JP2009293709A - 流体圧緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ピストンロッド30を支持するロッドガイド40と、シリンダ10の開口部11を塞ぐオイルシール50との間に、ピストンロッド30を囲繞するように接触してそのピストンロッド30との間で所定の摩擦抵抗力を発生させる摩擦部材70を設けると共に、その摩擦部材70のピストンロッド30の接触部に、ロッドガイド40とオイルシール50間を連通する連通溝80を形成する。これによってロッドガイド40側からピストンロッド30の表面に適量のオイルLが供給されて常時最適な油膜を保持できるため、ピストンロッド30に対する摩擦部材70の作動追従性が向上し、所望のフリクションを安定して発生させることができる。
【選択図】図2
Description
すなわち、この流体圧緩衝器は、作動液体が充填されたシリンダと、このシリンダ内を往復動するピストンを支持するピストンロッドと、このピストンロッドを摺動自在に支持するガイドブッシュと、前記シリンダ内の作動流体の漏洩を防止するシールリップを有するシール部材とを備えると共に、そのシール部材とガイドブッシュとの間に摩擦部材を備えたものである。そして、この摩擦部材が常時そのシール部材とガイドブッシュとの間を通過するピストンロッドに弾接して前記シールリップよりも大きい摩擦力を発生させることで、サスペンションなどに発生する高周波振動を含む広範な振動を有効に低減することが可能となっている。
このため、作動時に摩擦部材の弾接部分にスティックやスリップなどが発生してピストンロッドに対する摩擦部材の作動追従性が乱れてしまい、所望のフリクションを安定して発生させることができないことがある。
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その主な目的は、ピストンロッドに対する摩擦部材の作動追従性を向上させて所望のフリクションを安定して発生させることができる新規な流体圧緩衝器を提供するものである。
これによって、ロッドガイド側からピストンロッドの表面に適量のオイルが供給されて常時最適な油膜を保持できるため、ピストンロッドに対する摩擦部材の作動追従性が向上し、所望のフリクションを安定して発生させることができる。
(第1の実施形態)
(構成)
図1〜図5は、本発明に係る流体圧緩衝器100の第1の実施の形態を示したものである。
先ず、図1に示すようにこの流体圧緩衝器100は、いわゆる複筒式(ツインチューブ)のショックアブソーバーであり、緩衝用流体であるオイルLが密封されたシリンダ10内にピストン20がその長手方向(上下方向)に沿って往復動自在に収容されている。
また、このピストン20には、ピストンロッド30の一端(下端)が連結されており、そのピストンロッド30の他端(上端)がシリンダ10の開口端11から上方に延びて図示しない車両側に連結されるようになっている。
また、このロッドガイド40は、その下端側がシリンダ10の内筒12の上端に嵌め込まれると共に、その上端外周部がシリンダ10の外筒13の内壁に接するように取り付けられており、外筒13の軸芯部に内筒12が位置するようにこれを支持すると共に、その間のリザーバ室14を区画形成する働きも為すようになっている。
そして、さらにこのオイルシール50の貫通孔51には、環状のリップシール52が設けられており、このリップシール52がピストンロッド30に常時弾接することで、ピストンロッド30の往復動を許容しつつ、その貫通孔51とピストンロッド30間の隙間を確実にシールするようになっている。
そして、図示するように、この保油室60には、ピストンロッド30を囲繞するように接触してこのピストンロッド30との間で所定の摩擦抵抗力(フリクション)を発生させるための摩擦部材70が収容されている。
図示するように、この摩擦部材70は、逆さ王冠状をした金属製のフレーム71に貫通孔72を形成すると共に、その貫通孔72の周縁に沿って、ゴムなどの弾性部材から筒状の摩擦体73を一体的に形成した構造となっている。
この摩擦体73は、ピストンロッド30の表面に弾接する内周面に、その周方向に沿って環状に突出した第1リップ部74と第2リップ部75とが上下に形成されている。
また、これら各連通溝80、80…は、その底部位置がその全長(上下方向)に亘ってフレーム71の貫通孔72付近となっている。従って、この第1リップ部74および第2リップ部75の頂部付近ではその切り欠き深さが深く、反対にその第1リップ部74および第2リップ部75の間ではその切り欠き深さが浅い状態となっている。
次に、このような構成をした本発明の流体圧緩衝器100の作用および効果を説明する。なお、ショックアブソーバーとしての本来の機能や作用・効果は、従来のものと何ら変わらないため、その説明は割愛する。
図5は、図3および図4に示すような状態の摩擦部材70を図1に示すようにオイルシール50とロッドガイド40間に形成される保油室60内に組み込んだ状態を示したものである。
図示するように、この摩擦部材70の貫通孔72にピストンロッド30が貫通した状態では、ピストンロッド30の外径に合わせてその貫通孔72を拡径するように摩擦体73内面の第1リップ部と第2リップ部とが変形してピストンロッド30の表面に弾接した状態となる。
また、このように摩擦部材70の摩擦体73内面が変形してピストンロッド30の表面に弾接した状態であっても、その内面に形成された各連通溝80、80…は、いずれも一定の開口面積を確保することができる。これは、前述したように各連通溝80、80…の切り込み深さを一定としたため、摩擦体73内面の第1リップ部と第2リップ部とが大きく変形してもその変形が各連通溝80、80…の底部まで及ばないからである。
これによって、摩擦部材70のスティック、スリップ現象を抑制することができるため、ピストンロッド30に対する摩擦部材70の作動追従性が向上し、所望のフリクションを安定して発生させることができる。
この結果、例えば、摩擦部材70による大きな摩擦抵抗力を必要としない軽量車への採用やマイルドな摩擦抵抗力特性のニーズに応えることができる。
次に、本発明に係る流体圧緩衝器100の第2の実施の形態を説明する。
図7は、本発明に係る流体圧緩衝器100の第2の実施の形態を示したものであり、前述したように摩擦部材70のピストンロッド30の接触部に、前記ピストンロッド30の周方向に延びる油保持溝90をさらに形成したものである。
より詳しくは、この摩擦部材70を構成する摩擦体73内面の第1リップ部74と第2リップ部75の頂部に沿って形成され、かつこれら第1リップ部74と第2リップ部75がピストンロッド30に弾接したときに所定の開口面積を確保できる大きさとなっている。
このような構成とすれば、ピストンロッド30と摩擦部材70との接触部に、常に一定量のオイルが保持されるため、常に最適な油膜をより確実に保持することが可能となる。
なお、この油保持溝90には、各連通溝80、80…を介してオイルLが流れ込むようになるため、油切れを起こすこともない。
また、前記連通溝80、80…は、ロッドガイド40とオイルシール50間を連通するものであれば、図4や図7などに示すようにピストンロッド30と平行な直線に限定されるものでなく、斜めあるいは螺旋状であっても良い。
10…シリンダ
20…ピストン
30…ピストンロッド
40…ロッドガイド
50…オイルシール
60…保油室
70…摩擦部材
80…連通溝
90…油保持溝
Claims (3)
- 流体が封入されたシリンダと、当該シリンダ内を往復動するピストンを支持するピストンロッドと、当該ピストンロッドが挿脱する前記シリンダの開口部を封止するオイルシールと、前記シリンダ内に挿入されたピストンロッドをその内壁側から支持するロッドガイドとを有する流体圧緩衝器であって、
前記ロッドガイドとオイルシールとの間に、前記ピストンロッドを囲繞するように接触して当該ピストンロッドとの間で所定の摩擦抵抗力を発生させる摩擦部材を設けると共に、当該摩擦部材の前記ピストンロッドの接触部に、前記ロッドガイドとオイルシール間を連通する連通溝を少なくとも1つ形成したことを特徴とする流体圧緩衝器。 - 請求項1に記載の流体圧緩衝器において、
前記摩擦部材の前記ピストンロッドの接触部は、前記ピストンロッドの移動方向に当該ピストンロッドに弾接する環状の第1リップ部と第2リップ部とを有すると共に、前記連通溝は、前記第1リップ部と第2リップ部とが前記ピストンロッドに弾接した状態で所定の開口面積を確保できる深さとなっていることを特徴とする流体圧緩衝器。 - 請求項2に記載の流体圧緩衝器において、
前記第1リップ部または第2リップ部のいずれか一方あるいは両方のリップ部の頂部に、その円周方向に沿って延びる油保持溝を形成したことを特徴とする流体圧緩衝器。
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