JP2009294609A - ラビング処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルムの広幅化、長尺化を行っても、幅方向の光学特性のバラツキが少なく、特に、変性PVAを配向するために好適なラビング処理方法を提供する。
【解決手段】配向膜形成材料層を備えた帯状可撓性支持体を連続走行させながら、外周にラビング布を装着したラビングローラを用いて配向膜を形成するラビング処理方法において、前記配向膜形成材料層は変性ポリビニルアルコールからなり、前記ラビング布はセルロース系天然素材または半合成繊維からなり、含水率が0.5〜7.0質量%であることを特徴とするラビング処理方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ラビング処理方法に係り、液晶表示装置の光学補償フィルム、特に、配向膜上に液晶層を積層する光学補償フィルムの配向膜のラビング処理方法に関する。
近年、光学フィルムの需要が増加しつつある。光学フィルムとしては、液晶セルに位相差板として使用される光学補償フィルムや、反射防止フィルム、防眩性フィルムなどの各種の機能を有するフィルムが代表的である。
このような光学フィルムの製造方法の代表的なものとして、帯状可撓性の支持体(以下、「ウエブ」ともいう)の表面にラビング処理を施し、次いで、ウエブの表面に各種塗布装置を使用して塗布液を塗布し、これを乾燥させ、その後に硬化させて各種組成の塗布膜(機能性膜)を形成する方法が挙げられる。
このラビング処理とは、液晶分子の配向処理方法の代表的なものであり、ウエブの表面に配向膜を形成し、この配向膜の表面をラビング用布材が付与されたラビングローラを用いて、一方向にラビング処理する方法が一般的である。
ラビング用布材を用いてラビング処理する方法として、各種の方法が提案されており、下記の特許文献1には、ラビング布の経糸と緯糸からなる地組織を、経糸と緯糸の少なくとも一方を疎水性合成繊維とすることでラビング布寸法安定性を改善し、配向処理の安定化を図る方法について開示されている。また、特許文献2には、光学フィルムの製造におけるラビング処理による配向不良に起因する表面欠陥を、フィルム裏面から加圧してラビングローラに押圧することにより、低減させる方法が開示されている。
特開2005−308886号公報 特開2006−267919号公報
しかしながら、液晶表示装置は、装置の大型化、高輝度化が進むとともに、製造コストの低減が求められている。これに伴い、液晶表示装置の部材である偏光板も大サイズ化、高機能化、品質向上が求められるとともに、生産性の向上も必要となっている。偏光板用部材である位相差フィルム、保護フィルムなどの光学フィルムも同様である。
光学フィルムの品質向上は輝点などの欠陥の低減化により、生産性向上はフィルムの広幅化、長尺化により達成することができる。特に、配向膜上に液晶層を積層する光学補償フィルムでは、配向膜のラビング処理の安定化は重要であり、フィルムの広幅化、長尺化によりその重要度が増している。
しかしながら、ラビング処理に用いるラビング布材料については、広幅化に伴う幅方向での均一なラビング処理ができず、光学補償フィルムの光学特性の幅方向のバラツキが大きいという問題があった。
このような問題は、ラビング布の温湿度に対する寸法安定性に起因し、具体的には、裁断後の寸法変化、ラビング布をロール貼合後の地組織配列の乱れにより、ラビング処理がフィルム幅方向、長さ方向に均一にできないため生じていた。
特許文献1に記載されている地組織を疎水性合成繊維とする方法により、このような問題を解決することができるが、配向膜素材との帯電特性、特に変性PVA(ポリビニルアルコール)を配向膜として塗布した光学フィルムにおいては、配向膜素材(変性PVA)が負の帯電であるのに対して疎水性合成繊維は、正に帯電するため、ラビング処理により発生する配向膜起因の塵埃がラビング布(パイル糸)と静電的相互作用により付着し易く、その後の除塵が充分に行えないという問題があった。
また、特許文献2に記載されているラビング処理に用いられるラビング布材料については、広幅化に伴う幅方向での均一なラビング処理ができず、光学補償フィルムの光学特性の幅方向バラツキが大きいという問題は解決できなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、フィルムの広幅化、長尺化を行っても、幅方向の光学特性のバラツキが少ない、特に、変性PVAを配向膜素材とする配向膜を配向処理するために好適なラビング処理方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は、前記目的を達成するために配向膜形成材料層を備えた帯状可撓性支持体を連続走行させながら、外周にラビング用布材を装着したラビングローラを用いて配向膜を形成するラビング処理方法において、前記配向膜形成材料層は変性ポリビニルアルコールからなり、前記ラビング用布材は、経糸および緯糸からなる地布組織と該地布組織に織り込まれたパイル糸からなり、材質がセルロース糸天然素材または半合成繊維であり、含水率が0.5〜7.0質量%であることを特徴とするラビング処理方法を提供する。
請求項1によれば、ラビング用布材として、セルロース系天然素材または半合成繊維を用い、ラビング用布材の含水率を0.5〜7.0質量%とすることにより、配向膜形成材料として用いる変性ポリビニルアルコール(変性PVA)に対して好適にラビング処理を行うことができる。したがって、ラビング処理により、パイル糸が地布組織から抜けることを防止することができるので、ラビング布のラビング性能が、ラビングされるフィルム幅方向でバラつきにくくなり、フィルムの広幅化に対応することができる。また、寿命が長くなるので、長尺化したフィルムに対しても、途中でラビング用布材を交換することなくラビング処理を行うことができる。
請求項2は請求項1において、前記ラビング用布材は、前記ラビング処理に使用するまでの間、温度が5〜20℃であり、かつ、湿度が10〜50RH%である環境で保存、貼合されていることを特徴とする。
請求項2は、ラビング用布材の含水率を0.5〜7.0%の範囲内にするための保存方法を規定したものであり、ラビング処理に使用するまでの間、温度5〜20℃、湿度10〜50RHD%の環境で保存することにより、上記含水率のラビング用布材を提供することができる。
請求項3は請求項1または2において、前記パイル糸の平均硬さが3〜30g/dであることを特徴とする。
請求項3は、配向膜に良好な配向性を得ることができ、輝点発生頻度の少ないフィルムを得るために好適な、パイル糸の平均硬さを規定したものである。パイル糸の平均硬さが上記範囲より低いと、配向膜の配向性が悪化する。また、上記範囲より高いと、フィルムにすり傷が発生するため好ましくない。
請求項4は請求項1から3いずれかにおいて、前記パイル糸の疲労寿命が、JIS L0849に定められた学振式摩擦堅牢度試験で60回以上であることを特徴とする。
近年、生産性向上の観点から偏光板用途の光学補償フィルムの長尺化と広幅化が要求されており、連続製造をするためにはラビング処理の途中でラビング布を交換することはできず、従来のラビング用布材では、長尺化に対応したラビング処理ができなかった。
請求項4によれば、パイル糸の疲労寿命を上記範囲とすることにより、長時間の使用においても、輝度の発生頻度を少なくして、品質要求の厳しいTV用途の液晶表示装置の光学補償フィルムを連続製造することができる。
請求項5は請求項1から4いずれかにおいて、前記パイル糸の相互摩擦係数(糸/糸)が0.15〜0.40であることを特徴とする。
請求項5によれば、パイル糸の相互摩擦係数を上記範囲とすることにより、配向膜に良好な配向性を得ることができ、輝点発生頻度の少ないフィルムを得ることができる。パイル糸の相互摩擦係数が上記範囲より低いと、輝点の数が増加するため好ましくない。また、上記範囲より高いと、配向性が悪くなるため好ましくない。
本発明のラビング処理方法によれば、変性PVAである配向膜形成材料層に、セルロース系天然素材または半合成繊維からなり、含水率が0.5〜7.0%であるラビング布を用いてラビング処理を行うことにより、好適にラビング処理を行うことができる。また、ラビング用布材の使用寿命を長くすることができるので、フィルムの長尺化に対応することが可能である。さらに、パイル糸が抜けることを防止することができるので、使用により幅方向のラビング性能にバラツキが生じにくくなり、フィルムの光学特性のバラツキが少なくなる。したがって、輝点発生頻度の少ない光学補償フィルムを製造することができる。
以下、本発明のラビング処理方法について説明する。
図1は、本発明のラビング処理方法に用いられるラビング用布材1の構成を示す部分拡大斜視図である。このラビング用布材1は、地布組織の経糸2と地布組織の緯糸3とが格子状に織られた基布にパイル糸4が織り込まれて形成されている。このうち図1(A)に示すラビング用布材1のように、パイル糸4が3本の緯糸3に織り込まれたものをW組織と称し、図1(B)に示すラビング用布材6のように、パイル糸7に織り込まれたものをV組織と称している。W組織およびV組織は、パイル糸の織り込み方が異なるのみで、用いられる材料は同様の材料を使用することができる。
基布としては、たとえばナイロン6・6(登録商標)などのポリアミド系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアクリル系、ポリシアン化ビニリデン系、ポリフルオロエチレン系、ポリウレタン系などの合成繊維、絹、綿、羊毛、セルロース系、セルロースエステル系などの天然繊維、再生繊維(レーヨン、アセテートなど)の中から選ばれる1種又は2種以上を組み合わせた繊維が挙げられる。
これらの繊維素材において、好ましくは、ナイロン6、ナイロン6・6(登録商標)などのポリアミド系、ポリアクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアクリル系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、再生繊維としてのセルロース系、セルロースエステル系であるレーヨンおよびアセテートが挙げられる。
この基布の経糸2および緯糸3は、たとえば1.4デニールの繊維が70本より合わされて約100デニールのフィラメントとなっている状態で使用される。このような経糸2および緯糸3としては、たとえば旭化成社製のキュプラレーヨン(ベンベルグ)フィラメントが好ましく使用できる。
パイル糸4としては、径が1.0〜2.5デニールのものが求められる。特に好ましくは、径が1.5〜2.0デニールである。パイル糸の径が1.0デニール未満の場合、ラビング不足により消光度が低減したり、パイル糸が磨耗しやすく配向性が不足となったりし、不具合が生じやすくなる。一方、パイル糸の径が2.5デニールを超える場合は、ラビング用布材の弾性が高くなり過ぎ、配向膜を強く擦り過ぎて、微粉の発生により面状欠点が生じ易くなるため好ましくない。
パイル糸4の密度は、25000〜150000本/cmとすることが好ましい。パイル糸の密度が、25000本/cm未満の場合、ラビング不足により消光度が低減したり、パイル糸が磨耗しやすく配向性が不足となったりし、不具合が生じやすくなる。一方、パイル糸の密度が150000本/cmを超える場合、パイル糸の抜けや脱落となりやすく、微粉の発生により面状欠点を生じやすく、また、コストアップとなるため好ましくない。
また、パイル糸4の材質としては、セルロース系天然繊維または半合成繊維で構成されており、具体的には、再生繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ)、半合成繊維(アセテート、トリアセテート)を挙げることができる。このようなパイル糸4としては、たとえば、ENKA社製のレーヨンフィラメント繊維を好ましく使用することができる。パイル糸4にセルロース系天然繊維または半合成繊維を用いることにより、変性PVAを配向膜素材とする配向膜を配向処理するためにラビング処理方法を行う際に、ラビング布の除塵を効率よく行うことができ、TV用途の光学補償フィルムの品質を向上できるという効果がある。
また、ラビング用布材において、パイル糸4が基布(経糸2および緯糸3)から抜け落ちないよう、目止め材を用いることができる。本発明に用いられる目止め材としては、たとえば、ポリビニル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、合成ゴム系、エポキシ系、フェノール系、これらに含まれないアクリル系などの合成樹脂エマルジョン、酢酸ビニル樹脂/エマルジョン型、酢酸ビニル樹脂/トルエン溶剤型、から1種または2種以上のブレンド物、またはこれらを組み合わせた共重合体エマルジョンが挙げられる。
本発明のラビング用布材は、含水率が0.5〜7.0%である。好ましくは、1.0〜6.0%であり、より好ましくは1.5〜5.5%である。ラビング用布材の含水率を上記範囲とすることにより、ラビング処理中にパイル糸が地布組織から抜けることを防止することができるので、ラビング布の寿命を長くすることができる。したがって、長尺化したフィルムに対しても、途中でラビング用布材を交換することなく、輝点の発生頻度を抑えてラビング処理を行うことができる。また、抜けるパイル糸の数を減らすことができるので、ゴミが出ず、このゴミにより面状が悪化することを防止することができるので、良好な面状のフィルムを形成することができる。含水率が0.5%未満であると、繊維がもろくなり、輝点の数が増加し、面状欠点が生じやすくなる。また、7%を超えると、配向性が不足となったりし、不具合が生じる。
含水率の測定方法としては、カールフィッシャー法により測定することができる。
また、ラビング用布材を上記の含水率とするために、ラビング用布材を温度5〜20℃の環境で保存することが好ましく、より好ましくは10〜18℃であり、さらに好ましくは12〜18℃である。保存温度が5℃未満であると、ラビング用布材の含水率が多くなり、配向性が不足し、不具合が生じる。また、保存温度が20℃を超えると、含水率が低くなるため、ラビング処理後のフィルムの輝点の数が増加し、面状欠点が増加するため好ましくない。
また、湿度は10〜50%の環境で保存することが好ましく、より好ましくは15〜40%であり、さらに好ましくは20〜35%である。保存湿度が10%未満であると、ラビング用布材の含水率が低くなるため、ラビング処理後のフィルムの輝点の数が増加し、面状欠点が増加するため好ましくない。また、湿度が50%を超えると、ラビング用布材の含水率が多くなるため、配向性が不足し、不具合が生じる。
また、本発明のラビング用布材は以下の物性を有することが好ましい。
パイル糸の平均硬さが3〜30g/dであることが好ましく、より好ましくは5〜25g/dであり、さらに好ましくは8〜20g/dである。パイル糸の平均型さが3g/d未満であると、ラビング不足により消光度が低減したり、配向性が不足となったりし、不具合が生じやすくなる。また、30g/dより大きいと、輝点の数が増加し、面状欠点が生じやすくなるので、好ましくない。
パイル糸の平均硬さは繊維の硬さ計で測定することができる。
パイル糸の疲労寿命は、JIS L0849に定められた学振式摩擦堅牢度試験で60回以上が好ましく、より好ましくは80回以上であり、さらに好ましくは100回以上である。パイル糸の疲労寿命が60回未満であると、輝点の数が増加し、面状欠点が悪くなるので、好ましくない。
パイル糸の疲労寿命は、学振式摩擦堅牢度試験機で測定することができる。
パイル糸の相互摩擦係数(糸/糸)は、0.15〜0.40であることが好ましく、より好ましくは0.15〜0.30であり、さらに好ましくは0.15〜0.25である。パイル糸の相互摩擦係数が0.15未満であると、ラビング不足により消光度が低減したり、配向性が不足となったりし、不具合が生じやすくなる。また、0.40より大きいと、輝点の数が増加し、面状欠点が生じやすくなるので、好ましくない。
本発明のラビング用布材は使用寿命を長くすることができるので、本発明のラビング用布材を用いて、300〜600Nm/mのラビング仕事量で4000mラビン処理した配向膜上に液晶層を積層した光学補償フィルムの、70μmを超える輝点数が、0.5個/m以下とすることができる。
次に本発明のラビング用布材に用いられる長尺フィルムについて説明する。長尺フィルムに用いられる支持体(ウエブ)としては、セルロースアシレートフィルムが好ましく用いられる。それらは、特開平9−152509号公報に詳細に記載されているものを適用できる。
配向膜はセルロースアシレートフィルム上またはそのセルロースアシレートフィルム上に塗設された下塗層上に設けられる。配向膜は、その上に設けられる液晶性ディスコティック化合物の配向方向を規定するように機能する。
配向膜を形成する有機化合物としては、変性ポリビニルアルコールが用いられ、均一に配向させる能力にすぐれている。これは、配向膜表面のヒドロキシル基とディスコティック液晶との強い相互作用のためと推察される。
特に本発明においては、配向膜に変性ポリビニルアルコールを用い、セルロース系天然素材または半合成繊維からなり、含水率が0.5〜7.0質量%のラビング布を用いてラビング処理を行うことにより、好適にラビング処理を行うことができる。また、変性PVAを配向膜素材とする配向膜をラビング処理する際に、ラビング布の除塵を効率よく行うことができ、TV用途の光学補償フィルムの品質を向上させることができる。
なお、上記配向膜形成材料層を備えた帯状可撓性支持体に上記ラビング布を装着したラビングローラを用いて配向膜を形成する方法としては、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、特開2006−267919号公報、特開2007−71992号公報に記載されている装置および方法により行うことができる。
また、本発明のラビング処理方法によれば、ラビング処理によりパイル糸が抜けることを防止することができるので、使用寿命を長くすることができる。したがって、本発明のラビング用布材を用いて、300〜600Nm/mのラビング仕事量で4000mラビン処理した配向膜上に液晶層を積層した光学補償フィルムの、70μmを超える輝点数が、0.5個/m以下とすることができる。
以下に、本発明を実施例および比較例により例証するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
図2に示す光学フィルムの製造ライン10を使用して各種の条件で光学補償フィルムの製造を行った。
図2に示す光学フィルムの製造ライン10において、トリアセチルセルロース(フジタック、富士フイルム(株)製、厚さ:100μm、幅:500mm)の長尺状のウエブ16の一方の側に、長鎖アルキル変性ポパール(MP−203、クラレ(株)製)5重量%の溶液を塗布し、90℃で4分間乾燥させた後、ラビング処理を行って膜厚2.0μmの配向膜形成用樹脂層を形成した。ウエブ16の搬送速度は、20m/分とした。
ラビング処理装置70において、ウエブ16を連続して20m/分で搬送しながら、樹脂層表面にラビング処理を施した。ラビング処理は、ラビングローラ72の回転数を300rpmにて行った。またラビング仕事量は400Nm/mであった。
ラビング用布材1としては、表1に記載のラビング用布材を使用した。また、ラビング用布材の材料としては、地布組織はキュプラレーヨンを用い、パイル糸はレーヨンを用いた。
ラビング処理の後、得られた配向膜を有するウエブ16を、連続して20m/分で搬送しながら、配向膜上に、ディスコティック化合物TE−8(3)とTE−8(5)の重量比で4:1の混合物に、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を上記混合物に対して1重量%添加した混合物の10重量%メチルエチルケトン溶液(塗布液)を、バー塗布装置11Bにて、塗布量5ml/mで塗布し、次いで、乾燥ゾーン76Bおよび加熱ゾーン78Bを通過させた。
乾燥ゾーン76Bには0.1m/秒の風を送り、加熱ゾーン78Bは130℃に調整した。ウエブ16は、塗布後3秒後に乾燥ゾーン76Bに入り、更に3秒後に加熱ゾーン78Bに入った。ウエブ16は加熱ゾーン78Bを約3分間で通過した。
次いで、この配向膜および液晶層が塗布されたウエブ16を、連続して20m/分で搬送しながら液晶層の表面に紫外線ランプ80により紫外線を照射した。すなわち、加熱ゾーン78Bを通過したウエブ16に、紫外線ランプ80(出力:160W/cm、発光長:1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、液晶層を架橋させた。
更に、配向膜および液晶層が形成されたウエブ16は、検査装置84により表面の光学特性が測定され、検査され、次いで、液晶層表面に保護フィルム88Aがラミネート機88により積層され、巻き取り機82により巻き取られ、光学補償フィルムが得られた。
得られた光学補償フィルムの評価を行った。評価は、ラビング用布材を用い、4000mラビン処理した配向膜上に液晶層を積層した光学補償フィルムについて、配向膜配向性、輝点発生頻度について評価を行った。結果を表1に示す。なお、表中の記号は以下の通りである。
≪配向膜配向性≫
配向膜配向性は、消光度を確認することで評価を行った。ここで、消光度とは、光学補償フィルムの消光度をいい、クロスニコルに配置した2枚の偏光板間に、透過率が最小となるように本発明のラビング用布材を用いて製造された光学補償フィルムを配置した時に測定される透過率をいう。透過率の測定波長は550nmであり、パラニコル配置の偏光板の透過率を100%とする。
◎・・・・・消光度が0.010%未満
○・・・・・消光度が0.010%以上0.015%未満
×・・・・・消光度が0.015%以上
≪輝点発生頻度≫
輝点発生頻度は、光源と検出装置(CCDカメラ)との間にクロスニコルに配置した2枚の偏光板間に、本発明のラビング用布材を用いて光学補償フィルムを配置した時に、光源CCDカメラにより検出された画像のサイズと10mあたりの検出個数から求めた。
◎・・・・・0.3個/m未満
○・・・・・0.3個/m以上〜0.5個/m未満
×・・・・・0.5個/m以上
Figure 2009294609
ラビング用布材の含水率が0.5〜7.0%の範囲内である実施例1〜8は、良好な配向性が得られ、輝点の数も少ない光学補償フィルムを製造することができた。パイル糸の平均硬さが3〜30g/d、疲労寿命が60回より低い実施例7、8においては、他の実施例に比べ、品質は劣るが良好なフィルムを製造することができた。含水率が本発明の範囲内に含まれない比較例においては、保存温度が本発明の範囲内である比較例2、4においては、輝点発生頻度が良好であったが、他の比較例については、配向膜配向性、輝点発生頻度とも不良であった。
以上のように、ラビング用布材の含水率を所定の範囲とすることにより、ラビング処理により、パイル糸が抜けることを防止することができるので、ラビング布用材の長寿命化をすることができ、フィルムの長尺化、広幅化にも対応することができる。また、長時間の使用に対しても、輝点の発生頻度を抑えて光学補償フィルムの製造を行うことができる。さらに、各物性を所定の範囲内とすることにより、より良好な光学補償フィルムを製造することができる。
ラビング用布材の構成を示す部分拡大斜視図である。 本発明のラビング用布材が適用される光学補償フィルムの製造ラインを示す説明図である。
符号の説明
1、6…ラビング用布材、2…経糸、3…緯糸、4、7…パイル糸、10…光学フィルムの製造ライン、11…バー塗布装置、16…ウエブ、66…送り出し機、68…ガイドローラ、70ラビング…処理装置、72…ラビングローラ、76…乾燥ゾーン、78…加熱ゾーン、80…紫外線ランプ、82…巻き取り機、84…ローラステージ、86、88…バックアップローラ

Claims (5)

  1. 配向膜形成材料層を備えた帯状可撓性支持体を連続走行させながら、外周にラビング用布材を装着したラビングローラを用いて配向膜を形成するラビング処理方法において、
    前記配向膜形成材料層は変性ポリビニルアルコールからなり、
    前記ラビング用布材は、経糸および緯糸からなる地布組織と該地布組織に織り込まれたパイル糸からなり、材質がセルロース糸天然素材または半合成繊維であり、含水率が0.5〜7.0質量%であることを特徴とするラビング処理方法。
  2. 前記ラビング用布材は、前記ラビング処理に使用するまでの間、温度が5〜20℃であり、かつ、湿度が10〜50RH%である環境で保存、貼合されていることを特徴とする請求項1に記載のラビング処理方法。
  3. 前記パイル糸の平均硬さが3〜30g/dであることを特徴とする請求項1または2に記載のラビング処理方法。
  4. 前記パイル糸の疲労寿命が、JIS L0849に定められた学振式摩擦堅牢度試験で60回以上であることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載のラビング処理方法。
  5. 前記パイル糸の相互摩擦係数(糸/糸)が0.15〜0.40であることを特徴とする請求項1から4いずれかに記載のラビング処理方法。
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