JP2009301880A - 伸縮電線 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】伸縮電線は、伸縮性を有する弾性体からなる芯材1の周囲に導体線2を捲回してなる伸縮電線において、芯材の50%伸長回復率が80%以上、50%伸長回復時の横方向応力が0.05cN/mm2以上、横方向の50%圧縮応力が5〜100cN/mm2であることを特徴とする伸縮電線。
【選択図】図1
Description
特に、最先端のヒューマノイド型ロボットや、人体に装着して筋力を補助するパワーアシスト装置においては、多自由度関節を経由して末端のモーターを動かすための電線や、末端に装備された各種センサーからの信号を伝送するための電線を多数配線しており、多自由度関節における配線の自由度を高めるために、電線に伸縮性を持たせたいというニーズがある。
一方、電線自体に伸縮性を持たせた伸縮電線に関する技術としては、例えば特許文献1には、弾性糸を2倍程度に伸ばした状態で非弾性糸を巻き付けて形成した芯糸の外周に、銅箔をらせん状に巻き付けた伸縮電線が開示され、弾性糸としてポリウレタン系合成繊維、天然ゴム、耐熱シリコーン樹脂からなる糸が記載されている。
さらに、特許文献3は、伸縮自在な弾性糸からなる芯材の外周に導電線を配設した複数本の芯線を仮撚加工糸で被覆した伸縮電線が開示され、弾性糸は弾性回復性が良く腰の強いものが好ましく、例として天然ゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム等の合成ゴムが好適であるとの記載がある。
このような方法で製造した電線は、金属線を捲回する際に伸長された弾性糸が元の長さに戻る割合が大きいほど、伸長性の高い伸縮電線が得られる。ところが、捲回した金属線が弾性糸を締め付けているために、伸長された弾性糸の伸長回復力だけでは十分に元の長さに戻ることができないため、電線の伸長性が不十分であるという問題があった。
更に、太い弾性繊維や硬い弾性繊維を芯材に用いた電線は、電線を伸ばすために大きな力が必要であり、多数の電線を使用するヒューマノイド型ロボットやパワーアシスト装置ではエネルギーロスが多大となったり、より大きなパワーのモーターが必要になって重量が増えたりするといった問題があり、ウエアラブル電子機器では身体の動きが阻害されるという問題があった。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)伸縮性を有する弾性体からなる芯材の周囲に導体線を捲回してなる伸縮電線において、芯材の50%伸長回復率が80%以上、50%伸長回復時の横方向応力が0.05cN/mm2以上、横方向の50%圧縮応力が5〜100cN/mm2であることを特徴とする伸縮電線。
(2)芯材の50%伸長応力が1〜200cN/mm2であることを特徴とする上記(1)に記載の伸縮電線。
(3)芯材が、多孔質の弾性体であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の伸縮電線。
(4)芯材が、長手方向に連続した中空部を少なくとも一つ以上有する弾性体であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の伸縮電線。
(5)芯材が、弾性長繊維からなる編紐又は組紐であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の伸縮電線。
(6)伸縮電線が、その外周に被覆部を有することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の伸縮電線。
本発明の伸縮電線は、伸縮性を有する弾性体からなる芯材の周囲に導体線が捲回された構造を有する。本発明の伸縮電線に用いる芯材は、50%伸長回復率が80%以上である弾性体であることが必要であり、85%以上が好ましく、90%がより好ましい。50%
伸長回復率がこの範囲であると、繰返しの伸長回復性優れた伸縮電線が得られる。また、芯材の破断伸度は100%以上であることが好ましく、150%以上がより好ましく、200%以上が特に好ましい。破断伸度がこの範囲であると、高い伸長性を有する伸縮電線が得られる。
但し、50%伸長回復時の横方向応力があまり大きすぎる芯材は、芯材の横方向の圧縮応力も高くなり、芯材の表面に導体線が突出した構造になって周囲の構造物との摩擦等による導体線の損傷や切断が起き易くなるため、50%伸長回復時の横方向応力は5cN/mm2以下が好ましく、2cN/mm2以下がより好ましい。
また、導体線を保護する目的で電線の周囲は絶縁繊維や絶縁樹脂等で被覆されているのが一般的であるが、伸縮電線の場合は、この外部被覆が強固であると伸縮性が阻害されるという問題がある。導体線が芯材の表面に一部埋没する構造を有する本発明の伸縮電線であれば、導体線を保護するための外部被覆を薄くすることができるため、高い伸縮性を保持できるという効果も得られる。
本発明の伸縮電線を伸長させるのに必要な力としては、30%伸長荷重が5000cN以下であることが好ましく、3000cN以下がより好ましく、1000cN以下がさらに好ましく、500cN以下が特に好ましい。
多孔質の弾性体としては、例えば、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマーや、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等のゴム材料を多孔質化したものが好ましい。
多孔質化の方法としては従来から既知の方法を用いればよく、例えば加熱により分解して炭酸ガス、窒素等の気体を発生する発泡剤を前記熱可塑性エラストマーやゴム材料に含有させ、繊維化すると同時に、あるいは繊維化した後に発泡させて多孔質化する方法がある。発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミド、アゾビスイソビチロニトリル、トリヒドラジノトリアジンなどの有機系発泡剤や、炭酸カルシウムや重炭酸アンモニア、過酸化物などの無機系発泡剤、およびこれらの混合発泡剤を使用することができるが、前記熱可塑性エラストマーやゴム材料の融点に合わせて、適当なものを使用するのが好ましい。
多孔質化の程度については、本発明で規定する50%伸長回復率、50%伸長回復時の横方向応力、横方向の50%圧縮応力を満足するように、用いる弾性体の特性と組み合わせて適宜設定すればよい。
このような多孔質弾性糸、中空弾性糸及び多孔質中空弾性糸は、モノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよい。また、弾性糸の半径方向に圧縮特性が異なる複数の層を有する多層構造であってもよく、例えば、内層を非多孔質の弾性体とし、外層を多孔質層とした二層構造の弾性糸であってもよい。また、溶融紡糸等の製造が困
難な弾性体については、弾性体をシート化した後に任意の幅でカットして分割する、いわゆるスリットヤーンであってもよい。
本発明の伸縮電線に用いる芯材の断面形状としては、導体線の捲回ができるだけ一定の曲率半径で行えるように、鋭角部分や突起部分のない形状がよい。具体的には丸断面が最も好ましく、扁平断面や多角形でもよい。また、鋭角部が曲面状に形成された多角形でもよい。
本発明の伸縮電線に用いる芯材の外径は、目的とする伸縮電線の太さに応じて適宜設定すればよいが、好ましくは0.01〜10mmの範囲であり、0.02〜5mmがより好ましく、0.1〜3mmがさらに好ましく、0.2〜2mmが特に好ましい。
細線を集合させるには様々な方法が知られており、本発明においても公知のどのような方法で集合させてもよい。しかし、ストレートに引き揃えるだけでは捲回しづらいため、撚り線とすることが好ましい。また、可撓性を発揮するために、集合線を絶縁繊維で捲回したものを用いることもできる。
導体線を構成する細線の直径は1mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1mm以下であり、特に好ましくは0.08mm以下であり、最も好ましくは0.05mm以下である。細線の直径がこの範囲であれば導体線の柔軟性が高まり、伸縮性を阻害しにくくなり、伸縮による断線も起きにくくなり、より細い伸縮電線が得られ易い。あま
り細すぎると加工時に断線し易いため、0.01mm以上が好ましい。
導体線の換算直径=2×√((π×(Lt/2)×(Lt/2)×n/π)=Lt×√n
Lt:導体線を構成する細線の直径
n:導体線を構成する細線の集合本数
導体線の換算直径がこの範囲であれば、可撓性が良好で安定して捲回することができる。また、捲回する際の作業性の点からは、導体線の換算直径は0.01mm以上が好ましく、0.02mm以上がより好ましい。
被覆する絶縁体の種類は、公知の絶縁樹脂から上記の趣旨に沿ったものを任意に選ぶことができる。導体線1本ずつに樹脂被覆を行う場合は、例えば一般のマグネットワイヤーで用いられるいわゆるエナメル被覆として、ポリウレタン被覆、ポリウレタン−ナイロン被覆、ポリエステル被覆、ポリエステルーナイロン被覆、ポリエステルーイミド被覆およびポリエステルイミド・ポリアミドイミド被覆等が挙げられる。また、集合線としてから樹脂被覆を行う場合は、塩ビ樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂およびエステル樹脂などを用いることができる。また、識別のため、各導体線をあらかじめ色分けしておくこともできる。
本発明の伸縮電線の代表的な製造方法としては、2対のローラー間で芯材を伸長した状態で導体線をらせん状に1本または複数本捲回させる方法が挙げられる。伸縮性を発現させやすくするために、芯材を30%以上伸長することが好ましく、さらに好ましくは50%以上、特に好ましくは100%以上である。
捲回する方法が挙げられる。導体線を複数本捲回する場合は、ダブルカバリング機を用いてS撚り方向とZ撚り方向の両方に捲回することも、1方向のみに捲回することもできるが、S撚り方向とZ撚り方向の両方に捲回すると、導体線同士の摩擦によって断線が起き易いため、1方向のみに捲回することが好ましい。捲回は、一度に1本ずつ数回にわけて行うことも、一度に数本ずつ捲回することもできる。複数本を同じ方向に捲回する場合、隣り合う導体線が交差する場合があるため、あらかじめ1つのボビンに複数本を引き揃えて捲きつけたボビンを用い、これを一度に捲回することが好ましい。
本発明の伸縮電線は、芯材へ導体線を捲回した後、通常、その外周に被覆部を形成する。外周被覆部は、伸縮性を阻害せずに内部の導体線を保護することが求められる。このため、絶縁繊維の編組、および/または伸度50%以上の絶縁樹脂の弾性チューブ状物により形成されることが好ましい。
先染め糸を用いることもできる。また、仕上げ加工により、柔軟性や耐摩擦性の向上を図ることもできる。さらに、難燃加工、撥水加工、撥油加工、防汚加工、抗菌加工、制菌加工および消臭加工など、公知の繊維の加工を施すことにより、実用時の取り扱い性を向上させることもできる。特に、絶縁繊維の表面にシリコーン樹脂等の平滑剤を付与すると、伸縮電線表面の摩擦係数をより低減できるので好ましい。また、ヒューマノイド型ロボットの外皮配線に用いる場合は、外皮を構成する樹脂が伸縮電線内部に浸透して伸縮性を阻害しないように、外周被覆部に撥水加工を施すことが好ましい。
考慮すべき性能は伸縮性、耐磨耗性、耐熱性および耐薬品性などが挙げられ、これらの性能に優れるものとしては合成ゴム系弾性体が挙げられ、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、クロロプレン系ゴムおよびブチル系ゴムが好ましい。
芯材に導体線を捲回した中間体に被覆部を設ける前に、必要に応じて、弾性体による一体化層を設けることもできる。この一体化層は、導体線と芯材とのずれ防止を主な目的としていることから、その目的を達成できる範囲であれば、必ずしも連続的な層である必要はない。
一体化層は、芯材に導体線を捲回したのち、得られた構造物を弾性体の液状物中に浸漬するか、または、少なくとも捲回された導体線上に弾性体の液状物を付与し、その後、必要に応じて脱液を行った後、加熱による反応促進または乾燥を行うか、冷却による固化を行うことによって、形成することができる。
用いることができる。
弾性体による一体化層を設けることにより、導体線と芯材とが伸縮によりずれることを防ぐことができ、実用での耐久性を向上させることができる。
このようにして得られた伸縮電線は、抵抗が弛緩状態で10Ω/m以下であることが好ましい。これ以上の場合は、微弱電流を流すことができても、駆動電流を流すには適さない。さらに好ましくは1Ω/m以下である。
本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)50%伸長回復率
標準状態(温度20℃、相対湿度65%)に試料を2時間以上静置した後、標準状態下で、引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、テンシロン試験機)につかみ間隔100mmで試料をセットし、引張速度100mm/minで伸長し、50%伸長後直ちに同速度で除重し、記録した荷重−伸長曲線から荷重がゼロになった時の残留伸びx(mm)を求め、次式により50%伸長回復率を求めた。
50%伸長回復率(%)=〔(50−x)/50〕×100
(1)と同様の測定を行い、得られた荷重−伸長曲線から、50%伸長時の荷重P1(cN)を求め、次式により50%伸長応力を求めた。
50%伸長応力(cN/mm2)=P1/A1
A1:当該試料の標準状態下の断面積A(mm2)。断面積Aは、試料が変形しないように断面の寸法(丸断面の場合は直径、四角断面の場合は縦横の各辺の長さ)をノギスで測定して求めた。
(3)30%伸長荷重
(1)と同様の測定を行い、得られた荷重−伸長曲線から、30%伸長時の荷重(cN)を求めた。
標準状態(温度20℃、相対湿度65%)に試料を2時間以上静置した後、標準状態下で、圧縮試験機(カトーテック株式会社製、ハンディ圧縮試験機、KES−G5)の測定台に、試料の横方向(試料の長さ方向と直角の方向)を圧縮するように試料を置く。加圧板(直径1.6cm、面積2.0cm2)をゆっくりと降下させて荷重が0.5gfになったところで加圧板を停止し、試料を取り除いてGAP測定を行う。GAPが試料の初期高さH1(mm)となる。次に、再び試料を加圧板の下に置き、0.1mm/秒の速度で初期高さH1の50%まで加圧板を降下させた後、直ちに同速度で除重し、記録した荷重−伸長曲線から50%圧縮時の荷重P2(cN)を求め、次式により横方向の50%圧縮応力を求めた。
横方向の50%圧縮応力(cN/mm2)=P2/A2
A2(mm2)=加圧板直径×試料幅B1=16×B1
なお、試料幅B1(mm)は、略丸断面の場合はGAP測定で求めた初期高さH1(m
m)を用い、四角断面の場合は初期高さH1と直角方向の幅を前記GAP測定と同様の方法であらかじめ測定した値(mm)を用いる。
標準状態(温度20℃、相対湿度65%)に試料を2時間以上静置した後、標準状態下で、圧縮試験機(カトーテック株式会社製、ハンディ圧縮試験機、KES−G5)の測定台に、試料の横方向(試料の長さ方向と直角の方向)を圧縮する方向に、試料を50%伸長した状態で固定する。加圧板(直径1.6cm、面積2.0cm2)をゆっくりと降下させて荷重が0.5gfになったところで加圧板を停止し、試料を取り除いてGAP測定を行う。GAPが試料の初期高さH2(mm)となる。次に、再び試料を50%伸長した状態で加圧板の下に配置した後、試料を弛緩させ、加圧板に働く荷重P3(cN)を読み取る。次式により50%伸長回復時の横方向応力を求めた。
50%伸長回復時の横方向応力(cN/mm2)=P3/A3
A3(mm2)=加圧板直径×50%伸長時の試料幅B2=16×B2
なお、50%伸長時の試料幅B2(mm)は、略丸断面の場合はGAP測定で求めた初期高さH2(mm)を用い、四角断面の場合は初期高さH2と直角方向の幅を前記GAP測定と同様の方法であらかじめ測定した値(mm)を用いる。
デマッチャ式繰返疲労試験機(株式会社大栄科学精器製作所製)を用い、図3に示すように固定チャック(11)および可動チャック(12)の間隔を20cm、可動チャック(12)の可動長さを10cmにセットし、無荷重状態で20cm間隔でマーキングした試料(14)を、マーキング位置を固定チャック(11)の下端及び可動チャック(12)の上端に合わせて把持する。固定チャック(11)と可動チャック(12)の中間に、直径1.27cmの表面が鏡面のステンレス棒(13)を、固定チャック(11)と可動チャック(12)を結ぶ直線から横方向に5cm張り出させて配置する。この条件で、初期伸長率が約11%、引張時伸長率が約60%となる。
室温で、60回/分の速度で伸縮を10万回、20万回、50万回及び100万回繰り返した後、試料のマーキング間の長さL(cm)を無荷重状態で測定し、次式により残留歪みを求めた。
残留歪み(%)=〔(L−20)/20〕×100
(6)と同様の試験を行い、試験前の電気抵抗値R1(60%伸長時)及び伸縮を所定回数繰り返した後の電気抵抗値R2(60%伸長時)を、ミリオームハイテスター3540(日置電機株式会社製)により測定し、次式により電気抵抗値変化率を求めた。
電気抵抗値変化率(%)=〔(R2−R1)/R1〕×100
なお、導体線を複数本捲回している電線は、各導体線の電気抵抗変化率をそれぞれ測定し、それらの平均値を算出した。また、導体線が1本でも断線した電線は断線と判定した。
ダブルカバリング機(カタオカテクノ社製、SP−400型)を用い、940dtex/72fのポリウレタン弾性長繊維(旭化成せんい株式会社製、商品名:ロイカ)を芯にして、伸長倍率6倍で伸長しながら、155dtex/48fのナイロン仮撚糸を500T/mの下撚り(S撚り)および332T/mの上撚り(Z撚り)で捲回し、ダブルカバー糸を得た。得られたダブルカバー糸を用い、8本打ちの製紐機(株式会社国分社製)を用いて編組加工を行い、ポリウレタン弾性長繊維の組紐からなる直径1.9mmの略丸断面の芯材を得た。得られた芯材の50%伸長回復率、50%伸長応力、横方向の50%圧縮応力及び50%伸長回復時の横方向応力の評価結果を表1に示す。
得られた芯材を芯にして、16本打ちの製紐機(株式会社国分社製)を用いて、芯材を2.0倍に伸長しながら、Z方向に銅細線集合線(直径0.03mm×90本)2本(対角線上に配置)とナイロン仮撚糸(220dtex/72f)6本を配置し、S方向にエステル仮撚糸(56dtex/24f)を8本配置して編組加工を行い、伸縮電線中間体を得た。得られた伸縮電線中間体を芯にして再度16本打ちの製紐機に仕掛け、1.8倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(167dtex/72f)をZ方向及びS方向に各々8本ずつ配置して編組加工による外部被覆を行い、2本の導体線を有する伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の30%伸長荷重、残留歪み及び摩擦耐久性(電気抵抗値変化率)の評価結果を表1に示す。
実施例1で用いたダブルカバー糸を用い、卓上紐編機(圓井繊維機械株式会社製、10ゲージ、4本)を用いて製編加工を行い、ポリウレタン弾性長繊維の編紐からなる直径2.1mmの略丸断面の芯材を得た。得られた芯材の50%伸長回復率、50%伸長応力、横方向の50%圧縮応力及び50%伸長回復時の横方向応力の評価結果を表1に示す。
得られた芯材を芯にして、実施例1と同様にして伸縮電線を作成した。得られた伸縮電線の30%伸長荷重、残留歪み及び摩擦耐久性(電気抵抗値変化率)の評価結果を表1に示す。
実施例1で用いたダブルカバー糸を6本引き揃えたものを芯にして3.2倍に伸長しながら、8本打ちの製紐機を用いて、ナイロン仮撚糸(220dtex/72f)をZ方向及びS方向に各々4本ずつ配置して編組加工を行い、直径2.6mmの略丸断面の芯材を得た。得られた芯材の50%伸長回復率、50%伸長応力、横方向の50%圧縮応力及び50%伸長回復時の横方向応力の評価結果を表1に示す。
得られた芯材を芯にして、実施例1と同様にして伸縮電線を作成した。得られた伸縮電線の30%伸長荷重、残留歪み及び摩擦耐久性(電気抵抗値変化率)の評価結果を表1に示す。
エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)に発泡剤を混入した発泡性ゴム(日東電工株式会社製、商品名:エプトシーラー)からなるシートをスリット加工し、多孔質弾性体からなる1辺が2mmの四角断面の芯材を得た。得られた芯材の50%伸長回復率、50%伸長応力、横方向の50%圧縮応力及び50%伸長回復時の横方向応力の評価結果を表1に示す。
得られた芯材を芯にして、実施例1と同様にして伸縮電線を作成した。得られた伸縮電線の30%伸長荷重、残留歪み及び摩擦耐久性(電気抵抗値変化率)の評価結果を表1に示す。
シリコーンゴム100部に対して、有機過酸化物系のシリコーンゴム用加硫剤を0.8部の割合で添加した後、2本ロールを使用して室温で混練りしてシリコーンゴム原材料を作成し、シリコーンゴム用押出機でチューブ状に押し出し、420℃の加硫温度で予備加硫しながら成形速度70m/minで延伸して、外径2.2mm、内径1.3mmの中空糸形状の弾性体からなる芯材を得た。得られた芯材の50%伸長回復率、50%伸長応力、横方向の50%圧縮応力及び50%伸長回復時の横方向応力の評価結果を表1に示す。
得られた芯材を芯にして、実施例1と同様にして伸縮電線を作成した。得られた伸縮電線の30%伸長荷重、残留歪み及び摩擦耐久性(電気抵抗値変化率)の評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にして得られた芯材を用い、ダブルカバリング機を用いて、芯材を2.0倍に伸長しながら、Z方向に銅細線集合線(直径0.03mm×90本)2本を捲回させて伸縮電線中間体を得た。得られた伸縮電線中間体を芯にして、16本打ちの製紐機に仕掛け、1.8倍に伸長しながら、エステル仮撚糸(167dtex/72f)をZ方向及びS方向に各々8本ずつ配置して編組加工による外部被覆を行い、2本の導体線を有する伸縮電線を得た。得られた伸縮電線の30%伸長荷重、残留歪み及び摩擦耐久性(電気抵抗値変化率)の評価結果を表1に示す。
12番手の天然ゴム糸(1辺が2.1mmの四角断面)を芯材に用いた他は、実施例1と同様にして伸縮電線を作成した。芯材の得られた50%伸長回復率、50%伸長応力、横方向の50%圧縮応力、50%伸長回復時の横方向応力、得られた伸縮電線の30%伸長荷重、残留歪み及び摩擦耐久性(電気抵抗値変化率)の評価結果を表1に示す。
ダブルカバリング機を用い、940dtex/72fのポリウレタン弾性長繊維(旭化成せんい株式会社製、商品名:ロイカ)を6本引き揃えて芯にして、伸長倍率6倍で伸長しながら、155dtex/48fのナイロン仮撚糸を250T/mの下撚り(S撚り)および140T/mの上撚り(Z撚り)で捲回し、ポリウレタン弾性長繊維のダブルカバー糸からなる直径1.7mmの略丸断面の芯材を得た。得られた芯材の50%伸長回復率、50%伸長応力、横方向の50%圧縮応力及び50%伸長回復時の横方向応力の評価結果を表1に示す。
得られた芯材を芯にして、実施例1と同様にして伸縮電線を作成した。得られた伸縮電線の30%伸長荷重、残留歪み及び摩擦耐久性(電気抵抗値変化率)の評価結果を表1に示す。
エステル仮撚糸(333dtex/144f)を用い、16本打ちの製紐機を用いて編組加工を行い、エステル仮撚糸の組紐からなる直径2.0mmの略丸断面の芯材を得た。得られた芯材の50%伸長回復率、50%伸長応力、横方向の50%圧縮応力及び50%伸長回復時の横方向応力の評価結果を表1に示す。なお、芯材の50%伸長応力が高すぎるために、50%伸長して圧縮試験機に固定することが困難であったため、横方向の50%伸長回復時の横方向応力は評価不可能であった。
得られた芯材を芯にして、芯材の伸長倍率を1.3倍、伸縮電線中間体の伸長倍率を1.2にした以外は実施例1と同様にして伸縮電線を作成した。得られた伸縮電線の30%伸長荷重、残留歪み及び摩擦耐久性(電気抵抗値変化率)の評価結果を表1に示す。
比較例1の伸縮電線は、小さな力で伸縮が可能であり伸長回復性にも優れているが、芯材の横方向の圧縮応力が高すぎるため、図2に示すように導体線が芯材の表面に突出して捲回した構造となっており、摩擦耐久性が劣っていた。
比較例3の伸縮電線は、芯材の伸長性、伸長回復性及び横方向の圧縮応力が著しく低いため、得られた伸縮電線は伸長性及び伸長回復性が著しく低く、摩擦耐久性も大きく劣るものであった。
2 導体線
11 固定チャック
12 可動チャック
13 ステンレス棒
14 試料
Claims (6)
- 伸縮性を有する弾性体からなる芯材の周囲に導体線を捲回してなる伸縮電線において、芯材の50%伸長回復率が80%以上、50%伸長回復時の横方向応力が0.05cN/mm2以上、横方向の50%圧縮応力が5〜100cN/mm2であることを特徴とする伸縮電線。
- 芯材の50%伸長応力が1〜200cN/mm2であることを特徴とする請求項1に記載の伸縮電線。
- 芯材が、多孔質の弾性体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の伸縮電線。
- 芯材が、長手方向に連続した中空部を少なくとも一つ以上有する弾性体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の伸縮電線。
- 芯材が、弾性長繊維からなる編紐又は組紐であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の伸縮電線。
- 伸縮電線が、その外周に被覆部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の伸縮電線。
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