JP2009514695A - 消去および再利用可能な凹版刷版による凹版印刷のための方法および装置 - Google Patents

消去および再利用可能な凹版刷版による凹版印刷のための方法および装置 Download PDF

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Abstract

少なくとも転写すべきインクの最大量に基づいて設計された基本格子を備える凹版生版を基にした、消去および再利用可能な凹版刷版による凹版印刷のための方法および装置であって、この基本格子が、充填工程において均一に充填され、熱アブレーションによって画像が彫り込まれ、印刷の後、凹版刷版に消去工程が施され、それにより、充填材料の確実で完全な除去が、容認できる時間内で、印刷機外でも実施可能となる方法および装置を提供するために、画素転写機構とは別のレーザビームによって、充填材料および残ったインクを除去することが企図される。

Description

本発明は、少なくとも転写すべきインクの最大量に基づいて設計された基本格子を備える凹版生版を基にした、消去および再利用可能な凹版刷版による凹版印刷のための方法および装置に関する。
凹版印刷法は特に簡単な印刷方法であり、この方法は、オフセットインキングシステムの場合に通常はそうであるように、まずインキングの平衡状態に達しなければならないのではなく、事実上ただちに正しいインク量が被印刷物に供給されることを特色とする。凹版印刷により、非常に高い印刷品質が達成され、かつ最も様々な被印刷物に印刷することができる。この利点にはかなりの費用がかかり、その費用は一般的に凹版刷版の作製に必要である。
例えば特許文献1から、製版が既に大幅に簡略化された消去可能な凹版刷版が知られる。
この場合、少なくとも転写すべきインクの最大量に基づいて設計された基本格子を備える予め構造化された凹版生版が、第1のステップで塗布機構により充填物質で満たされる。充填用物質としては、反応系とも呼ばれ、極めて高い耐摩耗性を特色とする、例えば熱可塑性プラスチック、またはロウ、ラッカー、または架橋可能なポリマー融成物もしくはポリマー溶液を使用することができる。こうして凹版刷版の表面がほぼ平滑になる。その後、画素転写機構の熱エネルギー作用により、充填された物質を画像に従って凹部から取り除く。これで凹版刷版をインキングシステムによってインキングすることができ、それにより被印刷物上に凹版印刷で印刷することができる。印刷工程の後、表面のインクの残りを洗浄し、予め構造化された凹部から充填物質を好ましくは完全に剥がし、凹部を再び均一に満たすことにより、凹版刷版の表面が再び再生される。予め構造化された凹部からの充填物質の剥がしは、熱源および/または吹飛し機構もしくは吸引機構によって行うことができる。
凹版生版のドテの間の凹部を、熱可塑性樹脂の形の充填物質で補充した後、画素転写ユニットで、特にレーザで、アウタードラム露光装置に倣って、熱エネルギー作用により凹版刷版を画像に従って自由燃焼させることができる。好ましくはNdYAGレーザまたはNdYLFレーザを使用し、このレーザは、音響光学変調器を介して複数の強度段階に切り換えられる。
凹版印刷機内には、充填物質を塗布するための機構が、凹版刷版を装着した凹版胴に直かに、位置調節可能に配置されている。充填された凹版生版を画像に従ってアブレーションした後、こうして完成した凹版刷版をインキングシステムによってインキングすることができる。これにはチャンバドクターの使用が好ましい。なぜならチャンバドクターは、胴の周辺のスペースを従来のインキングシステムに比べて少ししか必要とせず、他の方法ステップ中は簡単に凹版胴から取り外すことができるからである。
凹版刷版は、必要な部数の印刷工程の後、チャンバドクターと同様に位置調節可能なシステムとして実施されている、好ましくは超音波洗浄機の形の再生機構によって、インクの残りを洗浄され、充填物質が凹版生版の基本格子の凹部から除去されて、a)充填、b)画像に応じたアブレーション、c)インキング、d)印刷、およびe)再生のサイクルを最初から始めることができるようになる。超音波洗浄機は、少なくとも2つの異なるレベルで運転可能であり、その際、1つのレベルは、低めの音響エネルギーおよび/またはインクだけを溶かす液体で、残っているインクを除去するために用いられ、もう1つのレベルは、相応に高めの音圧および/または別の洗浄剤で、充填材料を部分的にないしは完全に除去するために用いられる。
原理的には、画像に応じたアブレーションによって、凹版生版の基本格子の面要素より小さい面(画像ピクセル)に対処することができ、それどころか特に、画像にしたがったアブレーションを基本的に基本格子とは無関係に実施することができる。ただし画像にしたがったアブレーションが基本格子に適合するものでも、つまり基本格子と特定の幾何的関係にあってもよい。理想的な場合、画像にしたがったアブレーションは、プロセス的に必要な、基本格子の凹部の構造化をもたらす。
次に特許文献2は、凹版製版のさらなる簡略化を示しており、簡略化のために、充填工程において既に凹版生版の基本格子の凹部をUV印刷インクで満たし、このインクを凹部内で硬化させ、その後、画像彫込み工程において、熱アブレーションにより凹部から硬化したUV印刷インクを取り除き、続いて画像網点を再び液体のUV印刷インクでインキングし、印刷プロセスの後、再準備のために凹版刷版にUV印刷インクを使用した消去工程を施し、その結果、この方法では1つのプロセス媒体しか用いられず、このプロセス媒体が全ての、つまり消去流体、印刷インク、および充填物質の機能を果たし、気化する溶剤または健康を害する化合物の発生がなくなる以外に、プロセス媒体の混合がなくなり、それと同時にプロセスの安全性の向上が達成される。
再充填の安定性は、前回の充填と同程度である。それでもなお、(室内空気および印刷プロセスからの、例えば紙粉による)汚染に基づく、充填物質中への異物の蓄積が排除できない。この状況には、規定可能な回数の再準備工程の後、凹版生版の凹部からの充填物質の完全な除去を、例えばレーザ消去により(つまり、画素転写ユニットのレーザが、凹版生版の凹部から充填物質を完全にアブレーションし、いわばフルトーン画像を描いて)行うことによって対処できる。
そこでは、この方法を実施するための凹版印刷装置は、基本格子の完全な充填に適したUV印刷インクを、回転する凹版刷版に放出する塗布機構と、刷版幅をカバーしており、旋回して接近および離隔可能な少なくとも1つのUV乾燥機と、凹版刷版の表面を画像に従ってアブレーションするための画素転写機構と、UV印刷インクを放出するインキングシステムとを位置決めすることにより、製版のために、充填工程において凹版生版の基本格子の凹部を塗布機構によりUV印刷インクで均一に満たし、均一に塗布されたUV印刷インクを凹版生版の上方に位置決め可能な乾燥機によって硬化させ、その後、それに続く画像彫込み工程において、画素転写機構による熱アブレーションで凹部から硬化したUV印刷インクを取り除き、画像に従って網点が形成された凹版刷版をインキングシステムによってUV印刷インクでインキングし、次いで、印刷プロセスを行い、再準備のために凹版刷版に消去工程を施すものである。
つまり総括すると、現況技術においては、洗浄方法または洗浄機構として超音波洗浄機または高水圧洗浄機が挙げられ、あるいは時々徹底的に洗浄するための画素転写ユニットのレーザの使用が挙げられている。
しかしながら上記の消去/洗浄方法は、特に、溶剤系インクに対しても、また印刷インク、紙、およびドクターによる研磨負荷に対しても耐性のある充填材料を使用する場合、充填材料を超音波浴中で、または高水圧洗浄機による消去工程で、十分に除去することができず、あるいは充填材料を除去するために不経済なほど多くの時間を必要とすることが確認された。
前述のように消去工程のために画像彫込みレーザを使用するのは、画素転写機構に対する要件が消去機構に対する要件と異なるので、やはり経済的に問題がある。
画素転写機構は、高い解像度を、したがって優れた画像彫込み品質を達成するために、とりわけ非常に小さな点を除去すべきであり、このためTEM00モードで動作する。このモードでは、マルチモード運転に比べてレーザを放出可能な放射出力が大きく低減される。さらに同じ理由から、画像彫込みには好ましくは短い波長のレーザが利用され、一方、例えばTEA−COレーザのような出力コストの低いレーザは、画像彫込みには利用できない。
画素転写機構は、レーザ出力を複数の段階で精密に調整するための変調装置を必要とするが、この変調装置が、利用可能なレーザ出力をさらに弱くする。
画素転写機構は、非常に優れた、しかしコストのかかるレーザ出力安定化を必要とする。
これらの要件は、消去/洗浄工程にはそれほど必要ではない。
さらに上記の現況技術によれば、消去可能な凹版刷版の作製が好ましくは印刷機内で行われるようになされているが、これは一方で、印刷機内でも用いることができるプロセスステップのみが考慮され、消去可能な凹版刷版の再生または製作の全プロセス中、印刷機は印刷ができないという欠点を有する。
欧州特許第0730953号明細書 欧州特許第0813957号明細書
このため本発明は、以上のことから、充填材料の確実で完全な除去が、妥当な時間内で、印刷機の外でも実施可能である、凹版印刷のための、属概念を形成する種類の方法および装置を開発することを課題とする。
この課題は、請求項1から8に記載の様々な方法および請求項9に記載の装置によって解決される。
消去プロセスの制御は、消去可能で再利用可能な凹版刷版を実現するための前提条件である。基本格子の作製、充填、硬化、充填された表面の研磨、画像彫込み、および印刷機内での消去可能で再利用可能な凹版刷版の使用のような、本発明において挙げられるその他の方法ステップに関連して、凹版刷版の作製を明らかに簡略化し、電気めっき技術の使用を避けるまたは大幅に減少させる全てのプロセスステップについて述べる。
この場合に可能なプロセスの流れは、次のように表される:
a)印刷に使った凹版刷版の洗浄(初めて使用する際は省略)、
b)洗浄した凹版刷版の基本格子の再充填、
c)充填した凹版刷版の硬化および研磨、
d)レーザ露光装置内での凹版刷版の画像彫込み。これにより刷版は印刷工程のための準備が整う。その他の化学的なプロセスは必要ない。
e)印刷後、版を再消去し、次の印刷ジョブ用に充填および画像彫込みすることができる。
このように消去可能で再利用可能であり、画像彫込みの準備ができている、例えばスリーブとして印刷所に納入できるような凹版刷版を基にして、凹版刷版をオフセット刷版と同様の準備時間で作製可能である。これにより例えばオフセット印刷だけでなく凹版印刷にも用いられる印刷機による生産の際のプロセスの流れも、明らかに調和させることができる。
消去可能で再利用可能な凹版刷版を作製するために必要なプロセスは、以下に述べる充填材料の除去、充填および硬化、研磨、ならびに画像彫込みのための装置によって実施するころができる。その際、この装置は、複数の方法ステップのために適切に機器を統合することができ、例えば充填ステップと硬化ステップをコーティング機器内で一緒に実現することができる。
こうして作製された消去可能で再利用可能な凹版刷版は、原理的に全ての凹版印刷機で使用でき、凹版刷版の印刷準備ができるまでの準備時間の短さ、環境に悪い電気めっきプロセスの減少または回避、作製コストの削減のような、消去可能で再利用可能な凹版刷版の利点を、市場に定着した凹版印刷機の幅広い基盤の上で活かすことができる。
以下に、基本格子からの充填材料の除去、つまり凹版刷版の消去のための、特許請求された複数の方法を記載する。
レーザ放射による充填材料の除去:
充填材料および残ったインクを、好ましくはCOレーザまたはNdYAGレーザもしくは半導体レーザのレーザビームによって除去する。このために、出力密度またはエネルギー密度のようなレーザパラメータを、充填材料および残ったインクが多かれ少なかれ気相に移行する一方、凹版刷版の表面は、したがって基本格子は損傷のないまま再利用に供することができるように調整する。このプロセスは画像彫込みプロセスに似ているが、レーザビームを画像情報に応じて変調させることはなく、またレーザビームをそれほど微細に合焦させる必要がないので、合焦光学系に対する要件およびレーザビームの品質(レーザビーム断面のガウス型強度分布は必要ない)は、画像彫込みプロセス用より低い。これに対応してレーザ洗浄ステップは、この目的のために選択されたレーザにより、相応の光学系を用いて、画像彫込みレーザによるよりも明らかに安価に実施可能である。
レーザ放射が充填材料と相互作用する領域内に、酸素などの反応ガスまたは水蒸気を吹き込むことによって、充填材料の除去プロセスをさらに支援し加速させることができる。
炭酸水素ナトリウム(NaHCO)粉末放射による充填材料の除去:
別の、例えば石英砂またはガラス球を用いた粒子ビーム法とは異なり、NaHCOによる放射ではNaHCO粉末放射の際のビームパラメータが利用され、それだけでなく凹版刷版の表面が、したがって基本格子が、レーザ洗浄の場合と同様に損傷されず、それにもかかわらず十分な洗浄成果が達成されるように、それらのビームパラメータを調整することができる。NaHCO粉末の放射により、充填材料も残ったインクも除去される。
ドライスノー放射による充填材料の除去:
別の、例えばCOペレットを用いた粒子ビーム法とは異なり、凹版刷版の表面が、したがって基本格子が、レーザ洗浄の場合と同様に損傷されず、それにもかかわらず十分な洗浄成果が達成されるように、ドライスノー放射の際のビームパラメータを調整することができる。ドライスノー粉末の放射により、充填材料も残ったインクも除去される(熱衝撃効果)。
結晶状の(水)氷の放射による充填材料の除去:
別の、例えば石英砂またはガラス球を用いた既知のビーム法とは異なり、結晶状の(水)氷の放射は研磨力がより小さく、さらに凹版刷版の表面が、したがって基本格子が、レーザ洗浄の場合と同様に損傷されず、それにもかかわらず十分な洗浄成果が達成されるように、放射の際のビームパラメータを調整することができる。洗浄プロセスでは、固体の凝集状態から液体の凝集状態への相移行、およびやはり熱衝撃効果を利用する。結晶状の(水)氷の放射により、充填材料も残ったインクも完全に除去される。
洗浄または消去工程は、印刷インクおよび全ての充填材料を除去することによって行ってもよいが、印刷インクだけを除去し、充填材料の表面を次回の充填のために準備することによって、つまり充填材料を、不動態化層がある場合にそれを除去するという意味で活性化し、充填材料を少しだけ取り除くことによって行ってもよい。
本発明による方法を実施するため、上記のプロセスの流れに従って作製された凹版刷版を洗浄(プロセスステップa))するために消去装置を利用する。この消去装置は、残ったインクおよび充填材料を完全に(後者は場合によっては部分的にだけでも)、凹版刷版の基本格子から除去する。この消去装置は、吸引装置、洗浄装置、および乾燥装置のようなさらなる追加機構を含むこともできる。本来の洗浄ステップを実施するため、消去すべき凹版刷版の表面に向けられた、1つまたは複数のレーザ放射のための合焦機構を、あるいは1つまたは複数の粒子放射器を、キャリッジなどのガイド機構を用いて、回転する凹版刷版の長手軸に沿って、トラバース上を1つまたは複数のモータによって移動させる。その際、凹版刷版の回転数およびトラバースに沿った移動速度は、凹版刷版が1回転する間の、凹版刷版の長手軸方向へのガイド機構の送りが、レーザ放射または粒子放射の作用幅より小さいか、または同じになるように、互いに同調させる。
レーザを使用する場合、残された充填材料および残ったインクを、除去の際に好ましくは気相に移行させる。例えば使用する光学系上に気体状の材料が沈殿するのを回避するために、レーザビームによって取り除かれた材料を吸引するための吸引機構が、吸引した空気のフィルタリングとともにまたはそれ無しで設けられる。
粒子放射器を使用する場合、版胴の周りに好ましくはハウジングの形で存在する作業空間から、放射材および放射材のキャリア媒体を、ポンプによって吸引可能であることが好ましい。
さらに、洗浄残留物を除去するための、横移動するまたは横移動しない濯ぎ装置を好ましくは設けることができ、この濯ぎ装置は、主にブラシがけ部、液体ビーム部、吸引装置、または洗浄液を再利用するための洗浄液フィルタリングを備えた排水部を含んでいる。
さらに、洗浄した凹版刷版を乾燥するための、横移動するまたは横移動しない乾燥装置を設けることができ、この乾燥装置は、布を張ったローラもしくはタオル、冷たいおよび/または暖かい空気ジェットもしくはIR放射器を含んでいる。
このようにプロセスステップa)、つまり「印刷に使った凹版刷版の洗浄」および充填材料の除去のためだけに、例えば吸引装置、濯ぎ装置、および/または乾燥機構のような複数の装置が必要となる可能性があり、これらは洗浄すべき凹版刷版の傍に配置されており、全てがある程度のスペースを要し、凹版印刷機内でそのスペースを確保するのは容易ではない。このため上記の追加機構付きのまたは無しの消去装置を、印刷機外で、独立した装置として実施するのが適切である。これは、印刷機内で必要なスペースに関する方法の制限をなくし、機械が洗浄工程中も印刷可能となり、加えて例えば腐食の危険の故に印刷機内では実施不可能であろう洗浄方法を使用できるというさらなる利点を有している。
充填材料の除去プロセスを加速するために、凹版刷版に沿って複数の装置を配置することもでき、これにより各装置は胴の全長のうちの一部分からのみ充填材料を除去すればよく、これに関して充填材料の除去プロセスの持続時間が相応に短縮される。
消去可能な凹版刷版用の基本格子は様々な方法により作製可能である。
基本格子は従来の凹版刷版に倣って作製することができ、銅に彫込みまたはエッチングすることができる。基本格子を付けた凹版刷版の耐久性を高めるために、基本格子は、例えばクロム、ダイヤモンド様カーボン、窒化チタン、炭化タングステン、またはその類似物のような硬質コーティングを備える。
基本格子は、セラミックスコーティングまたは超硬合金コーティングに彫り込むこともできる。アニロックス式インク装置から、例えばプラズマ溶射されたセラミックスコーティングにレーザによって細かい格子を彫り込んだ格子ローラが知られている。このようなローラは、再利用可能な凹版刷版用の基本格子としても利用可能である。このローラの利点は、比較的多い回数の再利用に耐える非常に耐久性のある表面である。
基本格子は、例えば回転スクリーン印刷で使用するような孔スリーブによって形成することもでき、この孔スリーブは、支持胴上に張られ、または焼きばめられ、または直接的に平滑な面上に電着される。表面が再利用に十分な硬度をまだ有していない場合は、例えばクロム、ダイヤモンド様カーボン、窒化チタン、炭化タングステン、またはその類似物のようなさらなるコーティングによって、表面の耐摩耗性を改善することができる。
充填材料として固体物質が、好ましくはポリマーが使用され、この物質は、充填工程中は液体であるか、調整可能な粘性を有し、または粉末状であり、かつ凹版刷版上で、UV放射、温度、および/または空気湿度の作用によって架橋および/または溶融する。
ただし、空気湿度がある場合は架橋するが、ちょうど充填装置内で大抵そうであるような乾燥した周囲大気中では架橋しない、例えばポリウレタンのような液体の充填材料を使用することが好ましく、それによって充填装置の保守作業が大幅に楽になる。
液体の充填材料で基本格子を充填する際に、濡れの問題が発生しないように、充填時の液体の充填材料の表面エネルギーは、基本格子の表面エネルギーよりも低くあるべきである。印刷時に、まだ部分的に充填材料で満たされている凹版印刷セルをインクで充填し、インクを完全に排出することが問題なく可能なように、硬化した充填材料の表面エネルギーは、印刷インクの表面エネルギーより高くあるべきである。研磨性のインクおよび紙に対する充填材料の耐摩耗性を高めるために、例えば酸化アルミニウム、炭化ケイ素、または酸化ケイ素のような微粒子状(典型的な粒子サイズ<1μm)の硬質物質粉末を、充填材料に添加することができる。
消去可能な凹版刷版を充填するための装置には、硬化した充填材料層がセルを完全に満たし、かつ基本格子全体を、基本格子のドテの高さを約10μm超過する厚みで覆うような量で、充填材料を基本格子に塗布するという課題がある。
オフセット印刷機のインク装置内のインクナイフ/インクドクターシステムに類似のドクターシステムによって充填工程を実施することができる。ドクターナイフの代わりにロールドクターを使用することもでき、このロールドクターは、素早くインクを掻き落とす際に小さな気泡が基本格子の充填層内に入り込むことを防止するのに適した構造を備えている。
ただし充填を、静電気による粉末コーティング法または噴霧法によって行うことも考えられる。
充填装置内で空気湿度によって硬化する充填材料が硬化するのを防止するために、充填装置の充填材料と接触する部分は、周囲の空気湿度に対して密封されたチャンバ内にあり、このチャンバ内では、湿度が十分に低い大気の十分な過圧が保たれているので、湿度依存性の充填材料の架橋はまだ始まらない。
消去可能で再利用可能な凹版刷版の基本格子を充填材料でコーティングした後、特に液体の、未架橋状態または部分的にのみ架橋した状態で、基本格子上に塗布されるポリマーが使用される場合、この充填材料を硬化つまり架橋させなければならない。ただしこの架橋はできるだけ非自発的に、例えば後でポリマーとなる2種の原料を混合したときにだけ始まるべきであり、そうでなければ充填装置は材料の自発的な硬化によって使い物にならなくなり、あるいは充填装置のために高い保守費用または特殊で高価なコンポーネントが必要になるであろう。この理由から、例えばUV放射を照射し、照射と同時またはその後で約80℃〜140℃で短めまたは長めに加熱してまたは加熱無しで、はじめて架橋を開始する材料、あるいは約80℃〜100℃より高い温度ではじめて架橋を開始する材料、あるいは湿度がある場合にはじめて架橋を開始する材料のような、材料の架橋工程を定義通りに開始させることができる充填材料を使用することが適切である。
消去可能で再利用可能な凹版刷版がスリーブである場合、硬化装置内でスリーブを担持する胴は、硬化のために加えられるスリーブの熱が担持する胴内に流れ込まないように、胴の表面に断熱層を、例えばグラスファイバで強化されたエポキシ樹脂層を備えることができる。充填材料を硬化するためのさらなる装置は、IR熱放射を低減させたまたはさせない、消去可能で再利用可能な凹版刷版の全長を照射可能な、または凹版刷版に沿って横移動可能なUV放射器でもよく、UV放射器と組み合わせた、やはり消去可能で再利用可能な凹版刷版の全長を照射可能な、または凹版刷版に沿って横移動可能なIR放射器でもよく、消去可能で再利用可能な凹版刷版を収容するためのオーブンでもよく、あるいは空気湿度が調整可能な、消去可能で再利用可能な凹版刷版を収容する閉鎖空間でもよく、その際、ガス雰囲気の組成が調整可能な(調整可能な保護ガス雰囲気、例えば窒素を含む)閉鎖空間も考えられる。
基本格子の充填工程の際、基本格子上に材料を過剰に塗布し、凹版刷版の地汚れを避けるために、この過剰分をドテの高さまで再び削り落とさなければならない。これは、例えば酸化アルミニウム系の研磨材のように基本格子の表面を全くまたは少ししか侵食しない研磨材で行うことができる。この研磨材は、例えばLoeser GmbH社製のいわゆるスーパーフィニッシング装置で使用されるように、柔軟な研磨ディスクまたは研磨バンド上で使用することができる。従来の凹版刷胴の銅磨きにも用いられるような研磨石による研磨も可能である。研磨プロセスは、基本格子のセル内の充填材料が、基本格子のドテの高さと面一になったときに終了する。これは、反射測定(クロムめっきした基本格子の場合、基本格子が充填材料を通り抜けて光を発するとすぐに反射が高くなる)によって確認できる。この測定は、充填材料がよく吸収する波長で、積分的にまたスペクトル選択的に行うことができ、あるいは金属接点(例えば小歯車またはブラシ)と消去可能な凹版刷版の間の電気抵抗の測定によって行うことができ、あるいは別の電気的方法で例えば渦電流測定によりまたは誘電的に行うこともできる。
消去可能で再利用可能な凹版刷版は、中実円筒または管として実施することができ、したがって胴は、それ用に定められた印刷機内に収容可能である。さらに凹版刷版は、いわゆる「エアシリンダ」上に装着される肉薄のスリーブとして実施することができる。スリーブとエアシリンダの間の隙間の密封は、インクおよび溶剤に耐性のパッキンリングによって、あるいは十分な溶剤耐性を有するグリースを隙間に塗り込むことによって、またはシリコーン密封材の塗布によって実施することができる。

Claims (24)

  1. 少なくとも転写すべきインクの最大量に基づいて設計された基本格子を備える凹版刷版を基にした、消去および再利用可能な凹版刷版による凹版印刷方法であって、
    製版のために、充填工程において凹版生版の前記基本格子の凹部を、塗布機構により例えば架橋可能なポリマーのような充填材料で均一に満たし、次いで、画像彫込み工程において、画素転写機構による熱アブレーションにより前記凹部から画像に従って充填材料を取り除き、前記画像に従って網点が形成された凹版刷版をインキングシステムによってインキングし、次いで、凹版印刷で印刷し、その後に前記凹版刷版に消去工程を施し、その際、前記充填材料および前記印刷工程で残ったインクを、前記画素転写機構とは別の気体レーザ、特にCOレーザ、固体レーザ、特にNdYAGレーザまたは半導体レーザのレーザビームによって除去する方法。
  2. 前記レーザビームの出力密度またはエネルギー密度が、前記残された充填材料および前記残ったインクを、除去の際に気相に移行させるように調整されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記気相が吸引されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記レーザビームによる消去工程が、前記レーザ放射が前記充填材料と相互作用する領域内に、反応性ガスまたは水蒸気を吹き込むことによって支援されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 少なくとも転写すべきインクの最大量に基づいて設計された基本格子を備える凹版刷版を基にした、消去および再利用可能な凹版刷版による凹版印刷方法であって、
    製版のために、充填工程において凹版生版の前記基本格子の凹部を、塗布機構により充填材料で均一に満たし、次いで、画像彫込み工程において、画素転写機構による熱アブレーションにより前記凹部から画像に従って充填材料を取り除き、前記画像に従って網点が形成された凹版刷版をインキングシステムによってインキングし、次いで、凹版印刷で印刷し、その後に前記凹版刷版に消去工程を施し、その際、前記充填材料および前記印刷工程で残ったインクを、粒子放射器により炭酸水素ナトリウム(NaHCO粉末、ベーキングパウダー)を用いて除去する方法。
  6. 少なくとも転写すべきインクの最大量に基づいて設計された基本格子を備える凹版刷版を基にした、消去および再利用可能な凹版刷版による凹版印刷方法であって、
    製版のために、充填工程において凹版生版の前記基本格子の凹部を、塗布機構により充填材料で均一に満たし、次いで、画像彫込み工程において、画素転写機構による熱アブレーションにより前記凹部から画像に従って充填材料を取り除き、前記画像に従って網点が形成された凹版刷版をインキングシステムによってインキングし、次いで、凹版印刷で印刷し、その後に前記凹版刷版に消去工程を施し、その際、前記充填材料および前記印刷工程で残ったインクを、粒子放射器によりドライスノー粉末を用いて除去する方法。
  7. 少なくとも転写すべきインクの最大量に基づいて設計された基本格子を備える凹版刷版を基にした、消去および再利用可能な凹版刷版による凹版印刷方法であって、
    製版のために、充填工程において凹版生版の前記基本格子の凹部を、塗布機構により充填材料で均一に満たし、次いで、画像彫込み工程において、画素転写機構による熱アブレーションにより前記凹部から画像に従って充填材料を取り除き、前記画像に従って網点が形成された凹版刷版をインキングシステムによってインキングし、次いで、凹版印刷で印刷し、その後に前記凹版刷版に消去工程を施し、その際、前記充填材料および前記印刷工程で残ったインクを、粒子放射器により結晶状の(水)氷を用いて除去する方法。
  8. 前記充填材料が、前記基本格子の底までは除去されず、前記充填材料が、新たな画像彫込み工程および印刷工程のために、前記基本格子の前回の充填によってまだ部分的に存在する充填材料の上に塗布されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 1つおよび/または複数のレーザビームあるいは1つまたは複数の粒子ビームが、前記回転する凹版刷版に沿って前記凹版刷版の軸方向に移動され、前記ビームの送り速度が、前記回転する凹版刷版が1回転する間に、前記レーザビームまたは粒子ビームの作用幅と同じか、または作用幅より短い距離を進むように選択される、請求項1から7に記載の方法のいずれか1つを実施するための凹版印刷用装置。
  10. トラバース上で可動な少なくとも1つのユニットが、前記レーザビームを合焦するための例えば光学要素、および/または前記粒子ビームをもたらすための例えばノズルを、前記凹版刷版の、前記充填材料および前記残ったインクを除去すべき表面に向ける装置を装備することを特徴とする請求項9に記載の装置。
  11. 前記消去機構のためにレーザを使用する場合、気体レーザ、特にCOレーザを、あるいは固体レーザ、特にNdYAGレーザまたは半導体レーザを使用し、前記レーザの出力密度またはエネルギー密度は、前記残された充填材料および前記残ったインクが、除去される際に気相に移行可能であるように調整することができ、前記レーザビームによって取り除かれた材料を吸引するための吸引機構が、吸引した空気のフィルタリング付きでまたはそれ無しで設けられることを特徴とする請求項9に記載の装置。
  12. 粒子放射器を使用する場合、前記回転する凹版刷版の周りの作業空間から、ポンプを使って放射材および前記放射材のキャリア媒体を吸引可能であることを特徴とする請求項9に記載の装置。
  13. 横移動するまたは横移動しない濯ぎ装置が、洗浄残留物を除去するために設けられることを特徴とする請求項9から12に記載の装置。
  14. 横移動するまたは横移動しない乾燥装置が、前記洗浄した凹版刷版を乾燥するために設けられることを特徴とする請求項9から12に記載の装置。
  15. 熱溶射されたセラミックスコーティングに凹版基本格子として細かい格子がレーザで彫り込まれた、格子ローラの使用を特徴とする請求項1から7に記載の方法。
  16. 孔スリーブの形の前記凹版生版が上に張られたまたは焼きばめられた、平滑な支持胴の使用を特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の基本格子の作製方法。
  17. 耐摩耗性を改善するために、前記基本格子を銅に彫り込み、その上にクロム層を塗布し、続いてダイヤモンド様カーボン、炭化タングステン、または窒化チタンから成る約0.1μm〜4μmの薄い硬質層によるコーティングを施すことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の基本格子の作製方法。
  18. 前記充填材料が前記基本格子に、硬化した前記充填材料層が前記基本格子の前記凹部を完全に満たし、かつ前記基本格子全体を前記基本格子のドテの高さより約10μm過剰の厚みで覆うような量で、塗布されることを特徴とする請求項1から7に記載の方法。
  19. 前記過剰の厚みが、前記基本格子の表面を少ししかまたは全く取り除かない、例えば酸化アルミニウムのような研磨材を用いて、前記基本格子の前記ドテの高さまで削り落とされることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 紫外線照射によって硬化する液体材料の使用を特徴とする請求項1から7に記載の方法。
  21. 前記充填材料が、カーボンブラック、その他のカラー顔料、または色素などの吸収体を含んでおり、前記吸収体が、前記画像彫込み工程のために使用されるレーザの放射、および前記充填材料の除去工程のために使用されるレーザの放射を、十分に吸収することを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の前記基本格子を充填するための充填材料。
  22. 空気湿度がある場合は架橋するが、乾燥した周囲大気中では架橋しない液体の充填材料(ポリウレタン)の使用を特徴とする請求項1から21のいずれか一項に記載の前記基本格子を充填するための充填材料。
  23. 室温より少なくとも20K高い温度ではじめて架橋反応が開始されるモノマーまたはオリゴマーの使用を特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載の前記基本格子を充填するための充填材料。
  24. 粒子サイズが10μmより小さい例えば炭化ケイ素または酸化アルミニウムのような硬質物質粒子の添加を特徴とする請求項1から23のいずれか一項に記載の前記基本格子を充填するための充填材料。
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