JP2009287018A - 変性低分子量共役ジエン系重合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分子内にプロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基を有するアミン系官能基変性共役ジエン系重合体であって、変性前の重量平均分子量が1万〜20万である変性低分子量共役ジエン系重合体、前期変性低分子量共役ジエン系重合体を含むゴム組成物及び該ゴム組成物をタイヤ部材に用いてなるタイヤである。
【選択図】なし
Description
しかしながら、近年、省エネルギーや環境問題などの観点から、さらなる自動車の低燃費化(タイヤの転がり抵抗の減少)や耐摩耗性の向上が望まれている。
また、ゴム組成物にビスマレイミドやゴム成分に対する反応基及び充填材に対する吸着基を有する化合物を配合した場合、ゴム組成物の貯蔵弾性率(G’)を向上させることができるものの、ゴム組成物の損失正接(tanδ)は略同等であり、ゴム組成物の低発熱性を十分に改良することができない。
この技術は低発熱性とドライグリップ性能の両立を目的としているが、地球環境への負荷を考えると、今後さらなる低発熱性化が必要である。
[1]分子内にプロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基を有するアミン系官能基変性共役ジエン系重合体であって、変性前の重量平均分子量が3万〜15万であることを特徴とする変性低分子量共役ジエン系重合体、
[2]分子内に、さらにケイ素原子を含む官能基を有する上記[1]に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体、
[3]ケイ素原子を含む官能基が、ケイ素原子にヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合してなるシラン基である上記[2]に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体、
[4]重合末端に、プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基と、ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合してなるケイ素原子とを有する上記[3]に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体、
[5]同一の重合活性末端に、プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基と、ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合したケイ素原子とを有する上記[4]に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体、
[6]プロトン性アミノ基が、1級アミノ基、2級アミノ基及びそれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の変性低分子量共役ジエン系重合体、
[7]脱離可能基で保護されたアミノ基が、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ基及び/又はN−(トリメチルシリル)イミノ基である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の変性低分子量共役ジエン系重合体、
[8]ケイ素原子に、ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が1又は2個結合してなる上記[3]〜[7]に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体、
[9]活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、変性剤として、脱離可能基で保護された1級アミノ基及び/又は2級アミノ基含有基と2又は3個のヒドロカルビルオキシ基及び/又はハロゲン原子とが、同一ケイ素原子に結合してなるシラン化合物を反応させ、変性してなるものである上記[8]に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体、
[10] 変性剤が、一般式(1)
一般式(2)
及び一般式(3)
で表されるシラン化合物の中から選ばれる請求項9に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体、
[11] 変性剤が、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン又はN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジエトキシシランである上記[9]又は[10]の変性低分子量共役ジエン系重合体、
[12] 変性剤が、1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2−メトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン又は1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンである上記[10]に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体、
[13] シラン化合物を反応させ、変性させたのち、周期表(長周期型)の4族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素の化合物からなる縮合促進剤の存在下で、前記シラン化合物が関与する縮合反応を施して得られたものである上記[9]〜[12]いずれかの変性低分子量共役ジエン系重合体、
[14] 縮合促進剤が、チタン、ジルコニウム、ビスマス若しくはアルミニウムのアルコキシド、カルボン酸塩又はアセチルアセトナート錯塩である上記[13]の変性低分子量共役ジエン系重合体、
[15]活性末端を有する共役ジエン系重合体が、アルカリ金属化合物を重合開始剤として用いるアニオン重合により又は、希土類金属化合物を用い配位重合により得られる請求項9〜14に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
[16]共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体である上記[1]〜[15]いずれかの変性低分子量共役ジエン系重合体、
[17] 共役ジエン化合物が1,3−ブタジエンであり、芳香族ビニル化合物がスチレンである上記[15]又は[16]の変性低分子量共役ジエン系重合体、
[18] (A)重量平均分子量が15万を超えるゴム成分と、その100質量部に対し、(B)上記[1]〜[17]いずれかの変性低分子量共役ジエン系重合体10〜55質量部を含むことを特徴とするゴム組成物、
[19] さらに、(A)成分100質量部に対して、(C)補強用充填材を20〜120質量部の割合で含む上記[18]のゴム組成物、
[20] (C)補強用充填材が、カーボンブラック及び/又はシリカである上記[19]のゴム組成物、
[21] さらに、シリカに対し、(D)シランカップリング剤を1〜20質量%の割合で含む上記[20]のゴム組成物、及び
[22]上記[18]〜[21]いずれかのゴム組成物を、タイヤ部材に用いたことを特徴とするタイヤ、
を提供するものである。
[変性低分子量共役ジエン系重合体]
本発明の変性低分子量共役ジエン系重合体は、分子内にプロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基を有するアミン系官能基変性共役ジエン系重合体であって、変性前の重量平均分子量が1万〜20万であることを特徴とする。
本発明の変性低分子量共役ジエン系重合体は、重量平均分子量が1万〜20万の範囲にある低分子量の共役ジエン系重合体を変性することによって、分子内に、変性用官能基として、アミン系官能基であるプロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基を導入したものであり、好ましくはさらにケイ素原子を含む官能基を導入したものである。
前記ケイ素原子を含む官能基としては、ケイ素原子にヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合してなるシラン基を挙げることができる。
このような変性用官能基は、共役ジエン系重合体の重合開始末端、側鎖及び重合活性末端のいずれかに存在すればよいが、本発明においては、好ましくは重合末端、より好ましくは同一重合活性末端に、プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基と、ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合したケイ素原子、特に好ましくは、1又は2個のヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合したケイ素原子とを有するものである。
一方、脱離可能基で保護されたアミノ基としては、例えばN,N−ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ基及びN−(トリヒドロカルビルシリル)イミノ基を挙げることができ、好ましくはヒドロカルビル基が炭素数1〜10のアルキル基であるトリアルキルシリル基を挙げることができ、特に好ましくはトリメチルシリル基を挙げることができる。
脱離可能基で保護された1級アミノ基の例としては、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ基を挙げることができ、脱離可能基で保護された2級アミノ基の例としてはN−(トリメチルシリル)イミノ基を挙げることができる。このN−(トリメチルシリル)イミノ基含有基としては、非環状イミン残基、及び環状イミン残基のいずれであってもよい。
(活性末端を有する共役ジエン系重合体)
前記変性反応を効果的に行うためには、活性末端を有する共役ジエン系重合体としては、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをアニオン重合させて得られたものであることが好ましい。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられるが、本発明においては、1,3−ブタジエンが好ましい。
また、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられるが、本発明においてはスチレンが好ましい。
本発明においては、活性末端を有する共役ジエン系重合体として、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、1,3−ブタジエンをアニオン重合させて得られたポリブタジエン、あるいはスチレンと1,3−ブタジエンとをアニオン重合により共重合させて得られたSBRであることが好ましい。
アニオン重合法としては、特に溶液重合法が好ましく、また重合形式は回分式及び連続式のいずれであってもよい。有機アルカリ金属化合物としては、特にリチウム化合物が好適である。
溶液重合法における溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、1,3−ブタジエン単独、あるいはスチレンと1,3−ブタジエンとを、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の活性末端を有するポリブタジエン、あるいはSBRが得られる。
これらのランダマイザーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
この重合においては、重合開始剤、ランダマイザー、溶媒、単量体など、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物などの反応阻害物質を除去したものを用いることが望ましい。
得られる共役ジエン系重合体の示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は−95℃〜−15℃であることが好ましい。ガラス転移温度を上記範囲にすることによって、粘度が高くなるのを抑え、取り扱いが容易な共役ジエン系重合体を得ることができる。
本発明においては、変性前の共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、1万〜20万であることを要し、好ましくは2万〜15万、より好ましくは3万〜15万である。この重量平均分子量が1万未満では貯蔵弾性率の向上効果が小さく、一方20万を超えるとゴム組成物の作業性が低下する。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)によって測定したポリスチレン換算の値である。
本発明においては、前記のようにして得られた、活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に反応させる変性剤として、脱離可能基で保護された1級アミノ基及び/又は2級アミノ基含有基とヒドロカルビルオキシ基とが同一ケイ素原子に結合してなるシラン化合物が好ましく用いられる。
このような変性剤としては、以下に示す一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)の中から選ばれるシラン化合物を好ましく挙げることができる。
前記R2で表される炭化水素基としては,炭素数1〜20の門が好ましく、R3で示される炭化水素基としては炭素数1〜12のものが好ましい。
前記一般式(2)において、R4は炭素数1〜20の炭化水素基、R5は炭素数1〜12の炭化水素基、A2及びA3はそれぞれ独立にハロゲン原子又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、L3は脱離可能な官能基若しくは炭化水素基、L4は脱離可能な官能基である。またkは0又は1、fは1〜10の整数を示す。
又、前記一般式(3)において、A4はハロゲン原子又は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、R6は炭素数1〜20の炭化水素基、R7は炭素数1〜12の炭化水素基、L5は脱離可能な官能基若しくは炭化水素基、qは〜0又は1を示す。
このように、前記一般式(1)〜(3)におけるNは、一級アミノ基又は2級アミノ基が脱離可能な官能基でほごされた形態を有する。
炭素数2〜6のアルカンジイル基は、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、例えばエチレン基、1,3−プロパンジイル基、1,2−プロパンジイル基、各種ブタンジイル基、各種ペンタンジイル基、各種ヘキサンジイル基などを挙げることができるが、これらの中で直鎖状のもの、例えばエチレン基、1,3−プロパンジイル基、1,4−ブタンジイル基、1,5−ペンタンジイル基、1,6−ヘキサンジイル基などが挙げられ、特に1,3−プロパンジイル基が好ましい。
前記一般式(2)において、L3は脱離可能な官能基若しくは炭化水素基であり、L4は脱離可能な官能基である。また、前記一般式(3)においてL5は脱離可能な官能基であり若しくは炭化水素基である。
前記L1〜L4における脱離可能な官能基としては、例えば、トリヒドロカルビルシリル基を挙げることができ、好ましくはヒドロカルビル基が炭素数1〜10のアルキル基であるトリアルキルシリル基を挙げることができ、特に好ましくはトリメチルシリル基を挙げることができる。
脱離可能基で保護された1級アミノ基の例としては、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ基を挙げることができ、脱離可能基で保護された2級アミノ基の例としてはN−(トリメチルシリル)イミノ基を挙げることができる。
また、L2、L3及びL5における炭化水素基としては、炭素数1〜20の炭化水素基が好ましい。この炭素数1〜20の炭化水素基については、前記のR2、R4及びR6の説明において示した通りである。
これらの中で、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジエトキシシラン及びN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジプロポキシシランが好適である。
この一般式(2)において、fが1である場合、一般式(2)で表されるシラン化合物としては、前述の一般式(1)で表される化合物において、脱離可能な官能基2個で保護された1級アミノ基を有する場合、及び脱離可能な官能基1個で保護された2級アミノ基を有する場合について、それぞれ例示した化合物と同じ物を挙げることができる。
この一般式(3)で表されるシラン化合物としては、例えば1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2−メトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンなどが挙げられる。
例えば、(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン−1−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン−1−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、さらには、N−トリメチルシリル(ヘキサメチレンイミン−2−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(ヘキサメチレンイミン−2−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピロリジン−2−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピロリジン−2−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピペリジン−2−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(ピペリジン−2−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(イミダゾール−2−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(イミダゾール−2−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシラン、N−トリメチルシリル(4,5−ジヒドロイミダゾール−5−イル)プロピル(メチル)ジメトキシシラン、N−トリメチルシリル(4,5−ジヒドロイミダゾール−5−イル)プロピル(メチル)ジエトキシシランなども用いることができる。
これらの変性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における変性反応においては、有機アルカリ金属活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、前述の変性剤の中から選ばれる少なくとも1種を反応させて変性を行う。
この変性剤による変性反応は、溶液反応で行うのが好ましく、該溶液中には、重合時に使用した単量体が含まれていてもよい。また、変性反応の反応形式は特に制限されず、バッチ式でも連続式でもよい。
この変性反応においては、使用する共役ジエン系重合体は、少なくとも10%のポリマー鎖がリビング性を有するものが好ましい。
なお、上記変性剤の添加方法は、特に制限されず、一括して添加する方法、分割して添加する方法、あるいは、連続的に添加する方法などが挙げられるが、一括して添加する方法が好ましい。
本発明においては、前述の変性剤として用いるヒドロカルビルオキシシラン化合物が関与する縮合反応を促進するために、変性反応を行ったのち、必要に応じて縮合促進剤の存在下で縮合反応を行ってもよい。
この縮合促進剤としては、周期表(長周期型)の4族、13族、14族及び15族の少なくとも一つに属する元素の化合物が用いられる。
当該縮合促進剤としては、チタンの化合物、スズの化合物、ジルコニウムの化合物、ビスマスの化合物及びアルミニウムの化合物の中から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられ、より好ましくは、上記各元素のアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩であり、さらに好ましくは、チタンのアルコキシド、チタンのカルボン酸塩、スズのカルボン酸塩、ビスマスのカルボン酸塩、ジルコニウムのアルコキシド、ジルコニウムのカルボン酸塩、アルミニウムのアルコキシド及びアルミニウムのカルボン酸塩である。
ビスマス化合物からなる縮合促進剤としては、例えば、トリス(2−エチルヘキサノエート)ビスマス、トリス(ラウレート)ビスマス、トリス(ナフテネート)ビスマス、トリス(ステアレート)ビスマス、トリス(オレエート)ビスマス、トリス(リノレート)ビスマスなどが挙げられる。これらの中で、トリス(2−エチルヘキサノエート)が好適である。
これらの中でトリイソプロポキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、トリス(2−エチルヘキサノエート)アルミニウム、トリス(ステアレート)アルミニウム、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)が好適である。
縮合促進剤の添加時期としては、通常、変性反応開始5分〜5時間後、好ましくは変性反応開始15分〜1時間後である。
本発明における縮合反応は、水の存在下で行うことが好ましく、水としては、単体やアルコール等の溶液、炭化水素溶媒中の分散ミセル等の形態が好適に用いられるほか、必要ならば固体表面の吸着水や水和物の水和水等の、反応系中で水を放出し得る化合物が潜在的に含んだ水分も有効に用いることができる。従って吸着水を持つ固体や、水和物など、容易に水を放出することができる化合物を上記金属化合物と併用することも好ましい態様として挙げられる。
縮合促進剤と水との二者は、反応系に別々に投入しても、使用直前に混合して混合物として投入してもよいが、混合物の長期保存は縮合促進剤の分解を招くので好ましくない。
縮合促進剤と反応に有効な水とのモル比は、求められる反応条件によっても異なるが、1/0.5〜1/20程度が好適である。
縮合反応時の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜10MPaである。
縮合反応の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いても、多段連続式反応器などの装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この縮合反応と脱溶媒を同時に行っても良い。
なお、変性剤として、保護された1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物を用いた場合には、該保護アミノ基における脱離可能基を加水分解することによって遊離したアミノ基に変換することができる。これを脱溶媒処理することにより、1級アミノ基や2級アミノ基を有する乾燥したポリマーが得られる。なお、前記縮合処理を含む段階から、脱溶媒して乾燥ポリマーまでのいずれかの段階において必要に応じて変性剤由来の保護1級アミノ基及び/又は2級アミノ基の脱保護処理を行うことができる。
また、前記含窒素官能基を有するケイ素原子に、さらにヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合してなる構造のものも挙げることができる。
このような構造を有するアミン系官能基変性低分子量共役ジエン系重合体においては、前記含窒素官能基が、カーボンブラックやシリカに対して良好な相互作用を有しており、一方ヒドロカルビルオキシシラン基やシラノール基は、特にシリカに対して優れた相互作用を有している。したがって、後述の当該変性低分子量共役ジエン系重合体をアロマオイルなどの軟化剤に代えて含むゴム組成物は、適度の貯蔵弾性率を有すると共に、耐摩耗性を低下させることなく、低発熱性を向上させたタイヤを与えることができる。
当該変性低分子量共役ジエン系ゴムは、ガラス転移点(Tg)が0℃以下であることが好ましい。このガラス転移点が0℃を超えると、低温下におけるタイヤ性能が大幅に劣化するおそれがある。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、(A)重量平均分子量が15万を超えるゴム成分と、その100質量部に対し、(B)前述した本発明の変性低分子量共役ジエン系重合体10〜55質量部を含むことを特徴とする。
((A)ゴム成分)
本発明のゴム組成物において、(A)成分として用いられるゴム成分としては、重量平均分子量が15万を超えるものであればよく、特に制限されず、無変性ゴムであってもよく、従来公知の方法で変性されてなる変性ゴムであってもよい。このような無変性又は変性ゴムとしては、例えば天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化メチル基をもつスチレンとイソブチレンとの共重合体などの無変性ゴム及び変性ゴムの中から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
当該(A)ゴム成分の重量平均分子量は、マトリックスゴムとしての性能の観点から、15万を超えることを要し、15万〜200万のものが好ましく、15万〜100万のものがより好ましい。
本発明のゴム組成物における(B)成分としては、前述で説明した本発明の変性低分子量共役ジエン系重合体が用いられる。
この変性低分子量共役ジエン系重合体としては、例えば変性低分子量スチレン−ブタジエン共重合体(以下、変性LM−SBRと略記することがある。)や、変性低分子量ポリブタジエン(以下、変性LM−BRと略記することがある。)などを挙げることができる。
本発明のゴム組成物においては、前記(B)成分である変性低分子量共役ジエン系重合体は、通常アロマオイルなどの軟化剤に代えて用いられるものであり、その配合量は、(A)ゴム成分100質量部に対して、10〜55質量部である。(B)成分の配合量が上記範囲にあれば、本発明の効果が良好に発揮される。好ましい配合量は15〜50質量部である。
カーボンブラックとしては特に制限はなく、例えばSRF、GPF、FEF、HAF、1SAF、SAFなどが用いられ、ヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックを用いることにより、グリップ性能および耐破壊特性の改良効果は大きくなるが、耐摩耗性に優れるHAF、ISAF、SAFが特に好ましい。
一方、シリカとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。
このシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。
本発明のゴム組成物においては、補強性充填材としてシリカを用いる場合、その補強性及び低発熱性をさらに向上させる目的で、シランカップリッグ剤を配合することができる。
このシランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−卜リエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられるが、これらの中で補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドおよび3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0質量部である。0.1質量部未満では加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性、低発熱性が低下するおそれがあり、10.0質量部を超えるとゴム弾性が失われる原因となる。
[タイヤ]
本発明のタイヤは、前述した本発明のゴム組成物をタイヤ部材に用いたことを特徴とする。
前記タイヤ部材としては、トレッド、ベーストレット及びサイドウォールを好ましく挙げることができ、これらのいずれかに、本発明のゴム組成物を用いることができるが、特にトレッドに用いることが好ましい。
本発明のゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、転がり抵抗が低く低燃費性に優れると共に、ドライグリップ性能を保持し、かつ破壊特性及び耐摩耗性が優れる。なお、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスが挙げられる。本発明のゴム組成物をトレッドに用いる場合は、例えばトレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
なお、諸特性は、以下に示す方法に従って求めた。
<加硫後のゴム組成物>
(1)損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(G’)
レオメトリックス社製の粘弾性測定装置を用いて、温度50℃、周波数52Hz、歪1.0%でtanδ及び貯蔵弾性率(G’)を測定し、コントロールのtanδ及びG’を100として、指数表示した。tanδは指数の値が低いほど、低発熱性に優れることを示す。またG’は指数の値が大きいほど、ドライグリップ性能が良いことを示す。
(2)耐摩耗性
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率が25%の摩耗量を測定し、コントロールの摩耗量の逆数を100として指数表示した。指数の大きいほど、耐摩耗性に優れていることを示す。
<無変性・変性低分子量SBR、変性低分子量BR、マトリックスSBR>
(3)ミクロ構造及び結合スチレン含量
重合体のミクロ構造を赤外法(モレロ法)で求め、重合体の結合スチレン含量を1H−NMRスペクトルの積分比より求めた。
(4)重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8020、カラム:東ソー製GMH−XL(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]で、単分散ポリスチレンを基準として、変性低分子量SBR及び変性低分子量BRの変性前重量平均分子量(Mw)、無変性低分子量SBR及びマトリックスSBR(無変性)のMwを求めた。
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロへキサン 300g、1,3−ブタジエン 40g、スチレン 13g、ジテトラヒドロフリルプロパン 0.90mmolを加え、更にn−ブチルリチウム0.90mmolを加えた後、50℃で2時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。その後、重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールのイソプロパノール溶液(濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して無変性低分子量SBR(無変性LM−SBR)を得た。
この無変性LM−SBRの結合スチレン含量は25質量%、ブタジエン部分の結合ビニル含量は65モル%、Mwは8万であった。
<活性末端を有するLM−SBRの製造>
製造例1と同様にして、重合反応を行い、活性末端を有するLM−SBRを得た。
<変性反応工程>
次に、重合反応系に変性剤−Aを0.43mmol加えて、さらに50℃で30分間変性反応を行った。
<重合後処理>
次に、重合反応系に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールのイソプロパノール溶液(濃度:5質量%)を加えて重合反応を停止させた。その後、水蒸気を吹き込んで溶剤の分圧を下げて(スチームストリッピング)脱溶媒した後、真空乾燥して変性LM−SBR Aを得た。
なお、変性剤−Aは、3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジエトキシシランである。
製造例2における変性反応工程において、変性剤−Aを0.85mmol加えて、50℃で15分間変性反応を行ったのち、縮合促進剤(a)としてテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン0.80mmolを加え、さらに50℃で15分間反応を行った以外は、製造例2と同様にして変性LM−SBR Bを得た。
製造例2における変性反応工程において、変性剤−Aを0.85mmol加えて、50℃で15分間変性反応を行ったのち、縮合促進剤(b)としてビス(2−エチルヘキサノエート)スズ0.80mmolを加え、さらに50℃で15分間反応を行った以外は、製造例2と同様にして変性LM−SBR Cを得た。
製造例2における変性反応工程において、変性剤−Aを0.85mmol加えて、50℃で15分間変性反応を行ったのち、縮合促進剤(c)としてビス(2−エチルヘキサノエート)酸化ジルコニウム0.80mmolを加え、さらに50℃で15分間反応を行った以外は、製造例2と同様にして変性LM−SBR Dを得た。
製造例2における変性反応工程において、変性剤−Aの代わりに、変性剤−Bを用いた以外は、製造例2と同様にして変性LM−SBR Eを得た。
なお、変性剤−Bは、3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシランである。
製造例2における変性反応工程において、変性剤−Aの代わりに、変性剤−Cを用いた以外は、製造例2と同様にして変性LM−SBR Fを得た。
なお、変性剤−Cは、3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(ジメチル)エトキシシランである。
製造例2における変性反応工程において、変性剤−Aの代わりに、変性剤−D(四塩化スズ)0.225mmolを用いた以外は、製造例2と同様にして変性LM−SBR Gを得た。
製造例2における変性反応工程において、変性剤−Aの代わりに、変性剤−E0.85mmolを用いた以外は、製造例2と同様にして変性LM−SBR Hを得た。
なお、変性剤−Eは、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンである。
製造例2における変性反応工程において、変性剤−Aの代わりに、変性剤−F(テトラエトキシシラン)0.225mmolを用いた以外は、製造例2と同様にして変性LM−SBR Iを得た。
<活性末端を有するLM−SBRの製造>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン21g、スチレン32g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.90mmolを加え、更にn−ブチルリチウム0.90mmolを加えた後、50℃で2時間重合反応を行い、活性末端を有するLM−SBRを得た。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
<変性反応>
次に、重合反応系に変性剤−Aを0.85mmol加えて、50℃で30分間変性反応を行ったのち、縮合促進剤(a)としてテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン0.80mmolを加え、さらに50℃で15分間反応を行った。
<重合後処理>
次に、重合反応系に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールのイソプロパノール溶液(濃度:5質量%)を加えて重合反応を停止させた。その後、水蒸気を吹き込んで溶剤の分圧を下げて(スチームストリッピング)脱溶媒した後、真空乾燥して変性LM−SBR Jを得た。
変性前LM−SBRの結合スチレン含量は60質量%、ブタジエン部分の結合ビニル含量は65モル%、Mwは8万であった。
<活性末端を有するLiq−SBRの製造>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン40g、スチレン13g、ジテトラヒドロフリルプロパン23mmolを加え、更にn−ブチルリチウム23mmolを加えた後、50℃で2時間重合反応を行い、活性末端を有する液体SBR(Liq−SBR)を得た。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
<変性反応>
次に、重合反応系に変性剤−Aを20mmol加えて、50℃で30分間変性反応を行ったのち、縮合促進剤(a)としてテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン18mmolを加え、さらに50℃で15分間反応を行った。
<重合後処理>
次に、製造例11と同様にして重合後処理を行い、変性Liq−SBRを得た。
変性前Liq−SBRの結合スチレン含量は25質量%、ブタジエン部分の結合ビニル含量は65モル%、Mwは3000であった。
<活性末端を有するHM−SBRの製造>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン40g、スチレン13g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.40mmolを加え、更にn−ブチルリチウム0.40mmolを加えた後、50℃で2時間重合反応を行い、活性末端を有する高分子量SBR(HM−SBR)を得た。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
<変性反応>
次に、重合反応系に変性剤−Aを0.35mmol加えて、50℃で30分間変性反応を行ったのち、縮合促進剤(a)としてテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン0.30mmolを加え、さらに50℃で15分間反応を行った。
<重合後処理>
次に、製造例11と同様にして重合後処理を行い、変性HM−SBRを得た。
変性前HM−SBRの結合スチレン含量は25質量%、ブタジエン部分の結合ビニル含量は65モル%、Mwは22万であった。
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン55g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.90mmolを加え、更にn−ブチルリチウム0.90mmolを加えた後、50℃で2時間重合反応を行い、活性末端を有する低分子量ポリブタジエン(LM−BR)を得た。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
<変性反応>
次に、重合反応系に変性剤−Aを0.85mmol加えて、50℃で30分間変性反応を行ったのち、縮合促進剤(a)としてテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン0.80mmolを加え、さらに50℃で15分間反応を行った。
<重合後処理>
次に、製造例11と同様にして重合後処理を行い、変性LM−BRを得た。
変性前LM−BRの結合ビニル含量は65モル%、シス−1,4結合含量は16モル%、Mwは8万であった。
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン40g、スチレン13g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.20mmolを加え、更にn−ブチルリチウム0.20mmolを加えた後、50℃で1.5時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。その後、重合反応系に、2,6−ジ−p−クレゾールのイソプロパノール溶液(濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して、マトリックスSBR(無変性)を得た。
この無変性マトリックスSBRの結合スチレン含量は25質量%、ブタジエン部分の結合ビニル含量は65モル%、Mwは40万であった。
製造例1〜10の条件及び結果を第1表−1に示し、製造例11〜15の条件及び結果を第1表−2に示す。
変性剤−A:3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジエトキシシラン
縮合促進剤(a):テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン
縮合促進剤(b):ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ
縮合促進剤(c):ビス(2−エチルヘキサエート)酸化ジルコニウム
変性剤−B:3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン
変性剤−C:3−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(ジメチル)エトキシシラン
変性剤−D:四塩化スズ
変性剤−E:N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン
変性剤−F:テトラエトキシシラン
マトリックスゴムとして、天然ゴムと製造例15で得たマトリックスSBR(無変性)を用い、軟化剤として第3表に示すものを用いて、第2表に示す配合処方I及びIIにそれぞれ従って各ゴム組成物を調製した。
各ゴム組成物を160℃で15分間加硫処理して加硫ゴムを得、該加硫ゴムの耐摩耗性、損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(G’)を求め、比較例1をコントロールとし、それを100として指数表示した。
耐摩耗性は、指数値が高いほどよく、tanδは指数値が低いほど低発熱性であり、G’は指数値が高いほどドライグリップ性能がよい。
結果を第3表に示す。
1)製造例15で製造したマトリックスSBR(無変性)、
2)ISAF、窒素吸着比表面積(N2SA)=111m2/g
3)東ソーシリカ社製「ニプシルAQ」
4)アロマオイル及び/又は製造例1〜14で得られた無変性、変性共役ジエン系重合体
5)N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
6)デグサ社製「Si69」、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
7)メルカプトベンゾチアジルジスルフィド
8)ジフェニルグアニジン
9)N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
マトリックスゴムとして、天然ゴムと製造例15で得たマトリックスSBR(無変性)を用い、軟化剤として第4表に示すものを用いて、前記第2表に示す配合処方I及びIIにそれぞれ従って各ゴム組成物を調製した。
各ゴム組成物を160℃で15分間加硫処理して加硫ゴムを得、該加硫ゴムの耐摩耗性、損失正接(tanδ)及び貯蔵弾性率(G’)を求め、比較例5をコントロールとし、それを100として指数表示した。
耐摩耗性は、指数値が高いほどよく、tanδは指数値が低いほど低発熱性であり、G’は指数値が高いほどドライグリップ性能がよい。
結果を第4表に示す。
第3表及び第4表から次のことが分かる。
本発明の実施例1〜9は、比較例1〜10に比べ、カーボンブラック配合又はシリカ配合共に、耐摩耗性、低発熱性及びドライグリップ性に優れることが分かる。
Claims (22)
- 分子内にプロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基を有するアミン系官能基変性共役ジエン系重合体であって、変性前の重量平均分子量が1万〜20万であることを特徴とする変性低分子量共役ジエン系重合体。
- 分子内に、さらにケイ素原子を含む官能基を有する請求項1に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- ケイ素原子を含む官能基が、ケイ素原子にヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合してなるシラン基である請求項2に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- 重合末端に、プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基と、ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合してなるケイ素原子とを有する請求項3に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- 同一の重合活性末端に、プロトン性アミノ基及び/又は脱離可能基で保護されたアミノ基と、ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が結合したケイ素原子とを有する請求項4に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- プロトン性アミノ基が、1級アミノ基、2級アミノ基及びそれらの塩の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- 脱離可能基で保護されたアミノ基が、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ基及び/又はN−(トリメチルシリル)イミノ基である請求項1〜5のいずれかに記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- ケイ素原子に、ヒドロカルビルオキシ基及び/又はヒドロキシ基が1又は2個結合してなる請求項3〜7に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- 活性末端を有する共役ジエン系重合体の該活性末端に、変性剤として、脱離可能基で保護された1級アミノ基及び/又は2級アミノ基含有基と2又は3個のヒドロカルビルオキシ基及び/又はハロゲン原子とが、同一ケイ素原子に結合してなるシラン化合物を反応させ、変性してなるものである請求項8に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- 変性剤が、一般式(1)
一般式(2)
及び一般式(3)
で表されるシラン化合物の中から選ばれる請求項9に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。 - 変性剤が、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジメトキシシラン又はN,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピル(メチル)ジエトキシシランである請求項9又は10に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- 変性剤が、1−トリメチルシリル−2−エトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2−メトキシ−2−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−トリメチルシリル−2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン又は1−トリメチルシリル−2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタンである請求項10に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- シラン化合物を反応させ、変性させたのち、周期表(長周期型)の4族、13族、14族及び15族のうちのいずれかに属する元素の化合物からなる縮合促進剤の存在下で、前記シラン化合物が関与する縮合反応を施して得られたものである請求項9〜12のいずれかに記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- 縮合促進剤が、チタン、ジルコニウム、ビスマス若しくはアルミニウムのアルコキシド、カルボン酸塩又はアセチルアセトナート錯塩である請求項13に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- 活性末端を有する共役ジエン系重合体が、アルカリ金属化合物を重合開始剤として用いるアニオン重合により又は、希土類金属化合物を用い配位重合により得られる請求項9〜14に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- 共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体である請求項1〜15のいずれかに記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- 共役ジエン化合物が1,3−ブタジエンであり、芳香族ビニル化合物がスチレンである請求項15又は16に記載の変性低分子量共役ジエン系重合体。
- (A)重量平均分子量が15万を超えるゴム成分と、その100質量部に対し、(B)請求項1〜17のいずれかに記載の変性低分子量共役ジエン系重合体10〜55質量部を含むことを特徴とするゴム組成物。
- さらに、(A)成分100質量部に対して、(C)補強用充填材を20〜120質量部の割合で含む請求項18に記載のゴム組成物。
- (C)補強用充填材が、カーボンブラック及び/又はシリカである請求項19に記載のゴム組成物。
- さらに、シリカに対し、(D)シランカップリング剤を1〜20質量%の割合で含む請求項20に記載のゴム組成物。
- 請求項18〜21のいずれかに記載のゴム組成物を、タイヤ部材に用いたことを特徴とするタイヤ。
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