JP4700713B2 - 光学素子のパターニング方法 - Google Patents

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本発明は、光学素子の表面に形成されたナノオーダの凹凸をエッチングすることにより平滑化する際に好適な光学素子のパターニング方法並びにこれを用いた光学素子の作製方法、光学素子の脈理除去方法に関する。
従来から、合成石英、BK7(ホウケイ酸塩クラウンガラス)等を用いたレンズ、反射鏡、窓板、偏光素子等の光学素子の表面平滑化方法としては、例えば、特許文献1に示すような光学素子の研削・研磨加工方法が提案されている。この研削・研磨加工方法においては、固定砥粒工具とレンズホルダーとを少なくとも有する加工装置を用いており、このレンズホルダーに光学素子であるレンズを保持して固定砥粒工具の加工面に当接させたまま、固定砥粒工具を回転モーターによって所定の回転数をもって回転駆動させる。そして、レンズを固定砥粒工具の加工面上を円弧状に揺動させながら、レンズ表面の研磨を行う。かかる場合において、レンズと固定砥粒工具との間には、ダイヤモンド等を初めとした砥粒を含む研磨液が接触された状態にある。
特開2001−198784号公報
ところで、上述した特許文献1に示す光学素子の研削・研磨加工方法では、レンズ表面を固定砥粒工具や研磨液等を用いて物理的に研磨することによってその表面を平滑化しているため、固定砥粒の物理的な寸法より小さな凹凸まで研磨することができないという問題点があった。また、上述のような研磨液を用いた物理的な研磨では、研磨工程の進行に伴い、研磨液が凝集、固体化等されてしまい粗大粒子を形成し、これによって光学素子表面に引っ掻き疵(スクラッチ)を形成し、微細な凹凸が光学素子表面に残存してしまうという問題点があった。また、上述した特許文献1に示す光学素子の研削・研磨加工方法では、研磨の対象となる光学素子を構成する材質や厚みに応じて最適な研磨条件を調整する必要があるが、光の回折限界以下のナノオーダのレベルで表面凹凸が最小となる条件を見つけ出すことは現実的に困難であった。
また、従来提案されてきた、光学素子の表面平滑化方法では、光学素子の表面形状によっては研磨を施すこと自体が困難な場合もあった。このため、光学素子の表面形状に支配されることなく、その表面をナノオーダで平滑化可能なプロセスに対する要望が強かった。
さらに、従来における光学素子の研削・研磨加工方法は、物理的な研磨を行う上で長時間を要し、しかもシステム全体が大掛かりになることから製造コストが過大となる欠点もあった。また、研磨の対象となる光学素子の数が増加するにつれて、プロセスを実行する上で必要な電力が大きくなり、より環境に配慮した方法を提案する必要もあった。
また、特に近年において、光学素子を一律に研削・研磨するのではなく、所望の箇所のみを選択的にエッチングできる技術が特に望まれていた。
また、光学素子を製造する際における成分を混合する過程が原因で脈理が発生する場合がある。この脈理は、ガラス内で僅かに異なった屈折率を持ち、はっきりと識別できる透明な筋から成る光学ガラスの不完全部分であることから、これを極力除去することで製造の歩留まりを向上させる必要性もあった。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されてものであり、その目的とするところは、光学素子の表面形状に依存することなく、しかも低コスト、小電力でしかも短時間で、光学素子表面に形成されたナノオーダの凹凸を所望の箇所のみ選択的にエッチングすることにより平滑化することが可能なパターニング方法並びにこれを用いた光学素子の作製方法を提供することにあり、更には脈理を効果的に除去可能な光学素子の脈理除去方法を提供することにある。
本発明に係る光学素子のパターニング方法は、上述した課題を解決するために、イオンが予め打ち込まれて異屈折率領域を点在させた光学素子を原料ガス雰囲気中に配置し、上記原料ガスを構成するガス分子の吸収端波長以上の光を上記光学素子に照射することにより、上記異屈折率領域に形成された凹凸における少なくとも角部において発生させた近接場光に基づいて上記原料ガスを解離させて選択的にエッチングすることを特徴とする。

本発明に係る光学素子の脈理除去方法は、イオンが予め打ち込まれて異屈折率領域を点在させた光学素子に光を照射することにより各異屈折率領域に近接場光を発生させ、発生させた近接場光に基づいて上記光学素子の少なくとも上記各異屈折率領域について流動性を増加させることにより脈理を除去することを特徴とする。
上述した構成からなる本発明によれば、所望の箇所のみを選択的にエッチングすることができ、また光学素子の異屈折率領域61について温度を急激に上昇させることが可能となり、光学素子2の表面近傍の流動性を向上させることによる脈理の除去を効果的に行うことが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した光学素子のパターニング方法を実現するためのパターニング処理システム1である。
このパターニング処理システム1は、照射する光を利用して光学素子2の表面を平滑化するものであって、チャンバ11内に、ステージ13を配設して構成され、またこのチャンバ11内の気体は、ポンプ16を介して吸引可能とされ、更に圧力センサ17によりチャンバ11内の圧力を検出し、これに基づいてバタフライバルブ18を自動的に開閉することにより内圧の自動制御を実現可能としている。また、このチャンバ11に対して原料ガスを供給するための供給管23が接続されて構成されている。また、このチャンバ11における少なくとも一の面には、窓15が形成され、チャンバ11の外側に配設された光源14から照射された光がこの窓15を透過してチャンバ11内へと入射されることになる。
ステージ13は、光学素子2を載置するための図示しない載置部や、光学素子2を加熱するための図示しない加熱機構等が設けられていてもよく、これらを制御することにより、光学素子2を原料ガスに基づいてパターニング処理を施す際において反応速度をコントロールすることが可能となる。なお、ステージ13は、光学素子2の位置を高精度に調整するための図示しない高精度ステージ機構等が設けられていてもよい。
チャンバ11内に対して供給管23を介して供給される原料ガスとしては、例えば塩素系ガスと不活性ガスとを混合してなる混合ガスである。この混合ガスは、所定の圧力となるように調整された上で随時供給される。塩素系ガスは、表面に凹凸を有する光学素子をナノオーダまで平滑化させるためにチャンバ11内に導入されるものであり、例えば、Cl(塩素)、BCl(三塩化ホウ素)、CCl(四塩化炭素)等によって具体化される。また、不活性ガスは、N,He,Ar,Kr,Xe等の何れか一種または二種以上を混合してなるガスによって具体化される。
光源14は、図示しない駆動電源による制御に基づき、所定の波長を有する光を射出するものである。この光源14からは、以下に詳細に説明するように、原料ガスのガス分子の吸収端波長よりも長波長からなる光が射出される。この光源14は、例えば、レーザーダイオード等によって具体化される。
なお、図2に、本発明を適用したパターニング処理システム1による処理対象としての光学素子2の例を示す。光学素子2は、例えば、レンズ、ミラー、プリズム、基板、ビームスプリッター、偏光素子として用いられるものである。光学素子2aは、図2(a)、(b)に示されるように、その表面31、裏面32ともに平坦な形状から構成される、いわゆる平行平面基板とよばれる光学素子である。光学素子2b、2cは、図2(c)〜(f)に示すように、その表面に凹曲面33や凸曲面34を有するレンズであり、裏面32は平坦な形状から構成される。このように、光学素子2は、その表面が平坦な形状からなる光学素子2aや、その表面が所定の曲率をもって湾曲してなる光学素子構造体2b、2c等が含まれるものであるが、図示される形状に限定されるものではない。また、光学素子2は、その大きさに限定されるものではない。
光学素子2の材質は、例えば、BK7等のクラウンガラス、F2等のフリントガラスのような光学ガラスであったり、合成石英、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化バリウム、岩塩(NaCl)、ゲルマニウム(Ge)、サファイヤ、ジンクセレン(ZnSe)等のような光学結晶等によって具体化される。
このような光学素子2は、パターニング処理システム1による処理前において、図3(a)に示すように、エッチングする異屈折率領域61に例えば水酸イオン、ガリウムイオン等を予め打ち込んでおく。
このイオンを打ち込む方法としては、従来のいかなる方法を適用するようにしてもよい。次に、このようにしてイオンを打ち込んだ光学素子2をステージ13上に載置する。そしてチャンバ11内を密閉状態に保持し、所定圧力、所定温度に制御する。次に、供給管23を介してチャンバ11内に原料ガスを供給する。因みに以下では、原料ガスとして吸収端波長400nmの塩素系ガスを使用する場合を例にとる。その結果、この光学素子2は、原料ガスとしての塩素系ガス雰囲気中において配置されている状態を作り出すことが可能となる。
次に、光源14からの光を光学素子2に入射させる。このときの光源14から照射する光の波長は、532nmであるが、上記吸収端波長以上の光であればいかなる波長であってもよい。
図4は、チャンバ11内に導入された塩素系ガスのガス分子の原子核間距離に対するポテンシャルエネルギーの関係について示している。通常、チャンバ11内に導入された塩素系ガスのガス分子に対して、基底準位と励起準位とのエネルギー差Ea以上の光エネルギーをもつ光、即ち、ガス分子の吸収端波長よりも短波長からなる光(以下、この光を共鳴光という。)を照射すると、このガス分子は、励起準位へ直接励起される。この励起準位は、解離エネルギーEbを超えているため、矢印で示される方向へガス分子を光解離させて塩素ラジカルが生成される。これは、伝搬光を使った通常の光解離のメカニズムに基づくものであるが、伝搬光の電場強度が分子サイズの空間内において均一な分布であるため、ガス分子を構成する原子核や電子のうち軽い電子のみが光に対して反応するものの、原子核間距離を変化させることができない。即ち、伝搬光による光解離過程は断熱近似となることから、基底状態から解離軌道へ遷移させるためには、励起準位軌道のポテンシャルエネルギーよりも高い光エネルギーを持つ光を照射する必要がある。ちなみに、塩素系ガスの吸収端波長以上の非共鳴光を伝搬光として照射した場合、ガス分子は励起準位へ励起されない。非共鳴光は、図5における光エネルギーS1、S2等のように励起準位軌道のポテンシャルエネルギーよりも低いため、伝搬光を単に照射させたのみでは、ガス分子を光解離させて活性種としてのラジカルを生成させることはできない。
これに対して本発明では、塩素系ガスの吸収端波長以上の光(以下、この光を非共鳴光という。)を利用するが、光学素子2の表面凹凸をエッチングする上で、共鳴光としての伝搬光を直接的に利用するものではなく、この照射された伝搬光に基づいて光学素子2の局所領域に発生させた近接場光に基づいて、表面の凹凸をエッチングする。
ここでいう近接場光とは、約1μm以下の大きさからなる物体の表面に伝搬光を照射した場合に、その物体の表面にまとわりついて局在する非伝搬光のことをいう。この近接場光は、非常に強い電場成分を有しているが、物体の表面から遠ざかるにつれてその電場成分が急激に減少する性質をもっている。この非常に強い電場成分が見られる物体表面からの厚みは、その物体の寸法に依存しており、その物体の寸法と同程度の厚みからなる。
近接場光の電場強度は、局所領域においても急激に減少するという特質を有する。このため、この近接場光を塩素系ガスの分子と反応させた場合において、その電場は分子にとって不均一な空間分布となり、塩素系ガス分子中の原子核も、かかる近接場光の電場勾配により引力を受けることになる。即ち、近接場光をガス分子と反応させることにより、当該ガス分子を構成する比較的軽い電子のみならず、原子核をも近接場光に対して応答させることができる。その結果、近接場光により、原子核間距離を周期的に変化させることが可能となり、分子の振動準位への直接的な励起を生じさせる、いわゆる非断熱光化学反応を起こさせることが可能となる。
塩素系ガスの吸収端波長以上の非共鳴光を近接場光としてガス分子に反応させた場合には、かかる非断熱光化学反応により、ガス分子をラジカルへと解離させることが可能となる。この非断熱光化学反応は、図4に示すような過程T1〜T3に分類することができる。過程T1は、ガス分子が複数の分子振動準位を介して励起され(多段階遷移)、その結果、励起準位にまで励起された後に、活性種等に解離される過程のことをいう。また、過程T2は、ガス分子の解離エネルギーEb以上の光エネルギーをもつ光を照射した場合に、ガス分子が解離エネルギーEb以上のエネルギー準位の分子振動準位にまで励起され、その結果、活性種等に直接的に解離される過程のことをいう。また、過程T3は、ガス分子のEb以下の光エネルギーを持つ光を照射した場合に、ガス分子が複数の分子軌道準位を介して多段階遷移し、Ea未満Eb以上のエネルギー準位まで励起された後に、活性種等に解離される過程のことをいう。
このように、非共鳴光を近接場光としてガス分子と反応させた場合に、非断熱光化学反応における過程T1〜T3により、当該ガス分子を分子振動準位にまで直接的に遷移させることが可能となる。
ここで伝搬光を光学素子2に照射することにより、図3(b)に示すように、光学素子2におけるイオンが打ち込まれた異屈折率領域61において近接場光が発生する。このとき、近接場光は特にこの異屈折率領域61における凹凸の角部において発生する。異屈折率領域61は、水酸イオンが打ち込まれていることにより、他の領域と比較して屈折率が異なる領域とされている。その結果、この異屈折率領域61において近接場光が選択的に発生することになる。
このようにして、イオンが打ち込まれた異屈折率領域61において近接場光が選択的に発生すると、図3(c)に示すように、当該発生した近接場光により原料ガス分子51が解離されてラジカル52が生成される。このラジカル52は、近接場光が発生した異屈折率領域61近傍のみにおいて選択的に生成される。そして、この生成されたラジカル52は、これに最も近接する異屈折率領域61のみと選択的に反応することになる。その結果、異屈折率領域61がラジカル52の活性によりエッチングされることになる。
上述したように、光学素子2の局所領域における近接場光の発生と、原料ガス分子51の解離によるラジカル活性の反応が繰り返し実行されることにより、最終的には図3(d)に示すように、イオンを打ち込んだ異屈折率領域61のみを選択的にエッチングすることにより表面を平滑化させ、表面粗さを低減させることが可能となる。
このように、本発明を適用した光学素子のパターニング方法では、所望の箇所のみを選択的にエッチングすることができる。その結果、例えば図6に示すように、光学素子2の表面に微小な凹部66を選択的に形成させることが可能となり、例えば光学素子2をレンズで構成した場合に色収差を低減させることも可能となる。
また、本発明を適用した光学素子のパターニング方法では、特に光学素子2における異屈折率領域61を初めとした局所的な部分において近接場光を発生させ、かかる近接場光による非断熱光化学反応に基づいて当該部分のみについて原料ガス分子51を選択的に解離させ、生成したラジカル52に基づいて異屈折率領域61を選択的にエッチングすることが可能となる。特に、この近接場光は、1nmオーダの凹凸であっても選択的に発生させることができることから、パターニング処理そのものをナノオーダで実現することができる。このため、本発明では、従来の光学素子の研磨方法と比較して、ナノオーダの光の回折限界以下のピッチで凹凸を無くすことにより、光学素子2の表面をより平滑化させることが可能となる。
また本発明は、光学素子2の表面形状がいかなるものであっても、その微細な表面凹凸の局所領域に近接場光を発生させることができることから、光学素子2の表面形状により処理の制約を受けることが無くなり、処理対象としての光学素子2の表面形状の自由度に幅を持たせることで汎用性を向上させることができる。従って、従来において物理研磨を精度よく施すことが困難であった、光学素子2b、2cのような、表面が湾曲した形状の凹曲面33や凸曲面34に対しても、塩素系ガス雰囲気中でこれら曲面等に光学フィルター15を介して光を照射するのみ、特別の制御することなく平滑化が可能となる。
さらに本発明では、光を照射するのみで処理を行うことが可能となることから、物理的な研磨を行う場合と比較して短時間で済み、しかも製造コストを低減させることが可能となる。特に本発明では、ステージ13上に多くの光学素子2を並べて同時に平滑化処理を行うことが可能となるため、処理効率を向上させることが可能となる。
また、本発明では、光学素子2を複数段に亘り重ねて配置し、光を光学素子2に照射することにより、これを光学素子2の上段から下段へ順次透過させる。これにより何れの段に配置されている光学素子2に対しても光源14からの光が照射されることになることから、多数の光学素子2を同時にエッチングすることが可能となり、ひいてはエッチング工程における歩留まりの向上並びに光学素子2の作製時間の短縮化を図ることが可能となる。
因みに、上述した実施の形態においては、原料ガスとして塩素系ガスを使用する場合を例にとり説明をしたが、塩素系ガス以外を使用する場合も同様の技術思想が適用される。即ち、使用する原料ガスを構成するガス分子の吸収端波長以上のみの光を照射することにより、上述したような近接場光を利用した非断熱光化学反応に基づいてガス分子を解離させることが可能となる。
なお本発明において、光源14から出射する光の波長帯域としては10μm以下とするのが好ましい。この光の波長が10μm超であると、ガス分子の振動準位への直接的な励起が生じにくく、近接場光によるエッチングレートが低減するためである。
また、本発明において、チャンバ11内に導入される塩素系ガスのガス分子の分圧は、少なくとも1×10−5Pa以上とするのが望ましい。チャンバ11内の塩素系ガスのガス分子の分圧が1×10−5Pa未満であると、光学素子2表面の凸部51近傍の空間内に、エッチング反応を起こすために必要となる塩素系ガスのガス分子が行き届かず、これによって、凸部51に近接場光が発生したとしてもエッチング反応が進行しにくくなるためである。なお、チャンバ11内に導入される塩素系ガスのガス分子の分圧は、あまりに低すぎるとエッチングレートが低くなり、プロセスが完了するまでに多大な時間を要することになるので、100Pa以上とするのが一層望ましい。これによって、光学素子2表面に形成された異屈折率領域61近傍の空間に、エッチング反応を起こすために必要となる塩素系ガスのガス分子を十分行き渡らせることが可能となり、平滑化処理プロセスを短時間で完了させることが可能となる。
因みに本発明は、上述したプロセスからなる光学素子のパターニング方法の工程を有すること光学素子の作製方法として具体化されていてもよい。
また、チャンバ11内に対して供給管23を介して供給される原料ガスは、塩素系ガスに限定されるものではなく、例えば、SiH(モノシラン)、Si(ジシラン)等のシラン系ガスや、Cr(η5-C)(クロモセン)、Cr(CO)(ヘキサカルボニルクロム)等であってもよい。またこれ以外にも、例えば、SF(六フッ化硫黄)、CHF(トリフルオロメタン)、CF(四フッ化炭素)、C(オクタフルオロプロパン)等のフッ素系ガス等であってもよい。
また本発明は、脈理を効果的に除去可能な光学素子の脈理除去方法として具体化されていてもよい。
かかる場合には、同様にイオンを打ち込んだ光学素子2に対して、図7に示すように、光源14から光を照射する。かかる場合には、原料ガス雰囲気中で行うようにしてもよいが特段それが必須の条件とはならない。
これにより、図8(a)に示すように、イオンが打ち込まれて光学素子2上に点在された異屈折率領域61について光が照射されることにより、当該領域61について近接場光が発生することになる。その結果、かかる異屈折率領域61について温度上昇が起きることになる。近接場光は、非常に強い電場成分を持っていることから、これが光学素子の異屈折率領域61について選択的に発生すると、特に異屈折率領域61において温度を急激に上昇させることが可能となる。その結果、各異屈折率領域61についてガラスを主成分とする光学素子2の流動性を増加させることができる。そして、光学素子2の表面近傍の流動性を向上させることができれば、図8(b)に示すように、光学素子2内に形成されている脈理65を除去することも可能となる。特にこの脈理65は、光学素子2を製造する際における成分を混合する過程が原因で発生するものであるが、透明な筋として現れてしまうことから極力これを除去する必要があるが、本発明を適用することにより、製造の歩留まりを向上させることも可能となる。
特にこの近接場光を発生させることにより、光学素子2のガラス転移点以上まで加熱することも可能となり、これにより流動性をより増加させることによる脈理65の除去を効果的に行うことも可能となる。
なお、上述した説明において、脈理65以外に、不純物も同様に除去することができることは勿論である。
本発明を適用した光学素子のパターニング方法を実現するためのパターニング処理システムを示す図である。 本発明を適用したパターニング処理システムによる処理対象としての光学素子の例を示す図である。 本発明を適用した光学素子のパターニング方法について説明するための図である。 光源から照射する光のスペクトル分布を示す図である。 チャンバ内に導入された塩素系ガスのガス分子の原子核間距離に対するポテンシャルエネルギーの関係図である。 光学素子の表面に微小な凹部を選択的に形成させた例を示す図である。 脈理を効果的に除去可能な光学素子の脈理除去方法について説明するための図である。 本発明による脈理除去メカニズムについて説明するための図である。
符号の説明
1 パターニング処理システム
2 光学素子
11 チャンバ
13 ステージ
15 窓
16 ポンプ
17 圧力センサ
18 バタフライバルブ
19 段
23 供給管
61 異屈折率領域

Claims (6)

  1. イオンが予め打ち込まれて異屈折率領域を点在させた光学素子を原料ガス雰囲気中に配置し、
    上記原料ガスを構成するガス分子の吸収端波長以上の光を上記光学素子に照射することにより、上記異屈折率領域に形成された凹凸における少なくとも角部において発生させた近接場光に基づいて上記原料ガスを解離させて選択的にエッチングすること
    を特徴とする光学素子のパターニング方法。
  2. 塩素系ガスからなる原料ガス雰囲気中に光学素子を配置し、
    上記塩素系ガスを構成するガス分子の吸収端波長以上の光を照射すること
    を特徴とする請求項1記載の光学素子のパターニング方法。
  3. 光の回折限界以下のピッチで上記凹凸が形成された光学素子を上記原料ガス雰囲気中に配置すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の光学素子のパターニング方法。
  4. 請求項1〜3のうち何れか1項に記載の光学素子のパターニング方法の工程を有すること
    を特徴とする光学素子の作製方法。
  5. イオンが予め打ち込まれて異屈折率領域を点在させた光学素子に光を照射することにより各異屈折率領域に近接場光を発生させ、
    発生させた近接場光に基づいて上記光学素子の少なくとも上記各異屈折率領域について流動性を増加させることにより脈理又は不純物を除去すること
    を特徴とする光学素子の脈理除去方法。
  6. 発生させた近接場光に基づいて上記光学素子のガラス転移点以上まで加熱すること
    を特徴とする請求項5記載の光学素子の脈理除去方法。
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