JP2981330B2 - フレークライニング用樹脂組成物 - Google Patents

フレークライニング用樹脂組成物

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JP2981330B2
JP2981330B2 JP3340763A JP34076391A JP2981330B2 JP 2981330 B2 JP2981330 B2 JP 2981330B2 JP 3340763 A JP3340763 A JP 3340763A JP 34076391 A JP34076391 A JP 34076391A JP 2981330 B2 JP2981330 B2 JP 2981330B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ライニング時の高伸縮
性に優れ、そのライニング成形物が特に良好な耐食性と
耐クラック性を有するフレークライニング用樹脂組成物
に関する。この樹脂組成物は、各種酸やアルカリ等の腐
食雰囲気に使用される機器、塩害を受ける海洋構築物、
石油タンクの底部等様々な用途において使用されてい
る。
【0002】
【従来の技術とその問題点】従来、上記の分野において
は、不飽和ポリエステル樹脂及びエポキシアクリレート
樹脂に代表される不飽和結合間の共重合によって硬化を
生じさせる樹脂に、無機質フレークを含有してなる樹脂
組成物が、使用されている。その際、目的とするライニ
ング成形物の強靱性、耐熱水性、耐食性などを向上させ
るために、不飽和ポリエステル及びエポキシアクリレー
ト樹脂骨格内に芳香族化合物を導入している。しかし、
この方法では、ライニング成形物と母材の密着性が低下
したり、また、母材の形状が複雑であると、成形硬化
時、ライニング成形物にクラックが発生する。
【0003】一方、このことを解決するため、樹脂組成
物中、主鎖骨格内の不飽和結合の含有率を減少させる方
法、芳香族化合物の含有率を減少させる方法、主鎖骨格
内に長鎖の飽和脂肪族化合物を導入するか、ブタジエン
化合物のようにエントロピー弾性を示す化合物を導入す
る等の方法がとられている。しかし、これらのいずれ方
法においても、ライニング成形物の強靱性や耐熱水性の
低下に加えて、特に、その耐食性が不十分である。本発
明では、成形硬化時の耐クラック性に優れ、良好な耐食
性を有するライニング成形物が得られる樹脂組成物を提
供することを目的にする。
【0004】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、これら
の課題を解決するために鋭意検討した結果、不飽和結合
間の共重合によって硬化を生じさせ、無機質フレークを
含有する樹脂に対し、特定の共重合体組成物を含有させ
るということが有効であることを見出し、本発明を完成
した。
【0005】すなわち、本発明は、分子内に少なくとも
2個の不飽和結合を有するプレポリマー 100重量部に対
し、エーテル結合を有し、かつ分子末端に少なくとも2
個のアクリロイル基を有する共重合可能な単量体 25〜4
00重量部を含有する樹脂 100重量部に対して、無機質フ
レーク5〜100重量部を含有することを特徴とするフレ
ークライニング用樹脂組成物である。また、本発明は、
分子内に少なくとも2個の不飽和結合を有するプレポリ
マー、及び、そのプレポリマーと共重合可能な単量体か
らなる樹脂 100重量部に対し、エーテル結合を有し、か
つ分子末端に少なくとも2個のアクリロイル基を有する
共重合可能な単量体3〜200重量部を含有する樹脂 100
重量部に対して、無機質フレーク5〜100重量部を含有
することを特徴とするフレークライニング用樹脂組成物
である。
【0006】まず、本発明に用いられる、分子内に少な
くとも2個の不飽和結合を有するプレポリマーとは、分
子内に不飽和結合を有するもの、及び/又は、分子鎖末
端に不飽和結合を有するものの三種類に分類できる。
【0007】分子内に不飽和結合を有するものとして
は、例えば、不飽和ポリエステルが挙げられる。この不
飽和ポリエステルは、通常使用される不飽和ポリエステ
ルであって、α,β−不飽和二塩基酸と飽和二塩基酸、
及び、グリコール類とのエステル化反応によって得られ
るもの等である。上記のα,β−不飽和二塩基酸として
は、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、
イタコン酸等、又は、これらのアルキルエステル類が適
当である。また、飽和二塩基酸としては、無水フタル
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒ
ドロフタル酸、ハロゲン化無水フタル酸、アジピン酸、
コハク酸、セバシン酸等、又は、これらのアルキルエス
テル類が適当である。更に、グリコール類としては、例
えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレング
リコール、水素化ビスフェノールA、2,2'-ジ(4-ヒドロ
キシプロポキシフェニル)プロパン、2,2'-ジ(4-ヒドロ
キシエトキシフェニル)プロパン、エチレンオキシド等
が適当である。上記の不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸及
びグリコール類については、不飽和二塩基酸とグリコー
ル類を必ず一種類含有しなければならない以外は、各々
二種類以上の混合物を用いてよい。
【0008】分子内及び分子鎖末端に不飽和結合を有す
るものとしては、例えば、不飽和ポリエステルの末端を
アクリロイル基によって変性したものが挙げられる。変
性の方法としては、例えば、エステル化、エポキシの開
環反応によるもの、ウレタン付加等の化学反応による変
性が挙げられる。
【0009】分子鎖末端に少なくとも2個の不飽和結合
を有するものとしては、例えば、ウレタンアクリレー
ト、エポキシアクリレート等が挙げられる。このエポキ
シアクリレートは、分子末端に少なくとも2個のエポキ
シ基を有するエポキシ化合物とアクリル酸及び/又はメ
タクリル酸との通常の付加反応によって得られるもので
ある。上記のエポキシ化合物としては、例えば、ビスフ
ェノールA系エポキシ化合物、水素化ビスフェノールA
系エポキシ化合物(ダイマー)酸系ジグリシジルエステ
ル、ポリアルキレンエーテル系エポキシ化合物、ノボラ
ック系エポキシ化合物、環状脂肪族系エポキシ化合物、
臭素化エポキシ化合物、ポリグリシジルエーテル系エポ
キシ化合物、ジグリシジルエステル系エポキシ化合物、
ジグリシジルアミノ系エポキシ化合物、メチルエピクロ
ル系エポキシ化合物、スピログリコール系エポキシ化合
物、ジグリシジルエーテル系エポキシ化合物、オルソク
レゾールノボラック系エポキシ化合物、シクロヘキサン
系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合
物、ポリブタジエン系エポキシ化合物等が挙げられる。
【0010】分子内に少なくとも2個の不飽和結合を有
するプレポリマーと共重合可能な単量体とは、通常、不
飽和結合間の共重合によって硬化を生じさせる樹脂の共
重合単量体として使用されるものである。例えば、スチ
レン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニ
ルトルエンのようなアルケニル芳香族単量体、更にはア
クリル酸、メタクリル酸、及び、それらのアルキルエー
テル等が用いられるが、特にスチレンが好ましい。分子
内に少なくとも2個の不飽和結合を有するプレポリマー
と、そのプレポリマーと共重合可能な単量体との配合割
合は、通常、プレポリマー 20〜80重量%、及び、それ
と共重合可能な単量体 80〜20重量%が適当である。
【0011】次に、本発明に用いられる、エーテル結合
を有し、かつ分子末端に少なくとも2個のアクリロイル
基を有する共重合可能な単量体とは、分子内に20〜90重
量%のエーテル結合を繰り返し単位とし、分子量 200〜
2000の化合物である。例えば、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)
アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート(エチレンオキシドの繰り返し単位が4〜23程度の
もの:エチレンオキシドの繰り返し単位が4のもの)
{例えば、商品名;NKエステル4G、新中村化学社
製}(エチレンオキシドの繰り返し単位が9のもの)
{例えば、商品名;NKエステル9G、新中村化学社
製}、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(プロピレ
ンオキシドの繰り返し単位が4〜14のもの)、2,2-ビス
〔4-(メタクロキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス
〔4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパ
ン、2,2'-ビス〔4-(メタクリロキシポリエトキシ)フ
ェニル〕プロパン(エチレンオキシドの繰り返し単位が
9〜15のもの)、トリメチロールプロパントリ(メタ)
アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)
アクリレート等が用いられる。その内でも、特に2,2'-
ビス〔4-(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プ
ロパン(エチレンオキシドの繰り返し単位が 15のも
の){例えば、商品名;NKエステル BPE-1300 、新中
村化学社製}がバランスのよい硬化物特性を与え、好ま
しい。なお、ここで(メタ)アクリレートは、メタクリ
レート、アクリレートを意味する。本発明において、エ
ーテル結合を有し、かつ分子末端に少なくとも2個のア
クリロイル基を有する共重合体は、通常一種類が用いら
れるが、二種類以上を用いても差し支えない。
【0012】エーテル結合を有し、かつ分子末端に少な
くとも2個のアクロイル基を有する共重合可能な単量体
の量は、分子内に少なくとも2個の不飽和結合を有する
プレポリマー 100重量部に対し、通常 25〜400重量部で
ある。その量が 25重量部未満であると、プレポリマー
と共重合可能な単量体の共重合性が低下し、硬化不良と
なり好ましくない。また、その量が 400重量部を越える
と、硬化物の伸び率は改善されるものの、強度及び耐熱
水性、耐食性が低下する。
【0013】また、エーテル結合を有し、かつ分子末端
に少なくとも2個のアクロイル基を有する共重合可能な
単量体の量は、分子内に少なくとも2個の不飽和結合を
有するプレポリマー、及び、プレポリマーと共重合可能
な単量体からなる樹脂 100重量部に対し、通常3〜200
重量部である。その量が3重量部未満になると、硬化物
の伸び率の向上は認められず、硬化時にクラックが発生
する。また、200重量部を越えると、強度及び耐熱水
性、耐食性が低下する。
【0014】更に、本発明に用いられる無機質フレーク
とは、ガラス、マイカ、カーボン、金属、金属酸化物等
の材質で、厚みが1〜10μm 、大きさが 100〜5000μm
の直径(又は長径)を有する円盤状又は板状固体を示
す。分子内に少なくとも2個の不飽和結合を有するプレ
ポリマー 100重量部に対し、エーテル結合を有し、かつ
分子末端に少なくとも2個のアクリロイル基を有する共
重合可能な単量体 25〜400重量部を含有する樹脂 100重
量部に対して、無機質フレークの量は通常5〜100重量
部である。その量が5重量部未満であると耐食性が失わ
れ、100重量部を越えると、粘度が高くなりすぎ作業性
が低下したり、ライニング層中において、無機質フレー
クの自由度がなくなり、ライニング層に対し水平に並び
にくくなり、かえって耐食性を低下させてしまう。
【0015】また、分子内に少なくとも2個の不飽和結
合を有するプレポリマー、及び、そのプレポリマーと共
重合可能な単量体からなる樹脂 100重量部に対し、エー
テル結合を有し、かつ分子末端に少なくとも2個のアク
リロイル基を有する共重合可能な単量体3〜200重量部
を含有する樹脂 100重量部に対して、無機質フレークの
量は、上記の場合と同様に通常5〜100重量部である。
その量がこの範囲外の値になると、上記の場合と同様な
不都合が生じ、好ましくない。
【0016】以上のように、分子内に少なくとも2個の
不飽和結合を有するプレポリマー、又は、分子内に少な
くとも2個の不飽和結合を有するプレポリマー及びその
プレポリマーと共重合可能な単量体からなり、無機質フ
レークを有効量含有する樹脂に対して、エーテル結合を
有し、かつ分子末端に少なくとも2個のアクリロイル基
を有する共重合可能な単量体を有効量含有するフレーク
ライニング用樹脂組成物は、強靱性や耐熱水性を保った
まま、伸び率が向上し、耐食性及び耐クラック性が良好
な硬化物を与える。
【0017】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を詳細
に説明する。以下において、「部」と「%」は重量基準
である。 製造例1 フマル酸 126部、及び、2,2'-ジ(4-ヒドロキシプロポキ
シフェニル)プロパン 412部を通常の方法でエステル化
して、プレポリマーを得た。
【0018】製造例2 エポキシ化合物(エピコート#828 :商品名、油化シェ
ルエポキシ社製)380部、及び、メタクリル酸 86部を通
常の方法で付加反応して、プレポリマーを得た。
【0019】製造例3 製造例1で得られたプレポリマーをスチレンで希釈し
て、スチレンが全体の40%となるように調整し、樹脂を
得た。
【0020】製造例4 製造例2で得られたプレポリマーをスチレンで希釈し
て、スチレンが全体の40%となるように調整し、樹脂を
得た。
【0021】製造例5 アジピン酸 146部、無水マレイン酸 98部、及び、プロ
ピレングリコール 152部を通常の方法でエステル化し
て、プレポリマーを得た。そのプレポリマーをスチレン
で希釈して、スチレンが全体の40%となるように調整
し、樹脂を得た。
【0022】実施例1〜8 製造例1〜5で得た特定のプレポリマー又は樹脂に、表
1(表1)、表2(表2)及び表3(表3)に示す配合
でNKエステル BPE-1300 、NKエステル4G、NKエ
ステル9G(3種とも商品名、新中村化学社製)、及
び、ガラスフレーク(日東紡績社製)を混合した。これ
らの樹脂組成物 100部に対し、6%ナフテン酸コバルト
0.5部、及び、55%メチルエチルケトンパーオキシド
1.0部を添加し、混合物を得た。次に、正四角形の箱
(蓋なし ,金属製 , 300×300×300 mm3,厚さ10 mm )
の内側に、この混合物を厚さ2mmでライニングし、硬化
させた。このライニング成形物について、下記の方法に
より耐食性、耐クラック性及びライニング性を評価し、
その結果を表4(表4)に示す。 ・耐食性:上記ライニング成形物へ各種の薬液を投入
し、最高使用温度を目視で確認した。 ◎;高温(70〜100℃)使用可、 ○;中温(40〜70
℃)使用可 △;常温(40℃以下)使用可、 ×;使用不可 ・耐クラック性及びライニング性:上記ライニング成形
物の隅部のクラック及び剥離を目視で確認した。 ○;クラック及び剥離なし、 ×;クラック及び剥離あ
【0023】比較例1〜9 表1(表1)及び表2(表2)に示す配合で樹脂組成物
を調整し、実施例と全く同様に操作して、ライニング成
形物を得た。得られたそれぞれの成形物について、実施
例と全く同様な方法により、耐食性、耐クラック性及び
ライニング性を評価し、その結果を表4(表4)に示
す。
【0024】
【発明の効果】本発明による樹脂組成物を用いて成形さ
れたライニング成形物は、成形硬化時の耐クラック性や
ライニング性に優れ、また、酸やアルカリ等の薬液に対
し良好な耐食性を有する。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−22575(JP,A) 特開 昭61−166851(JP,A) 特開 昭61−166814(JP,A) 特開 昭59−176361(JP,A) 特開 昭59−81363(JP,A) 特開 平1−213324(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 299/00 - 299/08 C08F 290/00 - 290/14 C08F 281/00 - 281/01 C09D 1/00 - 201/10 C08K 3/00 - 13/08 C08L 1/00 - 101/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に少なくとも2個の不飽和結合を
    有するプレポリマー100重量部に対し、下記式(化
    1) 【化1】 で表される2,2’−ビス〔4−(メタクリロキシポリ
    エトキシ)フェニル〕プロパン25〜400重量部を含
    有する樹脂100重量部に対して、無機質フレーク5〜
    100重量部を含有してなるフレークライニング用樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 分子内に少なくとも2個の不飽和結合を
    有するプレポリマー、及びそのプレポリマーと共重合可
    能な単量体からなる樹脂100重量部に対し、下記式
    (化2) 【化2】 で表される2,2’−ビス〔4−(メタクリロキシポリ
    エトキシ)フェニル〕プロパン3〜200重量部を含有
    する樹脂100重量部に対して、無機質フレーク5〜1
    00重量部を含有してなるフレークライニング用樹脂組
    成物。
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