JP2009509562A - αvβ6ペプチドリガンド及びその活用 - Google Patents

αvβ6ペプチドリガンド及びその活用 Download PDF

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Abstract

AVβ6ペプチドリガンド、それの機能的変異体、それらをコードしている核酸は、AVβ6を介した疾病の治療及び画像化についてのそれらの用途とともに開示される。

Description

本発明は、αvβ6ペプチドリガンド並びに、その機能的変異体並びに、それらをコードする核酸並びに、治療におけるそれらの使用並びにαvβ6を介した疾病に関する。
インテグリンは、細胞間及び細胞−細胞外基質(ECM)間における接着の媒介に関与する、細胞表面受容体の大きなファミリーである。少なくとも24種類のインテグリンが存在し、各ヘテロダイマーはα及びβサブユニットより構成され、それらの発現は、組織、発生の段階、炎症及び癌のようなさまざまな組織の病変を含む、いくつもの要因によって決定される。インテグリン自体は固有の酵素活性を全く持たないが、リガンドの結合に続いて、インテグリンは細胞外の合図を細胞内のシグナルに翻訳し、それは細胞質の構造的でかつシグナルを送る分子の複合体によって並行的に持ち込まれることによるものであり、この複合体はその後、相互作用して細胞応答を決定する。インテグリンは、運動性、増殖、浸潤、生存を含む、細胞挙動の多くの要素に関わっているので、疾病におけるそれらの役割は広く報告されている。事実、インテグリンの中には、癌を含むある種の疾病を助長するのに、能動的な役割を果たしていると考えられているものがある。例えばαvβ3は、移動促進及び生存シグナルを提供するのに加え、浸潤を促進させるメタロプロテアーゼをアップレギュレートすることを含む多様な能力のために、メラノーマとグリオブラストーマの浸潤性の表現型を促進することが示唆されている。インテグリンαvβ3は血管新生のための血管における内皮細胞でもアップレギュレートされ、癌における新生血管の発達にも同様のシグナルを提供している可能性があり、それらのデータにより、多くの製薬会社及び大学機関が治療を目的としてαvβ3のアンタゴニストの開発を行っており、それらの多くはペプチドあるいはペプチドミメティクスである。それ故に、インテグリン−リガンド相互作用の構造上の基本を理解することは、インテグリンのアンタゴニストの改良設計に役立つだろう。
αvβ6は内皮細胞でのみ発現している。このインテグリンは正常組織と病態組織の両方のプロセスに関与する。それ故に、αvβ6は創傷治癒及び炎症の間、アップレギュレートされる。αvβ6の能力は、TGFβの防御プロぺプチドである潜在型結合ペプチド(LAP)に結合することによって、TGFβを局所的に活性化させるαvβ6の能力により、これらの一過性の病理におけるαvβ6の機能が説明できそうである。それ故に、TGFβは炎症反応及び上皮の増殖を抑制することができるので、αvβ6はこれらのプロセスを抑制するためのネガティブコントロールとしての役割を果たすことが示唆されている。しかしながら、慢性炎症によってTGFβの、過剰なαvβ6依存的な活性化へと到ることが可能であり、結果的に実験動物は肺線維症になる。結果的に線維症になったヒトの病理の中には、αvβ6依存的なTGFβの活性化が関与しているケースが見込まれる。マウスの皮膚におけるαvβ6の構成的な過剰発現は、結果的に慢性的な損傷をもたらし、トランスジェニックマウスのかなり多くにも見受けられる。それ故に、ヒトの疾病と相関した慢性損傷(例として、ある種の表皮水疱症)は、損傷したケラチノサイトにおけるαvβ6のアップレギュレーションによって促進または悪化する可能性がある。
最近、インテグリンαvβ6は癌における主要な新しい標的であることが明らかになっている。αvβ6は上皮特異的であるにも関わらず、多くの静止した上皮組織では弱いか検出ができないが、多くのタイプの癌の、しばしば浸潤的な最前部で、強くアップレギュレートされている。αvβ6は、MMPをアップレギュレートし、運動性の増加を促進させることによって、癌腫の浸潤を促進でき、それによりαvβ6はAktをアップレギュレートして癌腫の細胞の生存を促進することが示されている。これらのデータはαvβ6が浸潤的な表現型を活性的に促進することを強く示唆する。この示唆は、αvβ6の高発現が、結腸がん患者の平均生存期間の有意な減少と相関している最近の報告により支持される。
αvβ6は、ウィルスカプシド・タンパク質であるVP1のRGDモチーフと結合することで、in vitroで口蹄疫ウィルス(FMDV)のレセプターとして、同定されている。
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本発明は、αvβ6を対象とする治療を改善し、特に新規結合リガンドを発見することを目的とした研究に起因し、そのリガンドは例えば、性合親和性を増加させ、及び/またはαvβ6を介した疾病の治療及び画像化を改良させる特異性を持つ。これらは、例えば慢性線維症または癌腫のようなαvβ6を介した疾病を持つ患者に、主な利点を持つ可能性がある。特にαvβ6を改良したアンタゴニストには、高い需要がある。
概して、本発明は、αvβ6のペプチドアンタゴニストの有効性が、ペプチドアンタゴニスト内の、及び配列モチーフRGDLXXL/Iを含む特有のペプチド内の、特異的な二次構造の存在に依存するという、驚くべき発見に基づいており、ここでLXXL/Iはαヘリックス構造内に含まれる。以前FMDVの結晶構造解析により、ヘアピンカーブの先端にあって続いて310ヘリックスが続く、VP1カプシド・タンパク質のG−Hループ内に、RGDモチーフが含まれることが示された一方で、特異的な二次構造内における結合モチーフの位置が、その結合能に重要であるという指摘はなかった。本発明者たちは、RGDモチーフを含むVP1タンパク質由来の欠失ペプチドが、結合能を増加させること及び結合特異性を示すことを発見した。特に、結合特異性及び性合親和性が、ペプチドの結合領域内におけるヘリックス傾向をさらに増加させた。学説に拘束されないのであれば、αvβ6結合ペプチドのLXXLモチーフ内におけるαヘリックス構造により、疎水性側鎖がαvβ6の結合部位と相互作用することを、RGDLXXLモチーフの正確な配向性が、可能にすることを許していると考えられる。さらに、ヘリックス内の残基とN末端内の残基間における非共有結合的な接触が、ヘアピン構造を安定化し、特異的結合のための好ましいRGDモチーフをαvβ6に提示する。
従って、第1の態様では、本発明は、配列モチーフRGDLXLまたはRGDLXIを含むペプチドを規定し、ここでLXLまたは LXIはαヘリックス構造内に含まれる。
さらなる態様では、本発明は、本明細書で規定したぺプチドをコードする単離した核酸分子、及びその核酸分子を含む発現ベクターを提供する。
さらなる態様では、本発明は、治療または診断の使用のために、本明細書で規定したペプチド、核酸分子または発現ベクターを提供する。
さらなる態様では、本発明は、本明細書で規定した、医薬組成物のペプチド、核酸分子または発現ベクター、並びに医薬として許容される担体を提供する。
さらなる態様では、本発明は、本明細書で規定したペプチド、核酸分子または発現ベクターを、治療に有効量で、必要とする患者に投与することを含む、細胞がαvβ6を過剰発現している疾病またはαvβ6を介した疾病の治療方法を提供する。
さらなる態様では、本発明は、αvβ6を介した疾病あるいは細胞がαvβ6を過剰発現している疾病の治療のための薬剤の調合のために、本明細書で規定した、ペプチド、核酸分子または発現ベクターの使用を提供する。一例として、これらの疾病は、慢性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、慢性損傷皮膚病(例として、表皮水疱症)あるいは癌を含む。
さらなる態様では、本発明は、個体の体内の表皮細胞の画像化の方法を提供し、その方法には、本明細書で規定したペプチドを、治療に有効量で、個体に投与すること並びにその体内のペプチドの存在を検出することが含まれる。
さらなる態様では、本発明は、αvβ6を介した疾病の診断または予後診断のための方法を提供し、その方法には、本明細書で規定したペプチドを、治療に有効量で、個体に投与すること及び体内のペプチドの存在を検出することが含まれる。
さらなる態様では、本発明は、αvβ6を発現している細胞あるいは患者内でαvβ6を発現している細胞を含んでいる組織に、治療上の活性部分を送達する方法を提供し、その方法には、本発明のペプチドを投与することが含まれる。
さらなる態様では、本発明は、ペプチドのαヘリックスの含有量を増加させることによって、αvβ6結合ペプチドの結合特異性を改善する方法を提供する。
本発明の実施態様は、これより一例として及び添付の図表を参照することに限られずにさらに記載される。
αvβ6ペプチドリガンド
本発明は、配列モチーフRGDLXLまたはRGDLXIを含むペプチドリガンドの使用に関係し、ここでLXLまたはLXIはαヘリックス構造内に含まれる。他に特に規定がなければ、本明細書のアミノ酸の位置は、ペプチドのN末端からC末端にかけて番号がつけられる。
用語「αヘリックス構造」は、特定の水素結合パターンで相互作用するペプチド内のアミノ酸の連続的な群と理解されており、それ故にヘリックス構造と規定される。例えば、標準的なαヘリックスにおける水素結合パターンは、残基nのカルボニル酸素から残基n+4のアミド水素の間にある。310ヘリックスに関しては、この水素結合パターンは、残基nからn+3の間にあり、πヘリックスに関しては、それは残基nからn+5の間にある。各αヘリックス1回転あたり残基数は、標準的なαヘリックス、310ヘリックス及びπヘリックスに対してそれぞれ3.6、3.0及び4.4である。
本発明で有用なαヘリックスは、国際公開第95/00534号で記述されているように、αヘリックスミメティクスでもよい。αヘリックスミメティクスは、天然に存在する、または合成ペプチドの、構造を安定化させることのできるαヘリックス構造である。
本発明のペプチドは、標準的なヘリックスまたは310ヘリックスまたはπヘリックスまたはそれらのどれかの組み合わせを含めてもよい。例えば、本発明のヘリックスは、そのヘリックスの側面に位置する、好ましくは2つのキャップである、N末端キャップおよびC末端キャップである、キャップ構造を形成するアミノ酸を含めてもよい。
本発明の好ましい実施態様では、前記に規定したペプチドは、配列RGDLXLX10を含む。好ましくは、このペプチドは、配列RGDLXLX10を含み、そのZはヘリックスを促進させる残基であり、nは1から20の間の任意の数である。好ましくは、nは5から15の間であり、より好ましくは、nは8から12の間である。位置Zにヘリックス残基を含むためのヘリックスの伸張は、それらがαvβ6への結合をも強化可能なヘリックスの双極子をさらに強化するので、好ましい実施態様である。
本発明のペプチドは、前記で規定したペプチドの機能的変異体にもなり得ることができ、前記のペプチドと少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の配列同一性を持つペプチドを含み、人工アミノ酸または修飾アミノ酸が含まれるペプチドをも含む。適切な人工アミノ酸は、一例として、D−アミノ酸、オルニチン、ジアミノ酪酸オルニチン、ノルロイシンオルニチン、ピリルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニン、フェニルグリシン、α及びα−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、トリフルオロチロシンのようなp−Cl−フェニルアラニン、p−Br−フェニルアラニン、p−I−フェニルアラニン、天然アミノ酸のハロゲン化物の誘導体であるL−アリル−グリシン、b−アラニン、L−a−アミノ酪酸、L−g−アミノ酪酸、L−a−アミノイソ酪酸、L−e−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、Lメチオニンスルホン、L−ノルロイシン、L−ノルバリン、p−ニトロ−L−フェニルアラニン、L−ハイドロキシプロリン、L−チオプロリン、1−メチル−Phe、ペンタメチル−Phe、L−Phe(4−アミノ)のようなフェニルアラニンのメチル化物の誘導体、L−Tyr(メチル)、L−Phe(4−イソプロピル)、L−Tic(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシル酸)、L−ジアミノプロピオン酸及びL−Phe(4−ベンジル)を含む。このペプチドはさらに改良してもよい。例えば、1またはそれ以上のアミド結合は、エステルあるいはアルキルのバックボーン結合によって置換してもよい。NまたはCアルキル置換基、側鎖修飾あるいは例えばジスルフィド架橋、アミド側鎖あるいはエステル結合のような拘束があってもよい。
本発明のぺプチドは、改良したペプチド及び合成ペプチドの類似体の両方を含めてもよい。例えば、ペプチドは、処方及び貯蔵特性を改善するために、あるいは非ペプチド構造を組み込むことによって、不安定なペプチド結合を保護するために、改良してもよい。
本発明のペプチドは、当該技術分野で既知の方法で調整してもよい。例えば、例として固相法及び自動ペプチド合成装置のような化学合成によって、あるいは(本明細書で規定したような核酸を用いた)組換方法によって、合成してもよい。例えばペプチドは、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)法を用いる自動多重ペプチド合成機(アビメドAMS422)で固相化させる戦略を用いて合成してもよい。このペプチドはその後、逆相HPLCによって精製可能であり、及び凍結乾燥可能である。このペプチドは、より長いペプチド、例えば5T4ペプチド(GenBankアクセス番号Z29083)を切断することにより調整してもよい。従って、ペプチドは5T4配列の断片でもよい。ペプチドは、本発明で規定したポリヌクレオチドの組換発現によって調整してもよい。ペプチドを、適切なホスト細胞で発現させて、当該技術分野で既知の方法を用いて単離する。好ましくは、X−X及びX−X10はヘリックスを促進させる残基である。好ましくは、ヘリックスを促進させる残基は、Glu、Ala、Leu、Met、Gln、Lys、Arg、Val、Ile、Trp、Phe及びAspからなる群から独立して選択される。このヘリックスを促進させる残基は、人口アミノ酸または修飾アミノ酸も可能である。
用語「ヘリックスを促進させる残基」は、αヘリックスの中央において発見されている1.0よりずっと大きな配座優先を伴ったアミノ酸を含む(Creighton, 1993 and Pace CN. and Scholtz J. M. (1998), Biophysical Journal, Vol. 75, pages 422-427より)。しかしながら、アミノ酸の連結を促進させる非標準ヘリックスも、それらがαvβ6に対しての結合特異性及び/または性合親和性を増強するのであれば、本発明の範囲内に入る。
本発明者たちは「末端のキャッピング」によって、αヘリックスの双極子の安定化を図り、それによりヘリックスのN末端終端はグルタミン酸のように、負に荷電したアミノ酸によってキャップされる。同様に、C末がリシンのように正に荷電したアミノ酸によってキャップされてもよい。キャッピングの残基は、Aurora及びRoseによって規定されたキャッピングのルールを順守する可能性がある(Protein Sci. 7(l):21-38; 1998)が、非標準ヘリックスのキャッピングのモチーフは、それらが構造的な相互作用によりペプチドを安定化させるのであれば、本発明の範囲内にも入る。
さらなる実施態様において、本発明のペプチドを環化してもよい。本発明のペプチド内に環構造を導入する方法は周知の技術であり、それにより、結果的に安定性を獲得する構造の配座制約を提供する。例えば、C末システインあるいはN末システインを、環ペプチドを生成するペプチドに付加することが可能であり、それにより、このペプチドは酸化される場合にジスルフィド結合を含む。ペプチドを環化する他の方法は、チオエーテルの形成及び、カルボキシル−とアミノ−末端アミド、及びエステルを含む。たくさんの合成技術が、合成循環ペプチドを生成するために開発されている(Tam & Lu, Protein Sci . , 7(7): 1583-1592, 1998;Romanovskis & Spatola, J. Pept . Res., 52(5): 356-374, 1998; Camarero & Muir, J. Amer. Chem. Soc, 121: 5597- 5598, 1999; Valero et al., J. Pept. Res., 53(1): 5G-67, 1999)。一般的に、環ペプチドの役割は2つのフォールディング:(a)in vivoの加水分解を減少させ並びに(b)熱力学的に変性状態を不安定化し、二次構造形成を促進させる。残基X−Xの設計が特異性をも増強できるように、RGDのN末残基の疎水性の一群が反対側のヘリックスの面に沿うことは、潜在的に重要である。
本発明のさらなる実施態様において、ペプチドは次式、BRGDLXXLXXXZで示され、ここで残基Bは、LXXLより規定したヘリックスとの疎水性の相互作用を増強する残基であり、ハンマーヘッド型RGDが結合することをも強化させ、並びにZはヘリックスを促進させる残基であり、nは1から35の間の数字であり、mはそれとは独立の1から35の間の数字である。好ましくは、nは、Bが疎水性/非共有結合性相互コアを促進させることができるのに十分長いように、選択される。これらの残基の実際の性質は、その領域の一般的な設計に依存し、特に、(例えばVal、Ile、Leuのような残基と)疎水性相互作用する、及び/または(ここで規定した(LXXLの2つのLeu残基間の)X15−X16の位置において、Asp、Glu、Lys及びArgを用い、それらは対応するもののイオン対を伴った)静電気的な相互作用する、混合物であることが好ましい。
さらなる実施態様において、このペプチドは、GFTTGRRGDLATIHGMNRPF、YTASARGDLAHLTTTHARHLまたはNAVPNLRGDLQVLAQKVARTの群から選択される配列が含まれるか、または、から成る。
さらなる実施態様において、このペプチドのαヘリックス構造により、残基LXXL/Iの疎水性側鎖が、そのヘリックスの一方から突き出ることが可能になる。
さらなる実施態様において、αヘリックス構造は少なくとも1つの回転(turn)を持つ。
さらなる好ましい実施態様において、このペプチドは7から45アミノ酸長の間であり、好ましくは7から40、35、30、25、20または15アミノ酸の間である。例えば、ペプチドは7、8、9、10、11、12、13、14、22、24、26、28、32、34、36、38、42または44アミノ酸の長さでもよい。どの場合においても、本発明のペプチドは3次構造の形成を可能にする長さを超えるべきではなく、単離した分子として入手できるのであれば、通常は45アミノ酸残基を超えるべきではない。しかしながら、このペプチドは、ペプチド内の三次構造の形成を妨げることができるような、より大きな分子、例えば抗体または他のタンパク質または巨大分子と結合した場合には、45アミノ酸を超えてもよい。とても好ましいのは、ペプチドは20アミノ酸長である。
さらなる好ましい態様において、本発明で規定したペプチドは、容易に検出可能な部分と連結してもよい。用語「容易に検出可能な部分」とは、患者に本発明のペプチドを投与した後にそれが標的部位で局在した時、通常は体外および局在した標的部位から不可逆に検出される可能性のある、部分に関する。それ故に、本発明のこの実施態様でのペプチドは、画像化及び診断に有用である。容易に検出可能な部分は、磁気共鳴映像法(MRI)、磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、ポジトロン放出断層撮影法(PET)及び光学的画像のような画像化技術によって検出可能な実在物である。好ましくは、画像化部分は安定で非毒性の特性をin vitro及びin vivo条件下において保有する実在物である。そのような部分の例としては、放射性部分、例えば放射性同位体を含むが、それだけには限られない。適当な放射性原子には、シンチグラフ検査のためのテクニチウム99mまたはヨウ素123が含まれる。他の容易に検出可能な部分には、例えば、MRI用のスピンラベルである、例えば重複するがヨウ素123、ヨウ素131、インジウム111、フッ素18、炭素13、窒素15、酸素17、ガドリニウム、マンガンまたは鉄並びにCy5.5及び量子ドットを含む光学的な部分が含まれる。
本発明のさらなる好ましい実施態様において、ポリペプチドは治療上の活性部分と連結していて、その部分には細胞傷害性があると好ましい。
用語「治療上の活性部分」は、有益で、予防のため及び/または治療の特性を持っている部分を含む。
ある実施態様においては、治療上の活性部分とは、細胞傷害性化学療法剤である。細胞傷害性化学療法剤は周知の技術であり、抗がん剤を含むが、それには例えば、ナイトロジェン・マスタード(例えばメクロレタミン(HN2)、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L−サルコリシン)及びクロラムブシル)を含むアルキル化薬、IGエチレンイミン及びメチルメラミン(例えばヘキサメチルメラミン、チオテパ)、ブスルファンのようなアルキルスルホン酸塩、ニトロソ尿素(例えばカルマスティン(BCNU)、ロムスチン(CCNLJ)、セムスチン(メチルCCNU)及びストレプトゾシン(ストレプトゾトシン))、並びにダカルバジン(例えばジメチルトリアゼノイミダゾールカルボキサミド(DTIC))のようなトリアジン化合物、メトトレキサート(アメトプテリン)のような葉酸類似体を含む代謝拮抗物質、ピリミジン類似体(例えばフルオロウラシル(5−フルオロウラシル(5−FU))、フロキシウリジン(フルオロデオキシウリジン(FUdR))及びシタラビン(シトシンアラビノシド))並びにメルカプトプリン(6−メルカプトプリン(6−MP))のようなプリン類似体及び関連阻害剤、チオグアニン(6−チオグアニン(TG))及びペントスタチン(2’−deoxycofonnycin)。ビンブラスチン(VLB)及びビンクリスチンのようなビンカ・アルカロイド、エトポシド及びテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン、ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)及びマイトマイシン(マイトマイシンQ、例えばL−アスパラギナーゼのような酵素、並びにインターフェロンalphenomesのような生物反応修飾物質)のような抗生物質を含む天然物。シスプラチン(cis−DDP)及びカルボプラチンのようなプラチナ配位調整複合体を含んだ混合剤、ミトキサントロン及びアントラサイクリンのようなアンスラセンジオン、ヒドロキシウレアのような置換尿素、プロカルバジン(N−メチルヒドラジン(MIH))のようなメチルヒドラジン誘導体、並びにミトタン(o、p’−DDD)及びアミノグルテチミドのような副腎皮質サプレッサー、タキソール及びアナログ/誘導体、並びにフルタミド及びタモキシフェンのようなホルモンのアゴニスト/アンタゴニストがある。
治療剤にポリペプチドを結合させる方法は、周知の技術である。
本発明のさらなる実施態様において、ポリペプチドは、治療剤を含む粒子と結合される。この場合の粒子は、ナノ粒子及び脂質ベースの小嚢(例えばリポソームまたは脂質から成る他の類似構造)を含む。それ故に、本発明は、本明細書で規定したペプチド及びリポソーム担体及び本明細書で規定したペプチドを含むナノ粒子を提供する。
リポソームは、物質(例えば薬剤または遺伝物質)を送達する薬剤として使用してもよいリン脂質二重層を含む球状小嚢である。リポソームは、混成した脂質鎖(卵ホスファチジルエタノールアミン)を伴った天然由来のリン脂質から、またはDOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)のような純粋な構成成分から、構成することが可能である。このリポソームの合成及び用途は、今日では技術的に十分に確立されている。リポソームは、一般に、水のような適当な媒体で、リン脂質の超音波処理によって作られる。低剪断速度では、多層構造を持つ多重膜リポソームが作られる。連続した高剪断な超音波処理では、より小さい単層リポソームが形成される傾向にある。リポソームを、例えばポリエチレングリコール(PEG)でコーティングすることによって、リポソームが免疫系によって発見されることを避けることが、研究により可能になっている。リポソーム内に分子を取込むことも可能であり、例えばそれは、本発明のペプチドが、送達部位(例として細胞内またはin vivo)を標的とするのに役立つ。
ナノ粒子と、連結するまたは結合する物質についての、送達剤としてのナノ粒子の使用は、既知の技術である。ある種のナノ粒子は、しばしば金属及び/または半導体原子のコアを含み、それは一つ以上多くの異なるタイプのリガンドが結合されてもよく、例として、本発明のペプチドが一つ以上含まれており、国際公開第02/32404号、国際公開第2005/10816号及び国際公開第2005/116226号を例として参照のこと。別種のナノ粒子は、例えばリポソームのような物質から形成されてもよい。時には、このナノ粒子は、誘導体化されてもよく、あるいは異なる特性または機能をナノ粒子に提供するために存在する可能性のある他のリガンドに結合されてもよい。ある実施態様においては、このナノ粒子は量子ドット(つまりバルク個体とは著しく異なる、顕著な化学的及び物理的特性を有する半導性材料のナノクリスタル)でもよい(Gleiter, Adv. Mater. 1992, 4, 474-481を参照のこと)。それらの量子サイズ効果は今や理解され、それらのシステムにおける基礎及び応用研究はますます盛んになっている。興味深い活用には、生体系に対しての蛍光ラベルとしてのナノクリスタルの利用があり、例として以下を参照のこと(Brucher et al, Science 1998, 281, 2013-2016、Chan & Nie, Science, 1998, 281, 2016-2018、Mattousi et al, J. Am. Chem. Soc, 2000, 122, 12142-12150及びA. P. Alivisatos, Pure Appl . Chem. 2000, 72, 3-9)。量子ドットは、従来の蛍光色素に対していくつかの利点を有する。すなわち、それ自身のサイズに応じてさまざまな、決まった波長で光を発すること及び蛍光ライフタイムが長い。
さらなる実施態様において、この細胞傷害性の部分とは、細胞傷害性ペプチドまたはポリペプチド部分であり、本発明者たちが細胞死につながるいずれかの部分を含めることによる。
細胞傷害性ペプチド及びポリペプチド部分は周知の技術であり、例えば、リシン、アブリン、シュードモナス外毒素、組織因子などを含む。細胞傷害性薬剤としてのリシンの用途は、Burrows & Thorpe, P. N.A. S. USA 90: 8996-9000, 1993において記載されており、本明細書でも参照により取入れられる。組織因子の用途は、腫瘍の局部的な血液凝固及び梗塞へと至り、Ran et al, Cancer Res. 58: 4646-4653, 1998及びHuang et al, Science 275: 25 547-550, 1997.にて記載されている。アブリンA鎖がモノクローナル抗体に結合していることが、Tsai et al, Dis. Colon Rectum 38: 1067- 1074, 1995に記載されており、本明細書でも参照により取入れられる。他のリボソーム不活性化タンパク質は、国際公開第96/06641号において細胞傷害性薬剤として記載されている。シュードモナス外毒素は細胞傷害性ポリペプチド部分として使用してもよい(例としてAiello et al, P. N.A. S. USA 92: 10457-10461, 1995.を参照のこと)。
TNFα及びIL−2のような、ある種のサイトカインは、細胞傷害性及び/または治療用薬剤としてもまた有用な可能性がある。
ある種の放射性原子もまた、十分な線量で送達されれば、細胞傷害性となるであろう。それ故に、細胞傷害性部分には、使用時には、細胞傷害性になるために十分な線量の放射能を標的部位に対して送達する放射性原子が含まれてもよい。適当な放射性原子には、リン32、ヨウ素125、ヨウ素131、インジウム111、レニウム186、レニウム188またはイットリウム90、あるいは隣接する細胞、オルガネラまたは核酸を破壊するために十分なエネルギーを放出するいずれか他の同位体も含む。好ましくは、本発明の化合物内の放射性原子の同位体及び濃度(density)が4000cGyより大きい線量であり、より好ましくは少なくとも6000、8000または10000cGyであり、標的部位に送達され、好ましくは標的部位の細胞及びオルガネラ、特に核に送達される。
放射性原子は、既知の方法で結合部分に連結されてもよい。例えば、EDTAまたは他のキレート剤が結合部分に結合されてもよく、111Inまたは90Yを連結させるために用いられてもよい。チロシン残基は125Iまたは131Iでラベルしてもよい。
さらなる実施態様において、本発明は、DNAをコードしている治療用遺伝子を送達するウィルスの指向性を変化させるために、EMDV以外のウィルスコートタンパク質に結合するポリペプチドを提供する。
あるいは、これらのシステムのどれもが、プロドラッグ系で利用することが可能である。そのようなプロドラッグ系は周知の技術である。
他の態様において、本発明は、本明細書で規定したペプチドをコードしている核酸を使用する。
用語「(ペプチド)をコードしている核酸」は、配列モチーフRGDLXLまたはRGDLXIを含むペプチドをコードするRNAまたはDNA配列と関連があり、ここでLXLまたはLXIは、本発明、あるいは機能的変異体、あるいはプロペプチドまたはプリプロペプチドのような前駆体段階、に従って使用され得るαヘリックス構造内に含まれる。このペプチドは、全長配列によって、またはこのペプチドが機能的変異体である場合はコード配列のいずれかの部分によって、コードされ得る。用語「変異体」は、DNA配列(参照配列)に対して相補的な全てのDNA配列を指し示し、本発明に従って使用されるペプチド、特に前記で規定したペプチドまたはそれらの機能的な変異体のペプチドをコードし、それらは約70%を下らない、特には約80%を下らない、さらに特には約90%を下らない配列同一性を、参照配列に対して示す。用語「変異体」は、さらに、参照配列に相補的な全てのDNA配列を指し示し、それはストリンジェントな条件下で参照配列とハイブリダイズし、並びに参照配列によってコードされるペプチド及びそれらの変性型とも、本質的に同じ活性を示すペプチドをコードする。本発明に従って使用される核酸配列には、小さな変異が存在し得ることが知られており、例えば、機能的変異体の特性が欠損されなければ、これらの変化は、遺伝子コードの縮重によって、あるいは核酸の5’末端及び/または3’末端に付加された非翻訳配列によってもたらされる。それ故に、本発明は、前記に規定した核酸のいわゆる「変異体」も含む。用語「ストリンジェントなハイブリダイズする条件」は、特に、ハイブリダイゼーションが生じる条件を意味するものとして理解されており、例えば、2.5×SSCバッファーで60℃の後に、より低いバッファー濃度において37℃で数回洗浄段階を経て、安定した状態になっているものである。
本発明のペプチド及び核酸は、天然物、組換体または合成起源のものであることが可能であると一般的に理解される。ペプチドを作製し、合成しまたは改良する方法は、周知の技術である。適切な方法には、化学合成、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、クローニングまたはより長いポリヌクレオチドからの直接切断が含まれる。本発明にかかるポリヌクレオチドは、本発明のペプチド作製に有用であり、in vitro、in vivoあるいはex vivoで行ってもよい。ポリヌクレオチドは、治療剤または免疫付与剤として、それ自体使用してもよいし、または組換ペプチド合成に用いてもよい。
さらなる態様において、本発明は、本明細書で規定した核酸を含むベクターを提供する。
本発明のベクターは発現ベクターであるのが好ましく、医薬応用に適合し得る真核生物の発現ベクターであるのが好ましい。
「ベクター」は、細胞内に遺伝物質を送達させるのに適した核酸分子から成る、またはそれらを含む構造を参照する。一般的に、選択される核酸配列は、ベクターの核酸分子内に挿入される。例としては、プラスミド及びウィルスベクターが含まれる。「発現ベクター」は、細胞内で挿入された核酸のコード配列の発現が可能となるように作製され適合されたベクターである。それ故に、このベクターは核酸配列を含み、コード配列に対して適切な位置での転写開始を可能にさせる。発現ベクターは、原核または真核細胞内での発現に適合され得るので、「真核細胞発現ベクター」は、真核細胞内でのコード配列の発現を可能とするよう作製される。本発明の発現ベクターの好ましい例としては、アデノウィルス、AAV、レンチウィルスが含まれる。
さらなる態様において、本発明は、前記で規定したペプチド及び/または核酸及び/または発現ベクターを含む医薬組成物並びに医薬として許容される担体を提供する。
用語「医薬として許容される担体」は、一般的に、ペプチド、核酸またはベクターが混合可能な成分を含み、並びに受益者にとって有害でない成分を含む。一般的に、担体は、無菌及びパイロジェンフリーの、水または生理的食塩水である。しかしながら、他の可能な担体を使用してもよい。一般的に、本発明の医薬組成物及び処方は、非経口的投与であり、特には、静脈内投与である。
さらなる態様において、本発明は、αvβ6を介した疾病あるいはαvβ6が過剰発現している疾病における治療用薬剤の調合のために、本発明に従ってペプチド及び/または核酸及び/または発現ベクターの用途を提供する。
さらなる態様において、本発明は、前記で規定したペプチド及び/または核酸及び/または発現ベクター及び/または医薬組成物を患者に投与することを含む、αvβ6を介した疾病を治療するための方法を提供する。本明細書で触れたように、これらの条件は、損傷治癒及び炎症の一般的な部分内のものでよい。
この疾病は、慢性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、慢性損傷皮膚病(例えば表皮水泡症)または癌から選ばれるのが好ましい。
前記で規定した本発明の薬剤または医薬組成物は、当業者に技術的に既知のように、他の薬剤を投与されている患者に投与することもまた有用であろう。例えば、癌の場合においては、本発明の薬剤または医薬組成物は、他の抗腫瘍剤の投与の前、後または間に患者に投与されてもよく、例えば化学療法の前、後または間でもよい。化学療法後のペプチドによる治療は、特に癌の再発または転移を、減少若しくは抑制させるのに有効な可能性がある。例えば、抗腫瘍剤は、(リポソーム/ナノ粒子を通して)直接または間接的に、本発明のペプチドに共有的に結合され得る。
さらなる態様においては、本発明は、個体の体内におけるαvβ6を過剰発現している上皮細胞を画像化する方法を提供し、その方法は、前記で規定したペプチドを有効量で個体に投与することが含まれる。この方法は、特に、慢性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、慢性損傷皮膚病(例えば表皮水泡症)または上皮腫瘍細胞の画像化に有用である。例えば、画像化の方法は、標的ペプチドを蛍光プローブに連結させることを含んでもよく、並びにうがい薬、チューインガム、スプレーまたは他の利点となる物(例えばαvβ6が結合したペプチド−プローブ複合体は、この蛍光タグによって視覚化されてもよい)の中に取入れられてもよい。
さらなる態様において、本発明は、αvβ6を介した疾病またはαvβ6が過剰発現している疾病を持つ個体の診断または予後診断のための方法を提供し、その方法には、前記で記載されたペプチドを有効量個体に投与すること並びにペプチドがαvβ6に結合することを検出することが含まれる。
さらなる態様において、本発明は、αvβ6を発現している細胞あるいは患者のαvβ6を発現している細胞を含んでいる組織に対しての治療上の活性部分を投与する方法を提供し、その方法には、特許権を取得すべく前記に規定した治療上の活性部分に連結されたペプチドを投与することが含まれる。
さらなる態様において、本発明は、ペプチドのαヘリックス含量を増加させまたは変更させることによって、αvβ6結合ペプチドの結合特異性を改善する方法を提供する。例えば、ペプチドのαヘリックス含量は、配列BRGDLXXLXXXZ内の残基を、他の天然または合成アミノ酸のいずれかに変え、その結果として生じるペプチドのαヘリックス含量を測定することによって、増加する可能性がある。あるいは、ペプチドは飽和移動差NMRを用いることによって改良され得るが、それにより、ペプチドのどの残基が、精製されたインテグリン(そのインテグリンは、α5β1、α8β1、α2bβ3、αvβ1、αvβ3、αvβ5、αvβ6、αvβ8を含んでよい)と最も直接相互作用する可能性が高いかを決定でき、並びに、特定の側鎖、比電荷分布、または(非αvβ6インテグリンに対しての結合を減少させ若しくはαvβ6インテグリンに対しての結合を増加させるような)他の改良を適切に所持する残基を、それに引き続いて挿入することができる。
用語「結合特異性を改善する」には、例えばαvβ3のような、他のインテグリンに対しての親和性と比較して、αvβ6に対してのペプチドの親和性を増加させることが含まれる。
細胞株及び抗体
レトロウィルス感染は、本研究で用いるαvβ6ポジティブ及びネガティブ細胞株を作製するために利用された。マウス3T3繊維芽細胞並びにヒト黒色腫細胞株A375P及びDX3は、3T3β6puro、A375Pβ6puro及びDX3β6puroを作製するために、ヒトb6及びピューロマイシン耐性遺伝子をコードするレトロウィルスによって感染された(Thomas et al; J Invest Dermatol.116(6) :898-904, 2001)。コントロール細胞はピューロマイシンのみを発現した(A375Ppuro細胞並びに、しばしば3T3β6.19またはNIH3T3β6.19と呼ばれる、3T3β6puroのコントロールとして供されるDX3puro親細胞3T3細胞)。
インテグリンサブユニットの細胞質及び膜貫通領域が欠損している、組換可溶αvβ6を分泌する、CHOβ6細胞
VB6は、αvβ6を高発現している口腔扁平上皮癌(Thomas et al, 2001)であり、V(+)B2は、αvβ1を高発現しているヒト黒色腫である(Marshall et al 1995)。さまざまなマウスモノクローナル抗体を用いた。αvβ3(LM609)、αvβ6(10D5)及びa5(P1D6)に対しての抗体をChemicon International(emecula CA.,USA)から購入した。63G9(抗αvβ6)及び37E1(抗αvβ8)、P2W7(抗αv;所内作製)、L230(抗αv;ATCCより)、P1F6(抗αvβ5;Dr Dean Sheppardより譲受)及びA2B2(抗β1;Developmental hybridomaより購入)は、それぞれハイブリドーマから所内で作製した。フィブロネクチン(F2006;Sigma Aldrich)を、メーカーの使用説明書に従って、キット(Amersham International,UK)を用いてビオチニル化した。他の全ての試薬は、特に明記しない限り、Sigma Aldrichより購入した。
組換可溶αvβ6の作製
CHOβ細胞を10%ウシ胎仔血清(FCS)が添加されたRPMI培地で80−90%の密集度で培養し、低血清培地(LowSM;RPMI(0.5%(v/v)FCS)で一度洗浄し、LowSMで48時間インキュベーションした。細胞残屑は982gで遠心分離によって馴化培地から除去し、0.1%(w/v)アジ化ナトリウムを腐剤として添加した。馴化培地を(300倍まで)濃縮し、同時にカットオフが100kDa(ミリポア)のCentricon Plus−80遠心フィルター器具を用いて、PBSでダイアフィルターした。メーカーの使用説明書に従ってCarbolinkキット(Perbio Science UK Ltd)を用いるグラビティーフローアガロースビーズカラムで7mlに、マウスモノクローナル抗αv抗体L230(カップリングバッファー0.1Mリン酸ナトリウムバッファー、PH7.0において)を共役させることによって作製したイムノアフィニティーカラムに、この濃縮物を加えた。組換可溶αvβ6(rsαvβ6)を、100mM、pH2.5−3.0のグリシンで溶出し、2mlのフラクションごとに1M、pH7.5のTrisを300μl添加することにより、即座に中和した。ピークフラクションを、280nmの吸光度にしたがって選択し、カットオフが50kDa(ミリポア)の公称分子重量を持つAmicon Ultra−15遠心フィルター器具(NMWCO)を用いて、PBSで透析した。溶出したタンパク質の純度をSDS−PAGEにより決定し、その濃度を、BSAスタンダードを用いて、BioRadのDCプロテイン濃縮アッセイによって決定した。rsαvβ6の機能保全(functional integrity)を、96ウェルプレートに固定化したフィブロネクチン及び潜在型結合ペプチド(LAP)(αvβ6リガンド)に結合するインテグリンを示すことにより、確認した。
細胞接着アッセイ
ECMリガンドでコーティングされた96ウェルフレキシブルプレートへの、[51Cr]でラベルされた細胞の接着は、以前より記載されている(Thomas et al, 2001)。手短に言えば、プレートをLAP(NIH3T3β6.19に対して0.25μg/ml、VB6に対して0.5μg/ml)またはビトロネクチン(10μg/ml;BD Bioscience,Oxford,UK)でコーティングした。細胞を40分間(VB6、NIH3T3β6.19)または60分間(V+B2)接着を可能にさせた後に、プレートを陽イオン(0.5mM Mg2+、1mM Ca2+)を添加したPBSで2度洗浄した。プレートをハサミで切り、各ウェルの放射能を、Wizard1470自動ガンマ線測定器(PerkinElmer,Boston,MA,USA)で定量化した。接着率は、次式のとおり、各ウェルと相関する残留放射能を、細胞に最初にインプットした細胞の放射能と比較することにより計算した。
接着率(%)=ウェルの残留放射能(cpm)X100/インプットした放射能(cpm)
全てのサンプルは、少なくとも3回の別々のアッセイにおいて、4ウェル1組で評価された。
競合的なサンドイッチELISA
96ウェルプレート(Immulon IB,Thermo LifeSciences)を、PBSに10μg/mlのP2W7を添加して、4℃で一晩、コーティング後、PBSで洗浄する前に、PBSに2%(w/v)のカゼインを添加して、インキュベーションによりブロッキングした。その後のすべての洗浄には洗浄バッファー(20mM Tris、150mM NaCl、1mM MnCl)を用い、その後のすべてのインキュベーションは、コンジュゲートバッファー(1%カゼイン、20mM Tris、150mM NaCl、1mM MnCl)で行った。ウェルをrsαvβ6で1時間インキュベーションし、洗浄後、ペプチド及び2μg/mlのビオチニル化したフィブロネクチンのプレミックス溶液にエクスポーズした。結合したビオチニル化したフィブロネクチンを、エクストラアビジンHRP(SIGMA)で、1:1000の希釈で検出し、TMB+システム(DAKO)を用いて現像した。アッセイを、Tecan GENiosプレートリーダーで、A450nmの吸光度を測定することにより定量化した。全てのデータは、各プレートにおいてビオチニル化したフィブロネクチンの標準曲線によって確認され、線形範囲(linear range)内にあった。
フローサイトメトリー
細胞株におけるインテグリンの発現を、以前記載されたように(Marshall et al . , 1995)、フローサイトメトリーによって評価した。手短に言えば、細胞懸濁液を、10μg/mlの抗インテグリン抗体またはさまざまな濃度のビオチニル化したペプチドで、インキュベーションした。4℃で45分後、細胞を洗浄し、結合した抗体/ペプチドを、マウス抗ビオチン(1:100、Stratech,UK)で30分のインキュベーションを行った後、Alexafluor488標識抗マウスIgG(終濃度1:500、Molecular Probes)またはストレプトアビジン−FITC(終濃度1:200)でそれぞれさらに30分間インキュベーションした後に検出した。サンプルあたり10,000事象を検出するCellQuestソフトウェアが適合されたFACScan(Becton−Dickinson)で細胞を解析した。
ペプチド合成
ペプチドは、標準的な固相ペプチド合成法を用いて、Cancer Research UK Peptide Synthesis laboratoryで合成された。手短に言えば、保護アミノ酸及びプレロードするワング樹脂を、Calbiochem−Novabiochem(Nottingham,UK)より手に入れた。溶媒及びHBTU[3−テトラメチルウロニウム3,1,−1,2−(H−ベンゾトリアゾール−1−イル)ヘキサフルオロリン酸塩]は、アプライドバイオシステムズ社(Warrington,UK)より手に入れた。ベーシックフィードバックモニターサイクル及びカップリング試薬としてのHBTUを用いて、プレロードしたワング樹脂上で、アップデートしたモデル431A及び433Aアプライドバイオシステムズ社の固相ペプチド合成機により、このペプチドを合成した。9−フルオレニルメチルオキシカルボニルは、一時的なa−アミノ基の保護に用いられ、ピペリジンを用いて除去した。側鎖の保護基は、Lysに対してはtert−ブチルオキシカルボニルであり、His、Asn及びGlnに対してはトリチルであり、Argに対しては2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニルであり、Glu及びAspに対してはtert−ブチルエステルであり、Thr、Ser及びTyrに対してはtert−ブチルエーテルである。
樹脂からの切断及びこのペプチドの脱保護は、9.25mlのトリフルオロ酢酸、0.25mlのエタンジチオール、0.25mlのトリイソプロピルシラン、0.25mlの水を含んだ、10mlの混合物で、20℃(室温)で4時間、ペプチジル−レジンを処理することにより実行できた。このペプチドを、氷で冷やしたジエチルエーテルを用いて沈殿させてから、軽いバキュームの下、細いガラスろ過漏斗でろ過した。このペプチドの沈殿物を、10%酢酸/水溶液に溶解し、凍結乾燥させた。
粗ペプチドを、Aquapore ODS20 micron250X10mmのカラムで逆相HPLCにより精製した後、精製したペプチドの信憑性を、Finnigan MAT社LCQイオントラップ質量分析計を用いて、MALDI−TOF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法TOF型)質量分析により確認した。ペプチドの中には、標準的な手順を用いる樹脂担体上で、in situでビオチニル化されたものがあった。
NMR用サンプル調整
濃度25mMリン酸及び濃度100mM生理食塩水を加えた、2mM、PH6.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に、精製し凍結乾燥させたペプチドを、Shigemi社BMS005V NMRチューブで使用できるよう溶解することにより、全てのNMR用サンプルを、最終容量300μlに調整した。構造研究用に、トリフルオロエタノール−d3(TFE)を、30%(v/v)の終濃度を提供できるように、ヘリックス安定剤として加えた。飽和移動差NMR(STD NMR)のサンプルを、追加成分(28μMのインテグリンαvβ6、0.5mM、Mg2+(MgClとして添加)及び1.0mM Ca2+(CaClとして添加))を加えて同様に調整した。STD NMRサンプルはTFEを含まなかった。
NMRスペクトロスコピー
全ての実験を、標準的な手順を用いるz−shielded gradient triple共鳴プローブを用いて、Varian Unity社製INOVA600MHzのNMRスペクトロメータで記録した。型構造物実験は各ペプチドサンプルに対して10℃で行い、それにはtwo−dimensional(2D)nuclear Overhauser effect spectroscopy(NOESY)、total correlation spectroscopy(TOCSY)及びrotating frame Overhauser effect spectroscopy(ROESY)実験(それぞれミキシング時間を250、70.0及び100msで記録した)が含まれた。これらの実験は、H次元で間接的及び直接的にそれぞれ収集される64及び128msの収集時間における、512及び1024ポイント(complex point)において収集された。さらに、二量子フィルターによる相関分光法(DQFCOSY)実験では、各ペプチドについて10℃で、H次元で間接的及び直接的にそれぞれ収集される、128及び256msの収集時間における1024及び2048ポイント(complex point)において収集された。アミドプロトンの遅い置換が、50msのミキシング時間でのNOESY実験(H次元で間接的及び直接的にそれぞれ収集される、16及び128msの収集時間における、128及び1024ポイント(complex point)において、それぞれ収集された)でのフィンガープリント領域より検出された。データの処理及び解析は、処理用にはNMRPipe(Delaglio et al, 1995)上で、並びに計算された構造を見るためにはNMRView (Johnson and Blevins, 1994)を用いる、Sun Blade100、Silicon Graphic Octane2及びTranstec X2100 Linux workstationsで行った。飽和移動差NMR(STD NMR)実験は、標準的な飽和移動実験装置を用いて、Mayer及びMeyer(それぞれ1999年、2001年)によって記載されたように、ただしYanなどによって2003年に記載されたようにハーンエコーフィルターを組み入れて、行った。STD差異データは、30msのハーンエコーフィルター長並びに、全てのデータポイント並びに、8192及び16384での一時的なデータポイントをそれぞれ用いて、6000Hzの分光幅で25℃において得られた。オンレゾナンス照射は−2.5ppmでありオフレゾナンス照射は−70.0ppmであった。照射は、連続した9.4msのガウスパルスを用いて作動され、各パルスは、1.7ms遅れることによって分離される各パルスと、100Hzの帯域幅を持っていた。全パルス列は2.0s間作動された。STD NMRの転送データのアサインメントを可能にするため、ペプチド配置(peptide assignment)を、25℃で得られた、(2D)nuclear Overhauser effect spectroscopy(NOESY)、total correlation spectroscopy(TOCSY)及びrotating frame Overhauser effect spectroscopy(ROESY)実験より作成した。レゾナンスの体積積分(resonance volume integral)は、SUN UNIX(登録商標)ワークステーションを動作させるVNMRソフトウェア、並びに71.4を超えるリガンドを用いるSTD増幅係数を得るためにMayer及びMeyer(2001年)によって概説された方法に従って解析されたデータ、を用いて得られた。個別の拡散係数は、各残基に対しての各Hレゾナンスからの拡散係数の和により、各アミノ酸残基について得られた。残基増幅係数を、最も高い残基係数(つまり100%)と比較可能とするために、残基のSTD増幅係数の百分率に変換した。
円偏光二色性
CDスペクトルは、NMRでの研究で用いたものと同一でTFE(0−50%(v/v))を含んでいるバッファーにおいて、0.4mM濃度のペプチドを用いて、室温で、Jasco社J−600分光偏光計上で記録した。各溶液を5mmの長さ(path length)の石英キュベットにロードし、各スペクトルは、190から260nm間の範囲で4回スキャンしたときの平均値から算出したが、それらを、20nm/分の速さ、1nmの帯域幅、2sの応答、0.2nmの分解能で記録した。このスペクトルは、ベースライン補正なしで示す。分光偏光計により得られたOD値を、楕円率に変換し、並びにJ−700ウインドウ標準解析(v.1.50.01)ソフトウェアによって相対的なペプチド濃度に合致させた。3つの波長、222、208及び192nmでの楕円率の値を、Foroodなど(1993年)により記載された手法を用いて、TFE濃度(0−50%(v/v))間での各ペプチドに対して得られる平均楕円率(平均値q)に変換した。
構造の計算及び解析
全ての構造計算は、シリコングラフィックス社Octane2及びTranstec社X2100リナックスワークステーション(Brunger et al, 1998)上で作動する結晶学及びNMRシステム(CNS)バージョン1.1を用いて取得した。伸長され、及び折畳まれた、前駆体の両方からの拘束を伴う動的アニーリングを行うための、平均化する和を、標準的なCNS NMRアニールプロトコルを用いることにより、伸長された座標から計算された、最終構造が2.5−5.0Åの間の幅広い分類の中に、全てのNOE及びROEの接触(contact)を、分類した。各ペプチドに対しての40個の構造の最終的な構造アンサンブルは、構造的な情報の統計的エネルギー及び標準偏差(r.m.s)を算出するのに用いられる全ての構造とともに算出された。骨格及び重原子のr.m.sの偏差値は、MOLMOLバージョン2k.2(Koradi et al, 1996)を、PC、Microsoft Windows(登録商標)2000を動作させることにより得られた。各アンサンブルの構造的なインテグリティ(integrity)は、Transtec社X2100リナックスワークステーション上で動作する、PROCHECK−NMR(Laskowski et al, 1996)を用いて評価した。CNSで作製される構造アンサンブル間のエネルギー比較を、DEEPVIEWバージョン3.7(Guex and Peitsch, 1997)内でのGROMOS96 43Blパラメーターセット(van Gunsteren, 1994)を用いることにより行った。
〈実施結果〉
αvβ6リガンド由来ペプチドがDLXXLに必要なことを確認
インテグリンαvβ6は、ある程度、このペプチドのモチーフであるRGD(Arg−Gly−Asp)の認識を介して、このリガンドに結合する。インテグリンαvβ6のリガンドには、本発明者たちが高い選択性を持つαvβ6接着リガンドであることを発見したTGFβ潜在型結合ペプチド(LAP)、並びにフィブロネクチン並びに口蹄疫ウィルス(FMDV)を含むある種のウィルスが含まれる。それ故に、本発明者たちは、必要なRGDモチーフが含まれた、既知のαvβ6リガンド由来の、並びにLAP及びFMDV(DD1−DD19)の2つの血清型由来の、重複した7−12merの直鎖ペプチドを調べることを選択した。初期研究では、このペプチドを、腫瘍細胞3T3β6.19及びVB6のLAPに対してのαvβ6依存的な接着の阻害能力を調べるために、500μMの濃度で試験した。最も有効なペプチドは、以前に重要性が発見されていた、配列DLXXL(あるいは類似のDLXXI)を持つペプチドであることが示された(Kraft et al, J Biol Chem. Jan 22; 274 (4) : 1979-85. 1999)。
第二世代のαvβ6標的ペプチド:20merの、リガンドベースな、RGDLXXL/Iペプチド
より長いペプチドまたは、少なくともRGDモチーフのC末により多くの残基を持つペプチドは、N末に配列を付加したペプチドに比べて、αvβ6依存的な接着に対して、より効果的な阻害剤となることが示唆された。この可能性を調査するために、本発明者たちは、LAPβ1(A20LAP)及び口蹄疫ウィルスの血清型C−S8c1(A20FMDV1−Mateu et al.,1996)及びO1BFS(A20FMDV2−Logan et al., 1993)由来の、伸長したC末領域を持つ20merのペプチドを作り出し、実験を繰返した。
Figure 2009509562
図2により、A20LAP、A20FMDV及びA20FMDV2が、LAPへの3T3β6.19(図2(a))及びVB6(図2(b))のαvβ6依存的な結合を阻害するのに、遥かに有効的であることが確認される。それ故に、3T3β6.19のDD1阻害における、最短LAPペプチドのIC50が、216μM(データは示していない)である一方で、A20LAPのIC50は13.8μMである。同様に、DD19に対してのIC50は、A20FMDV2が1.2μMであるのに比較して、短いFMDV2ペプチドは190μMである。
20merのRGDLXXL/Iペプチドは、より短いRGDLXXL/Iペプチドよりも、αvβ6依存的な細胞接着の接着阻害剤としてより有効である
伸長させたC末配列が、抗αvβ6ペプチドの有効性を増加させるという仮説を調査するために、A20LAPのαvβ6特異的な活性を、同じペプチドの短いバージョンである、DD1,2,3と比較した。A20LAPは、LAPでコーティングしたプレートでの3T3β6.19のαvβ6依存的な細胞接着阻害について、有意により有効であった。それ故に、A20LAP、DD1及びDD3のRGDのアミノ酸C末の数は、それぞれ11、5及び4であり、これはペプチドの効力順を再現する。上述したのを受けて、20μMのA20LAP、DD1及びDD3の存在時には、LAPとの3T3β6.19の接着は、それぞれ、コントロールの細胞接着の32±7%、57±4%及び79±22%だけであった。さらに、この実験は、別の細胞株、VB6を用いて繰返した。VB6は、αvβ6を高発現しているヒト口腔扁平上皮癌である(Thomas et al, 2001b)。したがって、ヒトαvβ6がもっぱら天然の上皮環境で発現されているので、より適したモデルである。3T3β6.19と同様に、LAPとのVB6の接着は、αvβ6阻害抗体63G9により無効になり、それ故にもっぱらαvβ6依存的と考えられる。アッセイ中のバラツキによる定量の困難さの一方で、3T3β6.19で見られたのと同じ傾向が、VB6を用いたアッセイでも広く観察できる。上述したように、100μMのDD1、DD2及びDD3では、LAPとのVB6の接着に関する効果はほとんどないが、しかし一方で、より長いペプチドA20LAPは、この濃度での細胞接着を完全に阻害する。
同様に、A20FMDV2は、同じアミノ酸配列に基づいたより短いペプチドであるDD19よりも、LAPとのVB6接着について、著しく有効な阻害剤である。この効果は劇的である、すなわち、20μMのDD19存在下での細胞接着は、ペプチド不存在下での接着と同じであるのに対して、20μMのA20FMDV2の存在下では、接着はバックグラウンドレベルまで減少する。
競合的なサンドイッチELISA
この傾向が、別のプロテインアッセイでも再現できるか確認するために、競合的なサンドイッチELISAを行った。手短に言えば、96ウェルプレートは、4℃で一晩インキュベーションすることにより、抗αv抗体P2W7でコーティングした。残存した非特異的な結合部位は、2%(w/v)カゼイン入りのPBS溶液でインキュベーションすることにより阻害した。ウェルは、その後rsαvβ6でインキュベーションした後、洗浄し、ビオチニル化したフィブロネクチン及びペプチドのプレミックス溶液にエクスポーズした。結合した、ビオチニル化したフィブロネクチンは、ペルオキシダーゼ共役エクストラアビジンで検出した。9点の用量反応曲線を、7つの濃度のぺプチド及びポジティブコントロール及びネガティブコントロールを用いて作成し、GraphPad Prismソフトウェアでのシグモイドカーブフィットモデルを用いてIC50の濃度を決定した。
興味深いことに、競合的なサンドイッチELISAで観察されたこれらの傾向は、細胞接着アッセイで観察されたものとわずかに異なっている。LAPベースの短いペプチドDD2及びDD3は、より長いペプチドA20LAPよりも、有意な、より低いIC50を持つにも関わらず、短いペプチドDD1は、A20LAPのIC50と非常に類似する。
Figure 2009509562
細胞接着アッセイによる、20merのRGDLXXL/Iペプチドの解析
3つの20merのペプチドA20LAP、A20FMDV1及びA20FMDV2は、αvβ6依存的な細胞接着の阻害のために評価された。多種多様なペプチド濃度を、阻害カーブを作成するために用い、その阻害カーブより、下表で示すように、Prismソフトウェアを用いてIC50値を計算した。3T3β6.19とVB6の両アッセイにおいて、A20FMDV2が最も有効なαvβ6依存的な細胞接着の阻害剤であり、A20LAPがそれに続いた。A20FMDV1は両アッセイにおいて最も効果の弱い阻害剤であった。それ故に、予測されたヘリックス構造は、αvβ6依存的な細胞接着アッセイの阻害におけるペプチドの有効性と相関性がある。興味深いことに、全てのペプチドのIC50は、競合的ELISAでの細胞接着アッセイよりも、細胞接着アッセイでは約1000倍以上高かった。なお、この効果は、抗αvβ3ペプチドにおいて以前に報告されている(Goodman et al, 2002)。
Figure 2009509562
20merのペプチドアンタゴニストの結合型ヒエラルキー
αvβ6に対しての各ペプチドの結合能を比較するために、96ウェルプレートにrsαvβ6を固定化した。さまざまな濃度のビオチニル化したA20FMDV1、A20LAPまたはA20FMDV2が、1mMのCa2+及び0.5mMのMg2+イオン存在下で、45分間プレートに加えられた。結合したペプチドは、ストレプトアビジン−HRPで検出した。さらに、ビオチニル化した、各ペプチドのスクランブル仕様(scrambled version)でも試験した。図3は、αvβ6への結合能を、A20FMDV2、A20LAP及びA20FMDV1の順に示す。上述したように、A20FMDV2は全ての濃度において、固定化したrsαvβ6に対してより強く結合した。10nMの濃度では、各ペプチドは、ほとんど最大の結合能を依然として示したが、それと対照的に、スクランブルコントロール(scrambled control)は、結合を示さなかった。1nMでさえ、A20FMDV2は最大の50%の結合能を示した。興味深いことに、スクランブルA20LAPは10μM及び1μMで結合を示したが、それと対照的に、FMDVペプチドは、試験したどの濃度でも、ほとんど結合を示さなかった。
AGADIRで、20merのαvβ6アンタゴニストのヘリックス傾向を予測する
LAPベースとFMDVベースの両ペプチドにおいては、より長いペプチドが、より短いペプチドよりも、αvβ6をより有効に阻害したが、それは用いた全てのペプチドが、決定的なRGDLXXL/Iモチーフを含んでいた場合であった。しかしながら、このモチーフを除けば、A20LAP及びA20FMDV2の配列間には明白な類似性はない。それ故に、このモチーフが単に、より長いペプチド内で伸長されただけというのはありそうにない。他に考えられる説明は、増加された長さが、RGDLXXL/Iモチーフの提示を変化させることによって、αvβ6に対してのペプチドの親和性の変化を引き起こしたというものであった。それ故に、RGDLXXL/Iの活性立体配座を潜在的に安定化できる、二次構造の存在が考えられた。
直観的には、長い直鎖ペプチドは、三次元(3D)空間において、より短いペプチドの場合よりも、より多くの形態が想定可能であり、これらの長い形態のほとんどは、受容体に対しての最適なリガンドとなる見込みはなさそうである。本発明者たちの実験より、より長いペプチドは、より短いペプチドよりも、αvβ6における、より有効な阻害剤であることから、可能となる3D立体配座の数を最小限にさせる二次構造の可能性が示唆される。溶液中では、VPlコートタンパク質は、構造化されていない(Logan et al 1993)。しかし、Loganと同僚たちは、FMDVのVP1ドメインの免疫原性G−Hループの結晶構造の特性化を行った。彼らは、そのループが、結晶内にヘリックス構造を持つであろうことを報告した。それ故に、本発明者たちは、前記20merペプチドもまた、構造を熱力学的に安定化させるであろうヘリックス構造を持つと考えた。本発明者たちは、ペプチド内のヘリックス傾向を予測する、AGADIR(Munoz and Serrano, 1994, 1995)ソフトウェア内にアミノ酸配列を挿入した。このソフトウェアにより、ペプチド内の個々の残基がヘリックス構造部分である確立値が割当てられた。このソフトウェアは、ヘリックス構造を合理的に予測する正確な方法として広く認められている。図4は、三つ全ての20merのペプチドが、A20FMDV2>A20LAP>A20FMDV1の順番で、DLXXL/I領域内にヘリックス傾向を持つこと、しかしながらA20FMDV2は、A20LAPまたはA20FMDV1のいずれよりも、ヘリックス傾向の見込みがずっと高いこと、並びにそれはDLXXL/Iを超えて伸長されていることを示した。それ故、20merのペプチドの予測されたヘリックス傾向は、αvβ6アンタゴニストとして有効であることと相関する。この仮説を調べるために、3つの、20merのペプチドを、生化学的及び構造的に、より詳細に研究した。
遠紫外線CD解析
円偏光二色性は、紫外線がキラルな環境を通過した時に発生する、偏光の変化に基づく光学的な技術である。左円及び右円の偏光の差吸光度により、円偏光が楕円偏光化することが引き起こされる。二次構造の異なる形態(βシート、ヘリクスターンヘリックス、さらには構造を持たない「ランダムコイル」の状態)の異なるキラルな環境が、それぞれに対して、それ自身の特徴ある遠紫外線CDスペクトルを生じさせる。それ故に、CDは、特定のタンパク質またはペプチドにおける、二次構造の各タイプの量を研究するために用いられ得る。
本発明者たちの20merのペプチドが、ヘリックス構造を形成するかを確認するために、本発明者たちは、ヘリックス安定剤であるTFEの濃度を増加させて、各ペプチドの遠紫外線円偏光二色性(遠紫外線CD)スペクトルを決定した(図5)。サンプル間の相互比較を可能とするために、0−50%(v/v)の間の割合でTFEが入ったPBS内での、各ペプチドの平均残基楕円率(θ−[q]222)を、図5で示す。図4(A−C)は、2状態の平衡が、各ペプチドの折り畳まれていない状態とヘリックスペプチド状態間に存在しているということを指し示す、202nmでのisodichroic pointをそれぞれ説明する(Khandelwal et al, 1999)。平均分子楕円率により、A20FMDV2とA20LAPの両方が、TFE10−25%間でヘリックスへ遷移し、その一方で、A20FMDVは、TFEにおいて、より広範な濃度範囲(PBS中、10−40%(v/v))で遷移することが同定される。それ故に、もし安定化の影響が存在するのであれば、三つ全ての20merのペプチドが、それらの構造内にヘリックスを形成することになるが、A20FMDV1と比較した場合に、A20FMDV2及びA20LAPでヘリックスを形成するための傾向が増加されることが、CDデータにより示される。それ故に、実験で決定されるヘリックス傾向は、抗αvβ6の有効性と相関する。
αvβ6の20mer−ペプチドアンタゴニストのNMR解析
スピン系を、共鳴アサインメント(帰属)(resonance assignment)とともに、二次元DQF−COSY及びTOCSY NMRスペクトルの解析によって同定し、並びに観察されたH化学シフトは全て表3にリスト化した。全てのHスピン系での核の大部分のアサインメントが、A20FMDVのThr2及びA20LAPのGly1を除いては、A20FMDV1、A20FMDV2及びA20LAPペプチドで可能であった。
スルースペースアサインメント(Through−space assignment)は、30%TFE(v/v)における各ペプチドの二次元NOESY及びROESYスペクトルを用いて、得られた。遅い置換(slow exchange)により、並びに水素結合ドナーであると考えられるアミドは、そもそもD20における各ペプチドの再懸濁後に得られたNOESY実験により同定され、CNS計算による、中間体構造の視覚的な検査により確認された。付加的なf拘束(f restraint)は、高分解能DQF−COSYスペクトルより得られる、3JHNHaとのKarplus関係式の適用により得られた。5Hz未満の3JHNHa値は、−60°±30°に対するその残基のfを制約するために用いられた。5Hzのカットオフ値は、DQF−COSYによって得られる3JHNHa値が、より正確なヘテロ核NMRの方法(Cavanagh et al . , 1996)により得られる値よりも、常に大きくなることを可能にするために用いられた。
NOE及びROEの接触の分布(contact distribution)は、調査したこのペプチドのそれぞれにおけるC末端残基とそれに続くRGDで、より大きいことが発見された。接触タイプ(contact type)の数及び付加的な拘束(restraint)の要約を、図6(a)、(b)及び(c)で示した各ペプチドに対しての拘束の分布(distribution)とともに、表4に示す。図6(a)で観察される接触タイプは、標準的なヘリックス配座により、C末端が、Ha:i及びHb:i+3のみならず、Ha:i及びHN:i+3の間で観察される接触を持つRGDモチーフに向けられることを支持する。さらに、HNの遅い置換及び5Hz未満の3JHNHa値が、図6で示したように、いくつかの残基で観察された。
図7は、三つ全てのペプチドの2D NOESYスペクトルの、主なヘリックス接触領域を明らかにし、並びに接触数及び共鳴分散が、A20FMDV2で最大で、A20FMDV1で最小であることを示す。ヘリックスの特性を支持する接触は、A20FMDV1において最も散在的に、A20FMDV2において最もはっきりと現れ、A20LAPの接触の分布は、これら2つの極端例の間に収まる。
構造計算及び解析
NMRは、三つの20merのペプチドの溶液構造を決定するために、並びにCD及びin silico(AGADIR)データを確認するために用いられた。NMRデータは、例えば核オーバーハウザー効果(NOE)の形で、一連の制約(constraint)を生み出す。NOEは、2つの原子が、NMRの光学的な緩和がそれらの間で生じるのに、十分近い空間に存在する時に、観察される。2つの原子が、一次構造で近接していないと同定された場合には、各NOEは、近接近してこれらの領域を維持している二次構造が存在することを指し示すための、証拠を提供する。さらにNOEは、一覧にされ、構造モデルを作り出すのに一緒になって用いられる距離拘束(distance constraint)を提供する。物理的に可能なペプチドの立体配座の数を制限する制約が存在するので、コンピューターアルゴリズムは、これらの制約に適合する、たくさんの(アンサンブルとして知られる)立体配座を作製するために用いられる。
実験手段で明記したように、全ての構造データを、CNSを用いて決定した。計算された構造では、40個全ての構造を、アンサンブル平均構造セットと競合させるために用いた時、0.2Åより大きいバイオレーション(violation)または5°より大きい結合角のバイオレーションは得られなかった。3つ全てのペプチドの構造エネルギー統計学及び骨格の実行値(r.m.s)の偏差を表3に全て示し、全てのアンサンブル及びアンサンブル平均構造を図5に示す。骨格の実行値(r.m.s)の偏差は、各ペプチドの残基LXX〔L/I〕XXについて見積もられており、それにより、各ペプチドの比較解析が可能となる。40個の構造アンサンブルそれぞれに対してのPROCHECK−NMR解析により、全ての残基の94.3%、94.8%及び93.6%が、A20FMDV1、A20FMDV2及びA20LAPそれぞれにおける、ラマチャンドランプロットの許容領域内に収まることが同定された。許容領域外に収まった残基は、各ペプチドの最初の4アミノ酸由来であり、それらの偏差は、ほとんど、または全く、拘束データが得られない領域に対しての構造計算から得られるデータと、一致していた。図3及び図5で示すヘリックス制限(螺旋制限)を、計算された構造アンサンブル、及び元データではないところから得られた、二面角及び水素結合のジオメトリーにより、同定した。この手法により、全ての構造的な情報の組み合わせによって、各ペプチドの幾何学的特性を得ることが可能になった。各ペプチドのヘリックス関連残基を、A20FMDV1に対してはAla10−Thr14、A20FMDV2に対してはLeu10−Val17、A20LAPに対してはLeu10−Gly15として同定した。
A20FMDV1、A20LAP及びA20FMDV2の40個の構造アンサンブルを図5に示す。3つ全てのペプチドは似た構造を示し、RGD配列はループの先端を形成しており、その後にはすぐにヘリックス領域が続く。アルギニン及びアスパラギン酸塩残基はループの外側を向き、RGDペプチドに結合する、αvβ3の結晶構造で観察されるものに似た、一種のハンマーヘッド型を形成する(Xiong et al, 2002)。ヘリックス領域は、3つのペプチド間で長さが異なる。A20FMDV2は、最も整然とした構造(図5E&F)及び最長のヘリックスを持ち、およそ三回転を含んでいる。A20LAPはわずかに短いヘリックスを持ち、A20FMDV1はとても短いヘリックスを持ち、一回転から成る。上述したように、LXXL/I領域内ヘリックス構造は、抗αvβ6生物活性と相関する。
このように、三つ全てのペプチドはそれらの構造内にヘリックスを持ち、並びにこの伸長されたαヘリックス分子の位置で、C末端をRGDモチーフに向ける、CDデータが、NMR解析により確かめられた。図3でNH−NHで示すように、残基i−j接触により、三つ全てのペプチドに(RGDモチーフがヘアピン構造のターンに存在することを可能にする)一回転の立体配座を導入する制約が同定される。長距離接触(Long−range contact)を、A20FMDVのAla3−Thrl7及びSer4−Thrl5の間、A20FMDV−2のVal3−Argl9、Val3−Thr20、Pro4−Vall7、Leu6−Vall2及びGly8−Vall2の間、A20LAPのPro2−Alall、Pro2−Ilel3、Pro2−Hisl4、Thr4−Alall及びGly5−Hisl4の間で観察した。
飽和移動差NMR
3つの20merのペプチド内のRGDモチーフへの、αヘリックスのC末端の長さは、ペプチドの有効性を増加させると、増加することが明らかになっている(図3参照)。これらのデータにより、ヘリックスの長さまたは安定性が、αvβ6アンタゴニストとして機能するペプチドの有効性に、貢献する可能性が示唆される。しかし、本発明者たちのペプチド内の、RGDに対するαヘリックスのC末端における、NMRによる同定は、ヘリックス安定化剤であるTFEの存在下で行われた。生理的緩衝液内でαvβ6と結合する際に、このペプチドがヘリックスの形をとるかどうかを決定するために、本発明者たちは飽和移動差NMRを利用した。最も有効的なαvβ6アンタゴニストペプチドである、A20FMDV2が、インテグリンαvβ6と相互作用することを同定した、STD NMRスペクトルを、図6に示す。STD差スペクトルの解析は、TFE不存在下において、このペプチド内の適当なNMR共鳴分散によって可能となった。縮退した化学シフトによりオーバーラップが生成された所では、いずれのSTD差値も両方の核に同じように起因するので、このデータより、いずれの潜在的なバイアスをも除去することができる。
コントロールH STD NMRスペクトル図6(a)及び図6(c)により、このペプチドの全てのH NMR共鳴が明らかにされ、図6(b)及び図6(d)で示されたSTD差スペクトルにより、結合事象間のインテグリンに近接しているそれらのH共鳴が明らかにされる。図6(c)及び図6(d)は重要な接触ポイントの同定を可能にし、それにはArg7 Hb/Hd、Thr20 Hg及びLysl6、Hb/HdのみならずLeu3及びLeu10のHd及びHbが含まれる。STD差スペクトルが減少したかあるいは存在しないことが明らかにされている重要な共鳴には、Leu6 Hd及びGln11、Val12及びGln15及びVal17のHgが含まれた。個々の核のSTD増幅係数(amplification factor)は、A20FMDV2の全残基で観察された残基の合計増幅係数が0.0から8.81までのこれらのデータより算出した。A20FMDV2の全残基に対する相対的STD増幅係数を図7に示し、これにより、Arg7、Asp9、Leu10、Val12、Leu13、Lys16、Val17及びThr20で観察される、主な相互作用を伴ったこのペプチドの全体を通して、接触が明らかになることが、同定される。これらのデータにより、DLXXL/Iヘリックスモチーフを超えた接触が、αvβ6に結合することを改善するのに、重要である可能性を示唆する。
αvβ6結合ペプチドでのヘリックス構造の存在
このヘリックスの存在は、DLXXL/Iモチーフの非連続なロイシン及びロイシン/イソロイシン残基を並列にすることを引き起こし、それにより小さな疎水性パッチを形成する。疎水性パッチ間の相互作用は、タンパク質−タンパク質結合の古典的なメカニズムの一つであるので、ヘリックスによって引起されるロイシン−ロイシンまたはロイシン−イソロイシンのパッチが、αvβ6とのペプチド結合に直接的に関わるという仮説を立てることが可能である。このことは、「XX」残基の同定が、DLXXL/Iモチーフのロイシン及びロイシン/イソロイシン残基よりも、なぜ重要でないかを説明するだろう(Kraft et al 1999)。この仮説を検証するために、本発明者たちは、飽和移動差(STD)NMRを採用したが、この技術により、大きなタンパク質(本件ではrsαvβ6)からずっと小さな分子(本件ではペプチドA20FMDV2)へのエネルギー遷移を測定する。この技術は、原子特異的な原理によって作用し、大きな受容体タンパク質(rsαvβ6)に対しての、小さなリガンドA20FMDV2内の個々の残基の、近接性を測定することを可能にする。このようにして、受容体とのペプチド結合に関わる、正確な残基の同定をすることが可能になる。Arg(RGDモチーフの一部としてのArgは、αvβ6と強力な接触を示すことが予期される)を除いて、エネルギー遷移が最も高い残基は、Leu10、Leu13、Lys16及びVaI17である。したがって、αvβ6との主な接触は、おおよそ3つの残基の規則的な周期性を持つ。このことは、結合に関しての、ヘリックス構造の存在を強く示唆する。溶液NMR実験と異なり、STD NMRは、生理学的なバッファー(PBS)及び、ヘリックス安定化アルコールであるTFEの不存在下で実施したことを記述しておくことは重要である。それ故に、このことは、A20FMDV2がヘリックス及びランダムコイルの状態間で、溶液内で平衡的に存在するにも関わらず、αvβ6結合ペプチドは主にヘリックスの状態で存在することの強い証拠となる。実際、αvβ6と最も密接な接触をする残基が、30%TFEにおけるA20FMDV2の平均三次元構造上にマッピングされた時には、これらの残基はこのペプチドの片面上に一列になる。このことは、ヘリックス構造の存在が、これら他の近接しない残基を並列にすることを強く示唆し、それによりαvβ6との直接相互作用のための一つの結合面を形成する。
αヘリックスは、αvβ6との最適な結合に必要とされる
前記データは、A20FMDV2がαvβ6と結合する時に、αヘリックスのC末端がRGDに存在することを明らかに示す。さらに、これにより、L10及びL13での2つの非接触ロイシンを並列にさせることにより、リガンド(A20FMDV2)−インテグリン間での密接な接触が可能になる。αヘリックスが、αvβ6とのリガンド結合に必要とされることを証明するために、本発明者たちは、位置D12及びD17で、L−バリンをD−バリンで置換した、3つのA20FMDV2変異体ペプチドを合成した。図4は、これらのバリンのそれぞれが、A20FMDV2によって形成されるαヘリックス内に存在することが予測されていることを示し、それはNMRによって確認された。D−バリンを挿入することにより、本発明者たちは、重要な接触残基(Arg7、Asp9、Leu10及びLeu13)の相互作用の可能性を除外することなく、ペプチドのヘリックス習性を崩壊させ、その一方でこのペプチドの他の態様(例えば電化分布及びpH)が保たれることを予期した。
D−バリンペプチドを、3T3β6.19及びVB6細胞株を用いて、細胞接着アッセイにより解析し、そのデータを下記の表に要約した。この結果により、LからDへの置換は、累積効果を持つことが示された。その一方で、ペプチドDV12及びDV17は、「親」ペプチドであるA20FMDV2に比べて約3倍以上の高いIC50を示し、DV1217の有効性は、VB6アッセイで約20倍、3T3β6.19アッセイで約40倍減少した(下記表参照)。
Figure 2009509562
表7:細胞接着アッセイにおけるDバリンを含むペプチドのIC50値。SD、標準偏差;n、実験数;ND、未決定
ペプチドDV1217を単独のレセプター結合アッセイにおけるA20FMDV1、A20LAP、A20FMDV2とも比較し、それにはN末端にビオチンを持つ合成ペプチドを用いた。手短に言えば、96ウェルプレートをrsαvβ6でコーティングし、残存非特異的タンパク質結合部位を1%(w/v)カゼイン入りPBSでインキュベーションすることにより阻害した。ウェルをビオチニル化したペプチドでインキュベーションした後洗浄し、その後エクストラアビジンHRPで結合ペプチドを検出した。ビオチニル化したペプチドは固定化したrsαvβ6に特異的に結合し、rsαvβ6の不存在下での結合はなかった。スクランブル配列を持つコントロールペプチドが、原配列と比較してほとんど結合せず、100nM以下の濃度では全く結合を示さなかったことから、結合は配列特異的であった。ペプチドA20FMDV2は、A20LAPよりもαvβ6に対してより結合しやすく、それら両方はA20FMDV1よりも結合しやすいことが示された。ペプチドDV1217は、D−VaI12及びD−VaI17の異性体並びに、結果として化学的にA20FMDV2と同一であるヘリックス構造を持たないものを除けば、A20FMDV1と同様に結合した。それ故に、ヘリックス構造は、細胞接着アッセイにおける阻害のみならず、単独のプロテインアッセイにおけるrsαvβ6との結合とも相関する。これらのデータにより、ヘリックス構造の存在がαvβ6に対する結合を促進する一方で、ヘリックス構造が形成される可能性は、結合のために事前には要求されないことが示されるが、それはA20DV1217への用量依存的な結合による証拠に基づく。
D−バリンの置換が実際にヘリックス形成を崩壊させるかを確認するために、本発明者たちは、CD及びNMRによって二重変異体を解析した。CDデータにより、DV1217変異体は、50%TFEでさえヘリックスを形成できないことが示され、NMRにより、ヘリックス形成は40個の重複したアンサンブルからは予測されないことが解析された。A20FMDV2及びDV1217二重変異体の間には、構造的な違いがあるだけで、配列や比電荷分布に違いはないので、これらのデータにより、RGDへのαヘリックスのC末端が、最適なαvβ6特異的な結合モチーフの、必要不可欠な要素であることが強く示唆される。
P18−INK6由来ペプチド
A20FMDV1、A20FMDV2及びA20LAPは、インテグリンαvβ6に結合することで知られるタンパク質配列由来であるのだが、本発明者たちは、RGDLXXL/I配列モチーフを含む他の配列において、LXXL/Iモチーフが、αヘリックス構造内に含まれるかを調査した。本発明者たちは、下記で示す配列とともに、(サイクリン依存性キナーゼ4インヒビターCまたはP18−INK4cとしても知られる)P18−INK6遺伝子内に含まれるモチーフを選択した。
Figure 2009509562
P18−INK6配列は、RGDLXXL配列を含み、並びに、AGADIRソフトウェアを用いて解析すると、P18−INKペプチド内のLEQL配列が、αヘリックスモチーフを形成することが示された。それ故に、生理学的な相互作用の見込みが制限されているにも関わらず、この配列はαvβ6結合特性を持つことが予測されたが、それはp18−INK6が細胞内にある一方で、αvβ6リガンド結合部位は細胞外にあるためである。
インテグリンαvβ6への、P18−INKの性合親和性をDD19(αヘリックス構造ではない所にLXXL配列を持つRGDLXXLペプチド)のと比較することにより、P18−INKの性合親和性は、DD19のよりも、著しく大きいことが示された(図8)。これにより、αvβ6に結合することが知られてはいないタンパク質に含まれるが、αヘリックスの一部としてLXXLモチーフを含む、RGDLXXL配列は、単離して存在したときにも、αvβ6に依然として結合することが示唆される。
AGADIRを用いるP−INKペプチドのin silicoモデリング
さらに、ペプチドのヘリックス構造を増強させ、それによって潜在的に抗αvβ6の有効性を増大させるための、(AGADIRアルゴリズムによる)in silicoデザインを用いる可能性を調査するため、このシステムを使うことを決めた。A20FMDV2とp18−INK配列の異なった方法での組み合わせを調査し、LXXLXX領域(INK−FMDV)内でのヘリックス構造が最も高く予想されたものを、さらなる研究のために選んだ。その結果、1アミノ酸が置換された、さらに2つのペプチドを作製した。1つ目は、ペプチドの予測されたヘリックス構造を全体的に増加させる、INK−FMDV−X。2つ目は、RGDの予測されるヘリックス構造を減少させる一方で、LXXLXX領域の予測されるヘリックス構造を増加させる、pINK−FMDV2−XX。
これらのペプチドを、スクリーニングELISA法を用いて解析した。手短に言えば、rsαvβ6を、抗αvモノクローナル抗体(P2W7)でコーティングしたプレートにエクスポーズすることによって、96ウェルプレートの表面上で固定化した。固定化したrsαvβ6をその後、1時間、ペプチドとビオチニル化したフィブロネクチンの混合物にエクスポーズしてから、結合していない物質を洗浄し、結合したビオチニル化したフィブロネクチンを、エクストラアビジンHRPで検出した。ペプチドの連続希釈によって、用量依存性カーブを算出し、そこからシグモイドカーブフィットモデル(Prismソフトウェア)を用いてIC50を決定した。
この結果から、p18−INK6配列由来の20merペプチドは、組換えαvβ6の機能的阻害剤であり、競合的ELISAにより、IC50は23nMであることが示された。ペプチドP−INKは、予備的な細胞接着アッセイにおいても、αvβ6依存的な接着を阻害した。
細胞内タンパク質p18−INK6由来のペプチドは、それ故に、組換えαvβ6または細胞αvβ6を阻害することができる。αvβ6のリガンド結合ドメインが細胞外にあるので生理学的な影響はなさそうであり、それ故、p18−INK6を「観察する」ことはなさそうである。しかしながら、これらのデータは、本明細書で提案したモデル(LXXL領域内にヘリックス傾向を持つRGDLXXLモチーフが、αvβ6結合活性を持つ可能性)を支持するのに役立つ。
フローサイトメトリーによるペプチド特異性の評価
ビオチニル化したペプチドは、A375Ppuro及びA375Pβ6puroに結合することができ、その結合は、マウス抗ビオチン抗体とそれに続くAlexaFluor488標識羊抗マウス抗体によって検出される。ビオチンに結合した二次抗体の使用は、重要な増幅段階を提供するが、それは、ストレプトアビジン−FITCの直接検出を試みた予備的実験では、ほとんど若しくはまったくシグナル検出ができなかったためである。ペプチドは、複数の異なる濃度で試験され、A375Pβ6puro細胞株への濃度特異的な異なる結合性を示した。DV1217はA375Pβ6puroに高い特異性を持っていたが、それは、調査したどの濃度(100μMまで)でも、A375Ppuroに対しては顕著には結合しなかったが、A375Pβ6に対しては10μMおよび1μMで結合したためである。A20FMDV2はA375Ppuroに10μMのみで結合し、その一方でA375Pβ6puroに10μM、1μM、0.1μM、0.01μM、0.001μMの、4段階での濃度における異なる結合性によって、結合するのが観察された。A20FMDV1も比較的特異性があり、A375Pβ6puroに1μMで結合を示したが、その濃度ではA375Ppuroには結合しなかった。A20LAPは、A375Pβ6puroに相対的にほとんど特異性を示さず、両方の細胞株において10μMと1μMで結合したが、A375Pβ6puroへの結合は両濃度でわずかに大きくなった。
すべてのペプチドは、RGDLXXL/Iモチーフを含んでいたため、このモチーフの存在では、αvβ6への特異性は保証されない。さらに、試験した4つのペプチドのうち、最も安定(A20FMDV2)な、及び最も不安定(A20DV1217)な、ヘリックスを、RGDの後の配列(post−RGD配列)内に持つ2つのペプチドは、他のRGD指向性インテグリンが存在する場合に、αvβ6に対してもっとも特異的であった。それ故に、RGDの後の配列内のヘリックス構造は、αvβ6に対して特異性を提供はしない。しかしながら、これらのデータにより、αvβ6に対する高い性合親和性を与えるRGDの後の配列におけるヘリックス構造の重要性が確かめられ、10nMのA20FMDV2と同程度の結合性を得るためには、10μMのA20DV1217が必要とされる。それ故に本アッセイでは、ヘリックス構造を失うと、抗αvβ6の有効性が1000分の1倍に失われる結果となった。
A20FMDV2の環状ジスルフィド誘導体の合理的設計
本発明者たちは、直鎖ペプチドはin vivoでは、血清プロテアーゼによる攻撃にしばしばさらされる可能性があるので、環化(反応)及びD−アミノ酸の使用により、生物活性を、維持し、または改良する間における、このペプチドの安定化について調査が可能であると考えた(Okarvi, 2004)。それ故に、合理的な構造によって導き出されるデザインを用いて、リードペプチドA20FMDV2である、2つのジスルフィド環化した変異体を導き出した。目標は、以下のことに対して、3倍にすることである。親和性を向上させることによって、活性構造を安定化させること。血清プロテアーゼに対する抵抗性を改善させること。そして、適切に配置されたリシン及びチロシン残基を、それぞれ4−[18F]−フルオロ安息香酸または125Iで直接放射性ラベルすること。
デザインソフトウェア(Dombkowski,2003;www.ehscenter.org/dbd/)によるジスルフィドは、一対の残基を同定するのに、30%TFE内でのA20FMDV2の溶液構造とともに用いられ、その残基は、ジスルフィド結合システイン残基で置換を可能にするための、空間および幾何学的な仕様を兼ね備えるものと考えられた。リシンおよびチロシン残基を、放射性同位体でラベルするために加えた。しかしながら、A20FMDV2の完全な構造ユニットを維持し、並びにαvβ6結合活性との起こりうる干渉を防ぐために、これらの残基は、D−アミノ酸の「尾」として、ペプチドのN末端に加えられた。このペプチドをDBD1と規定した(下表参照)。皮肉なことに、予備的な血清安定研究では、D−アミノ酸の「尾」は、それ自身タンパク質分解されやすい可能性が示された。それ故に、ペプチドDBD2を、全ての残基がジスルフィド環内に含まれるように設計した(表6.1)。ペプチド「Ran」をコントロールとして合成し、DBD1と同じ残基から構成したが、ジスルフィド環内の残基をスクランブルした。細胞αvβ6及び組換えαvβ6に結合するペプチドの直接解析を可能にするために、各ペプチドのN末端にも、ビオチン部分及びスペーサーを加えた(ビオチニル化した−A20FMDV2、−DBDl、−Ran及び−DBD2は、したがって、B−A20FMDV2、B−DBDl、B−Ran及びB−DBD2として参照のこと)。
Figure 2009509562
表8:小文字で表記された、環状及びコントロールの、ペプチド残基の配列は、Dアミノ酸を表す。RGDLXXLモチーフにアンダーラインを引いている。環化(反応)のために用いたシステイン残基を太字で強調し、アンダーラインを引いている。チロシン(y/y)及びリシン(k/k)残基を、それぞれ125I及び18F−フルオロ安息香酸で直接放射性ラベルできるように加えた。グルタミン酸(e)及びリシン(K)残基を、側鎖−側鎖の共有結合性環化(反応)が潜在的に可能となるように加えた。
in vitroでの環状ペプチドの親和性及び特異性
αvβ6への環状ペプチドの親和性を、非競合的に結合させるELISAで最初に調査した。ペプチドのビオチニル化により、ELISAプレート上の固定化したrsαvβ6に結合することが可能となり、結合したペプチドは、ペルオキシダーゼ共役エクストラアビジンで検出した。スクランブルペプチドB−Ranはまったく結合を示さなかったが、B−DBD1とB−DBD2の両方とも、rsαvβ6に対する濃度依存的な結合を示した。結合の濃度は、B−A20FMDV2の場合と似ていた。用量反応曲線への適合によるデータの定量化と、50%の結合性に必要なペプチド濃度(EC50)の計算により、B−A20FMDV2、B−DBD1及びB−DBD2が、本アッセイにおいて同程度の有効性を示すことを実証し、低ナノモル濃度で結合が検出できることが示されたことに矛盾しなかった(下表参照)。
Figure 2009509562
表9:ビオチニル化した環状ペプチドが、固定化したrsαvβ6に結合するためのEC50。データを、シグモイドの用量反応曲線に適合させ、最大50%の結合に必要なペプチド濃度(EC50)を、各ペプチドについて決定した。データは、4回の独立した実験からのEC50の平均値及び標準偏差について示す。ND;決定されていない。
αvβ6のペプチド特異性を、対をなすαvβ6ポジティブ及びαvβ6ネガティブの、細胞株A375pβ6及びA375Ppuroへの結合を比較することにより評価した(図9及び10)。両細胞株とも、インテグリンαvβ3、αvβ5、αvβ8及びα5β1を同レベル程度に発現しているが、A375pβ6だけがαvβ6を発現している。ビオチニル化したペプチドの結合を、フローサイトメトリーにより評価した。B−A20FMDV2、B−DBD1及びB−DBD2は、A375pβ6に対しての濃度依存的な結合を示し、1nMの低い濃度で高い結合能を示した。対照的に、これらの3つのペプチドは、A375Ppuroへの低い結合能のみを示し、それは高い濃度のみであった。コントロールスクランブルペプチド(B−Ran)は、どちらの細胞株にも結合しなかった。
A375Pβ6と相互作用する特異性を確認するため、1nMペプチドの結合を、63G9(αvβ6特異的機能阻害モノクローナル抗体)または関連性のないIgGコントロールのどちらかの存在下で、評価した。B−A20FMDV2、B−DBD1及びB−DBD2は、コントロールIgGの存在下で強く結合した。しかしながら、63G9の存在下では、結合は大幅に減少し、B−A20FMDV2及びB−DBD2の場合には、結合は完全になくなった。B−Ranはどちらの抗体の存在下でも結合しなかった。この結果により、1nMでは、B−A20FMDV2、B−DBD1及びB−DBD2は、主にαvβ6を介してA375Pβ6に結合することが確かめられる。それ故に、B−A20FMDV2、B−DBD1及びB−DBD2は、αvβ3、αvβ5、αvβ8及びα5β1に比べてαvβ6への高い親和性及び高い特異性の両方を持つ。さらに、ペプチド結合は安定で寿命が長く、それはペプチド−インテグリン複合体がEDTAで繰り返し処理しても安定であるためである。
18FでラベルしたA20FMDV2及びDBD2のin vivo及びin vitro研究
リードペプチドB−A20FMDV2及びB−DBD2は、in vitroにおけるαvβ6に対して、高い親和性及び高い特異性を示す。A20FMDV2及びDBD2は、18F−A20FMDV2及び18F−DBD2を作り出すために、ペプチドのN末端を放射性同位体でラベルすることができる。画像化及び標的目標とするための、インテグリンαvβ6の潜在的な用途を、(18Fまたは別の放射性同位体部分を持つ)ラベル化したペプチドを、対となったαvβ6ポジティブ(DX3β6)異種移植片(xenograft)及びαvβ6ネガティブ(DX3puro)異種移植片を持つマウスにインジェクションすることによって評価し、それによりαvβ6陽性腫瘍の特異的な視覚化が可能となる。
〈考察〉
インテグリンαvβ6は、癌の画像化及び治療のための、新しい主要な標的である。抗αvβ6薬剤を創出するための方法として、本発明者たちは、αvβ6のペプチドアンタゴニストを創出するために、αvβ6の既知リガンドに基づく、合理的な設計アプローチを利用した。これらの研究により、αvβ6の生物学的挙動に重要である、新規インテグリン−リガンド相互作用の構造的基礎が明らかになった。本発明者たちは、これらの直鎖ペプチド内で二次構造が示唆されているペプチドの長さの増加に伴って、αvβ6のペプチドアンタゴニストの有効性が増加されることを、初めて指摘した。本発明者たちのペプチドが、ヘリックスモチーフを持つ可能性は、FMDVの結晶構造に基づいた(Logan et al 1993)。これらの著者たちは、FMDVのVP1カプシド・タンパク質のG−Hループが、ヘアピンカーブの先端で、RGDモチーフから構成され、その後に310ヘリックスが続くことを示した。この構造は、VP1及びVP2タンパク質間のジスルフィドシステイン架橋結合が存在した場合に限り、現れた。本発明者たちは、AGADIRソフトウェアを用いて、3つのリードペプチドA20FMDV1、A20FMDV2及びA20LAPのヘリックス傾向を調べた。ヘリックス傾向が、A20FMDV<A20LAP<A20FMDV2の順で増大され、配列が生物学的効果と相関することが予測された。遠紫外線/CD解析により、全ての20merが、TFEを0−50%(v/v)添加させることにより、ヘリックスの性質の増大が示されることを確かめた。A20FMDVでヘリックス形成へ遷移するための、より広範な分析結果により、より高い割合のTFEが、このペプチドが安定的なヘリックスを形成することに必要とされ、並びにこのペプチドのヘリックス傾向は、AGADIR予測が確忍されたA20FMDV2またはA20LAPのデータにおけるものよりも低いことが示唆される。遠紫外線−CDデータは、NMRによる3つ全てのペプチドの相対的な構造を得るために、TFEの濃度がどれほど必要かを予測するためにも、利用された。平均楕円率のプロットにより、40−50%TFEでは、ヘリックスの安定化は、3つ全てのペプチドで完全になると示唆された。それ故に、30%(v/v)の濃度は、A20FMDV2とA20LAPの両方で、遷移のギリギリの濃度となり、これらのペプチドのヘリックス傾向の違いを明らかにするのが可能になる。(直接比較を可能とするため、30%TFEは、続く全てのNMR解析用に選択された。)
NMRによる3つ全てのペプチドの構造アサインメントにより、全ての共鳴の97%以上の同定が可能となったが、A20FMDV1のThr2、及びA20LAPのGly1での、欠損する共鳴の大部分は、アミド水素置換及びオーバーラップの結果、アサインする(assign)のが難しいものであった。高度なアサインメントにより、各ペプチドの構造解明のための正確な接触アサインメント、並びに図3、図4で示したようにαヘリックスの形成に関与する鍵となる接触の評価及び文書化が、可能となった。A20FMDVに対して図3(a)で示した接触によって、このヘリックスが、使用された条件化では、最も規定されていないことが明らかである。aH−NH i−i+3及びaH−bH i−i+3は、RGDに対するその領域C末端の全部については完全には規定されておらず、並びにAla10−Thr14のヘリックス伸長は、水素結合アクセプター及びf拘束(f restraint)によって規定されていない。対照的に、図3(b)で示したA20FMDV2の接触は、aH−NH i−i+3、aH−bH i−i+3、NH−NH i−i+1、及び水素結合及びf拘束を伴う、Leu10−Vall7での、十分に形成されたヘリックスを明らかにする。図3(c)におけるA20LAPの制約は、A20FMDV及びA20FMDV2で観察された制約の間に収まる。Leu10−Gly15のヘリックス領域を超えた所には、A20LAPは、規定されたaH−NH i−i+3接触を高度に持つが、規定されたaH−bH i−i+3接触はより少ない数しか持たない。A20LAPでもまた、水素結合及びf拘束は、ヘリックスのN末端でより規定されているが、C末部分ではそれがない。A20FMDV1とA20LAPの両方に対する、規定された、水素結合及びf拘束の不足は、NMRデータで創作されるモデルにおけるヘリックス形成の減少の一因となっているが、30%TFE(v/v)内でのこれらのペプチド間の根本的な違いを反映する。接触データ(理想的なヘリックス構造はA20FMDV2で観察され、A20LAPでは幾分理想度が下がり、A20FMDV1ではそれが乏しい)により提供されるヘリックス構造のスケールは、図4で示される実験データからも、直接観察する事もできる。図4(b)、4(e)及び4(h)におけるA20FMDV2データは、構造が存在していることを示す、より多くの接触とより高いシグナル分散を示す。今一度、これらの観察はA20LAPで減少したが、接触回数及び分散はA20FMDVが最も低かった。表2の接触データにより、これらの視覚的な観察が確かめられる。これらのヘリックスの性質にも関わらず、各ペプチドは1回転の立体配座を示し、長距離接触(すなわち、ペプチドのN末とC末の中間部分における残基間)は全てのペプチドで観察される。これらの接触が最も多く、A20FMDV2で最も明らかにされており、ヘリックス形成が安定した1回転の配位を形成するための鍵であることが、示唆されている。しかしながら、N末端の6−7アミノ酸は、構造を持たなさそうであるにも関わらず、それらは、活性の検討材料としてやはり重要であるかもしれず、全体的な3D構造の安定化を提供すると思われるN−及びC−末残基間に、たくさんのNOE相互作用があるためである。
接触データより説明される、これらのペプチドのそれぞれの全体的なヘリックス構造の傾向(A20FMDV2>>A20LAP>>A20FMDV1)は、さらに、CNSソフトウェアを用いた構造解明によって支持される。構造情報により、これらのペプチドのヘリックス傾向の定量的な解析が可能となり、それは、図1及び図2にある遠紫外線−CDデータからは即座には明らかにはならない方法による。図5におけるアンサンブルの平均は、各ペプチドに、RGDモチーフへ直接C末端が延びているヘリックス部分があることを示す。ヘリックスは、A20FMDV1、A20LAP及びA20FMDV2に対して、それぞれ約1.4、1.6及び2.2回転であることが示されており、並びに、これらのペプチドに対して、全体的に予測されるヘリックス傾向に関する、AGADIRから観察される傾向と一致していると思われる。すぐ後にRGDモチーフが続くように形成されるヘリックスの性質は、前記で強調した残基LXX〔L/I〕の側鎖が、ヘリックスの一方から突き出ることを可能にする。結果として、これにより、最近ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体(PPAR)に結合すると記述された、LXXLLモチーフに似たヘリックスを含んでいる、構造モチーフを形成するだろう(Klein et al, 2005)。RGDLXXL配列は、αvβ6特異的なモチーフであるとしてKraftなど(1999年)によって、ペプチドファージディスプレイを用いて同定され、これらの残基の重要性は、より初期の研究で発見されたが、それは、FMDVによって実験的な感染を阻害するために要求されるFMDV由来ペプチドにおける、重要なアミノ酸を調べたものであった(Mateu et al, 1996)。
インテグリンαvβ6とともにA20FMDV2を用いた本発明者たちのSTD NMR調査により、αvβ6へのリガンド結合に、残基LXXLが重要であることが確認できた。図6で示したSTD NMR差データにより、残基Leu10及びLeu13のHdを介して相互作用することの重要性が強調され、それは、結合が主にArg7−Thr20由来ペプチド部分を含むことが直接的に明らかにされている、Leu6のHdの不存在を伴う。このことは、各残基で示されるSTD増幅係数の解析によって確かめられ、この各残基により、主な接触面が、残基Arg7、Leu10、Leu13、Lys16及びVal17で、生じることもまた明らかとなる。それ故に、本発明者たちのデータは、αvβ6特異的なリガンドとしての、RGDLXXLの発見に対しての構造的な説明を提供し、その理由は、ヘリックスにより、直鎖的にαvβ6の表面と相互作用する、非接触的なLeu10及びLeu13残基が、並列になるためである。インテグリンαvβ6が認識されることについての、残基Lys16及びVal17の重要性にも注意を要するが、それは、この観察が、RGDLXXLを超えて伸長したモチーフが、重要である可能性を、強調するためである。二次的に上昇される相互作用が、Asp9、Val12及びThr20でも観察される。STDデータは、TFE不存在で、生理学的なバッファー(PBS)で得られたため、A20FMDV2が、αvβ6へのヘリックスとして結合することが強く示唆される。3アミノ酸の段階で生じる主な接触残基により、αvβ6と相互作用する間に、A20FMDV2内でのヘリックス形成が説明され、このαvβ6により、全ての主な残基側鎖が、インテグリンの標的と一面で相互作用することを可能にする。さらに、少なくともLeu10−Lys16間のヘリックスのN末部分は、Loganなど(1993年)のと一致して、LXXLXXKの規則的なパターンに起因して、3,10−ヘリックス構造になることが可能である。本発明者たちのデータは、インテグリンαvβ6に特異的なペプチドが、RGDLXXLに基づいたモチーフを持つ、伸長された回転の立体配座を必要とすることを示唆する。このモチーフが直接重要であることに加えて、αvβ6特異的なペプチドは、ヘリックス傾向の増加を必要とし、並びに、RGDがより有効に結合するために、C末残基の数の増加を伴ったヘリックスを形成する能力を必要とする。おそらく、このことは、他のインテグリン(例としてαvβ3及びα2bb3)のペプチド阻害剤の開発が、可能な、最小の環状ペプチドを得ようとしばしば努力されてきたための、予期せぬ発見によるものであった。αvβ6のα−ヘリックスモチーフは、いくつかの役割を持つようである。おもに、それは、LXXLの正確な幾何学的配置によって、疎水性側鎖がαvβ6の結合部位と相互作用することを可能にするが、それに加えて、伸長された配列RGDLXXLXXYY内での位置YYにおける正確な残基を提示することによっても、結合を促進する。さらに、ヘリックス内の残基とN末端内での残基の間の長距離接触は、ヘアピン構造を安定化させ、それ故にRGDモチーフを好ましく提示する。
構造(NMR及び遠紫外線/CD解析)及び機能(ELISA及び接着アッセイ)データの組合せにより、本発明者たちのペプチドアンタゴニストは、αvβ6と相互作用する際に、ヘリックス部分を持つことが予測された。このことは、STD NMRによるA20FMDV2/αvβ6相互作用により確かめられた。αvβ6に結合するペプチド内のヘリックスの重要性は、ヘリックス内のバリンをD−異性体で置換することによって、ヘリックスを保存的に破壊することにより示された。その結果として得られるDV1217ペプチドは全くヘリックス特性を持たず、並びにαvβ6阻害剤としての有効性が20−40分の1に減少した。
フィブロネクチンのようないくつかの基質は、α−ヘリックスC末端をRGDに持つことは予測されないが、αvβ6のリガンドとして機能することができる。しかしながら、αvβ6は、フィブロネクチンよりもLAPに対して遥かに強い親和性を持つ。LAPはRGD−αヘリックスモチーフを保有するため、本発明者たちの結果は、この増加された親和性に対する構造的な説明を提供し、恐らくは、それはαvβ6とフィブロネクチン間よりも、αvβ6とLAP間でより強い物理的相互作用があるためである。本発明者たちのデータは、αvβ6がどのようにTGFβを活性化するかもまた説明しそうである。αvβ6によるTGFβ1(及び恐らくはTGFβ3)のこのような活性化は、機能的なアクチン細胞骨格を必要とし、物理的な張力が、TGFβ−プロペプチドであるLAPに対して作用されている可能性を、おそらく示唆している。本発明者たちのペプチド内で、C末端をRGD結合モチーフに生じさせる接触部位の大多数は、LAPへのこの強い結合が、どのように媒介され得るかに関しての説明を提供する。このことにより、けん引/張力を含んだ、ヘリックスを介した強い結合を通じての、TGFβによるαvβ6の活性化の可能性があり、あるいは恐らくは結合によって誘導される、構成されていないループから、TGFβを開放する、LAP内での立体配座を引き起こす、ヘリックスの安定化の可能性がある。
RGDLXXLモチーフは、多くのタンパク質で発見されているが、それらの全てが細胞外タンパク質であるわけではない。これらの調査に基づいて、新規の、しかしながらまだ特徴付けされていないリガンドが、αvβ6に対して存在する可能性が示唆され、例えばそれは、アカゲザルの肺表面活性物質関連タンパク質Cを含む可能性がある。RGDLXXLモチーフを持った細胞内タンパク質の存在は、それらが、細胞内αvβ6に結合する可能性を示唆するかもしれず、生物学的な用途があるだろう。
要約すると、20merのペプチドA20FMDV2は、インテグリンと結合する際に、α−ヘリックスのC末端をRGDに形成する。ヘリックス傾向とペプチド傾向の間には相関性があるために、このことは、ヘリックス形成がαvβ6への結合の結果として生じるものではないが、それよりもむしろ、リガンド(A20FMDV2)が、結合前にα−ヘリックスのC末端をRGDに持ち、並びにこの結合がヘリックスを安定化させる可能性を示唆する。このヘリックスの主な機能は、RGDモチーフの非接触残基のC末端が、αvβ6の表面に対して直鎖的な面として提示させることを可能にし、それ故に、リガンドとインテグリン間の潜在的な接触ポイントを増加させる。これらのデータは、線維症の治療のみならず、癌の画像化及び治療に必要とされる有効なαvβ6特異的な薬剤を設計するための構造的なフレームワークとして提供されるだろう。
情報開示陳述書の一環として提出する参考文献を含んだ、本明細書で引用し、またはこの出願書類とともに提出する全ての出版物、特許及び特許出願書類は、参照により完全に含まれる。
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0−50%(v/v)間のTFE濃度を持つPBSにおける(A)A20FMDV1ペプチド、(B)A20FMDV2ペプチド及び(C)A20LAPペプチドの、遠紫外線のCDスペクトル。 0−50%(v/v)間のTFE濃度を持つPBSにおける(a)A20FMDV1ペプチド、(b)A20FMDV2ペプチド及び(c)A20LAPペプチドの、平均分子楕円率。 (a)A20FMDV1、(b)A20FMDV2及び(c)A20LAPに対する、主なNOE及びROEの接触タイプ(contact type)、水素結合アクセプター及びf拘束(restraint)、を生じさせる残基の図表。 A20FMDV1に対する2D NOESY NMRスペクトル部分(a)、(d)及び(e)。同様にA20FMDV2に対して(b)、(e)及び(h)。同様にA20LAPに対して(C)、(F)及び(I)。スペクトル(a−c)はHa−Hb領域を対象にし、(d−f)はNH−NH領域を対象にし、(g−i)はNH−aH領域を対象にする。全ての化学シフトは、100μMジメチルシラペタンスルホン酸(DSS)入りPBS/30%(v/v)TFE溶液で外部から参照される。 A20FMDV1(a−c)、A20FMDV2(d−f)及びA20LAP(g−i)に対しての計算された構造。40個の構造アンサンブル(a)、(d)及び(e)は全ての骨格結合(残基1−20)を示す。40個の構造アンサンブル(b)、(e)及び(h)は、各ヘリックスの計算された収束を強調するための、GLXXからC末端までの骨格結合を示す。赤で色付けられた結合により、アンサンブルを適合させ、表2のデータを作成するために用いられたLXX[L/I]XXX領域が特定される。リボンの図形(c)、(f)及び(i)は、球と棒で示されるRGDモチーフを持つ各ペプチドにおけるアンサンブル平均構造を示す。全ての図形を、MOLMOL2k.2で作成した(Koradi et al, 1996)。 Ca2+及びMg2+の存在でのインテグリンαvβ6及びペプチドA20FMDV2のH STD NMRスペクトル。(a)及び(c)はコントロールスペクトル(ペプチドシグナルを示すSTD遷移がない)であり、(b)及び(d)は30msのスピン固定フィルターを用いてのSTD差スペクトルである。拡大図(c)及び(d)は重要な残基の共鳴を持ち、それらをデータで明示する。 Ca2+及びMg2+の存在での各アミノ酸ペプチドの割合として示される、インテグリンαvβ6及びA20FMDV2間での完全なSTD NMR遷移。 LAPに対する3T3B6.19のαvβ6依存的な接着に関するINK及びDD19ペプチドの効果。細胞接着の割合に対してプロットした両ペプチドのペプチド濃度を示す。 抗αvβ6環状ペプチドは、αvβ6発現細胞に選択的に結合する。ビオチニル化したA20FMDV2−Cyc2または環状のスクランブル仕様を、A375PpuroまたはA375Pb6puro細胞に加えた。結合ペプチドは、ストレプトアビジン−FITCまたは、マウス抗ビオチン抗体とそれに続くAlexaFluor488標識羊抗マウス抗体のいずれかによって検出し、サンプルをフローサイトメトリーで解析した。ペプチドデータを明るい灰色で、バックグラウンド(ストレプトアビジン−FITCまたはマウス抗ビオチン抗体とそれに続くAlexaFluor488標識羊抗マウス抗体のみ)を黒で示す。A20FMDV2−Cys2シグナルは、A375Pb6puro細胞で高いことを指摘しておく。 A375Pβ6puro及びA375Ppuroに対するビオチニル化したペプチドの濃度依存的結合。ビオチニル化したペプチドDV1217、A20FMDV1、A20LAP及びA20FMDV2は、陽イオン(0.5mM MgCl、1mM CaCl)及び0.1%アジ化ナトリウムの存在でのA375Pβ6puro及びA375Ppuroへの結合が可能であった。灰色及び黒色の実線は、コントロール抗体である、10D5(抗αvβ6、灰色の実線)及び非免疫IgG(黒色の実線)を表す。赤線は、10μMのビオチニル化したペプチド。オレンジの線は、1μMのビオチニル化したペプチド。緑の線は、0.1μMのビオチニル化したペプチド。青線は、0.01μMのビオチニル化したペプチド。紫の線は、0.001μMのビオチニル化したペプチド。データは、同様の結果となった、少なくとも2回の独立した実験の代表例である。

Claims (30)

  1. LXLまたはLXIをαヘリックス構造内に含む、配列モチーフRGDLXLまたはRGDLXIを含むペプチド。
  2. 配列RGDLXLX10を含む、請求項1に記載のペプチド。
  3. Zはヘリックスを促進させる残基であり、nは1から20の間の任意の数である、配列RGDLXLX10を含む、請求項1または2に記載のペプチド。
  4. nが5から15の間である、請求項3に記載のペプチド。
  5. −Xがヘリックスを促進させる残基である、請求項1から4のいずれか一項に記載のペプチド。
  6. −X10がヘリックスを促進させる残基である、請求項2から5のいずれか一項に記載のペプチド。
  7. 前記ヘリックスを促進させる残基が、Glu、Ala、Leu、Met、Gln、Lys、Arg、Val、Ile、Trp、Phe及びAspの群から独立して選択される、請求項5または6に記載のペプチド。
  8. 前記αヘリックス構造により、残基LXXL/Iの側鎖が前記ヘリックスの一方から突き出ることを可能にする、請求項1から7のいずれか一項に記載のペプチド。
  9. 前記αヘリックス構造が1から5回転を持つ、請求項1から8のいずれか一項に記載のペプチド。
  10. 前記ペプチドが12から45アミノ酸長である、請求項1から9のいずれか一項に記載のペプチド。
  11. 前記ペプチドが20アミノ酸長である、請求項10に記載のペプチド。
  12. 前記ペプチドが環化されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のペプチド。
  13. 前記ペプチドが、システイン残基を介してジスルフィド結合によって環化されている、請求項12に記載のペプチド。
  14. 前記ペプチドが、表4において示されているように、A20ペプチド、p18−INKペプチド、B−A20ペプチドまたは環状ペプチドである、請求項1から13のいずれか一項に記載のペプチド。
  15. 前記ペプチドが検出可能な部分に連結されている、請求項1から14のいずれか一項に記載のペプチド。
  16. 前記検出可能な部分が、磁気共鳴影像法(MRI)、磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、ポジトロン放出断層撮影法(PET)または光学的画像によって検出可能なものである、請求項15に記載のペプチド。
  17. 前記検出可能な部分が放射能を持った部分である、請求項15または16に記載のペプチド。
  18. 前記ペプチドが治療上の活性部分に連結されている、請求項1から17のいずれか一項に記載のペプチド。
  19. 前記治療上の活性部分が抗がん剤である、請求項18に記載のペプチド。
  20. 請求項1から19のいずれか一項に記載のペプチドをコードする、単離された核酸分子。
  21. 請求項20に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
  22. 治療または診断の使用のための、請求項1から21のいずれか一項に記載の、ペプチド、核酸分子または発現ベクター。
  23. 請求項1から19のいずれか一項に記載のペプチド、請求項20に記載の核酸分子または請求項21に記載の発現ベクター、並びに医薬として許容される担体、を含む医薬組成物。
  24. 請求項1から19のいずれか一項に記載のペプチド、請求項20に記載の核酸分子または請求項21に記載の発現ベクターを、治療に有効量で、必要とする患者に投与することを含む、細胞がαvβ6を過剰発現している疾病あるいはαvβ6を介した疾病の治療方法。
  25. 細胞がαvβ6を過剰発現している疾病またはαvβ6を介した疾病の治療用薬剤の調製のための、請求項1から19のいずれか一項に記載のペプチド、請求項20に記載の核酸分子または請求項21に記載の発現ベクター、の使用。
  26. 前記疾病が、慢性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、慢性損傷皮膚病または癌から選択される、請求項24または25に記載の前記の方法または使用。
  27. 前記慢性損傷皮膚病が表皮水疱症である、請求項26に記載の前記の方法または使用。
  28. 請求項15から18のいずれか一項に記載のペプチドを有効量で個体に投与すること並びにその体内で前記ペプチドの存在を検出することを含む、個体の体内での上皮細胞の画像化の方法。
  29. 請求項15から18のいずれか一項に記載のペプチドを有効量で個体に投与すること並びにその体内でペプチドの存在を検出することを含む、αvβ6を介した疾病の診断または予後診断の方法。
  30. 請求項18または19に記載のペプチドを投与することを含む、治療上の活性部分をαvβ6発現細胞または患者内でαvβ6を発現している細胞を含んでいる組織に送達する方法。
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