JP2009525031A5 - - Google Patents

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ドメイン抗体構築物
本発明は、ヒトの治療に有用なドメイン抗体構築物に関する。より詳細には、本発明は、ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体構築物、およびTNF-α活性を特徴とする障害の治療におけるこの使用に関する。
腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)は、敗血症、感染症、例えば関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎および他の腸疾患などの自己免疫疾患、乾癬、毒素性ショック、移植拒絶反応および移植片対宿主疾患を含む種々のヒト疾患および障害の、ショックおよび病態生理の媒介に関与しているサイトカインである。TNF-αは、主に、活性化したマクロファージおよびTリンパ球により産生されるが、急性炎症反応の間は好中球、内皮細胞、ケラチノサイトおよび線維芽細胞によっても産生される。
炎症における役割から、TNF-αは、炎症性障害の症状を軽減するため重要な阻害標的として浮上した。特に、可溶性TNF-α受容体およびTNF-α特異抗体の使用を含め、疾患の臨床治療のためのTNF-αの阻害に対する様々なアプローチが追求されている。
ドメイン抗体
ドメイン抗体(dAb)は、抗体の最も小さな機能性結合単位であり、抗体重鎖(VH)または軽鎖の(VL)可変領域に相当する。ドメイン抗体は、分子量約13kDa、すなわち完全な抗体の10分の1のサイズを有する。
従来の抗体とは対照的に、ドメイン抗体は、細菌系、酵母系および哺乳類系でよく発現される。ドメイン抗体の小さなサイズは、生成物1グラムあたりのモル量を高め、故にミリグラム投与量あたりの効力の大幅な増加をもたらす。さらに、dAbは、2つ以上のdAbが2つ以上の異なる分子標的に結合する、またはdAbが経肺もしくは経口投与用にデザインされた構造に組み込まれ得る複数の標的dAb含有分子などの治療薬を作成するための構成単位として使用することができる。
Dowerら PCT. 91/17271 米国特許第5,427,908号 米国特許第5,580,717号 EP527,839 Garrardら PCT WO92/09690 Griffithsら 米国特許第5,885,793号 EP589,877 Knappikら PCT WO97/08320 Ladnerら 米国特許第5,223,409号 米国特許第5,403,484号 米国特許第5,571,698号 米国特許第5,837,500号 EP436,597 McCaffertyら PCT. WO92/01047 米国特許第5,969,108号 EP589,877 Salfeldら PCT WO97/29131 米国特許願第20050004354号 Winterら PCT WO92/20791 EP368,684 PCT公報WO99/36569 PCT公報WO98/49286 PCT公報WO98/31700 PCT公報WO99/026711 PCT公報WO00/40712 米国仮出願第20050271663号 US5977307 US4,002,531 US5,349,052 WO95/06058 WO98/32466 US5,612,460 US20060210526 von Budingen H.C.ら、Characterization of the expressed immunoglobulin IGHV repertoire in the New World marmoset Callithrix jacchcus、Immunogenetics;53:557〜563頁(2001年) Devereauxら、Nucl. Acids Res.、12:387〜395頁、1984年 Barbasら(1991年)PNAS 88:7978〜7982頁 Clarksonら(1991年)Nature 352:624〜628頁 Fuchsら(1991年)Bio/Technology 9:1370〜1372頁 Garradら(1991年)Bio/Technology 9:1373〜1377頁 Gramら(1992年)PNAS 89:3576〜3580頁 Griffithsら(1993年)EMBO J 12:725〜734頁 Hawkinsら(1992年)J Mol Biol 226:889〜896年 Hayら(1992年)Hum Antibod Hybridomas 3:81〜85頁 Hoogenboomら(1991年)Nuc Acid Res 19:4133〜4137頁 Huseら(1989年)Science 246:1275〜1281頁 Knappikら(2000年)J Mol Biol 296:57〜86頁 McCaffertyら(1990年)Nature 348:552〜554頁 Cramerら、Curr. Top. Microbol. Immunol. 240:95〜118頁 1999年 Hoodら、Adv. Exp. Med. Biol. 464:127〜147頁 1999年 Conradら、Plant Mol. Biol. 38:101〜109頁 1998年 Fischerら、Biotcchnol. Appl. Biochem. 30:99〜108頁、1999年10月 Ma & Hein.、Trends Biotechnol. l3:522〜7頁 1995年 Maら、Plant Physiol. 109:341〜6頁 1995年 Whitelamら、Biochem, Soc. Trans. 22:940〜944頁 1994年 Sambrookら、 Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、N.Y. 1989年、第17.37〜17.42節 Ausubelら編 Current Protocols in Molecular Biology 1987〜1993年、第10、12、13、16、18および20章 Colliganら、Current Protocols in Protein Science、John Wiley & Sons、NY、N.Y. 1997〜2001年、Protein Science、第12〜14章 Roberts, RWおよびSzostak, J.W. 1997年 Proc. Natl. Acad, Sci. USA. 94:12297〜123202頁 国立バイオテクノロジー情報センターのタンパク質およびヌクレオチドデータベースwww.ncbi.nlm.nih.gov The Kabat Database of Sequences of Proteins of Immunological Interest www.kabatdatabase.com IMGTデータベース www.imgt.cines.fr kabat EAおよびWu TT、Attempts to locate complomentarity determining residues in the variable positions of light and heavy chains、Ann. NY Acad. Sci. 190:382〜393頁(1971年) Kong YYら Nature(1999年)402、304〜309頁 Pankow Rら J. Immunol.(2000年)Jul 1;165(1);263〜70頁 Kozlowski-A & Harris-JM(2001年)Journal of Controlled Release 72:217頁 Delgadoら、(1992年)、Crit. Rev. Thera. Drug Carrier Sys. 9:249〜304頁 Francisら、(1998年)、Intern. J. Hematol. 68:1〜18頁 Oh-Hら、1999年 Investigative Ophthalmology & Visual Science 40:1891〜98頁 WalterおよびTomlinson、Antibody Engineering: A Practical Approach(1996年) Lowman H.L. & Clarkson T. (編)、Phage Display: A practical approach、Oxford University Press、Oxford、UK Scallonら (1995年) Cytokine 7 251〜259頁 Keffer, J.ら(1991年)Transgenic mice expressing human tumor necrosis factor: a predictive genetic model or arthritis. EMBO Journal 10:4025〜31頁
さて、本発明者は、切断CH1ドメインを含む定常領域に結合する免疫グロブリン可変ドメインを含む新規のドメイン抗体構築物を考案した。定常領域の包含は、典型的には短期間であるdAbのインビボ半減期を延長するのに役立つと想定される。
新世界霊長類(New World Primate)免疫グロブリン
ヒト抗体に似た抗体を有する新世界霊長類などの進化的に離れた霊長類は、十分ヒトに類似しているため、このような霊長類由来抗体がヒトに導入された場合、宿主は抗抗体免疫応答を生じない。新世界霊長類(広鼻猿類)は、一般にマーモセット科(Callithricidae)およびオマキザル科(Cebidae)の2つの科に分けられる少なくとも53種を含む。マーモセット科は、マーモセットおよびタマリンから成る。オマキザル科としては、リスザル、ティティモンキー(titi monkey)、クモザル、ウーリーモンキー、オマキザル、ヨザルおよびホエザルが含まれる。
過去の研究は、コモンマーモセット(Callithrix jacchUSmarmoset)の発現免疫グロブリン重鎖レパートリーの特性を明らかにした(von Budingen H.C.ら、Characterization of the expressed immunoglobulin IGHV repertoire in the New World marmoset Callithrix jacchcus、Immunogenetics;53:557〜563頁(2001年))。ヒトIGHVサブグループに高度の配列類似性を示す6つのIGHVサブグループが同定された。相補性決定領域(CDR)と比較した場合、フレームワーク領域はより保存されており、最大の可変性はCDR3にあった。コモンマーモセットおよびヒトのIGHV配列間の類似度は、旧世界ザルおよびヒト間より低かった。
第1の態様では、本発明は、ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体構築物であって、
(a)ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体(dAb)と、
(b)改変ヒンジ領域配列と、
(c)多くとも20残基、より好ましくは多くとも10残基、さらにより好ましくは多くとも5残基、およびさらにより好ましくは単一の残基の切断CH1ドメインを有するヒトまたは霊長類の重鎖定常領域配列と
を含み、
前記改変ヒンジ領域配列が、通常は抗体の重鎖と軽鎖の間のジスルフィド結合の形成を促すシステイン残基の、欠失または単一アミノ酸置換を含有する構築物を提供する。
第2の態様では本発明は、本発明の第1の態様のドメイン抗体構築物をコードする核酸配列を提供する。
第3の態様では本発明は、ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体構築物をコードする配列を含む単離核酸分子を提供する。該核酸分子は、配列番号50または配列番号51に記載の配列と少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一の核酸配列、および最も好ましくは、配列番号50または配列番号51に記載の配列を含む。
第4の態様では本発明は、ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体構築物をコードする配列を含む単離核酸分子を提供する。該核酸分子は、高ストリンジェンシー条件下で配列番号50または配列番号51に記載のヌクレオチド配列にハイブリダイズする核酸配列を含む。
第5の態様では、本発明は、医薬的に許容可能なキャリアまたは希釈剤と共に、第1の態様によるドメイン抗体構築物の有効量を含む医薬組成物を提供する。
第6の態様では、本発明は、ヒトTNF-αを検出するための診断適用における第1の態様によるドメイン抗体構築物の使用を提供する。
第7の態様では、本発明は、ヒト被験者に本発明の第2の態様による医薬組成物を投与することを含む、該被験者におけるヒトTNF-αを特徴とする障害の治療方法を提供する。
本発明者らは、ヒトTNF-αに結合し、ヒトに投与した場合低免疫原性を示すと想定されるドメイン抗体構築物を生成した。ドメイン抗体構築物は、免疫グロブリン重鎖または軽鎖の可変ドメインに相当するタンパク質(すなわち、ドメイン抗体(dAb))、ヒンジ領域、および抗体重鎖の定常領域に相当するが定常領域が切断CH1ドメインを有するタンパク質を含む。
定常領域部分の包含は、dAbのインビボ半減期を増大すると想定されるほか、抗TNF抗体の抗炎症機構の構成要素であると考えられるエフェクター機能を提供すると想定される。
第1の態様では、本発明は、ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体構築物であって、
(a)ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体(dAb)と、
(b)改変ヒンジ領域配列と、
(c)多くとも20残基、より好ましくは多くとも10残基、さらにより好ましくは多くとも5残基、およびさらにより好ましくは単一の残基の切断CH1ドメインを有するヒトまたは霊長類の重鎖定常領域配列と
を含み、
前記改変ヒンジ領域配列が、通常は抗体の重鎖と軽鎖の間のジスルフィド結合の形成を促すシステイン残基の、欠失または単一アミノ酸置換を含有する構築物を提供する。
好ましい実施形態では、CH1ドメインおよびヒンジ領域の配列が、XEPKSZDKTHTCPPCPA(配列番号64)であり、Xはバリン、ロイシンまたはイソロイシンであり、Zは欠けているかまたはシステイン以外のアミノ酸である。Xはバリンであり、Zはセリンであることが好ましい。
本発明の好ましい実施形態では、dAbは免疫グロブリン重鎖または軽鎖可変ドメインを含み、前記可変ドメインは、新世界猿由来の配列を有する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含み、CDRは、AATKLQS(配列番号1)、EASSLQS(配列番号2)、EASKLQS(配列番号3)、およびSASNLET(配列番号4)から成る群から選択される。
別の好ましい実施形態では、CDRはCDR2である。
好ましい実施形態では、dAbは、
およびこれらの配列の1つと少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、97%、98%または99%同一の配列から成る群から選択される配列を有する。
さらに好ましい実施形態では、定常領域は、以下の配列
を共に有するCH2およびCH3ドメイン、またはこれと少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む。
別の好ましい実施形態では、ドメイン抗体構築物は、配列番号11に記載の配列と少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一、および最も好ましくは配列番号11に記載の配列であるアミノ酸配列を含む。
本明細書で使用される用語「結合する」は、例えばBIAcore(商標)表面プラスモン共鳴システムおよびBIAcore(商標)動態評価ソフトウェア(例えばバージョン2.1)を用いた表面プラスモン共鳴分析で測定した場合、解離定数(Kd)が1μM以下となる、免疫グロブリン可変領域による抗原の結合を指すことが意図される。特定の結合相互作用に関する親和定数または解離定数(Kd)は、好ましくは約500nM以下、より好ましくは約300nM以下および好ましくは少なくとも300nMから50pM、200nMから50pM、ならびにより好ましくは少なくとも100nMから50pM、75nMから50pM、10nMから50pMである。本明細書で使用される用語「dAb」は、抗原に特異的に結合する抗体の単一可変ドメイン(VHまたはVL)ポリペプチドを指す。
本発明のさらなる好ましい実施形態では、ドメイン抗体構築物は、本発明による別のドメイン抗体構築物を有する単量体または二量体を形成する。二量化は、抗原結合強度を増加することができ、結合強度は、複数の結合部位の結合親和性の合計に関係する。二量体形成を促進するには、ドメイン抗体構築物のヒンジ領域は、少なくとも1個、および好ましくは2個のシステイン残基を含む。
本発明の特に好ましい実施形態では、ドメイン抗体構築物は、同一のドメイン抗体構築物を有する単量体を形成する。
したがって、本発明の別の態様では、二量体が本発明による2つのドメイン抗体構築物から成る、ヒトTNF-αに結合する二量体ドメイン抗体構築物を提供する。
二量体ドメイン抗体構築物は単量体であることが好ましく、単量体を構成するドメイン抗体構築物は、配列番号11に記載の配列と少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一、および最も好ましくは配列番号11に記載の配列であるアミノ酸配列を含むことが好ましい。
第2の態様では本発明は、本発明の第1の態様のドメイン抗体構築物をコードする核酸配列を提供する。
第3の態様では本発明は、ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体構築物をコードする配列を含む単離核酸分子を提供する。該核酸分子は、配列番号50または配列番号51に記載の配列と少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%同一の核酸配列、および最も好ましくは、配列番号50または配列番号51に記載の配列を含む。
第4の態様では本発明は、ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体構築物をコードする配列を含む単離核酸分子を提供する。該核酸分子は、高ストリンジェンシー条件下で配列番号50または配列番号51に記載のヌクレオチド配列にハイブリダイズする核酸配列を含む。
2つのポリペプチド配列が、パーセンテージ同一性限界の範囲内にあるかどうかの決定では、当業者は、配列の並列比較またはマルチプルアライメントを行う必要があることに気付くであろう。このような比較またはアライメントでは、違いは、アライメントを行うのに使用されるアルゴリズムに応じて、同一でない残基の位置決めにおいて生じるであろう。本文脈では、2つ以上のアミノ酸配列間の「パーセンテージ同一性」または「類似性」とは、当業者に既知の任意の標準的アルゴリズムを用いて決定した前記配列間の、それぞれ同一および類似の残基数を指すと取られるべきである。例えば、アミノ酸配列の同一性または類似性は、GAPプログラムを用いて計算することができ、および/またはComputer Genetics Group, Inc.、ユニバーシティリサーチパーク、マジソン、ウィスコンシン州、アメリカ合衆国(Devereauxら、1984年)のPILEUPプログラムを用いて整列することができる。GAPプログラムは、NeedlemanおよびWunschのアルゴリズム(1970年)を利用して同一性/類似性残基数を最大化し、アライメントにおける配列のギャップの数および長さを最小化する。あるいは、またはさらに、2つを超えるアミノ酸が比較されている場合、Thompsonら(1994年)のClustal Wプログラムが使用される。
2つのヌクレオチド配列が、これらのパーセンテージ限界の範囲内にあるかどうかの決定では、当業者は、配列の並列比較またはマルチプルアライメントを行う必要があることに気付くであろう。このような比較またはアライメントでは、違いは、アライメントを行うのに使用されるアルゴリズムに応じて、同一でない残基の位置決めにおいて生じ得る。本文脈では、2つ以上のヌクレオチド酸配列間のパーセンテージ同一性とは、当業者に既知の任意の標準的アルゴリズムを用いて決定した前記配列間の同一の残基数を指すと取られるべきである。例えば、ヌクレオチド配列は、Computer Genetics Group, Inc.、ユニバーシティリサーチパーク、マジソン、ウィスコンシン州、アメリカ合衆国のBESTFITプログラムまたは他の適切なプログラム(Devereauxら、Nucl. Acids Res.、12: 387〜395頁、1984年)を用いて整列することができ、この同一性を計算することができる。
高ストリンジェンシーは好ましくは、65℃および0.1×SSC{1×SSC=0.15M NaCl、0.015M Na3 クエン酸塩 pH7.0}の条件下でのハイブリダイゼーションを伴う。
1つの実施形態では、本発明はさらに、例えば重鎖および軽鎖可変領域遺伝子ファミリーに特異的なプライマーを用いて新世界霊長類のリンパ球から抽出した核酸からのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による、新世界霊長類の免疫グロブリン可変領域遺伝子の増幅方法に基づく。例えば、重鎖および軽鎖遺伝子(それぞれVHおよびVL)の可変ドメインの境界に関する情報は、特定の抗原に結合することが知られている抗体をコードする配列をコードするクローン化重鎖または軽鎖から、可変ドメインを増幅するPCRプライマーをデザインするのに使用することができる。増幅された可変領域は、次いで単独で、または本発明のヒトもしくは霊長類定常領域配列の別のポリペプチド配列との融合として、本発明のドメイン抗体構築物を産生するため適切な発現ベクターに挿入される。適切な発現ベクターは、当業者によく知られているであろう。
VH、VLおよび定常領域ドメインのレパートリーは、免疫グロブリンの自然発生レパートリーまたは合成レパートリーであってよい。自然発生レパートリーは、例えば、1つまたは複数の霊長類から採取された免疫グロブリン発現細胞から調製されたものである。このようなレパートリーは、ナイーブの、すなわち新生児の免疫グロブリン発現細胞から調製され得、または再構成された、すなわち、例えば、成体霊長類のB細胞から調製することができる。所望であれば、自然レパートリー、または標的抗原に結合する任意のレパートリーから同定されたクローンは、次いで、改善された結合特性を有するバリアントを産生および選択するため、突然変異誘発およびさらにスクリーニングを施される。
単一免疫グロブリン可変ドメインの合成レパートリーは、多様性をクローン化可変ドメインに人為的に導入して調製される。
VHおよびVLレパートリーは、所望の結合特異性および機能的挙動を、例えばファージディスプレイによりスクリーニングすることができる。バクテリオファージディスプレイライブラリーおよびラムダファージ発現ライブラリーの構築方法は、当技術分野でよく知られている。ファージディスプレイ法は、当技術分野で広く記載されており、こうしたライブラリーを作製しスクリーニングするための、およびこの生成物を親和性成熟させるための方法および化合物の例は、例えば、Barbasら(1991年)PNAS 88:7978〜7982頁; Clarksonら(1991年)Nature 352:624〜628頁; Dowerら PCT. 91/17271、米国特許第5,427,908号、米国特許第5,580,717号およびEP527,839; Fuchsら(1991年)Bio/Technology 9:1370〜1372頁; Garradら(1991年)Bio/Technology 9:1373〜1377頁; Garrardら PCT WO92/09690; Gramら(1992年)PNAS 89:3576〜3580頁; Griffithsら(1993年)EMBO J 12:725〜734頁; Griffithsら 米国特許第5,885,793号およびEP589,877; Hawkinsら(1992年)J Mol Biol 226:889〜896年; Hayら(1992年)Hum Antibod Hybridomas 3:81〜85頁; Hoogenboomら(1991年)Nuc Acid Res 19:4133〜4137頁; Huseら(1989年)Science 246:1275〜1281頁; Knappikら(2000年)J Mol Biol 296:57〜86頁; Knappikら PCT WO97/08320; Ladnerら 米国特許第5,223,409号、第5,403,484号、第5,571,698号、第5,837,500号およびEP436,597; McCaffertyら(1990年)Nature 348:552〜554頁; McCaffertyら PCT. WO92/01047、米国特許第5,969,108号およびEP589,877; Salfeldら PCT WO97/29131、米国特許願第20050004354号; ならびにWinterら PCT WO92/20791およびEP368,684に見出すことができる。
VHおよびVLドメインのレパートリーを発現する組換えライブラリーは、例えば酵母または細菌などの微生物表面で発現することができる(PCT公報 WO99/36569および98/49286参照)
本発明のドメイン抗体構築物は、本明細書に記載されたまたは当技術分野で既知の、例えば、酵母、高等植物、昆虫および哺乳類の細胞を含む真核生物発現系由来のほか、真菌およびウイルスにコードされた発現系由来を含む、組換え手段により作製することができる。
本発明のドメイン抗体構築物は、こうした構築物を植物の部分またはこれから培養された細胞において作製するトランスジェニック植物および培養植物細胞(例えば、タバコおよびトウモロコシであるが、これらに限定されない)を提供するための核酸をコードするS抗体を用いて調製することができる。非限定例として、組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコ葉は、例えば、誘導プロモーター(例えば、Cramerら、Curr. Top. Microbol. Immunol. 240:95〜118頁 1999年およびこの引用リファレンス参照)を用いて、大量の組換えタンパク質を提供するのにうまく使用されている。また、トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系で作製されたものまたは天然源から精製されたものに等しい生物活性を有する哺乳類タンパク質を商業生産レベルで発現するのに使用されている(例えば、Hoodら、Adv. Exp. Med. Biol. 464:127〜147頁 1999年およびこの引用リファレンス参照)。抗体はまた、タバコの種およびジャガイモ塊茎を含む、単一鎖抗体(scFv's)などの抗体フラグメントを含むトランスジェニック植物の種から大量に作製されている(例えば、Conradら、Plant Mol. Biol. 38:101〜109頁 1998年およびこの引用リファレンス参照)。故に、本発明のドメイン抗体構築物は、既知の方法により、トランスジェニック植物を用いて作製することもできる(例えば、Fischerら、Biotcchnol. Appl. Biochem. 30:99〜108頁、1999年10月: Ma & Hein.、Trends Biotechnol. l3:522〜7頁 1995年; Maら、Plant Physiol. 109:341〜6頁 1995年; Whitelamら、Biochem, Soc. Trans. 22:940〜944頁 1994年; およびこの引用リファレンスも参照; 上記リファレンスはそれぞれ、参照により本明細書に完全に組み込まれる)。
本発明のドメイン抗体構築物には、天然精製生成物、化学合成法の生成物、ならびに例えば、酵母、高等植物、昆虫および哺乳類の細胞を含む、真核生物宿主から組換え技術により作製された生成物が含まれる。組換え生成法に使用される宿主に応じて、本発明の抗体構築物は、好ましいグリコシル化状態によりグリコシル化または非グリコシル化され得る。こうした方法は、多くの標準実験マニュアルSambrookら、 Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor、N.Y. 1989年、第17.37〜17.42節; Ausubelら編 Current Protocols in Molecular Biology 1987〜1993年、第10、12、13、16、18および20章; Colliganら、Current Protocols in Protein Science、John Wiley & Sons、NY、N.Y. 1997〜2001年、Protein Science、第12〜14章(全てが参照により本明細書に完全に組み込まれる)に記載されている。
1つの発現系では組換えペプチド/タンパク質ライブラリーは、リボソームでディスプレイされる(例えばRoberts, RWおよびSzostak, J.W. 1997年 Proc. Natl. Acad, Sci. USA. 94:12297〜123202頁およびPCT公報WO98/31700参照)。故に別の例は、(例えば免疫化細胞から好ましくは調製される抗体または誘導体の、だがこれに限定されない)DNAライブラリーの生成およびインビトロ転写、該タンパク質および「免疫化」mRNAがリボソーム上に留まるような該ライブラリーの翻訳、親和性選択(例えばRSPへの結合)、mRNA単離、逆翻訳ならびにこれに続く増幅(例えばポリメラーゼ連鎖反応または関連技術による)を伴う。選択および増幅の追加の回は、この系での体細胞突然変異の導入を介してまたは当技術分野で既知の親和性成熟の他の方法により、必要に応じて親和性成熟に連結され得る。
別の例は、本発明のドメイン抗体の生成に対しエマルジョン区画化(emulsion compartmentalisation)技術の適用を参照する。エマルジョン区画化では、インビトロ選別および光学選別方法が、エマルジョン中の油滴内の水相における翻訳されたタンパク質およびこのヌクレオチドコード配列の共区画化(co-compartmentalisation)と組み合わされる(PCT公報WO99/026711およびWO00/40712参照)。
CDR配列は、幾つかのソース、例えば、国立バイオテクノロジー情報センターのタンパク質およびヌクレオチドデータベースwww.ncbi.nlm.nih.gov、The Kabat Database of Sequences of Proteins of Immunological Interest www.kabatdatabase.com、またはIMGTデータベース www.imgt.cines.frなどのデータベースから入手することができる。あるいは、CDR領域は、VHおよびVLドメインレパートリーから予測することができる(例えばkabat EAおよびWu TT、Attempts to locate complomentarity determining residues in the variable positions of light and heavy chains、Ann. NY Acad. Sci. 190:382〜393頁(1971年)参照)。CDR配列は、ゲノムDNAまたはcDNAであってよい。
置換CDRを可変領域配列に移植し得る幾つかの方法があり、こうした方法は当業者によく知られているであろう。本発明の好ましい方法は、プライマー特異的突然変異誘発を介した可変領域(またはdAb)におけるCDR2の置換を伴う。この方法は、所望の突然変異をコードする合成オリゴヌクレオチドをインビトロでのDNA合成開始プライマーとして役立つ標的領域にアニーリングする、DNAポリメラーゼによりオリゴヌクレオチドを伸長して所望の突然変異を保有する二本鎖DNAを生成する、ならびに該配列を適切な発現ベクターにライゲートおよびクローニングすることから成る。
本発明の好ましい実施形態では、新世界霊長類CDR配列は、ヒトでは低免疫原性である可変領域配列に移植される。
用語「低免疫原性」とは、ドメイン抗体構築物またはこの抗原結合タンパク質が、治療効果を得るのに十分な時間のドメイン抗体構築物の持続投与効果を減少させるのに十分な程度の、ヒトでの抗体反応を惹起しないことを意味する。
好ましくは、新世界霊長類CDRが移植される可変領域配列は、図1の、「dAbアクセプター配列」(指定化合物128)である。dAbアクセプター配列は、配列番号5
に記載のアミノ酸配列から成る。
この配列は、配列番号6
に記載のヌクレオチド配列によりコードされる。
本発明の1つのこの好ましい実施形態では、マーモセット新世界霊長類CDR配列SASNLET(配列番号4)は、DABアクセプター配列のCDR2配列(SASELQS;配列番号55)を置換するように可変領域dAbアクセプター配列に移植され、以下のdAb(指定化合物145)
化合物145
を生成する。
故に、1つの好ましい実施形態では、ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体構築物のdAbは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む。
ドメイン抗体構築物の可変領域配列(dAb)が、この抗原結合特性を改善するため親和性成熟をさらに施され得ることは、本発明の範囲内である。これは、ドメイン抗体構築物のCDR1、CDR3またはフレームワーク内の特定のアミノ酸残基の改変を必要とする。
例えば、配列番号7は、材料および物質に記載の通りに親和性成熟され、TNF-α結合についてテストされた。さらなる好ましい実施形態では、ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体構築物の可変領域(dAb)は、配列番号8または配列番号9のアミノ酸配列を含む。これらはそれぞれ指定された化合物123および化合物100であり、この配列は以下に示される。
化合物123
化合物100
特定の好ましい実施形態では、ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体構築物の可変領域(dAb)は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。これは指定化合物196であり、配列は以下に提供される。
化合物196
ドメイン抗体構築物の定常領域配列が、ヒトまたは霊長類の配列から得られ得ることは、当業者には理解されよう。霊長類の配列は、新世界霊長類または旧世界霊長類の配列であってよい。適切な旧世界霊長類には、ヒトとの系統発生学的近接性の近さから、ヒト定常領域配列と高度な相同性を共有する、チンパンジー、または例えばゴリラもしくはオラウータンなど他のヒト科類人猿が含まれる。好ましくは、定常領域は、ヒト抗体配列から得られる。このような配列の例は、国立バイオテクノロジー情報センターのタンパク質およびヌクレオチドデータベースwww.ncbi.nlm.nih.gov、およびThe Kabat Database of Sequences of Proteins of Immunological Interest www.kabatdatabase.com、またはIMGTデータベース www.imgt.cines.frに見出すことができる。
本発明のドメイン抗体構築物をデザインするにあたり、本発明者らは、定常(Fc)領域のCH1ドメインを切断した。ヒンジ領域付近のドメイン抗体構築物における柔軟性を得るため、最小数のCH1ドメイン残基が保持された。好ましくは、CH1ドメインの少なくとも20個のC末端アミノ酸残基、より好ましくは少なくとも10個のアミノ酸、さらにより好ましくは少なくとも5個のアミノ酸、さらにより好ましくは単一アミノ酸残基が保持される。
故に、好ましい実施形態では、ドメイン抗体構築物は、図2に概説されたようなdAb-C末端CH1ドメイン残基-ヒンジ領域-CH2ドメイン-CH3ドメインを含むフォーマットを有する。
特に好ましい実施形態では、ドメイン抗体構築物は、配列番号11に記載のアミノ酸配列を有する。これは指定化合物170であった。
化合物170
自然発生免疫グロブリンのヒンジ領域は、重鎖CH1ドメインおよび軽鎖定常ドメイン間のジスルフィド結合の形成を促すシステイン(C)側鎖を含有する。構築物は、単一可変ドメインのみを含み、故に潜在的に反応性のシステイン残基を残すため、システイン残基は、ジスルフィド結合形成を妨げるアミノ酸残基で置換された。不対システインを有することの潜在的重要性は、構築物の凝集およびミスフォールディングによるタンパク質発現の低下を含み得る。
いずれの抗体クラス由来の任意のヒンジ領域配列も、本発明での使用に適切であろうことが理解されるはずである。しかし、ヒンジ領域は、抗体サブクラスIgG1由来であることが好ましい。好ましくは、ヒンジ領域は、IgG1のヒンジ領域の自然発生配列に基づいており、配列EPKSSDKTHTCPPCPA(配列番号12)を含む。この配列では、通常5の位置に生じるシステインが、下線太字のセリン残基により置換される。
好ましくは、CH1ドメインのC末端アミノ酸残基はIgG1由来である。より好ましくは、CH1残基は、バリン(V)残基またはロイシン(L)もしくはイソロイシン(I)などの保存アミノ酸置換である。この残基は、ヒンジ領域のすぐ近くに位置し、ヒンジ領域付近の構築物の柔軟性を増加するのを助ける。
CH2およびCH3ドメイン配列は、好ましくはSwissprotデータベース受入番号PO1857から得られる。
ドメイン抗体構築物は、別の機能性分子に誘導体化または結合することができる。例えば、ドメイン抗体構築物は、化学結合、遺伝子融合、非共有会合または別の方法により、別の抗体、検出可能な薬剤、細胞毒性薬剤、医薬品、および/または抗体もしくは抗体結合部分と別の分子(ストレプトアビジンのコア領域またはポリヒスチジンタグなど)との会合を媒介できるタンパク質もしくはペプチドなど、1つまたは複数の他の分子実体に機能的に結合することができる。
ドメイン抗体構築物を誘導体化することができる有用な検出可能な薬剤には、蛍光化合物が含まれる。例示的な蛍光性の検出可能な薬剤には、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5-ジメチルアミン-1-ナフタレンスルホニルクロリド、フィコエリスリンなどが含まれる。ドメイン抗体構築物はまた、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼなどのような検出可能な酵素で誘導体化することもできる。ドメイン抗体構築物が、検出可能な酵素で誘導体化される場合、検出可能な反応生成物を生成するのに酵素が使用する追加試薬を添加して検出される。ドメイン抗体構築物はまた、ビオチンで誘導体化する、およびアビジンまたはストレプトアビジン結合の間接測定を介して検出することもできる。
本発明によるドメイン抗体構築物は、半減期を増大させ、インビボでの活性(例えば結合親和性)を失うことなく分解耐性をもたらす1つまたは複数の分子に結合することができる。これらの分子は、これらが抗原結合部位を妨害/立体障害しないようにリンカーを介してドメイン抗体構築物に結合することができる。これらの付加分子には、例えば米国仮出願第20050271663号に記載されているような内因性分子に対するdAbが含まれる。典型的には、こうした付加分子は、インビボで自然に発生し、内因性機構による分解または除去に抵抗するポリペプチドまたはポリペプチドのフラグメントである。半減期を増大する分子は以下から選択され得る。
(a)例えば、コラーゲン、ラミニン、インテグリンおよびフィブロネクチンなどの細胞外マトリックス由来タンパク質
(b)例えばフィブリンα-2マクログロブリン、血清アルブミン、フィブリノゲンA、フィブリノゲンB、血清アミロイドタンパク質A、ヘプタグロビン、タンパク質、ユビキチン、ウテログロビン、β-2ミクログロブリン、プラスミノゲン、リゾチーム、システインC、アルファ-1-アンチトリプシンおよび膵キプシン阻害剤(pancreatic kypsin inhibitor)などの血中で見出されるタンパク質、
(c)例えばIgE、IgG、IgMなどの免疫血清タンパク質、
(d)例えばレチノール結合タンパク質、α-1ミクログロブリンなどの輸送タンパク質、
(e)例えばベータ-ディフェンシン1、好中球ディフェンシン1、2および3などのディフェンシン、
(f)例えばメラノコルチン受容体、ミエリン、アスコルビン酸トランスポーターなどの血液脳関門または神経組織で見出されるタンパク質
(g)トランスフェリン受容体特異的リガンド-神経医薬品融合タンパク質(US5977307参照);脳毛細管内皮細胞、トランスフェリン、トランスフェリン受容体、インスリン、インスリン様成長因子1(IGF 1)受容体、インスリン様成長因子2(IGF 2)受容体、インスリン受容体、
(h)例えばポリシスチン、4型コラーゲン、有機アニオントランスポーターK1、ヘイマン抗原などの腎臓に限局したタンパク質
(i)例えばアルコールデヒドロゲナーゼ、G250などの肝臓に限局したタンパク質、
(j)血中凝固因子X、
(k)α-1アンチトリプシン、
(l)HNF 1α、
(m)例えば分泌成分(IgAに結合する)などの肺に限局したタンパク質、
(n)例えばHSP 27などの心臓に限局したタンパク質、
(o)例えばケラチンなどの皮膚に限局したタンパク質、
(p)例えばBMP-2、-4、-5、-6、-7(骨形成タンパク質(OP-1)および-8(OP-2)とも言う)などの骨形態形成タンパク質(BMP)のような骨特異的タンパク質、
(q)例えばヒトトロフォブラスト抗原、ハーセプチン受容体、エストロゲン受容体、例えばカテプシンBなどのカテプシン(肝臓およ脾臓で見出される)などの腫瘍特異的タンパク質、
(r)LAG-3(リンパ球活性因子);オステオプロテゲリン(OPGL) Kong YYら Nature(1999年)402、304〜309頁参照;OX40(TNF受容体ファミリーのメンバー、活性化T細胞で発現される、ヒトT細胞白血球ウイルス1型(HTLV-1)産生細胞において特異的にアップレギュレートされることが知られている唯一の共刺激T細胞分子-Pankow Rら J. Immunol.(2000年)Jul 1;165(1);263〜70頁);CG6512ショウジョウバエ、ヒト対麻痺、ヒトFtsH、ヒトAFG3L2、マウスftsHを含むメタロプロテアーゼ(関節炎/癌に関連);酸性線維芽細胞成長因子(FGF-1)、塩基性線維芽細胞成長因子(FGF-2)、血管内皮成長因子/血管透過性因子(VEGF/VPF)、形質転換成長因子-α(TGF-α)、腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-α)、アンギオジェニン、インターロイキン-3(IL-3)、インターロイキン-8(IL-8)、血小板由来内皮成長因子(PD-ECGF)、胎盤成長因子(PIGF)、ミッドカイン血小板由来成長因子-BB(PDFG)、フラクタルカイン、フラクタルカインを含む血管新生成長因子、を含む、例えば活性化T細胞でのみ発現される抗原などの疾患特異的タンパク質、
(s)ストレスタンパク質(熱ショックタンパク質)、および
(t)Fc輸送に関与するタンパク質。
本発明はまた、ペグ化ドメイン抗体構築物にまで拡大する。ペグ化ドメイン抗体構築物は、非ペグ化抗体ポリペプチドに比べて半減期を増大し、活性(例えば結合親和性)を失うことなく分解耐性をもたらす。
ドメイン抗体構築物は、当技術分野で既知の方法を用いて、半減期の増大および分解耐性特性を実現するのに有用なポリマー(好ましくはPEG)に結合させることができる。本発明で利用され得るポリマー部分は、合成または自然発生であってよく、直鎖もしくは分岐鎖ポリアルキレン、ポリアルケニレンもしくはポリオキシアルキレンポリマー、またはホモもしくはヘテロ多糖などの分岐もしくは非分岐多糖が含まれるが、これらに限定されない。本発明で使用され得る合成ポリマーの好ましい例には、直鎖または分岐鎖ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)、もしくはポリ(ビニルアルコール)およびこれらの誘導体または置換型が含まれる。ドメイン抗体構築物との結合に特に好ましい置換ポリマーには、メトキシ(ポリエチレングリコール)を含む、置換PEGが含まれる。PEGに付加してまたはPEGの代わりに使用され得る自然発生ポリマー部分には、ラクトース、アミロース、デキストラン、またはグリコーゲン、および当業者には認識されるであろうこれらの誘導体が含まれる。
本発明に有用なポリマー(PEG)分子は、当技術分野でよく知られた方法を用いてドメイン抗体構築物に付加することができる。本発明のドメイン抗体構築物にPEGまたは他のポリマー部分を付加する際の第1のステップは、求電子剤含有官能基によるPEGポリマーのヒドロキシル末端基の置換である。特に、PEGポリマーは、ドメイン抗体構築物単量体または多量体にあるシステインまたはリジン残基に付加される。システインおよびリジン残基は、自然発生であり得、またはドメイン抗体構築物分子に人工的に加工され得る。
本発明のドメイン抗体構築物のペグ化は、幾つもの手段により達成することができる(例えばKozlowski-A & Harris-JM(2001年)Journal of Controlled Release 72:217頁参照)。PEGは、ドメイン抗体構築物に直接または介在リンカーにより付加することができる。ポリエチレングリコールをタンパク質に付加するためのリンカーを用いない系は、Delgadoら、(1992年)、Crit. Rev. Thera. Drug Carrier Sys. 9:249〜304頁; Francisら、(1998年)、Intern. J. Hematol. 68:1〜18頁; US4,002,531; US5,349,052; WO95/06058;およびWO98/32466に記載されている(これらの各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。
介在リンカー無しでポリエチレングリコールをタンパク質のアミノ酸残基に直接付加する1つの系は、トレシルクロリドによりモノメトキシポリエチレングリコール(MPEG)を改変して生成される、トレシル化MPEGを使用する。トレシル化MPEGとのアミノ酸残基の反応後に、ポリエチレングリコールはアミン基に直接付加される。故に、本発明には、本発明のタンパク質を2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル基を有するポリエチレングリコール分子と反応させて生成されるタンパク質-ポリエチレングリコール抱合体が含まれる。
ポリエチレングリコールはまた、幾つかの異なる介在リンカーを用いてタンパク質に付加することもできる。例えば、US5,612,460は、ポリエチレングリコールをタンパク質に結合させるためのウレタンリンカーを開示する。ポリエチレングリコールが、リンカーでタンパク質に付加されるタンパク質-ポリエチレングリコール抱合体はまた、MPEG-スクシンイミジルスクシネート、1,1'-カルボニルジイミダゾールで活性化されたMPEG、MPEG-2,4,5-トリクロロフェニルカーボネート、MPEG-p-ニトロフェノールカーボネート、および種々のMPEG-スクシネート誘導体などの化合物とタンパク質の反応により生成することもできる。幾つかの別のポリエチレングリコール誘導体およびタンパク質にポリエチレングリコールを付加するための反応化学は、WO98/32466に記載されている(この全体の開示が、参照により本明細書に組み込まれる)。
本発明の特に好ましい実施形態では、ドメイン抗体構築物は、リジン残基を介してポリエチレングリコールに直接結合される。本発明のさらに別の好ましい実施形態では、ドメイン抗体構築物は、システイン残基を介してPEGに直接結合される。不対システイン残基は、配列に予め存在し得、例えば、システイン残基をドメイン抗体構築物のC末端に組み込むことで付加され得る。あるいは、ドメイン抗体構築物へのPEGの付加は、US20060210526に記載されているようなジスルフィド結合されたシステインを介して促され得る。
ポリマー分子の他の誘導体型には、例えば、本明細書に記載されたドメイン抗体構築物のアミノ酸残基との相互作用を可能にする別の部分またはこの中にある反応基を有する誘導体が含まれる。こうした誘導体には、N-ヒドロキシルスクシンイミド(NHS)活性エステル、スクシンイミジルプロピオネートポリマー、ならびにマレイミド、ビニルスルホン、およびチオールなどのスルフヒドリル選択的反応剤が含まれる。
反応基(例えば、MAL、NHS、SPA、VS、またはチオール)は、PEGポリマーに直接付加され得、またはリンカー分子を介してPEGに付加され得る。
本発明に有用なポリマーのサイズは、例えば、1000Daから60kDa、10kDaから60kDa、20kDaから60kDa、30kDaから60kDa、40kDaから60kDaの間、および最大50kDaから60kDaの間など、500Daから60kDaの範囲であってよい。本発明で使用されるポリマー、特にPEGは、直鎖ポリマーであり得、または分岐鎖コンフォメーションを有し得る。
さらなる実施形態では、第1の態様のドメイン抗体構築物は、例えば、ヘテロもしくはホモ二量体、ヘテロもしくはホモ三量体、ヘテロもしくはホモ四量体、または高次ヘテロもしくはホモ多量体などのように、多量体化され得る。多量体化は、抗原結合力を増加することができる。結合力は、複数の結合部位の結合親和性の合計に関係する。
第5の態様では、本発明は、医薬的に許容可能なキャリアまたは希釈剤と共に、第1の態様によるドメイン抗体構築物の有効量を含む医薬組成物を提供する。
「医薬的に許容可能なキャリア」には、生理学的に適合する、任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤などが含まれる。医薬的に許容可能なキャリアの例には、1つまたは複数の水、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびこれらの組み合わせが含まれる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、または塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましい。湿潤剤もしくは乳化剤、防腐剤、または緩衝剤などの微量の補助物質などの医薬的に許容可能な物質。
組成物は、溶液(例えば吸入剤、注射剤および注入剤)、分散液または懸濁液、錠剤、丸剤、粉末剤、リポソームおよび坐薬など、液体、半固体および固体の投与形態を含む、様々な形であってよい。好ましくは、組成物は、免疫化用の注射剤の形である。投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内であってよい。
治療組成物は典型的には、製造および貯蔵の条件下で無菌および安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または高薬剤濃度に適した他の秩序構造として処方することができる。例えば、レシチンおよび/または界面活性剤などのコーティング剤などの使用により、溶液の適切な流動性を維持することができる。無菌注射剤は、必要量の活性化合物(すなわちドメイン抗体構築物)を、上記に挙げた成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒に組み込み、続いて濾過滅菌して調製することができる。
組成物は、無菌注射剤の調製用の無菌粉末剤として処方することもできる。
特定の実施形態では、活性化合物は、インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル送達系を含む放出制御製剤など、迅速放出に対して化合物を保護するであろうキャリアと共に調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの相溶性ポリマーを使用することができる。
組成物はまた、経口投与用に処方することもできる。この実施形態では、ドメイン抗体構築物は、ハードもしくはソフトシェルゼラチンカプセルに封入、錠剤中に圧縮、または被験者の食事に直接取り込むことができる。
肺、直腸、経皮、髄腔内および眼内投与を可能にする製剤は、当業者によく知られているであろう。
補助活性化合物もまた、組成物に組み込むことができる。ドメイン抗体構築物は、1つまたは複数の別の治療剤、例えば可溶性TNF-α受容体もしくはヒトTNF-αの産生を阻害する化学剤、またはサイトカインもしくは細胞表面分子などの他の標的に結合する抗体などと共に共処方および/または共投与することができる。あるいは、ドメイン抗体構築物は、タンパク質A、C、GまたはLなどの可溶性免疫化学試薬と共に共投与され得る。
有効量には、本発明のドメイン抗体構築物の治療的有効量または予防的有効量が含まれる。治療的有効量とは、所望の治療効果を達成するための、必要な用量および期間での有効量を指す。予防的有効量とは、所望の予防的結果を達成するための、必要な用量および期間での有効量を指す。予防的用量は、疾患前または疾患の初期段階で被験者に投与されるため、予防的有効量は治療的有効量より少なくてよい。
第6の態様では、本発明は、ヒトTNF-αを検出するための診断的適用における、本発明の第1の態様によるドメイン抗体構築物の使用を提供する。
例えば、本発明による抗ヒトTNF-αドメイン抗体構築物は、例えば、酵素免疫測定(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)または組織免疫組織化学(tissue immunohistochemistry)など、従来の免疫アッセイを用いて血清または血漿などの生物学的試料中のヒトTNF-αを検出するのに使用することができる。本発明による抗ヒトTNF-αドメイン抗体構築物は、検出可能な物質で標識された組換えヒトTNF-α標準物質および非標識抗ヒトTNF-α抗体を用いた競合免疫アッセイにより、体液中でアッセイすることができる。
本発明による抗ヒトTNF-αドメイン抗体構築物は、カニクイザル、チンパンジー、マーモセット、アカゲザルを含むヒト以外の霊長類およびイヌ、ラット、マウス、ウサギ、ネコ、ブタ、ウシなどの他の種など、ヒト以外の種から検出するのに使用することもできる。
本発明による抗ヒトTNF-αドメイン抗体構築物は、TNF-α活性の阻害が望まれる場合、細胞培養用途に使用することもできる。
第7の態様では、本発明は、本発明の第2の態様による医薬組成物を被験者に投与することを含む、ヒト被験者におけるヒトTNF-α活性を特徴とする障害の治療方法を提供する。
ヒトTNF-α活性を特徴とする障害は、障害に罹患している被験者におけるTNF-αの存在が、障害の病態生理もしくは障害の悪化に寄与する因子に関与することが示されたまたは疑われる、疾患および他の障害を含むことが意図される。好ましくは、ヒトTNF-α活性を特徴とする障害は、炎症、炎症性疾患、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性敗血症および毒素性ショック症候群を含む敗血症;関節リウマチ、若年性関節炎、リウマチ様脊椎炎、強直性脊椎炎、シェーグレン症候群、変形性関節炎および通風性関節炎、アレルギー、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、自己免疫性ブドウ膜炎、乾癬、類天疱瘡およびネフローゼ症候群を含む自己免疫疾患;黄斑変性、ブドウ膜炎、ベーチェット病を含む眼の炎症状態;感染および感染に続発する悪液質による発熱および筋肉痛を含む感染症;移植片対宿主疾患;腫瘍増殖または転移、血液悪性疾患;喘息、成人呼吸逼迫症候群、ショック肺、慢性肺炎症性疾患、肺サルコイドーシス、肺線維症および珪肺を含む肺障害;クローン病および潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸障害;心臓疾患、うっ血性心不全;ウェゲナー病、巨細胞性動脈炎を含む血管障害;炎症性骨障害、アルツハイマー病などの中枢神経系障害;座骨神経痛などの抹消神経系障害、肝炎、凝固障害、熱傷、再灌流障害、子宮内膜症、ケロイド形成および瘢痕組織形成から成る群から選択される。
特に好ましい実施形態では、ヒトTNF-α活性を特徴とする障害は、加齢関連黄斑変性である。TNF-αは、眼におけるVEGF産生刺激および血管新生促進に関与しており(Oh-Hら、1999年 Investigative Ophthalmology & Visual Science 40:1891〜98頁)、したがって本明細書に記載されたドメイン抗体構築物などのTNF-α活性阻害剤は、加齢関連黄斑変性を含む血管新生関連眼障害の治療に有用となるであろう。
この明細書を通じて単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などのバリエーションは、記載された要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップ群の包含を意味するが、任意の他の要素、整数もしくはステップ、または要素、整数もしくはステップ群の除外を意味しないことが理解されよう。
この明細書で言及された出版物は全て、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に包含されている文書、行為、材料、装置、論文などのいかなる考察も、専ら本発明に関するコンテクストを提供するためである。任意のまたは全てのこれらの事柄は、従来技術の基礎部分を形成すること、またはこの出願の各請求項の優先日前にオーストラリアまたは他の場所に存在したため、本発明に関連した分野における共通の一般知識であったとことの承認として受け取られるべきではない。
本発明の性質がより明確に理解され得るように、これより、この好ましい形態が以下の非限定例を参照して記載されよう。
材料および方法
新世界霊長類VL遺伝子の単離
マーモセット(マーモセット(Callithrix)属、種不明)およびヨザル(AotUStrivirgatus)ゲノムDNAは、それぞれ欧州動物細胞培養コレクション(European Collection of Cell Cultures (ECACC))カタログ番号85011419および90110510から入手した。マーモセットDNAは細胞系B95〜8から得、ヨザルDNAは細胞系OMK637〜69から得た。
ヒトVkリーダー配列および組換えシグナル配列(RSS)に基づく縮重プライマーは、WalterおよびTomlinson、Antibody Engineering: A Practical Approach(1996年)から得た。生殖細胞系Vk DNAの増幅に使用したプライマーは、以下の通りである。
PCR(30サイクル)は、プライマー対VK1BL×VK1BL35aまたはVKIBL×VK1BL35bによるTaqポリメラーゼを用いて行った。クローン化配列と使用した2つのプライマーセットとの間には重複があった。
ゲノムPCR産物をInvitrogen社のTOPO TAクローニングキット(カタログNo K4500-01)にクローニングし、M13フォワードプライマーおよびpUCリバースプライマーで配列決定した。配列を順方向および逆方向に確認した。キー配列がPCRエラーを受けていないことをさらに確認するため、マーモセット配列ではPCRおよびクローニング工程を2回繰り返した。ヌクレオチド(配列番号16〜26および配列番号38〜43)およびアミノ酸(配列番号27〜37および配列番号44〜49)を図3に示す。マーモセット配列1、2および3が確認された。配列4、5、6、7および8は、初回PCRでのみ見られた。配列9、10および11は、反復(すなわち2次)PCRおよびクローニンでのみ確認グされた。
オリゴ合成およびアクセプター配列へのクローニング
4つのCDR配列、すなわちヨザル配列1(配列番号44)由来のAATKLQS(配列番号1)、ヨザル配列2(配列番号45)由来のEASSLQS(配列番号2)、マーモセット配列1(配列番号27)由来のEASKLQS(配列番号3)、およびマーモセット配列2(配列番号28)由来のSASNLET(配列番号4)を、図3に示したアミノ酸配列から選択した。ヨザル配列5、YYASSLQS(配列番号56)は、アオタスナンシーマーエ(AotUSnancymaae)(マーズナイトモンキー(Ma's night monkey)) cDNA配列であるGI6176295と同一であることを見出した。他の配列は全て1つしかなかった。
発現ベクター(Domantis社独自開発ベクター(Domantis proprietary vector))中のアクセプター可変領域(抗TNFドメイン抗体)配列を、図4、制限消化マップに示したようなFR2およびCDR2の大半を切除するKpnlおよびSanDIで連続的に消化(25μg)した。ベクターを次いでゲル精製し、切除した野生型FR2およびCDR2配列を除去した。
オリゴアニーリングを、オリゴ対(図3に示した配列に対して500pmol)を95℃で5分間、続いて65℃で5分間インキュベートして行い、次いでホットブロックで室温に緩徐に戻した。次いで重複を、dNTP存在下でクレノウ反応(Klenow reaction)の間に充填した。アクセプター可変領域配列への合成二本鎖DNA(オリゴアニーリングおよび末端充填(end filling)により得られた)の分子クローニングを、標準的方法を用いて達成した。
親和性成熟
マーモセットCDRを移植したdAb化合物145(配列番号7)を、それぞれが単一アミノ酸残基における配列番号7配列の多様化である、14の別個のライブラリーを構築して親和性成熟した。選択した残基を以下に網かけで示す。
選択は、成熟ヒトIgレパートリーでの多様化が知られているCDR1およびCDR3における残基、ならびに関連dAbでの突然変異誘発後に機能性タンパク質を産生することが観察されているフレームワーク残基を基にした。選択した残基ごとに、相補的フォワードおよびリバースPCRプライマー対を、NKK縮重によりデザインし、2つの初回PCR反応を、それぞれ単一の変異誘発プライマーおよびフランキングプライマーにより行った。洗浄後、2つのPCR産物をアニールし、次いでフランキンプライマー単独により増幅した(PCRの重複伸長によるスプライシング; Lowman H.L. & Clarkson T. (編)、Phage Display: A practical approach、Oxford University Press、Oxford、UK)。クローンを最初に固相TNFによりELISAでスクリーニングし、陽性クローンを配列決定した。dAbタンパク質を最良のクローンから精製し、受容体結合アッセイおよびL929細胞毒性アッセイで効力を評価した。化合物100(配列番号9)および123(配列番号8)は、親dAbである化合物145(配列番号7)と比べてTNF中和化が向上したことを見出した。
化合物100および123の親和性増大置換の組み合わせは、L929細胞毒性アッセイにおいて効力がさらに向上した抗TNF dAbを産出した(化合物196; 配列番号10)。
細胞培養
CHOK1の懸濁バリアント(suspension variant)であるCHOKISV細胞(Lonza Biologics社、UK)を、6mM L-グルタミン(Invitrogen社 カタログNo. 10743〜029および25030-081)を補充したCD CHO培地で対数増殖期に維持した。培養物を36.5℃、10% CO2でインキュベートし、140rpmで振盪した。トランスフェクションの24時間前に、細胞数および生存を血球計でトリパンブルー排除(Sigma社 カタログNo. T8154)により評価した。8×106生細胞を5分間、200×gでペレット化し、10%熱不活性化透析ウシ胎仔血清(Invitrogcn社 カタログNo. 26400-044)および6mM L-グルタミンを補充した8mlのCM25培地(Lonza Biologics社、UK)で再懸濁した。細胞を24ウェルプレートに1ウェルあたり500μlで播種し、36.5℃、10% CO2でインキュベートした。
トランスフェクションの3時間前に、この培地に、10%熱不活性化透析ウシ胎仔血清および6mM L-グルタミンを補充した500μl CM25培地の新鮮なアリコートを補充した。
発現ベクター
化合物112(配列番号50)および化合物170(配列番号51)の遺伝子配列を、哺乳類細胞発現のため最適化し、合成した。
化合物112
化合物170
各配列を、5'末端でHind III部位、コザック配列(GCCACC; 配列番号57)およびヒトIgGカッパリーダー配列(アミノ酸配列 MSVPTQVLGLLLLWLTDARC; 配列番号58)に隣接させた。3'末端で2つのストップコドンおよびEcor I部位を各配列に付加した。合成後、遺伝子をpCRScriptベクター(Stratagene社)にクローニングし、適切な制限酵素緩衝液(それぞれRoche Diagnostics社 カタログNo. 10656313001、10703737001および11417967001)においてHind III/EcoR I消化により遊離した。GS発現ベクターpEE12.4 (Lanza Biologics社、UK)を同様に消化し、仔ウシ腸アルカリホスファターゼ(Roche Diagnostics社 カタログNo. 10713023001)を用いて脱リン酸化した。各遺伝子を、調製したpEE12.4骨格にPromega社製LigaFast Rapid DNA Ligation System(カタログNo. M8221)を用いてライゲートした。ライゲーションを、次いでOne Shot Top 10化学的コンピテント細胞(Invtrogen社 カタログNo. C4040-03)および標準的方法により同定した陽性コロニーに形質転換した。大量の得られたベクター(pFE12.4-PNO621およびpEE12.4-PNO521-S114C)を、QIAfilterミディプレップカラム(QlAgen社 カタログNo. 12243)を用いて一晩培養ミディプレップにより調製した。ベクターを、1/10容量の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)により100%エタノール(それぞれSigma社 カタログNo. E7023およびS2889)中で20μg沈降させてトランスフェクション用に調製した。70%エタノール中で洗浄後、ベクターを作用濃度0.5μg/μlにてT.E. pH8.0(Sigma社 カタログNo. T9285)40μl中で再懸濁した。
トランスフェクション
トランスフェクションごとに2μlのLipofectamine 2000を、96ウェルプレートの1ウェルで50μlのOptimen I media(Invitrogen社 カタログNo. 11668-027および31985-062)に添加した。第2のウェルでは、1.6μlの発現ベクター(0.8μg)を50μlのOptimen I mediaに添加した。5分間の室温インキュベート後、2つのウェルの内容物を混合し、さらに20分間インキュベートした。この2回目のインキュベーション後、トランスフェクション混合物全体を、CHOK1SVを含有する24ウェルプレートの1ウェルに添加した。細胞を少なくとも72時間インキュベートし、上清を回収した。上清を、4,000×gで5分間遠心分離して細胞残屑をペレット化し、化合物112(配列番号59)および化合物170(配列番号11)の発現をTNF ELISAでアッセイするまで-20℃で保管した。
化合物112
TNF ELISA
マイクロタイタープレート(例えばSarstedt 82.9923-148)を、炭酸塩/重炭酸塩コーティング緩衝液pH9.6 100μL/ウェルでヒト組換えTNF-αの1μg/mL溶液(Peprotech カタログ# 300-01A)によりコーティングした。一晩4℃でインキュベーションした後プレートを、0.05% Tween 20を含むPBS(0.01M、pH7.2)で3回、PBSで3回洗浄した。200μl ブロッキング緩衝液(1% BSA{ウシ血清アルブミン、Sigma社 カタログ# A-9647}を含むPBS)をウェルごとに添加し、25℃で1時間インキュベートした。プレートを上記の通り洗浄し、抗体希釈剤(1% BSAおよび0.05% Tween 20を含むPBS)中で希釈した100μL容量の試料または化合物170スタンダードをウェルごとに添加した。25℃で1時間インキュベートした後、プレートを上記の通り洗浄し、抗体希釈剤中の1:1000希釈の第2抗体(ペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒト免疫グロブリン、Zymed社 カタログ# 81-7120)100μL容量をウェルごとに添加した。プレートを洗浄し、100μL容量のABTS基質(2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンズ-チアノゾリン-6-スルホン酸)ジアンモニウム塩、Sigma社 カタログ# A-1888、0.03% H202を含むクエン酸緩衝液(pH4.4)中0.5 mg/mL)をウェルごとに添加した。基質を室温で30分間生じさせ、吸光度を405nm(参照620nm)で読み取った。標準曲線と比べて試料濃度を判定し、発現した化合物112の平均濃度と比べて表した。
結果
切断CH1の包含
切断CH1のドメイン抗体構築物への包含は、切断CH1を欠く接合部(83.3%; ギャップ開始ペナルティ1によりAlign X on Vector NTI(Invitrogen社)を用いて算出)よりも従来のIgG1 CH1-ヒンジ領域との相同性が高い(91.7%)、可変ドメインとヒンジ領域との間の接合部をもたらす。増大した相同性は、ヒト患者が免疫寛容であるはずの従来の免疫グロブリンペプチド配列との類似を高めるように翻訳される可能性があるため、免疫原性を低下させる可能性がある。
配列:
化合物170可変領域-切断CH1-ヒンジ接合部: TKVELKRVEPKS(配列番号65)
IgG1 CH1-ヒンジ接合部(NCBI アクセッション AAG009O9): TKVDKRVEPKS(配列番号66)
化合物170可変領域-ヒンジ接合部(切断CH1を欠く): TKVELKREPKS(配列番号67)
CH1配列は表示された通り網かけされている。
NCBIタンパク質データベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov)AAG00909から得られたCH1ドメイン(配列番号60):
IgG1 CH1-ヒンジ接合部は下線で示されている。
TNF-α誘導細胞毒性の中和化
TNF-α媒介細胞毒性を中和化するドメイン抗体構築物化合物170(配列番号11)の能力を、マウスL929細胞生存率アッセイにより評価した。10%胎仔ウシ血清(RPMI-FBS)を含むRPMI培地の化合物170の連続希釈を、平底96ウェルプレートにおいて50μL容量で調製した。これらの各ウェルに、50μL組換えヒトTNF-α(Strathmann Biotec社、ハンブルグ、ドイツ)を濃度360pg/mLで添加し、続いて50μLおよび25μLアクチノマイシンD中の2.5×104 L929細胞を40μg/mLで添加した。全てはRPMI-FBSにおいて調製した。対照には、TNFを含まないウェル(100%生存率の決定のため)、細胞を含まないウェル(0%生存率)および2pg/mLから4200pg/mLの範囲のTNF-α標準曲線が含まれた。培養プレートを5% CO2雰囲気で37℃にて20時間インキュベートし、次いで25μLの3-(4,5-ジメチルチアゾール-2イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム(MTS)/フェナジンエトサルフェート(PES)(Promega CellTiter 96 AQueoUSOne、マジソン USA)を添加後、さらに3時間インキュベートした。492mでの吸光度を、630nmの参照波長と比較して判定し、生存率曲線を3通りのテストウェルから算出した平均値を用いてプロットした。化合物170のTNF-α中和化能力を、化合物170の濃度上昇による細胞生存率の増加により示す(図6)。
ヒトp55およびp75 TNF受容体とのTNF-α結合の中和化
ヒトp55およびp75 TNF受容体とのTNF-αの結合を阻害するドメイン抗体構築物化合物170(配列番号11)の能力を、受容体結合アッセイにより評価した。ヒトp55(RnD systems社、カタログ No: 372-RI)またはp75(RnD systems社、カタログNo: 762-R2)を、4℃での一晩インキュベーションにより炭酸塩コーティング緩衝液pH9.2中0.1μg/mLでMaxisorbプレート(Nunc社)上にコーティングした。100μg/mLから3.15ng/mLの範囲の化合物170(および化合物170のない「ブランク」対照)の連続半対数希釈(Serial half-log dilutions)を、抗体希釈剤(PBS pH7.2、0.05% Tween-20、1% BSA)中で調製し、抗体希釈剤中で等容量の60ng/mLヒトTNF-αと混合した。PN0621およびTNF-αを含有しないブランクも、バックグラウンド結合を測定するために調製した。混合物は全て、緩やかに撹拌しながら室温で正確に1時間インキュベートした。このインキュベーションの間、コーティングしたプレートをPBS、0.05% Twcen-20で3回、次いでPBSで3回洗浄した。プレートを、次いで200μl/ウェルのPBS、1% BSAにより45分間、室温でブロックした。プレートの洗浄後、全ての対照を添加するとともに、100μlの化合物170/TNF-α混合物を、テストする化合物170の濃度ごとに3通りのウェルに添加した。次いで、プレートを室温で1時間インキュベートした。プレートの洗浄後、ビオチニル化抗ヒトTNF-α抗体(RnD Systems社、カタログNo: BAF210)を、抗体希釈剤中0.6μg/mLで各ウェルに添加し、1時間室温でインキュベートした。洗浄後、ストレプトアビジン-HRP抱合体(Zymed社 カタログNo: 43-4323)を、抗体希釈剤中1:2000で添加し、室温で45分間インキュベートした。TMB基質(Invitrogen社、カタログNo: 00-2023)を用いて可視化を行い、4分後、1M HClで停止した。吸光度の読み取りを、次いで620nmの参照により450nmで測定した。分析は、3通りのウェルの平均吸光度を算出して分析を行った。非特異的結合(TNF-αなし)の平均を、各吸光値から差し引いた。
結果は図7に示されており、化合物170が、ヒトp55およびp75 TNF受容体とのTNF-αの相互作用を妨げることを示している。
細胞結合TNF-αの結合
細胞結合(膜透過)TNF-αとの結合の分析は、TNF-αを切断できないためTNF-αが細胞膜に結合したままになるように、TACE切断部位が欠けているヒトTNF-αタンパク質をコードする遺伝子を安定にトランスフェクトした、NSO細胞系、27D4を用いて行った。別のマウス骨髄腫(SP2/0)に基づく同様の細胞系が記載されている(Scallonら (1995年) Cytokine 7 251〜259頁)。
フローサイトメトリー分析を、試料ごとに5×105の生きた27D4細胞で行った。ステップは全て、4℃または氷上で行った。細胞ペレットを、テスト(化合物170; 配列番号11)または無関係な特異性アイソタイプをマッチさせた対照(irrelevant-specificity isotype-matched control)(Sigma社、カタログNo: 15154)により、2%FBS含有PBS中100μg/mlで再懸濁し、氷上で1時間インキュベートした。それぞれが、1000×gで10分間の遠心分離およびPBS/2% FBSでの細胞ペレットの再懸濁を含む、2回の細胞洗浄サイクルを行った。別の遠心分離ステップ後、細胞ペレットを、100μlの第2抗体抱合体(抗ヒトFc FITC抱合体、Sigma社、カタログNo.: F9512)で再懸濁し、30分間インキュベートした。試料を次いで上記の通り2回洗浄し、細胞ペレットを、5μg/mLヨウ化プロピジウム(Sigma社、カタログNo.: P4864)を含む500μl PBS/2%FBSで再懸濁した。細胞の蛍光染色をBeckman Coulter Cell Lab Quantaフローサイトメーターで分析し、データをWinMDIを用いて処理した。
結果は図8に示されており、膜貫通TNF-α発現NSO 27D4細胞(黒い実線)を染色している化合物170は、無関係な特異性アイソタイプをマッチさせた対照(グレーの塗りつぶし)よりも高い蛍光強度を示すことを示している。
化合物170高発現細胞系の作製
CHOK1SV発現化合物170(配列番号11)の安定な細胞系を、材料および方法に記載した発現ベクターを用いて作製した。簡単には対数増殖期の1×107細胞を、40μgの線状化プラスミドDNAの存在下、グルタミンフリーCDCHOタンパク質フリー培地でエレクトロポレートした。トランスフェクション後24時間で、50μMメチオニンスルホキシミン(Sigma社)の選択圧をかけ、耐性細胞を96ウェルプレートでコロニーを形成させた。密集に向かう場合は、単一のコロニーを24ウェルプレート、T25および次いでT75フラスコに移した。いったんT75フラスコの密集が過度になると、細胞系をE125三角フラスコでの培養に進め、6つの二次培養にわたって懸濁増殖(suspension growth)に適応させた。いったん懸濁増殖に適応させると、細胞系を92.5% CDCHO培地:7.5% DMSOの凍結混合で凍結保存した。
細胞系を異なるウェルおよびフラスコサイズを通じて増殖している間に、幾つかの生産性評価を次の段階への細胞系の進行と並行して行った。故に24ウェルプレートおよびE125三角フラスコの段階で、生産性評価を行った。各ケースでは、細胞を14日間増殖させ、上清を、実施例1に記載したTNF ElISA方法により化合物170のレベルについて評価した。細胞系を生産性についてランク付けし、Lonza Biologics社での独自開発フェドバッチ生産性評価における評価のため、上位10個を選択した。得られた生産性は、700mg/Lおよび3371mg/Lの間であった。2724mg/Lの生産性を有するリード細胞系を、10L実験室規模発酵槽での評価のために選択した。
4つの別個の10L実験室規模発酵槽を、15日にわたりリード細胞系と共に稼働させ、タンパク質フリーCDCHO培地に基づく独自開発一般的フェドバッチ処理を行った。得られた4つの発酵物の平均生産性は4851mg/Lであり、最も高い生産性は4925mg/Lであった(非クローン細胞に関してLonza Biologics社により過去に報告された生産性の最も高い報告されたレベルは、3560mg/Lである)。使用した10L実験室規模発酵槽は、最大2000Lの大規模発酵槽に見られる発酵条件を再現するように設計された。したがって、リード細胞系は商業規模の製造に適することが予測され、実際、類似の発現レベルが200L発酵槽で観察された。
化合物170(配列番号11)を発現するリード細胞系の4×10L発酵槽から回収した生成物を、タンパク質A親和性クロマトグラフィーで精製し、還元条件下および非還元条件下の両方でSDS PAGEで分析した。図11に示したように、化合物170は、約90kDaの単量体として発現された。この単量体は、SDS PAGEが還元条件下で行われる場合、図12に明らかな約40kDaの2つのサブユニットから成る。SDS PAGEはタンパク質の正確な定量に適さないため、化合物170単量体のさらなる分析を行った。ESI-MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析計)は、78.739kDaで化合物170単量体を定量した。これは、それぞれが二分岐コアフコシル化グリカン糖構造(biantennary core fucosylated glycan sugar structure)も有する2つのサブユニットの予測分子量(2×38.058=76.116kDa)と一致した。
ヒト以外の霊長類における長い血清半減期
化合物170(配列番号11)を、0.5、5および50mg/kgの投与量でカニクイザルに皮下投与し、血液試料を0.5、1、2、6および24時間、次いで1、2、4、7、10および14日で採取した。化合物170レベルを定量するためのこれらの試料の分析は、実施例1に記載した抗TNF ELISA法を用いて行った。排出半減期を、これらの試料中の化合物レベルの分析により判定した。0.5mg/Kgでは、110.5±13.9時間の排出半減期が算出された。5mg/Kgおよび50mg/Kgでは、110.9±10.4時間および113.5±11.5時間の排出半減期が算出された。
化合物170を50mg/Kgで静脈内経路により投与した場合、血液試料は10、30および60分、4および24時間、2、4、7、10および14日で採取した。化合物170レベルを定量するためのこれらの試料の分析は、実施例1に記載した抗TNF ELISA法を用いて行った。排出半減期を、試料中の化合物170レベルの分析により判定した。50mg/Kg静脈内投与後、109.6±10.7時間の排出半減期が算出された。
好ましい安全性プロフィール
GMP基準に対して製造された化合物170(配列番号11)を、動物安全性および毒性試験において評価した。
単回投与安全性
皮下または静脈内投与経路により0.5、5および50mg/kgで化合物170の単回投与を受けた様々なサルは、化合物170による治療関連効果を示さなかった。これらの試験では、一連の臓器の顕微鏡検査が行われ、効果は観察されなかった。
用量の増大および反復投与の安全性
皮下または静脈内で投与する用量0.5mg/kgで開始し、最大50mg/kgまで段階的に増大する用量を、カニクイザルに7日ごとに投与した。動物を、血液、臨床化学、体重および臓器重量ならびに剖検後の臓器の肉眼的検査を含む様々な生理学的および挙動的パラメータについて評価した。これらの試験を通じて、化合物170による治療に対する有害反応は報告されなかった。試験の用量増加段階の完了後、増加する用量を皮下投与された動物に、さらに4週間にわたり0.5mg/kgをさらに4回投与した。様々なパラメータを通して、同様に化合物170による治療関連効果は観察されなかった。
心臓血管の安全性
50mg/kgでの化合物170の心臓血管の安全性を、無線遠隔測定モニターに適合するカニクイザルにおいて評価した。これらのモニターは、無麻酔のサルから直接一連の呼吸および心臓血管パラメータを報告した。化合物170による投与後に、有害な治療関連の臨床的観察は報告されなかった。
細菌発現
先行実施例における化合物170(配列番号11)は、哺乳発現類系で作製した。機能性化合物170はまた、細菌発現系を用いて作製した。
単一鎖をマイナスした化合物170用のアミノ酸配列を逆翻訳し、大腸菌(E.coli)発現についてGeneOptimizer(商標)により最適化し、GeneArt GmbHでデノボ合成した。合成遺伝子を、NcoIおよびHindIII制限部位(Roche社)を介して細菌発現用ベクターを産生するpBAD gIll/His-標識発現ベクター(Invitrogen社)にサブクローニングした。上位10細胞(Invitrogen社)を、熱ショック法でベクターにより形質転換し、単一コロニーのグリセロールストックを生成した。導入条件は、0.002%アラビノース(Sigma社;最終濃度)および4時間の導入時間であった。化合物170タンパク質試料を、pBAD細菌発現系マニュアル(Invitrogen社)に詳述されている通り浸透圧ショックを用いて生成した。BCAアッセイ(Pierce)を用いて、試料の合計タンパク質濃度を判定した。細菌発現した化合物170を、実施例1に記載されている通りTNF-αとの結合についてELISAでアッセイした。
図9は、細菌系で生成した細菌化合物170がELISAにおいてTNF-αとの結合を保持したことを示す。
化合物170の細菌発現に関するDNA配列は、以下の通りである。
配列番号61にコードされたアミノ酸は、以下の通りである。
ヒトTNF-α媒介マウス関節炎モデルにおける化合物170のインビボ効果
ヒトTNF-αトランスジェニックマウス系、Tg197は、脱制御TNF発現を示し、慢性炎症性多発関節炎を発症する(Keffer, J.ら(1991年)Transgenic mice expressing human tumor necrosis factor: a predictive genetic model or arthritis. EMBO Journal 10:4025〜31頁)。化合物170(配列番号11)の投与は、これらマウスの関節炎の発症および関連する体重減少を防いだ(図9AおよびB)。8つのヘテロ接合Tg197群(それぞれオス4匹およびメス4匹を含む)を、PBS中の化合物170および無関係な特異性対照ヒトIgG1(palivizumab{Synagis(登録商標)}、Med1mmune/Abbott社)を、いずれも10mg/kgで週2回腹腔内注射することにより治療した。治療は、マウスが3週齢のときに開始した。週1回間隔でマウスの体重を測定し、肉眼で見える足首の形態(腫脹、歪みおよび可動程度)に基づきスコア化した(関節炎スコア)。
化合物112における位置114でのCys置換はタンパク質発現の増加をもたらす
化合物112(配列番号59)は、化合物170(配列番号11)の改変である。化合物112は位置114において、化合物170ではこの位置にあるセリン残基の代わりにシステイン残基を含有する。セリンのシステイン114への置換がタンパク質発現に与える効果を、化合物170との比較により評価した。化合物112および170のための遺伝子構築物をトランスフェクトした宿主細胞の複数の培養物を、材料および方法に記載した通り固相TNFによるELISAでタンパク質発現についてアッセイした。結果を図11に記載する。
多数のバリエーションおよび/または改変が、広く記載されたような本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、特定の実施形態で示した通り本発明には行われ得ることが当業者には理解されよう。本実施形態は、したがって、全ての点において説明的と見なされるべきであり、制限的に見なされるべきではない。
アクセプターdAbのアミノ酸(配列番号5)および核酸(配列番号6)を示す図である。 単量体としての本発明によるドメイン抗体構築物の好ましい実施形態の構造を示す図である。 二量体としての本発明によるドメイン抗体構築物の好ましい実施形態の構造を示す図である。 マーモセット11匹およびヨザル6匹のVk遺伝子セグメントの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。 マーモセット11匹およびヨザル6匹のVk遺伝子セグメントの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。 マーモセット11匹およびヨザル6匹のVk遺伝子セグメントの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。 マーモセット11匹およびヨザル6匹のVk遺伝子セグメントの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。 マーモセット11匹およびヨザル6匹のVk遺伝子セグメントの核酸配列およびアミノ酸配列を示す図である。 アクセプターdAbアミノ酸およびヌクレオチド配列(両鎖)を示す図である。CDR2を含む領域を切除するKpn IおよびSan DIの制限消化部位が図に示されている。除去したCDR2残基は下線で示されている。 マウスL929細胞生存性アッセイにおいてTNF-α媒介細胞毒性を中和する化合物170(配列番号11)の能力を示す図である。 化合物170(配列番号11)が、TNF-αとヒトp55またはp75 TNF受容体との相互作用を妨げることを示す図である。 NSO 27D4細胞を発現する膜貫通TNF-αの染色化合物170(配列番号11)(黒い実線)が、無関係な特異性アイソタイプをマッチさせた対照(グレーの塗りつぶし)に比べて高い蛍光強度を示すことを示す図である。 細菌発現系で産生された化合物170(配列番号11)が、ELISAでTNF-αとの結合を保持したことを示す図である。 特異性対照ヒトIgG1と比較したTNF媒介マウス関節炎モデルにおける化合物170(配列番号11)の有効性を示す図である。1週間間隔でマウスを採点(関節炎スコア)した。 特異性対照ヒトIgG1と比較したTNF媒介マウス関節炎モデルにおける化合物170(配列番号11)の有効性を示す図である。1週間間隔でマウスの体重を測定した。 化合物112(配列番号59)および化合物170(配列番号11)のタンパク質発現への影響を示す図である。 リード細胞系の4×10L発酵からのタンパク質A精製化合物170(配列番号11)の非還元SDS PAGE分析を示す図である。列1=アッセイ間対照;列2=分子量マーカー;列3=ブランク;列4=10L発酵IDにおけるタンパク質A精製化合物170(配列番号11)(ラン1);列5=10L発酵IDにおけるタンパク質A精製化合物170(ラン2);列6=10L発酵IDにおけるタンパク質A精製化合物170(ラン3);列7=10L発酵IDにおけるタンパク質A精製化合物170(ラン4)。 リード細胞系の4×10L発酵からのタンパク質A精製化合物170(配列番号11)の還元SDS PAGE分析を示す図である。列1=アッセイ間対照;列2=分子量マーカー;列3=ブランク;列4=10L発酵IDにおけるタンパク質A精製化合物170(配列番号11)(ラン1);列5=10L発酵IDにおけるタンパク質A精製化合物170(ラン2);列6=10L発酵IDにおけるタンパク質A精製化合物170(ラン3);列7=10L発酵IDにおけるタンパク質A精製化合物170(ラン4)。

Claims (16)

  1. ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体構築物であって、
    (a)ヒトTNF-αに結合するドメイン抗体(dAb)と、
    (b)改変ヒンジ領域配列と、
    (c)多くとも20残基の切断CH1ドメインを有するヒトまたは霊長類の重鎖定常領域配列と
    を含み、
    前記改変ヒンジ領域配列が、通常は抗体の重鎖と軽鎖の間のジスルフィド結合の形成を促す少なくとも1つのシステイン残基の、欠失または単一アミノ酸置換を含有する構築物。
  2. CH1ドメインおよびヒンジ領域の配列が、XEPKSZDKTHTCPPCPA(配列番号64)であり、Xはバリン、ロイシンまたはイソロイシンであり、Zは欠けているかまたはシステイン以外のアミノ酸である、請求項1に記載のドメイン抗体構築物。
  3. dAbが、免疫グロブリン重鎖または軽鎖可変ドメインを含み、前記可変ドメインが、新世界霊長類由来の配列を有する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含み、CDRが、AATKLQS(配列番号1)、EASSLQS(配列番号2)、EASKLQS(配列番号3)、およびSASNLET(配列番号4)から成る群から選択される、請求項1または2に記載のドメイン抗体構築物。
  4. ドメイン抗体が、
    およびこれらの配列の1つと少なくとも95%同一の配列から成る群から選択される配列を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のドメイン抗体構築物。
  5. ヒンジ領域が、配列EPKSSDKTHTCPPCPA(配列番号12)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のドメイン抗体構築物。
  6. 定常領域が、配列番号63に記載の配列と少なくとも60%同一のCH2およびCH3ドメインを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のドメイン抗体構築物。
  7. 定常領域が、配列番号63に記載の配列と同一のC H 2およびC H 3ドメインを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のドメイン抗体構築物。
    項に記載のドメイン抗体構築物。
  8. アミノ酸配列が、配列番号11に記載の配列と少なくとも60%同一である、請求項1から7のいずれか一項に記載のドメイン抗体。
  9. アミノ酸配列が、配列番号11に記載の配列と同一である、請求項8に記載のドメイン抗体。
  10. 二量体が、請求項1から9のいずれか一項に記載の2つのドメイン抗体構築物から成る、ヒトTNF-αに結合する二量体ドメイン抗体構築物。
  11. 請求項1から9のいずれか一項に記載のドメイン抗体構築物をコードする、単離核酸分子。
  12. 核酸配列が、配列番号50または配列番号51に記載の配列と同一である、請求項11に記載の単離核酸分子。
  13. 医薬的に許容可能なキャリアまたは希釈剤と共に、請求項1から9のいずれか一項に記載のドメイン抗体構築物または請求項10に記載の二量体ドメイン抗体構築物の有効量を含む医薬組成物。
  14. ヒト被験者におけるヒトTNF-α活性を特徴とする障害の治療における使用のための請求項13に記載の医薬組成物であって、前記ヒトTNF-α活性を特徴とする障害が、炎症、炎症性疾患、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性敗血症および毒素性ショック症候群を含む敗血症;関節リウマチ、若年性関節炎、リウマチ様脊椎炎、強直性脊椎炎、シェーグレン症候群、変形性関節炎および通風性関節炎、アレルギー、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、自己免疫性ブドウ膜炎、乾癬、類天疱瘡およびネフローゼ症候群を含む自己免疫疾患;黄斑変性、ブドウ膜炎、ベーチェット病を含む眼の炎症状態;感染および感染に続発する悪液質による発熱および筋肉痛を含む感染症;移植片対宿主疾患;腫瘍増殖または転移、血液悪性疾患;喘息、成人呼吸逼迫症候群、ショック肺、慢性肺炎症性疾患、肺サルコイドーシス、肺線維症および珪肺を含む肺障害;クローン病および潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸障害;心臓疾患、うっ血性心不全;ウェゲナー病、巨細胞性動脈炎を含む血管障害;炎症性骨障害、アルツハイマー病などの中枢神経系障害;座骨神経痛などの抹消神経系障害、肝炎、凝固障害、熱傷、再灌流障害、子宮内膜症、ケロイド形成および瘢痕組織形成から成る群から選択される、医薬組成物
  15. ヒトTNF-α活性を特徴とする障害が血管新生関連眼障害である、請求項14に記載の医薬組成物
  16. ヒト被験者におけるヒトTNF-α活性を特徴とする障害の治療のための医薬の製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載のドメイン抗体構築物または請求項10に記載の二量体ドメイン抗体構築物の治療上の有効量の使用であって、前記ヒトTNF-α活性を特徴とする障害が、炎症、炎症性疾患、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性敗血症および毒素性ショック症候群を含む敗血症;関節リウマチ、若年性関節炎、リウマチ様脊椎炎、強直性脊椎炎、シェーグレン症候群、変形性関節炎および通風性関節炎、アレルギー、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、自己免疫性ブドウ膜炎、乾癬、類天疱瘡およびネフローゼ症候群を含む自己免疫疾患;黄斑変性、ブドウ膜炎、ベーチェット病を含む眼の炎症状態;感染および感染に続発する悪液質による発熱および筋肉痛を含む感染症;移植片対宿主疾患;腫瘍増殖または転移、血液悪性疾患;喘息、成人呼吸逼迫症候群、ショック肺、慢性肺炎症性疾患、肺サルコイドーシス、肺線維症および珪肺を含む肺障害;クローン病および潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸障害;心臓疾患、うっ血性心不全;ウェゲナー病、巨細胞性動脈炎を含む血管障害;炎症性骨障害、アルツハイマー病などの中枢神経系障害;座骨神経痛などの抹消神経系障害、肝炎、凝固障害、熱傷、再灌流障害、子宮内膜症、ケロイド形成および瘢痕組織形成から成る群から選択される、使用。
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