JP2019508624A - スロット付きリング溝を有する空洞なしのピストン - Google Patents
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Abstract
3つのリング溝を有するリングベルトを含む空洞なしのピストンが提供される。各リング溝は、背壁によって互いに離間される最上壁および下壁によって形成される。一対のピンボスが上壁から垂下し、一対のスカートパネルがリングベルトから垂下しストラットによってピンボスに連結される。内側下方クラウン領域は、スカートパネルおよびストラットおよびピンボスに取り囲まれる。一対の外側ポケットが下方クラウン表面に沿って延在し、各外側ポケットは、リングベルトの一部およびピンボスのうちの1つおよび1つのピンボスをスカートパネルに連結するストラットに取り囲まれる。第3リング溝は、冷却オイルを伝えるために、背壁を貫通してピストンの外側ポケットまで延在するオイル排出スロットを含む。
Description
関連出願の相互参照
この米国特許出願は、2016年3月2日に提出された米国仮特許出願第62/302,396号、および2017年2月28日に提出された米国特許出願第15/445,317号に対する優先権を主張し、参照により内容全体がここに組み込まれる。
この米国特許出願は、2016年3月2日に提出された米国仮特許出願第62/302,396号、および2017年2月28日に提出された米国特許出願第15/445,317号に対する優先権を主張し、参照により内容全体がここに組み込まれる。
本発明の背景
1.技術分野
この発明は、概して、内燃機関のためのピストン、およびピストンを製造する方法に関する。
1.技術分野
この発明は、概して、内燃機関のためのピストン、およびピストンを製造する方法に関する。
2.関連技術
エンジン製造者は、限定されないが、燃料経済を向上させること、オイル消費を低減すること、燃料システムを向上させること、圧縮負荷およびシリンダボア内の動作温度を上昇させること、ピストンを通じた熱損失を低減すること、構成部品の潤滑を向上させること、エンジン重量を減らすこと、およびエンジンをよりコンパクトにすることと同時に、製造に関わるコストを減らすことなど、エンジンの効率および性能を向上させるための増加する要求に直面している。
エンジン製造者は、限定されないが、燃料経済を向上させること、オイル消費を低減すること、燃料システムを向上させること、圧縮負荷およびシリンダボア内の動作温度を上昇させること、ピストンを通じた熱損失を低減すること、構成部品の潤滑を向上させること、エンジン重量を減らすこと、およびエンジンをよりコンパクトにすることと同時に、製造に関わるコストを減らすことなど、エンジンの効率および性能を向上させるための増加する要求に直面している。
圧縮負荷および燃焼室内の動作温度を上昇させることが望ましい一方、運転可能な限度内でピストンの温度を維持することは重要であり続ける。また、圧縮負荷および動作温度の上昇を実現することは、これらの望ましい「上昇」がピストンのコンプレッションハイト、ひいてはピストン全体の大きさおよび質量が減らされ得る程度を制限するという点において、トレードオフを伴う。これは、特に、ピストンの動作温度を低減するために閉じられたまたは部分的に閉じられた冷却空洞を有する典型的なピストン構成で厄介である。結合継手に沿ってともに接合されて閉じられたまたは部分的に閉じられた冷却空洞を形成する上部および下部を有するピストンを製造するためのコストは、一般に、上部と下部とをともに結合するために用いられる接合プロセスによって増加される。さらに、エンジン重量が低減され得る程度は、鋼鉄から前述の「冷却空洞」ピストンを作製する必要性によって与えられ、それらはピストン上に加えられる機械的および熱的な負荷の増加に耐え得る。
現在では、冷却空洞を有しない単一片の鋼鉄ピストンが開発されており、「空洞なしの」ピストンとも呼ばれ得る。このようなピストンは、低減された重量、低減された製造コスト、および低減されたコンプレッションハイトを提供する。空洞なしのピストンは、冷却オイルノズルによってスプレー冷却される、潤滑のみのために軽くスプレーされる、またはいかなるオイルでもスプレーされない。冷却空洞がないことによって、このようなピストンは、典型的には、従来の冷却空洞を有するピストンよりも高い温度を経験する。高い温度は、その後連続的なピストンクラッキングおよび可能性のあるエンジン不良を引き起し得る、鋼鉄ピストンの上部燃焼表面の酸化または過熱を引き起こし得る。高い温度は、たとえば冷却オイルまたは潤滑油がスプレーされる燃焼ボウルの下で、ピストンの下方クラウン領域に沿ったオイル変質も引き起こし得る。高い温度によって生じる別の起こり得る問題は、冷却オイルまたは潤滑油がピストン下方クラウンに接触する領域において冷却オイルが炭素の厚い層を生成し得るということである。この炭素層は、起こり得るクラッキングおよびエンジン不良を伴うピストンの過熱を引き起こし得る。
概要
本発明の1つの局面は、空洞なしであり得、低減された重量を提供することができ、低減された温度で動作することができるピストンを提供し、改良された熱効率、燃料消費、およびエンジンの性能に貢献する。ピストンは、ピストンの下側から露出する下方クラウン表面を含む上壁を備え、リングベルトが上壁から垂下しピストンの中心軸の周りに周方向に延在する。リングベルトは、中心軸の周りに周方向に延在し、背壁によって互いに離間される最上壁および下壁によって各々形成される複数のリング溝を含む。ピストンは、上壁から垂下する一対のピンボスと、リングベルトから垂下しストラットによってピンボスに連結される一対のスカートパネルとをさらに含む。内側下方クラウン領域は、下方クラウン表面に沿って延在し、スカートパネルおよびストラットおよびピンボスに取り囲まれる。一対の外側ポケットが下方クラウン表面に沿って延在し、各外側ポケットは、リングベルトの一部およびピンボスのうちの1つおよび1つのピンボスをスカートパネルに連結するストラットに取り囲まれる。リング溝のうちの1つは、そこを通して冷却オイルを伝達するために、背壁を貫通してピストンの外側ポケットのうちの1つまで延在するオイル排出スロットを含む。
本発明の1つの局面は、空洞なしであり得、低減された重量を提供することができ、低減された温度で動作することができるピストンを提供し、改良された熱効率、燃料消費、およびエンジンの性能に貢献する。ピストンは、ピストンの下側から露出する下方クラウン表面を含む上壁を備え、リングベルトが上壁から垂下しピストンの中心軸の周りに周方向に延在する。リングベルトは、中心軸の周りに周方向に延在し、背壁によって互いに離間される最上壁および下壁によって各々形成される複数のリング溝を含む。ピストンは、上壁から垂下する一対のピンボスと、リングベルトから垂下しストラットによってピンボスに連結される一対のスカートパネルとをさらに含む。内側下方クラウン領域は、下方クラウン表面に沿って延在し、スカートパネルおよびストラットおよびピンボスに取り囲まれる。一対の外側ポケットが下方クラウン表面に沿って延在し、各外側ポケットは、リングベルトの一部およびピンボスのうちの1つおよび1つのピンボスをスカートパネルに連結するストラットに取り囲まれる。リング溝のうちの1つは、そこを通して冷却オイルを伝達するために、背壁を貫通してピストンの外側ポケットのうちの1つまで延在するオイル排出スロットを含む。
本発明の別の局面は、ピストンを製造する方法を提供する。当該方法は、上壁を含む本体を提供することを含み、上壁はピストンの下側から露出する下方クラウン表面を含み、リングベルトが上壁から垂下しピストンの中心軸の周りに周方向に延在し、リングベルトは、中心軸の周りに周方向に延在し背壁によって互いに離間される最上壁および下壁によって各々形成される複数のリング溝を含み、一対のピンボスが上壁から垂下し、一対のスカートパネルがリングベルトから垂下しストラットによってピンボスに連結され、内側下方クラウン領域が下方クラウン表面に沿って延在しスカートパネルおよびストラットおよびピンボスに取り囲まれ、一対の外側ポケットが下方クラウン表面に沿って延在し、各外側ポケットは、リングベルトの一部およびピンボスのうちの1つおよび1つのピンボスをスカートパネルに連結するストラットに取り囲まれる。当該方法は、リング溝の1つの背壁を貫通して外側ポケットのうちの少なくとも1つまで延在するオイル排出スロットを形成することをさらに含む。
本発明のこれらのおよび他の局面、構成ならびに利点は、以下の詳細な説明および添付の図面と結びつけて考慮されたときにより容易に理解されるであろう。
例示の実施形態の詳細な説明
図1〜図5は、たとえば現代のコンパクトな高性能車両エンジンなどの内燃機関のシリンダボアまたはチャンバ(図示せず)における往復運動のための、本発明の例示の実施形態に従って構築されるピストン10の図を示す。ピストン10は、低減された重量を有し、低減された温度で動作し、改良された熱効率、燃料消費、およびエンジンの性能に貢献する。
図1〜図5は、たとえば現代のコンパクトな高性能車両エンジンなどの内燃機関のシリンダボアまたはチャンバ(図示せず)における往復運動のための、本発明の例示の実施形態に従って構築されるピストン10の図を示す。ピストン10は、低減された重量を有し、低減された温度で動作し、改良された熱効率、燃料消費、およびエンジンの性能に貢献する。
図に示されるように、ピストン10は、鋼鉄などの金属材料の単一片から形成される一体の本体を有する。一体の本体は、機械加工、鍛造または鋳造によって、構築を完了するために必要であればその後行われる可能な仕上げ加工を伴って形成され得る。したがって、ピストン10は、冷却空洞床によって画定されるまたは部分的に画定される囲まれたまたは部分的に囲まれた冷却空洞を有するピストンでは当たり前である、互いに接合される上部および下部などの、ともに接合される複数の部品を有しない。対照的に、ピストン10は、冷却空洞床、または冷却空洞を画定するもしくは部分的に画定する他の構成を有しないという点で、「空洞なし」である。空洞なしのピストン10の底面図が図1に示され、別の実施形態に係る空洞なしのピストンの側面図が図2および図3に示され、さらに別の実施形態に係る空洞なしのピストンの断面図が図4および図5に示される。
鋼鉄または別の金属で作製される本体部分は、高性能要求、すなわち現代の高性能内燃機関の増加された温度および圧縮負荷を満たすために、強固かつ丈夫である。本体を構築するのに用いられる鋼鉄材料は、特定のエンジン用途におけるピストン10の要求に応じて、SAE4140級などの合金であってもよく、異なってもよい。ピストン10が空洞なしであることにより、ピストン10の重量およびコンプレッションハイトは最小化され、これによりピストン10が配置されるエンジンが冷却空洞を含むピストンに対して低減された重量を実現し、よりコンパクトにされることを可能にする。さらには、ピストン10が空洞なしであったとしても、ピストン10は、使用の間に十分に冷却されて最も過酷な動作温度に耐えることができる。
ピストン10の本体部分は、上壁12を提供する上頭部または頂部セクションを有する。上壁12は、内燃機関のシリンダボア内の燃焼ガスに直接曝される上部燃焼表面14を含む。例示の実施形態では、上部燃焼表面14は、中心軸Aの周りに、燃焼ボウル、または非平面の、凹状のもしくは波状の表面を形成する。
リングベルト16は、上壁12から垂下し、ピストン10の外周にわたってかつ外径に沿って延在する。リングベルト16は、リング溝20a,20b,20cによって互いに分離される複数のランド18を含む。例示の実施形態では、ピストン10は、第1リング溝20a、第2リング溝20b、および第3リング溝20cを含む、リング溝20a,20b,20cの3つのみを含む。リング溝20a,20b,20cのすべてのうち、第1リング溝20aは上部燃焼表面14の最も近くに配置され、第3リング溝は上部燃焼表面から最も遠くに配置される。
図4Aに最もよく示されるように、各リング溝20a,20b,20cは、背壁25によって互いに離間される最上壁21と下壁23との間に形成される。背壁25は、概ねピストン10の中心軸Aに平行にまたは中心軸Aに沿って長手方向に延在し、最上壁21および下壁23は、中心軸Aに対して垂直にまたはある角度で延在する。リング溝20a,20b,20cは、様々な異なる寸法を有してもよいが、例示の実施形態では、各リング溝20a,20b,20cの背壁は、最上壁21から下壁23までピストン10の中心軸Aに平行に延在する長さlを有し、各リング溝20a,20b,20cの背壁25は、隣接するランド18から径方向に延在する距離dに位置する。ピストン10の隣接するランド18からの背壁25の長さおよび距離は、典型的には、ピストン10の外周全体にわたって一定である。例示の実施形態のピストン10は3つのリング溝20a,20b,20cを含むが、ピストン10は、代替的には、別の数のリング溝20a,20b,20cを含んでもよい。
ピストン10は、リングベルト16の内側に、概ね下方クラウン表面32から垂下する一対のピンボス24をさらに含む。ピンボス24は、下方クラウン表面32から長手方向に離間する、離間する一対のピンボア26を提供している。ピストン10は、リングベルト16から垂下し、互いに直径方向に対向して位置する一対のスカートパネル28も含む。スカートパネル28は、ストラット30によってピンボス24に連結される。
ピストン10の下方クラウン表面32は、上壁12の下側に、上部燃焼表面14の正反対に、かつリングベルト16の径方向内側に形成される。下方クラウン表面32は、好ましくは燃焼ボウルから最小距離で位置し、実質的に燃焼ボウルから正反対側の表面である。下方クラウン表面32は、ここで、ピストン10を底部からまっすぐ観察したときにピンボア26を除いて見える表面であると規定される。下方クラウン表面32は、上部燃焼表面14の燃焼ボウルに対して概ねぴったり合っている。下方クラウン表面32は、また、ピストン10の下側から見ると開かれて露出しており、囲まれたもしくは部分的に囲まれた冷却空洞、または下方クラウン表面32付近にオイルもしくは冷却流体を留めやすい任意の他の構成によって画定されていない。
ピストン10の下方クラウン表面32は、閉じられたまたは部分的に閉じられた冷却空洞を有する比較対象のピストンよりも、より大きな総表面エリア(表面の外形に従う3次元エリア)およびより大きな投影された表面エリア(平面図で見られるような、2次元エリア、平面)を有する。ピストン10の下側に沿ったこの開口領域は、下方クラウン表面32の真上へクランク室内から飛散するまたはスプレーされるオイルに対し直接のアクセスを提供し、これにより下方クラウン表面32全体がクランク室内からのオイルによって直接吹きかけられることを可能にするとともに、オイルがリストピン(図示せず)の周りに自由に飛散することを可能にし、さらに、ピストン10の重量を大幅に低減する。したがって、空洞なしのピストン10の概ね開いた構成は、典型的な閉じられたまたは部分的に閉じられた冷却空洞を有しないが、下方クラウン表面32の最適な冷却およびピンボア26内のリストピン接合に対する潤滑を可能にすると同時に、ある体積のオイルが表面上に留まる時間である、燃焼ボウル付近の表面上のオイル残留時間を低減する。低減された残留時間は、閉じられたまたは実質的に閉じられた冷却空洞を有するピストンにおいて生じ得るような、コークス化されたオイルの望ましくない蓄積を低減し得る。このように、ピストン10は、延長された使用にわたって「きれい」であり続けることができ、これによりそれが実質的に蓄積されないままであることを可能にする。
例示の実施形態のピストン10の下方クラウン表面32は、図1に最もよく示される内側下方クラウン領域34および外側ポケット36を含む、ピストン10のいくつかの領域によって提供される。中心軸Aに位置する下方クラウン表面32の第1部分は、内側下方クラウン領域34によって提供される。内側下方クラウン領域34は、ピンボス24、スカートパネル28、およびストラット30に取り囲まれる。内側下方クラウン領域34によって提供される下方クラウン表面32の2次元および3次元の表面エリアは典型的には最大化されるため、露出面に対してクランク室から上方向に飛散するまたはスプレーされるオイルによって生じる冷却が強化され得、これによりピストン10の優れた冷却を与える。例示の実施形態では、底部から見たとき、内側下方クラウン領域34の下方クラウン表面32は凹状であるため、オイルはピストン10の往復の間、ピストン10の片側からピストン10の反対側まで流され得、これによりピストン10の冷却をさらに強化するようにはたらく。
下方クラウン表面32の第2領域は、ピンボス24の外側に位置する外側ポケット36によって提供される。各外側ポケット36は、リングベルト16の一部、ピンボス24のうちの1つ、および1つのピンボス24を隣接するスカートパネル28に連結するストラット30に取り囲まれる。
外側ポケット36の冷却、ひいては動作の間のピストン10の全体の温度を改良するために、オイル排出スロット38が、図2〜図5に示されるように、リング溝20a,20b,20cのうちの1つの背壁25を貫通して延在する。オイル排出スロット38は、典型的には、たとえば機械加工によって、ピストン10の外周全体にわたってリング溝20a,20b,20cの中へ切り込まれる。例示の実施形態では、オイル排出スロット38は、ピストン10の頂部から3番目に位置する第3リング溝20cに形成される。代替的には、オイル排出スロット38は、リング溝20aまたは20bのうちの別の1つに形成されてもよい。オイル排出スロット38は、リング溝20a,20b,20cの最上壁21と下壁23との間に長手方向に延在する長さLを有し、オイル排出スロット38は、典型的には、リング溝20a,20b,20cの背壁25の長さl(すなわち、軸方向の幅または垂直方向の高さ)の40〜100%の範囲である長さLを有し、排出している。例示の実施形態では、オイル排出スロット38の長さLおよび距離Dは、ピストン10の外周全体にわたって一定である。しかしながら、オイル排出スロット38の寸法は変化してもよい。
オイル排出スロット38は、ピストン10の周方向の一部または部分に沿って、リングベルト16の隣接するランド18から外側ポケット36のうちの少なくとも1つまで、径方向に連続的に延在する。オイル排出スロット38は、また、ピストン10の外周の少なくとも一部分に沿って、リングベルト16の隣接するランド18から内側下方クラウン領域34まで連続的に延在する。したがって、オイル排出スロット38は、外側ポケット36までおよび内側下方クラウン領域34までの開口を提供し、オイルがリング溝20a,20b,20cから、およびオイル排出スロット38から外側ポケット36まで排出されることを可能にする。
しかしながら、オイル排出スロット38は、ピストン10の外周全体にわたって外側ポケット36および内側下方クラウン領域34まで延在しない。オイル排出スロット38は、隣接するランド18および第3リング溝20cからピンボス24まで、またはピンボス24とスカートパネル28との間に位置するストラット30まで、ピストン10の外周の一部に沿って延在する。例示の実施形態では、オイル排出スロット38は、ピストン10の外周の一部に沿って第3リング溝20cから内側下方クラウン領域34まで径方向に延在し、第3リング溝20cからピンボス24の各々の両側まで径方向に延在し、各ピンボス24の両側に係合する。したがって、例示の実施形態では、オイル排出スロット38を有する第3リング溝20cの下壁23は、ピストン10の外周にわたって4つの位置のみで、背壁25によって、第3リング溝20cの最上壁21およびリングベルト16の残りのものに接続される。
本発明に従って設計されるピストン10は、リングベルト16にオイル排出スロット38を有しない空洞なしのピストンと比較して、改良された外側ポケット36の冷却を実現することが可能であり、リング溝20a,20b,20cから外側ポケット36の中へのオイルの排出の増大を可能にする。
空洞なしの鋼鉄のピストン10は、低減された質量および内燃機関における動作の間の低減された温度も有し、改良された熱効率、燃料消費、およびエンジンの性能に貢献する。したがって、ピストン10は下方クラウン表面32に沿った閉じられた冷却空洞を有しないため、ピストン10は、閉じられた冷却空洞を含むピストンに対して、低減された重量および関連費用を有する。空洞なしの設計および鋼鉄材料の組み合わせは、オイル排出スロット38を比較対象のピストンにおいて用いられるオイル排出構成よりも大きくすることができ、他のピストン設計と比較してオイル排出を改良することをもたらす。さらに、外側ポケット36に提供される追加の冷却オイルは、外側ポケット36の冷却を助け、ひいてはピストン10の全体温度を低減する。
本発明の別の局面は、内燃機関における使用のための空洞なしのピストン10を製造する方法を提供する。典型的には鋼鉄で形成されるピストン10の本体部分は、鍛造または鋳造などの様々な異なる方法に従って製造され得る。空洞なしのピストン10の本体部分は、様々な異なる設計を備えてもよく、可能な設計の例は図1〜図5に示される。
当該方法は、リング溝20a,20b,20cのうちの1つの背壁25を貫通して延在するピストン10のリングベルト16におけるオイル排出スロット38を提供することをさらに含む。オイル排出スロット38は、ピストン10の一体の本体部分を鍛造または鋳造した後、リングベルト16を加工するまたは切り込むことによって形成され得る。しかしながら、オイル排出スロット38は、他の方法によって形成されてもよい。
本発明の多くの修正および変形が上記の教示に照らして可能であり、請求項の範囲内に特定的に説明された以外の方法で実施され得る。すべての請求項のおよびすべての実施形態のすべての構成が、そのような組み合わせが互いに矛盾しない限り、互いに組み合わせられることが理解される。
Claims (20)
- ピストンであって、
前記ピストンの下側から露出する下方クラウン表面を含む上壁と、
前記上壁から垂下し、前記ピストンの中心軸の周りに周方向に延在するリングベルトとを備え、
前記リングベルトは、前記中心軸の周りに周方向に延在し、背壁によって互いに離間される最上壁および下壁によって各々形成される複数のリング溝を含み、前記ピストンはさらに、
前記上壁から垂下する一対のピンボスと、
前記リングベルトから垂下し、ストラットによって前記ピンボスに連結される一対のスカートパネルと、
前記下方クラウン表面に沿って延在し、前記スカートパネルおよび前記ストラットおよび前記ピンボスに取り囲まれる内側下方クラウン領域と、
前記下方クラウン表面に沿って延在する一対の外側ポケットとを備え、
各外側ポケットは、前記リングベルトの一部および前記ピンボスのうちの1つおよび1つの前記ピンボスを前記スカートパネルに連結する前記ストラットに取り囲まれ、
前記リング溝のうちの1つは、前記背壁を貫通して前記ピストンの前記外側ポケットのうちの少なくとも1つまで延在するオイル排出スロットを含む、ピストン。 - 前記リングベルトの前記リング溝は、第1リング溝と、第2リング溝と、第3リング溝とを含み、前記第1リング溝および前記第2リング溝および前記第3リング溝のみが、前記リング溝として、前記ピストンに存在しており、前記第3リング溝は、前記オイル排出スロットを含む、請求項1に記載のピストン。
- 前記オイル排出スロットは、前記ピストンの外周の少なくとも一部に沿って、前記リング溝から前記内側下方クラウン領域まで径方向に延在する、請求項1に記載のピストン。
- 前記オイル排出スロットは、前記ピストンの外周の少なくとも一部に沿って、前記ピンボスのうちの少なくとも1つおよび/または前記ストラットのうちの少なくとも1つまで径方向に延在する、請求項1に記載のピストン。
- 前記オイル排出スロットは、前記リング溝から前記ピンボスの各々の両側まで径方向に延在する、請求項1に記載のピストン。
- 前記オイル排出スロットを含む前記リング溝の前記下壁は、前記ピストンの外周にわたって4つの位置のみで前記背壁によって前記リング溝の前記最上壁に接続される、請求項1に記載のピストン。
- 前記オイル排出スロットは、前記ピストンの外周の一部に沿って前記リング溝から前記外側ポケットの両方まで径方向に延在し、前記オイル排出スロットは、前記ピストンの前記外周の一部に沿って前記リング溝から前記内側下方クラウン領域まで径方向に延在し、前記オイル排出スロットは、前記ピストンの前記外周の一部に沿って前記リング溝から前記ピンボスの各々の両側まで径方向に延在し前記オイル排出スロットを含む前記リング溝の前記下壁は、前記ピストンの前記外周にわたって4つの位置のみで前記背壁によって前記リング溝の前記最上壁に接続される、請求項1に記載のピストン。
- 前記オイル排出スロットを含む前記リング溝の前記背壁は、前記最上壁から前記下壁まで延在する長さを有し、前記オイル排出スロットは、前記最上壁と前記下壁との間に延在する長さを有し、前記オイル排出スロットの前記長さは、前記背壁の前記長さの40%〜100%の範囲である、請求項1に記載のピストン。
- 前記リング溝の前記背壁は、前記ピストンの前記中心軸に平行に延在し、前記リング溝の前記最上壁および前記下壁は、前記ピストンの前記中心軸に対して垂直にまたはある角度で延在する、請求項1に記載のピストン。
- 前記リング溝の各々の前記背壁は、前記最上壁から前記最下壁まで延在する長さを有し、前記背壁の前記長さは、前記ピストンの外周にわたって一定であり、前記リング溝の各々の前記背壁は、前記リングベルトの隣接するランドから径方向にある距離で位置し、前記距離は、前記ピストンの前記外周にわたって一定である、請求項1に記載のピストン。
- 鋼鉄の単一片で形成される本体を含み、前記本体は、前記上壁と、前記リングベルトと、前記ピンボスと、前記スカートパネルとを含む、請求項1に記載のピストン。
- 前記下方クラウン表面は、囲まれたもしくは部分的に囲まれた冷却空洞、または流体を留めやすい他の構成によって画定されない、請求項1に記載のピストン。
- 前記内側下方クラウン領域は、前記中心軸に位置し、前記ピンボスおよび前記スカートパネルおよび前記ストラットに取り囲まれ、前記外側ポケットは、前記ピンボスの外側に位置する、請求項1に記載のピストン。
- 鋼鉄の単一片で形成される本体を含み、
前記本体は、冷却空洞床、または冷却空洞を画定するもしくは部分的に画定する他の構成を有さず、
前記本体は、上部燃焼表面を提示する前記上壁を含み、
前記上部燃焼表面は、前記中心軸の周りの非平面の表面であり、
前記リングベルトは、前記ピストンの外周の周りに延在し、
前記リングベルトは、前記リング溝を互いに離間する複数のランドを含み、
前記ピンボスは、前記リングベルトの内側に配置され、ピンボア軸を取り囲む横方向に離間された一対のピンボアを提供し、前記下方クラウン表面から長手方向に離間され、
前記一対のスカートパネルは、互いに直径方向に対向して位置し、
前記下方クラウン表面は、前記リングベルトの径方向内側に配置され、
前記下方クラウン表面の第1部分は、前記内側下方クラウン領域によって提供され、前記下方クラウン表面の第2部分は、前記外側ポケットによって提供され、
前記内側下方クラウン領域は、前記中心軸に位置し、前記ピンボスおよび前記スカートパネルおよび前記ストラットに取り囲まれ、
前記内側下方クラウン領域に位置する前記下方クラウン表面は、前記ピストンの前記下側から見たときに凹状であり、
前記外側ポケットは、前記ピンボスの外側に位置し、
前記リング溝は、第1リング溝と、第2リング溝と、第3リング溝とを含み、
前記第1リング溝および前記第2リング溝および前記第3リング溝のみが、前記リング溝として、前記ピストンに存在し、
前記第1リング溝は、前記上部燃焼表面の最も近くに配置され、前記第3リング溝は、前記燃焼表面から最も遠くに配置され、
前記リング溝の前記背壁は、前記ピストンの前記中心軸に平行かつ前記中心軸に沿って長手方向に延在し、
前記リング溝の前記最上壁および前記下壁は、前記ピストンの前記中心軸に対して垂直にまたはある角度で延在し、
前記リング溝の各々の前記背壁は、前記最上壁から前記最下壁まで、かつ前記ピストンの前記中心軸に平行に延在し、
前記背壁の各々の前記長さは、前記ピストンの前記外周にわたって一定であり、
前記リング溝の各々の前記背壁は、前記隣接するランドから径方向にある距離に位置し、
前記距離は、前記ピストンの前記外周にわたって一定であり、
前記リングベルトの前記第3リング溝は、前記第3リング溝の前記背壁を貫通して前記外側ポケットの両方まで延在する前記オイル排出スロットを含み、
前記オイル排出スロットは、前記第3リング溝の前記最上壁と前記下壁との間に長手方向に延在する長さを有し、
前記オイル排出スロットの前記長さは、前記第3リング溝の前記背壁の前記長さの40%〜100%の範囲にあり、
前記オイル排出スロットは、前記ピストンの前記外周の一部に沿って前記第3リング溝から前記外側ポケットまで径方向に延在し、
前記オイル排出スロットは、前記ピストンの前記外周の一部に沿って前記第3リング溝から前記内側下方クラウン領域まで径方向に延在し、
前記オイル排出スロットは、前記ピストンの前記外周の一部に沿って前記第3リング溝から前記ピンボスの各々の両側まで径方向に延在する、請求項1に記載のピストン。 - ピストンを製造する方法であって、
上壁を含む本体を提供するステップを備え、前記上壁は、前記ピストンの下側から露出する下方クラウン表面を含み、リングベルトが前記上壁から垂下し前記ピストンの中心軸の周りに周方向に延在し、前記リングベルトは、前記中心軸の周りに周方向に延在し、背壁によって互いに離間される最上壁および下壁によって各々形成される複数のリング溝を含み、一対のピンボスが前記上壁から垂下し、一対のスカートパネルが前記リングベルトから垂下しストラットによって前記ピンボスに連結され、内側下方クラウン領域が前記下方クラウン表面に沿って延在し前記スカートパネルおよび前記ストラットおよび前記ピンボスに取り囲まれ、一対の外側ポケットが前記下方クラウン表面に沿って延在し、各外側ポケットは、前記リングベルトの一部および前記ピンボスのうちの1つおよび1つの前記ピンボスを前記スカートパネルに連結する前記ストラットに取り囲まれ、前記ピストンを製造する方法はさらに、
前記リング溝の1つの前記背壁を貫通して前記外側ポケットのうちの少なくとも1つまで延在するオイル排出スロットを形成するステップを備える、ピストンを製造する方法。 - 前記オイル排出スロットを形成するステップは、前記リングベルトの中へ加工するまたは切り込むことを含む、請求項15に記載の方法。
- 前記本体は、材料の単一片であり、前記本体を提供するステップは、前記本体を鍛造または鋳造することを含む、請求項15に記載の方法。
- 前記リングベルトの前記リング溝は、第1リング溝と、第2リング溝と、第3リング溝とを含み、前記第1リング溝および前記第2リング溝および前記第3リング溝のみが、前記リング溝として、前記ピストンに存在し、前記第3リング溝は、その前記背壁を通って延在する前記オイル排出スロットを含む、請求項15に記載の方法。
- 前記オイル排出スロットは、前記ピストンの外周の一部に沿って前記リング溝から前記外側ポケットの両方まで径方向に延在し、前記オイル排出スロットは、前記ピストンの前記外周の一部に沿って前記リング溝から前記内側下方クラウン領域まで径方向に延在し、前記オイル排出スロットは、前記ピストンの前記外周の一部に沿って前記リング溝から前記ピンボスの各々の両側まで径方向に延在し、前記オイル排出スロットを含む前記リング溝の前記下壁は、前記ピストンの前記外周にわたって4つの位置のみで前記背壁によって前記リング溝の前記最上壁に接続される、請求項15に記載の方法。
- 前記オイル排出スロットは、前記ピストンの外周の少なくとも一部に沿って前記リング溝から前記内側下方クラウン領域まで径方向に延在する、請求項15に記載の方法。
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