JP7153780B1 - 作業者用ベスト - Google Patents

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Abstract

【課題】作業者が安全にかつ集中して作業を行うことを可能にする作業者用ベストを提供する。【解決手段】作業者用ベスト1は、前身頃100における着用時に外側を向く面に設けられた1つ以上のポケット4、5の内部に、そのポケット4、5の内部における位置が固定されたループを形成するループ形成部材420、520が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、作業者用ベストに関し、より具体的には、高所での作業を行う作業者が着用するのに好適なベストに関する。
高速道路等の道路の点検作業を行う際には、作業者を視覚的に容易に認識することができるように、作業者が蛍光色等の明るい色の生地や反射材を利用したベストを着用して作業を行うことがある。
また、点検作業等の作業を高所で行う場合、作業者は、フルハーネス型の安全帯を装着した状態で、その上から上記のベストを着用して作業を行うことがある(例えば、特許文献1を参照)。
特開2020-59944号公報
作業者が高所で作業を行う場合、作業者自身の転落事故を防止することと同程度に重要な注意事項の1つとして、作業者が作業中に使用する各種の物品(例えば、作業記録用の筆記具、デジタルカメラ、連絡用のトランシーバ、スマートフォン等)を落下させないことがある。例えば、高所で作業を行っている作業者が物品を落下させてしまった場合、その物品を回収するだけでは済まず、周囲の安全の確認等の付加的な作業が発生し、本来の点検作業に遅延が生じる。
一方、作業者が安全に作業を行うために、自身が転落しないこと、物品を落下させないこと等に過度に意識を向けてしまうと、本来の点検作業に対する注意力が低下してしまう恐れがある。
1つの側面において、本発明は、作業者が安全にかつ集中して作業を行うことを可能にする作業者用ベストを提供することを目的とする。
一態様に係る作業者用ベストは、前身頃における着用時に外側を向く面に設けられた1つ以上のポケットの内部に、そのポケットの内部における位置が固定されたループを形成するループ形成部材が設けられていることを特徴とする。
別の態様に係る作業者用ベストは、後ろ身頃に、フルハーネス型の安全帯に取り付けられるランヤードを通すための略T字型の開口部が形成されていることを特徴とする。
更に別の態様に係る作業者用ベストは、作業者用ベストの後ろ身頃に、その作業者用ベストを着用した作業者が着用している他の衣服と前記後ろ身頃とを連結して前記後ろ身頃の上方向へのずれを防ぐずれ防止部が設けられていることを特徴とする。
上述の態様によれば、作業者用ベストを着用した作業者が安全にかつ集中して作業を行うことができる。
一実施形態に係る作業者用ベストの外観構成例を説明する図である。 一実施形態に係る作業者用ベストにおける右腹部ポケットの構成例を説明する図である。 図2に例示した右腹部ポケットの使用例を説明する図である。 一実施形態に係る作業者用ベストにおけるランヤード引き出し部の構成例を説明する図である。 図4に例示したランヤード引き出し部の作用効果を説明する図である。 作業者用ベストの着用時に起こり得るずれを説明する図である。 一実施形態に係る作業者用ベストにおけるずれ防止部の構成例を説明する図である。 ずれ防止部の別の構成例を説明する図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、本発明に係る作業者用ベストのことを、単に「ベスト」とも記載する。
図1は、一実施形態に係る作業者用ベストの外観構成例を説明する図である。図1の(a)は、作業者用ベストの前面(前身頃)の構成例を示しており、図1の(b)は、作業者用ベストの背面(後ろ身頃)の構成例を示している。図1の(a)及び(b)に例示した作業者用ベストは、例えば、高速道路の橋脚の点検作業等の、高所で作業を行う作業者が着用するのに好適なベストである。
図1の(a)に例示した本実施形態のベスト1は、前身頃100における着用時に外側を向く面に、右胸部ポケット2、左胸部ポケット3、右腹部ポケット4、及び左腹部ポケット5の4つのポケットが設けられている。右胸部ポケット2及び左胸部ポケット3は、例えば、デジタルカメラ、トランシーバ、スマートフォン等の電子機器を収容することに利用されるポケットである。右腹部ポケット4及び左腹部ポケット5は、例えば、筆記具、ホイッスル、点検用の工具等の物品(小物類)を収容することに利用されるポケットである。
右胸部ポケット2は、上端が開口した略箱状の収容部200と、収容部200の上部開口端を部分的に覆うことが可能なフラップ210とを含む。フラップ210の一端は、前身頃100、又は収容部200の上部開口端に取り付けられており、フラップ210の他端は、面ファスナー等の着脱部材により収容部200の前面に着脱可能になっている。右胸部ポケット2は、フラップ210の他端を収容部200の前面に係着させることにより収容部200内に収容した電子機器等の物品がポケット外部に脱落することを防ぐことができる。また、右胸部ポケット2は、例えば、収容する電子機器の種類や形状等に応じて収容部200内の寸法(例えば、マチの寸法)を変更可能な構成になっている。
左胸部ポケット3は、例えば、大きめのスマートフォンやタブレット等を収容可能な寸法になっている。左胸部ポケット3は、例えば、マチ付きであって、左側面から上端を通り右側面まで延びる両開きファスナー(図示せず)により開閉することができる。左胸部ポケット3の内部には、例えば、図2を参照して後述するループ形成部材420、520と同様のループ形成部材320が設けられている。
右腹部ポケット4及び左腹部ポケット5は、それぞれ、図2を参照して後述するように、マチ付きであって、左側面から上端を通り右側面まで延びる両開きファスナー410、510により開閉することができる。右腹部ポケット4及び左腹部ポケット5の内部には、それぞれ、図2を参照して後述するループ形成部材420、520が設けられている。
また、図1の(b)に例示した本実施形態のベスト1は、後ろ身頃102に、ランヤード引き出し部110、及び着脱式ワッペン120が設けられている。
ランヤード引き出し部110は、フルハーネス型の安全帯を装着した作業者がベスト1を着用した際に、安全帯に取り付けられたランヤードを通すT字型の開口部111と、その開口部111を開閉する蓋部115とを含む。蓋部115は、例えば、図4を参照して後述するように、開口部111が開放された状態と、開口部111が蓋部115で覆われた状態とを切り替え可能に構成される。
着脱式ワッペン120は、例えば、面ファスナー等の着脱部材(図示せず)により、後ろ身頃102における着用時に外側を向く面に着脱可能に係着される。着脱式ワッペン120には、例えば、ベスト1を着用する作業者の氏名等が表記される。
更に、図1の(a)及び(b)に例示した本実施形態のベスト1は、前身頃100から肩部を通って後ろ身頃102に延びる反射テープ601、602と、後ろ身頃102の下端部に沿って延びる反射テープ603とが設けられている。
図2は、一実施形態に係る作業者用ベストにおける右腹部ポケットの構成例を説明する図である。図3は、図2に例示した右腹部ポケットの使用例を説明する図である。図2の(a)及び(b)、並びに図3には、本実施形態のベスト1における右腹部ポケット4の構成例を概略的に示している。
図2の(a)に例示したように、本実施形態のベスト1における右腹部ポケット4は、マチ付きであって、左側面から上端を通り右側面に延びる両開きファスナー410が設けられている。両開きファスナー410は、2つのスライダー411、412が頭合わせで取り付けられており、スライダー411、412をスライドさせることにより、右腹部ポケット4を開閉することができる。また、図2の(b)に例示したように、右腹部ポケット4の内部には、ループ形成部材420が設けられている。
右腹部ポケット4のループ形成部材420は、例えば、ナイロンテープ等の帯状の布地であり、前身頃100のポケット内部を向いた面に、長手方向がベスト1の着用時における左右方向になり、かつ前身頃100とループ形成部材420とが左右方向の端部で結合したループが形成されるように縫い付けて設けている。図2の(b)に例示したループ形成部材420は、5個のループが形成されるように前身頃100に縫い付けられている。
ループ形成部材420は、右腹部ポケット4内からポケット外に出した(又は意図せずに出てしまった)物品の落下を防ぐためのストラップ、コード付きのカラビナフック等を装着することに利用可能である。ベスト1を着用した作業者は、例えば、図3に例示したように、右腹部ポケット4に収容する物品(例えば、筆記具)7にコード8の一端を取り付けておき、そのコード8の他端側に取り付けられたカラビナフック9をループ形成部材420により形成されたループに引っ掛けておく。このようにすると、例えば、右腹部ポケット4から取り出した(又は意図せずに出てしまった)物品7が、右腹部ポケット4の高さ位置からコード8の長さに相当する下方の位置よりも下に落下することを防げる。このため、物品7に取り付けるコード8の長さを、例えば、30cm~50cmの範囲内にすることで、コード8が物品7を使用した作業の作業性に影響を与えることなく、物品7が地面に落下することを防げる。ストラップやコード8は、繊維や樹脂等の材料を用いたひも状のものに限らず、カールコード等の伸縮するものであってもよい。
また、両開きファスナー410により右腹部ポケット4を開閉する場合、使用する物品を取り出した後、例えば、その物品に取り付けられたコード8Bのみが通るような状態まで両開きファスナー410を閉めることができる(図2の(a)及び図3を参照)。このため、例えば、右腹部ポケット4に収納した、コード8等でループ形成部材420により形成されたループに留められていない物品が、右腹部ポケット4から出て落下することも防げる。
更に、図を参照した説明は省略するが、左腹部ポケット5にもループ形成部材520を設けることにより、左腹部ポケット5から取り出した物品(小物類)や、左腹部ポケット5から意図せずに出てしまった物品の落下を防げる。同様に、左胸部ポケット3にもループ形成部材320を設けることにより、左胸部ポケット3から取り出した物品や、意図せずに出てしまった物品の落下を防げる。
従って、本実施形態のベスト1を着用して作業をする作業者は、右腹部ポケット4等のポケットから取り出した物品を落下させないこと、又はポケットに収納した物品が意図せずにポケット外に出てしまって落下すること等への過度の注意をすることなく、作業を行うことができる。
特に、高速道路の橋脚の点検作業等の高所で行う作業では、作業の効率化の観点から(例えば、作業中に必要な物品を取り行くための移動を少なくするために)、作業中に必要になる多数の物品を衣服のポケットに収納した状態で作業を行うことが多い。また、高所で作業を行う場合、物品(小物類)が落下すると、作業を中断して安全確認を行わねばならず、作業が遅延する。このため、作業者は、物品を落下させないよう注意しながら作業を行うことになるが、本実施形態のベスト1を着用して作業を行うことにより、作業者が作業以外のこと(小物類を落下させないこと)に意識を向けてしまうことを防ぐことができる。よって、作業者は、安全にかつ集中して作業を行うことができる。
なお、右腹部ポケット4等のマチ付きのポケット内に形成するループは、上述したような帯状の布地をループ形成部材420として用いて形成するループに限らず、他の方法で形成してもよい。例えば、ポケット内のループは、樹脂又は金属等で形成された、D環等の穴を有する部材を用いて形成してもよい。
次に、図4及び図5を参照して、本実施形態のベスト1におけるランヤード引き出し部110の構成について説明する。図4は、一実施形態に係る作業者用ベストにおけるランヤード引き出し部の構成例を説明する図である。図5は、図4に例示したランヤード引き出し部の作用効果を説明する図である。図4及び図5には、それぞれ、ベスト1の後ろ身頃102におけるランヤード引き出し部110及びその周囲を拡大した背面図と、横方向から見た模式的な側断面図とを示している。
本実施形態のベスト1におけるランヤード引き出し部110は、図4に例示したように、T字型の開口部111と、蓋部115とを含む。T字型の開口部111は、ベスト1の着用時に左右方向となる方向に延びる水平開口部111aと、水平開口部111aにおける左右方向の中心部から、ベスト1の着用時に下方向となる方向に延びる垂直開口部111bとを有する。このT字型の開口部111は、例えば、ベスト1の後ろ身頃102に切り込みを入れることで形成される。
ベスト1の後ろ身頃102における、水平開口部111aに沿った部分には、補強部112が設けられている。補強部112は、切り込みを入れたことによる布地(後ろ身頃102)のほつれや、外力による水平開口部111aの端部の裂け等を防ぐことを目的として設けている。補強部112は、例えば、ベスト1の後ろ身頃102と同一の布地を複数層重ねたものを水平開口部111aに沿って縫い付けて設ける。また、図4には示していないが、水平開口部111aの左右方向の端部にも、補強部112と同様の補強部を設けてもよい。
蓋部115は、後ろ身頃102における着用時に外側を向く面であって、T字型の開口部111の上方となる位置に、水平開口部111aに沿った方向で縫い付けて設けている。蓋部115は、後ろ身頃102に縫い付けた状態でT字型の開口部111の全体を覆うことが可能な寸法であり、T字型の開口部111を覆う領域の角部に面ファスナーが設けられている。蓋部115の面ファスナーは、例えば、後ろ身頃102に縫い付けた第1の端辺側に設けた第1のファスナー面116がループ面及びフック面の一方であり、第1の端辺とは反対の第2の端辺側に設けた第2のファスナー面117がループ面及びフック面の他方である。また、ベスト1の後ろ身頃102における、蓋部115でT字型の開口部111を覆ったときに第2のファスナー面117と重なる位置には、第2のファスナー面117のループ面又はフック面と対をなすフック面又はループ面である第3のファスナー面118が設けられる。
作業者がフルハーネス型の安全帯を装着せずに本実施形態のベスト1を着用する場合、第2のファスナー面117を第3のファスナー面118と係着させてT字型の開口部111を蓋部115で覆うことにより、作業現場に存在する何らかの物体がT字型の開口部111に引っ掛かること等を防げる。
一方、作業者がフルハーネス型の安全帯を装着している場合、図5に例示したように、第2のファスナー面117を第1のファスナー面116と係着させ、作業者10の背面に位置する安全帯の背面部に取り付けられたランヤード11をT字型の開口部111を通して、ベスト1の外側へ引き出す。引き出されたランヤード11の一端は、例えば、作業現場に設けられた水平親綱(図示せず)に取り付けられる。
フルハーネス型の安全帯を装着した作業者がその上からベストを着用し、ベストの背面(後ろ身頃)に設けた開口部からランヤード11を引き出す場合、一般的に、図5に例示したように、ランヤード11の幅方向が水平方向(左右方向)になるような向きで引き出すことが多い。本実施形態のベスト1のようなT字型の開口部111は、ランヤード11を通したときに、例えば、図5に示したように、水平開口部111aの下方に位置する三角形状の布部(図4を参照)がめくれて、逆三角形状の開口部111’になる。そして、逆三角形状の開口部111’の上辺(図4の水平開口部111a)に沿って設けた補強部112と帯状のランヤード11とが線で接触する。このため、作業者が屈む、又は落下する等によりランヤード11から水平開口部111aの上側端部(補強部112)に上向きの力Fが加わったときに、その力Fを補強部112の全体で分散して受けることができる。従って、例えば、ランヤード11からの上向きの力Fにより逆三角形状の開口部111’における上辺の端部(図4における水平開口部111aの左右方向の端部)からベスト1の後ろ身頃102が裂けてしまうこと等を防げる。
また、ランヤード11を引き出すためにベスト1に設ける開口部をT字型の開口部111にすると、ランヤード11を引き出したときに生じる開口領域を小さくすることができ、T字型の開口部111の周囲において生じる布地のめくれの度合いを小さくすることができる。更に、本実施形態のベスト1では、図5に例示したように、蓋部115の第2のファスナー面117を第1のファスナー面116と係着させることにより、蓋部115のめくれ量(後ろ身頃102から浮いてしまう部分の面積)を小さくすることができる。このため、ランヤード11を引き出した場合に、例えば、布地のめくれた部分に作業現場の何らかの物体が引っ掛かること、布地のめくれた部分がランヤード11に絡まること、めくれた蓋部115が作業者10の首とベスト1(後ろ身頃102)との間に入り込むこと等により違和感が生じることを低減できる。
従って、本実施形態のベスト1は、フルハーネス型の安全帯を装着した状態で着用した作業者が、例えば、安全帯に取り付けられたランヤード11をベスト1に設けた開口部を通して外側に引き出すことに起因する違和感等の、作業以外のことに意識を向けてしまうことを防げる。よって、作業者は、安全にかつ集中して作業を行うことができる。
作業者が作業中に意識を向けてしまう作業以外のことには、上述した物品を落下させないことやランヤード11をベスト1に設けた開口部を通して外側に引き出すことに起因する違和感等の他に、例えば、前屈ずれと呼ばれることがあるベスト1のずれが挙げられる。
図6は、作業者用ベストの着用時に起こり得るずれを説明する図である。本実施形態のベスト1と同種の作業者用ベストは、図6に例示したように、前身頃100にのみ1つ以上のポケット3、5が設けられている。このため、前身頃100のポケット3、5にデジタルカメラ、スマートフォン、小物類等の物品を収容すると、前身頃100側の重さと後ろ身頃102側の重さとの差が大きくなり、前身頃100が下方にずれる(後ろ身頃102が上方にずれる)ことがある。特に、このようなずれは、作業者10が前かがみになることにより生じやすい。着用しているベスト1にこのようなずれが生じると、作業者10は違和感を覚え、ずれを修正する動作を行う。ポケット3、5に収容した物品の重みによるベスト1のずれもまた、作業者10の意識を作業以外のことに向けさせてしまうため、本来の点検作業に対する作業者10の注意力が低下してしまう恐れがある。
図7は、一実施形態に係る作業者用ベストにおけるずれ防止部の構成例を説明する図である。図7には、上述したような、前身頃100のポケットに収容した物品の重みによるベスト1のずれを防止するためにベスト1に設けるずれ防止部12の構成の一例を示している。図7には、ベスト1の後ろ身頃102における下端部及びその周囲を拡大した背面図と、横方向から見た模式的な側断面図とを示している。
図7に例示したずれ防止部12は、クリップ1201と、ストラップ1202と、位置調整部1203とを含む。クリップ1201は、作業者が着用しているズボン13のウエスト部を挟む部品であり、例えば、フィッシュクリップ等を用いることができる。ストラップ1202は、クリップ1201に取り付けられており、ベスト1の後ろ身頃102に設けられた位置調整部1203と組み合わせることにより、後ろ身頃102の下端部に対するクリップ1201の上下方向の位置を調整することができる。ストラップ1202は、例えば、クリップ1201に取り付けられた端部とは反対側の端部と、両端部の間に位置する中間部分における所定の位置とが、スナップボタンや面ファスナー等で着脱可能なようになっている。
位置調整部1203は、例えば、後ろ身頃102の下端からの距離が異なる複数のループ形成部材を含む。図7に例示した位置調整部1203は、後ろ身頃102の下端からの距離が異なる3つのループ形成部材1203a、1203b、及び1203cを含む。ループ形成部材1203a、1203b、及び1203cは、それぞれ、例えば、ナイロンテープ等の帯状の布地であり、後ろ身頃102の内面(着用時に作業者側を向く面)に、長手方向がベスト1の着用時における左右方向になり、かつ後ろ身頃102とループ形成部材1203a、1203b、及び1203cとが左右方向の端部で結合したループが形成されるように縫い付けて設けている。
ずれ防止部12を利用してベスト1のずれを防止する場合、例えば、作業者がベスト1を着用した状態でのズボン13のウエスト部から3つのループ形成部材1203a、1203b、及び1203cのそれぞれまでの距離と、ストラップ1202の長さとに基づいて、3つのループ形成部材1203a、1203b、及び1203cのうちの1つ(図7ではループ形成部材1203b)にストラップ1202を通してぶら下げる。その後、ベスト1を着用して、クリップ1201をズボン13のウエスト部に取り付ける。このとき、図7に例示したように、ストラップ1202のたるみが最も少なく、後ろ身頃102を下方向に引っ張る力が生じないようなループ形成部材1203bを選択すると、後ろ身頃102が下方に引っ張られる違和感を防げ、ポケット内の物品の重みによる前身頃100の下方へのずれを効果的に防止することができる。
このように、上述したずれ防止部12を有する本実施形態のベスト1は、例えば、前身頃100のポケット内に収容した物品の重みでベスト1がずれることによる違和感等の、作業以外のことに意識を向けてしまうことを防げる。よって、作業者は、安全にかつ集中して作業を行うことができる。
なお、本実施形態のベスト1に設けるずれ防止部12は、図7に例示したようなクリップ1201を用いた構成に限らず、他の構成であってもよい。
図8は、ずれ防止部の別の構成例を説明する図である。図8には、ベスト1の後ろ身頃102における下端部及びその周囲を拡大した背面図と、横方向から見た模式的な側断面図とを示している。
図8に例示したずれ防止部12は、上述したクリップ1201を使用する代わりに、ベスト1のループ形成部材1203a、1203b、及び1203cのいずれか(図8では1203b)と作業者のズボン13のウエスト部に巻かれたベルト14とにストラップ1202を通して、ベスト1の後ろ身頃102の上方向へのずれを規制する。図8に例示したずれ防止部12のストラップ1202は、長手方向の一端と他端とが、スナップボタンや面ファスナー等で着脱可能なようになっており、両端を係着させることにより1つのループが形成される。
また、ずれ防止部12は、例えば、カラビナフック等をループ形成部材1203a、1203b、及び1203cのいずれかに引っ掛ける構成であってもよい。また、ずれ防止部12は、例えば、長さを調節可能なストラップ1202を単一のループ形成部材1203aに通した構成やベスト1の後ろ身頃102に縫い付けた構成であってもよい。更に、ずれ防止部12は、図7及び図8を参照して上述したような、作業者のズボン13やベルト14に限らず、作業者が着用している他の衣服(例えばつなぎ服)と後ろ身頃102とを連結して後ろ身頃102の上方向へのずれを防止するものであってもよい。また、ずれ防止部12は、例えば、作業者が装着しているフルハーネス型の安全帯を作業者が着用している衣服とみなして、安全帯の腿ベルト、胴ベルト、又は骨盤ベルトと後ろ身頃102とを連結して後ろ身頃102の上方向へのずれを防止するものであってもよい。
以上説明したように、本実施形態のベスト1は、作業中の作業者が作業以外のことに意識を向けてしまうことを低減する又は防ぐことができる。このため、本実施形態のベスト1を着用した作業者は、安全にかつ集中して作業を行うことができる。
なお、上述した実施形態は、本発明に係る作業者用ベストの例示に過ぎない。すなわち、本発明に係る作業者用ベストは、図1~図8を参照して上述した実施形態により特定される構成のものに限定されず、種々の変更、応用が可能である。
例えば、図1~図3を参照して説明したマチ付きのポケット内に設けるループ形成部材は、全てのマチ付きポケットに設ける必要はなく、1つ以上のマチ付きポケットに設けていればよい。また、ループ形成部材を設けたマチ付きポケットは、図2の(a)を参照して説明した両開きファスナー410に限らず、他の開閉部材により開閉可能な構成であってもよい。また、ループ形成部材を設けるポケットは、マチ付きのポケットに限らず、マチなしのポケットであってもよい。
また、例えば、図1、図4及び図5を参照して説明したランヤード引き出し部110におけるT字型の開口部111は、図示したような形状に限らず、略T字型を含む他の形状であってもよい。例えば、T字型の開口部111は、水平開口部111aの左右の端部、及び垂直開口部111bの下端部が、中間部分よりも大きく開口した円形状又は多角形状であってもよい。
1 ベスト
100 前身頃
102 後ろ身頃
110 ランヤード引き出し部
111 (T字型の)開口部
112 補強部
115 蓋部
120 着脱式ワッペン
2 右胸部ポケット
200 収容部
210 フラップ
3 左胸部ポケット
320 ループ形成部材
4 右腹部ポケット
410 両開きファスナー
411、412 スライダー
420 ループ形成部材
5 左腹部ポケット
520 ループ形成部材
601、602、603 反射テープ
7 物品
8、8B コード
9 カラビナフック
10 作業者
11 ランヤード
12 ずれ防止部
1201 クリップ
1202 ストラップ
1203 位置調整部
1203a、1203b、1203c ループ形成部材
13 ズボン
14 ベルト

Claims (2)

  1. 作業者用ベストであって、
    前身頃における着用時に外側を向く面に設けられた1つ以上のポケットの内部に、そのポケットの内部における位置が固定されたループを形成するループ形成部材が設けられ
    後ろ身頃に、フルハーネス型の安全帯に取り付けられるランヤードを通すための略T字型の開口部が形成され、かつ、その作業者用ベストを着用した作業者が着用している他の衣服と前記後ろ身頃とを連結して前記後ろ身頃の上方向へのずれを防ぐずれ防止部が設けられている
    ことを特徴とする作業者用ベスト。
  2. 内部に前記ループ形成部材が設けられたポケットは、開閉部材により開閉可能である
    ことを特徴とする請求項1に記載の作業者用ベスト。
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