JP2009508030A - 燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

燃料噴射弁（１）が、戻しばね（１４）によって負荷される可動子（７）と協働する磁石コイル（２）を有しており、前記可動子（７）は弁ニードル（８）と共に、軸方向可動な弁部分を形成している。弁ニードル（８）には弁閉鎖体（１０）が設けられており、該弁閉鎖体は、弁座体（１１）と共にシール座部を形成している。さらに、磁石コイル（２）の下側に取り付けられたシール体（２５）から成る、肉薄の弁スリーブ（５）もしくは磁石コイル（２）の確実なシール部材が設けられている。このシール体（２５）は横断面が四角形に、特に台形に形成されており、磁石コイル（２）と弁ケーシング（４）との間に設けられている。組み込まれた状態では、シール体（２５）は緊締され圧縮されている。この場合、シール体（２５）は圧縮された状態で楕円形若しくは卵形の横断面を有している。

Description

本発明は、請求項１の上位概念に記載の形式の燃料噴射弁から出発している。

例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第４００３２２７号明細書により公知の燃料噴射弁は、磁石コイルによって取り囲まれたコアと、可動子と、管状で金属製の中間部分と、磁石コイルに被されるＵ字形の少なくとも１つの導体エレメントとを有している。前記可動子は、不動の弁座と協働する弁閉鎖体を、可動子に溶接された結合管によって操作可能である。前記中間部分は、一方の端部で、コアの、可動子に面した端部に、他方の端部で管状の結合部分に、溶接により密に結合されている。前記導体エレメントは、弁閉鎖体に面した端部で前記結合部分に結合されており、他方の端部でコアに溶接により結合されている。この場合、燃料噴射弁の重なり合うそれぞれ２つの構成部分の溶接が、溶接すべき両部分の一方の横断面の減少を伴い行われる。

上記明細書により公知の燃料噴射弁における欠点は特に、燃料噴射弁の個々の構成部分間の結合部の製造が複雑であり、ひいては時間とコストがかかるものであることにある。さらに、溶接個所は熱負荷され、これによりこの個所の強度と曲げ剛性が損なわれる。このことは、異なる厚さのケーシング部分による共振を生ぜしめ、ひいてはこれに伴い燃料噴射弁の運転中に騒音が発生する恐れがある。さらに、吸気管側のシール部材の下側に射出成形により形成された支持リングにより、ケーシングと弁スリーブとの間のコンタクト個所が確実にシールされず、これは特に、内燃機関のターボ運転時に、粗悪なシール性による問題を生じしめることがある。

発明の効果
これに対し、請求項１の特徴を有する本発明による燃料噴射弁は、弁ケーシング、弁スリーブ、磁石コイルの間に、耐燃料性のエラストマによる確実なシールが軸方向で得られるという利点を有している。このようなシール部は有利には、ゴムから製造される横断面が四角形のシール体であって、これは、使用されるシール体が簡単かつ安価であるという利点を有している。さらなる利点は、シール体の燃料噴射弁の内側での所要スペースが僅かであることにあり、この僅かな所要スペースは、シール体が組み付け後に組み付け状態で緊締され圧縮されることによりさらに減じられる。

請求項２以下に記載された手段により、請求項１に記載の燃料噴射弁の有利な別の構成が得られる。

シール体をほぼ台形に構成すると有利であり、このような横断面の輪郭は、シール体が緊締されていない状態でのみ現れる。

特に有利には、シール体が、磁石コイルを収容するコイル支持体の下面と、弁スリーブの外周面と、弁ケーシングの半径方向に延びる肩部との間の領域に組み込まれる。完全に組み込まれた状態では、シール体はこの収容領域をほぼ充填しており、これらの弁構成部分への直接的なボディコンタクトを介して、確実かつ信頼性のあるシールを保証する。シール体は、最終的に圧縮状態で、楕円形若しくは卵形の横断面を有している。

この場合、コイル支持体は理想的には、その下面に環状のカラーまたは全周にわたって分配配置された複数の突起を有していて良く、このカラーまたは突起はシール体の収容領域を半径方向外側に向かって制限する。

実施例の説明
次に図１につき本発明の第１実施例を説明する。図１には、概略的な断面図で、本発明により形成された燃料噴射弁１の実施例の縦断面図が示されている。このような燃料噴射弁１は特に、内燃機関の吸気管（図示せず）に燃料を噴射するために適している。

燃料噴射弁１は磁石コイル２を有しており、この磁石コイル２はコイル支持体３に巻き付けられている。コイル支持体３は、電磁回路の磁石ポットとして働くポット状の弁ケーシング４内にカプセル状に収容されている。

コイル支持体３は、管状に形成されている弁スリーブ５によって貫通されている。弁スリーブ５内に配置された内極６の流出側には可動子７が配置されていて、この可動子７は弁ニードル８に接続されている。弁ニードル８は、この実施例ではボール状に形成された弁閉鎖体１０と作用結合しており、この弁閉鎖体１０は弁座体１１と共にシール座部を形成している。シール座部の加流側には少なくとも１つの噴射開口１３が形成されており、この噴射開口１３から燃料が吸気管（図示せず）に噴射される。

可動子７は燃料噴射弁１の休止状態では戻しばね１４によって、燃料噴射弁１が弁閉鎖体１０の押圧力によって弁座体１１上に閉鎖保持されるように力を負荷されている。戻しばね１４は可動子７若しくは内極６の切欠１５内に配置されており、調節スリーブ１６によってプレロードをかけられている。調節スリーブ１６の流入側には、ポット状のフィルタエレメント１７が弁スリーブ５内に、有利にはプレス嵌めされている。中央の燃料供給部１８を介して導入される燃料は、供給管２４と切欠１５を通って燃料噴射弁１を貫流し、弁座体１１と噴射開口１３へと流れる。

燃料分配導管（図示せず）へ組み付けるために燃料噴射弁１には中央の燃料供給部１８の領域にシール部材１９が設けられている。別のシール部材２０は、燃料噴射弁１と吸気管との間の接続部（図示せず）をシールする。磁石コイル２は導線を介して、電気的な差し込みコンタクト２１を介して供給可能な電流によって励磁される。差し込みコンタクト２１は、プラスチックから成る電気的な接続コネクタ２２の部分である。この接続コネクタ２２はプラスチック射出成形によって、弁ケーシング４、弁スリーブ５、若しくは供給管２４に結合することができる。

磁石コイル２に、電気的なライン（図示せず）を介して電流が供給されると、磁界が形成され、この磁界は、十分な強さで可動子７を、戻しばね１４のばね力に抗して、かつ、燃料の流れ方向とは逆に、磁石コイル２内に引き込む。これにより、可動子７と内極６との間に形成された作業ギャップ２３は閉じられる。可動子７の運動により、可動子７に結合された弁ニードル８も行程方向で連行され、これにより弁閉鎖体１０が弁座１１から持ち上がり、燃料が噴射開口１３から噴射される。

磁石コイル２を励磁する電流が遮断され、戻しばね１４が可動子７を内極６から押し離すほど磁界が弱まると、燃料噴射弁１は閉じられ、これにより弁ニードル８は流出方向に動き、弁閉鎖体１０は弁座体１１上に載置される。

弁スリーブ５は管状に形成されている。弁ケーシング４とコイル支持体３と弁スリーブ５との間には本発明によれば、エラストマ材料、有利にはゴムから成るシール体２５が設けられており、このシール体２５は弁ケーシング４に対する弁スリーブ５の確実なシールを形成する。

図２には、図１の区分ＩＶの領域における、本発明により形成された燃料噴射弁１の概略的な部分断面図が、まだ圧縮されていないシール体２５と共に示されている。このシール体２５は四角形状であって、この場合、横断面は台形状に形成されている。シール体２５の組み込みは、シール体２５が、コイル支持体３の下面２７と、弁スリーブ５の外周面２８と、弁ケーシング４の半径方向に延びる肩部２９との間の領域に挿入されるように行われる。弁ケーシング４は既に、弁スリーブ５に固定もしくは保持されているが、磁石コイル２を備えたコイル支持体３は、シール体２５が弁ケーシング４に組み付けられた後に初めて挿入される。この時点ではシール体２５はプレロードをかけられていない状態で、図３に示されたようにリング状の輪郭及び方形状の横断面を有している。

シール体２５は内面３０で、弁スリーブ５の外周面２８に接触しており、この場合、内面３０と外周面２８とは正確に平行に延びているのではない。シール体２５の内面３０ではむしろ、燃料噴射弁１の長手方向軸線に対して幾分傾斜しており、ひいては、弁スリーブ５の周面２８もしくはシール体２５の外面３１に対しても傾斜している。従って、シール体２５の横断面は理想的な台形ではなく、ほぼ台形の形状である。シール体２５の、コイル支持体３に面した上面３２は、燃料噴射弁１の長手方向軸線に対して斜めに傾いて、例えば４５°の角度をなして延びていて、シール体２５の、肩部２９に面した下面３３は、燃料噴射弁１の長手方向軸線に対して直角をなして延びている。シール体２５の縁部は例えば丸く面取りされており、全ての丸く面取りされた縁部の曲率半径は異なっていて良い。

コイル支持体３は下面２７に、半径方向で環状のカラー１２を有している。このカラー１２は、シール体２５の半径方向外側に配置されており、シール体２５が緊締された状態では、弁ケーシング４の肩部２９に当接する（図４）。環状のカラー１２とは選択的に、複数の突起が、コイル支持体３の下面２７に半径方向対称的に取り付けられていても良い。

シール体２５を組み込む際、若しくは燃料噴射弁１を組み立てる際に、コイル支持体３の下面２７が初めて、シール体２５の最も高い点に接触する、図２に示された自転に達せられる。このシール体２５の最も高い点は、上面３２から外面３１への移行部の（丸く面取りされた）縁部領域にある。この時点から、さらなる組み付けの際にシール体２５は変形される。

図４には、組み付け後に組み込み状態で押し付けられたシール体２５を備えた、図１のＩＶで示した部分領域における、本発明により形成された燃料噴射弁１の概略的な部分図が示されている。組み付け時に生じる変形の際に、シール体２５のエラストマ材料がほぼ半径方向外側に移動する。しかしながらこの材料は他の方向にも僅かに変位するので、本発明によるシール体２５によって最良のシールが得られる。組み付け時に下方に移動するコイル支持体３のカラー１２により、シール体２５の変位運動に対する半径方向外側の制限部が形成されるので、完全に組み込まれた状態でシール体２５は、コイル支持体３の下面２７と、コイル支持体３のカラー１２と、弁ケーシング４の肩部２９と、弁スリーブ５の外周面２８との間で緊締され、圧縮されて、これらの構成部分に接触している。カラー１２のサイズはシール体２５の変形の程度を規定する。出発状態で横断面が四角形のシール体２５の輪郭は、組み込まれた圧縮状態では解消され、シール体２５は今や楕円形もしくは卵形の横断面を有している。

本発明は図示の実施例に制限されるものではない。特に、種々の特徴の任意の組み合わせが可能である。

本発明により構成された燃料噴射弁の実施例を概略的に示した断面図である。 本発明により構成された燃料噴射弁の図１の区分ＩＶの領域を概略的に示した部分断面図である。 シール体の断面図を示す拡大図である。 組み付け後に組み込まれた状態で押し付けられたシール体を有する、本発明により構成された燃料噴射弁の図１の区分ＩＶの領域を概略的に示した部分断面図である。

Claims (12)

1. 燃料噴射弁（１）であって、戻しばね（１４）によって負荷される可動子（７）と協働する磁石コイル（２）を有しており、前記可動子（７）は弁ニードル（８）と共に、軸方向可動な弁部分を形成しており、弁ニードル（８）には弁閉鎖体（１０）が設けられており、該弁閉鎖体は、弁座体（１１）と共にシール座部を形成している形式のものにおいて、
   横断面が四角形のシール体（２５）が、磁石コイル（２）と弁ケーシング（４）との間に取り付けられていることを特徴とする燃料噴射弁。
2. シール体（２５）が、耐燃料性のエラストマ材料、特にゴムから形成されている、請求項１記載の燃料噴射弁。
3. シール体（２５）がリング状に延びており、非緊締状態では台形の横断面を有している、請求項１又は２記載の燃料噴射弁。
4. シール体（２５）が、内面（３０）と外面（３１）と上面（３２）と下面（３３）とを有しており、シール体（２５）の最大の軸方向の延びは、外面（３１）から上面（３２）への移行部と、外面（３１）から下面（３３）への移行部との間である、請求項３記載の燃料噴射弁。
5. 内面（３０）と外面（３１）とは互いに平行に延びていない、請求項３又は４記載の燃料噴射弁。
6. シール体（２５）の縁部が丸く面取りされている、請求項１から５までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
7. シール体（２５）の丸く面取りされた複数の縁部の曲率半径が種々様々である、請求項６記載の燃料噴射弁。
8. シール体（２５）が、磁石コイル（２）を収容するコイル支持体（３）の下面（２７）と、弁スリーブ（５）の外周面（２８）と、弁ケーシング（４）の半径方向に延びる肩部（２９）との間の領域に取り付けられている、請求項１から７までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
9. コイル支持体（３）が下面（２７）に環状のカラー（１２）または、全周にわたって分配配置された複数の突起を有しており、該カラーまたは突起が、シール体（２５）の収容領域を半径方向外側に向かって制限する、請求項８記載の燃料噴射弁。
10. シール体（２５）が組み付け状態で緊締され圧縮されている、請求項１から９までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
11. シール体（２５）が完全に組み付けられた状態で、コイル支持体（３）の下面（２７）と、コイル支持体（３）のカラー（１２）または突起と、弁スリーブ（５）の外周面（２８）と、弁ケーシング（４）の肩部（２９）との間で、これらの構成部分に接触した状態で緊締されている、請求項９記載の燃料噴射弁。
12. シール体（２５）が圧縮状態で、楕円若しくは卵形の横断面を有している、請求項１から１１までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。

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