JP2004169104A - 超音波衝撃処理機および超音波衝撃処理装置 - Google Patents

超音波衝撃処理機および超音波衝撃処理装置 Download PDF

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    • C21D2201/03Amorphous or microcrystalline structure

Abstract

【課題】ナノ結晶組織を有すると共に、各種の特性を有する表面層を得るための、またこれらの表面層を効率的に得るための、また高い疲労性能を得るための超音波衝撃処理機および超音波衝撃処理装置を提供する。
【解決手段】超音波を発生させるトランスデューサーと、該トランスデューサーでの前方に取り付けられ、超音波を前方に導くためのウエーブガイドと、該ウエーブガイドの先端に取り付けられ、前記超音波により振動するピンと該ピンを回転させるピン回転手段と、該ピンを保持するホルダーとを備えたヘッドとからなる超音波衝撃処理機であり、好ましくは、前記ウエーブガイドに複数のトランスデューサーが設けられ、あるいは、前記ヘッドのピンは、硬さ、材質、形状を調整されたものである。またこの機器に、回転、移動する手段を設け、あるいは金属粉供給手段、加熱手段、シールドガス供給手段を設けた超音波衝撃処理装置である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属材料の表面に、超音波により作動する物体による打撃で衝撃を与え、これによって金属材料表層の形状および特性を改善するための超音波衝撃処理機およびこれを組み込んだ超音波衝撃処理装置に関し、特に超音波衝撃処理によるナノ結晶構造化を効率的に行なえる機器および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属材料の表面層の結晶組織をナノメータ(nm、10−9m)を単位として用いるのが適当なサイズ、例えば100nm以下に微細化した、いわゆるナノ結晶組織を得ることにより、従来には得られなかった優れた性質、例えば超高強度などの特性を得ることができることが知られている。
【0003】
このナノ結晶組織をもつ金属材料を得る各種の方法が報告されている(たとえは、非特許文献1参照)が、例えば、金属材料を一旦アモルファス状態とし、次いで低温熱処理を行なう方法がある。また、アモルファス状態とするには、金属材料を高速急冷あるいはスパッタ製膜などの方法があるが、この場合、広く一般の形状の成形体や構造体をうるには制約がある。また、この他に、金属材料の粉末をボールミルなどで処理し、材料表面に強加工を施すことにより材料をアモルファス化し、次いでこれを熱処理することにより、ナノ結晶構造を有する金属粉末を得ることができる。この金属粉末を高温で加圧成形し、或いはさらに溶接などの処理を行なって構造体とすることができる。
【0004】
しかしながら、この高温の過程を経ることによってナノ結晶構造が消失し、ナノ結晶組織の特性を生かした成形体や構造体を得ることは困難である。
【0005】
ところで、材料の表面に超音波衝撃処理を施すことにより、表面に塑性変形を与え,表面結晶組織を改善し,或いは残留応力を開放することが知られており、例えば、金属材料の溶接部に超音波衝撃処理を施し、溶接部の残留応力を開放し、ボイドや異常粒界のような微小欠陥を低減することが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、従来の超音波衝撃処理は、このように疲労強度の向上、微小欠陥の軽減などが主体であり、金属材料表層の材料特性が改善されるとしてもそれは副次的で、その範囲、程度などがばらつきの多い状況で生じており、目的に合わせて主体的にコントロールして改善するまでには到っていない。そして、超音波衝撃処理機としては、超音波を発生させるトランスデューサー、超音波を先端に導くためのウエーブガイド、その先端部に設けられ、超音波により振動する衝撃用のピンを収納するヘッド部を備えた機器、(例えば、特許文献3参照)。或いは、被ピーニング材に局所的な表面硬化、残留応力を付与するために、ピーニング用のパンチと、このパンチを回転駆動する駆動手段と、回転しているパンチを被ピーニング材に打ちつけるパンチング手段を有する装置で、回転するパンチで被ピーニング材をパンチする方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第6,338,765号公報。
【0007】
【特許文献2】
特開平10−296461号公報。
【0008】
【特許文献3】
米国特許出願公開第2002/001400号明細書。
【0009】
【特許文献4】
特開2002−179632号公報。
【0010】
【非特許文献1】
ラスミス(LASMIS)著 金属材料の表面ナノ結晶化−新研究の背景にある概念の報告(SurfaceNanocrystallisation (SNC) of the Metallic Materials − Presentation of the Concept behind a New Approach)材料科学(Mater. Sci. Technol.),第15巻、第3号 1999
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らは、上述のようなナノ結晶構造を有する成形体や構造体を得る上での問題点に鑑み、金属材料の成形体や構造物に対してナノ結晶構造の形成を自由度が大きく可能にする条件とそれを可能にする新しい方法を検討した結果、金属材料の表面層にショットピーニングなどの冷間加工を振動性状をコントロールして行なうことにより,表面層を強加工し、同時にこの金属材料の処理状況を雰囲気および温度をコントロールすることによって表面層にナノ結晶を析出させることができることを開発した。そしてこの処断として、超音波衝撃処理が適切であることを知見した。
【0012】
上述のように、従来の超音波衝撃処理機器は、比較的小型であるため人手により処理することも可能であり、所要の箇所のみを処理できるという利点がある反面、処理範囲が狭く、広い範囲を効率的に処理するには不適当である。また、従来の超音波衝撃処理の装置は、表面の形状と残留応力を変えて疲労強度や静的強度を向上させることを主な目的としたものであり、材料の表層をナノ結晶構造化すると共に、さらに材質を改善し、優れた特性を得るためには、超音波衝撃処理に使用する機器の検討が必要である。
【0013】
本発明は、ナノ結晶組織を有する共に、各種の特性を有する表面層を得るための、またこれらの表面層を効率的に得るための超音波衝撃処理機および装置を提供するものである。なお、ここで、装置は、この超音波衝撃処理機の組み合わせ、他の装置、手段との組み合わせたものを意味するものとする。
【0014】
超音波
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、
(a)超音波衝撃処理を多軸的に施すことによってナノ結晶化を促進すること、(b)処理表面の温度制御を可能な構成とすることにより、超音波衝撃処理によりえられる処理対象の諸特性を選択できるようにすること、(c)少なくとも処理表面の雰囲気を制御可能な構造とし、酸化物層の形成を抑制し、良好な金属表面状態とすると共に、さらには合金層の形成を可能とすること、(d)処理対象物に対して金属成分を供給可能な構造とし、表層にもとの処理対象金属(母材)が持たない成分を含んだ合金層を形成可能とすること、を狙いとしている。その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)超音波を発生させるトランスデューサーと、該トランスデューサーでの前方に取り付けられ、超音波を前方に導くためのウエーブガイドと、該ウエーブガイドの先端に取り付けられ、前記超音波により振動するピンと該ピンを回転させるピン回転手段と、該ピンを保持するホルダーとを備えたヘッドとからなる超音波衝撃処理機。
(2)前記ウエーブガイドに複数のトランスデューサーが設けられていることを特徴とする(1)記載の超音波衝撃処理機。
(3)前記複数のトランスデューサーは、それぞれ互いに位相が異なることを特徴とする(1)又は(2)記載の超音波衝撃処理機。
(4)前記ヘッドのピンの先端形状が、凸状又は凹状の曲面を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機。
(5)前記ヘッドのピンが、処理対象物の性状に応じてその硬さと化学組成を制御されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機。
(6)前記ヘッドのピンの先端部が、多数のワイヤー状体からなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機。
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、該超音波衝撃処理装機をその軸の周りに回転させる手段とを備えたことを特徴とする超音波処理装置。
(8)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、該超音波衝撃処理装機を移動させる手段とを備えたことを特徴とする超音波処理装置。
(9)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、該超音波衝撃処理装機を移動させる手段とを備えたことを特徴とする超音波処理装置。
(10)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、処理対象箇所に金属粉を供給する手段とを備えたことを特徴とする超音波衝撃処理装置。
(11)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、少なくとも処理対象箇所を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする超音波衝撃処理装置。
(12)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、少なくとも処理対象箇所にシールドガスを供給する手段を備えたことを特徴とする超音波衝撃処理装置。
(13)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、処理対象箇所に金属粉を供給する手段と、少なくとも処理対象箇所を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする超音波衝撃処理装置。
(14)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、処理対象箇所に金属粉を供給する手段と、少なくとも処理対象箇所にシールドガスを供給する手段を備えたことを特徴とする特徴とする超音波衝撃処理装置。
(15)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、少なくとも処理対象箇所を加熱する加熱手段と、少なくとも処理対象箇所にシールドガスを供給する手段を備えたことを特徴とする特徴とする超音波衝撃処理装置。
(16)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、処理対象箇所に金属粉を供給する手段と、少なくとも処理対象箇所を加熱する加熱初段と、少なくとも処理対象箇所にシールドガスを供給する手段とを備えたことを特徴とする超音波衝撃処理装置。
(17)前記加熱手段が電磁誘導加熱手段であり、かつ電磁シールドを備えていることを特徴とする(11)、(13),(15)、(16)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理装置。
(18)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機の複数機が、各超音波処理機の軸方向が互いに異なるように配置されていることを特徴とする超音波衝撃処理装置。
(19)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機の複数機が、各超音波処理機の軸方向が互いに平行となるように配置されていることを特徴とする超音波衝撃処理装置。
(20)前記超音波処理装置の前記複数超音波衝撃処理機は、各超音波衝撃処理機のトランスデューサー、ウエーブガイド、ピンのいずれか1つが、他の超音波処理機のそれと異なる性状のものであることを特徴とする(18)又は(19)に記載の超音波衝撃処理装置。
(21)(7)〜(17)のいずれか1項に記載の超音波処理装置の複数の装置が、各超音波衝撃処理装置の方向が互いに異なるように配置されていることを特徴とする超音波衝撃処理装置。
(22)(7)〜(17)いずれか1項に記載の超音波処理装置の複数の装置が、各超音波衝撃処理装置の軸方向が互いに平行とになるように配置されていることを特徴とする超音波衝撃処理装置。
(23)前記超音波処理装置の前記複数超音波衝撃処理装置は、各超音波衝撃処理装置のトランスデューサー、ウエーブガイド、ピンのいずれか1つが、他の超音波処理装置のそれと異なる性状のものであることを特徴とする(21)または(22)に記載の超音波衝撃処理装置。
(24)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機が、ロボットアームに取り付けられていることを特徴とする超音波衝撃処理装置。
(25)(7)〜(17)のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理装置が、ロボットアームに取り付けられていることを特徴とする超音波衝撃処理装置。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の超音波衝撃機および超音波衝撃装置は、前述のように、下記の(a)〜(d)を可能とすると共に、広範囲の面積を効率的に処理できるようにしたものである。(a)超音波衝撃処理を多軸的に施すことによってナノ結晶化を促進すること、すなわち、一軸方向の加工では、ナノ結晶構造を得ることは困難であり、複数方向からの強加工が必要である。(b)処理表面の温度制御を可能な構成とすることにより、超音波衝撃処理によりえられる表層の諸特性を選択できるようにすること、すなわち、高温での処理では、変形は大きいが残留応力は小さく、逆に、低温での処理では、変形は小さいが残留応力は大きく付与される。このことから、高温では深さ方向の加工の範囲が広くなり、低温では狭くなる。しかし、温度が高すぎると、強加工により細かくされた金属粒が再び成長してしまい、大きくなってしまうことがある。従ってナノ結晶化の度合い、ナノ結晶組織周辺の組織の状況が変化するので、特性の所要に応じて条件を選択することができる。(c)少なくとも処理表面の雰囲気を制御可能な構造とし、酸化物層の形成を抑制し、良好な金属表面状態とすると共に、さらには合金層の形成を可能とすること、すなわち、処理表面の雰囲気が酸化雰囲気であると、ナノ結晶層が形成されても、同時に酸化層が形成されるために、処理効果が低下する。また、処理中に材料の表面で生成した酸化物が表層部に巻き込まれ、表面欠陥となるばかりか耐食性を損なうことにもなる。さらに、合金層と処理部の母材部との界面に酸化物が存在すると、一体性、密着性に劣る処理結果となってしまうことがある。雰囲気制御を可能とすることにより、このような表面材質の低下を回避できるばかりでなく、雰囲気を特定の雰囲気、例えば窒素雰囲気、とすることによって表層に窒素浸透させ、特性の改善を図るという積極的な処理を行なうこともできる。(d)処理対象物に対して合金成分を供給可能な構造とし、表層に合金層を形成可能とすること、すなわち、超音波衝撃処理と同時に処理箇所に金属材料の粉末を供給する、或いは、ピン自体を特定の金属材料とすることによって、衝撃を与えると同時に金属粉末或いはピンの小片を処理対象物の表面に供給し、表層を所望の合金層とすることができる。これによって、表面に形成されるナノ層を元の処理対象母材部と異なる成分構成を持つ合金層とし、例えば、普通鋼で製作されて使用中の橋梁の表面だけをステンレス鋼化して耐食性を向上させるなど、材料表面に新しい機能を付与することもできる。
【0017】
以下、本発明を、実施例の図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の超音波衝撃処理機の概要を示す断面図である。
【0019】
図1において、超音波衝撃処理機1は、超音波を発信するトランスデューサー2と、その前方に取り付けられ、トランスデューサー2で発生した超音波を先端部に導き、振動を増幅させるウエーブガイド3と、ウエーブガイド3の先端、すなわち、処理対象物と対向する側、に取り付けられたヘッド4とから構成される。
【0020】
ヘッド4は、その先端に1又は複数の孔5が設けられ、この孔に上下方向に挿入された棒状のピン6と、このピンをその上方で回転可能の保持するピン回転手段50、ピン6の上端とウエーブガイド3の先端とに間に設けられた空間8とを含んで収納するホルダー9とからなり、ホルダー9は、環状の金具10により、ウエーブガイド3の外周に着脱可能に接続されており、ピンを含めて取替え可能となっている。必要に応じて、ピンの径、本数、配列、材質、形状などを、変更し交換することができる。
【0021】
なお、ウエーブガイドの中間部には、その外周を間隙を持って囲む樹脂製のカバー11を設けており、この間隙にはウエーブガイドおよび振動部を有するヘッドを冷却、潤滑する潤滑冷却材を保持するための多孔体12を充填することができる。その場合、カバー11の下端部とウエーブガイド3と間には、開口部13が設けられており、潤滑冷却材はこの開口部を経てヘッドへ供給される。なお、この冷却構造は、必須ではなく、必要に応じて設けられる。また、トランスデューサー2を冷却するために、水冷や空冷の冷却層を設けても良い。
【0022】
トランスデューサー2は、電気エネルギーを超音波エネルギーに変換するものであり磁歪式トランスデューサー或いは圧電式トランスデューサーなどを利用できる。前者は大容量化が可能であり、広範囲の音響負荷に対して高い安定度で作動するが、重く、冷却が必要である。一方、後者は、容量は小さいが効率は高く、発熱が少なく冷却を軽減できる。また、可搬性に優れる。しかし、逆に、音響負荷に対しての安定度は低い。従って、処理の目的によってこれらを適宜選択することができる。
【0023】
ヘッドのピンは、一本の場合でも良いが、二本以上を一列或いは複数列に配列するようにすることができる。
【0024】
トランスデューサー2が超音波を発信すると、生じた超音波はこれに接続されたウエーブガイド3を伝わり、ウエーブガイドの径が絞られていることによって速度が変性される。超音波はウエーブガイド3の先端にから、ヘッド4に至り、ピン6を振動させる。この振動により、ピンの先端が処理対象14を打撃することによって衝撃処理される。
【0025】
振幅20〜60μm、周波数15kHz〜60kHz、出力0.2〜1KWで処理するのが一般的である。
【0026】
ピン回転手段50は、ピン6自体をホルダー内で回転させるためのもので、例えば、図1に示すように、ピン6上部に歯車51を設け、隣合うピンの歯車と噛み合わせル一方、ホルダーの外周部に固定したモーター等の回転手段52の回転軸に歯車53を設け、これとピンの歯車とをかみ合わせる構成とし、モーターの回転によってピンを回転させることができる。また、図2は、本発明の超音波衝撃処理機のヘッド部の他の例を示す断面概略図であるが、図2に示すように、ホルダーのピンが挿通する孔5の周辺には、この孔を囲むようコイル54が埋め込まれている。一方、ピンの上端近傍には、ブラシ55が取り付けられている。電源(図示しない)から、ブラシとコイルに通電することにより、金属材料で構成されるピンはそれ自身がモーターとなり、回転する。
【0027】
ピンの回転手段は、上記の手段に限ることなく適宜選択できる。
【0028】
ピンを回転させることによって、処理面に広がりをもたせることができ、また、処理面に対して複数軸(ピン)で応力を与えることができるため結晶粒の微細化を促進することができる。すなわち、ピンを揺動させて処理するのと同じような効果を期待することができる。
【0029】
図3は、本発明の超音波衝撃処理機の実施例の斜視図を示すものである。
【0030】
図3において、超音波衝撃処理機1のウエーブガイド3に、複数のトランスデューサー2、2’、2”が設けられているものである。これにより複数方向の振動を先端に与えることができる。従って、処理面に対して複数のベクトル(荷重軸)をもって応力を与えることができ、結晶粒の微細化が効率よくできる。また、複数の荷重軸の応力のサイクルがいずれも同程度であること、或いは、配置によっては、軸の方向を完全に3方向に分けることができるので、結晶粒の微細化効果がより向上する。なお、図3では、3つのトランスデューサーを設けているが、これを2つ或いは、4つ以上の複数個とすることも可能である。
【0031】
図4(a)は、ウエーブガイドに3つのトランスデューサーを配置した状況を模式的に示したものであるが、さらに、図3(b)に示すように、特にそれらの振動数が同じである場合には、このように複数設けたトランスデューサーの位相がずれるように配置することも好ましい。また、超音波の周波数をトランスデューサーごとにずれるようにしても良い。
【0032】
これによって、処理面に対して複数の荷重軸で応力を与えることができ、結晶粒の微細化ができる。また、複数の荷重軸の応力のサイクルがいずれも同程度であること、或いは軸の方向を完全に角度をずらして分けることができるので、結晶粒の微細化効果がより向上する。
【0033】
図5は、本発明の超音波衝撃処理機において、ピンの先端形状を示したものである。図5において、(a)は凸状、(b)は凹状の曲面のピン6の先端形状を有している。基本的に、凸形状を持つピン6によって打撃を与えると、処理対象物の表面には塑性変形による溝が形成される。しかし、デザインの要請によって処理対象物が曲面を持っている場合には、大きな溝を形成するのは意匠上好ましくない場合がある。そのような場合、形成される塑性変形の形状をピンの先端形状を変更することによって変えることができる。例えば、盛り上がった表面を処理するには、凹型の先端形状のピンを使用すると、処理対象物に目立つ疵を与えることがなく好適である。ピンの先端形状の凹凸曲面の曲率は、処理対象箇所の面形状の曲率に近いものとすることもできるが、表面形状を意図して変えようとする場合は、処理対象箇所の曲率と大きく異なるは曲率とすることができる。例えば、薄板の板端部の処理を行なう場合にも、凹型のピンを用いて板端の過度を落として応力集中を低減することもできる。このように、処理対象物、或いは処理箇所の表面形状に応じて曲率を変え、適切に交換することができる。
【0034】
また、ピンの材質は、処理対象物の性状および処理の目的に応じてその硬さと組成を調整されているものである。例えば、硬度の高い金属材料を処理する場合には、硬度の高い材質のピンが好ましく、硬度の高くない材料を処理する場合は、硬度を低い材質のピンを使用することも可能である。これは、ピンは消耗品であるが、硬度の高い材料は一般的にコストが高いからである。
【0035】
また、超音波衝撃処理において処理対象物の金属材料とピンの先端が接触する際に、ピンの一部は、剥離して磨耗する。この剥離したピンの材料は、処理対象物の表面に圧着される。また、条件がそろえば、対象物の金属材料と合金層を形成する。図6は、この経過を説明する模式図である。すなわち、これによって、対象物の材質とは異なる表面層を形成することができ、たとえば、対象物に耐食性や、耐磨耗性を付与或いは向上させることができる。つまり、このように合金を形成するという目的の場合、むしろ積極的に柔らかめのピンを用いて、ピンの損耗によって合金成分を供給するということもができる。従って、ピンの材質、硬さ、組成はこのような観点からも調整されたものとし、必要に応じて取り替えるものである。
【0036】
次に、図7(a)、(b)は、本発明の超音波衝撃処理機で使用する実施例のピンの先端を示したものであり、図7(a)は、超音波衝撃処理機に組み込まれた状態、図7(b)は、先端をワイヤー状体15で形成したピン6の状態を示す模式図である。図1〜6において示したピンは、先端まで棒状に一体に形成された例を示したが、この例では、ピンの先端は多数のワイヤー状体15で構成されている。このワイヤー状体は、ピン6の先端に、径が0.01〜1.0mmのワイヤー或いは小径の棒などを埋め込むことにより形成することができる。
【0037】
ワイヤー状体の材質は、ピンの材質と同じとしても良いが、上述のように、処理対象物の金属材料と合金を形成する材料を選択してもよい。先端をこのようなワイヤー状体で構成することによって、広い面積に対して弱めの衝撃処理を行なうことができ、ショットブラスト処理の代替としても使用させ得る。また、接触面積が広がる、またワイヤーはより損耗しやすい結果、表面層に合金成分を供給しやすくなり、合金層を形成する場合に好適である。
【0038】
ワイヤー状体が磨耗した場合はピンと共に取り替える。
【0039】
このように本発明の超音波衝撃処理機1は、多様な機能を果たすことができるように構成されている。
【0040】
次に従来の超音波処理装置、或いは上述の本発明の超音波衝撃処理機をより効率的に使用するための本発明の装置について説明する。以下の説明において、本体とは、特に断りのない限り、従来および本発明の超音波衝撃処理機を含めた、超音波衝撃処理機を意味するものとする。
【0041】
本発明の超音波衝撃処理装置は、超音波衝撃処理機と、この超音波衝撃処理機をその軸の周りに回転および/又は移動する手段を備えることを特徴とする。超音波衝撃処理機のヘッドを回転および/又移動させながら処理対象物を超音波衝撃処理するものである。
【0042】
図8は、超音波衝撃処理機を回転可能その軸の周りに回転可能とすると共に移動可能とした本発明の超音波衝撃処理装置を示す模式図である。
【0043】
図8において、超音波衝撃処理機1(本体1)は、本体1のトランスデューサー2およびウエーブガイド3の端部近傍の外周において固定されたベアリング19を介してケーシング18に回転可能に収納保持されており、本体1の少なくともヘッド4はケーシング外にある。一方、ケーシング18のトランスデューサー側には、モーターなどの回転駆動装置20が固定されており、その軸は、歯車41を介して本体1のトランスデューサー側端部と接続されている。
【0044】
駆動装置が回転するとケーシング内で本体1がその軸を中心として回転する。これによって、ヘッドが回転し、処理面を広げることができると共に、処理面に対して複数の荷重軸で衝撃を与え、作用する応力を多軸化することができる。
【0045】
また、図9は、超音波衝撃処理機を対象物の処理方向に移動可能とした超音波衝撃処理装置を示す概略図であり図9(a)は、側面図、図9(b)は平面図である。この超音波衝撃処理装置は、超音波衝撃処理機1と、これを移動させる手段とから構成される。図9において、図8で示したように、本体1はケーシング18に収納され、ガイドレール21の間に設けられ、これに沿って移動する架台23の上に固定手段24によって垂下保持されている。架台23には、ガイドレールに沿って設けられたねじ山を有する動力シャフト22に螺合するナット22aが固定されており、モーターなどの駆動手段(図示せず)により動力シャフトを回転させることにより架台23をガイドレールに沿って移動させることができる。この装置を処理対象物の位置に配置するか、処理対象物をこの装置の作動範囲に配置し、本体を処理対象物の処理部に位置させ、かつ移動させつつ処理を行なうことができる。図8で説明したように、この装置において回転駆動装置20により本体を回転させ、かつ移動させながら処理することができることは言うまでもない。これによって上記のように、処理面を広げることができると共に、処理面に対して複数の荷重軸で衝撃を与え、応力を多軸化することができる。
【0046】
なお、図10は、本発明の回転および/又は移動可能とした本発明の超音波衝撃処理処理装置の他の例を示した概略図である。図8同様、ケーシング18に本体1が収納保持されている。そして、ケーシングのトランスデューサーの端部側の端部には、フレーム25が固定されており、このフレームに回転駆動装置20が固定されている。また、フレームの一端には、把持用のハンドル26が設けられている。すなわち、これによって人手により支持し、移動させることによって処理対象物に対して作業し得る形とすることができ、既設橋梁などの現場での作業や、機器をガイドレールに配置しがたい場所の処理に好適であり、移動は尽力となるが作業を適切に管理することにより、フレキシブルに上記と同様の効果をうることができる。
【0047】
上述のように、本発明の超音波衝撃処理装置は、超音波衝撃処理機とその軸の周りに回転させる手段とを備えても良いし、超音波衝撃処理機と移動手段とを組み併せたものとしても良いし、あるは、超音波衝撃処理機とこれをその軸の周りに回転させる手段と、移動手段とを組み合わせた物としてもよい。
【0048】
また、本発明の超音波衝撃処理装置は、超音波衝撃処理装機と、処理対象箇所に金属粉を供給する手段を備えることを特徴とする。図11は、金属粉を供給する手段を備えた本発明の超音波衝撃処理装置を示す概略図である。なお、図11は、後述するシールドガス供給手段を併せて備えている例として示している。
【0049】
超音波衝撃処理装機は、図8で示したように、その外周に設けたベアリング19を介してケーシング18に回転可能の収納保持されている。ケーシング18には金属粉供給管28が設けられ、その先端開口部はピンの先端近傍に位置するように設けられている。金属粉供給管の他端は、例えば空気搬送装置などの金属供給装置(図示しない)に接続されており、金属粉タンク(図示しない)から金属粉が供給されるようになっている。この例では、金属粉供給管は、ケーシングおよびホルダー9において支持されているが、ホルダーでの支持部29をベアリング30を介して金属粉供給管28を回転可能に支持するようにすれば、超音波衝撃処理機を回転させながら処理するようにすることもできる。また、金属粉供給管の強度によってはホルダーでの支持部29を省略しても良い。
【0050】
なお、金属粉供給管を本体に取り付けて配置せず、離れた位置に配置してフレーム等を介して本体と連結する構成としても良い。
【0051】
この装置を用いることにより、超音波衝撃処理において処理対象箇所に合金形成用の金属粉を供給することができ、処理対象の金属材料(母材)とは異なる組成の合金表面層を形成し、母材表面の材質特性を目的に添って改善することができる。
【0052】
また、この場合、前述のピンからの金属成分の供給を期待しないで済むために、ピンの硬度を高く設定して損耗も少なくすることができる。また、前述のピンの材質を選択することによって表面層に合金層を形成する場合のものとは異なり、自由に合金用の金属を選択することができるので、表面層の成分調整の自由度が向上する。
【0053】
また、本発明の超音波衝撃処理装置は、超音波衝撃処理装機と、処理対象箇所にシールドガスを供給する手段を備えることを特徴とする。図11は、シールドガスを供給する手段を備えた本発明の超音波衝撃処理装置を示す概略図である。
【0054】
超音波衝撃処理装機は、図8で示したように、その外周に設けたベアリング19を介してケーシング18に回転可能の収納保持されている。ケーシング18にはシールドガス供給管31が設けられ、その先端開口部はピンの先端近傍に位置するように設けられている。シールドガス供給管の他端は、例えばアルゴンガス、ヘリウムガス、炭酸ガスなどの不活性ガスのタンク(図示しない)に接続されており、不活性ガスタンクからシールドガスが供給されるようになっている。この例では、シールドガス供給管は、ケーシングにおいて支持されているが、ホルダー9でも支持するようにしても良く、その際、支持部をベアリングを介して回転可能にシールドガス供給管31を支持するようにすれば、超音波衝撃処理機を回転させながら処理するようにすることもできる。
【0055】
なお、シールドガス供給管を本体に取り付けて配置せず、離れた位置、処理対象物への処理移動方向の前方、に配置してフレーム等を介して本体と連結する構成としも良い。
【0056】
この装置を用いることにより、超音波衝撃処理において処理対象箇所の雰囲気を調整することができるので、処理に伴う処理対象箇所の温度上昇や、後述するような加熱処理に伴って生じる金属酸化物の生成を抑制することができ、表面改質層の純度が向上し、また、表面改質層の厚さを実質的に厚くすることができる。
【0057】
また、本発明の超音波衝撃処理装置は、超音波衝撃処理装機と、処理対象箇所を加熱する手段を備得ることを特徴とする。図12は、処理対象箇所を加熱する手段を備えた本発明の超音波衝撃処理装置を示す、(a)は、一部断面を含む概略図、(b)は、そのA−A’視概略図である。
【0058】
超音波衝撃処理装機は、図8で示したように、その外周に設けたベアリング19を介してケーシング18に回転可能の収納保持されている。加熱手段33は、一端をケーシング18の外周に固定された支持体32によりその他端において、本体1のヘッド4の近傍ないしはそれより下方に位置し、処理対象物に近接するように支持されている。加熱手段は、処理対象物の少なくとも処理箇所を所定の温度に加熱し得るものであれば良い。図13の例においては誘導加熱コイルを設けている。加熱手段33と本体のヘッド4との間には、電磁シールド材が34が設けられている。電磁シールド材34は、一端がケーシング18の外周に固定部35により固定支持されている。他端は本体1のヘッド4の下端まで伸びている。
【0059】
また、固定部35を、例えばシリンダーなど、昇降可能になものとして電磁シールド材34を支持することが好ましい。これによって、たとえはシールドを下降させた状態で加熱すれば、ヘッド部およびピンの加熱を抑制しつつ、処理対象箇所の加熱を先行させることができる。また、シールドを上昇させた状態で加熱することによって、処理対処箇所およびピンを同時に加熱することが必要に応じてできる。
【0060】
なお、加熱装置や溶接などの熱源を本体に取り付けて配置せず、本体とはやや離れた位置、処理対象物への処理移動方向の前方、に配置してフレーム等を介して本体と連結する構成としも良い。
【0061】
このように、本発明の装置を用いて処理すると、処理箇所の加熱を超音波衝撃処理に先行あるいは同時に行なえるので、処理箇所の処理温度を適宜選択することができ、表面硬化、組織の微細化、残留応力の付与など、それぞれの効果を選択的に、また効率的に向上させることができる。
【0062】
本発明の超音波衝撃処理装置においては、上述した金属粉供給手段、シールドガス供給手段、加熱手段は、それぞれ単独で備える例を説明したが、これらの手段を複数組み合わせて超音波衝撃処理機に備えるようにしても良い。
【0063】
すなわち、金属粉供給手段とシールドガス供給手段、加熱手段と金属粉供給手段、シールドガス供給手段と加熱手段、金属粉供給手段およびシールドガス供給手段と加熱手段を超音波衝撃処理機に備えた装置とすることができる。また、上記手段らを超音波衝撃処理機とは離れた位置に配置して連結した構造の装置としても良い。本発明の装置は、上述したように、処理対象の金属材料の表面層をナノ結晶構造とすると共に、各種の合金層を形成したり、微細な組織構造としたり、形状を改善したり、また応力状態を改善することができる。これによって、耐磨耗性、耐食性、疲労特性などを改善するなど、広範囲の特性の改善を可能とすることができる。
【0064】
さらに、本発明の超音波衝撃処理装置は、超音波衝撃処理機又は超音波衝撃処理装置を複数配置したことを特徴としている。
【0065】
図13は、超音波衝撃処理機、あるいは本発明の超音波衝撃処理装置を複数配置した超音波衝撃処理装置の構成を示す(a)は正面の、(b)は上面の、(c)は側面の概略図である。
【0066】
ガイドレール21の間に移動可能に設けられた架台23架台が設けられており、この架台には、それぞれケーシング18、18’に収納された2台の超音波衝撃処理機1,1’が、ケーシング18、18’に設けた支持体36、36’を介して、固定部材37、37’によって架台23に固定されている。その際、図13(a)〜(c)から判るように、超音波衝撃処理機1,1’の中心軸線が角度θをなすように配置されている。そしてこれらの複数の装置によって、ほぼ同じ場所を集中的に処理することができる。すなわち、一台の中に複数のトランスデューサーを配置する場合と異なり、振動系を別個にして同一エリアを処理するため、振動の干渉が少なく、効率よく複数軸で応力を処理対象部に与えることができる。
【0067】
なお、固定部材37および37’のいずれか一方又は双方を、支持体36,36’に対して角度可変に支持固定可能な部材とすることも好ましい。これによって角度を自在に設定すること、また角度方向に動作させながらの処理も可能となる。
【0068】
さらに、架台23に対して固定部材37,37’を移動可能な構造とすることも好ましい。例えば、架台にガイドレールと、それぞれ独立の動力シャフトとを設け、これに動力シャフトのねじ山に螺合するナットを固定部材に設ける構成とすれば、動力シャフトを回転させることによって、超音波衝撃処理機1、1’の間隔を任意に選択できるようにすることができる。
【0069】
なお、架台23には、ガイドレールに沿って設けられたねじ山を有する動力シャフト22に螺合するナット22aが固定されており、動力シャフトが回転することによって架台は、ガイドレールに沿って移動することができる。
【0070】
また、複数の超音波衝撃処理機、あるいは本発明の超音波衝撃処理装置を配置した本発明の装置の他の例は、複数の複数の超音波衝撃処理機、あるいは本発明の超音波衝撃処理装置を、その軸が処理対象物の処理方向に対して互いに平行になるよう配置した構成の超音波衝撃処理装置である。これは、図14(a)〜(c)において、3台の超音波衝撃処理機1,1’1”の中心軸が互いに平行となるように配置されるものである。超音波衝撃処理機1,1’、1”をそれぞれ収納したケーシング18,18’,18”は、その外周に設けられた支持体36,36’,36”を介して、 固定部材37、37’、37”によって架台23に固定されている。その際、図14(a)〜(c)から判るように、超音波衝撃処理機1,1’の中心軸は、処理方向に対して、互いに平行になるように配置されている。この場合は、複数個のピンの処理範囲はそのままでは重ならないのが通常なため、処理が均一にまんべんなくなるように、移動は2方向に行ないながら、表面を平滑に処理していくように機器を構成し、コントロールすることが好ましい。
【0071】
なお、上述のように、複数の超音波衝撃処理機を架台23に固定する際に、角度可変に支持可能な固定部材37,37’37”を用いた構成とすれば、超音波衝撃処理機相互の中心軸が互いに平行となるように配置した超音波衝撃処理装置とすることができると共に、必要に応じて互いに角度をなして配置した超音波衝撃処理装置とすることができる。また、上記のように、架台23に対して固定部材37,37’37”を移動可能な構造とすることも好ましく、移動可能とすることによって、複数の超音波衝撃処理機を平行かつ所望の間隔に設定した超音波衝撃処理装置とすることができる。
【0072】
複数の超音波衝撃処理機を中心軸の角度を持って配置した装置を用い、或いはさらに超音波衝撃処理機の動作条件、例えばトランスデューサー位相、ピンの形状、ウエーブガイドの性状など、をそれぞれ異なる条件とし、中心軸が交わる位置に処理対象箇所を位置させて処理を行なうことによって、処理面に対して複数の荷重軸で応力を与えることができ、結晶粒の微細化ができる。また、複数軸の応力のサイクルがいずれも同程度であり、あるいは、軸の方向を完全に角度をずらして分けることができるので、結晶粒の微細化効果がより向上する。
【0073】
また、複数の超音波衝撃処理機を中心軸を平行となるように配置した装置を用い、或いはさらに超音波衝撃処理機の動作条件、例えばトランスデューサー位相、ピンの形状、ウエーブガイドの性状など、をそれぞれ異なる条件とし、処理を行なうことにより、大きな出力を用いなくても広い面積を処理でき、或いは大きな出力の機器を用いた場合よりも平面的な均一性を確保することができる。また、必要に応じて、処理条件の異なった処理を同時に行なうことができる。
【0074】
上記複数の超音波衝撃処理機を備えた超音波衝撃処理装置は、従来の超音波衝撃処理機のほか、これまで説明した本発明の超音波衝撃処理機および超音波衝撃処理装置装置を用いて構成することができることは言うまでもない。例えば、超音波衝撃処理機を複数のトランスデューサーを備えたもの、或いはピンの先端形状をワイヤー状体としたものなどとすることも好ましく、また、金属粉供給手段或いは加熱手段などを備えた超音波衝撃処理装置を複数配置するなど、処理の必要に応じて選択配置することが好ましい。また、複数の超音波衝撃処理機又は超音波衝撃処理装置が異なる機能を持つものを組み合わせて配置することも可能である。複数の超音波衝撃処理機、超音波衝撃処理装置を配置することによって、上記効果を一層広範囲のものとすることができる。
【0075】
また、本発明の超音波衝撃処理装置は、超音波衝撃処理装機或いは超音波衝撃処理装置を、ロボットアームに搭載したものである超音波衝撃処理装置である。図15は、超音波衝撃処理装機或いは超音波衝撃処理装置を、ロボットアームに搭載したものである超音波衝撃処理装置を示す概略図である。
【0076】
ケーシング18に収納された超音波衝撃処理機1は、ケーシング18に設けられた継手38によりロボットアームに搭載され、ロボット制御装置と40により制御されて超音波衝撃処理を行なう。
【0077】
超音波衝撃処理を自動化して行なうことができ、極めて効率的に表面改質等を行なうことができる。
【0078】
【実施例】
本発明の超音波衝撃処理装機又は、本発明の超音波衝撃処理装置を、実施例により具体的に説明する。
【0079】
本発明の超音波衝撃処理機は、図1に示したような構成であり、27kHz、出力600Wの金属トランスデューサーを備えたもので、振幅20〜40μmの鉛直振動をピンに発生させる。超高強度鋼製のピンはでHv800の硬さを備えており、3本が20mmの間に配列されている。また、ピンの回転は、ヘッドの外側に設けたモーターによりおこなった。この超音波衝撃処理装機を基本機器とした上で、本発明の機器又は各装置を用い、それらの構成や処理条件等を変えて、各種の金属材料の処理を行なった。金属材料として1.2mm(厚)×1m(幅)×L(長さ)の板を用いた。
【0080】
処理後の金属材料の表面を調査し、処理幅の大きさ(mm)、処理表面の硬さ(Hv)を測定すると共に、処理後の金属材料より試験片を切り出し、顕微鏡観察によってナノ結晶組織層や、酸化層の厚さを調査した。さらに、表面ナノ層の成分をEPMA面分析により調査した。また、これらの結果を総合評価した。それらの結果を、上述の処理条件とともに、表1に示す。
【0081】
また、処理対象金属および添加した金属の成分組成を表2に示した。なお、表1中の「合金化指標」とは、合金化の効率を表すものであり、処理対象母材中の化学成分をA%,添加した成分をB%、形成された合金層中の化学成分をC%としたとき、合金化指標をX%とすると、Y=(A+B)/2、X=C/Y×100(%)とする。
(比較例1)図1に示した超音波衝撃処理機(基本機器)を用い、ピンを回転させることなく鋼板を処理した。なお、処理速度は、50cm/minとした。表面層にはナノ結晶層は、全く形成されなかった。
(比較例2)比較例1と同様に、基本機器を用い、ピンを回転させることなくアルミ板を処理した。なお、処理速度は100cm/minとした。
【0082】
表面層にはナノ結晶層は、全く形成されなかった。
(実施例1)図1に示した超音波衝撃処理機(基本機器)を用い、ピンを100回転/sec程度で回転させつつ、鋼板を処理した(以下の実施例においても、ピンを回転させる場合は、ピンの回転速度は、100回転/secとした)。また、処理速度は50cm/minとした。(以下の実施例でも、鋼板の場合は、処理速度は50cm/minとした。)
表面層には45μmのナノ結晶層が形成され処理効率も良好であった。
(実施例2)実施例1と同様の機器を用い、ピンを回転させつつアルミ板を処理した。処理速度は比較例と同様、100cm/minである。(以下の実施例でも、アルミ板の場合は、処理速度は100cm/minとした。)
表面層には35μm以上のナノ結晶層が形成され、処理効率も良好であった。(実施例3)実施例1と同様の機器を用い、ピンを回転させつつ鋼板を処理した。このとき、機器を5cm/secでウイービング(左右又は前後に振ること)させつつ処理した。表面層には35μm以上のナノ結晶層が形成され、処理効率も良好であった。
(実施例4)図3に示すような複数のトランスデューサーを備えた超音波衝撃処理機を用いた。このときトランスデューサーは垂直方向の1台と、水平方向に2台の計3台を備えた装置を用いた。水平方向の2つのトランスデューサーの発振は、20kHz、振幅は2μmである。なお垂直方向のトランスデューサーは上記基本機器のものであり、27kHz、振幅20〜40μmである。これによって3方向の振動をピンに与え、さらに、ピンを回転させつつ鋼板を処理した。表面層には50μmと厚いナノ結晶層が得られ、処理効率も良好であった。
(実施例5)垂直方向1台、水平方向2台の合計3台のトランスデューサーを備えた実施例4と同様の超音波衝撃処理装置を用いた。しかしながらこのとき、、水平方向の2台のトランスデューサーの位相は、互いに180度ずれたものとした。これによって3方向からの位相のずれた振動をピンに与え、さらに、ピンを回転させつつ鋼板を処理した。表面層には52μmと厚いナノ結晶層が得られ、処理効率も良好であった。
(実施例6)実施例1と同様の機器を2台を、その中心軸が互いに45°をなすように配置した超音波衝撃処理装置を用いて、鋼板の同一の処理対象箇所を処理した。なお、ピンの干渉を避けるために、ピンは、基本のものより細い3mm径のものを用いた。ピンを回転させつつ、また、ピンの間に凹凸を作らないように約1mm程度の幅でウイービングしながら処理した。表面層には50μmと厚いナノ結晶層が得られたが処理幅が広く、処理効率は良好であった。
(実施例7)図14に示すように複数の超音波衝撃処理機を平行に配置した超音波衝撃処理装置を用いたものである。この例では、5台の基本機器を配置した超音波衝撃処理装置を配置した。この場合、直径5mmのピンが約7mmの間隔で並んでいるため、ピンを回転させつつ、3mmほどの幅でウイービングしながら鋼板を処理した。
【0083】
表面層には40μmと厚いナノ結晶層が形成され、処理幅も大きく処理効率は良好であった。
(実施例8)図5に示したように、超音波衝撃処理装機のピンの先端形状を変えた例である。厚さ1.2mmの鋼板の端部を処理するために、ピンの先端形状を曲率半径が7mmの凹形状とした。
【0084】
このピンを、実施例1と同様、基本機器のヘッドに装着し、ピンを回転させつつ、鋼板の端部を処理した。端部の曲率が3mmとなり角が滑らかとなると共に、表面層にナノ結晶層を形成することができた。
(実施例9)この実施例では、超音波衝撃処理機のピンの材質を変えて処理を行なった。ピンは、Ni−Cr合金のものであり、硬さは200HVである。このピンを実施例1と同様、基本機器のヘッドに装着し、ピンを回転させながら鋼板を処理した。
【0085】
表面層にはナノ結晶層が形成されるとともに、表面の硬さが向上した。これは、図5に示したように、ピンの成分が鋼板の表面層に移行し、Ni−Crの合金表面層が形成されたためである。
(実施例10)この実施例は、図11に示したような金属粉を供給する手段を備えた超音波衝撃処理装置を用いて処理するものである。金属粉供給管からNi−Cr合金粉を、10g/minで供給し、ピンを回転させながら鋼板を処理した。
【0086】
表面層にはナノ結晶層が形成されると共に、表面の硬さが向上した。処理効率も良好であった。
(実施例11)この実施例は、図12に示したような加熱手段を備えた超音波衝撃処理装置を用いて処理するものである。電磁コイルで処理対象箇所の表面近傍のみを500℃に加熱し、ピンを回転させながら鋼板を処理した。
【0087】
表面層には50μmと厚いナノ結晶層が形成されており、処理効率も良好であった。ただし、厚い酸化層が形成されていた。
(実施例12)この実施例は、図12に示すように、加熱手段および金属粉供給手段を備えた超音波衝撃処理装置を用いて処理するものである。電磁コイルで処理対象箇所の表面近傍のみを500℃に加熱するとともに、金属粉供給管からNi−Cr合金粉を,10g/minで供給し、かつピンを回転させながら鋼板を処理した。
【0088】
表面層には40μmと厚いナノ結晶層が形成されており、かつ硬さも向上していた。処理効率も良好であった。ただし、厚い酸化層が形成されていた。
(実施例13)この実施例は、実施例12と同様に、加熱手段を備えた超音波衝撃処理装置を用いて処理するものである。この実施例では、電磁コイルで処理対象箇所の表面近傍のみを500℃に加熱し、ピンを回転させながら鋼板を処理し、処理する際は、電磁シールドを降下させた状態とし、ピンの過熱を抑制した。
【0089】
表面層には90μmと極めて厚いナノ結晶層が形成されており、処理効率も良好であった。ただし、厚い酸化層が形成されていた。
(実施例14)この実施例は、図12に示したようなシールドガス供給手段を備えた超音波衝撃処理装置を用いて処理するものである。シールドガスとしてCOガスを用い、20リットル/分を供給し、ピンを回転させながら鋼板を処理した。
【0090】
表面層には41μmと厚いナノ結晶層が形成されており、酸化層の形成もなく、処理効率も良好であった。
(実施例15)この実施例は、実施例14と同様に、シールドガス供給手段を備えているが、さらに、金属粉供給手段を備えた超音波衝撃処理装置を用いたものである。シールドガスとしてCOガスを用い、20リットル/分を供給すると共に、金属粉供給管からNi−Cr合金粉を、10g/minで供給し、ピンを回転させながら鋼板を処理した。
【0091】
表面層には35μmと厚いナノ結晶層が形成されており、合金層が形成され硬さが向上した。合金化指標も94(%)と高いものであった。また、酸化層の形成がなく処理効率も良好であった。
(実施例16)この実施例は、実施例14と同様に、シールドガス供給手段を備えた超音波衝撃処理装置を用いて処理するものである。シールドガスとしてCOガスを用い、20リットル/分を供給し、ピンを回転させながらアルミ板を処理した。
【0092】
表面層には55μmと厚いナノ結晶層が形成されており、硬さが向上し、酸化層の形成がなく処理効率も良好であった。
(実施例17)この実施例は、実施例15と同様に、シールドガス供給手段、揺動手段を備えているが、さらに、金属粉供給手段を備えた超音波衝撃処理装置を用いたものである。シールドガスとしてCOガスを用い、20リットル/分を供給すると共に、金属粉供給管からアルミ合金粉を、10g/minで供給し、ピンを回転させながらアルミ板を処理した。
【0093】
表面層には30μmと厚いナノ結晶層が形成されており、硬さが向上した。酸化層の形成がなく処理効率も良好であった。
【0094】
【表1】
Figure 2004169104
【0095】
【表2】
Figure 2004169104
【0096】
【発明の効果】
本発明の超音波衝撃処理機および超音波衝撃処理装置によれば、(a)超音波衝撃処理を多軸的に施すことによってナノ結晶化を促進すること、(b)処理表面の温度制御を可能な構造とすることにより、超音波衝撃処理により得られる表層の諸特性を選択できるようにすること、(c)少なくとも処理表面の雰囲気を制御可能な構造とし、酸化物層の形成を抑制し、良好な金属表面状態とすると共に、さらには合金層の良好な形成を可能とすること、(d)処理対象物に対して金属成分を供給可能な構造とし、表層に元の母材と異なる成分構成の合金層を形成可能とする、等の効果を得ることができ、ナノ結晶組織を有する共に、各種の特性を有する表面層を効率的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波衝撃処理機の構成概要を示す断面概略図。
【図2】本発明の超音波衝撃処理機のヘッドの他の例を示す断面概略図。
【図3】本発明の複数のトランスデューサーを備えた超音波衝撃処理機の構成を示す斜視図。
【図4】(a)本発明の複数のトランスデューサーを備えた超音波衝撃処理機のウエーブガイドへのトランスデューサーの配置例を示した模式図。
図4(b)複数設けたトランスデューサーの位相のずれを説明する図。
【図5】本発明の超音波衝撃処理機のピンの先端形状の例を示した図であり、
(a)は凸面形状、(b)は凹面形状を示す。
【図6】本発明の超音波衝撃処理機による表層の合金層の形成過程を示す模式。
【図7】本発明の超音波衝撃処理機のピンの先端の一例を示す概略図であり、(a)は、超音波衝撃処理機に組み込まれた状態、(b)は、先端をワイヤー状体で形成したピンを示す。
【図8】超音波衝撃処理機を回転可能とする超音波衝撃処理装置の概略図。
【図9】超音波衝撃処理機を処理方向に移動可能とした超音波衝撃処理装置を示す模式図であり、(a)は、側面図、図9(b)は平面図。
【図10】超音波衝撃処理機を回転/移動可能とした本発明の超音波衝撃処理処理装置の他の例を示した概略図。
【図11】金属粉を供給する手段およびシールドガス供給手段を備えた本発明の超音波衝撃処理装置を示す概略図。
【図12】加熱する手段を備えた本発明の超音波衝撃処理装置を示すであり、(a)は、一部断面を含む概略図、(b)は、そのA−A’視概略図である。
【図13】超音波衝撃処理機或いは超音波衝撃処理装置を複数配置した本発明の超音波衝撃処理装置の構成を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は側面図である。
【図14】超音波衝撃処理機或いは超音波衝撃処理装置を複数配置した本発明の超音波衝撃処理装置の他の例の構成を示す概略図であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は側面図である。
【図15】超音波衝撃処理装機或いは超音波衝撃処理装置を、ロボットアームに搭載した本発明の超音波衝撃処理装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1…超音波衝撃処理機
2、2’2”…トランスデューサー
3…ウエーブガイド
4…ヘッド
5…孔
6…ピン
8…空間
9…ホルダー
10…環状の金具
11…カバー
12…多孔体
13…開口部
14…処理対象
15…ワイヤー状体
18…ケーシング
19…ベアリング
20…回転駆動装置
21…ガイドレール
22…動力シャフト
22a…ナット
23…架台
24…固定手段
25…フレーム
26…把持用ハンドル
28…金属粉供給管
29…支持部
30…ベアリング
31…シールドガス供給管
32…支持体
33…加熱手段(電磁コイル)
34…電磁シールド材
35…固定部
36、36’、36”…支持体
37、37’、37”…固定部材
38…継手
39…ロボットアーム
40…ロボット制御装置
41…歯車
50…ピン回転手段
51…歯車
52…回転駆動装置
53…歯車
54…コイル
55…ブラシ

Claims (25)

  1. 超音波を発生させるトランスデューサーと、該トランスデューサーでの前方に取り付けられ、超音波を前方に導くためのウエーブガイドと、該ウエーブガイドの先端に取り付けられ、前記超音波により振動するピンと該ピンを回転させるピン回転手段と、該ピンを保持するホルダーとを備えたヘッドとからなる超音波衝撃処理機。
  2. 前記ウエーブガイドに複数のトランスデューサーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の超音波衝撃処理機。
  3. 前記複数のトランスデューサーは、それぞれ互いに位相が異なることを特徴とする2に記載の超音波衝撃処理機。
  4. 前記ヘッドのピンの先端形状が、凸状又は凹状の曲面を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機。
  5. 前記ヘッドのピンが、処理対象物の性状に応じてその硬さと化学組成を制御されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機。
  6. 前記ヘッドのピンの先端部が、多数のワイヤー状体からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、該超音波衝撃処理装機をその軸の周りに回転させる手段とを備えたことを特徴とする超音波処理装置。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、該超音波衝撃処理装機を移動させる手段とを備えたことを特徴とする超音波処理装置。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、該超音波衝撃処理装機をその軸の周りに回転させかつ移動させる手段とを備えたことを特徴とする超音波処理装置。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、処理対象箇所に金属粉を供給する手段とを備えたことを特徴とする超音波衝撃処理装置。
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、少なくとも処理対象箇所を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする超音波衝撃処理装置。
  12. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、少なくとも処理対象箇所にシールドガスを供給する手段を備えたことを特徴とする超音波衝撃処理装置。
  13. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、処理対象箇所に金属粉を供給する手段と、少なくとも処理対象箇所を加熱する加熱手段とを備えたことを特徴とする超音波衝撃処理装置。
  14. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、処理対象箇所に金属粉を供給する手段と、少なくとも処理対象箇所にシールドガスを供給する手段を備えたことを特徴とする特徴とする超音波衝撃処理装置。
  15. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、少なくとも処理対象箇所を加熱する加熱手段と、少なくとも処理対象箇所にシールドガスを供給する手段を備えたことを特徴とする特徴とする超音波衝撃処理装置。
  16. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機と、処理対象箇所に金属粉を供給する手段と、少なくとも処理対象箇所を加熱する加熱初段と、少なくとも処理対象箇所にシールドガスを供給する手段とを備えたことを特徴とする超音波衝撃処理装置。
  17. 前記加熱手段が電磁誘導加熱手段であり、かつ電磁シールドを備えていることを特徴とする請求項11,13、15,16のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理装置。
  18. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機の複数機が、各超音波処理機の軸方向が互いに異なるように配置されていることを特徴とする超音波衝撃処理装置。
  19. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機の複数機は、各超音波処理機の軸方向が互いに平行となるように配置されていることを特徴とする超音波衝撃処理装置。
  20. 前記超音波処理装置の前記複数超音波衝撃処理機は、各超音波衝撃処理機のトランスデューサー、ウエーブガイド、ピンのいずれか1つが、他の超音波処理機のそれと異なる性状のものであることを特徴とする請求項18又は19に記載の超音波衝撃処理装置。
  21. 請求項7〜17のいずれか1項に記載の超音波処理装置の複数の装置が、各超音波衝撃処理装置の方向が互いに異なるように配置されていることを特徴とする超音波衝撃処理装置。
  22. 請求項7〜17のいずれか1項に記載の超音波処理装置の複数の装置が、各超音波衝撃処理装置の軸方向が互いに平行とになるように配置されていることを特徴とする超音波衝撃処理装置。
  23. 前記超音波処理装置の前記複数超音波衝撃処理装置は、各超音波衝撃処理装置のトランスデューサー、ウエーブガイド、ピンのいずれか1つは、他の超音波処理装置のそれと異なる性状のものであることを特徴とする請求項21または22に記載の超音波衝撃処理装置。
  24. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理機が、ロボットアームに取り付けられていることを特徴とする超音波衝撃処理装置。
  25. 請求項7〜17のいずれか1項に記載の超音波衝撃処理装置が、ロボットアームに取り付けられていることを特徴とする超音波衝撃処理装置。
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