JP2009506182A - ポリエステル樹脂の一体的製造方法 - Google Patents

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Abstract

【解決課題】プロピレンオキシドの保存、輸送及び/又は取扱い中の欠点を解消して、工業的規模での取扱いを容易にすること。
【解決手段】(a)エポキシ化触媒の存在下で好適な酸化剤とプロペンとを反応させてプロピレンオキシドを形成する工程、(b)プロピレンオキシドフラクションを分離する工程、及び(c)得られたプロピレンオキシドフラクションを、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及び多価アルコールよりなる群から選ばれた1種以上の化合物と反応させてポリエステル樹脂を得る工程、
を含むポリエステル樹脂の一体的製造方法。
【選択図】図1

Description

発明の分野
本発明はポリエステル樹脂の一体的製造方法に関する。
ポリエステルの製造方法は当該技術分野で周知である。本明細書で用語“ポリエステル樹脂”とは、フラル酸及びイソフタル酸のようなジカルボン酸、又はそれぞれのジカルボン酸無水物のような他のジカルボン酸と、1,2−プロピレンジオール、ジエチレングリコール及びネオペンチルグリコールのような多価アルコールとの縮合により形成される重合体を意味する。
GB 956,180Aは、エステル及びポリエステルの製造法に関し、この方法は、(i)炭素原子数3以上のオレフィン系又はシクロオレフィン系不飽和化合物(その例としてプロピレンが記載されている)を炭素原子数5以上の飽和脂肪族モノカルボン過酸でエポキシ化し、次いで(ii)得られた、エポキシ化化合物と炭素原子数5以上の飽和脂肪族モノカルボン酸とからなる混合物を加熱によりエステルに転化するというものである。工程(i)では塩化亜鉛のような促進剤が使用できる。工程(ii)で使用されるモノカルボン酸は、工程(i)で使用される過酸から誘導される。GB 956,180Aは、過酸から生じるモノカルボン酸と共に形成されるエポキシドを加熱する前に、ポリエステルの製造に飽和又は不飽和ジカルボン酸のようなポリカルボン酸を加えてポリエステルを製造することを提案している。GB 956,180Aの実施例ではこのようなポリエステルは製造されていない。
GB 956,180Aでは、工程(ii)で(ポリ)エステルを製造する前に、エポキシ化化合物は過酸誘導モノカルボン酸から分離しない(過酸は工程(i)で使用される酸化剤である)。これに対し、工程(i)で得られる前記両生成物は、工程(ii)では反応体である。両工程(i)及び(ii)は、ワンポット(one−pot)反応として行なわれる。
ポリエステル樹脂の従来の製造法は、180〜240℃の範囲の反応温度及び水の連続除去を必要とするが、US−A−3374208に記載されるように、モノプロピレングリコールの代りにプロピレンオキシドを用いれば、反応時間及びエネルギー消費が改良できる。ここで、プロピレンオキシドは、ジカルボン酸無水物と発熱反応で水の放出なく反応して、交互共重合体を形成する。
アルキレンオキシドを使用する欠点は、工業的規模、即ち、1年当たり数千トンの規模での取扱いが厄介なことである。特に、環境上、有害で毒性のある、エチレンオキシドやプロピレンオキシドのようなアルキレンオキシドの保存、輸送及び取扱いは、厄介であり、しかもコストが非常にかかる(cost intensive)。更に、プロピレンオキシドは、保存、輸送及び/又は取扱い中、ポリ(プロピレンオキシド)を形成し易い。ポリ(プロピレンオキシド)は、ゲルを形成するため、ポリエステルの製造法に有害となる可能性があり、所望ポリエステル樹脂の分子量、分子量分布、粘度、官能価、樹脂の色調等の特性、及び最終の利用特性から逸脱し、例えば塗膜の化学的安定性が低下することが多い。このため、ポリエステルの製造でアルキレンオキシドを使用するのは、小規模生産及び最適の用途に限定されていた。
GB 956,180A US−A−3374208 US−A−4904807 US−A−5519152 WO−A−2004/101141 US−A−3351635 US−A−4367342 US−A−6504038 US−A−4833260 特開平4−352771 US−A−5859265 US−A−6008388 US−A−6281369 US−A−6498259 US−A−6441204 US−A−6307073 EP−A−345856 US−A−3607669 EP−A−0755716 US−A−3578568 WO−A−02/070497 US−A−4306056 US−A−4560788 Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technologie、第18巻、575頁(1982年) Koon−Ling Ring等,"Unsaturated Polyester Resins",Chemical Economics Handbook,580.1200,1999年4月 "Polyesters,Unsaturated",Encyclopedia of Polymer Science and Technology;第3版,第12巻,256頁
以上の欠点は、スチレンモノマー及びプロピレンオキシドを組合わせた製造法を、不飽和ポリエステル樹脂の製造法と一体化することにより解消される。
したがって、本発明は、
(a)エポキシ化触媒の存在下で好適な酸化剤とプロペンとを反応させてプロピレンオキシドを形成する工程、
(b)プロピレンオキシドフラクションを分離する工程、及び
(c)得られたプロピレンオキシドフラクションを、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及び多価アルコールよりなる群から選ばれた1種以上の化合物と反応させてポリエステル樹脂を得る工程、
を含むポリエステル樹脂の一体的製造方法を提供する。
本一体的方法は、ポリエステル樹脂及びスチレンモノマーを一体的に工業的規模で製造でき、しかも環境に対する危険性及び影響を著しく低下できる。プロピレンオキシドの製造法との一体化により、以上のような技術的利点が得られるばかりでなく、著しく簡素化し、したがって、この原料についての輸送及び保存要件が減少するため、コストが低下する。
また本発明は、ポリエステル樹脂の製造法を直接、プロピレンオキシドの製造法にリンクしたポリエステル樹脂の製造法に関する。本明細書で“一体的方法”とは、プロピレンオキシドの製造法とポリエステル樹脂の製造法とを単一の方法に組合わせたことを意味する。ここで、中間体生成物は、次の反応段階に直接、移送される。本明細書で“直接”とは、任意に中間体保存設備を有するが、タンクローリー(road car tanker)、又は他の形態の移動可能なタンクによる輸送を含まない、パイプによる直接接続を意味する。好ましくは直接接続とは、原料が同じ製造場所で製造され、固定した接続部経由でポリエステル反応器に輸送され、これにより原料を更に取扱う必要がなくなる。
好適な酸化剤としては、有機の酸化物及び過酸化物がある。
工程(a)では、プロペン供給原料は好適な酸化剤と反応する。好適な酸化剤は、アルケンを相当するアルケンオキシドにエポキシ化し得る。酸化剤としては、酸素、及び空気、亜酸化窒素のような酸素含有ガス又は混合物が挙げられる。他の好適な酸化剤は、芳香族又は脂肪族ヒドロパーオキシドのようなヒドロパーオキシド化合物である。ヒドロパーオキシド化合物としては、好ましくは過酸化水素、tert−ブチルヒドロパーオキシド、エチルベンゼンヒドロパーオキシド、及びイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシドが挙げられ、中でもエチルベンゼンヒドロパーオキシドが最も好ましい。好ましくは酸化剤は、飽和脂肪族モノカルボン過酸ではない。更に好ましくは酸化剤は過酸ではない。
好適なエポキシ化触媒は、基体及び酸化剤に依存して変化し得る。エチレンオキシドの製造に好適な方法は、US−A−4904807、US−A−5519152及びWO−A−2004/101141に記載の方法が挙げられる。例えばプロピレンと、エチルベンゼンヒドロパーオキシド又はtert−ブチルヒドロパーオキシドのような有機ヒドロパーオキシド酸化剤とからのプロピレンオキシドの製造は、例えばUS−A−3351635に記載されるような、可溶化したモリブデン触媒、或いはUS−A−4367342及びUS−A−6504038に記載されるような、シリカ上にチタニアを担持した不均質触媒の存在下で行なうことができる。US−A−4833260には、過酸化水素及びチタニウムシリケートゼオライトを用いたオレフィンエポキシ化が記載されている。他の工業的に実用化された技術は、銀触媒上での酸素との反応によるエチレンのエチレンオキシドへの直接エポキシ化である。更に、触媒の存在下で酸素及び水素によるオレフィンの直接エポキシ化が例えば特開平4−352771、US−A−5859265、US−A−6008388、US−A−6281369、US−A−6498259、US−A−6441204及びUS−A−6307073に記載されている。これらの文献は、パラジウム又は金のような貴金属及びチタニア又はゼオライトのような担体を取入れた不均質触媒を用いてアルキレンオキシドを製造する方法を開示している。
プロピレンオキシドの特に好ましい製造法は、例えばUS−A−6504038に記載されるような一体的スチレンモノマー/プロピレンオキシド法である。この方法は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technologie、第18巻、575頁(1982年);Koon−Ling Ring等,“Unsaturated Polyester Resins”,Chemical Economics Handbook,580.1200,1999年4月;及び “Polyesters,Unsaturated”,Encyclopedia of Polymer Science and Technology;第3版,第12巻,256頁に記載されるように、製造されるポリエステル樹脂が不飽和ポリエステル樹脂である場合、特に有利である。不飽和ポリエステル樹脂は、前記定義したようなポリエステル樹脂で、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物の少なくとも一部はスチレンモノマーとラジカル共重合可能な不飽和を含有する。
このような不飽和ポリエステル樹脂の好ましい製造法の工程(a)では、エチルベンゼンヒドロパーオキシドは、エポキシ化触媒の存在下でプロペンと反応して、プロピレンオキシド及び1−フェニルエタノールを生成する。工程(c)では、工程(b)で得られたプロピレンオキシドフラクションは、不飽和ポリエステル樹脂を得るため、好ましくはジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及び多価アルコールよりなる群から選ばれた1種以上の化合物と反応させる。ここで、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物又は多価アルコールの少なくとも一部は、スチレンモノマーとラジカル共重合可能な不飽和を含有する。酸化剤としてエチルベンゼンヒドロパーオキシドを用いる好ましい方法は、更に工程(d)を含む。ここで、得られる1−フェニルエタノールの少なくとも一部は、好適な脱水触媒の存在下でスチレンに脱水される。
次いで、得られた不飽和ポリエステル樹脂は、スチレンモノマー及び最終用途の要求に応じて、任意に熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂又はポリウレタンのような他の樹脂種とブレンドできる。
図1に本方法の好ましい実施態様を示す。エチルベンゼンヒドロパーオキシド及びプロペンを含む原料流(1)は、反応器ユニット(2)中に移送される。反応器ユニット(2)では、工程(a)において、エチルベンゼンヒドロパーオキシドは、エポキシ化触媒の存在下でプロペンと接触してプロピレンオキシド及び1−フェニルエタノールを形成する。次いで、得られた混合物(3)は、分離ユニット(4)に移送され、ここで粗製プロピレンオキシドフラクション(5)と1−フェニルエタノール含有フラクション(9)とに分離される。粗製プロピレンオキシドフラクション(5)は、不飽和ポリエステル樹脂(8)を製造するため、反応器ユニット(7)中に移送される。この反応器ユニット(7)では、プロピレンオキシドは、不飽和ポリエステル樹脂(8)を得るため、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及び多価アルコールよりなる群から選ばれた1種以上の化合物を含む他の原料(6)と接触する。反応器ユニットは、撹拌器及び/又はバッフルのような、反応混合物を撹拌する手段を有することが好ましい。更に、好ましくは水除去手段、反応混合物を加熱及び/又は冷却できる手段を有する。
ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物又は多価アルコール(6)の少なくとも一部は、スチレンモノマーとラジカル共重合可能な不飽和を有する。1−フェニルエタノール(9)は、反応器ユニット(10)に移送され、ここで少なくとも一部は好適な脱水触媒の存在下でスチレンモノマー(11)に脱水され、水含有流(12)から分離される。スチレンモノマー(11)及び不飽和ポリエステル樹脂(8)は、混合ユニット(13)に移送され、不飽和ポリエステル組成物(14)を形成する。
本方法の工程(a)では、酸化剤、好ましくはエチルベンゼンヒドロパーオキシドは、エポキシ化触媒の存在下でプロペンと反応して、プロピレンオキシドを形成する。
エチルベンゼンヒドロパーオキシドは、従来法、例えばエチルベンゼンを酸素又は空気と反応させてエチルベンゼンヒドロパーオキシドを形成する方法で得られる。
エチルベンゼンプロペンからスチレンモノマー及びプロピレンオキシドを製造する好適な方法は、例えばUS−A−6504038又はEP−A−345856に記載されている。エチルベンゼンヒドロパーオキシドは、通常、メチルフェニルケトンのような副生物、安息香酸、グリコール酸のような酸、2−フェニルエタノール、及びビス(α,α−フェニルエチル)エーテルのような二量体を含有する。更に工程(a)の反応は、アルデヒド、ケトン、アルコール、エーテル、酸及びエステルのような酸素含有副生物、例えばアセトン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、蟻酸メチル、及び対応する炭素酸及びエステルを生成することが知られている。
工程(b)ではプロピレンオキシドが分離される。プロピレンオキシドの分離は、通常、まず反応混合物から未反応アルケンを除去し、次いで残りの混合物から少なくとも1回の蒸留処理により“粗製”プロピレンオキシドフラクションを分離して行なわれる。反応混合物の最初の蒸留により、未反応アルケン及び若干の低沸点不純物を含む塔頂フラクションが得られる。この蒸留処理は、1〜20×10N/m(バール)の範囲の圧力及び10〜250℃の範囲の温度で行なうことが好ましい。次いで、工程(a)で得られた反応混合物からプロピレンオキシドが塔頂生成物として他の高沸点汚染物と一緒に除去される。この第二蒸留は、通常、0.1〜20×10N/mの範囲の圧力及び0〜250℃の範囲の温度、好ましくは0.1〜1×10N/mの範囲の圧力及び10〜200℃の範囲の温度で行なわれる。
こうして得られた粗製プロピレンオキシドフラクションは、副生物及びその中に存在する水のため、一般に“湿潤粗製”プロピレンオキシドと言われている。この湿潤粗製プロピレンオキシドは、水を好ましくは50〜5000ppmw(100万重量部当たり部)、更に好ましくは100〜4800ppmw含有する。この湿潤粗製プロピレンオキシドは、水をなお更に好ましくは4500ppmw以下、再び更に好ましくは4000ppmw以下、なお更に好ましくは3500ppmw以下、最も好ましくは3000ppmw以下含有する。
次に、通常、“湿潤粗製”プロピレンオキシドは、過剰の水を更に除去するため精製される。この精製は、例えばUS−A−3607669に記載されるように、通常、“湿潤”粗製プロピレンオキシドフラクションから、湿潤粗製プロピレンオキシドになお存在する水の一部を蒸留処理で塔頂生成物として除去して行なわれる。この蒸留処理には1種以上の共留剤成分を用いることが好ましい。共留剤成分は、分離すべき物質に添加して、例えば共沸混合物の平衡を変化させることにより、蒸留を容易にし、こうして分離及び方法を簡素化するための化合物である。したがって、好適な共留剤成分を使用すると、高分離能力を有する蒸留塔を必要とすることなく、蒸留ユニットの塔底生成物、特に水中のプロピレンオキシド以外の成分の量が減少する。好ましい共留剤成分は、炭素原子数4又は5の脂肪族炭化水素である。この蒸留処理は、1〜20×10N/m(1〜20バール)の範囲の圧力及び0〜200℃の範囲の温度で行なうことができる。蒸留処理は、5〜10×10N/mの範囲の圧力及び10〜150℃の範囲の温度で行なうことが好ましい。この蒸留処理で得られたプロピレンオキシドフラクションは、“乾燥粗製”プロピレンオキシドとしても知られ、完全な水の分離にはコストがかかる上、煩雑であるため、水を好ましくは0〜150ppmw、更に好ましくは120ppmw未満、再び更に好ましくは100ppmw未満、なお更に好ましくは80ppmw未満、最も好ましくは50ppmw未満含有する。
未反応アルケン及び少なくとも一部の水の分離は容易に行なえるが、プロピレンオキシドからのアルデヒド及び酸の分離は特に困難である。前述のように、不純物及び残留水はポリエステル樹脂中に反応する。商用には、乾燥粗製プロピレンオキシドは、更に精製する必要がある。EP−A−0755716、US−A−3578568、及びWO−A−02/070497に概説されているように、複雑な設備を必要とし、しかも大量のエネルギーを消費する上、プロピレンオキシドの所望としない取扱いを含んでいる。しかも、この精製処理ではポリ(プロピレン)オキシドがますます多量に発生することが知られている。
湿潤粗製及び/又は乾燥粗製プロピレンオキシド中に存在する副生物、即ち、主としてアルデヒド、カルボン酸及びケトンや水は、ポリエステルの形成中、ポリエステル樹脂中に取込まれるか、或いは本方法中、除去されるので、これらの副生物は、ポリエステルの配合物を変更することなく、或いは少し変更するだけで不飽和ポリエステル樹脂に適応可能であることが見出された。したがって、本方法は“湿潤粗製”又は“乾燥粗製”プロピレンオキシドのような粗製プロピレンオキシドを使用することが好ましい。これによりプロピレンオキシドの製造コストが大幅に低下し、したがって、また不飽和ポリエステル樹脂の製造コストも低下する。
ポリエステルの製造条件下では、アルデヒド又はケトンは、アセタール又はケタール構造の形成下でアルコールのような求核基と反応してポリエステル樹脂となる。本方法で得られるこれらのポリエステル樹脂は、プロピオンアルデヒドから誘導された単位を好ましくは0.02〜5重量%含有する。
湿潤粗製プロピレンオキシドは、良好な利用可能性を有するため、工程(c)に直接、使用することが好ましい。この粗製プロピレンオキシド中に存在する水は、2官能性開始剤化合物として作用できるか、或いは反応混合物中に存在するアルデヒドと反応して、ジカルボン酸となる。したがって、本発明は、好ましくは粗製アルキレンオキシドが水を全組成物に対し、50〜5000ppmw含有する方法にも関する。
或いは水の臨界的ポリエステル配合物又は臨界的配合物には乾燥粗製プロピレンオキシドが使用される。臨界的配合物への変化は、単に該プロピレンオキシド中に存在する副生物の官能価を考慮するだけで行なえる。
工程(c)で使用される粗製プロピレンオキシドフラクションは、プロピレンオキシドを、全組成物に対し好ましくは95〜99.95重量%含有する。粗製アルキレンオキシドフラクションは、アルキレンオキシドを好ましくは少なくとも96重量%、更に好ましくは96重量%より多く、なお更に好ましくは少なくとも97重量%、更に好ましくは97重量%より多く、なお更に好ましくは少なくとも99重量%、再び更に好ましくは99重量%より多く、最も好ましくは少なくとも99.5重量%含有する。粗製アルキレンオキシドフラクションは、アルキレンオキシドを好ましくは99.93重量%以下、更に好ましくは99.90重量%未満、再び更に好ましくは少なくとも99.85重量%以下、なお更に好ましくは99.83重量%未満、再び更に好ましくは99.80重量%以下、更に好ましくは99.80重量%未満、なお更に好ましくは99.79重量%以下、最も好ましくは99.78重量%以下含有する。残部はエチルベンゼンからエチルベンゼンヒドロパーオキシドへのエポキシ化反応で生じる化合物、又は工程(a)中でのこれら化合物の反応生成物である。
粗製プロピレンオキシドフラクションは、重量平均分子量が2000を超えるポリ(プロピレンオキシド)を少量含有してもよいが、好ましくは50ppmw未満である。特記しない限り、ここで述べる分子量は、重量平均分子量であり、また官能価は公称官能価(Fn)である。粗製プロピレンオキシドフラクションは、重量平均分子量が2000を超えるポリ(プロピレンオキシド)を更に好ましくは30ppmw以下、なお更に好ましくは20ppmw以下、特に更に好ましくは15ppmw以下、再び更に好ましくは12ppmw以下、なお更に好ましくは5ppmw以下、最も好ましくは3ppmw以下含有する。
工程(c)では、工程(b)で得られた粗製プロピレンオキシドは、ポリエステル樹脂を形成するための他の原料と反応させる。この反応は、カルボン酸官能性化合物とプロピレンオキシドとの任意に触媒の存在下での初期反応でヒドロキシアルキルエステル反応生成物を形成し、次いでこの反応生成物は更に反応できる。粗製プロピレンオキシドと1種以上のジカルボン酸無水物とを1個以上の活性水素原子を有する開始剤化合物による開始下で反応させることが好ましい。本方法の開始剤化合物は、活性水素原子を1個以上、好ましくは2〜6個有する化合物である。この活性水素原子は、通常、ヒドロキシ基の形態で存在するが、例えばアミン基、チオール基又はカルボキシル基の形態で存在してもよい。好適な開始剤化合物としては、水、無水物又はプロピレンオキシドとの反応に有用な1分子当たり1個以上の活性水素原子を有するアルコールが挙げられる。好適な脂肪族開始剤化合物としては、1分子当たり2〜6個のヒドロキシル基を有する多価アルコールがある。このような開始剤化合物の例は、水、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ジ−及びポリ−グリセロール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビトール、マンニトール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)及び2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)である。ヒドロキシル基の形態で1個以上、更に好ましくは2個以上の活性水素基を有する脂肪族アルコールが好ましい。この脂肪族アルコールは、1分子当たり、好ましくは5個以下、更に好ましくは4個以下、最も好ましくは3個以下のヒドロキシル基を有する。
開始剤化合物と無水物又はプロピレンオキシド間の開環反応により、エステル結合により結合した、プロピレングリコール及びジカルボン酸の交互ユニットの重合が起こるが、エーテル結合が可能で、最終のポリエステル樹脂中で耐えられる。本方法の工程(c)で使用されるジカルボン酸無水物は環式無水物が好ましい。
工程(c)の反応は、好適な触媒の存在下で行なうことが好ましい。好適な触媒としては、亜鉛、錫、マンガン、マグネシウム及び/又はカルシウムよりなる群から選ばれた二価金属を含有する化合物、例えば等価の酸化物、塩化物、アセテート、ブチレート、ホスフェート、ナイトレート、ステアレート、オクタノエート、オレエート及びナフテネート、或いはUS−A−4306056に記載されるようなアミン、及びUS−A−4560788に記載されるようなアルキル四級アミン化合物が挙げられる。塩化亜鉛、酢酸亜鉛又は酸化亜鉛のような亜鉛化合物を使用すると、淡色の生成物が得られるので、亜鉛化合物が特に望ましい。他の好適な触媒としては、アンバーライトIR−45(OH)(アミン型樹脂)、アンバーライトIRC−50(カルボン酸型樹脂)のようなイオン交換樹脂、及び鉛、コバルト、希土類、カドミウム及びニッケルの塩が挙げられる。この触媒は、種々の量で、例えばジカルボン酸無水物及び開始剤化合物に対し、0.001〜1重量%の範囲で使用できる。
反応は一般に100〜240℃の範囲の温度及び1〜15バールの範囲の圧力で行なわれる。このような本方法の好ましい実施態様では、各種用途に所望の特性を有する不飽和ポリエステル樹脂の製造が可能である。開始剤分子の異なる官能価や、温度及び原料の重量比により、異なる分子や分子量分布及び官能価を有するポリエステル樹脂の製造が可能である。このような樹脂は、例えば粗製プロピレンオキシドフラクション、フタル酸無水物及びマレイン酸無水物を基準にして配合できる。
或いは、工程(c)の反応は、任意に縮合反応を含む、幾つかの異なる工程で行なってよい。
この反応は、プロピレンオキシド及び例えばジカルボン酸からプレポリマーを形成する第一段階付加反応を含む。この第一段階の終了後、多価アルコールと、二酸又は二酸無水物とを加え、この反応混合物を更に100〜240℃の範囲の温度で反応させ、最終的に所望の不飽和ポリエステル生成物を生じる。これにより、異なる官能価を導入すると共に、異なるブロックを有する特定の樹脂構造を設計することができる。
しかし、反応器には全ての原料を存在させてもよく、また工程(c)の反応も単一段階反応で行なってよい。
工程(c)で使用されるジカルボン酸及び/又はジカルボン酸無水物又は多価アルコールの少なくとも一部は、スチレンモノマーとラジカル共重合可能な不飽和を含有する。本明細書に関連して“不飽和”とは、ポリエステル樹脂の溶剤としてもコモノマーとしても使用されるスチレンモノマーのビニル基とラジカル共重合可能な不飽和二重結合を説明するものである。不飽和とスチレンモノマーのビニル基間で少なくとも小程度の共重合が起こるならば、可能な共重合の程度は重要ではない。好適な不飽和化合物としては、アセチレン的又はオレフィン的に不飽和の化合物、例えばビニルエステル、ビニルアルコール、α,β−不飽和ジカルボン酸、及びα,β−不飽和ジカルボン酸無水物が挙げられる。α,β−不飽和ジカルボン酸の好ましい例としては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、クロロマレイン酸及びそれらの無水物が挙げられる。これらのα,β−不飽和ジカルボン酸は単独で又は組合わせて使用できる。本方法の工程(c)での化合物は、再び更に好ましくはマレイン酸及び/又はマレイン酸無水物である。
マレイン酸又は無水物の二重結合は、シス配置を有し、高度の立体障害を有するポリエステル鎖になる。これにより、通常、スチレンモノマーとの最後の架橋反応の速度は低下する。しかし、このポリエステル縮合反応中、温度を高温に充分長い時間維持すると、シス配置の二重結合は、トランス異性体、即ち、フマル酸構造(推定)に転位する。ポリエステル鎖中にフマル酸単位を有するポリエステル樹脂は、マレイン酸単位だけを有するポリエステル樹脂よりもスチレンに対する反応性が20倍高いので、本発明は、存在するマレイン酸単位の少なくとも一部が等価のフマル酸配置に転位するような方法で、更に好ましくは本質的に全てのマレイン酸単位がフマル酸配置に転位するような方法で工程(c)が行なわれるような方法で実施することが好ましい。この転移は、ポリエステル樹脂を180〜200℃の範囲の温度に充分長時間曝せば、都合良く行なえる。所要時間及び温度は当業者が巧く決定する。転移の程度は、例えばNMRで測定できる。α,β−不飽和ジカルボン酸以外の飽和カルボン酸及び誘導体も原料として使用してよい。これらの例としては、フタル酸、フタル酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、アジピン酸、セバシン酸及び/又はアゼライン酸が挙げられる。これらは単独で又は組合わせて使用できる。別の原料としては、多価アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなジオール;グリコール、例えば水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加体、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加体;トリオール、例えばグリセロール;トリメチロールプロパン;又はテトラオール、例えばペンタエリスリトールが挙げられる。これらは単独で又は組合わせて使用できる。
本方法の工程(c)では、粗製アルキレンオキシドは、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及び多価アルコールよりなる群から選ばれた1種以上の化合物と反応させる。前記1種以上の化合物は、ジカルボン酸無水物及び多価アルコールよりなる群から選ぶことが好ましい。更に好ましくは、前記1種以上の化合物はジカルボン酸無水物である。
スチレンモノマーは、不飽和ポリエステル配合物の別の原料である。工業的規模、即ち、1年当たり数千トンの規模で取扱い、保存及び輸送するのは、厄介であり、しかもコストが非常にかかる。更に、自動重合を防止するため、安定剤の添加を必要とし、それでもなおポリスチレンを形成し易い。
本方法は、任意工程(d)で得られたスチレンモノマーを工程(c)で得られた不飽和ポリエステル樹脂に添加する工程(e)を更に含むことが好ましい。工程(d)で得られるスチレンモノマーは、通常、少量のラジカル禁止剤、通常、フェノール性化合物を添加すると、無制御の重合に対し安定化される。フェノール性化合物の例は、ヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、p−tert−ブチルカテコール、p−tert−ブチルヒドロキノン、トルイルヒドロキノン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、ナフテン酸銅、塩化銅等である。特にキノン型ラジカル禁止剤は、活性を残すためにほぼ化学量論量の溶解酸素の存在を必要とし、10〜50ppmの範囲で使用される。安定化スチレンモノマーとブレンドした不飽和ポリエステル樹脂は、安定化の影響を中和するため、利用時に増量したラジカル禁止剤を必要とし、コストの増大及び極めて危険な化合物の高濃度化を生じる。スチレンモノマー中に安定剤が存在すると、反応性は低下する。したがって、工程(d)で得られたスチレンモノマーは、工程(c)の反応器又は混合容器に直接、移送することが好ましく、更に好ましくは安定化しないか、或いは中間体の保存及びポリエステル反応器への移送に必要なレベルまでしか安定化しない。スチレンモノマーは、不飽和ポリエステル樹脂に、ポリエステル対スチレンモノマーの重量比が99:1〜10:90(重量/重量)となるような量で添加することが好ましい。ポリエステル対スチレンモノマーの好ましい重量比は97:3〜20:80(重量/重量)、更に好ましくは95:5〜30:70(重量/重量)の範囲である。
不飽和ポリエステル樹脂にかなり重要な別の原料はジシクロペンタジエン(DCPD)である。この化合物は、不飽和ポリエステル樹脂、更に好ましくはマレイン酸無水物含有不飽和ポリエステル樹脂を製造する場合、通常、工程(c)中に添加される。140℃を超える温度では、DCPDは、2つのシクロペンタジエン分子に解離する。次いで、これらの分子は、シス配置のマレイン酸無水物によりディールス・アルダー反応を受け、これにより、硬質の二環構造をポリエステル樹脂構造に導入する。こうして、剛性、したがって、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が増大する一方、材料の疎水性も増大する。その結果、ハンドレイアップ法に利用した場合は、乾燥時間が短縮すると共に、スチレンの所要量も低下する。更に、この種の樹脂の高疎水性により、海用及び衛生用に広く使用される。したがって、工程(c)は、140℃以上の温度及びジシクロペンタジエンの存在下で行なうことが好ましい。
ジシクロペンタジエンの使用上の欠点は、強い典型的な匂いのあることである。最小量でさえ、これと接触する全ての管、配管及びタンクに典型的な匂いを与える。このような匂いを充分に除去するのは困難で、またコストが非常にかかるので、通常は専用の輸送兼取扱い材料が必要である。したがって、本方法は、DCPDの製造場所で行なわれるような方法で行なうことが好ましい。そうすると、DCPDは中間体の取扱い及び保存、及び/又は輸送なしで、本方法に直接使用でき、専用設備の量を最少化できる。
本発明による不飽和ポリエステル樹脂は、最終の利用においてスチレンモノマーと共重合できるような方法で配合される。この共重合は、通常、ラジカル始動剤、即ち、熱、紫外線、電子線又は同様な照射エネルギーに曝すとラジカルを作る化合物の添加により行なわれる。ラジカル始動剤の量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物100重量部に対し、好ましくは0.1〜10重量部、特に1〜5重量部の範囲内である。熱活性化ラジカル始動剤としては、有機過酸化物、例えばジアシルパーオキシド、パーオキシエステル、ヒドロパーオキシド、ケトンパーオキシド、アルキルパーエステル及びパーカーボネート化合物、並びに過酸のアルカリ金属塩が挙げられる。紫外線活性化ラジカル始動剤は、感光性化合物、例えばアシルホスフィンオキシド、ベンゾイルエーテル、ベンゾフェノン、アセトフェノン、チオキサントン化合物である。電子線活性化ラジカル始動剤としては、ハロゲン化アルキルベンゼン、ジスルフィド化合物及び同様な化合物が挙げられる。
ラジカル反応を促進又は減速でき、また前記硬化剤と組合わせて使用できる別の添加剤としては、ナフテン酸コバルト及びコバルトオクトネートのような金属塩;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)p−トルイジン及びジメチルアセトアセトアミドのようなtert−芳香族アミンが挙げられる。
所望の用途に依存して、ポリエステル樹脂配合物には、任意に他の樹脂及び添加剤を添加してよい。これらは、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂又はポリウレタンである。
本発明法を実施するための一例の工程図である。
符号の説明
1 原料流
2 反応器ユニット
4 分離ユニット
5 粗製プロピレンオキシドフラクション
6 他の原料
7 反応器ユニット
8 不飽和ポリエステル樹脂
9 1−フェニルエタノール含有フラクション又は1−フェニルエタノー

10 反応器ユニット
11 スチレンモノマー
12 水含有流
13 混合ユニット
14 不飽和ポリエステル組成物


Claims (12)

  1. (a)エポキシ化触媒の存在下で好適な酸化剤とプロペンとを反応させてプロピレンオキシドを形成する工程、
    (b)プロピレンオキシドフラクションを分離する工程、及び
    (c)得られたプロピレンオキシドフラクションを、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及び多価アルコールよりなる群から選ばれた1種以上の化合物と反応させてポリエステル樹脂を得る工程、
    を含むポリエステル樹脂の一体的製造方法。
  2. 酸化剤がエチルベンゼンヒドロパーオキシドである請求項1に記載の方法。
  3. 工程(a)で得られた1−フェニルエタノールを、好適な脱水触媒の存在下で少なくとも部分的にスチレンに脱水する工程(d)を更に含む請求項2に記載の方法。
  4. ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物又は多価アルコールの少なくとも一部が、スチレンモノマーとラジカル共重合可能な不飽和を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程(c)が、1個以上の活性水素原子を有する化合物による開始下、プロピレンオキシドと1種以上のジカルボン酸無水物との反応により行なわれる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程(d)で得られたスチレンモノマーをポリエステル樹脂に添加する工程(e)を更に含む請求項4又は5に記載の方法。
  7. 工程(c)で使用されたプロピレンオキシドフラクションが、プロピレンオキシドを、全組成物に対し95〜99.95重量%含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. プロピレンオキシドフラクションが、水を、全組成物に対し50〜5000ppmw含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 工程(b)において、工程(a)で得られた混合物から分離されたプロピレンオキシドフラクションが、工程(c)に直接、移送される請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. ジカルボン酸無水物がマレイン酸無水物を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. ポリエステル樹脂中でマレイン酸から誘導された二重結合配列の少なくとも一部がフマル酸配列に転位するように、工程(c)が行なわれる請求項10に記載の方法。
  12. 工程(c)が、ジシクロペンタジエンの存在下、140℃以上の温度で行なわれる請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。

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