JP2009291923A - ボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具 - Google Patents

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Abstract

【課題】送電鉄塔の組み立て作業等の種々の高所作業において、作業員がハーネス式のベルトを装着することにより所定の袋を作業員の前側に配置して、作業員がボルト・ナット等や工具類を落下させてしまう事態の発生を確実に阻止するボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具を提供する。
【解決手段】本発明は、ハーネス式のベルトを用いて所定の袋を作業員の前側に配置することができるボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具であり、ハーネス式のベルトは、作業員の背中側で交差して作業員の両肩に掛ける一対の長ベルト体により構成され、一対の長ベルト体の先端側部分は、作業員の両肩を越えて作業員の腹側に配置された状態で袋を吊り下げ、一対の長ベルト体の後端側部分は、作業員の背中側から胴に巻き付くように作業員の腹側に配置された状態で接合する。
【選択図】図4

Description

本発明は、送電鉄塔の組み立て作業等の種々の高所作業において、作業員がハーネス式のベルトを装着することにより所定の袋を作業員の前側に配置して、作業員がボルト・ナット等や工具類を落下させてしまう事態の発生を確実に阻止すると共に、高所作業における作業効率を飛躍的に向上させることのできるボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具に関するものである。
送電鉄塔の組み立て作業等の種々の高所作業においては、作業員の墜落を防止して作業の安全を確保するために、作業員は所定の安全帯を身に付けて作業を行うのが一般的である。
この安全帯には、様々な構造のものが存在する。例えば、胴ベルト型安全帯は、図12に示すように、バックルを備えている胴ベルト100に幅広の補助ベルトを取り付けると共に、先端部にカラビナ101を有するロープ102の基端部を、所定の接続具を介して胴ベルト100に連結している。
そして、図12に示すように、作業員Sは補助ベルトを腰に当てるようにして胴ベルト100を装着し、カラビナ101を身近に位置している部材に引っ掛けて、種々の高所作業を行っている。
このような胴ベルト型安全帯では、補助ベルトが取り付けられている胴ベルト100の位置に、ボルト・ナット等や工具類が収納される腰袋103や、ペンチケース104等が必要に応じて取り付けられている。
また、腰袋103が2本のベルト通しを備え、このベルト通しを介して胴ベルト100に腰袋103が取り付けられるものとして、特許文献1に示すものが存在する。
実用新案登録第3098146号公報
しかしながら、上記した胴ベルト型安全帯に取り付けられている腰袋103や、特許文献1に示す腰袋103は、いずれも胴ベルト100を介して作業員Sの背中側に配置されていることから、作業の際は、図12に示すように、作業員Sは腕を後ろに回して腰袋103に手を入れ、手探りでボルト・ナット等や工具類を選択して摘み取ることとなり、腰袋103からのボルト・ナット等や工具類の取り出しに時間を費やしていた。
また、作業員Sは手袋をしていることから、腰袋103に手を入れてボルト・ナット等や工具類を摘み取るときに、手袋の一部にボルト・ナット等や工具類が引っ掛ってしまうことがある。そして、腰袋103が胴ベルト100を介して作業員Sの背中側に配置されているため、手袋の一部にボルト・ナット等や工具類が引っ掛っている状況を視認できず、そのままボルト・ナット等や工具類が落下してしまう事態が生じていた。
さらに、作業員Sは何度も腕を後ろに回し、腰袋103に手を入れてボルト・ナット等や工具類を摘み取るため、作業員Sが疲労してしまう要因となっていた。
また、複数のボルト・ナット等や工具類を腰袋103に入れるとそれだけでも相当の重量になり、このような重い腰袋103を胴ベルト100を介して作業員Sの腰で支持することから、この点においても作業員Sが疲労してしまう要因となっていた。
すなわち、作業員Sは、胴ベルト100が備えているカラビナ101を身近に位置している部材に引っ掛けて種々の高所作業を行うが、作業員Sの体重を胴ベルト100によりある程度支持した状態となることが多く、それだけでも作業員Sの腰に負担を与えていることとなる。
このような状態でありながら、さらに重い腰袋103を胴ベルト100に取り付けると、作業姿勢によっては作業員Sの腰にさらに大きな負担を与えてしまい、作業員Sが短時間の高所作業で疲労してしまうのである。
この他、図13に示すように、ボルト・ナット等や工具類が収納されている袋105が、送電鉄塔等の所定の位置に吊り下げられている場合もあるが、このような場合にも、袋105に手を入れてボルト・ナット等や工具類を摘み取るときに、手袋の一部にボルト・ナット等や工具類が引っ掛ってしまい、これらが落下してしまう事態が生じていた。
また、袋105が吊り下げられている場合、送電鉄塔の組み立て作業現場等において袋105の吊り下げ位置が限定されることから、ときとして作業員Sに無理な姿勢での作業を強いることとなり、作業員Sが疲労してしまう事態も生じていた。
そこで、本発明は如上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、所定の袋を安全帯としての胴ベルトに取り付けるのではなく、胴ベルトとは別のハーネス式のベルトを作業員が装着し、このハーネス式のベルトに袋を取り付けて作業員の前側に袋を配置することとし、袋に手を入れてボルト・ナット等や工具類を摘み取るときにこれらが落下してしまう事態の発生を確実に阻止すると共に、重い袋を作業員の両肩で支持して作業員の疲労を軽減し、高所作業における作業効率を飛躍的に向上させることのできるボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具を提供することを目的とする。
本発明は、ハーネス式のベルトを用いて所定の袋を作業員の前側に配置することができるボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具であり、ハーネス式のベルトは、作業員の背中側で交差して作業員の両肩に掛ける一対の長ベルト体により構成され、一対の長ベルト体の先端側部分は、作業員の両肩を越えて作業員の腹側に配置された状態で袋を吊り下げ、一対の長ベルト体の後端側部分は、作業員の背中側から胴に巻き付くように作業員の腹側に配置された状態で接合することで、上述した課題を解決した。
また、本発明は、ハーネス式のベルトを用いて所定の袋を作業員の前側に配置することができるボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具であり、ハーネス式のベルトは、作業員の背中側で交差して作業員の両肩に掛ける一対の長ベルト体により構成され、一対の長ベルト体の先端側部分は、作業員の両肩を越えて作業員の腹側に配置された状態で袋の上部に連結し、一対の長ベルト体の後端側部分は、作業員の背中側から胴に巻き付くように作業員の腹側に配置された状態で袋の下部に連結することで、同じく上述した課題を解決した。
さらに、一対の長ベルト体は、略X状に形成された背当てパットを介して、交差した状態を維持するように取り付けられていることで、同じく上述した課題を解決した。
また、一対の長ベルト体の先端側部分は、自身を接合する補助ベルトを備えていることで、同じく上述した課題を解決した。
加えて、作業員の前側に配置する袋は、その開口部に、ファスナーを介して開閉可能に取り付けられている蓋を備えていることで、同じく上述した課題を解決した。
また、作業員の前側に配置する袋に、ボルト・ナット等を嵌め入れてその落下を防止する保持体を、紐状部を介して複数取り付けていることで、同じく上述した課題を解決した。
本発明は、所定の袋を安全帯としての胴ベルトに取り付けるのではなく、胴ベルトとは別のハーネス式のベルトを作業員が装着し、このハーネス式のベルトに袋を取り付けて作業員の前側に袋を配置することに特徴を有している。
すなわち、本発明は、ハーネス式のベルトを用いて所定の袋を作業員の前側に配置できることから、作業員は袋に手を入れて視認しながらボルト・ナット等や工具類を選択して摘み取ることができ、袋からのボルト・ナット等や工具類の取り出しが極めて容易となる。
そのため、送電鉄塔の組み立て作業等の種々の高所作業において、作業員は袋から所望のボルト・ナット等や工具類を即座に取り出して、全体の作業時間を大幅に短縮することができる。
また、作業員が袋に手を入れてボルト・ナット等や工具類を摘み取るときに、手袋の一部にボルト・ナット等や工具類が引っ掛っている場合には、その状況を作業員が直ちに視認して、手袋に引っ掛っていボルト・ナット等や工具類を袋内に戻すことができる。
そのため、種々の高所作業において、ボルト・ナット等や工具類が落下してしまう事態の発生を確実に阻止することができる。
さらに、全ての作業を、作業員が自由に腕を動かすことができる作業員の前側で行うため、長時間の高所作業においても作業員が疲労することがない。
この他、所定の袋を従来のように安全帯としての胴ベルトに取り付けていないため、作業員の腰に過度の負担を与えることがない。
すなわち、ハーネス式のベルトは、作業員の背中側で交差して作業員の両肩に掛ける一対の長ベルト体により構成され、一対の長ベルト体の先端側部分は、作業員の両肩を越えて作業員の腹側に配置された状態で袋を吊り下げることから、袋の荷重を作業員の両肩により楽に支持できる。
このとき、ベルト体の2点により袋を吊り下げることから、作業員の前側で袋の移動が比較的に容易となり、例えば、作業員が腹這ったような状態で作業を行うとき等に適したものとなる。
また、一対の長ベルト体の後端側部分は、作業員の背中側から胴に巻き付くように作業員の腹側に配置された状態で接合していることから、作業員が装着しているハーネス式のベルトが不意に外れて袋自体が落下してしまう事態の発生も阻止することができる。
さらに、一対の長ベルト体の先端側部分は、作業員の両肩を越えて作業員の腹側に配置された状態で袋の上部に連結し、一対の長ベルト体の後端側部分は、作業員の背中側から胴に巻き付くように作業員の腹側に配置された状態で袋の下部に連結したときには、ベルト体の4点により袋を安定した状態で作業員の前側に配置することができる。
また、一対の長ベルト体は、略X状に形成された背当てパットを介して、交差した状態を維持するように取り付けられていることから、作業員が装着しているハーネス式のベルトが不意に両肩から外れてしまうことがない。また、背当てパットが作業員の両肩と背中に当たって、袋の荷重を作業員が楽に支持でき、比較的に長い連続した高所作業にも耐え得ることになる。
加えて、一対の長ベルト体の先端側部分は、自身を接合する補助ベルトを備えていることから、作業員が装着しているハーネス式のベルトが不意に外れてしまうことがない。
また、作業員の前側に配置する袋は、その開口部に、ファスナーを介して開閉可能に取り付けられている蓋を備えていることから、例えば、作業員が移動するときに蓋を閉じることにより、袋からボルト・ナット等や工具類が飛び出して落下してしまう事態の発生を阻止できる。
さらに、作業員の前側に配置する袋に、種々のボルト・ナット等を嵌め入れてその落下を防止する保持体を、紐状部を介して取り付けたときには、袋内においてボルト・ナット等を嵌め入れてから保持体を袋の外に移動させた後、誤って保持体を落としてしまった場合であっても、保持体が紐状部を介して袋に取り付けられていることから、保持体の落下が阻止される。そのため、この保持体を介して、ボルト・ナット等が落下してしまう事態の発生をより確実に阻止することができる。
また、袋に保持体を複数取り付けたときには、ボルト・ナット等の落下を防止した状態での作業性を向上させることができる。
このように、種々の高所作業において、ボルト・ナット等や工具類が落下してしまう事態の発生を確実に阻止することから、落下対策として落下防止ネットを設置する必要もなくなり、その設置工事費用を削減することができる。
加えて、袋を安全帯としての胴ベルトに取り付けるのではなく、胴ベルトとは別のハーネス式のベルトを作業員が装着し、このハーネス式のベルトに袋を取り付けているため、作業員は多くのボルト・ナット等や工具類が収納されている重い袋であっても、比較的に楽に袋を吊り下げることができる。
その結果、ボルト・ナット等や工具類が収納されている袋を送電鉄塔等の所定の位置に吊り下げておく必要がなくなり、それに伴って袋からボルト・ナット等や工具類が落下してしまう事態や、作業現場において袋の吊り下げ位置が限定されることから作業員に無理な姿勢での作業を強いる等の弊害も生じることがない。
この他、紐部材の両端部にカラビナを取り付けている安全ロープを、合わせて利用することもできる。例えば、ベルト体の4点を袋に連結している状態において、袋に安全ロープのカラビナを連結し、安全ロープの他のカラビナを作業員の身近に位置している部材に引っ掛けて、作業員の体重を袋を介してハーネス式のベルトにより支持した状態としたときには、ハーネス式のベルトを、作業員の墜落を防止する安全帯としても活用することができるのである。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
本発明は、図1乃至図4に示すように、ハーネス式のベルト1を用いて所定の袋2を作業員Sの前側に配置することができる、ボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具に関するものである。
ハーネス式のベルト1は、図1に示すように、作業員Sの背中側で交差して作業員Sの両肩に掛ける一対の長ベルト体3により構成されている。
一対の長ベルト体3の先端側部分は、図4に示すように、作業員Sの肩を越えて作業員Sの腹側に配置された状態で袋2を吊り下げている。また、一対の長ベルト体3の後端側部分は、作業員Sの背中側から胴に巻き付くように作業員Sの腹側に配置された状態で接合している。
個々の長ベルト体3は、図1に示すように、先端側部分に折り返しバックル4を取り付けている。この折り返しバックル4には、所定の長さの折り返し帯5が挿通して折り返し状に取り付けられている。この折り返し帯5には、方形の筒状に形成されたベルト通し6が取り付けられている。
そして、ベルト通し6を通過している一方の帯片の先端部に、バックル7を設けている。また、ベルト通し6を通過しているもう一方の帯片の先端部に、環状部8を設けている。この折り返しバックル4は、個々の長ベルト体3の長さを調節する機能も有している。
さらに、一方の長ベルト体3の基端部にバックル7を設けている。また、他方の長ベルト体3の基端部にバックル挿通板9を設けている。
そして、一対の長ベルト体3は、略X状に形成された背当てパット10を介して、交差した状態を維持するように取り付けられている。また、背当てパット10の中心部には、一対の長ベルト体3の交差した状態を維持する挿通保持体11を設けている。さらに、背当てパット10は、図2に示すように、作業員Sの両肩と背中に当たる面の全体がメッシュ状部材を用いて形成され、4箇所に方形状の滑り止め片12を固定している。また、背当てパット10は、クッション部材を内蔵しており、背当てパット10全体が柔軟性を有している。尚、背当てパット10の他面側と挿通保持体11の構成については、後に詳述する。
このように形成された一対の長ベルト体3の基端部同士は、互いに向かい合った状態で接合される。具体的には、図1に示すように、一方の長ベルト体3の折り返し帯5に設けている環状部8に、他方の長ベルト体3の基端部を内向きに通過させ、一対の長ベルト体3の基端部同士を互いに向かい合った状態とする。そして、一方の長ベルト体3に設けているバックル7に、他方の長ベルト体3に設けているバックル挿通板9を嵌め入れて、その基端部同士を接合するのである。
ハーネス式のベルト1を用いて作業員Sの前側に吊り下げる袋2は、図3に示すように、例えば、厚い布部材を用いて方形の箱状に形成されており、その開口部に、ファスナー15を介して開閉可能に取り付けられている蓋16を備えている。
また、蓋16には、フック(ループ)状テープ17を1枚設けている。さらに、袋2における開口部近傍の前壁部には、ループ(フック)状テープ18を1枚設けている。
この他、袋2は、開口部近傍の後壁部に、2個の差込プレート19を上向きに取り付けている。差込プレート19は、所定幅の挿通孔を有し、この挿通孔を通って折り返している接続片20を介して袋2に固定されている。
また、袋2の開口部近傍の側壁部のそれぞれに、カラビナを装着するカラビナ通し部21を取り付けている。このカラビナ通し部21は、所定の帯片を折り返して形成している。
さらに、袋2の開口部近傍の前壁部に、所定の間隔を開けて2個のD状環22を取り付けている。このD状環22は、D状環22内を通って折り返している接続片23を介して袋2に固定されている。
また、袋2の底部近傍の前壁部に、所定の間隔を開けて複数の水抜き孔24を設けている。
作業員Sがボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具を使用するときは、まず、ハーネス式のベルト1を構成している一対の長ベルト体3のバックル7とバックル挿通板9を外した状態でベルト1を背負い、背当てパット10の一部(後述する2個の保持片31部分)を作業員Sの両肩に当てるようにして、他の背当てパット10の全体を作業員Sの背中側に配置する。そして、図4に示すように、一対の長ベルト体3の先端側部分を、作業員Sの両肩を越えるようにして作業員Sの腹側に配置する。
また、一対の長ベルト体3の後端側部分を、作業員Sの背中側から胴に巻き付けるようにして作業員Sの腹側に配置し、バックル7にバックル挿通板9を嵌め込んで接合させる。
この状態で、一対の長ベルト体3の先端側部分のバックル7に、袋2の差込プレート19を嵌め込んで、一対の長ベルト体3に袋2を吊り下げるのである。
そして、送電鉄塔の組み立て作業等の種々の高所作業現場においては、図4に示すように、作業員Sは胴ベルト100を装着し、カラビナ101を身近に位置している部材に引っ掛けて墜落を防止した状態において、ベルト1を介して吊り下げている袋2からボルト・ナット等や工具類を取り出して、その組み付け作業等を行うのである。
尚、図1乃至図4に示すボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具は、ベルト1により袋2の2点を支持するものであるが、これに限定されることはなく、袋2の4点を支持する構造のものであっても差し支えない。以下に、この4点支持構造のボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具について詳述する。
4点支持構造のボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具は、図7に示すように、ハーネス式のベルト1を用いて袋2を作業員Sの前側に配置するものであり、ハーネス式のベルト1は、作業員Sの背中側で交差して作業員Sの両肩に掛ける一対の長ベルト体3により構成されている。これらの構成は、2点支持構造のものと同様である。
一対の長ベルト体3の先端側部分は、図7に示すように、作業員Sの両肩を越えて作業員Sの腹側に配置された状態で袋2の上部に連結している。また、一対の長ベルト体の後端側部分は、作業員Sの背中側から胴に巻き付くように作業員Sの腹側に配置された状態で袋2の下部に連結している。
さらに、図5に示すように、個々の長ベルト体3の先端部には、バックル7を設けている。また、個々の長ベルト体3の後端部にも、バックル70を設けている。
そして、一対の長ベルト体3は、略X状に形成された背当てパット10を介して、交差した状態を維持するように取り付けられている。この背当てパット10は、図5に示すように、作業員Sの両肩に当てられる長尺な2個の保持片31と、作業員Sの背中に当てられる短尺な2個の保持片32を備えている。また、4個の保持片31、32の間は、幅広な方形状部39を形成している。
それぞれの保持片31、32の長手方向に沿った両側には、いずれも略長方形状に形成された下方押さえ片33と上方押さえ片34を取り付けている。この下方押さえ片33の下端縁部には、フック(ループ)状テープ35を設けている。また、上方押さえ片34の上端縁部にも、ループ(フック)状テープ36を設けている。
そして、図5に示すように、背当てパット10の保持片31、32に、交差している一対の長ベルト体3を宛がい、長ベルト体3の上に下方押さえ片33と上方押さえ片34を重ね合わせ、フック(ループ)状テープ35、ループ(フック)状テープ36同士を接合することにより、背当てパット10の保持片31、32に交差している一対の長ベルト体3を取り付けるのである。
さらに、交差している一対の長ベルト体3は、図5に示すように、背当てパット10の方形状部39に設けられている挿通保持体11を通過している。挿通保持体11は、その上方に長尺な挿通孔37を有し、下方に短尺な2個の挿通孔38を隣設させている。2個の挿通孔38は、その外端部がいずれも上方に若干位置して、傾いたような状態で隣設されている。
そして、傾いたような状態で隣設されている2個の挿通孔38に個々の長ベルト体を通過させて、一対の長ベルト体3を交差させる。この交差した状態で、挿通孔37にベルト体を通過させて、一対の長ベルト体3の交差した状態を維持するのである。この他、背当てパット10には、2個の保持片32の間に、略台形状の補強片45を設けている。
また、図5に示すように、一方の長ベルト体3の先端側部分と、他方の長ベルト体の後端側部分を、それぞれ所定の長さの連設ベルト40を介して接合している。接合の手段は、連設ベルト40の両端部を、一方の長ベルト体の先端側部分と、他方の長ベルト体の後端側部分にそれぞれ縫着するものである。このようにして、一方の長ベルト体3の先端側部分、他方の長ベルト体3の後端側部分、連設ベルト40のそれぞれにより所定の環状部分が形成され、ハーネス式のベルト1全体としては、背当てパット10を介して左右に2個の環状部分を有することとなる。
さらに、一対の長ベルト体3の先端側部分には、自身の先端側部分同士を接合する補助ベルト50を備えている。
補助ベルト50は、一方の長ベルト体3の先端側部分に巻回して取り付けている短尺なベルト片51と、他方の長ベルト体3の先端側部分に巻回して取り付けている長尺なベルト片52により形成されている。短尺なベルト片51の先端部には、バックル53を設けている。また、長尺なベルト片52の先端部には、バックル挿通爪片54を設けている。
そして、短尺なベルト片51のバックル53に長尺なベルト片52のバックル挿通爪片54を嵌め入れて、一対の長ベルト体3の先端側部分を接合する補助ベルト50とするのである。
このように構成されたハーネス式のベルト1を用いて作業員Sの前側に配置する袋2は、図6(a)に示すように、方形の箱状に形成されており、その開口部に、ファスナー15を介して開閉可能に取り付けられている蓋16を備えている。また、蓋16には、フック(ループ)状テープ17を縦方向に2枚設けている。さらに、袋2における前壁部にも、ループ(フック)状テープ18を縦方向に2枚設けている。
この他、袋2は、側壁部における開口部近傍の後壁部寄りに、2個の差込プレート19を上向きに取り付けている。差込プレート19は、所定幅の挿通孔を有し、この挿通孔を通って折り返している接続片20を介して袋2に固定されている。
また、側壁部における差込プレート19の隣に、カラビナを装着するカラビナ通し部21を取り付けている。このカラビナ通し部21は、所定の帯片を折り返して形成している。
さらに、側壁部における開口部近傍の後壁部寄りに、2個のD状環22を取り付けている。このD状環22は、D状環22内を通って折り返している接続片23を介して袋2に固定されている。また、それぞれの側壁部には、所定のポケット25を設けている。
この他、側壁部における底部近傍の後壁部寄りに、差込プレート26を後ろ向きに設けている。差込プレート26は所定幅の挿通孔を有し、この挿通孔を通って折り返している接続片27を介して袋2の側壁部に固定されている。
また、差込プレート19の接続片20、カラビナ通し部21、D状環22の接続片23のそれぞれの基端部に接合するようにして、長方形状の補強片28を固定している。さらに、後壁部には、ベルト通し29を2個設けている。このベルト通し29は、所定のベルトを横方向に挿通させるものである。
袋2からボルト・ナット等や工具類を取り出すときは、図6(b)に示すように、袋2の蓋16を回動させて袋2の開口部を露出させた状態とする。そして、さらに蓋16を回動させ、図6(c)に示すように、蓋16のフック(ループ)状テープ17を袋2における前壁部のループ(フック)状テープ18に接合させる。これにより、袋2の開口部が完全に露出した状態が維持される。
作業員Sがボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具を使用するときは、まず、ベルト1を背負い、背当てパット10の2個の保持片31を作業員のS両肩に当てるようにして、他の背当てパット10の全体を作業員Sの背中側に配置する。そして、背当てパット10を介して左右に2個形成されているそれぞれの環状部分から、作業員Sの両腕をそれぞれ突出させる。
また、図7に示すように、一対の長ベルト体3の先端側部分を、作業員Sの両肩を越えるようにして作業員Sの腹側に配置する。この状態で一対の長ベルト体3の先端側部分のバックル7に、袋2の上部おいて上向きに設けられている差込プレート19を嵌め込んで、一対の長ベルト体3の先端側部分に袋2を吊り下げるのである。
さらに、一対の長ベルト体3の後端側部分は、作業員Sの背中側から胴に巻き付くように作業員Sの腹側に配置する。この状態で一対の長ベルト体3の後端側部分のバックル70に、袋2の下部おいて後ろ向きに設けている差込プレート26を嵌め込んで、袋2を作業員Sの前側に安定した状態で配置するのである。
そして、送電鉄塔の組み立て作業等の種々の高所作業現場においては、図7に示すように、作業員Sは胴ベルト100を装着し、カラビナ101を身近に位置している部材に引っ掛けて墜落を防止した状態において、ベルト1を介して作業員Sの前側に安定した状態で配置している袋2からボルト・ナット等や工具類を取り出して、その組み付け作業等を行うのである。
この他、袋2には、図8・図10に示すように、ボルト・ナット等を嵌め入れてボルト・ナット等の落下を防止する保持体60を、紐状部61を介して2個取り付けている。
この保持体60は、図9(a)に示すように、ゴム材等の柔軟性素材を用いて筒状に形成されている。この筒状の開口部は、図9(b)に示すように、ボルトBにおける頭部の輪郭や、ナットの輪郭にほぼ合致した大きさを有している。具体的には、図9(a)に示すように、筒状の開口部には、開口部の拡がりを許容するために、直線状の切り込み部63と円形状の切り欠き部64を連設したものを開口部に対向するように2個設けている。
また、筒状の開口部には、内向きの突出片65を設けている。そして、図8・図9(b)に示すように、ボルトBの頭部を保持体60における筒状の開口部に押し込むようにして嵌め入れ、突出片65にボルトBの頭部を係合させてボルトBの抜け落ちを防止するようにして、保持体60にボルトBを保持させているのである。
さらに、紐状部61の基端部には、接続リング62が取り付けられている。この接続リング62を袋2のD状環22に係合させて、袋2に紐状部61を介して保持体60を取り付けている。
そして、送電鉄塔の組み立て作業等の種々の高所作業現場においては、作業員Sが袋2内において保持体60にボルトBの頭部等をその筒状の開口部に押し込むようにして嵌め入れ、図10に示すように、作業員Sが保持体60を手に持って袋2の外に持ち出して、その組み付け作業等を行うのである。
このとき、作業員Sが誤って保持体60を落としてしまった場合であっても、保持体60が紐状部61を介して袋2に取り付けられていることから、保持体60の落下が阻止され、保持体60に嵌め入れられているボルトB等が落下することがないのである。
この他、4点支持構造の工具の落下防止用装着具として、他の構成のものを以下に説明する。尚、既に説明した部分と同じ構成を有する部分には、同一の符号を付すことにより、その説明を省略している。
この工具の落下防止用装着具は、図11に示すように、ハーネス式のベルト1を構成する一対の長ベルト体3が、図5に示すタイプのものより短く形成されている。
そして、個々の長ベルト体3の先端部には、バックル7を設けている。また、個々の長ベルト体3の後端部にも、バックル70を設けている。さらに、一対の長ベルト体3は、略X状に形成された背当てパット10を介して、交差した状態を維持するように取り付けられている。
また、図11に示すように、一方の長ベルト体3の先端側部分と、他方の長ベルト体3の後端側部分を、連設ベルト40を介して接合している。この連設ベルト40の両端部は、一対の長ベルト体3を交差した状態に取り付けている背当てパット10に近接した位置に縫着されている。
このようにして、一方の長ベルト体3の先端側部分、他方の長ベルト体の後端側部分、連設ベルト40のそれぞれにより、比較的に小さめの環状部分が形成されている。
また、補助ベルト50は、一方の長ベルト体3の先端側部分に巻回して取り付けている短尺なベルト片51と、他方の長ベルト体3の先端側部分に巻回して取り付けている長尺なベルト片52により形成されているが、両ベルト片51、52は、いずれも長ベルト体3の先端部に設けているバックル7に近い位置に固定されている。
すなわち、両ベルト片51、52は、長ベルト体3の先端側部分における連設ベルト40との縫着部分よりも先に位置している。
尚、作業員Sがボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具を使用するときの、ハーネス式のベルト1を装着する手順、また、ハーネス式のベルト1に袋2を取り付ける手順は、前記した4点支持構造のものと同様であるので、その説明は省略する。
本発明は、作業員がボルト・ナット等や工具類を落下させてしまう事態の発生を確実に阻止すると共に、高所作業における作業効率を飛躍的に向上させることのできるボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具として、送電鉄塔の組み立て作業をはじめとして、種々の高所作業に幅広く利用されるものである。
2点支持構造のハーネス式のベルトの構成を示す正面図である。 背当てパットの構成を示す平面図である。 袋の構成を示す斜視図である。 作業員の作業状態を示す斜視図である。 4点支持構造のハーネス式のベルトの構成を示す背面図である。 袋の構成を示すもので、(a)は袋の蓋が閉じている状態を示す斜視図、(b)は袋の蓋が開いている状態を示す側面、(c)は蓋のフック(ループ)状テープを袋における前壁部のループ(フック)状テープに接合させている状態を示す側面である。 作業員の作業状態を示す斜視図である。 袋に保持体を取り付けている構成を示す斜視図である。 保持体の構成を示すもので、(a)は直線状の切り込み部と円形状の切り欠き部を連設したものを開口部に対向するように2個設けている状態を示す斜視図、(b)はボルトの頭部を開口部に押し込むようにして嵌め入れ、内向きの突出片にボルトの頭部を係合させてボルトの抜け落ちを防止している状態を示す断面図である。 2個の保持体を取り付けている袋を用いた作業員の作業状態を示す斜視図である。 4点支持構造における他のハーネス式のベルトの構成を示す背面図である。 作業員が胴ベルト型安全帯を装着し、作業員の背中側に配置されている腰袋に手を入れてボルト・ナット等や工具類を摘み取っている従来の作業状態を示す斜視図である。 送電鉄塔等の所定の位置に袋が吊り下げられている状態を示す斜視図である。
符号の説明
S…作業員
B…ボルト
1…ハーネス式のベルト
2…袋
3…長ベルト体
4…折り返しバックル
5…折り返し帯
6…ベルト通し
7…バックル
8…環状部
9…バックル挿通板
10…背当てパット
11…挿通保持体
12…滑り止め片
15…ファスナー
16…蓋
17…フック(ループ)状テープ
18…ループ(フック)状テープ
19…差込プレート
20…接続片
21…カラビナ通し部
22…D状環
23…接続片
24…水抜き孔
25…ポケット
26…差込プレート
27…接続片
28…補強片
29…ベルト通し
31…保持片
32…保持片
33…下方押さえ片
34…上方押さえ片
35…フック(ループ)状テープ
36…ループ(フック)状テープ
37…挿通孔
38…挿通孔
39…方形状部
40…連設ベルト
45…補強片
50…補助ベルト
51…短尺なベルト片
52…長尺なベルト片
53…バックル
54…バックル挿通爪片
60…保持体
61…紐状部
62…接続リング
63…切り込み部
64…切り欠き部
65…突出片
70…バックル
100…胴ベルト
101…カラビナ
102…ロープ
103…腰袋
104…ペンチケース
105…袋

Claims (6)

  1. ハーネス式のベルトを用いて所定の袋を作業員の前側に配置することができるボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具であり、ハーネス式のベルトは、作業員の背中側で交差して作業員の両肩に掛ける一対の長ベルト体により構成され、一対の長ベルト体の先端側部分は、作業員の両肩を越えて作業員の腹側に配置された状態で袋を吊り下げ、一対の長ベルト体の後端側部分は、作業員の背中側から胴に巻き付くように作業員の腹側に配置された状態で接合することを特徴とするボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具。
  2. ハーネス式のベルトを用いて所定の袋を作業員の前側に配置することができるボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具であり、ハーネス式のベルトは、作業員の背中側で交差して作業員の両肩に掛ける一対の長ベルト体により構成され、一対の長ベルト体の先端側部分は、作業員の両肩を越えて作業員の腹側に配置された状態で袋の上部に連結し、一対の長ベルト体の後端側部分は、作業員の背中側から胴に巻き付くように作業員の腹側に配置された状態で袋の下部に連結することを特徴とするボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具。
  3. 一対の長ベルト体は、略X状に形成された背当てパットを介して、交差した状態を維持するように取り付けられている請求項1または2に記載のボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具。
  4. 一対の長ベルト体の先端側部分は、自身を接合する補助ベルトを備えている請求項2に記載のボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具。
  5. 作業員の前側に配置する袋は、その開口部に、ファスナーを介して開閉可能に取り付けられている蓋を備えている請求項1または2に記載のボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具。
  6. 作業員の前側に配置する袋に、ボルト・ナット等を嵌め入れてその落下を防止する保持体を、紐状部を介して複数取り付けている請求項1または2、請求項5のいずれかに記載のボルト・ナット等や工具類の落下防止用装着具。
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