JP2009510256A - 超音波衝撃による、金属性能の改善ならびに劣化からの保護およびその抑制の方法 - Google Patents

超音波衝撃による、金属性能の改善ならびに劣化からの保護およびその抑制の方法 Download PDF

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Abstract

超音波衝撃を制御することにより、金属の性能を改善および強化し、かつ劣化から金属を保護して劣化を抑制する方法を開示する。本方法は、外力、熱力学的変動、および負の環境要因のもとでの長期使用中の金属特性の劣化の問題に対処する。本方法はまた、時間経過に伴う性能の好ましくない変化による材料破損の危険を防ぎ(阻止し)、かつこれを抑制することを目的とした技術に関する。金属劣化に「対抗する」周知の方法は、溶融中の冶金合金化、鋳造、溶接、およびコーティングの適用から表面上での様々な熱処理および効果までの広範囲の技術を含む。本発明はこれらの場合の全てにおける劣化の問題に対処する新規の汎用的方法を提供する。

Description

発明の分野
本発明は、超音波衝撃により、金属の性能を改善し、ならびに、劣化から金属を保護し、それを抑制する方法およびアルゴリズムに関する。本発明は、外力、熱力学変動および負の環境要因下での長期使用中の、金属特性の劣化の問題に対処する。本発明は、時間経過に伴う性能の好ましくない変化による材料の破損の危険から保護、すなわち、危険を阻止し、抑制する。これらの問題は一般に、金属の環境劣化過程に伴って生じる、周知の条件下での材料/金属の元の構造の損傷のために起こる。
発明の背景
当技術分野では、材料の状態および特性に対する超音波衝撃処理の直接的影響についての方法および手段を開示し、材料の表面およびその表面下の層は、効果および結果についての1つの不可欠な物質であることを示す、米国特許第6,171,415号;同6,289,736号;同6,458,225号;同6,338,765号;同第6,722,175号および同6,843,957号が公知である。
劣化の様々な型(分類)、原因、物理的性質および機構が公知である。例えば、当技術分野では、Berman A.F.によるDegradation of Mechanical Systems(Novosibirsk:Nauka, 1998, -p.320)が公知であり、これは、組み合わせた要因作用に影響される、構造の材料劣化過程、構造部品の破損および独特な機械システムの故障の構造機構の研究および形式化の結果を開示する。腐食亀裂、水素脆化、腐食疲労および機械的疲労ならびに浸食による材料損傷および構造部品の破損の過程もまた記載されている。
機械システム(MS)の実験研究、試験および使用経験の結果は、MSおよび機械システムからなる技術システム(TS)の信頼性ならびに安全性の支持、維持および回復に関連する問題に対処するための情報基盤である。この研究は、劣化によるMSの信頼性の変化に対処する。MSの劣化は、技術的条件の不可逆変化、不調および安全でない動作の過程を意味する。MSの劣化は、構造的な荷重負担能力の変化を伴う故障および事故の蓄積過程の一部である。
製造段階で信頼性を提供するために、起こりうる劣化過程の知識に基づき、設計図およびモデルを開発および改善し、破損および限界状態の診断的な特徴および基準を確立し、ならびに試験方法を確認し、技術的条件を診断し予測するための技術ならびに緊急事態および事故の拡大を阻止するための保護法を決定するために、努力がなされている。
信頼できる安全な動作を確保するために、劣化過程の知識により、MSの技術的条件およびその変化原因の効果的な制御および評価、部品寿命および診断頻度の更新、診断および予測技術の改善、ならびにMSの更新が可能になる。
機械システムはほとんどすべての技術システムの構造基礎を構成する。従って、耐荷重性構造およびメカニズムの強度および寿命は、信頼性の研究および維持の一般方法において最も重要である。
MSの故障および部品の寿命減少は、故障および限界状態基準により特徴づけられる。動作安全性および必要な寿命は、予備の作業能力および荷重負担能力、外部作用におけるばらつきおよびそのランダム特性を補償する診断および予測技術により得られる。
過去10年にわたり、電力工学、化学および石油化学工業ならびに輸送における破損の原因については非常に詳細に研究されてきた。これにより、寿命の減少(劣化)およびMSの破損の一因である現象および因果関係の複雑さおよび多様性が証明されている。例えば、化学反応器の破損の調査では、肉厚方向の亀裂が機械的、物理的影響および化学的影響の好ましくない組み合わせにより熱交換パイプ中で発生することが示された。これは、不完全な設計の基準および規則、製造技術および検査技術および動作条件、ならびにそれらの違反のためである可能性があった。このように、MSおよびその部品の強度および寿命の問題は、解決にはほど遠く、とりわけ、独特な外部要因ならびに小規模MSおよびTSに対してはそうであり、それらの破損は重要な経済的および社会的な結果となる。
この問題に対処する1つの方法は、材料力学および構造力学の方法をランダム過程と組み合わせる方法である。これは、MS信頼性理論に対する基礎である。劣化破損の確率は、予測される寿命の限界内でかなり小さいものであるのが当然であり、劣化破損の物理特性を考慮した適当な維持システムおよび寿命設計により得られる。寿命の妥当な計算は、ここでは、故障の機械-物理-化学特性の研究に基づいてのみ、すなわち、破損特性に対し十分な設計モデル、劣化過程のメカニズムおよび動力学モデル、全体としてのMSおよびその各部品の両方に対する(動作条件)の品質空間の有効性を用いると、可能である。
しかしながら、独特な化学処理システムの動作経験により、破損の30%を超えるものが、実際には、信頼できる寿命予測ができない機械-物理-化学要因の同時作用下での不完全な設計モデルによるが、MSの技術的条件および修理可能性を評価することができない設計解となることが示される。
この場合の破損は、実験室条件下での外部要因(動きの速いものを含む高圧および温度、活動的環境および侵食環境の組み合わされた作用;加速することができない多くの低速の劣化過程、など)の非再現性のため十分な実験研究が可能でないため、大いに引き起こされる。おそらく、実験的な研究および試験は不十分であり、このため、破損および限界状態の有効な基準の欠如が不十分なメンテナンスを伴う。
パラメータ信頼性理論は、物理的機械的破損モデルを含む、信頼性パラメータの計算に基づく。この理論により、製品の出力パラメータが個々の部品の摩耗および損傷により変化することが示唆される。しかしながら、多くの場合、出力パラメータは、機能が停止し、または安全操作条件が妨害されるいくつかの重要な瞬間まで、損傷値の影響を受けにくい。例えば、亀裂が容器、パイプおよび他の部品で生じ、この場合、肉厚方向の亀裂または脆性もしくは延性の破壊のために、機能が停止する。
この場合、肉厚方向の亀裂形成または水素脆化の危険を特徴づけるパラメータ(亀裂深さまたは長さ、など)が特定される。多くのMSの現在の可制御性および診断容易性を用いると、そのようなパラメータはしばしば制御不能であり、または不十分に制御される。このため、そのようなMSの信頼性は、可能性のある仮説的損傷の分析および可能性評価により維持されるべきである。得られた結果により対策が決定され、破損の拡大が阻止され、安全性が提供される。
MSの故障は、1つまたは複数の部品の破損が先立つ最終段階であり、この部品の破損は、臨界値に到達した損傷材料により引き起こされる。様々なパラメータが、材料の特性および外部要因に依存し、損傷基準と考えられる。損傷パラメータは、材料、ならびに表面および構造条件の物理特性、化学特性および機械特性の変化を特徴づける。
基本的に、現在の測定技術は、それらの局所適用のために、または業界が必要な技術手段を欠いているため、初期の損傷段階を検出せず、これは、MS開発中に考慮すべきである。これにより、直接的および間接的な診断特徴を識別する、ならびに試験中および使用の状態を評価および予測するのに必要とされる診断手段を開発するという問題が生じる。
様々な要因の結合された作用下で材料の特性および状態を変化させる過程を説明する関係は、実質的には非線形である。これらの過程は、研究され、主に経験的に形式化される。外部要因の様々な組み合わせの下での材料損傷動力学の評価および予測と関連する問題も存在する。
とりわけ、化学、石油化学、核工学、生物工学およびパイプラインインフラストラクチャーにおけるMSおよびTSに対する複数の影響により、材料の複雑な損傷、MSの寿命減少および故障の一因となる非常に様々な劣化過程が引き起こされる。可能性のある劣化過程の識別が、設計前調査中および設計作業中の最も重要な目的である。
これらの過程を研究するために、非常に多くの金属物理、冶金、物理化学、強度、耐久性および他の研究ならびに試験を実施した。そのような研究の主目的は、初期パラメータに依存する構造および特性の変化のメカニズム、動力学および力学を識別することである。G.P.Karzovにより編集されたモノグラフは、材料内および構造内で生じる破損過程の調査に対し様々なアプローチを結合させるように誘導された最近の最も包括的な努力の1つである。
多くの場合、広く使用され、よく研究された構造的冗長性などの信頼性法は、MSに適用可能ではなく、この場合、強度および寿命基準に基づいて、信頼性を提供できず、または正確に評価することができない。例えば、パイプライン、管状装置および圧力容器に対する主な破損基準は、漏れまたは大気注入が引き起こされる肉厚方向の損傷または部品破損による密閉破損である。
任意の損傷過程が、そのメカニズム、動力学および力学により説明される可能性がある。損傷過程のメカニズムは過程を決定する要因の組み合わせおよび相互作用を意味し;動力学は基本運動事象を加算または累積させた結果生じる微視的および/または巨視的な事象などの損傷を意味し;および力学は時間経過に伴う過程速度変化を意味する。このように、損傷メカニズム(劣化メカニズム)は、部品材料に影響する多くの要因により識別され;動力学および力学は、時間内の所与の影響に対する微量および超微量の体積内の材料応答により識別され;および損傷パラメータは、部品体積内の外部影響の結果により識別される。各損傷過程は、特別な因果関係を有する影響の複合化と同時に起こる集合過程である。任意の損傷過程は、典型的に過程にクラスを割り当てるための基本と考えられる最小数の支配的な要因を有する。
MS部品材料破損の性質および原因の識別は、これが、下記を与えるので、基本となる:強度および寿命を評価するための設計モデルのための基本;試験法および試験条件の正確な選択の基準;MSに対する診断、予測法および改良法を確認するための初期情報。
MSの耐久性および信頼性の観点では、損傷メカニズム、動力学およびパラメータを研究すべきであるのは、製造技術を考慮した部品または構造材料を合理的に選択するためだけでなく、主に破損および限界状態の基準、周期性ならびに制御および診断の手段、技術条件、信頼性および安全性のための予測方法論を設定するためである。金属物理学者および冶金学者は、「材料破損」という用語を使用するが、強度および信頼性の専門家は、「部品材料損傷」または単に「部品損傷」を使用し、これが本明細書で使用される。
材料の化学活性は、応力のもとで増加し、この増加は、繰り返し応力のもとでさらに大きくなる。このため、強度および寿命の研究は、機械的基準のみに限定されるべきではない。腐食-機械的損傷は、MS部品の破損を引き起こすが、主に化学、石油化学、油処理プラント、電力設備、ならびにガスパイプラインおよび油パイプラインでの設備破損の一因となる。この設備は、熱-物質-移動過程ならびに化学技術、石油化学技術および電力技術に対し主要である媒体の輸送のために設計される。
材料損傷は、様々な損傷ミクロメカニズム、時間内の熱変動の統計学的関係ならびに核、転位、下部構造レベルおよび構造レベルでの同時現象のために、多段階、統計的大規模過程として記載されている。負荷および媒体の組み合わせた作用下で強度および寿命を評価するために単に機械的基準を使用すると精度が確保されず、またこれらの基準を改善し、損傷過程に影響することもできない。
実験的研究、試験および制御された使用の結果に基づき、まだほとんど理解されていないが、例えば、腐食亀裂(CC)、水素脆化(HE)、腐食疲労(CF)、機械的疲労(MF)、などである、最も一般的な部品材料損傷過程のいくつかの物理化学的本質に対処する。1つまたは別の劣化過程の一因となる最も重要な要因を検出し、各過程を説明する損傷パラメータを識別した。表1は様々な損傷メカニズムを含み、損傷の過程およびパラメータを規定する主要因の分類を示す。主要因に引き起こされる損傷過程は、要因間、過程を開始および促進する各要因および追加の要因の個々の部品間の様々な定量的関係の下で実行させてもよい。
(表1)材料損傷の主要のパラメータ、メカニズムおよび過程の分類
Figure 2009510256
表2は、MS寿命に実質的な影響を有し、亀裂により特徴づけられる最も一般的で危険な型の損傷パラメータの分類結果を示す。
(表2)亀裂パラメータ強化
Figure 2009510256
Accelerated Aging of Materials and Structures: The Effects of Long-Term Elevated-Temperature Exposure (National Materials Advisory Board of USA (NMAB), 1996) もまた公知であり、これは、航空機産業で使用される様々な材料のための試験手順を開発する問題に対処し、使用中のそれらの劣化および新規航空機部品の寿命の信頼できる予測が可能となる。航空機構造使用環境における長期暴露に対する材料システムの応答を予測するためには、損傷および破損に関連する物理的現象の基本的な理解を発展させなければならない。これは、実験材料の特徴付けおよび物理的現象を説明する、関連数学および計算モデルの開発によってのみ確立させることができる。多くの場合、試験の標準およびコードは、特定の型の部品の設計法および試験法に関する手引きを提供するために利用することができる。しかしながら、いくつかの先端材料、例えば複合材料では、材料試験への異なるアプローチが必要とされる可能性があり、標準化法が欠けている可能性がある。同じ基本的な材料特性に対する要求は同様である可能性があるが、ユーザーはしばしば自分自身の試験方法を開発する。異なる試験方法により、試験データにあいまいな点が生じる可能性があり、材料の選択、設計、および製造が不確実になる。
促進された試験法および分析法を用いた材料および構造の長期時効応答の評価は、とりわけ航空機使用中に遭遇する複雑な条件では、非常に困難である。最もよい技術でさえも、おそらく、材料性能の完全に満足のいく予測を得られない。しかしながら、新規航空機が設計され、寿命サイクル全体にわたって材料および構造が評価されるので、材料の選択および構造設計決定を支援するために材料および構造性能をできるだけよく理解できる試験法および分析法を開発することが重要である。完全に厳密なデータが開発されるのを待つよりは、主要なプログラム決定に影響する有効な不完全なデータを時間内に得る方が良好である。
これらの問題に対する関心がきっかけで、米国航空宇宙局(NASA)は、全米学術研究会議の材料諮問委員会(NMAB)に、先端材料の時効に関連する問題を識別し、将来の航空機の材料および構造のその使用寿命を通しての耐久性を特徴づけるための促進された評価アプローチおよび分析法を示唆するように要求する。(1)次世代高性能航空機の構造および材料に対する長期暴露影響の概略を提供するために;(2)可能性のある航空機動作環境への材料応答を特徴づける、および予測するために研究室の試験技術および分析技術を促進する分析法およびアプローチへの改善を推奨するために;ならびに(3)要求される試験、予測分析能力、および評価基準を開発および立証するために必要とされる研究を識別するために、NMAB研究委員会が設置された。
一般的な劣化メカニズム、すなわち、観察された劣化影響の根底にあり、考慮しなければならない物理的な事象または一連の事象は下記を含む:
−微細構造および組成の変化、
−時間依存性変形および結果として起こる損傷累積、
−環境攻撃および高温の促進影響、ならびに
−上記のうちの相乗的影響。
歴史的には、航空機用途におけるアルミニウム合金に対する主な損傷メカニズムは腐食および疲労であり、メカニズムは一般に時効フリートに関連する。可能性のある損傷メカニズムは微細構造変化、疲労、クリープ、および環境影響を含む。
最も重要な劣化メカニズムの決定は、特別な用途でどの特性が重要かに依存する。例えば、強度が重大である場合、高温使用中のマトリクス析出物(matrix precipitate)の粗大化が重要であり;靱性が重大である場合、粒界析出または析出物のないゾーンの進行が重要であり;かつクリープまたは疲労が重大である場合、ミクロ亀裂の核形成、成長、および合一が重要である。アルミニウム合金の高温用途に関連する可能性のある損傷メカニズムは微細構造変化、疲労、クリープ、および環境影響を含む。
適用された応力のもとでの高温暴露は、マトリクス析出物の粗大化(強度が重大な用途では重要)および粒界析出または析出物のないゾーンの進行(靱性が重大な用途では重要)を含む多くの微細構造変化を導入することがある。疲労抵抗は、ボイドまたはミクロ亀裂の核形成、成長、および合一により劣化する。高サイクル疲労抵抗は、微細構造不均質でのミクロ亀裂の核形成に敏感であるが、疲労亀裂成長しきい値は、残留応力レベルに影響され、亀裂先端遮蔽が、微細構造の変換により生成する。クレープ抵抗は、粒度の増加により改善されると思われる。また、冷間加工は、析出強化されたおよび分散強化されたアルミニウム合金におけるクリープ抵抗を減少させる。アルミニウム合金に対し考慮する必要のある使用環境相互作用による劣化メカニズムは、腐食、応力腐食亀裂、水素脆化、固体金属脆化、および液体金属脆化を含む。
チタン合金の破砕過程の複雑さ、時間-温度-水素-依存性疲労モードの可能性と関連する3つの相互関連問題は、高速民間輸送(HSCT)用途では、高強度および高靱性のチタン合金の開発を妨害する可能性がある。これらの問題は、変形および局所破砕、中間温度変形挙動における不確定性、および水素脆化に対する微細構造変化の影響を含む。
HSCT用途のための高強度および高靱性のチタン合金の長期、高温用途において考慮する必要のある3つの主要因は、下記を含む:
−アルミニウム合金に対し進行したものと類似の、微細構造変化の影響(例えば、β粒度、α体積分率、粒界α形成、時効に対するα形態、および準安定相の変化)を進行させるべきであること、
−動的ひずみ時効、熱活性化滑り局在、水素脆化に対する時間-温度影響、ならびに極低温での変形および破砕挙動を含む、合金挙動に対する中程度使用温度および負荷速度の影響、ならびに
−航空機油圧液などの侵食環境に由来する溶解水素による引っ張り延性および破砕靱性の劣化。
Heloisa Cunha FurtadoおよびIain Le Mayによる、High Temperature degradation in Power Plants and Refineries (Mat. Res. vol. 7, no.1. Sao Carlos, Jan./Mar., 2004) もまた公知であり、これは、高温での劣化メカニズムならびにそのような損傷および動作のための残存安全寿命を評価する方法を開示する。高温プラントでの主な劣化メカニズムはクリープ損傷、微細構造劣化、高温疲労、クリープ疲労、脆化、浸炭、水素損傷、黒鉛化、熱衝撃、浸食、液体金属脆化、および様々な型の高温腐食である。さらに、応力腐食亀裂および水腐食が問題となる場合があるが、これらの損傷メカニズムは一般に、高温部品では予測されない。しかしながら、それらは、部品が冷却され、液体が依然として、部品内に存在し、または部品と接触すると、生じる可能性がある。各々の局面は順に考慮される。
クリープは最も深刻な高温損傷メカニズムの1つである。クリープは時間依存変形を含む。高温クリープ亀裂は一般に、長時間にわたって機能しなくなる、ボイラー過熱器および高温で動作する他の部品、石油化学の炉および反応容器部品ならびにガスタービン翼を含む工学的に重要な部品において、結晶間(intercrystalline)様式で、進行する。より高い温度では、局所過熱により起こりうるように、変形は局在する場合があり、大きな塑性ひずみおよび局所壁薄化を有する。幾分低い温度では、対応してより高い応力レベルの下で、破砕は本質的に粒内(transgranular)となりうる。
微細構造劣化は、クリープ、疲労、またはより急速な破損などのいくつかの他の過程による破損を引き起こすことがある損傷メカニズムである。微細構造劣化は、損傷メカニズムであり、これは、材料の強度の著しい損失という結果になることがある。
繰り返し応力を含む疲労は、低温ではそうであるように、高温で破損を引き起こすことがある。高温で動作する部品では、疲労はしばしば、サイクル熱応力を引き起こすことがある温度変化により生じ、これは熱疲労亀裂を引き起こすことがある。亀裂は、高い拘束領域で進行する傾向があり、詳細なメカニズムは局所クリープ変形の1つである可能性がある。
クリープ-疲労相互作用は、クリープ変形および繰り返し応力を含む損傷の複雑な過程であり、支配的な損傷モードは、主により高い周波数およびより低い温度での疲労亀裂成長から、主に、ホールド時間が長く、温度がスケールの高い端にあるクリープ損傷までに及ぶことができる。
析出物による脆化は、多くの異なる様式で生じる可能性がある。例えば、高温で維持された、または臨界温度範囲(約565〜980℃)の間を繰り返したオーステナイトステンレス鋼におけるσ相形成は、延性の喪失および脆化を引き起こす。フェライトステンレス鋼を、550〜400℃の温度範囲にわたり維持し、または冷却させて、脆化現象に供してもよい。温度条件がそのような影響に至る可能性があると考えられる場合、長期暴露後、望ましくない破裂が発現する前に、金属組織チェックを実施するのがよい。使用中に高温に暴露されたフェライト鋼、およびσ相の形成によりオーステナイトステンレス鋼の脆化の他に、部品を長時間、高温で浸炭雰囲気に暴露すると、浸炭により脆性材料が生成する可能性がある。
特に石油化学プラントにおいて起きる水素損傷は、水素原子が金属中に拡散することにより炭素鋼において起きる可能性があり、この場合、水素原子はFe3C中の炭素と結合し、メタンを形成し、パーライト成分を排除する。これは微細構造劣化の特別な場合であり、今日では、炭化物を安定化する元素を含む低合金鋼を使用するため、かつてに比べてあまり一般的ではない。
黒鉛化は、フェライト鋼において、長時間高温に暴露した後に、パーライト中のセメンタイトがより安定なグラファイト相に転換することによって、起きる可能性がある。それは、石油化学部品において比較的しばしば、以前に観察された微細構造劣化の特別な形態である。より安定なCrMo鋼の開発により、それは、今日ではあまり見られないが、時々、温度が高く、材料が完全に安定というわけではない石油化学プラントおよび蒸気発生器の両方において起こる。
熱衝撃は、急な温度勾配、および、この結果、高い応力を発生させる急激な温度変化を含む。そのような負荷により、特に衝撃負荷が繰り返されると、亀裂が生じる可能性がある。このように発生した亀裂は、熱疲労過程により進行する。そのような条件は、熱生成のプラントおよび精製所において通常の動作条件下では直面しないが、緊急時、または動作条件のたわみにより生じる可能性がある。脆性材料は、熱衝撃をより一層受けやすく、例えば、先進ガスタービンでより一般的になっているようなセラミック部品は、そのような損傷を受けやすい。
浸食は、流動ガス中に粒子が存在する場合、高温部品で起こる可能性がある。これは、石炭火力発電所では珍しくない状況であり、この場合、フライアッシュによる浸食は、管の薄化ならびにエコノマイザおよび再加熱装置における破損を引き起こす可能性があり、スートブロワ浸食は、ブロワの経路内に存在するそれらの管内の過熱器および再加熱装置の薄化を発生させる可能性がある。フライアッシュ浸食に対する解決策は、一部、ボイラー排煙分配の改善、および局所的に極端に高いガス速度の低減に依存する。スートブロワ浸食の制御は、過度のブローイング圧力、質の悪いメンテナンス、および必要に応じて効果的な管保護の提供を含む多くの要因に依存する。
液体金属脆化(LME)は、多くの液体-固体金属の組み合わせて起こる可能性があり、精錬業で重大な結果を有する可能性のあるものは、亜鉛によるオーステナイトステンレス鋼のLMEである。急速脆化は、750℃を超える温度で起こる可能性があり、点火後、亜鉛めっき鋼構造部品などのZn供給源が存在すると、またはZn系塗料由来の汚染が存在すると、ステンレス鋼部品に幅広い亀裂が生じることが観察されている。この後者の供給源により、Flixborough災害(Flixborough, North Lincolnshire, England; 1974)時には大きな亀裂が引き起こされた。亀裂は非常に急速(m/s)である可能性があり、応力レベルはそのような亀裂が起こるには、20MPaと低い可能性がある。
高温用途に対する合金の腐食の最小化は、保護酸化物スケールの形成に依存する。また、高温で非常に高い強度特性を有する合金では、保護コートを適用する必要がある場合がある。保護層を提供するために一般に使用される酸化物はCr2O3およびAl2O3である。腐食保護は通常、熱サイクル、または浸食もしくは衝撃の結果の酸化物の剥離を含む保護層の機械的破損により、機能しなくなる。
上記は高温で動作する部品に通常関連する損傷メカニズムではない。しかしながら、プラントが運転停止すると、流体は凝縮する可能性があり、プラントにおけるパイプ内にまたは容器内に汚染物質を含む水が存在する可能性がある。低温で起こる腐食または応力腐食の亀裂は、プラントの後の運転中に、高温で選択的損傷を引き起こす可能性がある。
G.A. FilippovおよびO.V. LivanovaによるInteraction of Structural Defectand Degradation of Structural Material Properties (All-Russian Conference Structural Defects and Crystal Strength, Chernogolovka 2002) もまた公知であり、これは、長期使用後のパイプ金属特性の劣化が、脆性遅れ破壊を含む脆性破壊に対する抵抗の減少により明らかにされ、鋼の歪み時効に起因することを開示するものである。機械特性および亀裂抵抗に対するパイプラインの長期使用の影響およびパイプ鋼の時効メカニズムについての示唆もまた、扱っている。様々な気候条件において動作させた19の主パイプラインのパイプ試験片について調査を実行した。基本的な統計分析を、すべてのパイプの80%までに当たる17MnSi型鋼に対し実施した。機械特性を評価するために、試験片を動作パイプライン、緊急リールおよび非常用備蓄から獲得した。有用な寿命は4〜44年の間であった。非常用備蓄から得た、Orsko-Khalilovsk冶金の加工品およびパイプの現在の製造において使用される金属を初期条件と考えた。
引張強度、σTS、降伏強度、σYS、伸長、δ、および面積縮小、ψなどの標準機械特性は、実際には、使用に伴い変動しない(表3を参照されたい)。ばらつき限界内で、実験データは標準に近い(σTS-少なくとも520MPa;δ-少なくとも24%)。構造変化を受けやすい特性を明らかにするために、鋭い応力上昇試験片および予亀裂試験片に対する試験を含む他の試験が必要であり;亀裂の核形成および伝播もまた評価すべきである。
鋭い切欠き試験片(表3を参照されたい)を用いたパイプを試験する際に、衝撃強度が低下することが見出された。20〜25年の使用後、+20℃でのKCV(衝撃強度)値(KCV+20)は55〜70J/cm2から30〜50J/cm2まで降下した。-40℃と+20℃との間の温度範囲内の衝撃試験から、寿命が増加するにつれ、脆性状態へのパイプ金属変換の臨界温度(T50)はより高い温度にシフトすることが示された(図1を参照されたい)。25〜35年の使用後、低温脆性の温度しきい値は、0を超える温度領域に移行する。パイプが約25年の使用に到達すると、パイプ金属破損強度を特徴づけるすべての値は、鋭い切欠き静的曲がり試験により証明されるように減少する。可塑性は約1.5倍減少する。25年の使用後、パイプ金属の総破損エネルギー、AΣは、主に亀裂核形成作用、Anの減少のため、ほとんど半分減少する(表3を参照されたい)。亀裂伝播作用、Apは、より少ない程度に減少する。従って、長期使用中のパイプ金属の構造変化は、亀裂核形成作用に対し最も大きな影響を有する。
図1は、鋼17MnSiのパイプ金属に対する脆性状態(T50)変換温度に対する寿命の影響を示す(記号↑は、+20℃で脆性状態移行の場合があることを意味する)。
亀裂開始の限界変形を反映する臨界亀裂開口CODが、20〜25年の使用後に劇的に、-約1/1.5に減少する。これにより、初期にはそれほど有害ではない、応力集中増加、すなわち、パイプ表面上での応力集中(ひっかき傷、スカッフィング、ギザギザ、など)に対する鋼の感受性が、パイプ金属の構造状態変化のために、長期使用後に重大になる可能性があることが示される。
このように、長期使用中、パイプ金属は、脆性破壊抵抗の減少をもたらす構造状態の変化を受ける。これが、ミクロ塑性変形抵抗の増大および負荷のもとでのより高い局所ミクロ応力によって起きることが示唆される可能性がある。
(表3)長期使用中の17MnSiのパイプ鋼の機械特性の劣化
Figure 2009510256
パイプ金属の構造状態の変化は、応力影響、腐食環境および水素による欠陥累積過程に起因する可能性がある。腐食過程はパイプ金属の表面状態を変化させ、金属を水素で飽和させ、これにより、内部微小亀裂様欠陥の形成が引き起こされる。鋼の最終的な破壊応力および降伏応力よりも低い、静的または準静的な応力のもとでの微小亀裂様欠陥および破砕の累積過程は、一般に遅れ破壊と呼ばれる。遅れ破壊は、腐食環境に暴露された重大な高強度鋼細部、例えば、締められたボルト、歪んだ強化ワイヤ、などの早期脆性破壊の原因である。
応力、腐食環境および水素への同時暴露のもとで、特別に開発した手順に従い、遅れ破壊試験を実施した。遅れ破壊は3つの相を有する:インキュベーション期間(亀裂核形成相)、安定な亀裂の遅い成長および急速破壊。腐食環境との可能性のある接触の条件下でのパイプラインの信頼できる動作を評価するために、最も重要な評価は、亀裂の核形成および伝播(衝撃試験のように速くなく、遅い)に対する抵抗を見出すことであり、これは、なぜ、衝撃強度レベルがパイプでは亀裂形成抵抗を反映しないかということである。
図2は、鋼17MnSiのパイプに対する破損までの時間、tfと、初期応力強度係数、Kiの間の関係を示す:1-製造時;2-動作パイプ;3-非常用パイプ。長期使用は、パイプ金属の遅れ破壊への傾向に影響し、Ki対tf曲線は、より低い破壊までの時間領域に移動する。このように、Kiが同じであれば、製造時パイプに対する破損までの時間は、図2に示されるように、動作パイプおよび非常用パイプの対するものよりずっと大きい。
安定な亀裂伝播速度もまた寿命に依存する。製造時パイプの金属は、(1〜3)×10-4mm/分の最も低い安定亀裂伝播速度を有する。パイプの耐用年数が長いほど、安定亀裂伝播速度が高くなり、約80×10-4mm/分に到達する。
なぜ、パイプ金属脆性破壊抵抗が長期使用条件下で減少するかを見出すために、歪み時効試験を実施した。長期使用中には、パイプ金属の構造状態の変化は、最も激しい条件(鋭い応力上昇または低温)下での破壊抵抗に影響し、明らかに、これは歪み時効過程と関連する。このように、この過程を研究し、破壊抵抗変化のメカニズムを理解することが重要である。
鉄および低炭素鋼の歪み時効は、固溶体がある濃度の炭素および窒素原子を含む場合のみに観察される。歪み時効により、引張強度、降伏強度、硬度の改善;SN曲線上の降伏プラトー(yield plateau);衝撃試験における臨界脆化温度の増加;および可塑性低下がもたらされる。歪み時効への傾向は金属の重要な特性である。
上記金属特性を評価するために、試験片を、降伏部(yield portion)(2%)の張力に供し、200℃で1時間保持して、引張試験を行った。活性変形終了時の降伏強度成長により、歪み時効への傾向△σsを見出した(△σss2%)。△σsが高いほど、歪み時効への傾向が大きくなる。さらに、時効状態のパイプ金属の領域、Ψsの減少により、可塑性を評価した。
図3では、長期使用中に、鋼の歪み時効への傾向が減少し、すなわち、降伏強度△σ5の成長が小さくなり、時効状態の領域の減少が起こる。これは最初の15〜30年の使用中に最も集中的である。変形時効への傾向△σsに対する使用効果を図3に示し、時効パイプの領域の減少、Ψsを図4に示す。
鉄および鋼の歪み時効への傾向は、遊離状態、すなわち、転位と結合されていない固溶体中の不純物(炭素および窒素)の量に依存することは一般的に知られている。長期使用条件下でのパイプ金属の時効メカニズムを研究するために、内部摩擦測定法を、鋼の構造状態の局所変化に対し最も感受性が高いものとして使用した。
固溶体中の炭素および窒素量を、内部摩擦温度依存性(IFTD)を測定した結果から判断した。遊離炭素および窒素を含む鋼に対するIFTD曲線が、応力場で格子間遊離原子の移動により引き起こされる40℃付近のSnoek極大を有することは周知である。固溶体中の遊離炭素および窒素原子が多いほど、Snoek極大が大きくなる。
30年の長期使用後にパイプから切り出した試験片に対するIFTD曲線は、図5および6に示されるように、60および200〜220℃で2つの極大を有する。30年の長期使用後の17MnSi鋼のパイプ金属の内部摩擦、Q-1の温度依存性を図5に示し、非常用備蓄中のものを図6に示す。非常用備蓄パイプから切り出した試験片に対するIFTD曲線の場合、60℃での極大がより高い。IFTD曲線におけるSnoek極大は、格子間不純物量が2〜10-4%を超えると観察されることが知られている。このように、30年間使用されたパイプの固溶体中の炭素および窒素量は約2×10-4%であり、すなわちパイプライン条件下では、自由固溶体中の炭素および窒素量は減少する傾向があると結論付けることができる。炭素および窒素原子により固着される新たな転位をもたらし、不純物原子のいわゆる「雰囲気」を転位上に形成してそれらの移動度を減少させる塑性変形によって、パイプライン条件下では、パイプ使用中に炭素および窒素量は減少する。パイプライン条件下で変形時効が発生する傾向はまた、金属が塑性変形およびその後の時効を受けた場合にのみ観察される200〜250℃でのIFTD曲線極大の増加により証明される。
このように、使用中、パイプは圧力および温度差、ならびに動的および静的負荷を受ける。パイプ使用条件により、金属内での変形時効が可能となり、転位移動抵抗が増加し、金属内の局所応力「ピーク」の危険が増加する。このため、切欠きまたは亀裂先端における局所応力緩和が減少し、鋼の脆性破壊への傾向が増加する。とりわけパイプラインの停止後冬期に低温で、ポンピングステーションの活性化中、20年を超えて使用中のパイプラインの脆性破壊の危険を減少させるために、変形時効により引き起こされるパイプ金属の低温脆性の増加を考慮すべきである。
したがって、下記結論が決定された:
1.主パイプラインの状態を評価するためには、従来の機械特性の知識は不十分である。信頼性評価基準は、局所構造変化を受けやすい特性、例えば、遅れ破壊試験および亀裂または鋭い切欠きを有する試験片に対する低温での試験により得られるものを含むべきである。
2.金属の破壊抵抗特性はすべて、25年の使用後の試験片に対して鋭い切欠き曲げ試験を実行した後に減少する。鋼の遅れ破壊への傾向は、応力、腐食環境および水素の同時作用下で、とりわけ構造変化を受けやすいことが見出された。
3.長期使用中、パイプ金属特性は、変形時効のため劣化し、そのメカニズムは、遊離炭素および窒素原子濃度の減少および転位移動度の減少にある。
U.K. Chatterjee, S.K. Bose, S.K. RoyによるEnvironmental Degradation of Metals (Corrosion Technology)(Marcel Dekker,2001)もまた公知であり、これは、金属部品がその処理、保存、および使用中に受けるすべての型の環境劣化を開示する。範囲は、水腐食、変色およびスケーリング過程、合金酸化、液体金属攻撃、水素損傷、および放射線損傷などの型の劣化の基礎、形態、および阻止を含む。
一般的な、および局所腐食効果を明らかにして、大気暴露、高温ガス、土壌、水、弱および強化学薬品、液体金属ならびに核放射の効果を開示する。本開示はまた、部品設計の改善によりどのように腐食を減少させることができるか;酸化剤、例えば、酸素、硫黄および水蒸気、ハロゲンおよびCO2の高温および低温効果の詳細を示し;液体金属と接触した固体金属の瞬間および遅れ破壊を調査し;延性の損失および内部フレーキング、ブリスタリング、フィシェアリングおよび亀裂を含む水素の金属に対する影響を明らかにし;金属に対する放射線効果、例えば、照射成長、ボイドスエリング、および脆化などをプロファイルする。
さらに、本開示は下記対象に及ぶ:水腐食、変色およびスケーリング過程(金属-酸化剤系の熱力学的局面;動力学的局面および速度反応式;酸化物および他の無機化合物の欠陥化学;変色およびスケーリング過程のメカニズム;格子および粒界拡散によるスケール成長;酸化物スケールおよび基材におけるボイド、多孔性および他のマクロ欠陥の形成;成長スケールにおける応力および歪みの発生;金属中での酸化物の溶解および拡散;金属表面準備および前処理の効果)、合金酸化、液体金属付着、および水素損傷の型および阻止。
Brigitte BattatによるAccelerated Degradation (AMPTIAC, Rome, NY 2001)もまた公知であり、材料劣化の簡単な説明および加速劣化に対する方法が開示されている。加速劣化または時効による試験は、過応力条件での製品性能を、時間の関数として測定する。
材料時効または劣化のキャラクタリゼーションは、実験室で使用環境をシミュレートすることができないため困難である。負荷、温度、放射線、湿度、および他の環境に影響する効果のサイクルまたは変化は、とりわけ航空機使用の場合、相互作用し、再現することができない。それにもかかわらず、新規部品の設計は、全寿命にわたって評価した材料および構造を基本とするため、新規設計のために試験方法および分析を作成する可能性があり、ならびに作成しなければならない。
表4(加速試験に関するNelson’s bookからのデータ(Nelson, W., Accelerated Testing: Statistical Models, Test Plans and Data Analyses, Wiley Series in Probability and Mathematical Statistics, 1990, p.11-49を参照されたい)の編集に基づく)は、劣化メカニズムの破損、それらが影響する材料、使用した加速応力要因、および反応を評価する測定された特性を提供する。例えば、疲労は金属、プラスチックなどで起こり、加速応力要因は温度、負荷、または化学反応である可能性がある。測定した特性は、残存寿命および累積損傷効果である。この情報により、残存寿命を決定するために外挿することができるモデルの作成が助けられる。そのようなものとして、これは、完全な材料または部品寿命におよぶ加速寿命試験とは異なる。
(表4)劣化メカニズム、材料および破損の規定
Figure 2009510256
加速時効は、その後のキャラクタリゼーション試験のための、耐用年数を経た微細構造または損傷状態を生成させるための加速暴露を意味する。例えば、金属合金微細構造の粗大化は、材料の強度および靱性を低下させることにより暴露を加速することができる。複数の損傷メカニズム(例えば、熱機械的疲労)が関係する場合、検証には加速時効および加速寿命試験の両方が必要となる可能性がある。加速時効は、下記により達成することができる:(1)温度および負荷の増加;(2)試験を実施する前の製品の損傷;(3)暴露間の待機時間数の増加;ならびに(4)劣化を引き起こす化学薬品濃度の増加。
加速寿命試験に比べて加速劣化試験は、材料または部品が故障する前に性能を分析するという利点を有する。劣化試験は、材料または部品にどのくらいの寿命が残っているかを決定し、そのような知識により寿命を延ばすことが可能となる。性能劣化を外挿して、それがいつ破損レベルに到達するかを評価することにより、劣化データの分析が可能になる。しかしながら、そのような分析は、性能劣化の外挿のための良好なモデルおよび適した性能破損が確立された時にのみ正確である。
複数の劣化メカニズムが関与する場合に対する加速時効は、連続して実施すべきであり:サンプルは、一つずつ劣化メカニズムを引き起こす条件に増加的に、耐用年数を経た状態に到達するまで、暴露させるべきである。
市販の軍用航空機の時効は、米国防総省、NASA、および連邦航空局の大きな関心事である。これらの機関はすべて、腐食および疲労などの時効問題のモニタリングを実施する。厳しい環境への暴露のために、先進の亜音速機および超音速用途のための候補材料が特定の関心事となっており、アルミニウム合金、アルミニウム-マトリクス複合物、チタン合金、およびポリマー-マトリクス複合物のような機体材料が含まれる。超音速エンジンのために使用される材料の中には、ニッケル系超合金およびセラミック-マトリクス複合物がある。それらの広範な用途のために、アルミニウム合金は情報の膨大なデータベースを有する。
アルミニウム合金に対する劣化メカニズムは下記を含む:微細構造および組成変化;時間依存性変形およびその結果生じる損傷累積環境衝撃ならびに高温の促進効果:ならびに上記メカニズムの相乗効果。アルミニウム合金の高温用途に関連する損傷メカニズム(例えば、微細構造変化、疲労、クリープ、環境効果)を図7に示す。
最初のt=0の時点から、部品の推定寿命の知識が必要とされる。特別な場合によっては、寿命は、何百万サイクル、または数年のオーダーであってもよい。寿命は劣化過程、例えば、腐食、疲労、クリープなどに依存する。航空機部品などのある部品は、システムの寿命に対して製造されるが、疲労を受ける他の部品は、ずっと厳しい寿命スケジュールを有する。加速試験の目的は、応力動作条件から得られる情報および試験を用いて、正常な動作条件下での主要な破損モードに対する寿命を決定することである。これを達成するために、破損モードの機械的理解が必要である。加速劣化の場合、温度、負荷およびデューティーサイクルが破損モードを予測する寿命モデルを決定する。寿命試験は、温度の増加、または負荷およびデューティサイクルの増加により、またはすべての効果の組み合わせを使用することにより促進される可能性がある。応力条件下では、モデルは、数時間(または数分)内の破損を予測する。いったん立証されると、同じモデルを使用して、正常な動作条件下で寿命を予測する。
部品または装置の初期の設計段階で、ハードウエアの詳細が選択されておらず、材料選択が終了していない場合、最大の関心事は、システムを「機能」させることである。次の関心事は、性能の最適化であり、どのようにしたらシステムがより良好な結果を得るかを意味する。次の工程は、規格を満たすための製品改善法を同定することである。
他方、寿命は、本明細書に規定されるように、破損モードならびにアイテムの寿命にわたる性能およびロバスト性の維持に関連する。破損は、性能不足、または困難かつ突発的な故障により起こる可能性があり、これにより交換が必要となる。これに関連して、加速試験を使用して寿命を決定または延ばしうるが、加速試験を使用して性能改善法を同定することもできる。
したがって、加速試験は、現時点で実行される試験手順から将来の材料および部品性能を予測するための方法である。これは、正常な使用環境で経験するよりも激しい試験環境を使用することにより得られる。
1986年5月ペンシルベニア州のフィラデルフィアで開催されたシンポジウムからの論文である、1988年Dean, Leeにより編集されたDegradation of Metals in the Atmosphere (ASTM Special Technical Publication//Stp)もまたは公知であり、これは、新規構造材に関するデータを含む、最近の試験、長期試験プログラム、および現場の経験から得られた技術データへのアクセスを提供する。
Gangloff, R.P.;Stoner, G.E.;Swanson, R.E.による、Environment Assisted Degradation Mechanisms in Aluminum-Lithium Alloys (Univ. of Virginia, Charlottesville School of Engineering and Applied Science, 1988)もまた公知であり、これは、アルミニウムおよびリチウムを使用している先進の航空宇宙合金の環境-機械劣化のメカニズムに関する調査に対する必要性の概略を提供する。合金2090に対する水性環境およびガス環境での腐食疲労亀裂伝播動力学、微細構造経路、および損傷メカニズムを特徴づけることを目的とした3つのタスクについて進展が報告されている。アルミニウム-リチウム合金の腐食および脆化を制御すると仮定されている局所過程を特定し、評価することを目的として、研究が要約されている。
McGeary, F.L.;Summerson, T.J.;Ailor, W.H.による、Atmospheric Exposure of Nonferrous Metals and Alloys - Aluminum: Seven-Year Data (Metal Corrosion in the Atmosphere-70th Annual Meeting, ASTM-STP-435, 1967, pp.141-174)もまた公知であり、これは、米国における4箇所のASTMの拠点で7年間暴露させた34の展伸アルミニウム合金に対する耐候性試験の結果を開示する。また、比較のために、英国における5箇所の拠点で6年間暴露させた3つの追加のアルミニウム合金に対するデータも含まれる。シェフィールドおよびロンドンにおける英国での工業的大気暴露により、特に、水平から30°の角度で暴露されたこれらのパネルの遮蔽側でほとんどの腐食が発生することが見出された。自己限定的腐食特性は、両方の国における試験拠点のすべての風化表面で観察された。より時効したアルミニウム合金に対する先のASTM B-3試験(ASTM-STP-175)の場合と同様に、試験を継続し、20年後再び報告した。
Gangloff, R.P.;Stoner, G.E.;Swanson, R.E.によるEnvironment Assisted Degradation Mechanisms in Advanced Light Metals (Univ. of Virginia, Charlottesvile School of Engineering and Applied Science. 1989)もまた公知であり、これは全体の目的が、合金の挙動を定量的に特徴づけること、および環境破損モードに対する予測メカニズムを開発することである研究プログラムを開示する。現在のプロジェクトは以下を含む:アルミニウム-リチウム合金の塩化物水溶液腐食疲労における損傷局所メカニズム;アルミニウム-リチウム合金における局所水溶液腐食の測定およびメカニズム;合金2090の局所腐食および応力腐食亀裂の挙動の調査;アルミニウム-リチウム合金の変形および破砕-溶解水素の効果および極低温度の効果;ならびに先進の粉末冶金アルミニウム合金における高温亀裂成長。
D.K.Das, Manish Roy, Vakil SinghおよびS.V. JoshiによるMicrostructural Degradation of Plain and Platinum Aluminide Coatings on Superalloy CM247 During Isothermal Oxidation (“Material Science and Technology”、1999年10月、Vol.15、No. 10、pp.1199-1208(10))もまた公知であり、これは、酸化中のコーティング劣化過程を体系的に理解することを主目的として、拡散浸透技術により開発された高活性の純粋アルミナイドコーティングおよび白金アルミナイドコーティングの、ニッケル基鋳造超合金CM247上における1100℃での恒温酸化を含む実験を開示する。純粋アルミナイドおよび白金アルミナイドコーティングの両方に対する酸化中の重量増加は、酸化暴露の最初期から放物型の動力学に従うが、露出した合金は、かなり長い初期過渡酸化期間(約20h)を示し、これを超えると、放物型の原則に従うことが示されている。白金アルミナイドコーティングに対する放物型の速度定数は、純粋アルミナイドコーティングに対するものよりも約2桁低いことが見出された。アルミナは、ほとんどの酸化暴露中、純粋アルミナイドおよび白金アルミナイドコーティング上の両方で形成される唯一の酸化物相であると識別されたが、約200時間を超える純粋アルミナイドコーティングの場合、NiAl2O4もまた見出された。しかしながら、露出合金上の酸化物層は、Al2O3、Cr2O3、およびNiAl2O4を含むことが見出された。酸化中の純粋アルミナイドおよび白金アルミナイドコーティングの両方の微細構造劣化は、3つの異なる段階で起こることが示されたが、この3つの段階は各コーティングに対し異なっていた。それぞれの場合における相互拡散の最終的な除去を含む、この段階的劣化は、本明細書で詳細に開示されている。
Jedlinskia, JerzyによるOxidation-Induced Degradation of Coatings on High Temperature Materials: An Overview (Proceedings Symp. Elevated Temp Coatings: SCI & TECH, 1994, Vol.1, pp.75-83)もまた公知であり、これは、侵食環境とコート材料との間の相互作用により、コート材料の促進劣化が引き起こされることを開示する。劣化メカニズムの理解は、改善された使用特性を有する材料設計において重大な役割を果たす。酸化雰囲気における高温用途のためのコーティング開発分野の最新技術もまた開示する。主な型のコーティングの堆積手順および劣化メカニズム、ならびにコーティングの酸化抵抗を改善するために使用される手段、Tiベース合金およびC/C複合物の保護に関連する現在の問題もまた開示する。
Schtze, Michael;編集者:Robert W. Cahn;Peter Haasen (2000)によるCorrosion and Environmental Degradation もまた公知であり、これは、対象全体に関する適切かつ広範な調査−基本から最近の研究結果を提供する。国際的な一流専門家チームにより書かれており、腐食科学に関係する、すべての材料科学者、物理学者または化学者のための不可欠な参考文献となると思われる。腐食および腐食防止は、応用材料科学において最も重要なトピックスの1つである。腐食科学は、経済学的観点から重要であるだけでなく、金属学、材料物理および電気化学を結合させるその学際的性質のため、高い科学的興味の対象ともなる。現在では、腐食科学は、表面科学および高分子化学から新しい推進力を得てさえいる。
M. Elboujdaini、E.Ghali(1999)により編集された、Environmental Degradation of Materials and Corrosion Control in Metalsもまた公知であり、これは、世界中の専門家により作成された論文を含み、アルミニウム合金、マグネシウム合金および鋼の腐食および性能の分野における最近の進歩を要約する。金属および応力腐食亀裂の阻止、ならびに腐食のモニタリングおよびコーティング用途および試験における最近の技術について、深く論じている。詳細なトピックスは下記を含む:アルミニウム合金の腐食挙動、アルミニウムおよびマグネシウム合金の阻止および保護;加工工業における金属の阻止および保護;鋼の助長亀裂:応力腐食亀裂、腐食疲労、および水素損傷;電気化学およびモニタリング技術;材料の耐久性:コーティングおよびそれらの性能。
R.K. Singh Ramaによる、Role of Microstructural Degradation in the Heat-Affected Zone of 2.25 Cr-1Mo Steel Weldments on Subscale Features during Steam Oxidation and Their Role in Weld Failures (Metallurgical and Materials Transactions, Volume 29A, No.2, February 1998)もまた公知であり、これは、溶接部の異なる領域の電子および光学顕微鏡観察による、2.25Cr-1Mo鋼の溶接中に引き起こされる溶接プールに隣接する母材、すなわち熱影響ゾーン(HAZ)における微細構造劣化のキャラクタリゼーションを提供する。蒸気中でのスケーリング動力学に対する微細構造劣化の影響および得られたサブスケール特徴を研究するために、母材サンプル、HAZ、および溶接金属試験片を溶接部から抽出して、35pct蒸気1窒素環境において、873Kで10時間酸化した。3つの領域で形成された酸化物スケールおよび根底にあるサブスケールを、走査電子顕微鏡(SEM)および電子プローブ微量分析(EPMA)を用いて特徴付けた。3つの溶接領域中の「遊離クロム量の、保護スケールの形成およびサブスケールの特徴に対する影響を調べた。主要業績として、この研究は、HAZの蒸気酸化中の、サブスケールゾーンでの酸化誘導ボイド形成および隣接領域における粒界キャビテーションの発生を明確に示した。2.25Cr-1Mo鋼部品における溶接部の耐用年数の低下における酸化誘導ボイド形成および粒界キャビテーションの予想される役割もまた、開示される。
Desi J. Kiss, M.S., P.E.による、Basic Types of Materials Corrosion That Designers Must Be Able to Competently Address (DJK Engineering, LLC, インターネットサイトhttp://djkeng.tripod.com/id3.htmlで公開)もまた公知であり、これは、使用可能な機械、構造および輸送機関を作り上げることができる材料すべてが腐食を受けることを開示する。様々な型の腐食が、任意の材料に影響を与える可能性がある。重量物を運搬し、またはそれに耐えるために使用される材料のほとんどが、金属または金属含有物、すなわち鋼強化コンクリートである。8つの型の腐食は下記を含む:応力-腐食亀裂、浸食-腐食、隙間腐食、ガルバーニ腐食、粒間(intergranular)攻撃腐食、均一攻撃、ピッティング、および選択浸出。ステンレス鋼の腐食、プラスチック、複合物、およびセラミックの腐食、腐食制御および阻止もまた開示する。
Y.Minami, H. Kimura, Y.Iharaによる、Microstructural Changes in Austenitic Stainless Steels During Long-Term Aging (Mater. Sci. Techn., 2:795-806, 1986)も公知であり、これは、長期的な時効後の典型的なオーステナイトステンレス鋼(304h、316h、321h、347h、およびテンパロイ(tempaloy)a-1)の微細構造変化、析出挙動、および機械特性の研究を開示する。鋼を、静的に600〜800℃の温度範囲で最大50,000時間までの間、時効させた。光学および透過型電子顕微鏡により微細構造変化を観察し、X線分析を用いて抽出した残留物を同定した。時間-温度析出図をそれぞれの鋼に対して作成した。σ相の量を700℃で時効させたサンプル中で測定した。時効サンプルの硬度および衝撃値変化、ならびに引張特性を測定した。
Y. Kojima;T. Takahashi;およびM. Kubo(1981)による、Decrease of Ductility in Al-10 PCT Mg Alloys During Long-Term Natural Aging もまた公知であり、これは、約L3年までの自然時効中のAl-10pct Mg鋳造合金の機械特性の変化の調査を提供する。3ヶ月未満の間、自然時効させた試験片中の20pctを超える延伸は、10年にわたる自然時効による1〜2pctにすぎない。復元実験および電子顕微鏡により、延性のこの大きな減少は、自然時効過程中の球状コヒーレントGPゾーンの形成により引き起こされることが示された。透過型電子顕微鏡(TEM)研究でもまた、GPゾーンの構造は、L1(sub2)構造であり、ここで、AlおよびMg原子は交互に(100)方向に沿って三次元周期性で整合することが示された。
K. Kimura;T. Kisanuki;S. KomatsuによるDegradation Due to Creep Deformation of 1CR-1MO-1/4V Steel at 500℃ (Journal of the Iron and Steel Institute of Japan, 1985, Vol.71, No.15, pp.1803-1810)もまた公知であり、これは、9500時間の間、550℃でクリープさせた1CR-1MO-1/4V鋼上でのクリープ損傷による微細構造変化およびクリープ抵抗の劣化の研究について記載する。特に、クリープ抵抗に対する粒界ボイドの効果を、再加熱処理を用いて、および再加熱処理無しで、クリープ損傷試験片上で調べた。金属組織観察は、クリープ変形を伴う3つの型の微細構造変化を示している:焼き戻し中に通常起こる炭化物の粗大化、ボイドおよび亀裂の形成、および前のオーステナイト粒界付近の著しい回復。炭化物粗大化の程度は、加速クリープ段階であってもほんのわずかであり、クリープ抵抗に対するボイドの効果は無視できるほど小さい。クリープ抵抗の漸進的損失は、前のオーステナイト粒界付近の局所回復と密接に関連することが示されている。
J.W.Jones, S.F. Claeysによる、Role of Microstructural Instability in Long Time Creep Life Prediction (Pentagon Report D026031、1984)もまた公知であり、これは、モデル材料としてAl合金6061を使用した長期クリープ寿命予測に対する微細構造不安定性の影響を記載している。長期クリープ中の寿命に対する微細構造変化の効果は、加速時効および短時間クリープ試験を使用して、定常状態クリープ速度に対する微細構造劣化の影響を測定することにより決定した。260℃および288℃の中間応力では、クリープ寿命は、微細構造劣化速度に強く依存し、他の研究者により提案された方法は、クリープ寿命を予測するのに有効である。低応力では、十分過時効させた試験片に対する短時間クリープ試験を実行することにより、かつ単純な外挿技術を用いることにより、100,000時間に近い時間のクリープ寿命が適切に予測される。結果から、合金の時効反応の知識を使用して、十分な精度で長期クリープ寿命を予測することができることが示される。
Al. Th. Kermanidis, P.V. PetroyiannisおよびSp. G. PantelakisによるFatigue and Damage Tolerance Behaviour of Corroded 2024 T351 Aircraft Aluminum Alloy (Theoretical and Applied Fracture Mechanics, Volume 43, Issue 1, 2005年3月1日、pp.121-132)もまた公知であり、これは、腐食させたアルミニウム2024 T351合金試験片の疲労および損傷許容挙動、ならびに腐食させていない材料の挙動に対する比較について記載している。実験研究は剥離腐食環境中で予め腐食させた試験片に対し実行され、S-Nおよび疲労亀裂成長曲線の誘導、ならびに破壊靱性の測定を含んだ。疲労亀裂成長試験を異なる応力比Rに対し実行した。すべての機械的試験を、同じ条件下で、腐食させていない試験片に対して繰り返し、基準材料挙動を獲得した。腐食材料では、疲労抵抗および損傷許容性がかなり減少していた。実験研究結果を、2024アルミニウム合金の腐食および腐食誘導水素脆化の観点から検討した。腐食領域を含む部品の疲労および損傷許容性分析における材料特性に対する前から存在する腐食の影響を説明する必要があることが示された。
アルミニウム航空機構造は、主に構造接合部で相互作用する腐食および疲労損傷を受けやすい。腐食と疲労の間の相互作用は、とりわけ航空機が古くなるにつれ、航空機の構造的完全性に対し深刻な脅威となる可能性がある。今日、腐食誘導構造劣化を検討すると、腐食の存在は、腐食した構造部材の荷重負担能力の低下、ならびに疲労亀裂の発生と関連づけられる。腐食-ピッティング損傷は定量化され、交互浸漬腐食過程で腐食させた2024-T3試験片の疲労寿命の減少に関連づけられる。マルチサイト損傷シナリオに対する腐食の効果では、航空機構造完全性は、腐食ピットからのマルチサイト損傷(MSD)の発生を説明するとものと考えられる。他方、2024-T351試験片の疲労亀裂成長速度に対する前の剥離腐食の有意の効果は存在しないことが見出された。
アルミニウム合金の腐食攻撃は、典型的には複雑な酸化過程に起因する。さらに、一連の航空機合金に対し実行した最近の調査により、腐食は、腐食切欠きの発生により降伏強度および疲労寿命に影響する周知の表面損傷過程に限定されず、拡散制御材料水素脆化に対する原因でもあるという証拠が提供された。
Mg含有6xxxシリーズでは、酸化過程に加えてさらに、腐食過程中に生成した水素が材料内で拡散し、水素-金属相互作用に至る可能性がある。最近の研究から、腐食により、同様に2xxx、7xxxおよび8xxxアルミニウム合金シリーズの水素脆化がもたらされる可能性があることが示されている。水素脆化過程のメカニズムはまだ十分に理解されていないが、合金系によって異なる可能性のある水素トラッピング部位が同定された。この水素脆化現象は、腐食材料領域の引張延性の明らかな減少に反映される。得られた巨視的水素脆化は、水素誘導局所微小塑性(microplasticity)により説明される。過程は、転位理論を用いて構築される。腐食および水素脆化損傷の両方が拡散制御過程であり、材料の機械的性能の言及した劣化は局所的に起こると予測されることに留意されたい。しかしながら、現在のところ実験データはなく、材料の腐食領域の局所材料特性の値を評価するための確立された実験法も理論法もない。腐食および疲労の相互作用に関する実験研究は、ある腐食環境で実施される疲労および疲労亀裂成長試験を示し、それによって予め腐食させた材料に対し実行した試験を示さず、後者は、古くなった航空機における、異なった一連の実際的事例に対し、より関連する状態を示すことに留意されたい。
予め腐食させたアルミニウム2024 T351合金試験片の疲労および損傷許容挙動は、腐食および腐食誘導水素脆化の相乗効果の観点から研究、検討されている。実施された実験は、S-N曲線を得るための疲労試験、疲労亀裂成長試験および破壊靱性試験を含んだ。疲労亀裂成長試験を応力比Rの異なる値に対して実施した。比較のために、全ての実験を腐食していない材料に対しても実行した。結果から、2024合金の疲労および損傷許容挙動に対する既存の腐食の本質的効果ならびに構造体の腐食領域の疲労および損傷許容分析における機械特性に対する腐食の効果を説明する必要性が証明された。
36時間、剥離腐食溶液に供したAl 2024 T351に対するピッティング密度および孔寸法の一連の測定から、2.586×10-3mmの平均ピッティング直径および100mm2あたり920サンプルのピッティング密度が示された。立体画像解析を使用して測定を実施した。金属組織腐食キャラクタリゼーションは、剥離腐食への36時間への暴露では、いくらかの粒間腐食が同様に予測される可能性があることを示す。本質的な腐食ピッティングおよび粒間腐食の存在により、本質的に、疲労亀裂の発生が促進され、このため、腐食試験片の疲労寿命がかなり減少する。予測されるように、腐食試験片の疲労寿命の減少は、疲労応力の減少と共に増加する。疲労耐久限度は、腐食していない材料に対する175MPaから、予め腐食させた試験片に対する95MPaまで降下する。回帰分析を用いて、未腐食材料および腐食材料の両方に対する適合曲線を導き出した。
研究した全ての場合において、亀裂長の増加に伴い、腐食試験片の疲労亀裂成長抵抗は、未腐食試験片の疲労亀裂成長抵抗よりもずっと速く劣化すると思われる。これはかなり低い疲労寿命、加速亀裂成長領域への著しく早い入口、および腐食試験片に対するこの段階でのより鋭い曲線に反映される。破損3秒前の亀裂長は、試験片破損前のまだ確信的な亀裂長測定値を示すと考えられ、これもまた腐食試験片ではより小さい。
亀裂成長は、増加的に起こる、かつある一定数の低サイクル疲労後の既存の亀裂より進んだ材料要素の破損に対応すると解釈されうる。材料の腐食誘導脆化を仮定することにより、腐食材料の破壊靱性値はより低くなる。腐食材料の破壊靱性減少は、下記段落で論じる破壊靱性測定により確認された。上記考慮は、加速亀裂成長段階でのより高い亀裂成長速度およびより急な亀裂成長増加を説明する可能性がある。腐食材料に対する破壊靱性値の減少は、破損での亀裂長の減少を説明し、加速亀裂成長速度の段階でのより高い亀裂成長速度に関してはまた、腐食試験片に対する疲労寿命の減少を説明する。
2024航空機アルミニウム合金試験片の疲労および損傷許容挙動に関する腐食および腐食誘導水素脆化の効果が研究された。実験結果から、腐食材料の疲労抵抗性および損傷許容性のかなりの減少が示された。得られた結果は、腐食および腐食誘導水素脆化の相乗効果の観点から論じられた。結果から、腐食領域を含む部品の信頼できる疲労および損傷許容分析のためには材料特性に対する予め存在する腐食の影響を説明する必要性が証明された。
P.V. Petroyiannis, Al. Th. Kermanidis, P. PapanikosおよびSp. G. PantelakisによるCorrosion-Induced Hydrogen Embrittlement of 2024 and 6013 Aluminum Alloys (Theoretical and Applied Fracture Mechanics, Volume 41, Issue 1-3, April 1, 2004, pp.173-183)もまた公知であり、これは、典型的な航空機アルミニウム合金の機械特性に対する腐食の効果を開示する。結果から、腐食暴露により、降伏および最終引張応力の中程度の減少が引き起こされることが示された。さらに、短い暴露時間後であっても、破損に至る伸びおよび歪みエネルギー密度の劇的な減少が記録された。腐食表面の機械加工は降伏および最終引張応力を回復させることが見出されたが、材料の延性は回復されなかった。後者は、ある水素トラッピング部位の熱脱離に対応する温度での熱処理後に、未腐食材料に対する値まで段階的に回復した。これらの所見は、上記合金の腐食は体積水素脆化に関連することを明らかに示唆している。引張延性の劇的な減少は、腐食材料の残留強度の低下と関連した。マルチスケーリング概念に基づくモデルを使用して、破壊靱性および残留強度低下が、腐食および未腐食クーポンに対する引張試験から得られた歪みエネルギー密度の低下に関連づけられた。歪みエネルギー密度を使用して、腐食部品の残留強度を正確に予想することができることが示されている。
高強度アルミニウム合金の腐食および関連水素脆化により壊滅的な破損に至ることがあるので、老化航空機部品の構造完全性を評価するためには腐食効果を明らかにしなければならない。腐食誘導水素脆化の効果は、腐食が単一疲労亀裂または多部位損傷などの他の形態の損傷と相互作用すると減衰されうる。多くの委員会および国際会議が古い航空機における材料劣化の問題を熟考するために組織されており、1つの重要な問題は腐食である。それにもかかわらず、今日の腐食誘導構造劣化の検討は、腐食の存在を、腐食構造部材の荷重負担能力の低下と関連づける。構造完全性に対する腐食誘導水素脆化の重要性は十分認識されておらず、明らかに過小評価されたままである。現在、アルミニウム合金の腐食および水素損傷メカニズムは決して理解されていない。関連する損傷過程は原子スケールで起こる。アルミニウム合金の腐食攻撃は、複雑な酸化過程に起因するとされている。それにもかかわらず、試験により、さらに、腐食過程中に生成した水素が材料内部に拡散し、合金系に依存する好ましいトラッピング部位での水素の集中およびトラッピングに至る可能性があることが明らかにされている。
アルミニウム合金の水素脆化に関する研究のほとんどが、7xxxシリーズのAl-Zn-Mg合金に対して実施されている。準安定水素化アルミニウムは、水蒸気中での応力腐食亀裂に供されたAl-Zn-Mg合金の脆い粒間割れの原因であると考えられている。
分離マグネシウムを含む粒界の優先的分離は、これらの合金の粒間割れに対する異なる説明となる。異なるアルミニウム合金シリーズ、すなわち、2xxx、6xxxおよび8xxxの水素脆化は依然として過小評価されており、十分に実証されていない。さらに、水素脆化は、機械的荷重が存在しなくても起こることがあること、すなわち、応力腐食亀裂は水素脆化に必ずしも必要ではないことが十分に認識されていない。証拠により、腐食誘導水素脆化は、従来の2024および6013合金、ならびに先進2091および8090合金の靱性および延性の劇的な劣化の原因となりうることが示されている。この劣化は、2024および6013合金における水素発生を定量化し、異なるトラッピング部位を同定することにより説明された。これらの結果は、検査した合金の各々に対する水素トラッピング部位に対応する温度で腐食および未腐食クーポンを熱処理することにより利用されている。
腐食材料の破壊靱性は著しく減少するので、歪みエネルギー密度の減少と関連する局所破壊靱性値を評価する必要がある。マルチスケーリングアプローチの関与が、複雑で相互作用的な腐食水素脆化過程に立ち向かうには非常に効率的であり、リベット穴の距離が材料の局所体積脆化を可能にするようなものである多点損傷(MSD)問題に対する腐食誘導水素脆化の効果を調べることが示唆された。
航空機アルミニウム合金2024および6013の機械特性に対する腐食および腐食誘導水素脆化の効果を定量するために、包括的な実験研究が実施された。引張試験の他に、2つの穴の列を含む予め疲労させた切欠き(MSD)試験片を用いて残留強度試験が実施された。腐食および未腐食試験片の両方が試験された。マルチスケーリングアプローチを使用して、破壊靱性および残留強度の低下が、腐食および未腐食クーポンに対する引張試験から得られた歪みエネルギー密度の低下に関連づけられた。詳しい破面分析を用いた実験所見の確認もまた達成された。
航空機アルミニウム合金2024および6013の機械的挙動に対する腐食の効果が実験により調べられた。下記結論が得られた:
−機械特性の腐食誘導劣化は、暴露時間と共に徐々に起こる。引張延性は指数関数的に非常に低い最終値まで減少する;
−結果を解釈するため、ミクロレベルで起きる損傷過程と、材料の巨視的機械特性で得られる効果との間のギャップを縮めるために、多重スケールアプローチが必要である;
−腐食領域を機械的に除去すると、降伏および最大引張応力は回復したが、引張延性は回復せず、ここで、後者は、水素トラッピングに対応する温度での合金の熱処理後に初めて回復され、調べた合金の腐食は水素脆化に関連することが示唆された;
−腐食材料の破壊靱性は著しく減少し;歪みエネルギー密度の低下に関連する局所破壊靱性を評価する必要がある;ならびに
−引張試験から測定した歪みエネルギー密度低下の使用を、腐食誘導水素脆化による構造部品の残留強度の低下を評価するために使用することができる。
Oriani, Richard A.;Hirth, John P.;Smialowski, Michaelにより編集された、Hydrogen Degradation of Ferrous Alloys (William Andrew Publishing/Noyes, 1985, p.900, ISBN 0-8155-1027-6)もまた公知であり、これは、水素-金属相互作用の基礎、機械論的考察、および機械特性の劣化の現象学の重要な概説を提供する。構造材料の水素劣化は過去50年間でますます注目を集める深刻な問題である。水溶液中では至る所に水素腐食源が存在すること、湿潤な汚染された炭化水素を運搬するパイプライン中への吸収、および溶融過程での汚染物質が、問題の重要性に寄与する。
J. Burke;A. Jickels;P. Maulikによる、The Effect of Hydrogen on the Structure and Properties of Fe-Ni-Cr Austenite (Proceedings of an International Conference. Moran, Wyoming, 1976, pp.102-115)もまた公知であり、これは、ガス状または電解質状のいずれかでの水素吸収と関連するオーステナイト鋼における延性損失に対処する。この型の材料の感受性は、フェライト・マルテンサイト鋼の感受性よりずっと低いが、それにも関わらず、機械特性の劣化は、高い水素濃度が吸収される条件下ではかなりのものである。これは、材料利用に関して明らかな意味合いを有する。いくつかの型の応力腐食亀裂と構造および特性における水素誘導変化の間で現在確立されている明確な結びつきが、さらに、これらの材料の水素脆化の基本メカニズムを理解する際の興味を増大させた。オーステナイト鋼の水素脆化は、2つの大きな型に分割することができる:(1)高い水素逸散度、低拡散度(すなわち、低温度)、およびオーステナイト安定性の組み合わせにより、激しい内部歪み、αおよびεマルテンサイトへの自然変態、広範囲の粒間および粒内表面亀裂に至る、(2)組成、温度、および逸散度の組み合わせは、水素が、全体の構造変化を伴わずに吸収されるようなものである。
Shimomura, J.;Imanada, T.による、Decomposition of Carbides in 2-1/4Cr-1Mo Steels During Hydrogen Attack (Scripta Metallurgica, 1985, Vol.19, No.12, pp.1507-1511)もまた公知であり、これは、2.25Cr-1Mo鋼における水素侵食に対する抵抗性が、Si含量を減少させることによりかなり改善されることを開示し、Si含量が炭化物の組成および結晶構造に大きく影響するという観察に基づき、炭化物化学の観点から、水素侵食に対するSiの効果を解釈している。水素侵食中に起こる炭化物化学における変化に関する説明、およびそれらの変化を、異なる量のSiを有する2.25Cr-1Mo鋼における機械特性の劣化と関連づける説明も開示されている。
R.Kotによる、Hydrogen Attack, Detection, Assessment and Evaluation(10th Asia-Pacific Conference on Non-Destructive Testing, 2001)もまた公知であり、これは、鋼における水素侵食の検出、評定、および評価法の概観を提供する。高温および高圧のH2と接触する機器は、水素損傷-加熱水素侵食を受ける可能性がある。水素原子は容易に鋼中に拡散し、金属の内部ボイドにおける高圧、高温でのCH4またはH2の形成により亀裂が生じる可能性がある。これにより、粒界での断裂および脱炭が起こり、強度が失われ、これにより材料が信頼できず、または危険なものとなる。水素損傷鋼における音波減衰を使用して、材料の機械特性の劣化レベルを定量化することができる。これがわかると、影響を受けたプラントの残りの寿命を推定することができる。
水素は金属に対し様々な有害な効果を有する。金属の水素誘導劣化は、大気に暴露されることにより引き起こされ、ここで、水素が材料中に吸収され、その機械的性能の減少が起きる。水素損傷の過酷度およびモードは下記のものに依存する:水素源-外部(ガス状)/内部(溶解)、暴露時間、温度および圧力、金属と何らかの反応をする可能性のある溶液または溶媒の存在(例えば、酸性溶液)、合金の型およびその製造方法、金属中の不連続部量、暴露表面の処理(バリヤ層、例えば、金属上の水素透過バリヤとしての酸化物層)、金属表面の最終処理(例えば、ガルバニニッケルメッキ)、熱処理法、ならびに/または残留および負荷応力レベル。
上記変数の組み合わせおよび数により、水素損傷は、水素脆化、水素化物脆化、固溶体硬化、内部欠陥の生成に分類でき、さらに、図8に示したような様々な損傷過程に細分できる。
水素侵食メカニズムおよび防止において、水素は、鋼の炭素と反応しながら、材料内でメタン気泡を形成する。メタン気泡は粒界および微小なボイド中で形成する。膨張によるメタン圧の増加およびそのような気泡の連結によりボイドが広がり割れ目となる。割れ目およびボイドの成長は金属を弱め、割れ目は発展して大きな亀裂となる。
水素侵食の程度は、温度、水素分圧、応力レベル、暴露時間、鋼組成、および構造に依存する。水素侵食は、普通炭素鋼、低合金鋼、および473Kを超えて動作する一部のステンレス鋼においてさえも報告されている。水素侵食は、水素および炭化水素蒸気が20MPaおよび約810Kレベルまで取り扱われる精製所における主要な問題の1つである。水素侵食が高温および/または高圧で起きないようにするために、高い合金元素含量が必要である。クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)は炭化物形成元素であり、これらを所望の抵抗性を提供するために鋼中で使用する。
API 941のネルソン曲線は、業界経験に基づき、合金選択のために普遍的に使用されるガイダンスを提供する。選択される適当な合金は、予測される動作パラメータを示す温度-水素分圧座標の直ぐ右、またはその上の曲線として表される。
熱処理は水素侵食に対する鋼抵抗性に影響する。例えば、急冷され、鍛えられた2-1/4Cr-1Mo鋼は、水素損傷に対するマルテンサイトおよびベイナイト構造の低い抵抗性のため、水素亀裂に対し増加した感受性を有する。過度の降伏強度レベルを発生させる熱処理は避けるべきであり、または慎重に使用すべきである。
業界経験により、Cr-Mo鋼の溶接後熱処理は、水素使用における水素侵食に抵抗するのに有益であることが示されている。水素-炭化水素装置の製造者に、製造が始まる前に、溶接消耗品に対し脆化試験を実施し、全ての「低水素」電極を熱「箱」に保存するように要求することは、普通のやり方である。低クロム鋼に対して予熱を要求することにより、製造中に水素により引き起こされる溶接亀裂が最小限に抑えられる。適切な検査、品質制御、良好な設計、および評判のよい製造者は全て、完成した容器または反応器が水素侵食に対し抵抗性であることを確保するために必要である。
水素侵食は、鋼の水素環境への暴露により引き起こされる。損傷の激しさは、暴露時間、温度、水素分圧、応力レベル、鋼組成、および構造に依存する。水素侵食を避ける/阻止するために、安定な炭化物を形成する元素を有する鋼を使用すべきである。熱処理は、水素侵食に対し低い抵抗性を有する構造(マルテンサイト、ベイナイト)を生成させないために注意深く適用すべきである。水素および炭化水素取扱装置の製造過程中、適切な検査および品質制御システムが必要である。プラント装置において使用される鋼の水素未損傷および損傷サンプルが、水素侵食試験目的のために入手可能であるべきである。
Takumi Terachi, Nobuo Totsuka, Takuyo Yamada, Tomokazu Nakagawa, Hiroshi Deguchi, Masaki Horiuchi、およびMasato Oshitaniによる、Influence of Dissolved Hydrogen on Structure of Oxide Film on Alloy 600 Formed in Primary Water of Pressurized Water Reactors (Journal of Nuclear Science and Technology, 2003, Vol. 40, No. 7, pp.509-516)も公知であり、これは、合金600中の一次水応力腐食亀裂(PWSCC)の感受性と加圧水反応器(PWR)の一次水中の溶解水素(DH)の含量との間の関係の研究結果を開示する。この目的のために、PWRの模擬一次水中で4つの異なるDH条件下で形成させた酸化膜の構造分析が、斜入射X線回折計(GIXRD)、走査型電子顕微鏡(SEM)、および透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて実施された。特に、薄い酸化膜の正確な分析を実施するために、スプリング-8のシンクロノトロン放射がGIXRDのために使用された。酸化膜は、水素を含まない条件下、主に酸化ニッケルから構成される。他方、針状酸化物は1.0ppmのDHで形成される。2.75ppmのDHの環境では、酸化膜は薄いスピネル構造を有する。これらの結果および相図を考慮すると、1.0ppmのDHの辺りの条件は、安定NiOとスピネル酸化物の間の境界に対応し、また、PWSCC感受性のピーク範囲に対応する。これにより、NiOとスピネル酸化物との間の境界はSCC感受性に影響する可能性があることが示唆される。
P.M. Scottによる、Internal Oxidation as a Possible Explanation of Intergranular Stress Corrosion Cracking Alloy 600 in PWRs(9th International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems-Water Reactors, 1999)もまた公知であり、これは、加圧水反応器内での内部酸化メカニズムの研究を提供する。内部酸化は、1993年にScottおよびLe Calvarにより、水素化PWR一次水中での粒間応力腐食亀裂(IGSCC:Intergranular stress corrosion cracking)の妥当なメカニズムとして最初に提案された。それ以来、仮説を検証するためにいくつかの実験研究が実施されている。二次イオン質量分析(SIMS)および分析透過型電子顕微鏡観察(ATEM)を用いた合金600における一次および二次亀裂のいくつかの詳細な微視的検査が実施され、予備段階の結果がすでに公開されている。典型的なPWR動作温度および腐食電位での内部酸化メカニズムの適用性に関して生じている批判点のいくつかが開示されている。これは、腐食電位がNi/NiO酸化還元電位またはそれ以下となるよう、ニッケル基合金中の酸素の粒間拡散の見かけの速度を、観察された亀裂速度および内部酸化のための熱力学要求と折り合いをつける上での特異的な問題である。後者の点は、このメカニズムが2段側(secondary side)蒸気発生器管IGA/ISGCCを説明するために引き出されたのであるとすると、特に懸念される点である。第2の目的は、実際のまたは原型PWR条件下で生成される合金600中の亀裂の詳細な検査に関係するこの会議における他の論文のための基準点を提供するために、より高い温度で観察される粒間内部酸化亀裂(intergranular internal oxidation cracking)の公知の場合の形態を説明することである。
V.S. Sinyavsky, V.D. ValkovおよびV.D. Kalininによる、Corrosion and Protection of Aluminum (Moscow, Metallurgia, 1986)もまた公知であり、これは、アルミニウム合金が、使用条件、合金組成などによって、様々な型の腐食を受けやすいことを開示する。これらの型の腐食は、腐食亀裂、粒間腐食および剥離腐食を含む。いくつかの銅含有アルミニウム合金は、粒間腐食を受けやすい。この腐食は時に、マグネシウムおよびケイ素を含むアルミニウム合金において起きる。
アルミニウム合金の粒間腐食は、不適当な熱処理のため、時として、海水、海洋および工業的環境などの多くの環境での太陽光への長期暴露のために起こる。粒間腐食理論は、Al-Cu固溶体が、アルミニウム合金の人工時効中、または90℃〜270℃の間の温度範囲での熱処理中に生じた他の熱効果の下、主に粒界で析出を伴って破壊することを唱えている。析出物の組成は、金属間化合物CuAl2に近い。この結果、境界付近に銅欠乏領域が生じる。結晶粒内では、金属間化合物の析出の程度はより低く、このため、固溶体は、境界から除去された領域では、銅の欠乏の程度が低い。上記温度範囲の熱効果により、電気化学観点から見ると、アルミニウム合金の表面はもはや均質と考えることができない。粒界と結晶粒の間の電位差は100mVまでである可能性があり、これにより最終的に電気化学腐食が引き起こされる。
アルミニウム合金は、一般に、表面全体の好ましい電位分布を提供する適当な熱処理に供することにより、粒間腐食から保護されてもよい。正しい熱処理は、合金をより均一にし、できるだけ多くの銅を固溶体中に移動させるものであり、これは迅速な急冷過程により固定される。ジュラルミンは、冷水(40℃)中で480〜500℃から急冷し、さらに自然時効させると、最適耐食性を有する。
合金が腐食環境および静的引張応力により同時に影響を受けると、腐食亀裂が起こる。応力は外部的および内部的の両方であってもよい。いくつかのアルミニウム合金は応力腐食亀裂を受けやすい。合金のそのような有害な腐食損傷への感受性は、金属構造、応力の大きさおよび性質ならびに腐食環境に依存する。選択的に合金を冒す腐食環境は、腐食亀裂の一因となる。
腐食剥離は、半完成品の成形中に発生する、主に変形ベクトルに平行に発達する特異的な型の表面下腐食であり、この方向の亀裂形成、個々の金属結晶粒の剥離またはサンプルもしくは部品の完全な破損を伴う。この腐食は粒界または樹枝状セルの変形境界に沿って、ならびに粒内で発達する可能性がある。剥離腐食は、実質的に、変形半完成品に典型的である。いくつかの例外では、これは、方向性溶離を伴う従来の鋳造、例えば、高マンガン量を有するAl-Mg-Li合金において観察される場合がある。
腐食剥離は、特定の構造状態、変形方向の第2相および固溶体結晶の配向、高含量の合金元素または不純物およびそれらの不均一分布、内部応力、ならびに腐食環境の性質に依存する表面のある物理的および化学的状態に起因する。
このように、使用中のアルミニウム合金の耐食性は下記基準により決定される:表面仕上げ、内部圧縮(有利な)応力、および、ある急冷条件により生じる表面付近の合金の特異構造。最適条件下では、アルミニウム合金の表面に適用した超音波処理が、上記有利な要因を全て組み合わせる可能性が高い。
V.V. GerasimovによるCorrosion of Aluminum and Its Alloys (Moscow, Metallurgia, 1967)も公知であり、これは、アルミニウムの電気化学特性および耐食性は、大きく金属純度に依存することを開示している。アルミニウム合金の体勢は、合金元素の性質および数により支配される。100℃未満の温度では、純粋アルミニウムは最も大きな耐食性を有する。水中および活性イオン、例えばハロゲン化合物を含まない中性環境では、純粋アルミニウムの定常電位は不動態領域(passive region)に対応する。このように、アルミニウム耐性はそのような条件下ではかなり高い。
アルミニウムの合金化は、アノード過程の動力学を変化させる。1%鉄量を有する合金の定常電位は、不動態領域に対応する。これはそのような合金のかなり低い腐食速度を決定するが、これは、純粋アルミニウムのものよりも高い。3%の塩化ナトリウム溶液中では、合金の腐食速度は、0.004%から始まる鉄量に比例して増加する。
アルミニウムの銅との合金化は、鉄の場合より大きく、陽極過程(アルミニウム合金の溶液)の動力学に影響する。3%塩化ナトリウム溶液中では、銅量が0.01%まで増加するにつれ、腐食速度がわずかに増加することが観察される。腐食過程は、銅量がさらに増加すると著しく増大する。
アルミニウムのニッケルとの合金化は水素および酸素を減少させる。ニッケル導入による陰極過程の促進により、合金の定常電位を増加させる。0.2%ニッケルを含む合金の標準電位は不動態領域に対応し;この場合の腐食速度は低い。0.6%を超えるニッケル量では、定常電位はオーバー不動態化領域(overpassivation region)に対応する;腐食速度は必然的に増加する。
このように、アルミニウムでは、1%までの合金化元素の量が、電極過程の動力学に最も大きな影響を有する。鉄、銅またはニッケルと合金化させると、アルミニウム合金はこれらの元素の金属間化合物を含む。金属間化合物の電極電位は、アルミニウムの定常電位よりも正であり、アルミニウム合金中で陰極として作用する。
1〜2%までの量のマンガン、亜鉛、マグネシウムおよびケイ素は、腐食過程を強化しない。亜鉛量が25%まで増加するにつれ、合金の定常電位は、中性および酸性環境で負の方向にシフトする。合金の定常電位は事実上、亜鉛量のさらなる増加により影響されない。0.16%の亜鉛をアルミニウムに添加しても、陰極過程速度にはほとんど影響を与えない。このように、アルミニウムと2.05%までの亜鉛との合金化は、腐食速度を増加させず、いくらか減少させることさえある。
5%までの量のマグネシウムはアルミニウム腐食を有意に増加させない。中性または酸性環境では、アルミニウムがマグネシウムと合金化されると定常電位は減少する。リチウムの場合も同じである。
中性環境では、アルミニウムの定常電位は、事実上、ケイ素により影響されない;酸性環境では、これが増加する。固溶体中のケイ素は事実上、アルミニウム腐食に影響しないが、ケイ素金属間化合物が局所陰極を提示し、腐食を促進する可能性がある。シルミン型合金は非常に耐食性であるので、ケイ素は、アルミニウム表面の酸化膜の保護特性を著しく増強させると考えられることに注意すべきである。酸性環境では、0.035〜0.078%の範囲のナトリウム量は、アルミニウムの耐性にとって非常に有害である。0.3〜0.4%の鉄不純物を含むアルミニウム中の最大ナトリウム量は、0.02〜0.03%の間の範囲に収まるべきである。アルミニウム中に存在する場合、ナトリウムは粒間腐食を増強する。
0.08%のカルシウム量は、中性環境で幾分商業用のアルミニウムの耐性を減少させ;0.5〜1.0%のナトリウムは0.5〜nアルカリ溶液中で著しくアルミニウム腐食を促進する(nは溶液の規定度を示す)。カルシウム不純物はケイ素存在下でとりわけ有害である。
アルミニウムのカドミウムとの合金化により、銅の不都合な作用が抑制される。鉛はアルミニウム耐性に対しほとんど効果を有さない。0.01%を超えるチタン量は、酸性環境で腐食を増強する。セリウム、コバルト、白金、銀、トリウムおよびバナジウムは悪影響を有する。例えば、40%の銀を有するアルミニウム合金は、100%の相対湿度(RH)の雰囲気で数日試験した後、完全に機能しなくなった。高い腐食速度は、陰極としてのAg2Ag金属間化合物の効果的な作用により引き起こされる。場合によっては、クロム、スズ、およびカドミウムは効果がないが、時として、これらは腐食を増強する。アンチモンは、アルミニウム耐食性を改善する。
少量でも水銀は、アルミニウムアマルガム化、金属表面脱不動態化および金属溶解速度の増加を引き起こす。水銀含有アルミニウムプロテクタは十分な負の電位を有し、事実上、時間とともに不動態化されない。
合金化は定常電位および耐食性のpH環境への依存性に影響しない。アルカリ環境では、純粋アルミニウムおよびアルミニウム合金のほとんどが耐性ではない。そのような条件下では、0.5%マグネシウムがドープされた合金は最も小さな腐食速度を有する。アルミニウムがマグネシウムと合金化されると、酸化膜は金属表面で発達する。この膜は、アルカリ中で不溶なマグネシウム水和物を含む。希アルカリ中では、合金耐性は、マグネシウム量の増加と共に改善する。濃アルカリ中では、マグネシウムはアルミニウム耐性を改善しない。マグネシウムおよびマンガンとの合金化により、アンモニア中での耐性が増強する。アンモニア含有コークス水中では、99〜99.5%のアルミニウムおよび1.25%マンガンまたは3%マグネシウムを有するアルミニウム合金が耐食性である。
非酸化性酸中では、ケイ素がアルミニウム腐食を増強し、カドミウムが抑制する。亜鉛およびマンガンは不利な効果を有する。マグネシウムおよびスズは耐食性を増強する。均質合金では、1%のケイ素は硝酸中では金属耐性を損なわず;不均一合金では、1%のケイ素は65%硝酸中で著しく耐性を損なう。1%の量の銅は、これが完全にアルミニウム中に溶解していなくても、25%酸中で著しく腐食を増強する。
5%および10%塩酸中では、99.996%アルミニウムおよび0.5%マグネシウムを含むアルミニウム合金は、かなり耐食性である。これらの場合における腐食速度は3〜5g/m2日を超えることはない。同じ環境では、99.5%アルミニウムの個々の腐食速度は352および7780g/m2日であった。
不純物および合金化元素は、アルミニウムおよびその合金におけるピッティングに対し著しい効果を有する。99.99%アルミニウムでは、腐食は真水中でめったに観察されない。しかしながら、99.5〜99.8%アルミニウムでは、腐食の深さは1週間以内に0.3mmに到達する可能性がある。99.99%から99%へアルミニウム純度が減少すると、酸素イオン化領域での陰極過程速度、ならびに制限拡散電流(limiting diffusion current)および水素イオン放出速度が増加する。これはピッティングを増強する。
局所陰極の作用は局所腐食を増強する。鉄および銅の含量が高いほど、ピッティング数およびその深さが大きくなる。ピッティングは通常、金属間化合物の配列に対応する圧延方向に配向する。ピッティングはまた、金属間化合物が現れる引っ掻き領域でも観察される。
アルミニウム表面を沸騰水中で処理すると、保護膜が1つまたは別の理由で損なわれた領域で、保護膜が回復する。そのような処理により合金のピッティングに対する耐性が増強する。
圧延脱脂後、10%アルカリ中でのエッチング、リン酸および硝酸混合物中での化学研磨などの様々な表面処理は事実上、53〜70℃の蒸留水中での110合金の耐性に何の効果も有さない。塩化物溶液中では、表面研磨により腐食損失が減少する。0.001〜1.0n濃度の硫酸カリウム溶液中では、研磨アルミニウムは事実上腐食しない。化学研磨は、87%RHの雰囲気中、99.5%アルミニウムの腐食を20倍減少させる。
アルミニウム合金の表面処理は、そのピッティング傾向に影響する。予備エッチングの結果、2Sおよび3S合金(米国で使用される展伸アルミニウム合金;新しい表示はそれぞれ1100および3003である)に対するピッティング深さは、真水中での試験で10〜50倍増加する。
塑性変形は、不純粒間物質の完全性を崩壊させるが、鉄およびニッケルがドープされたアルミニウムの粒間腐食に対する耐性を改善させる。粒界での固溶体の粒間内部吸着または破損の減少が、急冷却および時効前に先立って低い加熱温度を使用することにより得られる。
腐食環境および機械応力の結合効果の下では、いくつかのアルミニウム合金、例えば、マグネシウムまたはマグネシウムおよび亜鉛がドープされた合金は、典型的には腐食亀裂または応力腐食と呼ばれる特定の型の腐食を受ける。この型の腐食は通常、塩化物を含む環境で観察される。アルミニウム合金の腐食亀裂は、粒界での金属間相Mg2Al3の析出により説明される可能性がある。この金属間化合物は、金属組織学的調査および電子顕微鏡調査により、腐食亀裂を受けたマグネシウムドープアルミニウム合金の粒界に存在することが見出された。
機械的応力は、金属間化合物中に顕微鏡下では見えない程の切欠きおよび亀裂を生じさせ、腐食環境のβ-相への侵入を促進し、この相の溶解を増強する。さらに、引張応力はクリスタライトの境界に沿ったβ-相の析出を促進する。
マグネシウムドープアルミニウム合金の腐食亀裂過程は下記の通りである。クリスタライト境界のβ-相は、塩化物溶液中では不動態化されず、激しく溶解する。金属間化合物は合金製造および処理中または引張応力のもとでのいずれかで析出する可能性がある。β-相の溶解および顕微鏡下では見えない程の亀裂の形成により、集中源の形成および新規金属間化合物の析出となる。このように、過程は激しく金属内深くに伝播する。
環境の脱気または陰極分極は、電位を負の方向にシフトし、β-相の溶解、ひいては腐食亀裂過程を減少させる。陽極分極またはより貴重な金属(銅、ステンレス鋼)との接触により、β-相の溶解速度が増加し(すなわち、塩化物中で不動態化されない)、従って腐食亀裂を増強する。腐食亀裂過程は、合金表面を酸またはアルカリ中でエッチングさせると最も速い。表面研磨は破損までの合金寿命を増加させる。pHが0から6まで増加すると、破損までの試験片寿命は増加する。マグネシウムおよび銅が同時にドープされたアルミニウム合金は、マグネシウム-銅二元合金よりも腐食亀裂を受けにくい。0.5〜1.5%亜鉛との追加合金化により、7〜8%のマグネシウムを含む合金の腐食亀裂耐性が増強し;焼き戻し温度および変形度が、合金が腐食亀裂感受性となったときの値まで増加する。
腐食環境および交互負荷の同時作用下では、合金は、腐食疲労のために機能しなくなる可能性がある。塩化物は、腐食疲労にあるアルミニウム合金の破損を促進する。3%の塩化ナトリウム溶液中では、2024合金の疲労限界は107で3.5kg/mm2である。
閉鎖系では、金属および合金を腐食から保護するために阻害剤が普及している。いくつかの酸化剤、例えば、クロメートおよびジクロメートが中性環境において腐食阻害剤として使用されている(不動態化剤)。低温下では、クロメートを使用してアルミニウムおよびその合金を、中性、アルカリ性および弱酸性環境中における腐食から保護してもよい。0.5〜1.0g/lのクロム酸ナトリウムまたはクロム酸カリウムを、最大でも50〜100mg/lの塩を含む水に添加すると、アルミニウムおよびその合金の腐食速度は著しく減少する。塩、とりわけ銅の濃度が大きくなると、クロメート保護特性は減少し、ピッティングが起こる可能性がある。
いくつかの他の化合物が、冷却システムのアルミニウム部品を保護するための阻害剤として使用される。このように、80℃で35mg/lの塩化物を含む河川水に3%硝酸ナトリウム、0.03%リン酸ナトリウムおよび3%酸性リン酸ナトリウムを添加すると、腐食速度は2〜3倍減少し;0.03%硝酸ナトリウムおよびケイ酸ナトリウム、3%安息香酸ナトリウムを添加すると、腐食は6〜8倍減少する。
ジュラルミンの電気化学保護が、G.V.Akimovにより証明された。目視観察により、両端を亜鉛ストリップで固定した4mの長さのジュラルミン板は、海水試験後、全く腐食損傷を有さなかった。塩化物-銀電極をまたがった電位-0.8Vによる陰極分極により、海水中で6ヶ月の間ジュラルミンが保護される。海水環境では、ジュラルミン船体は、防護剤により、腐食保護されていてもよい。マグネシウム防護剤は船底に均一に配置され、鋼亜鉛コート(steel zinc coated)ボルトによりビニルプラスチックパッド上に固定される。
翻訳がB.A. ZelenovaおよびN.I. Veselovaにより編集された、S. VernikおよびR. Pinnerによる、Chemical and Electrolytic Treatment of Aluminum and Aluminum Alloys (Sudostroyeniye, Leningrad, 1960)も公知であり、これは、アルミニウム合金の耐食性は場合によっては、保護用コーティングを適用することにより著しく改善され得ることを開示する。アルミニウム合金では、酸化または陽極酸化により酸化膜を構築することが一般的なやり方である。陽極酸化は、工業的環境おけるアルミニウムおよびその合金の耐性を大いに改善する。アルミニウムに対する最も良好な酸化膜は、0.0025〜0.15mmの厚さを有し、かつ硫酸およびシュウ酸中での陽極酸化により得られるものである。そのような膜は、20%塩化ナトリウムの噴霧条件下で、1年の試験に耐える。
アルミニウム合金の表面上の保護酸化膜は、高温で、水または水性溶液中で金属を処理する際に発達させてもよい。海水中でのアルミニウム合金の高い耐性は、純粋なアルミニウムを用いたクラッディングにより達成される可能性がある。クラッド層は合金を腐食環境から分離するだけでなく、また電気化学的に合金を保護する。アルミニウム合金を腐食から保護するために、エナメル加工を使用してもよい。エナメルは水、酸、弱アルカリ性洗剤、および都会の空気の中でかなり耐久性がある。瀝青、ポリマー、および塗料コーティング、ならびにグリースを、雰囲気中および土壌中での、アルミニウムおよびその合金の腐食保護のために使用する。
N.D. TomashovおよびG.P.Chernovaによる、Corrosion Theory and Corrosion- resistant Structural Alloys (Moscow, Metallurgia, 1986)もまた公知であり、これは、金属が高温の乾燥ガスまたは非電解質と接触する場合、化学腐食メカニズムが金属の破損に対し典型的であることを開示する。これが起こる場合、酸化-還元反応が、電気化学腐食に比べ一事象で起きる。金属の熱処理の間、ターボジェットおよびロケットエンジンにおける細部および構造の動作の間、発電所において、などの冶金動作中にガス腐食が起こりうる。
金属の、高温ガスの腐食攻撃に抵抗する能力は、耐熱性と呼ばれる。高温での金属の別の重要な挙動は、材料がそのような条件下で良好な機械特性を保持する能力を規定する高温強度である。金属は耐熱性である可能性があるが、良好な高温強度を有さない可能性がある(例えば、400〜450℃のアルミニウム合金)。600〜700℃では、高速タングステン鋼が耐熱性であるが、高温強度ではない。
金属と酸素との間の相互作用(金属酸化)が、式:Me+O2=MeO2に従い起こる。金属に到達した酸素分子はその表面に吸着され、すなわち、表面により捕獲される。金属内での酸素吸着は通常下記の通りに表される。物理吸着は清浄な表面上で起こり、酸素原子と分子との間の結合が弱められる。分子は解離し、酸素原子は金属原子から電子を引き抜く。O-2イオンの形成を伴う電子の酸素に向かうシフトが、金属-酸素化合物(酸化物)の核形成と等しくなると、化学吸着段階が起こる。酸素-金属相互作用の生成物(酸化物)はその化学活性を減少させる酸化膜を伴う表面を提供する。その厚さにより、金属上の膜は、40nmまでの厚さの薄いもの(不可視)、40〜500nmの厚さの平均なもの(焼戻色として可視)、または500nmを超える厚さの厚いもの(可視)に分類され得る。例えば、アルミニウムの場合:
−乾燥空気中、数日後、膜は10nmの厚さである;
−600℃では、60時間後、膜は200nmの厚さである;
−陽極酸化では、膜は3〜300μmの厚さである。
金属および合金では、ガス腐食速度は、ガス環境の組成、圧力および速度、温度条件および加熱条件などの外部要因、ならびに合金の性質、化学および相組成、機械応力および変形などの内部要因により影響される。
酸化膜の保護特性は、実質的には、合金の性質および組成に依存する。クロム、アルミニウム、およびケイ素は、鋼酸化過程をかなり遅延させ、これは高い保護特性を有する膜の形成により起こる。加熱中の金属の変形により膜不連続性が引き起こされることがあり、これにより酸化速度が増加する。予備変形は、再結晶温度よりも低い温度だけでは、酸化速度にほとんど影響しない。
ガス腐食保護では、耐熱合金化、保護雰囲気および保護用コーティングが使用される。
F.TodtによるCorrosion and Corrosion Protection (Khimiya, Leningrad, 1967)もまた公知であり、これは、電気化学腐食過程が、2つの連動した反応の組み合わせであることを開示する:
−陽極反応(酸化)Me=Mez++ze;
−陰極反応(回復)D+ze=(Dze);
式中、Dは、陽極反応(金属イオン化)の結果放出されるz-電子(ze)を付着させる減極剤(酸化剤)である。電気化学腐食過程の概略図を図9に示す。
実際の合金の表面は常に、不均一であり、すなわち、電位が実質的に異なる領域を有する。金属表面は、構造ミクロ不規則性(irregularity)(粒界、不純物)だけでなく、サブミクロ不規則性(結晶構造の欠陥、格子内の外来原子、など)においても異なっている場合がある。これにより陽極過程および陰極過程が局在化され、かつ局所腐食の発達(例えば、ピッティングの発達)が引き起こされる−電気化学腐食下でのミクロ-ガルバニ要素の作用理論。
電気化学腐食の動力学的理論と呼ばれる、現代の電気化学腐食理論は、金属-電解質相間が有効であれば、金属の電気化学破損が起こる可能性があることを強調する。腐食の事実は、電解質の性質、すなわち超純水の場合か濃水溶液の場合かに依存しない。電解質の量はまたあまり重要ではない。すなわち、これは数μmの厚さの水分膜であってもよい。腐食が起こるための唯一の条件は、金属イオン化の陽極反応およびいくつかのまたはその他のイオンもしくは分子の回収の陰極反応の金属表面上での可能な組み合わせである。これは、陽極反応の平衡電位が、可能な陰極反応の少なくとも1つよりも負である場合である。この場合生じる(定常)電位は中間的立場をとると思われる。この条件は腐食型に関係なく、満たすべきである。
金属を電解質溶液に浸すと、金属表面と電解質との間に、ある電位差が生じ、これは、二重の電気層、すなわち、金属-電解質相間での粒子の非対称位置の形成により起こる。
図10および11は二重の電気化学層の形成の概略図を示す。より詳細には、図10は溶液中に変換する金属原子イオンを示し;図11は溶液から金属表面に変換するカチオンを示す。
イオン水和エネルギーが金属イオン-原子の間の結合を破壊するのに十分であり、かつ電子および金属イオンが溶液中に移る場合、同じ数の電子が金属表面に残り、金属表面へ負の電荷を与える。さらに、これらの負の電荷は溶液から金属カチオンを引きつける。これにより金属-電解質界面で二重の電気層が得られ、金属と電解質溶液との間で、ある電位差が引き起こされる。
別の変化も可能である。金属表面上で、カチオンが電解質溶液から放出される可能性がある(格子中の結合エネルギーが水和エネルギーよりも大きい)。その結果、金属表面は正電荷を獲得し、溶液陰イオンと二重の電気層を形成する。
電極電位値は、腐食過程の性質に実質的に影響する。腐食微量元素の作用中の電流の流れは、陰極と陽極との間の最初の電位差により引き起こされる。腐食電流が、回路が閉じた後に流れると、電位差が減少する。電流の流れの結果としてのそのような電位変化は分極と呼ばれる。
陰極上の電極過程に応じて、電気化学腐食は下記の型に分類してもよい:水素分極を伴う(陰極上での水素イオンの回収)−酸中;酸素回収を伴う−雰囲気、水中、塩溶液中、など;または他の酸化物の回収を伴う。
不動態は、ある領域の電位における金属イオン化の陽極反応の遅延により引き起こされるかなり高い耐食状態である。金属が強い酸化剤と接触すると不動態状態が一般に起こる。しかしながら、金属によっては、水でさえもかなり強い酸化剤となりうる(例えば、チタンに対し)。不動態の膜理論はいまだに基本理論の1つである。金属表面での酸素吸着の結果不動態が起こるという吸着理論が存在する。吸着された酸素の量が、表面を1分子の厚さの層で均一に被覆することさえできないようなものである場合であっても不動態が起こることが見出されている。これは、制限される活性表面領域を妨害することにより説明される。
F.Azhoginによる、Corrosion Cracking and Protection of High-strength Steels (Moscow, Metallurgia, 1974)もまた公知であり、これは腐食環境および引張応力の結合作用下で腐食亀裂が起こりうることを開示する。亀裂は一般に引張応力に対し垂直な面に沿って、粒界に沿って(これはかけられた応力が低い状態で典型的である)、および粒内で発達し、腐食亀裂および疲労ではとりわけ典型的である。腐食亀裂では、延性金属は顕著な脆性破壊を受けやすい。腐食亀裂メカニズムについての概念は曖昧である。
吸着理論は、可動転位および他の構造的な欠陥における溶液陰イオンの吸着を表す。これにより表面エネルギーが減少し、かつ金属の原子結合の破損が促進される。亀裂核形成は、金属表面上の微小隙間中での吸着における表面活性物質のウェッジング(wedging)作用の結果として起こる可能性がある(レビンダー効果)。幾人かの研究者は、炭素およびステンレス鋼、チタンおよびその合金の腐食亀裂は、進行性亀裂の先端での水素吸収によるものである可能性があり、これにより金属の局所脆化が起こると信じている。
電気化学理論は、亀裂発達の主要因は、亀裂ベースでの金属の促進された陽極溶解であると考えている。張力をかけた金属試験片の表面で起こる一次応力集中源(高強度材料では容易に緩和できない)は、いくつかの構造欠陥により、この点での不動態破損および電気化学溶解速度の増大を引き起こす可能性がある。そのような対の陰極は亀裂側表面であり、かつ部分的には試験片の外表面であり、陽極は亀裂先端である。著しく局在化した溶解過程により、亀裂の鋭さが原子レベルで維持され、このため、亀裂先端で最大応力集中が維持される。亀裂先端での原子溶解は、おそらく、切欠きの増加(gain)または構造ブロックであり、これはかなり低い直線速度で起こる。ある瞬間に、この切欠きは、非常に高い直線速度を有するブロックまたは結晶粒のその後の脆性破損によって実現されるが、次のブロックまたは結晶粒上での移動で遅れが生じる可能性があり、その後、再び、より遅いそれらの電気化学切欠き、などが生じる。ミクロスケールでは、亀裂の発達は、電気化学的切欠きおよび機械的破損の交代がしばしば起こるため、試験片の残りの部分のアバランシェ脆性破壊となるまでかなり均一に起こる。
明らかに、その際、亀裂および腐食亀裂の発達を増強する付随過程は下記の通りである:
−亀裂先端での金属表面における水素ピックアップおよび破損前(pre-failure)ゾーンでの水素脆化、
−強度における吸着減少(レビンダーのウェッジング作用)、
−合金の高強度およびこのためによる低い延性、これにより、緩和過程による主応力集中源における応力集中減少がない、
−応力集中源および一次亀裂の形成を促進する合金の微細構造不均一性(ミクロ含有物、構造サブミクロン欠陥)、
−亀裂先端での原子格子の、転位、微小変形および破損の性質。
応力が高すぎず、かつ合金が粒界でより不完全な不動態化(例えば、不純物の偏析による)を有する場合、亀裂は粒間で発達する。そうでなければ、粒中(intragranular)亀裂発達も起こる。腐食亀裂のほとんどの場合が、組み合わされた機械-電気化学メカニズムに基づき、より詳細に解釈されうる。
最初に、応力集中源開始および一次亀裂のその成長における基本的な役割は、おそらく、別個の金属表面不規則性での活性環境イオン間での化学吸着相互作用、および局所表面活性化および応力状態の応力集中源となる非均一変形(転位)分布により担われる。
さらに、亀裂先端ゾーンにおける格子張力を機械的に増加させることにより、陽極過程の連続的活性化と共に亀裂が成長する。金属の初期状態が不動態状態に対応する場合、この活性化はとりわけ高く、かつ張力の重ね合わせにより、亀裂先端での局所活性化となる。最終段階では、マクロ機械的破損がアバランシェ様式で増加し、機械的要因が勝る場合の条件下では破砕が起こる。
腐食亀裂では、機械応力および腐食環境は、同時作用により、これらの要因が別個に影響する場合よりもずっと大きな金属強度損失を引き起こす。多くの環境における金属の腐食亀裂は、実際には、例えば、コンデンサ管、黄銅製の箱、ライフル砲弾などの黄銅製品のいわゆる季節性亀裂;およびプロペラ、ロッド、ディーゼルエンジン、タービン翼などの鋼製品の腐食亀裂として長く知られている。
窒素を含む低炭素鋼は腐食亀裂を非常に受けやすい。高強度鋼の腐食亀裂に対する窒素の効果は明らかに、内部応力の変化と関連する。窒素はα-鉄およびγ-鉄と共に侵入型固溶体を形成する。鋼中にチタンを導入すると、強い窒化物中での窒素結合が促進され、侵入型固溶体の形成が阻止され、内部応力が減少し、そして腐食亀裂に対する高強度鋼耐性が改善される。
Metal Fatigue (Symposium, Moscow, Inostr. Literatura, 1961)もまた公知であり、これは、疲労が、結果的に亀裂および完全な破砕に至る、繰り返し応力または繰り返し変動応力のもとでの材料中の損傷の進行性累積過程であることを開示する。この過程の最も重要な特徴は、静的負荷下での強度基準である引張強度よりも実質的に低い(2倍またはそれ以上の)の応力のもとで発達することである。金属の繰り返し変動負荷に耐える能力は耐久性と呼ばれ、静的強度よりも実質的に低い。金属の疲労抵抗の主な特徴は疲労限である。同様の試験条件下では、疲労強度は、製造技術に依存する金属の化学組成および内部構造により決定される。様々な疲労過程期間で、構造変化の性質および金属特性は以下の通りである。
(1)疲労インキュベーション−ミクロ降伏段階では、転位源が、個々の結晶粒内、主に試験片の表面相で機能し始める。サイクル降伏段階では、試験片の全体積が塑性変形に関与する。転位は激しく増加し始め、セル構造の形成と相互作用する。滑り帯が試験片表面に現れる。サイクル強化は疲労インキュベーションにおける最終段階である。いわゆる安定な滑り帯が試験片表面に現れ、これは結晶粒の断面よりも短い。これは、数μmの厚さの表面層を除去することにより排除することができないが、静的変形下で生じる滑り帯は光研磨により除去される。強化段階の終わり頃に、これらの帯が開き、サブミクロ亀裂に変わる。
(2)サブミクロ亀裂発達期間−転位密度は飽和され、かつ転位構造は変換される。主に表面付近の、多くの結晶粒は、壁が結晶粒サイズと同程度である非常に細長いセルを有する。そのような構造は帯状構造と呼ばれる。第2の期間の終わり頃に、試験片の全表面は厚いサブミクロ亀裂ネットワークにより覆われるが、これは粒界を超えて進まない。これまでに累積された損傷は、脆性破壊、延性、などに対する耐性を著しく減少させないので、不可逆とまでは考えることはできない。
(3)ミクロ亀裂形成(ミクロ亀裂が粒界を超えて進む場合)、機械特性の全複合体の実質的な劣化−亀裂成長は試験片の応力状態の性質により決定される。塑性変形は、転位密度における増加および非常に細かいセルの形成が観察される亀裂先端付近のかなり狭いゾーンに局在化される。
(4)亀裂がその臨界長に到達すると完全破砕が起こる。
サイクル負荷下での亀裂核形成は、転位の下記の相互作用に起因する:
−互いの間の相互作用(端に反対の符号を有する2つの転位が面内に位置し、それらの距離は約10Aを超えない(1オングストローム=10-8cm)場合、これらの転位は、そのような力で相互に引きつけられ、亀裂が発達し、その際に、他の転位が同じ面に沿って移動し、亀裂に転じ、拡張する)、
−滑りを阻止し、かつ十分強い転位雲の形成を引き起こす様々な障壁(境界)との相互作用。
疲労破壊の重要な局面は、亀裂の臨界サイズへの成長の段階である。この臨界サイズは、破壊力学関係により規定され、多くの場合ミリメートルまたは数十ミリメートルで測定され、そのため、亀裂は、最終的な破損よりずっと以前から裸眼で見ることができる可能性がある。疲労破壊では、破壊は2つのゾーンからなる:(1)疲労亀裂発達部分は独特の滑らかな、時として明るい外観を有し、かつ表面はしばしば、破壊核に集まる亀裂伝播前面の同心性輪郭(concentric contour)を有する;(2)第2は、急激な最終的破損の結果生じる破損ゾーンである。疲労限は、材料の強度および延性(結晶粒微細化または発達した下部構造の形成)、非金属含有物(内部集中源)に沿った金属純度が同時に増加する、そのような構造変化により都合よく影響される。
疲労の場合、表面層状態が特に重要である。表面を固くし、かつ同時に表面層内の残留圧縮応力を誘導する処理が最も効果的である。この場合、疲労亀裂核形成および伝播耐性が同時に改善される。硬化により、滑り発達が妨害され、かつ圧縮応力は表面亀裂が開くのを阻止し、これにより引張成分の効果が減少する。
A.V. Ryabchenkovによる、Corrosion-fatigue Strength of Steel (Moscow, Mashinostroeniye, 1953)も公知であり、これは、金属の腐食疲労過程は下記のように説明される可能性があることを開示する。第1に、格子弾性歪みは、転位密度増加により金属表面のいくつかの部分で累積する。その後、超顕微鏡的亀裂が金属体積中に現れ、ここで、別個のブロックの質量滑り中に臨界転位密度が得られる。最後に、ミクロ亀裂が成長してマクロ亀裂となる。これが起こるにつれ、最も激しく発達する1つのマクロ亀裂に沿って脆性破壊が起こる。
ミクロ隙間に沿ってウェッジングを引き起こす、表面活性物質の吸着は、環境攻撃を加速させる可能性がある。腐食過程で水素が形成されると、容易に金属中へ拡散される可能性がある。破損前ゾーン(亀裂内の深いところ)における金属脆化もまた破損を加速させる。塑性変形では、滑り面ゾーンに沿った金属中への水素拡散が加速してもよい。水素侵食下での金属脆化は、金属格子内の原子水素侵入(interstitial)による転位遮断により説明される。
環境攻撃(aggression)は、腐食-疲労強度に対し実質的な効果を有する。例えば、精錬しかつ高強度のアルミニウム合金、D16およびV95それぞれの疲労限は、試験後に、水中で3〜45%、3%塩化ナトリウム溶液中では4〜5倍減少する。
電解質中での腐食疲労は、機械-電気化学過程である。このように、保護亜鉛および陽極金属コーティング(亜鉛、カドミウム)などの電気化学保護が実現可能である。陰極金属コーティング(鉛、銅)は、これら連続している場合にのみかなり効果的である。金属表面処理もまた効果的であり、表面層において圧縮応力が得られる。
B.A. KolachevによるHydrogen Embrittlement of Metals (Moscow, Metallurgia, 1985)もまた公知であり、これは、水素ピックアップの結果としての機械特性における変化が水素脆化と呼ばれることを開示している。水素ピックアップは高強度鋼の特性に対しとりわけ有害である。15%塩酸中約2000MPaの強度を有する高性能鋼40 CrSiNiの2時間エッチング中、面積縮小は47%から0.63%に減少し、伸長は10.1から1.65に減少する。
予変形(predeforming)では、水素化鋼の長期強度が低下する。このように、例えば、2000MPaの強度では、水素化鋼はたった300MPaの応力のもとで、遅れ脆性破壊を受ける可能性がある。遅れ脆性破壊とは、静的引張応力を、されにそれを増加させることなく適用して、しばらくの後の、細部または試験片の破損を意味する。これは特に危険である。なぜなら引張強度よりずっと下の応力のもとで目に見える塑性変形無く、破損が始まる可能性があるからである。
応力を加えた(stressed)鋼の水素ピックアップ中、水素亀裂と呼ばれる遅れ脆性破壊もまた起きる可能性がある。これは、表面での原子水素吸着(レビンダー効果)または最大三軸引張応力領域での水素濃度の増加による鋼の脆化の増加と関連する。水素ピックアップにおける亀裂までの時間は、適用された引張応力レベルに依存する。すなわち、応力が大きいほど、亀裂までの時間が短くなる。高強度鋼の水素亀裂中に形成する亀裂は、脆性性質を有し、前述のオーステナイトの境界に沿って伝播し、その方向は引張応力に対しほとんど垂直である。
金属中では、水素が下記に存在する可能性がある:侵入型固溶体を形成する格子間隔内;分子形態における細孔、亀裂および他の不規則性中;不純物を有する化学化合物の形態中;および/または溶媒金属-水素化物を有する化学化合物の形態中。金属中への水素侵入源は、元々の電荷材料、技術操作が金属獲得および処理(溶融、熱可塑変形、溶接、熱処理)の全ての段階で実行される環境;陰極上での金属析出、酸エッチング、などの電気化学過程を含む。溶融金属は水素を非常に激しく吸収する。高温では、水素は、多くの金属により、それが固体状態であっても吸収される(例えば、チタン)。水素脆化条件下では、延性の減少は広範囲にわたって、すなわち、数%からほとんど完全な延性の損失まで、変動する可能性がある。統一された水素脆化メカニズムは存在しない。水素脆化に対する鋼の感受性は、強度レベルならびに鋼の状態、組成および構造、ならびに個々の熱の特性などの多くの要因に依存する。
特性における水素-誘導変化は、一般に、熟成またはアニール中の鋼からの水素脱着により排除される。しかしながら、場合によっては、例えば高強度鋼では、5cm3/100gという少量の水素で、水素を除去しても残る不可逆変化が生じる。
水素脆化は下記の通り明らかになる:
(1)水素腐食-高温での高圧水素環境への長期暴露下、炭素鋼において発達する。これは、水素と炭素との間のメタン形成を伴う相互作用に基づく。この反応は表面から始まり、脱炭および徐々に金属内に伝播する亀裂の形成を引き起こし、強度および延性を減少させる。
(2)水素病-金属表面から拡散された水素と金属内に溶解した酸素または酸化物との間の相互作用の結果として起こる。得られた水蒸気は顕微鏡的不連続性を生成させる。
(3)一次ガス多孔性-溶融物中または結晶化前面での分子形態中で水素析出物により起こる。
(4)二次多孔性-水素で満たされた微細な超顕微鏡的細孔の形成を伴う水素に関連して過飽和された固溶体の分解により引き起こされる。これらは、一次細孔よりも小さく、かつほとんど球状の形状を有する。
(5)衝撃強度および破壊靱性の減少-水和物が形成された金属中で起こる。
(6)遅れ破壊-降伏強度よりも低い一定負荷下にある場合、典型的に延性鋼の早期破損に至る亀裂。
(7)変形抵抗の減少-多くの金属では、水素によりクリープ抵抗が高温で減少する。ある条件下では、この効果は破損を促進する可能性がある。
(8)破断亀裂、フレーク、「フィッシュアイ」-主に大きな鍛造物中で検出される欠陥。
(9)気泡核形成-水素が水含環境から金属内に浸透し、分子形態で欠陥、例えば、非金属含有物上に累積し、金属連続性が、水素圧の増加と共に徐々に劣化する。
(10)腐食亀裂-多くの場合、これは腐食反応における原子水素放出、その亀裂表面上での吸着、および水素脆化の発達を伴う金属中での溶解と関連する。
L.S. MorozおよびB.B. Chechulinによる、Hydrogen Embrittlement of Metals (Moscow, Metallurgia, 1967)もまた公知であり、これは金属水素脆化の型が非常に多様であることを開示する。2つの型の水素脆化を区別するのは慣習的である:(1)その起源が、任意の応力の適用までに、増加した水素量により元の金属内で変化する第1の種類の脆化、および(2)塑性変形中に増加する水素量と共に金属内で形成する特徴により引き起こされる第2の種類の脆化。水素脆化については多くの理論がある。1つの理論は、鋼の水素脆化は、粒界で超顕微鏡的および顕微鏡的細孔中に累積した水素の圧力のもとでの結晶間強度の損失の結果であると考える。
M.L.Bernshtein およびV.A.ZaimovskyによるMechanical Properties of Metals (Moscow, Metallurgia, 1979)もまた公知であり、これは、クリープは、いくつかの一定負荷下、主に高温で、低速かつ連続的な様式で可塑的に変形される金属の特性であることを開示する。クリープは、2つの交互の過程-冷間加工による強化、および再結晶または再結晶温度より低い温度での静置による弱化からなる。下記の型の塑性変形がクリープ中高温の金属において起こる:(1)滑動および滑り(転位パターン)、(2)双晶形成、(3)湾曲メカニズム、(4)薄層形成、(5)結晶粒の回転および相対運動、(6)モザイクブロック(mosaic block)の回転および相対変位、(7)セル形成メカニズム、(8)拡散塑性、および/または(9)再結晶メカニズム。
亀裂形成および伝播中の格子内での空格子点の役割に関する仮定(空格子点移動および雲)が広く許容された。
クリープ中、応力がかなり小さく、かつ破損までの時間が長い場合、結晶間破損が観察される。そのような条件下では、変形が主に結晶粒移動、すなわち粒間塑性を犠牲にして累積する。そのような場合、空格子点の形成および累積、ならびに最終的には亀裂が粒界で起こるはずである。
高い応力および大きなクリープ速度下での亀裂形成のための条件は別である。そのような場合、破損までの時間は減少し、粒体中で発達する転位-せん断メカニズムは大きな効率を獲得する。得られた滑り線は、空格子点累積および亀裂形成の観点から、粒界と同じ役割を果たす。
このように、クリープ中、金属の結晶間破損および結晶内(transcrystalline)破損が、1つの、および同じ過程、すなわち、空格子点の拡散、それらの雲中または細孔近くでの集合、細孔の亀裂への発達、および最終的には、新規空格子点の流入による亀裂成長により引き起こされる。
下記微細欠陥が認識されている。
(1)再結晶中に形成される成熟細孔および不連続性。
(2)空格子点凝集により核形成された細孔。
(3)境界に沿った滑りの結果としての粒界での湾曲部開口。ポリゴニゼーション(polygonization)構造が存在する場合、転位への空格子点シンクがかなり重要であるその形成では、細孔が検出されない。下部構造が形成しにくい場合、広範囲のクリープ温度内で細孔が観察される。
(4)原子結合の熱活性化破損の結果としての細孔およびミクロ亀裂の核形成。高温破損の実際の条件下では、細孔核形成およびミクロ亀裂発達を促進する上記全ての欠陥が、多かれ少なかれ起こる。
浸食摩耗は、本体が、移動液、もしくはガス環境、もしくはそれに同伴する結晶粒と接触した結果、または固体結晶粒の衝撃の結果として体表面からの固体結晶粒の脱離にある。下記の型の浸食摩耗が特定され得る:
−研磨性不純物が存在せず、かつキャビテーションのない水流において、金属が酸素の溶解した液体と相互作用するため、金属上で発達した表面膜の液流破損により摩耗が起こる可能性がある;
−研磨粒子を有するガス流中;ガス環境は、金属と相互作用してもよく、またはしなくてもよい−それぞれ、腐食-機械的摩耗または機械的摩耗;
−固体粒子噴射中。
体積負荷下では、塑性変形過程は、体積のある部分に局在化し、ここで、構造欠陥が累積し、応力集中が起こり、破砕源が核形成する。表面負荷下では、塑性変形過程は異なり、第一に接触ゾーン全体にわたる複雑な応力分布により、その転位性質を保存する。表面層全体にわたり、そしてその任意の点で、接触ゾーン内の金属の全ての部分の塑性変形および破損における関与は確率が等しく、その結果応力が分散する。
別の特徴は、摩耗中、塑性変形および破損サイクルが、次のサイクルが摩耗くず同伴後に起こる場合、連続してオーバーラップすることである。摩耗中、薄い表面層の構成および構造(外部環境、高い応力集中、および温度の可能性のある上昇と相互作用した場合の膜形成の可能性)は、実質的に体積中の金属の構造とは異なる可能性がある。摩耗および裂け目は、摩擦表面からの材料の脱離、および/またはその残留変形からなる、摩擦中の物体寸法の段階的な変化の過程である。
M.A. Shluger, F.F. AzhoginおよびE.A. Efimovによる、Corrosion and Protection of Metals (Moscow, Metallurgia, 1981)も公知であり、これは、放射性放出物(中性子、プロトン、重陽子、α-粒子およびβ-粒子、ならびにγ放射線)が腐食過程に対し著しい効果を有し、これは原子力産業および電力産業において感じられるということを開示する。ほとんどの場合、放射線は腐食を1.5〜3倍増強する。
放射線下では、腐食速度の激しい増加が起こり得る。鉄、銅、亜鉛、ニッケル、および鉛の大気腐食速度は、10〜100倍増加する可能性がある。亀裂を伴う壊滅的腐食は、ウラン合金で発達する。
水冷却反応炉では、ウランの水酸化中に放出された水素が金属内に拡散する。かなり短い間に、水素化ウランの局所析出物の形成により、結晶構造が破壊される。水に添加された水素は、保護酸化膜を通って拡散し、ウランと相互作用する可能性がある。得られた水素化ウランはその後、より拡散の遅い水と反応し、順により安定なUO2を生成する。放出された水素は、再び次のウラン部分と反応する可能性がある。ウランは水と反応して二酸化ウランを形成する U+2H2O=UO2+2H2 。ウランは水素と反応して水素化ウランを形成し U+2/3H2=UH3、これはその後、水と反応し、二酸化ウランを生成する UH3+2H2O=UO2+3 1/2H2
保護膜が形成されると、水素は母材中に拡散し、そのため、その間、腐食速度ではなく合金亀裂が、材料の耐食性を特徴づけるのに非常に重要となる。実験データに基づき、放射性放出物は、腐食メカニズムに基本的な変化無く、腐食過程の動力学にかなりの効果を有する。放射線分解効果は、水への放射により引き起こされ、陰極過程を加速する。これは、表面に厚い酸化膜がない金属において観察される。破壊効果は、表面と放射線粒子との間の弾性および熱性の相互作用にあり、金属表面層および酸化膜に欠陥が生じる。この効果は、耐食性が相保護膜の形成により支配されている金属に対しては(例えば、アルミニウム合金に対しては)有害である。また、これにより陽極過程が促進され、かつ腐食速度に対し最も激しい効果を有する。
腐食亀裂および腐食疲労は、機械-電気化学メカニズムに従い発達する:亀裂発達-電気化学過程、完全破壊-残りの部分のアバランシェ機械的破損;その際、それらの過程は、亀裂先端での材料の水素脆化を伴う。違いは負荷適用、すなわち、腐食亀裂中の引張負荷、および疲労の場合のサイクル負荷にある。ミクロ部分上の亀裂の型と破断の型とは異なる。金属の水素脆化は多くの発現型(forms of manifestation)を有する-形成されるメタンを犠牲にした亀裂、または腐食亀裂、およびフレーク(鍛造物中の小さな亀裂の雲)前の衝撃強度に対する多孔性および水素化物の効果。水素は、同様にクリープ過程に対し好ましくない効果を有する可能性があり、一定負荷下、高温で動作する構造の早期破損を引き起こす。クリープ中、ほとんどの場合、破損過程は、空格子点拡散による亀裂形成および多孔性のミクロ亀裂への成長により引き起こされる。
このように、材料または構造の劣化は、その特性における不可逆な変化過程を提供し、部品または構造の機能の中止およびさらなる使用の安全基準違反をもたらす。材料劣化により起こり、かつ様々な過程メカニズムに起因する全ての複数の型の損傷は、下記の群に分けられる:局所および広範な腐食損傷、単一および複数の亀裂、ミクロ亀裂、粒界および下部構造での細孔、機械的摩耗および表面レリーフの変化、残留応力の生成、ならびに機械的特性および物理特性の変化。
劣化に導く、別個の、または結合させた効果を有する操作要因は、下記のように分けてもよい:外部環境との接触相互作用、静的応力、低サイクル応力および高サイクル応力、非電解質または電解質中での活性外部環境との相互作用、常に高い(もしくは低い)または周期的に変化する温度、ならびに放射線への暴露。上記の型の損傷を引き起こす劣化メカニズムは下記のように分類される:腐食亀裂、水素脆化、腐食疲労、機械疲労、化学腐食、電気化学腐食、浸食、クリープ、および放射線脆化。
これらのメカニズムは全て事実上異なる(腐食中の部品材料と外部環境との間の化学相互作用、電気化学腐食過程中の部品材料の陽極溶解、部品材料の格子中の原子水素の侵入および水素脆下中の金属原子間の結合エネルギーの減少、疲労過程におけるその後の滑り帯の形成およびミクロ亀裂の発達を伴う激しい転位増加、クリープ中の滑動、転位滑り、双晶形成など、放射線脆化中に格子中の結合を弱める金属原子イオン化、浸食中の相乗効果、腐食亀裂、および腐食疲労)が、1つの共通点は、原子結合が部品もしくは構造の材料の元の格子中で弱められ、または妨害され、このため、それらの性能が劣化することである。
劣化を阻止および抑制する様々な手段が公知である。例えば、Andrew William Batchelor, Loh Nee Lam & Margam ChandrasekaranによるMaterials Degradation and Its Control by Surface Engineering(World Scientific Publishing Co., 1999, p.408, ISBN 1-86094-083-8)が当技術分野において公知であり、これは全ての重要な工学材料において起こる様々な型の損傷、ならびに材料劣化に対抗するための表面工学の従来技術および現代技術の両方を開示する。科学的概念が、理解を最大にするために、グラフにより、可能な限り、多くの図により説明されている。例えば、腐食に関する材料劣化研究は従来、それぞれの型の材料のための別個の分野に分けられていた。材料劣化の制御は通常、別個の主題、例えば腐食および塗料として研究される。
Koul, A.K.;Castillo, R.による、Assessment of Service Induced Microstructural Damage and Its Rejuvenation in Turbine Blades(Metallurgical Transactions A. 1988, Vol. 19A, No.8, pp.2049-2066)もまた公知であり、これは、インベストメント鋳造IN738LCタービン翼における使用により誘導される微細構造劣化とクリープ特性との間の相関を開示する。γ主要結晶粗大化、MC炭化物変性、粒界M23C6炭化物の連続ネットワークの形成、および鋸歯状粒界の消失の形態の微細構造劣化が少し詳しく考えられている。数学的関係から得られる結果は、使用により誘導される劣化効果を明らかにすることができ、そのため、これを使用して回復させた翼を適格とすることができる。Ni-ベース超合金のためのヒッピング(hipping)回復サイクルを設計するための体系的戦略が開示されている。一旦回復サイクルが設計されると、数学的関係を使用して、微細構造の回復の程度、および再加熱処理したまたはホットアイソスタティックプレス使用に暴露したタービン翼のクリープ特性を分析することができる。使用に暴露されたIN738LCタービン翼のクリープ特性に対する微量のZrの影響もまた開示されている。
P. Brauny;M. Hammerschmidt;M.Malikによる、Repair of Air-Cooled Turbine Vanes of High-Performance Aircraft Engines - Problems and Experience(Materials Science and Technology, 1985, Vol.1, No.9, pp.719-727)もまた公知であり、これは、動作中に歪み、亀裂、焼成、および材料劣化を受けるニッケル-ベースおよびコバルト-ベース超合金から製造された空冷タービン羽根について記載する。部品の複雑な形状ならびに鋳造合金の組成および微細構造不均一性により、修理法の選択が制限される。拡散コーティングの選択化学的ストリッピング;溶接およびろう付け技術の両方を含む過程を結合させることによる亀裂の除去および寸法の回復;ならびにパックセメンテーションによるコーティングの形成が、使用した主な過程である。これらの過程は、部品の完全性を著しく減少させる欠陥を生じさせる可能性がある。
Craig L. BrooksおよびDavid Simpsonによる、Integrating Real Time Age Degradation Into the Structural Integrity Process(NATO RTO’s Workshop 2 on Fatigue in the Presence of Corrosion, Corfu, Greece, 1998)もまた公知であり、これは、航空機の「経年劣化」局面を、航空機システムの設計、製造、および維持の既存のインフラに組み入れるための過程を開示する。構造的完全性過程の調整により、業界およびユーザコミュニティはAging Aircraft Fleetにより提示される要求、機会、および課題を満たすことができる。いくつかの航空機の連続使用の経済的および安全上の影響は、既存のシステムへの機能強化を必要とする。構造的完全性過程を、腐食効果、持続応力腐食亀裂、および他の老化関連劣化効果を含むように進展させる論拠、アプローチ、および技術もまた開示されている。提案されたアプローチを使用する実行可能な方法が、航空機システムの完全なライフサイクルを通して利点を実現する様式で提供される。
E.E. Zorin, G.A. LanchakovおよびA.I. StepanenkoによるEvaluation of Degradation Degree of Metal in Gas Pipelines(Gas Industry, No.4, 2003)もまた公知であり、これは主パイプライにおける金属劣化度の高速診断法の開発に取り組む。多くの科学研究が、金属の散乱疲労破壊の調査を扱っている。しかしながら、主亀裂核形成相での金属構造を研究する物理方法は、構造状態特性の変化に基づき制限状態の瞬間、したがって構造の寿命を確実に予測することができる工学高速診断システムを考案することができない。
線状破壊力学基準に基づく、シェル構造を設計し、非定常負荷下で寿命を評価する方法は、制御された負荷条件下で80〜100mmを超える壁厚を有する品目の場合に良い成績をあげた。しかしながら、ほとんどの油およびガスパイプラインシステムは、壁厚がせいぜい25mmの2相フェライト-パーライト鋼から作製される。制限状態の瞬間はそのような構造に対し多くの理由のため予測することができない。このように、例えば、再形成過程サイクル中、材料は著しい塑性変形および完全に制御されない可能性のある熱機械的効果を受ける。1つのグレードの組成物の鋼は本質的に異なる冶金を有する可能性がある。層状材料では、線状破壊力学の基準にしたがい、実際の構造における亀裂開始条件を見出すことが困難である。
様々な負荷条件下で、低いおよび平均的な強度の鋼における溶接構造の技術的試験は、破壊抵抗パラメータの同時獲得を用いて試験される金属体積中の累積損傷(欠陥、異物含有物、非連続性)を記録する過程を構成すべきである。任意の型の変動負荷下、応力-変形座標の塑性ヒステリシス曲線およびサイクルクリープが材料中に記録される。損傷の有効性は金属の局所体積における塑性変形を刺激し、閉塑性ヒステリシス曲線パラメータを増加させる。ループの面積は材料中で消散したエネルギーに等しいが、その幅は1サイクルあたりの非弾性変形に等しい。局所塑性変形の発達は、新しい不連続性を引き起こし、このため、金属の単位体積内の損傷密度が増加する。
損傷合計、DΣでは、次の2つのレベルに、任意で注目してもよい:金属品質に起因する損傷D1 nの継承密度、ならびに構造の作製における金属再形成およびその動作条件中に起こる継承損傷の関数である損傷D2 Eの獲得密度。損傷の第1レベルは第2レベル増分の強度を制御することは自然な事である。
破壊力学基準を用いた亀裂発達の研究におけるかなりの成果にもかかわらず、主亀裂発達の全過程は明確に記載することができない。これは、亀裂が金属の構造部品のサイズよりも何百倍も大きなサイズを有するほど大きい場合に(第1種の応力場において)、破壊力学基準が使用可能であることにより説明される。工学高速診断法を開発するために、2相フェライト-パーライト鋼の例により主亀裂核形成段階で特定の長さの欠陥を形成するモデルを開発しなければならなかった。
実際の材料は、異なるレベルのそれらの構造であるミクロテクスチャーおよびマクロテクスチャーと関連する典型的な線形スケールの組み合わせを特徴とする。変形および破損過程を記載する際に材料構造を考慮する必要性は、破壊力学では極めて重要である。1つの分類によれば、7〜10カテゴリー、すなわち長さ10-5〜10-4mの欠陥が最も高い関心対象であり、これは構造部品のサイズに匹敵する。
必要性および十分原理が、使用中の構造に対して開発された高速診断法の基本として使用するために公式化されている:診断される構造材料体積は、再形成および製造技術、主亀裂形成を引き起こす使用条件がどのように材料に影響するかを反映するのに十分なものであるべきである。この場合、主亀裂は、所与の条件下で残りの亀裂に比べて大きな速度で発達し、制御された構造破壊を引き起こす既存のミクロ亀裂の1つを意味する。
構造要素、すなわち結晶粒は、金属の必要性かつ十分な体積を呈示してもよいが、診断される物体の表面上での微小硬度の測定は、再形成技術および負荷条件を受ける構造要素の物理特性および機械特性の変化を記録する手段となる可能性がある。
輪郭に沿って堅く固定された試験片を構造要素として考え、圧子陥入過程が外部負荷として表される場合、微小硬度測定結果は客観的に、機械特性、応力変形状態、および構造要素内の損傷(ミクロ亀裂)の存在を客観的に反映する。微小硬度データの組み合わせ、すなわち、十分大きなデータの選択の完全性は、診断される金属体積の状態を特徴づけることを可能にする。
陥入の光学観測は現場条件では可能ではないため、必要かつ十分なアレイおよび微小硬度測定ピッチが利用可能である(フェライト-パーライト鋼に対しては0.02mmピッチを有する60〜80個の陥入)。圧子に対する負荷は、Kirpichev-Kick-Davidenko陥入相似条件がこの構造カテゴリーの鋼には利用できないある範囲から選択される。
得られた結果を説明するために、単位表面から得られた各微小硬度測定結果が、以下の3つのバリエーションのうちの1つの方法に従って処理されるモデルが示唆されている:
(1)圧子は、輪郭に沿ってミクロ亀裂を有さない構造要素中に入る;第1の列の隣接する構造要素も損傷しない。この場合、要素の基本微小硬度値が観察される。
(2)圧子は、ミクロ亀裂を有さないが隣接する体積にはミクロ亀裂が存在する構造要素中に入る。その後、単位体積における不連続性により引き起こされる応力および歪み再分配により、追加の三軸変形の結果として診断される要素の接触強化が引き起こされる。この場合、局所的な応力および変形のレベルと共に増加する微小硬度値の増加が記録される。
(3)圧子は、境界にミクロ亀裂を有する構造要素中に入る。ダイヤモンド角錐を粒体に陥入させると、圧子からの追加の変形のもとでの所与の体積中ではミクロ亀裂発達速度よりも圧子移動速度が実質的に遅いので、ミクロ亀裂が発達するのに時間がかかる。体積連続性が破壊され、微小硬度が急激に降下する。
微小硬度が、1つの、および同じ処理または構造応力集中源の領域のある使用間隔でうまく測定されると、「強化」および「弱化」された構造要素の新規選択の割合の増加が登録される。低い、および平均的な強度を有するフェライト-パーライト鋼は事実上、結晶粒微小硬度の急激な降下または増加を引き起こす可能性のある相変態を、これが第2種の応力場での結晶内破壊または局所歪み硬化により引き起こされない場合は、有さない。診断される物体表面上の微小硬度測定サンプル中の「強化」および「弱化」結晶粒に対する変化力学の割合(%)は、使用中の構造の金属のマクロ破壊抵抗の減少を示す。
構造レベルでの使用中の構造の金属における破壊核形成および発達のメカニズムは下記のように示される可能性がある:
(a)既存の「継承された」ミクロ亀裂および構造欠陥の、結晶粒長に匹敵するサイズまでの発達、新しいミクロ亀裂核の出現、構造の全体的な弛緩の発達;
(b)第2種の応力(結晶粒レベルで平衡化された応力)場の勾配の変動および成長ならびに新しい高応力集中領域の形成;
(c)破損が結晶粒ブロックに及ぶ場合にミクロ亀裂からマクロ亀裂へのさらなる成長、融合、および変態を伴う、応力集中領域での使用ミクロ亀裂(損傷)の核形成。構造金属におけるこの破損発達段階は、さらなる亀裂成長が、構造内で平衡化された第1種の応力(動作、溶接応力など)場により、より高い程度まで支配されるため、ミクロ陥入過程では正確に反映させることができない。
したがって、微小硬度データ選択の完全性は、材料の荷重負担能力の減少の程度を示し得る。すなわち、現在の負荷条件下での検査下での金属体積中での主亀裂形成に対する必要性および十分な条件の開始を記録する可能性がある。微小硬度測定データ選択の完全性が、データが微小硬度スケールに沿って分布する棒グラフ形態で示される場合、使用の現瞬間に対する棒グラフが、材料の初期条件に対するものに関しシフトされる。
損傷累積係数である以下のkpは、微小硬度分布棒グラフを比較するための定量的基準である:Kp=Kp/Kp 0、式中、Kp、Kp 0は使用の現瞬間および初期条件における微小硬度分布棒グラフの減少した周波数である。減少した周波数は、棒グラフから、微小硬度データの各間隔の寄与(値)を均一に考慮することができる加重係数、ajを考慮する個々の周波数の和として計算される。
Kp=Σaifj、式中、fj=nj/Nj−微小硬度の個々の間隔の周波数。ここで、N=Σnj−結晶粒の総数;nj−微小硬度データの所与の間隔における結果数。
加重係数、ajに対する設計法は、0.1〜1.0の分布図の線形近似に基づく。加重係数は、初期状態棒グラフに対する間隔の計算を保存して計算されるべきである。
(表5)
Figure 2009510256
:σTSおよびσYSの散乱は25 MPaであり、衝撃強度 KCVは、Tt=20℃で0、2 MJ/m2、および氷点下温度で0.01〜0.07MJ/mである。
使用中の金属の微小硬度測定値棒グラフの換算周波数、Kpは常に増加するが、損傷累積係数、kpは常に1より大きく、これも増加する。
Urengoiガスコンデンセート場からの制御した圧延鋼パイプを研究のために選択した。非常用備蓄パイプの機械特性を、20年使用後のパイプのそれと比較した。パイプの金属は、化学組成および機械特性が、強度グレードCr65の鋼に近かった。20年使用後のパイプの一部から切断した試験片の金属組織解析から、金属は、非破壊検査法により検出可能な亀裂を有さないことが示された。
広い温度範囲(+20〜-75℃)内での長期使用後の制御された圧延鋼試験片の衝撃試験中、切欠きからの主亀裂の核形成のために消費されるエネルギー、および分布エネルギーの両方に関して、非常用パイプ試験片の特性に比べ、表5に示されるように、破壊抵抗が著しく減少した。長期使用後、ギャップパイプライン金属の強度特性(降伏強度および引張強度)は幾分増加したが、可塑性および延性特性(伸長および衝撃強度)は減少した。圧延に対し縦および横のパイプ金属特性異方性に注意すべきである。長期使用後の材料では、圧延を横断する全ての機械特性の変化の割合は圧延を縦断するものより大きい。
図12は、非常用備蓄パイプおよび約20年間の使用後のパイプの一部に対する表面微小硬度測定選択の完全性を示す。20年間の使用後、微小硬度データのアレイは左側、より低いデータ側にシフトする。これはパイプ金属の激しい損傷の証拠である。定量的には、長期使用後のパイプ部分の表面で得られた微小硬度データの選択の完全性の変化は、損傷累積係数kp=3.604により特徴づけられる。
使用損傷が累積する条件下では、そのような微小硬度のより低いデータ側への実質的なシフトは、制御された圧延鋼においてのみ観察され、これは、この構造型の他の検査した鋼(鋼3、20、10、09Mn2Si)では典型的ではないことに注意されたい。後者(およびその溶接継ぎ手)は、選択完全性におけるより均一な変化により特徴づけられる、すなわち、損傷累積は選択における異常に高いおよび異常に低い微小硬度データの割合の同時成長を伴い;異常に低いデータの成長は、最終段階においてのみ記録される。これは、制御された圧延鋼に対し使用される製造技術によるものである可能性がある。早ければ板作製段階で、金属マトリクスは実質的な残留塑性変形を受ける。非定常条件下での結晶材料における塑性ヒステレシスループの実現には、金属マトリクスが接触歪み硬化を受けてミクロ亀裂の発達に耐える必要がある。材料体積の変形能力が消耗され、進行する亀裂先端の応力緩和が不可能な場合、亀裂はそれを破損し、成長し続け、ポテンシャルエネルギーが累積する。検査中の物体表面で得られた微小硬度データの選択の完全性を処理する際に、実質的な歪み硬化のない長期使用負荷のもとで、制御された圧延鋼のこの一般的な緩和過程が記録される。
研究から、金属劣化度を評価し、微小硬度データ選択の完全性と構造内でのマクロ破損核形成および発達の耐性特性との間の相関関係を確立するために、構造加工および使用応力集中源の領域で診断される物体の表面上で微小硬度を測定することができるという結論を引き出すことができる。
Takeshi Sakai、Yoshiyuki Saitoh、Yuuji Midorikawa、およびTeruchika Kikuchiによる、Effects of Mixed Metal Addition on Surface Film and Corrosion. Prevention of Stainless Steel in BWR Water(9th International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems-Water Reactors, 1999) もまた公知であり、これは、一次水反応器(primary water reator)へ混合金属の添加を適用した結果を提供する。BWR水中への亜鉛注入の代替技術として、混合金属の添加を開発した。混合金属の添加は、マンガン、ニッケル、マグネシウム、および少量の天然亜鉛の化合物を使用する。亜鉛濃度は、活性化Zn-64の放射能蓄積を増加させない許容限度、すなわち、Onagawa-1の反応器水の分析にによると1ppb未満である許容限度まで減少し、混合金属元素による、ステンレス鋼表面上での腐食および放射能蓄積を減少させる相乗効果が予測される。現研究では、高温オートクレーブ試験を実施し、混合金属の添加による、模擬BWR環境における酸化膜特性およびステンレス鋼の腐食に対する効果を調査した。その結果から、混合金属の添加は、亜鉛単一注入の代替技術とすることができることが示唆される。
X. Wu, N. Tao, Y. Hong, B. Xu, J. Lu, K. Lu.による、Microstructure and Evolution of Mechanically-Induced Ultrafine Grain in Surface Layer of Al-Alloy Subjected to USSP (Acta Materialia, 2002, No.50, pp. 2075-2084) もまた公知であり、これは、構造の形成に関連する微細構造発展および結晶粒微細化メカニズムを理解するための、高解像度透過型電子顕微鏡(TEM)による、超音波ショットピーニング(USSP)により激しく加工したアルミニウム合金7075の表面層における超微細結晶粒(UFG)微細構造の調査結果を提供する。
超微細結晶粒(UFG)材料は著しく科学的関心を集めている。これらの材料は、非常に微細な結晶粒サイズ(ナノおよびサブミクロン-オーダー)および多量の粒界面積(および体積)により構造的に特徴づけられる。UFG材料は、従来の粗粒多結晶対応物のものとは根本的に異なりかつしばしばずっと優れている、非凡で並外れた機械および物理特性を有する。激しい塑性変形(SPD)は、金属および合金に極度の塑性歪みを与えることにより、様々なUFG構造を作製するための効果的な加工法である。SPDによるUFG材料の製造は、不活性ガス凝集、高エネルギーボールミリング、および滑り摩耗などの他の技術にまさる、2つの有意な利点を提供する。第1に大きなバルクのサンプルを作製することができる。第2に、これらのサンプルは残留細孔性および汚染を有さない。SPDにより誘導された、結果として得られた微細構造は、高い内部応力および高エネルギー非平衡粒界と共に、実質的に結晶粒微細化される。等内径押し出し(ECAP:Equal-channel angular pressing)、高圧ねじれ(HPT)、多重パス-コインフォージュ(coinforge)、多軸変形、ならびに繰り返しコルゲーションおよび強化(RCS)を含む、数百パーセント程度の、必須の高い塑性応力を発生させるためにいくつかの技術が現在有効である。
SPDに関連する微細構造進化メカニズムの理解は、学問的および技術的観点から非常に重要な研究テーマの本質的な問題である。このメカニズムは結晶粒微細化だけでなく、歪みの増加を有する高傾角粒界の発生を説明するはずである。以前の研究により、繰り返し変形中に、過程の初期段階、例えば低および中程度の歪みで、結晶粒サイズ微細化が最も顕著となり、さらに歪みを加えても事実上変わらないままであることが証明されている。しかしながら、大きな歪みでは、粒界誤配向が支配する。変形表面をランダムな多方向変形に暴露すると、効果的に、低傾角粒界誤配向の高傾角なものへの進化を増強することができる。最近の研究では、滑りシステムおよびそれらの相互作用に関連する結晶粒微細化が報告された。面により封入された超微細転位セルが、ECAP中のマルチスリップ(multi-slip)システムの動作により生成される。超微細亜結晶粒(subgrain)の発生は、RCS中の滑り面に沿った転位の蓄積に起因した。しかしながら、SPD中の結晶粒微細化自体の基礎となるメカニズムはこれまでそれほど発達していない。ほとんどの調査が微細構造および機械特性の変化を説明しているにも関わらず、それらは動的塑性歪みに対する微細構造応答を明らかにすることができず、そのため、UFG構造の塑性歪みに対する関係を明らかにすることができない。
USSP技術の原理は下記の通りであった。高周波数(20kHz)の高エネルギー超音波発生器は反射チャンバを振動させ、ここで、7.5mm直径のステンレス鋼ショットが共鳴した。その後、ショットは、反復的で、高速かつ多方向の衝撃を材料表面上に実行した。結果的に、激しい歪みが接触負荷により表面中に付与された。マトリクス内の遠くの0から上面の最大値まで変化する歪み勾配が、同時に確立される。装置の詳細が以前の論文で報告された。この調査では、USSP加工は真空にて室温で15分間実行された。
微細構造調査により、USSP加工はUFG構造を材料の表面層中に導入することができることが明らかになった。変形層全体にわたる歪みの増加のため、層の上面からの距離が近くなるほど、結晶粒サイズがより微細になった。3つのレベルの結晶粒サイズが存在する:(1)内部の細長い亜結晶粒およびセルブロック(CB)を有する平行の、拡張ミクロバンド(microband:MB)(第1レベル)、(2)等軸サブミクロン結晶粒構造(第2レベル)、および(3)等軸ナノ結晶粒構造(第3レベル)。上面に近づくにつれ、結晶粒はより微細に、より等軸に、より誤配向になり、より均一に分配される。
転位滑り、累積、相互作用、タングリング(tangling)、および空間再配列により、多結晶材料における変形中の塑性歪みに対応するために結晶粒細分が引き起こされる。
繰り返しUSSPは高い歪み率の強い歪みを表面層に与えることができる。激しい塑性歪みは、高密度転位を発生させることができ、これは、増加した歪みでの滑りをブロックするのに効果的であり、その結果、大量の塑性歪みに対応するのに関与するメカニズムは、元の結晶粒を、粒界を形成する転位を有する亜結晶粒に細分するものである。結晶粒の細分は、低歪みでのMBの形成と共に、巨視的スケールで起こる。さらに歪みをかけると、亜結晶粒はさらに、より小さいCBに分散する。より大きな歪みのもとでは、サブミクロンサイズおよびナノサイズの亜結晶粒を生成させることができる。
繰り返しUSSPを実行することにより、非常に高い歪みが達成される可能性がある。高密度の転位が、様々な結晶粒サイズの変形構造中に常に存在することに注意すべきである。同時に、低傾角粒界が生成され、これは、変形中に新しい粒界が連続して形成されることを意味する。歪みの増加と共に、微視的細分が、ずっと微細なスケールで起こる。結果として、構造微細化過程は、連続してサブミクロン領域およびナノメートル領域へと導くことができる。
多方向ピーニングにより、他のSPD過程により引き起こされる変形モードとはずっと異なる、同じ亜結晶粒の内部にさえも存在する歪み経路を有する滑りシステムの変化が引き起こされる可能性がある。転位は、現在の活性な滑りシステム中の他の転位と相互作用するだけでなく、前の変形で発生した不活性転位とも相互作用する。これにより、亜結晶粒の形成が促進される。その結果、結晶粒微細化の有効性が増強される。
等軸の、高誤配向結晶粒の発達は2つの工程、すなわち、結晶粒の細分による亜結晶粒の形成およびその後の境界誤配向の進化から構成される。しかしながら、結晶粒細分から得られた亜結晶粒は、特定の歪み値に対し、安定状態前に臨界サイズを有する。結晶粒細分は、無制限に続かず、最終的には、ある量の変形後、持続歪みはもはや亜結晶粒サイズを減少させることができない。この段階で、転位の動きはより強く制限されるので、隣接する亜結晶粒内の滑りシステムが、適用された歪みに応答して活性化され、それらの亜結晶粒をエネルギー的により有利な向きに回転させる。ショットピーニングにより、亜結晶粒の回転を推進するのにとりわけ効果的な多方向歪み経路および高い歪み率が提供される。高い誤配向の発達のためのメカニズムは亜結晶粒回転であるはずである。そのため、亜結晶粒の累積した回転は、高誤配向の等軸結晶粒となるさらなる変形に対応する手段としての、主なメカニズムであると考えられる。
亜結晶粒の変形は、臨界分解せん断応力が達成される、滑りシステムの活性化により制御される。塑性歪み中、各個々の亜結晶粒において、異なる滑りシステムの組み合わせが活性される。隣接する誤配向亜結晶粒は、異なる配向のために、異なる活性化滑りシステムを有する。ある滑りシステムが選択的に活性化され、亜結晶粒内の内部エネルギーが最小に抑えられる。隣接する誤配向亜結晶粒は回転して一致し、選択的に活性化された滑りシステムの駆動力のもとで、亜粒界を横切るエネルギーが最小に抑えられる。歪みの増加と共に、亜結晶粒は、同じ滑りシステムに沿った転位滑りによる変形にもはや対応することができず、そのため、独立して回転し始める。回転角が増加し、最終的には高誤配向結晶粒となる。他のSPD処理法と比較して、USSPは、高い歪み率を発生させ、これが変形中の格子回転において重要な役割を果たす。高い歪み率により、低い歪み率に関連する歪みの同じ増分に対し、著しく高い流動応力が得られる。コンピュータシミュレーションにより、より高い歪み率が、塑性スピン成分の減少および多くの活性化滑りシステムにより、より低い歪み率よりも大きな程度まで単純せん断における格子回転を促進することが明らかになった。亜結晶粒間の平均誤配向角が同じ歪みに対し増加し、純粋アルミニウムの引張中、歪み率の増加は6×10-6〜6×101s-1であったことが観察されている。
したがって、USSPは、アルミニウム合金7075の表面層上でUFG構造を生成するための単純で効果的な処置を提供する。USSP過程中の微細構造の発達は、それぞれ、歪みが増加する、転位セル(DC)、等軸サブミクロンおよびナノ結晶粒を有する一連の細長いマイクロバンド(MB)により特徴づけられる。USSP過程中の結晶粒微細化および微細構造進化は下記の通りである。塑性歪み中、結晶粒細分による亜結晶粒の形成が、歪みに対応するために起こる。さらなる変形に対応するために亜結晶粒回転により、高い誤配向粒界が発生する。
C.A. Rodopoulos, J.S. Romero, S.A. Curtis, E.R. de los Rios, P. Peyreによる、The Effect of Controlled Shot Peening and Laser Shock Peening on the Fatigue Performance of 2024-T351 Aluminium Alloy (Journal of Materials Engineering and Performance, 2003, 12(4), pp. 414-419) もまた公知であり、これは、2024-T351の疲労挙動に対するショットピーニング、レーザショックピーニング、および二重(ショットおよびレーザピーニング)処理の影響を開示する。試験から、3つ全ての場合で疲労寿命の改善が示され、レーザショックピーニングおよび二重処理が、ショットピーニングよりも優れた疲労性能を示した。フラクトグラフ分析より、ショットピーニングの比較的低い性能が延性喪失により引き起こされることが示された。
表面工学技術、例えば、制御されたショットピーニング(CSP)およびレーザショックピーニング(LSP)を使用した場合の、モノリシック材料の疲労耐性が改善される可能性は、自動車業界および航空宇宙業界により長い間認識されている。CSPおよびLSPによりもたらされた有利な効果は主に、安定な圧縮残留応力プロファイルおよび近表面領域における歪み硬化の発生に起因する。圧縮残留応力は高強度材料の場合、2つのうちでより重要である。しかしながら、より柔らかい材料では、残留応力の部分的または完全な緩和が起こる可能性があるので、歪み硬化が支配する。歪み硬化は、ミクロ亀裂成長を減速させるが、低い残留延性のために長い亀裂伝播を促進することが報告されている。しかしながら、高強度材料では、圧縮残留応力の有利な効果は、通常、引張残留応力が圧縮残留応力場の均衡をとる領域では、表面下亀裂の発達により補償することができる。表面下亀裂は、滑らかな疲労試験片または表面開始が臨界核形成部位ではないと考えられる部品で、有害でさえある可能性がある。表面の粗化はCSPの主な有害効果である。遠距離場応力の局所的強化により、表面粗さは短い疲労亀裂の早すぎる開始および伝播を説明することができる。
後者は、疲労抵抗を改善するための表面工学の適用は直接的ではないこと、表面工学は逆効果を有することさえあり得る場合があることを示す。CSPおよびLSPが有利な結果を生成する条件を確立するために、2024-T351アルミニウム合金の疲労抵抗に関して、これらの表面処理の調査を実施した。
Tealgateピーニング機械を使用して、制御されたショットピーニングを実施した。ピーニング強度は4Aであり、S110(直径0.279mmおよび硬度410.5〜548.5Hv)球状鋳造鋼ショット、45°の入射角および200%の被覆率を使用して達成した。これらの条件は、増加した表面粗さプロファイルを平衡化するために、最大、近表面、残留応力プロファイルの研究において推奨された。
レーザショックピーニングを水閉じ込め(water confinement)中で、緑色波長(0.532μm)領域で動作するContinuum YAGレーザ(Powerlite plus)を用いて実施した。出力エネルギーは約1.3Jであり、6〜7ns領域のパルス幅を有した。全ての試験片を、70μmアルミニウムコーティングによりLSPの熱影響から保護した。レーザ強度は10GW/cm2(5Gpaの推定圧力)に設定し、焦点は2mmとした。試験片を50%の重なり率(1パス=4局所パルス)を用いて処理し、2〜3パスで帯電させた。
結果から、2つのLSPおよび二重処理は、元の表面仕上げに関係なく、材料の疲労寿命を有意に増加させることができることが示される。しかしながら、二重処理は、単一LSP処理に比べ劣った性能を示し、これにより低い残留延性についてなされた知見を裏付ける。他方、CSPによる寿命の改善は、EDM仕上げと比較した時のみ実現される。鏡面仕上げに比べ、CSPは疲労寿命にほとんど効果を有さないと考えられる。CSPの低い性能は、近5Mサイクルマーク(near 5M cycles mark)においてさらにいっそう顕著となる。この性能を説明するために、示唆された理論解析を使用した。その研究に従い、残留応力プロファイルの一部を使用して、表面の増加した粗さ(増幅した公称応力)を平衡化させる。選択したCSP処理および対応するKtでは、分析により、220〜300MPaの間の負荷応力レベルに対し第1の50μmの深さ内で90〜125MPaの間の平衡残留応力が示唆される。上記により、残留応力プロファイルの残りの部分が疲労寿命のいくらかの増加を与えるはずであることが示される。
試験データの解釈を助けるために、広範囲のフラクトグラフィ解析を実施した。Camscan Mark 2 SEMを用いて破損面を調べた。調査する前に、表面をアルコールベース溶液中で超音波により清浄にした。図13〜18は、300MPaの最大応力での6つの全ての試験群の亀裂核形成部位および初期亀裂成長を示す。
より詳細には、図13は鏡面仕上げを有する新品同様の材料の表面亀裂開始および亀裂成長を示す。フラクトグラフは明らかに、ファセット成長(せん断モード成長)を示す。図14はEDM仕上げを有する新品同様の材料の表面亀裂開始および亀裂成長を示す。近表面領域は、おそらく不規則な表面により引き起こされた複数の亀裂核の証拠を示す。図15はS110-200%-45°CSP試験片の角の亀裂開始部位および亀裂の成長形態を示す。ファセット領域が約150μmの深さまで広がる。ファセット領域が、疲労破壊のような劈開により囲まれる。図16はLSP 10GW/cm2の亀裂開始および亀裂成長を示す(2パス)。フラクトグラフは、表面亀裂開始および50μmでの亀裂分岐を示す。亀裂Bの伝播経路は応力方向に対しほぼ平行である。図17はLSP 10GW/cm2の亀裂開始および初期の亀裂成長を示す(3パス)。フラクトグラフは、表面亀裂開始および90μmでの亀裂分岐を示す。クラックAの伝播経路は応力の方向に対しほぼ平行である。図18は二重処理の亀裂開始および初期亀裂成長を示す。フラクトグラフは、典型的なショットピーニング打痕に由来する表面亀裂開始を示す。亀裂分岐もまた明らかである。
鏡面様仕上げを有する試験片における表面応力集中の特徴の欠如により、単一亀裂核(含有物において可能)およびほぼ半円形状の表面亀裂が引き起こされる(図13を参照されたい)。他方、EDM仕上げの粗面は、初期の段階で連結する複数の亀裂核形成部位を促進し、亀裂は細長い半楕円形状を取る(図14を参照されたい)。4A CSPの破損面は、制限されたファセット亀裂成長およびより速く成長する角亀裂によって説明することができない劈開様疲労成長の広範囲の証拠を示す。上記により、延性損失の最初の仮定が増強される。延性損失は、加工硬化による、近表面領域での不規則かつ非常に高い転位密度に起因する。LSPの場合、破損面は亀裂の分岐を示す。どちらの場合でも(2パスまたは3パス)、亀裂の一部が、応力の方向に対しほぼ平行に伝播することが観察され、緩徐な亀裂成長速度が示される。亀裂経路および対応する残留応力プロファイルの厳密な検査により、「平行」亀裂が残留応力プロファイル内の最小値に沿って伝播する傾向が示される。他方、「垂直」亀裂は、とりわけ2パスの場合において、多量のファセット成長を示す。二重処理は、LSPにより類似した破損の証拠を示す(亀裂分岐)。CSPと対照的に、二重処理は劈開様破損の証拠を示さない。
CSPおよび二重処理がいずれも近表面層の歪み硬化を提供したこと、CSPのみが延性損失の証拠を示したことを考慮すると、二重処理の場合、LSPにより発生する残留応力は、近表面転位の可能性のある再配列により、可能性のある延性損失を補償したと考えられる。これにより、CSP材料の疲労性能の低下はおそらく、残留応力の部分緩和によることが暗示され得る。本明細書では、残留応力の緩和は時間および応力レベルに依存することに注意することが重要である。このように、残留応力の緩和パターンを亀裂長に関連させることにより、より良く理解することができる。
疲労データから、全ての処理(CSP、LSP、および二重)により疲労寿命が改善されたが、LSPおよび二重処理ははるかに優れた性能を有したことが示された。フラクトグラフィー解析により、これは、延性損失および、CSPにより経験されたが、LSPおよび二重処理試験片では経験されなかった、残留応力の可能性ある緩和に由来することが示された。
要約すると、下記の結論を引き出すことができる:
(1)CSP、LSP、および二重処理は、不十分に加工された部品の疲労寿命を増加させ、このため、製造コストを減少させることが期待される;
(2)LSPはCSPおよび二重処理の場合と同様にごくわずかな歪み硬化を引き起こすことが見出された;
(3)LSPおよび二重処理は、CSPに比べはるかに優れた疲労改善を示す;
(4)歪み硬化および起こりうる残留応力の緩和による延性損失がCSPで起こる可能性があり、さらなる研究が必要である;ならびに
(5)材料のプレストレス(二重処理)は、残留応力プロファイルの大きさを増加させることができ、同時に残留応力を安定化する。
G.A. KashenkoによるBasic Metallurgy (Moscow, Mashgiz, 1957)もまた公知であり、これは、金属の結晶状態が、互いからの公知の距離で配列され、遊離電子により結合されたイオンにより規定されることを開示する。原子位置はいわゆる格子点を表す。配列させた点は様々な幾何学的形を形成し、特定の配置を有する格子が提供される可能性がある。各格子がとる空間は変動する可能性があり、格子体積は任意に大きくなる可能性がある。格子を特徴付けるために、最も小さな部分は基本形の形態でのみ説明され、この基本形は複製されると格子全体を形成する。この最も小さな格子は、一般に各格子の型を規定する単位格子または単位セルと呼ばれる。
結晶では、座標軸の傾斜およびパラメータの相対長によって下記の結晶系が確立される:立方晶系、正方晶系、斜方晶系、単斜晶系、など。例えば、アルミニウムは面心立方格子を有し(この型の格子を有する金属は一般に塑性変形を受けやすい)、鉄は面心立方格子および体心立方格子を有する。立方格子は、軸間の角度が全て90°であり、全てのパラメータが同じであることにより特徴付けられる。多面体の典型的な形は立方体である。立方格子のバリエーションは、図19および20に示されるように、立方体の角の原子の他に立方体の中心の1つの原子を有することにより単純な立方格子とは異なる空間中心(または体心)格子、ならびに図21および22に示されるように、各角および立方体面全ての中心に配置された原子を有する、すなわち中心面(centered face)を備えた立方体を表す面心格子を含む。さらに、図19および20は、それぞれ、格子形態およびセル形態の体心格子を示す。図21および22は、それぞれ、格子形態およびセル形態の面心格子を示す。
このように、各金属元素は結晶体または結晶である。結晶体内の粒子配列の幾何学的規則性は、非結晶またはアモルファス体から区別されるいくつかの特性を付与する。第1に、異方性またはベクトル性(vectoriality)は方向による特性の違いを意味する。結晶体の別の特性は、滑り面または劈開の存在であり、これらに沿って、結晶への機械的作用下で、粒子が滑るか、または引き離される。これにより結晶が破壊される(脆性であれば)か、または変形する、すなわち外形が非破壊的に変化する。
第1の場合、金属片の破損は、それに沿って結晶がより容易に破壊されるクリア面(clear plane)を有する。そのような面は図23〜25で示されるように、劈開面と呼ばれる。破壊が起こらず、結晶が変形するだけである場合、これは滑り面に沿った粒子の滑りに起因する。
液体からの金属結晶化は、これが過冷却され、結晶化中心が有効になると、常に始まる。これにより、異なる型の結晶形成が得られる。いくつかの例外的な場合では、幾何学的に規則的な全重量(full-weight)または全面(full-face)結晶が形成する可能性がある。しかしながら、これには好ましい条件が必要である。典型的には、結晶は不規則な外形から形成され、そのためクリスタライトと呼ばれる。
2つの型の結晶が存在する。1つの場合、多面体の幾何学的規則性におおよそ近似する外形は丸い形状をとる。そのような結晶は結晶粒または顆粒と呼ばれる。別の場合、結晶形成は、充填されていない空間を有する分岐形状を有し、一般に、形成される結晶の初期相を提供する樹枝状結晶と呼ばれる。
金属はいずれも、多くの結晶粒を含む多結晶である。隣接する結晶粒は配向の異なる格子を有する。粒界は、隣接する結晶粒内での結晶方向が数十度までの角度を形成するので、高傾角粒界と呼ばれる。
各結晶粒は、いわゆる下部構造を形成する個々の亜結晶粒から構成される。下部構造は、端数〜単位度の範囲の角度で互いに対し配向されていない-低傾角粒界である。亜結晶粒は0.1〜1μmであると測定され、これは結晶粒サイズより1〜3桁小さい。個々の結晶(結晶粒)の間の境界は一般に最大2〜3原子間距離までの幅の遷移領域である。そのような領域中の原子は結晶粒体積内とは異なるように配列される。さらに、不純物は工業用金属の粒界で集中する傾向があり、これはさらに規則的な原子配列を妨害する。亜結晶粒粒界では幾分少ない妨害が観察される。金属内の転位密度は、亜結晶粒オフ配向角(off orientation angle)の増加および亜結晶粒サイズの減少と共に増加する。
結晶粒サイズは実質的に金属特性に影響を与える。大きな結晶粒は、主に、金属のより低い機械的性質を伴う。また、他の特性は変化する可能性があり、これは、結晶粒-結晶間の境界の事実上の拡張により説明される可能性がある。全体的に見ると、金属特性に対する粒界の効果は、これらの粒界が結晶粒を分割する表面であることによりまず明らかになり、ここで、金属自体の粒子(原子)はエネルギーの観点から、結晶粒内の格子中に配置された原子とは異なる。結晶粒間の粒子は、金属およびそれらの合金を含む様々な物体で生じる現象において重要な役割を果たす表面エネルギーを示すより高いエネルギーを有すると考えられる。このように、ランダムに配列された原子の形態の結晶粒間の中間層は、時としてアモルファス金属膜と考えられるが、概して金属片全体の特性に影響する可能性がある。
しかしながら、金属自体の原子を含むそのような膜に加えて、実際に使用される金属は常に、膜または含有物の形態で結晶粒間の空間に配置され、金属特性に影響する可能性のある不純物を有する。例えば、そのような膜が弱い(脆性である)場合、結晶粒間の結合は弱められ、金属は、粒界において機械的作用のもと、破壊されると考えられる。この場合、金属の結晶間破壊が観察されると考えられる。破壊が結晶粒内で起こると、その後、結晶内破壊が起こる。
固体金属における構造変化を以下において開示する。同素体変化を経験する金属においてのみ、熱的に(固体状態での加熱および冷却のみにより)粗結晶粒から、微細結晶粒を得ることができる。そのような変化は1つの格子から別の格子への遷移、すなわち、1つの位置から別の位置への原子再配列を構成する。各々の型の格子は金属の同素体変化または変態であり、これはしばしば相と呼ばれ、一方、いくつかの変態で存在する金属は多形性金属と呼ばれる。各変態は、安定になるそれ自体の温度領域を有し、このため、ある温度では、1つの変態から別の変態への遷移が存在するはずである。このように、液体の凝固中に起こる一次結晶化とは対照的に、二次結晶化と呼ばれる結晶化過程が起こる。
多形性金属は鉄を含む。鉄では、凝固点(1540℃)と通常温度との間でいくつかの同素体変化が存在する。最も実用的な価値があるのは、冷却中(および逆に、加熱中)のγ変態からα変態への遷移の一因である910℃での変化である。この変化の本質は、面心立方体を構成するγ-鉄格子の原子は、再配列されてα-鉄に典型的な心立方格子となる。この内部構造の変化は、結晶粒-結晶の外形の変化を伴う、すなわち再結晶化が起こる。再結晶化では、結晶粒サイズが著しく減少する。新しい結晶は互いに密接に隣接し、金属強度が増加する。
このように、金属における同素体変化を使用することにより、再結晶化を誘導し、粗結晶粒から微細結晶粒を得ることができる。粗結晶粒鋳鉄から微細結晶粒の、熱処理されたまたはアニールされた鉄へのそのような微細構造変化の例を図26〜27に示す。より詳細には、図26は鋳鉄の微細構造(×20)を示し、図27は微細構造アニール鉄(×100)を示す。
同素体変化が金属内で起こらない場合(例えば、アルミニウム)、結晶粒は上記のように(熱処理のみ)精製されない可能性がある。この場合、唯一の方法は、いわゆる金属の塑性変形を誘導する予備的な機械成形である。その後、様々なサイズの結晶粒を加熱により得ることができる。
この方法は、延性金属、すなわち、機械的効果に耐え、破損することなくそれらの外形形状を変化させる(変形)ことができるものにのみ適用しうる。金属は、圧延、延伸、鍛造、圧力成形などを含む様々な方法により機械的に成形させてもよい。各々の場合は、適用した方法によっていくつかの特徴的な金属挙動を有する;しかし、全ての場合において、完全性および強度の損失を伴わずに金属の外形を変化させることを含む金属の塑性変形である主過程が起こる。
金属変形は強度の増加と延性(すなわち、さらなる変形の可能性)の減少を伴う。強度の増加と同時に金属硬度が改善される。実際、金属は「剛性」となる。変形の結果得られる、金属のそのような状態は通常、冷間加工と呼ばれる。冷間加工状態は、主に、金属内の結晶粒結晶に対する機械的効果中に起こる格子粒子の変位または滑りにより誘導される。
金属の変形は通常、ある力で、最も容易な滑り面(これらの面内の原子は互いに非常に近接する)に沿った滑りから開始する。この力は、この力に対し上記の滑り面がより都合良く配置された場合により小さくなる。単結晶円形試験片の引張における同様の滑り、すなわち単結晶亜鉛における滑りを、図28〜30において図式的に示す。試験片の引張は、薄い金属層(パックまたはブロックと呼ばれる)の互いに対する複数の滑りに存在する。より詳細には、図28は六角柱(ベース(断面))の形態の亜鉛の単結晶を示す。この面は最も容易な滑り面であり、図29および30はこの方向に沿って滑った結晶-試験片中の粒子のブロックを示す。
滑りと同時に、薄い金属層(ブロック)は徐々に、引張力に対しそれらの方向を変化させ、それらの面により、滑りにとってより不都合な、すなわち、滑りに対して最も大きな抵抗を有する位置をとる傾向がある。このように、結晶が変形するにつれ、さらに変形するのに必要とされる応力が増加する。最も容易な滑り面から不都合な位置への回転とは別に、滑り中の金属内の応力の増加は、滑り部位付近の粒子の不規則な位置と関連するいくつかの他の要因(格子歪み、面の歪み、最も微細な破片の形成、ボイド、など)により引き起こされる可能性がある。
このように、最も容易な滑り面に沿った滑りに対する抵抗は、ある値に達し、ここで、滑りは中断し、滑りにとってより不都合かつ不利な、異なる方向または二次滑り面に沿って開始する。これらの二次方向に沿った滑りは、一次滑りの場合のような大きな程度には到達せず、実質的に増加する応力と共に起こり、後者はスライディング層を互いに分離させ、これにより試験片破損がもたらされる可能性がある。
このように、1つの結晶内で起こる単純な滑り(平行移動)のみ、すなわち、結晶内の別個のブロックの面に沿った相対変位のみが、塑性変形において結晶内で起こる変化の本質を説明し、冷間加工状態を引き起こす可能性がある。実際には、1つの結晶内においてさえ、変形は単純な滑り(平行移動)のみに限定されず;粒子群が面に沿って滑るだけでなく、いくらかの角度回転する場合、双変位(twin displacement)もまた起こる可能性がある。このように、変形では、たった1つの結晶粒-結晶における構造変化パターンは相当に複雑である。
複数の密に隣接した結晶粒を示す複数結晶粒(多結晶)金属が変形する場合、過程はよりいっそう複雑になる。一般に様々な配向(向き)を有する、この結晶粒の隣接性は、各結晶粒の自由滑りを自然に妨げると考えられ、変形を阻止すると考えられる。境界でしばしば生じ、ブロック滑りを妨げる結晶間物質は、同じ効果を有する可能性がある。
しかしながら、そのような阻害に関係なく、結晶粒で滑りが起こり、各結晶粒は伸長し(または圧縮されて平らになり)、主に1つの方向に配向され先の完全結晶粒の「破片」を表す複数の滑りブロックから構成される。
実際、変形金属の構造検査により同様の細長い結晶粒が明らかにされる。図31は、変形した鉄の微細構造を示し(×100)、図32は変形していない鉄の微細構造を示す(×300)。激しい変形の間、結晶粒は十分引き延ばされるので、形状がよりいっそうファイバに似ると考えられ、これが、変形した金属のそのような構造が繊維状と呼ばれる理由である。このように、この構造における「ファイバ」は、滑りおよび格子歪みによる構造の変化のみを有する、同じ初期の金属結晶粒である。そのようなものとして結晶粒微細化は依然として存在しない。この構造は特徴的な個々の微細結晶粒を有さず、先(初期)の結晶粒の細長い粒界のみが視認可能である。変形程度が低いと、この構造は初期のものとほとんど異なっていない場合があり、これは結晶粒の伸長が小さく、粒界が破壊されないためである。そのような場合、進行中の塑性変形の構造的な兆候は、結晶粒セクション全体に広がる平行線または交差線の形態で、金属の変形した金属組織セクション上に生じる滑り線である。鉄のエッチングされていない金属セクション上の滑り線の例(×300)を図33で示す。
変形状態では、本質的に結晶粒がなく、状態自体が熱力学的にあまり安定ではなく、過剰な自由エネルギーを有する。低温におけるほとんどの金属で、冷間加工金属のそのような不安定状態は長期間変わらないままである。しかしながら、これは加熱時に徐々に変化してより安定な状態になるはずであり、実際、それは事実である。
公知の温度において、変形されていない(歪んでいない)格子を有する新規の結晶粒が、変形結晶粒で発達する。そのようにするにつれ、結晶化過程が再び起こり、これが再結晶と呼ばれる。この過程の始まり、すなわち、歪んでいない格子を有する新しい最も微細な結晶粒が生じ始める温度は、再結晶しきい値または再結晶温度と呼ばれる。様々な純粋金属では、この温度は変動し、金属融点に関連して近似的に決定されてもよい。絶対再結晶温度は、絶対融点の約0.4であることが示されている。再結晶中、結晶粒サイズは、明白に変化し、そのため、平均結晶粒サイズは、様々な要因によって測定される得、結晶粒成長は図式的に表され得る。空間にプロットした再結晶図は、粒子サイズと、加熱温度および前の変形の程度などの2つの要因との間の関係を示し得る。このように、加熱後の機械的処理(変形)(再結晶)は、任意の延性粗結晶粒金属における結晶粒を精製する可能性があり、再結晶図は、主要因を正確に考慮し、所望のサイズの結晶粒、このため、様々な金属特性を得るのを助けることができる。
金属は、ボールバニッシングおよびローラバニッシング、ショットピーニング、レーザ強化、および高強度超音波などの様々な方法により塑性変形させてもよい。これらの方法のいくつかは下記のように特徴付けされる。また、アルミニウム合金および鋼などの金属の構造に対する塑性変形の影響に付随する効果が検討されている。
L.F. MondolfoによるAluminum Alloys: Structure and Properties (Butterworths, London, 1976)も公知であり、これはアルミニウム合金対鋼の基本特性を開示する。いずれの金属も複合合金である。溶融物から冷却すると、条件(温度、冷却速度)によって異なる構造を有する可能性がある。合金中の不純物により複雑さが増す。不純物は同時に、主に、基本構造のクリスタライト境界で、様々な微細成分の形態で析出する。Al-Cu合金(ジュラルミン)は、従来のアルミニウムに近い比重量を有し、その強度および硬度が、約20%の伸長δを有する軟鋼の強度および硬度(σTS約45〜50kg/mm2以下、および130HB以下)以上であるという点で異なる。比強度、すなわち、単位重量に関連する強度(σTS)を考慮すると、これは軟鋼のほぼ3倍である。しかしながら、ジュラルミンにおけるそのような強度は、適切な熱処理-硬化および時効(主に、人工的)後にのみ得られる可能性がある。(500℃からの)クエンチング後直ちに、合金の硬度、引張強度、および弾性限界が減少する(HB約80;σTS約32kg/mm2;σEL約11kg/mm2)ことに注意すべきである。
クエンチング前の加熱中、CuAl2化合物は溶解する、相S(Al2 Mg Cu)。室温では、銅溶解度は0.2%であり、548℃ではこれは5.7%である。急な冷却中に、過飽和固溶体が固定される。程なく、以下が起こる:Guinier-Prestonゾーンが形成し始める(高濃度の銅のゾーン);析出物は密着している;格子との結合において崩壊は起こらない;薄い層状ディスク形状の形成が現れる(厚さが数原子層、長さ40〜100Å)。これにより格子の弾性歪みが生じ、強度、硬度、および降伏強度が増加する。
時効合金の構造は、α固溶体ならびに不溶性の鉄およびマンガン化合物から構成される。自然時効は1400時間およびそれ以上かかる。このため、150〜170℃での人工的時効を使用する。
極めて高い機械特性にもかかわらず、ジュラルミン材料は、低い耐食性により特徴付けられ-ピッティング、粒間腐食(CuAl2が粒界で析出する場合)、腐食亀裂、腐食疲労、および隙間腐食を受けやすい。
A.I. Manokhinにより編集された、The Effect of High-intensity Ultrasound on Metal Interphase (Moscow, Nauka, 1986)第4章もまた公知であり、これは、金属の超音波表面強化は、相間移動および原子拡散などのそのような物理現象に基づくことを開示する。そのような現象の動力学は複雑であり、一般に、転位、空格子点、ならびに互いおよび不純物原子との格子間原子のような格子欠陥の分布および相互作用の性質により規定される。超音波処理(1〜100Hz)の結果として形成される転位構造は、事実上、一定符号(constant sign)の塑性変形で形成される転位構造とは異なる。この転位構造は、主に、密な壁を有する亜結晶粒のセル構造である。
調査では、超音波エネルギーを直接接触により、または発信器を直接用いて、または金属集中源を介して、試験片に適用した。
サイクル負荷の過程では、多数の転位ループがアルミニウムにおいて観察された。ループは空格子点ディスク(vacancy disc)を閉じることにより形成されると示唆される。一定符号の変形中、転位ループが観察されるが、その数は相当に少ない。20kHzの周波数での超音波処理により、アルミニウム単結晶内の転位密度が1〜2桁だけ増加する。これが起こると、適格な結晶粒構造が観察される。亜粒界は振動方向に伸長され;亜結晶粒の平均サイズは2×10μmであった。
オーステナイト鋼1Cr8Ni9Tiの転位構造を、透過型電子顕微鏡により箔を用いて研究した。20℃で、超音波処理後の転位構造と引張および圧縮による塑性変形後の転位構造との間で比較を行った。張力をかけ、圧縮した試験片では、転位はより滑らかであるが、超音波処理試験片は、よりねじれた転位を有し、多数のスレッショルド(threshold)およびキンクが存在した。これは、超音波効果のもとでの転位の交差、横滑り、および上昇の証拠である。温度が上がるにつれ、より高い転位密度を有する結晶粒の数が増加し、セル構造、多くの転位ジョグ(jog)およびキンクを形成する傾向がある。データから、粒界および炭化物析出物が転位源であることが証明される。
転位再配列の他に、超音波はまた金属内で原子拡散を引き起こす。鉄の自己拡散を、様々な格子を有する鋼において研究した。体心立方(bcc)格子および面心立方(fcc)格子を有する鋼では、超音波は、いくつかのしきい値を超える変形振幅での鉄の自己拡散を促進する。また、超音波効果により、格子型に関係なく、鉄の自己拡散が促進される。
最も有望な技術は超音波工具による表面処理であり、これは、超音波により振動するトランスデューサからのエネルギーを受け取る「変形要素」の衝撃作用により実行される。この技術は有意な表面微小硬度、残留圧縮応力、および滑り摩擦抵抗を提供する。表面は圧子(「変形要素」)による衝撃で塑性変形する。変形特性は、急速な超音波作用および高出力超音波振動の材料中への同時導入(塑性変形限界領域を介する)により規定され、この振動は、激しいクリープ領域でサイクル応力レベルの高強度超音波および材料の応力適用状態の緩和を開始させる。これが起こると、接触点(超音波衝撃作用の局所領域内)が加速された繰り返し塑性変形を経験し、その結果、激しい加熱(構造変化に対し十分)および急冷(転移相状態の安定化に十分)が起こる。その結果、構造変化に起因する新規特性を有する材料が表面で形成される。
工学システムの部品および構造の信頼できる動作を確保するために、それらの技術的状態をモニタし、それらの寿命をのばす技術的手段が取られる。複雑なシステムおよび装置の技術的状態をモニタする場合、最も現実的なタスクの1つは、部品は使用中に老化するため、客観的に、かつ時宜にかなって、様々な欠陥を検出し、それらの発達を制御することである。非破壊的方法の体系的な使用は、欠陥部品の使用における望ましくない結果を阻止する1つの方法である。
部品の寿命を延長させ、それらの性能を回復させるために、下記の基本的方法を、それらが経験する劣化型に応じて使用する:構造を変化させ、部品材料の特性を改善するための加熱処理、残留応力を緩和するための熱および振動処理、応力集中の除去、保護用コーティング、インヒビタおよびプロテクタ、化学-熱処理法による表面硬化、および/または表面塑性変形(SPD)による表面硬化。SPDは溶接部および機械部品を強化する最も単純で効果的な方法の1つである。これらの方法は下記のプラス効果の故に効果的である:転位密度および微小硬度の増加、それ故の、表面層耐摩耗性の改善、部品の表面層中の残留圧縮応力の生成、ならびに溶接部および溶接部品に対する疲労限界減少に対する応力集中の効果の抑制。
超音波衝撃処理(UIT)は、最も有望なSPD法の1つである。UITの過程では、材料の塑性変形抵抗は、超音波振動がその中で加振され、強化層の大きな深さが達成されると、一時的に減少する。これにより高度の塑性変形が得られ、処理により高レベルの残留圧縮応力が誘導される。UITはまた、処理製品の材料における表面熱機械および表面下緩和の効果を伴う。
Degradation, Repair and Rebuilding of Bridges(Materials Information/Cambridge Scientific Abstracts, 2005, ISBN 0-88387-217-X)もまた公知であり、これは、道路および鉄道の橋、ならびに構造的で高強度でかつ強化された、鋼、鉄筋コンクリート、ポリマーコンクリート、および強化プラスチックを含む橋の建築材料の全ての形態の劣化および老朽化を開示する。想定される、進行中の、および完了した修理および修復の技術および/努力、材料の選択および交換、ならびに腐食防止および制御もまた開示する。
N.C. Bellinger, J.P. Komorowski, M.Liao, D. Carmody, T. Foland, D. Peelerによる、Preliminary Study Into The Effect Of Exfoliation Corrosion On Aircraft Structural Integrity (6th Joint FAA/DOD/NSA Aging Aircraft Conference, 2002)もまた公知であり、これは上翼の外板(upper wing skin)の残存寿命に対し剥離が有する効果を決定するために行われた研究から得られた結果を提供する。7178-T6合金から作製された、自然に剥離した上翼の外板から多くのクーポンが切り出されている。いくつかが締結具を介して低負荷移動を提供するこれらのクーポンは様々なレベルの剥離を含んだ。各クーポンに対し、一定振幅圧縮により支配される負荷を用いて、破損について試験した。その後、破損表面を調べ、破損源を決定した。亀裂源部位がそうであるように試験片破損位置は変動した。亀裂源は、平面亀裂(planar cracking)(剥離)、フレッティング、ピッティング、および製造不連続性を含むいくつかの原因に起因した。今までの結果から、試験した剥離レベルでは、剥離は、上翼の外板の寿命を支配する重大な要因ではない可能性があることが示唆された。
航空機構造における腐食は、軍用および民間の航空機機体に影響する重要な経済的および安全性の問題である。米国空軍のみが、直接腐食のコストは8億ドル/年を超えると推定している。腐食は多くの形態を有し、今日、機体において見出されているほとんどの構造合金に影響する。最も一般的な問題の1つは、圧延板および鍛造合金に影響する剥離腐食である。剥離は一般に、締結具の穴の周りの上翼の外板において見られ、ここで、皿穴および穴の空いた表面内の暴露された端部結晶粒で始まる。
ASTM G15-97aでは、剥離腐食、または剥離は、「開始」部位から表面に平行な面に沿って横方向に、一般には粒界で、進行し、金属を材料本体から引き離す腐食生成物を形成し、層状の外見を生じさせる腐食として規定される。言い換えると、剥離は激しい粒間腐食の形態であり、これは圧延方向に伸長させた結晶粒界で生じる。この腐食形態は結晶粒構造の著しい指向性と関連する。航空機材料では、剥離腐食は熱処理可能なAl-Zn-Mg-Cu(7000シリーズ)、Al-Cu-Mg(2000シリーズ)、およびAl-Mg合金において最も一般的であるが、Al-Mg-Si合金においても観察されている。剥離腐食生成物の発生により層が離され、金属部品が膨張する。金属フレークが押し上げられることがあり、表面から剥がれることさえある。
剥離腐食に関する80を超える出版物の再検討により、11のみが剥離および疲労の問題を処理を試みていたことが見出された。先行する剥離および疲労の相互作用の研究に関する主な結論は下記のようにまとめることができる:
(1)先行する剥離は疲労亀裂核形成を加速する;
(2)先行する剥離は疲労亀裂成長速度(FCGR)を増強する;
(3)先行する剥離は多部位損傷(MSD)の開始を早める;
(4)上記機械的現象を引き起こすいくつかの理由は下記である:材料損失(断面減少または厚さ減少);水素脆化(材料の靱性、強度、および延性の減少);および他の化学効果;ならびに
(5)先行する剥離および疲労の相互作用は経済的な問題であるだけでなく、安全性の問題でもある。剥離損傷と残留疲労寿命と残留強度との間の定量的関係はまだ確立されていない。
いくつかの研究では、剥離が締結具の周りに存在する場合、剥離は、構造の強度および疲労特性を、研削修理(grinding repair)よりも低くしてしまう可能性があることが示される。オーストラリアでは独自に、C-130航空機のいくらかの剥離損傷が、腐食防止化合物(CPC)の適用により阻止され、航空機は剥離除去せずに使用に戻された。CPCに頼る決定は、CPCが腐食と腐食環境での亀裂の成長とを阻止するの非常に効果的であるという研究室実験からの指示に基づいた。
E. Kristofer Gamstedt, Svend Ib AndersenによるFatigue Degradation and Failure of Rotating Composite Structures - Materials Characterisation and Underlying Mechanisms (Riso National Laboratory, Roskilde, Denmark, 2001) もまた公知であり、これは、疲労劣化が使用中破損に関する主要な懸念事である回転複合構造を開示する。そのような用途は、例えば、風力タービン内の回転翼羽根、ヘリコプターの回転翼羽根、エネルギー貯蔵のためのフライホイール、海洋および航空プロペラ、ならびに抄紙機のためのロールである。その目的は、これらの用途において、より良好に複合材料を使用することができるように、近い将来努力すべき領域を識別することである。より信頼できる細長い構造が得られるより良好な設計法を得るために、改善された試験法が必要である。さらに、構造的部品と、試験片試験結果との間の関係を、現在の場合よりもよく理解すべきである。改善された予測法は、基礎となる損傷メカニズムのより良好な理解に依存する。メカニズムに基づくモデルを用いて、部品の下部構造または材料微細構造でさえも、可能性のある最良の疲労抵抗に対し最適化することができる。これらの問題は、本報告において取り扱われており、試験法、および損傷メカニズムから関連する材料特性へのスケーリングが特別に強調される。
G.A. Filippov, O.V. LivanovaおよびV.F. DmitriyevによるMetal Properties Degradation in Main Pipelines After Prolonged Service (“Steel”、No.2, 2003) もまた公知であり、これは、パイプ特性に対する動作条件の効果についての包括的な調査の最初の部分の結果を開示する。ロシアでは、主パイプラインのほとんどが20年を超えて使用されている。応力、腐食環境、および水素によりそのような長い期間影響を受け、パイプは金属の物理機械特性を変化させる過程にさらされる。パイプ金属の実際の特性を、状態を分析し、残留寿命を評価し、パイプラインのオーバーホールを予定するために考慮しなければならない。パイプラインの早期破損は機械的原因(引っ掻き、切欠き、構造欠陥、など)の応力集中により主に引き起こされ、欠陥は腐食環境との金属接触により形成される。長期使用により、金属構造状態の変化に由来してパイプの金属特性の劣化が引き起こされ、破損は、応力上限より低い応力のもとでさえも起こりうる。損傷抵抗の減少は、金属の時効過程、水素量および内部応力の増加、ならびにミクロ亀裂などの欠陥の累積と関連する可能性がある。
様々な気候に配置された19の主な石油パイプラインから得られたパイプサンプルに対し実行した分析結果が開示されている。鋼20、17MnSi、17Mn1Se、19Mn、14CrMnSi、15MnSiTiAl、10Mn2Si1、14MnNiのサンプルを、Central Research Institute of Ferrous Metalsの実験施設で試験した。調査した全てのパイプのうちの、近似的な化学組成の鋼の割合は下記の通りであった:鋼17MnSi、17Mn1Si、および19Mn-81%(それぞれ37%、19%、および25%)、鋼20および14MnNi-それぞれ1%、鋼15MnSiTiAl、10Mn2Si1、および14CrMnSi-それぞれ、3%、5%、および9%。鋼17MnSi、17Mn1Si、および19Mnの等級組成物は炭素およびマンガン含有量が異なる。しかしながら、パイプサンプルの化学分析により、鋼の実際の組成はしばしば工業証明書と一致しないことが示され、このため、基本的な統計解析が、17MnSi型の鋼とさらに呼ばれる、これらの鋼に対してのみ実施された。全部で106サンプルを研究し、86が使用中のパイプから、9が非常用備蓄から、7が非常用パイプから、3が予備ラインから、1のサンプルが製造されたばかりのパイプから獲得された。また、多くの溶接パイプ試験片を研究したが、そのほとんどが工場の縦方向溶接部であった。全ての現場溶接部および8つの工場の縦方向溶接部は欠陥を有した。
標準引張特性は、主なパイプラインの状態を評価するには不十分である。信頼性評価基準は、局所構造変化を受けやすい特性、例えば、低温試験、遅れ破壊試験、および亀裂または鋭い切欠き試験片に対する試験より得られるものを含むべきである。金属の破壊抵抗特性は全て、25年の使用後の試験片の鋭い切欠き曲げ試験で減少することがわかった。破壊エネルギーは主に、亀裂核形成の作用の減少により半分に減少する。低温脆性しきい値は正の温度領域にシフトする。亀裂の臨界開口は1.5倍だけ減少する。応力、腐食環境および水素の同時作用下での遅れ破壊への鋼の傾向は、構造変化を最も受けやすいことがわかった。長期使用中のパイプ金属の破壊抵抗の減少は変形老化過程ならびに欠陥および内部ミクロ応力の累積と関連する。
J.I. Braverman, C.H. Hofmayer, R.J. Morante, S. ShteyngartおよびP. Bezlerによる、Assessment of Age-Related Degradation of Structures and Passive Components for U.S. Nuclear Power Plants (NUREG/CR-6679、BNL-NUREG-52587、2000) もまた公知であり、これは米国原子力発電所のための構造および受動部品の老化関連劣化を評価するための複数年に渡る研究プログラムの第1段階の結果を記載している。この研究プログラムの目的は、十分なリスク情報に基づいて決定を下すため、ならびに構造および受動部品の劣化に関する技術的問題に取り組むために使用することができる分析法および許容基準の検証および改善のための技術基盤を開発することである。この研究プログラムのために採用したアプローチは3つの段階から構成される。段階Iにはプラント劣化事件の収集および評価、老化関連劣化に関する入手可能な技術情報の評価、ならびに研究プログラムのその後の段階で研究すべき構造および部品を識別するためのスコーピング研究が含まれた。段階Iの結果に基づき、選択した構造および受動部品について段階IIで評価し、既存の増強させた分析法を用いて老化関連劣化の効果を査定する。段階IIIは分析結果を使用して、構造および受動部品の劣化に関して十分なリスク情報に基づいて決定を下すために、NRCスタッフに対する勧告を展開させる。研究プログラムの段階Iの結果が開示されている。
Karen Gottによる、The History of Cracking the RCPB of Swedish BWR Plants (9th International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems-Water Reactors, 1999) もまた公知であり、これはスウェーデン原子力発電所で使用される設備の技術条件をモニタした結果を提供する。スウェーデンの原子力発電所は、スウェーデン原子力発電検査局(SKI)に全ての亀裂を報告するよう要求されている。この規定は、機械部品の構造完全性に関連するSKI規則が及ぶシステム全てに適用される。その結果、SKIは、スウェーデンプラントで観察された様々な劣化メカニズムの歴史に関する、何年にもわたって集められた膨大な情報を有する。ここ2〜3年で、この情報は目的のために特別に設定されたデータベースに入れられている。データベース中の情報には、いつ、どのように亀裂が検出されたか、それらの寸法および原因の詳細、ならびにシステムおよび部品の詳細が含まれる。データベースはまた、1つまたは一群の亀裂と関連する関係文書全ての包括的な参考文献一覧を有する。スウェーデン沸騰水型原子炉(BWR)の原子炉冷却材圧力バウンダリー(RCPB)において見られる傾向を用いて、データベースが記載されており、その使用が説明されている。
J. Dever, B. Banks, K. deGrohおよびS. Millerによる、Degradation of Spacecraft Materials (NASA Glenn Research Center, 2004) もまた公知であり、これは宇宙船外側材料に対する特異的な宇宙環境の脅威の記載を開示しているが、エレクトロニクスなどの内部の宇宙船システムへの環境効果を扱っていない。個々の、および組み合わせた宇宙環境脅威の宇宙被爆研究および研究室シミュレーションが要約されている。宇宙ミッションのほとんどが地球軌道中に飛ばされており、それにより材料効果に関するかなりの量のデータが提供されたため、地球軌道環境の効果がかなり強調されている。材料劣化結果の解釈と関連する問題もまた開示されており、地上試験の欠陥が識別されるであろう。適当な材料選択によって宇宙環境劣化を減少させることまたは阻止することに関する勧告が提供される。
このように、工学のほとんど全ての領域で使用される部品および構造は劣化を受けやすい。劣化問題は、破損により、人々の死、経済的損失、および重大な材料損失などの壊滅的結果となる可能性がある工学システムに対して最も深刻である。これらには下記が含まれる:輸送(橋、トンネル、鉄道、荷重負担輸送構造および負荷つり上げ設備);オイル&ガスおよび化学プラント(主なパイプラインシステム、ポンプ場、蒸留および他の化学設備);飛行車両(様々な型および目的の航空機);電力系統(原子力発電所の原子力発電設備およびそれらの電力供給システム、火力発電所);宇宙システム(宇宙船、発射およびロケットシステム)ならびに大きな軍事施設。
したがって、金属劣化は、微細欠陥および亀裂の形成および発達による金属材料の破損過程であり、マクロな亀裂および部品の荷重負担能力の損失が引き起こされる。結果として、そのような部品を含む構造全体が機能しなくなる可能性がある。
最大可能実用寿命を提供し、そのような部品および構造の老化を遅延させ、それらの有用寿命を延ばす課題は、世界中の科学者および技術者のための最も現実的な問題の1つである。工学システムにおける破損、機能不全および欠陥の発生により、地球規模の災害、環境悪化、人命損失ならびに重大な経済的および材料損失などの悲劇的な結果さえも引き起こされる可能性がある。
この領域での調査は、システムアプローチがないと不可能である。システムの状態を改善しうる様々な手段およびタスクの解決により、適当な信頼性、ならびに経済的な基準および制約を可能にするそれらの実用寿命の延長が保証される。
前は、破損は避けられない事象と見なされていた。各材料はある一定の構造強度を有すると考えられていた。しかしながら、現在では、劣化レベルを査定し、予測を提供するだけでなく、破損過程を遅延させ、製品または部品を回復させることさえあり、このため、それらの実用寿命を延ばす方法およびメカニズムが存在する。すなわち、材料破損は制御される可能性のある過程である。
構造材料の劣化を遅延させ、それらの特性を回復させる有望な使用法の1つは、UIT適用である。高レベルの圧縮応力、微小硬度の増加および応力集中効果の抑制などのSPD法により得られる従来の効果に加えて、UITは下記も伴う:残留応力の緩和;材料内での超音波拡散;劣化した材料特性の回復;および超音波衝撃作用下での材料構造のアモルファス化(amorphization)。
発明の目的および概要
本発明は、金属の性能を改善し、超音波衝撃による劣化から金属を保護し、それを抑制する方法およびアルゴリズムに関する。本方法およびアルゴリズムは、外力、熱力学的変動および負の環境要因下での、長期使用中の金属特性の劣化の問題に取り組む。本発明はまた、時間経過に伴う性能の好ましくない変化による材料破損の危険から保護する(防止する)、およびその危険を抑制するように指向された技術に関する。これらの問題は通常、金属の環境劣化の過程に付随する公知の条件下での材料の元の構造の損傷のために起こる。各々の特定の場合において、金属劣化と「闘う」周知の方法は、溶融、鋳造、溶接およびコーティングの適用中の冶金合金化から様々な熱処理および表面に対する効果までの広範囲の技術に及ぶ。
本発明は、上記全ての場合における劣化問題に取り組む新規の汎用的方法およびアルゴリズムを提供する。影響を受ける物体を処理するこの方法およびアルゴリズムを以下に詳述する。
効果に対する金属境界層の応答ならびに技術的効果前後のその特性および状態は実質的に表面下の層の特性に影響し、これは、単独でまたは全体のいずれかとして表面特性と共に、方法の技術的有効性を規定する。方法および/またはアルゴリズムの有効性は、材料の特性および構造における指向された変化、構造の応力変形状態、ならびにこのため、材料の外力、温度変化および環境効果に抵抗する能力による材料性能に対する効果の程度を意味する。このように、本発明の方法および/またはアルゴリズムは、表面およびその下の材料を、2つの独立しているが相互に関連する物質として扱い、これに関連して、物体の、性能劣化を引き起こす好ましくない要因に抵抗する能力を増加させる方法を提供する。そのため、処理される表面および表面下材料の状態に対する要件により、本方法の2つの関連するが独立した技術的有効性基準として、影響を受ける物体の表面に影響する、およびそのために材料に影響する技術の特徴が決定される。したがって、超音波衝撃の方法および/またはアルゴリズム、ならびに物体材料の性能の劣化の異なる原因を有する工学領域におけるその様々な特定の適用のバリエーションについて以下、詳細に説明する。
金属劣化抵抗を改善するタスクもまた、本発明の方法および/またはアルゴリズムにより扱われる。本方法および/またはアルゴリズムは、規定のタスクにより、超音波衝撃の「ソフト(soft)」および強制(force)規格化相の組織化および制御を開始し、(超音波衝撃制御を用いる本発明の方法により)劣化を抑制するように実際の適用の(これらにより得られる)技術的有効性を実現する。「ソフト」は、タスクに対応し、材料の衝撃抵抗を識別することができる時点で、および材料の処理領域において衝撃相によりある最小衝撃抵抗が起こり、これにより処理材料のメソ構造(mesostructure)の改質が保持されながら最大の可能な強化(塑性変形)が得られる時、材料の予め決められたまたは実験的に確立された状態を直接支配する超音波衝撃の相およびパラメータに関連する。
超音波衝撃の「ソフト」および強制規格化相の組織化および制御の主な段階には、好ましくは下記が含まれる:
−物体表面での最適なメソ構造のその後の形成との関連での、材料の動的強度の評価;
−本方法および/またはアルゴリズムに従い、超音波衝撃のソフトまたはフォースフェーズを制御するパラメータおよび深さの選択;
−材料表面構造状態の実験または専門家分析ならびに開始された劣化過程を抑制し、その可能性を阻止することとの関連でのその変更のタスクの規定;
−タスクにより規定される表面の上および下の材料構造に対する、(制御法およびアルゴリズムにより)規格化された超音波衝撃の効果の強度および順序の実験または専門家選択;
−表面の材料メソ構造の改質を保持し、特定の強化を提供する「ソフト」フェーズ後の超音波衝撃中の表面下材料構造に対する力効果のパラメータおよび順序の決定;
−本発明の方法および/またはアルゴリズムの準備および一貫した実施;
−第1の実験シリーズのサンプルまたはシミュレータに合わせて技術的タスクを適合させるための結果の実験的検証;
−結果のデータベースへの入力;ならびに/または
−材料の表面および表面下の特性を形成する工程での超音波衝撃制御のレベル(上記方法により選択)を用いることに基づく劣化抑制法および/またはアルゴリズムの実施。
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、金属の性能を改善し、超音波衝撃による劣化から金属を保護し、それを抑制する方法に関する。本方法は、外力、熱力学変動および負の環境要因下での長期使用中の、金属性能の劣化の問題に対処する。本発明はまた、時間経過に伴う性能の好ましくない変化による材料破損の危険から保護(阻止)し、それを抑制するように指向させた技術に関する。これらの問題は一般に、金属の環境劣化の過程と同時に生じる公知の条件下での材料の元の構造に対する損傷のために起きる。
様々な型の金属の環境劣化を図88に示す。金属の環境劣化には、腐食、水素損傷、液体-金属攻撃および放射線損傷が含まれる。腐食には水腐食および高温腐食が含まれる。水腐食は、腐食の全体攻撃であっても局所攻撃であってもよい。水腐食の局所攻撃には、ガルバニ腐食、隙間腐食、ピッティング、粒間腐食、選択浸出、浸食腐食、または腐食亀裂が含まれうる。高温腐食には金属の酸化および高温腐食が含まれる。金属の酸化には、水素脆化、水素ブリスタリング、フレーク、フィッシュアイ、および白点、または水素侵食が含まれうる。水素脆化には引張延性の損失、水素応力亀裂、水素環境脆化、または水素化物形成による脆化が含まれうる。液体金属攻撃には、液体金属脆化、粒界侵入、および/または液体金属腐食が含まれうる。放射線損傷には、放射線成長、ボイドスエリング、放射線増強クリープ、ならびに/または照射強化および脆化が含まれうる。
各々の特定の場合では、金属劣化と「闘う」周知の方法は、溶融中の冶金合金化、鋳造、溶接およびコーティングの適用から様々な熱処理および表面への効果の広範囲の技術に及ぶ。本発明は、上記全ての場合における劣化問題に対処する新規方法を提供する。影響を受ける物体のこの処理方法については以下、詳細に記す。
金属境界層の効果に対する応答ならびに技術的効果の前後のその特性および状態は実質的に、表面下層の特性に影響し、この特性は単独でまたは表面特性と共に、処理法の技術的有効性を決定する。処理法の有効性は、材料の特性および構造の指向された変化による材料性能に対する効果の程度、構造の応力変形状態、およびこのため、材料の外力、温度変化および環境効果に抵抗する能力を意味する。このように、本発明の方法は、表面およびその下の材料を、2つの独立しているが相互に関連する物質として扱い、これに関連して、物体の、その性能劣化を引き起こす好ましくない要因に抵抗する能力を増加させる方法を提供する。処理表面および表面下材料の状態に対する要件が、方法の2つの関連するが独立した技術的有効性基準として、影響を受ける物体の表面およびそれ故に材料に影響する技術の特徴を決定する。したがって、超音波衝撃法、および物体材料の性能の劣化の異なる原因を有する工学領域におけるその様々な特定の適用のバリエーションを以下詳細に記す。
本発明の方法は、金属劣化抵抗を改善するタスクを扱う。本方法によって、規定のタスクにより、超音波衝撃の「ソフト」および強制規格化相の組織化および制御が開始され、(超音波衝撃制御を使用する本発明の方法にしたがい)劣化を抑制するための実際の適用の(それらから得られる)技術的有効性が得られる。「ソフト」は、タスクに対応し、材料の衝撃抵抗を識別することができる時点で、および材料の処理領域において衝撃相によりある最小衝撃抵抗が起こり、これにより処理材料のメソ構造の改質が保持されながら最大の可能な強化(塑性変形) が得られる時、材料の予め決められたまたは実験的に確立された状態を直接支配する超音波衝撃の相およびパラメータに関連する。
超音波衝撃の「ソフト」および強制規格化相の組織化および制御の主な段階には、好ましくは下記が含まれる:
−物体表面での最適なメソ構造のその後の形成との関連での、材料の動的強度の評価;
−本方法に従い、超音波衝撃のソフトまたはフォースフェーズを制御するパラメータおよび深さの選択;
−材料表面構造状態の実験または専門家分析ならびに開始された劣化過程を抑制し、その可能性を阻止することとの関連でのその変更のタスクの規定;
−タスクにより規定される表面上および下の材料構造に対する、(制御法により)規格化された超音波衝撃の効果の強度および順序の実験または専門家選択;
−表面の材料メソ構造の改質を保持し特定の強化を提供する「ソフト」フェーズ後の超音波衝撃中の表面下材料構造に対する力効果のパラメータおよび順序の決定;
−本発明の方法の準備および一貫した実施;
−第1の実験シリーズのサンプルまたはシミュレータに技術的タスクを適合させるための結果の実験的検証;
−結果のデータベースへの入力;ならびに/または
−材料の表面および表面下の特性を形成する工程での超音波衝撃制御のレベル(上記方法により選択)を用いることに基づく劣化抑制法の実施。
超音波衝撃は2つの型の動きを伴う:(1)処理表面からの振動システムの跳ね返りにより引き起こされる弾性回復力のもとでの振動システムの動き、および(2)例えば図34および35で示されるような、圧子に接続された振動システム端の超音波振動。これらの図面で示されるように、基本ツールは少なくとも1つの圧子103、導波管102、水冷ケーシングであってもよいケーシング107を有する磁歪トランスデューサ101、バネ106、およびハンドルを有するツールケース105を含む。磁歪トランスデューサ101、導波管102、圧子103、ツールケーシング105、バネ106およびトランスデューサのケーシング107が、これらに構造的に固定された処理セットアップと共に振動システム(OS)を形成する。
下記が本発明の以下の説明全体および図面で使用される重要な略語である:
OS−振動システム;
OSE−圧子バット(butt)に取り付けられた振動システム端;
TS−処理表面;
UI−超音波衝撃;
Vos−振動システムの振動速度;
Vose−超音波周波数でのOSEの振動速度;
Vr−ある期間におけるVosとVoseの和としてのOSEの得られた振動速度;
Mos−振動システムの質量;
Pimp−超音波衝撃力のインパルス;
fos−OSの振動運動の周波数(200Hz);
fose−OSEの振動運動の周波数(27000Hz);
Aos−OSの振動運動の変位振幅(0.3mm);
Aose−OSEの振動運動の変位振幅(0.03mm);
Ψ−超音波振動の相;
F−TSに対するOSの押付力。
図36は本発明の超音波衝撃中の塑性変形分布を示す。平均的な統計的超音波衝撃は物体に対し3つの時間間隔(図36ではa、bおよびcで示される)の効果を含み、これにより、各衝撃事象中の処理材料における塑性変形分布の強度が規定される。これらの間隔には下記が含まれる:図37で示されるように、(a)処理表面と振動システムの端との間の狭いギャップにおける超音波トランスデューサの搬送周波数を超える増加周波数での圧子の振動;(b)システム「振動システム-圧子-処理表面」における同期の同相連続振動;(c)処理表面から跳ね返った振動システムの結果として、処理表面と振動システムの端との間の増加するギャップにおける圧子の減衰振動。
これが起こるにつれ、振動システムの跳ね返りおよび衝撃の事象は、振動システムの出力端の超音波振動(超音波トランスデューサの搬送振動)に対しランダムに起こり、例えば図38で示されるように、各超音波衝撃の事象の開始および終わりならびにその3つの時間間隔、すなわち、(a)、(b)および(c)を示す相の確率的パターンを形成する。
振動システム運動速度および圧子を備える振動システム端の超音波振動速度は、確率的に加算され、処理表面材料メソ構造の動的強度限界を超える超音波衝撃により影響される表面で動的過負荷の問題が発生する。これは次に下記を引き起こす:(a)メソ構造崩壊により引き起こされる表面損傷上での衝撃エネルギーの消失、およびその後の衝撃でのこれらの損傷の好ましくない発達;(b)表面材料において誘導される塑性変形の強度および深さの減少ならびにこれにより引き起こされる好ましい圧縮応力;ならびに(c)影響を受ける物体の材料における超音波振動エネルギー、およびこのため超音波応力波の減少。これらの要因により、超音波衝撃処理品質制御が困難になり、その技術的有効性、すなわち、処理材料の予め決定された構造、状態および特性を、特定の深さの表面で、またはその下で、一貫して再現する能力が減少する。
金属の劣化は、主に表面層でのメソ構造の崩壊を伴う。表面材料の動的強度は、下記の関係に従う表面変形率により規定される:V=2σ/ρC、式中、σは特定の負荷速度での動的引張強度であり、ρは物質密度であり、Cは材料中の音速または変形伝播であり、Vは表面損傷前後の作用速度であり、およびρCは作用(動的、音響、準静的)に対する抵抗である。
計算から、超音波周波数範囲内では、超音波衝撃強度を増加させる実質的な保存があることが示される。このように、30μmの超音波振動振幅および27kHzの周波数では、振動速度は5.5m/秒であり、700MPaの降伏強度を有する鋼に対する動的作用下での臨界速度は34m/秒である。これにより、より実際的に実現可能な、80kHzまでの超音波衝撃のより高い搬送周波数に変更することができる。それにもかかわらず、この保存は長期使用中に材料特性劣化を開始させる外部要因および環境を非常に受けやすい。このように、開発した制御方法の使用は、臨界の高負荷金属構造の構築および維持において実際的である。
したがって、本発明者らは下記からなる3倍の技術的タスクを解決しなければならない:(a)処理表面上のメソ構造の改質を維持するための超音波衝撃中の材料メソ構造の制御;(b)劣化した材料メソ構造の回復;および(c)処理表面上および下の超音波衝撃中の材料の構造状態および特性への直接の影響。
この技術的タスクは続いて、(a)振動システムが処理表面に接近する時、(b)直接超音波衝撃中、および、追加の補正が必要な場合、(c)(a)および(b)期間中処理表面に対し超音波衝撃の効果が実験的に見られる期間の終わりに、超音波振動条件が独立して形成されることを要件とする。
上記で示されるように、超音波衝撃処理過程は2つの振動モードを伴う:(a)振動システム集中質量の低周波数振動および(b)結合共鳴素子、すなわち振動システムのトランスデューサ-導波管-圧子の超音波周波数振動。これらの運動の図の一部および振幅速度の関係の特定の計算を、例えば、図39に示す。
正の振幅はTSへのOSの接近に対応する。任意のある時間tでの点の変位、速度および加速を計算する式は下記の通りである:
x(t)=A cos ωt ; v(t)=-Aω sin ωt ; a(t)=-Aω2 cos ωt。
最大速度はAωである。したがって、OSおよびOSEの最大速度は下記の通りである:
Vos=2Aosπfos=0.38m/秒(最大);および
Vose=2Aoseπfose=5.09m/秒(最大)。
以上のように、振動システム運動は2つの周波数カテゴリーの振動速度を伴い、ここで、搬送超音波振動速度が、少なくとも1桁だけ、振動システムが処理表面に接近する反応振動速度より速い。
したがって、本発明の方法は下記の2つの主要な条件を含む:
(a)衝撃前の処理表面への振動システム接近速度を超える実質的に過剰な超音波振動速度(特に、上記で示したように、30ミクロンの超音波振動振幅を有する27kHzの周波数、および0.3mmの振幅で200Hzの跳ね返り周波数で少なくとも10倍);および
(b)好ましくない衝撃に対しメソ構造を保護する衝撃の開始時、および処理表面を介して処理材料の構造および特性に直接影響する衝撃中、接近速度と超音波振動速度との和の特定の減少、補償または増加を達成するのに十分な時間間隔に対応する瞬間の振動システム振動モードの急変(より正確には、過渡過程に対する補償を含む、特定エネルギーの駆動パルスでの振動期間数)。
衝撃制御の方法を、材料メソ構造に対する効果のフェーズで、すなわち衝撃フェーズで形成される条件を図40a〜40cに示す。より詳細には、図40aは「前進」を示しており、そこではOSおよびOSEの振動速度ベクトルが1つの方向を有し且つOSEの得られた速度Vrが最大である。OSEがTSに接触すると、最大衝撃インパルス、Pimpがそれに移される。図40bは「ソフト接触」を示しており、そこではOSおよびOSEの振動速度のベクトルが反対であり、得られた速度VrがTSに接触する瞬間に「0」となる。より詳細には、接触の瞬間に、衝撃インパルスの超音波成分が「0」となる。図40cは「遅れ/ソフト衝撃」を示しており、そこではOSおよびOSEの振動速度のベクトルが反対である。(接触領域で)得られたOSEの速度は最小である。衝撃インパルスは最小である。
このように、振動システムの端の超音波振動速度の変化が、OSEと適合したフェーズで、衝撃点での力インパルスを制御するための初期必要条件を発生させる:振動速度が加算される場合の「剛性」から、それぞれ、振動速度が等しい場合、または超音波振動速度が超音波周波数で振動システム接近速度を超える場合の「ソフト」接触または衝撃まで。本方法に従う振動システムのそのような状態のベクトル図を例えば、図41に示す。
図41の図は、振動システムと処理表面との間の第1の接触点での「ソフト」衝撃形成メカニズムを明確に反映している。実際の衝撃の実際のオシロスコープ写真上でのこのメカニズムの重ね合わせを例えば、図42に示す。ソフト接触では、衝撃開始時のOSおよびツールの超音波振動速度の結果はゼロ(0)である。ソフト衝撃では、衝撃開示時のOSおよびツールの得られた超音波振動速度は負である。剛性衝撃では、衝撃開示時のOSおよびツールの得られた超音波振動速度は最大である。
図43はUITによる溝形成前の溶接継ぎ手のUITの従来の領域を示す(×10)。図44および45は、ランダム衝撃条件下でのUIT後のメソ構造欠陥の型を示し、図44はUIT中のランダム衝撃条件下での局所過強化による溝縁でのメソ欠陥を示し(×40)、図45はUIT中のランダム衝撃条件下での局所過強化による溝中心のメソ欠陥を示す(×160)。図46は従来の強化ピーニング後のメソ構造欠陥、すなわち、ハンマーピーニング後の表面メソ欠陥を示す(×160)。図47は、本発明の方法によるUIT後のメソ構造の状態、すなわち溝メソ構造を示す(×160)。
図47の通り、上記方法に従って超音波衝撃パラメータを制御することにより、処理表面の表面およびメソ構造が、所与の接継ぎ手の使用で劣化効果の伝播を開始する可能性のある損傷無しに形成される。さらに、少なくとも1.5mmの深さでは、激しい塑性変形領域が視認可能であり、それが更に長期間使用負荷下にある幾何学的応力集中源領域におけるそのような損傷の発生に対し、音速物理バリヤを生成する。これらの効果について以下でより詳細に説明する。「ソフト接触」または「ソフト超音波衝撃」後の強化層の形成のタスクは、本発明の方法の一部を構成し、最大の(処理表面強度の観点から)パワーのソフト超音波衝撃により引き起こされる塑性変形の限界領域(最適メソ構造を有する)を介する超音波衝撃により開始される超音波応力の波(所与の材料について最大である)の表面層および材料における励起の逆タスクを含む方法により解決される。
表面下の層の処理中の高出力制御超音波衝撃の制御パラメータはタスクにより規定される。以上に説明し、示したように、表面での散乱損失を最小に抑えたUIT過程の最適連続のために、超音波衝撃の「ソフト」フェーズは、処理表面をメソ構造損傷から保護し、限界領域で塑性変形を生成させるために必要であり、その結果として、 (a)振動システムの圧子の、表面からの脱離を伴い、および表面と同調する効果的な超音波振動;ならびに(b)改良した処理表面の保護特性と共に、材料特性劣化の発生またはの開始した過程の伝播を抑制するのに十分な高出力超音波応力波の表面下での励起が得られる。
図48〜51は超音波衝撃の「ソフト」開始後、様々な超音波衝撃振幅変化則で表面下の処理材料塑性変形の条件を変動させた結果を示す。特に、統合したオシロスコープ図は、残留表面塑性変形とその「ソフト」フェーズ後の1ms長の超音波衝撃の振幅の変化の状態との間の関係を示す。結果は全て、図48で示されるように、実際の振幅値の範囲内で振幅の実際の自由降下分布と比較して与えられ、図はまた、特定され、実際に使用された30μmの振幅から同じ依存性を示し、これは時間内に均一に分布している。具体的には、図48は30μm振幅の独立した、特定の均一な(時間内)分布を示す。図49は凸型放物線上に超音波振幅の特定の分布を示す。図50は凹型放物線上に超音波振幅の特定の分布を示す。図51は直線則に従う、0μmからの振幅の特定の増加を示す。
それにより生成された塑性変形に関連する、超音波衝撃(「ソフト」フェーズ後の)の上記統合オシロスコープ図の解析から、塑性変形は、材料に影響するタスクにより規定される各衝撃事象中、広範囲内に制御され、金属劣化またはその発生条件が抑制される可能性があることが示されている。金属構造への超音波衝撃効果の物理的手順は、まず第一に、特定のタスクにより規定される。材料の元の状態から本発明の方法により開始された状態への移行を含む、この手順のいくつかの一般的な工程は以下である:
(1)「ソフト」衝撃フェーズにより開始される塑性変形中の表面材料の改質およびメソ構造を維持する、粒間の欠陥ボイドを充填するのに十分な割合での表面材料の変形;
(2)超音波衝撃の「ソフト」およびフォースフェーズ中の表面材料の塑性変形中に起こる力のもとでの構造的な欠陥境界の閉鎖;
(3)「ソフト」およびフォースフェーズの期間を含む、規格化超音波衝撃による処理表面材料の塑性変形により引き起こされる弾性残留応力のもとでの、欠陥境界の閉鎖表面の活性化;
(4)その繰り返し率の衝撃により引き起こされる力のインパルスのもとでの欠陥境界の閉鎖表面の活性化;
(5)結果的に得られる振動速度の制御法により特定される相の振動システム端の超音波振動および従って超音波衝撃により開始される力のインパルス中における、振動システム端(圧子を有する)となる振動速度のベクトル和が振動システム集中質量および分散質量の運動速度の間の関係により決定される、超音波衝撃の作用のもとでの欠陥境界の閉鎖表面の活性化;
(6)衝撃パルスおよび超音波の作用中の、欠陥境界の変位により引き起こされる摩擦力のもとでの欠陥境界の閉鎖表面の活性化;
(7)超音波衝撃により引き起こされる力のインパルス中に閉鎖境界を通過する超音波振動および超音波応力の波のもとでの欠陥境界の閉鎖表面の活性化;
(8)材料特性および作用タスクにより決定される制御方法により特定される相の超音波衝撃の繰り返し率で繰り返し起こる、構造的な欠陥およびフラグメントの境界でのインパルス作用中の塑性変形および摩擦により引き起こされる高温領域での欠陥境界の閉鎖表面の活性化;
(9)静圧、力のインパルス、摩擦、加熱および超音波振動のもとでの閉鎖境界の超音波自己拡散および消滅;
(10)本発明の方法に従った超音波衝撃を制御する際の材料強度の向上に関わる、Al合金におけるケイ素析出物のような合金相の析出の活性化;
(11)固溶体中での析出から保護し、劣化の進行を阻止するための、「ソフト」超音波接触、およびそれに伴う衝撃の段階での、Al合金中の銅と同様の、不安定な相の安定化;
(12) その後の金属劣化の核としての構造結合の弱化および外部応力のもとでの隠れた構造応力集中源の生成に関わる、Al合金中の銅と同様の、固溶体中析出物の「逆」自己拡散(reverse self-diffusion)の活性化;この場合の逆自己拡散は、その「ソフト」フェーズ中および後の規格化超音波衝撃のもとでの合金の損失強度および延性を回復する手段である;
(13)例えば、ナノ構造レベルでの内部応力の潜在的集中源の分布密度の減少による疲労抵抗の増大中、本発明の制御法に従い、「ソフト」開始中および開始後の規格化超音波衝撃の結果としての相移動の活性化;
(14)超音波衝撃の「ソフト」フェーズおよび超音波衝撃パラメータの規格化が、処理材料のナノ、ミクロ、およびマクロ構造のフラグメントのレベルでのタスクに適した回転、湾曲、双晶化、再結晶化、流動、滑動、降伏、および時効における処理表面および処理材料の構造の特定の好ましい変化に一致している、超音波衝撃のもとでの材料構造の自己制御の活性化;
(15)「ソフト」フェーズが規定のタスクにより制御され、その後、超音波衝撃パラメータが規格化される、規格化超音波衝撃のもとでの劣化抵抗を増加させる手段としての、ミクロレベルでの金属構造の細分、均一化および配列の活性化;
(16)ナノレベルでの表面金属構造の最終的な最適化の手段として、規定のタスクにより、「ソフト」フェーズを組織化し、超音波衝撃パラメータを規格化することにより開始される過程の影響のもとでのアモルファス化の活性化;
(17)元の状態での劣化核形成からの金属保護、その長時間の使用中または使用後の物体の材料における劣化の阻止および抑制のための、超音波衝撃の「ソフト」フェーズおよびフォースフェーズを制御する方法の使用;
(18)以上に参照した任意の方法により得られる実験または専門データに基づく、元の状態での劣化開始から材料を保護し、長時間の使用中または使用後の材料における劣化を阻止および抑制するための確率的超音波衝撃の「ソフト」フェーズおよびフォースフェーズの使用。
解が、超音波衝撃の「ソフト」フェーズおよび音響シリーズ「振動システム-圧子-処理表面」における同期および同相超音波振動中の衝撃自体のパラメータの制御を含む、各技術タスクは、処理材料の構造感受性に依存して、超音波振動システムの出力における接近速度および振動速度を制御および適合させる程度について異なる要求を設定できる。所与のタスクの効果的な工学解の唯一の基準は、最小エネルギー消費で劣化抑制の所望の技術効果を達成することである。この条件だけが、超音波衝撃の前および衝撃の間の材料への作用速度の制御の必要な程度についての要求を決定する。
本発明の方法は、材料の少なくとも1つの特性および状態に影響を与えるタスクに従い材料の動的強度に基づいて特定される、衝撃エネルギーを提供する工程、駆動パルス開始の瞬間を予め決定する工程、処理表面への振動システムの接近中、超音波振動システムの超音波振動の位相および振幅を予め決定する工程を含む、超音波衝撃による劣化から金属を保護し、劣化を抑制する。この目的を達成するために、本方法はまた、衝撃開始時に得られた速度ベクトルの結果の最大値、最小値および補償値を含む範囲内で、上記の調整可能な超音波衝撃のパラメータを設定し、振動システムが処理表面に接触した後、処理表面下の材料構造への影響を考慮して、処理表面から振動システムの跳ね返りに対する要件に基づいて、超音波衝撃の終了まで、超音波衝撃中の振動振幅を設定および変更することにより改質された表面メソ構造を提供する。
その結果、衝撃開始時には、衝撃の速度およびエネルギーは、表面層で材料のメソ構造の改質を維持し、限界レベルを超えないが超音波応力波を処理材料中に伝えるのに十分な処理表面の塑性変形を生成させる条件に対応し、音響損失は特定のその後の塑性変形に対し必要なレベルから材料のQ-係数により決定されるレベルまでの範囲内に維持されるように、振動システムが処理表面に接触する前、それらが接近する間、超音波振動の振幅および位相が設定される。
本発明の方法は、許容されるその変形率と関連する表面材料の蓄えられた動的強度に基づき、振動システムが処理表面に接近する局面での振動速度を制御する程度を設定し、これにより改質された材料および表面層メソ構造を提供する工程;特定の状態への遷移における、処理材料の、超音波衝撃による作用に対する感受性に基づき、超音波衝撃中に超音波振動強度分布を設定し、これにより、処理表面下の構造および材料の少なくとも1つの特性および/または状態を達成する工程をさらに含み、ここで、振動速度を制御する程度および超音波振動強度分布は、タスクにより規定されるように実験データまたは専門知識に基づき予め決定される。
本発明の方法では、衝撃のソフトフェーズにより開始される塑性変形中の表面材料およびそのメソ構造の改質を維持しながら、粒間欠陥ボイドを充填するのに十分な割合で、表面材料が変形される。構造的な欠陥境界は、超音波衝撃のソフトフェーズおよびフォースフェーズの作用により引き起こされる表面材料の塑性変形中に起こる力のもとで閉鎖される。欠陥境界の閉鎖表面は処理表面材料の塑性変形により引き起こされる弾性残留応力のもとで活性化される可能性がある。欠陥境界の閉鎖表面はまた、予め決められた繰り返し率の衝撃により引き起こされる力のインパルスのもとで活性化される可能性がある。
欠陥境界の閉鎖表面の活性化は、結果的に得られる振動速度を制御するプログラムにより設定される、フェーズの超音波システム端の超音波振動中における、振動システム端となる、振動システム集中質量および振動システム分散質量の運動の振動速度のベクトル和の作用、ならびに超音波衝撃により引き起こされる力のインパルスの作用に付随して起こる可能性がある。摩擦力のもとでの欠陥境界の閉鎖表面の活性化は、衝撃インパルスおよび超音波の作用中の欠陥境界の変位により引き起こされる。
欠陥境界の閉鎖表面の活性化は、超音波衝撃により引き起こされる力のインパルスの作用中に閉鎖境界を通過する超音波振動および超音波の作用に付随して起こる。本発明の方法では、欠陥境界の閉鎖はまた、材料特性および作用のタスクに対応する、フェーズの超音波衝撃の繰り返し率で繰り返し起こる、構造的な欠陥およびフラグメントの境界でのインパルス作用中の塑性変形および摩擦により引き起こされる高温領域で活性化される。
閉鎖境界の超音波自己拡散および消滅は、タスクにより規定されるような超音波衝撃の「ソフト」フェーズおよびフォースフェーズを形成および制御する条件により設定される、振動システムの静圧、力インパルス、境界での摩擦、加熱、超音波振動、および超音波応力波のもとで起こる。
本発明の好ましい態様では、Al合金におけるケイ素析出物を含む合金相の析出は、超音波衝撃を制御することにより達成される材料強度の上昇をもたらす。Al合金中の銅と同様な、不安定な相は、固溶体中での析出からの保護および劣化の進行の阻止のために、ソフト超音波接触および衝撃の段階で安定化される。
劣化を抑制し、または劣化から金属を保護するために、構造結合の弱化、外力により引き起こされる隠れた構造応力集中源の生成、およびその後の金属劣化の開始をもたらす、Al合金における銅のような、固溶体中の好ましくない析出物の逆自己拡散の活性化は、そのソフトフェーズ後の時間の超音波衝撃強度を規格化することにより達成され、合金の損失強度および延性の回復を伴う。
相移動の活性化は、時間に伴う超音波衝撃強度の予め決定された変化に従う、ソフト開始後の規格化超音波衝撃の結果として起こることが好ましい。活性化は、ナノ構造レベルでの内部応力の潜在的集中源の分布密度の再分配および減少による疲労抵抗の増大を伴うことが好ましい。
本発明の好ましい態様では、金属のナノ構造、ミクロ構造およびマクロ構造のフラグメントのレベルでの、回転、湾曲、双晶化、再結晶化、流動、滑動、降伏、および時効における材料構造の自己制御が、超音波衝撃の規格化された「ソフト」フェーズおよびその後のフォースフェーズ中の超音波衝撃により活性化される。劣化抵抗を増加させる手段としての、ミクロレベルでの材料構造の細分、均一化および配列の活性化は、タスクにより規定されるようにパラメータが規格化される、「ソフト」フェーズおよびその後のフォースフェーズ中の超音波衝撃の効果のもとで起こる。ナノレベルでの表面材料構造の最終的な最適化の手段としての、アモルファス化の活性化が、金属の塑性変形領域で金属の急激局所加熱および冷却を可能とするタスクにより規定されるような、実験データまたは専門データに基づいてパラメータが規格化される、「ソフト」フェーズおよびその後のフォースフェーズ中に超音波衝撃により開始される過程の結果として起こる。超音波衝撃のソフトフェーズおよびフォースフェーズの制御が、元の状態で劣化核形成から材料を保護し、ならびに長時間の使用中または使用後の構造の材料における劣化を阻止および抑制する。
好ましい態様では、(1)アルミニウム合金は腐食剥離から保護され、ならびに/または(2)剥離により損傷を受けたアルミニウム合金の特性は回復、および/もしくは修復される。
以下で説明するように、劣化と「闘う」公知の方法と比較して本発明の方法の作用を説明し、表面メソ構造に影響を与える際に高出力の超音波衝撃の「ソフト」フェーズを使用し、処理表面下の処理材料の特性および状態に影響を与える際の「ソフト」フェーズ後の超音波衝撃パラメータを制御することに基づく劣化抑制の多様な工学解および技術を提供する。
以下は、劣化の種類、劣化の兆候、劣化の物理、劣化発生領域、ならびに劣化を抑制する本発明に従って処理表面および処理材料に影響を与える方法の適用および変形の例である。
1つの種類の劣化は機械的疲労である。機械的疲労の兆候は疲労亀裂を含む。疲労過程は、最初に、転位密度の増加のための格子の弾性歪みの蓄積;その後、金属体積におけるサブミクロン亀裂の出現、ここで、別個のブロックの質量滑り中に臨界転位密度が達成される;および最後に、ミクロ亀裂のマクロ亀裂への成長の相を含む。これが起こるにつれ、最も激しく進行する1つのミクロ亀裂に沿って脆性破壊が起こる。機械的疲労は、橋、トンネル、線路、輸送の負荷運搬構造および負荷持ち上げ設備、航空機、ならびに輸送機関(負荷溶接部、応力集中領域)において最も頻繁に起こる。本発明の方法は、高出ソフト超音波衝撃と同期した駆動パルスの適応オンオフ時間比変調(O/OTRM)を有する、高出力「ソフト超音波衝撃」(PSUI)により、補償保護バリヤの生成および損傷材料の特性の回復を提供する。駆動パルスオンオフ時間比のそのような制御を実行するために、パルスの幅および振幅の変調を使用するが、これは、同期した超音波衝撃の周波数の増加が必要な場合に、それらの間の小さな中断(すなわち、独立した予め決定された振動抑制に対し不十分である)、または振動の独立した回復には不十分である遷移過程の長さを伴って開始される。そのような様式で、各超音波衝撃中の時間および空間における塑性変形の強度分布の制御;現存のまたは潜在的な損傷領域における、メソ構造および結晶構造、その応力変形状態、ならびに溶込み深さのスケールでの表面パラメータの制御;ならびに外部条件(加熱、負荷、環境)のもとでの材料の、相、構造の均質性、および特性の、それらが不安定な領域での安定化が達成される。
別の種類の劣化は腐食疲労である。腐食疲労の兆候は表面から伝播する疲労亀裂を含む。腐食メカニズムにより促進される疲労破損過程は、ミクロ間隙(microcrevice)でウェッジング作用を発生させる表面活性物質の吸着;および金属脆化を引き起こす水素拡散により開始される。腐食疲労は、橋、パイプライン、トンネル、海上輸送機関、および化学工業における装置(環境攻撃作用を受ける負荷溶接部および応力集中領域)で最も頻繁に起こる。本発明は吸着からの保護、および吸着含有物と構造断片との接触の阻止;吸着含有物および表面活性物質の移動度の増加、吸着表面、ならびに材料またはその構造の損傷領域における結合の損失;ならびに表面、そのメソ構造および粗さ、表面層中の残留応力およびこのため、吸着に対する表面材料抵抗の最適化(表面層中の材料密度の増加)を提供する。
別の種類の劣化は熱疲労および熱-機械的疲労である。熱疲労および熱-機械的疲労の兆候は疲労亀裂を含む。疲労破損過程では、部品は、低または高サイクル温度効果およびそれにより引き起こされる機械的変動応力により周期的に変形される。これが起こるにつれ、エネルギー獲得および消費の固有の基本過程、ならびに機械使用中に付随する原因により加熱が引き起こされる可能性がある。熱疲労および熱-機械的疲労は、火力および原子力発電所、冶金工場(ボイラー、炉)、自動車および鉄道輸送機関、ならびに機械(制動装置の部品)の取り扱いにおいて最も頻繁に起こる。本発明は、元の状態および使用中において熱損傷および熱-機械的損傷に対する抵抗の増大;分散した残留応力の補償バリヤの生成、熱損傷および熱-機械的損傷が蓄積した領域における応力および変形勾配の緩和、結晶粒材料による構造欠陥の領域における粒間空間の充填、ならびに粒界での超音波拡散に基づく材料特性の維持および回復;ならびに制動における時間および熱損失を減少させる手段としての摩擦対(friction couple)表面の最適化を提供する。
別の種類の劣化は化学腐食である。化学腐食の兆候は、材料の均一溶解、ピッティングおよびピンポイント腐食、ひび、間隙(crevice)腐食、および腐食剥離を含む。化学腐食の物理は、金属-環境化学相互作用(ガスまたは液体)、表面での新規化学化合物の形成、材料強度の減少、および応力集中源の形成を含む。化学腐食の負の効果は、化学工場、原子力技術、パイプライン輸送(タンク、パイプライン、反応炉)、航空機、ならびに海洋、鉄道、および自動車輸送機関(外板、船体めっき)において最も頻繁に起こる。本発明は影響を受ける元の表面の保護および材料特性の回復;メソ構造および結晶構造の改良、表面材料のアモルファス化、PSUI中の「トランスデューサ-圧子-表面」システム(TIS)における振動振幅変化の関数の定式化に基づく、表面材料の残留圧縮応力の補償バリヤの生成;結晶間腐食により引き起こされる構造的破損領域における粒界でのパルスおよび超音波拡散;ならびに材料の塑性変形、結晶粒サイズ均一性の増加、結晶粒材料による粒間空間の充填、粒界でのパルス超音波拡散を提供する。
別の種類の劣化は電気化学腐食である。電気化学腐食の兆候は、金属溶解に付随する局所(ピッティング)および広範表面腐食損傷を含む。金属-環境電気化学相互作用メカニズムは以下を含む:陽極過程-溶液中で水和されたイオンおよび金属中で補償されていない電子の形成を伴う金属原子イオン化;陽極反応ゾーンから、熱力学的および動力学的観点から陰極過程が実施可能な領域までの電子移動過程;陰極ゾーンへの酸化剤-減極剤の適用の過程(金属イオンおよび電解質イオンの反応);陰極過程-減極剤による、陰極ゾーンでの過剰な電子の消失、減極剤に対し、回復過程の熱力学的条件が提供される;ならびに、この領域での表面幾何学的な均質性の崩壊および撹乱、構造結合の弱化、ならびに材料強度の減少。電気化学腐食は、海上輸送機関(船体めっき、プロペラ)、化学工業(タンク、反応器)、パイプライン、表面下ラインおよび海面下ラインにおいて最も頻繁に起こる。本発明に従って電気化学腐食の負の効果を抑制する手段は、材料の元の状態における電気化学腐食補償バリヤの生成、およびその特性の回復;陽極過程の遅延手段としての、表面のミクロ形状およびマクロ形状の最適化、表面材料の結晶構造の均質性、表面材料のナノ結晶化およびアモルファス化;表面欠陥の電気化学腐食の局在化を遅延させるための、表面塑性変形、圧縮応力領域の生成、および材料密度の増加;ならびに、最適表面メソ構造の場合の上記表面状態を形成するためのPSUIメカニズムの使用を含む。
別の種類の劣化は熱腐食である。熱腐食の兆候は材料溶解および蒸発、ならびにスケール形成を含む。熱腐食の物理は高温誘導された金属-環境化学相互作用を含む。熱腐食は、火力および原子力発電所、冶金工場(ボイラー、炉)、および化学工場(反応器)において最も頻繁に起こる。本発明は、保護用耐熱コーティングの適用において、および必要であれば、スケール層上でのこれらの操作の繰り返しにおいて、ならびに表面材料の特性が修復される必要がある場合、PSUIメカニズムを使用して、品質を最適化し、表面合金深さ(surface alloying depth)を増加させることにより、材料の元の状態における化学腐食補償バリヤの生成およびその特性の回復を提供する。
別の種類の劣化は放射線腐食である。放射線腐食の兆候は腐食孔および亀裂を含む。腐食過程の動力学への放射線放射効果のメカニズムは、水への照射により引き起こされ、水のイオン化による陰極過程を促進する放射線分解効果;ならびに、金属表面層および酸化膜中の欠陥をもたらす、弾性および熱金属表面-放射粒子相互作用からなる破損効果を含む。これらの欠陥は陽極過程を促進し、腐食速度に最も著しい効果を有する。放射線腐食の負の効果は、原子力技術、軍事施設、および宇宙システムにおいて最も頻繁に起こる。本発明の処理表面および処理材料に影響する方法は、保護用耐熱コーティングおよび放射線抵抗コーティングの適用において品質を最適化し、表面合金深さを増加させる;粗さ、メソ構造、ミクロ結晶粒構造、および材料アモルファス化の観点から表面状態を最適化する;ならびに、好ましい圧縮応力場を生成し、表面材料密度を増加させるのためのPSUIメカニズムを使用して、影響を受ける材料の元の状態における放射線腐食補償保護バリヤの生成、およびその特性の回復を提供する。損傷層上でのこれらの操作の繰り返しにより、影響を受ける元の材料のレベルで表面材料の放射線抵抗の回復が提供される。
別の種類の劣化は腐食亀裂である。腐食亀裂の兆候は腐食亀裂を含む。腐食亀裂のメカニズムは、金属の表面エネルギーを減少させ、原子結合の破損を促進する、移動可能な転位および他の構造的な欠陥における溶液陰イオンの吸着;金属表面上でのミクロ間隙(microcrevice)での表面活性物質の吸着におけるウェッジング作用の結果としての、亀裂核形成の発生を含む。この場合の高い亀裂の進行速度は、亀裂ベースでの金属の加速された陽極溶解により引き起こされ、ここで、応力変形状態は概して、引張応力集中により決定される。腐食亀裂は、化学工場、原子力技術、およびパイプライン輸送(タンク、パイプライン、ポンピング設備、反応器)において最も頻繁に起こる。本発明に従った腐食亀裂からの保護法は、品質、接着を最適化するか、または潜在的にもしくは実際に損傷を受けた表面に適用される保護用コーティングの合金深さを増加させる、ならびにメソ構造の最適または特定状態における予め決められた深さまでそれを強化もしくは改変する際に好ましい圧縮応力を表面内に導入する;構造を改良し、ならびに移動可能な転位、および表面エネルギーを減少させ、原子結合を弱化する、他の構造的な欠陥における溶液陰イオンの吸着を不可能にする材料構造の応力変形状態を生成する;表面メソ構造を最適化し、金属表面上でのミクロ間隙(microcrevice)での表面活性物質の吸着におけるウェッジング作用の結果としての、亀裂核形成を阻止する;大きさおよび深さが亀裂ベースの加速された金属の陽極溶解により引き起こされる高い亀裂伝播速度からの保護に十分である、最適メソ構造を有する表面上で圧縮応力場を生成し、応力変形状態が概して引張応力集中により決定されるための、PSUIメカニズムを使用することによる、材料の元の状態におけるおよびその特性の回復における腐食亀裂の形成に対する補償保護バリヤの形成を提供する。
別の種類の劣化は水素脆化である。水素脆化の兆候は強度特性の低下および脆性亀裂を含む。水素脆化のメカニズムは、原子水素のボイド、細孔、および他の格子欠陥中への溶込み;高圧を生成する分子ガスへの水素変態;金属および不純物との化学化合物の形成を伴う、部品表面および内部欠陥上への原子水素の吸着;ならびに金属の表面エネルギーおよび脆性破壊抵抗の減少を含む。水素脆化は、冶金工場および工学的プラント、パイプライン(溶接構造、ガルバニプラント)、石油化学工場(反応器)、および航空機(外板)において最も頻繁に起こる。本発明に従った水素脆化からの保護法は、PSUIメカニズムを使用して、ガルバニコーティングの表面合金品質、接着強度および密度を強化する;大きさおよび深さが、原子水素のボイド、細孔、および他の格子欠陥中への溶込みにより引き起こされる可能性のある強度特性の低下および脆性亀裂の形成からの保護にとって十分である、最適メソ構造を有する表面上で圧縮応力場を生成する;高いフラグメント間圧力を生成する分子ガスへの水素変態;金属の表面エネルギーおよび脆性破壊抵抗を減少させる金属および不純物との化学化合物の形成を伴う材料表面および内部欠陥上への原子水素の吸着を提供する。
別の種類の劣化は液体-金属脆化である。液体-金属脆化の兆候は強度特性の低下および脆性亀裂を含む。液体-金属脆化の物理は、固体金属破損前ゾーンへの溶融金属の吸着溶込み;ならびに損傷領域の表面エネルギーおよび金属破断抵抗の減少を含む。液体-金属脆化は冶金工場(ガルバニ製造)において最も頻繁に起こる。本発明に従った液体-金属脆化の阻止または「治癒」法は、PSUIを使用して、大きさおよび深さが、強度特性の低下、脆性亀裂の形成、固体金属破損前ゾーンへの溶融金属の吸着溶込み、表面エネルギーおよび金属破断抵抗の減少からの保護に十分である、最適メソ構造および圧縮応力場を表面上に生成させる。
別の種類の劣化は浸食である。浸食の兆候は表面レリーフ変化を含む。浸食の物理は、移動する液体、ガス環境、またはそれにより運ばれた粒子との本体の接触の結果として、影響を受ける表面との固体粒子の衝撃の結果として影響を受ける本体表面からの固体粒子の分離を含む。浸食は、パイプライン輸送(パイプ、ポンピング設備)、航空機(タービン)、海上輸送機関(プロペラ)、ロケットおよびミサイル(外板)において最も頻繁に起こる。本発明に従った浸食表面の阻止または回復法は、PSUIを使用して、大きさおよび深さが、移動する液体、ガス環境、またはそれにより運ばれた粒子との本体の接触の結果としての、または影響を受ける表面上での固体粒子の衝撃の結果としての、本体表面からの固体粒子の脱離からの保護十分である、最適密度、粗さ、メソ構造、および圧縮応力場を表面に生成する。
劣化の別の型はクリープである。クリープの兆候は、粒界でのミクロ亀裂および細孔(ミクロボイド)の形成ならびに下部構造形成を含む。クリープのメカニズムは下記を含む:滑動および滑り(転位図);双晶化;滑り面の湾曲;薄層形成;結晶粒の回転および相対運動;モザイクブロックの回転および相対シフト;ポリゴニゼーション;拡散可塑性(diffusion plasticity);再結晶メカニズム;ならびにミクロレベルおよびマクロレベルでの欠陥および構造損傷の結合。クリープは、火力および原子力発電所、石油化学工業、および航空機(高温で動作する構造、反応器本体、およびタービン翼)において最もしばしば起こる。本発明によるクリープを阻止および「回復(healing)」する方法は、最適密度、メソ構造状態、および充填サイズの結晶粒(grain in a packing size)、ならびに表面および表面下の圧縮マクロ応力場および圧縮ミクロ応力場を達成するためのPSUIの使用を提供し、その大きさおよび深さは、粒界および下部構造でのミクロ亀裂および細孔(ミクロボイド)の形成、滑動および滑り(転位図に基づく)、双晶化、滑り面の湾曲、薄層形成、結晶粒の回転および相対運動、モザイクブロックの回転および相対シフト、ポリゴニゼーション、拡散可塑性、再結晶化、ならびにミクロレベルおよびマクロレベルでの欠陥および構造損傷の組み合わせからの保護に十分なものである。
劣化の別の型は微細構造劣化である。微細構造劣化の兆候は材料の強度特性の低下を含む。微細構造劣化のメカニズムは、変形した本体で進行するミクロ表面による環境からの分子の吸収(レビンダー効果)、および微細構造の大きな変化を伴わない不安定相の変換による、やがて起こる好ましくない金属相状態の安定化(時効)を含む。微細構造劣化は、発電所、精製所(骨組構造)、パイプライン、海上輸送、および航空機(本体、外板)において最もしばしば起こる。本発明による微細構造劣化を阻止および「回復」する方法は、材料の最適密度、材料表面上のメソ構造、ならびに表面での塑性変形および圧縮応力場の規格化の創出におけるPSUIの使用に基づいており、その大きさおよび深さは、微細構造劣化により引き起こされる材料強度特性の低下を阻止するのに十分であり、微細構造劣化は、変形した本体で進行するミクロ表面による環境からの分子の吸収(レビンダー効果);および/または微細構造の大きな変化を伴わない不安定相の変換による、やがて起こる好ましくない金属相状態の安定化(時効)を含みうる。
劣化の別の型は放射線脆化である。放射線脆化の兆候は、降伏強度の急激な増加を伴う脆性亀裂を含む。放射線脆化の物理は、中性子が金属原子に移行させるエネルギー量に応じて金属格子内で原子をシフトさせるまたはシフトカスケード(shift cascade)を生成させる中性子ストリーム(neutron stream)を含み、格子間原子の増加した密度を有するゾーンにより周囲に沿って囲まれた、高度に空格子点が集中した体積がもたらされる。放射線脆化は、原子力発電技術(反応器)、宇宙システム、および軍事施設(ミサイル本体外板)において最もしばしば起こる。本発明による放射線脆化を阻止または「回復」する方法は、表面上および表面下での塑性変形および圧縮応力場の規格化による、処理材料の最適密度およびメソ構造を達成するためのPSUIの使用を提供し、その大きさおよび深さは、降伏強度の急激な増加の場合、中性子が金属原子に移行させるエネルギー量に応じた金属格子内での原子シフトまたはシフトカスケードにより(中性子ストリームのもとで)引き起こされる脆性亀裂の形成、その後、格子間原子の増加した密度を有するゾーンにより周囲に沿って囲まれた高度に集中した空格子点の形成を阻止するのに十分なものである。
劣化の別の型は剥離である。剥離の兆候は応力集中源の形成および強度の損失を伴う金属の表面腐食剥離を含む。剥離の物理は腐食および水素脆化の相乗効果を含む。剥離は航空機において最もしばしば起こる。本発明による進行中の腐食剥離を阻止または抑制する方法は、メソ構造の保証された改質を有する処理材料の最適密度を達成するための、ならびに、この塑性変形領域、塑性変形自体、ならびに処理表面上および処理表面下の圧縮応力場からの、局在点加熱および熱遮断率の形成および規格化の条件のための、実験的に見出された要求に対応するレベルおよび時間のパラメータを有するPSUIの使用に基づいており、その大きさおよび深さは下記をもたらすのに十分である:
−特に、腐食および水素脆化の相乗効果により引き起こされるこれらの損傷領域における、応力集中源の形成および強度の損失を伴う金属の表面腐食剥離を阻止する、または金属特性の回復する、
−材料、例えばCuの構造的結合および強度のレベルの低下をもたらす、成分の析出を引き起こす不安定相の形成を阻止する、
−構造断片の境界での自己拡散の活性化、および粒界での腐食亀裂の除去を提供する、
−その閉鎖境界中の細孔または他の型の粒間不連続などの構造上のマクロ欠陥およびミクロ欠陥を排除する、および自己拡散過程を活性化する、
−析出物の逆拡散および安定相の回復を提供する、
−合金元素の析出、それらの集中密度およびこの領域での材料強度の上昇をもたらす;
−不安定相の固溶体からの析出物により引き起こされる、応力集中領域での構造機械応力の補償、再分配、または緩和を確保する、
−超微細結晶粒構造を形成する、これをアモルファス化する、材料強度およびこの耐食性を増加させる。
上記で詳細を記した特定の技術解決策により、本発明の金属劣化抑制法の適用の特定の例への移行が可能になる。様々な材料に対して超音波衝撃を使用する開発された方法の作用により生成される、達成された技術効果の詳細を下記に示す。この作用およびその条件の実験研究結果ならびに達成される効果もまた、下記に詳細に示す。より詳細には、本発明の方法による金属中の劣化現象の抑制に対する超音波衝撃の効果を下記で詳細に記す。
このように、鋳鉄では、達成される材料効果は、鋳鉄製の自動車ブレーキドラムおよびブレーキディスクの寿命延長である。結果を図52〜53に示す。図52は微小硬度分布を示し、図53は残留応力分布を示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;A − 30μm;圧力 − 21kg;圧子 − 6.35×25mm、R5.5mm;Dia. − 419mm;Rot. − 190RPM;パス1:送り − 0.8mm/分;パス2:送り − 0.4mm/分。この材料効果は、高レベルの圧縮応力の導入、表面層の微小硬度の増加、ならびに使用およびプロセス誘起(service and process-induced)損傷からのメソ構造の保護により達成される。
本発明による、UITによる鋳鉄の別の材料効果は、特に、VCh45-5型の鋳鉄製の水鋳鉄パイプANSI/AWWA C151/A21.51-96の腐食強度の増加である。結果を図54〜56に示す。より詳細には、図54は100μmの深さの未処理試験片の構造を示し、図55は100μmの深さのUIT処理試験片の構造を示し、図56はUITで処理した試験片とUITで処理していない試験片との、水道水中で試験した比較を示す。この材料効果に対するUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 44kHz;A − 18μm;圧力 − 5kg;圧子 − 5×25mm、R5mm;Dia. − 230mm;Rot. − 16RPM;送り − 0.25mm/分。この材料効果は、規格化された激しい塑性変形による表面層構造の改良、圧縮応力領域の生成、および使用中にメソ構造損傷を開始させる表面欠陥の抑制により達成される。
鋼では、達成される材料効果は、Weldox 420鋼における溶接試験片の疲労抵抗の増大である。結果を図57に示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;P − 最大900W;A − 30μm;圧力 − 5kg;超音波衝撃期間 − 1.2〜2msec。この材料効果は、高レベルの圧縮応力の導入、応力集中の減少、超音波塑性変形、および応力集中領域での処理材料の構造上の改良により達成される。好ましい関係は、超音波振動、圧力、および圧子サイズの条件の間で実験的に確立され、プロセス誘起損傷および使用中の動作損傷からのメソ構造の保護、ならびにPSUIの使用を伴う表面の調製が確実となる。
鋼で達成される別の材料効果は、Weldox 700鋼における溶接試験片の疲労抵抗の増大である。結果を図58に示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;P − 最大900W;A − 30μm;圧力 − 5kg;超音波衝撃期間 − 0.8〜1.2msec。この材料効果は、高レベルの圧縮応力の導入、応力集中の減少、超音波塑性変形、および応力集中の領域での処理材料の構造上の改良により達成される。関係は、超音波振動、圧力、および圧子サイズの条件の間で実験的に確立され、プロセス誘起損傷および使用中の動作損傷からのメソ構造の保護、ならびにPSUIの使用を伴う表面の調製が確実となる。
鋼で達成される別の材料効果は、45Mn17A13鋼の腐食-疲労強度の増加である。結果を図59に示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;P − 最大900W;A − 30μm;圧力 − 5kg;超音波衝撃期間 − 1.5〜2msec。この材料効果は、高レベルの圧縮応力の処理表面および処理材料中への導入、ならびにそれらの構造の改良により達成される。関係は、超音波振動、圧力、および圧子サイズの条件の間で実験的に確立され、使用中のメソ構造の保護、および本発明による超音波衝撃の使用を伴う表面の処理が確実となる。
鋼で達成される別の材料効果は、橋鋼10CrSiNiCuの衝撃強度の増加である。結果を図60に示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;P − 900Wまで;A − 30μm;圧力 − 5kg;超音波衝撃期間 − 1.2〜1.7msec。この材料効果は、ナノレベルのブロック構造の配列、ならびに、タスクにより規定され、その後、作用力に基づいて規定される超音波衝撃により開始された準静的負荷および動的負荷による処理材料に対する作用中のメソ構造損傷を遅延させるのに十分な圧縮応力領域の生成により達成される。
鋼で達成される別の材料効果は、高強度鋼SUJ2およびS33Cにおける結晶粒微細化である。結果を図61に示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;A − 25、30、および33μm;NI80;圧力 − 20kg;圧子 − 6.35×25mm;Dia. − 5mm;Rot. − 500RPM;超音波衝撃期間 − 1.5〜1.6msec。この材料効果は、処理材料の激しい超音波塑性変形、およびナノレベルのミクロ構造の配列、およびメソ構造損傷の抑制により達成される。
鋼で達成される別の材料効果は、主パイプラインの10Mn2VNb鋼溶接継ぎ手および高強度鋼SUJ2の試験片における「ホワイトバンド(white layer)」の獲得である。結果を図62〜63に示す。より詳細には、図62は10Mn2VNb鋼の溶接継ぎ手を示し、図63はSUJ2鋼の試験片を示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:
10Mn2VNb鋼について:f − 27kHz;P − 最大900W;A − 30μm;超音波衝撃期間 − 0.8〜12msec。
SUJ2鋼について:f − 27kHz;A − 25、30、および33μm;NI80;圧力 − 20kg;圧子 − 6.35×25mm;Dia. − 5mm;Rot. − 500RPM。この材料効果は、高い変形負荷率での規格化超音波衝撃のもとでの表面材料の激しい超音波塑性変形、相変態領域での局所ウオーミングアップ(local warming-up)、および衝撃領域からの急激な熱除去により達成される。
鋼における別の材料効果は、下記を含む、溶接炭素船構築鋼10CrSiNiCuにおける溶接金属結晶化に対するUITの効果により達成される:(1)処理溶接部(UIT後)よりもずっと粗い未処理溶接部(UIT前)における樹枝状構造;(2)UIT処理溶接部で主流となる、好ましくはより細かい結晶粒を有する、結晶粒構造;および(3)UIT後よりも、厚い粒間層において、長くかつ広いUIT前の未処理溶接部における樹枝状結晶。この効果を図64〜65に示す。より詳細には、図64はUIT無しの溶接を示し、図65はUITを用いた溶接を示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;A − 30μm;圧力 − 20kg;圧子 − 6.35×25mm;超音波衝撃期間 − 1.5〜2msec。この材料効果は、超音波衝撃中に圧子超音波振動により超音波振動システムのキャリヤの振動と同期して開始される、超音波、音響流(acoustic flow)、音圧、およびキャビテーションの作用下での拡散過程および金属再結晶化の増大により達成される。
材料の構造および状態に影響する別の材料効果は、焼結粉末鋼のUITにより達成される。これは、(1)最大4.9%の密度の増加;および(2)最大32%の強度の増加を含む、0.4%のC、0.85%のMo、残りFeを含有する鋼試験片の機械的特性の強化を提供する。UIT前およびUIT後の焼結試験片の構造状態を、それぞれ、図66〜67に示す。これを達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;A − 28μm;NI 64;圧力 − 17kg;圧子 − 6.35×25mm;送り − 400mm/分;横送り − 0.5mm/行程;0.5YSのレベルでの静圧縮;超音波衝撃期間 − 1.2〜2msec。この材料効果は、表面材料の激しい超音波塑性変形、およびそれによる、超音波衝撃中に超音波により引き起こされる拡散過程の活性化により達成される。
本発明のUITによりアルミニウム合金において達成される材料効果は、6061 T6合金製の試験片での21%増加した疲労限界、および溶接継ぎ手の型と等価な構造での32%増加した疲労限界である。結果を図68に示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;P − 最大900W;A − 最大30μm;処理速度 − 1.2秒/cm/2パス、すなわち重ね溶接では0.6秒/cm/パス;超音波衝撃期間 − 1.2〜1.7msec。この材料効果は、高レベルの圧縮応力の導入、応力集中の減少、および欠陥レベルに対応する塑性変形および圧縮応力が誘導された領域でのメソ構造欠陥形成に対する物理障壁の生成により達成される。
アルミニウム合金で達成される別の材料効果は、特にアルミニウム合金AA5083(またはAlMg4.5Mn)の溶接部の高サイクル疲労強度であり、8mmの重ね継ぎおよび縦アタッチメントを有する試験片では約80%であった。結果を図69〜70に示す。より詳細には、図69は、縦アタッチメントを有する8mm試験片に対するS-N曲線を示し、図70は重ね継ぎの8mm試験片に対するS-N曲線を示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;P − 最大900W;A − 最大30μm;超音波衝撃期間 − 1.2〜1.7msec。この材料効果は、本発明による超音波衝撃中の、固溶体中における超音波再結晶化、および粒界での超音波拡散の活性化による、高レベルの圧縮応力の導入、応力集中の減少、および可能性のあるメソ構造損傷の抑制により達成される。
アルミニウム合金で達成される別の材料効果には、表面近く、とりわけ最大2.5mmの深さでの鋳造多孔性の抑制であり、この結果として、合金AlSi7Mg、AlSi9Mg、およびAlSi11Mg製の鋳造ホイール、とりわけ自動車ホイールの寿命の延長がある。結果を図71〜72に示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;送り − 400mm/分;横送り − 0.5mm/行程;圧力 − 15kg;A − 30μm;パス1:圧子 − 6.35×25mm、R 5.5mm;パス2:ピン − 9.05×25mm、R 10mm;超音波衝撃期間 − 1.2〜1.7msec。この材料効果は、特に、本発明の規格化された超音波衝撃、および超音波衝撃により変形された材料における超音波応力波の伝播中の変形抵抗の減少により引き起こされる、構造に対するその影響に付随する効果のもとでの、処理材料の表面近くの層の激しい塑性変形、超音波衝撃のもとで閉鎖された、材料の細孔または不連続の形態の欠陥境界での超音波拡散、ならびに、塑性変形のレベルに対応する、規格化された塑性変形および圧縮応力の領域でのメソ構造欠陥の抑制により達成される。
処理材料の強度の増加に加えて、本発明に従うUITによりアルミニウム合金で達成される別の材料効果は、特に、合金AlSi7Mg、AlSi9Mg、およびAlSi11Mg製の鋳造ホイールの処理における、処理材料の衝撃強度の維持である。結果を図73〜74に示す。より詳細には、図73は強化された切欠きを有する試験片に関する衝撃強度を示し、図74は強化ホイールから切り出した試験片に関する衝撃強度を示す。UITおよび超音波衝撃加工(UIM)条件により、元の材料のレベルでの衝撃負荷により引き起こされる激しい塑性変形領域で衝撃強度を固定することができた。超音波衝撃により開始される超音波応力波の作用領域では、衝撃強度は12%増加する。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;送り − 400mm/分;圧力 − 15kg;ピン − 9.05×25mm、R 0.25mm;くさび 44°;条件1:A − 10μm;条件2:A − 20μm;条件3:A − 30μm;超音波衝撃期間 − 1.2〜1.7msec。別のUIT条件は下記である:f − 27kHz;圧子 − 6.35×25mm、R 25mm;UIT条件:パス1:A − 20μmおよびパス2:A − 12μm;UIM条件:V − 18m/分;送り − 0.5mm/rev.;圧子 − 6.35×33mm、R 25mm;パス1:圧力 − 15kgおよびA − 22μm;パス2:圧力 − 7kgおよびA − 12μm;超音波衝撃期間 − 1.2〜1.7msec。UIMおよびUIT中、激しい塑性変形下、構造歪みが起こる可能性があり、これはそのため、結晶粒スケールで処理材料中の転位および他の欠陥の形成を遅延させる可能性があり、本発明によれば、応力集中源のUIT後、Charpy試験片の衝撃強度が試験片サイズ、すなわち、変形材料と非変形材料との間の体積比に直接依存する条件を規定する。説明の観点から、Charpy試験は、通常切欠きがある試験片が、両端で単純梁として支持され、切欠き、動的応力集中源で、落下振り子の衝撃により破損される、振り子型一撃衝撃試験である。吸収されるエネルギーが、(破損される試験片への衝撃の後)その後の振り子の上昇により計算される衝撃強度のまたは切欠き靱性の測定値として考えられる。さらに、Charpy値は、本発明によれば、本発明の超音波衝撃およびこれにより開始される超音応力波の作用中に塑性変形を規格化することにより制御される、切欠きメソ構造の状態により直接影響を受ける。
本発明に従うUITによるアルミニウム合金において達成される別の材料効果は、AlSi11Mg合金の固溶体からのケイ素含有物の特異的な析出であり、これらは合金化含有物であり、材料強度を増加させる。この効果を図75〜77に示す。より詳細には、図75は未処理試験片構造を示し;図76はUIT処理試験片上でのケイ素析出物を示し、図77は未処理試験片およびUIM試験片の深さの微小硬度分布を示し、特に、層内でのケイ素含有物の析出による、処理表面および少なくとも2mmの深さでの処理材料の微細強度の増加が明確に証明される。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;V − 18m/分;送り − 0.5mm/rev.;圧子 − 6.35×25mm、R 25mm;パス1:圧力 − 15kgおよびA − 22μm;パス2:圧力 − 7kgおよびA − 12μm;超音波衝撃期間 − 1.2〜1.7msec。この材料効果は、本発明に従いUIMにより、層内で起こる構造変化による表面層の強化により達成される。表面層では、より固体の共晶構造(α+Si)+Siが、元の構造(α+共晶(α+Si)+Si)の2相状態から形成する。この過程はまた、超音波衝撃のもと、ケイ素含有物の表面への移動を伴い、表面近くの層でのケイ素析出によってAl-Si合金が強化される客観的な可能性を実質的に反映する。
本発明に従うUIT/UIMによるアルミニウム合金において達成される別の材料効果は、腐食剥離後の2024-T351合金の特性の回復である。本発明によるUIT後、剥離試験片の降伏強度は33%増加し(未処理非剥離材料に対しては19%増加)、極限強度は24%増加した(未処理非剥離材料に対して、UIT/UIM後、増加は、計測精度内での材料の典型的な強度までとする)。結果を図78〜79に示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 36kHz;圧子 − 5×17mm、R 25mm;A − 18μm;NI64;圧力 − 3kg;送り − 400mm/分;横送り − 0.5mm/行程;超音波衝撃期間 − 1.0〜1.3msec。この材料効果は粒界での超音波衝撃拡散により達成される。
本発明に従うUITによるアルミニウム合金において達成される別の材料効果は、航空機翼外板パネルから切り出された7075-T6合金製の試験片の、軽度の腐食試験片では3.2倍および重度の腐食試験片では2.9倍の試験片サイクル寿命の増加である。図80は異なる腐食度を有する試験片の疲労抵抗に関する本発明によるUITの効果を示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:F − 36kHz;圧子 − 5×17mm、R 25mm;A − 20μm;NI64;圧力 − 3kg;送り − 400mm/分;横送り − 0.5mm/行程;超音波衝撃期間 − 1.0〜1.3msec。本発明のUITは亀裂核形成メカニズムを変化させる。このように、UIT無しの腐食試験片では、亀裂は腐食領域および基材の界面上の粒間亀裂から核形成し;本発明によるこれらの部分のUITにより、軽度の腐食試験片では、亀裂は核形成しない。この効果は、激しい超音波塑性変形のもと、粒間腐食損傷領域における粒界間での超音波拡散が後に続く、粒界の機械的閉鎖により説明される。
本発明に従うUITによるアルミニウム合金において達成される別の材料効果は、元の状態に対する、2024-T351合金の冷延プレートのより微細化された構造である(平均16.52nmから8〜10nm)。結果を図81〜82に示す。より詳細には、図81はUIT処理前の表面層の構造を示し、図82はUITにより微細化されたより細かい結晶粒構造を示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 36kHz;圧子 − 5×17mm、R 25mm;A − 15μm;NI64;圧力 − 3kg;送り − 1000mm/分;横送り − 0.5mm/行程;超音波衝撃期間 − 0.9〜1.2msec。この結晶粒微細化の材料効果は下記により起こる:さらなる変形を理由とする高い転位密度および双晶構造の形成;ミクロバンド構造の形成;ミクロバンド構造のサブミクロン結晶粒への細分;ならびに等軸とする亜結晶粒のさらなる分解。
本発明に従うUITによるアルミニウム合金、とりわけ2024-T351合金の冷延プレートにおいて達成される別の材料効果は、析出物の移動および幅10〜15nmのミクロバンドの発生である。これはサブファイン結晶粒(subfinegrain)構造自己配列の過程と同時に起こり、表面層におけるナノレベルでのメソ構造の機械的および腐食損傷に対する抵抗を増加させる。このように、本発明のUITにより起こる2つの効果は、表面層における微小硬度の増加、このため、材料の静的強度の増加、ならびに、析出物の分布密度、すなわち構造応力集中源の減少による疲労強度改善、および表面層の構造均質性の増加に対する条件の生成である。この効果を図83〜85に示す。より詳細には、図83は微小硬度分布を示し、図84は本発明のUIT処理前の表面層構造を示し、図85はUIT試験片中のミクロバンドを示す。エネルギー分散分光法(EDS)を用いた析出物の検査により、析出物はAl、Cu、Fe、Mn、およびSiに富むことが識別された。しかしながら、析出物の密度は、UITサンプルの表面および表面近くで最小を示すことがわかった。「圧延時(as-rolled)」状態との比較により、UIT後の析出物のサイズが、減少したスケールを示し、その密度がバンド内で最大を示すことが明らかになる。上記観察結果の総合的な比較によると、潜在的な応力集中分布密度は一般に構造レベルで減少する。これは、疲労損傷の形成に抵抗する材料の能力を増加させるために必要な条件と考えてもよい。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 36kHz;ピン − 5×17mm、R 25mm;A − 18μm;NI64;圧力 − 3kg;送り − 400mm/分;横送り − 0.5mm/行程;超音波衝撃期間 − 1.0〜1.3msec。この材料効果は、高エネルギーおよび高温が臨界レベルに到達し、これにより、析出物の移動が引き起こされる可能性のある、幾何学的な動的再結晶過程により達成される。いずれの場合でも、この効果は、超音波衝撃の規格化された作用、局所加熱、熱除去、規格化された超音波応力波の分布、およびそれらの結果としての、金属塑性変形の適正化に付随して起こる。
本発明に従うUITによる青銅において達成される材料効果は、特にCu3青銅プロペラ(BrAl9Fe4Ni4)の腐食疲労強度の増加である。結果を図86〜87に示す。より詳細には、図86は未処理サンプル表面に対する腐食損傷を示し、図87はUIT後のサンプル表面を示す。この材料効果を達成するためのUIT条件は好ましくは下記の通りである:f − 27kHz;P − 900W;A − 最大30μm;ピン − 3×20mm、R3mm。この材料効果は、高レベルの圧縮応力の導入、表面層構造の改良、細孔などの構造欠陥の境界閉鎖での超音波拡散、損傷からの保護、ならびにミクロレベルおよびマクロレベルでのメソ構造損傷の抑制により達成される。
異なる性質の亀裂が、主な型の金属劣化の最も一般的な最終的証拠を示すので、亀裂の開始および進行の動力学に対するUIT効果の特定の方法は下記を含む:
(a)開始後は潜在的なかなり速い亀裂進行を伴う亀裂開始において、「長い」遅れを可能にし、かつ上記で説明した本発明のUIT技術による抑制を可能とする、例えば、0.5μm以下の粗さを有する、「非常に」滑らかな表面、および最大0.7mmの比較的浅い深さまで誘導される残留圧縮応力;
(b)共に、亀裂開始に対する、およびやや顕著だが0.7〜1.5mm以上の深さまでの高い圧縮応力で開始した後の進行に対する、より長い材料抵抗を可能にする、0.5μmおよびそれ以上の粗さを有する滑らかな表面、無傷のメソ構造、および1.5mmまでの中程度の深さまで誘導される圧縮応力;
(c) 亀裂開始に対するより高い材料抵抗をもたらし、微細結晶粒構造および圧縮応力場の領域で開始した後の亀裂の進行を抑える、表面下の無傷のメソ構造を有する滑らかな表面(0.003mm以下の深さまで小規模な表面損傷が可能である)、表面下の層中の微細結晶粒、および最大2.5mmのさらなる深さまで誘導される圧縮応力;
(d)亀裂開始に対するより高い材料抵抗をもたらし、微細結晶粒および/またはアモルファス構造の領域で開始した後の亀裂の進行を抑え、処理材料の降伏強度に対して実質的な圧縮応力の場での亀裂遅延を持続させる、表面下の無傷のメソ構造を有する滑らかな表面(0.008mm以下の深さまで小規模な表面損傷が可能である)、表面に近い層中の微細結晶粒およびアモルファス構造、ならびに、制御された超音波衝撃を使用して所与の材料に対し最大限の深さ(最大4.0mm)まで誘導される圧縮応力。
さらに、本発明のUITの下記効果により、亀裂の開始が「解決」し、疲労亀裂の進行が遅延される:
(a)亀裂境界の拡散接合;
(b)亀裂進行ゾーンの残留圧縮応力領域中への埋没(submersion)(亀裂保存);
(c)未損傷金属までの亀裂金属表面層の除去(研磨研削に類似)。
上記材料効果は、ソフトフェーズ及びフォースフェーズ中の超音波衝撃パラメータを制御することにより達成される。また、超音波衝撃パラメータを設定する主な基準は、制御の深さに対する要求を支配する特定のエンジニアリングタスクである。さらに、超音波衝撃パラメータは実験データまたは専門家データに基づき設定される。このように、本発明によれば、超音波衝撃パラメータ、具体的には、衝撃開始時における得られた速度、衝撃エネルギー、衝撃の繰り返し率および時間、衝撃の振幅および相を制御する深さは、実験データまたは専門家データに基づき、特定のタスクにより規定され、ここで、これらのパラメータは特定の技術要求および実際の結果に基づき5%からランダム値までのばらつきを用いて設定される。
上記詳述した結果により、本発明の超音波衝撃を使用して、金属劣化を開始させる現象を抑制し、これが機械および構造の使用中に起きた場合そのようなものとして劣化を抑制する、(本方法により開発された)技術における高い技術的有効性が確認される。
少なくとも1つの所望の材料効果を提供して、任意の所望の技術効果またはタスクを達成すべき、個々の、または組み合わせのいずれかの材料に対して、上記エンジニアリング解決策により、劣化の上記のいかなる型またはいかなる兆候をも阻止または抑制することができることは、理解されるべきである。例えば、腐食亀裂に基づく劣化は、個々に扱い、1つの技術効果を達成することができ、または、例えば、熱亀裂および/または浸食と組み合わせて扱い、さらなる技術効果を達成することができる。このように、異なるデータ要素は交換可能であり、異なるタスクに対し異なる結果または技術効果が達成される。
当業者には明らかなように、前記説明の範囲内で様々な改変が可能である。当業者の能力内にあるそのような改変は、本発明の一部を形成し、添付の特許請求の範囲に包含される。
図面について説明する。
(先行技術)鋼MnSiのパイプ金属に関する脆性状態(T50)変態温度に対する寿命の効果を示す。 (先行技術)鋼17MnSiのパイプの、(1)製造時、(2)使用パイプ、(3)非常用パイプについての破砕までの時間tfと初期応力強度係数Kiとの間の関係を示す。 (先行技術)変形時効傾向に対する使用効果を示す。 (先行技術)時効パイプの領域の減少を示す。 (先行技術)30年の長期使用後の17MnSi鋼のパイプ金属の内部摩擦Q-1の温度依存性を示す。 (先行技術)非常用備蓄の17MnSi鋼のパイプ金属の内部摩擦Q-1の温度依存性を示す。 (先行技術)アルミニウム合金の高温適用に関連する、可能性のある損傷メカニズムを示す。 (先行技術)水素損傷の様々な分類を示す。 (先行技術)電気化学腐食過程の概略図を示す。 (先行技術)溶液に変態する金属原子イオンの二重電気化学層形成の概略図を示す。 (先行技術)溶液から金属表面に変態するカチオンの二重電気化学層形成の概略図を示す。 (先行技術)非常用備蓄パイプおよび20年の使用後のパイプの一部(鋼X65)の表面上で得られた表面微小硬度データの完全性を示す。 (先行技術)ファセット成長(せん断モード成長)を明確に示すフラクトグラフにより、鏡面仕上げを有する新品材料の表面亀裂開始および亀裂成長を示す。 (先行技術)複数の亀裂核の証拠を示す近表面領域を有する、EDM仕上げを有する新品材料の表面亀裂開始および亀裂成長を示す。 (先行技術)約150μmの深さまで延びるファセット領域を有し、ファセット領域は疲労破壊のような劈開により囲まれている、S110-200%-45°CSO試験片の角亀裂開始部位および亀裂成長形態を示す。 (先行技術)表面亀裂開始、亀裂分岐、および伝播経路を示すフラクトグラフにより、LSP 10GW/cm2(2パス)の亀裂開始および初期亀裂成長を示す。 (先行技術)表面亀裂開始、亀裂分岐、および伝播経路を示すフラクトグラフにより、LSP 10GW/cm2(3パス)の亀裂開始および初期亀裂成長を示す。 (先行技術)典型的なショットピーニングくぼみからの表面亀裂開始および亀裂分岐を示すフラクトグラフにより、二重処理の亀裂開始および初期亀裂成長を示す。 (先行技術)空間中心または体心立方格子を示す。 (先行技術)空間中心または体心立方格子を示す。 (先行技術)面心立方格子を示す。 (先行技術)面心立方格子を示す。 (先行技術)単純な立方格子における主な滑り劈開面を示す。 (先行技術)単純な立方格子における主な滑り劈開面を示す。 (先行技術)単純な立方格子における主な滑り劈開面を示す。 (先行技術)鋳鉄の微細構造を示す。 (先行技術)アニールされた鉄の微細構造を示す。 (先行技術)亜鉛の単結晶円形試験片の引張における滑りを示す。 (先行技術)亜鉛の単結晶円形試験片の引張における滑りを示す。 (先行技術)亜鉛の単結晶円形試験片の引張における滑りを示す。 (先行技術)変形した鉄の微細構造を示す。 (先行技術)変形していない鉄の微細構造を示す。 (先行技術)鉄のエッチングされていない金属組織切片上の滑り線を示す。 超音波衝撃が処理表面からの振動システムの跳ね返りにより引き起こされる弾性回復力のもとでの振動システムの動きを伴う振動システム、および圧子に接続された振動システム端の超音波振動を示す。 超音波衝撃が処理表面からの振動システムの跳ね返りにより引き起こされる弾性回復力のもとでの振動システムの動きを伴う振動システム、および圧子に接続された振動システム端の超音波振動を示す。 本発明の超音波衝撃中の塑性変形分布を示す。 超音波衝撃の周波数図を示す。 任意に整列させた確率的超音波衝撃を示す。 時間に伴う振動システムの運動の図の一部を示す。 図40a〜cは圧子バットまで縮小された振動システム端での振動システムの速度ベクトルの進行、ソフト接触および遅れ/ソフト衝撃を示す。 図40a〜40cの振動システムの速度のベクトル図を示す。 任意に整列させた超音波衝撃のオシロスコープ図を示す。 UITによる溝形成前の溶接継ぎ手のUITの従来の領域を示す。 UIT中のランダム衝撃条件下での局所過強化による溝縁のメソ欠陥を示す。 UIT中のランダム衝撃条件下での局所過強化による溝の中心のメソ欠陥を示す。 従来の強化ピーニング後のメソ構造欠陥を示す。 本発明の方法によるUIT後の溝メソ構造の状態を示す。 30μm振幅の独立した、特定の均一(時間)分布を示す。 凸型放物線上の超音波振幅の特定の分布を示す。 凹型放物線上の超音波振幅の特定の分布を示す。 線形法則に従う0μmからの振幅における特定の増加を示す。 鋳鉄の微小硬度分布のグラフを示す。 鋳鉄の残留応力分布のグラフを示す。 100μmの深さでの未処理試験片の鋳鉄構造の腐食強度を示す。 100μmの深さでのUIT処理試験片の鋳鉄構造の改善された腐食強度を示す。 UITにより処理した、または処理していない試験片の、腐食に関して水道水中で試験した比較を示す。 溶接したまま、5mmピンを使用したUIT後、ハンマーピーニング後、ショットピーニング後、TIGドレッシング後、TIGドレッシングに続くUIT後、および3mmピンを使用したUIT後の、鋼の溶接試験片の改善された疲労抵抗のグラフを示す。 鋼の溶接試験片の改善された疲労抵抗のグラフを示す。 鋼の改善された腐食疲労強度のグラフを示す。 鋼の改善された衝撃強度の試験結果のグラフを示す。 結晶粒減少範囲を示す高強度鋼の細分構造を示す。 主パイプラインの10Mn2VNb鋼溶接継ぎ手におけるホワイトバンドを示す。 高強度鋼SUJ2の試験片におけるホワイトバンドを示す。 溶接炭素船建築鋼における溶接金属結晶化に対するUITの効果を示す。 溶接炭素船建築鋼における溶接金属結晶化に対するUITの効果を示す。 鋼試験片の改善された機械特性を示す。 鋼試験片の改善された機械特性を示す。 アルミニウム合金製の試験片の疲労限界を示す、8mmの突き合わせ溶接に関するS-N曲線のグラフである。 アルミニウム合金における溶接部の高サイクル疲労強度の改善を示す、縦方向のアタッチメントを有する8mm試験片に関するS-N曲線のグラフを示す。 アルミニウム合金における溶接部高サイクル疲労強度の改善を示す、重ね継ぎの8mm試験片に関するS-N曲線を示す。 2.5mmまでの深さに対する多孔性の抑制およびアルミニウム合金製の鋳造ホイールの寿命延長を示す。 2.5mmまでの深さに対する多孔性の抑制およびアルミニウム合金製の鋳造ホイールの寿命延長を示す。 アルミニウム合金製の鋳造ホイールの処理における維持された衝撃強度を示す。 アルミニウム合金製の鋳造ホイールの処理における維持された衝撃強度を示す。 アルミニウム合金中でのケイ素の析出を示す。 アルミニウム合金中でのケイ素の析出を示す。 アルミニウム合金におけるケイ素の析出の微小硬度分布のグラフを示す。 腐食剥離後のアルミニウム合金の強度特性の改善を示す。 腐食剥離後のアルミニウム合金の強度特性の改善を示す。 異なる腐食度を有する試験片の疲労抵抗に対する、本発明によるUITの効果を示す。 アルミニウム合金の微細化構造を示す。 アルミニウム合金の微細化構造を示す。 アルミニウム合金における、析出移動およびミクロバンドの発生中の微小硬度分布のグラフを示す。 アルミニウム合金における析出移動およびミクロバンドの発生を示す。 アルミニウム合金における析出移動およびミクロバンドの発生を示す。 青銅における腐食疲労強度の増加を示す。 青銅における腐食疲労強度の増加を示す。 金属の環境劣化チャートを示す。

Claims (58)

  1. 振動システムが、改質された表面メソ構造(mesostructure)を提供するように処理表面に接近する間に、衝撃開始時に得られた速度ベクトルの最大値、最小値、および補償値を含む範囲内で、超音波振動システム端の超音波振動の、駆動パルス開始の瞬間、位相、および振幅を予め決定する工程;ならびに
    振動システムが表面に接触した後、処理表面下の材料構造への影響を考慮して、処理表面からの振動システムの跳ね返りに対する要件に基づいて、超音波衝撃の終了まで、超音波衝撃中の振動振幅を設定するおよび変化させる工程
    を含む、
    材料の少なくとも1つの特性または状態に影響するタスクにより規定されかつ材料の動的強度に基づく衝撃エネルギーのもとでの超音波衝撃によって、劣化から金属を保護し、劣化を抑制する方法。
  2. 接触の開始時に、衝撃の速度およびエネルギーが、表面層中の材料のメソ構造の改質を、限界を超えないが、超音波応力波を材料中に伝えるのに十分な、処理表面の塑性変形レベルで維持する条件に対応し、音響損失が、特定のその後の塑性変形に対し十分であるが材料のQ係数により決定される損失以下である範囲内にとどまるように、振動システムと表面との接近中、振動システムが表面に接触する前に超音波振動の振幅および位相が設定される、請求項1記載の方法。
  3. 許容される変形率と関連する表面材料の蓄えられた動的強度に基づき、振動システムが表面に接近する局面での振動速度を制御する程度を設定し、これにより改質された材料および表面層メソ構造を提供する工程;ならびに
    特定の状態への遷移における、処理材料の、超音波衝撃による作用への感受性に基づき、表面下の材料構造および材料の少なくとも1つの特性を達成するのに十分な、超音波衝撃中の超音波振動強度分布を設定する工程
    をさらに含み、
    振動速度を制御する前記程度および超音波振動強度分布が、タスクにより規定されるように実験データまたは専門知識に基づいて予め決定される、請求項1記載の方法。
  4. 許容される変形率と関連する表面材料の蓄えられた動的強度に基づき、振動システムが表面に接近する局面での振動速度を制御する程度を設定し、これにより改質された材料および表面層メソ構造を提供する工程;ならびに
    特定の状態への遷移における、処理材料の、超音波衝撃による作用への感受性に基づき、表面下の材料構造および材料の少なくとも1つの特性を達成するのに十分な、超音波衝撃中の超音波振動強度分布を設定する工程
    をさらに含み、
    振動速度を制御する程度および超音波振動強度分布が、タスクにより規定されるように実験データまたは専門知識に基づいて予め決定される、請求項2記載の方法。
  5. タスクに従って予め決定されたソフト衝撃フェーズ(soft impact phase)中の塑性変形中、材料表面およびそのメソ構造の改質を維持しながら、材料表面が粒間(intergranular)の欠陥ボイドを充填するのに十分な割合およびエネルギーで変形される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  6. 構造的な欠陥境界が、超音波衝撃のソフトフェーズ(soft phase)およびフォースフェーズ(force phase)の作用により引き起こされる材料表面の塑性変形中に起こる力のもとで閉鎖される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  7. 欠陥境界の閉鎖表面が、材料表面の塑性変形により引き起こされる弾性残留応力のもとで活性化される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  8. 欠陥境界の閉鎖表面が、予め決められた繰り返し率の衝撃により引き起こされる力のインパルスのもとで活性化される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  9. 欠陥境界の閉鎖表面の活性化が、結果的に得られる振動速度の達成に対応する、あるフェーズの超音波振動システム端の超音波振動中における、振動システム端となる振動システム集中質量および振動システム分散質量の運動の振動速度のベクトル和の作用、ならびに超音波衝撃により引き起こされる力のインパルスの作用に付随して起こり、結果的に得られる前記振動速度および力のインパルスはタスクに従って予め決定される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  10. 欠陥境界の閉鎖表面の活性化が、衝撃パルスおよび超音波の作用中の、欠陥境界の変位により引き起こされる摩擦力のもとで起こる、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  11. 欠陥境界の閉鎖表面の活性化が、超音波衝撃により引き起こされる力のインパルスの作用中、閉鎖境界を通過する超音波振動および超音波の作用に付随して起こる、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  12. 欠陥境界の閉鎖が、材料特性およびタスクにより特定される、制御されたフェーズの超音波衝撃の繰り返し率で繰り返し起こる、構造的な欠陥およびフラグメントの境界でのインパルス作用中の塑性変形および摩擦により引き起こされる高温領域で活性化される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  13. 閉鎖境界の超音波自己拡散および消滅が、振動システムの静圧、力のインパルス、境界での摩擦、加熱、超音波振動、および超音波応力波のもとで起こる、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  14. アルミニウム合金におけるケイ素析出物を含む合金相の析出が、超音波衝撃制御の結果として活性化され、材料強度の上昇をもたらす、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  15. アルミニウム合金中に銅を含む不安定な相を、固溶体中での析出から保護し、劣化の進行を阻止するために、ソフトな超音波接触および衝撃の段階で安定化させる、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  16. 構造結合の弱化、外力により引き起こされる隠れた構造応力集中源の生成、およびその後の金属劣化の開始をもたらす、アルミニウム合金中の銅を含む固溶体中析出物の、逆自己拡散(reverse self-diffusion)の活性化が、ソフトフェーズ後の規定の超音波衝撃により起こり、合金の損失強度および延性の回復を伴う、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  17. 相移動の活性化が、ソフトフェーズ開始後の規定の超音波衝撃により起こり、該活性化が、ナノ構造レベルでの内部応力の潜在的集中源の分布密度の減少による疲労抵抗の増大を伴う、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  18. ソフトフェーズの構成の制御およびその後の規定の超音波衝撃パラメータにより、金属のナノ構造、ミクロ構造、およびマクロ構造のフラグメントのレベルでの、回転、湾曲、双晶化、再結晶化、流動、滑動、降伏、および時効における材料構造の自己制御が活性化される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  19. 劣化抵抗を増加させる手段としての、ミクロレベルでの材料構造の細分、均一化、および配列の活性化が、タスクにより規定されるように、超音波衝撃のソフトフェーズおよびその後のフォースフェーズのパラメータの規定の結果としての超音波衝撃のもとで起こる、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  20. ナノレベルでの表面材料構造の最終的な最適化の手段としての、アモルファス化(amorphization)の活性化が、規定のタスクによりソフトフェーズを制御する動的モデル、およびパラメータの規定により開始される過程の結果として起こる、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  21. 超音波衝撃のソフトフェーズおよびフォースフェーズの制御が、元の状態で劣化核形成から材料を保護し、その長時間の使用中または使用後の構造の材料における劣化を阻止および抑制するために使用される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  22. アルミニウム合金が腐食剥離から保護され、ならびに/または、剥離により損傷したアルミニウム合金の特性が回復および/もしくは修復される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  23. 駆動パルスのオンオフ時間比のそのような制御を実行するために、パルスの幅および振幅の変調が使用され、これらは、同期した超音波衝撃の周波数の増加が必要な場合に、それらの間の独立した予め決定された振動抑制に不十分な中断または振動の独立した回復に不十分な遷移過程の長さを伴って開始され、これにより、
    各超音波衝撃中の時間および空間における塑性変形の強度分布の制御;
    現存のまたは潜在的な損傷の領域における、メソ構造および結晶構造、材料の応力変形状態、ならびに溶込み深さのスケールでの表面パラメータの制御;ならびに/または
    加熱、負荷、および/または環境の外部条件下での、材料の、位相、構造の均質性、および特性の、それらが不安定な領域における安定化
    が達成される、
    高出力ソフト超音波衝撃と同期した駆動パルスの適応オンオフ時間比変調(on-off time ratio modulation:O/OTRM)を有する高出力ソフト超音波衝撃(PSUI)による、補償保護バリヤの生成および損傷材料の特性の回復
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  24. 吸着からの保護、および吸着含有物と構造断片との接触の阻止;
    吸着含有物および表面活性物質の移動度の増加、ならびにそれらと材料または材料構造の損傷領域である吸着表面との結合の損失;ならびに/または
    処理表面、表面のメソ構造および粗さ、ならびに表面層中の残留応力および吸着に対する表面材料抵抗の、表面層中の材料密度の増加による最適化
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  25. 元の状態および使用中の熱損傷および熱-機械的損傷に対する抵抗の増大;
    分散した残留応力の補償バリヤの生成、熱損傷および熱-機械的損傷が蓄積した領域における応力および変形勾配の緩和、結晶粒材料による構造欠陥の領域における粒間空間の充填、ならびに粒界での超音波拡散の少なくとも1つに基づく、材料特性の維持および回復;ならびに/または
    制動における時間および熱損失を減少させる手段としての摩擦対(friction couple)表面の最適化
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  26. 影響を受ける元の表面の保護および材料特性の回復;
    メソ構造および結晶構造の改良、表面材料のアモルファス化、高出力ソフト超音波衝撃中の「トランスデューサ-圧子-表面」システムにおける振動振幅変化の関数の定式化に基づく、表面材料における残留圧縮応力の補償バリヤの生成;
    結晶間(intercrystalline)腐食により引き起こされる構造的破損領域における粒界でのパルスおよび超音波拡散;ならびに/または
    材料の塑性変形、結晶粒サイズ均一性の増加、結晶粒材料による粒間空間の充填、または粒界でのパルス超音波拡散
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  27. 材料の元の状態における電気化学腐食補償バリヤの生成、およびその少なくとも1つの特性の回復;
    陽極過程の遅延手段としての、表面のミクロ形状およびマクロ形状の強化、材料の表面の結晶構造の均質性、材料の表面のナノ結晶化およびアモルファス化;
    表面欠陥の電気化学腐食の局在化を遅延させするための、表面塑性変形、圧縮応力領域の生成、および材料密度の増加;ならびに/または
    強化された表面状態および表面メソ構造を形成するための高出力ソフト超音波衝撃メカニズムの使用
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3または4記載の方法。
  28. 保護用耐熱コーティングの適用において、および必要であれば、スケール層上でのこれらの操作の繰り返しにおいて、ならびに材料の特性が修復される必要がある場合、品質を強化し、表面合金深さ(surface alloying depth)を増加させるための高出力ソフト超音波衝撃メカニズムの使用による、材料の元の状態における化学腐食補償バリヤの生成、およびその少なくとも1つの特性の回復
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  29. 保護用耐熱コーティングおよび放射線抵抗コーティングの適用において、品質の強化する、および表面合金深さを増加させる;
    粗さ、メソ構造、ミクロ結晶粒構造、および材料のアモルファス化の観点からの表面状態を強化する;ならびに
    好ましい圧縮応力場を生成し、および表面材料密度の増加させ、損傷層上へのこれらの操作の繰り返しにより、影響を受ける元の材料のレベルで、表面材料の放射線抵抗の回復を提供する
    ための、高出力ソフト超音波衝撃メカニズムを使用する、影響を受ける材料の元の状態における放射線腐食補償保護バリヤの生成、およびその少なくとも1つの特性の回復
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  30. メソ構造の強化された状態または特定の状態で、予め決められた深さまでの強化または改良において材料の表面に好ましい圧縮応力を誘導するために、潜在的または実際に損傷した表面に適用される保護用コーティングの品質、接着を強化する、または保護用コーティングの合金深さを増加させる;
    材料構造を改良する、ならびに、表面エネルギーを減少させ原子結合を弱化させる移動可能な転位および他の構造的な欠陥における溶液陰イオンの吸収を不可能にする、材料構造の応力変形状態を生成する;
    材料の表面上のミクロ間隙での表面活性物質の吸着における表面活性物質のウェッジング(wedging)作用の結果として、表面メソ構造を強化する、および亀裂核形成を阻止する;ならびに/または
    大きさおよび深さが、亀裂ベースの加速された金属の陽極溶解により引き起こされる高い亀裂伝播速度からの保護に十分である、強化されたメソ構造を有する処理表面上に圧縮応力場を生成し、応力変形状態が概して引張応力集中により決定される
    ための、高出力ソフト超音波衝撃(PSUI)メカニズムを使用することによる、材料の元の状態における、およびその少なくとも1つの特性の回復における、腐食亀裂の形成に対する補償保護バリヤの生成
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  31. ガルバニコーティングの表面合金品質、接着強度、および密度を強化する;および/または
    大きさおよび深さが、強度特性の低下からの保護、ならびに、ボイド、細孔、および他の格子欠陥への原子水素の侵入、高いフラグメント間圧力を生成する分子ガスへの水素の変態、ならびに/または材料の表面エネルギーおよび脆性破壊抵抗を減少させる金属および不純物との化学化合物の形成を伴う、部品表面および内部欠陥上への原子水素の吸着のうちの少なくとも1つにより引き起こされる可能性のある脆性亀裂の形成からの保護に十分である、強化されたメソ構造を有する処理表面上に圧縮応力場を生成する
    ための、高出力ソフト超音波衝撃(PSUI)メカニズムの使用
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  32. 大きさおよび深さが、強度特性の低下、脆性亀裂の形成、固体金属破損前ゾーンへの溶融金属の吸着溶込み、表面エネルギーおよび金属破断抵抗の減少からの保護に十分である、強化されたメソ構造および圧縮応力場を表面上で生成するための高出力ソフト超音波衝撃の使用
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  33. 大きさおよび深さが、移動する液体、ガス環境、またはそれにより運ばれた固体粒子との材料の接触の結果として、または影響を受ける表面上への固体粒子の衝撃の結果としての、固体粒子の材料構造からの分離からの保護に十分である、高密度化、粗さ、メソ構造、および圧縮応力場を表面上に生成するための高出力ソフト超音波衝撃の使用
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  34. 大きさおよび深さが、粒界および下部構造でのミクロ亀裂および細孔(ミクロボイド)の形成、滑動および滑り、双晶化、滑り面の湾曲、薄層形成、結晶粒の回転および相対運動、モザイクブロック(mosaic block)の回転および相対シフト、ポリゴニゼーション(polygonization)、拡散可塑性(diffusion plasticity)、再結晶化、および/またはミクロレベルおよびマクロレベルでの欠陥および構造損傷の組み合わせからの保護に十分である、高密度化、メソ構造状態、および結晶粒充填サイズ(grain packing size)、ならびに圧縮マクロ応力場および圧縮ミクロ応力場を表面および表面下で生成させるための高出力ソフト超音波衝撃の使用
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  35. 大きさおよび深さが、変形した本体で進行する、ミクロ表面による環境からの分子の吸収、および/または微細構造の大きな変化を伴わない不安定相の変態を犠牲にする時間に伴う金属相状態の好ましくない安定化の少なくとも1つを含む微細構造劣化により引き起こされる材料強度特性の低下を阻止するのに十分である、材料の高密度化、材料表面上のメソ構造、ならびに表面での塑性変形および圧縮応力場の規格化の創出における、高出力ソフト超音波衝撃の使用
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  36. 大きさおよび深さが、中性子が金属原子に移動させるエネルギー量に従って、金属格子内で中性子ストリーム(neutron stream)のもとで、原子シフトまたはシフトカスケード(shift cascade)により引き起こされる脆性亀裂に由来する降伏強度の急激な増加の形成、およびその後の、格子間原子の増加した密度を有するゾーンにより周囲に沿って囲まれた高度に集中した空格子点の形成を阻止するのに十分である、表面上および表面下の塑性変形および圧縮応力場の規格化による、処理材料の高密度化およびメソ構造を達成するための高出力ソフト超音波衝撃の使用
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  37. その大きさおよび深さが
    −腐食および水素脆化の相乗効果により引き起こされるこれらの損傷領域における、応力集中源の形成および強度損失を伴う金属の表面腐食剥離の阻止、または金属特性の回復、
    −材料の構造的結合および強度のレベルの低下ならびに粒間腐食をもたらす、材料の析出を引き起こす不安定相の形成の阻止、
    −任意で、その閉鎖境界中の多孔性または他の粒間不連続性を含む、構造上のミクロ欠陥およびマクロ欠陥の排除、および自己拡散過程の活性化、
    −構造断片の境界での自己拡散の活性化、および粒界での腐食亀裂の排除の提供、
    −析出物の逆拡散および安定相の回復の提供、
    −合金元素の析出、処理材料の集中密度および強度の増加の提供、
    −不安定相の固溶体からの析出物により引き起こされた、集中領域での構造機械応力の補償、再分配、または緩和の確保、ならびに/または
    −超微細結晶粒構造の形成、アモルファス化、材料強度および耐食性の増加
    に対し十分である、
    メソ構造の保証された改質を有する処理材料の強化密度を達成するための、ならびに、塑性変形領域、塑性変形自体、ならびに処理表面上および処理表面下の圧縮応力場からの、局在点加熱および熱遮断率の形成および規格化の条件のための、実験的に見出された要求に対応するレベルおよび時間のパラメータを有する、高出力ソフト超音波衝撃の使用
    を含む、少なくとも1つの技術的効果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  38. 鋳鉄ブレーキドラムおよびブレーキディスクにおける、実質的なレベルの圧縮応力の導入、表面層の微小硬度の増加、ならびに/または使用損傷およびプロセス誘起(process induced)損傷からのメソ構造の保護
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3または4記載の方法。
  39. 鋳鉄パイプにおける腐食強度を増加させるための、規格化された激しい塑性変形による表面層構造の改良、圧縮応力領域の生成、および/または使用中にメソ構造損傷を開始させる表面欠陥の抑制
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  40. プロセス誘起損傷および使用中の動作損傷からのメソ構造の保護、ならびに溶接された鋼の疲労抵抗を増加させるための高出力ソフト超音波衝撃の使用による表面の調製が、超音波振動、圧力、および圧子サイズの条件により確実となる、
    実質的レベルの圧縮応力の導入、応力集中の減少、超音波塑性変形、および応力集中領域の処理材料の構造上の改良
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  41. 使用中のメソ構造の保護、ならびに鋼の腐食疲労強度を強化させるための超音波衝撃の使用を伴う表面の処理が、超音波振動、圧力、および圧子サイズの条件により確実となる、
    実質的レベルの圧縮応力の処理表面および処理材料中への導入、ならびにその構造の改良
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  42. ナノレベルでのブロック構造の配列、ならびに、タスクにより規定され、その後鋼の衝撃強度を強化するための作用力に基づいて規定される超音波衝撃により開始された準静的負荷および動的負荷による処理材料に対する作用中のメソ構造損傷を遅延させるのに十分な圧縮応力領域の生成
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  43. 処理材料の激しい超音波塑性変形、ナノレベルでのミクロ構造の配列、および/または鋼のメソ構造損傷の抑制
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  44. 実質的変形負荷率での規格化された超音波衝撃のもとでの表面材料の激しい超音波塑性変形、相変態領域での局所ウォーミングアップ(local warming-up)、および/または鋼においてホワイトバンド(white layer)を得るための衝撃領域からの迅速な熱除去
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  45. 鋼の金属結晶化を強化するための超音波衝撃中に、圧子の超音波振動により超音波振動システムのキャリヤの振動と同期して開始される、超音波、音響流(acoustic flow)、音圧、およびキャビテーションの作用下での拡散過程および金属再結晶化の促進
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  46. 鋼の機械的特性を強化するための、表面材料の激しい超音波塑性変形、および/またはそれによる、超音波衝撃中に超音波により引き起こされる拡散過程の活性化
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  47. アルミニウム合金の疲労限界を強化させるための、実質的レベルの圧縮応力の導入、応力集中の減少、ならびに/または欠陥レベルに対応する塑性変形および圧縮応力が誘導された領域でのメソ構造欠陥形成に対する、物理的バリヤの生成
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  48. アルミニウム合金の高サイクル疲労強度を強化するための、実質的レベルの圧縮応力の導入、応力集中の減少、ならびに/または超音波衝撃中の、固溶体における超音波再結晶化、および粒界での超音波拡散の活性化による、可能性のあるメソ構造損傷の抑制
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  49. 効果が、特に、予め決められた深さまで多孔性を抑制してアルミニウム合金の寿命を延ばすための超音波衝撃により変形された材料における超音波応力波の伝播中の変形抵抗の減少により引き起こされる、
    規格化された超音波衝撃および材料に対する超音波衝撃の影響に付随する効果のもとでの、処理材料の表面近くの層の激しい塑性変形、超音波衝撃のもとで閉鎖された、材料の細孔または不連続性の形態の欠陥境界での超音波拡散、ならびに/または、塑性変形のレベルに対応する、規格化された塑性変形および圧縮応力の領域でのメソ構造欠陥の抑制
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  50. 衝撃強度が、従来の塑性変形のもとで減少し、その結果、塑性変形構造における転位および他の構造欠陥の遅延により、蓄えられた材料可塑性の減少をもたらす可能性がある、
    超音波塑性変形の結果としての、鋼およびアルミニウム合金を含む金属における衝撃強度の維持または増加
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  51. 超音波衝撃パラメータの予め決められた制御により引き起こされる構造変化による、超音波衝撃加工中における、とりわけ鋼の、強化表面層;
    とりわけアルミニウム合金における、表面層における元の構造の2相状態の変換およびより堅固な共晶構造の形成;ならびに/または
    合金含有物、特にアルミニウム合金中のケイ素含有物の、処理表面への移動、およびこれによる、影響を受ける表面の強化
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  52. 腐食剥離後のアルミニウム合金の特性を回復するための、粒界での超音波衝撃拡散
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  53. とりわけアルミニウム合金における、結晶粒微細化の提供、ならびに、さらなる変形を理由とする転位密度の増加および双晶構造の形成、ミクロバンド(microband)構造の形成、ミクロバンド構造のサブミクロン結晶粒への細分、および/または等軸とする亜結晶粒(subgrain)のさらなる分解のために起こる、その強度の増加の提供
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  54. 局所加熱の衝撃エネルギーおよび温度が、材料の好ましい構造条件に対し臨界であるレベルに達し、とりわけ、アルミニウム合金においては、超音波衝撃、局所加熱、熱除去、超音波応力波の分布条件の適正化の結果として、ならびに、金属強度および特性の劣化に対する抵抗の増大が付随する金属の塑性変形の適正化の結果として、ミクロバンドの発生における析出物の好ましい移動を引き起こす、
    ナノスケールおよびミクロスケールでの結晶粒の幾何学的な動的再結晶化の提供
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  55. 青銅における腐食疲労強度を強化するための、実質的レベルの圧縮応力の導入、表面層構造の改良、細孔を任意で含む構造欠陥の境界閉鎖での超音波拡散、損傷からの保護、ならびにミクロレベルおよびマクロレベルでのメソ構造損傷の抑制
    を含む、少なくとも1つの結果が達成される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  56. メソ構造の改質が回復されるという条件での、超音波衝撃のソフトフェーズおよびフォースフェーズの制御が、アルミニウム合金を含む腐食試験片において、使用亀裂核形成の機序を変化させ、粒間腐食損傷領域における亀裂核形成および進行が、超音波拡散が後に続く激しい塑性変形のもとで起こるそれらの境界の閉鎖およびその後の除去により阻止され、これにより、腐食損傷および疲労損傷に対する材料の抵抗が増加する、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  57. 金属劣化の主な種類の一般的な最終的な証拠としての、異なる性質の亀裂の核形成および進行の動力学に対し、それらを阻止および抑制するために、超音波衝撃のソフトフェーズおよびフォースフェーズを制御することによって影響を与え、
    亀裂の開始が解決し、進行する疲労亀裂が、
    亀裂境界の拡散接合;
    亀裂進行ゾーンの残留圧縮応力領域中への埋没(submersion)および亀裂の停留;ならびに
    超音波衝撃のフォースフェーズによる、未損傷金属からの、亀裂のある金属表面層の除去
    により遅延される、
    −約0.5μm以下の粗さ、および約0.7mmまでの深さまで誘導された残留圧縮応力を有し、亀裂開始を遅らせる、滑らかな表面;
    −共に、亀裂開始に対する、および予め決められているが約1.5mm以上である深さまでの実質的な圧縮応力場で開始した後の進行に対する、より長い材料抵抗を可能にする、約0.5μmまたはそれ以上の粗さ、無傷のメソ構造、および約1.5mmまでの深さまで誘導された圧縮応力を有する滑らかな表面;
    −亀裂の開始に対するより高い材料抵抗をもたらし、微細結晶粒構造および圧縮応力場の領域で開始した後の亀裂の進行を抑える、小さな表面損傷が約0.003mm以下の深さまで可能な、表面下の無傷のメソ構造、表面下の層内の微細結晶粒、および約2.5mmまでの深さまで誘導された圧縮応力を有する滑らかな表面;ならびに/または
    −亀裂の開始に対するより高い材料抵抗をもたらし、微細結晶粒構造および/またはアモルファス構造の領域で開始した後の亀裂の進行を抑え、処理材料の降伏強度に対して実質的な、圧縮応力場での亀裂遅延を持続させる、小さな表面損傷が約0.008mm以下の深さまで可能な、表面下の無傷のメソ構造、表面に近い層における微細結晶粒およびアモルファス構造、ならびに制御された超音波衝撃を用いた約4.0mmまでの所与の材料に対する最大深さまで誘導された圧縮応力を有する滑らかな表面
    を得る、請求項1、2、3、または4記載の方法。
  58. 衝撃開始時における得られた速度、衝撃エネルギー、衝撃の繰り返し率および時間、ならびに/または衝撃の振幅および位相の少なくとも1つの超音波衝撃パラメータの制御が、予め決められたデータに基づく特定のタスクにより規定され、少なくとも1つの該パラメータが、予め決められた技術的要求および予め決められたもたらすべき最終結果に基づく約5%からランダム値までのばらつきを用いて設定される、請求項1、2、3、または4記載の方法。
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