JP2009506259A - 軽量ピストン - Google Patents

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Abstract

本発明は、リング領域(4)を有するピストントップ(2)と、該ピストントップ(2)に続いて配置されたピストンスカート(3)とを備えたピストン(1)であって、ピストンスカート(3)が、支持するスカート壁区分(5)と後退した結合壁(6)とを有しており、該結合壁(6)が、スカート壁区分(5)を互いに結合し、かつ湾曲した経過ならびにピン孔(7)を有しており、リング領域(4)の下、ピン孔(7)の領域に、アンダカットを備えた自由空間(8)が、ピストントップ(2)の領域に存在している形式のものに関する。本発明では、ピストン(1)の内部領域に、ピン孔(7)からスカート壁区分(5)の方向への移行部に、湾曲した領域(15)が設けられているようにした。

Description

本発明は、請求項1の上位概念部に記載の特徴を備えた、リング領域を有するピストントップと、該ピストントップに続いて配置されたピストンスカートとを備えたピストン、すなわち、リング領域を有するピストントップと、該ピストントップに続いて配置されたピストンスカートとを備えたピストンであって、ピストンスカートが、支持するスカート壁区分と後退した結合壁とを有しており、該結合壁がスカート壁区分を互いに結合し、かつピン孔を有している形式のものに関する。
このようなピストンはドイツ連邦共和国特許出願公開第10145589号明細書から公知である。この公知のピストンは、複数のリング溝を備えたリング領域と、場合によっては燃焼室くぼみとからなるピストントップを有する。ピストンの運動方向で、ピストントップの下に、ピストンスカートが配置されている。その際、このピストンスカートは、ピストンを内燃機関内での運転中支持する2つのスカート壁区分からなる。両スカート壁区分は内燃機関のシリンダ内でのピストンの案内のために役立つ。スカート壁区分は後退した結合壁を介して互いに結合されている。その際、結合壁はシリンダの摺動面に対して接続を有しない。ドイツ連邦共和国特許出願公開第10145589号明細書のピストンの場合、そこに記載された請求項1〜3によれば、結合壁が湾曲した経過を有する。結合壁の湾曲した経過は、凸面状、凹面状またはこれらの湾曲の組み合わせからなることができる。さらに、この公知のピストンでは、結合壁の領域に、リング領域の下側の縁部がリング領域を越えて張り出して形成(張出し部)されており、そこで少なくとも部分的に肉抜きされているので、自由空間が重量削減の目的で生じる。
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のピストンを、内燃機関内での運転中のその特性に関して改善する、特にその強度および耐久性を高めることである。
この課題は、請求項1の特徴部により解決されている。
本発明では、ピストンの内部領域に、ピン孔からスカート壁区分の方向への移行部に、湾曲した領域が設けられている。ピン孔の外縁からスカート壁区分の方向への移行部のこの湾曲した領域により、ここでピストンの運転時に必要な強度を達成するに足る材料が残されることができる。その一方で、同時に、これによりピストンの耐久性を最適化しつつ重量削減を達成するに足る材料が取り除かれることができる。ピストンの内部領域での本発明による湾曲した経過により、これにより、支持するスカート壁区分の外側の湾曲した経過との関連で、ピストンの必要な強度および耐久性が、ピストン重量の軽減と同時に高められる。さらに、この設計は、リング領域のリング溝からピン孔の方向に、少なくとも1つの接続部がピストン内に設けられているようにして発展される。これにより、ピストンの運転は大幅に改善される。それというのも、リング溝内にあるオイルリング(場合によってはマルチピースの油かきリング)が、ピストンの表面もしくはシリンダ壁の表面に存在するオイルをかき集め、このオイルが接続部に押し込まれることにより、ピン孔の方向に、そこでピン孔内に挿入されたピンを潤滑するために案内され得るからである。この接続部は、上位概念部に記載した形式のピストンにおいて、特に有利である。それというのも、このピストンが、湾曲した結合壁に基づいて既に僅かな重量および改善された強度を有し、その際、ピン孔内に挿入されたピンを潤滑するための本発明による接続部が、ピストン、ピンおよびコンロッドからなるアッセンブリ全体の耐久性を大幅に改善するからである。ピストンの表面の方向からピン孔の方向でのオイルの供給により、そこに挿入されたピンは潤滑され、焼付くことはない。本発明による孔は鋳込まれるかつ/または穿孔工程(ボーリング)により設けられる。
本発明の別の有利な構成では、リング領域の裏の自由空間内に、リング領域を支持するための少なくとも1つのリブが配置されている。少なくとも1つのリブは、有利な形式で、リング領域の、後退した結合壁の領域で張り出した領域が効果的に支持されるので、運転中のピストンの変形を大幅に減少するように働く。
本発明の別の有利な構成では、それぞれ1つのリブがピン孔の上側の左右に、自由空間内に存在している。これにより、リング領域は、特別な安定性を形成する領域に、ピン孔の左右で支持される。これにより、ピストンの運動時の、ピン孔内でのピンの運動の影響は、まさに本発明によりそれぞれ1つのリブがピン孔の上側の左右に配置されていると、リング領域に伝達されない。
本発明の別の有利な構成では、接続部が、少なくとも1つのリブ、特に複数のリブまたはすべてのリブを通して延びる。その際、リブも接続部も既にピストンブランクの製作時に考慮され得る。これに対して補足的にまたは択一的に、少なくとも1つの接続部がピストンブランクの製作後に初めて設けられてもよい。同様に、例えばリング溝からピン孔の方向での接続部の経過が屈曲、つまり折れ曲がっているか、または弧を描いている場合、接続部の一部を既にピストンブランクの製作と共に形成し、接続部の残りの部分を、後の加工工程、特に穿孔により設けることも可能である。接続部が既にピストンブランクの製作と共に形成される場合、後に接続部となる領域に、ピストンブランクの製作後に除去されるコアまたはピンを設けることが考えられる。
本発明の別の有利な構成では、リング溝内に、自由空間内に達する少なくとも1つのドレネージスリットが存在している。その際、自由空間はピストンブランクの製作と共に(場合によっては引き続いての別の加工の後に)、リング溝、特に最下位のリング溝の設置と共に接続部が外部から自由空間の方向で形成され、まさに自由空間内に達するドレネージスリットを形成するように構成される。このことは、リング溝の設置、特に切削加工のステップによる設置と共に、ドレネージスリットが自動的に形成されることを意味する。設けられたドレネージスリットは、ピストンの表面もしくはシリンダ内壁の表面に存在するオイルがピストンの内部領域の方向で導出されるように働く。このドレネージスリットの位置もしくは構造的な構成は、これまで公知のオイル孔に比べて耐久性を高める。さらに、リング載置面の中断がないので、溝磨耗およびオイル消費はこれにより減少される。
本発明の別の有利な構成では、ピン孔が、ピンのためのリテーナリング(クランプリング)のための持上げ溝を有しており、該持上げ溝が自由空間の下、ピン孔の上側の頂点に配置されている。自由空間によって、持上げ溝をピン孔の上側の頂点に配置することが可能となる。このことは、持上げ溝がピストンの強度に影響を及ぼさない領域に配置されているという利点を有する。このことは、有利な形式で慣性力安全性の向上に至る。
本発明の別の有利な構成では、リング領域の下側の、後退した結合壁の領域内の縁部が丸み付けられている。ピストンブランクの製作後、ピストンブランクは通常切削加工により仕上げ加工、特に旋削される。このことは、後退した結合壁の領域の、リング領域の下側の縁部が極めて鋭利で、場合によってはピストンの取扱時、特に組立時に組立工の負傷を招きかねないばりを有することを結果として伴う。この目的で、有利には、リング領域の下側のこれらの鋭利な縁部は丸み付けられているもしくは丸みを有する。この丸みはやはり切削加工、特にフライス工程により製作され得る。
本発明の実施例について以下に図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1〜図3はそれぞれ内燃機関のピストン1を示す。ピストン1は軽量ピストン(Leichtbaukolben)として構成されていることができるが、絶対にそうでなければならないというわけではない。軽量ピストンである場合、まずピストンブランクが軽量材料、特にアルミニウムから鋳造され、その後切削加工により仕上げ加工される。このピストン1は、懸吊したピストンスカート3を備えたピストントップ2からなる。その際、ピストントップ2とピストンスカート3とはワンピースに形成されているか、または2つのピースからなる。2つのピースはその製作後に接合される。さらにピストン1は、通常3つのリング溝を備えたリング領域4を有する。ピストンスカート3は、ピストン1を支持するスカート壁区分5からなる。その際、スカート壁区分5は、後退した結合壁6により互いに結合されている。結合壁6は、真っ直ぐの、湾曲したまたはその他の経過を有する。結合壁6の湾曲した経過に関してはドイツ連邦共和国特許出願公開第10145589号明細書の請求項1〜3に係る可能な構成を参照されたい。この湾曲した経過(一方のスカート壁区分から他方のスカート壁区分にかけてかつ/またはピストン運動軸線の方向での経過中の凹面状かつ/または凸面状の経過)を挙げたのは、この経過が、重量節減と同時に、必要な強度の維持に関して特に重要であるからである。しかし、ピストン1の幾何学的な設計および使用目的次第では、真っ直ぐな結合壁も同じく重要であり得る。後退した結合壁6はさらに、ピストン1を図示しないコンロッドに結合するためのピンを収容するためのピン孔7を有している。さらに図1には、ピストントップ2の領域に奥まってリング領域4の裏かつピン孔7の上に、自由空間8が存在していることが示されている。図1に示すような第1の構成では、リング領域4のリング溝9から接続部10がピン孔7の方向で、そこに存在するピン(図示せず)を潤滑するために延びている。図1に示した接続部10の構成は、一部がリング溝9の方向から設けられ、一部がピストンスカート3の方向からピストントップ2の方向に設けられる孔である。図1の右下図は、図1の右上図に示した線A−Aに沿った断面図である。
図2は、図1のものと同じピストン1を示す。ただし、ここでは、ピン孔7の上に、自由空間8内に、ピン孔7の左右にそれぞれ1つのリブ11が配置されている。これらのリブ11は、ピストン1の運転時にリング領域4を支持するために役立つ。その結果、ピストントップ2に作用する力はリブ11を介して後退した結合壁6に導入される。さらに図2には、ピン孔7がピンのためのリテーナリング(クランプリング)のための持上げ溝12を有することが示されている。その際、持上げ溝12は自由空間8の下に、ピン孔7の上側の頂点に配置されている。図2の右図にはドレネージスリット13が示されている。ドレネージスリット13の位置および配置は図3にも見て取れる。ドレネージスリット13はリング溝9の領域に配置されているので、リング溝9がピストンブランクに設けられると、リング溝9から自由空間8への接続が生じる。リング溝9の裏、つまり自由空間8の領域内のドレネージスリット13の領域は、カップ状に形成されていることができる。特にリング溝9内での特に3ピースのオイルリングの使用時、ドレネージスリット13を介してオイルがピストン1の表面もしくはシリンダ摺動面からピストン1の内部領域の方向で導出され得る。この目的のためにドレネージスリット13は存在する。特にそれぞれ1つのドレネージスリットが、ピン孔7の左右に、特に対称的に、後退した結合壁6の領域に配置されている。それというのも、ここで、導出されたオイルのために十分なスペースが提供されるからである。
図面には示されていないが、例えば図1に示したような接続部10が、リング溝9からリブ11を通してピン孔7の方向に延びることができる。
図3に目を転じると、ピストン1の内部領域に湾曲した領域15が設けられていることが見て取れる。この湾曲した領域15はピン孔7からスカート壁区分5(その内側に位置する面)の方向に延在している。この湾曲した領域15は、周方向でかつまたはピストン行程軸線の方向での経過中、連続的または不連続的な経過を有することができ、ひいてはピストン1の内部領域のそれぞれの幾何学形状に適合されることができる。この湾曲した領域15はピストン1の鋳造により設けられるか、または事後的な加工、特にフライス削りによる切削加工により設けられることができる。
湾曲した領域15の経過および/または延在は、さらに、ピストンをクランク軸に結合可能な梯形コンロッド(Trapezpleuel)の所要遊びのために必要な自由空間がピストンの内部領域に形成されるという利点を有している。
内燃機関のピストンを示す図である。 内燃機関のピストンを示す図である。 内燃機関のピストンを示す図である。
符号の説明
1 ピストン
2 ピストントップ
3 ピストンスカート
4 リング領域
5 スカート壁区分
6 結合壁
7 ピン孔
8 自由空間
9 リング溝
10 接続部
11 リブ
12 持上げ溝
13 ドレネージスリット
14 丸み
15 湾曲した領域

Claims (10)

  1. リング領域(4)を有するピストントップ(2)と、該ピストントップ(2)に続いて配置されたピストンスカート(3)とを備えたピストン(1)であって、ピストンスカート(3)が、支持するスカート壁区分(5)と後退した結合壁(6)とを有しており、該結合壁(6)がスカート壁区分(5)を互いに結合し、かつピン孔(7)を有している形式のものにおいて、ピストン(1)の内部領域に、ピン孔(7)からスカート壁区分(5)の方向への移行部に、湾曲した領域(15)が設けられていることを特徴とする、ピストン。
  2. リング領域(4)のリング溝(9)からピン孔(7)の方向に、少なくとも1つの接続部(10)がピストン(1)内に設けられている、請求項1記載のピストン。
  3. 自由空間(8)内に、リング領域(4)を支持するための少なくとも1つのリブ(11)が配置されている、請求項1または2記載のピストン。
  4. それぞれ1つのリブ(11)がピン孔(7)の上側の左右に存在している、請求項3記載のピストン。
  5. 接続部(10)が、少なくとも1つのリブ(11)を通して延びる、請求項3または4記載のピストン。
  6. リング溝(9)内に、自由空間(8)内に達する少なくとも1つのドレネージスリット(13)が存在している、請求項1から5までのいずれか1項記載のピストン。
  7. ピン孔(7)が、リテーナリングのための持上げ溝(12)を有しており、該持上げ溝(12)が自由空間(8)の下、ピン孔(7)の上側の頂点に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のピストン。
  8. リング領域(4)の下側の、後退した結合壁(6)の領域内の縁部が丸み付けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載のピストン。
  9. スカート壁区分(5)が、湾曲した経過を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のピストン。
  10. リング領域(4)の下、ピン孔(7)の領域に、アンダカットを備えた自由空間(8)が、ピストントップ(2)の領域に存在している、請求項1から9までのいずれか1項記載のピストン。
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