JP2009287149A - 化繊混抄紙及び紙製ワイパー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コットン繊維が含まれる化繊混抄紙からなる表面層2を有する紙製ワイパー1によって、水性汚れや油性汚れを好適に拭き取ることを可能にした。
【選択図】図1
Description
コットン繊維と極細繊維とパルプとが含まれる化繊混抄紙であって、
前記コットン繊維の繊維長が5mm以上、15mm以下であることを特徴とする。
前記コットン繊維の配合率は、5質量%以上、45質量%以下であることを特徴とする。
前記極細繊維の配合率は、10質量%以上、60質量%以下であることを特徴とする。
前記パルプの配合率は、5質量%以上、50質量%以下であることを特徴とする。
請求項1〜4の何れかに記載の化繊混抄紙が、所定の繊維層の片面又は両面に設けられたことを特徴とする。
請求項1〜4の何れかに記載の化繊混抄紙が、1層又は複数層積層されたことを特徴とする。
前記紙製ワイパーの米坪は、40g/m2以上、140g/m2以下であることを特徴とする。
また、紙製ワイパーは、コットン繊維と極細繊維とパルプとが含まれる化繊混抄紙を備えているので、異形断面を有するコットン繊維によって、汚れを良好に掻き取ることができ、またその汚れを拭き取ることができる。
特に、コットン繊維は、水分と油分をともに吸い取ることができるので、この化繊混抄紙および紙製ワイパーは、水性汚れと油性汚れを良好に拭き取ることができ、好適な拭き取り性を有している。
なお、本発明に係る紙製ワイパーは、中間層3の両面に表面層2が設けられた3層構造であることに限らず、中間層3の片面に表面層2が設けられた2層構造の紙製ワイパーであってもよく、また、表面層2が1層又は複数層積層されてなる紙製ワイパーであってもよい。
この紙製ワイパー1を形成する場合、各層を含む紙を多層抄きによって抄造してもよいが、好ましくは各層を個別の紙として抄造した後、各層の紙を重ねて厚み方向に圧縮加熱加工を施すことにより接合して一体化することが好ましい。
一般的にLBKPよりもNBKPの方が、繊維長が長く繊維太さが太いため、NBKPが多い程、強度が高く嵩高となるとともに、吸水性や吸油性が良好となり、水分や油分の保持性も良好となる。なお、NBKPとLBKPとを混合して用いる場合、NBKPの配合量は70質量%以上であることが好ましい。
この中間層3におけるパルプの配合量は10〜85質量%、特に35〜70質量%とすることが好ましい。パルプの配合量が少な過ぎると親水性が不十分となり、多過ぎるとバインダー繊維などの化繊量の低下による嵩不足となり液吸収量及び吸収速度が不足する。
一般に、抄紙工程におけるドライヤーパートでは80〜140℃の温度範囲の中から適宜の温度が選択される。従って、この温度範囲で熱融着機能を発揮するバインダー繊維を乾燥抄紙原料中に混合しておけば、抄紙工程のドライヤーパートで溶融して熱融着機能が発揮される。よって、ドライヤーによる乾燥処理など抄紙工程における一連の工程のなかで極めて容易に、バインダー繊維を繊維接着剤として機能させることが可能である。また、このようなバインダー繊維を含有していると、厚み方向の圧縮加熱加工により中間層3と表面層2とを接合する際、中間層3中のバインダー繊維を表面層2の繊維に対して融着させることにより、層間の接合も行うことができる。なお、上記範囲よりもバインダー繊維の熱融着温度が低いと抄紙工程等において過度の溶融等のために中間層3が硬くなり、高過ぎると抄紙工程等において熱融着が不十分となり強度が低いものとなる。
また、バインダー繊維の繊維長は適宜定めることができるが、通常の場合2〜10mm、特に3〜7mmとすることが好ましい。バインダー繊維が短過ぎると強度不足となり、長過ぎると抄紙困難となる。
また、中間層3におけるバインダー繊維の配合量は適宜定めることができるが、通常の場合、5〜40質量%、特に10〜35質量%とすることが好ましい。バインダー繊維の配合量が少な過ぎると強度不足なり、多過ぎると剛直で硬いシートとなる。
また、中間層3の厚みは、200μm〜1000μmとされるが、特に250〜800μmとすることが好ましい。中間層3の密度が低過ぎると嵩不足となり、高過ぎると繊維構造が密になりすぎ、いずれの場合も液吸収量が不十分となる。
また、中間層3はクレープ加工されていることが好ましい。それにより柔らかくなり嵩が高まる。
さらに、中間層3には、湿潤紙力剤、粘剤、分散剤、接着剤、剥離剤等の抄紙用薬品を適宜用いてもよい。
この表面層2におけるパルプの配合量は、5質量%以上、50質量%以下であることが好ましく、特に30質量%以上、40質量%以下であることが好ましい。
パルプの配合量が少な過ぎると親水性が不十分となり、多過ぎると極細繊維量の低下による紙製ワイパー1の表面の微細化が不十分となる。
この紙製ワイパー1に用いるコットン繊維の繊維長は、5mm以上、15mm以下であることが好ましい。繊維長が、5mm以上15mm以下であるコットン繊維(コーマノイル)は、紡績には使用できない短繊維であり、未利用繊維とも呼ばれ、産業廃棄物として捨てられてしまうものである。つまり、その未利用繊維を紙製ワイパー1に利用することで、資源の有効活用に関するメリットがある。
なお、紡績に用いられるコットン繊維の繊維長は、通常30〜40mm程度のものである。
また、コットン繊維の繊維太さは一般的に10〜20μmである。
コットン繊維の配合量が少な過ぎると水分や油分の吸収性が低下し、多過ぎると極細繊維量の低下による汚れの掻き取り性が不十分になる。
極細繊維としては、繊度が0.05〜1.0dtex、繊維長2〜10mmものが用いられる。特に好ましい繊度は0.08〜0.6dtexであり、繊維長は3〜7mmである。極細繊維の繊度を上記範囲とした訳は、繊維が細過ぎると湿式抄紙が困難となり、太過ぎると紙製ワイパー1の表面の微細化が不十分となるためである。また、極細繊維の繊維長が長過ぎると抄紙が困難となり、短過ぎると紙粉として脱落し易くなる不具合が生じるためである。
極細繊維の配合量が少な過ぎると紙製ワイパー1の表面の微細化が不十分となり、多過ぎると表面層2の繊維構造が密になり過ぎるとともに、コットン繊維量やパルプ量の低下により紙製ワイパー1の表面における水分や油分の吸収性が不十分となり、液吸収速度が低下してしまうためである。
表面層2のバインダー繊維は、中間層3のバインダー繊維と同様のものを適宜選択して用いることができる。
この表面層2におけるバインダー繊維の配合量は適宜定めることができるが、通常の場合、3〜20質量%、特に5〜15質量%とすることが好ましい。バインダー繊維の配合量が少な過ぎるとコットン繊維等の融着が不十分となり、多過ぎると硬くなり極細繊維の柔軟性が阻害されてしまう。
また、表面層2の厚みは、30〜400μmとされるが、特に60〜300μmとすることが好ましい。
表面層2の米坪及び厚みをこの範囲とした訳は、繊維層の密度が低過ぎると極細繊維を用いたとしても紙製ワイパー1の表面の微細化が不十分となり、高過ぎると繊維構造が密になり過ぎるとともにコットン繊維量の低下により表面における水分や油分の吸収性が不十分となり、液吸収速度が低下してしまうためである。
また、表面層2はクレープ加工されていることが好ましい。それにより柔らかくなり嵩が高まることに加え、表面が凹凸となることで、液吸収速度が速くなる。
さらに、表面層2には、湿潤紙力剤、粘剤、分散剤、接着剤、剥離剤等の抄紙用薬品を適宜用いてもよい。
中間層3と表面層2との接合一体化は、各層の厚み方向の圧縮加熱加工を平面的に見て散点状又は格子状に施すことによりバインダー繊維の熱融着機能を発揮させて行うことが好ましいが、バインダー繊維を溶かす薬液散布や接着剤等によって接合一体化されていてもよい。
特に、各層の厚み方向の圧縮加熱加工を施すことにより、各層の接合とともに、紙製ワイパー1の表面に凹凸を付与し、拭き取り性能を向上せさせることが好ましい。
この圧縮加熱加工における加熱温度は、バインダー繊維の融着温度に応じて適宜定めることができ、例えば80〜140℃とすることができる。また、これよりも高い温度で接合を行うことにより、バインダー繊維以外の化繊(例えば、クリンプ繊維など)を含めて熱融着することもできる。
厚み方向の圧縮加熱加工は、具体的にはエンボス加工やヒートシール加工、超音波シール等により行うことができる。エンボス加工は、対応する凹凸模様の付いた一対のロール若しくはプレート間、或いは凹凸模様の付いたロール若しくはプレートと凹凸模様を有しないロール若しくはプレートとの間に、対象シートを挟んで加熱及び加圧を行うことにより、対象シートに凹凸模様を形成する加工である。
なお、以下の実施例1〜7および比較例1〜7における紙製ワイパーは、パルプ65%、PETバインダー繊維10%、PEクリンプ繊維25%配合であって米坪40g/m2の中間層3の両面に、下記配合率の表面層2を配した三層構造の紙製ワイパーである。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維20%、極細繊維40%、パルプ30%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表1に示す。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維5%、極細繊維55%、パルプ30%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表1に示す。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維45%、極細繊維15%、パルプ30%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表1に示す。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維40%、極細繊維10%、パルプ40%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表1に示す。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維5%、極細繊維60%、パルプ25%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表1に示す。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維30%、極細繊維55%、パルプ5%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表1に示す。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維10%、極細繊維30%、パルプ50%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表1に示す。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維0%、極細繊維60%、パルプ30%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表2に示す。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維1%、極細繊維59%、パルプ30%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表2に示す。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維60%、極細繊維10%、パルプ20%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表2に示す。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維39%、極細繊維1%、パルプ50%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表2に示す。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維5%、極細繊維80%、パルプ5%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表2に示す。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維24%、極細繊維65%、パルプ1%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表2に示す。
紙製ワイパーにおける表面層として、コットン繊維10%、極細繊維20%、パルプ60%、バインダー繊維10%の配合率のものを用いた。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表2に示す。
また、「吸収性」は、10cm×10cmの大きさにカットした各紙製ワイパーを水、油に3分間つけた後、網上に引き上げ30秒放置後の重量を測定して評価した。水吸収性は、1m2あたりの吸収量が750g/m2以上ものを◎、700g/m2以上750g/m2未満のものを○、650g/m2以上700g/m2未満のものを△、650g/m2未満のものを×とした。油吸収性は、1m2あたりの吸収量が900g/m2以上ものを◎、850g/m2以上900g/m2未満のものを○、850g/m2未満のものを△とした。
また、「強度」は、JIS P 8113に準じた引張強度の規格によって評価した。4000cN/25mm以上を◎、3500cN/25mm以上4000cN/25mm未満のものを○、3500cN/25mm未満のものを△とした。
特に、コットン繊維は、水分と油分をともに吸い取ることができるので、この紙製ワイパー1によって水性汚れと油性汚れを良好に拭き取ることができる。
従って、紙製ワイパー1は、より好適な拭き取り性を有する拭き布として使用することができる。
なお、以下の実施例8〜13および比較例8における表面層は、実施例1の配合率(コットン繊維20%、極細繊維40%、パルプ30%、バインダー繊維10%)のものである。また、中間層は、パルプ65%、PETバインダー繊維10%、PEクリンプ繊維25%配合であって米坪40g/m2のものである。
米坪20g/m2の表面層を、中間層の両面に設け、米坪80g/m2の紙製ワイパーとした。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表3に示す。
米坪10g/m2の表面層を、中間層の両面に設け、米坪60g/m2の紙製ワイパーとした。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表3に示す。
米坪60g/m2の表面層を、中間層の片面に設け、米坪100g/m2の紙製ワイパーとした。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表3に示す。
米坪30g/m2の表面層を、3層積層し、米坪90g/m2の紙製ワイパーとした。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表3に示す。
米坪40g/m2の表面層を、1層積層し、米坪40g/m2の紙製ワイパーとした。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表3に示す。
米坪50g/m2の表面層を、中間層の両面に設け、米坪140g/m2の紙製ワイパーとした。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表3に示す。
米坪60g/m2の表面層を、中間層の両面に設け、米坪160g/m2の紙製ワイパーとした。
このような紙製ワイパーの品質評価結果を表3に示す。
また、本発明に係る紙製ワイパーは、コットン繊維と極細繊維が含まれる表面層が積層されてなり、コットン繊維が適量配合されているので、異形断面を有するコットン繊維と極細繊維とによって、より好適に汚れの拭い取りや掻き取りを行うことが可能になる。
特に、コットン繊維は、水分と油分をともに吸い取ることができるので、この紙製ワイパーによって水性汚れと油性汚れを良好に拭き取ることができる。
従って、上記のような紙製ワイパーは、より好適な拭き取り性を有する拭き布として使用することができる。
2 表面層(化繊混抄紙)
3 中間層(繊維層)
Claims (7)
- コットン繊維と極細繊維とパルプとが含まれる化繊混抄紙であって、
前記コットン繊維の繊維長が5mm以上、15mm以下であることを特徴とする化繊混抄紙。 - 前記コットン繊維の配合率は、5質量%以上、45質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の化繊混抄紙。
- 前記極細繊維の配合率は、10質量%以上、60質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化繊混抄紙。
- 前記パルプの配合率は、5質量%以上、50質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の化繊混抄紙。
- 請求項1〜4の何れかに記載の化繊混抄紙が、所定の繊維層の片面又は両面に設けられたことを特徴とする紙製ワイパー。
- 請求項1〜4の何れかに記載の化繊混抄紙が、1層又は複数層積層されたことを特徴とする紙製ワイパー。
- 前記紙製ワイパーの米坪は、40g/m2以上、140g/m2以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の紙製ワイパー。
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