JP2009282233A - 光学素子の表面平滑化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学素子の表面形状に依存することなく、しかも低コスト、小電力でしかも短時間で、光学素子表面に形成されたナノオーダの凹凸をエッチングして平滑化する。
【解決手段】原料ガス雰囲気中に光学素子を配置し、太陽光を光学フィルター15により原料ガスを構成するガス分子の吸収端波長以上のみ透過させ、光学フィルター15の透過光を光学素子に照射することにより、光学素子表面に形成された凹凸における少なくとも先鋭化部分43に近接場光を発生させ、発生させた近接場光に基づいて原料ガスを解離させることにより、少なくとも先鋭化部分43をエッチングすることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学素子の表面に形成されたナノオーダの凹凸をエッチングすることにより平滑化する際に好適な光学素子の表面平滑化方法並びにこれを用いた光学素子の作製方法に関する。
従来から、合成石英、BK7(ホウケイ酸塩クラウンガラス)等を用いたレンズ、反射鏡、窓板、偏光素子等の光学素子の表面平滑化方法としては、例えば、特許文献1に示すような光学素子の研削・研磨加工方法が提案されている。この研削・研磨加工方法においては、固定砥粒工具とレンズホルダーとを少なくとも有する加工装置を用いており、このレンズホルダーに光学素子であるレンズを保持して固定砥粒工具の加工面に当接させたまま、固定砥粒工具を回転モーターによって所定の回転数をもって回転駆動させる。そして、レンズを固定砥粒工具の加工面上を円弧状に揺動させながら、レンズ表面の研磨を行う。かかる場合において、レンズと固定砥粒工具との間には、ダイヤモンド等を初めとした砥粒を含む研磨液が接触された状態にある。
特開2001−198784号公報
ところで、上述した特許文献1に示す光学素子の研削・研磨加工方法では、レンズ表面を固定砥粒工具や研磨液等を用いて物理的に研磨することによってその表面を平滑化しているため、固定砥粒の物理的な寸法より小さな凹凸まで研磨することができないという問題点があった。また、上述のような研磨液を用いた物理的な研磨では、研磨工程の進行に伴い、研磨液が凝集、固体化等されてしまい粗大粒子を形成し、これによって光学素子表面に引っ掻き疵(スクラッチ)を形成し、微細な凹凸が光学素子表面に残存してしまうという問題点があった。また、上述した特許文献1に示す光学素子の研削・研磨加工方法では、研磨の対象となる光学素子を構成する材質や厚みに応じて最適な研磨条件を調整する必要があるが、光の回折限界以下のナノオーダのレベルで表面凹凸が最小となる条件を見つけ出すことは現実的に困難であった。
また、従来提案されてきた、光学素子の表面平滑化方法では、光学素子の表面形状によっては研磨を施すこと自体が困難な場合もあった。このため、光学素子の表面形状に支配されることなく、その表面をナノオーダで平滑化可能なプロセスに対する要望が強かった。
さらに、従来における光学素子の研削・研磨加工方法は、物理的な研磨を行う上で長時間を要し、しかもシステム全体が大掛かりになることから製造コストが過大となる欠点もあった。また、研磨の対象となる光学素子の数が増加するにつれて、プロセスを実行する上で必要な電力が大きくなり、より環境に配慮した方法を提案する必要もあった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されてものであり、その目的とするところは、光学素子の表面形状に依存することなく、しかも低コスト、小電力でしかも短時間で、光学素子表面に形成されたナノオーダの凹凸をエッチングすることにより平滑化することが可能な表面平滑化方法並びにこれを用いた光学素子の作製方法を提供することにある。
本発明を適用した光学素子の表面平滑化方法は、上述した課題を解決するために、原料ガス雰囲気中に光学素子を配置し、上記原料ガスを構成するガス分子の吸収端波長以上の太陽光のみを光学フィルターにより透過させ、上記光学フィルターの透過光を上記光学素子に照射することにより、上記光学素子表面に形成された凹凸における少なくとも角部に発生させた近接場光に基づいて上記原料ガスを解離させてエッチングすることを特徴とする。
本発明を適用した光学素子の表面平滑化方法は、上述した課題を解決するために、原料ガス雰囲気中に光学素子を配置し、太陽光を上記光学素子に照射することにより、上記光学素子表面に形成された凹凸における少なくとも角部に発生させた近接場光に基づいて上記原料ガスを解離させてエッチングすることを特徴とする。
上述した構成からなる本発明では、特に光学素子における先鋭化部分を初めとした局所的な部分において近接場光を発生させ、かかる近接場光による非断熱光化学反応に基づいて当該部分のみについて原料ガス分子を選択的に解離させ、生成したラジカルに基づいて先鋭化部分を選択的にエッチングすることが可能となる。特に、この近接場光は、回折限界以下のサイズからなる先鋭化部分であっても選択的に発生させることができることから、表面平滑化処理そのものをナノオーダで実現することができる。
また本発明は、光学素子の表面形状がいかなるものであっても、その微細な表面凹凸の局所領域に近接場光を発生させることができ、処理対象としての光学素子の表面形状の自由度に幅を持たせることで汎用性を向上させることができる。
さらに本発明では、太陽光を光学フィルターを介して取り入れるのみで処理を行うことが可能となることから、物理的な研磨を行う場合と比較して短時間で済み、しかも製造コストを低減させることが可能となる。
また、本発明では、太陽光を利用することにより、別途光源を配設する必要もなくなることから、プロセスを実行する上で必要な電力を低減でき、より環境に配慮したプロセスとすることが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した光学素子の表面平滑化方法を実現するための表面平滑化処理システム1である。
この表面平滑化処理システム1は、太陽光を利用して光学素子2の表面を平滑化するものであって、チャンバ11内に、ステージ13を配設して構成され、またこのチャンバ11内の気体は、ポンプ16を介して吸引可能とされ、更に圧力センサ17によりチャンバ11内の圧力を検出し、これに基づいてバタフライバルブ18を自動的に開閉することにより内圧の自動制御を実現可能としている。また、このチャンバ11に対して原料ガスを供給するための供給管23が接続されて構成されている。また、このチャンバ11における少なくとも一の面には、光学フィルター15が形成され、チャンバ11の外側から太陽光の一部がこの光学フィルター15を透過してチャンバ11内へと入射されることになる。
ステージ13は、光学素子2を載置するための図示しない載置部や、光学素子2を加熱するための図示しない加熱機構等が設けられていてもよく、これらを制御することにより、光学素子2を原料ガスに基づいて表面平滑化処理を施す際において反応速度をコントロールすることが可能となる。なお、ステージ13は、光学素子2の位置を高精度に調整するための図示しない高精度ステージ機構等が設けられていてもよい。
チャンバ11内に対して供給管23を介して供給される原料ガスとしては、例えば塩素系ガスと不活性ガスとを混合してなる混合ガスである。この混合ガスは、所定の圧力となるように調整された上で随時供給される。塩素系ガスは、表面に凹凸を有する光学素子をナノオーダまで平滑化させるためにチャンバ11内に導入されるものであり、例えば、Cl(塩素)、BCl(三塩化ホウ素)、CCl(四塩化炭素)等によって具体化される。また、不活性ガスは、N,He,Ar,Kr,Xe等の何れか一種または二種以上を混合してなる塩素系ガスによって具体化される。
光学フィルター15は、入射される光のうち、所定の波長以上の光のみ透過させ、それ以外の波長の光を反射させる、いわゆるロングパスフィルタ素子である。また、この光学フィルター15は、所定の波長のみを選択的に透過させるバンドパスフィルタで構成されていてもよい。光学フィルター15は、ガラス等のような基板材料に光を吸収可能なCdS等の半導体微粒子を分散させ、当該半導体微粒子による光の吸収を通じて透過する光の波長選択性を持たせている。光学フィルター15は、少なくともチャンバ11に対して太陽光が入射可能な面において設けられている。即ち、このチャンバ11内に入射する何れの太陽光は、必ずこの光学フィルター15を透過することを必須の構成としている。
なお、図2に、本発明を適用した表面平滑化処理システム1による処理対象としての光学素子2の例を示す。光学素子2は、例えば、レンズ、ミラー、プリズム、基板、ビームスプリッター、偏光素子として用いられるものである。光学素子2aは、図2(a)、(b)に示されるように、その表面31、裏面32ともに平坦な形状から構成される、いわゆる平行平面基板とよばれる光学素子である。光学素子2b、2cは、図2(c)〜(f)に示すように、その表面に凹曲面33や凸曲面34を有するレンズであり、裏面32は平坦な形状から構成される。このように、光学素子2は、その表面が平坦な形状からなる光学素子2aや、その表面が所定の曲率をもって湾曲してなる光学素子2b、2c等が含まれるものであるが、図示される形状に限定されるものではない。また、光学素子2は、その大きさに限定されるものではない。
光学素子2の材質は、例えば、BK7等のクラウンガラス、F2等のフリントガラスのような光学ガラスであったり、合成石英、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化バリウム、岩塩(NaCl)、ゲルマニウム(Ge)、サファイヤ、ジンクセレン(ZnSe)等のような光学結晶等によって具体化される。
このような光学素子2は、表面平滑化処理システム1による処理前において、図3(a)に示すように、表面に微細な凹凸が形成されている。この凹凸のピッチは、数nmのオーダから数μmまでのオーダまで様々であるが、本発明では特に1nm程度のピッチで構成されている凹凸をエッチングする場合においても適用可能である。以下この光学素子2の表面が内側に凹んでいる凹部41と、外側に先鋭化された凸部42で形成されているものとし、更に、この凸部42の先端を先鋭化部分43という。なお、表面粗さが極度に大きい場合等には、予め物理研磨を施しておき、その後の仕上げ加工として、本発明を適用するようにしてもよい。
次に、上述した構成からなる表面平滑化処理システム1により、実際に光学素子2の表面を平滑化させるプロセスについて説明をする。
先ず、表面処理を施すべき光学素子2をステージ13上に載置する。そしてチャンバ11内を密閉状態に保持し、所定圧力、所定温度に制御する。次に、供給管23を介してチャンバ11内に原料ガスを供給する。因みに以下では、原料ガスとして吸収端波長400nmの塩素系ガスを使用する場合を例にとる。その結果、この光学素子2は、原料ガスとしての塩素系ガス雰囲気中において配置されている状態を作り出すことが可能となる。
次に、太陽光をチャンバ11内に入射させる。このとき、図1に示すように、太陽光はフィルター15を透過してくることから、所定の帯域の光のみがこのチャンバ11内に入射されることになる。このチャンバ11内に入射された光は光学素子2に照射されることになる。
図4(a)は、一般的な太陽光のスペクトルを示している。この太陽光のスペクトルは紫外線から赤外線まで幅広く分布する。ここでフィルター15が波長500nm以上のみを透過させるロングパスフィルタで構成されている場合、フィルター15を透過した太陽光は、図4(b)に示すように波長500nm未満の波長がカットされたスペクトル分布となり、波長500nm以上のスペクトルを有する光が光学素子2に照射されることになる。特にこの太陽光における波長500nm以上のスペクトルは、通常のレーザーダイオードと比較して非常に広帯域に亘って分布していることから、トータルの光エネルギーを大きくすることが可能となり、エッチングの効率を向上させることが可能となる。なお、本発明においては、この吸収端の波長を400nm以上で構成されていれば所期の作用効果を奏する。
図5は、チャンバ11内に導入された塩素系ガスのガス分子の原子核間距離に対するポテンシャルエネルギーの関係について示している。通常、チャンバ11内に導入された塩素系ガスのガス分子に対して、基底準位と励起準位とのエネルギー差Ea以上の光エネルギーをもつ光、即ち、ガス分子の吸収端波長よりも短波長からなる光(以下、この光を共鳴光という。)を照射すると、このガス分子は、励起準位へ直接励起される。この励起準位は、解離エネルギーEbを超えているため、矢印で示される方向へガス分子を光解離させて塩素ラジカルが生成される。これは、伝搬光を使った通常の光解離のメカニズムに基づくものであるが、伝搬光の電場強度が分子サイズの空間内において均一な分布であるため、ガス分子を構成する原子核や電子のうち軽い電子のみが光に対して反応するものの、原子核間距離を変化させることができない。即ち、伝搬光による光解離過程は断熱近似となることから、基底状態から解離軌道へ遷移させるためには、励起準位軌道のポテンシャルエネルギーよりも高い光エネルギーを持つ光を照射する必要がある。ちなみに、塩素系ガスの吸収端波長以上の非共鳴光を伝搬光として照射した場合、ガス分子は励起準位へ励起されない。非共鳴光は、図6における光エネルギーS1、S2等のように励起準位軌道のポテンシャルエネルギーよりも低いため、伝搬光を単に照射させたのみでは、ガス分子を光解離させて活性種としてのラジカルを生成させることはできない。
これに対して本発明では、塩素系ガスの吸収端波長以上の光(以下、この光を非共鳴光という。)を利用するが、光学素子2の表面凹凸をエッチングする上で、光学フィルター15を透過してきた非共鳴光としての伝搬光を直接的に利用するものではなく、この照射された伝搬光に基づいて光学素子2の局所領域に発生させた近接場光に基づいて、表面の凹凸をエッチングする。
ここでいう近接場光とは、約1μm以下の大きさからなる物体の表面に伝搬光を照射した場合に、その物体の表面にまとわりついて局在する非伝搬光のことをいう。この近接場光は、非常に強い電場成分を有しているが、物体の表面から遠ざかるにつれてその電場成分が急激に減少する性質をもっている。この非常に強い電場成分が見られる物体表面からの厚みは、その物体の寸法に依存しており、その物体の寸法と同程度の厚みからなる。
近接場光の電場強度は、局所領域においても急激に減少するという特質を有する。このため、この近接場光を塩素系ガスの分子と反応させた場合において、その電場は分子にとって不均一な空間分布となり、塩素系ガス分子中の原子核も、かかる近接場光の電場勾配により引力を受けることになる。即ち、近接場光をガス分子と反応させることにより、当該ガス分子を構成する比較的軽い電子のみならず、原子核をも近接場光に対して応答させることができる。その結果、近接場光により、原子核間距離を周期的に変化させることが可能となり、分子の振動準位への直接的な励起を生じさせる、いわゆる非断熱光化学反応を起こさせることが可能となる。
塩素系ガスの吸収端波長以上の非共鳴光を近接場光としてガス分子に反応させた場合には、かかる非断熱光化学反応により、ガス分子をラジカルへと解離させることが可能となる。この非断熱光化学反応は、図5に示すような過程T1〜T3に分類することができる。過程T1は、ガス分子が複数の分子振動準位を介して励起され(多段階遷移)、その結果、励起準位にまで励起された後に、活性種等に解離される過程のことをいう。また、過程T2は、ガス分子の解離エネルギーEb以上の光エネルギーをもつ光を照射した場合に、ガス分子が解離エネルギーEb以上のエネルギー準位の分子振動準位にまで励起され、その結果、活性種等に直接的に解離される過程のことをいう。また、過程T3は、ガス分子のEb以下の光エネルギーを持つ光を照射した場合に、ガス分子が複数の分子軌道準位を介して多段階遷移し、Ea未満Eb以上のエネルギー準位まで励起された後に、活性種等に解離される過程のことをいう。
このように、非共鳴光を近接場光としてガス分子と反応させた場合に、非断熱光化学反応における過程T1〜T3により、当該ガス分子を分子振動準位にまで直接的に遷移させることが可能となる。
ここで伝搬光を光学素子2に照射することにより、近接場光が発生する角部とは、図3(b)に示すように凸部42の先端に相当する先鋭化部分43である。この先鋭化部分43において近接場光が選択的に発生すると、当該発生した近接場光により原料ガス分子51が解離されてラジカル52が生成される。このラジカル52は、近接場光が発生した先鋭化部分43近傍のみにおいて選択的に生成される。そして、この生成されたラジカル52は、これに最も近接する先鋭化部分43のみと選択的に反応することになる。その結果、図3(c)に示すように、先鋭化部分43がラジカル52の活性によりエッチングされることになる。そして先鋭化部分43がエッチングされると、この凸部42において更に先鋭化部分43’が形成されるが、これに対しても近接場光が選択的に発生し、原料ガス分子51を解離させてラジカル52を先鋭化部分43’近傍において選択的に形成されることができる。その結果、この先鋭化部分43’は、ラジカル52と反応することによりエッチングされることになる。
また、近接場光が発生する角部は、かかる先鋭化部分のみならず、凹部41、凸部42を構成するいかなる角部分をも含む。凹部41もここでいう角部に含まれ、図4(b)に示すように近接場光が発生し、この発生した近接場光に基づいて発生させたラジカル52により当該凹部41が平滑化されることになる。
上述したように、光学素子2の局所領域における近接場光の発生と、原料ガス分子51の解離によるラジカル活性、先鋭化部分43の反応が繰り返し実行されることにより、最終的には図3(d)に示すように、角部をエッチングすることにより表面を平滑化させ、表面粗さを低減させることが可能となる。
このように、本発明を適用した光学素子の表面平滑化方法では、特に光学素子2における先鋭化部分43を初めとした局所的な部分において近接場光を発生させ、かかる近接場光による非断熱光化学反応に基づいて当該部分のみについて原料ガス分子51を選択的に解離させ、生成したラジカル52に基づいて角部を選択的にエッチングすることが可能となる。特に、この近接場光は、1nmオーダの角部であっても選択的に発生させることができることから、表面平滑化処理そのものをナノオーダで実現することができる。このため、本発明では、従来の光学素子の研磨方法と比較して、ナノオーダの光の回折限界以下のピッチで凹凸を無くすことにより、光学素子2の表面をより平滑化させることが可能となる。
また本発明は、光学素子2の表面形状がいかなるものであっても、その微細な表面凹凸の局所領域に近接場光を発生させることができることから、光学素子2の表面形状により処理の制約を受けることが無くなり、処理対象としての光学素子2の表面形状の自由度に幅を持たせることで汎用性を向上させることができる。従って、従来において物理研磨を精度よく施すことが困難であった、光学素子2b、2cのような、表面が湾曲した形状の凹曲面33や凸曲面34に対しても、塩素系ガス雰囲気中でこれら曲面等に光学フィルター15を介して太陽光を照射するのみ、特別の制御することなく平滑化が可能となる。
さらに本発明では、太陽光を光学フィルター15を介して取り入れるのみで処理を行うことが可能となることから、物理的な研磨を行う場合と比較して短時間で済み、しかも製造コストを低減させることが可能となる。特に本発明では、ステージ13上に多くの光学素子2を並べて同時に平滑化処理を行うことが可能となるため、処理効率を向上させることが可能となる。
また、本発明では、太陽光を利用することにより、別途光源を配設する必要もなくなることから、プロセスを実行する上で必要な電力を低減でき、より環境に配慮したプロセスとすることが可能となる。
また、本発明では、光学フィルター15により原料ガスの吸収端波長未満の光をカットすることができるため、通常の伝搬光によるエッチングの進行を抑えることも可能となる。
因みに、上述した実施の形態においては、原料ガスとして塩素系ガスを使用する場合を例にとり説明をしたが、塩素系ガス以外を使用する場合も同様の技術思想が適用される。即ち、使用する原料ガスを構成するガス分子の吸収端波長以上のみを光学フィルター15で透過させることにより、上述したような近接場光を利用した非断熱光化学反応に基づいてガス分子を解離させることが可能となる。
なお本発明において、光学フィルター15により制限すべき透過帯域としては10μm以下とするのが好ましい。この光の波長が10μm超であると、ガス分子の振動準位への直接的な励起が生じにくく、近接場光によるエッチングレートが低減するためである。
また、本発明において、チャンバ11内に導入される塩素系ガスのガス分子の分圧は、少なくとも1×10−5Pa以上とするのが望ましい。チャンバ11内の塩素系ガスのガス分子の分圧が1×10−5Pa未満であると、光学素子2表面の凸部51近傍の空間内に、エッチング反応を起こすために必要となる塩素系ガスのガス分子が行き届かず、これによって、凸部51に近接場光が発生したとしてもエッチング反応が進行しにくくなるためである。なお、チャンバ11内に導入される塩素系ガスのガス分子の分圧は、あまりに低すぎるとエッチングレートが低くなり、プロセスが完了するまでに多大な時間を要することになるので、100Pa以上とするのが一層望ましい。これによって、光学素子2表面に形成された先鋭化部分43近傍の空間に、エッチング反応を起こすために必要となる塩素系ガスのガス分子を十分行き渡らせることが可能となり、平滑化処理プロセスを短時間で完了させることが可能となる。
因みに本発明は、上述したプロセスからなる光学素子の表面平滑化方法の工程を有すること光学素子の作製方法として具体化されていてもよい。
また、チャンバ11内に対して供給管23を介して供給される原料ガスは、塩素系ガスに限定されるものではなく、例えば、SiH(モノシラン)、Si(ジシラン)等のシラン系ガスや、Cr(η5-C)(クロモセン)、Cr(CO)(ヘキサカルボニルクロム)等であってもよい。またこれ以外にも、例えば、SF(六フッ化硫黄)、CHF(トリフルオロメタン)、CF(四フッ化炭素)、C(オクタフルオロプロパン)等のフッ素系ガス等であってもよい。
なお、本発明においては、あくまで光学フィルター15を用いて、原料ガスを構成するガス分子の吸収端波長以上の太陽光のみを透過させ、その透過光を光学素子に照射することを構成要件として説明をしてきたが、これに限定されるものではない。この光学フィルター15を透過させなくても、上述した本発明所期がある程度生じることが考えられる。その理由として、太陽光のスペクトルが上述した吸収端以上まで広がっているため、これらに基づいて非断熱光化学反応が生じえるためである。
このため、本発明は、例えば、原料ガス雰囲気中に光学素子を配置し、太陽光を上記光学素子に照射することにより、上記光学素子表面に形成された凹凸における少なくとも角部に発生させた近接場光に基づいて上記原料ガスを解離させてエッチングするようにしてもよいことは勿論である。
本発明を適用した光学素子の表面平滑化方法を実現するための表面平滑化処理システムを示す図である。 本発明を適用した表面平滑化処理システムによる処理対象としての光学素子の例を示す図である。 本発明を適用した光学素子の表面平滑化方法について説明するための図である。 (a)は、太陽光のスペクトル分布図であり、(b)は、光学フィルターにより帯域制限された透過光のスペクトル分布である。 チャンバ内に導入された塩素系ガスのガス分子の原子核間距離に対するポテンシャルエネルギーの関係図である。 共鳴光照射モードについて説明するための図である。
符号の説明
1 表面平滑化処理システム
2 光学素子
11 チャンバ
13 ステージ
15 光学フィルター
16 ポンプ
17 圧力センサ
18 バタフライバルブ
23 供給管
41 凹部
42 凸部
43 先鋭化部分

Claims (5)

  1. 原料ガス雰囲気中に光学素子を配置し、
    上記原料ガスを構成するガス分子の吸収端波長以上の太陽光のみを光学フィルターにより透過させ、
    上記光学フィルターの透過光を上記光学素子に照射することにより、上記光学素子表面に形成された凹凸における少なくとも角部に発生させた近接場光に基づいて上記原料ガスを解離させてエッチングすること
    を特徴とする光学素子の表面平滑化方法。
  2. 塩素系ガスからなる原料ガス雰囲気中に光学素子を配置し、
    上記光学フィルターにより上記塩素系ガスを構成するガス分子の吸収端波長以上のみ透過させること
    を特徴とする請求項1記載の光学素子の表面平滑化方法。
  3. 光の回折限界以下のピッチで上記凹凸が形成された光学素子を上記原料ガス雰囲気中に配置すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の光学素子の表面平滑化方法。
  4. 請求項1〜3のうち何れか1項に記載の光学素子の表面平滑化方法の工程を有すること
    を特徴とする光学素子の作製方法。
  5. 原料ガス雰囲気中に光学素子を配置し、
    太陽光を上記光学素子に照射することにより、上記光学素子表面に形成された凹凸における少なくとも角部に発生させた近接場光に基づいて上記原料ガスを解離させてエッチングすること
    を特徴とする光学素子の表面平滑化方法。
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