より好ましくは約0.5H,0.4L,および/または5D以下;および最も好ましくは0.4H,0.35L,および/または4D以下である。
液相供給物流は垂直方向の複数の位置で導入することが望ましいが、液相供給物流の主要部が反応媒体36および/または反応ゾーン28の下半分に導入される場合には、反応媒体36中の易酸化性化合物の分配の改善が与えられることを見出した。好ましくは、液相供給物流の少なくとも約75質量パーセントが反応媒体36および/または反応ゾーン28の下半分に導入される。最も好ましくは、液相供給物流の少なくとも90質量パーセントが反応媒体36および/または反応ゾーン28の下半分に導入される。加えて、液相供給物流の少なくとも約30質量パーセントが、反応ゾーン28内に酸化剤流が導入される場所である最も低い垂直方向位置の約1.5D以内で、反応ゾーン28内に導入されることが好ましい。反応ゾーン28内に酸化剤流が導入される場所であるこの最も低い垂直方向位置は、典型的には酸化剤スパージャーの底部にある;しかし、酸化剤流を反応ゾーン28内に導入するための種々の代替の構成が本発明の好ましい態様によって意図される。好ましくは、液相供給物の少なくとも約50質量パーセントが、反応ゾーン28内に酸化剤流が導入される場所である最も低い垂直方向位置の約2.5D以内で導入される。好ましくは、液相供給物流の少なくとも約75質量パーセントが、反応ゾーン28内に酸化剤流が導入される場所である最も低い垂直方向位置の約5D以内で導入される。
各供給物開口は、供給物が経由して放出される開口面積を規定する。全ての供給物入口の累積開口面積の少なくとも約30パーセントが、反応ゾーン28内に酸化剤流が導入される場所である最も低い垂直方向位置の約1.5D以内に位置していることが好ましい。好ましくは、全ての供給物入口の累積開口面積の少なくとも約50パーセントが、反応ゾーン28内に酸化剤流が導入される場所である最も低い垂直方向位置の約2.5D以内に位置している。好ましくは、全ての供給物入口の累積開口面積の少なくとも約75パーセントが、反応ゾーン28内に酸化剤流が導入される場所である最も低い垂直方向位置の約5D以内に位置している。
重ねて図1を参照するに、本発明の一態様において、供給物入口32a,b,c,dは、容器シェル22の1つの側面に沿って単純に垂直方向に配列された一連の開口である。これらの供給物開口は、好ましくは、実質的に同様の直径の約7センチメートル未満、より好ましくは約0.25から約5センチメートルの範囲、および最も好ましくは0.4から2センチメートルの範囲を有する。気泡塔反応器20は、好ましくは、各供給物開口から出る液相供給物流の流速を制御するためのシステムを備える。このような流れ制御システムは、好ましくは、各供給物入口32a,b,c,dそれぞれのための個別の流れ制御バルブ74a,b,c,dを含む。加えて、気泡塔反応器20は、少なくとも毎秒約2メートル、より好ましくは少なくとも毎秒約5メートル、さらにより好ましくは少なくとも毎秒約6メートル、および最も好ましくは毎秒8から20メートルの範囲の高い入口表面速度で液相供給物流の少なくとも一部を反応ゾーン28内に導入できるようにする流れ制御システムを備えることが好ましい。本明細書で使用する用語「入口表面速度(inlet superficial velocity)」は、供給物開口を出る供給物流の時間平均の体積流量を供給物開口の面積で除したものを意味する。好ましくは、供給物流の少なくとも約50質量パーセントが高い入口表面速度で反応ゾーン28内に導入される。最も好ましくは、実質的に全ての供給物流が高い入口表面速度で反応ゾーン28内に導入される。
ここで図6および7を参照し、液相供給物流を反応ゾーン28内に導入するための代替のシステムを説明する。この態様において、供給物流は4つの異なる高さで反応ゾーン28内に導入する。各高さは、それぞれの供給物分配システム76a,b,c,dを備える。各供給物分配システム76は、主供給管路78および連結管(manifold)80を含む。各連結管80は、容器シェル22の反応ゾーン28内に延びる挿入管路86,88にそれぞれ連結した少なくとも2つの出口82,84を備える。各挿入管路86,88は、供給物流を反応ゾーン28内に放出するためのそれぞれの供給物開口87,89を与える。供給物開口87,89は、好ましくは、実質的に同様の直径約7センチメートル未満、より好ましくは約0.25から約5センチメートルの範囲、および最も好ましくは0.4から2センチメートルの範囲を有する。各供給物分配システム76a,b,c,dの供給物開口87,89は、反対の方向で供給物流を反応ゾーン28内に導入するように直径方向において反対側にあることが好ましい。さらに、隣接する供給物分配システム76の、直径方向において反対側の供給物開口86,88は、相対的に互いに90度回転させた方向であることが好ましい。操作においては、液相供給物流は、主供給物管路78に充填し、続いて連結管80に入る。連結管80は、供給物流を、反応器20の反対側で供給物開口87,89を経由して同時に導入するために均等に分配する。
図8は、各供給物分配システム76が挿入管路86,88(図7に示す)でなく差込チューブ90,92を備える代替の構成を説明する。差込チューブ(bayonet tube)90,92は反応ゾーン28内に突き出ており、そして液相供給物を反応ゾーン28内に放出するための複数の小さい供給物開口94,96を含む。差込チューブ90,92の小さい供給物開口94,96は、実質的に同様の直径約50ミリメートル未満、より好ましくは約2から約25ミリメートルの範囲、および最も好ましくは4から15ミリメートルを有することが好ましい。
図9〜11は、代替の供給物分配システム100を示す。供給物分配システム100は、気泡塔反応器20の側壁の複数の貫通を必要とせずに、垂直方向に間隔をあけかつ横方向に間隔をあけた複数の位置で液相供給物流を導入する。供給物導入システム100は、一般的には、単一の入口管路102、ヘッダー104、複数の直立分配チューブ106、横方向支持機構108、および垂直方向支持機構110を含む。入口管路102は、容器シェル22の主体46の側壁を貫通する。入口管路102は、ヘッダー104に流動的に連結している。ヘッダー104は、入口管路102から受入れた供給物流を、直立分配チューブ106の間で均等に分配する。各分配チューブ106は、供給物流を反応ゾーン28内に放出するための、垂直方向に間隔をあけた複数の供給物開口112a,b,c,dを有する。横方向支持機構108は、各分配チューブ106に連結されかつ分配チューブ106の相対的な横方向の動きを阻止する。垂直方向支持機構110は、好ましくは横方向支持機構108および酸化剤スパージャー34の頂部に連結されている。垂直方向支持機構110は、反応ゾーン28における分配チューブ106の垂直方向の動きを実質的に阻止する。供給物開口112は、実質的に同じ直径約50ミリメートル未満を有することが好ましく、より好ましくは約2から約25ミリメートル、および最も好ましくは4から15ミリメートルである。図9〜11に示す供給物分配システム100の供給物開口112の垂直方向の間隔は、図1の供給物分配システムに関して上記したのと実質的に同じであることができる。任意選択的に、供給物開口は、単純な孔よりむしろ細長いノズルであることができる。任意選択的に、流管路の外側かつ流体の経路(ここから反応媒体中に出る)内に1つ以上の流れ偏向装置を置くことができる。任意選択的に、流管路の底部近傍の開口は、液相供給物分配装置の内側から固体を連続的または間欠的のいずれかでパージするためのサイズにすることができる。任意選択的に、フラッパーアセンブリ、チェックバルブ、過流弁、動力運転バルブ等のような機械装置を、運転の不調の間の固体の進入を防ぐため、または堆積した固体を液相供給物分配装置内から放出するため、のいずれでも使用できる。
多くの気泡塔反応器における反応媒体の流れのパターンは、特に易酸化性化合物が主として反応媒体の片側に沿って導入される場合、反応媒体中の易酸化性化合物の不均等な方位角の分配を容認できることを見出した。本明細書で使用する用語「方位角(azimuthal)」は、反応ゾーンの伸長の直立軸の周りの角度または間隔を意味するものとする。本明細書で使用する「直立(upright)」は、垂直から45度以内を意味するものとする。本発明の一態様において、易酸化性化合物(例えばパラキシレン)を含む供給物流は、方位角方向に間隔をあけた複数の供給物開口を経由して反応ゾーン内に導入される。方位角方向に間隔をあけたこれらの供給物開口は、反応媒体中の過度に高いおよび過度に低い易酸化性化合物濃度の領域を防ぐ助けとすることができる。図6〜11に示す種々の供給物導入システムは、供給物開口の適切な方位角間隔を与えるシステムの例である。
重ねて図7を参照するに、液相供給物流の反応媒体中への方位角方向に間隔をあけた導入を定量化するために、反応媒体を、近似的に等体積である4つの直立方位角四分円「Q1,Q2,Q3,Q4」に理論的に分割できる。これらの方位角四分円「Q1,Q2,Q3,Q4」は、反応媒体の最大垂直方向寸法および最大半径方向寸法を越えて延びる1対の仮想交差直角垂直面「P1,P2」により規定される。反応媒体が円筒型容器内に収容されている場合、仮想交差垂直面P1,P2の交差線は、円筒の垂直方向の中心線と近似的に一致することになり、かつ各方位角四分円Q1,Q2,Q3,Q4は、反応媒体の高さと等しい高さの略V形(wedge-shaped)の垂直体積になる。易酸化性化合物の実質的な部分は、少なくとも2つの異なる方位角四分円に位置する供給物開口を経由して反応媒体中に放出されることが好ましい。
本発明の好ましい態様においては、易酸化性化合物の約80質量パーセント以下を、単一の方位角四分円内に位置できる供給物開口を経て反応媒体中に放出する。より好ましくは、易酸化性化合物の約60質量パーセント以下を、単一の方位角四分円内に位置できる供給物開口を経て反応媒体中に放出する。最も好ましくは、易酸化性化合物の40質量パーセント以下を、単一の方位角四分円内に位置できる供給物開口を経て反応媒体中に放出する。易酸化性化合物の方位角分配に対するこれらのパラメータは、方位角四分円が方位角で方向付けられることによって易酸化性化合物の最大可能量が方位角四分円の1つの中に放出される場合に、測定する。例えば、4つの方位角四分円における方位角分配を評価する目的で、互いに方位角方向の間隔を89度あけた2つの供給物開口を経由して全供給物流を反応媒体中に放出する場合には、両方の供給物開口が単一の方位角四分円内に位置するような様式で方位角四分円を方位角で方向付けできるため、供給物流の100質量パーセントを単一の方位角四分円内で反応媒体中に放出する。
供給物開口の方位角方向の間隔を適切にあけることに関連する有利性に加え、気泡塔反応器内の供給物開口の半径方向の間隔を適切にあけることもまた重要な可能性があることを見出した。反応媒体中に導入される易酸化性化合物の実質的な部分は、容器の側壁から内向きに半径方向に間隔をあけた供給物開口を経由して放出することが好ましい。よって、本発明の一態様においては、易酸化性化合物の実質的な部分が、反応ゾーンを規定する直立側壁から内向きに間隔をあけた「好ましい半径方向の供給ゾーン」に位置する供給物開口を経由して反応ゾーンに入る。
重ねて図7を参照するに、好ましい半径方向の供給ゾーン「FZ」は、反応ゾーン28を中心に外径「Do」の0.9D(「D」は反応ゾーン28の直径である)を有する理論的な直立円筒である形状をとることができる。よって、好ましい半径方向の供給ゾーンFZと、反応ゾーン28を規定する側壁の内側との間に、厚み0.05Dの外環「OA」が規定される。易酸化性化合物は、この外環OA内に位置する供給物開口を経由しては反応ゾーン28内にほとんど導入されずまたは全く導入されないことが好ましい。
他の態様において、易酸化性化合物は、反応ゾーン28の中心にはほとんど導入されずまたは全く導入されないことが好ましい。よって、図8に示すように、好ましい半径方向の供給ゾーンFZは、反応ゾーン28を中心に、外径DOが0.9Dで内径DIが0.2Dである理論的な直立環の形状をとることができる。よって、この態様において、直径0.2Dの内側円筒ICは好ましい半径方向の供給ゾーンFZの中心の「切抜き(cut out)」である。易酸化性化合物は、この内側円筒IC内に位置する供給物開口を経由しては反応ゾーン28内にほとんど導入されずまたは全く導入されないことが好ましい。
本発明の好ましい態様において、易酸化性化合物の実質的な部分は、好ましい半径方向の供給ゾーンが上記の円筒型形状または環形状を有するか否かにかかわらず、反応媒体36中に、好ましい半径方向の供給ゾーンに位置する供給物開口を経由して導入する。より好ましくは、易酸化性化合物の少なくとも約25質量パーセントを、好ましい半径方向の供給ゾーンに位置する供給物開口を経て反応媒体36中に放出する。さらにより好ましくは、易酸化性化合物の少なくとも約50質量パーセントを、好ましい半径方向の供給ゾーンに位置する供給物開口を経て反応媒体36中に放出する。最も好ましくは、易酸化性化合物の少なくとも約75質量パーセントを、好ましい半径方向の供給ゾーンに位置する供給物開口を経て反応媒体36中に放出する。
図7および8に示す理論的な方位角四分円および理論的な好ましい半径方向の供給ゾーンは、液相供給物流の分配に関して記載されているが、気相酸化剤流の適切な方位角方向および半径方向の分配はまた特定の利点を与えることができることを見出した。よって、本発明の一態様においては、上記で与えられる、液相供給物流の方位角方向および半径方向の分配の記載は、気相酸化剤流が反応媒体36中に導入される様式にも当てはまる。
ここで図12および13を参照し、反応器内反応器の構成を有する代替の気泡塔反応器200を示す。気泡塔反応器200は、外部反応器202と内部反応器204とを含み、内部反応器204は少なくとも部分的に、外部反応器202内に配置されている。好ましい態様において、外部反応器202および内部反応器204の両者は気泡塔反応器である。好ましくは、外部反応器202が外部反応容器206と外部酸化剤スパージャー208とを含み、一方内部反応器204が内部反応容器210と内部酸化剤スパージャー212とを含む。
図12および13は、外部反応容器206内に全体が配置されるものとして内部反応容器210を示すが、内部反応容器210を一部のみ外部反応容器206内に配置することが可能である。しかし、内部反応容器210の高さの少なくとも約50,90,95または100パーセントが外部反応容器206内に位置することが好ましい。さらに、外部反応容器の最大径の少なくとも約0.01,0.2,1または2倍、各反応容器の一部が他の反応容器の一部よりも上の高さであることが好ましい。
本発明の好ましい態様において、外部反応容器206および内部反応容器210の各々は、略円筒形構成を有するそれぞれの直立側壁を含む。好ましくは、外部反応容器206および内部反応容器210の直立側壁は、実質的に同心でかつそれらの間に同心円環帯を規定する。内部反応容器210は、外部反応容器206から垂直に、好ましくは主としてそれぞれの容器の下側部の間の直立支持体によって支持される。加えて、内部反応容器210は、外部反応容器206と内部反応容器210との直立側壁の間に延びる複数の横方向支持部材214を通じて外部反応容器206によって支持できる。好ましくは、このような横方向支持部材214は、先に規定した、最小限の上向きに対向する平坦な表面を伴う非汚染構成を有する。
内部反応容器210の直立側壁は実質的に円筒形であることが好ましいが、内部反応容器210の直立側壁の所定部分が、二次反応ゾーン218の隣接部分に対して凹んでいることが可能である。好ましくは、内部反応容器210の直立側壁の、二次反応ゾーン218の隣接部分に対して凹んでいる任意部分が、内部反応容器210の直立側壁の全表面積の約25,10,5または0.1%未満を占める。好ましくは、内部反応容器210の直立側壁の最大高さの、外部反応容器206の直立側壁の最大高さに対する比は、約0.1:1から約0.9:1の範囲であり、より好ましくは約0.2:1から約0.8:1の範囲、および最も好ましくは0.3:1から0.7:1の範囲である。
外部反応容器206は内部に一次反応ゾーン216を規定し、一方内部反応容器210は内部に二次反応ゾーン218を規定する。好ましくは、外部反応容器206および内部反応容器210は、一次反応ゾーン216の最大水平直径の約0.4,0.2,0.1または0.01倍未満で、二次反応ゾーン218の体積重心が一次反応ゾーン216の体積重心から水平方向に配置されるように垂直に並んでいる。好ましくは、一次反応ゾーン216の二次反応ゾーン218に対する最大水平断面積の比が、約0.01:1から約0.75:1の範囲であり、より好ましくは約0.03:1から約0.5:1の範囲、および最も好ましくは0.05:1から0.3:1の範囲である。好ましくは、二次反応ゾーン218の水平断面積の、外部反応容器206と内部反応容器210との間で規定される同心円環帯の水平断面積に対する比が、少なくとも約0.02:1であり、より好ましくは約0.05:1から約2:1の範囲、および最も好ましくは約0.1:1から約1:1の範囲であり、ここで断面積は、二次反応ゾーン218の1/4高さ、1/2高さ、および/または3/4高さで測定する。好ましくは、二次反応ゾーン218の体積の少なくとも約50,70,90または100パーセントが外部反応容器206内に位置する。好ましくは、一次反応ゾーン216の体積の、二次反応ゾーン218の体積に対する比は、約1:1から約100:1の範囲であり、より好ましくは約4:1から約50:1の範囲、および最も好ましくは8:1から30:1の範囲である。好ましくは、一次反応ゾーン216の、最大垂直高さの最大水平直径に対する比は、約3:1から約30:1の範囲であり、より好ましくは約6:1から約20:1、および最も好ましくは9:1から15:1の範囲である。好ましくは、二次反応ゾーン218の、最大垂直高さの最大水平直径に対する比は、約0.3:1から約100:1であり、より好ましくは約1:1から約50:1の範囲、および最も好ましくは3:1から30:1の範囲である。好ましくは、二次反応ゾーン218の最大水平直径は、約0.1から約5メートルの範囲であり、より好ましくは約0.3から約4メートルの範囲、および最も好ましくは1から3メートルの範囲である。好ましくは、二次反応ゾーン218の最大垂直高さは、約1から約100メートルの範囲であり、より好ましくは約3から約50メートルの範囲内、および最も好ましくは10から30メートルの範囲内である。好ましくは、二次反応ゾーン218の最大水平直径の、一次反応ゾーン216の最大水平直径に対する比は、約0.05:1から約0.8:1の範囲であり、より好ましくは約0.1:1から約0.6:1の範囲、および最も好ましくは0.2:1から0.5:1の範囲である。好ましくは、二次反応ゾーン218の最大垂直高さの、一次反応ゾーン216の最大垂直高さに対する比は、約0.03:1から約1:1の範囲であり、より好ましくは約0.1:1から約0.9:1の範囲、および最も好ましくは0.3:1から0.8:1の範囲である。外部反応容器206および付属物について本明細書で明記する任意のパラメータ(例えば、高さ、幅、面積、体積、相対的な水平配置、および相対的な垂直配置)は、外部反応容器206によって規定される一次反応ゾーン216にも当てはまるものと解釈され、逆もまた同様である。さらに、内部反応容器210および付属物について本明細書で明記する任意のパラメータは、内部反応容器210によって規定される二次反応ゾーン218にも当てはまるものと解釈され、逆もまた同様である。
気泡塔反応器200の運転の間、多相反応媒体220は、まず一次反応ゾーン216内で酸化を受け、次いで二次反応ゾーン218内で酸化を受ける。よって、通常運転の間、反応媒体の第1の部分220aは一次反応ゾーン216内に位置し、一方反応媒体の第2の部分220bは二次反応ゾーン218内に位置する。二次反応ゾーン218内で加工した後、反応媒体220bのスラリー相(すなわち液相および固相)を、二次反応ゾーン218から取出し、そして後続の下流加工のために、スラリー出口222経由で気泡塔反応器200から放出する。
内部反応器204は、好ましくは、二次反応ゾーン218内に追加的な分子酸素を放出することを可能にする少なくとも1つの内部ガス開口を含む。好ましくは、複数の内部ガス開口は、内部酸化剤スパージャー212により規定される。図1〜5の酸化剤スパージャー34についての開示は、内部酸化剤スパージャー212にも、管路のサイズおよび構成、開口のサイズ決めおよび構成、運転圧力降下、ならびに液体洗い流しについて当てはまる。特筆すべき差異において、酸化剤スパージャー212は、内部反応容器210の下側部分を曝気ゾーンとして使用するために比較的より高く位置させることが好ましい。例えば、パラキシレンを酸化してTPAを形成することについて本明細書に開示する態様は、二次反応ゾーン218の底部近傍の空時反応速度を大きく減少させ、そしてこれにより、不純物形成における曝気の影響が軽減される。内部反応容器210は、最大高さ「Hi」を有する。内部ガス開口の全てによって規定される全開口面積の少なくとも約50,75,95または100パーセントを、内部反応容器210の頂部から少なくとも0.05Hi、0.1Hiまたは0.25Hi、離すことが好ましい。内部ガス開口の全てによって規定される全開口面積の少なくとも約50,75,95または100パーセントを、内部反応容器210の底部の上に約0.5Hi、0.25Hiまたは0.1Hi未満、離すこともまた好ましい。好ましくは、内部ガス開口の全てによって規定される全開口面積の少なくとも約50,75,95または100パーセントを、内部反応容器210の頂部から少なくとも約1,5または10メートル、および内部反応容器210の底部から少なくとも約0.5,1または2メートル離す。内部ガス開口の全てによって規定される全開口面積の少なくとも約50,75,95または100パーセントが、二次反応ゾーン218と直接連結し、かつ一次反応ゾーン216と直接連結しないことが好ましい。本明細書で用いる用語「開口面積」は、開口を閉鎖し得る最小表面積(平面または非平面)を意味する。
一般的に、供給物、酸化剤、および還流を外部反応器202に導入する様式および外部反応器202を運転する様式は、図1〜11の気泡塔反応器20を参照して上記したのと実質的に同一である。しかし、外部反応器202(図12および13)と気泡塔反応器20(図1〜11)の1つの相違点は、外部反応器202が、反応媒体220aのスラリー相を外部反応容器206から下流の加工のために直接放出させる出口を含まないことである。むしろ、気泡塔反応器200は、反応媒体220aのスラリー相が、気泡塔反応器200から放出される前にまず内部反応器204を通過することを必要とする。上記したように、内部反応器204の二次反応ゾーン218において、反応媒体220bは、反応媒体220bの液相および/または固相の精製の助けとするためのさらなる酸化を受ける。
パラキシレンを反応ゾーン216に供給する工程において、一次反応ゾーン216から出て二次反応ゾーン218に入る反応媒体220aの液相は、典型的には少なくとも幾らかかのパラトルイル酸を含む。二次反応ゾーン218に入るパラトルイル酸の実質的な部分が二次反応ゾーン218内で酸化されることが好ましい。よって、二次反応ゾーン218から出る反応媒体220bの液相中のパラトルイル酸の時間平均濃度は、二次反応ゾーン218に入る反応媒体220a/bの液相中のパラトルイル酸の時間平均濃度よりも低いことが好ましい。好ましくは、二次反応ゾーン218から出る反応媒体220bの液相中のパラトルイル酸の時間平均濃度は、二次反応ゾーン218に入る反応媒体220a/bの液相中のパラトルイル酸の時間平均濃度の約50,10または5パーセント未満である。好ましくは、二次反応ゾーン218に入る反応媒体220a/bの液相中のパラトルイル酸の時間平均濃度は、少なくとも約250ppmwであり、より好ましくは約500から約6,000ppmwの範囲、および最も好ましくは1,000から4,000ppmwの範囲である。好ましくは、二次反応ゾーン218から出る反応媒体220bの液相中のパラトルイル酸の時間平均濃度は、約1,000、250、または50ppmw未満である。
内部反応容器210は、反応媒体220a/bに反応ゾーン216と二次反応ゾーン218との間を直接通過させる少なくとも1つの直接開口を備える。内部反応容器210内の直接開口の実質的に全てが内部反応容器210の頂部近傍に位置することが好ましい。好ましくは、直接開口の全てによって規定される全開口面積の少なくとも約50,75,90,または100パーセントが、約0.5Hi、0.25Hiまたは0.1Hi未満、内部反応容器210の頂部から間隔をあけられている。好ましくは、内部反応容器210内の直接開口により規定される全開口面積の約50,25,10または1パーセント未満が、約0.5Hi、0.25Hiまたは0.1Hi超、内部反応容器210の頂部から間隔をあけられている。最も好ましくは、内部反応容器210により規定される直接開口は、内部反応容器210の最上端に位置する単一の上側開口224である。上側開口224の開口面積の、二次反応ゾーン218の最大水平断面積に対する比は、好ましくは少なくとも約0.1:1、0.2:1、または0.5:1である。
気泡塔反応器200の通常運転の間、反応媒体220は一次反応ゾーン216から内部反応容器210内の1つまたは複数の直接開口(例えば上側開口224)を通過し、そして二次反応ゾーン218に入る。二次反応ゾーン218内で、反応媒体220bのスラリー相は、略下向きの方向に二次反応ゾーン218を通って進み、一方反応媒体220bの気相は略上向きの方向に進む。好ましくは、内部反応容器210は、スラリー相を二次反応ゾーン218から出すことを可能にする少なくとも1つの放出開口を規定する。次いで、内部反応容器210の放出開口から出るスラリー相は、気泡塔反応器200からスラリー出口222経由で出る。好ましくは、放出開口は、内部反応容器210の底部またはその近傍に位置する。好ましくは、内部反応容器210内の全放出開口により規定される全開口面積の少なくとも約50,75,90または100パーセントが、内部反応容器210の底部の約0.5Hi、0.25Hiまたは0.1Hi以内に位置する。
反応媒体220bが内部反応器204内の二次反応ゾーン218内で加工されるため、反応媒体220bのガスホールドアップは反応媒体220bのスラリー相が二次反応ゾーン218を通って下向きに流れるにつれて低減することが好ましい。好ましくは、二次反応ゾーン218に入る反応媒体220a/bの、二次反応ゾーン218から出る反応媒体220bに対する時間平均ガスホールドアップの比は、少なくとも約2:1、10:1または25:1である。好ましくは、二次反応ゾーン218に入る反応媒体220a/bの時間平均ガスホールドアップは、約0.4から約0.9の範囲であり、より好ましくは約0.5から約0.8の範囲、および最も好ましくは0.55から0.7の範囲である。好ましくは、二次反応ゾーン218から出る反応媒体220bの時間平均ガスホールドアップは、約0.1,0.05または0.02未満である。好ましくは、一次反応ゾーン216内の反応媒体220aの、二次反応ゾーン218内の反応媒体220bに対する時間平均ガスホールドアップの比は、約1:1超であり、より好ましくは約1.25:1から約5:1の範囲、および最も好ましくは1.5:1から4:1の範囲であり、一方ガスホールドアップ値は、一次反応ゾーン216および二次反応ゾーン218の任意高さで、一次反応ゾーン216および二次反応ゾーン218の任意の対応する高さで、一次反応ゾーン216および/もしくは二次反応ゾーン218の1/4高さで、一次反応ゾーン216および/もしくは二次反応ゾーン218の1/2高さで、一次反応ゾーン216および/もしくは二次反応ゾーン218の3/4高さで測定し、ならびに/または、一次反応ゾーン216および/もしくは二次反応ゾーン218の全体高さの平均値である。好ましくは、一次反応ゾーン216内の反応媒体220aの部分の時間平均ガスホールドアップは、約0.4から約0.9の範囲であり、より好ましくは約0.5から約0.8の範囲、および最も好ましくは0.55から0.70の範囲であり、一方ガスホールドアップは、一次反応ゾーン216の任意高さで、一次反応ゾーン216の1/4高さで、一次反応ゾーン216の1/2高さで、一次反応ゾーン216の3/4高さで測定し、および/または、一次反応ゾーン216の全体高さの平均である。好ましくは、二次反応ゾーン218内の反応媒体220b部分の時間平均ガスホールドアップは、約0.01から約0.6の範囲であり、より好ましくは約0.03から約0.3、および最も好ましくは0.08から0.2の範囲であり、ここでガスホールドアップは、二次反応ゾーン218の任意高さで、二次反応ゾーン218の1/4高さで、二次反応ゾーン218の1/2高さで、二次反応ゾーン218の3/4高さで測定し、および/または、二次反応ゾーン218の全体高さの平均である。
反応媒体220の温度は、好ましくは一次反応ゾーン216および二次反応ゾーン218において近似的に同一である。好ましくは、このような温度は、約125から約200℃の範囲であり、より好ましくは約140から約180℃の範囲、および最も好ましくは150から170℃の範囲である。しかし、温度差は、好ましくは、図28を参照して本明細書に開示するのと同一である一次反応ゾーン216の内部で形成される。好ましくは、同一の大きさの温度差が、二次反応ゾーン218、および一次反応ゾーン216と二次反応ゾーン218との間にも存在する。これらの追加的な温度勾配は、二次反応ゾーン218内で起こる化学反応、二次反応ゾーン218への酸化剤の追加的な導入、および一次反応ゾーン216のものと比べた二次反応ゾーン218内の既存の静圧に関係する。上記したように、気泡ホールドアップは、好ましくは一次反応ゾーン216において二次反応ゾーン218におけるよりも大きい。よって、上側開口224よりも下の高さで、反応ゾーン216内の静圧は二次反応ゾーン218内よりも大きい。この圧力差の大きさは、液体またはスラリーの密度の大きさおよび2つの反応ゾーン間の気泡ホールドアップの差に左右される。この圧力差の大きさは、上側開口224よりもさらに低い高さで増大する。
本発明の一態様において、気泡塔反応器200に供給する易酸化性化合物(例えばパラキシレン)の一部は、内部反応器204の二次反応ゾーン218内に直接導入する。しかし、気泡塔反応器200に供給する全易酸化性化合物の少なくとも約90,95,99または100モルパーセントを、(二次反応ゾーン218よりむしろ)一次反応ゾーン216内に導入することが好ましい。好ましくは、一次反応ゾーン216内に導入する易酸化性化合物の量の、二次反応ゾーン218内に導入する易酸化性化合物の量に対するモル比は、少なくとも約2:1,4:1または8:1である。
図12および13は、気泡塔反応器200に供給する全分子酸素の一部を内部反応器204の二次反応ゾーン218内に内部酸化剤スパージャー212経由で導入する構成を表すが、気泡塔反応器200に供給する全分子酸素の主要部を一次反応ゾーン216内に導入し、残部を二次反応ゾーン218内に導入することが好ましい。好ましくは、気泡塔反応器200に供給する全分子酸素の少なくとも約70,90,95,または98モルパーセントを一次反応ゾーン216内に導入する。好ましくは、一次反応ゾーン216内に導入する分子酸素の量の、二次反応ゾーン218内に導入する分子酸素の量に対するモル比は、少なくとも約2:1であり、より好ましくは約4:1から約200:1の範囲、最も好ましくは10:1から100:1の範囲である。溶媒および/または易酸化性化合物(例えばパラキシレン)の幾らかかを二次反応ゾーン218に直接供給することが可能であるが、気泡塔反応器200に供給する溶媒および/または易酸化性化合物の全量の約10,5または1質量パーセント未満を、二次反応ゾーン218に直接供給することが好ましい。
外部反応容器206の一次反応ゾーン216内の媒体220aの体積、滞留時間、および空時速度は、好ましくは内部反応容器210の二次反応ゾーン218内の反応媒体220bの体積、滞留時間、および空時速度よりも実質的に大きい。従って、気泡塔反応器200に供給する易酸化性化合物(例えばパラキシレン)の主要部は、好ましくは、一次反応ゾーン216内で酸化される。好ましくは、気泡塔反応器200内で酸化される全易酸化性化合物の少なくとも約80,90または95質量パーセントが、一次反応ゾーン216内で酸化される。一次反応ゾーン216内の反応媒体220aの時間平均表面ガス速度は、毎秒少なくとも約0.2,0.4,0.8,または1メートルであることが好ましく、ここで表面ガス速度は、一次反応ゾーン216の任意高さで、一次反応ゾーン216の1/4高さで、一次反応ゾーン216の1/2高さで、一次反応ゾーン216の3/4高さで測定し、および/または、一次反応ゾーン216の全体高さの平均である。
二次反応ゾーン218内の反応媒体220bは、一次反応ゾーン216内の反応媒体220aと同一の表面ガス速度を有することができるが、二次反応ゾーン218内の反応媒体220bの時間平均表面ガス速度は、二次反応ゾーン218内の反応媒体220bの時間平均および体積平均の表面ガス速度よりも小さいことが好ましい。二次反応ゾーン218内のこの低減された表面ガス速度は、例えば、一次反応ゾーン216と比べたときの二次反応ゾーン218内の分子酸素に対する需要の低減によって可能になる。好ましくは、一次反応ゾーン216内の反応媒体220aの、二次反応ゾーン218内の反応媒体220bに対する時間平均表面ガス速度の比は、少なくとも約1.25:1,2:1または5:1であり、ここで表面ガス速度は、一次反応ゾーン216および二次反応ゾーン218の任意高さで、一次反応ゾーン216および二次反応ゾーン218の任意の対応する高さで、一次反応ゾーン216および/もしくは二次反応ゾーン218の1/4高さで、一次反応ゾーン216および/もしくは二次反応ゾーン218の1/2高さで、一次反応ゾーン216および/もしくは二次反応ゾーン218の3/4高さで測定し、ならびに/または、一次反応ゾーン216および/もしくは二次反応ゾーン218の全体高さの平均値である。好ましくは、二次反応ゾーン218内の反応媒体220bの時間平均および体積平均の表面ガス速度は、毎秒約0.2,0.1,または0.06メートル未満であり、ここで表面ガス速度は、二次反応ゾーン218の任意高さで、二次反応ゾーン218の1/4高さで、二次反応ゾーン218の1/2高さで、二次反応ゾーン218の3/4高さで測定し、および/または、二次反応ゾーン218の全体高さの平均である。これらのより低い表面ガス速度で、二次反応ゾーン218内の反応媒体220bのスラリー相の下向きの流れが、栓流に向かって指向的に動くようにすることができる。例えば、パラキシレンを酸化してTPAを形成する間、パラトルイル酸の液相濃度の相対的な垂直方向の勾配は、二次反応ゾーン218内で一次反応ゾーン216よりも大幅に大きいことができる。これは、二次反応ゾーン218が液体のおよびスラリー組成物の軸混合を有する気泡塔であるかに関わらない。二次反応ゾーン218内の反応媒体220bのスラリー相(固体+液体)および液体相の時間平均の表面速度は、好ましくは毎秒約0.2,0.1または0.06メートル未満であり、ここで表面速度は、二次反応ゾーン218の任意高さで、二次反応ゾーン218の1/4高さで、二次反応ゾーン218の1/2高さで、二次反応ゾーン218の3/4高さで測定し、および/または、二次反応ゾーン218の全体高さの平均である。
本発明の一態様において、気泡塔200は、内部反応器204内に固体を沈降させる様式で運転する。固体を沈降させることが所望される場合、二次反応ゾーン218内の反応媒体220bの時間平均および体積平均の表面ガス速度は、毎秒約0.05,0.03,または0.01メートル未満であることが好ましい。さらに、固体を沈降させることが所望される場合、二次反応ゾーン218内の反応媒体220bのスラリー相および液相の時間平均および体積平均の表面速度は、毎秒約0.01,0.005,または0.001メートル未満であることが好ましい。
内部反応器204から出るスラリー相の幾らかかを、さらなる下流加工なしで一次反応ゾーン216に直接再循環させて戻すことが可能であるが、二次反応ゾーン218の下側高さから一次反応ゾーン216への反応媒体220bの直接再循環を最小化することが好ましい。好ましくは、二次反応ゾーン218の体積の下側25パーセントから出て、さらなる下流加工なしで直接再循環して一次反応ゾーン216に戻る反応媒体220b(固相、液相および気相)の質量は、二次反応ゾーン218から出て、その後下流加工を受ける反応媒体220bの質量(固相、液相および気相)の10,1または0.1倍未満である。好ましくは、二次反応ゾーン218の体積の下側50パーセントから出て、さらなる下流加工なしで直接再循環して一次反応ゾーン216に戻る反応媒体220bの質量は、二次反応ゾーン218から出て、その後下流加工を受ける反応媒体220bの質量の20,2または0.2倍未満である。好ましくは、二次反応ゾーン218から二次反応ゾーン218の体積の下側90,60,50または5パーセントの開口経由で出る反応媒体220bの液相の約50,75または90質量パーセント未満を、二次反応ゾーン218を出た後60,20,5または1分以内に一次反応ゾーン216内に導入する。好ましくは、二次反応ゾーン218内に位置する反応媒体220bの液相は、二次反応ゾーン218内の質量平均の滞留時間、少なくとも約1分、より好ましくは約2から約60分の範囲、および最も好ましくは5から30分の範囲を有する。好ましくは、二次反応ゾーン218内に導入する反応媒体220a/bの液相の約50,75または90質量パーセント未満が、二次反応ゾーン218の体積の下側90,60または30パーセントで二次反応ゾーン218に入る。好ましくは、液相供給物流として一次反応ゾーン216内に導入される反応媒体220a/bの全液相の約50,75または90質量パーセント未満が、二次反応ゾーン218からスラリー出口222経由で取出した後60,20,5または1分以内に一次反応ゾーン216内に入る。好ましくは、二次反応ゾーン218から取出される反応媒体220bの液相の少なくとも約75,90,95または99質量パーセントが、二次反応ゾーン218の体積の下側90,60,30または5パーセントの開口経由で二次反応ゾーン218から出る。
反応器内反応器の気泡塔反応器200の設計は、本発明の範囲から逸脱することなく多くの手法で変えることができる。例えば、内部反応容器210が、外部反応容器206の下端部の下に延びる場合、内部反応容器210は、外部反応容器206よりも高い高さを有することができる。外部反応容器206および内部反応容器210は、説明するように円筒形であることができ、または他の形状を有することができる。外部反応容器206および内部反応容器210は、軸対称、軸方向に垂直、または同心である必要はない。内部反応器204から出る気相は、一次反応ゾーン216内の反応媒体220aと混ざることなく気泡塔反応器200の外側に送ることができる。しかし、燃焼安全性のために、捕捉ガスポケットの体積を、約10,2または1立方メートル未満に制限することが望ましい。加えて、内部反応器204から出るスラリー相は、内部反応容器210の底部における単一スラリー開口経由で出る必要はない。スラリー相は、外部反応器202の耐圧側壁における側部出口を経て気泡塔反応器200から出ることができる。
ここで図14を参照し、反応器内反応器および段付直径構成を有する気泡塔反応器300を示す。気泡塔反応器300は、外部反応器302および内部反応器304を含む。外部反応器302は、幅広の下側区画306aおよび幅狭の上側区画306bを有する外部反応容器306を含む。好ましくは、幅狭の上側区画306bの直径は、幅広の下側区画306aの直径よりも小さい。外部反応容器の段付直径構成を除き、図14の気泡塔反応器300は、好ましくは上記の図12および13の気泡塔反応器200と実質的に同じ様式で構成および運転する。
ここで図15を参照し、一次酸化反応器402と二次酸化反応器404とを含む反応器システム400を示す。一次酸化反応器402は、好ましくは、図12および13の外部反応器202と実質的に同じ様式で構成および運転する。二次酸化反応器404は、好ましくは図12および13の内部反応器204と実質的に同じ様式で構成および運転する。しかし、図15の反応器システム400と図12および13の気泡塔反応器200との間の主な相違点は、反応器システム400の二次酸化反応器404が一次酸化反応器402の外側に位置することである。図15の反応システム400において、入口管路405を採用して反応媒体420の一部を一次酸化反応器402から二次酸化反応器404に移送する。さらに、出口管路407を用いて塔頂ガスを二次酸化反応器404の頂部から一次酸化反応器402に移送する。
反応システム400の通常運転の間、反応媒体420はまず一次酸化反応器402の一次反応ゾーン416内で酸化される。次いで、反応媒体420aを一次反応ゾーン416から取出し、管路405経由で二次反応ゾーン418に移送する。二次反応ゾーン418において、反応媒体420bの液相および/または固相はさらなる酸化を受ける。一次反応ゾーン416から取出される液相および/または固相の少なくとも約50,75,95または99質量パーセントを二次反応ゾーン416内で加工することが好ましい。塔頂ガスは、二次酸化反応器404の上側ガス出口から出て管路407経由で一次酸化反応器402に移送して戻される。反応媒体420bのスラリー相は、二次酸化反応器404の下側スラリー出口422から出て、その後さらなる下流加工を受ける。
入口管路405は、任意の高さで一次酸化反応器402に取付けることができる。図15には示していないが、所望の場合、反応媒体420は二次反応ゾーン418に機械的にポンプ引きできる。しかし、位置水頭(elevation head)(重力)を用いて反応媒体420を一次反応ゾーン416から入口管路405を経て二次反応ゾーン418内に移送することがより好ましい。従って、入口管路405が、一次反応ゾーン416の全体の高さおよび/または体積の上側50,30,20または10パーセントに一端で接続していることが好ましい。好ましくは、入口管路405の他端を、二次反応ゾーン418の全体の高さおよび/または体積の上側30,20,10または5パーセントに取付ける。好ましくは、入口管路405は、水平および/または一次酸化反応器402から二次酸化反応器404に向かって下向きに傾斜している。出口管路407は、二次酸化反応器404において任意高さに取付けることができるが、出口管路407は、入口管路405の取付け高さより上で二次酸化反応器404に接続していることが好ましい。より好ましくは、出口管路407を二次酸化反応器404の頂部に取付ける。出口管路407は、好ましくは、入口管路405の取付け高さよりも上で一次酸化反応器402に取付ける。より好ましくは、出口管路407は、一次反応ゾーン416の全体の高さおよび/または体積の上側30,20,10または5パーセントに取付ける。好ましくは、出口管路407は、水平および/または反応の二次酸化反応器404から一次酸化反応器402に向かって上向きに傾斜している。図15には示していないが、出口管路407はまた、ガス状の流出物を一次酸化反応器402の頂部から取出すガス出口管路に直接取付けることができる。二次反応ゾーン416の上限は、一次反応ゾーン418の上限よりも上または下であることができる。より好ましくは、一次反応ゾーン416の上限は、二次反応ゾーン418の上限よりも、上10メートルから下50メートル、下2メートルから下40メートル、または下5メートルから下30メートルの範囲内であることができる。下側スラリー出口422は、二次酸化反応器404の任意の高さから出ることができるが、下側スラリー出口422は、入口管路405の取付け高さよりも下で二次酸化反応器404に接続することが好ましい。下側スラリー出口422の取付け点は、より好ましくは高さが入口管路405の取付け点から広く間隔をあけられており、2つの取付けは二次反応ゾーン418の高さの少なくとも約50,70,90または95パーセント間隔をあけられている。最も好ましくは、下側スラリー出口422は、図15に示すように二次酸化反応器404の底部に取付ける。二次反応ゾーン418の下限は、一次反応ゾーン416の下限よりも上または下の高さであることができる。より好ましくは、一次反応ゾーン416の下限は、二次反応ゾーン418の下限よりも上または下約40,20,5または2メートル以内の高さである。
一次酸化反応器402および付属物について本明細書で特定するパラメータ(例えば、高さ、幅、面積、体積、相対的な水平位置、および相対的な垂直位置)もまた、一次酸化反応器402によって規定される一次反応ゾーン416に当てはまるものと解釈され、逆もまた同様である。二次酸化反応器404および付属物について本明細書で特定する任意のパラメータもまた、二次酸化反応器404によって規定される二次反応ゾーン418に当てはまるものと解釈され、逆もまた同様である。
上記したように、二次反応器404は、一次酸化反応器402の外側に位置することが好ましい。好ましくは、二次酸化反応器404は、一次酸化反応器402と横並び(alongside)(すなわち、一次酸化反応器402および二次酸化反応器404の少なくとも一部が共通高さを共有する)に位置する。一次酸化反応器402の一次反応ゾーン416は、最大径「Dp」を有する。二次反応ゾーン418の体積重心は、好ましくは一次反応ゾーン416の体積重心から、少なくとも約0.5Dp,0.75Dp,または1.0Dp、および約30Dp,10Dp,または3Dp未満、水平方向に間隔をあけられている。
ここで図16を参照し、一次酸化反応器502と二次酸化反応器504とを含む反応器システム500を示す。一次酸化反応器は、一次酸化ゾーン516を内部に規定し、一方二次酸化反応器504は、二次酸化ゾーン518を内部に規定する。各反応ゾーン516および518は、反応媒体520の一部を受入れる。
反応器システム500(図16)の構成および運転は、好ましくは反応器システム400(図15)の構成と実質的に同じである。しかし、反応器システム500において、一次酸化反応器502の直立側壁は、反応媒体520の一次反応ゾーン516から二次反応ゾーン518への移送を可能にする一方で、同時に、解放された気相の二次反応ゾーン518から一次反応ゾーン516への移送を可能にする少なくとも1つの拡大開口505を規定する。好ましくは、拡大開口505の開口面積を、二次反応ゾーン218の直立部分の最大水平断面積で除したものは、約0.01から2、0.02から0.5、または0.04から0.2の範囲である。一次酸化反応器502の一次反応ゾーン516は、最大高さ「Hp」を有する。拡大開口505の面積中心は、一次反応ゾーン516の頂部および/または底部から垂直方向に少なくとも約0.1Hp,0.2Hp,または0.3Hp間隔をあけられていることが好ましい。
ここで図17〜25を参照し、種々の構成を有する内部構造を備えた多数の気泡塔反応器を示す。反応媒体で包囲された1つ以上の内部構造を採用することが、驚くべきことに、反応媒体の徹底した混合を改善することを見出した。内部構造は、休止ゾーンを包囲する反応媒体の乱流と比べて乱流が低減された休止ゾーンを規定する。
図17〜25に示すように、内部構造は種々の形態をとることができる。特に、図17は、略円筒形の内部構造602を採用して休止ゾーンを規定する気泡塔反応器600を示す。内部構造602は、気泡塔反応器600の主反応ゾーン内に実質的に集中し、かつ主反応ゾーンの頂端および底端から垂直方向に間隔をあけられている。図18は、図17の内部構造602と同様の略円筒形の内部構造612を採用する気泡塔反応器610を示す。しかし、図18の内部構造612は気泡塔反応器610の主反応ゾーン内に集中していない。むしろ、内部構造612によって規定される休止ゾーンの体積重心は、主反応ゾーンの体積重心から水平方向にずれている。さらに、内部構造612の底部は、気泡塔反応器610の下側接線の近傍に位置している。図19は、図17および18の内部構造602および612よりも高い略円筒形の内部構造622を採用する気泡塔反応器620を示す。さらに、内部構造622によって規定される休止ゾーンの体積重心は、気泡塔反応器620の主反応ゾーンの体積重心からずれている。図20は、略円筒形の上側部分632および略円筒形の下側部分634を含む内部構造を採用する気泡塔反応器630を示す。内部構造の下側部分634は、上側部分632よりも狭い直径を有する。図21は、略円筒形の下側部分642および略円筒形の上側部分644を含む内部構造を採用する気泡塔反応器640を示す。内部構造の上側部分644は、下側部分642よりも狭い直径を有する。図22は、第1,第2および第3の別個の内部構造652,654および656を採用する気泡塔反応器650を示す。内部構造652,654および656は互いに垂直方向に間隔をあけられている。第1の内部構造652および第3の内部構造656によって規定される休止ゾーンの体積重心は、気泡塔反応器650の主反応ゾーンの体積重心と水平方向で一致している。しかし、第2の内部構造654によって規定される休止ゾーンの体積重心は、気泡塔反応器650の主反応ゾーンの体積重心から水平方向にずれて(offset)いる。図23は、1対の隣り合った第1の内部構造662および第2の内部構造664を採用する気泡塔反応器660を示す。第1の内部構造662および第2の内部構造664によって規定される休止ゾーンの体積重心は、互いに水平方向に間隔をあけられ、かつ気泡塔反応器660の主反応ゾーンの体積重心から水平方向に間隔をあけられている。さらに、第1の内部構造662および第2の内部構造664は、第1内部構造662および第2内部構造664の少なくとも一部が共通の高さを共有するように隣り合った構成を有する。図24は、略角柱の内部構造672を採用する気泡塔反応器760を示す。特に、内部構造672は、略三角形の水平方向断面を有する。図25は、図17の内部構造602と同様の略円筒形の内部構造682を採用する気泡塔反応器680を示す。しかし、気泡塔反応器680の外部反応容器は、幅狭の下側区画682および幅広の上側区画684によって形成された段付直径を有する。
図17〜25に示すように、本発明の一態様に従って採用される内部構造は、種々の形状を有することができ、そして気泡塔反応器の主反応ゾーン内の種々の位置に配置できる。さらに、本明細書で規定する内部構造および休止ゾーンは、種々の異なる材料で形成できる。本発明の一態様においては、内部構造が完全に閉じていることによって周りの反応媒体がいずれも内部構造に入らない。このような閉じた内部構造は中空または中実であることができる。本発明の他の態様において、内部構造は、内部構造によって規定される休止ゾーンに反応媒体が入るようにする1つ以上の開口を含む。しかし、休止ゾーンの1つの目的は、周りの反応媒体の乱流と比べて乱流が低減されたゾーンを形成することであるため、内部構造は、反応媒体の著しい量を急速に内部構造を通して流さないことが好ましい。
ここで、1つ以上の内部構造を備えた気泡塔反応器の具体的な構成および運転のパラメータをより詳細に説明する。好ましくは、内部構造は、気泡塔反応器の外部反応容器の完全に内側に配置する;しかし、内部構造の少なくとも一部が気泡塔反応器の外部反応容器の外側に突き出ることが可能である。上記したように、気泡塔反応器の操作の間、内部構造は、気泡塔反応器内に少なくとも1つの休止ゾーンを規定する。気泡塔反応器の主反応ゾーンおよび休止ゾーンの体積は区別されている(すなわち互いに重複しない)。気泡塔反応器の主反応ゾーンは、気泡塔反応器の外部反応容器の内側であるが内部構造の外側に規定されている。
上記したように、内部構造によって規定される休止ゾーンは、主反応ゾーン内の隣接する反応媒体の乱流と比べて低減された乱流を有する体積である。休止ゾーンの体積の少なくとも約90,95,98または99.9パーセントが、反応媒体以外の材料で充填され、および/または内部構造に隣接して位置する反応媒体と比べて実質的に低減された乱流を有する反応媒体の一部で充填されていることが好ましい。休止ゾーンが反応媒体の任意の部分を含む場合、休止ゾーン内に収容される反応媒体の該部分の、休止ゾーン内の質量平均残留時間は、少なくとも約2,8,30または120分であることが好ましい。休止ゾーンが反応媒体の任意の部分を含む場合、休止ゾーン内の反応媒体の時間平均ガスホールドアップは、約0.2,0.1,0.5または0.01未満であることが好ましく、ここで、ガスホールドアップは、休止ゾーンの任意高さで、休止ゾーンの1/4高さで、休止ゾーンの1/2高さで、休止ゾーンの3/4高さで測定し、および/または、休止ゾーンの全体高さの平均である。反応ゾーン内の反応媒体の時間平均ガスホールドアップは、好ましくは約0.2から約0.9、より好ましくは約0.5から約0.8、および最も好ましくは0.55から0.7の範囲であり、ここでガスホールドアップは、反応ゾーンの任意高さで、反応ゾーンの1/4高さで、反応ゾーンの1/2高さで、反応ゾーンの3/4高さで測定し、および/または、反応ゾーンの全体高さの平均である。休止ゾーンが反応媒体の任意の部分を含む場合、休止ゾーン内の反応媒体の時間平均表面ガス速度は、毎秒約0.4,0.2,0.1または0.05メートル未満であることが好ましく、ここで表面ガス速度は、休止ゾーンの任意高さで、休止ゾーンの1/4高さで、休止ゾーンの1/2高さで、休止ゾーンの3/4高さで測定し、および/または、休止ゾーンの全体高さの平均である。反応ゾーン内の反応媒体の時間平均表面ガス速度は、毎秒少なくとも約0.2,0.4,0.8または1メートルであることが好ましく、ここで、表面ガス速度は、反応ゾーンの任意高さで、反応ゾーンの1/4高さで、反応ゾーンの1/2高さで、反応ゾーンの3/4高さで測定し、および/または、反応ゾーンの全体高さの平均である。休止ゾーンが反応媒体の任意の部分を含む場合、休止ゾーン内の反応媒体の液相の時間平均表面速度は、毎秒約0.04,0.01または0.004メートル未満であることが好ましく、ここで、液相の表面速度は、休止ゾーンの任意高さで、休止ゾーンの1/4高さで、休止ゾーンの1/2高さで、休止ゾーンの3/4高さで測定し、および/または、休止ゾーンの全体高さの平均である。反応ゾーン内の反応媒体の液相の時間平均表面速度は、毎秒約0.1,0.04または0.01メートル未満であることが好ましく、ここで液相の表面速度は、反応ゾーンの任意高さで、反応ゾーンの1/4高さで、反応ゾーンの1/2高さで、反応ゾーンの3/4高さで測定し、および/または、反応ゾーンの全体高さの平均である。内部構造について本明細書で特定する任意のパラメータ(例えば、高さ、幅、面積、体積、相対水平位置、および相対垂直位置)もまた、内部構造によって規定される休止ゾーンに当てはまると解釈され、逆もまた同様である。
内部構造によって規定される休止ゾーンのサイズは、休止ゾーンがその中に、反応ゾーンから、反応ゾーンの最大水平直径の少なくとも約0.05倍または約0.2メートルのいずれか大きい方間隔をあけられた、少なくとも1つの場所を含むようにすることが好ましい。好ましくは、休止ゾーンはその中に、反応ゾーンから、少なくとも約0.4,0.7または1.0メートル間隔をあけられた少なくとも1つの場所を含む。好ましくは、休止ゾーンはその中に、反応ゾーンから、反応ゾーンの最大水平直径の少なくとも約0.1,0.2または0.3倍間隔をあけられた少なくとも1つの場所を含む。休止ゾーンは、好ましくは、反応ゾーンの最大水平直径の少なくとも約0.5,1,2または4倍である垂直距離互いに間隔をあけられた少なくとも2つの場所をその中に含む。好ましくは、休止ゾーン内のこれらの2つの垂直方向に間隔をあけられた場所はまた、各々、反応ゾーンから、反応ゾーンの最大水平直径の少なくとも約0.05,0.1,0.2または0.3倍間隔をあけられている。好ましくは、休止ゾーン内のこれらの2つの垂直方向に間隔をあけられた場所は、少なくとも約1,3,10または20メートル互いに垂直方向に間隔をあけられ、かつまた各々反応ゾーンから少なくとも約0.1,0.4,0.7または1メートル間隔をあけられている。好ましくは、休止ゾーンの体積は、主反応ゾーンの体積の約1から約50パーセントの範囲であり、より好ましくは主反応ゾーンの体積の約2から約25パーセントの範囲、および最も好ましくは主反応ゾーンの体積の4から15パーセントの範囲である。
気泡塔反応器の外部反応容器は、好ましくは、略円筒形の直立外部側壁を含む。好ましくは、内部構造は、外部側壁から内向きに離れた略円筒形の直立内部側壁を含む。好ましくは、内部構造は、熱交換器の一部ではない。よって、内部構造の直立内部側壁を経る時間平均の熱流束は、平方メートル当り約100,15,3または0.3キロワット未満であることが好ましい。反応媒体で充填された環帯は、好ましくは、内部側壁と外部側壁との間に規定される。内部構造は、好ましくは内部構造の下側部分と外部反応容器の下側部分との間の直立支持体によって、外部容器から垂直方向に支持される。加えて、内部構造は、好ましくは外部反応容器によって、外部側壁から内部側壁に内向きに延びる複数の非汚染横方向支持部材を介して支持される。好ましくは、休止ゾーンの1/4高さ、1/2高さ、および/または3/4高さでの休止ゾーンの水平断面積は、各高さでの環帯の水平断面積の少なくとも約2,5から75、または10から30パーセントである。好ましくは、内部直立側壁の最大高さは、外部直立側壁の最大高さの約10から約90パーセントの範囲であり、より好ましくは外部直立側壁の最大高さの約20から約80パーセントの範囲、および最も好ましくは外部直立側壁の最大高さの30から70パーセントの範囲である。内部側壁は略円筒形構成であることが好ましいが、内部側壁の一部が休止ゾーンの隣接部分に対して凹んでいる場合があることが可能である。内部側壁が凹部分を含む場合、この凹部分は、内部側壁によって与えられる外向きに向いた表面積全体の約25,10,5または0.1パーセント未満を形成することが好ましい。好ましくは、反応媒体と直接接触する内部構造の全表面積の、反応ゾーンの全体積に対する比は、立方メートル当り約1,0.5,0.3または0.15平方メートル未満である。休止ゾーンの体積重心の、主反応ゾーンの体積重心からの水平方向のずれは、主反応ゾーンの最大水平直径の約0.4,0.2,0.1または0.01倍未満であることが好ましい。
気泡塔反応器が、1つより多い休止ゾーンを規定する1つより多い内部構造を含む場合、休止ゾーンは、纏めて考えられる全休止ゾーンの体積重心の反応ゾーンの体積重心からの水平方向のずれが、主反応ゾーンの最大水平直径の約0.4,0.2,0.1または0.01倍未満であるように垂直方向に並んでいることが好ましい。さらに、複数の休止ゾーンを主反応ゾーン内に形成する場合、主反応ゾーンの体積の0.2パーセントを超える体積を有する個別の休止ゾーンの数は、約100,10,5または2未満であることが好ましい。
気泡塔反応器の外部反応容器は、好ましくは、最大垂直高さの最大水平直径に対する比が、約3:1から約30:1の範囲であり、より好ましくは約6:1から約20:1の範囲、および最も好ましくは、9:1から15:1の範囲である。内部構造は、好ましくは、最大垂直高さの最大水平直径に対する比が、約0.3:1から約100:1の範囲であり、より好ましくは約1:1から約50:1の範囲、および最も好ましくは3:1から30:1の範囲である。内部構造の最大水平直径は、約0.1から約5メートルの範囲であることが好ましく、より好ましくは約0.3から約4メートルの範囲、および最も好ましくは1から3メートルの範囲である。好ましくは、内部構造の最大垂直高さは、約1から約100メートルの範囲であり、より好ましくは約3から約50メートルの範囲、および最も好ましくは10から50メートルの範囲である。好ましくは、内部構造の最大水平直径は、外部反応容器の最大水平直径の約5から約80パーセントの範囲であり、より好ましくは約10から約60パーセント、および最も好ましくは20から50パーセントの範囲である。好ましくは、内部構造602の最大垂直高さは、外部反応容器の最大垂直高さの約3から約100パーセントの範囲であり、より好ましくは、外部反応容器の最大垂直高さの約10から約90パーセントの範囲、および最も好ましくは外部反応容器の最大垂直高さの30から80パーセントの範囲である。外部反応容器および付属物について本明細書で特定する任意のパラメータ(例えば、高さ、幅、面積、体積、相対水平配置、および相対垂直配置)もまた、外部反応容器によって規定される反応ゾーンに当てはまると解釈され、逆もまた同様である。
本発明の一態様において、内部構造は、反応ゾーンから休止ゾーンを完全に分離する。代替の態様において、内部構造は、休止ゾーンと反応ゾーンとの間の直接の流体伝達を可能にする1つ以上の直接開口を規定する。内部構造がこのような直接開口を規定する場合、直接開口のうち最小のものの最大直径は、主反応ゾーンの最大水平直径の約0.3,0.2,0.1または0.05倍未満であることが好ましい。内部構造がこのような直接開口を規定する場合、直接開口のうち最大のものの最大直径は、主反応ゾーンの最大水平直径の約0.4,0.3,0.2または0.1倍未満であることが好ましい。内部構造がこのような直接開口を規定する場合、直接開口の全てによって規定される累積開口面積は、主反応ゾーンの最大水平断面積の約0.4,0.3または0.2倍未満であることが好ましい。内部構造は、最大高さ(Hi)を有する。内部構造が1つ以上の直接開口を規定する場合、直接開口の全てによって規定される累積開口面積の約50,25または10パーセント未満が、内部構造の頂部から約0.5Hi,0.25Hi,または0.1Hi超、間隔をあけられていることが好ましい。気泡塔反応器が複数の内部構造を採用して複数の区別できる休止ゾーンを形成する場合、休止ゾーンの2つ以上が、休止ゾーン間の流体伝達を可能にする、相互接続する開口および/または管路を含むことが可能である。好ましくは、これらの相互接続された開口および/または管路の各々のうち最小のものの最大直径は、主反応ゾーンの最大水平直径の約0.3,0.2,0.1または0.05倍未満である。
上記したように、図1〜25を参照して上記で説明した気泡塔反応器の特定の物理的および作業上の特徴により、加工される反応媒体の圧力、温度、および反応物質(すなわち、酸素および易酸化性化合物)濃度において垂直方向の勾配が与えられる。上記で議論したように、これらの垂直方向の勾配は、従来の酸化プロセスと比べてより効率的かつ経済的な酸化プロセスを与えることができ、これは、全体を通じて比較的均一な圧力、温度および反応物質濃度である良好に混合された反応媒体に有利に働く。本発明の態様に従った酸化システムを採用することにより可能となった酸素、易酸化性化合物(例えばパラキシレン)および温度についての垂直勾配をここでさらにより詳細に議論する。
ここで図26を参照し、気泡塔反応器内での酸化の間に反応媒体において存在する反応物質濃度勾配を定量化するために、反応媒体の全体積を、等体積の30の離散水平方向スライスに理論的に分割することができる。図26は、反応媒体を等体積の30の離散水平方向スライスに分割する概念を示す。最も高いおよび最も低いスライスを除外し、各水平方向スライスは、その頂部および底部が仮想水平面により境界とされかつその側面が反応器の壁により境界とされた離散的な体積である。最も高い水平方向スライスは、その底部が仮想水平面により境界とされ、かつその頂部が反応媒体の上面により境界とされる。最も低い水平方向スライスは、その頂部が仮想水平面により境界とされ、かつその底部が容器シェルの底部により境界とされる。反応媒体を等体積の30の離散水平方向スライスに理論的に一旦分割すれば、各水平方向スライスの時間平均および体積平均の濃度を決定できる。30の水平方向スライス全てのうちで最大濃度を有する個別の水平方向スライスは、「C−max水平方向スライス」と特定できる。C−max水平方向スライスより上に位置し、C−max水平方向スライスよりも上に位置する水平方向スライス全てのうちで最小濃度を有する個別の水平方向スライスは、「C−min水平方向スライス」と特定できる。次に、垂直濃度勾配は、C−max水平方向スライスにおける濃度の、C−min水平方向スライスにおける濃度に対する比として算出できる。
酸素濃度勾配の定量化に関し、反応媒体が等体積の30の離散水平方向スライスに理論的に分割される場合、O2−max水平方向スライスは30の水平方向スライス全てのうちで最大酸素濃度を有するものとして特定され、そしてO2−min水平方向スライスはO2−max水平方向スライスより上に位置する水平方向スライスのうちで最小酸素濃度を有するものとして特定される。水平方向スライスの酸素濃度は、反応媒体の気相において、時間平均および体積平均のモーラー湿潤ベースで測定される。O2−max水平方向スライスの酸素濃度の、O2−min水平方向スライスの酸素濃度に対する比は、約2:1から約25:1の範囲であることが好ましく、より好ましくは約3:1から約15:1の範囲、および最も好ましくは4:1から10:1の範囲である。
典型的には、O2−max水平方向スライスは、反応媒体の底部近傍に位置することになり、一方、O2−min水平方向スライスは、反応媒体の頂部近傍に位置することになる。好ましくは、O2−min水平方向スライスは、30の離散水平方向スライスのうち最上の5つの水平スライスの1つである。最も好ましくは、O2−min水平方向スライスは、図26に示すように、30の離散水平方向スライスのうち最上の1つである。好ましくは、O2−max水平方向スライスは、30の離散水平方向スライスのうち最下の10の水平スライスの1つである。最も好ましくは、O2−max水平方向スライスは、図28に示すように、30の離散水平方向スライスのうち最下の5つの水平スライスの1つである。例えば、図26は、O2−max水平方向スライスを反応器の底部から3番目の水平方向スライスとして示している。O2−min水平方向スライスとO2−max水平方向スライスとの間の垂直方向の間隔は、少なくとも約2Wであることが好ましく、より好ましくは少なくとも約4W、および最も好ましくは少なくとも6Wである。O2−min水平方向スライスとO2−max水平方向スライスとの間の垂直方向の間隔は、少なくとも約0.2Hであることが好ましく、より好ましくは少なくとも約0.4H、および最も好ましくは少なくとも0.6Hである。
O2−min水平方向スライスの時間平均および体積平均の酸素濃度は、湿潤ベースで、好ましくは約0.1から約3モルパーセントの範囲、より好ましくは約0.3から約2モルパーセントの範囲、および最も好ましくは0.5から1.5モルパーセントの範囲である。O2−max水平方向スライスの時間平均および体積平均の酸素濃度は、好ましくは約4から約20モルパーセントの範囲、より好ましくは約5から約15モルパーセントの範囲、および最も好ましくは6から12モルパーセントの範囲である。酸素の時間平均の濃度は、乾燥ベースで、ガス出口経由で反応器から放出される気体状流出物中、好ましくは約0.5から約9モルパーセントの範囲、より好ましくは約1から約7モルパーセントの範囲、および最も好ましくは1.5から5モルパーセントの範囲である。
酸素濃度は反応媒体の頂部に向かって極めて顕著に減衰するため、酸素の需要を反応媒体の頂部において低減することが望ましい。反応媒体の頂部近傍のこの低減された酸素の需要は、易酸化性化合物(例えばパラキシレン)濃度における垂直勾配(易酸化性化合物の最小濃度が反応媒体の頂部近傍に位置する)の生成により達成できる。
易酸化性化合物(例えばパラキシレン)濃度勾配の定量化に関し、反応媒体が等体積の30の離散水平方向スライスに理論的に分割される場合には、OC−max水平方向スライスは、30の水平方向スライス全てのうちで最大の易酸化性化合物濃度を有するものとして特定され、OC−min水平方向スライスは、OC−max水平方向スライスより上に位置する水平方向スライスのうちで最小の易酸化性化合物濃度を有するものとして特定される。水平方向スライスの易酸化性化合物濃度は、液相において時間平均および体積平均の質量分率ベースで測定される。OC−max水平方向スライスの易酸化性化合物濃度の、OC−min水平方向スライスの易酸化性化合物濃度に対する比は、約5:1超であることが好ましく、より好ましくは約10:1超、さらにより好ましくは約20:1超、および最も好ましくは40:1から1000:1の範囲である。
典型的には、OC−max水平方向スライスは反応媒体の底部近傍に位置することになり、一方OC−min水平方向スライスは反応媒体の頂部近傍に位置することになる。好ましくは、OC−min水平方向スライスは、30の離散水平方向スライスのうち最上の5つの水平スライスの1つである。最も好ましくは、OC−min水平方向スライスは、図26に示すように、30の離散水平方向スライスのうち最上の1つである。好ましくは、OC−max水平方向スライスは、30の離散水平方向スライスのうち最下の10の水平スライスの1つである。最も好ましくは、OC−max水平方向スライスは、30の離散水平方向スライスのうち最下の5つの水平スライスの1つである。例えば、図26は、OC−max水平方向スライスを反応器の底部から5番目の水平方向スライスとして示している。OC−min水平方向スライスとOC−max水平方向スライスとの間の垂直方向の間隔は、少なくとも約2Wであることが好ましい(「W」は反応媒体の最大幅である)。より好ましくは、OC−min水平方向スライスとOC−max水平方向スライスとの間の垂直方向の間隔は、少なくとも約4Wであり、そして最も好ましくは少なくとも6Wである。反応媒体の高さ「H」について考えると、OC−min水平方向スライスとOC−max水平方向スライスとの間の垂直方向の間隔は、少なくとも約0.2Hであることが好ましく、より好ましくは少なくとも約0.4H、および最も好ましくは少なくとも0.6Hである。
OC−min水平方向スライスの液相中の時間平均および体積平均の易酸化性化合物(例えばパラキシレン)濃度は、好ましくは約5,000ppmw未満、より好ましくは約2,000ppmw未満、さらにより好ましくは約400ppmw未満、および最も好ましくは1ppmwから100ppmwの範囲である。OC−max水平方向スライスの液相中の時間平均および体積平均の易酸化性化合物濃度は、好ましくは約100ppmwから約10,000ppmwの範囲、より好ましくは約200ppmwから約5,000ppmwの範囲、および最も好ましくは500ppmwから3,000ppmwの範囲である。
気泡塔反応器は、易酸化性化合物の濃度における垂直勾配を与えることが好ましいが、液相中の易酸化性化合物濃度が1,000ppmw超である反応媒体の体積パーセントを最小化することもまた好ましい。好ましくは、液相中の易酸化性化合物濃度が1,000ppmw超である反応媒体の時間平均の体積パーセントが約9パーセント未満、より好ましくは約6パーセント未満、および最も好ましくは3パーセント未満である。好ましくは、液相中の易酸化性化合物濃度が2,500ppmw超である反応媒体の時間平均の体積パーセントが約1.5パーセント未満、より好ましくは約1パーセント未満、および最も好ましくは0.5パーセント未満である。好ましくは、液相中の易酸化性化合物濃度が10,000ppmw超である反応媒体の時間平均の体積パーセントが約0.3パーセント未満、より好ましくは約0.1パーセント未満、および最も好ましくは0.03パーセント未満である。好ましくは、液相中の易酸化性化合物濃度が25,000ppmw超である反応媒体の時間平均の体積パーセントが約0.03パーセント未満、より好ましくは約0.015パーセント未満、および最も好ましくは0.007パーセント未満である。発明者らは、高レベルの易酸化性化合物を有する反応媒体の体積が単一の切れ目のない体積の状態である必要はないことに注目する。多数回、気泡塔反応容器内の無秩序な流れのパターンが、高レベルの易酸化性化合物を有する、反応媒体の連続はしているが分離された2以上の部分を同時に生成する。時間平均において使用される各回で、このような連続はしているが分離された、全反応媒体の0.0001体積パーセントより大きい体積全てがともに添加されて、液相中に高レベルの易酸化性化合物濃度を有する全体積が決定される。
上述の酸素および易酸化性化合物の濃度勾配に加えて、温度勾配が反応媒体中に存在することが好ましい。重ねて図26を参照するに、この温度勾配は、反応媒体を等体積の30の離散水平方向スライスに理論的に分割して各スライスの時間平均および体積平均の温度を測定することにより、濃度勾配と同様の様式で定量化できる。次に、最下の15の水平方向スライスのうち最低温度を有する水平方向スライスを、T−min水平方向スライスとして特定でき、そして次に、T−min水平方向スライスより上に位置し、T−min水平方向スライスより上のスライス全てのうちで最高温度を有する水平方向スライスを、「T−max水平方向スライス」として特定できる。T−max水平方向スライスの温度は、T−min水平方向スライスの温度よりも少なくとも約1℃高いことが好ましい。より好ましくは、T−max水平方向スライスの温度は、T−min水平方向スライスの温度よりも約1.25から約12℃の範囲で高い。最も好ましくは、T−max水平方向スライスの温度は、T−min水平方向スライスの温度よりも2から8℃の範囲で高い。T−max水平方向スライスの温度は、好ましくは約125から約200℃の範囲、より好ましくは約140から約180℃の範囲、および最も好ましくは150から170℃の範囲である。
典型的には、T−max水平方向スライスは、反応媒体の中心近傍に位置することになり、一方T−min水平方向スライスは、反応媒体の底部近傍に位置することになる。好ましくは、T−min水平方向スライスは、15の最も下の水平方向スライスのうち最下の10の水平方向スライスの1つである。最も好ましくは、T−min水平方向スライスは、15の最も下の水平方向スライスのうち最下の5の水平方向スライスの1つである。例えば、図26は、T−min水平方向スライスを、反応器の底部から2番目の水平方向スライスとして示す。好ましくは、T−max水平方向スライスは、30の離散水平方向スライスのうち中央の20の水平方向スライスの1つである。最も好ましくは、T−min水平方向スライスは、30の離散水平方向スライスのうち中央の14の水平方向スライスの1つである。例えば、図26は、T−max水平方向スライスを、反応器の底部から20番目の水平方向スライス(すなわち中央の10の水平方向スライスの1つ)として示す。T−min水平方向スライスとT−max水平方向スライスとの間の垂直方向の間隔は、少なくとも約2Wであることが好ましく、より好ましくは少なくとも約4W、および最も好ましくは少なくとも6Wである。T−min水平方向スライスとT−max水平方向スライスとの間の垂直方向の間隔は、少なくとも約0.2Hであることが好ましく、より好ましくは少なくとも約0.4H、および最も好ましくは少なくとも0.6Hである。
上述のように、垂直方向の温度勾配が反応媒体中に存在する場合、特に取出される生成物がより高温でさらなる下流の工程に供される場合、反応媒体の温度が最高である高い位置で反応媒体を取出すことが有利である可能性がある。よって、反応媒体36が、図15および16に示すように1つ以上の高い位置の出口を経由して反応ゾーンから取出される場合、高い位置の1つまたは複数の出口は、T−max水平方向スライス近傍に位置することが好ましい。好ましくは、高い位置の出口は、T−max水平方向スライスから10水平方向スライス以内に位置し、より好ましくはT−max水平方向スライスから5水平方向スライス以内、および最も好ましくはT−max水平方向スライスから2水平方向スライス以内である。
本明細書に記載される本発明の特徴の多くが、単一の酸化反応器を採用する系のみならず複数酸化反応器系において採用可能であることをここで注記しておく。加えて、本明細書に記載される特定の本発明の特徴は、気泡撹拌される反応器(すなわち気泡塔反応器)のみならず、機械的撹拌および/または流動撹拌される酸化反応器において採用可能である。例えば、発明者らは、反応媒体全体での酸素濃度および/または酸素消費割合の段階分け/変動に関連する特定の利点を見出した。反応媒体中の酸素濃度/消費量の段階分けにより実現される利点は、反応媒体の全体積が単一容器内に収容されているか複数容器内に収容されているかにかかわらず実現できる。さらに、反応媒体中の酸素濃度/消費量の段階分けにより実現される利点は、1つまたは複数の反応容器が機械的撹拌されるか、流動撹拌されるか、および/または気泡撹拌されるかにかかわらず実現できる。
反応媒体中の酸素の濃度および/または消費割合の段階分けの程度を定量化する1つの方法は、反応媒体の2以上の区別される20パーセント連続体積を比較することである。これらの20パーセント連続体積は、いずれの特定形状によって規定されることも必要としない。しかし、各20パーセント連続体積は、反応媒体の切れ目のない(contiguous)体積(すなわち各体積が「連続(continuous)」である)で形成することが必要であり、20パーセント連続体積は互いに重複しない(すなわち体積が「区別される(distinct)」)ことが必要である。これらの区別される20パーセント連続体積は、同じ反応器内(図29)または複数の反応器内に位置できる。ここで図27を参照し、気泡塔反応器は、第1の区別される20パーセント連続体積37と第2の区別される20パーセント連続体積39とを含む反応媒体を収容するものとして示される。
反応媒体中の酸素の利用可能性の段階分けは、最も富むモル分率の酸素を気相中に有する反応媒体の20パーセント連続体積に注目することによって、および最も乏しいモル分率の酸素を気相中に有する反応媒体の20パーセント連続体積に注目することによって、定量化できる。最高濃度の酸素を気相中に含む反応媒体の区別される20パーセント連続体積の気相において、時間平均および体積平均の酸素濃度は、湿潤ベースで、好ましくは約3から約18モルパーセントの範囲、より好ましくは約3.5から約14モルパーセントの範囲、および最も好ましくは4から10モルパーセントの範囲である。最低濃度の酸素を気相中に含む反応媒体の区別される20パーセント連続体積の気相において、時間平均および体積平均の酸素濃度は、湿潤ベースで、好ましくは約0.3から約5モルパーセントの範囲、より好ましくは約0.6から約4モルパーセントの範囲、および最も好ましくは0.9から3モルパーセントの範囲である。さらに、時間平均および体積平均の酸素濃度の比は、湿潤ベースで、反応媒体の最も乏しい20パーセント連続体積と比較したときの反応媒体の最も富む20パーセント連続体積において、好ましくは約1.5:1から約20:1の範囲、より好ましくは約2:1から約12:1の範囲、および最も好ましくは3:1から9:1の範囲である。
反応媒体中の酸素消費割合の段階分けは、初めに上記したように酸素STRによって定量化できる。酸素STRは、大局的な見方で(すなわち、全反応媒体の平均の酸素STRの観点から)前に記載されたが、反応媒体全体での酸素消費割合の段階分けを定量化するために、酸素STRを局所的な見方(すなわち反応媒体の一部)で考えてもよい。
発明者らは、酸素STRを、反応媒体中の圧力と反応媒体の気相中の分子酸素のモル分率とに関して本明細書に記載される望ましい勾配と概略一致させて反応媒体全体で変動させることが極めて有用であることを見出した。よって、反応媒体の第1の区別される20パーセント連続体積の酸素STRを、反応媒体の第2の区別される20パーセント連続体積の酸素STRと比較したときの比は、約1.5:1から約20:1の範囲であることが好ましく、より好ましくは約2:1から約12:1の範囲、および最も好ましくは3:1から9:1の範囲である。一態様において、「第1の区別される20パーセント連続体積」は、「第2の区別される20パーセント連続体積」よりも、分子酸素が反応媒体中に初期に導入される位置の近くに位置する。酸素STRにおけるこれらの大きい勾配は、部分酸化反応媒体が気泡塔酸化反応器内に収容されているか、または反応媒体の気相中の分子酸素の圧力および/もしくはモル分率の勾配が作られる任意の他の型の反応容器内(例えば、強い半径方向の流れ(略水平のバッフルアセンブリによって場合により増加され、垂直方向に配置された各撹拌ゾーン内で酸化剤流の無視できない逆混合が生じる場合があり、かつ酸化剤流の幾らかかの逆混合が、近接する垂直方向に配置された撹拌ゾーン間で生じる場合があるにもかかわらず、一般的には反応容器の下側部分近傍の供給物から上方へ上昇する酸化剤流を伴う)を有する複数のインペラー(impeller)を用いて実現される、複数の垂直方向に配置された撹拌ゾーンを有する機械的撹拌された容器内)に収容されているかにかかわらず望ましい。すなわち、反応媒体の気相中の分子酸素の圧力および/またはモル分率において勾配が存在する場合、発明者らは、溶解した酸素についての化学的需要量において、本明細書に記載する手段によって同様の勾配を作ることが望ましいことを見出した。
局所的な酸素STRを変動させる好ましい手段は、易酸化性化合物を供給する位置を制御することによるもの、および、本発明の他の開示に従って反応媒体の液相の混合を制御して易酸化性化合物の濃度の勾配を制御することによるものである。局所的な酸素STRを変動させる他の有用な手段としては、局所的な温度変動をさせること、ならびに触媒および溶媒成分の局所的な混合を変えること(例えば、追加の気体を導入して反応媒体の特定部分で蒸発冷却させることによって、およびより高量の水を含む溶媒流を添加して反応媒体の特定部分における活性を低下させることによって)によって反応活性を変動させることが挙げられる。
酸化反応器が反応器内反応器の構成を有する場合、図12〜14に関して上記したように、図26および27を参照して本明細書に記載する濃度勾配、温度勾配、および酸素STR勾配を、外部反応器の内側および内部反応器の外側に位置する反応媒体の部分(例えば、図12中の反応媒体220a)に適用することが好ましい。
重ねて図1〜27を参照し、酸化は、好ましくは気泡塔反応器内で、本明細書で開示する好ましい態様に従って、従来の酸化反応器からは顕著に異なる条件下で実施する。本明細書で開示する好ましい態様に従って、気泡塔反応器を用いてパラキシレンの粗テレフタル酸(CTA)への液相部分酸化を実施する場合、反応媒体中での液体流パターンおよび好ましい比較的低い酸化温度と組合される、局所的な反応強度、局所的な蒸発強度、および局所的な温度の空間プロファイルは、特異で有利な特性を有するCTA粒子の形成に寄与する。
図28Aおよび28Bは、本発明の一態様に従って生成されるベースCTA粒子を示す。図28Aは、ベースCTA粒子を倍率500倍で示し、一方図28Bは、ベースCTA粒子のうち1つに拡大し、その粒子を倍率2,000倍で示す。おそらく図28Bで最もよく示されるが、各ベースCTA粒子は、典型的には多数の小さい凝集したCTAサブ粒子で形成され、これによりベースCTA粒子に比較的高表面積、高空隙率、低密度、および良好な溶解可能性が与えられている。特記しない限り、以下に記載される本発明のCTAの種々の特性は、代表質量が少なくとも1グラムの、および/または少なくとも10,000の個別CTA粒子で形成された、CTAの代表試料を用いて測定したものである。ベースCTA粒子は、典型的には平均(mean)粒子サイズが約20から約150ミクロンの範囲、より好ましくは約30から約120ミクロンの範囲、および最も好ましくは40から90ミクロンの範囲である。CTAサブ粒子は、典型的には平均粒子サイズが約0.5から約30ミクロンの範囲、より好ましくは約1から約15ミクロンの範囲、および最も好ましくは2から5ミクロンの範囲である。図28Aおよび28Bにおいて示されるベースCTA粒子の比較的高い表面積は、Braunauer−Emmett−Teller(BET)表面積測定法を用いて定量化できる。好ましくは、ベースCTA粒子の平均BET表面積が少なくともグラム当り約0.6平方メートル(m2/g)である。より好ましくは、ベースCTA粒子の平均BET表面積が約0.8から約4m2/gの範囲である。最も好ましくは、ベースCTA粒子の平均BET表面積が0.9から2m2/gの範囲である。本発明の好ましい態様の最適化された酸化プロセスにより形成されるベースCTA粒子の物理特性(例えば、粒子サイズ、BET表面積、空隙率、および溶解性)により、図31に関して以下でさらに詳細に記載されるより効率的および/または経済的な方法によるCTA粒子の精製が可能になる。
以上で与えられる平均粒子サイズ値は、偏光顕微鏡および画像解析を用いて決定した。粒子サイズ分析で採用された設備は、4x Plan Flour N.A.0.13 対物,Spot RT(商標)デジタルカメラ,およびパーソナルコンピュータ運転Image Pro Plus(商標)V4.5.0.19 画像分析ソフトウエアを備えるNikon E800光学顕微鏡を含んだ。粒子サイズ分析法は、以下の主ステップ:(1)CTA粉末をミネラルオイル中に分散させること;(2)分散体の顕微鏡スライド/カバー片を作製すること;(3)偏光顕微鏡(交差偏光条件−黒いバックグラウンド上に粒子が明るい目的物として現れる)を用いて該片を試験すること;(4)各試料標本に対して種々の画像を撮ること(視野サイズ=3×2.25mm;ピクセルサイズ=1.84ミクロン/ピクセル);(5)Image Pro Plus(商標)ソフトウエアで画像解析を行うこと;(6)粒子測定を表計算にエクスポートすること;および(7)表計算で統計的な特性解析を行うこと、を含んだ。「Image Pro Plus(商標)ソフトウエアで画像解析を行う」ステップ(5)は、副ステップ:(a)画像の閾値を設定して白い粒子を暗いバックグラウンド上に検出すること;(b)二値画像を生成すること;(c)シングルパスオープンフィルターを作動させてピクセルノイズを除去すること;(d)画像中の全粒子を測定すること;および(e)各粒子について測定された平均直径を記録すること、を含んだ。Image Pro Plus(商標)ソフトウエアは、2度間隔で測定される粒子の、粒子の重心を通る直径の数平均長さとして個別粒子の平均直径を規定する。「表計算で統計的な特性解析を行う」ステップ7は、体積加重された平均粒子サイズを以下のように算出することを含む。試料中のnの粒子の各々の体積を、これらが球であったと仮定して、pi/6*di^3を用いて算出する;各粒子の体積にその直径を掛けて、pi/6*di^4を得る;pi/6*di^4の値を試料中の全粒子について合計する;試料中の全粒子の体積を合計する;および、(pi/6*di^4)の試料中の全n粒子についての和を(pi/6*di^3)の試料中の全n粒子についての和で除したものとして、体積加重された粒子直径を算出する。本明細書で用いる「平均粒子サイズ」は、上記試験方法に従って決定される体積加重された平均粒子サイズを意味し;これはまたD(4,3)ともいわれる。
加えて、ステップ7は、全試料体積のうちの種々の分率がより小さいものである粒子サイズを見出すことを含む。例えば、D(v,0.1)は、全試料体積の10パーセントがより小さくかつ90パーセントがより大きい粒子サイズであり;D(v,0.5)は、試料体積の2分の1がより大きくかつ2分の1がより小さい粒子サイズであり;D(v,0.9)は、全試料体積の90パーセントがより小さい粒子サイズである;等である。加えて、ステップ7は、D(v,0.9)マイナスD(v,0.1)の値(これは本明細書で「粒子サイズスプレッド」と定義する)を算出することを含み;そしてステップ7は、粒子サイズスプレッドをD(4,3)で除した値(これは本明細書で「粒子サイズ相対スプレッド」と定義する)を算出することを含む。
さらに、上記で測定される場合のCTA粒子のD(v,0.1)は、約5から約65ミクロンの範囲であることが好ましく、より好ましくは約15から約55ミクロンの範囲、および最も好ましくは25から45ミクロンの範囲である。上記で測定される場合のCTA粒子のD(v,0.5)は、約10から約90ミクロンの範囲であることが好ましく、より好ましくは約20から約80ミクロンの範囲、および最も好ましくは30から70ミクロンの範囲である。上記で測定される場合のCTA粒子のD(v,0.9)は、約30から約150ミクロンの範囲であることが好ましく、より好ましくは約40から約130ミクロンの範囲、および最も好ましくは50から110ミクロンの範囲である。粒子サイズ相対スプレッドは、約0.5から約2.0の範囲であることが好ましく、より好ましくは約0.6から約1.5の範囲、および最も好ましくは0.7から1.3の範囲である。
上記で与えられるBET表面積値は、Micromeritics ASAP2000(Norcross,GAの、Micromeritics Instrument Corporationから入手可能)で測定された。測定プロセスの第1のステップにおいて、2から4グラムの粒子の試料を計量し、減圧下50℃で乾燥させた。次いで分析ガス多岐管上に試料を配置して77°Kまで冷却した。試料を既知体積の窒素ガスに暴露して圧力降下を測定することにより、5の平衡圧の最小で窒素吸着等温線を測定した。平衡圧は、およそP/P0=0.01〜0.20(Pは平衡圧、かつP0は液体窒素の77°Kでの蒸気圧である)の範囲であった。次いで、得られた等温線を、以下のBET等式、
(Vaは、Pで試料により吸着された気体の体積、Vmは試料の全表面を気体の単層で覆うのに必要な気体の体積、およびCは定数である)に従ってプロットした。このプロットから、VmおよびCを決定した。次いでVmを、
(σは77°Kでの窒素の断面積、Tは77°K、およびRは気体定数である)により、77°Kでの窒素の断面積を用いて表面積に変換した。
以上で示唆されるように、本発明のある態様に従って形成されたCTAは、他のプロセスで形成された従来のCTAに対して優れた溶解特性を示す。この向上された溶解割合により、本発明のCTAをより効率的および/またはより有効な精製プロセスによって精製することが可能になる。以下の記載は、CTAの溶解割合を定量化できる様式を取り扱う。
撹拌された混合物における既知量の固体の既知量の溶媒中への溶解の割合は種々のプロトコルにより測定できる。本明細書で用いる「時限溶解試験(timed dissolution test)」と呼ばれる測定方法は以下のように規定される。時限溶解試験を通じて環境圧力約0.1メガパスカルを用いる。時限溶解試験を通じて用いる環境温度は約22℃である。さらに、固体、溶媒、および全ての溶解器具は、試験開始前にこの温度で熱的に完全に平衡とされ、そして溶解時間の間ビーカーまたはその内容物の感知できる程の加熱および冷却はない。溶媒部分の、新品のHPLC分析グレードのテトラヒドロフラン(>99.9パーセント純度)(以後、THF)を250グラム測り、清浄にしたKIMAX背高形状400ミリリットルガラスビーカー(Kimble(登録商標),品番14020,Kimble/Kontes,Vineland,NJ)(非絶縁、平滑側面および略円筒形の形状である)内に入れる。テフロン(登録商標)コートされたマグネチック撹拌棒(VWR品番58948−230、長さ約1インチで直径3/8インチ、八角形断面、VWR International,West Chester,PA 19380)をビーカー内に配置し、そしてここでこれは自然に底部に沈む。試料は、Variomag(登録商標)マルチポイント15マグネチックスターラー(H&P Labortechnik AG,Oberschleissheim,Germany)マグネチックスターラーを用い、毎分800回転の設定で撹拌する。この撹拌は、固体の添加前5分以下で開始し、そして固体の添加後間断なく少なくとも30分間継続させる。250ミリグラムに達する、粗のまたは精製されたTPA粒状物の固体試料は、非固着性の試料計量パン内へ計り入れる。t=0とされる開始時間において、計量された固体を撹拌されたTHF中に1度に注ぎ、タイマーを同時に開始させる。適切になされると、THFは極めて迅速に固体を湿潤させて希薄な良好に撹拌されたスラリーを5秒以内に形成する。続いて、この混合物の試料が、t=0から分単位で測定される以下の時間:0.08,0.25,0.50,0.75,1.00,1.50,2.00,2.50,3.00,4.00,5.00,6.00,8.00,10.00,15.00,および30.00、で得られる。各々の小試料を、希薄な良好に撹拌された混合物から、新品の使い捨てシリンジ(Becton,Dickinson and Co,5ミリリットル,REF 30163,Franklin Lakes,NJ 07417)を用いて取出す。ビーカーから取出して直ちに、およそ2ミリリットルの明澄な液体試料を、新品、未使用のシリンジフィルター(直径25mm,0.45ミクロン,Gelman GHP Acrodisc GF(登録商標),Pall Corporation,East Hills,NY 11548)を経て、新品の、ラベルを付したガラス試料バイアル内に迅速に放出する。シリンジ充填、フィルター配置、および試料バイアル内への放出の各々の継続時間は正確に約5秒未満であり、そしてこの間隔は、各目標サンプリング時間のどの側でも約3秒以内で適切に開始および終了される。各充填では約5分以内に試料バイアルの蓋を閉め、以下の化学分析を行うまで大体一定の温度で維持する。t=0から30分経過後の時間で最終試料を採取した後、全16試料を、溶解したTPAの量について、この開示の他の箇所で一般的に記載されるHPLC−DAD法を用いて分析する。しかし、この試験において、報告されるキャリブレーション基準および結果はいずれも、THF溶媒のグラム当たりの溶解したTPAのミリグラム(以後「THF中ppm」)に基づく。例えば、固体250ミリグラムの全てが極めて純粋なTPAであった場合、およびこの全量が特定試料の採取前に250グラムのTHF溶媒中に完全に溶解した場合、正確に測定される濃度はTHF中約1,000ppmとなる。
本発明に係るCTAが上記の時限溶解試験に供される場合、t=0から1分で採取される試料は溶解して、濃度がTHF中少なくとも約500ppmとなることが好ましく、より好ましくはTHF中少なくとも600ppmとなる。t=0から2分で採取される試料について、本発明に係るCTAは溶解して、濃度がTHF中少なくとも約700ppmとなることが好ましく、より好ましくはTHF中少なくとも750ppmとなる。t=0から4分で採取される試料について、本発明に係るCTAは溶解して、濃度がTHF中少なくとも約840ppmとなることが好ましく、より好ましくはTHF中少なくとも880ppmとなる。
本発明者らは、完全時限溶解試験による全データセットの時間依存を説明するために、粒子状試料および溶解プロセスの複雑性にかかわらず比較的単純な負指数成長モデルが有用であることを見出した。以後「時限溶解モデル」という等式の形式は以下の通りである。
S=A+B*(1−exp(−C*t))
(t=分単位での時間;
S=時間tでの溶解性、THF中ppmの単位;
exp=2の自然対数を底とする指数関数;
A,B=THF中ppm単位での逆定数(regressed constant)(ここで、Aは、より小さい粒子の極めて短時間での迅速な溶解にほぼ関連し、そしてA+Bの和は、所定試験時間の終了付近での溶解の全量にほぼ関連する);および
C=逆数分の単位での逆時間定数)
S=A+B*(1−exp(−C*t))
(t=分単位での時間;
S=時間tでの溶解性、THF中ppmの単位;
exp=2の自然対数を底とする指数関数;
A,B=THF中ppm単位での逆定数(regressed constant)(ここで、Aは、より小さい粒子の極めて短時間での迅速な溶解にほぼ関連し、そしてA+Bの和は、所定試験時間の終了付近での溶解の全量にほぼ関連する);および
C=逆数分の単位での逆時間定数)
逆定数は、実際のデータ点と対応するモデル値との間の誤差の二乗の和を最小化するために調整され、この方法は一般に「最小二乗」適合と呼ばれる。このデータ回帰を実行するための好ましいソフトウエアパッケージは、JMP Release 5.1.2(SAS Institute Inc.,JMP Software,SAS Campus Drive,Cary,NC 27513)である。
本発明に係るCTAを時限溶解試験で試験して上記の時限溶解モデルに適合させる場合、CTAの時間定数「C」は約0.5逆数分超が好ましく、より好ましくは約0.6逆数分超、および最も好ましくは0.7逆数分超である。
図29Aおよび29Bは、連続撹拌タンク反応器(CSTR)において従来の高温酸化プロセスで製造される従来のCTA粒子を示す。図29Aは、従来のCTA粒子を倍率500倍で示し、一方図29Bは、CTA粒子を倍率2,000倍に拡大して示す。図28Aおよび28Bに示される本発明のCTA粒子と、図29Aおよび29Bに示される従来のCTA粒子との視覚的な比較から、従来のCTA粒子が本発明のCTA粒子と比べてより高密度、より低表面積、より低空隙率、およびより大きな粒子サイズであることが示される。実際、図29Aおよび29Bに表される従来のCTAは、平均粒子サイズが約205ミクロンであり、かつBET表面積が約0.57m2/gである。
図30は、精製されたテレフタル酸(PTA)を製造するための従来のプロセスを示す。従来のPTAプロセスにおいて、パラキシレンは、機械的撹拌された高温の酸化反応器700内で部分酸化される。CTAを含むスラリーは、反応器700から取出され、次いで精製装置702内で精製される。精製装置702のPTA生成物は、PTA粒子の分離および乾燥のために分離装置706内に導入される。精製装置702は、従来法によるPTA粒子の生成に関連するコストの多くの部分を与える。精製装置702は、一般的に、水添加/置換装置708、溶解装置710、水素化装置712、および3つの別個の結晶化容器704a,b,cを含む。水添加/置換装置708においては、母液の実質的な部分が水で置換される。水添加後、水/CTAスラリーは溶解装置710内に導入され、ここではCTA粒子が完全に水中に溶解するまで水/CTA混合物が加熱される。CTAの溶解後、水中CTA溶液は、水素化装置712内で水素化される。次いで、水素化装置712からの水素化された流出物は、結晶化容器704a,b,c内で3つの結晶化ステップに供され、続いて分離装置706内でのPTA分離に供される。
図31は、本発明のある態様に関して構成された一次酸化反応器800aと二次酸化反応器800bとを含む酸化反応器システムを採用した、PTAを生成するための改善されたプロセスを示す。図31に示す構成においては、初期スラリーが一次酸化反応器800aから生成され、その後精製装置802(二次酸化反応器800bはこれの一部である)内で精製を受ける。一次酸化反応器800aから取出される初期スラリーは、好ましくは、固体CTA粒子と液体母液とを含む。典型的には、初期スラリーは、約10から約50質量パーセントの範囲の固体CTA粒子を含み、残部は液体母液である。一次酸化反応器800aから取出される初期スラリー中に存在する固体CTA粒子は、典型的には、少なくとも約400ppmwの4−カルボキシベンズアルデヒド(4−CBA)、より典型的には少なくとも約800ppmwの4−CBA、および最も典型的には1,000から15,000ppmwの範囲の4−CBAを含む。
精製装置802は、一次酸化反応器800aから取出された初期スラリーを受入れ、そしてCTA中に存在する4−CBAおよび他の不純物の濃度を低減する。より純粋な/精製されたスラリーは、精製装置802から生成され、そして分離装置804内での分離および乾燥に供され、これにより、約400ppmw未満の4−CBA、より好ましくは約250ppmw未満の4−CBA、および最も好ましくは10から200ppmwの範囲の4−CBAを含むより純粋な固体テレフタル酸粒子が生成される。
精製装置802は、二次酸化反応器800b、液交換装置806、消化装置808、および単一結晶化装置810を含む。二次酸化反応器800bにおいて、初期スラリーは、一次酸化反応器800aの温度および圧力とほぼ等しい温度および圧力で酸化を受ける。液置換装置806においては、二次酸化反応器800bから取出されたスラリー中に存在する母液の少なくとも約50質量パーセントが新しい置換溶媒で置換され、これにより、CTA粒子および置換溶媒を含む溶媒置換されたスラリーが与えられる。液置換装置806を出る溶媒置換されたスラリーは、消化装置808内に導入される。消化装置808においては、一次酸化反応器800aにおいて使用されたよりも若干高温でさらなる酸化反応が行われる。
上述のように、一次酸化反応器800a内で生成される高表面積、小粒子サイズ、および低密度のCTA粒子により、CTA粒子中に捕捉された特定の不純物を、消化装置808内で、CTA粒子の消化装置808内での完全な溶解を必要とせずに酸化させることが可能になる。よって、消化装置808内の温度は、多くの同様の先行技術のプロセスよりも低いことができる。消化装置808内で実施するさらなる酸化は、好ましくは、CTA中の4−CBA濃度を、好ましくは少なくとも200ppmw、より好ましくは少なくとも約400ppmw、および最も好ましくは600から6,000ppmwの範囲、低減する。好ましくは、消化装置808内の消化温度は、反応器800a内の一次酸化温度よりも少なくとも約10℃高く、より好ましくは反応器800a内の一次酸化温度よりも約20から約80℃高く、および最も好ましくは反応器800a内の一次酸化温度よりも30から50℃高い。消化温度は、好ましくは約160から約240℃の範囲、より好ましくは約180から約220℃の範囲、および最も好ましくは190から210℃の範囲である。消化装置808からの精製された生成物は、分離装置804内での分離の前に、結晶化装置810内での単一の結晶化ステップのみを必要とする。好適な二次酸化/消化技術は、参照によりその全開示を本明細書に明示的に組み入れる米国特許出願公開第2005/0065373号にさらに詳細に議論されている。
図31に示す系により生成されるテレフタル酸(例えばPTA)は、好ましくは平均粒子サイズが少なくとも約40ミクロン、より好ましくは約50から約2,000ミクロンの範囲、および最も好ましくは60から200ミクロンの範囲のPTA粒子で形成される。PTA粒子は、好ましくは、平均BET表面積が約0.25m2/g未満、より好ましくは約0.005から約0.2m2/gの範囲、および最も好ましくは0.01から0.18m2/gの範囲である。図31に示す系により生成されるPTAは、PETの製造における原料としての用途に好適である。典型的には、PETは、テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化、続いて重縮合を経て製造する。好ましくは、本発明のある態様によって生成されるテレフタル酸は、参照によりその全開示を本明細書に組み入れる米国特許出願番号第10/013,318号,2001年12月7日出願,に記載されるパイプ反応器PETプロセスへの供給物として採用される。
本明細書で開示する好ましいモルホロジーを有するCTA粒子は、4−CBA量の低減のための上記の酸化的消化プロセスにおいて特に有用である。加えて、これらの好ましいCTA粒子は、粒子の溶解および/または化学反応等の他の後プロセスの広い範囲で利点を与える。これらの追加の後プロセスとしては、これらに限定するものではないが、少なくとも1種のヒドロキシル含有化合物と反応させてエステル化合物を形成するもの、特に、CTAとメタノールとを反応させてジメチルテレフタレートおよび不純物エステルを形成するもの;少なくとも1種のジオールと反応させてエステルモノマーおよび/またはポリマー化合物を形成するもの、特に、CTAとエチレングリコールとを反応させてポリエチレンテレフタレート(PET)を形成するもの;ならびに、これらに限定するものではないが水、酢酸、およびN−メチル−2−ピロリドン等の溶媒中での全部または一部の溶解、が挙げられ、これらは、より純粋なテレフタル酸の再沈殿および/またはカルボン酸基よりもカルボニル基での選択的な化学的還元等(しかしこれらに限定するものではない)のさらなる工程を含んでもよい。とりわけ、アルデヒド、特に4−CBA、フルオレノン、フェノンおよび/またはアントラキノンの量を低減する一部水素化に加えての、水を含む溶媒中でのCTAの実質的な溶解が挙げられる。
本発明の一態様に関し、易酸化性芳香族化合物を1種以上の芳香族カルボン酸に部分酸化するために与えられるプロセスがあり、該プロセスで、供給物の溶媒部分(すなわち「溶媒供給物」)の純度および供給物の易酸化性化合物部分(すなわち「易酸化性化合物供給物」)の純度は、以下に詳述する特定範囲内に制御する。本発明の他の態様と同様に、これにより、以下に概説するように、反応媒体の液相および(存在する場合には)固相および組合されたスラリー(すなわち固体プラス液体)相の純度を特定の好ましい範囲内に制御することが可能になる。
溶媒供給物に関し、1種または複数種の易酸化性芳香族化合物を酸化して芳香族カルボン酸を生成させること(反応媒体中に導入される溶媒供給物は、実験室スケールおよびパイロットスケールでしばしば採用されるような分析純度の酢酸および水の混合物である)が知られている。同様に、易酸化性芳香族化合物の芳香族カルボン酸への酸化を行うこと(反応媒体を出る溶媒は、生成された芳香族カルボン酸から分離され、次いで、主として加工コストの理由で、供給物溶媒として反応媒体へ戻して再循環される)が知られている。この溶媒再循環によって特定の供給物不純物およびプロセス副生成物が生じ、これらは再循環された溶媒中に時間と共に蓄積する。再循環された溶媒の反応媒体中への再導入前の精製を助けるための種々の手段が当該分野で知られている。一般的に、再循環された溶媒をより高程度に精製することは、同様の手段によるより低程度の精製よりも顕著に高い加工コストを招来する。本発明の一態様は、全体の加工コストと全体の生成物純度との間の最適なバランスを見出すために、溶媒供給物中の多数の不純物(これらの多くは概して良性であると従来考えられている)の好ましい範囲を理解および規定することに関する。
「再循環された溶媒供給物」は、前もって反応媒体の一部として酸化ゾーン内/反応器内で酸化を受け、そして粗液体および/またはスラリー生成物の一部として酸化ゾーン/反応器から出た、溶媒供給物として本明細書で規定する。例えば、パラキシレンを酸化してTPAを形成するために部分酸化反応媒体に供給する再循環された溶媒は、部分酸化反応媒体の最初に形成された部分がTPAスラリーの液相として反応媒体から除去され、大部分の固体TPA集合物から分離され、そして次に部分酸化反応媒体に戻された溶媒である。上記のように、このような再循環された溶媒供給物は、特定の補助的なプロセスステップを溶媒精製のために少なからぬ資源コストおよび操業コストで与えることなしでは、あらゆる様態の望ましくない不純物を堆積させがちである。経済的な理由で、本発明の反応媒体への溶媒供給物の少なくとも約20質量パーセントが再循環された溶媒であることが好ましく、より好ましくは少なくとも約40質量パーセント、さらにより好ましくは少なくとも約80質量パーセント、および最も好ましくは少なくとも90質量パーセントである。溶媒の在庫および加工ユニットにおける操業時間という理由で、再循環された溶媒の部分は、1操業日に少なくとも1度反応媒体を通過することが好ましく、より好ましくは少なくとも7連続操業日の間日に少なくとも1度、および最も好ましくは少なくとも30連続操業日の間日に少なくとも1度である。
本発明者らは、反応活性の理由および酸化生成物中に残留する金属不純物を考慮するために、再循環された溶媒供給物中の選択された多官能金属の濃度は、好ましくは以下で直ちに特定される範囲であることを見出した。再循環された溶媒中の鉄の濃度は、好ましくは約150ppmw未満、より好ましくは約40ppmw未満、および最も好ましくは0から8ppmwの間である。再循環された溶媒中のニッケルの濃度は、好ましくは約150ppmw未満、より好ましくは約40ppmw未満、および最も好ましくは0から8ppmwの間である。再循環された溶媒中のクロムの濃度は、好ましくは約150ppmw未満、より好ましくは約40ppmw未満、および最も好ましくは0から8ppmwの間である。再循環された溶媒中のモリブデンの濃度は、好ましくは約75ppmw未満、より好ましくは約20ppmw未満、および最も好ましくは0から4ppmwの間である。再循環された溶媒中のチタンの濃度は、好ましくは約75ppmw未満、より好ましくは約20ppmw未満、および最も好ましくは0から4ppmwの間である。再循環された溶媒中の銅の濃度は、好ましくは約20ppmw未満、より好ましくは約4ppmw未満、および最も好ましくは0から1ppmwの間である。他の金属不純物もまた再循環された溶媒中に典型的に存在し、一般的に、以上に列挙した金属の1種以上に比例してより低いレベルで変動する。以上に列挙した金属を好ましい範囲で制御することにより、他の金属不純物が好適なレベルに維持されることになる。
これらの金属は、流入プロセス供給物(例えば流入易酸化性化合物、溶媒、酸化剤、および触媒化合物)のいずれかにおける不純物として現れる可能性がある。これに代わり、金属は、反応媒体に接触し、および/または再循環された溶媒に接触するプロセスユニットのいずれかに由来する腐食生成物として現れる可能性がある。開示された濃度範囲に金属を制御するための手段としては、種々の供給物の純度の適切な特定および監視、ならびに、構築物の、これらに限定するものではないが、多くの商業グレードのチタンおよびステンレススチール等(二相ステンレススチールおよび高モリブデンステンレススチールとして公知のグレードを含む)の材料の適切な使用が挙げられる。
発明者らはまた、再循環された溶媒中の選択された芳香族化合物についての好ましい範囲を見出した。これらは、再循環した溶媒中に沈殿および溶解した芳香族化合物の両者を含む。
驚くべきことに、パラキシレンの部分酸化により沈殿した生成物(例えばTPA)でさえも、再循環された溶媒中で管理されるべき汚染物である。反応媒体中の固体のレベルについては驚くべき好ましい範囲が存在するため、溶媒供給物中のいずれの沈殿生成物も、一斉に供給できる易酸化性化合物の量から直接差し引かれる。さらに、沈殿したTPA固体を再循環された溶媒中に高レベルで供給することは、沈殿している酸化媒体中で形成される粒子の特徴に不利に作用し、下流の操作(例えば、さらなる工程のための、生成物ろ別、溶媒洗浄、粗生成物の酸化的消化、粗生成物の溶解等)において望ましくない特徴を招来することを見出した。再循環溶媒供給物中に沈殿した固体の他の望ましくない特徴は、これらがしばしば、TPAスラリー(再循環された溶媒の多くがここから得られる)中の固体のバルク中の不純物濃度と比べて極めて高レベルの沈殿した不純物を含むことである。場合により、再循環されたろ液中に懸濁された固体中に認められる高レベルの不純物は、再循環された溶媒からの特定の不純物の沈殿のための核形成時間および/または、意図的であれもしくは自然放熱損失によるものであれ、再循環された溶媒の冷却に関係する場合がある。例えば、高度に着色した望ましくない2,6−ジカルボキシフルオレノンの濃度は、160℃の再循環された溶媒から分離されるTPA固体中に認められるよりも大幅に高いレベルで、80℃の再循環された溶媒中に存在する固体中に認められている。同様に、イソフタル酸の濃度は、反応媒体からのTPA固体中に見られるレベルと比べて大幅により高いレベルで、再循環された溶媒中に存在する固体中に認められている。厳密には、再循環された溶媒中に取込まれた特定の沈殿した不純物が反応媒体に再導入される際にどのように振舞うかは変動すると思われる。これはおそらく、反応媒体の液相中での不純物の相対的な溶解性に左右され、おそらく沈殿した不純物が沈殿した固体中でどのように重なるかに左右され、そしておそらく固体が最初に反応媒体に再入する場所での局所的なTPA沈殿割合に左右される。よって発明者らは、以下に開示するように、再循環された溶媒中の特定の不純物のレベルを制御することは、再循環された溶媒中にこれらの不純物が溶解した状態で存在するかまたはその中に取込まれた粒状物であるかにかかわらず有用であることを見出した。
再循環された溶媒中に存在する沈殿した固体の量は、以下の重量法により評価される。供給溶媒から反応媒体へ、該溶媒が管路を反応媒体に向かって流れている間に代表試料を取出す。有用な試料サイズは、内容積約250ミリリットルのガラス容器中に保存された約100グラムである。環境圧力に解放される前であるが試料容器に向かって連続的に流れている間に、再循環された溶媒を100℃未満に冷却する;この冷却は、ガラス容器内に密閉される前の短い間隔の間の溶媒の蒸発を制限するためのものである。試料を環境圧力で保存した後、ガラス容器を直ちに密閉する。次いで、約20℃の空気に囲まれかつ強制対流がない状態で試料を約20℃まで冷却させる。約20℃に到達した後、試料をこの条件で少なくとも約2時間保持する。次いで、目視で固体の均一な分布が得られるまで密閉された容器を強く振る。その後直ちに、マグネチックスターラー棒を試料容器に加え、固体の均一な分布を効果的に維持するのに十分な速度で回転する。懸濁した固体と混合された液体の分割量10ミリリットルを、ピペットで取出して計量する。次いで、この分割量からの液相のバルクを、なお約20℃でかつ効果的に固体の損失なしで減圧ろ過により分離する。次いで、この分割量からろ別された湿った固体を効果的に固体の昇華なしで乾燥させ、そしてこれらの乾燥した固体を計量する。乾燥した固体の質量の、スラリーのもとの分割量の質量に対する比が、固体の分率であり、典型的にはパーセンテージで表され、本明細書では溶媒供給物中の「20℃での沈殿した固体」の量という。
発明者らは、反応媒体の液相中に溶解し、非芳香族ヒドロカルビル基を有さない芳香族カルボン酸(例えばイソフタル酸、安息香酸、フタル酸、2,5,4’−トリカルボキシビフェニル)を含む芳香族化合物が、驚くほど有害な成分であることを見出した。これらの化合物は、非芳香族ヒドロカルビル基を有する易酸化性化合物と比べて主題の反応媒体中での化学活性が大幅に低いが、それにもかかわらずこれらの化合物が多くの有害な反応を受けることを発明者らは見出した。よって、これらの化合物の含有量を反応媒体の液相中で好ましい範囲に制御することが有利である。これにより、再循環された溶媒供給物中の選択された化合物の好ましい範囲、およびまた易酸化性芳香族化合物供給物中の選択された前駆体の好ましい範囲が導かれる。
例えば、パラキシレンのテレフタル酸(TPA)への液相部分酸化において、発明者らは、高度に着色しかつ望ましくない不純物2,7−ジカルボキシフルオレノン(2,7−DCF)は、メタ置換された芳香族化合物が反応媒体中で極めて低レベルである場合には取出される反応媒体および生成物において実際上検出できないことを見出した。発明者らは、イソフタル酸不純物が溶媒供給物中に増大したレベルで存在する場合、2,7−DCFの形成がほぼ直接的に比例して上昇することを見出した。発明者らはまた、パラキシレンの供給物中にメタキシレン不純物が存在する場合、2,7−DCFの形成がこれもほぼ直接的に比例して上昇することを見出した。さらに、溶媒供給物および易酸化性化合物供給物がメタ置換された芳香族化合物を有さない場合でも、特に反応媒体の液相中に安息香酸が存在する場合、極めて純粋なパラキシレンの典型的な部分酸化の間に幾らかかのイソフタル酸が形成されることを発明者らは見出した。この自己生成(self-generated)イソフタル酸は、酢酸および水を含む溶媒中でのその溶解性がTPAよりも大きいことにより、再循環された溶媒を採用する工業用ユニットにおいて時間と共に蓄積する場合がある。よって、溶媒供給物中のイソフタル酸の量、易酸化性芳香族化合物供給物中のメタキシレンの量、および反応媒体中でのイソフタル酸の自己生成割合は、互いのバランスおよびイソフタル酸を消費する任意の反応とのバランスにおいて全て適切に考慮される。イソフタル酸は、2,7−DCFの形成の他に以下に開示される追加の消費反応を受けることを見出した。加えて、発明者らは、パラキシレンからTPAへの部分酸化においてメタ置換された芳香族種についての適切な範囲を設定する場合、他の考慮すべき事項があることを見出した。他の高度に着色しかつ望ましくない不純物、例えば2,6−ジカルボキシフルオレノン(2,6−DCF)は、溶解したパラ置換された芳香族種(常に液相酸化へのパラキシレン供給物とともに存在する)に大きく関係すると考えられる。よって、生成される他の着色した不純物のレベルとともに2,7−DCFの抑制が大局的に最もよく考慮される。
例えば、パラキシレンのTPAへの液相部分酸化において、発明者らは、反応媒体中でイソフタル酸およびフタル酸のレベルが上昇するにつれてトリメリット酸の形成が上昇することを見出した。トリメリット酸は、TPAからのPETの生成中にポリマー鎖を分岐させる3官能カルボン酸である。多くのPET用途においては、分岐レベルを低レベルに制御しなければならず、したがってトリメリット酸は、精製されたTPAにおいて低レベルに制御しなければならない。トリメリット酸を招来する他に、メタ置換およびオルト置換された種が反応媒体中に存在することは、他のトリカルボン酸(例えば、1,3,5−トリカルボキシベンゼン)も上昇させる。さらに、反応媒体中のトリカルボン酸の存在が増大することにより、テトラカルボン酸(例えば、1,2,4,5−テトラカルボキシベンゼン)形成の量が増大する。2つより多いカルボン酸基を有する全ての芳香族カルボン酸の合計の生成量を制御することは、本発明に従った、再循環された溶媒供給物中、易酸化性化合物供給物中、および反応媒体中のメタ置換およびオルト置換された種の好ましいレベルの設定における1つの因子である。
例えば、パラキシレンからTPAへの液相部分酸化において、発明者らは、非芳香族ヒドロカルビル基を有さない幾つかの溶解した芳香族カルボン酸の、反応媒体の液相中でのレベルの増大が、一酸化炭素および二酸化炭素の生成の増大を直接招来することを見出した。炭素酸化物の生成のこの増大は、酸化剤および易酸化性化合物の両者での収率損失、後には多くの副産物の芳香族カルボン酸(一方では不純物としてみることができ、他方ではまた商業的価値を有する)を意味する。よって、非芳香族ヒドロカルビル基を有さない比較的可溶性のカルボン酸を再循環溶媒から適切に除去することは、種々のフルオレノンおよびトリメリット酸等の著しく望ましくない不純物の生成の抑制に加え、易酸化性芳香族化合物および酸化剤の収率損失の防止において経済的価値を有する。
例えば、パラキシレンのTPAへの液相部分酸化において、発明者らは、2,5,4’−トリカルボキシビフェニルの形成は一見回避できないことを見出した。2,5,4’−トリカルボキシビフェニルは、2つの芳香族環のカップリングにより、おそらくは溶解したパラ置換された芳香族種とアリール基(おそらくはパラ置換された芳香族種の脱カルボキシルまたは脱カルボニルにより形成されるアリール基)とのカップリングにより形成される芳香族トリカルボン酸である。幸い、2,5,4’−トリカルボキシビフェニルは、典型的にはトリメリット酸よりも低レベルで生成し、そして通常はPETを生成する間のポリマー分子の分岐の困難性の顕著な増大を招来しない。しかし、発明者らは、本発明の好ましい態様に従ったアルキル芳香族化合物の酸化を含む、反応媒体中の2,5,4’−トリカルボキシビフェニルのレベルの上昇は、高度に着色しかつ望ましくない2,6−DCFのレベルの増大を招来することを見出した。増大した2,6−DCFは、場合により、2,5,4’−トリカルボキシビフェニルから、水分子の損失を伴う閉環により生じる。しかし実際の反応機構は確実には知られていない。酢酸および水を含む溶媒中でTPAよりも可溶性である2,5,4’−トリカルボキシビフェニルが、再循環された溶媒中で過度に高度に蓄積する場合、2,6−DCFへの変換割合は許容できないほど大きくなる可能性がある。
例えばパラキシレンのTPAへの液相部分酸化において、発明者らは、非芳香族ヒドロカルビル基を有さない芳香族カルボン酸(例えばイソフタル酸)は、液相中に十分な濃度で存在する場合一般的に反応媒体の化学活性の緩やかな抑制を招来することを見出した。
例えば、パラキシレンのTPAへの液相部分酸化において、発明者らは、沈殿が多くの場合、種々の化学種の固相中および液相中の相対濃度の観点で非理想的(すなわち非平衡)であることを見出した。おそらくこれは、本発明での好ましい空時反応速度では沈殿速度が極めて速く、不純物の非理想的な共沈殿または閉塞さえもが招来されることに起因する。よって、下流ユニット操作の形態のために粗TPA中の特定の不純物(例えば、トリメリット酸および2,6−DCF)の濃度を制限することが所望される場合、溶媒供給物中のこれらの濃度および反応媒体中でのこれらの発生速度を制御することが好ましい。
例えば、発明者らは、ベンゾフェノン化合物自体はTPA中でフルオレノンおよびアントラキノンほど高度には着色しないが、パラキシレンの部分酸化の間に生じたベンゾフェノン化合物(例えば、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノンおよび2,5,4’−トリカルボキシベンゾフェノン)は、PET反応媒体において望ましくない作用を有することを見出した。従って、再循環された溶媒および易酸化性化合物供給物において、ベンゾフェノンの存在を制限することおよび前駆体を選択することが望ましい。さらに発明者らは、高レベルの安息香酸の存在は、再循環された溶媒中に認められるか反応媒体中に形成されるかのいずれでも、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノンの高割合の生成を招来することを見出した。
検討において、発明者らは、パラキシレンのTPAへの液相部分酸化において存在する非芳香族ヒドロカルビル基を有さない芳香族化合物についての驚くべき多量の反応を見出しかつ十分に定量化した。安息香酸の1つの場合のみに要約し、発明者らは、本発明の特定の態様の反応媒体中の安息香酸のレベルの増大が、高度に着色しかつ望ましくない9−フルオレノン−2−カルボン酸の生成の顕著な増大、4,4’−ジカルボキシビフェニルのレベルの顕著な増大、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノンのレベルの増大、パラキシレンの意図した酸化の化学活性の軽度の抑制、ならびに炭素酸化物のレベルの増大および付随する収率損失を招来することを見出した。発明者らは、反応媒体中の安息香酸のレベルの増大が、イソフタル酸およびフタル酸の生成の増大(これらのレベルは望ましくは本発明の同様の側面に従って低い範囲に制御される)も招来することを見出した。ある先般の発明者らは、溶媒の主な成分として酢酸に代えて安息香酸の使用を意図する(例えば米国特許第6,562,997号を参照のこと)ため、安息香酸を含む反応の数および重要性は、おそらくさらにより驚くべきものである。加えて、本発明の発明者らは、安息香酸が、パラキシレンの酸化の間に、工業純度のパラキシレンを含む易酸化性化合物供給物中に一般的に見出されるトルエンおよびエチルベンゼン等の不純物からのその形成と比較して極めて重要である割合で自己生成したものであることに着目した。
他方発明者らは、易酸化性芳香族化合物の存在に関して、および、非芳香族ヒドロカルビル基を保持しかつまた再循環された溶媒中で比較的可溶性である芳香族反応中間体に関して、再循環された溶媒組成物の追加の規則からはわずかな価値しか見出さなかった。一般的に、これらの化合物は、再循環された溶媒中のこれらの存在よりも実質的に大きい割合で反応媒体に供給されるか反応媒体中で生じるかのいずれかであり;そしてこれらの化合物の反応媒体中での消費割合は十分に大きく、1つ以上の非芳香族ヒドロカルビル基を保持して、再循環された溶媒中でのこれらの蓄積が適切に制限される。例えば、多相反応媒体中のパラキシレンの部分酸化の間、パラキシレンは、大量の溶媒とともに制限された程度で蒸発する。この蒸発した溶媒が、オフガスの部分として反応器を出て、再循環された溶媒として回収するために凝縮される場合、蒸発したパラキシレンの実質的な部分はその中で同様に凝縮する。再循環された溶媒中のこのパラキシレンの濃度を制限することは必要でない。例えば、パラキシレン酸化反応媒体を出るスラリーの固体から溶媒が分離される場合、この回収された溶媒は、反応媒体からの取出しの時点で存在するのと同様の濃度の溶解したパラトルイル酸を含むことになる。反応媒体の液相中のパラトルイル酸の決まった濃度を限定することは重要である場合があるが、以下に示すように、反応媒体中でのパラトルイル酸の生成と比較したときのその比較的良好な溶解性およびその低い質量流量により、再循環された溶媒のこの部分におけるパラトルイル酸を別個に規制することは必要でない。同様に、発明者らは、メチル置換基を伴う芳香族化合物(例えばトルイル酸)、芳香族アルデヒド(例えばテレフタルアルデヒド)、ヒドロキシメチル置換基を伴う芳香族化合物(例えば4−ヒドロキシメチル安息香酸)、および少なくとも1つの非芳香族ヒドロカルビル基を有する臭素化芳香族化合物(例えばアルファ−ブロモ−パラトルイル酸)といった、以下の本発明の好ましい態様に従ったキシレンの部分酸化において生じる反応媒体から出る液相中に本質的に見出されるものの再循環された溶媒中の濃度を制限する理由は殆ど見出さなかった。驚くべきことに、発明者らはまた、キシレンの部分酸化の間に本来的に生成される選択されたフェノールの濃度は、再循環された溶媒中でのこれらの存在よりも大幅に大きい割合でこれらの化合物が反応媒体中で生成および破壊されるために、再循環された溶媒において規制する必要もないことを見出した。例えば、発明者らは、同様の反応媒体において顕著な有害物として他者によって報告(例えば、W.Partenheimer,Catalysis Today 23(1995)p.81を参照のこと)されているにもかかわらず、再循環された溶媒中に自然に存在するよりも大幅に高く、1キログラムのパラキシレン当たり4−ヒドロキシ安息香酸を2グラム超の割合で共供給する場合、本発明の好ましい態様における化学活性に対する4−ヒドロキシ安息香酸の影響は比較的小さいことを見出した。
よって、ここで開示されるように、溶媒供給物中の種々の芳香族不純物の所望範囲の設定においては多数の反応および多数の考慮事項が存在する。これらの発見は、設定時間、好ましくは1日、より好ましくは1時間、および最も好ましくは1分の時間が経過する間に反応媒体に供給される全溶媒流の集合重量平均組成の観点で示される。例えば、1つの溶媒供給物が、40ppmwイソフタル酸の組成で流速毎分7キログラムで実質的に連続的に流れる場合、第2の溶媒供給物は、2,000ppmwイソフタル酸の組成で流速毎分10キログラムで実質的に連続的に流れ、そして反応媒体に入る他の溶媒供給物流はなく、次いで、溶媒供給物の集合重量平均組成は、(40×7+2,000×10)/(7+10)=1,193ppmwイソフタル酸、と算出される。おそらく反応媒体に入る前に溶媒供給物と入り混じっている任意の易酸化性化合物供給物または任意の酸化剤供給物の質量は、溶媒供給物の集合重量平均組成の算出において考慮されないことに留意される。
以下の表1は、反応媒体中に導入される溶媒供給物中の特定の成分についての好ましい値を列挙する。表1中に列挙される溶媒供給物成分は以下の通りである:4−カルボキシベンズアルデヒド(4−CBA)、4,4’−ジカルボキシスチルベン(4,4’−DCS)、2,6−ジカルボキシアントラキノン(2,6−DCA)、2,6−ジカルボキシフルオレノン(2,6−DCF)、2,7−ジカルボキシフルオレノン(2,7−DCF)、3,5−ジカルボキシフルオレノン(3,5−DCF)、9−フルオレノン−2−カルボン酸(9F−2CA)、9−フルオレノン−4−カルボン酸(9F−4CA)、個々には列挙しない他のフルオレノンを含むフルオレノン全体(全フルオレノン)、4,4’−ジカルボキシビフェニル(4,4’−DCB)、2,5,4’−トリカルボキシビフェニル(2,5,4’−TCB)、フタル酸(PA)、イソフタル酸(IPA)、安息香酸(BA)、トリメリット酸(TMA)、2,6−ジカルボキシベンゾクマリン(2,6−DCBC)、4,4’−ジカルボキシベンジル(4,4’−DCBZ)、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン(4,4’−DCBP)、2,5,4’−トリカルボキシベンゾフェノン(2,5,4’−TCBP)、テレフタル酸(TPA)、20℃での沈殿した固体、および非芳香族ヒドロカルビル基を有さない全芳香族カルボン酸。以下の表1は、本発明のある態様に従って生成されるCTA中のこれらの不純物の好ましい量を与える。
多くの他の芳香族不純物はまた、典型的には、再循環された溶媒中に存在し、一般的には、一様なより低いレベルでおよび/または開示される芳香族化合物の1種以上に比例して変動する。開示される芳香族化合物を好ましい範囲で制御するための方法は、典型的には、他の芳香族不純物を好適なレベルに維持することになる。
反応媒体中に臭素を使用する場合、臭素の多数のイオン形態および有機形態が動的平衡で存在することが知られている。臭素のこれらの種々の形態は、一旦反応媒体を出て、再循環された溶媒に関する種々のユニット操作を通過すると、種々の安定性特性を有する。例えば、アルファ−ブロモ−パラトルイル酸は、ある条件でそれ自体として存続してもよく、または他の条件で急速に加水分解して4-ヒドロキシメチル安息香酸および臭化水素を形成してもよい。本発明においては、反応媒体への集合溶媒供給物中に存在する臭素の全質量の少なくとも約40質量パーセント、より好ましくは少なくとも約60質量パーセント、および最も好ましくは少なくとも約80質量パーセントが、以下の化学形態:臭素イオン、アルファ−ブロモ−パラトルイル酸、およびブロモ酢酸、の1つ以上にあることが好ましい。
溶媒供給物の集合重量平均純度を、開示された本発明の望ましい範囲に制御することの重要性および価値は従来見出されておらず、および/または開示されていないが、溶媒流純度を制御するための好適な手段は、当該分野で既に公知の種々の方法から組立ててもよい。第1に、反応媒体から蒸発する任意の溶媒は、典型的には、反応媒体からの液体または固体が蒸発した溶媒に取込まれない限り好適な純度である。還流溶媒液滴を反応媒体の上のオフガス放出空間内に供給することは、ここに開示されるように、このような取込みを適切に制限し、そして芳香族化合物に関して好適な純度の再循環された溶媒は、このようなオフガスから凝縮されることができる。第2に、再循環された溶媒供給物のより困難かつコスト高の精製は、典型的には、反応媒体から液体形態で採取した溶媒、ならびに続いて反応容器から取出される反応媒体の液相および/または固相に接触する溶媒(例えば、固体が濃縮および/または洗浄されるフィルターから得られる再循環された溶媒、固体が濃縮および/または洗浄される遠心分離機から得られる再循環された溶媒、結晶化操作から採取される再循環された溶媒、等)に関連する。しかし、1つ以上の先行開示を用いてこれらの再循環された溶媒流の必要な精製を達成するための手段も当該分野において公知である。再循環された溶媒中に沈殿した固体を特定範囲内に制御することに関し、好適な制御手段としては、これらに限定するものではないが、重力沈降、回転ベルトフィルター上および回転ドラムフィルター上のろ布を用いる機械的ろ別、圧力容器内の静止フィルター手段を用いる機械的ろ別、ハイドロサイクロン、ならびに遠心分離機が挙げられる。再循環された溶媒中に溶解した芳香族種を特定範囲内に制御することに関し、制御手段としては、これらに限定するものではないが、参照により本明細書に組み入れる米国特許第4,939,297号および米国特許出願公開第2005-0038288号に記載されるものが挙げられる。しかし、これらの先行発明のいずれも、ここに開示されるような集合溶媒供給物における純度の好ましいレベルを発見および開示しなかった。むしろこれらの先行発明は、再循環された溶媒の選択されたおよび部分的な流れを、反応媒体への集合重量平均溶媒供給物の組成の本発明の最適な値を推論することなく精製する手段を与えたのみである。
ここで易酸化性化合物の供給物の純度に転じ、特定レベルのイソフタル酸、フタル酸、および安息香酸が、ポリマー生成のために使用される精製されたTPA中に低レベルで存在しかつ許容できることが知られている。さらに、これらの種は多くの溶媒中に比較的より可溶性で、かつ精製されたTPAから結晶化プロセスにより有利に取出せることが知られている。しかしここに開示される本発明の態様から、反応媒体の液相中の幾つかの比較的可溶性な芳香族種、特にイソフタル酸、フタル酸、および安息香酸等、のレベルを制御することは、反応媒体中で生成する多環のおよび着色した芳香族化合物のレベルを制御するために、分子当たり2個より多いカルボン酸官能基を有する化合物を制御するために、部分酸化反応媒体における反応活性を制御するために、そして酸化剤および芳香族化合物の収率損失を制御するために、驚くほど重要であることがここで知られる。
イソフタル酸、フタル酸および安息香酸が反応媒体中で以下のように形成されることは当該分野で公知である。メタキシレン供給物不純物は良好な変換および収率でIPAに酸化する。オルトキシレン供給物不純物は良好な変換および収率でフタル酸に酸化する。エチルベンゼンおよびトルエンの供給物不純物は良好な変換および収率で安息香酸に酸化する。しかし発明者らは、顕著な量のイソフタル酸、フタル酸、および安息香酸がまた、パラキシレンを含む反応媒体中で、メタキシレン、オルトキシレン、エチルベンゼンおよびトルエンの酸化以外によって形成されることを認めた。これらの他の内在的な化学的ルートは、場合により、脱カルボニル、脱カルボキシル、遷移状態の再編成、ならびにメチル基およびカルボニル基の芳香環への付加を含む。
易酸化性化合物の供給物中の不純物の好ましい範囲の評価においては、多くの要因が関連している。供給物中の任意の不純物は、酸化された生成物の純度の要求が十分に厳しい場合(例えば、工業用純度で典型的に見出されるパラキシレン、トルエンおよびエチルベンゼンの部分酸化のための反応媒体において、パラキシレンは安息香酸をもたらし、この安息香酸の大部分は殆どの工業用TPAから除去される)、直接収率損失および生成物精製コストとなりやすい。供給物不純物の部分酸化生成物が追加の反応にあずかる場合、どれだけ多くの供給物精製コストを被るかを考慮する際(例えば、パラキシレンの部分酸化のための反応媒体において、エチルベンゼンは安息香酸をもたらし、そして安息香酸は続いて高度に着色した9−フルオレノン−2−カルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、および増大した炭素酸化物を特にもたらす)、単純な収率損失および除去以外の要因は適切になる。反応媒体が追加量の不純物を化学的機構により供給物不純物とは直接関連せずに自己生成する場合、分析はさらにより複雑になる(例えば、パラキシレンの部分酸化のための反応媒体において、安息香酸もまたパラキシレン自体から自己生成する)。加えて、粗酸化生成物の下流の工程は、好ましい供給物純度の考慮に影響する場合がある。例えば、直接の不純物(安息香酸)およびこれにより生じる不純物(イソフタル酸、フタル酸、9−フルオレノン−2−カルボン酸等)を好適レベルまで除去するコストは1種かつ同じである場合があり、互いに異なる場合があり、そして大部分が関係しない不純物(例えば、パラキシレンのTPAへの酸化における不完全酸化生成物4−CBA)の除去の要求から異なる場合がある。
以下に開示されるパラキシレンに対する供給物純度範囲は、パラキシレンが溶媒および酸化剤とともに、TPAを生成する部分酸化のための反応媒体に供給する場合に好ましい。これらの範囲は、酸化剤および溶媒以外の不純物(例えば触媒金属)を反応媒体から除去するための後酸化ステップを有するTPA生成プロセスにおいてより好ましい。これらの範囲は、追加の4−CBAをCTAから除去する(例えば、CTAをジメチルテレフタレートおよび不純物エステルに変換すること、および続いて4−CBAのメチルエステルを、蒸留により、4−CBAをTPAに変換するための酸化的消化法により、4−CBAをパラトルイル酸に変換するための水素化法により、分離すること、これは次いで一部結晶化法により分離される)TPA生成プロセスにおいてさらにより好ましい。これらの範囲は、4−CBAをTPAに変換するための酸化的消化法によって追加の4−CBAをCTAから除去するTPA生成プロセスにおいて最も好ましい。
再循環する芳香族化合物の好ましい範囲と供給物不純物の酸化から直接形成される芳香族化合物の相対量とを、他の内在的な化学的ルートと比較した新たな知見を用い、TPA生成のための部分酸化プロセスに供給される不純パラキシレンについて不純物の改善された範囲が見出された。以下の表2は、パラキシレンの100万分の1質量部で表される、パラキシレン供給物中のメタキシレン、オルトキシレン、およびエチルベンゼン+トルエンの量についての好ましい値を与える。
当業者は、不純パラキシレン中の上記の不純物が、再循環された溶媒中にこれらの部分酸化生成物が蓄積された後に反応媒体に対してこれらの最大の作用を有してもよいことをここで理解することになる。例えば、最も好ましい範囲の上側量、400ppmw、のメタキシレン、を供給することは、反応媒体中の約33質量パーセントの固体と操作する場合、直ちに約200ppmwのイソフタル酸を反応媒体の液相中に生成することとなる。これを、再循環された溶媒中のイソフタル酸の最も好ましい範囲の上側量400ppmw(典型的な溶媒蒸発をさせて反応媒体を冷却した後の反応媒体の液相中約1,200ppmwのイソフタル酸に等しい)からの投入と比較する。よって、再循環された溶媒中に部分酸化生成物が時間と共に蓄積することは、不純パラキシレンの供給物中のメタキシレン、オルトキシレン、エチルベンゼン、およびトルエンの不純物の最大の起こり得る影響を示す。従って、不純パラキシレン供給物中の不純物の上記範囲は、特定の加工ユニットにおける任意の部分酸化反応媒体の操作の各日の少なくとも2分の1に維持することが好ましく、より好ましくは少なくとも7連続作業日の各日の少なくとも4分の3であり、そして最も好ましいのは、不純パラキシレン供給物組成物の質量計量平均が、少なくとも30連続作業日で好ましい範囲内となる場合である。
好ましい純度の不純パラキシレンを得るための手段は当該分野で既に公知であり、これらに限定するものではないが、蒸留、準環境温度での一部結晶化法、および選択的空隙サイズ吸着を用いる分子篩法が挙げられる。しかしここで特定される純度の好ましい範囲は、これらの上端では、パラキシレンの市販業者によって特徴的に行われるよりも要求が厳しく高価であり;そしてさらに下端では、好ましい範囲では、パラキシレン自体からの不純物自己生成および反応媒体中での不純物消費反応の組合された効果が不純パラキシレン中での不純物の供給割合よりも重要になる場合の発見および開示により、部分酸化反応媒体に供給するためのパラキシレンの過度にコスト高の精製が回避される。
キシレン含有供給物流が選択された不純物、例えばエチルベンゼンおよび/またはトルエンを含有する場合、これらの不純物の酸化は安息香酸を生成させる可能性がある。ここで使用する用語「不純物生成(impurity-generated)安息香酸」は、キシレン酸化におけるキシレン以外の任意の起源に由来する安息香酸を意味するものとする。
ここに開示するように、キシレン酸化の間に生成する安息香酸の一部はキシレン自体に由来する。キシレンからの安息香酸のこの生成は、不純物生成安息香酸であると思われる安息香酸生成の任意の部分に加えて際立ったものである。理論に拘束するつもりはないが、安息香酸は、キシレンの種々の中間酸化生成物が自然発生的に脱カルボニル(一酸化炭素損失)または脱カルボキシル(二酸化炭素損失)してこれによりアリール基を生成する際の反応媒体中のキシレンに由来すると考えられる。次いで、これらのアリール基は、反応媒体中の多くの使用可能な起源の1つから水素原子を取出して自己生成安息香酸を生成できる。化学的機構にかかわらず、ここで使用する用語「自己生成安息香酸」は、キシレン酸化の間のキシレンに由来する安息香酸を意味するものとする。
ここでまた開示するように、パラキシレンが酸化されてテレフタル酸(TPA)を生成する場合、自己生成安息香酸の生成はパラキシレン収率損失および酸化剤収率損失の原因となる。加えて、反応媒体の液相中に自己生成安息香酸が存在することは、多くの望ましくない副反応、特にモノカルボキシフルオレノンと呼ばれる高度に着色した化合物の発生等の増大と相互関連する。自己生成安息香酸はまた、反応媒体の液相中の安息香酸の濃度がさらに高い再循環された溶媒中の安息香酸の望ましくない蓄積の原因となる。よって、自己生成安息香酸の形成は望ましく最小化されるが、これはまた不純物生成安息香酸、安息香酸の消費に作用する要因、反応選択性の他の事項に付随する要因、および全体的な経済性と同時に適切に考慮される。
発明者らは、安息香酸の自己生成を、例えば温度、キシレン分布、および酸化の間の反応媒体中での酸素利用可能性、の適切な選択により低レベルに制御できることを見出した。理論に拘束されることを望まないが、より低い温度および改善された酸素利用可能性により、脱カルボニル割合および/または脱カルボキシル割合を抑制し、従って自己生成安息香酸の収率損失が回避されると考えられる。十分な酸素利用可能性は、アリール基を他のより良性の生成物、特にヒドロキシ安息香酸に向けるものと考えられる。反応媒体中のキシレンの分布はまた、アリール基の安息香酸またはヒドロキシ安息香酸への変換の間のバランスに作用する場合がある。化学的機構にかかわらず、発明者らは、反応条件が、安息香酸の生成を低減するのに十分に緩やかであるが高割合のヒドロキシ安息香酸生成物を一酸化炭素および/または二酸化炭素(これらは酸化生成物から容易に除去される)に酸化させるのに十分に厳しいことを見出した。
本発明の好ましい態様において、酸化反応器は、自己生成安息香酸の形成が最小化されかつヒドロキシ安息香酸の一酸化炭素および/または二酸化炭素への酸化が最大化されるような様式で構成および操作される。パラキシレンをテレフタル酸に酸化するために酸化反応器が採用される場合、パラキシレンが、反応器内に導入される供給物流中の全キシレンの少なくとも約50質量パーセントを構成することが好ましい。より好ましくは、パラキシレンが、供給物流中の全キシレンの少なくとも約75質量パーセントを構成する。さらにより好ましくは、パラキシレンが、供給物流中の全キシレンの少なくとも約95質量パーセントを構成する。最も好ましくは、パラキシレンが、供給物流中の全キシレンの実質的に全てを構成する。
パラキシレンをテレフタル酸に酸化するために反応器を採用する場合、テレフタル酸の生成割合が最大化される一方、自己生成安息香酸の生成割合が最小化されることが好ましい。好ましくは、テレフタル酸の(質量による)生成割合の、自己生成安息香酸の(質量による)生成割合に対する比は、少なくとも約500:1であり、より好ましくは少なくとも約1,000:1、および最も好ましくは少なくとも1,500:1である。以下で分かるように、自己生成安息香酸の生成割合は、好ましくは、反応媒体の液相中の安息香酸の濃度が2,000ppmw未満、より好ましくは1,000ppmw未満、および最も好ましくは500ppmw未満の場合で測定される。これらの低い濃度により安息香酸を他の化合物に変換する反応が好適に低割合に抑えられるからである。
自己生成安息香酸と不純物生成安息香酸との組合せで、テレフタル酸の(質量による)生成割合の、全(自己生成および不純物生成)安息香酸の(質量による)生成割合に対する比は、好ましくは少なくとも約400:1であり、より好ましくは少なくとも約700:1、および最も好ましくは少なくとも1,100:1である。以下で分かるように、自己生成安息香酸プラス不純物生成安息香酸の合計生成割合は、好ましくは、反応媒体の液相中の安息香酸の濃度が500ppmw未満の場合で測定される。これらの低い濃度により安息香酸を他の化合物に変換する反応が好適に低割合に抑えられるからである。
ここに開示するように、反応媒体の液相中の高濃度の安息香酸は、多くの他の芳香族化合物(これらのうち幾つかはTPA中の有害な不純物である)の形成の増大を招来し、そしてここに開示するように、反応媒体の液相中の高濃度の安息香酸は、炭素酸化物ガスの形成の増大(その形成は酸化剤ならびに芳香族化合物および/または溶媒の収率損失を意味する)を招来する。さらに、安息香酸が自身は消費されることなく他の反応を触媒するのと対照的に、他の芳香族化合物および炭素酸化物のこの増大した形成の無視できない部分が、安息香酸分子自身の幾らかかを変換する反応に由来することを発明者らが見出したことがここで開示される。従って、「安息香酸の正味の生成量」は、反応媒体を出る全ての安息香酸の時間平均の質量、マイナス、同じ時間内に反応媒体に入る全ての安息香酸の時間平均の質量、とここで定義する。安息香酸のこの正味の生成量は、しばしば正であり、不純物生成安息香酸および自己生成安息香酸の形成割合によりもたらされる。しかし発明者らは、安息香酸から炭素酸化物および幾つかの他の化合物への変換割合が、温度、酸素利用可能性、STRおよび反応活性を含む他の反応条件を適切に一定に維持して測定した場合に、安息香酸の濃度が反応媒体の液相中で増大するにつれて近似的に線形的に増大すると考えられることを見出した。よって、反応媒体の液相中の安息香酸の濃度が十分大きい場合には、おそらく再循環された溶媒中の高濃度の安息香酸によって、安息香酸分子の、炭素酸化物等の他の化合物への変換は、新たな安息香酸分子の化学的生成と等しくまたはこれより大きくなることができる。この場合、安息香酸の正味の生成量は、差し引きゼロ近傍またはさらに負になることができる。発明者らは、安息香酸の正味の生成量が正の場合には、反応媒体中のテレフタル酸の(質量による)生成割合を、反応媒体中の安息香酸の正味の生成割合と比べた比が、好ましくは約700:1超であり、より好ましくは約1,100:1超であり、および最も好ましくは4,000:1超であることを見出した。発明者らは、安息香酸の正味の生成量が負の場合には、反応媒体中のテレフタル酸の(質量による)生成割合を、反応媒体中の安息香酸の正味の生成割合と比べた比が、好ましくは約200:(−1)超であり、より好ましくは約1,000:(−1)超であり、および最も好ましくは5,000:(−1)超であることを見出した。
発明者らは、反応媒体から取出されるスラリー(液体+固体)およびスラリーの固体CTA部分の組成の好ましい範囲も見出した。好ましいスラリー組成および好ましいCTA組成は、驚くほど優れかつ有用である。例えば、この好ましいCTAから酸化的消化により生成される精製されたTPAは、十分に低レベルの全不純物および着色した不純物を有するために、精製されたTPAは、追加の4−CBAおよび/または着色した不純物の水素化なしで、PET繊維およびPET包装の用途における広範囲の用途に対して好適である。例えば、好ましいスラリー組成は、重大な不純物の濃度が比較的低くかつこれがここで開示されるような他のさらにより望ましくない不純物の生成を大きく低減するような反応媒体の液相を与える。加えて、好ましいスラリー組成は、本発明の他の態様に従って、スラリーからの液体が好適に純粋な再循環された溶媒になる後続の工程の大きな助けとなる。
本発明の一態様に従って生成されるCTAは、選択された種の不純物を、従来のプロセスおよび装置、とりわけ再循環された溶媒を用いるもの、により生成されるCTAよりも少なく含む。CTA中に存在する場合がある不純物としては、以下が挙げられる:4−カルボキシベンズアルデヒド(4−CBA)、4,4’−ジカルボキシスチルベン(4,4’−DCS)、2,6−ジカルボキシアントラキノン(2,6−DCA)、2,6−ジカルボキシフルオレノン(2,6−DCF)、2,7−ジカルボキシフルオレノン(2,7−DCF)、3,5−ジカルボキシフルオレノン(3,5−DCF)、9−フルオレノン−2−カルボン酸(9F−2CA)、9−フルオレノン−4−カルボン酸(9F−4CA)、個々には列挙しない他のフルオレノンを含むフルオレノン全体(全フルオレノン)、4,4’−ジカルボキシビフェニル(4,4’−DCB)、2,5,4’−トリカルボキシビフェニル(2,5,4’−TCB)、フタル酸(PA)、イソフタル酸(IPA)、安息香酸(BA)、トリメリット酸(TMA)、パラトルイル酸(PTAC)、2,6−ジカルボキシベンゾクマリン(2,6−DCBC)、4,4’−ジカルボキシベンジル(4,4’−DCBZ)、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン(4,4’−DCBP)、2,5,4’−トリカルボキシベンゾフェノン(2,5,4’−TCBP)。以下の表3は、本発明の一態様に従って生成するCTA中のこれらの不純物の好ましい量を与える。
加えて、本発明の態様に従って生成するCTAは、従来のプロセスおよび装置、とりわけ再循環された溶媒を採用するもの、により生成されるCTAと比較して、低減された着色量を有することが好ましい。よって、本発明の一態様に従って生成するCTAでは、340ナノメートル(nm)での百分率透過率パーセントが、好ましくは少なくとも約25パーセント、より好ましくは少なくとも約50パーセント、および最も好ましくは少なくとも60パーセントである。本発明の一態様に従って生成するCTAでは、400ナノメートル(nm)での百分率透過率パーセントが、さらに好ましくは少なくとも約88パーセント、より好ましくは少なくとも約90パーセント、および最も好ましくは少なくとも92パーセントである。
透過率パーセントに対する試験は、TPA中またはCTA中に存在する着色した光吸収性の不純物の指標を与える。ここで使用される試験は、2.00グラムの乾燥固体のTPAまたはCTAを20.0ミリリットルのジメチルスルホキシド(DMSO)中(分析グレード以上)に溶解させることにより調製される溶液の一部で行う測定を意味する。次いで、この溶液の一部を、石英で形成され光路長1.0cmおよび容積0.39ミリリットルのHellma semi−micro flow cell,PN 176.700(Hellma USA,80 Skyline Drive,Plainview,NY 11803)内に置く。Agilent 8453 Diode Array Spectrophotometerを用いて、この充填されたフローセル(Agilent Technologies,395 Page Mill Road,Palo Alto,CA 94303)を通る種々の波長の光の透過率を測定する。吸収をバックグラウンドから適切に較正した後、これらに限定するものではないが、使用したセルおよび溶媒、透過率パーセントの結果、溶液を通って透過する入射光部分の特徴等を直接機械で記録する。光波長340ナノメートルおよび400ナノメートルでの透過率パーセント値は、純粋なTPAをその中に典型的に見出される多くの不純物から識別するのに特に有用である。
反応媒体のスラリー(固体+液体)相中の種々の芳香族不純物の好ましい範囲を、以下で表4に与える。
スラリーについてのこれらの好ましい組成は、反応媒体からのサンプリング、液体と固体との分離、および分析条件の変更の間に追加の液相成分が反応媒体から固相成分に沈殿することに付随する実験的な困難性を有用に回避しつつ、反応媒体の液相の好ましい組成を具体化する。
多くの他の芳香族不純物もまた、反応媒体のスラリー相中および反応媒体のCTA中に典型的に存在し、一般的には、さらにより低いレベルでおよび/または開示される芳香族化合物の1種以上に比例して変動する。開示される芳香族化合物を好ましい範囲に制御することにより、他の芳香族不純物が好適なレベルに維持されることになる。反応媒体中のスラリー相についての、およびスラリーから直接採取される固体CTAについてのこれらの有利な組成は、パラキシレンのTPAへの部分酸化のためにここに開示される本発明の態様の操作により可能となる。
溶媒中、再循環された溶媒中、CTA中、反応媒体からのスラリー中、およびPTA中の低レベル成分の濃度の測定は、液体クロマトグラフィー法を用いて行う。2つの互換可能な態様をここで記載する。
ここでHPLC−DADと説明される方法は、所定試料中の種々の分子種を分離および定量するためのダイオードアレイ検出器(DAD)と組合せた高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む。この測定において使用される器具は、Agilent Technologies(Palo Alto,CA)により提供されるDADを備えるモデル1100 HPLCであるが、他の好適な器具もまた他の業者から市販で入手可能である。当該分野で公知であるように、溶出時間および検出器応答の両者は、既知量で存在する既知化合物、実際の未知試料中に存在するものに対して適切である化合物および量を用いて較正される。
ここでHPLC−MSとして説明される方法は、所定試料中の種々の分子種を分離、同定、および定量するための質量分光法(MS)と組合された高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む。この測定において使用される器具は、Waters Corp.(Milford,MA)により提供されるAlliance HPLCおよびZQ MSであるが、他の好適な器具もまた他の業者から市販で入手可能である。当該分野で公知であるように、溶出時間および質量分光応答の両者は、既知量で存在する既知化合物、実際の未知試料中に存在するものに対して適切である化合物および量を用いて較正される。
本発明の他の態様は、一方では有害な芳香族不純物の抑制、対して他方では二酸化炭素および一酸化炭素、総称して炭素酸化物(COx)の生成、の適切なバランスを有する芳香族易酸化性化合物の部分酸化に関する。これらの炭素酸化物は、典型的にはオフガス中で反応器を出て、そしてこれらは溶媒、および根本的に好ましい酸化された誘導体(例えば、酢酸、パラキシレン、およびTPA)等の易酸化性化合物の破壊損失に関係する。発明者らは、炭素酸化物の生成の下限(これより下では、以下に記載するように有害な芳香族不純物の生成量が高いと思われる)、および低い全体的な変換レベルは経済的な利用に対して必然的に乏しすぎることを見出した。発明者らはまた、炭素酸化物の上限(これより上では、炭素酸化物の発生の増大が続いても、有害な芳香族不純物の発生の低減により与えられるさらなる価値は少ない)を見出した。
発明者らは、芳香族易酸化性化合物供給物および芳香族中間種の反応媒体中での液相濃度を低減することが、芳香族易酸化性化合物の部分酸化の間の有害不純物の生成割合の低減を招来することを見出した。これらの有害不純物としては、所望の数より多いカルボン酸基を含む、共役の芳香環および/または芳香族分子(例えばパラキシレンの酸化において、有害不純物としては、2,6−ジカルボキシアントラキノン、2,6−ジカルボキシフルオレノン、トリメリット酸、2,5,4’−トリカルボキシビフェニル、および2,5,4’−ベンゾフェノンが挙げられる)が挙げられる。芳香族中間種としては、易酸化性芳香族化合物の供給物に由来し、かつ非芳香族ヒドロカルビル基をなお保持している芳香族化合物(例えばパラキシレンの酸化において、芳香族中間種は、パラトルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、パラトルイル酸、4−CBA、4−ヒドロキシメチル安息香酸、およびアルファ−ブロモ−パラトルイル酸を含む)が挙げられる。芳香族易酸化性化合物供給物、および非芳香族ヒドロカルビル基を保持している芳香族中間体種は、反応媒体の液相中に存在する場合、非芳香族ヒドロカルビル基を有さない溶解した芳香族種(例えばイソフタル酸)に対して既にここに開示したのと同様の様式で有害不純物を招来すると考えられる。
易酸化性芳香族化合物の部分酸化の間の有害な芳香族不純物の形成を抑制するためのより高い反応活性に対するこの要求に対抗し、発明者らは、炭素酸化物の生成の増大が望ましくない付随の結果であることを見出した。これらの炭素酸化物が溶媒のみでなく易酸化性化合物および酸化剤の収率損失を表すことを認識することが重要である。明白に、炭素酸化物の実質的および時には主要な割合が、溶媒よりもむしろ易酸化性化合物およびその誘導体に由来し;そしてしばしば易酸化性化合物は炭素単位当たりで溶媒よりもコスト高となる。さらに、所望の生成物カルボン酸(例えばTPA)もまた、反応媒体の液相中に存在する場合、炭素酸化物までの過度な酸化を受けることを認識することが重要である。
本発明は、反応媒体の液相中の反応およびそれにおける反応物質濃度に関することを認識することもまた重要である。これは、非芳香族ヒドロカルビル基を保持している芳香族化合物の沈殿した固体形態中での形成に直接関する幾つかの先行発明とは対照的である。具体的には、パラキシレンのTPAへの部分酸化に対し、特定の先行発明はCTAの固相中に沈殿する4−CBAの量に関連する。しかし、本発明者らは、部分酸化が良好に混合されたオートクレーブ内で行われるかまたは本発明に従って段階分けする酸素およびパラキシレンを有する反応媒体中で行われるかに依存する、同じ仕様の温度、圧力、触媒、溶媒組成およびパラキシレンの空時反応速度を用いる、固相中の4−CBAの液相中の4−CBAに対する比についての2対1より大きい相違を見出した。さらに発明者らは、固相中の4−CBAの液相中の4−CBAに対する比がまた、良好に混合されるかまたは段階分けされるかの反応媒体であってパラキシレンの空時反応速度に依存するもののいずれにおいても、他の同様である仕様の温度、圧力、触媒、および溶媒組成において、2対1超まで変動できることを認めた。加えて、固相CTA中の4−CBAは、有害不純物の形成に寄与しないと考えられ、そして固相中の4−CBAは、単純かつ高収率で回収およびTPAに酸化でき(例えば、ここに記載されるようなCTAスラリーの酸化的消化によって);一方で、有害不純物の除去は固相4−CBAの除去よりもはるかに困難かつコスト高であり、そして炭素酸化物の生成は恒久的な収率損失を意味する。よって、本発明のこの側面が反応媒体中の液相組成に関することを認識することが重要である。
溶媒または易酸化性化合物のいずれの起源でも、商業的用途の変換では、全体的な反応活性のレベルを得るために採用される温度、金属、ハロゲン、温度、pHで測定される反応媒体の酸性度、水濃度の具体的な組合せが幅広くばらつくことに関わらず、炭素酸化物の生成が全体的な反応活性のレベルに強く関係することを発明者らは見出した。発明者らは、キシレンの部分酸化について、反応媒体の中間高さ、反応媒体の底部、および反応媒体の頂部でのトルイル酸の液相濃度を用いて全体的な反応活性のレベルを評価することが有用であることを見出した。
よって、反応活性を増大させることによって有害不純物の生成を最小化するための、およびさらに、反応活性を低下させることによって炭素酸化物の生成を最小化するための、重要な同時の釣り合いが生じる。すなわち、炭素酸化物の全体的な生成が過度に低く抑えられる場合には、過剰なレベルの有害不純物が形成され、逆もまた同様である。
さらに発明者らは、所望のカルボン酸(例えばTPA)の溶解性および相対的な反応性、ならびに非芳香族ヒドロカルビル基を有さない他の溶解した芳香族種の存在が、炭素酸化物対有害不純物のこの釣り合いにおいて極めて重要な支点を導入することを見出した。所望の生成物カルボン酸は、固体形態でも存在する場合であっても、典型的には反応媒体の液相中に溶解する。例えば、好ましい範囲の温度では、TPAは、酢酸および水を、約1000ppmwから1質量パーセント超の範囲のレベルで含む反応媒体中に可溶であり、溶解性は温度が上昇するにつれて増大する。易酸化性芳香族化合物供給物(例えばパラキシレン)からの、芳香族反応中間体(例えばパラトルイル酸)からの、望ましい生成物の芳香族カルボン酸(例えばTPA)からの、および非芳香族ヒドロカルビル基を有さない芳香族種(例えばイソフタル酸)からの種々の有害不純物の形成に対する反応割合において相違が存在するにもかかわらず、後者2つの群の存在および反応性は、前者2つの群、易酸化性芳香族化合物供給物および芳香族反応中間体のさらなる抑制について収量逓減(diminishing returns)する領域を定める。例えば、パラキシレンのTPAへの部分酸化において、既知条件で反応媒体の液相中の溶解したTPAが7,000ppmwに達する場合、溶解した安息香酸は8,000ppmwに達し、溶解したイソフタル酸は6,000ppmwに達し、そして溶解したフタル酸は2,000ppmwに達し、全有害化合物のさらなる低下に対する値は、反応活性が増大してパラトルイル酸および4−CBAの液相濃度が同様のレベルより下に抑えられるにつれて下がり始める。すなわち、非芳香族ヒドロカルビル基を有さない芳香族種の反応媒体の液相中の存在および濃度の、反応活性の増大による変化は極めて小さく、そしてこれらの存在は、有害不純物の形成を抑制する目的で反応中間体の濃度を低減するために収量逓減の領域を上方に拡張する働きをする。
よって、本発明の一態様は、好ましい範囲の炭素酸化物(一酸化炭素および二酸化炭素)であって、下端が低い反応活性および有害不純物の過度の形成により限定され、そして上端が過度の炭素損失(しかし商業的に有用なものとして前に見出されおよび開示されたよりも低いレベルで)によって限定されるものを提供する。従って、炭素酸化物の形成は、好ましくは以下のように制御する。生成される全炭素酸化物のモル数の、供給する易酸化性芳香族化合物のモル数に対する比は、好ましくは約0.02:1から約0.25:1の範囲、より好ましくは約0.04:1から約0.22:1の範囲、さらにより好ましくは約0.05:1から約0.19:1の範囲、および最も好ましくは0.06:1から0.15:1の範囲である。生成する二酸化炭素のモル数の、供給する易酸化性芳香族化合物のモル数に対する比は、好ましくは約0.01:1から約0.21:1の範囲、より好ましくは約0.03:1から約0.19:1の範囲、さらにより好ましくは約0.04:1から約0.16:1の範囲、および最も好ましくは0.05:1から0.11:1の範囲である。生成する一酸化炭素のモル数の、供給する易酸化性芳香族化合物のモル数に対する比は、好ましくは約0.005:1から約0.09:1の範囲、より好ましくは約0.01:1から約0.07:1の範囲、さらにより好ましくは約0.015:1から約0.05:1の範囲、および最も好ましくは0.02:1から0.04の範囲である。
酸化反応器からの乾燥オフガス中の二酸化炭素の量は、好ましくは約0.1から約1.5モルパーセントの範囲、より好ましくは約0.20から約1.2モルパーセントの範囲、さらにより好ましくは約0.25から約0.9モルパーセントの範囲、および最も好ましくは0.30から0.8モルパーセントの範囲である。酸化反応器からの乾燥オフガス中の一酸化炭素の量は、好ましくは約0.05から約0.6モルパーセントの範囲、より好ましくは約0.10から約0.5モルパーセントの範囲、さらにより好ましくは0.15から約0.35モルパーセントの範囲、および最も好ましくは0.18から0.28モルパーセントの範囲である。
発明者らは、炭素酸化物の生成をこれらの好ましい範囲に低減するための重要な要因は、本発明の開示に従って、再循環された溶媒および易酸化性化合物の供給物の純度を改善して、非芳香族ヒドロカルビル基を有さない芳香族化合物の濃度を低減すること(これは同時に炭素酸化物および有害不純物の形成を低減する)であることを見出した。他の要因は、本発明の開示に従って反応容器内でのパラキシレンおよび酸化剤の分布を改善することである。炭素酸化物の上記の好ましいレベルを可能にする他の要因は、ここに開示するように、反応媒体において、圧力、温度、液相中の易酸化性化合物濃度、および気相中の酸化剤に勾配をつけて操作することである。炭素酸化物の上記の好ましいレベルを可能にする他の要因は、ここでの開示で好ましい範囲内の空時反応速度、圧力、温度、溶媒組成、触媒組成、および反応容器の機械的配置で操作することである。
炭素酸化物形成の好ましい範囲内で操作することの1つの考えられる利点は、ストイキオメトリー値にではないが分子酸素の使用を低減できることである。本発明に従った酸化剤および易酸化性化合物の良好な段階分けにかかわらず、炭素酸化物の幾らかかの損失を考慮に入れ、過剰の分子酸素を与えて有害不純物の形成を制御するために、過剰の酸素を、易酸化性化合物のみの供給物について算出されるストイキオメトリー値より多く保持しなければならない。キシレンが易酸化性化合物の供給物である場合について具体的に、分子酸素の質量のキシレンの質量に対する供給比は、好ましくは約0.9:1から約1.5:1の範囲、より好ましくは約0.95:1から約1.3:1の範囲、および最も好ましくは1:1から1.15:1の範囲である。キシレン供給物に対して具体的に、酸化反応器からの乾燥オフガス中の分子酸素の時間平均の含有量は、好ましくは約0.1から約6モルパーセントの範囲、より好ましくは約1から約2モルパーセントの範囲、および最も好ましくは1.5から3モルパーセントの範囲である。
炭素酸化物形成の好ましい範囲内で操作することの他の考えられる利点は、芳香族化合物の炭素酸化物および他の価値が少ない形態への変換がより少ないことである。この利点は、連続時間、好ましくは1時間、より好ましくは1日、および最も好ましくは30連続日を通じて、反応媒体を出る全芳香族化合物のモル数の合計を反応媒体に入る全芳香族化合物のモル数の合計で除したものを用いて数値化される。以後この比は、反応媒体を経る芳香族化合物の「モル(molar)残存比率」といい、数値パーセンテージで表す。入る全ての芳香族化合物が反応媒体を芳香族化合物として出る場合、入る芳香族化合物のほぼ酸化された形態でではあるが、モル残存比率はその最大値が100パーセントである。全100の入る芳香族分子のうち厳密に1が、反応媒体を通過する間に炭素酸化物および/または他の非芳香族分子(例えば酢酸)に変換される場合、モル残存比率は99パーセントである。キシレンが易酸化性芳香族化合物の主な供給物である場合について具体的に、反応媒体を経る芳香族化合物についてのモル残存比率は、好ましくは約98から約99.9パーセントの範囲、より好ましくは約98.5から約99.8パーセントの範囲、および最も好ましくは99.0から99.7パーセントの範囲である。
本発明の他の側面は、酢酸および1種以上の易酸化性芳香族化合物を含む反応媒体中での酢酸メチルの生成を包含する。この酢酸メチルは、水および酢酸と比べて比較的揮発性であり、従って、オフガスを放出し環境に戻す前に追加の冷却または他のユニット操作を採用してこれを回収しおよび/または崩壊させなければ、オフガスに追随する傾向がある。よって酢酸メチルの形成は操業コストおよびまた資源コストを示す。おそらく酢酸メチルは、まずおそらく酢酸の分解によるメチル基(radical)を酸素と組合せてメチルヒドロペルオキシドを生成することにより、続いて分解してメタノールを形成することにより、そして最後に生成したメタノールが残りの酢酸と反応して酢酸メチルを形成することにより、形成される。どの化学的経路であっても、酢酸メチルの生成が低率すぎるあらゆる場合で、炭素酸化物の生成もまた低すぎて有害芳香族不純物の生成が高すぎることを発明者らは見出した。酢酸メチルの生成が高率すぎる場合には、炭素酸化物の生成もまた不必要に高く、溶媒、易酸化性化合物および酸化剤の収率損失を招来する。ここに開示される好ましい態様を採用する場合、生成される酢酸メチルのモル数の、供給される易酸化性芳香族化合物のモル数に対する生成比は、好ましくは約0.005:1から約0.09:1の範囲、より好ましくは約0.01:1から約0.07:1の範囲、および最も好ましくは0.02:1から約0.04:1の範囲である。
二酸化炭素、一酸化炭素、これらの合計および/もしくは酢酸メチルの発生量がここに開示される好ましい範囲より少ない場合、または芳香族化合物についてのモル残存比率がここに開示される好ましい範囲よりも大きい場合、反応活性が増大またはSTRが低減されるのがよい。ある活性促進因子は、温度をここに開示される好ましい範囲に上昇させることである。他の活性促進因子は、触媒化学物質と溶媒との混合により与えられるような触媒活性を増大させることである。一般的に、コバルトおよび/または臭素の濃度を増大させると、これらがここでの好ましい範囲内で使用される場合には反応活性を促進することができる。反応媒体中の他の触媒成分および水の濃度を調整することもまた、反応活性を促進するために用いることができる。STRは、易酸化性化合物の供給割合の低減によって、および/または反応媒体の体積の増大によって、低減する。
二酸化炭素、一酸化炭素、これらの合計および/もしくは酢酸メチルの発生量がここに開示される好ましい範囲より多い場合、ならびに/または芳香族化合物についてのモル残存比率がここに開示される好ましい範囲よりも小さい場合、好ましい制御動作としては、この場合もここに開示される好ましい範囲での、上記の動作の逆が挙げられる。発明者らは、CTA中および反応媒体中の有害不純物により評価されるような酸化の質を良好に維持しつつSTRをここでの範囲内に可能な限り上昇させることが特に役立つことに注目する。発明者らは、この酸化の質をこのような高STRに維持するのは困難であること、および以下の:反応媒体に入る際の供給物の分散、反応媒体全体の曝気品質、反応媒体から出る際の脱気、反応媒体全体の酸素STRおよび溶解した酸素、反応媒体を出る過剰の酸化剤、酸素STRの望ましい空間的勾配、易酸化性化合物濃度の望ましい空間的勾配、酸化剤濃度の望ましい空間的勾配、塔頂圧、圧力の望ましい空間的勾配、および反応媒体の中間高さでの所望の温度、およびここに開示される全てに関しては極めて注意深い留意が必要であることに重ねて注目する。さらに加えて、そしてより低い二酸化炭素、一酸化炭素、および/もしくはこれらの合計を実現するために、ならびに/または芳香族化合物についてのモル残存比率を増大させるために、非芳香族ヒドロカルビル基を有さない可溶な芳香族化合物(例えばイソフタル酸、フタル酸および安息香酸)の反応媒体中での濃度を抑制することが有用であることを発明者らは見出した。この抑制は、易酸化性化合物のより純粋な供給物および/またはより純粋な溶媒を、特にここに開示される各々についての好ましい範囲内で、用いることによる作用でもよい。
パラキシレンをテレフタル酸に、ここに開示する所望のSTRで、連続的に酸化させる反応媒体において、反応媒体の液相中のパラトルイル酸の量は、約200から約10,000ppmw、より好ましくは約800から約8,000ppmw、および最も好ましくは1,600から6,000ppmwの範囲に維持されることが好ましい。さらに、反応媒体中でのパラキシレンのテレフタル酸への変換は、好ましくは約50モルパーセント超、より好ましくは約90モルパーセント超、さらにより好ましくは約95モルパーセント超、および最も好ましくは97モルパーセント超に維持する。
本発明のある態様において、ここに開示される1つ以上の操作パラメータ(数値的に定量される操作パラメータ等)を工業的に十分な時間の間維持することが好ましい。好ましくは、上記の操作パラメータのうち1つ以上に関する操作を、少なくとも約1時間、より好ましくは少なくとも約12時間、さらにより好ましくは少なくとも約36時間、および最も好ましくは少なくとも96時間維持することが好ましい。よってここで特記しない限り、ここに記載される操作パラメータは、定常状態、最適/工業的な操作(起動、終了、または準最適な操作ではなく)に適用することを意図する。
発明者らは、ここに与えられる全ての数値範囲について、範囲の上端および下端が互いに独立であることができることに注目する。例えば、数値範囲10から100は10超および/または100未満を意味する。よって、範囲10から100は、特許請求の範囲の限定の10超(上限なし)、特許請求の範囲の限定の100未満(下限なし)、および10から100の範囲全部(上限および下端の両者あり)に対するサポートを与える。更に、数値範囲を修飾する用語「約」を用いる場合、一態様においては該数値範囲が正確な数値範囲であることを理解すべきである。
本発明を、その好ましい態様を特に参照して詳細に説明してきたが、本発明の精神および範囲の範囲内で変形および改変を行うことが可能であることが理解されよう。
Claims (31)
- (a)一次酸化反応器内で多相反応媒体を酸化させることによって第1のスラリーを生成すること;
(b)前記第1のスラリーの少なくとも一部を二次酸化反応器内でさらに酸化させること;
を含み、前記二次酸化反応器が気泡塔反応器である、ポリカルボン酸組成物を製造する方法。 - 芳香族化合物を前記一次酸化反応器内に導入することをさらに含み、前記一次反応器内に導入される前記芳香族化合物の少なくとも約80質量が前記一次酸化反応器内で酸化される、請求項1に記載の方法。
- 前記芳香族化合物がパラキシレンである、請求項2に記載の方法。
- ステップ(b)が、前記第1のスラリー中に存在するパラトルイル酸を酸化することを含む、請求項1に記載の方法。
- 第2のスラリーを前記二次酸化反応器から取出すことをさらに含み、前記第2のスラリーの液相中のパラトルイル酸の時間平均濃度が、前記第1のスラリーの液相中のパラトルイル酸の時間平均濃度の約50パーセント未満である、請求項4に記載の方法。
- 前記第1のスラリーの液相中のパラトルイル酸の時間平均濃度が、少なくとも約500ppmwであり、前記第2のスラリーの液相中のパラトルイル酸の時間平均濃度が、約250ppmw未満である、請求項5に記載の方法。
- 前記一次酸化反応器が気泡塔反応器である、請求項1に記載の方法。
- 前記二次酸化反応器が前記一次酸化反応器の外側に位置している、請求項1に記載の方法。
- 前記二次酸化反応器の少なくとも一部が、前記一次酸化反応器と横並びに位置している、請求項8に記載の方法。
- 前記二次酸化反応器がピストンフロー反応器でない、請求項1に記載の方法。
- 前記一次酸化反応器の頂端と底端との間に位置するスラリー出口経由で前記第1のスラリーを前記一次酸化反応器から取出すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 前記一次酸化反応器が、最大高さ(Hp)を有する一次反応ゾーンを内部に規定し、前記スラリー出口が、前記一次反応ゾーンの底端および頂端から少なくとも約0.1Hp間隔をあけられている、請求項11に記載の方法。
- 前記スラリー出口が、前記一次反応ゾーンの底端および頂端から少なくとも約0.25Hi間隔をあけられている、請求項12に記載の方法。
- 前記一次酸化反応器が一次反応ゾーンを内部に規定し、前記二次酸化反応器が二次反応ゾーンを内部に規定し、前記一次反応ゾーンの前記二次反応ゾーンに対する体積の比が約4:1から約50:1の範囲内である、請求項1に記載の方法。
- 前記一次反応ゾーンの、最大垂直高さの最大水平直径に対する比が約3:1から約30:1の範囲内であり、前記二次反応ゾーンの、最大垂直高さの最大水平直径に対する比が約1:1から約50:1の範囲内である、請求項14に記載の方法。
- 前記一次反応ゾーンの最大水平直径の、前記二次反応ゾーンの最大水平直径に対する比が、約0.1:1から約0.6:1の範囲内であり、前記一次反応ゾーンの最大垂直高さの、前記二次反応ゾーンの最大垂直高さに対する比が、約0.1:1から約0.9:1の範囲内である、請求項14に記載の方法。
- 前記一次反応ゾーンが最大直径(Dp)を有し、前記二次反応ゾーンの体積重心が、前記一次反応ゾーンの体積重心から少なくとも約0.5Dp水平方向に間隔をあけられている、請求項14に記載の方法。
- 前記一次反応ゾーンが最大高さ(Hp)を有し、前記二次反応ゾーンの体積重心が、前記一次反応ゾーンの体積重心から0.5Hp未満垂直方向に間隔をあけられている、請求項17に記載の方法。
- 第1の入口および第1の出口を規定する一次酸化反応器;ならびに
第2の入口および第2の出口を規定する二次酸化反応器;
を含み、前記第1の出口が、流体フロー伝達において前記第2の入口と連結しており、前記二次酸化反応器が気泡塔反応器である、反応器システム。 - 前記一次酸化反応器が気泡塔反応器である、請求項19に記載の反応器システム。
- 前記二次酸化反応器が、前記一次酸化反応器の外側に位置している、請求項19に記載の反応器システム。
- 前記二次酸化反応器の少なくとも一部が、前記一次酸化反応器と横並びに位置している、請求項21に記載の反応器システム。
- 前記二次反応器がピストンフロー反応器でない、請求項19に記載の反応器システム。
- 前記一次酸化反応器が、流体フロー伝達において前記二次酸化反応器と接続しているスラリー出口を規定し、前記スラリー出口が、前記一次酸化反応器の頂端と底端との間に位置している、請求項19に記載の反応器システム。
- 前記一次酸化反応器が一次反応ゾーンを内部に規定し、前記スラリー出口が、前記一次反応ゾーンの底端および頂端から少なくとも約0.1Hi間隔をあけられている、請求項24に記載の反応器システム。
- 前記スラリー出口が、前記一次反応ゾーンの底端および頂端から少なくとも約0.25Hi間隔をあけられている、請求項25に記載の反応器システム。
- 前記一次酸化反応器が一次反応ゾーンを内部に規定し、前記二次酸化反応器が二次反応ゾーンを内部に規定し、前記一次反応ゾーンの前記二次反応ゾーンに対する体積の比が約4:1から約50:1の範囲内である、請求項19に記載の反応器システム。
- 前記一次反応ゾーンの、最大垂直高さの最大水平直径に対する比が約3:1から約30:1の範囲内であり、前記二次反応ゾーンの、最大垂直高さの最大水平直径に対する比が約1:1から約50:1の範囲内である、請求項27に記載の反応器システム。
- 前記一次酸化ゾーンの最大水平直径の、前記二次酸化ゾーンの最大水平直径に対する比が、約0.1:1から約0.6:1の範囲内であり、前記一次酸化ゾーンの最大垂直高さの、前記二次酸化ゾーンの最大垂直高さに対する比が、約0.1:1から約0.9:1の範囲内である、請求項27に記載の反応器システム。
- 前記一次反応ゾーンが最大直径(Dp)を有し、前記二次反応ゾーンの体積重心が、前記一次反応ゾーンの体積重心から少なくとも約0.5Dp水平方向に間隔をあけられている、請求項27に記載の反応器システム。
- 前記一次反応ゾーンが最大高さ(Hp)を有し、前記二次反応ゾーンの体積重心が、前記一次反応ゾーンの体積重心から0.5Hp未満垂直方向に間隔をあけられている、請求項30に記載の反応器システム。
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