JP5965433B2 - タイヤ - Google Patents

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本発明は、変性共役ジエン重合体又は共重合体の製造方法、その方法により得られた変性共役ジエン重合体又は共重合体、ゴム組成物及びタイヤに関する。さらに詳しくは、ゴム成分とカーボンブラック及び/又はシリカとの相互作用に優れ、これら充填材の分散性を改善することができ、低発熱性、破壊特性、耐摩耗性などに優れると共に、良好な作業性を発揮し得る変性共役ジエン重合体又は共重合体の製造方法、その方法によって得られた変性共役ジエン重合体又は共重合体、そのゴム組成物及び該組成物を用いてなる、上記特性を有するタイヤに関するものである。
近年、省エネルギーの社会的な要請及び環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求はより過酷なものとなりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の減少が求められてきている。タイヤの転がり抵抗を下げる手法としては、タイヤ構造の最適化による手法についても検討されてきたものの、ゴム組成物としてより発熱性の低い材料を用いることが最も一般的な手法として行われている。
このような発熱性の低いゴム組成物を得るために、例えば1,3−ブタジエンなどを、コバルト系触媒やニッケル系触媒の存在下で重合させてポリブタジエンとしたのち、アミノ基とアルコキシ基とを有する有機珪素化合物からなる変性剤により変性する、変性共役ジエン系ゴムの製造方法が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、これらの変性共役ジエン系ゴムの製造方法において用いられる変性剤は、アミノ基が活性プロトンを有しているため、アニオン重合で得られる共役ジエン系ゴムの変性には、使用することができない。
また、有機リチウムを用いたアニオン重合で得られる共役ジエン系重合体の重合活性末端を充填材と相互作用する官能基を含有するアルコキシシラン誘導体で変性する方法が提案されている(例えば、特許文献3、4及び5参照)。
これらのアルコキシシラン誘導体は、いずれも分子内に、ケイ素原子に直接結合するアルコキシ基を有すると共に、充填材と相互作用を有する含窒素官能基を含むケイ素化合物であって、これにより重合活性末端が変性されてなる変性共役ジエン系重合体は、タイヤの転がり抵抗を減少させると共に、破壊特性や耐摩耗性を向上させる効果を奏する。しかしながら、近年、省エネルギーや環境問題などの観点から、さらなる自動車の低燃費化(タイヤの転がり抵抗の減少)や耐摩耗性の向上が望まれている。
特開2000−212219号公報 特開2000−344955号公報 特開2001−158837号公報 特開2005−232364号公報 特開2005−290355号公報 WO2007/034785号パンフレット
本発明は、このような状況下で、ゴム成分とカーボンブラック及び/又はシリカとの相互作用に特に優れ、これら充填材の分散性をより改善することができ、低発熱性、破壊特性、耐摩耗性などに優れた変性共役ジエン重合体又は共重合体を製造する方法、その方法によって得られた変性共役ジエン重合体又は共重合体、そのゴム組成物及び該組成物を用いてなる、上記特性を有するタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために、共役ジエン重合体又は共重合体の有機金属型活性部位の変性に用いる変性剤について鋭意研究を重ねた結果、下記の知見を得た。
共役ジエン重合体又は共重合体の活性部位に反応させる変性剤として、分子内に該活性部位に反応し得る反応基及び該反応基から一本の直鎖上に存在する窒素含有官能基を2つ以上含み、かつ該窒素含有官能基のうち、少なくとも一つは、一級又は二級アミノ基を、ケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護されなり、かつ三級アミノ基を0又は1つを含むと共に、直鎖状の末端は三級アミノ基又はケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で活性プロトンを保護された一級アミノ基であり、分子中に活性プロトンを含まない化合物を用いることにより、得られる変性共役ジエン重合体又は共重合体は、優れた低発熱性、破壊特性及び耐摩耗性を発揮し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体の該活性部位に変性剤を反応させてなる変性共役ジエン重合体又は共重合体であって、該活性部位が重合体又は共重合体の末端にあり、該活性末端に該変性剤を反応させ、該活性末端を有する共役ジエン系重合体又は共重合体が、C−Li又はN−Liを含むアルカリ金属化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物単独、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物をアニオン重合させて得られたものであり、
下記一般式(3)
[式中、Polymは共役ジエン系重合体又は共重合体、A1aは、活性部位に反応し得る反応基が重合体又は共重合体の活性部位に結合してなる基であって、(チオ)エポキシ基、ヒドロカルビルオキシシリル基、ハロゲン化シリル基、ハロゲン原子、アミド基、酸無水物基、ケトン基、チオケトン基、オキシカルボニル基、カルボニルチオ基、(チオ)カルボン酸の金属塩、(チオ)カルボニルハライド基、シアノ基、(チオ)アルデヒド基、ケチミン基、アルジミン基、ニトロソ基、カルボジイミド基、カルバミド基及びイソシアネート基の中から選ばれる基を含む1〜3官能性基が重合体又は共重合体の活性部位に結合してなる基を示し、aは1〜3の整数を示す。Bは窒素含有官能基であって、ケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された二級アミノ基;並びに三級アミノ基及びケチミン基の中から選ばれる官能基を含む二価の基を示す。Xはケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された一級アミノ基;並びに三級アミノ基の中から選ばれる一価の基を示す。B及びXのうち、少なくとも一つは、ケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された一級又は二級アミノ基であり、Rは炭素数1〜20の二価の炭化水素基を示し、Rは単結合又は炭素数1〜20の二価の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数でnが1のとき三級アミノ基は0又は1つ、nが2以上のときB1は三級アミノ基ではなく、分子中には活性プロトンは含まれない。]
で表される変性共役ジエン重合体又は共重合体をゴム成分として含み、該変性共役ジエン重合体又は共重合体を15質量%以上含むゴム成分100質量部に対し、カーボンブラックを10〜120質量部含むゴム組成物を、トレッド、ベーストレッド、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラーのいずれかであるタイヤ部材に用いたことを特徴とするタイヤ、
[2]前記一般式(3)において、A1aがケイ素を含有する基である上記[1]に記載のタイヤ、
[3]前記変性共役ジエン重合体又は共重合体が、下記一般式(4)
[式中、Polym、R 1 、R 2 、B 1 、X 1 、a及びnは前記と同じであり、bは0〜2の整数を示す。R 3 及びR 4 は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示す。]
で表される上記[1]又は[2]に記載のタイヤ、
[4]前記一般式(3)のA 1a は、(チオ)エポキシ基、ハロゲン化シリル基、アミド基、酸無水物基、ケトン基、チオケトン基、オキシカルボニル基、カルボニルチオ基、(チオ)カルボン酸の金属塩、(チオ)カルボニルハライド基、シアノ基、(チオ)アルデヒド基、ケチミン基、アルジミン基、ニトロソ基、カルボジイミド基、カルバミド基及びイソシアネート基の中から選ばれる基を含む1〜3官能性基が重合体又は共重合体の活性部位に結合してなる基である上記[1]に記載のタイヤ
[5]前記一般式(3)又は一般式(4)において、Bはケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された二級アミノ基又は三級アミノ基を含む二価の基、Xはケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された一級アミノ基である上記[]に記載のタイヤ、
[6]前記変性共役ジエン重合体又は共重合体の活性部位に導入された変性基において、一級アミノ基又は二級アミノ基を保護してなる加水分解可能な官能基が未加水分解状態で存在していてもよい上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のタイヤ、
[7]前記変性共役ジエン重合体又は共重合体の活性部位に導入された変性基におけるXである窒素含有官能基において、一級アミノ基を保護してなる加水分解可能な官能基が未加水分解状態で存在していてもよい、上記[6]に記載のタイヤ。
[8]前記共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ、
[9]前記芳香族ビニル化合物がスチレンである上記[1]〜[8]のいずれかに記載のタイヤ、
[10]前記ゴム成分が、変性共役ジエン重合体又は共重合体15〜100質量%と、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム及びハロゲン化メチル基を持つスチレンとイソブチレンの共重合体の中から選ばれる少なくとも1種85〜0質量%とからなる上記[1]〜[9]のいずれか1項に記載のタイヤ、
を提供するものである。
本発明によれば、ゴム成分とカーボンブラック及び/又はシリカとの相互作用に特に優れ、これら充填材の分散性をより改善することができ、低発熱性、破壊特性、耐摩耗性などに優れた変性共役ジエン重合体又は共重合体を製造する方法、その方法によって得られた変性共役ジエン重合体又は共重合体、そのゴム組成物及び該組成物を用いてなる、上記特性を有するタイヤを提供することができる。
まず、本発明の変性共役ジエン重合体又は共重合体の製造方法について説明する。
[変性共役ジエン重合体又は共重合体の製造方法]
本発明の変性共役ジエン重合体又は共重合体の製造方法は、有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体の該活性部位に変性剤を反応さる変性共役ジエンの製造方法であって、上記変性剤が一次変性剤として用いられ、かつ分子内に(a)上記活性部位に反応して重合体と共有結合を生じさせる反応基、及び(b)該反応基から一本の直鎖上に存在する同一又は異種の窒素含有官能基を2つ以上含むと共に、(c)上記窒素含有官能基のうち、少なくとも一つは、一級又は二級アミノ基をケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護してなり、かつ分子中に活性プロトンを含まない化合物であることを特徴とする。
(活性末端を有する共役ジエン系重合体)
本発明の方法において用いられる有機金属型の活性部位を分子中に有する共役ジエン系重合体は、活性部位が該重合体の末端にあるものが好ましく、ジエン系モノマーを単独で、又は他のモノマーと共重合して得ることができる。その製造方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、特に溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。また、重合方法としては、有機金属化合物を重合開始剤とするアニオン重合法、及び希土類金属化合物を重合開始剤とする配位重合法のいずれも用いることができるが、特に有機金属化合物を重合開始剤として用いるアニオン重合法が好ましい。
また、共役ジエン系重合体の分子中に存在する活性部位の金属はアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種であることが好ましく、アルカリ金属が好ましく、特にリチウム金属が好ましい。
上記溶液重合法においては、例えばC−Li又はN−Liを含むアルカリ金属化合物、特にリチウム化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物単独又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物をアニオン重合させることにより、目的の重合体を製造することができる。
さらには、ハロゲン含有モノマーを混在させ、ポリマー中のハロゲン原子を有機金属化合物によって活性化することも有効である。例えば、イソブチレン単位、パラメチルスチレン単位及びパラブロモメチルスチレン単位を含む共重合体の臭素部分をリチオ化して活性部位とすることも有効である。
上記共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン;イソプレン:1,3−ペンタジエン:2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン:2−フェニルー1,3−ブタジエン:1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが特に好ましい。
また、これらの共役ジエン化合物との共重合に用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン:α−メチルスチレン:1−ビニルナフタレン;3−ビニルトルエン;エチルビニルベンゼン:ジビニルベンゼン:4−シクロへキシルスチレン;2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、スチレンが特に好ましい。
さらに、単量体として共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、それぞれ1,3−ブタジエン及びスチレンの使用が、単量体の入手の容易さなどの実用性面、及びアニオン重合特性がリビング性などの点で優れることなどから、特に好適である。
また、溶液重合法を用いた場合には、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。尚、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含量は0〜55質量%の範囲が好ましく、共重合体中の芳香族ビニル化合物はブロックの状態でも良いが、ランダム状態で共重合されていることが好ましい。また、共重合体中の共役ジエン部分のビニル結合の含有量は0〜70%の範囲が好ましい。
共重合体中の芳香族ビニル化合物の量、共重合体中の芳香族ビニル化合物のブロック状態及び共重合体中の共役ジエン部分のビニル結合の含有量を上記範囲にすることによってゴム組成物の高ヒステリシスロス化を抑制することができる。
重合開始剤のリチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム(C−Li)及びリチウムアミド(N−Li)化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
上記ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルーフエニルリチウム、4−フェニルーブチルリチウム、シクロへキシルリチウム、シクロベンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応性生物などが挙げられるが、これらの中で、特にn−ブチルリチウムが好適である。
一方、リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミドなどが挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能の点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミドなどの環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、二級アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することができるが、重合系中(in−situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
前記リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在下にアニオン重合させることにより、目的の共役ジエン系重合体が得られる。
前記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、所望により用いられるランダマイザーとは共役ジエン系重合体のミクロ構造の制御、例えばブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン部分の1,2結合、イソプレン重合体における3,4結合の増加など、あるいは共役ジエン化合物一芳香族ビニル化合物共重合体における単量体単位の組成分布の制御、例えばブタジエンースチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイサーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2,2−ビス(2−テトラヒドロフリル)−プロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピぺリジノエタンなどのエーテル類及び三級アミン類などを挙げることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。
これらのランダマイザーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
この重合反応における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
この重合においては、重合開始剤、溶媒、単量体など、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物などの反応阻害物質を除去したものを用いることが望ましい。
得られる共役ジエン系重合体の示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は−115℃〜−10℃であることが好ましい。ガラス転移温度を上記範囲にすることによって、粘度が高くなるのを抑え、取り扱いが容易な共役ジエン系重合体を得ることができる。
一方、配位重合において、重合開始剤に用いる希土類金属化合物としては、特にネオジム、ランタン、ガドリウム化合物が好ましい。また、この配位重合においては、共役ジエン化合物を単独で、又は2種以上用いて重合させることができ、上記共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン:イソプレン:1,3−ペンタジエン:2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン:2−フェニル−1,3−ブタジエン:1,3−ヘキサジエンなどを用いることができる。
(変性剤)
本発明の製造方法においては、前記のようにして得られた有機金属型の活性部位を有する共役ジエン系重合体の該活性部位に反応させる一次変性剤として、分子内に(a)上記活性部位に反応して重合体と共有結合を生じさせる反応基、及び(b)該反応基から一本の直鎖上に存在する同一又は異種の窒素含有官能基を2つ以上含むと共に、(c)上記窒素含有官能基のうち、少なくとも一つは、一級又は二級アミノ基をケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護してなり、かつ分子中に活性プロトンを含まない化合物が用いられる。
このような変性剤としては、例えば下記一般式(1)
で表される化合物を挙げることができる。
前記一般式(1)において、A1は活性部位に反応し得る反応基であって、(チオ)エポキシ基、ヒドロカルビルオキシシリル基、ハロゲン化シリル基、ハロゲン原子、アミド基、酸無水物基、ケトン基、チオケトン基、オキシカルボニル基、カルボニルチオ基、(チオ)カルボン酸の金属塩、(チオ)カルボニルハライド基、シアノ基、(チオ)アルデヒド基、ケチミン基、アルジミン基、ニトロソ基、カルボジイミド基、カルバミド基及びイソシアネート基の中から選ばれる基を含む1〜3官能性基である。A1としては、これらの中でケイ素を含有する反応基が、活性部位に対する反応性及び導入される変性基としての性能の観点から好適である。
なお、配位重合により得られた活性部位を有する共役ジエン系重合体の活性部位に反応させる変性剤においては、上記A1はヒドロカルビルオキシシリル基及びハロゲン原子は含まない。
1は窒素含有官能基であって、ケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された二級アミノ基;並びに三級アミノ基及びケチミン基の中から選ばれる官能基を含む二価の基、X1はケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された一級アミノ基;並びに三級アミノ基の中から選ばれる一価の基を示す。
なお、B1及びX1のうち、少なくとも一つは、ケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された一級又は二級アミノ基である。
1は炭素数1〜20の二価の炭化水素基、R2は単結合又は炭素数1〜20の二価の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数でnが1のとき三級アミノ基は0又は1つ、nが2以上のときB1は三級アミノ基ではなく、分子中には活性プロトンは含まれない。
前記炭素数1〜20の二価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖状若しくは枝分かれ状のアルキレン基、炭素数5〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基を挙げることができる。上記アリーレン基やアラルキレン基は、芳香環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよい。
なお、前記R2は、分子鎖が短いほど、変性剤の性能の点で好ましく、また当該変性剤は、充填材に対する親和性を有する窒素原子が多く含まれているほど、該充填材の分散改良効果が高い。
本発明においては、当該変性剤として、下記一般式(2)
で表される化合物を好ましく挙げることができる。
前記一般式(2)において、R3及びR4は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示す。mは1〜3の整数を示し、OR3が複数ある場合、複数のOR3は同一でも異なっていてもよく、R4が複数ある場合、複数のR4は同一でも異なっていてもよい。B1及びX1は前記と同じである。
前記R3及びR4のうちの炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基などが挙げられるが、これらの中で、変性剤としての反応性や性能の観点から、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。このアルキル基は、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。これらの中で、変性剤の反応性や性能の観点から、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
一方、R3及びR4のうちの炭素数6〜18の一価の芳香族基としては、炭素数6〜10のアリール基や炭素数7〜10のアラルキル基を好ましく挙げることができる。具体的にはフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのアリール基、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基が挙げられる。
このR3及びR4の中では、変性剤としての反応性や性能の観点から、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が好適である。
1は炭素数1〜20の二価の炭化水素基、R2は単結合又は炭素数1〜20の二価の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数であり、分子中には活性プロトンは含まれない。上記炭素数1〜20の二価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖状若しくは枝分かれ状のアルキレン基、炭素数5〜20のシクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基を挙げることができる。上記アリーレン基やアラルキレン基は、芳香環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよい。
本発明においては、炭素数1〜20の二価の炭化水素基としては、変性剤の性能の観点から、炭素数1〜20のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜10のアルカンジイル基がより好ましく、炭素数2〜6のアルカンジイル基がさらに好ましい。
炭素数2〜6のアルカンジイル基は、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、例えばエチレン基、1,3−プロパンジイル基、1,2−プロパンジイル基、各種ブタンジイル基、各種ペンタンジイル基、各種ヘキサンジイル基などを挙げることができるが、これらの中で直鎖状のもの、例えばエチレン基、1,3−プロパンジイル基、1,4−ブタンジイル基、1,5−ペンタンジイル基、1,6−ヘキサンジイル基などが挙げられ、特に1,3−プロパンジイル基が好ましい。
本発明において、ケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された二級アミノ基の例としては、N−(トリメチルシリル)アミノ基などを挙げることができ、ケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された一級アミノ基の例としては、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ基や2,2,5,5−テトラメチル−(1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン)−1−イル基などを挙げることができる。
前記一般式(2)において、mが1であれば、前記一般式(1)におけるA1が、珪素原子を含む1官能基である場合を、mが2であれば、A1が2官能基である場合を、m1が3であれば、A1が3官能基である場合を示す。
前記一般式(2)で表される変性剤の具体例としては、N−[2−N’,N’−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル]−N−(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−[6−N’,N’−ビス(トリメチルシリル)アミノヘキシル]−N−(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−[2−N’,N’−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル]−N−メチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−[2−[2,2,5,5−テトラメチル−(1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン)−1−イル]エチル]−N−(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのトリエトキシシラン化合物、及びこれらのトリエトキシシラン化合物におけるトリエトキシシランを、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、トリクロロシランなどに置き換えた化合物、さらには、(E)−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルイミノ]プロパン−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミン、N−[2−N’,N’−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル]−N−(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルエチレンオキシドなどを挙げることができる。
本発明において、活性部位を有する共役ジエン系重合体の該活性部位に反応させる、前記一次変性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この一次変性剤による変性反応は、溶液反応で行うのが好ましく、該溶液中には、重合時に使用した単量体が含まれていてもよい。また、変性反応の反応形式は特に制限されず、バッチ式でも連続式でもよい。更に、変性反応の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されず、重合反応の反応温度をそのまま採用してもよい。なお、変性剤の使用量は、共役ジエン系重合体の製造に使用した重合開始剤1molに対し、0.25〜3.0molの範囲が好ましく、0.5〜1.5molの範囲が更に好ましい。
(縮合促進剤)
本発明においては、一次変性剤としてヒドロカルビルオキシシラン化合物を用いた場合、それが関与する縮合反応を促進するために、一次変性反応を行ったのち、必要に応じて縮合促進剤の存在下で縮合反応を行ってもよい。
また、一次変性剤として、上記のようにヒドロカルビルオキシシラン化合物を用いた場合、必要に応じ、二次変性剤として、同一又は異なるヒドロカルビルオキシシラン化合物を用い、二次変性反応を行うことができる。この場合も、必要に応じ縮合促進剤の存在下に、二次変性反応を行ってもよい。
この縮合促進剤としては、周期表の4族、13族、14族及び15族の少なくとも一つに属する元素の化合物が用いられる。
当該縮合促進剤としては、チタンの化合物、スズの化合物、ジルコニウムの化合物、ビスマスの化合物及びアルミニウムの化合物の中から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられ、より好ましくは、上記各元素のアルコキシド、カルボン酸塩及びアセチルアセトナート錯塩であり、さらに好ましくは、チタンのアルコキシド、チタンのカルボン酸塩、スズのカルボン酸塩、ビスマスのカルボン酸塩、ジルコニウムのアルコキシド、ジルコニウムのカルボン酸塩、アルミニウムのアルコキシド及びアルミニウムのカルボン酸塩である。
当該縮合促進剤の使用量としては、縮合促進剤のモル数が、反応系内に存在するケイ素原子に結合したヒドロカルビロキシ基総量に対するモル比として、0.1〜10となることが好ましく、0.5〜5が特に好ましい。縮合促進剤の使用量を上記範囲にすることによって縮合反応が効率よく進行する。
縮合促進剤の添加時期としては、通常、変性反応開始5分〜5時間後、好ましくは変性反応開始15分〜1時間後である。
本発明における縮合反応は、水の存在下で行うことが好ましく、縮合反応時の温度は85〜180℃が好ましく、さらに好ましくは100〜170℃、特に好ましくは110〜150℃である。
縮合反応時の温度を上記範囲にすることによって、縮合反応を効率よく進行完結することができ、得られる変性共役ジエン重合体又は共重合体の経時変化によるポリマーの老化反応などによる品質の低下などを抑えることができる。
縮合反応時間は、通常、5分〜10時間、好ましくは15分〜5時間程度である。縮合反応時間を上記範囲にすることによって縮合反応を円滑に完結することができる。
縮合反応時の反応系の圧力は、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜10MPaである。
縮合反応の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いても、多段連続式反応器などの装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この縮合反応と脱溶媒を同時に行っても良い。
このようにして、変性共役ジエン重合体又は共重合体の活性部位に導入された変性基において、一級アミノ基又は二級アミノ基を保護してなる加水分解可能な官能基は、未加水分解状態で存在していてもよく、また変性共役ジエン重合体又は共重合体の活性部位に導入された変性基におけるX1である窒素含有官能基において、一級アミノ基を保護してなる加水分解可能な官能基は未加水分解状態で存在していてもよい。
なお、活性部位に導入された変性基におけるケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された二級アミノ基及び一級アミノ基は、加水分解することによって、該保護基が加水分解し、−NH基や−NH2基に変換することができる。この保護基の加水分解操作は、前記縮合処理を含む段階から、脱溶媒して乾燥ポリマーを得るまでのいずれの段階において、必要に応じて行うことができる。
[変性共役ジエン重合体又は共重合体]
本発明の変性共役ジエン重合体又は共重合体は、前述した本発明のアニオン重合又は配位重合による製造方法により得られたことを特徴とする。
本発明の変性共役ジエン重合体又は共重合体としては、下記一般式(3)で表される構造のものを例示することができる。
前記一般式(3)において、Polymは共役ジエン系重合体を示し、A1aは前記一般式(1)におけるA1が、重合体の活性部位に結合してなる基を示し有機化学で一般的に知られている置換反応、付加反応から得られる構造を示す。aは1〜3の整数を示し、R1、R2、B1、X1及びnは前記一般式(1)及び前記一般式(2)で説明したとおりである。
前記一般式(3)で表される変性共役ジエン重合体又は共重合体としては、前記A1がケイ素含有1〜3官能基である変性剤を用いて得られた下記一般式(4)で表される構造のものを好ましく挙げることができる。ただし、この構造の変性共役ジエン重合体又は共重合体は、有機アルカリ金属化合物を用いたアニオン重合による共役ジエン系重合体の変性物である。
前記一般式(4)において、Polym、R1〜R4、B1、X1、a及びnは前記一般式(3)と同じであり、bは0〜2の整数を示す。
次に、前記一般式(1)で表される変性剤を用いて、一般式(3)で表される変性共役ジエン重合体又は共重合体を得るプロセスについて、具体例を挙げて説明する。
一般式(1)を
で表し、このA1−Yを共役ジエン系重合体の活性部位に反応させる場合の例を下記に示す。
ただし、配位重合で得られた共役ジエン系重合体では、変性剤として、A1がアルキルハライドやヒドロカルビルオキシシリル基を含むものは用いられない。
本発明の変性共役ジエン重合体又は共重合体は、10℃以下のガラス転移点(Tg)を有することが好ましい。Tgが10℃以下であれば、転がり抵抗をより低減でき、低温時のゴム組成物の柔軟性を高めることができるからである。
本発明の変性共役ジエン重合体又は共重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜150、より好ましくは15〜100である。ムーニー粘度の値を上記範囲にすることによって、混練り作業性および加硫後の機械的特性のすぐれたゴム組成物を得ることができる。
本発明の変性共役ジエン重合体又は共重合体の重量平均分子量は、5、000〜1000、000の範囲が好ましく、50、000〜500、000の範囲がより好ましく、分子量分布は1〜5が好ましい。重量平均分子量及び分子量分布を上記範囲にすることによって、ゴム組成物の高ヒステリシスロス化を抑え、作業性のすぐれた、ゴム組成物を得ることができる。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、前述の製造方法で得られた変性共役ジエン重合体又は共重合体を含むことを特徴とする。
(ゴム成分)
本発明のゴム組成物は、ゴム成分として、上記変性共役ジエン重合体又は共重合体を少なくとも15質量%含むことが好ましい。ゴム成分中の該変性共役ジエン重合体又は共重合体のより好ましい含有量は30質量%以上であり、特に40質量%以上が好適である。ゴム成分中の変性共役ジエン重合体又は共重合体を15質量%以上にすることによって、所望の物性を有するゴム組成物を得ることができる。
この変性共役ジエン重合体又は共重合体は1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、この変性共役ジエン重合体又は共重合体と併用される他のゴム成分として、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンーブタジエンゴム、エチレンーα−オレフィン共重合ゴム、エチレンーα−オレフィンージエン共重合ゴム、クロロブレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム及びハロゲン化メチル基をもつスチレンとイソブチレンとの共重合体の中から選ばれる少なくとも1種85〜0質量%を含むことが好ましく、70〜0質量%を含むことがより好ましく、60〜0質量%を含むことが特に好ましい。
(充填材)
本発明のゴム組成物は、充填材としてシリカ及び/又はカーボンブラックを含有することが好ましい。
上記シリカとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。
このシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。
カーボンブラックとしても特に制限はなく、例えばSRF、GPF、FEF、HAF、1SAF、SAFなどが用いられ、ヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックを用いることにより、グリップ性能および耐破壊特性の改良効果は大きくなるが、耐摩耗性に優れるHAF、ISAF、SAFが特に好ましい。
シリカ及び/又はカーボンブラックは、1種用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ及び/又はカーボンブラックは合計で、ゴム成分100質量部に対して、10〜120質量部配合されることが好ましく、補強性とそれによる諸物性の改良効果の観点から20〜100質量部がさらに好ましい。カーボンブラック及び/又はシリカの量を上記範囲にすることによって混練作業性などの工場作業性に優れ、ゴム組成物として、所望の破壊特性を得ることができる。
(シランカップリング剤)
本発明のゴム組成物においては、補強用充填材としてシリカを用いる場合、その補強性及び低発熱性をさらに向上させる目的で、シランカップリッグ剤を配合することができる。
このシランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−卜リエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられるが、これらの中で補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドおよび3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好適である。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物においては、好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類などにより異なるが、シリカに対して、好ましくは1〜20質量%の範囲で選定される。この量が1質量%未満ではカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、20質量%を超えるとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。カップリング剤としての効果およびゲル化防止などの点から、このシランカップリング剤の好ましい配合量は、5〜15質量%の範囲である。
(ゴム組成物の調製、用途)
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常、ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。
また、本発明のゴム組成物は、ロールなどの開放式混練機、バンバリーミキサーなどの密閉式混練機などの混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後に加硫を行ない、各種ゴム製品に適用可能である。例えば、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、サイド補強ゴム、ビード部(特にビードフィラー)などのタイヤ用途を始め、防振ゴム、防舷材,ベルト、ホースその他の工業品などの用途に用いることができるが、特に、低発熱性、耐摩耗性、破壊強度のバランスに優れた、低燃費用タイヤ、大型タイヤ、高性能タイヤのトレッド用ゴムとして好適に使用される。
[タイヤ]
本発明のタイヤは、前述した本発明のゴム組成物をタイヤ部材に用いたことを特徴とする。タイヤ部材としては、トレッド、ベーストレット、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラーを好ましく挙げることができ、これらのいずれかに、本発明のゴム組成物を用いることができるが、特にトレッドに用いることが好ましい。
本発明のゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、転がり抵抗が低く低燃費性に優れると共に、破壊特性及び耐摩耗性が優れる。なお、本発明のタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスが挙げられる。本発明のゴム組成物をトレッドに用いる場合は、例えばトレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、加硫後のゴム組成物の損失正接(tanδ)と耐摩耗性、及び変性スチレン−ブタジエンゴム(変性SBR)のミクロ構造(結合ビニル含量、結合スチレン含量)、ムーニー粘度を下記の方法により評価した。
(1)損失正接(tanδ)
米国レオメトリックス社製の動的スペクトロメーターを使用し、引張動歪1%、周波数10Hz、50℃の条件で測定し、コントロールのtanδを100として指数表示した。指数の値が低いほど、低発熱性に優れることを示す。
(2)耐摩耗性
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率が25%の摩耗量を測定し、コントロールの摩耗量の逆数を100として指数表示した。指数の大きいほど、耐摩耗性に優れていることを示す。
(3)変性SBRの共役ジエン部分の結合ビニル含量(ジエン部分全体に対する%)
270MHz1H−NMRによって求めた。
(4)変性SBRの結合スチレン含量
(ポリマー中の質量%)
270MHz1H−NMRによって求めた。
(5)変性SBRのムーニー粘度(ML1+4,100℃)
JIS K 6300に従って、Lローター、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃で求めた。
また、製造実施例及び製造比較例で用いた変性剤A〜Oの化学名は以下のとおりである。
変性剤A:N−[2−N’,N’−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル]−N−(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン

変性剤B:N−[2−[2,2,5,5−テトラメチル−(1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン)−1−イル]エチル]−N−(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン

変性剤C:N−[2−N’,N’−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル]−N−(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン

変性剤D:N−[6−N’,N’−ビス(トリメチルシリル)アミノヘキシル]−N−(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン

変性剤E:N−[2−N’,N’−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル]−N−メチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン

変性剤F:N−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−トリメチルシリル−N’,N’−ジエチル−エタン−1,2−ジアミン

変性剤G:(E)−3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルイミノ]プロパン−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミン

変性剤H:N−[N’−[2−N”,N”−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル]−N’−(トリメチルシリル)−2−アミノエチル]−N−(トリメチルシリル)−3−アミノプロピオニトリル

変性剤I:N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン

変性剤J:N−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−N,N’−ジエチル−N’ −トリメチルシリル−エタン−1,2−ジアミン

変性剤K:テトラエトキシシラン
変性剤L:N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン

変性剤M:N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン

変性剤N:N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピオニトリル

変性剤O:四塩化錫
製造実施例1
<活性末端を有するSBRの製造>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン60g及びスチレン15gとなるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.70mmolを加え、更にn−ブチルリチウム(BuLi)0.70mmolを加えた後、50℃の温水浴中で1.5時間重合反応を行なった。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
<変性反応工程>
次に、重合反応系に一次変性剤として変性剤Aを0.63mmol加えて、更に50℃で30分間変性反応を行った。
<重合後処理>
次に、重合反応系に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液を加えて重合反応を停止させた。その後、水蒸気を吹き込んで溶剤の分圧を下げて(スチームストリッピング)脱溶媒した後、真空乾燥して変性SBR Aを得た。得られた変性SBR Aの結合スチレン含量、ブタジエン部分の結合ビニル含量及びムーニー粘度を表1に示す。
製造実施例2〜8
製造実施例1において、変性剤Aの代わりに、変性剤B〜Hを用いた以外は、製造実施例1と同様にして、それぞれ変性SBR B〜Hを得た。得られた変性SBR B〜Hの結合スチレン含量、ブタジエン部分の結合ビニル含量及びムーニー粘度を表1に示す。
製造比較例1
製造実施例1において、変性反応を行わなかったこと以外は、製造実施例1と同様にして、未変性SBRを得た。得られた未変性SBRの結合スチレン含量、ブタジエン部分の結合ビニル含量及びムーニー粘度を表2に示す。
製造比較例2〜4
製造実施例1において、変性剤Aの代わりに、変性剤I,J及びOを用いた以外は、製造実施例1と同様にして、それぞれ変性SBR I,J及びOを得た。得られた変性SBR I,J及びOの結合スチレン含量、ブタジエン部分の結合ビニル含量及びムーニー粘度を表2に示す。
製造比較例5
<活性末端を有するSBRの製造>
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン60g及びスチレン15gとなるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.70mmolを加え、更にn−ブチルリチウム(BuLi)0.70mmolを加えた後、50℃の温水浴中で1.5時間重合反応を行なった。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
<変性反応工程>
次に、重合反応系に一次変性剤として変性剤Kを0.63mmol加えて、更に50℃で30分間第一段目の変性反応を行った。次いで、この重合系に、二次変性剤として変性剤Lを0.63mmol、縮合促進剤としてビス(2−エチルヘキサノエート)スズを3.78mmol添加し、さらに50℃で60分間第二段目の変性反応を行った。
<重合後処理>
次に、重合反応系に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液を加えて重合反応を停止させた。その後、水蒸気を吹き込んで溶剤の分圧を下げて(スチームストリッピング)脱溶媒した後、真空乾燥して変性SBR Kを得た。得られた変性SBR Kの結合スチレン含量、ブタジエン部分の結合ビニル含量及びムーニー粘度を表2に示す。
製造比較例6、7
製造実施例1において、変性剤Aの代わりに、変性剤M及びNを用いた以外は、製造実施例1と同様にして、それぞれ変性SBR M及びNを得た。得られた変性SBR M及びNの結合スチレン含量、ブタジエン部分の結合ビニル含量及びムーニー粘度を表2に示す。
実施例1〜3及び比較例1〜3
製造実施例で得た変性SBR A、B、D(それぞれ実施例1〜3)、及び製造比較例で得た未変性SBR、変性SBR O、I(それぞれ比較例1〜3)を用い、表3に示す配合処方Iに従い、実施例1〜3及び比較例1〜3の各ゴム組成物を調製した。
この未加硫ゴム組成物を165℃で15分間加硫処理したのち、動的損失正接(tanδ)を測定して、低発熱性を評価すると共に、耐摩耗性を評価した。低発熱性及び耐熱性は、比較例1を100として指数表示した。結果を表4に示す。低発熱性は指数値が低いほど、耐摩耗性は指数値が高いほど、優れた物性である。
なお変性SBRとしては、二段変性により得られたものよりも、一段変性で得られたものの方が性能に優れている。
[注]
1)製造実施例及び製造比較例で得た変性・未変性SBR
2)JSR社製「IR2200」
3)富士興産社製「アロマックス#3」
4)三菱化学社製「ダイヤブラックN234」、ISAF−HS
5)三菱化学社製「ダイヤブラックN339」、HAF−HS
6)三菱化学社製「ダイヤブラックE」、FEF
7)東ソーシリカ社製「AQ」
8)デグッサ社製「Si69」
9)大内新興化学工業社製「ノクラック6C」
10)大内新興化学工業社製「ノクセラーD」
11)大内新興化学工業社製「ノクセラーDM」
12)大内新興化学工業社製「ノクセラーNS−F」
なお、ゴム組成物の調製は、第1ステージの種類と量の各成分を混練りしたのち、これに第2ステージの種類と量の各成分を加えて混練りすることにより行った。
参考例1及び比較例4〜6
製造実施例で得た変性SBR A、B、D(それぞれ参考例1)、及び製造比較例で得た未変性SBR、変性SBR O、I(それぞれ比較例4〜6)を用い、表3に示す配合処方IIに従い、参考例1及び比較例4〜6の各ゴム組成物を調製した。
この未加硫ゴム組成物を165℃で15分間加硫処理したのち、動的損失正接(tanδ)を測定して、低発熱性を評価すると共に、耐摩耗性を評価した。低発熱性及び耐熱性は、比較例4を100として指数表示した。結果を表5に示す。低発熱性は指数値が低いほど、耐摩耗性は指数値が高いほど優れた物性である。
実施例及び比較例7
製造実施例で得た変性SBR C(実施例)、及び製造比較例で得た変性SBR M(比較例7)を用い、表3に示す配合処方IIIに従い、実施例及び比較例7の各ゴム組成物を調製した。
この未加硫ゴム組成物を165℃で15分間加硫処理したのち、動的損失正接(tanδ)を測定して、低発熱性を評価すると共に、耐摩耗性を評価した。低発熱性及び耐熱性は、比較例7を100として指数表示した。結果を表6に示す。低発熱性は指数値が低いほど、耐摩耗性は指数値が高いほど優れた物性である。
参考例4及び比較例8
製造実施例で得た変性SBR C(参考例4)、及び製造比較例で得た変性SBR M(比較例8)を用い、表3に示す配合処方IIに従い、参考例4及び比較例8の各ゴム組成物を調製した。
この未加硫ゴム組成物を165℃で15分間加硫処理したのち、動的損失正接(tanδ)を測定して、低発熱性を評価すると共に、耐摩耗性を評価した。低発熱性及び耐熱性は、比較例8を100として指数表示した。結果を表7に示す。低発熱性は指数値が低いほど、耐摩耗性は指数値が高いほど優れた物性である。
実施例及び比較例9〜12
製造実施例で得た変性SBR E、F、G(それぞれ実施例)、及び製造比較例で得た未変性SBR、変性SBR I、J、K(それぞれ比較例9〜12)を用い、表3に示す配合処方IVに従い、実施例及び比較例9〜12の各ゴム組成物を調製した。
この未加硫ゴム組成物を165℃で15分間加硫処理したのち、動的損失正接(tanδ)を測定して、低発熱性を評価すると共に、耐摩耗性を評価した。低発熱性及び耐熱性は、比較例9を100として指数表示した。結果を表8に示す。低発熱性は指数値が低いほど、耐摩耗性は指数値が高いほど優れた物性である。
実施例及び比較例13〜15
製造実施例で得た変性SBR H(実施例)、及び製造比較例で得た未変性SBR、変性SBR O、N(それぞれ比較例13〜15)を用い、表3に示す配合処方Vに従い、実施例及び比較例1315の各ゴム組成物を調製した。
この未加硫ゴム組成物を165℃で15分間加硫処理したのち、動的損失正接(tanδ)を測定して、低発熱性を評価すると共に、耐摩耗性を評価した。低発熱性及び耐熱性は、比較例13を100として指数表示した。結果を表9に示す。低発熱性は指数値が低いほど、耐摩耗性は指数値が高いほど優れた物性である。
以上、表4〜表9から明らかなように、本発明のゴム組成物(実施例1〜参考例1〜4)は、比較例1〜15のゴム組成物に比べて、カーボンブラック単独配合系、カーボンブラック/シリカ混合配合系及びシリカ単独配合系のいずれにおいても、低発熱性及び耐摩耗性に優れていることが分かる。
製造実施例9
<触媒の調製>
乾燥・窒素置換された、ゴム詮付容積100ミリリットルのガラスびんに、以下の順番に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(15.2質量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(0.56M)0.59ミリリットル、メチルアミノキサンMAO(東ソ−アクゾ製PMAO)のトルエン溶液(アルミニウム濃度として3.23M)10.32ミリリットル、水素化ジイソブチルアルミ(関東化学製)のヘキサン溶液(0.90M)7.77ミリリットルを投入し、室温で2分間熟成した後、塩素化ジエチルアルミ(関東化学製)のヘキサン溶液(0.95M)1.45ミリリットルを加え室温で、時折攪拌しながら15分間熟成した。こうして得られた触媒溶液中のネオジムの濃度は、0.011M(モル/リットル)であった。
<活性末端を有するBRの製造>
約1リットル容積のゴム詮付きガラスびんを乾燥・窒素置換し、乾燥精製されたブタジエンのシクロヘキサン溶液および乾燥シクロヘキサンを各々投入し、ブタジエン12.0%のシクロヘキサン溶液が400g投入された状態とした。次に、前記調製した触媒溶液1.56ミリリットル(ネオジム換算0.017mmol)を投入し、50℃水浴中で、1.5時間重合を行った。
<変性反応工程>
引き続き末端変性剤N−[N’−[2−N”,N”−ビス(トリメチルシリル)アミノエチル]−N’−(トリメチルシリル)−2−アミノエチル]−N−(トリメチルシリル)−3−アミノプロピオニトリル(変性剤H)0.429mmolをトルエン溶液にて、添加して徐々に加熱して50℃水浴中で1時間保った。
<重合後処理>
次に重合反応系に、50℃にて老化防防止剤2,2−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール5%溶液2ミリリットルを加えて反応停止を行い、さらに微量のNS−5を含むイソプロパノール中で再沈殿した後、ドラムにて乾燥することでほぼ100%の収率で変性BR Hを得た。
製造比較例8
末端変性剤をN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピオニトリル(変性剤N)に替えた以外は製造実施例9と同様に行い、変性BR Nを得た。
実施例及び比較例16
製造実施例9で得た変性BR H(実施例)、及び製造比較例8で得た変性BR N(比較例16)を用い、表10に示す配合処方VIに従い、実施例及び比較例16の各ゴム組成物を調製した。
この未加硫ゴム組成物を165℃で15分間加硫処理したのち、動的損失正接(tanδ)を測定して、低発熱性を評価すると共に、耐摩耗性を評価した。
低発熱性及び耐熱性は、比較例16を100として指数表示した。結果を表11に示す。低発熱性は指数値が低いほど、耐摩耗性は指数値が高いほど、優れた物性である。
[注]
12)製造実施例9及び製造比較例8で得た変性BR
表11から明らかなように、本発明のゴム組成物(実施例)は、比較例16のゴム組成物に比べて、カーボンブラック単独配合系において、低発熱性及び耐摩耗性に優れていることが分かる。
本発明の製造方法により得られた変性共役ジエン重合体又は共重合体を含むゴム組成物は、ゴム成分とカーボンブラック及び/又はシリカとの相互作用に優れ、カーボンブラック及び/又はシリカの分散性を改善することができ、低発熱性、破壊特性、耐摩耗性などに優れるタイヤを与えることができる。特に、乗用車用低燃費タイヤのトレッドゴムとして有効に活用することができる。

Claims (10)

  1. 有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体の該活性部位に変性剤を反応させてなる変性共役ジエン重合体又は共重合体であって、該活性部位が重合体又は共重合体の末端にあり、該活性末端に該変性剤を反応させ、該活性末端を有する共役ジエン系重合体又は共重合体が、C−Li又はN−Liを含むアルカリ金属化合物を重合開始剤とし、共役ジエン化合物単独、又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物をアニオン重合させて得られたものであり、
    下記一般式(3)

    [式中、Polymは共役ジエン系重合体又は共重合体、A1aは、活性部位に反応し得る反応基が重合体の活性部位に結合してなる基であって、(チオ)エポキシ基、ヒドロカルビルオキシシリル基、ハロゲン化シリル基、ハロゲン原子、アミド基、酸無水物基、ケトン基、チオケトン基、オキシカルボニル基、カルボニルチオ基、(チオ)カルボン酸の金属塩、(チオ)カルボニルハライド基、シアノ基、(チオ)アルデヒド基、ケチミン基、アルジミン基、ニトロソ基、カルボジイミド基、カルバミド基及びイソシアネート基の中から選ばれる基を含む1〜3官能性基が重合体又は共重合体の活性部位に結合してなる基を示し、aは1〜3の整数を示す。Bは窒素含有官能基であって、ケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された二級アミノ基;並びに三級アミノ基及びケチミン基の中から選ばれる官能基を含む二価の基を示す。Xはケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された一級アミノ基;並びに三級アミノ基の中から選ばれる一価の基を示す。B及びXのうち、少なくとも一つは、ケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された一級又は二級アミノ基であり、Rは炭素数1〜20の二価の炭化水素基を示し、Rは単結合又は炭素数1〜20の二価の炭化水素基を示し、nは1〜10の整数でnが1のとき三級アミノ基は0又は1つ、nが2以上のときB1は三級アミノ基ではなく、分子中には活性プロトンは含まれない。]
    で表される変性共役ジエン重合体又は共重合体をゴム成分として含み、該変性共役ジエン重合体又は共重合体を15質量%以上含むゴム成分100質量部に対し、カーボンブラックを10〜120質量部含むゴム組成物を、トレッド、ベーストレッド、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラーのいずれかであるタイヤ部材に用いたことを特徴とするタイヤ。
  2. 前記一般式(3)において、A1aがケイ素を含有する基である請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記変性共役ジエン重合体又は共重合体が、下記一般式(4)

    [式中、Polym、R、R、B、X、a及びnは前記と同じであり、bは0〜2の整数を示す。R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示す。]
    で表される請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 前記一般式(3)のA1aは、(チオ)エポキシ基、ハロゲン化シリル基、アミド基、酸無水物基、ケトン基、チオケトン基、オキシカルボニル基、カルボニルチオ基、(チオ)カルボン酸の金属塩、(チオ)カルボニルハライド基、シアノ基、(チオ)アルデヒド基、ケチミン基、アルジミン基、ニトロソ基、カルボジイミド基、カルバミド基及びイソシアネート基の中から選ばれる基を含む1〜3官能性基が重合体又は共重合体の活性部位に結合してなる基である請求項1に記載のタイヤ。
  5. 前記一般式(3)又は一般式(4)において、Bはケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された二級アミノ基又は三級アミノ基を含む二価の基、Xはケイ素を含みN−Si結合を有する加水分解可能な官能基で保護された一級アミノ基である請求項に記載のタイヤ。
  6. 前記変性共役ジエン重合体又は共重合体の活性部位に導入された変性基において、一級アミノ基又は二級アミノ基を保護してなる加水分解可能な官能基が未加水分解状態で存在していてもよい請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ。
  7. 前記変性共役ジエン重合体又は共重合体の活性部位に導入された変性基におけるXである窒素含有官能基において、一級アミノ基を保護してなる加水分解可能な官能基が未加水分解状態で存在していてもよい、請求項6に記載のタイヤ。
  8. 前記共役ジエン化合物が、1,3−ブタジエン、イソプレン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ。
  9. 前記芳香族ビニル化合物がスチレンである請求項1〜8のいずれか1項に記載のタイヤ。
  10. 前記ゴム成分が、変性共役ジエン重合体又は共重合体15〜100質量%と、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム及びハロゲン化メチル基を持つスチレンとイソブチレンの共重合体の中から選ばれる少なくとも1種85〜0質量%とからなる請求項1〜9のいずれか1項に記載のタイヤ。
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