JP2009286839A - 熱硬化性成形材料および成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)不飽和ポリエステル樹脂及び/又はエポキシエステル樹脂、(B)反応性希釈剤、(C)低収縮剤、(D)硫酸バリウム、(E)耐酸・耐アルカリ性ガラス繊維及び(F)硬化促進剤を含む熱硬化性成形材料であって、(E)耐酸・耐アルカリ性ガラス繊維がSiO255〜62質量%、ZrO219〜22質量%、Na2O12〜18質量%を含むことを特徴とする熱硬化性成形材料および同熱硬化性成形材料を成形してなる成形体である。
【選択図】なし
Description
これに対して、充填材入りの不飽和ポリエステル樹脂を用いて成形する方法がある。これら不飽和ポリエステル樹脂成形品は電気絶縁性や耐熱性に優れ、電気・電子部品材料の絶縁、各種電気機器、発電機や自動車などのモーターコイルの支持体として用いられてきた(例えば、特許文献1)。
この樹脂製の支持体は、近年、使用機器がより厳しい使用環境において用いられることから、耐候性、耐薬品性(耐アルカリ性、耐酸性)、寸法安定性、電気絶縁性のよい材料が求められるようになってきた。
例えば、不飽和ポリエステル、カルボキシル基含有不飽和樹脂、重合性不飽和単量体、無機充填材、及び重合開始剤を含有する樹脂組成物(例えば、特許文献2)が開示されている。しかしながら、耐薬品性(耐アルカリ性、耐酸性)や電気特性の改善がなされておらず、電気・電子部品材料の絶縁、各種電気機器、発電機等への応用は難しい。
さらに、不飽和ポリエステル樹脂、変性不飽和エポキシエステル樹脂、不飽和単量体、繊維類、低収縮材及び硬化剤を含む不飽和ポリエステル樹脂成形材料(例えば、特許文献3)が開示されている。しかしながら、これも耐薬品性(耐アルカリ性、耐酸性)や電気特性の改善がなされておらず、電気・電子部品材料の絶縁、各種電気機器、発電機等への応用は難しい。
すなわち、本発明は、
(1)(A)不飽和ポリエステル樹脂及び/又はエポキシエステル樹脂、(B)反応性希釈剤、(C)低収縮剤、(D)硫酸バリウム、(E)耐酸・耐アルカリ性ガラス繊維及び(F)硬化促進剤を含む熱硬化性成形材料であって、(E)耐酸・耐アルカリ性ガラス繊維がSiO255〜62質量%、ZrO219〜22質量%、Na2O12〜18質量%を含むことを特徴とする熱硬化性成形材料、
(2)前記耐酸・耐アルカリ性ガラス繊維が熱硬化性成形材料中、3質量%以上含まれる上記(1)に記載の熱硬化性成形材料、
(3)前記耐酸・耐アルカリ性ガラス繊維の平均繊維径が7〜13μm、平均繊維長が3〜13mmである上記(1)または(2)に記載の熱硬化性成形材料、
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱硬化性成形材料を成形してなる成形体を提供するものである。
本発明の熱硬化性成形材料において用いられる成分(A)の不飽和ポリエステル樹脂及び/又はエポキシエステル樹脂としては、成形材料として一般に使用されるものであれば、特に制限されずに使用することができる。
まず、不飽和ポリエステル樹脂について説明する。
本発明で成分(A)として用いられる不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基酸を含む酸成分と多価アルコール成分とをエステル化触媒存在下、脱水縮合反応させて得られるものである。
酸成分の必須成分である不飽和二塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、これらの酸無水物などが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、このような不飽和二塩基酸と場合により併用される酸成分としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸などの脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸などの複数種の脂肪酸が混合したものが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いるエポキシエステル樹脂は、酸成分とエポキシ成分をエステル化触媒によりエステル化反応させて得られるものである。
酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸などの不飽和一塩基酸が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに必要に応じてフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸などの二塩基酸を混合して用いることができる。
不飽和ポリエステル樹脂とエポキシエステル樹脂を混合して使用する場合は、双方任意の量で配合することができる。
反応性希釈剤としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどの芳香族系のモノマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアルキレンオキサイドのジアクリレート誘導体、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのアクリル系モノマーまたはオリゴマー等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応性希釈剤の熱硬化性成形材料中の配合量は、粘度性及び機械強度の観点から、熱硬化性成形材料100質量部中、通常、3〜15質量部程度、好ましくは3〜10質量部である。
この成分(C)の低収縮剤の熱硬化性成形材料中の配合量は、熱硬化性成形材料の全体100質量部中、通常、2〜15質量部程度、好ましくは2〜10質量部である。上記範囲であれば、熱硬化性成形材料を成形する際に生じる収縮を緩和することができる。
硫酸バリウムの配合量は、熱硬化性成形材料の全体100質量部中、通常、60〜75質量部程度、好ましくは60〜70質量部である。60質量部以上とすることにより、成形体の収縮が大きくなるのを防止し、75質量部以下とすることにより、成形性が悪くなったり、機械強度が低下するのを防止することができる。
Na2Oは耐酸性の向上に寄与するが、12質量%以上とすることにより繊維の製造過程においてZrO2の溶融が不十分となるのを防止し、18質量%以下とすることにより繊維自体の特性に悪影響が出ないようにすることができる。
SiO2等必須の3成分以外の成分として、Al2O3、CaO、TiO、MnO、B2O3、MgO、SrO、BaO、Li2O、K2O等を含んでいてもよい。必須の3成分以外の成分の含有量は10質量%以下であることが好ましい。
このガラス繊維としては、例えば、ガラスロービングをカットしてチョップドストランドにしたものを用いることができ、通常、平均繊維長1.5〜13mmのものが使用される。平均繊維長3.0〜10mmの範囲のものがより好ましい。平均繊維長を1.5mm以上とすることにより、成形体の曲げ強さが低下するのを防止し、13mm以下とすることにより、外観不良(ウェルドライン)が発生するのを防止する。また、このガラス繊維は、通常、平均繊維径が7〜15μmであり、好ましくは、平均繊維径9〜13μmの範囲のものである。
平均繊維径を7μm以上とすることにより、成形材料の粘度が高くなって均一に混合するのが困難となるのを防止する。平均繊維径を15μm以下とすることにより、成形体の強度が低下するのを防止する。
配合量を3質量部以上とすることにより、耐酸性、耐アルカリ性が低下となることを防止し、15質量部以下とすることにより、成形性が悪くなることを防止する。
離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪族金属石鹸が挙げられ、重合禁止剤としてはハイドロキノン、メトキノン、p−t−ブチルカテコール、ピロガロール等のキノン類が挙げられる。沈降防止剤としては、ガラスパウダーや無定型シリカ等が挙げられる。沈降防止剤は、沈降防止(分散)性能を発揮するとともに、骨材の補佐的な役割を果たす。
また、本発明の熱硬化性成形材料は、各種の成形手段、例えば、圧縮成形、射出成形、プレス成形等によって成形することにより本発明の成形体とすることができる。
本発明は、本発明の成形体としては、具体的には絶縁用スペーサーやモータコイル支持体等が挙げられる。
〔実施例1〕
(A)エポキシエステル樹脂〔新ディック化工社製、商品名VP−701Z〕14質量部、
(B)反応性希釈剤〔三菱化学製、スチレンモノマー〕5質量部、
(C)低収縮剤〔日立化成工業株式会社製、ポリスチレン樹脂、GP−P〕3質量部、
(D)硫酸バリウム〔堺化学工業製、商品名:沈降性硫酸バリウム100〕65質量部、
(E)耐酸・耐アルカリ性ガラス繊維〔日本電気硝子株式会社製、商品名:ARG1500S−602/S、平均繊維長6mm、平均繊維径9μm〕3質量部、
[ARG1500S−602/Sは引き抜き製品に使用するロービングであり、これを長さ6mmに切断して用いた。ARG1500S−602/Sの組成は、SiO2:60.0質量%、ZrO2:20.0質量%、Na2O:17.0質量%、TiO2:3.0質量%である]
(F)硬化促進剤〔日本油脂株式会社製、有機過酸化物、商品名:パーブチルZ(パーヘキサHC)〕0.5質量部および
添加剤として、
(1)金属石鹸(旭電化工業株式会社製、商品名:CZ-55)2.2質量部
(2)ビニロン繊維(クラレトレーディング株式会社製、商品名:VP−152×3)0.3質量部
(3)ガラス繊維(NSGベトロテックス株式会社製、商品名RES06-BM5、平均繊維長3mm、平均繊維径11μm)7質量部
[RES06-BM5の組成は、SiO2:55.0質量%、ZrO2:0質量%、Na2O:0.6質量%、Al2O3:14.0質量%、TiO2:5.5質量%、CaO:23.0質量%、その他:2.0質量%である。]
なお、上記成分中、(A)、(B)、(C)、(F)および添加剤(1)、(2)は別途
ニーダーを用いて常温で混合して得られた混合物に(D)および(E)を投入し、常温で約20分間混練して混練物を得た。
表1に記載の配合とした以外は、実施例1と同様の操作により成形材料および成形体を製造し、実施例1と同様の物性測定を行い、これらの結果を表1に示した。
表1に記載の配合とした以外は、実施例1と同様の操作により成形材料および成形体を製造し、実施例1と同様の物性測定を行い、これらの結果を表1に示した。
使用した水酸化アルミニウムは昭和電工製(品番H−32)のものである。
(1)成形収縮率:JIS K 6911に準じて測定。
(2)比重:JIS K 6911に準じて測定。
(3)煮沸吸水率:JIS K 6911に準じて測定。
(4)耐アーク性:JIS K 6911に準じて測定。
(5)耐トラッキング性:JIS K 6911に準じて測定。
(6)曲げ強さ(曲げ弾性率):JIS K 6911に準じて測定。
(7)シャルピー衝撃強さ:JIS K 6911に準じて測定。
(8)耐酸性:20質量%の硫酸水溶液中に成形体サンプルを浸漬し、70℃、1000時間放置後の重量変化率を測定した。
(9)耐アルカリ性:5質量%の水酸化ナトリウム水溶液中に成形体サンプルを浸漬し、70℃、1000時間放置後の重量変化率を測定した。
Claims (4)
- (A)不飽和ポリエステル樹脂及び/又はエポキシエステル樹脂、(B)反応性希釈剤、(C)低収縮剤、(D)硫酸バリウム、(E)耐酸・耐アルカリ性ガラス繊維及び(F)硬化促進剤を含む熱硬化性成形材料であって、(E)耐酸・耐アルカリ性ガラス繊維がSiO255〜62質量%、ZrO219〜22質量%、Na2O12〜18質量%を含むことを特徴とする熱硬化性成形材料。
- 前記耐酸・耐アルカリ性ガラス繊維が熱硬化性成形材料中、3質量%以上含まれる請求項1に記載の熱硬化性成形材料。
- 前記耐酸・耐アルカリ性ガラス繊維の平均繊維径が7〜13μm、平均繊維長が3〜13mmである請求項1または2に記載の熱硬化性成形材料。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性成形材料を成形してなる成形体。
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