JP2009282293A - 可撓性部材、及びその可撓性部材を有する像加熱装置 - Google Patents

可撓性部材、及びその可撓性部材を有する像加熱装置 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂材料からなるエンドレスの可撓性部材であって、記録材との密着性が低下するようなたわみの発生を抑えつつ耐久性を向上できるようにする。
【解決手段】記録材Pが担持する画像tを加熱する像加熱装置に用いられる可撓性部材13であって、基層13aと、前記基層上に設けられている離型層13bと、を有し、前記基層と前記離型層の材料が樹脂からなる厚さ20μm以上100μm以下、外径15mm以上45mm以下のエンドレスの細長い可撓性部材において、剛性を示す指標として、前記可撓性部材の長手方向の全面にわたって、板状の荷重部材30により、前記可撓性部材の直径方向に荷重(0.7gf/mm)を与えたときの荷重方向歪みγTを0.70以上とする。屈曲強度を示す指標として、前記可撓性部材を切り取りとった試験片でJIS−P8115に準じてMIT試験を行い、破断までの折り曲げ回数(耐折回数)を4000以上とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタなどの画像形成装置に搭載する加熱定着装置(定着器)の定着フィルムとして用いれば好適な可撓性部材、及びその可撓性部材を有する像加熱装置に関する。
電子写真式の複写機やプリンタなどの画像形成装置に搭載する加熱定着装置(定着器)として、フィルム加熱方式のものが知られている。特許文献1、特許文献2及び特許文献3にはこのタイプの加熱定着装置が記載されている。この加熱定着装置は、セラミック製の基板上に通電発熱抵抗層を有するヒータ、そのヒータと接触しつつ移動する定着フィルム、その定着フィルムと接触しニップ部を形成する加圧ローラと、を有する。未定着のトナー画像を担持した記録材は加熱定着装置のニップ部で挟持搬送されつつ加熱され、これにより記録材上のトナー画像は記録材に加熱定着される。
このタイプの加熱定着装置は、ヒータへの通電を開始し定着可能温度まで昇温するのに要する時間が短いというメリットを有する。したがって、この加熱定着装置を搭載するプリンタは、プリント指令の入力後、1枚目の画像を出力するまでの時間(FPOT:First Print Out Time)を短く出来る。またこのタイプの加熱定着装置は、プリント指令を待つ待機中の消費電力が少ないというメリットもある。
特開平2−157878号公報 特開平4−44075号公報 特開平4−204980号公報
上記の加熱定着装置では、定着フィルムの材料としてSUSや樹脂が使用される。SUSは熱伝導率が良く、剛性に優れている。一方、樹脂は、SUSに比べ、熱伝導率、剛性ともに劣るが、カーボン、金属酸化物系のフィラーを充填することで、熱伝導率をSUSと同等まで向上させることが可能である。
しかし、樹脂材料を用いた定着フィルムでは、剛性が弱いため、ニップ部よりも定着フィルムの回転方向下流側の領域においてヒータと定着フィルムとの間に空隙があると、定着フィルムがヒータ側にたわみやすい。定着フィルムにたわみが発生した場合には、定着フィルムと記録材の密着性が低下しオフセットと呼ばれる画像不良が発生しやすい。
定着フィルムの剛性を向上させる方法として、定着フィルムの厚さを厚くする、硬い金属酸化物系のフィラーを入れる等がある。
しかし、定着フィルムを厚くすると熱伝導が悪くなり、定着性が悪化する。また、金属酸化物系のフィラーを入れ過ぎると、定着フィルムはもろくなり、耐久性に問題が生じる。
本発明の目的は、樹脂材料からなるエンドレスの可撓性部材であって、記録材との密着性が低下するようなたわみの発生を抑えつつ耐久性を向上できる可撓性部材、及びその可撓性部材を有する像加熱装置を提供することにある。
上記目的を達成するための構成は、記録材が担持する画像を加熱する像加熱装置に用いられる可撓性部材であって、少なくとも、基層と、前記基層上に設けられている離型層と、を有し、前記基層と前記離型層の材料が樹脂からなる厚さ20μm以上100μm以下、外径15mm以上45mm以下のエンドレスの細長い可撓性部材において、
前記可撓性部材の剛性を示す指標として、前記可撓性部材の長手方向の全面にわたって、板状の荷重部材により、前記可撓性部材の直径方向に荷重(0.7gf/mm)を与えたとき、式(1)
荷重方向歪みγT=φT/φ (1)
〔ただし、φは、荷重を与える前の可撓性部材の直径(mm)であり、φTは、荷重を与えたときの荷重方向の可撓性部材の径(mm)である。〕で表わされる荷重方向歪みγTが0.70以上であり、
かつ、前記可撓性部材の屈曲強度を示す指標として、前記可撓性部材を切り取りとった試験片でJIS−P8115に準じてMIT試験を行い、破断までの折り曲げ回数(耐折回数)が4000以上である特性を有することを特徴とする。
また、上記目的を達成するための構成は、加熱体と、前記加熱体と接触しつつ移動する可撓性部材と、前記加熱体と前記可撓性部材を挟むことによってニップ部を形成するバックアップ部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ画像を加熱する像加熱装置において、
前記可撓性部材は、少なくとも、基層と、前記基層上に設けられている離型層と、を有し、前記基層と前記離型層の材料が樹脂からなる厚さ20μm以上100μm以下、外径15mm以上45mm以下のエンドレスの細長い可撓性部材であり、前記可撓性部材の剛性を示す指標として、前記可撓性部材の長手方向の全面にわたって、板状の荷重部材により、前記可撓性部材の直径方向に荷重(0.7gf/mm)を与えたとき、式(1)
荷重方向歪みγT=φT/φ (1)
〔ただし、φは、荷重を与える前の可撓性部材の直径(mm)であり、φTは、荷重を与えたときの荷重方向の可撓性部材の径(mm)である。〕で表わされる荷重方向歪みγTが0.70以上であり、
かつ、前記可撓性部材の屈曲強度を示す指標として、前記可撓性部材を切り取りとった試験片でJIS−P8115に準じてMIT試験を行い、破断までの折り曲げ回数(耐折回数)が4000以上である特性を有することを特徴とする。
本発明によれば、樹脂材料からなるエンドレスの可撓性部材であって、記録材との密着性が低下するようなたわみの発生を抑えつつ耐久性を向上できる可撓性部材、及びその可撓性部材を有する像加熱装置を提供することにある。
本発明を図面に基づいて説明する。
[実施例]
(1)画像形成装置例
図1は本発明に係る可撓性部材を有する像加熱装置を加熱定着装置として搭載する画像形成装置の一例の構成模式図である。この画像形成装置は電子写真方式のレーザープリンタであって、ホストコンピュータなどの外部装置(不図示)より入力する画像情報に応じた画像を記録材に形成する。
本実施例に示す画像形成装置は、外部装置からプリント指令を入力すると、像担持体としてのドラム形状の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)を矢印方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動する。この感光ドラム1は、アルミニウムやニッケルなどの材料により形成されているシリンダ状の基盤上にOPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料を有するものである。その感光ドラム1の外周面(表面)は帯電装置としての帯電ローラ2によって一様に帯電される。次に、その感光ドラム1表面の帯電面に対し光走査装置3により画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビームLaによる走査露光が施され、これによって感光ドラム1表面の帯電面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。そしてその静電潜像は、現像装置4によってトナー(現像剤)を用いてトナー画像(以下、トナー像と記す)として現像される。現像方法としては、ジャンピング現像法、接触現像法、2成分現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
一方、給送カセット(不図示)より記録材搬送機構(不図示)によって給送された記録材Pはトップセンサ8により先端が検知される。そしてその記録材Pは記録材搬送機構によって感光ドラム1表面のトナー像と同期がとられ感光ドラム1と転写装置としての転写ローラ5間の転写ニップ部へと搬送される。感光ドラム1表面のトナー像は記録材Pの搬送過程において転写ローラ5により記録材P上に転写され、記録材Pはそのトナー像を担持する。
トナー像を担持する記録材Pは加熱定着装置6に導入され、その加熱定着装置6より熱と圧力を受けることによってトナー像は記録材P上に加熱定着される。トナー像が加熱定着された記録材Pは排出トレイ(不図示)上に排出される。
トナー像の転写後に感光ドラム1表面に残る転写残トナーはクリーニング装置7によって感光ドラム1表面より除去される。これにより感光ドラム1表面は次の画像形成に供される。
(2)加熱定着装置
以下の説明において、加熱定着装置及び加熱定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。また長手方向とは定着フィルの回転方向に直交する方向でもある。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向である。幅とは短手方向の寸法である。記録材に関し、幅方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向である。幅とは幅方向の寸法である。
図2は加熱定着装置6の一例の横断側面模式図である。
本実施例に示す加熱定着装置6は、加熱体としてのヒータ11と、加熱体保持部材としてのヒータホルダ12と、可撓性部材としてのエンドレスの定着フィルム13と、バックアップ部材としての加圧ローラ20と、を有する。ヒータ11、ヒータホルダ12、定着フィルム13及び加圧ローラ20は何れも画像形成装置に使用される最大サイズの記録材Pの幅よりも長手方向に細長い部材である。
(2−1)定着フィルム
図3は定着フィルム13の横断側面模式図である。
定着フィルム13は、少なくとも、エンドレスのスリーブ状に形成されている基層13aと、その基層13aの外周面上(基層上)に設けられている離型層13bと、を有する。この定着フィルム13は、熱容量の小さいフィルムであり、クイックスタートを可能にするために100μm以下の厚さで構成されている。そして定着フィルム13は外径15mm以上45mm以下である。本実施例では外径は24mmに設定してある。
基層13aと離型層13bの材料は何れも樹脂である。基層13aと離型層13bの樹脂材料としては、耐熱性、熱可塑性を有するポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PFA、PTFEなどが用いられる。基層13a、離型層13bの樹脂材料のいずれにも、熱伝導性を向上させる、或いは電気抵抗を調整する目的のために、カーボン、金属系酸化物等のフィラーが入っていても良い。また離型層13bの外周面には、オフセット防止や記録材Pの分離性を確保するために、PFA、PTFE、FEP、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂を混合ないし単独で被覆するようにしてもよい。
長寿命の加熱定着装置6を構成するために、充分な強度を持ち、耐久性に優れた定着フィルム13として、20μm以上の厚さが必要である。したがって定着フィルム13の厚さは20μm以上100μm以下が最適である。
(2−2)ヒータ
図4はヒータ11の一例の構成模式図である。
ヒータ11は長手方向に細長いセラミック製の基板11aを有する。その基板11aの表面(加圧ローラ20側の面)には、基板11aの長手方向に沿って例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO、TaNなどの通電発熱抵抗層11bがスクリーン印刷などにより線状若しくは細帯状に塗工して形成してある。また、基板11aの表面には、通電発熱抵抗層11bに給電するための給電電極11dが基板11aの長手方向両端部の内側に設けられている。また、基板11aの表面には、通電発熱抵抗層11bを保護する保護摺動層11cが設けられている。
(2−3)ヒータホルダ
ヒータホルダ12は横断面略樋型形状をしており、ヒータホルダ12の下面の幅方向中央にヒータホルダ12の長手方向に沿って凹溝12aが設けられている。この凹溝12aには、ヒータ11の基板11aが保護摺動層11cを下向きにして保持させてある。このヒータホルダ12は、後述するニップ部Nと反対方向への放熱を防ぐために断熱部材で構成されている。ヒータホルダ12の材料として、例えば液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等が用いられている。ヒータホルダ12には定着フィルム13が余裕をもってルーズに外嵌されている。そしてそのヒータホルダ12はヒータホルダ12の長手方向両端部が装置フレーム(不図示)に保持されている。
(2−4)加圧ローラ
加圧ローラ20は、丸軸状の芯金21と、芯金21の外周面上にローラ状に設けられている弾性層22と、弾性層22の外周面上に設けられている離型層23と、を有する。弾性層22の材料としては、シリコンゴムやフッ素ゴムなどの耐熱ゴム、或いはシリコンゴムを発泡したものが用いられている。離型層23の材料としては、PRF、PTFE、FEPなどが用いられている。この加圧ローラ20は、ヒータホルダ21の下面においてヒータ11と対向するようにヒータホルダ21と並列に配されている。そして芯金21の長手方向両端部が装置フレームに軸受(不図示)を介して回転自在に保持されている。そしてその軸受を加圧ばねなどの加圧部材(不図示)によりヒータ11の幅方向中心に向けて付勢し加圧ローラ20の外周面(表面)を定着フィルム13を介してヒータ11の保護摺動層11cの表面に加圧している。これにより加圧ローラ20の弾性層22を弾性変形させ定着フィルム13表面と加圧ローラ20表面との間に所定幅のニップ部(定着ニップ部)Nを形成している。つまり、加圧ローラ20はヒータ11と定着フィルム13を挟むことによってニップ部Nを形成している。
(2−5)加熱定着装置の加熱定着動作
図5はニップ部Nとニップ部N部付近の横断側面拡大図である。
駆動源であるモータM(図2)が駆動し加圧ローラ20の芯金21の長手方向端部に設けられている駆動ギア(不図示)を回転させる。これにより加圧ローラ20は所定の周速度(プロセススピード)で矢印方向へ回転する。その際、ニップ部Nにおける加圧ローラ20表面と定着フィルム13表面との摩擦力によって定着フィルム13に加圧ローラ20の回転方向とは逆向きに回転する回転力が作用する。これにより定着フィルム13は、定着フィルム13の内周面(内面)がヒータ11の保護摺動層11cの表面に接触しながらヒータホルダ12の外周を加圧ローラ20と略同じ速度で矢印方向へ従動回転する。本実施例では、ヒータ11の保護摺動層11c表面と定着フィルム13内面との間、及び定着フィルム13内面と定着フィルム13内面が接触するヒータホルダ12の外面との間に耐熱性グリースを少量介在させている。これによりヒータ11及びヒータホルダ12に対する定着フィルム13の摩擦抵抗を小さくし定着フィルム13の回転をスムーズに行えるようにしている。
制御手段としての温調制御部41は、電源42からヒータ11の給電電極11dを通じて通電発熱抵抗層11bに通電する。その通電により通電発熱抵抗層11bが発熱しヒータ11は急速昇温して定着フィルム13を加熱する。ヒータ11の温度は基板11aの裏面(ニップ部Nと反対側の面)に設けられている温度検知手段としてのサーミスタなどの温度検知素子14により検知され、その温度検知素子14はヒータ11の温度検知信号を温調制御部41に出力する。この温度検知素子14はヒータ11の長手方向におけるニップ部Nの記録材搬送領域において画像形成装置に使用される各種サイズの記録材Pが必ず通過する領域に配置されている。温調制御部41は、温度検知素子14からの温度検知信号を取り込み、その温度検知信号に基づいて定着フィルム13が所定の温調温度(目標温度)を維持するようにヒータ11の通電発熱抵抗層11bへの通電を制御する。
加圧ローラ20及び定着フィルム13の回転が安定し、かつ定着フィルム13が所定の温調温度に維持された状態で、未定着のトナー像tを担持する記録材Pがニップ部Nの記録材搬送領域に導入される。その記録材Pはニップ部Nで定着フィルム13表面と加圧ローラ20表面とにより挟持搬送される。その搬送過程においてトナー像tには定着フィルム13の温調温度に対応する熱とニップ部Nの圧力が加えられ、その熱と圧力によってトナー像tは記録材P上に加熱定着される。
未定着のトナー像tが記録材Pに加熱定着されるまでの過程を図6に示す。なお、記録材Pが担持するトナー像tについては図示を省略してある。
トナー像tを担持した記録材Pがニップ部Nで定着フィルム13と加圧ローラ20とにより挟持搬送されつつ加熱されることによって、トナー像tは融解され記録材P上に付着する。次に、定着フィルム13がヒータ11の保護摺動層11c表面から離れることで冷却され、記録材P上のトナー像tは凝固される。最後に、定着フィルム13の回転方向においてヒータホルダ12の下流側に設けられているフィルム摺動部12bと接触している定着フィルム13から記録材Pが分離することによって、トナー像tは記録材P上に定着される。
(3)定着フィルムの剛性と屈曲強度の説明
樹脂材料を用いた定着フィルム13では、剛性が弱いため、以下に示すような問題が発生する可能性がある。
未定着のトナー像tを担持する記録材Pがニップ部Nで定着フィルム13と加圧ローラ20とによって挟持搬送されている様子を図7に示す。図7の(a)は記録材Pから定着フィルム13表面に作用する力を表わす説明図、(b)は定着フィルム13にたわみが発生した状態を表わす説明図である。なお、記録材Pが担持する未定着のトナー像tについては図示を省略してある。
図7の(a)に示されるように、ニップ部Nにおいて記録材Pと密着した状態に接触している定着フィルム13表面は、その記録材Pを介して加圧ローラ20より加圧力Fynと記録材搬送力Fxを受ける。そのため定着フィルム13表面には、加圧力Fynと記録材搬送力Fxとの合力F1が作用する。定着フィルム13がヒータ11の保護摺動層11c表面より離れるニップ部N端からヒータホルダ12のフィルム摺動部12bに接触するまでの領域では、記録材Pは加圧力Fynよりも小さい押圧力Fyを保持している。この押圧力Fyは記録材Pがニップ部N端から離れるに従って小さくなる。そのため定着フィルム13表面は記録材Pを介して押圧力Fyを受ける。またその領域では、定着フィルム13表面は記録材Pを介して加圧ローラ20より記録材搬送力Fxを受ける。従ってその領域において記録材Pと密着した状態に接触している定着フィルム13表面には、その記録材Pを介して押圧力Fyと記録材搬送力Fxとの合力F2が作用する。
上記ニップ部N端からフィルム摺動部12bまでの領域においてヒータ11の保護摺動層11c表面と定着フィルム13内面との間に空隙があるため、定着フィルム13は合力F2によってヒータ11側にたわみやすい。図7の(b)に示されるように、定着フィルム13にたわみが発生した場合には、オフセットと呼ばれる画像不良が発生しやすい。その原因は、定着フィルム13のたわみにより定着フィルム13と記録材Pの密着性が低下するためである。定着フィルム13と記録材Pの密着性が低下すると、ニップ部Nで融解されたトナー像がニップ部Nとフィルム摺動部12bとの間で冷却する前に、記録材Pが定着フィルム13から分離する。トナー像が融解した状態で分離してしまうと、トナー像を記録材Pに完全には定着できず、そのトナー像の一部(以下、トナーと記す)が定着フィルム13表面に付着する。定着フィルム13表面に付着したトナーが再び記録材Pに転移することで、オフセットが発生する。
上記ニップ部N端からフィルム摺動部12bまでの領域で定着フィルム13にたわみが発生しないようにするためには、定着フィルム13の剛性を向上させることが必要である。
図8は定着フィルム13の剛性を測定する方法を表わす説明図である。
本実施例では、定着フィルム13の剛性を表わす指標として、歪みγTを定義する。図8に示すように、定着フィルム13の長手方向の全面にわたって、板状の荷重部材30により、その定着フィルム13の直径方向に荷重(0.7gf/mm)を与えたとき、式(1)で表わされる荷重方向歪みγTを0.70以上とする。その場合、定着フィルム13にたわみが発生しにくくなり、オフセットは抑制される。
ここで、例えば外径24mm、長手方向長さが230mmの定着フィルム13に対しては、板状の荷重部材30として長さ300mm、幅210mm、重さ161gfのアルミ板を定着フィルム13全体に均等に荷重がかかるように載せる。
式(1)で表わされる荷重方向歪みγTは
荷重方向歪みγT=φT/φ (1)
である。ただし、φは、荷重を与える前の定着フィルム13の径(mm)であり、φTは、荷重を与えたときの荷重方向の定着フィルム13の径(mm)である。
荷重方向歪み(以下、歪みと記す)γTが0.70以上で、オフセットが抑制されたデータは、外径24mm、長さ230mmの定着フィルム13を使用し、定着フィルム13の厚さ、フィラー以外の条件を揃えて行った通紙テストに基づくものである。詳細は、後述の通紙テストの結果で述べる。
また、定着フィルム13は、定着フィルム13内面がヒータ11の保護摺動層11c表面とヒータホルダ12のフィルム摺動部12bに密着しながら摺動しているため、絶えず屈曲して回転している。この繰返しの屈曲変形に対する耐久性を満足するために、屈曲強度を有することが必要である。屈曲強度を表す指標として、定着フィルム13を切り取った試験片でJIS−P8115に準じたMIT試験を行うことが好適である。
定着フィルム13のMIT試験による破断までの折り曲げ回数(耐折回数)と定着フィルム13の破断の相関を調べた結果が表1(後述)である。
詳細は後述するが、表1は歪みγTとオフセットの関係を評価したときと同様に、実施例1として外径24mm、長さ230mmの定着フィルムを使用し、この定着フィルムの厚さ、フィラー以外は、条件を揃えて評価を行っている。この結果より、定着フィルムの屈曲強度の指標としてのMIT試験回数が4000以上である特性を有する場合、定着フィルムの破れといった不具合が抑制される。
以上の装置、条件に基づき通紙テストを行い、オフセットと前記剛性の指標及び耐久性と前記屈曲強度の指標との相関を示す。記録材の搬送スピードは235mm/secである。定着フィルムの温調温度は210℃、加圧ローラへの加圧力は137.2N(14kgf)、ニップ部の幅は8mm、ヒータの基板の幅は10mmである。試験環境は室温23℃湿度50%である。記録材としてはレターサイズの普通紙(坪量75g/m2)を用いた。定着フィルムの基層はポリイミドからなり、この基層の外周面上に離型層がPFAによって形成されている。基層には、熱伝導率向上のために、フィラーが充填されている。定着フィルムの厚さは70μm、外径は24mm、長さは230mmである。この定着フィルムを実施例1とし、その定着フィルムについてオフセットと耐久性の試験を行った。
オフセットは、10枚通紙し、最も悪い画像について、下記基準で評価した。
◎:オフセット発生なし。
〇:若干のオフセットはあるものの、実用上問題ないレベル。
×:オフセット発生があり、実用に耐えないレベル。
耐久性の評価は、300K枚の連続通紙を行い、下記基準で評価した。
〇:定着フィルムに異常なし
×:定着フィルムに破れ発生等の異常あり。
次に、実施例2〜3、参考例1〜3の各定着フィルムについて説明する。
実施例2〜3、参考例1〜3の各定着フィルムについては、実施例1の定着フィルムと厚さ、フィラー量が異なる定着フィルムを用いた以外は実施例1の定着フィルムと同様の装置、条件で評価を行った。これらの実施例2〜3、参考例1〜3の定着フィルムの厚さ、フィラー量と、そのときの結果を表1に統括して示す。
表1の結果から、剛性の指標である歪みγTが0.58、0.61ではオフセット発生があり、実用に耐えないレベルだが、0.73以上では、実用上問題ないレベルである。オフセット発生状況を考慮すると、歪みγTが0.70以上あれば、オフセットは実用上問題ないレベルになるといえる。また、屈曲強度の指標である耐折回数が4000以上では、300K連続通紙後において、定着フィルムに破れ等の異常がなく、耐久性に問題ないといえる。
以上より、定着フィルムの歪みγTを0.70以上、屈曲強度を4000以上と規定することで、オフセットの発生を抑制させることができ、かつ、耐久性のある定着フィルムを提供することが可能である。
[比較例1]
定着フィルムの厚さ、フィラー量と歪みγT、屈曲強度の相関を明確にするために、定着フィルムの厚さ、フィラー量以外の条件を揃えて比較を行った。
本比較例1では、定着フィルムの厚さ、フィラー量を変えた時の定着フィルムの歪みγT測定を行った。定着フィルムの外径は24mm、長さは230mmである。定着フィルムの基層はポリイミドからなり、その基層の外周面上に離型層としてPFAが成形されているものを使用した。基層には熱伝導率を向上させるために、フィラーが充填されている。定着フィルムの厚さは40、60、70、80、100μmであり、それぞれの厚さの定着フィルムについて測定を行った。
定着フィルムの厚みが厚くなると、熱伝導が低下する。熱伝導を改善するには、フィラーを充填して、熱伝導率を向上させる必要がある。そこで、フィラー量を変えた定着フィルムにおいて歪みγTの測定を行った。フィラー量は[1]、[2]、[3]の3種類あり、量の関係は下記のようになっている。
フィラー量 多い [1] > [2] > [3] 少
歪みγTの測定結果を表2、及び図9に示す。
歪みγTは定着フィルムの厚さにより大きく変化し、厚い方が歪みγTは小さくなる。フィラー量を変えても大きな変化はない。
[比較例2]
定着フィルムの厚さ、フィラー量を変えた時の屈曲強度測定を行った。定着フィルムの厚さとフィラー量以外は同じ条件で行った。定着フィルムの外径は24mm、長さは230mmである。定着フィルムの基層はポリイミドからなり、その基層の外周面上に離型層としてPFAが成形されているものを使用した。定着フィルムの厚さは70、80μmであり、フィラー量は[1]、[2]、[3]の3種類ある。そのフィラー量の関係は比較例1と同じである。そしてそれぞれの厚さの定着フィルムについて屈曲強度の測定を行った。
MIT試験結果を表3、及び図10に示す。
屈曲強度は、定着フィルムの厚さ、フィラー量に大きく影響する。厚さは薄く、フィラー量は少ないと屈曲強度は強くなる。
以上、比較例1、2の結果より、定着フィルムは、定着フィルムの厚みを厚くすると屈曲強度が低下し、定着フィルムの厚みを薄くすると歪みγTの値が低下する。オフセットに強く、耐久性のある定着フィルムを実現するには適切な厚みが必要になる。また、耐久性はフィラー量も大きく影響するため、適切な量にする必要がある。
本実施例によれば、定着フィルム13において剛性を示す指標として歪みγTを0.70以上、屈曲強度を示す指標として耐折回数を4000以上と規定する。このように定着フィルムの歪みγTと耐折回数を規定することにより、記録材Pとの密着性が低下するようなたわみの発生を抑えつつ耐久性を向上できる。これによって、オフセットの発生を抑制でき、かつ、耐久性のある定着フィルム13を提供できる。またその定着フィルム13を有する加熱定着装置16を提供することができる。
画像形成装置の一例の構成模式図である。 加熱定着装置の一例の横断側面模式図である。 加熱定着装置の定着フィルムの横断側面模式図である。 ヒータの一例の構成模式図である。 ニップ部Nとニップ部N部付近の横断側面拡大図である。 未定着のトナー像が記録材に加熱定着されるまでの過程を表わす説明図である。 未定着のトナー像を担持する記録材がニップ部で定着フィルムと加圧ローラとによって挟持搬送されている様子を表わす説明図である。 定着フィルムの剛性を測定する方法を表わす説明図である。 比較例1の定着フィルムのフィルム厚さと歪みの関係を表わす説明図である。 比較例2の定着フィルムのフィルム厚みと屈曲強度の関係を表わす説明図である。
符号の説明
6・・・加熱定着装置、11・・・ヒータ、13・・・定着フィルム、20・・・加圧ローラ、30・・・板状の荷重部材、N・・・ニップ部、P・・・記録材、t・・・トナー画像

Claims (2)

  1. 記録材が担持する画像を加熱する像加熱装置に用いられる可撓性部材であって、少なくとも、基層と、前記基層上に設けられている離型層と、を有し、前記基層と前記離型層の材料が樹脂からなる厚さ20μm以上100μm以下、外径15mm以上45mm以下のエンドレスの細長い可撓性部材において、
    前記可撓性部材の剛性を示す指標として、前記可撓性部材の長手方向の全面にわたって、板状の荷重部材により、前記可撓性部材の直径方向に荷重(0.7gf/mm)を与えたとき、式(1)
    荷重方向歪みγT=φT/φ (1)
    〔ただし、φは、荷重を与える前の可撓性部材の直径(mm)であり、φTは、荷重を与えたときの荷重方向の可撓性部材の径(mm)である。〕で表わされる荷重方向歪みγTが0.70以上であり、
    かつ、前記可撓性部材の屈曲強度を示す指標として、前記可撓性部材を切り取りとった試験片でJIS−P8115に準じてMIT試験を行い、破断までの折り曲げ回数(耐折回数)が4000以上である特性を有することを特徴とする可撓性部材。
  2. 加熱体と、前記加熱体と接触しつつ移動する可撓性部材と、前記加熱体と前記可撓性部材を挟むことによってニップ部を形成するバックアップ部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持する記録材を挟持搬送しつつ画像を加熱する像加熱装置において、
    前記可撓性部材は、少なくとも、基層と、前記基層上に設けられている離型層と、を有し、前記基層と前記離型層の材料が樹脂からなる厚さ20μm以上100μm以下、外径15mm以上45mm以下のエンドレスの細長い可撓性部材であり、
    前記可撓性部材の剛性を示す指標として、前記可撓性部材の長手方向の全面にわたって、板状の荷重部材により、前記可撓性部材の直径方向に荷重(0.7gf/mm)を与えたとき、式(1)
    荷重方向歪みγT=φT/φ (1)
    〔ただし、φは、荷重を与える前の可撓性部材の直径(mm)であり、φTは、荷重を与えたときの荷重方向の可撓性部材の径(mm)である。〕で表わされる荷重方向歪みγTが0.70以上であり、
    かつ、前記可撓性部材の屈曲強度を示す指標として、前記可撓性部材を切り取りとった試験片でJIS−P8115に準じてMIT試験を行い、破断までの折り曲げ回数(耐折回数)が4000以上である特性を有することを特徴とする像加熱装置。
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